(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181196
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】閉ループ支持部構造体を有する眼内レンズ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172606
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2020523755の分割
【原出願日】2018-10-30
(31)【優先権主張番号】62/579,969
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジョン コリンズ
(72)【発明者】
【氏名】ソン リー
(72)【発明者】
【氏名】チエン リウ
(72)【発明者】
【氏名】イアン マークス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン デイビッド マッカン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.バン ノイ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ブレント ウェンスリッチ
(57)【要約】
【課題】閉ループ支持部構造体を有する眼内レンズを提供する。
【解決手段】眼科デバイスは、光軸を含む光学部(110)と、光学部を包囲するフレーム(121)を介して光学部に結合された閉ループ支持部構造体(120A)とを含み、閉ループ支持部構造体は、フレームへの第1取付箇所及び第2取付箇所から延在する閉ループを含む。閉ループは、第1ヒンジ(124A-1)と第2ヒンジ(124A-2)とを含む。第1ヒンジは、第1角度方向に延在する第1構成要素を有する第1部分と、第1角度方向とは反対である第2角度方向に延在する第2構成要素を有する第2部分と、第1部分と第2部分との間の第1接続部分とを有する。第2ヒンジは、第2角度方向に延在する第3構成要素を有する第3部分と、第1角度方向に延在する第4構成要素を有する第4部分とを有し、第4部分が第2部分に接続されて閉ループを形成する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を含む光学部と、
前記光学部を包囲するフレームを介して前記光学部に結合された閉ループ支持部構造体であって、前記フレームへの第1取付箇所及び第2取付箇所から延在する閉ループを備え、前記閉ループが、
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第1接続部分とを含む第1ヒンジであって、前記第1部分が第1角度方向に延在する第1構成要素を有し、前記第2部分が第2角度方向に延在する第2構成要素を有し、前記第2角度方向が前記第1角度方向とは反対である、第1ヒンジと、
第3部分と、第4部分と、前記第3部分と前記第4部分との間の第2接続部分とを含む第2ヒンジであって、前記第3部分が前記第2角度方向に延在する第3構成要素を有し、前記第4部分が前記第1角度方向に第4構成要素を有し、前記第2部分が前記第4部分に接続されて前記閉ループを形成している、第2ヒンジと、
を備える、閉ループ支持部構造体と、
を備える眼科デバイス。
【請求項2】
前記第1方向が右回りであり、前記第2方向が左回りである、請求項1に記載の眼科デバイス。
【請求項3】
前記第1ヒンジの前記第1部分が、実質的に半径方向に前記第1取付箇所から延在する第1拡張部を介して、前記第1取付箇所に結合されており、
前記第2ヒンジの前記第3部分が、実質的に半径方向に前記第2取付箇所から延在する第2拡張部を介して、前記第2取付箇所に結合されている、請求項1又は請求項2に記載の眼科デバイス。
【請求項4】
前記閉ループの外縁部が凹凸面を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項5】
前記閉ループ支持部構造体が、内部に形成された操作構造体を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項6】
前記操作構造体が開口部を含む、請求項5に記載の眼科デバイス。
【請求項7】
前記光学部と、前記閉ループ支持部構造体の前記フレームと、前記閉ループ支持部構造体の前記閉ループとが、各々、単一の材料から一体的に形成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項8】
前記光学部が、前記光軸に対して実質的に垂直な第1中心面を有し、前記閉ループ支持部構造体が、前記光軸に対して実質的に垂直な第2中心面を有し、前記第1中心面が前記第2中心面より後方に配置されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項9】
前記閉ループが、前記光学部と対向する凹部を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項10】
前記フレームが、前記光学部の縁部の断面厚さより大きい断面厚さを有する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項11】
前記フレームが、前記光学部の縁部の断面厚さと同じ断面厚さを有する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して眼用レンズに関し、より詳細には、閉ループ支持部構造体を有する眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズ(IOL)は、患者の本来の水晶体に取って代わるために患者の眼内に埋め込むことができる。IOLは、一般的に、(1)(たとえば、通常、屈折又は回折を介して)患者の視力を矯正する光学部と、(2)光学部を患者の眼内で(たとえば、水晶体嚢内で)適所に保持する支持構造体を構成する支持部とを含む。概して、医師は、光学部が患者に対して適切な矯正特性を有するIOLを選択する。多くの場合、白内障等の病状に対して行われる眼科手術中、執刀医は、患者の眼の水晶体嚢に切開部(嚢切開部(capsulorhexis))を形成し、その切開部を通してIOLを挿入することにより、選択されたIOLを埋め込む。一般的に、IOLは、角膜切開部を介して水晶体嚢内に挿入されるために折り畳まれ、水晶体嚢内の適所で一度広げられる。広げる間、支持部は、各々の小さい部分が水晶体嚢を圧迫するように拡張して、IOLを適所に保持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のIOLは、多くの患者において許容可能に十分に機能することができるが、いくつかの欠点もある。たとえば、既存のIOL設計は、水晶体後嚢に線条すなわちひだをもたらす支持部を含む可能性がある。こうした線条は、支持部が水晶体嚢と比較的小さい接触角を有することからもたらされる可能性がある。線条は、(たとえば、細胞の増殖及び/又は移動の機序を提供することによって、後発白内障(PCO)の増大をもたらすことにより)患者の転帰に悪影響を及ぼす可能性があるため、線条を低減させる支持部設計が望ましい。さらに、切開部が大きいほど患者の回復に悪影響を及ぼす可能性があるため、こうした設計はまた、許容可能に小さい切開サイズ(たとえば、3mm以下)を維持することに寄与する体積及び折曲げ性も有するべきである。
【0004】
したがって、必要なものは、埋込みを著しく複雑にすることなくPCOに(たとえば、線条を低減させることにより)対処することができる、改善されたIOLである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
眼科デバイスは、光軸を含む光学部と、光学部を包囲するフレームを介して光学部に結合された閉ループ支持部構造体とを含み、閉ループ支持部構造体は、フレームへの第1取付箇所及び第2取付箇所から延在する閉ループを含む。閉ループは、第1ヒンジと第2ヒンジとを含む。第1ヒンジは、第1角度方向に延在する第1構成要素を有する第1部分と、第1角度方向とは反対である第2角度方向に延在する第2構成要素を有する第2部分と、第1部分と第2部分との間の第1接続部分とを有する。第2ヒンジは、第2角度方向に延在する第3構成要素を有する第3部分と、第1角度方向に延在する第4構成要素を有する第4部分とを有し、第4部分が第2部分に接続されて閉ループを形成している。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する閉ループ支持部構造体は、1つ又は複数の技術的利点を提供することができる。たとえば、本明細書に記載する閉ループ支持部構造体は、線条をより少なくし、PCOを低減させることができ、さらに比較的容易に埋め込むことができる。したがって、眼科デバイスの性能を向上させることができる。別の例として、本明細書に記載する閉ループ支持部は、水晶体嚢内で圧縮されると、隣接する支持部の間の空間が埋められるように変形することができ、それにより、支持部は半径方向に変形することができる。その結果、本明細書に記載する閉ループ支持部構造体は、広範囲の水晶体嚢サイズにわたって機械的安定性を示すことができる。
【0007】
本開示及びその利点がより完全に理解されるために、ここで、添付図面と併せて以下の説明を参照する。図面において、同様の参照数字は同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【
図1B】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【
図1C】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【
図1D】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【
図2】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態を示す。
【
図3】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態を示す。
【
図4】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態を示す。
【
図5】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態を示す。
【
図6】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態を示す。
【
図7】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態を示す。
【
図8A】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【
図8B】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【
図8C】閉ループ支持部構造体を有する眼科デバイスの別の例示的な実施形態のさまざまな図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者であれば、後述する図面は単に例示を目的とするものであることが理解されよう。図面は、本出願人の開示の範囲を決して限定するようには意図されていない。
【0010】
例示的な実施形態は、眼内レンズ(IOL)等の眼科デバイスに関する。以下の説明は、当業者が本発明を作成し使用することができるようにするために提示し、特許出願及びその要件に照らして提供する。本明細書に記載する例示的な実施形態並びに包括的な原理及び特徴に対するさまざまな変更形態が容易に明らかとなろう。「例示的な実施形態」、「一実施形態」及び「別の実施形態」等の言い回しは、同じか又は異なる実施形態とともに複数の実施形態を指す場合がある。実施形態について、いくつかの構成要素を有するシステム及び/又はデバイスに関して説明する。しかしながら、それらのシステム及び/又はデバイスは、示すものより多いか又は少ない構成要素を含む場合があり、本発明の範囲から逸脱することなく、構成要素の配置及びタイプの変更を行うことができる。したがって、本発明は示す実施形態に限定されるように意図されておらず、本明細書に記載する原理及び特徴と一貫する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0011】
概して、本開示は、光学部と、光学部を包囲するフレームを介して光学部に結合された閉ループ支持部構造体とを含む眼科デバイスに関し、閉ループ支持部構造体は、フレームへの第1取付箇所及び第2取付箇所から延在する閉ループを含む。閉ループは、第1ヒンジと第2ヒンジとを含む。第1ヒンジは、第1角度方向に延在する第1構成要素を有する第1部分と、第1角度方向とは反対である第2角度方向に延在する第2構成要素を有する第2部分と、第1部分と第2部分との間の第1接続部分とを有する。第2ヒンジは、第2角度方向に延在する第3構成要素を有する第3部分と、第1角度方向に延在する第4構成要素を有する第4部分とを有し、第4部分が第2部分に接続されて閉ループを形成している。
【0012】
図1A~
図1Dは、光学部110と閉ループ支持部構造体120Aとを有する眼科デバイス100Aの例示的な実施形態のさまざまな図を示す。簡単のために、眼科デバイス100AはIOL100Aとも呼ぶ。
図1AはIOL100Aの平面図を示し、
図1BはIOL100Aの側面図を示す。
図1Cは、IOL100Aの一部を示す。
図1Dは、圧縮力の影響下でのIOL100Aの平面図を示す。明確にするために、
図1A~
図1Dは正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0013】
光学部110は、患者の視力を矯正するために使用することができる眼用レンズ110である。たとえば、光学部は、屈折及び/又は回折レンズであり得る。光学部110は、単焦点レンズ、多焦点レンズ及び/又はトーリックレンズであり得る。したがって、光学部110の前面及び/又は後面は、限定されないがベースカーブ及び回折格子を含む特徴を有することができる。光学部110は、患者の視力を矯正するために光を屈折させ且つ/又は回折させることができる。光学部110は、
図1Aにおけるページの面から出る光軸112と、前面と後面との間にある
図1Bに示す中心線111とを有する。光学部110は、
図1Aの平面図では円形フットプリントを有するものとして示す。他の実施形態では、光学部110は、異なる形状のフットプリントを有することができる。いくつかの実施形態では、光学部110はまた、図示しない他の特徴も含むことができる。光学部110は、種々の可撓性光学材料のうちの1種又は複数種から形成することができる。たとえば、光学部110は、限定されないが、シリコーン、ハイドロゲル、及びAcrySof(登録商標)等のアクリル樹脂のうちの1種又は複数種を含むことができる。
【0014】
閉ループ支持部構造体120Aは、患者の眼の水晶体嚢(明示的には示さず)において眼科デバイス100Aを適所に保持するために使用される支持構造体である。閉ループ支持部構造体120Aは、フレーム121(又はリング)と、閉ループ122A-1及び122A-2と、ヒンジ124A-1、124A-2、124A-3及び124A-4と、操作構造体126A-1及び126A-2とを含む。閉ループ支持部構造体120Aはまた、前縁と後縁との間に中心線123も有する。
【0015】
フレーム121は、閉ループ支持部構造体支持部120Aを光学部110と結合する。フレーム121の内部は、光学部110の形状と一致することが望まれ得る。したがって、
図1Aにおいて円形であるものとして示すフレーム121の内縁部は、光学部が円形でない実施形態では異なる形状を有することができる。フレーム121の外縁部は、内縁部と一致することができるが必須ではない(すなわち、フレーム121は非均一幅を有することができる)。いくつかの実施形態では、閉ループ支持部構造体120A及び光学部110を合わせて成形することができる。したがって、光学部120A及び支持部は、単一の一体型構造を形成することができる。他の実施形態では、光学部110にフレーム121を他の方法で取り付けることができる。たとえば、既存の光学部110の周囲にフレーム121を接合するか又は成形することができる。
【0016】
閉ループ122A-1及び122A-2(まとめて又は包括的に閉ループ122Aと呼ぶ)は、患者の眼内に埋め込まれるときに水晶体嚢と接触し、IOL100Aを患者の眼内の所望の位置で保持する役割を果たす。ループ122Aの各々は角度φAを張る。本明細書で用いる、支持部ループが張る角度は、患者の眼内に埋め込まれるときにループが水晶体嚢に接触するように意図される角度範囲を表す。特定の実施形態では、角度φAは90度より大きい。たとえば、角度φAは、場合により、少なくとも120度であり得る。したがって、ループ122Aは、広い角度にわたって水晶体嚢と接触することができる。したがって、水晶体嚢は、より大きい容積にわたって広げることができる。したがって、ループ122A-1及び122A-2は、開いたアームを有する支持部より大幅に広い領域にわたって水晶体嚢を伸張させることができる。これにより、線条、したがってPCOを低減させることができる。
【0017】
閉ループ122Aの各々は、1つ又は複数のヒンジ124A-1、124A-2、124A-3及び124A-4(まとめて又は包括的に124と表記する)を含む。4つのヒンジ124(各ループ122Aに対して2つ)を示すが、代替実施形態は、任意の好適な数のヒンジを含むことができる(たとえば、各ループ122A-1及び122A-2は、1つのヒンジとフレーム121への1つの接続部とを含むことができる)。
【0018】
ヒンジ124は、閉ループ122Aの一部がフレーム121への取付箇所を越えて延在するように構成されている。
図1に示す実施形態では、閉ループ122Aは、取付箇所を越えて延在している。したがって、ヒンジ124は、1つの方向(たとえば、左回り(CCW)方向)に延在する構成要素を有する第1部分と、反対方向(たとえば、右回り(CW)方向)に延在する構成要素を有する第2部分と、第1部分と第2部分との間の接続部分とを有することができる。いくつかの実施形態では、接続部分は、180度に近いものであり得る曲げ部を有する。さらに、曲げ部は、(
図1Cに示すように)取付箇所を越えて最も遠くまで延在するループ122Aの部分を含むことができる。ヒンジ124は、半径方向で又はその近くでフレーム121に接続されている。
【0019】
一例として、ヒンジ124は、CCW方向に延在する構成要素を有する第1部分を含むことができる。
図1Cにおいて、第1部分の方向及びCCW方向は、各々、点線矢印によって示す。たとえば、CCW方向に延在する構成要素は、45度未満を張ることができる。別の例として、CCW方向に延在する構成要素は、20度未満を張ることができる。ヒンジ124は、CW方向に延在する構成要素を有する第2部分をさらに含むことができる。
図1Cにおいて、第2部分の方向はCW方向と同じであり、ともに単一点線矢印によって示す。代替実施形態では、ヒンジ124の第2部分は、CW方向の20度の範囲内に向けることができる。ヒンジ124は、上述した第1部分と第2部分との間に延在する接続部分をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、接続部分は、180度に近い曲げ部を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ヒンジ124は、実質的に半径方向に延在する(たとえば、取付箇所とヒンジ124の上述した第1部分との間に延在する)構成要素によって、(取付箇所において)フレーム121に接続することができる。他の実施形態では、こうした構成要素は、CW方向又はCCW方向のいずれかにおいて半径方向から逸れることができる。たとえば、ヒンジ124の第1構成要素と取付箇所との間の接続部は、半径方向の60度の範囲内であり得る。別の例として、ヒンジ124の第1構成要素と取付箇所との間の接続部は、半径方向の45度の範囲内であり得る。別の例として、ヒンジ124の第1構成要素と取付箇所との間の接続部は、半径方向の20度の範囲内であり得る。
【0021】
ヒンジ124A-1~124A-4は、閉ループ支持部構造体120Aを、前方向又は後方向における著しい動きなしに圧縮することができるように、構成することができる。本明細書で用いる前方向とは、眼内に埋め込まれたときに網膜から離れる方向に伸びる方向を指すものとし、後方向とは、眼内に埋め込まれたときに網膜に向かって伸びる方向であるものとする。
図1Dは、圧縮力下の閉ループ支持部構造体120Aを示す。ヒンジ124A-1、124A-2、124A-3及び124A-4があるため、圧縮により、各ヒンジ124の接続部分が圧縮されており、これにより、ヒンジ124の第1部分及び第2部分が互いに近づいている。その結果、ループ122A-1及び122A-2の一部は、
図1Aに示す非圧縮状態よりフレーム121への接続部を越えてさらに広がる。ループ122Aの外縁もまた、光軸112のより近くまで移動する。圧縮力により、光学部110は前方向又は後方向に動く可能性があるが、この傾向は、ヒンジ124が存在することにより軽減することができる。
【0022】
圧縮に応じての光学部110の光軸112に沿った動きにさらに対処するために、光学部110は、閉ループ支持部120に対して特定の位置を有することができる。
図1Bは、光学部の中心線111と、閉ループ支持部構造体120Aの中心線123とを示す。中心線と呼ぶが、当業者であれば、線111及び123は概して平面に対応することを理解するであろう。
図1Bに示すように、光学部110の中心線111は、閉ループ支持部構造体120Aの中心線123より後側に近い。たとえば、光軸112に対して平行な方向におけるIOL100Aの厚さ全体が0.5mmである場合、中心線111は、中心線123から0.05~0.1mmずらすことができる。光学部110の底/後縁部は、閉ループ支持部構造体120Aの底縁部に近い可能性がある。しかしながら、光学部110の底部は、閉ループ支持部構造体120Aの底部より低く/より後方向には広がる可能性はない。光学部110は、その中心線の方が低いため、圧縮力によって支持部120に対して動く場合、後方向に動く。その結果、患者の眼は、光学部110の動きによって損傷を受ける可能性は低い。
【0023】
いくつかの実施形態では、閉ループ122A-1及び122A-2は、各々、操作構造体126A-1及び126A-2(まとめて操作構造体126A)をさらに含む。図示する実施形態では、操作構造体126Aは開口部であり、それにより、執刀医は、IOL100を操作するために器具(たとえば、図示しない鉗子)を挿入することができる。いくつかの実施形態では、操作構造体126Aは、外縁部(光学部110から離れる方向に位置する縁部)ではなくループ122A-1及び122A-2の内部(光学部110に向かって位置する縁部)に配置することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、閉ループ支持部構造体120Aは(
図1Bに示すように)急勾配の角部を含むことができる。たとえば、ループ122A及びフレーム121はともに、急勾配の縁部を有することができる。その結果、急勾配の縁部により光学部110のすべての側面を包囲することができる。これらの急勾配の縁部により、細胞がいかなる側面からも光学部110まで移動する可能性もまた低減させることができ、これにより、PCOの発症をさらに低減させることができる。
【0025】
IOL100Aの使用により、患者の転帰を改善することができる。上述した閉ループ支持部構造体120Aは、広い角度φAを有することができ、それにより、支持部構造体120は、より広い部分に接触し、水晶体嚢をより適切に広げることができる。これにより、IOL100Aの軸方向及び回転方向の安定性を向上させることができるだけでなく、水晶体嚢内の線条の形成も低減させることができる。上述したように、線条低減により、PCOの発症を低減させることができ、したがって、患者の転帰を改善することができる。さらに、閉ループ支持部構造体120Aの急勾配の縁部は、PCOの発症をさらに低減させることができる。さらに、ヒンジ124A-1、124A-2、124A-3及び124A-4により、閉ループ支持部構造体120Aは圧縮に対して予測可能に応答することができ、これにより、光学部110は、圧縮に応じて実質的に一定の平面にあり続けることができる(より適切な屈折結果が可能になる)。
【0026】
図2は、光学部110と閉ループ支持部構造体120Bとを有する眼科デバイス100Bの別の例示的な実施形態を示す。簡単のために、眼科デバイス100BはIOL100Bとも呼ぶ。IOL100BはIOL100Aと同様であり、類似する構成要素は同様の符号を有する。IOL100Bは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Bを含む。IOL100Bの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図2に関してIOL100Bの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図2は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0027】
IOL100Aの閉ループ支持部構造体120Aと同様に、IOL100Bの閉ループ支持部構造体120Bは、フレーム121と、閉ループ122B-1、122B-2及び122B-3(まとめて又は包括的に122B)と、ヒンジ124B-1、124B-2、124B-3、124B-4、124B-5及び124B-6(まとめて又は包括的にヒンジ124B)と、中心線(図示せず)と、操作構造体126B-1、126B-2及び126B-3(それらの各々はIOL100Aの対応する構造体と類似している)とを含むことができる。ヒンジ124Bに関して、それらは、IOL100Aのヒンジ124Aと類似するように構成され且つ機能し得る。同様に、操作構造体126B-1、126B-2及び126B-3は、IOL100Aの操作構造体126A-1及び126A-2と類似するように構成され且つ機能し得る。
【0028】
IOL100BとIOL100Aとの主な相違は、IOL100Bが、2つとは対照的に3つの閉ループ122B-1、122B-2及び122B-3を有する支持部構造体120Bを含むため、ループ122Bの各々が、IOL100Aに関して上述した角度φAより小さい角度φBを張ることができる、ということである。しかしながら、特定の実施形態では、角度φBは、依然として少なくとも90度であり得る。ループ122Bの組合せは、ループ122Aがまとまって張る角度の全角度と実質的に同じか又はそれより大きい全角度を張ることができる。他の実施形態では、IOL100Bは、より多数のループ122Bを有することができる。
【0029】
IOL100Bは、3つのループ122Bを有するものとして示し記載するが、本開示は、任意の好適な数のループ(たとえば、4つ、5つ、6つ又はそれより多くのループ)を有するIOL100Bを企図した。さらに、各ループに対する角度φBの範囲は、ループの数に対応することができる(ループの数が増加するほど、角度φBは低減する)。
【0030】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Bは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。
【0031】
図3は、光学部110と閉ループ支持部構造体120Cとを有する眼科デバイス100Cの別の例示的な実施形態を示す。簡単のために、眼科デバイス100CはIOL100Cとも呼ぶ。IOL100CはIOL100Aと同様であり、類似する構成要素は同様の符号を有する。IOL100Cは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Cを含む。IOL100Cの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図3に関してIOL100Cの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図3は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0032】
IOL100Aの閉ループ支持部構造体120Aと同様に、IOL100Cの閉ループ支持部構造体120Cは、フレーム121と、閉ループ122C-1、122C-2、122C-3及び122C-4(まとめて又は包括的に122C)と、(閉ループ122C-1の)ヒンジ124C-1/124C-2及び(閉ループ122C-3の)ヒンジ124C-3/124C-4(ヒンジまとめて又は包括的にヒンジ124C)と、中心線(図示せず)と、操作構造体126C-1及び126C-2(それらの各々はIOL100Aの対応する構造体と類似している)とを含むことができる。ヒンジ124Cに関して、それらは、IOL100Aのヒンジ124Aと類似するように構成され且つ機能し得る。同様に、操作構造体126C-1及び126C-2は、IOL100Aの操作構造体126A-1及び126A-2と類似するように構成され且つ機能し得る。
【0033】
IOL100CとIOL100Aとの主な相違は、((122C-1に対応する)閉ループ122A-1と(122C-3に対応する)閉ループ122A-2とのみを含む支持部構造体120Aとは対照的に)支持部構造体120Cへのさらなる閉ループ122C-2及び122C-4の追加である。閉ループ122C-1及び122C-3は、各々、IOL100Aに関して上述した角度φAと類似し得るφC-1を張ることができる。さらに、閉ループ122C-1及び122C-3は、各々、IOL100Aに関して上述した閉ループ122A-1及び122A-2と同様に構成することができる。
【0034】
閉ループ122C-1及び122C-3に加えて、IOL100Cは、各々が角度φC-2を張る閉ループ122C-2及び122C-4をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、角度φC-1はφC-2より大きい。さらに、閉ループ122C-1及び122C-3とは異なり、閉ループ122C-2及び122C-4は、いかなるヒンジも含まないものであり得る。代わりに、ループ122C-2及び122C-4は、単に、取付場所から外向きに弓なりに曲がる。他の実施形態では、ループ122C-2及び122C-4は、半径方向においてフレームに接続することができる。さらに他の実施形態では、ループ122C-2及び/又は122C-4のフレーム121への接続部のうちの1つ又は複数は、ヒンジの形態をとることができる。したがって、ヒンジ124Cと半径方向又は他の接続部との混合物を用いて、フレーム121にループ122Cを接続することができる。
【0035】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Cは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。
【0036】
図4は、光学部110と閉ループ支持部構造体120Dとを有する眼科デバイス100Dの別の例示的な実施形態を示す。簡単のために、眼科デバイス100DはIOL100Dとも呼ぶ。IOL100DはIOL100Aと同様であり、類似する構成要素は同様の符号を有する。IOL100Dは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Dを含む。IOL100Dの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図4に関してIOL100Dの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図4は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0037】
IOL100Aの閉ループ支持部構造体120Aと同様に、IOL100Dの閉ループ支持部構造体120Dは、フレーム121と、閉ループ122D-1及び122D-2(まとめて又は包括的に122D)と、ヒンジ124D-1、124D-2、124D-3及び124D-4(まとめて又は包括的にヒンジ124D)と、中心線(図示せず)と、操作構造体126D-1及び126D-2(それらの各々はIOL100Aの対応する構造体と類似している)とを含むことができる。ヒンジ124Dに関して、それらは、IOL100Aのヒンジ124Aと類似するように構成され且つ機能し得る。同様に、操作構造体126D-1及び126D-2は、IOL100Aの操作構造体126A-1及び126A-2と類似するように構成され且つ機能し得る。
【0038】
IOL100DとIOL100Aとの主な相違は、IOL100Dにおいて、ループ122D-1及び122D-2の各々が、それぞれ凹凸縁部128D-1及び128D-2を有するということである。凹凸縁部128D-1は、縁部の表面の粗化、隆起/こぶ状部、波状部、又は、水晶体嚢と接触する可能性のあるループ122Dの領域における他の凹凸の形態をとることができる。凹凸縁部128D-1及び128D-2により、ループ122D-1及び122D-2が水晶体嚢の側壁に対して固定された状態を維持する能力を向上させることができる。したがって、凹凸122D-1及び122D-2により、IOL100Dの安定性を向上させることができる。
【0039】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Dは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。さらに、IOL100Dの追加された特徴(たとえば、凹凸縁部128D-1及び128D-2)により、上述した安定性の利益をさらに向上させることができる。
【0040】
図5は、光学部110と閉ループ支持部構造体120Eとを有する眼科デバイス100Eの別の例示的な実施形態を示す。簡単のために、眼科デバイス100EはIOL100Eとも呼ぶ。IOL100EはIOL100Aと同様であり、類似する構成要素は同様の符号を有する。IOL100Eは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Eを含む。IOL100Eの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図5に関してIOL100Eの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図5は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0041】
IOL100Aの閉ループ支持部構造体120Aと同様に、IOL100Eの閉ループ支持部構造体120Eは、フレーム121と、閉ループ122E-1及び122E-2(まとめて又は包括的に122E)と、ヒンジ124E-1、124E-2、124E-3及び124E-4(まとめて又は包括的にヒンジ124D)と、中心線(図示せず)とを含むことができる。
図5には操作構造体を示さないが、ループ122E-1及び/又は122E-2は、各々、1つ又は複数の操作構造体を含むことができる。ヒンジ124Eに関して、それらは、IOL100Aのヒンジ124Aと類似するように構成され且つ機能し得る。
【0042】
IOL100DとIOL100Aとの主な相違は、IOL100Dにおいて、ループ122E-1及び122E-2の各々が、それぞれ凹部128E-1及び128E-2を有するということである。凹部128E-1及びE-2は、それらのそれぞれの閉ループ122Eを、各々が角度φEを張る2つの部分に分割する。これは、各ループ122Eの外側部分は水晶体嚢と接触するが、凹部128E-1及び128E-2は接触しないためである。
【0043】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Eは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。
【0044】
図6は、光学部110と閉ループ支持部構造体120Fとを有する眼科デバイス100Fの別の例示的な実施形態を示す。簡単のために、眼科デバイス100FはIOL100Fとも呼ぶ。IOL100FはIOL100Aと同様であり、類似する構成要素は同様の符号を有する。IOL100Fは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Fを含む。IOL100Fの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図6に関してIOL100Fの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図6は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0045】
IOL100Aの閉ループ支持部構造体120Aと同様に、IOL100Fの閉ループ支持部構造体120Fは、フレーム121と、閉ループ122F-1及び122F-2(まとめて又は包括的に122F)と、ヒンジ124F-1、124F-2、124F-3及び124F-4(まとめて又は包括的にヒンジ124F)と、中心線(図示せず)とを含むことができる。
図6には操作構造体を示さないが、ループ122F-1及び/又は122F-2は、各々、1つ又は複数の操作構造体を含むことができる。
【0046】
IOL100FとIOL100Aとの主な相違は、IOL100Fにおいて、ヒンジ124Fがヒンジ124Aとは異なるように向けられているということである。この異なる構成により、ヒンジ124Fは、圧縮力に応じて(IOL100Aに関して上述したように、外向きではなく)内向きにつぶれることができる。
【0047】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Eは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。
【0048】
図7は、光学部110と閉ループ支持部構造体120Gとを有する眼科デバイス100Gの別の例示的な実施形態を示す。簡単のために、眼科デバイス100GはIOL100Gとも呼ぶ。IOL100GはIOL100Aと同様であり、類似する構成要素は同様の符号を有する。IOL100Gは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Gを含む。IOL100Gの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図7に関してIOL100Gの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図7は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0049】
IOL100Eの閉ループ支持部構造体120Eと同様に、IOL100Gの閉ループ支持部構造体120Gは、フレーム121と、閉ループ122F-1及び122F-2(まとめて又は包括的に122F)と、ヒンジ124F-1、124F-2、124F-3及び124F-4(まとめて又は包括的にヒンジ124F)と、中心線(図示せず)と、凹部128G-1及び128G-2とを含むことができる。
図7には操作構造体を示さないが、ループ122G-1及び/又は122G-2は、各々、1つ又は複数の操作構造体を含むことができる。
【0050】
IOL100GとIOL100Eとの主な相違は、IOL100Gにおいて、閉ループ122Gが、ウイングチップ(翼端部)132-1及び132-2とウイングチップ132-3及び132-4(まとめて且つ包括的に132)を含むということである。図示する実施形態では、ウイングチップ132は、ループ122Gの湾曲部と実質的に同じ方向にループ122Gから延在している。言い換えれば、ウイングチップ132は、ループ122Gの湾曲部を追従する。他の実施形態では、ウイングチップ132は別のように向けることができる。しかしながら、ウイングチップ132は、概して、半径方向から非ゼロ角度であり、CCW又はCW方向により厳密に位置合わせされることが望まれる。ウイングチップ132により、ウイングチップ132があることでループ122Gの各々の2つの部分が張る角度φGを増大させることができる。
【0051】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Gは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。さらに、IOL100Dの追加された特徴(たとえば、閉ループ122Gの接触角を広げるウイングチップ132)により、上述した安定性の利点をさらに向上させることができる。
【0052】
図8A~
図8Cは、光学部110と閉ループ支持部構造体120Hとを有する眼科デバイス100Hの別の例示的な実施形態のさまざまな図を示す。簡単のために、眼科デバイス100HはIOL100Hとも呼ぶ。
図8AはIOL100Hの斜視図を示す。
図8BはIOL100Hの平面図を示す。
図8CはIOL100Hの側面図を示す。IOL100Hは、
図1A~
図1Dの光学部110及び閉ループ支持部構造体120Aに類似する光学部110及び閉ループ支持部構造体120Hを含む。IOL100Gの光学部110は、IOL100Aの光学部110と実質的に同じであるため、
図7に関してIOL100Gの光学部110を個別に説明はしない。明確にするために、
図7は正確な尺度ではなく、すべての構成要素が示されているとは限らない可能性がある。
【0053】
IOL100Aの閉ループ支持部構造体120Aと同様に、IOL100Hの閉ループ支持部構造体120Hは、フレーム121と、閉ループ122H-1及び122H-2(まとめて又は包括的に122H)と、中心線(図示せず)とを含むことができる。
図8には操作構造体及びヒンジを示さないが、ループ122H-1及び/又は122H-2は、各々、1つ又は複数の操作構造体及び/又はヒンジを含むことができる。たとえば、接続部124H-1、124H-2、124H-3及び124H-4は、実質的に放射状であるものとして示されている。他の実施形態では、接続部124H-1、124H-2、124H-3及び124H-4のうちの1つ又は複数は、ヒンジの形態をとることができる。閉ループ支持部構造体120Hはまた、ヴォールト状構造体134-1及び134-2(まとめて又は包括的に134)も含む。
【0054】
閉ループ122H及びヴォールト状構造体134は、水晶体嚢と接触することにより、患者の眼内の適所でIOL100Hを保持することができる。ループ122Hの各々は角度φHを張る。したがって、ループ122Hは、開アーム支持部より大きく水晶体嚢を伸張させることができ、安定性を向上させ線条を低減させる。ヴォールト状構造体134は、ループ122Hから異なる平面にある。ヴォールト状構造体134は、光軸112に対して実質的に平行な方向でループ122Hから延在している。図示する実施形態では、ループ122Hはまた、光学部110及びフレーム121とは異なる平面にあるようにも示されている。したがって、ヴォールト状構造体134は、光学部110から平面から出る方向において水晶体嚢を伸張させる。したがって、水晶体嚢をさらに伸張させることができる。したがって、ヴォールト状構造体134により線条を低減させ、IOL100Hの安定性を向上させることができる。
【0055】
IOL100Aに関して上述したものと実質的に同じ理由で、IOL100Hは、PCOの発症を低減させ、屈折結果を改善することにより、患者の転帰を改善することができる。さらに、ヴォールト状構造体134の存在により、さらに安定性を向上させ、IOL100Hの線条を低減させることができる。
【0056】
さまざまな上に開示した並びに他の特徴及び機能、又はそれらの代替形態は、望ましいように組み合わせて他の多くの異なるデバイス又は応用にすることができることが理解されよう。さまざまな現時点で予測されない又は予期されない本発明における代替形態、変更形態、変形形態又は改善形態は、当業者であれば後に作成することができ、それら代替形態、変形形態及び改善形態もまた以下の特許請求の範囲によって包含されるように意図されている、ということも理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を含む光学部と、
前記光学部を包囲するフレームを介して前記光学部に結合された閉ループ支持部構造体であって、前記フレームへの第1取付箇所及び第2取付箇所から延在する閉ループを備え、前記閉ループが、
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第1接続部分とを含む第1ヒンジであって、前記第1部分が第1角度方向に延在する第1構成要素を有し、前記第2部分が第2角度方向に延在する第2構成要素を有し、前記第2角度方向が前記第1角度方向とは反対である、第1ヒンジと、
第3部分と、第4部分と、前記第3部分と前記第4部分との間の第2接続部分とを含む第2ヒンジであって、前記第3部分が前記第2角度方向に延在する第3構成要素を有し、前記第4部分が前記第1角度方向に第4構成要素を有し、前記第2部分が前記第4部分に接続されて前記閉ループを形成している、第2ヒンジと、
を備える、閉ループ支持部構造体と、
を備える眼科デバイス。
【外国語明細書】