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特開2023-181163光重合性付加製造のための方法及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181163
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】光重合性付加製造のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20231214BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20231214BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20231214BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231214BHJP
【FI】
B29C64/106
C08F290/06
C08F2/50
B33Y10/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023158228
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2020554897の分割
【原出願日】2019-04-05
(31)【優先権主張番号】62/653,584
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516228958
【氏名又は名称】ポリ-メッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン マイケル アーロン
(72)【発明者】
【氏名】サイニー プラブジョット
(57)【要約】
【課題】本開示は、付加製造で使用するための、特にデジタルライトプロセシング、光造形法、又は連続液界面製造のための光重合性組成物を含む方法及び組成物を対象とする。
【解決手段】物品を光重合印刷する方法であって、a)光重合性組成物を一時的に光に暴露する工程であって、前記光重合性組成物が、i.少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;ii.前記光重合性組成物中に懸濁した少なくとも1種の光反射材料成分;及びiii.少なくとも1種の光開始剤成分を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、工程、並びにb)少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成する工程を含む、方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を光重合印刷する方法であって、
a)光重合性組成物を一時的に光に暴露する工程であって、前記光重合性組成物が、
i.少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii.前記光重合性組成物中に懸濁した少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii.少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、工程、並びに
b)少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記光反射材料成分が、光が接する光重合性組成物の表面で、前記光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、前記光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用する濃度よりも低い光開始剤濃度で前記マクロマーを表面硬化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光開始剤成分の総濃度が、1.0質量%未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記光重合性組成物が、反応性希釈剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光重合性組成物が、非反応性希釈剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光重合性組成物が、安定剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記安定剤が、フリーラジカル安定剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光反射材料成分が、粒子状光反射材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光重合性組成物が、活性剤を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷物を硬化させる工程を含む二次硬化工程を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷物をすすぐ工程を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記光重合性組成物が、染料を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記光重合性マクロマー成分が、エチレン性不飽和基を有するモノマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記光重合性マクロマー成分が、チオール基を有するモノマー、又はチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光重合性マクロマー成分が、エチレン性不飽和基を有するモノマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、並びにチオール基を有するモノマー、又はチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記光重合性マクロマー成分が、ラクトンモノマー、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、若しくはモルホリン-2,5-ジオン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種のモノマー単位を含むマクロマーを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
光重合に用いる光波長が、10~700nm(UV光10~400)(可視光390~700)である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記光開始剤成分の濃度範囲が、約0.01~約5.0質量%である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種の光開始剤が、少なくとも1つの光反射材料によって反射される波長で吸収する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
硬化深さが、150ミクロン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記光反射材料成分が、前記光重合性組成物の約5~約90質量%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記光反射材料成分が、500ミクロン未満の大きさの粒子状光反射材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記光反射材料成分が、有機化合物、無機化合物、又はこれらの組み合わせを含む光反射材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記光反射材料成分が、液体である光反射材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記光反射材料成分が、ポリマーである光反射材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記光反射材料成分が、生理的条件で吸収性である又は吸収性でない光反射材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の方法によって重合されたポリマー。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載の方法によって生産された物品。
【請求項32】
医療機器である、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
光重合生分解性ポリマー及び非毒性量の光開始剤を含む、非毒性ポリマー物品。
【請求項34】
光重合マクロマー及び非毒性量の光開始剤を含む、非毒性ポリマー組成物。
【請求項35】
光重合光反射材料を更に含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
光重合性組成物であって
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、光重合性組成物。
【請求項37】
前記光反射材料成分が、光が接する光重合性組成物の表面で、前記光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、前記光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用する濃度よりも低い光開始剤濃度で前記マクロマーを表面硬化させる、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
前記光開始剤濃度の総濃度が、1.0質量%未満である、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
前記光重合性組成物が、反応性若しくは非反応性希釈剤、又は両方を更に含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
前記光重合性組成物が、安定剤を更に含む、請求項36~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記光反射材料成分が、粒子状光反射材料を含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項43】
前記光重合性組成物が、活性剤を更に含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項44】
前記光反射材料成分が、活性剤を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記光反射材料が、活性剤である、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記光反射材料が、活性剤を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記光重合性マクロマー成分が、活性剤を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
前記光重合性マクロマーが、活性剤を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項49】
反応性希釈剤が、前記活性剤を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項50】
非反応性希釈剤が、前記活性剤を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項51】
前記光重合性組成物が、染料を更に含む、請求項36~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記光重合性マクロマー成分が、エチレン性不飽和基を有するモノマー、若しくはエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、又はチオール基を有するモノマー、若しくはチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー、若しくはエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーと、チオール基を有するモノマー、若しくはチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーとの組み合わせを含む、請求項36~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記光重合性マクロマー成分が、ラクトンモノマー、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、若しくはモルホリン-2,5-ジオン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種のモノマー単位を含むマクロマーを含む、請求項36~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記光重合性組成物が、10~700nm(UV光10~400)(可視光390~700)の光波長に暴露されると重合する、請求項36~53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する、請求項36~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する、請求項36~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合する、請求項36~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合する、請求項36~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記光開始剤が、前記光反射材料によって反射される波長で吸収する、請求項36~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記光反射材料成分が、前記光重合性組成物の約5~約65質量%を構成する、請求項36~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記光反射材料成分が、生理的条件で吸収性である又は吸収性でない光反射材料を含む、請求項36~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記光反射材料成分が、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと重合する光反射材料を含む、請求項36~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
光造形光重合性組成物であって、
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記組成物の照射量要件を調整する、光造形光重合性組成物。
【請求項64】
連続液界面製造の光重合性組成物であって、
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記組成物の照射量要件を調整する、連続液界面製造の光重合性組成物。
【請求項65】
DLP(デジタルライトプロセシング)光重合性組成物であって、
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記組成物の照射量要件を調整する、DLP光重合性組成物。
【請求項66】
光重合性インク組成物であって、
a)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
b)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;
c)少なくとも1種の光開始剤成分;
d)反応性希釈剤;及び
e)安定剤
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、光重合性インク組成物。
【請求項67】
光重合性インク組成物であって、
a)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
b)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;
c)少なくとも1種の光開始剤成分;
d)反応性希釈剤;及び
e)安定剤
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、光重合性インク組成物。
【請求項68】
光反射材料であって、光重合性インク調合物に添加した場合に、前記光反射材料を含まないインク調合物の照射量要件と比較して、前記インク調合物の照射量要件を調整するように、無機固体、有機化合物、結晶性有機化合物、結晶性アミノ酸及び/若しくはその誘導体、結晶性脂肪酸及び/若しくはその誘導体、結晶性ペプチド、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、光反射材料。
【請求項69】
前記無機化合物が、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、ニリン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、及びリン酸テトラカルシウム、又はこれらの組み合わせである、請求項68に記載の材料。
【請求項70】
前記有機化合物が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリヒドロキシアルカノエート、又はこれらの組み合わせの脂肪族ポリマー及びコポリマーを含む、請求項68に記載の材料。
【請求項71】
前記有機化合物が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリイミド、又はこれらの組み合わせの芳香族ポリマー及びコポリマーを含む、請求項68に記載の材料。
【請求項72】
前記有機化合物が、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、コンドロイチン硫酸、硫酸多糖類、ムコ多糖類、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、コンニャクガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせの天然由来ポリマー及び誘導体を含む、請求項68に記載の材料。
【請求項73】
前記結晶性有機化合物が、結晶性脂肪族及び芳香族ポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む、請求項68に記載の材料。
【請求項74】
前記結晶性有機化合物が、結晶性天然由来ポリマー及び誘導体、並びにこれらの組み合わせを含む、請求項68に記載の材料。
【請求項75】
結晶性アミノ酸及びこれらの誘導体、並びにこれらの組み合わせを含む、請求項68に記載の材料。
【請求項76】
前記結晶性脂肪酸が、パルミチン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸、モノラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸、カプリン酸、及びこれらの組み合わせを含む、請求項68に記載の材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2018年4月6日に出願された米国仮特許出願第62/653,584号の利益を主張するものであり、一切の目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
本開示は、光重合性付加製造、特にUV及び可視光重合性成分を用いた製造のための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広く用いられている光重合性付加製造方法の1つが、光造形(SLA)による3次元(3D)印刷である。光造形(SLA)法では、紫外線(UV)又は可視光などの光を用いて液状材料を光重合させ、高い正確性と精度で、3D物品のような設計された構造体にする。UV又は可視光によって、例えばスライスしたCAD(コンピュータ支援設計)モデルの指示に従って、薄い連続層を光架橋する。他の種類の光重合性3D印刷も開発されており、また今後も開発が続けられ、付加製造に用いられる。
SLAは一般に液状光架橋性ポリマー組成物を使用し、これは樹脂又はインク調合物とも呼ばれ、一般に光重合性ポリマー又はオリゴマー成分及び光開始剤を含む。希釈剤、架橋剤、及び染料など他の成分は、任意選択で組成物に添加される。光重合によって生産される物品の巨視的性質及び分解特性は、ポリマー化学や加工技術を変化させることによって改変できる。例えば、生分解性ポリマー材料を使用することで、期間限定の機能を有し、一定期間を過ぎると存在しなくなる物品を生産し得る。そのような生分解性物品は、例えば組織修復用の医療機器に好適であり、一定期間を過ぎると物品の存在がなくなり、組織修復が実現する。SLAは、長期的な物品を提供する方法に使用される非生分解性ポリマー材料も含み得る。
生き物、すなわち被験体と接触する光重合物品に対する懸念には、生産された物品の安全性や有効性、特に生体適合性や細胞毒性に関するものがある。方法や3D印刷方法に用いる組成物の改善、並びに生体適合性が高く、及び/又は細胞毒性が低い物品をもたらす組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/199611号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、3D印刷と呼ばれることの多い、付加製造などの光重合工程のための、及びそのような光重合物品を作成し、かつ使用するための方法及び組成物を開示する。本明細書では、光重合性組成物であって、a)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含み;光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する光重合性組成物を一時的に光に暴露するステップ、並びに少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成するステップを含む、物品の光重合性製造(印刷)方法を開示する。本明細書では、本明細書に開示する1つ又は複数の方法によって重合されたポリマーを開示する。本明細書では、本明細書に開示する1つ又は複数の方法によって生産された物品を開示する。本明細書では、光重合生分解性ポリマー及び非毒性量の光開始剤を含む非毒性ポリマー物品を開示する。ポリマー物品は生理的条件下で全部又は一部が生分解性であり得る。ポリマー物品は生理的条件下で生分解性でなくてもよい。
本明細書では、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含む光重合性組成物を開示する。本明細書に開示する組成物は、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する光反射材料成分を有し得る。本明細書では、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含む光造形光重合性組成物であって;光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する光造形光重合性組成物を開示する。
本明細書では、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含む連続液界面製造の光重合性組成物であって;光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する、連続液界面製造の光重合性組成物を開示する。本明細書では、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;少なくとも1種の光開始剤成分;このとき、光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する;反応性希釈剤;及び安定剤を含む光重合性インク組成物を開示する。本明細書に開示する組成物は染料を含み得る。本明細書では、無機固体;有機化合物、結晶性有機化合物、結晶性アミノ酸及び/若しくはその誘導体、結晶性脂肪酸及び/若しくはその誘導体、結晶性ペプチド、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む光反射材料を開示する。本開示は、開示する組成物を作成する方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書では、光重合性組成物の有効照射量を調整する少なくとも1種の反射材料を含む方法及び組成物を開示する。本明細書では、光重合性組成物が、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含み、光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する光重合性組成物を一時的に光に暴露するステップ、並びに重合マクロマーを含む印刷物を形成するステップを含む、物品の光重合性製造(印刷)方法を開示する。一態様では、光反射材料成分は、光反射材料成分を含有する調合物に対する照射量を増強する。調合物に対する照射量を増強することにより、調合物中でより少ない量の光開始剤を使用しながらも、同じ重合速度で、又は実質的に同様の重合速度で、又は場合によってはより速い重合速度で重合性成分を重合させることができる。一態様では、光開始剤成分の総濃度は1.0質量%未満であり得る。一態様では、本明細書に開示する組成物は、光が光重合性組成物と接する光重合性組成物の表面で、光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める光反射材料成分を含む。一態様では、光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用するよりも低い光開始剤濃度でマクロマーを表面硬化させる。一態様では、光反射材料成分は、光開始剤を活性化する1つ又は複数の波長で光を反射する。
【0006】
光は波長の電磁放射であり、人間の目で感知できるこれらの波長(λは約400~770nmに等しい)は可視光と呼ばれることが多い。しかしながら光という単語は、スペクトルの他の近接領域、すなわち紫外線(可視光よりも短い波長)及び赤外線(長い波長)を指すのに用いられることもある。本明細書で使用する「光」は、紫外線、赤外線、及び可視波長を含む波長の電磁放射を指す。UV(紫外線)放射の波長は約10~400nmで、うちUV-Aが315~400nm、UV-Bが280~315nm、UV-Cが100~280nmであり、人間の目に見える可視光(VIS)は400~770nmという描写が既知である。赤外線の波長は約770~1×106である。10~770nmのスペクトルの光は、本明細書において「UV-VIS」光又は「光」と呼ぶことがある。
放射線は様々な波長成分から成るが、用語「単色の」はスペクトル領域が狭いときに用いられることが多い。単一光子であっても正確な波長を割り当てることはできない。また、放射線は様々な方向に移動するため、常に方向が分布する。「平行放射」は角度分布が非常に狭いことを意味する。「散乱又は〈拡散〉放射」は角度分布が広いことを意味する。放射について十分に説明するには、「量」に加えてその波長成分の分布(スペクトル分布)とそれらの方向の両方を考慮する。SLA法では、光の方向(放射)は一般に一定であり、光重合性材料と直角、一般に90度で接する。二次硬化などその他の光重合ステップは、様々な角度で光源を使用し得る。
【0007】
光重合方法と組成物の2つの変数は、エネルギー密度と出力密度である。エネルギー密度はエネルギー/表面積であり、1平方センチメートル当たりのジュール又はミリジュール(J/cm2又はmJ/cm2)で表されることが多い。エネルギー密度値は一般に、UV/Vis硬化性樹脂内で全ての光開始剤を活性化し、樹脂を十分に重合するのに必要な総エネルギー量を意味する。UV硬化性樹脂を十分に硬化するのに必要な総エネルギーは、光重合方法及び組成物のいくつかの構成要素と、これらの構成要素の変化の関数である。そのような構成要素には、硬化厚さ、光開始剤濃度、光開始剤構造、反応材料の量、特定の化学官能性などがある。光重合方法又は組成物は、方法/組成物の構成要素(硬化厚さ又は深さ、光開始剤濃度、反応材料の量、特定のマクロマーなど)が一定に保持されているとき、光重合性組成物を十分に重合するのに必要な、定義又は決定された(例えば測定された)エネルギー密度を有し得る。工程仕様書又は技術データシートで、例えば365nmのUV-LED光源を用いてエネルギー密度要件を500mJ/cm2にするといったように、エネルギー密度要件とともにUV光源放射を規定することができる。
第2の変数である出力密度は、放射(UV/Vis光)が光硬化性樹脂(例えば、光重合性組成物)に供給される速度を決定するときに用いられる。放射がUV/Vis硬化性樹脂に供給される速度は、光開始剤がUV/Vis放射を吸収し、モノマー又はマクロマー重合を開始させる速度と相関する。使用の際、ピーク放射照度は、出力/表面積の単位の両方を用いる出力密度、大抵は平方センチメートル当たりのワット又はミリワット(W/cm2又はmW/cm2)と置き換えが可能であることが多い。定義上、ピーク放射照度はUV/Vis硬化性樹脂に適用される最高出力密度であるが、出力密度は一般にUV/Vis硬化性樹脂に適用される平均放射照度とみなされる。
【0008】
エネルギー密度と出力密度の関係は、UV硬化性樹脂に供給されるエネルギー総量を与えるために組み合わされた特定の放射照度での総暴露時間に関係する(ピーク放射照度×暴露=エネルギー密度)。これは出力密度と暴露時間が無関係でないことを示唆している。ワットは1秒当たりのジュール(J/s)の単位であり、ワットに秒を掛けるとジュールになり、mW/cm2×秒=mJ/cm2で表される。
組成物のエネルギー密度要件が決定されると、時間及び/又は出力密度を変化させることによって光重合を制御できる。例えば、UV/Vis硬化性樹脂が365nmのUV-LED光源を用いて500mJ/cm2のエネルギー密度要件を有する場合、エネルギー要件は、様々な暴露時間、すなわち10mW/cm2出力密度で50秒間の暴露、100mW/cm2出力密度で5秒間の暴露、5000mW/cm2出力密度で0.1秒間の暴露、又は積が500mJ/cm2となる他の時間と出力の組み合わせのもとで満たすことができる。
【0009】
本明細書で使用する組成物のエネルギー密度要件は照射量に相当し、かつ光の測定量、つまり硬化性樹脂内で光開始剤を活性化して特定の時間で樹脂を十分に重合させるのに必要とされ、またJ/cm2又はmJ/cm2で測定される、表面積当たりのエネルギーを指す。組成物のエネルギー密度又は照射量要件は、組成物の構成要素(光開始剤濃度、材料の量、光重合性マクロマー)並びに光重合方法の条件、例えば硬化深さ又は硬化厚さ、光源からの距離、光源放射(mW/cm2)、及び十分な重合が生じるのにかかる時間などによって異なる。本明細書で使用する照射量はmJ/cm2(mJ/cm2=1秒当たり1,000μW/cm2)で表し得、暴露した光重合性組成物の重合時間を計算に入れる。例えば光造形装置では、装置において放射源と光重合性組成物の距離が一定で、365nmの光源が光重合性組成物に3mW/cm2を放射し得(放射照度)、SLA装置でその材料が十分に光重合するのに、光重合性組成物が10秒の時間で光重合することになり、0.3mJ/cm2の照射量(材料を十分に重合させる暴露時間)を得る。他の光重合装置は、光重合性調合物における露光深さについて同様の条件を有する。
異なる光重合性材料によって、光重合させるのに必要な露光量は異なる。例えば、3mW/cm2の放射照度で5秒間(0.8mJ/cm2の照射量)というのは、3mW/cm2の放射源への5秒間の暴露において材料Aを十分に光重合させるのに対し、材料Bを十分に光重合させるには、3mW/cm2の放射照度で10秒間の放射(0.3mJ/cm2に相当する照射量)が必要であり得る。材料Bの照射量(重合するための暴露時間)要件は、材料Aの有効照射量(重合するための暴露時間)要件より大きい。
【0010】
本明細書で(組成物の)照射量要件とも称され得る照射量(材料を十分に光重合させる暴露時間)は、一態様では、光重合性組成物の構成要素を変化させることによって調整し、増大させ、又は減少させることで、変化させていない材料とは異なる暴露時間で光重合性組成物を十分に光重合させ得る。例えば材料Bは、特定の光源を有するSLA装置で十分に光重合させるための有効照射量要件が0.3mJ/cm2であると定められている。材料Bの構成要素を変化させ、変化した材料Bを形成した場合、変化した材料Bの照射量要件は、同じ距離で放射源を保持すること、放射又は放射照度定数、例えば3mW/cm2を保持すること、及び変化した材料Bによる十分な重合のための時間を決定することによって定めることができる。例えば、材料Bに1つ又は複数の変更を行い、照射量要件を、材料Bの照射量0.3mJ/cm2から、変化した材料Bの照射量0.8mJ/cm2に変更し、反応の他の構成要素(光重合性組成物及び重合条件)は全て、材料B及び変化した材料Bの照射量要件を測定する際に一定に保持する。変化した材料Bは、材料Bよりも高い照射量要件を有する。本明細書では、光重合性組成物の照射量要件を調整し、反応の他の構成要素は一定に保持した組成物及び方法を開示する。一態様では、本明細書に開示する光重合性組成物は、光反射材料成分又は光反射材料を含まない組成物と比べて、光重合性組成物の照射量要件を調整する光反射材料成分又は光反射材料を含む。
【0011】
照射量要件はいくつかの要素によって調整し得る。要素の1つは光開始剤の量の増減である。組成物中の光開始剤の量を増加させると、一般にマクロマーの重合速度が上がる。例えばSLA印刷では、光開始剤の量を増加させることによってUV/VIS光への暴露時間を短縮し、樹脂又はインク光硬化性組成物中のマクロマーの光重合を速め得る。更に、光開始剤の量を減少させることによってUV/VIS光への暴露時間を延長し、樹脂又はインク光硬化性組成物中のマクロマーの光重合を遅延させ得る。
光開始剤に加えて、開示する光重合性印刷調合物に染料を添加し得る。染料は、調合物を所望の色に調整する目的で添加できる。しかしながら、非毒性及び生体適合性調合物用の染料は、通常は2質量%未満の濃度で使用される(例えば、PCT/米国特許出願公開第2016/059910号明細書を参照。同特許出願は、その重合性組成物及び染料の使用の教示について本明細書に援用される)。吸収性医療機器の場合、大部分の染料は、最も吸収性のある縫合糸製品についてD&Cバイオレット添加剤に示されるように、0.1~0.3質量%を含有するようFDAが規制している。高濃度の染料と高濃度の光開始剤を組み合わせると、現在使用されている、これらを含有する3D光印刷が可能な(photoprintable)調合物、特に結果として生じる光印刷物の毒性が明白になる。
【0012】
一態様では、本開示は、光開始剤が低濃度ながらも、低濃度の光開始剤で予想されるよりも速い速度で光重合する光重合方法及び光重合性組成物を提供する。例えば、低濃度の光開始剤を有する光重合性組成物の照射量要件は、少なくとも1種の光反射性成分を光重合性組成物に添加することによって調整される。本明細書に開示する光重合性組成物は、少なくとも1種の光反射材料成分及び低濃度の光開始剤を含みながらも、低濃度の光開始剤で予想されるよりも速い速度で光重合する。例えば、低濃度の光開始剤を有する光重合性組成物と比べて、少なくとも1種の光反射材料成分を有する本開示の光重合性組成物は、光反射材料成分を含まない組成物よりも速い速度で光重合する。特定の理論に縛られることを望まないが、光反射材料成分が光波長を反射し、かつ光波長の少なくとも一部が、光重合性組成物中に存在する少なくとも1種の光開始剤に吸収されるため、より多くの光開始剤単位が活性化される、又は光開始剤単位が複数回活性化されると考えられている。 SLA装置では、他の光重合装置のように、光重合される材料の深さは一般に一定に保持される。例えば、材料の層上の層が光重合されるSLA装置において、「十分に重合された」は、材料の特定の層が光源に暴露され、かつ所望の程度まで光重合されることを指す。用語「十分に重合された」及び「重合された」は同じ意味で使用し得、所望の量の重合が行われたことを意味し、必ずしも全ての重合性ポリマーが完全に重合されていることを意味しない。「十分に重合された」は当業者に十分理解される。「十分に重合された」は、全体的に又は完全に重合された材料に加え、部分的に重合された材料も含むことができる。故にこの場合、「十分に重合された」は、バルク組成物が光源に暴露された場合の光重合性組成物の十分な表面硬化と同様である。
【0013】
物品の形状も、対象に当たる入射光に用いられる測定に影響を及ぼす。平面に当たる光では、放射照度、すなわち平面の単位面積に入射する放射パワーが用いられる。成形された対象では、エネルギーフルエンス率、すなわち球面の単位断面図に入射する放射パワーが、対象の湾曲した面を捕捉する。用語「エネルギーフルエンス率」はフルエンス率とも呼ばれ得る。エネルギーフルエンス率と同じ意味を持つ他の用語に、空間放射照度、スカラー放射照度、化学線束がある。化学線束は主に大気科学者が用いる。放射照度とエネルギーフルエンス率はともに、光子の観点からも説明できる。放射照度の値を与える場合、放射照度が考慮される平面の方向を指定する必要がある。これは水平面であることが多いが、調べる物体によって異なる。コリメートされた放射(単一方向から来る)では、放射照度を測定する平面に対し放射ビームが垂直である場合、放射照度とフルエンス率は同じ数値になる。完全に等方性の放射が上から(水平より上の任意の方向から等しく)入射する場合、フルエンス率は水平面上の放射照度の2倍となる。区切られた放射ビームが平面に垂直に当たると、放射照度Eが得られるが、同じビームでも垂直に対して角度をなして傾いている場合、より広がり、そのため放射照度が低くなる。確認には、オンラインで利用できるBeyond the Visible:A handbook of best practice in plant UV photobiology(Pedro Aphalo編,COST,European Cooperation in Science and Technology出版,2012年)を参照のこと。UV硬化材料におけるエネルギー密度と出力密度の詳しい考察については、Jeffrey GotroによるPolymer Innovation Blogに記載されている。
【0014】
組成物
一態様では、本開示の組成物は光重合性である調合物を含み、例えばそのような調合物は、光造形法、デジタルライトプロセシング(DLP)、噴射式印刷、インクジェット、又は連続光重合方法及び装置を含むがこれらに限定されない付加製造法(3D印刷)に有効であり得る。一態様では、本開示の組成物は、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含む光重合性組成物であり、例えば光開始剤の総濃度が1.0質量%未満であり得る。一態様では、光反射材料は、光反射材料を含まない光重合性組成物と比較して、光重合性組成物に対する照射量要件を調整する。一態様では、本明細書に開示する光重合性組成物は、光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて、光が接する光重合性組成物の表面における重合速度を高める光反射材料成分を含む。一態様では、光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用するよりも低い光開始剤濃度でマクロマーを表面硬化させる。一態様では、光重合性組成物は光造形組成物である。本明細書で使用する光反射材料成分は、他の材料(例えば、希釈剤又は一般的な粘度調整剤)に加えて光反射材料を含み得る、又は光反射材料であり得る。
【0015】
本明細書では、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含む光重合性組成物であって、光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物と比較して、光重合性組成物の照射量要件を調整する光重合性組成物を開示する。一態様では、光重合性組成物は反応性希釈剤を更に含む。一態様では、光重合性組成物は非反応性希釈剤を更に含む。一態様では、光重合性組成物は、粘度を高める反応性又は非反応性粘度調整剤を更に含む。一態様では、光重合性組成物は安定剤を更に含む。一態様では、安定剤はフリーラジカル安定剤である。一態様では、光反射材料成分は粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は、UV光、可視光、又は両方を反射する光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は、光重合性組成物中の少なくとも1種の光開始剤によって吸収される波長のUV光、可視光、又は両方を反射する光反射材料を含む。
本明細書に開示する組成物は活性剤を含み得る。一態様では、光反射材料成分は活性剤を含む。一態様では、光反射材料は活性剤である。例えば光反射材料成分は、光反射材料及び活性剤、並びに任意選択で希釈剤、溶剤、分散剤など他の材料を含み得る。一態様では、光重合性マクロマー成分は活性剤を含む。一態様では、光重合性マクロマーは活性剤を含む。一態様では、反応性希釈剤は活性剤を含む。一態様では、非反応性希釈剤は活性剤を含む。一態様では、光重合性組成物は染料を含む。
【0016】
本明細書に開示する組成物は、光重合が可能なマクロマー(ポリマー)を含む光重合性マクロマー成分を含む。一態様では、マクロマー成分はモノマーを含み、光重合が可能である。本明細書に開示する組成物は、生理的条件下で生分解性又は吸収性である光重合が可能なマクロマー(ポリマー)を含む光重合性マクロマー成分を含む。本明細書に開示する組成物は、生理的条件下で生分解性又は吸収性でない光重合が可能なマクロマー(ポリマー)を含む光重合性マクロマー成分を含む。一態様では、光重合性マクロマー成分は、エチレン性不飽和末端基を有する脂肪族又は芳香族マクロマー、ポリマー、及び/若しくはオリゴマーを含む。例えば光重合性マクロマー成分は、アクリレート末端基を有するポリマーを含む。一態様では、アクリレート末端基はメタクリレート末端基であり得る。一態様では、光重合性マクロマーは光反応性の官能性末端基、例えばアクリレート又はメタクリレートを含む。一態様では、光重合性マクロマーは光反応性の官能性末端基、例えばチオール基を含む。一態様では、光重合性組成物は、光反応性の末端基を有する1種又は複数種のマクロマーを含み得、光反応性の官能性末端基は、例えば、アクリレート若しくはメタクリレート、チオール、又は一部がアクリレート末端基を有し、一部がチオール末端基を有するなど異なる末端基を有するマクロマーの組み合わせであり得る。一態様では、光重合性マクロマー成分は、M.A.Vaughn及びP.Sainiを発明者とする出願人Poly-Med,Inc.が2018年4月19日に出願した「MACROMERS AND COMPOSITIONS FOR PHOTOCURING PROCESSES」と題する米国仮特許出願第62/660146号、並びにM.A.Vaughn及びP.Sainiを発明者とする出願人Poly-Med,Inc.が2019年4月5日に出願した「MACROMERS AND COMPOSITIONS FOR PHOTOCURING PROCESSES」と題するPCT/米国特許出願公開第2019/026098号(いずれもその全体が本明細書に援用される)で開示された1種又は複数種のマクロマーを含み得る。
【0017】
一態様では、マクロマーは、単能性、二官能性、三官能性、四官能性、又は五官能性光硬化性マクロマーを含み得、場合によっては、比較的低い分子量種又は比較的高い分子量種を含むことができる。一態様では、マクロマーは、不飽和官能性のアクリレート(メタクリレートを含む)、アリル、及びビニル系反応性基、並びにチオール反応性基を含むがこれらに限定されない反応性基を含み得る。本開示では4、5、6、最大18個の反応部位を有する官能性の高い材料を検討する。通常、モノマー材料は分子量が250ダルトンより小さいのに対し、オリゴマー材料は分子量が何万にもなる。
【0018】
一態様では、光重合性マクロマー成分は、多軸中心コア(CC)、及び中心コアから伸びる式(A)-(B)又は式(B)-(A)の2~4個のアームを含むマルチアーム化合物であり、少なくとも1個のアームが光反応性官能基(Q)を含む。マルチアーム化合物では、(A)はトリメチレンカーボネート(本明細書ではT又はTMCとも呼ぶ)及びε-カプロラクトン(本明細書ではカプロラクトン又はC又はCAPとも呼ぶ)から選択されるモノマーの重合物であり、(B)はグリコリド、ラクチド、及びp-ジオキサノンから選択されるモノマーの重合物である。光反応性官能基Q基は光重合性である。一実施形態では、例示的なQ基は、光重合性であるチオール基を有し得る。一実施形態では、例示的なQ基は、光重合性である炭素-炭素二重結合を有し得、例えばQ基は、それぞれ光重合性の炭素-炭素二重結合を有するアクリレート基又はメチアクリレート基に存在するようなビニル基を含み得る。
そのようなマルチアーム化合物は、Q基の代わりにヒドロキシル基を有する対応するマルチアーム化合物から調製し得、その後で、ヒドロキシル基が反応を経てQ基を導入する。例えば、ヒドロキシル基を光重合性炭素-炭素二重結合を有するQ基に変換するために、1つ又は複数の末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物を、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、又は塩化アクリロイルなどの反応性アクリレート又はメタクリレート化合物と反応させ得る。別の例として、ヒドロキシル基を光重合性チオール基を有するQ基に変換するために、1つ又は複数の末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物をエステル化反応させ得る。エステル化の1つの方法は、カルボジイミド(例えば、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド)及び触媒(例えば、ジメチルアミノピリジン)の存在下で、化学量論量のヒドロキシル終端マクロマー及びメルカプトカルボキシル酸化合物を添加することである。例示的なメルカプトカルボキシル酸には、以下の化合物を含むがこれらに限定されない:3-メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、チオグリコール酸、メルカプトブタン酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプト安息香酸、メルカプトウンデカン酸、メルカプトオクタン酸、及びN-アセチルシステイン。例えば、本明細書に開示する末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物は、チオ乳酸と反応させ得、その場合、得られたQ基は、マルチアーム化合物の末端酸素と結合した式-C(=O)-CH2-SHを有する。
【0019】
一態様では、マルチアーム化合物は式CC-[アーム-Q]nで表され得、このときCCは中心コアを表し、nは2~18、又は2~14、又は2~8、又は2~6、又は2~4の範囲内の数から選択される。各アームは、2つのグループから選択されるモノマーの重合によって形成され、この2つのグループをグループA及びグループBとして表す。従ってより具体的には、マルチアーム化物において、CC-[アーム]nは、CC-[(A)p-(B)q-Q]n、又はCC-[(B)q-(A)p-Q]nとして表し得、このとき(A)p-(B)q及び(B)q-(A)pはそれぞれアームを表す。任意選択でアームの末端官能基を示し得、このときQは一般に光重合性官能基、任意選択で末端光重合性官能基を表す。式中、Aはトリメチレンカーボネート(T)及びカプロラクトン(C)を含む、並びに任意選択で、これらからのみ選択される1つ又は複数のモノマーの重合物を表し、pは、重合されて重合物Aを形成したモノマーの数を表し、このときpは1~40、又は1~30、又は1~20、又は1~10から選択される。式中、Bはグリコリド(G)、ラクチド(L)、及びp-ジオキサノン(D)を含む、並びに任意選択で、これらからのみ選択される1つ又は複数のモノマーの重合物を表し、qは、重合されて重合物Bを形成したモノマーの数を表し、このときqは1~40、又は1~30、又は1~20、又は1~10から選択される。
【0020】
いくつかの態様では、本開示は、マルチアーム光重合性マクロマー化合物、及びそのような化合物を含有する組成物を提供し、この化合物は以下のいずれか1つで記述される:化合物は構造CC-[A-B-Q]nであり、又はこの構造を含み、かつnが2である;化合物は構造CC-[A-B-Q]nであり、又はこの構造を含み、かつnが3である;化合物は構造CC-[A-B-Q]nであり、又はこの構造を含み、かつnが4である;化合物は構造CC-[B-A-Q]nであり、又はこの構造を含み、かつnが2である;化合物は構造CC-[B-A-Q]nであり、又はこの構造を含み、かつnが3である;化合物は構造CC-[B-A-Q]nであり、又はこの構造を含み、かつnが4である。任意選択で、化合物は4個のアームを有し、分子質量が40,000g/モル未満、又は20,000g/モル未満、かつ室温で固体である。任意選択で、化合物は3個のアームを有し、分子質量が15,000g/モル未満、かつ室温で液体である。任意選択で、化合物は2個のアームを有し、分子質量が5,000g/モル未満、かつ室温で液体である。任意選択で、光重合性マルチアーム化合物は比較的短いアーム、例えば、1~10個のモノマー残渣/アームを有する。任意選択で、光重合性マルチアーム化合物は、化合物のA領域(ブロックとも呼ぶ)を特徴づける以下の特徴の1つ又は複数で記述され得る:トリメチレンカーボネート(TMC又はT)から形成される残基を含むブロックAを有する;カプロラクトン(CAP又はC)から形成される残基を含むブロックAを有する;TMCとCAPの両方から形成される残基を含むブロックAを有する;ブロックAの残基の少なくとも90%が、TMC又はCAPから形成される残基である;化合物が、TMCから形成される1~45又は2~45個の残基を含む;化合物が、TMCから形成される1~15又は2~15個の残基を含む;化合物が、TMCから形成される1~10又は2~10個の残基を含む;領域Aの分子量が102~2500g/モルである;領域Aの分子量が102~1000g/モルである;領域Aの分子量が102~900g/モルである;各A領域が2~45個のモノマー残渣を含む;各A領域が2~15個のモノマー残渣を含む;各A領域が2~10個のモノマー残渣を含む。任意選択で、光重合性マルチアーム化合物は、化合物のBブロック(領域とも呼ぶ)を特徴づける以下の特徴の1つ又は複数で記述され得る:各Bブロックが1~45又は2~45個のモノマー残渣を含む;各Bブロックが1~15又は2~15個のモノマー残渣を含む;各Bブロックが1~10又は2~10個のモノマー残渣を含む。Aブロックを記述する特徴とBブロックを記述する特徴を組み合わせて、本開示のマルチアーム光重合性マクロマー化合物を記述し得る。化合物は同様に、又は別法として、以下の1つ又は複数でも記述し得る:化合物の分子質量が40,000g/モル未満である;化合物の分子質量が25,000g/モル未満である;化合物の分子質量が10,000g/モル未満である。
【0021】
本明細書に記載するいずれかのマルチアーム光重合性化合物及び組成物において、Qは炭素-炭素二重結合、例えばビニル基であり得る。例示的なビニル基はアクリレート基及びメタクリレート基である。追加的な態様では、1つ又は複数のQ基を有する光重合性化合物は、例として300~450nm、又は300~425nm、又は350~450nm、又は350~425nm、又は365~405nmの波長を有する光に暴露されると光重合する。一実施形態では、化合物及び組成物はUV放射に暴露されると光重合する。 本明細書に記載するいずれかのマルチアーム光重合性化合物及び組成物において、Qはチオール基であり得る。追加的な態様では、1つ又は複数のQ基を有する光重合性化合物は、例として300~450nm、又は300~425nm、又は350~450nm、又は350~425nm、又は365~405nmの波長を有する光に暴露されると光重合する。一実施形態では、化合物及び組成物はUV放射に暴露されると光重合する。
【0022】
一般に、光開始剤を用いるチオールのフリーラジカル重合には、Q基が光重合性炭素-炭素二重結合を有する場合に必要とされるよりもはるかに高濃度の光開始剤が必要である。チオール基を有する場合、光重合開始剤はチオール基を開始させることができるが、2つのチオール基は2つのチイルラジカルが出会ったときにのみ重合できる。更に、2つのチイルラジカルの結合はラジカル基の終端であるため、高濃度の光重合開始剤が必要となる。光重合性基が炭素-炭素二重結合、例えばビニル基である、又はこれを含む場合、1つのフリーラジカルは終端前に多数のビニル基を開始及び伝播(propagate)することができる。従って、光重合がチオール基を介して進行する場合、比較的高密度のチオール基を有すると有利である。チオール末端基の濃度が低いほど、チイルラジカルの生成と、重合を起こさせる2つのチイルラジカルの結合の両方の確率が低くなる。この観点から、本開示の光重合工程には低分子量(すなわち、好ましくは5000ダルトン未満、より好ましくは3000ダルトン未満、及び更により好ましくは2000ダルトン未満)のマルチアームチオール化合物が好ましい。
【0023】
一態様では、本開示は、1種又は複数種の光重合性マクロマー化合物を含む光硬化性組成物を提供し、この組成物は、組成物中に懸濁した光反射材料を含む光開始剤及び光反射材料成分を更に含み;光重合性マクロマー化合物が、中心コア(CC)、及び中心コアから伸びる2~4個のアームを含むマルチアーム化合物であり、少なくとも1個のアームが光反応性官能基(Q)並びにブロックA及びBを含むブロックコポリマーを含み;このときブロックAは、トリメチレンカーボネート(TMC)及びε-カプロラクトン(CAP)のうち少なくとも1種から形成される残基を含み、すなわちこれらの重合物であり;ブロックBはグリコリド、ラクチド、及びp-ジオキサノンのうち少なくとも1種から形成される残基を含み、すなわちこれらの重合物である。任意選択で、マルチアーム光重合性化合物は構造CC-[A-B-Q]2を有する。任意選択で、マルチアーム光重合性化合物は構造CC-[A-B-Q]3を有する。任意選択で、マルチアーム光重合性化合物は構造CC-[A-B-Q]4を有する。任意選択で、マルチアーム光重合性化合物は構造CC-[B-A-Q]2を有する。任意選択で、マルチアーム光重合性化合物は構造CC-[B-A-Q]3を有する。任意選択で、マルチアーム光重合性化合物は構造CC-[B-A-Q]4を有する。
【0024】
本明細書では、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、又はモルホリン-2,5-ジオンを含むがこれらに限定されない少なくとも1種のラクトンモノマーのモノマー単位を含む(反応性末端基を有する)マクロマーを含む光重合性マクロマー成分を含む光重合性組成物を開示する。光重合性マクロマーは例えばポリエステルであり得る。一態様では、ポリエステルは、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、又はカプロラクトンのうち少なくとも1種のモノマーに由来する配列を有するセグメント化/ブロック又はランダムコポリマーを含む。光重合性マクロマーは、以下の単糖類単位の1種又は複数種を含む多糖類又はマクロマーを含み得る:アラビノース、フルクトース、ガラクトース、ガラクトピラノシル、ガラクツロン酸、グルロン酸、グルクロン酸、グルコース、グルコシド、N-アセチルグルコサミン、マンヌロン酸、マンノース、硫酸ピラノシル、ラムノース、又はキシロース。前述の単位を含む多糖類には、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、コンドロイチン硫酸、硫酸多糖類、ムコ多糖類、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、コンニャクガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、及びキサンタンガムなどがある。アニオン又はカチオンのいずれかである多糖類には、天然多糖類アルギン酸、カラギーナン、キトサン(部分的に脱アセチル化されたキチン)、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、ペクチン、及びキサンタンガムなどがある。複数の懸垂光重合性基を含む合成ポリマーも好適である。好適な合成ポリマーには、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(酸化プロピレン)、及びPEG-ブロック-PPO、PEG-ブロック-PPO-ブロック-PEG、及びPPO-ブロック-PEG-ブロック-PPOなどがあり、それぞれがアクリレート又はメタクリレート末端基を含む。
【0025】
本明細書では、エチレン性不飽和基を有するマクロマー、及び任意選択で、エチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を含む光重合性マクロマー成分を含む光重合性組成物を開示する。概して、本開示の目的と矛盾しない任意のモノマーを使用し得る。一態様では、マクロマー又はモノマーは、1種又は複数種の(メタ)アクリレート、例えば単能性、二官能性、三官能性、四官能性(メタ)アクリレート、及び/若しくは五官能性(メタ)アクリレートのうち1つ又は複数を含む。一態様では、マクロマー又はモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート、又はこれらの組み合わせを含む。一態様では、モノマーは、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、及びシクロヘキサンジメタノールジアクリレートのうち1つ又は複数を含む。一態様では、マクロマー又はモノマーは、1,3-若しくは1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン若しくはビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、若しくはビスフェノールSを含む脂肪族、シクロ脂肪族、若しくは芳香族ジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレートエステルを含む。一態様では、マクロマー又はモノマーは、1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、及び/又はビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレートを含み得る。一態様では、モノマーは、エトキシル化又はプロポキシル化種、例えばエトキシル化若しくはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化若しくはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化若しくはプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化若しくはプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化若しくはプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はエトキシル化若しくはプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートを含み得る。
【0026】
一態様では、マクロマー又はモノマーは、SR506の商品名でSARTOMER(Sartomer Americas,502 Thomas Jones Way,Exton,PA 19341)から市販されているイソボルニルアクリレート(IBOA);SR423Aの商品名でSARTOMERから市販されているイソボルニルメタクリレート;SR272の商品名でSARTOMERから市販されているトリエチレングリコールジアクリレート;SR205の商品名でSARTOMERから市販されているトリエチレングリコールジメタクリレート;SR833Sの商品名でSARTOMERから市販されているトリシクロデカンジメタノールジアクリレート;SR368の商品名でSARTOMERから市販されているトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;SR339の商品名でSARTOMERから市販されている2-フェノキシエチルアクリレート;SR349の商品名でSARTOMERから市販されているエトキシル化(3モル)ビスフェノールAジアクリレート;及びSR399LVの商品名でSARTOMERから市販されているジペンタエリスリトールペンタアクリレートを含み得る。
【0027】
一態様では、マクロマーは少なくとも以下のクラスのホモポリマー又はコポリマーを含み得る:ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、チオール官能化オリゴマー、若しくはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、又はこれらの組み合わせ。ポリマー又はコポリマーのクラスは当技術分野で周知である。一態様では、マクロマーは脂肪族ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー及び/又はアクリレートアミンオリゴマー樹脂、例えばEBECRYL 7100(Allnex,Frankfurt-Global HQ,The Squaire 13,Am Flughafen,60549 Frankfurt am Main,ドイツ)を含み得る。一態様では、マクロマーはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含み得る。一態様では、マクロマーは単官能脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含み得る。一態様では、マクロマーはポリエチレングリコール、エトキシル化若しくはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化若しくはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化若しくはプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化若しくはプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化若しくはプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はエトキシル化若しくはプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートを含む脂肪族、シクロ脂肪族、若しくは芳香族ジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレートエステルを含み得る。一態様では、マクロマーは、SR611の商品名でSARTOMERから市販されているアルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート;GENOMER 1122の商品名でRAHN(USA Kinetik Technologies,8 Crown Plaza,Suite 110,Hazlet,NJ 07730,米国)から市販されている単官能ウレタンアクリレート;及びEBECRYL 8402の商品名でALLNEXから市販されている脂肪族ウレタンジアクリレートを含み得る。他の市販のオリゴマー硬化性材料も使用し得る。一態様では、マクロマーはウレタン(メタ)アクリレートを含み得る。一態様では、マクロマーはポリエステルカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーを含み得る。
【0028】
本明細書に開示する光重合性組成物は、10~770nm(UV光10~400)(可視光390~770)の光波長(本明細書ではUV/Vis光と呼ぶ)で重合する光反応性化合物、又は光反応性基(例えば光反応性末端基)を有する化合物を含む。
【0029】
光反射材料
本明細書に開示する光重合性組成物は、少なくとも1種の光反射材料を含む光反射材料成分を含む。光重合性組成物中に光反射材料が存在すると、光重合性組成物は、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する。一態様では、光重合性組成物中に光反射材料が存在すると、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mJ/cm2)で速い速度で光重合する。一態様では、光反射材料は光開始剤が光を吸収するのと同じ波長で光を反射する。
【0030】
光反射材料は、有機化合物、無機化合物、又はこれらの組み合わせを含む。一態様では、光反射材料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、ニリン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、及びリン酸テトラカルシウムを含むがこれらに限定されない無機固体を含み得る。一態様では、光反射材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリヒドロキシアルカノエート、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない脂肪族ポリマー及びコポリマーを含む有機化合物を含み得る。例えば、ポリグリコリド-co-ラクチド、ポリカプロラクトンウレタン、ポリエチレングリコール、及びポリグリコリドは光反射材料として使用し得る。一態様では、光反射材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリスルフィド、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリイミド、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない芳香族ポリマー及びコポリマーを含む有機化合物を含み得る。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリ-4-ヒドロキシ安息香酸は光反射材料として使用し得る。一態様では、光反射材料は、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、コンドロイチン硫酸、硫酸多糖類、ムコ多糖類、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、コンニャクガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、及びキサンタンガムを含むがこれらに限定されない天然由来ポリマー及び誘導体を含む有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性脂肪族及び芳香族ポリマーを含む結晶性有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性天然由来ポリマー及び誘導体を含む結晶性有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性アミノ酸及びこれらの誘導体を含み得る。一態様では、光反射材料は、パルミチン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸、モノラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸、及びカプリン酸を含むがこれらに限定されない結晶性脂肪酸及びこれらの誘導体を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性ペプチドを含み得る。本明細書で使用する用語「結晶性」は半結晶性材料を含む。当業者が理解するように、結晶性材料は、その構成要素(ポリマーの場合は鎖)が高度に秩序化されて、組織化された構造又は配列を形成する材料である。半結晶性ポリマーの場合、秩序化された領域と秩序化されていない領域がある。本明細書に開示する光重合性組成物の光反射材料成分は、光重合性組成物の約5~約90質量%、又は光重合性組成物の約5~約85質量%、若しくは約5~約80質量%、若しくは約5~約75質量%、若しくは約5~約70質量%、若しくは約5~約65質量%、若しくは約5~約60質量%、若しくは約5~約55質量%、若しくは約5~約50質量%、若しくは約15~約45質量%、若しくは約5~約45質量%、又は光重合性組成物の約10~約35質量%、及びこれらの間のあらゆる範囲を構成し得る。一態様では、光反射材料成分は、1ミクロン未満から500ミクロンまで、及びこれらの間のあらゆる範囲の大きさの粒子状光反射材料を含む。例えば、粒子状光反射材料は30ミクロン未満の大きさ、5ミクロン未満の大きさ、又は1ミクロン以下、及びナノ粒子を含む大きさであり得る。一態様では、光反射材料成分は、球体、立方体、円錐、直方体、円柱、角錐、角柱、多面体、若しくは異形、又はこれらの組み合わせに成形された粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は平滑面を有する粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は粗面又は凹凸表面を有する粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は液体である光反射材料を含む。
【0031】
一態様では、光反射材料成分は生理的条件で吸収性又は生分解性である光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は生物学的な生体に生体適合性のある光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は生理的条件で吸収性又は生分解性でない光反射材料を含む。一態様では、光反射材料は、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つと重合し得る。一態様では、光反射材料成分は実質的に光反射材料から成る。
【0032】
光開始剤
本明細書に開示する光重合性組成物は、少なくとも1種の光開始剤を含む光開始剤成分を含む。一態様では、光開始剤成分は、光重合性組成物の約0.01~約5.0質量%、約0.05~約4.5質量%、約0.05~約4.0質量%、約0.1~約5.0質量%、約0.05~約3.0質量%、約0.1~約3.0質量%、約0.05~約2.0質量%、約0.05~約1.0質量%、約0.1~約1.0質量%、約0.07~約1.0質量%、約0.2~約1.0質量%、約0.5~約1.0質量%、約1.0~約2.0質量%、約0.1~約2.0質量%、約0.05~約5.0質量%、約0.05~約0.1質量%、約0.01~約0.099質量%、約0.01~約0.09質量%、約0.01~約0.085質量%、約0.01~約0.080質量%、約0.01~約0.070質量%、約0.01~約0.060質量%、約0.01~約0.050質量%、約0.01~約0.040質量%、約0.01~約0.030質量%、約0.01~約0.020質量%、約0.01~約0.015質量%、及びこれらの間のあらゆる範囲の濃度範囲を構成する。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の1.0質量%未満を構成する。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.50質量%未満である。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.25質量%である。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.25質量%未満である。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.10質量%である。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.10質量%未満である。
【0033】
本明細書に開示する光重合性組成物は、約200~約770nmの範囲の光の波長、及びこれらの間のあらゆる波長を吸収する少なくとも1種の光開始剤を含む。一態様では、光開始剤成分は300nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む。一態様では、光開始剤成分は365nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む。一態様では、光開始剤成分は375nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む。一態様では、光開始剤成分は400nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む。
本明細書に開示する光重合性組成物は、光開始剤成分中に少なくとも1種の光開始剤を含む。一態様では、光開始剤成分は、タイプI光開始剤、タイプII光開始剤、又はタイプI及びタイプII光開始剤の組み合わせを含む。一態様では、光開始剤成分はカチオン光開始剤を含む。フリーラジカル発生光開始剤を使用し、二重結合によって、最も一般的にはアクリレート及びメタクリレートモノマー又はオリゴマーを硬化させる。
フリーラジカル発生光開始剤には2種類あり、タイプI及びタイプIIの光開始剤と表す。
【0034】
タイプI光開始剤は単分子フリーラジカル発生剤である;つまり、UV-可視光を吸収すると、開始剤の構造内の特定の結合がホモリティック開裂してフリーラジカルを生成する。ホモリティック開裂では結合電子対が均等に分かれてフリーラジカルを生成する。ホモリティック開裂の例はいくつかの一般的なクラスのタイプI光開始剤、すなわちベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α-ジアルコキシ-アセト-フェノン、α-ヒドロキシ-アルキル-フェノン、及びアシルホスフィンオキシドで見られる。タイプII光開始剤は一般に、光開始剤に加えて、水素を容易に引き抜くことができる共開始剤(通常はアルコール又はアミン)官能基を必要とする。タイプII光開始剤がUV-可視光を吸収すると、光開始剤で励起電子状態が生じ、これにより共開始剤から水素が引き抜かれ、その過程で結合電子対が分かれる。ベンゾフェノン、チオキサントン、及びベンゾフェノン系光開始剤は一般的なタイプII光開始剤である。一般的なタイプII光開始剤のその他の例にリボフラビン、エオシンY、及びカンファーキノンがあるがこれらに限定されない。フリーラジカルが生成されると、重合機構は任意のフリーラジカル重合工程と同様である。市販のタイプI光開始剤には他に、例えばBASF、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン,ドイツ)から入手可能なIrgacure 369、Irgacure 379、Irgacure 907、Darocur 1173、Irgacure 184、Irgacure 2959、Darocur 4265、Irgacure 2022、Irgacure 500、Irgacure 819、Irgacure 819-DW、Irgacure 2100、Lucirin TPO、Lucirin TPO-L、Irgacure 651、Darocur BP、Irgacure 250、Irgacure 270、Irgacure 290、Irgacure 784、Darocur MBF、Irgacure 754、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸リチウム、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸マグネシウム、及びフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸ナトリウムなどがあるがこれらに限定されない。
【0035】
一態様では、本明細書に開示する光造形インク組成物は、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;総濃度が0.1質量%未満又は1.0質量%未満である少なくとも1種の光開始剤成分;このとき、光反射材料成分が、光反射材料を含まない組成物の照射量と比較して、組成物の照射量を調整する;反応性希釈剤;及び安定剤を含む。一態様では、光反射材料成分は、光が接する光重合性組成物の表面で、光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める。一態様では、光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用するよりも低い光開始剤濃度で、光重合性マクロマーを表面硬化させる。
本明細書に開示する光重合性組成物は、開示する成分、例えば光重合性マクロマー、UV反射材料及び光開始剤、並びに任意選択で、安定剤又は希釈剤など他の成分を組み合わせることによって作成される。開示する成分は均質な組成物が形成されるまで混合する。任意選択で、開示する成分は懸濁に役立つ分散剤を含み得る。開示する成分はホモジナイザーを用いて混合し得る。開示する成分は、任意選択で混合前に加熱し得る。開示する成分は、任意選択で真空下に置き気泡を除去し得る。
本明細書に開示する組成物は、光重合性マクロマー及び非毒性量の少なくとも1種の光開始剤を含む非毒性生体適合性ポリマー組成物を含む。一態様では、非毒性生体適合性ポリマー組成物は光重合希釈剤を含み得る。一態様では、非毒性生体適合性ポリマー組成物は光重合光反射材料を含み得る。一態様では、非毒性生体適合性ポリマー組成物は医療機器構成要素を含み得る。一態様では、非毒性生体適合性ポリマー組成物は、光重合性マクロマー及び非毒性量の少なくとも1種の光開始剤を、物品の少なくとも一部の上のコーティングとして、並びに任意選択で、本明細書に開示する他の成分、例えば光反射材料を含み得る。
【0036】
本明細書に開示する方法は、光重合性組成物を作成して使用し、例えば付加製造した物品を作成する方法を含む。例えば、本明細書に開示する組成物は、付加製造又は3D印刷法において、光重合性又は光硬化性インク又は樹脂として使用し得る。一態様では、本明細書に開示する組成物は、任意の既知の、又は後に開発される3D印刷法において、光重合性又は光硬化性インク又は樹脂として使用し得る。例えば、本明細書に開示する組成物は、3D印刷法又は光造形(SLA)において、光重合性又は光硬化性インク又は樹脂として使用し得る。開示する、物品を光重合性3D印刷する(付加製造)方法は、光重合性組成物であって、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含み;光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、光重合性組成物の照射量を調整する光重合性組成物を一時的に光に暴露するステップ、並びに少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成するステップを含む。一態様では、光反射材料成分は、光が接する光重合性組成物の表面で、光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める。一態様では、光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用するよりも低い光開始剤濃度でマクロマーを表面硬化させる。本明細書に開示するいずれかの組成物は、物品を光重合性3D印刷する方法で使用し得る。例えば、光重合性組成物は反応性希釈剤又は非反応性希釈剤を含み得る。反応性希釈剤は重合反応に関与する希釈剤であり、例えば反応性希釈剤は、例えばマクロマーと重合する。光重合性組成物は安定剤、例えばフリーラジカル安定剤を含み得る。本明細書に開示する組成物は粒子状光反射材料を含み得る。一態様では、光反射材料はUV光、可視光、又は両方を反射し得る。一態様では、光重合性組成物は加熱又は冷却し得、また物品をSLA印刷する方法は、光重合性組成物を加熱又は冷却する1つ又は複数のステップを含み得る。
一態様では、光重合性組成物は活性剤を含み得る。活性剤は光重合性組成物のいずれかの成分の1つであり得る、又は光重合性組成物のいずれかの成分は活性剤を含み得る。例えば、光反射材料、マクロマー、希釈剤、若しくは安定剤は活性剤を含み得る、又は活性剤であり得る。
【0037】
光重合性3D印刷によって物品を印刷する方法は、印刷物を硬化させるステップを含む二次硬化ステップを更に含み得る。方法は印刷物の前処理及び後処理を含み得る。例えば印刷物は、印刷後、二次硬化ステップ前、二次印刷ステップ後、又はそれぞれのステップの前若しくは後にすすぎ得る。二次硬化ステップは、印刷物の少なくとも一部を暴露するステップを含むため、印刷物の少なくとも一部は第2の重合反応を起こす。例えば物品の一部は、第1の重合ステップで使用したものと同じ又は異なる波長放射に暴露し得、第1の重合ステップで反応したものと同じ又は異なる光開始剤であり得る光開始剤を活性化させて、先に重合されていない、又は部分的に重合された反応性基に重合反応を起こさせ、重合させ得る。二次硬化ステップは印刷物の特性を変化させ得る。例えば印刷物は、最初の印刷ステップ後、全体的に柔軟で曲げやすい。印刷物の外部を、例えば異なる波長放射を用いて二次硬化ステップに暴露すると、印刷物の外部は硬く曲げにくい。
印刷物は、光重合性3D印刷段階が終了後に生じる物品である。印刷物は構造体又は構造体の一部であり得る。印刷物は表面上に印刷されたコーティングであり得る。印刷は、ポリマー組成物を表面に接触させ、ポリマー組成物を重合させることを意味するのに用いられる。印刷は、ポリマー組成物を表面に接触させ、その後でUV/Vis光に暴露することで、ポリマー組成物を重合させるステップを含み得る。ポリマー組成物が接触する表面は、ポリマー組成物の重合層を含む任意の表面であり得る。
【0038】
印刷物は光重合性組成物の成分の残量を含有していてもいなくてもよい。例えば印刷物は、希釈剤若しくは光重合希釈剤、又は光開始剤を含み得る。一態様では、印刷物又は光重合性組成物は添加剤を有し得る。添加剤は、チキソトロピー性材料、着色剤、トレーサー材、又は伝導性材料を含み得る。例えば添加剤は染料であり得る。印刷物は染料が存在するため色付きであり得る、又は蛍光性、放射性、反射性、可撓性がある、若しくは硬い、曲げやすい、壊れやすい、若しくはこれらの組み合わせ(ただしこれらに限定されない)を有する物品の少なくとも一部を有するなど、任意の所望の属性を備え得る。
物品を光重合可能に3D印刷する方法は、光重合性反応してオリゴマー及び/又はポリマーを形成できる官能基を有するモノマー又はマクロマーなど、重合できるモノマー又はマクロマーを含む光重合性組成物を光重合させるステップを含み得る。一態様では、脂肪族又は芳香族マクロマー及びモノマーは、エチレン性不飽和反応性基又は末端基を含み得る。開示するマクロマー及びモノマーは、本明細書に開示する方法において官能性である。
【0039】
例えばDLP、SLA、噴射式印刷、インクジェット、又はCLIPなど、物品を光重合可能に3D印刷する方法は、約10~770nm(UV光10~400)(可視光390~770)の光波長で光重合性組成物を光重合させるステップを含む。一態様では、光反射材料成分を含む光重合性組成物は、同じ重合条件下で光反射材料成分を含まない光重合性組成物よりも短い暴露時間で光重合する。
3D光重合による印刷装置で光重合技術を用いて物品を印刷する方法は、光開始剤成分を含む光重合性組成物を光重合させるステップを含む。光開始剤成分は1種又は複数種の光開始剤を含み得、他の材料、例えば、希釈剤、賦形剤、阻害剤、又は他の溶液も含み得る。一態様では、光開始剤成分は、光重合性組成物の約0.05~約5.0質量%、約0.05~約4.5質量%、約0.05~約4.0質量%、約0.1~約5.0質量%、約0.05~約3.0質量%、約0.1~約3.0質量%、約0.05~約2.0質量%、約0.05~約1.0質量%、約0.1~約1.0質量%、約0.07~約1.0質量%、約0.2~約1.0質量%、約0.5~約1.0質量%、約1.0~約2.0質量%、約0.1~約2.0質量%、約0.05~約5.0質量%、約0.05~約0.1質量%、及びこれらの間のあらゆる範囲の濃度範囲を構成する。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.50質量%未満の濃度であり得る。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.25質量%であり得る。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.25質量%未満であり得る。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.10質量%であり得る。一態様では、光開始剤成分は光重合性組成物の0.10質量%未満であり得る。
3D光重合による印刷装置で光重合技術を用いて物品を印刷する方法は、約10~約770nmの光の波長で吸収する少なくとも1種の光開始剤を含む光重合性組成物を光重合するステップを含む。一態様では、光開始剤は300nm以上の光の波長で吸収する。一態様では、光開始剤は365nm以上の光の波長で吸収する。一態様では、光開始剤は375nm以上の光の波長で吸収する。一態様では、光開始剤は400nm以上の光の波長で吸収する。SLAによる印刷装置でSLAを用いて物品を印刷する方法は、タイプI、タイプII、カチオン光開始剤、又はこれらの組み合わせである光開始剤を含む少なくとも1種の光開始剤成分を含む光重合性組成物を含む。3D光重合による印刷装置で光重合技術を用いて物品を印刷する方法は、光重合性組成物の少なくとも1種の光反射性成分によって反射される光の波長で吸収する少なくとも1種の光開始剤を含む光重合性組成物を光重合させるステップを含む。
【0040】
本開示は、開示する調合物を光重合印刷装置又は方法で用いるステップについて検討し、特定の製造又は生産方法に限定しない。開示する製造又は生産方法は、DLP(デジタルライトプロセシング)、SLA(光造形)、噴射式印刷、インクジェット、及びCLIP(連続液界面製造)を含むがこれらに限定されない。SLAによる印刷装置でSLAを用いて物品を印刷する方法は、150ミクロン未満の深さで光重合性組成物を光重合又は硬化するステップを含む。一態様では、本明細書に開示する方法は、約1~約50ミクロンの深さ、及びこれらの間のあらゆる深さで光重合性組成物を光重合又は硬化するステップを含む。連続液界面印刷(例えば、米国特許第9205601号明細書参照)CLIPを用いて光重合性マクロマー、UV反射材料、及び光開始剤から物品を印刷する方法は、光重合を利用し、光重合性樹脂を用いて多種多様な形状の固体を作り出す3D印刷の方法である。連続工程は液状光重合樹脂のプールから始まる。プール底面の一部は紫外線光に対して透過的である(「窓」)。紫外線光ビームが窓から差し込み、物体の正確な断面に光を当てる。光が樹脂を凝固させる。物体は、物体の下に樹脂が流れ込み、物体の底面との接触を維持できるくらいにゆっくり上昇する。樹脂の下に酸素透過膜があり、これにより、樹脂が窓に貼り付かないようにする「デッドゾーン」(持続的な液界面)が作り出される(窓と重合装置の間で光重合が阻害される)。
【0041】
光重合性3D付加製造による印刷装置で光重合を用いて物品を印刷する方法は、無機又は有機化合物を含むがこれらに限定されない光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分を含む光重合性組成物を光重合させるステップを含む。一態様では、光反射材料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、ニリン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、及びリン酸テトラカルシウムを含むがこれらに限定されない無機固体を含み得る。一態様では、光反射材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリヒドロキシアルカノエート、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない脂肪族ポリマー及びコポリマーを含む有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリイミド、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない芳香族ポリマー及びコポリマーを含む有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、コンドロイチン硫酸、硫酸多糖類、ムコ多糖類、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、コンニャクガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、及びキサンタンガムを含むがこれらに限定されない天然由来ポリマー及び誘導体を含む有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性脂肪族及び芳香族ポリマーを含む結晶性有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性天然由来ポリマー及び誘導体を含む結晶性有機化合物を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性アミノ酸及びこれらの誘導体を含み得る。一態様では、光反射材料は、パルミチン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸、モノラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸、及びカプリン酸を含むがこれらに限定されない結晶性脂肪酸及びこれらの誘導体を含み得る。一態様では、光反射材料は結晶性ペプチドを含み得る。
【0042】
一態様では、光反射材料成分は、光重合性組成物の約5~約90質量%、又は光重合性組成物の約5~約85質量%、若しくは約5~約80質量%、若しくは約5~約75質量%、若しくは約5~約70質量%、若しくは約5~約65質量%、若しくは約5~約60質量%、若しくは約5~約55質量%、若しくは約5~約50質量%、若しくは約15~約45質量%、若しくは約5~約45質量%、又は光重合性組成物の約10~約35質量%、及びこれらの間のあらゆる範囲を構成する。一態様では、光反射材料成分は光重合性組成物の約5~約45質量%を構成する。一態様では、光反射材料成分は光重合性組成物の約10~約35質量%を構成する。一態様では、光反射材料成分は500ミクロン未満の大きさの粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は30ミクロン未満の大きさの粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は5ミクロン未満の大きさの粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は1ミクロン未満の大きさの粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は、球体、立方体、円錐、直方体、円柱、角錐、角柱、多面体、若しくは異形、又はこれらの組み合わせに成形された粒子状光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は粒子状光反射材料を含み、平滑面を有する。一態様では、光反射材料成分は粒子状光反射材料を含み、粗面又は凹凸表面を有する。一態様では、光反射材料成分は液体を含む。
【0043】
DLP、SLA、噴射式印刷、インクジェット、又はCLIPなどの光重合性3D付加製造による印刷装置で光重合を用いて物品を印刷する方法は、生理的条件で吸収性である光反射材料を含む光反射材料成分を含む光重合性組成物を光重合させるステップを含む。一態様では、光反射材料成分は生物学的な生体に生体適合性のある光反射材料を含む。一態様では、光反射材料成分は、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つと重合する光反射材料を含む。
【0044】
本開示は、本明細書に開示する方法によって本明細書に開示する組成物から重合されたポリマーを含む。一態様では、ポリマーは、当業者に既知のマクロマー及び/若しくはモノマー、本明細書に開示するマクロマー及び/若しくはモノマー、又は本明細書に開示し、かつ当技術分野で周知のマクロマー及び/若しくはモノマーの両方を含む。
【0045】
本開示は、本明細書に開示する方法によって本明細書に開示する組成物から作成された物品(本明細書では印刷物とも称される)を含む。一態様では、物品は医療機器であり得る。一態様では、物品は医療機器の一部であり得る。一態様では、物品は、医療機器などの固体の全部又は一部に、塗布、例えば光印刷されるコーティングであり得る。一態様では、物品は多孔性であり得る。一態様では、物品は生理的条件下で生分解性であり得る。一態様では、生分解性物品は、約3日から約5年の分解速度を有し得る。一態様では、物品は生分解性でなくてもよい。一態様では、物品の一部が生分解性であり、かつ第2の部分が非生分解性であり得る、又は物品の第1の部分若しくは残りの部分の分解時間とは異なる分解時間を有し得る。物品は薬剤溶出性であり得、例えば、物品の全部又は一部は、光重合性組成物に含まれていた活性剤を溶出し得る。
【0046】
本開示は、容器に入った、本明細書に開示する光重合性組成物又は光重合性組成物の一部、例えば光反射材料成分を含む、また任意選択でその使用指示書を更に含むキットを含む。キットは、容器に入った、本明細書に開示する印刷物を含み得、また任意選択でその使用指示書を更に含み得る。キットは、光重合性組成物、光反射材料、及び光開始剤をそれぞれ1種又は複数種含み得る。一態様では、キットは、光開始剤及び光反射材料を含む光重合性組成物を1種又は複数種含み得る。一態様では、キットは、光開始剤を含む光重合性組成物、光重合性組成物、及び光反射材料を1種又は複数種含み得る。キットは、容器に入った、本明細書に開示する印刷された殺菌部分を含み得、また任意選択でその使用指示書を更に含み得る。
【0047】
定義
本明細書で使用する有機化合物などの化合物の命名は、慣用名、IUPAC、IUBMB、又はCAS命名勧告を用いて行うことができる。1つ又は複数の立体化学的特徴がある場合、立体化学のカーン・インゴルド・プレローグ順位則を用いて、立体化学的優先順位、EIZ表記法などを指定できる。当業者は、名称が与えられれば、命名規則を使用する化合物構造の系統的単純化によって、又はChemDraw(商標)(Cambridgesoft Corporation,米国)などの市販のソフトウェアによって、化合物の構造を容易に確認できる。
【0048】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の定めがない限り、複数の指示物を含む。従って、例えば「a functional group(官能基)」、「an alkyl(アルキル)」、又は「a residue(残基)」という言及は、2つ以上のそのような官能基、アルキル、又は残基などの混合を含む。
本明細書及び結論の特許請求の範囲における、組成物中の特定の要素又は成分の質量部への言及は、質量部で表される組成物又は物品における要素又は成分と任意の他の要素又は成分との質量関係を示す。従って、成分Xを2質量部、及び成分Yを5質量部含有する化合物において、X及びYは、2:5の質量比で存在し、化合物が追加の成分を含有しているか否かにかかわらず、そのような質量比で存在する。
成分の質量パーセント(質量%)は、特に別段の定めがない限り、その成分が含まれる調合物又は組成物の総質量に基づく。
本明細書で使用する、化合物をモノマー又は化合物と呼ぶ場合、これは1個の分子又は1個の化合物と解釈されないものと理解される。例えば2つのモノマーとは、一般に2つの異なるモノマーを指し、2個の分子を指すのではない。
本明細書で使用する「調整する」及び「調整」は、測定される特性の変化を意味する。変化は特性の増加又は減少であり得る。因子又は成分を調整することで、変化が生じ得る。調整因子を追加した後の効果が変化であり、調整因子を追加する前に存在していた元の状態、又は調整因子なしで存在していた同一の構成又は状況と比較される。
【0049】
本明細書で使用する用語「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に説明する事象又は事情が発生することもしないことも可能であり、この説明は、前記事象又は事情が発生する場合と発生しない場合を含む。
本明細書で使用する用語「約」、「およそ」、及び「ほぼ(at or about)」は、問題の量又は値が、指定された正確な値であり得ること、又は請求項の範囲に詳述する、若しくは本明細書に教示するのと同等の結果又は効果をもたらす値であり得ることを意味する。すなわち、量、サイズ、配合、パラメータなどの分量及び特性は正確ではなく、また正確である必要はなく、必要に応じて、同等の結果又は効果が得られるように、許容差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に既知の他の要因を反映して、近似値及び/又は大きめ若しくは小さめであり得ると理解される。状況によっては、同等の結果又は効果をもたらす値は合理的に決定できない。そのような場合、本明細書で使用するように、「約」及び「ほぼ」は、別段の指示又は推論がない限り、公称値が±10%の変動を示したことを意味すると一般的に理解される。一般に、量、サイズ、配合、パラメータなどの分量又は特性は、そうであると明示的に述べられているか否かにかかわらず、「約」、「およそ」、又は「ほぼ」である。定量値の前に「約」、「およそ」、又は「ほぼ」が使用される場合、特に別段の記載がない限り、パラメータは特定の定量値自体も含むと理解される。
【0050】
本明細書で使用する「硬化する」は、材料の物理的、化学的、又は物理的及び化学的特性の変化を意味し、ポリマー材料について一般に理解されるように、「硬化する」は、組成物が液体から固体又は半固体に変化することを意味する。
本明細書で使用する用語「被験体」は、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、又は両生類などの脊椎動物である可能性がある。従って、本明細書に開示する方法の被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット、又はげっ歯類である可能性がある。本用語は、特定の年齢や性別を意味するものではない。従って、成体及び新生の被験体、並びに雌雄にかかわらず胎仔又は胎児も対象とすることを意図する。一態様では、哺乳類の被験体はヒトである。患者は疾患又は障害を患う被験体を指す。用語「患者」は、ヒト及び動物の被験体を含む。
本明細書で使用する「活性剤」は、例えば、化合物若しくは分子、又はタンパク質、炭水化物、若しくは核酸ベースの物質であって、効果をもたらすことができる物質を意味する。活性剤には、化学剤、治療薬、医薬品、診断薬、予防薬、造影剤、及び特定の生理効果を有する他の薬剤、例えば成長因子、免疫学的薬剤、治癒因子などがあるがこれらに限定されない。場合によっては、活性剤は活性力、例えば放射線を含み得る。
本明細書で使用する「反応性希釈剤」は、混合物中で1つ又は複数の成分又は分子と重合できる液状調合物を意味する。
本明細書で使用する「マクロマー」は、前重合させたモノマーの集合体であり、修飾されていてもいなくてもよく、重合反応において光重合可能な単位として作用する。
本明細書で使用する用語「投与する」及び「投与」は、開示する組成物を被験体に提供する方法を指す。
本明細書で使用する用語「構成する」、「構成した」、「含む」、「含んだ」、「含有する」、「を特徴とする」、「有する」、「備える」、又はこれらの他の変化形は、非排他的な包含を対象とすることを意図する。例えば、要素の一覧を含む工程、方法、物品、又は装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列記されていない、又はそのような工程、方法、物品、又は装置に伴う他の要素を含み得る。
【0051】
移行句「から成る」は、請求項に定められていない任意の要素、ステップ、又は原料を除外し、通常これらに伴う不純物を除いて、引用されたもの以外の材料の包含に対し請求項を閉ざし得る。「から成る」という句がプリアンブルの直後ではなく、請求項の本体の条項に現れる場合、その条項に明記されている要素のみに限定し、他の要素は全体として請求項から除外されない。
移行句「から本質的に成る」は、請求項の範囲を、特定の材料又はステップ、及びクレームされた発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないものに限定し得る。「から本質的に成る」請求項は、「から成る」形式で書かれたクローズドクレームと、「含む」形式で起草された完全なオープンクレームの中間に位置する。任意選択の添加剤であって、そのような添加剤に適した濃度の添加剤、及び少量の不純物は、「から本質的に成る」という用語によって組成物から除外されない。
【0052】
組成物、工程、構造、又は組成物、工程、若しくは構造の一部を、「含む」などのオープンエンドの用語を用いて本明細書に記載する場合、別段の記載がない限り、記述には、組成物、工程、構造、又は組成物、工程、若しくは構造の一部の要素「から本質的に成る」又は「から成る」実施形態も含む。本明細書に記載する実施形態の多くは、オープンエンドの「含む」という言語を使って記載する。そのような実施形態は、複数のクローズドエンドの「から成る」及び/又は「から本質的に成る」実施形態を包含し、それらは代替的に、そのような言語を使用してクレーム又は説明され得る。
本明細書で使用する用語「ポリマー」は、繰り返し構造単位又は「モノマー」の鎖を指す。ポリマーの例として、ホモポリマー(1種類のモノマーサブユニット)、コポリマー又はヘテロポリマー(2種類以上のモノマーサブユニット)がある。本明細書で使用する用語「線状ポリマー」は、分子が、分岐又は架橋構造を持たない長鎖を形成するポリマーを指す。本明細書で使用する用語「分岐ポリマー」は、1つ若しくは複数の追加モノマー、又はポリマー骨格から伸びる鎖若しくはモノマーを有するポリマー骨格を有するポリマーを指す。
冠詞「a」冠詞「an」は、本明細書に記載する組成物、工程、又は構造体の様々な要素又は成分に関連して使用され得る。これは単に便宜上のものであり、組成物、工程、又は構造体の一般的な意味を与えるためである。そのような記述には、要素又は成分の「1つ又は少なくとも1つ」が含まれる。更に、本明細書で使用する単数形の冠詞は、複数形が除外されることが特定の文脈から明らかでない限り、複数の要素又は成分の記述も含む。
【0053】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータなどの分量及び特性が正確ではなく、また正確である必要はなく、必要に応じて、許容差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に既知の他の要因を反映して、近似値及び/又は大きめ若しくは小さめであり得ることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータなどの分量又は特性は、そうであると明示的に述べられているか否かにかかわらず、「約」又は「およそ」である。 本明細書で使用する用語「又は」は包括的である。すなわち、「A又はB」という句は、「A、B、又はAとBの両方」を意味する。より具体的には、「A又はB」という条件は、以下のいずれかによって満たされる:Aが真(又は存在する)かつBが偽(又は存在しない)である;Aが偽(又は存在しない)かつBが真(又は存在する)である;又はAとBの両方が真(又は存在する)である。排他的な「又は」は、本明細書において、例えば、「A又はBのいずれか一方」及び「A又はBのうちの1つ」などの用語によって指定される。
また、本明細書に定める範囲は、明示的に別段の記載がない限り、それらの終点を含む。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、1つ若しくは複数の好ましい範囲、又は好ましい上限値及び好ましい下限値の一覧として与えられる場合、これは、そのようなペアが個別に開示されているか否かにかかわらず、任意の上限範囲又は好ましい上限値及び任意の下限範囲又は好ましい下限値の任意のペアから形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解される必要がある。本発明の範囲は、範囲を定義する際に列挙される特定の値に限定されない。
【0054】
材料、方法、又は機械を、用語「当業者に既知の」、「従来の」、又は同義の語句と一緒に本明細書に記載する場合、この用語は、本出願の申請時点で一般的である材料、方法、及び機械が、この記述に包含されていることを表す。現在一般的ではないものの、当技術分野で、同様の目的に好適であると認識されるようになる材料、方法、及び機械も包含される。別段の記載がない限り、百分率、部、比率などの量は全て、質量で定義される。 本明細書に含まれる特許、特許出願、参考文献は全て、その全体が参照により具体的に援用される。
当然ながら、前記は本開示の好ましい実施形態にのみ関連し、本開示に記載する本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、その中で多数の修正又は変更が行われ得ることを理解されたい。
【0055】
本明細書では、物品を光重合する、例えば印刷する方法を開示する。ステップには、a)光重合性組成物であって、i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;ii)光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及びiii)少なくとも1種の光開始剤成分を含み;光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、組成物の照射量を調整する光重合性組成物を一時的に光に暴露するステップ、並びに少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成するステップを含み得る。光反射材料成分は、光が接する光重合性組成物の表面で、光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高め得る。光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用するよりも低い光開始剤濃度でマクロマーを表面硬化させる。光開始剤成分の総濃度は.01質量%未満であり得る。光重合性組成物は反応性希釈剤を更に含み得る。光重合性組成物は非反応性希釈剤を更に含み得る。光重合性組成物は、粘度を高める反応性又は非反応性粘度調整剤を更に含み得る。光重合性組成物は、フリーラジカル安定剤であり得る安定剤を更に含み得る。
光反射材料成分は粒子状光反射材料を更に含み得る。光反射材料成分は、UV光、可視光、又は両方を反射する光反射材料を含み得る。光重合性組成物は製造ステップの前又は最中に加熱し得る。光重合性組成物は製造ステップの前又は最中に冷却し得る。
光重合性組成物は活性剤を更に含み得る。光反射材料成分は活性剤を含み得る。光反射材料は活性剤であり得る。光重合性マクロマー成分は活性剤を含み得る。光重合性マクロマーは活性剤であり得る。反応性希釈剤は活性剤を含み得る。反応性希釈剤は活性剤であり得る。非反応性希釈剤は活性剤を含み得る。非反応性希釈剤は活性剤であり得る。光重合性組成物は染料を更に含み得る。
【0056】
物品を光重合する、例えば印刷する方法は、印刷物を硬化させるステップを含む二次硬化ステップを含むステップを含み得る。方法は印刷物をすすぐステップを含み得る。方法は、二次的に硬化させた印刷物をすすぐステップを含み得る。方法は、残留希釈剤又は光重合希釈剤を含む印刷物をもたらすステップを含み得る。方法は、残留光開始剤を含む印刷物をもたらすステップを含み得る。
本明細書に開示する方法は、光重合性組成物を含むステップを含み得、光重合性マクロマー成分は、エチレン性不飽和基を有するモノマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む。本明細書に開示する方法は、光重合性組成物を含む印刷物をもたらすステップを含み得、光重合性マクロマー成分は、チオール基を有するモノマー、又はチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む。本明細書に開示する方法は、光重合性組成物を含む印刷物をもたらすステップを含み得、光重合性マクロマー成分は、チオール基を有するモノマー、又はチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、並びにエチレン性不飽和基を有するモノマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む。光重合性組成物、及びそのような光重合性組成物を作成して利用する方法は、ラクトンモノマー、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、若しくはモルホリン-2,5-ジオン、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1種のモノマー単位を含むマクロマーを含む光重合性マクロマー成分を含み得る。
【0057】
本明細書に開示する方法は、光重合に用いる光波長が10~700nm(UV光10~400)(可視光390~700)であるステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光重合性組成物が、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合するステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光重合性組成物が、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合するステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光重合性組成物が、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合するステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光重合性組成物が、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合するステップを含み得る。
【0058】
本明細書に開示する方法は、光開始剤成分が光重合性組成物の5.00質量%未満である、又は光開始剤成分が光重合性組成物の0.50質量%未満である、又は光開始剤成分が光重合性組成物の0.25質量%である、又は光開始剤成分が光重合性組成物の0.25質量%未満である、又は光開始剤成分が光重合性組成物の0.10質量%である、又は光開始剤成分が光重合性組成物の0.10質量%未満である、又は光開始剤成分の濃度が約0.05~約5.0質量%の範囲である光重合性組成物を含むステップを含み得る。
本明細書に開示する方法は、光開始剤成分が、300nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む、又は光開始剤成分が、365nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む、又は光開始剤成分が、375nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む、光開始剤成分が、400nm以上の光の波長を吸収する光開始剤を含む、又は光開始剤成分が、約200~約770nmの範囲の光の波長を吸収する少なくとも1種の光開始剤を含む光重合性組成物を含むステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光開始剤成分がタイプI光開始剤、タイプII光開始剤、若しくはタイプI及びタイプII光開始剤の組み合わせを含む、又は光開始剤成分がカチオン光開始剤を含む、又は光開始剤が、光反射材料によって反射される波長で吸収する光重合性組成物を含むステップを含み得る。
本明細書に開示する方法は、硬化深さが150ミクロン未満である、又は硬化深さが約1~約50ミクロンであるステップを含み得る。
【0059】
本明細書に開示する方法は、光反射材料成分が光重合性組成物の約5~約90質量%を構成する、又は光反射材料成分が光重合性組成物の約5~約45質量%を構成する、又は光反射材料成分が光重合性組成物の約10~約35質量%である光重合性組成物を含むステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光反射材料成分が、500ミクロン未満の大きさである粒子状光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、30ミクロン未満の大きさである粒子状光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、5ミクロン未満の大きさである粒子状光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、1ミクロン未満の大きさである粒子状光反射材料を含む光重合性組成物を含むステップを含み得る。本明細書に開示する方法は、光反射材料成分が、球体、立方体、円錐、直方体、円柱、角錐、角柱、多面体、若しくは異形、又はこれらの組み合わせに成形された粒子状光反射材料を含む、又は光反射材料成分が粒子状光反射材料を含み、かつ平滑面を有する、又は光反射材料成分が粒子状光反射材料を含み、かつ粗面又は凹凸表面を有する光重合性組成物を含むステップを含み得る。
本明細書に開示する方法は、光反射材料成分が、有機化合物、無機化合物、若しくはこれらの組み合わせを含む光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、液体である光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、生理的条件で吸収性である光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、生理的条件で非分解性若しくは非吸収性である光反射材料を含む、又は光反射材料成分が、生物学的な生体に生体適合性のある光反射材料を含む光重合性組成物を含むステップを含み得る。
本明細書に開示する方法は、光反射材料成分が、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、若しくはこれらの組み合わせのうち少なくとも1種と重合する光反射材料を含む、又は光反射材料成分が実質的に光反射材料から成る光重合性組成物を含むステップを含み得る。
【0060】
本明細書では、本明細書に開示する方法によって、及び本明細書に開示する光重合性組成物中で重合されるポリマーを開示する。本明細書では、本明細書に開示する方法又は本明細書に開示する光重合性組成物によって作成される物品を開示する。本明細書では、本明細書に開示する方法、又は医療機器若しくは医療機器の少なくとも一部であり得る本明細書に開示する光重合性組成物によって作成される物品を開示する。一態様では、光重合性組成物は、in situで光重合された医療機器として使用される。医療機器のいくつかの例に、装置コーティング、組織接着剤、骨セメント、空隙充填材、及び薬剤溶出性製剤(drug eluting depot)などがあり得るがこれらに限定されない。本明細書では、本明細書に開示する方法、及び本明細書に開示する光重合性組成物によって作成される物品であって、物品の全部若しくは一部が多孔性である、又は物品の少なくとも一部若しくは全部が、生理的条件下で生分解性である若しくは生分解性でない、又は物品の少なくとも一部若しくは全部が、約3日から約5年の分解速度を有する、又は物品の少なくとも一部若しくは全部が生分解性でない、又は物品の少なくとも一部若しくは全部が薬剤溶出性である物品を開示する。
本明細書では、本明細書に開示する方法、又は光重合生分解性ポリマー及び非毒性量の光開始剤を含む本明細書に開示する光重合性組成物によって作成される物品を開示する。本明細書では、本明細書に開示する方法、又は光重合性マクロマー及び非毒性量の光開始剤を含む非毒性ポリマー組成物を含む本明細書に開示する光重合性組成物によって作成される物品を開示する。そのような物品は光重合希釈剤を更に含む。そのような物品は光重合光反射材料を更に含む。そのような物品は本明細書に開示する特徴を備え得、及び物品は医療機器の少なくとも一部若しくは全部であり得、又は医療機器の全部若しくは少なくとも一部若しくは表面の上のコーティングであり得る。
【0061】
本明細書では光重合性組成物を開示する。例えば、光重合性組成物は、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び少なくとも1種の光開始剤成分を含む光重合性組成物であって;光反射材料成分が、光反射材料を含まない組成物の照射量と比較して、組成物の照射量を調整する光重合性組成物を含み得る。光重合性組成物において、光反射材料成分は、光が接する光重合性組成物の表面で、光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める。光重合性組成物において、光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用するよりも低い光開始剤濃度でマクロマーを表面硬化させる。光重合性組成物において、光開始剤濃度は総濃度が1.0質量%未満であり得る。本開示の光重合性組成物は、反応性希釈剤、又は非反応性希釈剤、又は両方を含み得る。本開示の光重合性組成物は、フリーラジカル安定剤であり得る安定剤を含み得る。本開示の光重合性組成物は、UV光、可視光、又は両方を反射する光反射材料を含み得る粒子状光反射材料を含み得る。本開示の光重合性組成物は加熱又は冷却し得る。光重合性組成物は、粘度を高める反応性又は非反応性粘度調整剤を含み得る。
本開示の光重合性組成物は活性剤を含み得る。本開示の光重合性組成物は、活性剤である光反射材料、又は活性剤を含む光反射材料を含み得る。本開示の光重合性組成物は、活性剤を含む光重合性マクロマー成分、又は活性剤を含む光重合性マクロマーを含み得る。本開示の光重合性組成物は、活性剤を含む反応性希釈剤、又は活性剤を含む非反応性希釈剤を含み得る。本開示の光重合性組成物は染料を含み得る。本開示の光重合性組成物は、エチレン性不飽和基を有するモノマー、若しくはエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、又はチオール基を有するモノマー、若しくはチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、又は両方を含む光重合性マクロマー成分を含み得る。本開示の光重合性組成物は、ラクトンモノマー、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、若しくはモルホリン-2,5-ジオン、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1種のモノマー単位を含むマクロマーを含む光重合性マクロマー成分を含み得る。
【0062】
本開示の光重合性組成物は、10~700nm(UV光10~400)(可視光390~700)の光波長に暴露されると重合する光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合する光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は、同じ重合条件下で反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm2)で速い速度で光重合する光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は、光重合性組成物の1.00質量%未満である光開始剤成分を含み得る。本開示の光重合性組成物は、光反射材料によって反射される波長で吸収する光開始剤を含み得る。本開示の光重合性組成物は、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つと重合する光反射材料を含む光反射材料成分を含み得る。本開示の光重合性組成物は、光反射材料から成る又は実質的に光反射材料から成る光反射材料成分を含み得る。
本開示の光重合性組成物は光造形の光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は連続液界面製造の光重合性組成物を含み得る。本開示の光重合性組成物は光重合性インク組成物を含み得る。光重合性インク組成物は、少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;少なくとも1種の光開始剤成分;このとき、光反射材料成分が、光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量と比較して、組成物の照射量を調整する;希釈剤;及び安定剤を含み得る。
【0063】
本明細書に開示する光反射材料は、光重合性インク調合物に添加した場合に、光反射材料を含まないインク調合物の照射量要件と比較して、インク調合物の照射量要件を調整するように、無機固体;有機化合物、結晶性有機化合物、結晶性アミノ酸及び/若しくはその誘導体、結晶性脂肪酸及び/若しくはその誘導体、結晶性ペプチド、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1種を含み得る。無機化合物の光反射材料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、ニリン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、及びリン酸テトラカルシウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。有機化合物の光反射材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリヒドロキシアルカノエート、又はこれらの組み合わせの脂肪族ポリマー及びコポリマーを含み得る。有機化合物の光反射材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリイミド、又はこれらの組み合わせの芳香族ポリマー及びコポリマーを含み得る。有機化合物の光反射材料は、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、コンドロイチン硫酸、硫酸多糖類、ムコ多糖類、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、コンニャクガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせの天然由来ポリマー及び誘導体を含み得る。結晶性有機化合物の光反射材料は、結晶性脂肪族及び芳香族ポリマー、並びにこれらの組み合わせを含み得る。結晶性有機化合物の光反射材料は、結晶性天然由来ポリマー及び誘導体、並びにこれらの組み合わせを含み得る。結晶性有機化合物の光反射材料は、結晶性アミノ酸及びこれらの誘導体、並びにこれらの組み合わせを含み得る。結晶性有機化合物の光反射材料は、パルミチン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸、モノラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸、カプリン酸、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない結晶性脂肪酸を含み得る。一態様では、光反射材料はマクロマー調合物に不溶である。一態様では、光反射材料はマクロマー調合物中で膨潤しない。
本明細書に記載する実施例によって本開示を更に説明するが、これは決してこれらの範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。反対に、本明細書の説明を読んだ後に、本開示の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にはそれ自体が示唆し得る様々な他の実施形態、修正、及びこれらの等価物に頼り得ることが明確に理解されるべきである。
【実施例0064】
光重合性調合物の調製
光重合性調合物を、表1に記載するマクロマー、光開始剤、光反射材料、染料、及び反応性希釈剤を混合して合成した。以下の実施例で使用したマクロマーの例は、ポリエステルジメタクリレート(PEDMA;Mn=2,500ダルトン;6,750cP)及びポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA;Mn=575;57cP)であった。使用した光開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィナート(Irgacure(登録商標)TPO-L)及び2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン(Irgacure(登録商標)2959)であった。これらの調合物について以下に記載するUV反射材料微粒子は、硫酸バリウム微小粒子(BaSO4;1~3μ)、ポリグリコリド微小粒子(PGA;<10μ)、吸収性リン酸セラミック微小粒子(PHC)、非結晶性ポリラクチドコポリマー微小粒子(ACPLA;<75μm)、及び半結晶性ポリラクチド微小粒子(PLA;<75μm)であった。これらの実施例の調合物で利用した染料はD&Cグリーン6であった。表1に記載する反応性希釈剤はポリエチレングリコールジアクリレート(57cP)である。これらの成分の大部分は市販されており、例えばMillipore-Sigma(28820 Single Oak Drive,Temecula,California 92590,米国)から入手できた。
調合物番号20では、1gのPEDMA、1gのPEGDA、0.4gの硫酸バリウム、及び0.086gのIrgacure(登録商標)TPO-Lを不透明容器に秤量した。調合物は、全ての成分が完全に混合され、均質になるまで攪拌した。
【表1】

【実施例0065】
光重合性調合物の表面硬化
表1の実施例の調合物を、光源から一定距離を置いてDymax BlueWave(登録商標)200を用いて光重合させた。光重合の前に、UVA検出器を用いて測定し、光強度を3mW/cm2に設定した。各調合物は設定時間だけ光重合させ、照射した時間に光強度を乗じて、全体の照射量又は露光量を算出した。照射後、試料を検査し、評定した。試料は0(流動状のまま)、1(粘度が上昇;部分的に硬化膜の兆候)、及び2(表面膜層)で記述できた。光重合した膜の一部は、最初の表面硬化後、時間とともに層厚が増した。ただし、そうした試料のスコアはそれぞれ2であった。表面硬化試験のスコアを表2に記載する。
表2から、マクロマー及び光開始剤を含む調合物は、照射量が30mJ/cm2、及び光開始剤濃度が7.4質量%である調合物番号5のみ表面硬化を達成した。0.1%のD&Cグリーン6の添加によって、ポリマーの表面硬化を達成するのに必要な光開始剤の濃度は変化しなかった。しかしながら、光反射材料として硫酸バリウムを添加すると、調合物番号11の組成物は0.6%の光開始剤濃度で表面硬化を達成した。50:50の比率でマクロマーと反応性希釈剤を用いた調合物番号16では、調合物は濃度が0.2%、かつ照射量が前の調合物の半分(15mJ/cm2)で表面硬化を達成した。ここで観察されるように、光反射材料を添加することにより光開始剤の大幅な減量が可能となる。ポリグリコリド微小粒子及び吸収性リン酸セラミック微小粒子など他の材料によって、光開始剤の大幅な減量と照射の半減を再現できた。
【表2】

【実施例0066】
暴露時間の変化に対するSLA調合物の表面硬化
表1の実施例の調合物番号39~43を、光源から一定距離を置き、暴露時間を変化させて、Dymax BlueWave(登録商標)200を用いて光重合させた。光重合の前に、UVA検出器を用いて測定し、光強度を3mW/cm2に設定した。各調合物の試料を1.3、2.5、5.0、及び10秒間光重合させた。UVA検出器をガラス製ペトリ皿の下に設置し、暴露時間後の照射量を記録したのち、これに試料を添加した。ペトリ皿上の試料を上記のいずれかの時間光重合させ、試料を透過してUV検出器に到達した照射量を記録した。調合物中の光反射材料の量の増加及び暴露時間の増加に伴って、UVA検出器で記録される照射量の減少が観察された。同様に、結晶性光反射材料の量が多い試料は、非結晶性ポリマー微小粒子分散体を含むその同等物よりも速く硬化した。光重合した調合物も、実施例2に記載した評価システムに基づいて定性的に評定した。
【表3】

【実施例0067】
光重合性調合物物品の印刷
Solidworks(登録商標)で長方形立方体の3次元物体を作成した。3次元物体ファイルはSTLファイルに変換した。調合物番号33をB9Creator v1.2 SLA プリンタ(B9Creations,LLC,525 University Loop,Suite 115,Rapid City,SD 57701)のインクベッド(ink bed)に添加した。物体は層厚30μmで、最初の2層を6秒、以降の層を3秒の暴露時間で印刷した。SLAプリンタの光強度は、UVA検出器で測定して3mW/cm2であった。
【実施例0068】
反射材料を含む及び含まない光印刷
光反射材料が存在すると、ポリマー樹脂が完全に硬化するのに必要な光への暴露時間が短縮され、従って部材を光印刷するのに必要な総時間が短縮される。
実施例1及び2の調合物番号5(トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、及びグリコリドモノマーを含むMn=2300ダルトンの特注ジメタクリレート線状ポリマー)とPEG-DA575(Sigma Aldrich)を50/50(w/w)の比率で含む2つの樹脂ブレンドを作成し、それぞれにベースのポリマーブレンドに対する質量パーセントが0.5%のフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BAPO)光開始剤及び0.025%のD&Cバイオレット染料を混合した。ブレンドの1つには光反射材料として25%ポリ(グリコリド)微小粒子を混合した。両方の樹脂を使用して、B9Creator DLPプリンタで層厚50μm、暴露時間1.75秒で短冊片(75×7.5×1mm)を印刷した。光反射材料を含む樹脂で印刷した部材は、これらの印刷パラメータで完全に硬化したのに対し、光反射材料を含まない部材は触るとべたべたし、従って十分に硬化していなかった。光反射材料を含まない樹脂で、暴露時間を1.75秒から7秒に延長して印刷を繰り返した。この時点で、光反射材料を含まない樹脂で作成した物品は、反射材料を含む樹脂で1.75秒かけて作成した物品と同等となった。従って、光反射材料を組み入れることにより、低濃度の光開始剤及び4分の1の印刷時間が可能となった。
【実施例0069】
印刷物
SolidWorks2016で、外径10mm、内径5mm、高さ3mmのドーナツ形状(環状)印刷物を設計した。比率50/50(w/w)の実施例1及び2の調合物番号5とPEG-DA575との樹脂ブレンドに、ベースのポリマーブレンドに対する質量パーセントが25質量%の微粒子ポリグリコリドを光反射材料として(粒径5~20μm)、0.25%のBAPO光開始剤、及び0.025%のD&Cバイオレットを混合した。Wanhao Duplicator 7マスクDLPプリンタを使用して部材を印刷した後、トルエンですすぎ、カリパスで測定した。
【表4】
【0070】
ヒドロゲル
脱イオン(DI)水中のポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(MW=575Da)の調合物を、添加剤含有又は非含有で5%(w/w)濃度で調製した。添加剤は、粘性を持たせるPEG12000、及び光反射材料としてナイロン微小粒子を含んでいた。調合物は全て、アクリル化ポリマー成分の総量に対して0.5%(w/w)濃度でIrgacure651光開始剤を含んでいた。試験を実施したグループを表4に示す。
【表5】


各試料の少量をペトリ皿に入れ、直径20mmのシリコーングリースの環内に収め、UV光源(Dymax Blue Wave200 UV光硬化スポットランプシステム)に、Dymax強度計で測定して30mW/cm2の強度で暴露した。試料は全て1~5秒の範囲でUV光に暴露し、目視及び触って確認した架橋達成度に基づいて評点した。評点パラメータを表5に示す。
【表6】


【表7】


5%のナイロン粒子を調合物に添加した場合、架橋速度に大きな差は認められなかったが、25%のナイロン微小粒子を添加すると、短い暴露時間で硬さが増していることから示されるように、試料の硬化が速まった。
【実施例0071】
調合物番号5/PEG-DA575に反射材料としてβ-リン酸三カルシウム(TCP)を混合したブレンドの光硬化
50/50(w/w)の比率で実施例1及び2のメタクリレート化調合物番号5(トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、及びグリコリドモノマーを含むMn=2300ダルトンの特注ジメタクリレート線状ポリマー)とPEG-DA575(Sigma Aldrich)、並びに光開始剤として0.25%(w/w)のBAPO、更に25%(w/w)のTCPを含む又は含まない光硬化性調合物のブレンドを調製した。両方の調合物を、UV光(Dymax Blue Wave200 UV光硬化スポットランプシステム)に30mW/cm2の強度で0.2、0.5、及び1秒間暴露した。TCPを含まない調合物は0.5秒まで部分的な硬化が始まらず、1秒で表面硬化皮膜が形成された。これに対し、25%のTCPを含有する調合物は0.2秒で表面が硬化し、1秒でほぼ完全に硬化し、TCPの添加により硬化速度が速まったことが示された。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を光重合印刷する方法であって、
a)光重合性組成物を一時的に光に暴露する工程であって、前記光重合性組成物が、
i.少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii.前記光重合性組成物中に懸濁した少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii.少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、工程、並びに
b)少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成する工程
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
調合物番号5/PEG-DA575に反射材料としてβ-リン酸三カルシウム(TCP)を混合したブレンドの光硬化
50/50(w/w)の比率で実施例1及び2のメタクリレート化調合物番号5(トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、及びグリコリドモノマーを含むMn=2300ダルトンの特注ジメタクリレート線状ポリマー)とPEG-DA575(Sigma Aldrich)、並びに光開始剤として0.25%(w/w)のBAPO、更に25%(w/w)のTCPを含む又は含まない光硬化性調合物のブレンドを調製した。両方の調合物を、UV光(Dymax Blue Wave200 UV光硬化スポットランプシステム)に30mW/cm2の強度で0.2、0.5、及び1秒間暴露した。TCPを含まない調合物は0.5秒まで部分的な硬化が始まらず、1秒で表面硬化皮膜が形成された。これに対し、25%のTCPを含有する調合物は0.2秒で表面が硬化し、1秒でほぼ完全に硬化し、TCPの添加により硬化速度が速まったことが示された。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕物品を光重合印刷する方法であって、
a)光重合性組成物を一時的に光に暴露する工程であって、前記光重合性組成物が、
i.少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii.前記光重合性組成物中に懸濁した少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii.少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、工程、並びに
b)少なくとも重合マクロマーを含む印刷物を形成する工程
を含む、方法。
〔2〕前記光反射材料成分が、光が接する光重合性組成物の表面で、前記光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、前記光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用する濃度よりも低い光開始剤濃度で前記マクロマーを表面硬化させる、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記光開始剤成分の総濃度が、1.0質量%未満である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕前記光重合性組成物が、反応性希釈剤を更に含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕前記光重合性組成物が、非反応性希釈剤を更に含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕前記光重合性組成物が、安定剤を更に含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕前記安定剤が、フリーラジカル安定剤である、前記〔7〕に記載の方法。
〔9〕前記光反射材料成分が、粒子状光反射材料を含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕前記光重合性組成物が、活性剤を更に含む、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕前記印刷物を硬化させる工程を含む二次硬化工程を更に含む、前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕前記印刷物をすすぐ工程を更に含む、前記〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕前記光重合性組成物が、染料を更に含む、前記〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の方法。
〔14〕前記光重合性マクロマー成分が、エチレン性不飽和基を有するモノマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、前記〔1〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔15〕前記光重合性マクロマー成分が、チオール基を有するモノマー、又はチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、前記〔1〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔16〕前記光重合性マクロマー成分が、エチレン性不飽和基を有するモノマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、並びにチオール基を有するモノマー、又はチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーを含む、前記〔1〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕前記光重合性マクロマー成分が、ラクトンモノマー、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、若しくはモルホリン-2,5-ジオン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種のモノマー単位を含むマクロマーを含む、前記〔1〕~〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕光重合に用いる光波長が、10~700nm(UV光10~400)(可視光390~700)である、前記〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の方法。
〔19〕前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する、前記〔1〕~〔18〕のいずれか一項に記載の方法。
〔20〕前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm 2 )で速い速度で光重合する、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の方法。
〔21〕前記光開始剤成分の濃度範囲が、約0.01~約5.0質量%である、前記〔1〕~〔20〕のいずれか一項に記載の方法。
〔22〕少なくとも1種の光開始剤が、少なくとも1つの光反射材料によって反射される波長で吸収する、前記〔1〕に記載の方法。
〔23〕硬化深さが、150ミクロン未満である、前記〔1〕に記載の方法。
〔24〕前記光反射材料成分が、前記光重合性組成物の約5~約90質量%を構成する、前記〔1〕に記載の方法。
〔25〕前記光反射材料成分が、500ミクロン未満の大きさの粒子状光反射材料を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔26〕前記光反射材料成分が、有機化合物、無機化合物、又はこれらの組み合わせを含む光反射材料を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔27〕前記光反射材料成分が、液体である光反射材料を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔28〕前記光反射材料成分が、ポリマーである光反射材料を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔29〕前記光反射材料成分が、生理的条件で吸収性である又は吸収性でない光反射材料を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔30〕前記〔1〕~〔29〕のいずれか一項に記載の方法によって重合されたポリマー。
〔31〕前記〔1〕~〔30〕のいずれか一項に記載の方法によって生産された物品。
〔32〕医療機器である、前記〔31〕に記載の物品。
〔33〕光重合生分解性ポリマー及び非毒性量の光開始剤を含む、非毒性ポリマー物品。
〔34〕光重合マクロマー及び非毒性量の光開始剤を含む、非毒性ポリマー組成物。
〔35〕光重合光反射材料を更に含む、前記〔34〕に記載の組成物。
〔36〕光重合性組成物であって
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、光重合性組成物。
〔37〕前記光反射材料成分が、光が接する光重合性組成物の表面で、前記光反射材料成分を含まない同じ光重合性組成物と比べて重合速度を高める、前記〔36〕に記載の組成物。
〔38〕光反射材料成分を光重合性組成物に組み込むことで、前記光反射材料成分を含まない光重合性組成物で使用する濃度よりも低い光開始剤濃度で前記マクロマーを表面硬化させる、前記〔36〕に記載の組成物。
〔39〕前記光開始剤濃度の総濃度が、1.0質量%未満である、前記〔36〕に記載の組成物。
〔40〕前記光重合性組成物が、反応性若しくは非反応性希釈剤、又は両方を更に含む、前記〔36〕に記載の組成物。
〔41〕前記光重合性組成物が、安定剤を更に含む、前記〔36〕~〔40〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔42〕前記光反射材料成分が、粒子状光反射材料を含む、前記〔36〕に記載の組成物。
〔43〕前記光重合性組成物が、活性剤を更に含む、前記〔36〕に記載の組成物。
〔44〕前記光反射材料成分が、活性剤を含む、前記〔43〕に記載の組成物。
〔45〕前記光反射材料が、活性剤である、前記〔43〕に記載の組成物。
〔46〕前記光反射材料が、活性剤を含む、前記〔43〕に記載の組成物。
〔47〕前記光重合性マクロマー成分が、活性剤を含む、前記〔43〕に記載の組成物。
〔48〕前記光重合性マクロマーが、活性剤を含む、前記〔43〕に記載の組成物。
〔49〕反応性希釈剤が、前記活性剤を含む、前記〔43〕に記載の組成物。
〔50〕非反応性希釈剤が、前記活性剤を含む、前記〔43〕に記載の組成物。
〔51〕前記光重合性組成物が、染料を更に含む、前記〔36〕~〔50〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔52〕前記光重合性マクロマー成分が、エチレン性不飽和基を有するモノマー、若しくはエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、又はチオール基を有するモノマー、若しくはチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマー、又はエチレン性不飽和基を有するモノマー、若しくはエチレン性不飽和基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーと、チオール基を有するモノマー、若しくはチオール基を有するモノマー単位(モノマー)を有するマクロマーとの組み合わせを含む、前記〔36〕~〔51〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔53〕前記光重合性マクロマー成分が、ラクトンモノマー、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン、若しくはモルホリン-2,5-ジオン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種のモノマー単位を含むマクロマーを含む、前記〔36〕~〔52〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔54〕前記光重合性組成物が、10~700nm(UV光10~400)(可視光390~700)の光波長に暴露されると重合する、前記〔36〕~〔53〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔55〕前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する、前記〔36〕~〔54〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔56〕前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも短い時間で光重合する、前記〔36〕~〔55〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔57〕前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm 2 )で速い速度で光重合する、前記〔36〕~〔56〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔58〕前記光重合性組成物が、同じ重合条件下で前記反射材料を含まない光重合性組成物よりも、同じ露光量(mW/cm 2 )で速い速度で光重合する、前記〔36〕~〔57〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔59〕前記光開始剤が、前記光反射材料によって反射される波長で吸収する、前記〔36〕~〔58〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔60〕前記光反射材料成分が、前記光重合性組成物の約5~約65質量%を構成する、前記〔36〕~〔59〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔61〕前記光反射材料成分が、生理的条件で吸収性である又は吸収性でない光反射材料を含む、前記〔36〕~〔60〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔62〕前記光反射材料成分が、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと重合する光反射材料を含む、前記〔36〕~〔61〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔63〕光造形光重合性組成物であって、
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記組成物の照射量要件を調整する、光造形光重合性組成物。
〔64〕連続液界面製造の光重合性組成物であって、
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記組成物の照射量要件を調整する、連続液界面製造の光重合性組成物。
〔65〕DLP(デジタルライトプロセシング)光重合性組成物であって、
i)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
ii)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;及び
iii)少なくとも1種の光開始剤成分
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記組成物の照射量要件を調整する、DLP光重合性組成物。
〔66〕光重合性インク組成物であって、
a)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
b)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;
c)少なくとも1種の光開始剤成分;
d)反応性希釈剤;及び
e)安定剤
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない光重合性組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、光重合性インク組成物。
〔67〕光重合性インク組成物であって、
a)少なくとも1種の光重合性マクロマー成分;
b)前記光重合性組成物中に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1種の光反射材料成分;
c)少なくとも1種の光開始剤成分;
d)反応性希釈剤;及び
e)安定剤
を含み、前記光反射材料成分が、前記光反射材料を含まない組成物の照射量要件と比較した場合に、前記光重合性組成物の照射量要件を調整する、光重合性インク組成物。
〔68〕光反射材料であって、光重合性インク調合物に添加した場合に、前記光反射材料を含まないインク調合物の照射量要件と比較して、前記インク調合物の照射量要件を調整するように、無機固体、有機化合物、結晶性有機化合物、結晶性アミノ酸及び/若しくはその誘導体、結晶性脂肪酸及び/若しくはその誘導体、結晶性ペプチド、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、光反射材料。
〔69〕前記無機化合物が、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、ニリン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、及びリン酸テトラカルシウム、又はこれらの組み合わせである、前記〔68〕に記載の材料。
〔70〕前記有機化合物が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリヒドロキシアルカノエート、又はこれらの組み合わせの脂肪族ポリマー及びコポリマーを含む、前記〔68〕に記載の材料。
〔71〕前記有機化合物が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリイミド、又はこれらの組み合わせの芳香族ポリマー及びコポリマーを含む、前記〔68〕に記載の材料。
〔72〕前記有機化合物が、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、コンドロイチン硫酸、硫酸多糖類、ムコ多糖類、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、コンニャクガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせの天然由来ポリマー及び誘導体を含む、前記〔68〕に記載の材料。
〔73〕前記結晶性有機化合物が、結晶性脂肪族及び芳香族ポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む、前記〔68〕に記載の材料。
〔74〕前記結晶性有機化合物が、結晶性天然由来ポリマー及び誘導体、並びにこれらの組み合わせを含む、前記〔68〕に記載の材料。
〔75〕結晶性アミノ酸及びこれらの誘導体、並びにこれらの組み合わせを含む、前記〔68〕に記載の材料。
〔76〕前記結晶性脂肪酸が、パルミチン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸、モノラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸、カプリン酸、及びこれらの組み合わせを含む、前記〔68〕に記載の材料。
【外国語明細書】