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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181186
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231214BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231214BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231214BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231214BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20231214BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20231214BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231214BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20231214BHJP
   H10K 59/82 20230101ALI20231214BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G09F9/30 349Z
G09F9/00 366A
G09F9/30 330
G06F3/044 120
G02F1/1333
H10K50/00
H10K59/10
H10K59/40
H10K59/82
G02F1/1368
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171927
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022075574の分割
【原出願日】2016-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2015053661
(32)【優先日】2015-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015053765
(32)【優先日】2015-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】平形 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(57)【要約】
【課題】厚さの薄いタッチパネルを提供する。または、視認性の高いタッチパネルを提供
する。または、軽量なタッチパネルを提供する。または、消費電力が低減されたタッチパ
ネルを提供する。
【解決手段】静電容量式のタッチセンサを構成する一対の導電層を複数の開口を有するメ
ッシュ状の形状とする。さらに、タッチセンサを構成する一対の導電層を、タッチパネル
が有する一対の基板の内側に配置し、当該一対の導電層と、表示素子を駆動する回路との
間に、定電位を供給可能な透光性を有する導電層を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第1の導電層と、第2の導電層と、第3の導電層と、第4の導電層と、第5の導電層と、絶縁層と、表示素子と、を有するタッチパネルであって、
前記第1の導電層、前記第2の導電層、及び前記第3の導電層は、同一面上に離間して設けられ、
平面視において、前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に、前記第2の導電層が位置し、
前記第1の導電層と前記第4の導電層とは電気的に接続され、
前記第3の導電層と前記第4の導電層とは電気的に接続され、
前記第2の導電層と前記第4の導電層とは、前記絶縁層を介して重なる部分を有し、
前記第1の導電層は、複数の開口を有するメッシュ状の形状を有し、
前記開口と前記表示素子、前記第5の導電層とは、互いに重なる領域を有し、
前記第1の導電層と前記表示素子との間に、前記第5の導電層が位置し、
前記第5の導電層は、可視光を透過する機能を有する、
タッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、入力装置に関する。本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明
の一態様は、入出力装置に関する。本発明の一態様は、タッチパネルに関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発
明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置
、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造
方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶
装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、入
力装置、入出力装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含
む)、及び電子機器は、半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年、位置入力手段としてタッチセンサを搭載した表示装置が実用化されている。タッ
チセンサを搭載した表示装置は、タッチパネル、またはタッチスクリーンなどと呼ばれて
いる(以下、これを単に「タッチパネル」とも呼ぶ)。例えば、タッチパネルを備える携
帯情報端末としては、スマートフォン、タブレット端末などがある。
【0005】
表示装置の一つとして、液晶素子を備える液晶表示装置がある。例えば、画素電極をマ
トリクス状に配置し、画素電極の各々に接続するスイッチング素子としてトランジスタを
用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置が注目を集めている。
【0006】
例えば、画素電極の各々に接続するスイッチング素子として、金属酸化物をチャネル形
成領域とするトランジスタを用いるアクティブマトリクス型液晶表示装置が知られている
(特許文献1及び特許文献2)。
【0007】
液晶表示装置には大きく分けて透過型と反射型の二種類のタイプが知られている。
【0008】
透過型の液晶表示装置は、冷陰極蛍光ランプやLEDなどのバックライトを用い、液晶
の光学変調作用を利用して、バックライトからの光が液晶を透過して液晶表示装置外部に
出力される状態と、出力されない状態とを選択し、明と暗の表示を行わせ、さらにそれら
を組み合わせることで、画像表示を行うものである。
【0009】
また、反射型の液晶表示装置は、液晶の光学変調作用を利用して、外光、即ち入射光が
画素電極で反射して装置外部に出力される状態と、入射光が装置外部に出力されない状態
とを選択し、明と暗の表示を行わせ、さらにそれらを組み合わせることで、画像表示を行
うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-123861号公報
【特許文献2】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
表示パネルに、ユーザーインターフェースとして画面に指やスタイラス等で触れること
で入力する機能を付加したタッチパネルが望まれている。
【0012】
また、タッチパネルが適用された電子機器の薄型化、軽量化が求められている。そのた
め、タッチパネル自体の薄型化、軽量化が求められている。
【0013】
例えば、タッチパネルは、表示パネルの視認側(表示面側)にタッチセンサを設ける構
成とすることができる。
【0014】
例えば、表示パネルの表示面側に静電容量方式のタッチセンサを重ねて設けた構成のタ
ッチパネルでは、表示パネルを構成する画素や配線と、タッチセンサを構成する電極や配
線との間の距離が小さくなると、タッチセンサが表示パネルを駆動した時に生じるノイズ
の影響を受けやすくなり、その結果としてタッチパネルの検出感度が低下してしまう場合
がある。
【0015】
本発明の一態様は、厚さの薄いタッチパネルを提供することを課題の一とする。または
、視認性の高いタッチパネルを提供することを課題の一とする。または、軽量なタッチパ
ネルを提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減されたタッチパネルを提
供することを課題の一とする。
【0016】
または、新規な入力装置を提供することを課題の一とする。または、新規な入出力装置
を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、第1の基板と、第1の導電層と、第2の導電層と、第3の導電層と
、第4の導電層と、第5の導電層と、絶縁層と、表示素子と、を有するタッチパネルであ
る。第1の導電層、第2の導電層、及び第3の導電層は、同一面上に離間して設けられ、
平面視において、第1の導電層と第3の導電層との間に、第2の導電層が位置し、第1の
導電層と第4の導電層とは電気的に接続され、第3の導電層と第4の導電層とは電気的に
接続され、第2の導電層と第4の導電層とは、絶縁層を介して重なる部分を有し、第1の
導電層は、複数の開口を有するメッシュ状の形状を有し、開口と表示素子、第5の導電層
とは、互いに重なる領域を有し、第1の導電層と表示素子との間に、第5の導電層が位置
し、第5の導電層は、可視光を透過する機能を有する。
【0018】
また、上記において、前記第5の導電層は、金属酸化物を含むことが好ましい。
【0019】
また、上記において、第4の導電層と、第5の導電層とは、同一の膜を加工して形成さ
れていることが好ましい。
【0020】
また、上記において、表示素子は液晶を含むことが好ましい。
【0021】
また、上記において、着色層を有し、当該着色層と、開口と、表示素子と、第5の導電
層とは、互いに重なる部分を有することが好ましい。
【0022】
また、上記において、第5の導電層は、定電位が供給される端子と電気的に接続されて
いることが好ましい。
【0023】
また、上記において、第1の導電層よりも上側に第2の基板を有し、第1の導電層、第
2の導電層、第3の導電層、第4の導電層、及び第5の導電層は、当該第2の基板に形成
されていることが好ましい。
【0024】
また、上記において、表示素子と電気的に接続するトランジスタを有し、トランジスタ
は、半導体層を有し、半導体層と、第5の導電層とは、同一の金属元素を含む酸化物を有
することが好ましい。このとき、当該トランジスタは、第1のゲート電極及び第2のゲー
ト電極を有し、半導体層は、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の間に位置し、第1
のゲート電極または第2のゲート電極の一方は、上記金属元素を含む酸化物を含むことが
好ましい。
【0025】
または、上記において、表示素子と電気的に接続するトランジスタを有し、トランジス
タは、半導体層を有し、半導体層と、第5の導電層とは、同一の酸化物半導体を含むこと
が好ましい。このとき、当該トランジスタは、第1のゲート電極及び第2のゲート電極を
有し、半導体層は、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の間に位置し、第1のゲート
電極または第2のゲート電極の一方は、酸化物半導体を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、厚さの薄いタッチパネルを提供できる。または、視認性の高
いタッチパネルを提供できる。または、軽量なタッチパネルを提供できる。または、消費
電力が低減されたタッチパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図2】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図3】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図4】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図5】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図6】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図7】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図8】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図9】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図10】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図11】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図12】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図13】実施の形態に係る、タッチパネルモジュールの構成例。
図14】実施の形態に係る、タッチセンサの構成例。
図15】実施の形態に係る、タッチセンサの構成例。
図16】実施の形態に係る、タッチセンサの構成例。
図17】実施の形態に係る、タッチセンサの構成例。
図18】実施の形態に係る、タッチセンサの構成例。
図19】実施の形態に係る、タッチセンサの構成例。
図20】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
図21】実施の形態に係る、タッチセンサのブロック図及びタイミングチャート図。
図22】実施の形態に係る、タッチセンサの回路図。
図23】実施の形態に係る、タッチセンサを備える画素を説明する図。
図24】実施の形態に係る、タッチセンサ及び画素の動作を説明する図。
図25】実施の形態に係る表示モジュールを説明する図。
図26】実施の形態に係る電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0030】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0031】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0032】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、互いに入れ替えることが可能であ
る場合がある。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更すること
や、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の入力装置(タッチセンサ)の構成例、及び本発明
の一態様の入力装置と表示装置(表示パネル)を備える入出力装置(タッチパネル)の構
成例について、図面を参照して説明する。
【0034】
以下では、本発明の一態様のタッチセンサとして、静電容量方式のタッチセンサを適用
した場合について説明する。
【0035】
なお、本明細書等において、タッチパネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能と
、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、または接近することを検出するタッ
チセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様であ
る。
【0036】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、例えばFPC(Flexible P
rint Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Packag
e)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On G
lass)方式によりIC(集積回路)が実装されたものを、タッチパネルモジュール、
または単にタッチパネルと呼ぶ場合がある。
【0037】
本発明の一態様に適用できる静電容量方式のタッチセンサは、一対の導電層を備える。
一対の導電層間には容量が形成されている。一対の導電層に被検知体が触れる、または接
近することにより一対の導電層間の容量の大きさが変化することを利用して、検出を行う
ことができる。
【0038】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。投影型静
電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると
、同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0039】
またタッチセンサを構成する一対の導電層は、それぞれ開口を有することが好ましい。
より好ましくは、複数の開口を有するメッシュ状の形状を有することが好ましい。そして
当該開口と、表示素子とが互いに重なるように配置する構成とすることが好ましい。こう
することで、表示素子からの光が当該開口を介して外部に射出されるため、タッチセンサ
を構成する一対の導電層は、透光性を有する必要がなくなる。すなわち、タッチセンサを
構成する一対の導電層の材料として、透光性導電性材料よりも低抵抗な金属や合金などの
材料を適用することが可能となる。したがって検知信号の遅延などの影響が低減され、タ
ッチパネルの検出感度を高めることができる。さらに、このような構成は、携帯型の機器
だけでなくテレビジョン等の大型の表示装置にも好適に適用することができる。
【0040】
また、タッチセンサを構成する一対の導電層よりも視認側には、可視光を遮光する機能
を有する遮光層を設けることが好ましい。こうすることで、タッチセンサを構成する導電
層として金属などの可視光を反射する材料を用いた場合であっても、当該導電層によって
外光が反射され、視認性が低下してしまうことを抑制できる。
【0041】
また、タッチセンサを構成する一対の導電層は、平面視において、2つの表示素子の間
の領域と重ねて配置することが好ましい。このとき、タッチセンサを構成する一対の導電
層が、表示素子からの光の光路を避けて配置されているため、原理的にモアレが生じない
という効果を奏する。ここでモアレとは、2以上の周期性を有するパターンを重ねたとき
に生じる干渉縞のことをいう。そのため、極めて表示品位の高いタッチパネルを実現する
ことができる。
【0042】
また、本発明の一態様のタッチパネルが有する表示素子としては、液晶素子、MEMS
(Micro Electro Mechanical System)を利用した光学
素子、有機EL(Electro Luminescence)素子や発光ダイオード(
LED:Light Emitting Diode)等の発光素子、電気泳動素子など
、様々な表示素子を用いることができる。
【0043】
ここで、タッチパネルには表示素子として液晶素子を用いた透過型または反射型の液晶
表示装置を適用することが好ましい。
【0044】
さらに、タッチセンサを構成する一対の導電層を、タッチパネルが有する一対の基板の
内側に配置することが好ましい。この時特に、タッチセンサを構成する導電層として複数
の開口を有する形状とすること好ましい。このような導電層はその表面積を小さくするこ
とができる。そのため例えば、タッチセンサを構成する導電層に開口を有さない透光性を
有する導電膜を用いた場合に比べて、表示素子を駆動させる際の電気的なノイズが当該導
電層へ伝わりにくい構成とすることができる。すなわち、一対の基板の間に表示素子とタ
ッチセンサを構成する導電膜の両方を挟持しても、高い検出感度を実現することができる
。その結果、薄い厚さと、高い検出感度が両立されたタッチパネルを実現することができ
る。
【0045】
そして、タッチセンサを構成する一対の導電層と、表示素子を駆動する回路との間に、
定電位を供給可能な導電層を設けることがより好ましい。このような導電層は、シールド
層として機能させることができる。具体的には、当該導電層により、表示素子を駆動する
回路からのノイズがタッチセンサに伝わることを防ぐことができる。さらに、当該導電層
により、タッチセンサを駆動した時のノイズが、表示素子や表示素子を駆動する回路、ま
たは当該回路を構成する配線などに伝わることを防ぐこともできる。そのため、例えば表
示素子を駆動させるタイミングと、タッチセンサを駆動させるタイミングとをずらすこと
によりノイズの影響を抑制するなどといった対策を講じることなく、表示素子とタッチセ
ンサの両方を同時に駆動させる(同期した駆動をさせる)ことや、これらの駆動のタイミ
ングを同期させずに駆動することなどが可能となる。したがって、例えば表示素子の駆動
周波数(フレームレートともいう)を高めることで滑らかな動画表示を行うことができる
。また例えばタッチセンサの駆動周波数を高めることで、より検知精度を高めることが可
能となる。また表示素子の駆動周波数と、タッチセンサの駆動周波数とをそれぞれ個別に
自由に設定することができる。例えば、状況によりいずれか一方、または両方の駆動周波
数を低く設定する期間を設けることで、消費電力の低減を図ることも可能となる。
【0046】
さらに、当該導電層と、タッチセンサを構成する一対の導電層の一部とを、同一の導電
膜を加工して形成することが好ましい。例えば、一対の導電層の交差部に配置されるブリ
ッジのための導電層と、当該シールド層として用いる導電層とを同一の導電膜を加工して
形成する。
【0047】
また、シールド層として機能する導電層としては、透光性を有する導電性材料を用いる
ことが好ましい。または、低抵抗化された酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば
、導電性金属酸化物を用いることができる。このような材料を用いることで、金属を用い
たときに生じる酸化の影響を排除でき、信頼性の高いタッチパネルを実現できる。
【0048】
以下では、本発明の一態様のより具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0049】
[構成例]
図1(A)は、本発明の一態様のタッチパネルモジュール10の斜視概略図である。ま
た、図1(B)は、タッチパネルモジュール10の一対の基板を分離した斜視概略図であ
る。タッチパネルモジュール10は、基板31と、基板21とが貼り合わされた構成を有
する。タッチセンサ22は、基板21側に設けられている。
【0050】
基板21には、FPC41が設けられている。また基板21の表示パネル側の面にタッ
チセンサ22を有する。タッチセンサ22は、導電層23、導電層24、導電層25等を
有する。またこれら導電層とFPC41とを電気的に接続する配線29を有する。FPC
41は、タッチセンサ22に外部からの信号を供給する機能を有する。または、FPC4
1は、タッチセンサ22からの信号を外部に出力する機能を有する。なお、FPC41を
備えない形態を、単にタッチパネルと呼ぶことがある。
【0051】
なお、タッチセンサ22が形成された基板21は、単体でタッチセンサ基板、またはタ
ッチセンサモジュールとして用いることもできる。例えば、このような基板を、表示パネ
ルの表示面側に貼り付けることで、タッチパネルを形成することもできる。
【0052】
タッチセンサ22は、複数の導電層23、複数の導電層24、及び複数の導電層25を
有する。導電層23は、一方向に延伸した形状を有する。また複数の導電層23はその延
伸方向と交差する方向に並べて配置されている。複数の導電層24は、隣接する2つの導
電層23の間に位置するように設けられている。導電層25は、導電層23の延伸方向と
交差する方向に沿って隣接する2つの導電層24を電気的に接続する。すなわち複数の導
電層24のうち、導電層23の延伸方向と交差する方向に沿って配置されているいくつか
の導電層24は、導電層25によって電気的に接続されている。
【0053】
ここで、導電層23と導電層25とは互いに重なる領域を有する。また導電層23と導
電層25との間には絶縁層が設けられている。
【0054】
隣接する導電層23と導電層24との間には容量が形成されている。例えば投影型静電
容量方式の駆動方法を用いる場合には、導電層23と導電層24のうち一方を送信側の電
極として、他方を受信側の電極として用いることができる。
【0055】
なお、ここでは2つの導電層24を導電層25によって電気的に接続する構成としたが
、導電層24を導電層23と同様に一方向に延伸した形状とし、導電層23と導電層24
との間に絶縁層を有する構成とすることで、導電層25を設けない構成としてもよい。こ
のとき、導電層23と導電層24の互いの一部が重なる。
【0056】
なお、導電層23、導電層24、導電層25などの導電膜、つまり、タッチパネルを構
成する配線や電極に用いることのできる材料として、例えば、抵抗率が低いものが望まし
い。一例として、銀、銅、アルミニウムなどの金属を用いてもよい。さらに、非常に細く
した(例えば、直径が数ナノメートル)多数の導電体を用いて構成されるような金属ナノ
ワイヤを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイ
ヤなどを用いてもよい。Agナノワイヤの場合、例えば光透過率は89%以上、シート抵
抗値は40Ω/□以上100Ω/□以下を実現することができる。なお、このような金属
ナノワイヤは透過率が高いため、表示素子に用いる電極、例えば、画素電極や共通電極に
、当該金属ナノワイヤを用いてもよい。
【0057】
基板31上には、表示部32が設けられている。表示部32は、マトリクス状に配置さ
れた複数の画素33を有する。画素33は、複数の副画素回路を備えていることが好まし
い。副画素回路は、それぞれ表示素子と電気的に接続する。また基板31上には、表示部
32内の画素33と電気的に接続する回路34を備えることが好ましい。回路34は、例
えばゲート駆動回路として機能する回路を適用することができる。FPC42は、表示部
32または回路34の少なくとも一に、外部からの信号を供給する機能を有する。なお、
基板31、またはFPC42に、ソース駆動回路として機能するICを実装することが好
ましい。ICは、COG方式により基板31に実装してもよいし、ICが実装されたFP
C42、またはTAB、TCP等を取り付けることもできる。
【0058】
本発明の一態様のタッチパネルモジュールは、タッチセンサ22によりタッチ動作が行
われた際の容量の変化に基づき、位置情報を出力することができる。また表示部32によ
り、画像を表示することができる。
【0059】
[断面構成例1]
以下では、タッチパネルモジュール10の断面構成の例について、図面を参照して説明
する。以下で例示するタッチパネルモジュール10は、表示素子として横電界方式の液晶
素子を適用したものである。
【0060】
図2は、タッチパネルモジュール10の断面概略図である。図2では、図1(A)にお
けるFPC42を含む領域、回路34を含む領域、表示部32を含む領域、FPC41を
含む領域などの断面を示している。
【0061】
基板21と、基板31とは、接着層141によって貼り合わされている。また基板21
、基板31、及び接着層141に囲まれた領域に、液晶152が封止されている。
【0062】
基板31と基板21との間には、導電層23及び導電層24を含むタッチセンサ22、
接続部101、配線29、表示素子60、トランジスタ201、トランジスタ202、容
量素子203、接続部204、配線35等が設けられている。
【0063】
基板31上には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214等の絶縁
層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として
機能し、また他の一部は容量素子203の誘電体としての機能を有する。絶縁層212、
絶縁層213、及び絶縁層214は、各トランジスタや容量素子203等を覆って設けら
れている。絶縁層214は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジス
タ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214の3層を有する場
合を示しているが、これに限られず4層以上であってもいいし、単層、または2層であっ
てもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば設けなくてもよい
【0064】
また、基板31上には、導電層221、導電層222、導電層223、半導体層231
、導電層151等が設けられている。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の
層に同じ符号を付して説明する場合がある。
【0065】
導電層221は、各トランジスタのゲート電極や、容量素子203の一方の電極、また
は配線などに用いることができる。導電層222は、各トランジスタのソース電極または
ドレイン電極、容量素子203のもう一方の電極、若しくは配線などに用いることができ
る。導電層223は、各トランジスタのもう一つのゲート電極や、配線などに用いること
ができる。半導体層231は、トランジスタの半導体層などに用いることができる。
【0066】
図2では、表示部32の例として、1つの副画素の断面を示している。例えば、副画素
は赤色を呈する副画素、緑色を呈する副画素、青色を呈する副画素のいずれかとすること
で、フルカラーの表示を行うことができる。例えば図2に示す副画素は、トランジスタ2
02と、容量素子203と、表示素子60と、着色層131Rと、を有する。ここで、ト
ランジスタ202、容量素子203、及び配線等により副画素回路が構成されている。
【0067】
図2では、回路34の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している。
【0068】
図2では、トランジスタ201及びトランジスタ202の例として、チャネルが形成さ
れる半導体層231を2つのゲート電極(導電層221、導電層223)で挟持する構成
を適用した例を示している。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界
効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、
高速動作が可能な回路を作製することができる。さらには回路部の占有面積を縮小するこ
とが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示パネルまたはタ
ッチパネルを大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線にお
ける信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することが可能である。
【0069】
ここで、図2等では、説明を容易にするため、表示素子60の直下にトランジスタ20
2や容量素子203等が配置されている例を示している。反射型の液晶表示装置の場合に
は、このようにトランジスタや容量素子、または回路を構成する配線などと表示素子60
と重ねて配置することで、開口率を高めることができる。また透過型の液晶表示装置の場
合には、表示素子60よりも下側には透光性の材料を含む層を配置し、トランジスタ20
2や容量素子203等は配置しない構成とすることが好ましい。
【0070】
また、反射型の液晶表示装置とする場合には、図2に示すように導電層151をトラン
ジスタ202の半導体層231と重ねて配置すると、副画素の開口率を高めることができ
るため好ましい。このとき、導電層151と半導体層231との間に導電層223を設け
ることが好ましい。導電層223により、導電層151の電界の影響が半導体層231に
伝わることがなく、誤動作が抑制される。なお、導電層223を設けない場合は、例えば
図3に示すように、半導体層231と導電層151とが重畳しないようにそれぞれを配置
することが好ましい。
【0071】
なお、回路34が有するトランジスタと、表示部32が有するトランジスタは、同じ構
造であってもよい。また回路34が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であって
もよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部32が
有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジス
タを組み合せて用いてもよい。
【0072】
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素
などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212また
は絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで
、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能と
なり、信頼性の高いタッチパネルを実現できる。
【0073】
図2には、表示素子60にFFS(Fringe Field Switching)
モードが適用された液晶素子を用いた場合の例を示している。表示素子60は、導電層1
51、液晶152、及び導電層153を有する。導電層151と導電層153との間に生
じる電界により、液晶の配向を制御することができる。
【0074】
絶縁層214上に、導電層153が配置されている。また導電層153を覆って絶縁層
215が設けられ、絶縁層215上に導電層151が設けられている。導電層151は、
絶縁層215、絶縁層214、絶縁層213、絶縁層212に設けられた開口を介してト
ランジスタ202のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0075】
導電層151は、櫛歯状の上面形状、またはスリットが設けられた上面形状(平面形状
ともいう)を有する。また、導電層153は導電層151と重ねて配置されている。また
着色層131R等と重なる領域において、導電層153上に導電層151が配置されてい
ない部分を有する。
【0076】
図2では、導電層151が画素電極として機能し、導電層153が共通電極として機能
する。なお、上層に設けられ、櫛歯状またはスリット状の上面形状を有する導電層151
を共通電極とし、下層に設けられる導電層153を画素電極として用いることもできる。
その場合には、導電層153をトランジスタ202のソース又はドレインの一方と電気的
に接続すればよい。
【0077】
基板21の基板31側の面には、絶縁層126、遮光層115、絶縁層127、導電層
23、導電層24、導電層25、配線29、絶縁層121、絶縁層123、スペーサ12
4、着色層131R、着色層131B等が設けられている。
【0078】
図2では、導電層23と導電層24の交差部の断面を示している。導電層23と導電層
24とは同一面上に設けられている。導電層25と、導電層23及び導電層24との間に
は絶縁層121が設けられている。導電層25の一部は導電層23と重なっている。導電
層23を挟む2つの導電層24は、絶縁層121に設けられた開口を介して導電層25と
電気的に接続している。
【0079】
着色層131R等は、導電層27の基板31側に設けられている。また着色層131R
等を覆って絶縁層123が設けられている。
【0080】
図2では、表示素子60が導電層151と、導電層153の一部と、これらの上方に位
置する液晶152により構成されている。
【0081】
なお、導電層151、絶縁層214等において、液晶152と接する面には、液晶15
2の配向を制御するための配向膜が設けられていてもよい。
【0082】
図2に示す構成では、導電層23が表示素子60と重ならないように配置されている例
を示している。言い換えると、導電層23が有する開口と、表示素子60とが重なるよう
に、導電層23が配置されている。または、導電層23は隣接する2つの副画素が有する
、2つの導電層151の間の領域と重なるように配置されているとも言い換えることがで
きる。なお、ここでは導電層23の例を示しているが、導電層24や導電層25も同様に
、表示素子60と重ならないように配置されていることが好ましい。
【0083】
例えば表示素子60を反射型の液晶素子とする場合には、導電層151及び導電層15
3のいずれか、または両方に、可視光を反射する材料を用いることができる。これらの両
方に可視光を反射する材料を用いると開口率を高めることができる。また、導電層153
に可視光を反射する材料を用い、導電層151に可視光を透過する材料を用いてもよい。
このような構成により、表示素子60を反射型の液晶素子とすることができる。
【0084】
一方、表示素子60を透過型の液晶素子とする場合には、導電層151及び導電層15
3のいずれか、または両方に、可視光を透過する材料を用いることができる。これらの両
方に可視光を透過する材料を用いると開口率を高めることができる。また、導電層153
に可視光を透過する材料を用い、導電層151に可視光を遮光する材料を用いてもよい。
【0085】
表示素子60が透過型の液晶素子の場合、例えば図示しない偏光板を、表示部を挟むよ
うに2つ配置する。偏光板よりも外側に配置されたバックライトからの光は偏光板を介し
て入射される。このとき、導電層151と導電層153の間に与える電圧によって液晶1
52の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板を介して
射出される光の強度を制御することができる。また入射光は着色層131Rによって特定
の波長領域以外の光が吸収されることにより、射出される光は例えば赤色を呈する光とな
る。
【0086】
また偏光板に加えて、例えば円偏光板を用いることができる。円偏光板としては、例え
ば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。円偏光板によ
り、視野角依存を低減することができる。
【0087】
ここでは、表示素子60として、タッチパネルモジュール10の厚さ方向に概略垂直な
方向に一対の電極を配置し、液晶152に対して厚さ方向に概略垂直な方向に電界をかけ
る方式を示している。なお電極の配置方法としてはこれに限られず、厚さ方向に電界をか
ける方式を適用してもよい。
【0088】
表示素子60に適用可能な液晶素子としては、様々なモードが適用された液晶素子を用
いることができる。例えばVA(Vertical Alignment)モード、TN
(Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane-Switch
ing)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、A
SM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)
モード、OCB(Optically Compensated Birefringe
nce)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal
)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Cryst
al)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0089】
また、タッチパネルモジュール10にノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂
直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置を適用してもよい。垂直配向モー
ドとしては、MVA(Multi-Domain Vertical Alignmen
t)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モ
ード、ASVモードなどを用いることができる。
【0090】
なお、液晶素子は、液晶の光学変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子
である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電
界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶として
は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:P
olymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、
反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリ
ック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0091】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく
、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0092】
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよ
い。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリ
ック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発
現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組
成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速
度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組
成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよい
のでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防
止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0093】
導電層27は、表示部32のうち導電層25が設けられていない領域を覆って設けられ
ている。
【0094】
また図2等に示すように、導電層25と導電層27とは、同一の膜を加工して形成され
ていることが好ましい。
【0095】
導電層25及び導電層27は、可視光を透過する導電性材料を用いることが好ましい。
【0096】
可視光を透過する導電層25及び導電層27は、例えば金属酸化物を含む導電性材料を
含んで構成される。例えば、後述する透光性を有する導電性材料のうち、金属酸化物を用
いることができる。
【0097】
または、導電層25及び導電層27は、他の導電層や半導体層と同一の金属元素を含む
金属酸化物を用いることが好ましい。特に、タッチパネルモジュール10が有するトラン
ジスタの半導体層に酸化物半導体を用いた場合、これに含まれる金属元素を含む導電性酸
化物を適用することが好ましい。
【0098】
導電層27として導電性の金属酸化物を用いることにより、その表面の酸化が抑制され
、信頼性の高いタッチパネルモジュール10を実現できる。
【0099】
図2において、導電層27は、導電層23、導電層24等と重ねて配置されている。そ
のため、導電層27に共通電位、接地電位、またはそれ以外の任意の定電位を与えること
により、導電層23、導電層24を駆動させたときに、基板31側に発せられる電気的な
ノイズを遮蔽することができる。また同時に、基板31側に設けられた副画素回路を駆動
させたときに、基板21側に発せられる電気的なノイズを遮蔽することができる。
【0100】
このとき、導電層27には液晶152のスイッチングに影響しない定電位を供給すれば
よい。例えば接地電位、共通電位、または任意の定電位を用いることができる。また例え
ば、導電層27と導電層153とを同電位としてもよい。
【0101】
また、導電層27に適切な電位を与えることにより、導電層151と導電層153との
間に生じる電界の向き(電気力線の向き)のうち、厚さ方向の成分を低減し、より効果的
に厚さに対して概略垂直な方向(横方向)に電界が向くようにすることができる。こうす
ることで、液晶152の配向欠陥を抑制し、光漏れなどの不具合が生じることを防ぐこと
ができる。
【0102】
基板31の端部に近い領域には、接続部204が設けられている。接続部204は、接
続層242を介してFPC42と電気的に接続されている。図2では、配線35の一部と
、導電層223を積層することで接続部204を構成している例を示している。また基板
21の端部に近い領域には、接続部101が設けられている。接続部101は、接続層2
41を介してFPC41と電気的に接続されている。図2に示す構成では、配線29の一
部と、導電層25と同一の導電膜を加工して得られた導電層とを積層して接続部101を
構成している例を示している。
【0103】
また図2では、一例として配線として機能する導電層221と、配線として機能する導
電層222との交差部の断面構造を示している。例えば、導電層221を走査線として機
能する配線、および容量線として機能する配線の一方または両方として用い、導電層22
2を信号線として機能する配線として用いることができる。
【0104】
ここで、基板21よりも上部に、指またはスタイラスなどの被検知体が直接触れる基板
を設けてもよい。またこのとき、基板21と当該基板との間に偏光板または円偏光板を設
けることが好ましい。その場合、当該基板上に保護層(セラミックコート等)を設けるこ
とが好ましい。保護層は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの無機絶縁材料を用いることができる。また
、当該基板に強化ガラスを用いてもよい。強化ガラスは、イオン交換法や風冷強化法等に
より物理的、または化学的な処理が施され、その表面に圧縮応力を加えたものを用いるこ
とができる。
【0105】
絶縁層123は、着色層131R等に含まれる顔料などの不純物が液晶152に拡散す
ることを防ぐオーバーコートとしての機能を有する。
【0106】
スペーサ124は、絶縁層123上に設けられ、基板21と基板31との距離が一定以
上近づくことを防ぐ機能を有する。図2ではスペーサ124と基板31側の構造物(例え
ば導電層151や絶縁層214等)とが接触していない例を示すが、これらが接していて
もよい。またここではスペーサ124が基板21側に設けられている例を示したが、基板
31側に設けてもよい。例えば、隣接する2つの副画素が有する、2つの導電層151の
間に配置すればよい。または、スペーサ124として粒状のスペーサを用いてもよい。粒
状のスペーサとしては、シリカなどの材料を用いることもできるが、有機樹脂やゴムなど
の弾性を有する材料を用いることが好ましい。このとき、粒状のスペーサは上下方向に潰
れた形状となる場合がある。
【0107】
ここで、図2に示すようにスペーサ124と導電層23(または導電層24、導電層2
5)と重ねて配置することが好ましい。こうすることで、表示素子60が配置される部分
にはスペーサ124が配置されないため、スペーサ124によって光が吸収、屈折または
散乱などされることがないため、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0108】
本発明の一態様のタッチパネルモジュール10において、導電層23、導電層24より
も基板21側に、隣接する副画素間の混色を抑制する遮光層115が設けられている。し
たがって、遮光層115により導電層23や導電層24が外光を反射することにより視認
性が低下してしまうことを抑制することができる。そのため、導電層23、導電層24と
して、可視光を反射する材料を用いることができる。または、可視光を透過する材料を用
いた場合であっても、導電層23や導電層24が配置されている部分と、そうでない部分
の境界が視認されることがないため、視認性を向上することができる。
【0109】
一方、導電層27は可視光を透過する材料を含んで構成されるため、表示素子60及び
着色層131R等を透過した光は、導電層27を透過して外部に射出される。
【0110】
なお、図2において、着色層131R等を覆って絶縁層123を設ける構成を示したが
、絶縁層123を無くす構成としてもよい。そうすることで、タッチパネルモジュール1
0を作製する際に必要なフォトマスク、及びパターニング工程を省略することができる。
【0111】
なお、図2では、着色層131Rよりも基板21側に導電層27を配置した場合を示し
たが、これらが重ねて配置されていればよく、この構成に限られない。
【0112】
図3に示すタッチパネルモジュール10は、導電層27を着色層131Rよりも基板3
1側に配置した場合の例を示している。
【0113】
また図4及び図5に示すタッチパネルモジュールは、導電層27を絶縁層123よりも
基板31側に配置した場合の例を示している。
【0114】
図4図5とでは、絶縁層123に設けられる開口の形状が異なる点で相違している。
【0115】
図4では、導電層25と絶縁層123とが重ならないように、導電層25が形成される
位置及びその近傍を含んで、絶縁層123に開口が形成されている。
【0116】
一方、図5では、導電層25と絶縁層121との間に絶縁層123の一部が配置される
ように、絶縁層123が加工されている場合を示している。このとき、導電層25と導電
層24とは、絶縁層121と絶縁層123に設けられた開口を介して電気的に接続してい
る。
【0117】
図6では、着色層131R等を導電層27よりも基板21側に配置した例を示している
。また図6に示す構成では、着色層131Rを覆って絶縁層127が設けられている。絶
縁層127によって、着色層131R等の段差を被覆することで、導電層23や導電層2
4等の被形成面の平坦性が高まり、検出感度の均一性を高めることができる。
【0118】
以上が断面構成例1についての説明である。
【0119】
[断面構成例2]
以下では、上記とは一部の構成が異なる断面構成例について説明する。具体的には、導
電層25及び導電層27に、酸化物半導体を用いた場合の断面構成の一例について説明す
る。
【0120】
図7は、図2と比較して、導電層25、導電層27等を覆う絶縁層122を有する点で
主に相違している。
【0121】
導電層25及び導電層27は、低抵抗化された酸化物半導体を含んで構成されているこ
とが好ましい。特に、タッチパネルモジュール10が有するトランジスタの半導体層に酸
化物半導体を用いた場合、これよりも抵抗率の低い酸化物半導体を適用することが好まし
い。
【0122】
例えば、後述する酸化物半導体の抵抗率の制御方法により、導電層27を低抵抗化させ
ることができる。
【0123】
またこのとき、導電層25及び導電層27を覆う絶縁層122としては、水素を多く含
む絶縁層を用いることが好ましい。特に絶縁層122は、窒化シリコンを含む絶縁膜を含
むことが好ましい。
【0124】
導電層27として導電性の金属酸化物、または低抵抗化された酸化物半導体を用いるこ
とにより、その表面の酸化が抑制され、信頼性の高いタッチパネルモジュール10を実現
できる。
【0125】
図8図9図10、及び図11は、それぞれ図3図4図5、及び図6に、絶縁層
122を追加した場合の例を示している。図8乃至図11において、導電層25及び導電
層27はそれぞれ、トランジスタの半導体層及び導電層223と同一の金属を含む酸化物
半導体を含んで構成されている。
【0126】
以上が断面構成例2についての説明である。
【0127】
[変形例]
以下では、本発明の一態様のタッチパネルが有するトランジスタの構造がトップゲート
型のトランジスタの例を図12及び図13に示す。
【0128】
図12に示すタッチパネルモジュールは、図2で例示した構成と比較し、トランジスタ
301、302の構造が主に相違している。トランジスタの構造以外は図2に示す構成と
ほぼ同一であるため、同一の箇所には同一の符号を用い、共通の部分の詳細な説明は省略
することとする。
【0129】
また、図13に示すタッチパネルモジュールは、図7で例示した構成にトップゲート型
のトランジスタを適用した場合の例を示している。
【0130】
図12及び図13には、表示素子60にFFSモードが適用された液晶素子を用いた場
合の例を示している。表示素子60は、導電層151、液晶152、及び導電層153を
有する。
【0131】
トランジスタ301、302は、バッファ層300上に半導体層と、ゲート絶縁層とし
て機能する絶縁層と、ゲート絶縁層を介して半導体層と重なるゲート電極として機能する
導電層と、ゲート電極として機能する導電層を覆う絶縁層と、ソース電極として機能する
導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、を有する。また、ゲート電極と重なら
ない半導体層の領域はゲート電極と重なるチャネル形成領域よりも低抵抗な領域とするこ
とが好ましい。
【0132】
酸化物半導体層を用いる場合、ゲート電極と重ならない半導体層の領域をチャネル形成
領域よりも低抵抗な領域とするため、ゲート電極と重ならない半導体層に不純物元素(希
ガスや、窒素や、リンや、ボロンや、水素など)を添加することが好ましい。希ガスとし
てはヘリウム、アルゴンなどを用いることができる。また、不純物の添加方法としては、
プラズマを用いる方法やイオン注入法などを用いることができる。イオン注入法を用いる
と、ゲート電極をマスクとして自己整合的に不純物元素を添加して酸化物半導体層の一部
を低抵抗化させることができ、好ましい。
【0133】
容量素子203は、ゲート電極として機能する導電層と、ソース電極またはドレイン電
極として機能する導電層と、それらの間に配置される絶縁層を誘電体として形成される。
また、接続部204は、配線35の一部と、導電層223を積層することで構成している
。導電層223としては、スパッタリング法を用い、酸素ガスを含む雰囲気にて成膜する
ことで、導電層223の被形成面となる、絶縁層212に酸素または過剰酸素を添加する
。また、過剰酸素によりトランジスタ301、302の酸化物半導体層中の酸素欠損が補
填され、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。また、絶縁層212及び/
または酸化物半導体層中に過剰の酸素を供給する場合において、絶縁層213は、酸素の
透過を抑制することができる材料を用いることが好ましい。
【0134】
バッファ層300としては酸化珪素や金属酸化物などの絶縁材料を用いる。バッファ層
300として用いる金属酸化物としては、アルミニウム、インジウム、ガリウム、亜鉛な
どを一種または複数種有する酸化物を用いる。また、バッファ層300は水や水素などの
不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、バッファ層300はバリ
ア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタ301
、302に対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、
信頼性の高いタッチパネルを実現できる。
【0135】
以上が変形例についての説明である。
【0136】
〔各構成要素について〕
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0137】
{基板}
タッチパネルが有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子
からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英
、セラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0138】
厚さの薄い基板を用いることで、タッチパネルの軽量化、薄型化を図ることができる。
さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有するタッチパネル
を実現できる。
【0139】
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホ
ウケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0140】
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度
の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメ
チルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PE
S)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げら
れる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド
樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機
樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用
することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いたタ
ッチパネルも軽量にすることができる。
【0141】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙
げた基板の他に、金属基板、セラミック基板、または半導体基板等を用いることもできる
。金属材料や合金材料は熱伝導性が高く、封止基板全体に熱を容易に伝導できるため、タ
ッチパネルの局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得る
ためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上5
0μm以下であることがより好ましい。
【0142】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニ
ッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用い
ることができる。
【0143】
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理
が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電
着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲
気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成し
てもよい。
【0144】
可撓性を有する基板に、タッチパネルの表面を傷などから保護するハードコート層(例
えば、窒化シリコン層など)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂層な
ど)等と積層されて構成されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等
を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。
例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無
機絶縁材料を用いることができる。
【0145】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とする
と、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高いタッチパネルとすることができ
る。
【0146】
例えば、表示素子に近い側からガラス層、接着層、及び有機樹脂層を積層した基板を用
いることができる。当該ガラス層の厚さとしては20μm以上200μm以下、好ましく
は25μm以上100μm以下とする。このような厚さのガラス層は、水や酸素に対する
高いバリア性と可撓性を同時に実現できる。また、有機樹脂層の厚さとしては、10μm
以上200μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下とする。このような有機樹脂
層を設けることにより、ガラス層の割れやクラックを抑制し、機械的強度を向上させるこ
とができる。このようなガラス材料と有機樹脂の複合材料を基板に適用することにより、
極めて信頼性が高いフレキシブルなタッチパネルとすることができる。
【0147】
{トランジスタ}
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として
機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する
絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示し
ている。
【0148】
なお、本発明の一態様のタッチパネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない
。例えば、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしても
よい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよ
い。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、酸化物半導体、シリコ
ン、ゲルマニウム等が挙げられる。
【0149】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、
結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0150】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素、化合物半
導体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半
導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
【0151】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると
、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0152】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn
)を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、G
a、Ge、Y、Zr、Sn、La、Ce、HfまたはNd等の金属)で表記される酸化物
を含む。
【0153】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界が確認
できない酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0154】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの
応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、
可撓性を有し、湾曲させて用いるタッチパネルなどに、このような酸化物半導体を好適に
用いることができる。
【0155】
また半導体層としてこのような結晶性を有する酸化物半導体を用いることで、電気特性
の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0156】
また、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いたトランジスタは、
その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間
に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、
各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消
費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0157】
半導体層は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(Al、Ti、Ga、Y、Zr
、La、Ce、SnまたはHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸化物で表記される膜を
含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつき
を減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0158】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム、スズ、ハフ
ニウム、アルミニウム、またはジルコニウム等がある。また、他のスタビライザーとして
は、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、
ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、
ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
【0159】
半導体層を構成する酸化物半導体として、例えば、In-Ga-Zn系酸化物、In-
Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-L
a-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd
-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-
Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Z
n系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn
系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-
Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化
物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることが
できる。
【0160】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有す
る酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZ
n以外の金属元素が入っていてもよい。
【0161】
また、半導体層と、導電層は、上記酸化物のうち、同一の金属元素を有していてもよい
。半導体層と、導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることがで
きる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで製造コストを低減
させることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチ
ング液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と、導電層は、同一の金属元素
を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工
程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0162】
なお、半導体層がIn-M-Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInとM
の原子数比率は、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはIn
が25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが
34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。
【0163】
半導体層は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ま
しくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いる
ことで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0164】
半導体層の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下
、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0165】
半導体層がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、L
a、Ce、HfまたはNd)の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパ
ッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ま
しい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Z
n=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2が好ま
しい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリン
グターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0166】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体層は
、キャリア密度が1×1017個/cm以下、好ましくは1×1015個/cm以下
、さらに好ましくは1×1013個/cm以下、より好ましくは1×1011個/cm
以下、さらに好ましくは1×1010個/cm未満であり、1×10-9個/cm
以上のキャリア密度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、
高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低
く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0167】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥
密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好まし
い。
【0168】
半導体層において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層
において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや
炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass
Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm
以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0169】
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生
成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半
導体層において、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atom
s/cm以下にする。
【0170】
また、半導体層に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が
増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジ
スタはノーマリーオン特性となりやすい。このため例えば、二次イオン質量分析法により
得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下にすることが好ましい。
【0171】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、CAAC
-OS(C Axis Aligned-Crystalline Oxide Sem
iconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶
構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密
度が低い。
【0172】
半導体層は、例えば非晶質構造でもよい。非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原
子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば
、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0173】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAA
C-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上を有する混合膜であってもよい。
混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC
-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する場合がある。また、
混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC
-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合があ
る。
【0174】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ま
しい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリ
コンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコ
ンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温
で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備え
る。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることがで
きる。また表示パネルが極めて高精細な場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回
路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減す
ることができる。
【0175】
{導電層}
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、タッチパネルを構成する各種配
線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、
クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、また
はタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれ
らの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコ
ンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、
タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウ
ム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングス
テン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてア
ルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成す
る三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜ま
たは銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層
構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい
。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ま
しい。
【0176】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、イ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物または
グラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タ
ングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの
金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒
化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそ
れらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材
料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とイン
ジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
【0177】
または、導電層として、半導体層と同様の酸化物半導体を用いることが好ましい。この
とき導電層が、半導体層のチャネルが形成される領域よりも低い電気抵抗を呈するように
、形成されていることが好ましい。
【0178】
例えばこのような導電層を、導電層25、導電層27、トランジスタの第2のゲート電
極として機能する導電層223などに適用することができる。または、透光性を有する他
の導電層にも適用することができる。
【0179】
{酸化物半導体の抵抗率の制御方法}
半導体層及び導電層に用いることのできる酸化物半導体膜は、膜中の酸素欠損及び/又
は膜中の水素、水等の不純物濃度によって、抵抗率を制御することができる半導体材料で
ある。そのため、半導体層及び導電層へ酸素欠損及び/又は不純物濃度が増加する処理、
または酸素欠損及び/又は不純物濃度が低減する処理を選択することによって、それぞれ
の酸化物半導体膜の抵抗率を制御することができる。
【0180】
具体的には、導電層に用いる酸化物半導体膜にプラズマ処理を行い、該酸化物半導体の
膜中の酸素欠損を増加させる、および/または酸化物半導体の膜中の水素、水等の不純物
を増加させることによって、キャリア密度が高く、抵抗率が低い酸化物半導体膜とするこ
とができる。また、酸化物半導体膜に水素を含む絶縁膜を接して形成し、該水素を含む絶
縁膜から酸化物半導体膜に水素を拡散させることによって、キャリア密度が高く、抵抗率
が低い酸化物半導体膜とすることができる。
【0181】
一方、トランジスタのチャネル領域として機能する半導体層は、水素を含む絶縁膜と接
しない構成とする。半導体層と接する絶縁膜の少なくとも一つに酸素を含む絶縁膜、別言
すると、酸素を放出することが可能な絶縁膜を適用することで、半導体層に酸素を供給す
ることができる。酸素が供給された半導体層は、膜中または界面の酸素欠損が補填され抵
抗率が高い酸化物半導体膜となる。なお、酸素を放出することが可能な絶縁膜としては、
例えば、酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜を用いることができる。
【0182】
また、抵抗率が低い酸化物半導体膜を得るために、イオン注入法、イオンドーピング法
、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、水素、ボロン、リ
ン、または窒素を酸化物半導体膜に注入してもよい。
【0183】
また、抵抗率が低い酸化物半導体膜を得るために、該酸化物半導体膜にプラズマ処理を
行ってもよい。例えば、該プラズマ処理としては、代表的には、希ガス(He、Ne、A
r、Kr、Xe)、水素、及び窒素の中から選ばれた一種以上を含むガスを用いたプラズ
マ処理が挙げられる。より具体的には、Ar雰囲気下でのプラズマ処理、Arと水素の混
合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、アンモニア雰囲気下でのプラズマ処理、Arとアンモ
ニアの混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、または窒素雰囲気下でのプラズマ処理などが
挙げられる。
【0184】
上記プラズマ処理によって、酸化物半導体膜は、酸素が脱離した格子(または酸素が脱
離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損は、キャリアを発生する要因になる場合
がある。また、酸化物半導体膜の近傍、より具体的には、酸化物半導体膜の下側または上
側に接する絶縁膜から水素が供給されると、上記酸素欠損と水素が結合することで、キャ
リアである電子を生成する場合がある。
【0185】
一方、酸素欠損が補填され、水素濃度が低減された酸化物半導体膜は、高純度真性化、
又は実質的に高純度真性化された酸化物半導体膜といえる。ここで、実質的に真性とは、
酸化物半導体膜のキャリア密度が、8×1011個/cm未満、好ましくは1×10
/cm未満、さらに好ましくは1×1010個/cm未満であることを指す。高純
度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため
、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性で
ある酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度を低減することがで
きる。
【0186】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著し
く小さく、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソー
ス電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ
電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下と
いう特性を得ることができる。したがって、上述した高純度真性または実質的に高純度真
性である酸化物半導体膜を用いる半導体層をチャネル領域に用いるトランジスタは、電気
特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0187】
導電層として用いる酸化物半導体膜と接する絶縁膜として、例えば、水素を含む絶縁膜
、別言すると水素を放出することが可能な絶縁膜、代表的には窒化シリコン膜を用いるこ
とで、導電層に水素を供給することができる。水素を放出することが可能な絶縁膜として
は、膜中の含有水素濃度が1×1022atoms/cm以上であると好ましい。この
ような絶縁膜を導電層に接して形成することで、導電層に効果的に水素を含有させること
ができる。このように、半導体層及び導電層に接する絶縁膜の構成を変えることによって
、酸化物半導体膜の抵抗率を制御することができる。
【0188】
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に
、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損
に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が
金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。
したがって、水素が含まれている絶縁膜と接して設けられた導電層は、半導体層よりもキ
ャリア密度の高い酸化物半導体膜となる。
【0189】
トランジスタのチャネル領域が形成される半導体層は、水素ができる限り低減されてい
ることが好ましい。具体的には、半導体層において、二次イオン質量分析法により得られ
る水素濃度を、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atom
s/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、5×1018
toms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましく
は5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/c
以下とする。
【0190】
一方、導電層は、半導体層よりも水素濃度及び/又は酸素欠損量が多く、抵抗率が低い
酸化物半導体膜である。導電層に含まれる水素濃度は、8×1019atoms/cm
以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上、より好ましくは5×1020
toms/cm以上である。また、半導体層と比較して、導電層に含まれる水素濃度は
2倍以上、好ましくは10倍以上である。また、導電層の抵抗率が、半導体層の抵抗率の
1×10-8倍以上1×10-1倍未満であることが好ましく、代表的には1×10-3
Ωcm以上1×10Ωcm未満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10-3Ωcm以上
1×10-1Ωcm未満であるとよい。
【0191】
{絶縁層}
各絶縁層、オーバーコート、スペーサ等に用いることのできる絶縁材料としては、例え
ば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、
酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁
材料を用いることもできる。
【0192】
{接着層}
接着層としては、熱硬化樹脂や光硬化樹脂、2液混合型の硬化性樹脂などの硬化性樹脂
を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、またはシ
リコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂などを用いることができる。
【0193】
{接続層}
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Condu
ctive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic C
onductive Paste)などを用いることができる。
【0194】
{着色層}
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含
まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0195】
以上が各構成要素についての説明である。
【0196】
[タッチセンサの構成例]
続いて、本発明の一態様のタッチパネルモジュール10に適用することのできるタッチ
センサ22の構成の例について、図面を参照して説明する。
【0197】
図14(A)は、タッチセンサ22の一部を示す上面概略図(平面概略図)である。ま
図14(B)は、図14(A)中の一点鎖線で囲った領域を拡大した上面概略図である
【0198】
図14(A)(B)に示すように、導電層23は、導電層25と交差する部分の幅が小
さくなるようにくびれた形状を有することが好ましい。こうすることで、容量素子11の
容量値を小さくすることが可能となる。例えば自己容量方式のタッチセンサの場合には、
容量素子11の容量値は小さいほど検出感度を向上させることができる。
【0199】
また、隣接する導電層23と導電層24との間には、これらと電気的に絶縁された導電
層26を有していてもよい。導電層26を有することにより、タッチセンサ22の厚さの
薄い部分が形成されてしまうことを抑制できる。例えば導電層23と導電層24とを同一
面上に形成する場合には、同様に形成された導電層26を設けることにより、これら導電
層の形成工程よりも後に形成する薄膜の被覆性を高め、表面を平坦化することができる。
また、タッチセンサ22の厚さが均一化されることで、これを透過する画素からの光の輝
度ムラが低減され、表示品位の高められたタッチパネルを実現することができる。
【0200】
また、図14(C)には、導電層23と導電層24とを異なる平面上に形成し、導電層
25を設けない場合について示している。このとき、導電層26は導電層23または導電
層24のいずれか一方と同一平面上に形成してもよいし、異なる平面上に形成してもよい
。なお、導電層26を設ける必要のない場合には、設けなくてもよい。
【0201】
図15(A)は、図14とは異なるパターンを有するタッチセンサの一部を示す上面概
略図である。
【0202】
図15(A)に示す例では、導電層23と導電層24の交差部において、導電層23の
幅が導電層24の幅よりも大きくなっている。
【0203】
例えば、導電層23を表示部の長辺方向に平行に配置し、導電層24を短辺方向に平行
に配置した場合、導電層23の抵抗値の増大を防ぐために、図15に示すように導電層2
3の幅を導電層24よりも大きくすることは特に効果的である。
【0204】
図15(B)は、導電層23と電気的に接続する導電層25を配置した例である。この
ように、導電層25によりブリッジする構成とした場合、導電層23と導電層25の間の
接触抵抗が、検出感度に影響する場合がある。そのため、ブリッジ構造を有する導電層側
の幅を大きくすることは特に効果的である。なお、このとき、導電層23は表示部の短辺
方向に平行に配置される導電層であってもよい。
【0205】
図16(A)は、複数の導電層23と複数の導電層24を有するタッチセンサ22の回
路図の一例を示している。図16(A)では、簡単のために6本の導電層23と、6本の
導電層24とを有する構成を示しているが、その数に限られない。
【0206】
1本の導電層23と、1本の導電層24の間には、一つの容量素子11が形成されてい
る。したがって、容量素子11がマトリクス状に配置されている。
【0207】
投影型自己容量方式の場合、導電層23及び導電層24の各々にはパルス電圧を走査す
るように与えられ、その時に自己に流れる電流の値を検知する。被検知体が近づいた場合
には当該電流の大きさが変化するため、この差を検知することで被検知体の位置情報を取
得することができる。また投影型相互容量方式の場合には、導電層23または導電層24
のいずれか一方にパルス電圧を走査するように与えられ、他方に流れる電流を検知するこ
とにより、被検知体の位置情報を取得する。
【0208】
導電層23及び導電層24は、それぞれ複数の開口を有する格子状または網目状(メッ
シュ状)の形状を有することが好ましい。図16(B)には、導電層23の一部の上面形
状の例を示している。
【0209】
図16(B)に示す導電層23は、横方向の間隔P1、縦方向の間隔P2を有する格子
状の形状を有する。図16(B)では、間隔P1と間隔P2とが同程度である場合を示し
ているが、これらは異なる間隔で配置されていてもよい。例えば、図16(C)に示すよ
うに横方向の間隔P1よりも縦方向の間隔P2を大きくしてもよいし、その逆としてもよ
い。なお導電層24についても同様である。
【0210】
導電層23または導電層24は、その開口率(単位面積当たりの導電層23または導電
層24の開口面積の割合)が、例えば20%以上100%未満、好ましくは30%以上1
00%未満、より好ましくは50%以上100%未満である領域を有することが好ましい
【0211】
開口率は、例えば間隔P1、間隔P2及び導電層の幅によって容易に算出することがで
きる。または、図16(B)に示す周期単位の領域Rにおいて、領域Rの面積と、領域R
に含まれる導電層23の面積の比によって、開口率を算出することができる。ここで領域
Rは、周期性を有する導電層23のパターンの周期単位となる領域であり、これを縦及び
横方向に周期的に配列させることで導電層23のパターンを形成することができる。
【0212】
導電層23及び導電層24において、格子を構成するパターンの幅を、例えば50nm
以上100μm以下、好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上2
0μm以下とすることが好ましい、このように、格子を構成するパターン幅を小さくする
ことで、後述するように開口と画素とを重ねる場合に、画素の間隔を狭めることが可能と
なるため、より高い精細度と高い開口率を有するタッチパネルを実現できる。
【0213】
図17(A)は、導電層23と導電層24の境界部分をさらに拡大した上面概略図であ
る。
【0214】
導電層23及び導電層24は、それぞれ格子状(網目状、メッシュ状ともいう)の形状
を有していることが好ましい。すなわち、導電層23及び導電層24は、それぞれ複数の
開口(開口23a及び開口24a)を有する形状とすることが好ましい。後述するように
、当該開口と画素とが重なるように設けることにより、画素が有する表示素子からの光を
導電層23及び導電層24によって遮光される、若しくは導電層23及び導電層24を透
過して輝度が低下してしまうことがない。その結果、画素の開口率や光取り出し効率を犠
牲にすることなく、タッチパネルにタッチセンサ22を適用することができる。また同様
に導電層25も画素と重ならないような形状とすることが好ましい。
【0215】
また図17(A)に示すように、これらの境界において、導電層23の一部と導電層2
4の一部とに囲まれた開口22aが形成されるような形状としてもよい。このような構成
とすることで、導電層23と導電層24との距離を限りなく小さくすることが可能で、こ
れらの容量を大きくすることができる。特に、相互容量方式を採用する際には、2つの導
電層の距離を小さくし、これらの間の容量を高めることが好ましい。
【0216】
図17(B)は、導電層23と導電層24の交差部を拡大した上面概略図である。ここ
では隣接する2つの導電層24を導電層25によって電気的に接続した例を示している。
導電層23及び導電層24と、導電層25との間には、図示しない絶縁層121が設けら
れている。また、導電層24と導電層25とは、当該絶縁層121に設けられた開口を介
して電気的に接続している。導電層23と導電層25とは、当該絶縁層121を介して互
いに重なる領域を有する。
【0217】
図18(A)は、図17(B)に導電層27を重ねて示した図である。また図18(B
)は、このときの導電層27及び導電層25を破線で示した図である。
【0218】
このように、導電層27には開口部(切欠き部ともいう)が設けられ、当該開口部の内
部に導電層25が位置している構成とすることができる。こうすることで、導電層27と
導電層25とを同一の導電膜を加工して形成することができる。
【0219】
なお、導電層27と導電層25とを異なる導電膜を加工して形成する場合には、導電層
27と導電層25とが重なっていてもよい。
【0220】
図19(A)は、図17及び図18とは異なるパターンの例である。ここでは、導電層
23と、導電層24の交差部近傍の上面概略図を示している。導電層24は導電層25に
よりブリッジされている。また、図19(B)は、導電層25及び導電層27を破線で示
した図である。
【0221】
図19では、導電層24の延伸方向に沿って、ストライプ状の複数の導電層27を設け
る例を示している。複数の導電層27は、表示部の外周部(例えば回路34と重なる部分
など)でそれぞれ電気的に接続され、同じ電位を供給可能な構成とすることが好ましい。
導電層27は、表示素子と重なる部分は幅が太く、導電層23と重なる部分は幅が細くな
るように、くびれた形状を有している。導電層27と導電層23の重なる面積を小さくす
ることで、導電層23の寄生容量を低減できる。
【0222】
[導電層の開口と画素の配置例]
図20の各図は、表示面側から見たときの画素及び画素に含まれる副画素と、導電層2
3の位置関係を示す概略図である。なお、ここでは導電層23を例に挙げて説明するが、
導電層24及び導電層25についても、同様の構成とすることができる。
【0223】
図20(A)では、画素33は副画素33R、副画素33G及び副画素33Bの3つの
副画素から構成されている例を示している。例えば、副画素33Rは赤色を表示し、副画
素33Gは緑色を表示し、副画素33Bは青色を表示する機能を有していればよい。なお
、画素33が有する副画素の数、及び副画素の色の種類はこれに限られない。
【0224】
画素33に含まれる複数の副画素は、それぞれ表示素子を備える。表示素子としては、
上述した液晶素子を用いることができる。そのほかにも、例えば有機EL素子などの発光
素子、透過型、半透過型または反射型の液晶素子、電気泳動方式や電子粉流体(登録商標
)方式などにより表示を行う表示素子(電子インクともいう)、シャッター方式のMEM
S表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子等が挙げられる。また副画素は、当該表示素
子に加えて、トランジスタや容量素子、及びこれらを電気的に接続する配線などを有して
いてもよい。
【0225】
図20(A)に示す構成では、導電層23の複数の開口のそれぞれが、副画素33R、
副画素33G及び副画素33Bの3つの副画素のいずれかと互いに重なるように配置され
ている。このように、導電層23の開口は、一つの副画素と重なるように配置されている
ことが好ましい。
【0226】
図20(B)では、隣接する異なる色を呈する2つの副画素の間に、導電層23を配置
する構成を示している。図20(B)に示すように、隣接する同じ色を呈する2つの副画
素の間では混色の問題が生じないため、ここに導電層23が設けられていない部分を有す
る構成としてもよい。
【0227】
図20(C)、(D)では、図20(A)、(B)に示す構成と比較して画素33がさ
らに副画素33Yを有している場合の例を示している。副画素33Yは、例えば黄色を表
示することができる画素を適用することができる。なお、副画素33Yに代えて、白色を
表示することのできる画素を適用することもできる。このように3色よりも多くの副画素
を備える画素33とすることで、消費電力を低減できる。
【0228】
図20(A)~(D)では、各々の副画素がストライプ状に配置された例を示したが、
例えば図20(E)に示すように、一方向に2色の副画素が交互に配置される構成として
もよい。
【0229】
また、画素33が有する副画素の大きさ(例えば表示に寄与する領域の面積)は、各々
の副画素で異なっていてもよい。例えば視感度の比較的低い青を示す副画素を大きく、ま
た視感度の比較的高い緑または赤を示す副画素を小さくすることもできる。
【0230】
図20(F)、(G)では、副画素33R、副画素33G及び副画素33Bのうち、副
画素33Bの大きさを、他の副画素よりも大きくした場合の例を示している。ここでは副
画素33Rと副画素33Gとが交互に配列する例を示しているが、図20(A)等に示す
ように3つの副画素のそれぞれをストライプ状に配置し、各々の大きさを異ならせた構成
とすることもできる。
【0231】
なお、上述のようにここでは導電層23と副画素との位置関係について説明したが、導
電層24及び導電層25についても同様である。すなわち、本発明の一態様のタッチパネ
ルは、導電層23の開口23aと、1以上の副画素とが互いに重なる領域を有し、且つ、
導電層24の開口24aと、他の1以上の副画素とが互いに重なる領域を有する。また上
述のように各副画素は表示素子を有しているため、開口23a及び開口24aは、それぞ
れ一以上の表示素子と互いに重なる領域を有するともいえる。
【0232】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0233】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の入力装置、または入出力装置の駆動方法の例につ
いて、図面を参照して説明する。
【0234】
[センサの検知方法の例]
図21(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図21
(A)では、パルス電圧出力回路601、電流検知回路602を示している。なお図21
(A)では、パルス電圧が与えられる電極621、電流の変化を検知する電極622をそ
れぞれ、X1-X6、Y1-Y6のそれぞれ6本の配線として示している。また図21
A)は、電極621および電極622が重畳することで形成される容量603を図示して
いる。なお、電極621と電極622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
【0235】
パルス電圧出力回路601は、X1-X6の配線に順にパルス電圧を印加するための回
路である。X1-X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量603を形成する電
極621および電極622は電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量
603の容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の接近、または接触を検出す
ることができる。
【0236】
電流検知回路602は、容量603での容量の変化による、Y1-Y6の配線での電流
の変化を検知するための回路である。Y1-Y6の配線では、被検知体の接近、または接
触がないと検知される電流値に変化はないが、検出する被検知体の接近、または接触によ
り容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検知する。なお電流の検知は、積分回
路等を用いて行えばよい。
【0237】
次いで図21(B)には、図21(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入
出力波形のタイミングチャートを示す。図21(B)では、1フレーム期間で各行列での
被検知体の検出を行うものとする。また図21(B)では、被検知体を検出しない場合(
非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。な
おY1-Y6の配線については、検知される電流値に対応する電圧値とした波形を示して
いる。
【0238】
X1-X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1-
Y6の配線での波形が変化する。被検知体の接近または接触がない場合には、X1-X6
の配線の電圧の変化に応じてY1-Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が接近
または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化す
る。
【0239】
このように、容量の変化を検知することにより、被検知体の接近または接触を検出する
ことができる。
【0240】
またパルス電圧出力回路601及び電流検知回路602として、一体化されたICの形
態でタッチパネルに実装される、若しくは電子機器の筐体内の基板に実装されることが好
ましい。また可撓性を有するタッチパネルとする場合には、曲げた部分では寄生容量が増
大し、ノイズの影響が大きくなってしまう恐れがあるため、ノイズの影響を受けにくい駆
動方法が適用されたICを用いることが好ましい。例えばシグナル-ノイズ比(S/N比
)を高める駆動方法が適用されたICを用いることが好ましい。
【0241】
また、図21(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量603のみを設けるパ
ッシブマトリクス型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを備えたア
クティブマトリクス型のタッチセンサとしてもよい。図22にアクティブマトリクス型の
タッチセンサに含まれる一つのセンサ回路の例を示している。
【0242】
センサ回路は容量603と、トランジスタ611と、トランジスタ612と、トランジ
スタ613とを有する。トランジスタ613はゲートに信号G2が与えられ、ソース又は
ドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量603の一方の電極およびトラン
ジスタ611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ611はソース又はドレインの
一方がトランジスタ612のソース又はドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧V
SSが与えられる。トランジスタ612はゲートに信号G1が与えられ、ソース又はドレ
インの他方が配線MLと電気的に接続する。容量603の他方の電極には電圧VSSが与
えられる。
【0243】
続いて、センサ回路の動作について説明する。まず信号G2としてトランジスタ613
をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ611のゲートが接続されるノ
ードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次いで信号G2としてトランジスタ
613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
【0244】
続いて、指等の被検知体の接近または接触により、容量603の容量が変化することに
伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
【0245】
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ612をオン状態とする電位を与える。ノー
ドnの電位に応じてトランジスタ611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が
変化する。この電流を検知することにより、被検知体の接近または接触を検出することが
できる。
【0246】
トランジスタ611、トランジスタ612、トランジスタ613としては、チャネルが
形成される半導体層に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることが好ましい。特
にトランジスタ613にこのようなトランジスタを適用することにより、ノードnの電位
を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(
リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
【0247】
[インセル型のタッチパネルの構成例]
上記では、タッチセンサを構成する電極を、表示素子等が設けられる基板とは異なる基
板上に形成した場合を示したが、表示素子等が設けられる基板上に、タッチセンサを構成
する一対の電極のいずれか一方、または両方を設ける構成としてもよい。
【0248】
以下では、複数の画素を有する表示部にタッチセンサを組み込んだタッチパネルの構成
例について説明する。ここでは、画素に設けられる表示素子として、液晶素子を適用した
例を示す。
【0249】
図23(A)は、本構成例で例示するタッチパネルの表示部に設けられる画素回路の一
部における等価回路図である。
【0250】
一つの画素は少なくともトランジスタ3503と液晶素子3504を有する。またトラ
ンジスタ3503のゲートに配線3501が、ソースまたはドレインの一方には配線35
02が、それぞれ電気的に接続されている。
【0251】
画素回路は、X方向に延在する複数の配線(例えば、配線3510_1、配線3510
_2)と、Y方向に延在する複数の配線(例えば、配線3511)を有し、これらは互い
に交差して設けられ、その間に容量が形成される。
【0252】
また、画素回路に設けられる画素のうち、一部の隣接する複数の画素は、それぞれに設
けられる液晶素子の一方の電極が電気的に接続され、一つのブロックを形成する。当該ブ
ロックは、島状のブロック(例えば、ブロック3515_1、ブロック3515_2)と
、Y方向に延在するライン状のブロック(例えば、ブロック3516)の、2種類に分類
される。なお、図23では、画素回路の一部のみを示しているが、実際にはこれら2種類
のブロックがX方向及びY方向に繰り返し配置される。
【0253】
X方向に延在する配線3510_1(または3510_2)は、島状のブロック351
5_1(またはブロック3515_2)と電気的に接続される。なお、図示しないが、X
方向に延在する配線3510_1は、ライン状のブロックを介してX方向に沿って不連続
に配置される複数の島状のブロック3515_1を電気的に接続する。また、Y方向に延
在する配線3511は、ライン状のブロック3516と電気的に接続される。
【0254】
図23(B)は、X方向に延在する複数の配線3510と、Y方向に延在する複数の配
線3511の接続構成を示した等価回路図である。X方向に延在する配線3510の各々
には、入力電圧または共通電位を入力することができる。また、Y方向に延在する配線3
511の各々には接地電位を入力する、または配線3511と検知回路と電気的に接続す
ることができる。
【0255】
以下、図24(A)(B)を用いて、上述したタッチパネルの動作について説明する。
【0256】
ここでは1フレーム期間を、書き込み期間と検知期間とに分ける。書き込み期間は画素
への画像データの書き込みを行う期間であり、図23(A)で示した配線3501(ゲー
ト線、または走査線ともいう)が順次選択される。一方、検知期間は、タッチセンサによ
るセンシングを行う期間であり、X方向に延在する配線3510が順次選択され、入力電
圧が入力される。
【0257】
図24(A)は、書き込み期間における等価回路図である。書き込み期間では、X方向
に延在する配線3510と、Y方向に延在する配線3511の両方に、共通電位が入力さ
れる。
【0258】
図24(B)は、検知期間のある時点における等価回路図である。検知期間では、Y方
向に延在する配線3511の各々は、検知回路と電気的に接続する。また、X方向に延在
する配線3510のうち、選択されたものには入力電圧が入力され、それ以外のものには
共通電位が入力される。
【0259】
なお、ここで例示した駆動方法は、インセル方式だけでなく上記で例示したタッチパネ
ルにも適用することができ、上記駆動方法例で示した方法と組み合わせて用いることがで
きる。
【0260】
このように、画像の書き込み期間とタッチセンサによるセンシングを行う期間とを、独
立して設けることが好ましい。これにより、画素の書き込み時のノイズに起因するタッチ
センサの感度の低下を抑制することができる。
【0261】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0262】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、または表示システムを有する表示モジ
ュール及び電子機器について、図25及び図26を用いて説明を行う。
【0263】
図25に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002と
の間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、フレーム8009、プリン
ト基板8010、バッテリ8011を有する。
【0264】
本発明の一態様のタッチパネルモジュールは、例えば、タッチパネル8004に用いる
ことができる。
【0265】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004のサイズに合わ
せて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0266】
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル
に重畳して用いることができる。また、タッチパネル8004の対向基板(封止基板)に
、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、タッチパネル800
4の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
【0267】
また、透過型の液晶素子を用いた場合には、図25に示すようにバックライト8007
を設けてもよい。バックライト8007は、光源8008を有する。なお、図25におい
て、バックライト8007上に光源8008を配置する構成について例示したが、これに
限定さない。例えば、バックライト8007の端部に光源8008を配置し、さらに光拡
散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場
合、または反射型パネル等の場合においては、バックライト8007を設けない構成とし
てもよい。
【0268】
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動
作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレ
ーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0269】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信
号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は
、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0270】
また、タッチパネル8004は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加
して設けてもよい。
【0271】
図26(A)乃至図26(H)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐
体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、操作キー50
05(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(
力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質
、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、にお
い又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することが
できる。
【0272】
図26(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009
、赤外線ポート5010、等を有することができる。図26(B)は記録媒体を備えた携
帯型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表
示部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図26(C)はゴー
グル型ディスプレイであり、上述したものの他に、第2表示部5002、支持部5012
、イヤホン5013、等を有することができる。図26(D)は携帯型遊技機であり、上
述したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図26(E)は
テレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5014、シ
ャッターボタン5015、撮像部5016、等を有することができる。図26(F)は携
帯型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011
、等を有することができる。図26(G)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したも
のの他に、信号の送受信が可能な充電器5017、等を有することができる。図26(H
)は腕時計型情報端末であり、上述したもののほかに、バンド5018、留め金5019
、等を有することができる。ベゼル部分を兼ねる筐体5000に搭載された表示部500
1は、非矩形状の表示領域を有している。表示部5001は、時刻を表すアイコン502
0、その他のアイコン5021等を表示することができる。
【0273】
図26(A)乃至図26(H)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。
例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッ
チパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プ
ログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコ
ンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は
受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に
表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器におい
ては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報
を表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な
画像を表示する機能、等を有することができる。さらに、撮像部を有する電子機器におい
ては、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補
正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影し
た画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図26(A)乃至図2
6(H)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を
有することができる。
【0274】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有す
ることを特徴とする。該表示部に、上記実施の形態で示した表示装置を適用することがで
きる。
【0275】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0276】
10 タッチパネルモジュール
11 容量素子
21 基板
22 タッチセンサ
22a 開口
23a 開口
24a 開口
23 導電層
24 導電層
25 導電層
26 導電層
27 導電層
29 配線
31 基板
32 表示部
33 画素
33B 副画素
33G 副画素
33R 副画素
33Y 副画素
34 回路
35 配線
41 FPC
42 FPC
60 表示素子
101 接続部
115 遮光層
121 絶縁層
122 絶縁層
123 絶縁層
124 スペーサ
126 絶縁層
127 絶縁層
131B 着色層
131R 着色層
141 接着層
151 導電層
152 液晶
153 導電層
201 トランジスタ
202 トランジスタ
203 容量素子
204 接続部
211 絶縁層
212 絶縁層
213 絶縁層
214 絶縁層
215 絶縁層
221 導電層
222 導電層
223 導電層
231 半導体層
241 接続層
242 接続層
300 バッファ層
301 トランジスタ
302 トランジスタ
601 パルス電圧出力回路
602 電流検知回路
603 容量
611 トランジスタ
612 トランジスタ
613 トランジスタ
621 電極
622 電極
3501 配線
3502 配線
3503 トランジスタ
3504 液晶素子
3510 配線
3510_1 配線
3510_2 配線
3511 配線
3515_1 ブロック
3515_2 ブロック
3516 ブロック
5000 筐体
5001 表示部
5002 表示部
5003 スピーカ
5004 LEDランプ
5005 操作キー
5006 接続端子
5007 センサ
5008 マイクロフォン
5009 スイッチ
5010 赤外線ポート
5011 記録媒体読込部
5012 支持部
5013 イヤホン
5014 アンテナ
5015 シャッターボタン
5016 撮像部
5017 充電器
5018 バンド
5019 留め金
5020 アイコン
5021 アイコン
8000 表示モジュール
8001 上部カバー
8002 下部カバー
8003 FPC
8004 タッチパネル
8006 表示パネル
8007 バックライト
8008 光源
8009 フレーム
8010 プリント基板
8011 バッテリ
図1
図2
図3
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図5
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