(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181195
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】光トンネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/08 20060101AFI20231214BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20231214BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G02B5/08 Z
G02B6/00 301
F21V7/04
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172546
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2020561020の分割
【原出願日】2019-05-01
(31)【優先権主張番号】62/665,152
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェル マイケル ピー.
(57)【要約】
【課題】光トンネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
光学デバイスは、それぞれが反射平面を有する2つの平坦なプレートと、それぞれが反射側壁を有する厚さHの2つの平坦なスペーサプレートと、を備える。平坦なプレートと平坦なスペーサプレートは、反射平面が互いに対向するように積み重ねて配置され、平坦なスペーサプレートは、単一プレーンに配置され、反射側壁が互いに対向し、2つの反射側壁の間にギャップを有した状態で、2つの平坦なプレートの間に配置される。対向する反射平面と対向する反射側壁は、単一プレーンに対して横断方向に寸法Hの光トンネル通路を規定する。対向する反射側壁は、互いに平行であり、一定のギャップWだけ離して配置され、一定の断面積H×Wを有する光トンネル通路を提供するか、又は角度を付けて、テーパ状の光トンネル通路を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反射面を有する第1平坦プレートと、
第2反射面を有する第2平坦プレートと、
反射側壁をそれぞれ有する2つの平坦なスペーサプレートと、
を備える光学デバイスであって、
前記2つの平坦なスペーサプレートは、前記2つの平坦なスペーサプレートの前記反射側壁が互いに対向し、当該対向する反射側壁の間にギャップWを有した状態で、単一プレーンに配置され、
前記第1反射面は、前記2つの平坦なスペーサプレートを含む前記単一プレーンと平行に配置され、前記2つの平坦なスペーサプレートと接触し、
前記第2反射面は、前記2つの平坦なスペーサプレートを含む前記単一プレーンと平行に配置され、前記2つの平坦なスペーサプレートと接触し、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、前記単一プレーンの両側に配置され、
前記2つの平坦なスペーサプレートは、厚さHをそれぞれ有し、
前記第1平坦プレート、前記第2平坦プレート及び前記2つの平坦なスペーサプレートは、接着剤を含まないアセンブリを形成するように一緒にクランプされ、
前記アセンブリは、前記第1反射面、前記第2反射面及び前記対向する反射側壁によって画定された光トンネル通路を有し、
前記光トンネル通路は、前記単一プレーンを横断する方向の前記厚さHに等しい一定の高さ寸法を有する、ことを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記第1平坦プレートは、前記単一プレーンと平行に配置され、前記第2平坦プレートは、前記単一プレーンと平行に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第1平坦プレート、前記第2平坦プレート及び前記2つの平坦なスペーサプレートは、それぞれガラスプレートであり、
前記第1反射面、前記第2反射面及び前記対向する反射側壁は、各々の前記ガラスプレートに設けられた反射コーティングによってそれぞれ画定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第1平坦プレート、前記第2平坦プレート及び前記2つの平坦なスペーサプレートは、それぞれ金属プレートであり、
前記第1反射面、前記第2反射面及び前記対向する反射側壁は、各々の前記金属プレートによってそれぞれ画定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記光トンネル通路は、寸法H×Wの矩形断面を有する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記ギャップWは一定である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第1反射面は、前記第2反射面と平行ではなく、
前記ギャップWは一定ではない、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記対向する反射側壁は、前記光トンネル通路の長さに亘る前記ギャップWの変化が線形でないような曲率をそれぞれ有する、ことを特徴とする請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記対向する反射側壁は、前記ギャップWが前記光トンネル通路の長さに亘って線形に変化するように、互いに対して所定の角度を有して配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項10】
第1反射面を有する第1平坦プレートと、
第2反射面を有する第2平坦プレートと、
反射側壁をそれぞれ有する2つの平坦なスペーサプレートと、
を備える光学デバイスであって、
前記2つの平坦なスペーサプレートは、前記2つの平坦なスペーサプレートの前記反射側壁が互いに対向し、当該対向する反射側壁の間にギャップWを有した状態で、単一プレーンに配置され、前記2つの平坦なスペーサプレートは、厚さHをそれぞれ有し、
前記第1反射面は、前記2つの平坦なスペーサプレートを含む前記単一プレーンと平行に配置され、前記2つの平坦なスペーサプレートと接触し、
前記第2反射面は、前記2つの平坦なスペーサプレートを含む前記単一プレーンと平行に配置され、前記2つの平坦なスペーサプレートと接触し、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、前記単一プレーンの両側に配置され、
前記第1平坦プレート、前記第2平坦プレート及び前記2つの平坦なスペーサプレートは、一緒に固定されて、前記第1反射面が前記2つの平坦なスペーサプレートと接触し、前記第2反射面が前記2つの平坦なスペーサプレートと接触するようにアセンブリを形成し、
前記アセンブリは、前記第1反射面、前記第2反射面及び前記対向する反射側壁によって画定された光トンネル通路を有し、当該光トンネル通路は、一定の高さ寸法を有し、
前記対向する反射側壁の前記厚さHが前記光トンネル通路の前記一定の高さ寸法に等しくなるように、前記第1反射面、前記第2反射面及び前記対向する反射側壁の間に接着剤が存在せず、
前記厚さH及び前記一定の高さ寸法は、前記単一プレーンを横断する方向に測定される、ことを特徴とする光学デバイス。
【請求項11】
前記第1平坦プレート、前記第2平坦プレート及び前記2つの平坦なスペーサプレートは、一緒にクランプされて固定される、ことを特徴とする請求項10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記光トンネル通路は、寸法H×Wの矩形断面を有する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記ギャップWは、前記光トンネル通路の長さに亘って一定である、ことを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記ギャップWは、前記光トンネル通路の長さに亘って線形に変化する、ことを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記対向する反射側壁が互いに所定の角度を有して配置されるように、前記2つの平坦なスペーサプレートはくさび形である、ことを特徴とする請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記2つの平坦なスペーサプレート、前記第1平坦プレート及び前記第2平坦プレートは、それぞれ、反射コーティングが設けられたガラスプレートからなる、ことを特徴とする請求項10~15のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記2つの平坦なスペーサプレート、前記第1平坦プレート及び前記第2平坦プレートは、それぞれ金属プレートからなる、ことを特徴とする請求項10~15のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項18】
光トンネルを形成する方法であって、
第1要素の第1反射平面上に第1スペーサプレートを配置するステップと、
前記第1反射平面上に第2スペーサプレートを配置するステップであって、前記第1スペーサプレート及び前記第2スペーサプレートは、互いに対向する反射側壁をそれぞれ有し、ギャップWによって隔てられ、前記第1スペーサプレート及び前記第2スペーサプレートは厚さHをそれぞれ有する、ステップと、
前記第1スペーサプレート及び前記第2スペーサプレート上に、第2反射平面を有する第2要素を配置するステップであって、前記第2反射平面は、前記第1反射平面に面し、前記第1スペーサプレート及び前記第2スペーサプレートの前記厚さHと等しい寸法Hだけ、前記第1反射平面から離間している、ステップと、
寸法H×Wを有する光トンネル通路を備える前記光トンネルを形成するため、前記第1スペーサプレート、前記第1要素、前記第2スペーサプレート及び前記第2要素を一緒に固定するステップと、
を含み、
前記第1スペーサプレート、前記第1要素、前記第2スペーサプレート及び前記第2要素を一緒に固定するために接着剤を使用しない、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記第1スペーサプレート、前記第1要素、前記第2スペーサプレート及び前記第2要素を一緒に固定するステップは、クランプにより固定される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1要素は、第1平坦プレートからなり、前記第2要素は、第2平坦プレートからなり、
前記第1平坦プレートの前記第1反射平面は、前記第2平坦プレートの前記第2反射平面と平行である、ことを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記固定するステップは、
前記第1スペーサプレート、前記第1要素、前記第2スペーサプレート及び前記第2要素の間のスペースにスペーサを挿入するステップと、
前記第1スペーサプレート、前記第1要素、前記第2スペーサプレート及び前記第2要素を一緒にクランプするステップと、
前記光トンネル通路から前記スペーサを除去するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項18~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
第1反射コーティングを第1ガラスプレートの第1平面に適用することにより、前記第1要素を形成するステップであって、前記第1反射コーティングは、前記第1要素の前記第1反射平面を形成する、ステップと、
第2反射コーティングを第2ガラスプレートの第2平面に適用することによって、前記第2要素を形成するステップであって、前記第2反射コーティングは、前記第2要素の前記第2反射平面を形成する、ステップと、
第3反射コーティングを第3ガラスプレートの第1側壁に適用することによって、前記第1スペーサプレートを形成するステップであって、前記第3反射コーティングは、前記第1スペーサプレートの前記反射側壁を形成する、ステップと、
第4反射コーティングを第4ガラスプレートの第2側壁に適用することによって、前記第2スペーサプレートを形成するステップであって、前記第4反射コーティングは、前記第2スペーサプレートの前記反射側壁を形成する、ステップと、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項18~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記第1スペーサプレートの前記厚さH及び前記第2スペーサプレートの前記厚さHは、一定である、ことを特徴とする請求項18~22のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年5月1日に出願された米国仮特許出願第62/665,152号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
以下は、光学デバイス技術、フォトニクス技術、光トンネルデバイス技術、及びそれらの用途、例えば、光混合、光プロジェクタシステム、投影テレビなどに関する。
【0003】
光トンネルは、反射内面を有するチューブを備える。光トンネルが光源を下流の光学部品に接続する光学設計では、光トンネルは、光を均一化するための光学インテグレータロッド(optical integrator rod)として機能する。例えば、投影表示装置において、プロジェクタランプは、光トンネルの入力開口に焦点を合わせてもよく、これによって、光トンネルの出力開口を出る光は、出力開口の領域にわたってより均一にされる。光トンネルは、主に、エテンデュ保存(etendue-preserving)であり、したがって、出口開口における光出力の発散特性は、光トンネル内の適切なテーパによって設計することができる。光トンネルは、高温の白熱ランプを感熱性の下流の光学系に接続するための密閉された光学経路を提供するなど、追加又は他の利点を提供することができる。光トンネルを使用して、光を成形することもできる。例えば、画素化された表示装置のためのプロジェクタシステムにおいて、矩形断面を有する光トンネルは、出力開口において矩形の光源を備え、矩形のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、画素化されたLCD表示装置等に適合するように設計することができる。
【0004】
光トンネルは、光と光トンネルの反射内面(reflective inside surfaces)との間の強い相互作用に依存して、光学インテグレータ(光混合)効果を提供する。幾何学的光線モデリングでは、これは、光トンネルを通過する光線の多重反射(平均して)に相当する。したがって、高い光学効率のためには、光トンネルの内部表面は、非常に高い反射率を有するべきである。(平均して)N回の反射があり、表面が反射率rを有する場合、出力はrNであり、損失は(1-rN)である。例えば、r=95%で平均してN=4の反射がある場合、光損失は(1-0.954)=18%の損失である。反射率をr=97%まで増加させると、これは11%の損失に減少し、r=98%では損失は7.8%に減少する。高い光学効率を有する矩形断面の光トンネルを製造するための一つの手法では、高反射率コーティングを有する4枚のガラスプレートが、各プレートが隣接するプレートに対して90°の向きで、光トンネルの内面を形成する高反射率コーティングで、端から端に配置される。マンドレルを使用して、4つのガラスプレートを一時的に保持し、それらの隣接する端部を接着又は他の方法で固定することができる。
【0005】
ここでは、いくつかの改良点を開示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるいくつかの例示的な態様において、第1反射平面を有する第1要素と、第2反射平面を有する第2要素と、それぞれが反射側壁を有する2つの平坦なスペーサプレートとを備える光学デバイスが開示される。2つの平坦なスペーサプレートは、2つの平坦なスペーサプレートの反射側壁が互いに対向し、2つの対向する反射側壁の間にギャップを有した状態で、単一プレーンに配置される。第1反射平面は、2つの平坦なスペーサプレートを含む単一プレーンと平行に配置され、2つの平坦なスペーサプレートと接触する。第2反射平面は、2つの平坦なスペーサプレートを含む単一プレーンと平行に配置され、2つの平坦なスペーサプレートと接触する。第1反射平面と第2反射平面は、単一プレーンの両側に配置されている。
【0007】
本明細書に開示されているいくつかの例示的な態様において、光学デバイスは、第1反射平面を有する第1要素と、第1反射平面に対向する第2反射平面を有する第2要素と、対向する反射スペーサプレート側壁(reflective spacer plate sidewalls)を有する単一プレーンに配置された厚さHの2つの平坦なスペーサプレートと、を含む。2つの平坦なスペーサプレートは、対向する第1反射平面と第2反射平面の間に配置され、対向する第1反射平面と第2反射平面を厚さHだけ離して配置する。
【0008】
本明細書に開示されるいくつかの例示的な態様において、光学デバイスは、それぞれが反射平面を有する2つの平坦なプレートと、それぞれが反射側壁を有する厚さHの2つの平坦なスペーサプレートと、を含む。2つの平坦なプレートと2つの平坦なスペーサプレートは、互いに対向する2つの平坦なプレートの反射平面を有するプレートと、単一プレーンに配置された2つの平坦なスペーサプレートとのスタック(積み重ね)として配置され、互いに対向する反射側壁を有し、2つの平坦なスペーサプレートの2つの反射側壁の間にギャップを有した状態で、2つの平坦なプレートの間に配置されている。2つの平坦なプレートの対向する反射平面と、2つの平坦なスペーサプレートの対向する反射側壁は、単一プレーンに対して横断方向に寸法Hを有する光トンネル通路を規定する。
【0009】
本明細書に開示されているいくつかの例示的な態様において、光トンネルを製造する方法が開示される。2つの平面は、2つの反射平面を規定するために、反射コーティングでコーティングされる。2つの平坦なスペーサプレートのそれぞれの少なくとも1つの側壁は、反射コーティングでコーティングされて、それぞれが反射側壁を有するスペーサプレートを規定する。2つの平面及び2つのスペーサプレートは、互いに対向する2つの平面、及び2つの対向する平面の間の単一プレーンに配置された2つの平坦なスペーサプレートと、互いに対向する反射側壁と共に固定される。このようにして、光トンネル通路は、2つの対向する平面と、2つの対向する反射側壁とによって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、光トンネルの端面図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示される光トンネルを製造するための製造プロセスを概略的に示す。
【
図4】
図4は、S-S断面分解図によって、代替のテーパ状の光トンネルを示す。
【
図5】
図5は、S-S断面図によって、代替のテーパ状の光トンネルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
4つのガラスプレートを配置し、内側に向けて配置されたガラスプレートの高反射率面を有する長方形を形成し、光トンネルの内面を形成する矩形の光トンネルの製造方法は、例えば、約1平方センチメートルから数平方センチメートル以上の開口面積を有する、典型的な光トンネルのサイズに対して有効である。しかし、この方法では、構成要素であるガラスプレートの取り扱い、位置決め、組み立てが面倒であるため、サブミリメートルから数平方ミリメートルのオーダーの断面積を有する、より小さな光トンネルを製造することは困難であることがわかってきた。本明細書に開示される実施形態は、改良された取り扱い、より容易な部品の位置決め及び組み立てにより、改良された製造可能性を提供する。本明細書に開示される実施形態は、また、高処理量の製造のために拡張可能である。さらに、本明細書に開示される実施形態は、テーパ状の光トンネルに容易に用いられる。
【0012】
図1を参照すると、光トンネル8の端面図が示されている。
図2は、
図1に示す断面S-Sを示している。光トンネル8は、第1要素10と第2要素12とを含む。第1要素10は、第1反射平面14を有し、第2要素12は、第2反射平面16を有する。好適な実施形態では、2つの要素10,12は、平坦なプレート、例えば、平坦なガラスプレートである。光トンネル8は、さらに、2つの平坦なスペーサプレート20,22を含む。平坦なスペーサプレート20は、反射側壁24を有し、平坦なスペーサプレート22は、反射側壁26を有する。好適な実施形態では、2つの平坦なスペーサプレート10,12は、平坦なガラスプレートである。
【0013】
反射面12,14及び反射側壁24,26は、好ましくは、高い反射率、例えば、反射率r>90%、より好ましくは、r>95%、さらに好ましくは、r>98%を有する。例えば、反射面14,16及び反射側壁24,26のそれぞれは、設計基準スペクトル波長又は波長域に対して、所望の高反射率を提供するために、従来の干渉フィルタ設計方法を用いて設計された反射多層光干渉フィルタコーティング(reflective multi-layer optical interference filter コーティング)を含んでもよい。非限定的な例として、反射面14,16及び側壁24,26は、シリコン(a-Si:H)の交代層と、SiO2、酸窒化シリコン(SiOxNy)、五酸化タンタル(Ta2O5)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、又は二酸化チタン(Ti02)などの、より低い屈折率の誘電体と、からなる干渉フィルタコーティングを有してもよい。干渉フィルタの代わりに、反射面14,16及び反射側壁24,26は、銀(Ag、波長に応じて最大r=98%)、アルミニウム(Al、波長に応じて最大r=95%)等のような反射性金属を含んでもよく、また、場合により表面不活性化又は他の表面処理/被覆層によって提供される更に高い反射率を有してもよい。いくつかの実施形態では、反射面14,16及び反射側壁24,26の反射コーティングは、400~700ナノメートルを含む波長範囲にわたって、少なくとも0.95の反射率を有する。より一般的には、反射面14,16及び反射側壁24,26は、設計波長又は波長域に対して0.9以上(すなわち、90%以上)の反射率を有することが好ましく、設計波長又は波長域に対して0.95以上(すなわち、95%以上)の反射率を有することがより好ましい。
【0014】
図1に最もよく示されているように、光トンネル8では、2つの平坦なスペーサプレート20,22は、2つの平坦なスペーサプレート20,22の反射側壁24,26が互いに対向し、2つの対向する反射側壁24,26の間にギャップW(
図2に示す断面S-Sに示される)がある状態で、単一プレーン(例えば、図示の断面S-Sのプレーン)に配置されている。このギャップWは、光トンネル8の幅Wを規定する。図面は、概略図であることに留意されたい。概して、反射面14,16及び反射側壁24,26を形成するために適用される反射コーティングは、ミクロン程度のオーダーで、無視できる厚さを有すると想定される。コーティングの厚さが無視できない場合、各反射面14,16及び各反射側壁24,26の位置は、反射コーティングの上部露出反射面として規定される。
【0015】
さらに、光トンネル8内では、第1反射平面14は、2つの平坦なスペーサプレート20,22を収容する単一プレーンと平行(すなわち、
図1に示す断面S-Sの断面プレーンと平行)に配置されている。さらに、2つの反射平面14,16は、単一プレーン(即ち、例示的な断面プレーンS-S)の両側に互いに対向して配置され、2つの平坦なスペーサプレート20,22と接触している。この配置により、光トンネル8は、前述の幅Wを有し、2つの平坦なスペーサプレート20,22の厚さに等しい高さH(設計公差内で同じ厚さを有すると想定される)を有する矩形断面を有する。一般に、高さHと幅Wが等しい必要はないが、これらの寸法は、特定の光トンネルの設計に適切であれば等しくすることができる。光トンネル8は、(1)厚さHを有する第1要素10及び第2要素12のそれぞれの2つの対向する反射面14,16、及び(2)2つの平坦なスペーサプレート20,22の2つの対向する反射側壁24,26によって規定された寸法H×Wの矩形通路30を有する。例示的な側壁24,26は、真っ直ぐであって、反射面14,16に対して直交しているが、これは、厳密には必要ではないが、真っ直ぐな直交側壁プロファイル(straight orthogonal sidewall profile)及び向きからのいかなる逸脱は、光損失への影響に関して、分析されるべきであることに留意されたい。一方、いくらかの凸曲率又は凹曲率を有する反射側壁24,26を有することは、光混合において有利に支援することができる。
【0016】
図2のS-S断面図では、2つの平坦なスペーサプレート20,22が不透明として描かれているので、2つの平坦なスペーサプレート20,22の反射面24,26の間のギャップWを除いて、下にある第1要素10の反射面14は、見えないことに留意されたい。当然のことながら、2つの平坦なスペーサプレート20,22がガラスのような透明な材料で作られていれば、S-S断面図は、実際には、透明な平坦なスペーサプレート20,22を通して見える反射面14を有することになる。しかしながら、2つの対向する反射面14,16及び2つの対向する反射側壁24,26は、一緒に、寸法H×Wの矩形通路30の連続的な周縁(perimeter)を形成する。そのため、平坦なスペーサプレート20,22の透明度又は不透明度、或いは、さらに言えば、要素10,12の透明度又は不透明度は、光学光トンネルである矩形通路30の光学的特性に影響を及ぼさない。
【0017】
次に、
図3を参照して、
図1及び
図2の光トンネル8を製造するための製造プロセスを説明する。第1要素10及び第2要素12は、この例示的な例では、ガラスプレート40(例えば、ガラス顕微鏡スライド、非限定的な例示的な例として)から、ガラスプレート40の2つの平面を反射コーティングでコーティングして、2つの反射平面14,16を規定することにより、製造される。いくつかの実施形態では、これは、より大きなガラスプレートの単一面をコーティングすることによって行うことができ、次に、それを切断(すなわち、さいの目に切る)して、反射コーティング14,16を有する個々のガラスプレート10,12を形成する。当然のことながら、大規模の工業規模のコーティング機が単一のバッチプロセスで多くのそのような要素をコーティングできるので、拡張性が容易に達成される。
【0018】
並行して、2つの平坦なスペーサプレート20,22が、場合により大規模のバッチプロセスの個々の部品として形成される。
図3に概略的に示されるように、それぞれ厚さHの2つの構成要素であるガラスプレート42が、他の代替可能なガラスプレート42と共に組み立てられて、プレートスタック44を形成する。このスタックにおいて、スタック44の片側の全ての側壁は、平行であり、同じ方向を向いている。したがって、これらの全ての側壁は、単一のバッチコーティングプロセスでコーティングすることができ、コーティングされた側壁を有するコーティングされたスタック46を製造することができる。さらに、ガラスプレート42のより薄い厚さHにすることで、より多くのそのようなプレートをスタック44内で組み立てることを可能にする。その結果、厚さHの減少(したがって、結果として生じる光トンネル通路30の寸法Hの減少)とともに、拡張性が実質的に増加する。次いで、コーティングされたスタック46の個々のプレートを分解し、それぞれがコーティングされた側壁24,26を有する2つの平坦なスペーサプレート20,22として、代替可能なプレートのスタック46の、任意の2つの構成要素であるコーティングされたプレートを選択する。
【0019】
最後に、
図3に示すように、4つの構成要素である片10,12,20,22は、互いに対向する2つの平面14,16、2つの対向する平面14,16の間で単一プレーンに配置される2つの平坦なスペーサプレート20,22、並びに互いに対向する反射側壁24,26と共に固定され、それによって、光トンネル通路30は、2つの対向する平面14,16と、2つの対向する反射側壁24,26とによって規定される。
【0020】
引き続き
図3を参照すると、括弧付きとして示される変形実施形態において、スタック44は、2つの対向する側面上にコーティングされて、コーティングされたスタック47を生成する。この手法の利点は、取り扱いを改善し、組立エラーの可能性を低減することである。
【0021】
光トンネル通路30は、寸法H×Wの矩形断面を有し、寸法Hは、単一プレーンに横断方向(すなわち、例示的な
図1及び
図2における断面S-Sの断面プレーン)に一定であり、寸法Wは、単一プレーンに平行方向に一定である。2つの対向する側壁24,26が互いに平行である場合、寸法H及び寸法Wは、光トンネルの全長に沿って一定である。寸法Hは、2つのスペーサプレート20,22の厚さによって決まる(面14,16をスペーサプレート20,22に接合するために、任意に塗布することができるのり又は他の接着剤の厚さを無視する。いくつかの実施形態では、接着剤は使用されず、代わりに、アセンブリは一緒にクランプされる)。この寸法Hは、プレート42が切断される又は得られるストックガラスプレート(stock glass plate)又はプレートの実際の厚さと同じくらい小さくすることができる。例えば、意図されたいくつかの実施形態では、Hは4ミリメートル以下であるが、Hについてはより大きな値も考えられる。同様に、対向する反射側壁24,26の間のギャップWは、ほぼ任意に小さくすることができる。例えば、マンドレル(又はスペーサ)をアセンブリ中に挿入して、規定のギャップWを設け、次いで、これをアセンブリの後に取り外すことができる。したがって、ギャップWは、いくつかの実施形態では、同様に、4ミリメートル以下であってもよいが、ギャップWのより大きな値もまた考えられる。いくつかの実施形態では、開口H×Wの寸法は、サブミリメートルの開口を規定するように考えられる。すなわち、H及び/又はWは、1ミリメートル未満であってもよい。
【0022】
図4及び
図5を参照すると、変形例の実施形態が、断面S-Sに沿った分解断面図(
図4)及び断面S-Sに沿った組立断面図(
図5)によって示される。この実施形態では、2つの矩形のスペーサプレート20,22は、くさび形のスペーサプレート120,122に置き換えられる。その結果、2つの平坦なスペーサプレート120,122は、対向する反射側壁124,126が互いに角度をなして配置された状態で、単一プレーン(例えば、断面S-S)に配置される。(或いは、変形例では図示していないが、矩形プレート24,26を使用して、プレートを互いに対して傾けて、角度を規定することができる。)このようにして、
図5に最もよく示されているように、対向する第1反射平面及び第2反射平面(
図1及び
図2の実施形態と同じ)の間に、テーパ状の光トンネル通路が規定される。対向する反射側壁124,126は、互いに角度をなして配置される。テーパ状の光トンネル通路は、単一プレーンに対して横断方向に一定の寸法Hを有する。寸法H、
図1及び
図2の実施形態と同様に、平坦なスペーサプレート120,122の厚さによって規定される。しかしながら、
図4及び
図5の実施形態では、
図1及び
図2の実施形態の一定の寸法W(対向する側壁24,26が互いに平行であることから生じる)は、対向する反射側壁124,126の角度のために、光トンネル通路の長さに沿って直線的に変化する非一定の寸法に置き換えられる。さらに一般的には、例えば、ダイヤモンド鋸又は他の精密ガラス切断機を用いて切断される放物線又は他の曲率の対向する反射側壁を有することによって、非線形テーパを達成することができる。
【0023】
例示的な実施形態では、プレート10,12,20,22は、ガラスプレートであるが、他の任意の材料のプレート、例えば金属プレートを使用することができる。十分に高い反射率を有する金属(例えば、アルミニウム)からなる金属プレートの場合は、個別の反射コーティングを省略することができる。
【0024】
上記の開示される種々のもの並びに他の特徴及び機能又はその代替は、望ましくは、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わせてもよいことを理解されたい。種々の現在予期しない又は予想外の代替、修正、変形、若しくは改良も、当業者によって後に行われる可能性があり、これもまた、以下の請求項によって包含されることが意図されることを理解されたい。