(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181174
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】車載機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20231214BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20231214BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20231214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231214BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231214BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20231214BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231214BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H04W72/0453
H04W72/0446
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/13
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169219
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2020043141の分割
【原出願日】2020-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】河原 慎吾
(57)【要約】
【課題】親機が子機及び別機の両方と無線通信を行うようにしつつも、親機と子機との無線通信及び親機と別機との無線通信の2つの無線通信を互いに干渉し難くする。
【解決手段】車載機器(91)は、車両に搭載されている親機(10)と、車両に搭載されている複数の子機(20)と、車両に搭載されており且つ子機とは別の別機(10)とを有する。親機は、所定の第1無線通信(C1)により子機と無線通信を行うと共に、所定の第2無線通信(C2)により別機と無線通信を行う。親機は、第1無線通信を行うための第1アンテナ(11)と、第2無線通信を行うための第2アンテナ(12)とを有する。複数の子機は、電波を遮蔽する筐体(50)の内側に設置されている。筐体の内側には、親機の第1アンテナが設置されており、当該筐体の外側には、当該親機の第2アンテナが設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている親機(10)と、前記車両に搭載されている複数の子機(20)と、前記車両に搭載されており且つ前記子機とは別の別機(10、60、70)とを有し、
前記親機は、所定の第1無線通信(C1)により前記子機と無線通信を行うと共に、所定の第2無線通信(C2)により前記別機と無線通信を行うように構成されており、
前記親機は、前記第1無線通信を行うための第1アンテナ(11)と、前記第2無線通信を行うための第2アンテナ(12)とを有し、
前記複数の子機は、電波を遮蔽する筐体(50)の内側に設置されており、
前記筐体の内側には、前記親機の前記第1アンテナが設置されており、当該筐体の外側には、当該親機の前記第2アンテナが設置されている、車載機器(91~93)。
【請求項2】
前記第1無線通信の通信態様と前記第2無線通信の通信態様とでは、互いに通信規格が異なる請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
前記第1無線通信の通信規格と前記第2無線通信の通信規格とでは、互いに使用する電波の周波数が異なる請求項2に記載の車載機器。
【請求項4】
前記第1無線通信の通信規格では2.4GHz帯域の電波を使用し、前記第2無線通信の通信規格では5GHz帯域の電波を使用する、請求項3に記載の車載機器。
【請求項5】
前記第1無線通信の通信規格と前記第2無線通信の通信規格とでは、互いに使用する電波の周波数が同じである請求項2に記載の車載機器。
【請求項6】
前記第1無線通信と前記第2無線通信とは、同一のタイマを用いて制御され、前記第1無線通信は、前記第2無線通信が行われないタイミングで実行される通信態様であり、前記第2無線通信は、前記第1無線通信が行われないタイミングで実行される通信態様である、請求項1に記載の車載機器。
【請求項7】
所定の第1期間と所定の第2期間とが設定されており、前記第1期間には、前記第2無線通信が実行されることなく前記第1無線通信のみが実行され、前記第2期間には、前記第1無線通信が実行されることなく前記第2無線通信のみが実行される、請求項6に記載の車載機器。
【請求項8】
前記第1無線通信の通信態様と前記第2無線通信の通信態様とでは、互いに通信規格が同じである請求項6又は7に記載の車載機器。
【請求項9】
前記車載機器は、複数のセル電池(45)を監視する電池監視システムであって、
前記子機は、前記セル電池に関する情報である電池情報を取得し、
前記親機は、複数の前記子機を複数の群に分けた子機群(B1,B2)毎に設置されており、各前記親機は、自身に対応する前記子機群に属する各前記子機を担当し、自身が担当する各前記子機から前記第1無線通信により前記電池情報を取得する、請求項1~8のいずれか1項に記載の車載機器。
【請求項10】
各前記親機及び当該親機に対応する各前記子機群は、各前記筐体に共に収納されている、請求項9に記載の車載機器。
【請求項11】
各前記親機は、自身が担当する各前記子機を制御する監視ECU(10a)であって、
各前記親機にとっての前記別機は、自身とは別の前記親機である、請求項9又は10に記載の車載機器(91)。
【請求項12】
前記親機の1つは、各前記子機を制御する監視ECU(10a)であって、
前記監視ECU以外の前記親機は、自身が担当する各前記子機と前記監視ECUである前記親機との無線通信を中継するための中継機(10b)であって、
前記監視ECUである前記親機にとっての前記別機は、前記中継機である前記親機であり、前記中継機である前記親機にとっての前記別機は、前記監視ECUである前記親機であり、
前記中継機である前記親機は、前記第1無線通信により取得した前記電池情報又はそれに基づく情報を、前記第2無線通信により前記監視ECUである前記親機に送信する、請求項9又は10に記載の車載機器(92)。
【請求項13】
前記別機は、各前記親機とは別に設けられており且つ各前記子機を制御する監視ECU(60)であって、
各前記親機は、自身が担当する各前記子機と前記監視ECUとの無線通信を中継するための中継機(10b)であって、
各前記親機は、前記第1無線通信により取得した前記電池情報又はそれに基づく情報を、前記第2無線通信により前記監視ECUに送信する、請求項9又は10に記載の車載機器(93)。
【請求項14】
各前記子機は、他の前記セル電池よりも充電量の多い前記セル電池を放電させることにより、各前記セル電池の充電量を均等化する均等化処理を実行可能に構成されている、請求項11~13のいずれか1項に記載の車載機器。
【請求項15】
前記監視ECUは、自身が担当する各前記子機から送信される電池情報に基づいて、各前記セル電池の充電量のバラツキを認識し、自身が担当する各前記子機に対して、前記均等化処理を実行させるための均等化指令を送信する、請求項14に記載の車載機器。
【請求項16】
前記複数の子機は、1つの前記筐体の内側に全て設置されている、請求項1に記載の車載機器。
【請求項17】
前記監視ECUは、前記筐体の外側に設置されており、
各前記子機は、前記筐体の内側に設置されている、請求項13に記載の車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車載機器の中には、親機と複数の子機とを有し、親機と各子機とが無線通信を行うものがある。そして、このような車載機器を示す文献としては、次の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車載機器においては、親機と子機との間で無線通信を行うことにより、それらの間での有線通信を無くしている。それにより、構造がシンプルになると共に、親機と各子機との配置の自由度が向上している。しかし、このような車載機器の中には、親機が子機に加えて、子機とは別の別機とも通信を行うものがある。このような場合において、親機がその別機と有線通信を行う構成にした場合には、親機と子機との間を無線通信にしてそれらの間での有線通信を無くした意義が薄れてしまう。他方、親機が子機に加えて別機とも無線通信を行う構成にした場合には、親機と子機との無線通信及び親機と別機との無線通信の2つの無線通信が互いに干渉するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、車載機器において、親機が子機及び別機の両方と無線通信を行うようにしつつも、親機と子機との無線通信及び親機と別機との無線通信の2つの無線通信を互いに干渉し難くすることを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、車載機器(91~93)であって、
車両に搭載されている親機(10)と、前記車両に搭載されている複数の子機(20)と、前記車両に搭載されており且つ前記子機とは別の別機(10、60、70)とを有し、
前記親機は、所定の第1無線通信(C1)により前記子機と無線通信を行うと共に、所定の第2無線通信(C2)により前記別機と無線通信を行うように構成されており、
前記親機は、前記第1無線通信を行うための第1アンテナ(11)と、前記第2無線通信を行うための第2アンテナ(12)とを有し、
前記複数の子機は、電波を遮蔽する筐体(50)の内側に設置されており、
前記筐体の内側には、前記親機の前記第1アンテナが設置されており、当該筐体の外側には、当該親機の前記第2アンテナが設置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】第1実施形態の変更例の車載機器を示す概略図
【
図5】第1実施形態の更なる変更例の車載機器を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0009】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態の概要について説明する。
図1に示すように、車載機器91は、複数のセル電池45を有する組電池40を監視する電池監視システムである。車載機器91は、複数の親機10とそれよりも多い複数の子機20とを有する。なお、
図1では、親機10は2つであるが、3つ以上であってもよい。
【0010】
子機20は、複数のセル電池45を複数の群に分けたセル電池群44毎に設置されている。各子機20は、自身に対応するセル電池群44から、セル電池45に関する情報である電池情報を取得する。親機10は、複数の子機20を複数の群に分けた子機群B1,B2毎に設置されており、自身に対応する子機群Bに属する各子機20を担当する。
【0011】
車載機器91は、子機群B1,B2毎に金属製の筐体50を有する。各親機10は、所定の第1無線通信C1を行うための第1アンテナ11と、所定の第2無線通信C2を行うための第2アンテナ12とを有する。各筐体50の内側には、当該筐体50に対応する子機群Bに属する各子機20が設置されると共に、当該各子機20を担当する親機10の第1アンテナ11が設置されており、当該筐体50の外側には、当該親機10の第2アンテナ12が設置されている。
【0012】
各親機10は、自身が担当する各子機20を制御する監視ECU10aであって、自身が担当する各子機20から第1無線通信C1により電池情報を取得する。また、各親機10は、第2無線通信C2により他の親機10(本発明でいう「別機」)と無線通信を行う。
【0013】
第1無線通信C1と第2無線通信C2とは、互いに通信規格が異なることにより、同じである場合よりも互いに干渉し難くなっている。具体的には、第1無線通信C1の通信規格では2.4GHz帯域の電波を使用し、第2無線通信C2の通信規格では5GHz帯域の電波を使用する。
【0014】
次に、以上に示した本実施形態の概要を補足する形で、本実施形態の詳細について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の車載機器91を示す概略図である。車載機器91を構成する各部は、車両に搭載されている。各筐体50内では、複数のセル電池群44が電気的に直列に接続されている。そして、各セル電池群44を構成する複数のセル電池45も、電気的に直列に接続されている。各セル電池45は、リチウム電池等である。各筐体50内の組電池40どうしは、例えば電気的に直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。
【0016】
各子機20は、複数の検出線25を有し、その複数の検出線25により、自身に対応するセル電池群44における各セル電池45の電圧を検出可能になっている。詳しくは、検出線25は、セル電池群44の両端及び、そのセル電池群44を構成するセル電池45どうしの各間に電気的に接続されている。
【0017】
各子機20は、親機10と第1無線通信C1をするための子機アンテナ21を有する。各子機20が第1無線通信C1により親機10に送信する電池情報は、例えば、各セル電池45の電圧に関する情報や、温度に関する情報等を含む。また、各子機20は、検出線25を介して、他のセル電池45よりも充電量の多いセル電池45を放電させることにより、各セル電池45の充電量を均等化する均等化処理を実行可能に構成されている。
【0018】
親機10は、自身が担当する各子機20から第1無線通信C1により送信される電池情報に基づいて、各セル電池45の充電量のバラツキ等を認識する。そして、親機10は、自身が担当する各子機20に対して、第1無線通信C1により指令を送信することにより、それら各子機20を制御する。その指令には、子機20に上記の均等化処理を実行させるための均等化指令等も含まれる。
【0019】
また、各親機10は、第2無線通信C2により他の親機10と無線通信を行うことにより、他の親機10と情報を交換したり、他の親機10と制御の足並みを揃えたりすることができる。
【0020】
筐体50は、金属製であるため電波を遮蔽する。ただし、筐体50には、隙間等があるため、若干は、第1無線通信C1の電波が筐体50の外側に漏れたり、第2無線通信C2の電波が筐体50の内側に漏れたりする。そして、本実施形態では、第1無線通信C1と第2無線通信C2とを同じタイミングで行うこともある。そのため、本実施形態では、上記のとおり、第1無線通信C1と第2無線通信C2とが、互いに異なる通信規格になっている。
【0021】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。親機10は、第1無線通信C1により子機20と無線通信を行うと共に、第2無線通信C2により他の親機10と無線通信を行う。そして、第1無線通信C1と第2無線通信C2とは、互いに通信態様が異なることにより、互いに干渉し難くなっている。そのため、親機10が子機20及び他の親機10の両方と無線通信C1,C2を行うようにしつつも、親機10と子機20との第1無線通信C1及び親機10どうしの第2無線通信C2の2つの無線通信C1,C2を、互いに干渉し難くすることができる。
【0022】
具体的には、第1無線通信C1の通信規格では2.4GHz帯域の電波を使用し、第2無線通信C2の通信規格では5GHz帯域の電波を使用する。そのため、第1無線通信C1の通信規格と第2無線通信C2の通信規格とでは、互いに使用する電波の周波数が異なる。そのため、第1無線通信C1と第2無線通信C2とを同じタイミングで行っても、それら第1無線通信C1と第2無線通信C2とは互いに干渉し難い。
【0023】
また、金属製の各筐体50の内側には、当該筐体50に対応する子機群Bに属する各子機20が設置されると共に、当該各子機20を担当する親機10の第1アンテナ11が設置されている。そのため、各子機群Bに対する第1無線通信C1を、他の子機群Bに対する第1無線通信C1から、ある程度遮蔽することができる。そのため、各子機群Bでの第1無線通信C1どうしが同じ通信規格等であっても、各子機群B1,B2での第1無線通信C1どうしは、互いに干渉し難い。そのため、各子機群B1,B2どうしの間隔を小さくすることができる。
【0024】
そして、この金属製の筐体50の外側に、親機10の第2アンテナ12が設置されている。そのため、第1無線通信C1と第2無線通信C2との干渉をより強固に回避することができる。また、このように金属製の筐体50の外側に、親機10の第2アンテナ12が設置されているので、この金属製の筐体50により第2無線通信C2の電波が第2アンテナ12に届き難くなったり、第2アンテナ12からの電波が相手方に届き難くなったりするのを、回避できる。
【0025】
また、親機10は、子機群B1,B2毎に設置されており、各親機10は、自身が担当する各子機20と第1無線通信C1を行う。そのため、子機20の数が多い場合や、各子機20の配置が互いに離れている場合等、一の親機10で全ての子機20と無線通信を行うことが難しい場合にも対応できる。
【0026】
さらに、これら監視ECU10aである親機10どうしは、第2無線通信C2により通信を行うので、このように、監視ECU10aが複数に分離されている場合にも、各監視ECU10aは、足並みを揃えて各子機20を制御することができる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。以下の実施形態については、それ以前の実施形態のものと同一の又は対応する部材については同一の符号を付する。ただし、車載機器自体については、実施形態毎に異なる符号を付する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0028】
図2は、本実施形態の車載機器92を示す概略図である。本実施形態では、親機10の1つが、全ての各子機20を制御する監視ECU10aであり、当該監視ECU10a以外の親機10は、中継機10bである。なお、
図2では、中継機10bである親機10は1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0029】
中継機10bである親機10は、自身が担当する各子機20と監視ECU10aである親機10との無線通信を中継する。具体的には、中継機10bである親機10は、自身が担当する各子機20から取得した電池情報又はそれに基づく情報を、第2無線通信C2により、監視ECU10aである親機10に送信する。そして、監視ECU10aである親機10は、中継機10bである親機10が担当する子機20に対して指令を送信する場合、当該指令を当該中継機10bである親機10に対して第2無線通信C2により送信する。当該中継機10bである親機10は、当該指令を受信すると、当該指令を第1無線通信C1により、当該子機20に送信する。
【0030】
本実施形態によれば、中継機10bである親機10は、自身が担当する各子機20と監視ECU10aである親機10との無線通信を中継する。そのため、監視ECU10aである1つの親機10で、全ての子機20を制御することができる。
【0031】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0032】
図3は、本実施形態の車載機器93を示す概略図である。全ての各親機10は、監視ECUではなく、中継機10bである。
図2では、親機10は、2つであるが、3つ以上であってもよい。そして、車載機器93は、親機10とは別に、各子機20を制御する監視ECU60を有する。本実施形態では、この「監視ECU60」が、本発明でいう「別機」に相当する。監視ECU60は、第2無線通信C2を行うためのアンテナ62を有する。
【0033】
各親機10は、自身が担当する各子機20と監視ECU60との無線通信を中継する。具体的には、各親機10は、自身が担当する各子機20から第1無線通信C1により取得した電池情報又はそれに基づく情報を、第2無線通信C2により監視ECU60に送信する。そして、監視ECU60は、いずれかの子機20に対して指令を送信する場合、当該子機20を担当する親機10に対して、当該指令を第2無線通信C2により送信する。当該親機10は、当該指令を受信すると、当該指令を第1無線通信C1により当該子機20に送信する。
【0034】
本実施形態によれば、各親機10は、自身が担当する各子機20と監視ECU60との無線通信を中継する。そのため、各親機10とは別の1つの監視ECU60で全ての子機20を制御することができる。さらに、すべての親機10が中継機10bなので、親機10の規格を1つに統一することができる。
【0035】
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、次のように変更して実施できる。例えば、各実施形態の図では、各子機群Bに属する子機20は3つであるが、2つであっても、4つ以上であってもよい。また、各実施形態では、各筐体50内において、各セル電池群44が電気的に直列に接続されているが、並列に接続されていてもよい。
【0036】
また例えば、第1実施形態において、
図4に示すように、車載機器91は、さらに、監視ECU10aである各親機10を制御する上位ECU70を有していてもよい。そして、上位ECU70は、第2無線通信C2を行うためのアンテナ72を有し、各親機10が、他の親機10に加えて上位ECU70とも、第2無線通信C2により通信を行うように構成されていてもよい。この場合、「他の親機10」に加えてこの「上位ECU70」も、本発明でいう「別機」に相当する。
【0037】
さらにこの場合において、
図5に示すように、親機10は1つのみであり、当該親機10は、上位ECU70に対してのみ第2無線通信C2により通信を行うように構成されていてもよい。この場合、「上位ECU70」のみが、本発明でいう「別機」に相当する。
【0038】
また例えば、各実施形態において、各子機群B1,B2が互いに十分に離れている場合等には、各子機群B1,B2毎に金属製の筐体50が設置されていなくてもよい。また、例えば、第1無線通信C1において2.4GHz帯域以外の周波数の電波を使用したり、第2無線通信C2において5GHz帯域以外の周波数の電波を使用したりしてもよい。
【0039】
また例えば、各実施形態において、第1無線通信C1と第2無線通信C2とは通信規格が異なるが、第1無線通信C1の通信規格で使用する周波数と、第2無線通信C2の通信規格で使用する周波数とは、同じであるか一部重複していてもよい。この場合でも、通信規格自体が同じである場合よりは、第1無線通信C1と第2無線通信C2とを互いに干渉し難くすることができる。
【0040】
また例えば、各実施形態において、第1無線通信C1と第2無線通信C2との通信規格を互いに異ならせるのに代えて又は加えて、例えば次のようにしてもよい。すなわち、第1無線通信C1と第2無線通信C2とは、同一のタイマを用いて制御される。第1無線通信C1は、第2無線通信C2が行われないタイミングで実行される通信態様であり、第2無線通信C2は、第1無線通信C1が行われないタイミングで実行される通信態様である。
【0041】
具体的には、例えば、所定の第1期間と所定の第2期間とが交互に設定されており、第1期間には、第2無線通信C2が実行されることなく第1無線通信C1のみが実行され、第2期間には、第1無線通信C1が実行されることなく、第2無線通信C2のみが実行される。このようにすれば、互いに異なるタイミングで第1無線通信C1と第2無線通信C2とが実行されるので、第1無線通信C1と第2無線通信C2とが同じ通信規格であっても、それら第1無線通信C1と第2無線通信C2とが互いに干渉するのが防止される。
【0042】
また例えば、各実施形態では、車載機器91~93は、電池監視システムであるが、その他の電気機器であってもよい。具体的には、例えば、車載機器91~93は、タイヤ圧監視システム(TPMS)であってもよい。この場合、子機は、タイヤ毎に設置されると共に、自身に対応するタイヤからそのタイヤ圧に関する情報であるタイヤ圧情報を取得する。そして、親機は、例えば、車両の前部と後部とに設置される。前側の親機は、前側の左右のタイヤに設置されている2つの各子機を担当し、それらの各子機から第1無線通信によりタイヤ圧情報を取得する。後側の親機は、後側の左右のタイヤに設置されている2つの各子機を担当し、それらの各子機から第1無線通信によりタイヤ圧情報を取得する。そして、前後の親機どうしは、第2無線通信により情報交換等を行う。
【符号の説明】
【0043】
10…親機、20…子機、60…監視ECU、70…上位ECU、91~93…車載機器、C1…第1無線通信、C2…第2無線通信。