(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181212
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20231214BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231214BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231214BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231214BHJP
G09G 3/3266 20160101ALI20231214BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231214BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20231214BHJP
G09G 3/3275 20160101ALI20231214BHJP
H05B 33/14 20060101ALN20231214BHJP
H10K 50/00 20230101ALN20231214BHJP
H10K 59/12 20230101ALN20231214BHJP
【FI】
H01L27/088 J
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L29/78 614
H01L29/78 617N
G09G3/36
G09G3/3266
G09G3/20 611A
G09G3/20 623H
G09G3/3233
G09G3/3275
G09G3/20 622E
G09G3/20 624B
H05B33/14 Z
H10K50/00
H10K59/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173539
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2022021047の分割
【原出願日】2016-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2015185539
(32)【優先日】2015-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015187874
(32)【優先日】2015-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】塩野入 豊
(72)【発明者】
【氏名】長塚 修平
(72)【発明者】
【氏名】魚地 秀貴
(57)【要約】
【課題】単極性の論理回路を含む半導体装置などを提供する。
【解決手段】同じ導電型のトランジスタで構成された論理回路において、少なくとも3つ
のトランジスタと、容量素子と、を用いて出力電圧の低下を防ぐ。トランジスタの半導体
層に酸化物半導体を用いることで、出力電圧が大きく高耐圧な論理回路を実現する。また
、当該論理回路を用いることで、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を実現する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第4トランジスタと、容量素子と、を有し、
前記第1トランジスタは第1ゲートおよび第2ゲートを有し、
前記第1トランジスタのソースまたはドレインの一方は第1配線と電気的に接続され、
前記第1トランジスタのソースまたはドレインの他方は前記第1トランジスタの第1ゲートと電気的に接続され、
前記第1トランジスタの第2ゲートは第2配線と電気的に接続され、
前記第2トランジスタのソースまたはドレインの一方は前記第1トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、
前記第2トランジスタのソースまたはドレインの他方は第3配線と電気的に接続され、
前記第3トランジスタのソースまたはドレインの一方は第4配線と電気的に接続され、
前記第3トランジスタのソースまたはドレインの他方は前記容量素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記第3トランジスタのゲートは前記第4配線と電気的に接続され、
前記容量素子の他方の電極は前記第1トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、
前記第4トランジスタのソースまたはドレインの一方は前記第3トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、
前記第4トランジスタのソースまたはドレインの他方は前記第2配線と電気的に接続され、
前記第4トランジスタのゲートは前記第2トランジスタのゲートと電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、または、製造方法に関するものである
。または、本明細書等で開示する発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ
、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。特に、本明細
書等で開示する発明の一態様は、半導体装置、および半導体装置を有する電子機器に関す
るものである。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、照明装置、電気光学装置、
蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置および電子機器などは、半導体装置を有する
場合がある。
【背景技術】
【0003】
近年、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体(OS:Oxide Semico
nductor)を用いたトランジスタ(以下、「OSトランジスタ」ともいう。)が注
目されている。酸化物半導体はスパッタリング法などを用いて成膜できるため、例えば、
大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、OSト
ランジスタは、チャネルが形成される半導体層に非晶質シリコンを用いたトランジスタの
生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられるメリッ
トもある。
【0004】
また、OSトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が少ないことが知られ
ている。例えば、OSトランジスタの極めてリーク電流が少ないという特性を応用した低
消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、OSトランジスタではpチャネル型トランジスタが実現しにくいことが知
られている。そのため、OSトランジスタのみを用いて論理回路を構成するには、単極性
の論理回路(同じ導電型のトランジスタで構成された論理回路)を構成する必要がある。
【0007】
また、pチャネル型トランジスタが実現できたとしても、同一基板上にpチャネル型トラ
ンジスタとnチャネル型トランジスタを作り分けると作製工程数が増加し、半導体装置の
作製コストの増大や、生産性の低下が生じる。そのため、同一基板上に作製する薄膜トラ
ンジスタは同じ導電型のトランジスタとすることが好ましい。ただし、同じ導電型のトラ
ンジスタで構成する単極性の論理回路では、出力電圧がトランジスタの閾値電圧(「Vt
h」ともいう。)に相当する分低下するという問題がある。
【0008】
本発明の一態様は、生産性の良い半導体装置などを提供することを課題の一とする。また
は、消費電力の少ない半導体装置などを提供することを課題の一とする。または、信頼性
の良好な半導体装置などを提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、
出力電圧が低下しにくい単極性の論理回路を含む半導体装置などを提供することを課題の
一とする。または、新規な半導体装置などを提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
同じ導電型のトランジスタで構成された論理回路において、少なくとも3つのトランジス
タと、容量素子と、を用いて出力電圧の低下を防ぐ。また、トランジスタの半導体層に酸
化物半導体を用いることで、出力電圧が大きく高耐圧な論理回路を実現する。また、当該
論理回路を用いることで、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を実現する。
【0011】
本発明の一態様は、第1乃至第3トランジスタと、容量素子と、を有し、第1トランジス
タは第1ゲートおよび第2ゲートを有し、第1トランジスタのソースまたはドレインの一
方は第1配線と電気的に接続され、第1トランジスタのソースまたはドレインの他方は第
1トランジスタの第1ゲートと電気的に接続され、第1トランジスタの第2ゲートは第4
配線と電気的に接続され、第2トランジスタのソースまたはドレインの一方は第1トラン
ジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第2トランジスタのソースま
たはドレインの他方は第2配線と電気的に接続され、第3トランジスタのソースまたはド
レインの一方は第3配線と電気的に接続され、第3トランジスタのソースまたはドレイン
の他方は容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第3トランジスタのゲートは第3配
線と電気的に接続され、容量素子の他方の電極は第1トランジスタのソースまたはドレイ
ンの他方と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置である。
【0012】
または、本発明の一態様は、第1乃至第3トランジスタと、容量素子と、を有し、第1ト
ランジスタおよび第3トランジスタは、それぞれが第1ゲートおよび第2ゲートを有し、
第1トランジスタのソースまたはドレインの一方は第1配線と電気的に接続され、第1ト
ランジスタのソースまたはドレインの他方は第1トランジスタの第1ゲートと電気的に接
続され、第1トランジスタの第2ゲートは第4配線と電気的に接続され、第2トランジス
タのソースまたはドレインの一方は第1トランジスタのソースまたはドレインの他方と電
気的に接続され、第2トランジスタのソースまたはドレインの他方は第2配線と電気的に
接続され、第3トランジスタのソースまたはドレインの一方は第3配線と電気的に接続さ
れ、第3トランジスタのソースまたはドレインの他方は容量素子の一方の電極と電気的に
接続され、第3トランジスタの第1ゲートは第3配線と電気的に接続され、第3トランジ
スタの第2ゲートは第3トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され
、容量素子の他方の電極は第1トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接
続されていることを特徴とする半導体装置である。
【0013】
または、本発明の一態様は、第1乃至第4トランジスタと、容量素子と、を有し、第1ト
ランジスタは第1ゲートおよび第2ゲートを有し、第1トランジスタのソースまたはドレ
インの一方は第1配線と電気的に接続され、第1トランジスタのソースまたはドレインの
他方は第1トランジスタの第1ゲートと電気的に接続され、第1トランジスタの第2ゲー
トは第2配線と電気的に接続され、第2トランジスタのソースまたはドレインの一方は第
1トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第2トランジスタの
ソースまたはドレインの他方は第3配線と電気的に接続され、第3トランジスタのソース
またはドレインの一方は第4配線と電気的に接続され、第3トランジスタのソースまたは
ドレインの他方は容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第3トランジスタのゲート
は第4配線と電気的に接続され、容量素子の他方の電極は第1トランジスタのソースまた
はドレインの他方と電気的に接続され、第4トランジスタのソースまたはドレインの一方
は第3トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第4トランジス
タのソースまたはドレインの他方は第2配線と電気的に接続され、第4トランジスタのゲ
ートは第2トランジスタのゲートと電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置
である。
【0014】
第1トランジスタが有する第1ゲートまたは第2ゲートのうち、一方はゲートとして機能
でき、他方はバックゲートとして機能できる。第3トランジスタが有する第1ゲートまた
は第2ゲートのうち、一方はゲートとして機能でき、他方はバックゲートとして機能でき
る。
【0015】
また、少なくとも、第1トランジスタまたは第2トランジスタの一方は、チャネルが形成
される半導体層に酸化物半導体を含むトランジスタであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
生産性の良い半導体装置などを提供することができる。または、消費電力の少ない半導体
装置などを提供することができる。または、信頼性の良好な半導体装置などを提供するこ
とができる。または、出力電圧が低下しにくい単極性の論理回路を含む半導体装置などを
提供することができる。または、新規な半導体装置などを提供することができる。
【0017】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、
図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項な
どの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】半導体装置の動作を説明するタイミングチャート。
【
図8】半導体装置の動作を説明するタイミングチャート。
【
図13】半導体装置の動作を説明するタイミングチャート。
【
図36】電子部品の作製工程例を説明するフローチャートおよび斜視模式図。
【
図40】半導体装置の動作を検証するための回路モデル。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0020】
また、図面などにおいて示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易と
するため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示す
る発明は、必ずしも、図面などに開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0021】
また、図面において、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場
合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
【0022】
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために
付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。
また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避
けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等にお
いて序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付さ
れる場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許
請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
【0023】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限
定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、
その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配
線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0024】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直
下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極
B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶
縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0025】
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回
路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わる
ため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、
本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるも
のとする。
【0026】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合
は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合
と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。
したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、
図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとす
る。
【0027】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの
」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの
」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。
よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物
理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
【0028】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重な
る領域、またはチャネルが形成される領域(「チャネル形成領域」ともいう。)における
、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極
)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で
同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定ま
らない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域
における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0029】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領
域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0030】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、
ゲート電極が半導体層の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅
よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電
極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割
合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネ
ル幅が大きくなる。
【0031】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。
例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という
仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチ
ャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0032】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Su
rrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書
では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネ
ル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実
効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル
幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析するこ
となどによって、値を決定することができる。
【0033】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0034】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、エンハンスメント
型(ノーマリーオフ型)の電界効果トランジスタとする。
【0035】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度
が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半
導体のDOS(Density of State)が高くなることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の
遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、
シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素など
の不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである
場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素
、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0036】
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略
平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、「垂直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置
されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂
直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0037】
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい
」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除
き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
【0038】
また、本明細書において、フォトリソグラフィ工程を行った後にエッチング工程を行う場
合は、特段の説明がない限り、フォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクは、エ
ッチング工程終了後に除去するものとする。
【0039】
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」または「H電位」
ともいう。)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電
位VSS(以下、単に「VSS」または「L電位」ともいう。)とは、高電源電位VDD
よりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位をVDDまたはVSSとして用いるこ
ともできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり
、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
【0040】
また、一般に「電圧」とは、ある電位と基準の電位(例えば、接地電位(GND電位)ま
たはソース電位など)との電位差のことを示す場合が多い。また、「電位」は相対的なも
のであり、基準となる電位によって配線等に与える電位が変化する場合がある。よって「
電圧」と「電位」は互いに言い換えることが可能な場合がある。なお、本明細書等では、
明示される場合を除き、VSSを基準の電位とする。
【0041】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0042】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
。
【0043】
(実施の形態1)
本発明の一態様の半導体装置100について、図面を用いて説明する。
図1(A)は半導
体装置100の構成を説明する回路図である。
【0044】
<半導体装置100の構成例>
半導体装置100は、トランジスタ111乃至トランジスタ113、および容量素子11
7を有する。トランジスタ111乃至トランジスタ113は、ソース、ドレイン、および
ゲートを有するnチャネル型のトランジスタである。なお、トランジスタ111はゲート
に加えてバックゲートも有する。トランジスタ112および/またはトランジスタ113
にバックゲートを設けることもできる。
【0045】
ゲートとバックゲートは、両者で半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。
よって、バックゲートはゲートと同様に機能させることができる。なお、バックゲートの
電位は、ゲートと同電位としてもよいし、接地電位(GND電位)や、任意の電位として
もよい。また、バックゲートの電位をゲートと連動させず独立して変化させることで、ト
ランジスタの閾値電圧を変化させることができる。本明細書等では、ゲートまたはバック
ゲートのどちらか一方を、「第1ゲート」といい、他方を「第2ゲート」とも言う。
【0046】
半導体装置100は、トランジスタ111の、ソースまたはドレインの一方は配線121
と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方はノード131と電気的に接続されて
いる。また、トランジスタ111の、第1ゲートまたは第2ゲートの一方はノード131
と電気的に接続され、第1ゲートまたは第2ゲートの他方は配線124と電気的に接続さ
れている。また、トランジスタ112の、ソースまたはドレインの一方はノード131と
電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線122と電気的に接続されている
。また、トランジスタ112のゲートは端子102と電気的に接続されている。また、ト
ランジスタ113の、ソースまたはドレインの一方は配線123と電気的に接続され、ソ
ースまたはドレインの他方はノード132と電気的に接続されている。また、トランジス
タ113のゲートは、トランジスタ113のソースまたはドレインの一方と電気的に接続
されている。また、容量素子117の、一方の電極はノード131と電気的に接続され、
他方の電極はノード132と電気的に接続されている。また、ノード131は端子105
と電気的に接続されている。なお、端子105は、容量素子やトランジスタのゲートなど
の入力インピーダンスの高い素子と接続されているものとする。
【0047】
また、
図2(A)の回路図で示す半導体装置100aのように、トランジスタ113にバ
ックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ113のソースまたはドレインの
一方と電気的に接続してもよい。
【0048】
また、
図2(B)の回路図で示す半導体装置100bのように、トランジスタ112にバ
ックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ112のゲートと電気的に接続し
てもよい。
【0049】
また、
図2(C)の回路図で示す半導体装置100cのように、トランジスタ112にバ
ックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ112のソースまたはドレインの
他方と電気的に接続してもよい。
【0050】
また、
図2(D)の回路図で示す半導体装置100dのように、トランジスタ113のゲ
ートを、トランジスタ113のソースまたはドレインの一方に接続せず、配線125に接
続してもよい。配線125に供給する電位によりトランジスタ113のオン状態とオフ状
態を制御できるため、ノード132を任意の電位に設定することができる。
【0051】
ゲートに加えてバックゲートを設けることで、トランジスタがオン状態の時にキャリアの
流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この
結果、トランジスタのオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。したが
って、バックゲートを有するトランジスタは、求められるオン電流に対してトランジスタ
の占有面積を小さくすることができる。また、半導体層をゲートおよびバックゲートで覆
うことで、チャネル形成領域に対する外部からの電界の影響を軽減し、半導体装置の信頼
性を高めることができる。なお、バックゲートに関しては、追って詳細に説明する。
【0052】
また、トランジスタ111乃至トランジスタ113のチャネルが形成される半導体層に用
いる半導体材料に特段の制限はない。ただし、トランジスタ111乃至トランジスタ11
3には、チャネルが形成される半導体層が酸化物半導体であるトランジスタ(以下、「O
Sトランジスタ」ともいう。)を用いることが好ましい。酸化物半導体のバンドギャップ
は2eV以上あるため、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジ
スタは、オフ電流を極めて小さくすることができる。また、OSトランジスタは、ソース
とドレイン間の絶縁耐圧が高い。OSトランジスタを用いることで、出力電圧が大きく高
耐圧な半導体装置を提供することができる。特に、少なくとも、トランジスタ111およ
びトランジスタ112の一方または両方にOSトランジスタを用いることが好ましい。
【0053】
また、容量素子117の容量は、トランジスタ113のゲートソース間に生じる容量より
大きいことが好ましい。また、トランジスタ113のゲートソース間に生じる容量は、ト
ランジスタ111のゲートソース間に生じる容量より大きいことが好ましい。
【0054】
<半導体装置100の動作例>
半導体装置100は、インバータ回路として機能することができる。具体的には、端子1
02にH電位が入力されると端子105からL電位が出力され、端子102にL電位が入
力されると端子105からH電位を出力することができる。
【0055】
半導体装置100の動作例について、
図3のタイミングチャートと、
図4乃至び
図6の回
路図を用いて説明する。本実施の形態においては、トランジスタ111乃至トランジスタ
113の閾値電圧は全て同じとする。また、Vthは0ボルトより大きく、かつ、(VD
D-VSS)/2未満とする。また、配線121にH電位(VDD)が供給され、配線1
22にL電位(VSS)が供給される。また、配線124には、端子102に入力される
信号の反転信号が入力される。例えば、端子102にH電位が入力される場合は、配線1
24にL電位が入力される。
【0056】
なお、配線121に端子102に入力される信号の反転信号が入力されてもよい。この場
合、配線121を設けずに、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方を配線1
24と電気的に接続してもよい(
図1(B)参照。)。
【0057】
初期状態として、時刻T1直前の半導体装置100の状態を
図4(A)に示す。
図4(A
)において、トランジスタ111乃至トランジスタ113はオフ状態であり、ノード13
1の電位はH電位であり、ノード132の電位はH-Vthである。また、端子102に
L電位が入力されている。
【0058】
〔期間151:H電位入力期間〕
時刻T1において、端子102にH電位が入力され、配線124にL電位が入力され、配
線123にL電位が入力される。すると、トランジスタ112がオン状態となる。トラン
ジスタ112がオン状態となると、ノード131の電位がL電位となり、端子105から
L電位が出力される。また、ノード131の電位がL電位となると、容量素子117を介
して接続しているノード132の電位は、L-Vthとなる(
図4(B)参照。)。なお
、端子102にH電位を入力するタイミングは、配線123にL電位を入力した後が好ま
しい。
【0059】
〔期間152:L電位入力期間〕
時刻T2において、端子102にL電位が入力され、配線124にH電位が供給される。
すると、トランジスタ112がオフ状態となり、トランジスタ111がオン状態となる。
すると、ノード131の電位がH-Vthとなる。また、容量素子117を介して接続し
ているノード132の電位が、H-2×Vthとなる(
図5(A)参照。)。
【0060】
時刻T3において、配線123にH電位を供給する。すると、トランジスタ113がオン
状態となり、ノード132の電位がH-Vthとなる。この時、ノード132の電位は、
H-2×VthとH-Vthの電位差であるVth分上昇する。また、ノード132と容
量素子117を介して接続しているノード131の電位もVth分上昇する。よって、ノ
ード131の電位がH電位となる(
図5(B)参照。)。このようにして、端子105か
らH電位が供給される。また、トランジスタ111の第1ゲート、第2ゲート、ソース、
およびドレインの電位がH電位となるため、トランジスタ111がオフ状態となる。
【0061】
また、
図6の時刻T4に示すように、ノード132の電位がH-Vthとなると、トラン
ジスタ113がオフ状態となる。
【0062】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0063】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体装置100と異なる構成を有する半導体装置110について、
図面を用いて説明する。
図7(A)は半導体装置110の構成を説明する回路図である。
なお、説明の繰り返しを避けるため、本実施の形態では主に半導体装置100と異なる部
分について説明する。本実施の形態に説明の無い部分については、他の実施の形態や、当
業者が有する技術常識を参酌すればよい。
【0064】
<半導体装置110の構成例>
半導体装置110は、
図1(A)に示した半導体装置100が有するトランジスタ113
にバックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ113のソースまたはドレイ
ンの他方と電気的に接続した構成を有している。
【0065】
なお、配線121に端子102に入力される信号の反転信号が入力されてもよい。この場
合、配線121を設けずに、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方を配線1
24と電気的に接続してもよい(
図7(B)参照。)。
【0066】
また、
図7(C)の回路図で示す半導体装置110aのように、半導体装置110のトラ
ンジスタ112にバックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ112のゲー
トと電気的に接続してもよい。
【0067】
また、
図7(D)の回路図で示す半導体装置110bのように、半導体装置110のトラ
ンジスタ112にバックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ112のソー
スまたはドレインの他方と電気的に接続してもよい。
【0068】
半導体装置110、半導体装置110a、および半導体装置110bも、半導体装置10
0と同様に動作することができる。ただし、半導体装置110、半導体装置110a、お
よび半導体装置110bでは、期間151において配線123にL電位が供給されると、
ノード132の電位はVthとなる。
【0069】
<半導体装置110の動作例>
半導体装置110の動作例について、
図8のタイミングチャートと、
図9乃至
図11の回
路図を用いて説明する。半導体装置110は、半導体装置100とほぼ同様に動作するこ
とができる。ここでは、半導体装置100の動作と異なる部分について説明する。
【0070】
なお、本実施の形態においても、トランジスタ111乃至トランジスタ113の閾値電圧
(「Vth」ともいう。)は全て同じとする。また、配線121にH電位(VDD)が供
給され、配線122にL電位(VSS)が供給される。また、配線124には、端子10
2に入力される信号の反転信号が入力される。
【0071】
なお、配線121に端子102に入力される信号の反転信号が入力されてもよい。この場
合、配線121を設けずに、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方を配線1
24と電気的に接続してもよい(
図7(B)参照。)。
【0072】
初期状態として、時刻T1直前の半導体装置110の状態を
図9(A)に示す。
図9(A
)において、トランジスタ111乃至トランジスタ113はオフ状態であり、ノード13
1の電位はH+Vthであり、ノード132の電位はH-Vthである。また、端子10
2にL電位が入力されている。
【0073】
〔期間151:H電位入力期間〕
時刻T1において、端子102にH電位が入力され、配線124にL電位が入力され、配
線123にL電位が入力される。すると、トランジスタ112がオン状態となる。トラン
ジスタ112がオン状態となると、ノード131がL電位となる。また、端子105から
L電位が出力される。また、ノード131の電位がL電位となると、容量素子117を介
して接続しているノード132の電位は、L-Vthとなる(
図9(B)参照。)。
【0074】
〔期間152:L電位入力期間〕
時刻T2において、端子102にL電位が入力され、配線124にH電位が供給される。
すると、トランジスタ112がオフ状態となり、トランジスタ111がオン状態となる。
すると、ノード131の電位がL電位からH-Vthに上昇する。この時、ノード131
と容量素子117を介して接続しているノード132の電位も上昇しようとする。ただし
、ノード132の電位がトランジスタ113のVthを越えるとトランジスタ113がオ
ン状態となる。よって、ノード132の電位はVthとなる(
図10(A)参照。)。な
お、ノード132の電位がVthになると、トランジスタ113はオフ状態になる。
【0075】
時刻T3において、配線123にH電位を供給する。すると、トランジスタ113がオン
状態となり、ノード132の電位がH-Vthになる。この時、ノード132の電位は、
VthとH-Vthの電位差であるH-2×Vth分上昇する。また、ノード132と容
量素子117を介して接続しているノード131の電位も、H-2×Vth分上昇する。
よって、ノード131の電位は瞬間的に2×H-3×Vthになる(
図10(B)参照。
)。
【0076】
また、ノード131の電位がH+Vthを越えると、ノード131の電荷が配線121に
移動するため、ノード131の電位が低下する。
【0077】
そして、
図11の時刻T4に示すように、ノード131の電位がH+Vthとなると、ト
ランジスタ111がオフ状態となる。また、ノード132の電位がH-Vthとなると、
トランジスタ113がオフ状態となる。このようにして、端子105からH電位以上の電
位を供給することができる。
【0078】
なお、本実施の形態に示す半導体装置110の動作例では、VDD-2×VthがVth
よりも大きいことが肝要である。言い換えると、VthはVDDの3分の1未満であるこ
とが肝要である。
【0079】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0080】
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置100と異なる構成を有する半導体装置120について、
図面を用いて説明する。
図12(A)は半導体装置120の構成を説明する回路図である
。なお、説明の繰り返しを避けるため、本実施の形態では主に半導体装置100と異なる
部分について説明する。本実施の形態に説明の無い部分については、他の実施の形態や、
当業者が有する技術常識を参酌すれば理解できる。
【0081】
<半導体装置120の構成例>
半導体装置120は、
図1(A)に示した半導体装置100にトランジスタ114を付加
した構成を有する。半導体装置120が有するトランジスタ114は、ソースまたはドレ
インの一方がノード132と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方が配線12
2と電気的に接続されている。また、トランジスタ114のゲートは、端子102と電気
的に接続されている。
【0082】
また、
図12(B)の回路図で示す半導体装置120aのように、トランジスタ114の
ソースまたはドレインの他方を配線126と電気的に接続してもよい。トランジスタ11
4のソースまたはドレインの他方を配線122と異なる配線に接続する事で、トランジス
タ114のソースまたはドレインの他方に配線122とは異なる電位を供給することがで
きる。
【0083】
また、
図12(C)の回路図で示す半導体装置120bのように、トランジスタ112に
バックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ112のゲートと電気的に接続
してもよい。また、トランジスタ114にバックゲートを設けて、当該バックゲートをト
ランジスタ114のゲートと電気的に接続してもよい。
【0084】
また、
図12(D)の回路図で示す半導体装置120cのように、トランジスタ112に
バックゲートを設けて、当該バックゲートをトランジスタ112のソースまたはドレイン
の他方と電気的に接続してもよい。また、トランジスタ114にバックゲートを設けて、
当該バックゲートをトランジスタ114のソースまたはドレインの他方と電気的に接続し
てもよい。
【0085】
<半導体装置120の動作例>
半導体装置120の動作例について、
図13のタイミングチャートと、
図14乃至
図16
の回路図を用いて説明する。半導体装置120は、半導体装置100とほぼ同様に動作す
ることができる。ここでは、半導体装置100の動作と異なる部分について説明する。
【0086】
なお、本実施の形態において、トランジスタ111乃至トランジスタ114の閾値電圧(
「Vth」ともいう。)は全て同じとする。また、配線121にH電位(VDD)が供給
され、配線122にL電位(VSS)が供給される。また、配線121に端子102に入
力される信号の反転信号が入力されてもよい。
【0087】
初期状態として、時刻T1直前の半導体装置120の状態を
図14(A)に示す。
図14
(A)において、トランジスタ111乃至トランジスタ114はオフ状態であり、ノード
131の電位はH+Vthであり、ノード132の電位はH-Vthである。また、端子
102にL電位が入力されている。
【0088】
〔期間151:H電位入力期間〕
時刻T1において、端子102にH電位が入力され、配線124にL電位が入力され、配
線123にL電位が入力される。すると、トランジスタ112およびトランジスタ114
がオン状態となる。トランジスタ112およびトランジスタ114がオン状態となると、
ノード131およびノード132がL電位となる。また、端子105からL電位が出力さ
れる(
図14(B)参照。)。
【0089】
〔期間152:L電位入力期間〕
時刻T2において、端子102にL電位、配線124にH電位、配線123に2×Vth
以上H-Vth以下の電位を供給する。本実施の形態では、配線123に、2×Vthを
供給する。すると、トランジスタ112およびトランジスタ114がオフ状態となり、ノ
ード131の電位がH-Vthとなり、ノード132の電位がVthとなる(
図15(A
)参照。)。
【0090】
時刻T3において、配線123の電位をH電位とする。すると、ノード132の電位がV
thからH-Vthに上昇する。この時、ノード132の電位は、VthとH-Vthの
電位差であるH-2×Vth分上昇する。また、ノード132と容量素子117を介して
接続しているノード131の電位も、H-2×Vth分上昇する。よって、ノード131
の電位は瞬間的に2×H-3×Vthになる(
図15(B)参照。)。
【0091】
ただし、ノード131の電位がH+Vthを越えると、ノード131の電荷が配線121
に移動するため、ノード131の電位が低下する。
【0092】
そして、
図16の時刻T4に示すように、ノード131の電位がH+Vthとなると、ト
ランジスタ111がオフ状態となる。また、ノード132の電位はH-Vthであるため
、トランジスタ113がオフ状態となっている。このようにして、端子105からH電位
以上の電位を供給することができる。
【0093】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0094】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した半導体装置に用いることができるトランジス
タの構造例を説明する。
【0095】
<トランジスタの構造例>
本発明の一態様の半導体装置は、ボトムゲート型のトランジスタや、トップゲート型トラ
ンジスタなどの様々な形態のトランジスタを用いて作製することができる。よって、既存
の製造ラインに合わせて、使用する半導体層の材料やトランジスタ構造を容易に置き換え
ることができる。
【0096】
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図17(A1)は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトラン
ジスタ410の断面図である。トランジスタ410は、基板271上に絶縁層272を介
して電極246を有する。また、電極246上に絶縁層226を介して半導体層242を
有する。電極246はゲート電極として機能できる。絶縁層226はゲート絶縁層として
機能できる。
【0097】
また、半導体層242のチャネル形成領域上に絶縁層225を有する。また、半導体層2
42の一部と接して、絶縁層226上に電極244aおよび電極244bを有する。電極
244aの一部、および電極244bの一部は、絶縁層225上に形成される。
【0098】
絶縁層225は、チャネル保護層として機能できる。チャネル形成領域上に絶縁層225
を設けることで、電極244aおよび電極244bの形成時に生じる半導体層242の露
出を防ぐことができる。よって、電極244aおよび電極244bの形成時に、半導体層
242のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一態様
によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0099】
また、トランジスタ410は、電極244a、電極244bおよび絶縁層225上に絶縁
層228を有し、絶縁層228の上に絶縁層229を有する。
【0100】
なお、半導体層242に酸化物半導体を用いる場合、電極244aおよび電極244bの
、少なくとも半導体層242と接する部分に、半導体層242の一部から酸素を奪い、酸
素欠損を生じさせることが可能な材料を用いることが好ましい。半導体層242中の酸素
欠損が生じた領域はキャリア濃度が増加し、当該領域はn型化し、n型領域(n+層)と
なる。したがって、当該領域はソース領域またはドレイン領域として機能することができ
る。酸化物半導体から酸素を奪い、酸素欠損を生じさせることが可能な材料の一例として
、タングステン、チタン等を挙げることができる。
【0101】
半導体層242にソース領域およびドレイン領域が形成されることにより、電極244a
および電極244bと半導体層242の接触抵抗を低減することができる。よって、電界
効果移動度や、しきい値電圧などの、トランジスタの電気特性を良好なものとすることが
できる。
【0102】
半導体層242にシリコンなどの半導体を用いる場合は、半導体層242と電極244a
の間、および半導体層242と電極244bの間に、n型半導体またはp型半導体として
機能する層を設けることが好ましい。n型半導体またはp型半導体として機能する層は、
トランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
【0103】
絶縁層229は、外部からのトランジスタへの不純物の拡散を防ぐ、または低減する機能
を有する材料を用いて形成することが好ましい。なお、必要に応じて絶縁層229を省略
することもできる。
【0104】
なお、半導体層242に酸化物半導体を用いる場合、絶縁層229の形成前または形成後
、もしくは絶縁層229の形成前後に加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、
絶縁層229や他の絶縁層中に含まれる酸素を半導体層242中に拡散させ、半導体層2
42中の酸素欠損を補填することができる。または、絶縁層229を加熱しながら成膜す
ることで、半導体層242中の酸素欠損を補填することができる。
【0105】
図17(A2)に示すトランジスタ411は、絶縁層229上にバックゲートとして機能
できる電極223を有する点がトランジスタ410と異なる。電極223は、電極246
と同様の材料および方法で形成することができる。
【0106】
〔バックゲートについて〕
ここで、トランジスタのゲートおよびバックゲートについて説明しておく。一般に、バッ
クゲートは導電層で形成され、ゲートとバックゲートで半導体層のチャネル形成領域を挟
むように配置される。よって、バックゲートは、ゲートと同様に機能させることができる
。バックゲートの電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、GND電位や、任意の電
位としてもよい。また、バックゲートの電位をゲートと連動させず独立して変化させるこ
とで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
【0107】
電極246および電極223は、どちらもゲートとして機能することができる。よって、
絶縁層226、絶縁層228、および絶縁層229は、それぞれがゲート絶縁層として機
能することができる。なお、電極223は、絶縁層228と絶縁層229の間に設けても
よい。
【0108】
なお、電極246または電極223の一方を、「ゲート」または「ゲート電極」という場
合、他方を「バックゲート」または「バックゲート電極」という。例えば、トランジスタ
411において、電極223を「ゲート電極」と言う場合、電極246を「バックゲート
電極」と言う。なお、電極223を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ4
11をトップゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。また、電極246お
よび電極223のどちらか一方を、「第1ゲート」または「第1ゲート電極」といい、他
方を「第2ゲート」または「第2ゲート電極」という場合がある。
【0109】
半導体層242を挟んで電極246および電極223を設けることで、更には、電極24
6および電極223を同電位とすることで、半導体層242においてキャリアの流れる領
域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、ト
ランジスタ411のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
【0110】
したがって、トランジスタ411は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジ
スタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ411の占有面積を
小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくす
ることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現する
ことができる。
【0111】
また、ゲートとバックゲートは導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電
界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対
する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲートを半導体層よりも大きく形成し、バッ
クゲートで半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
【0112】
また、電極246(ゲート)および電極223(バックゲート)は、それぞれが外部から
の電界を遮蔽する機能を有するため、絶縁層272側もしくは電極223上方に生じる荷
電粒子等の電荷が半導体層242のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス
試験(例えば、ゲートに負の電荷を印加する-GBT(Gate Bias-Tempe
rature)ストレス試験)による劣化が抑制される。また、ドレイン電圧の大きさに
より、オン電流が流れ始めるゲート電圧(立ち上がり電圧)が変化する現象を軽減するこ
とができる。なお、この効果は、電極246および電極223が、同電位、または異なる
電位の場合において生じる。
【0113】
なお、GBTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトラン
ジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができる。特に、GBTストレス
試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な
指標となる。しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるとい
える。
【0114】
また、電極246および電極223を有し、且つ電極246および電極223を同電位と
することで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタにおけ
る電気特性のばらつきも同時に低減される。
【0115】
また、バックゲートを有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GBTスト
レス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲートを有さないトランジスタより
小さい。
【0116】
また、バックゲートを、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート側から半
導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トラ
ンジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0117】
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、
信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0118】
図17(B1)に、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネル保護型のトラン
ジスタ420の断面図を示す。トランジスタ420は、トランジスタ410とほぼ同様の
構造を有しているが、絶縁層225が半導体層242を覆っている点が異なる。絶縁層2
25を設けることで、電極244aおよび電極244bの形成時に生じる半導体層242
の露出を防ぐことができる。よって、電極244aおよび電極244bの形成時に半導体
層242の薄膜化を防ぐことができる。
【0119】
また、半導体層242と重なる絶縁層225の一部を選択的に除去して形成した開口部に
おいて、半導体層242と電極244aが電気的に接続している。また、半導体層242
と重なる絶縁層225の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導体層
242と電極244bが電気的に接続している。絶縁層229の、チャネル形成領域と重
なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0120】
図17(B2)に示すトランジスタ421は、絶縁層229上にバックゲートとして機能
できる電極223を有する点が、トランジスタ420と異なる。
【0121】
また、トランジスタ420およびトランジスタ421は、トランジスタ410およびトラ
ンジスタ411よりも、電極244aと電極246の間の距離と、電極244bと電極2
46の間の距離が長くなる。よって、電極244aと電極246の間に生じる寄生容量を
小さくすることができる。また、電極244bと電極246の間に生じる寄生容量を小さ
くすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現で
きる。
【0122】
図17(C1)に示すトランジスタ425は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであ
るチャネルエッチング型のトランジスタである。トランジスタ425は、絶縁層225を
設けずに、半導体層242に接して電極244aおよび電極244bを形成する。このた
め、電極244aおよび電極244bの形成時に露出する半導体層242の一部がエッチ
ングされる場合がある。一方、絶縁層229を設けないため、トランジスタの生産性を高
めることができる。
【0123】
図17(C2)に示すトランジスタ426は、絶縁層229上にバックゲートとして機能
できる電極223を有する点が、トランジスタ425と異なる。
【0124】
〔トップゲート型トランジスタ〕
図18(A1)に、トップゲート型のトランジスタの一種であるトランジスタ430の断
面図を示す。トランジスタ430は、基板271の上に絶縁層272を介して半導体層2
42を有し、半導体層242および絶縁層272上に、半導体層242の一部に接する電
極244a、および半導体層242の一部に接する電極244bを有し、半導体層242
、電極244a、および電極244b上に絶縁層226を有し、絶縁層226上に電極2
46を有する。
【0125】
トランジスタ430は、電極246および電極244a、並びに、電極246および電極
244bが重ならないため、電極246および電極244aの間に生じる寄生容量、並び
に、電極246および電極244bの間に生じる寄生容量を小さくすることができる。ま
た、電極246を形成した後に、電極246をマスクとして用いて不純物255を半導体
層242に導入することで、半導体層242中に自己整合(セルフアライメント)的に不
純物領域を形成することができる(
図18(A3)参照)。本発明の一態様によれば、電
気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0126】
なお、不純物255の導入は、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズマ処
理装置を用いて行うことができる。
【0127】
不純物255としては、例えば、第13族元素または第15族元素などのうち、少なくと
も一種類の元素を用いることができる。また、半導体層242に酸化物半導体を用いる場
合は、不純物255として、希ガス、水素、および窒素のうち、少なくとも一種類の元素
を用いることも可能である。
【0128】
図18(A2)に示すトランジスタ431は、電極223および絶縁層227を有する点
がトランジスタ430と異なる。トランジスタ431は、絶縁層272の上に形成された
電極223を有し、電極223上に形成された絶縁層227を有する。電極223は、バ
ックゲートとして機能することができる。よって、絶縁層227は、ゲート絶縁層として
機能することができる。絶縁層227は、絶縁層226と同様の材料および方法により形
成することができる。
【0129】
トランジスタ411と同様に、トランジスタ431は、占有面積に対して大きいオン電流
を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ4
31の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占
有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導
体装置を実現することができる。
【0130】
図18(B1)に例示するトランジスタ440は、トップゲート型のトランジスタの1つ
である。トランジスタ440は、電極244aおよび電極244bを形成した後に半導体
層242を形成する点が、トランジスタ430と異なる。また、
図18(B2)に例示す
るトランジスタ441は、電極223および絶縁層227を有する点が、トランジスタ4
40と異なる。トランジスタ440およびトランジスタ441において、半導体層242
の一部は電極244a上に形成され、半導体層242の他の一部は電極244b上に形成
される。
【0131】
トランジスタ411と同様に、トランジスタ441は、占有面積に対して大きいオン電流
を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ4
41の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占
有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導
体装置を実現することができる。
【0132】
図19(A1)に例示するトランジスタ442は、トップゲート型のトランジスタの1つ
である。トランジスタ442は、絶縁層229上に電極244aおよび電極244bを有
する。電極244aおよび電極244bは、絶縁層228および絶縁層229に形成した
開口部において半導体層242と電気的に接続する。
【0133】
また、電極246と重ならない絶縁層226の一部が除去されている。また、トランジス
タ442が有する絶縁層226の一部は、電極246の端部を越えて延伸している。
【0134】
電極246と絶縁層226をマスクとして用いて不純物255を半導体層242に導入す
ることで、半導体層242中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成す
ることができる(
図19(A3)参照)。
【0135】
この時、半導体層242の電極246と重なる領域には不純物255が導入されず、電極
246と重ならない領域に不純物255が導入される。また、半導体層242の絶縁層2
26を介して不純物255が導入された領域の不純物濃度は、絶縁層226を介さずに不
純物255が導入された領域よりも低くなる。よって、半導体層242中の電極246と
隣接する領域にLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成される。
【0136】
図19(A2)に示すトランジスタ443は、半導体層242の下方に電極223を有す
る点がトランジスタ442と異なる。また、電極223は絶縁層272を介して半導体層
242と重なる。電極223は、バックゲート電極として機能することができる。
【0137】
また、
図19(B1)に示すトランジスタ444および
図19(B2)に示すトランジス
タ445のように、絶縁層226の電極246と重ならない領域を全て除去してもよい。
また、
図19(C1)に示すトランジスタ446および
図19(C2)に示すトランジス
タ447のように、絶縁層226の開口部以外を除去せずに残してもよい。
【0138】
トランジスタ444乃至トランジスタ447も、電極246を形成した後に、電極246
をマスクとして用いて不純物255を半導体層242に導入することで、半導体層242
中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。
【0139】
〔s-channel型トランジスタ〕
図20に、半導体層242として酸化物半導体を用いたトランジスタ構造の一例を示す。
図20(A)はトランジスタ451の上面図である。
図20(B)は、
図20(A)中に
一点鎖線で示した部位L1-L2の断面図(チャネル長方向の断面図)である。
図20(
C)は、
図20(A)中に一点鎖線で示した部位W1-W2の断面図(チャネル幅方向の
断面図)である。
【0140】
トランジスタ451は半導体層242、絶縁層226、絶縁層272、絶縁層282、絶
縁層274、電極224、電極243、電極244a、および電極244bを有する。電
極243はゲートとして機能できる。電極224はバックゲートゲートとして機能できる
。絶縁層226、絶縁層272、絶縁層282、および絶縁層274はゲート絶縁層とし
て機能できる。電極244aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能できる
。電極244bは、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。
【0141】
基板271上に絶縁層275が設けられ、絶縁層275上に電極224および絶縁層27
3が設けられている。また、電極224および絶縁層273上に絶縁層274が設けられ
ている。また、絶縁層274上に絶縁層282が設けられ、絶縁層282上に絶縁層27
2が設けられている。
【0142】
絶縁層272に形成された凸部の上に半導体層242aが設けられ、半導体層242aの
上に半導体層242bが設けられている。また、半導体層242b上に、電極244a、
および電極244bが設けられている。半導体層242bの電極244aと重なる領域が
、トランジスタ451のソースまたはドレインの一方として機能できる。半導体層242
bの電極244bと重なる領域が、トランジスタ451のソースまたはドレインの他方と
して機能できる。
【0143】
また、半導体層242bの一部と接して、半導体層242cが設けられている。また、半
導体層242c上に絶縁層226が設けられ、絶縁層226の上に電極243が設けられ
ている。
【0144】
トランジスタ451は、部位W1-W2において、半導体層242bの上面および側面、
並びに半導体層242aの側面が半導体層242cに覆われた構造を有する。また、絶縁
層272に設けた凸部の上方に半導体層242bを設けることで、半導体層242bの側
面を電極243で覆うことができる。すなわち、トランジスタ451は、電極243の電
界によって、半導体層242bを電気的に取り囲むことができる構造を有している。この
ように、導電膜の電界によって、チャネルが形成される半導体層を電気的に取り囲むトラ
ンジスタの構造を、surrounded channel(s-channel)構造
とよぶ。また、s-channel構造を有するトランジスタを、「s-channel
型トランジスタ」もしくは「s-channelトランジスタ」ともいう。
【0145】
s-channel構造では、半導体層242bの全体(バルク)にチャネルを形成する
こともできる。s-channel構造では、トランジスタのドレイン電流を大きくする
ことができ、さらに大きいオン電流を得ることができる。また、電極243の電界によっ
て、半導体層242bに形成されるチャネル形成領域の全領域を空乏化することができる
。したがって、s-channel構造では、トランジスタのオフ電流をさらに小さくす
ることができる。
【0146】
なお、絶縁層272の凸部を高くし、また、チャネル幅を小さくすることで、s-cha
nnel構造によるオン電流の増大効果、オフ電流の低減効果などをより高めることがで
きる。また、半導体層242bの加工時に、露出する半導体層242aを除去してもよい
。この場合、半導体層242aと半導体層242bの側面が揃う場合がある。
【0147】
また、トランジスタ451上に絶縁層228が設けられ、絶縁層228上に絶縁層229
が設けられている。また、絶縁層229上に電極225a、電極225b、および電極2
25c、が設けられている。電極225aは、絶縁層229および絶縁層228に設けら
れた開口部で、コンタクトプラグを介して電極244aと電気的に接続されている。電極
225bは、絶縁層229および絶縁層228に設けられた開口部で、コンタクトプラグ
を介して電極244bと電気的に接続されている。電極225cは、絶縁層229および
絶縁層228に設けられた開口部で、コンタクトプラグを介して電極244cと電気的に
接続されている。
【0148】
なお、絶縁層282を酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、アルミニウム
シリケートなどで形成することで、絶縁層282を電荷捕獲層として機能させることがで
きる。絶縁層282に電子を注入することで、トランジスタのしきい値電圧を変動させる
ことが可能である。絶縁層282への電子の注入は、例えば、トンネル効果を利用すれば
よい。電極224に正の電圧を印加することによって、トンネル電子を絶縁層282に注
入することができる。
【0149】
<半導体層242のエネルギーバンド構造(1)>
ここで、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cの積層により構
成される半導体層242の機能およびその効果について、
図28(A)に示すエネルギー
バンド構造図を用いて説明する。
図28(A)は、
図20(B)にD1-D2の一点鎖線
で示した部位のエネルギーバンド構造を示している。すなわち、
図28(A)は、トラン
ジスタ451のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造を示している。
【0150】
図28(A)中、Ec382、Ec383a、Ec383b、Ec383c、Ec386
は、それぞれ、絶縁層272、半導体層242a、半導体層242b、半導体層242c
、絶縁層226の伝導帯下端のエネルギーを示している。
【0151】
ここで、電子親和力は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(「イオン化ポテン
シャル」ともいう。)からバンドギャップを引いた値となる。なお、バンドギャップは、
分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT-300)を用いて
測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(
UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectrosco
py)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定できる。
【0152】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いて形成したIn-G
a-Zn酸化物のバンドギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。ま
た、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて形成したIn-Ga
-Zn酸化物のバンドギャップは約3.4eV、電子親和力は約4.5eVである。また
、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:6のターゲットを用いて形成したIn-Ga-
Zn酸化物のバンドギャップは約3.3eV、電子親和力は約4.5eVである。また、
原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:2のターゲットを用いて形成したIn-Ga-Z
n酸化物のバンドギャップは約3.9eV、電子親和力は約4.3eVである。また、原
子数比がIn:Ga:Zn=1:6:8のターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn
酸化物のバンドギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.4eVである。また、原子
数比がIn:Ga:Zn=1:6:10のターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn
酸化物のバンドギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子
数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn酸
化物のバンドギャップは約3.2eV、電子親和力は約4.7eVである。また、原子数
比がIn:Ga:Zn=3:1:2のターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn酸化
物のバンドギャップは約2.8eV、電子親和力は約5.0eVである。
【0153】
絶縁層272と絶縁層226は絶縁物であるため、Ec382とEc386は、Ec38
3a、Ec383b、およびEc383cよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい。
)。
【0154】
また、Ec383aは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383a
は、Ec383bよりも0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0
.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下真空準位に近いことが
好ましい。
【0155】
また、Ec383cは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383c
は、Ec383bよりも0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0
.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下真空準位に近いことが
好ましい。
【0156】
ここで、半導体層242aと半導体層242bとの間には、半導体層242aと半導体層
242bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体層242bと半導体層242c
との間には、半導体層242bと半導体層242cとの混合領域を有する場合がある。混
合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、半導体層242a、半導体層242bお
よび半導体層242cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に
変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。
【0157】
このとき、電子は、半導体層242a中および半導体層242c中ではなく、半導体層2
42b中を主として移動する。したがって、半導体層242aおよび半導体層242bの
界面における界面準位密度、半導体層242bと半導体層242cとの界面における界面
準位密度を低くすることによって、半導体層242b中で電子の移動が阻害されることが
少なく、トランジスタ451のオン電流を高くすることができる。
【0158】
また、半導体層242aと絶縁層272の界面、および半導体層242cと絶縁層226
の界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位390が形成され得るものの、半
導体層242a、および半導体層242cがあることにより、半導体層242bと当該ト
ラップ準位とを遠ざけることができる。
【0159】
なお、トランジスタ451がs-channel構造を有する場合、部位W1-W2にお
いて、半導体層242bの全体にチャネルが形成される。したがって、半導体層242b
が厚いほどチャネル領域は大きくなる。即ち、半導体層242bが厚いほど、トランジス
タ451のオン電流を高くすることができる。例えば、10nm以上、好ましくは40n
m以上、さらに好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上の厚さの領域を
有する半導体層242bとすればよい。ただし、トランジスタ451を有する半導体装置
の生産性が低下する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以
下、さらに好ましくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体層242bとすればよ
い。なお、チャネル形成領域が縮小していくと、半導体層242bが薄いほうがトランジ
スタの電気特性が向上する場合もある。よって、半導体層242bの厚さが10nm未満
であってもよい。
【0160】
また、トランジスタ451のオン電流を高くするためには、半導体層242cの厚さは小
さいほど好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3
nm以下の領域を有する半導体層242cとすればよい。一方、半導体層242cは、チ
ャネルの形成される半導体層242bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水
素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体層
242cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好まし
くは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する半導体層242cと
すればよい。
【0161】
また、信頼性を高くするためには、半導体層242aは厚く、半導体層242cは薄いこ
とが好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40
nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する半導体層242aとすれば
よい。半導体層242aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体層242a
との界面からチャネルの形成される半導体層242bまでの距離を離すことができる。た
だし、トランジスタ451を有する半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例え
ば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さ
の領域を有する半導体層242aとすればよい。
【0162】
なお、酸化物半導体中のシリコンは、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合があ
る。したがって、半導体層242bのシリコン濃度は低いほど好ましい。例えば、半導体
層242bと半導体層242aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:S
econdary Ion Mass Spectrometry)において、1×10
19atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに
好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。ま
た、半導体層242bと半導体層242cとの間に、SIMSにおいて、1×1019a
toms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好まし
くは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。
【0163】
また、半導体層242bの水素濃度を低減するために、半導体層242aおよび半導体層
242cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体層242aおよび半導体層242cは
、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019a
toms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好
ましくは5×1018atoms/cm3以下の水素濃度となる領域を有する。また、半
導体層242bの窒素濃度を低減するために、半導体層242aおよび半導体層242c
の窒素濃度を低減すると好ましい。半導体層242aおよび半導体層242cは、SIM
Sにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms
/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは
5×1017atoms/cm3以下の窒素濃度となる領域を有する。
【0164】
なお、酸化物半導体に銅が混入すると、電子トラップを生成する場合がある。電子トラッ
プは、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向へ変動させる場合がある。したがって、
半導体層242bの表面または内部における銅濃度は低いほど好ましい。例えば、半導体
層242bは、銅濃度が1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms
/cm3以下、または1×1018atoms/cm3以下となる領域を有すると好まし
い。
【0165】
上述の3層構造は一例である。例えば、半導体層242aまたは半導体層242cのない
2層構造としても構わない。または、半導体層242aの上もしくは下、または半導体層
242c上もしくは下に、半導体層242a、半導体層242bおよび半導体層242c
として例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体
層242aの上、半導体層242aの下、半導体層242cの上、半導体層242cの下
のいずれか二箇所以上に、半導体層242a、半導体層242bおよび半導体層242c
として例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わ
ない。
【0166】
特に、本実施の形態に例示するトランジスタ451は、チャネル幅方向において、半導体
層242bの上面と側面が半導体層242cと接し、半導体層242bの下面が半導体層
242aと接して形成されている。このように、半導体層242bを半導体層242aと
半導体層242cで覆う構成とすることで、上記トラップ準位の影響をさらに低減するこ
とができる。
【0167】
また、半導体層242a、および半導体層242cのバンドギャップは、半導体層242
bのバンドギャップよりも広いほうが好ましい。
【0168】
本発明の一態様によれば、電気特性のばらつきが少ないトランジスタを実現することがで
きる。よって、電気特性のばらつきが少ない半導体装置を実現することができる。本発明
の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。よって、信頼
性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0169】
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、チャネルが形成される半導
体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を極めて小さくすることができる
。具体的には、ソースとドレイン間の電圧が3.5V、室温(25℃)下において、チャ
ネル幅1μm当たりのオフ電流を1×10-20A未満、1×10-22A未満、あるい
は1×10-24A未満とすることができる。すなわち、オンオフ比を20桁以上150
桁以下とすることができる。また、OSトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧
が高い。OSトランジスタを用いることで、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を提供
することができる。
【0170】
本発明の一態様によれば、消費電力が少ないトランジスタを実現することができる。よっ
て、消費電力が少ない半導体装置を実現することができる。
【0171】
また、目的によっては、バックゲートとして機能できる電極224を設けなくてもよい。
図21(A)はトランジスタ451aの上面図である。
図21(B)は、
図21(A)中
に一点鎖線で示した部位L1-L2の断面図である。
図21(C)は、
図21(A)中に
一点鎖線で示した部位W1-W2の断面図である。トランジスタ451aは、トランジス
タ451から電極224、絶縁層273、絶縁層274、および絶縁層282を省略した
構成を有する。これらの電極や絶縁層を設けないことで、トランジスタの生産性を高める
ことができる。よって、半導体装置の生産性を高めることができる。
【0172】
s-channel型トランジスタの他の一例を
図22に示す。
図22(A)はトランジ
スタ452の上面図である。
図22(B)および
図22(C)は、
図22(A)中に一点
鎖線で示した部位L1-L2および部位W1-W2の断面図である。
【0173】
トランジスタ452は、トランジスタ451と同様の構成を有するが、電極244aおよ
び電極244bが半導体層242aおよび半導体層242bの側面と接している点が異な
る。また、トランジスタ452を覆う絶縁層228として、トランジスタ451と同様の
平坦な表面を有する絶縁層を用いてもよい。また、絶縁層229上に、電極225a、電
極225b、および電極225cを設けてもよい。
【0174】
s-channel型トランジスタの他の一例を
図23に示す。
図23(A)はトランジ
スタ453の上面図である。
図23(B)は、
図23(A)中に一点鎖線で示した部位L
1-L2および部位W1-W2の断面図である。トランジスタ453も、トランジスタ4
51と同様に、絶縁層272に設けた凸部の上に半導体層242aおよび半導体層242
bが設けられている。また、半導体層242b上に電極244a、および電極244bが
設けられている。半導体層242bの電極244aと重なる領域が、トランジスタ453
のソースまたはドレインの一方として機能できる。半導体層242bの電極244bと重
なる領域が、トランジスタ453のソースまたはドレインの他方として機能できる。よっ
て、半導体層242bの、電極244aと電極244bに挟まれた領域269が、チャネ
ル形成領域として機能できる。
【0175】
トランジスタ453は、絶縁層228の一部を除去して領域269と重なる領域に開口が
設けられ、該開口の側面および底面に沿って半導体層242cが設けられている。また、
該開口内に、半導体層242cを介して、かつ、該開口の側面および底面に沿って、絶縁
層226が設けられている。また、該開口内に、半導体層242cおよび絶縁層226を
介して、かつ、該開口の側面および底面に沿って、電極243が設けられている。
【0176】
なお、該開口は、チャネル幅方向の断面において、半導体層242aおよび半導体層24
2bよりも大きく設けられている。よって、領域269において、半導体層242aおよ
び半導体層242bの側面は、半導体層242cに覆われている。
【0177】
また、絶縁層228上に絶縁層229が設けられ、絶縁層229上に絶縁層277が設け
られている。また、絶縁層277上に電極225a、電極225b、および電極225c
が設けられている。電極225aは、絶縁層277、絶縁層229、および絶縁層228
の一部を除去して形成した開口において、コンタクトプラグを介して電極244aと電気
的に接続されている。また、電極225bは、絶縁層277、絶縁層229、および絶縁
層228の一部を除去して形成した開口において、コンタクトプラグを介して電極244
bと電気的に接続されている。また、電極225cは、絶縁層277および絶縁層229
の一部を除去して形成した開口において、コンタクトプラグを介して電極243と電気的
に接続されている。
【0178】
また、目的によっては、バックゲートとして機能できる電極224を設けなくてもよい。
図24(A)はトランジスタ453aの上面図である。
図24(B)は、
図24(A)中
に一点鎖線で示した部位L1-L2および部位W1-W2の断面図である。トランジスタ
453aは、トランジスタ453から電極224、絶縁層274、および絶縁層282を
省略した構成を有する。これらの電極や絶縁層を設けないことで、トランジスタの生産性
を高めることができる。よって、半導体装置の生産性を高めることができる。
【0179】
s-channel型トランジスタの他の一例を
図25に示す。
図25(A)はトランジ
スタ454の上面図である。
図25(B)は、
図25(A)に一点鎖線で示した部位L1
-L2の断面図である。
図25(C)は、
図25(A)に一点鎖線で示した部位W1-W
2の断面図である。
【0180】
トランジスタ454は、バックゲート電極を有するボトムゲート型のトランジスタの一種
である。トランジスタ454は、絶縁層274上に電極243が形成され、電極243を
覆って絶縁層226が設けられている。また、絶縁層226上の電極243と重なる領域
に半導体層242が形成されている。トランジスタ454が有する半導体層242は、半
導体層242aと半導体層242bの積層を有する。
【0181】
また、半導体層242の一部に接して、絶縁層226上に電極244aおよび電極244
bが形成されている。また、半導体層242の一部に接して、電極244aおよび電極2
44b上に絶縁層228が形成されている。また、絶縁層228上に絶縁層229が形成
されている。また、絶縁層229上の半導体層242と重なる領域に電極224が形成さ
れている。
【0182】
絶縁層229上に設けられた電極224は、絶縁層229、絶縁層228、および絶縁層
226に設けられた開口247aおよび開口247bにおいて、電極243と電気的に接
続されている。よって、電極224と電極243には、同じ電位が供給される。また、開
口247aおよび開口247bは、どちらか一方を設けなくてもよい。また、開口247
aおよび開口247bの両方を設けなくてもよい。開口247aおよび開口247bの両
方を設けない場合は、電極224と電極243に異なる電位を供給することができる。
【0183】
<半導体層242のエネルギーバンド構造(2)>
図28(B)は、
図25(B)にD3-D4の一点鎖線で示す部位のエネルギーバンド構
造図である。
図28(B)は、トランジスタ454のチャネル形成領域のエネルギーバン
ド構造を示している。
【0184】
図28(B)中、Ec384は、絶縁層228の伝導帯下端のエネルギーを示している。
半導体層242を半導体層242aと半導体層242bの2層とすることで、トランジス
タの生産性を高めることができる。なお、半導体層242cを設けない分、トラップ準位
390の影響を受けやすくなるが、半導体層242を単層構造とした場合よりも高い電界
効果移動度を実現することができる。
【0185】
また、目的によっては、バックゲートとして機能できる電極224を設けなくてもよい。
図26(A)はトランジスタ454aの上面図である。
図26(B)および
図26(C)
は、
図26(A)中に一点鎖線で示した部位L1-L2および部位W1-W2の断面図で
ある。トランジスタ454aは、トランジスタ454から電極224、開口247aおよ
び開口247bを省略した構成を有する。これらの電極や開口を設けないことで、トラン
ジスタの生産性を高めることができる。よって、半導体装置の生産性を高めることができ
る。
【0186】
図27に、s-channel構造を有するトランジスタの一例を示す。
図27に例示す
るトランジスタ448は、前述したトランジスタ447とほぼ同様の構成を有する。トラ
ンジスタ448はバックゲートを有するトップゲート型のトランジスタの一種である。図
27(A)はトランジスタ448の上面図である。
図27(B)は、
図27(A)に一点
鎖線で示した部位L1-L2の断面図である。
図27(C)は、
図27(A)に一点鎖線
で示した部位W1-W2の断面図である。
【0187】
図27は、トランジスタ448を構成する半導体層242にシリコンなどの無機半導体層
を用いる場合の構成例を示している。
図27において、基板271の上に電極224が設
けられ、電極224の上に絶縁層272が設けられている。また、絶縁層272が有する
凸部の上に半導体層242が形成されている。
【0188】
半導体層242は、半導体層242iと、2つの半導体層242tと、2つの半導体層2
42uとを有する。半導体層242iは、2つの半導体層242tの間に配置されている
。また、半導体層242iと2つの半導体層242tは、2つの半導体層242uの間に
配置されている。また、半導体層242iと重なる領域に電極243が設けられている。
【0189】
トランジスタ448がオン状態の時に半導体層242iにチャネルが形成される。よって
、半導体層242iはチャネル形成領域として機能する。また、半導体層242tは低濃
度不純物領域(LDD)として機能する。また、半導体層242uは高濃度不純物領域と
して機能する。なお、2つの半導体層242tのうち、一方または両方の半導体層242
tを設けなくてもよい。また、2つの半導体層242uのうち、一方の半導体層242u
はソース領域として機能し、他方の半導体層242uはドレイン領域として機能する。
【0190】
絶縁層229上に設けられた電極244aは、絶縁層226、絶縁層228、および絶縁
層229に設けられた開口247cにおいて、半導体層242uの一方と電気的に接続さ
れている。また、絶縁層229上に設けられた電極244bは、絶縁層226、絶縁層2
28、および絶縁層229に設けられた開口247dにおいて、半導体層242uの他方
と電気的に接続されている。
【0191】
絶縁層226上に設けられた電極243は、絶縁層226、および絶縁層272に設けら
れた開口247aおよび開口247bにおいて、電極224と電気的に接続されている。
よって、電極243と電極224には、同じ電位が供給される。また、開口247aおよ
び開口247bは、どちらか一方を設けなくてもよい。また、開口247aおよび開口2
47bの両方を設けなくてもよい。開口247aおよび開口247bの両方を設けない場
合は、電極243と電極224に異なる電位を供給することができる。
【0192】
<成膜方法について>
本明細書等に示す電極などの導電層、絶縁層、および半導体層は、CVD(Chemic
al Vapor Deposition)法、蒸着法、またはスパッタリング法などを
用いて形成することができる。一般に、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD
(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(
TCVD:Thermal CVD)法などに分類できる。また、大気圧下で成膜を行な
う常圧CVD(APCVD:Atmospheric Pressure CVD)法な
どもある。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)
法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法などに分類
できる。
【0193】
また、一般に、蒸着法は、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、MBE(Molecular
Beam Epitaxy)法、PLD(Pulsed Laser Deposit
ion)法、IAD(Ion beam Assisted Deposition)法
、ALD(Atomic Layer Deposition)法などに分類できる。
【0194】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、MOCVD法や蒸着法
などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じに
くく、また、欠陥の少ない膜が得られる。
【0195】
また、一般に、スパッタリング法は、DCスパッタリング法、マグネトロンスパッタリン
グ法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(Electro
n Cyclotron Resonance)スパッタリング法、対向ターゲットスパ
ッタリング法などに分類できる。
【0196】
対向ターゲットスパッタリング法では、プラズマがターゲット間に閉じこめられるため、
基板へのプラズマダメージを低減することができる。また、ターゲットの傾きによっては
、スパッタリング粒子の基板への入射角度を浅くすることができるため、段差被覆性を高
めることができる。
【0197】
なお、CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方
法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。した
がって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である
。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペク
ト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的
成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いる
ことが好ましい場合もある。
【0198】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御するこ
とができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の
組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜し
ながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜す
ることができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用い
て成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くす
ることができる。したがって、トランジスタや半導体装置の生産性を高めることができる
場合がある。
【0199】
<トランジスタなどの構成材料について>
〔基板〕
基板271として用いる材料に大きな制限はない。目的に応じて、透光性の有無や加熱処
理に耐えうる程度の耐熱性などを勘案して決定すればよい。例えばバリウムホウケイ酸ガ
ラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファ
イア基板などを用いることができる。また、基板271として、半導体基板、可撓性基板
(フレキシブル基板)、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどを用いてもよい。
【0200】
半導体基板としては、例えば、シリコン、もしくはゲルマニウムなどを材料とした単体半
導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウ
ム、酸化亜鉛、もしくは酸化ガリウムを材料とした化合物半導体基板などがある。また、
半導体基板は、単結晶半導体であってもよいし、多結晶半導体であってもよい。
【0201】
可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの材料としては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサ
ルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリ
エステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン
、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アラミド、エポキシ系樹脂、アクリ
ル系樹脂などを用いることができる。
【0202】
基板271に用いる可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ま
しい。基板271に用いる可撓性基板は、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5
×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質を用いればよい。特に、ア
ラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
【0203】
〔絶縁層〕
絶縁層272、絶縁層273、絶縁層274、絶縁層275、絶縁層282、絶縁層22
8、絶縁層226、絶縁層229、および絶縁層277は、窒化アルミニウム、酸化アル
ミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリ
コン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマ
ニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフ
ニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどから選ばれた材料を、単層でまたは
積層して用いる。また、酸化物材料、窒化物材料、酸化窒化物材料、窒化酸化物材料のう
ち、複数の材料を混合した材料を用いてもよい。
【0204】
なお、本明細書中において、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をい
う。また、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいう。なお、各元素
の含有量は、例えば、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Bac
kscattering Spectrometry)等を用いて測定することができる
。
【0205】
特に絶縁層275および絶縁層229は、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成
することが好ましい。例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アル
ミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、
ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁材料を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、不純物が透過しにくい絶縁性材料として、酸化
アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化
ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸
化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化シリコンなどを挙げることができる。
また、絶縁層273または絶縁層229として、絶縁性の高い酸化インジウム錫亜鉛(I
n-Sn-Zn酸化物)などを用いてもよい。
【0206】
絶縁層275に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、基板271側からの不
純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。絶縁層229に不純
物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、絶縁層229側からの不純物の拡散を抑制
し、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0207】
絶縁層272、絶縁層273、絶縁層274、絶縁層282、絶縁層228、絶縁層22
6、絶縁層229、および絶縁層277として、これらの材料で形成される絶縁層を複数
積層して用いてもよい。絶縁層272、絶縁層273、絶縁層274、絶縁層282、絶
縁層228、絶縁層226、絶縁層229、および絶縁層277の形成方法は特に限定さ
れず、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法、スピンコート
法などの各種形成方法を用いることができる。
【0208】
例えば、熱CVD法を用いて、酸化アルミニウムを成膜する場合には、溶媒とアルミニウ
ム前駆体化合物を含む液体(TMAなど)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2O
の2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3で
ある。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブ
チルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプ
タンジオナート)などがある。
【0209】
また、半導体層242として酸化物半導体を用いる場合、半導体層242中の水素濃度の
増加を防ぐために、絶縁層中の水素濃度を低減することが好ましい。特に、半導体層24
2と接する絶縁層中の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の水素
濃度を、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×10
19atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さ
らに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、半導体層242中の
窒素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の窒素濃度を低減することが好ましい。特に、半
導体層242と接する絶縁層中の窒素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁
層中の窒素濃度を、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましく
は5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm
3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0210】
なお、SIMS分析によって測定された濃度は、プラスマイナス40%の変動を含む場合
がある。
【0211】
また、半導体層242として酸化物半導体を用いる場合、絶縁層は、加熱により酸素が放
出される絶縁層を用いて形成することが好ましい。特に、半導体層242と接する絶縁層
は、加熱により酸素が放出される絶縁層とすることが好ましい。例えば、当該絶縁層の表
面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で
行われる昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spe
ctroscopy)において、酸素原子に換算した酸素の脱離量が1.0×1018a
toms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、より好ま
しくは1.0×1020atoms/cm3以上である絶縁層を用いるとよい。なお、本
明細書などにおいて、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」ともいう。また、加熱に
より酸素が放出される絶縁層を「過剰酸素を含む絶縁層」ともいう。
【0212】
また、過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもで
きる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入装置、イオンド
ーピング装置またはプラズマ処理装置を用いて行うことができる。酸素を添加するための
ガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾン
ガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ
処理」ともいう。
【0213】
また、酸素を含む雰囲気中でスパッタリング法により絶縁層を成膜することで、被形成層
に酸素を導入することができる。
【0214】
また、一般に、容量素子は対向する二つの電極の間に誘電体を挟む構成を有し、誘電体の
厚さが薄いほど(対向する二つの電極間距離が短いほど)、また、誘電体の誘電率が大き
いほど容量値が大きくなる。ただし、容量素子の容量値を増やすために誘電体を薄くする
と、トンネル効果などに起因して、二つの電極間に意図せずに流れる電流(以下、「リー
ク電流」ともいう。)が増加しやすくなり、また、容量素子の絶縁耐圧が低下しやすくな
る。
【0215】
トランジスタのゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層が重畳する部分は、容量素子として
機能する(以下、「ゲート容量」ともいう。)。なお、半導体層の、ゲート絶縁層を介し
てゲート電極と重畳する領域にチャネルが形成される。すなわち、ゲート電極とチャネル
形成領域が、容量素子の二つの電極として機能する。また、ゲート絶縁層が容量素子の誘
電体として機能する。ゲート容量の容量値は大きいほうが好ましいが、容量値を大きくす
るためにゲート絶縁層を薄くすると、前述のリーク電流の増加や、絶縁耐圧の低下といっ
た問題が生じやすい。
【0216】
そこで、誘電体として、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、
窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz(x>0、y>0、z>0
))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz(x>0、y>0
、z>0))、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムなどのhigh-k材料を用い
ると、誘電体を厚くしても、容量素子の容量値を十分確保することが可能となる。
【0217】
例えば、誘電体として誘電率が大きいhigh-k材料を用いると、誘電体を厚くしても
、誘電体として酸化シリコンを用いた場合と同等の容量値を実現できるため、容量素子を
形成する二つの電極間に生じるリーク電流を低減できる。なお、誘電体をhigh-k材
料と、他の絶縁材料との積層構造としてもよい。
【0218】
また、絶縁層228は、平坦な表面を有する絶縁層である。絶縁層228としては、上記
絶縁性材料のほかに、ポリイミド、アクリル系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリア
ミド、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有
機材料の他に、低誘電率材料(low-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラ
ス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形
成される絶縁層を複数積層してもよい。
【0219】
なお、シロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi-O-
Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアル
キル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有して
いても良い。
【0220】
絶縁層228の形成方法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法
、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷
法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)などを用いればよい。
【0221】
また、試料表面にCMP処理を行なってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面
の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
【0222】
〔半導体層〕
半導体層242としては、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、非晶質半導体な
どを用いることができる。半導体材料としては、例えば、シリコンや、ゲルマニウムなど
を用いることができる。また、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、酸
化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体などを用いることができる
。
【0223】
また、半導体層242として有機物半導体を用いる場合は、芳香環をもつ低分子有機材料
やπ電子共役系導電性高分子などを用いることができる。例えば、ルブレン、テトラセン
、ペンタセン、ペリレンジイミド、テトラシアノキノジメタン、ポリチオフェン、ポリア
セチレン、ポリパラフェニレンビニレンなどを用いることができる。
【0224】
また、前述した通り、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、半導体層2
42に酸化物半導体を用いると、オフ電流が極めて少ないトランジスタを実現することが
できる。また、OSトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。よって、信
頼性の良好なトランジスタを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧なトランジスタ
を提供できる。また、信頼性の良好な半導体装置などを提供できる。また、出力電圧が大
きく高耐圧な半導体装置を提供することができる。
【0225】
本実施の形態では、半導体層242として酸化物半導体を用いる場合について説明する。
半導体層242に用いる酸化物半導体は、例えば、インジウム(In)を含む酸化物半導
体を用いることが好ましい。酸化物半導体は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移
動度(電子移動度)が高くなる。また、酸化物半導体は、元素Mを含むと好ましい。
【0226】
元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどである。
そのほかの元素Mに適用可能な元素として、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、
ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム
、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元
素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギ
ーが高い元素である。元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくす
る機能を有する元素である。また、酸化物半導体は、亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導
体は亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0227】
ただし、半導体層242に用いる酸化物半導体は、インジウムを含む酸化物に限定されな
い。酸化物半導体は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物、酸化ガリウムなど
の、インジウムを含まず、亜鉛を含む酸化物、ガリウムを含む酸化物、スズを含む酸化物
半導体などであっても構わない。
【0228】
例えば、半導体層242として、熱CVD法でInGaZnOX(X>0)膜を成膜する
場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(C
H3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いる。また、これらの組み合
わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)
3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を
用いることもできる。
【0229】
例えば、半導体層242として、ALD法で、InGaZnOX(X>0)膜を成膜する
場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してInO2層を形成し
、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、
更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する
。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを用いてInGaO
2層やInZnO2層、GaInO層、ZnInO層、GaZnO層などの混合化合物層
を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスで水をバブリングしたH
2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(
CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスやトリス(アセチルアセトナト)イン
ジウムを用いても良い。なお、トリス(アセチルアセトナト)インジウムは、In(ac
ac)3とも呼ぶ。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスやト
リス(アセチルアセトナト)ガリウムを用いても良い。なお、トリス(アセチルアセトナ
ト)ガリウムは、Ga(acac)3とも呼ぶ。また、Zn(CH3)2ガスや、酢酸亜
鉛を用いても良い。これらのガス種には限定されない。
【0230】
酸化物半導体をスパッタリング法で成膜する場合、パーティクル数低減のため、インジウ
ムを含むターゲットを用いると好ましい。また、元素Mの原子数比が高い酸化物ターゲッ
トを用いた場合、ターゲットの導電性が低くなる場合がある。インジウムを含むターゲッ
トを用いる場合、ターゲットの導電率を高めることができ、DC放電、AC放電が容易と
なるため、大面積の基板へ対応しやすくなる。したがって、半導体装置の生産性を高める
ことができる。
【0231】
また、前述した通り、酸化物半導体をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原
子数比を、例えば、In:M:Znが3:1:1、3:1:2、3:1:4、1:1:0
.5、1:1:1、1:1:2、1:4:4、5:1:7、4:2:4.1、5:1:6
、およびこれらの近傍などとすればよい。
【0232】
なお、酸化物半導体をスパッタリング法で成膜すると、ターゲットの原子数比からずれた
原子数比の酸化物半導体が成膜される場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比
よりも成膜された膜の原子数比が小さくなる場合がある。具体的には、ターゲットに含ま
れる亜鉛の原子数比の40atomic%以上90atomic%程度以下となる場合が
ある。
【0233】
半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cは、InもしくはGaの
一方、または両方を含む材料で形成することが好ましい。代表的には、In-Ga酸化物
(InとGaを含む酸化物)、In-Zn酸化物(InとZnを含む酸化物)、In-M
-Zn酸化物(Inと、元素Mと、Znを含む酸化物。元素Mは、Al、Ti、Ga、Y
、Zr、La、Ce、NdまたはHfから選ばれた1種類以上の元素で、Inよりも酸素
との結合力が強い金属元素である。)がある。
【0234】
半導体層242aおよび半導体層242cは、半導体層242bを構成する金属元素のう
ち、1種類以上の同じ金属元素を含む材料により形成されることが好ましい。このような
材料を用いると、半導体層242aおよび半導体層242bとの界面、ならびに半導体層
242cおよび半導体層242bとの界面に界面準位を生じにくくすることができる。よ
って、界面におけるキャリアの散乱や捕獲が生じにくく、トランジスタの電界効果移動度
を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧のばらつきを低減す
ることが可能となる。よって、良好な電気特性を有する半導体装置を実現することが可能
となる。
【0235】
また、半導体層242bがIn-M-Zn酸化物であり、半導体層242aおよび半導体
層242cもIn-M-Zn酸化物であるとき、半導体層242aおよび半導体層242
cをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、半導体層242bをIn:M:Z
n=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きくなる
ように半導体層242a、半導体層242c、および半導体層242bを選択することが
できる。好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも1.5倍以上大きくなるように半導
体層242a、半導体層242c、および半導体層242bを選択する。さらに好ましく
は、y1/x1がy2/x2よりも2倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体
層242c、および半導体層242bを選択する。より好ましくは、y1/x1がy2/
x2よりも3倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体層242cおよび半導体
層242bを選択する。y1がx1以上であるとトランジスタに安定した電気特性を付与
できるため好ましい。ただし、y1がx1の3倍以上になると、トランジスタの電界効果
移動度が低下してしまうため、y1はx1の3倍未満であると好ましい。半導体層242
aおよび半導体層242cを上記構成とすることにより、半導体層242aおよび半導体
層242cを、半導体層242bよりも酸素欠損が生じにくい層とすることができる。
【0236】
なお、半導体層242aおよび半導体層242cがIn-M-Zn酸化物であるとき、I
nおよび元素Mの和を100atomic%としたときのInと元素Mの原子数比率は、
好ましくはInが50atomic%未満、元素Mが50atomic%以上、さらに好
ましくはInが25atomic%未満、元素Mが75atomic%以上とする。また
、半導体層242bがIn-M-Zn酸化物であるとき、Inおよび元素Mの和を100
atomic%としたときのInと元素Mの原子数比率は好ましくはInが25atom
ic%以上、元素Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomi
c%以上、元素Mが66atomic%未満とする。
【0237】
例えば、InまたはGaを含む半導体層242a、およびInまたはGaを含む半導体層
242cとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:4:5、
1:6:4、または1:9:6およびこれらの近傍の原子数比のターゲットを用いて形成
したIn-Ga-Zn酸化物や、In:Ga=1:9などの原子数比のターゲットを用い
て形成したIn-Ga酸化物や、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、半導体
層242bとしてIn:Ga:Zn=3:1:2、1:1:1、5:5:6、5:1:7
、または4:2:4.1およびこれらの近傍の原子数比のターゲットを用いて形成したI
n-Ga-Zn酸化物を用いることができる。なお、半導体層242a、半導体層242
b、および半導体層242cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラス
マイナス20%の変動を含む。
【0238】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。OSトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、
酸化物半導体層中の不純物及び酸素欠損を低減して高純度真性化し、半導体層242を真
性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。また、少なくと
も半導体層242中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導
体層とすることが好ましい。
【0239】
特に、半導体層242b中の不純物および酸素欠損を低減して高純度真性化し、半導体層
242bを真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。ま
た、少なくとも半導体層242b中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見な
せる半導体層とすることが好ましい。
【0240】
なお、実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とは、酸化物半導体層中のキャリア密度が
、8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは
1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上である酸化物半導体層をい
う。
【0241】
また、半導体層242に酸化物半導体層を用いる場合は、CAAC-OS(C Axis
Aligned Crystalline Oxide Semiconductor
)を用いることが好ましい。CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化
物半導体の一つである。
【0242】
また、半導体層242に用いる酸化物半導体層は、CAACでない領域が当該酸化物半導
体層全体の20%未満であることが好ましい。
【0243】
CAAC-OSは誘電率異方性を有する。具体的には、CAAC-OSはa軸方向および
b軸方向の誘電率よりも、c軸方向の誘電率が大きい。チャネルが形成される半導体層に
CAAC-OSを用いて、ゲート電極をc軸方向に配置したトランジスタは、c軸方向の
誘電率が大きいため、ゲート電極から生じる電界がCAAC-OS全体に届きやすい。よ
って、サブスレッショルドスイング値(S値)を小さくすることができる。また、半導体
層にCAAC-OSを用いたトランジスタは、微細化によるS値の増大が生じにくい。
【0244】
また、CAAC-OSはa軸方向およびb軸方向の誘電率が小さいため、ソースとドレイ
ン間に生じる電界の影響が緩和される。よって、チャネル長変調効果や、短チャネル効果
、などが生じにくく、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0245】
ここで、チャネル長変調効果とは、ドレイン電圧がしきい値電圧よりも高い場合に、ドレ
イン側から空乏層が広がり、実効上のチャネル長が短くなる現象を言う。また、短チャネ
ル効果とは、チャネル長が短くなることにより、しきい値電圧の低下などの電気特性の悪
化が生じる現象を言う。微細なトランジスタほど、これらの現象による電気特性の劣化が
生じやすい。
【0246】
酸化物半導体層の形成後、酸素ドープ処理を行ってもよい。また、酸化物半導体層に含ま
れる水分または水素などの不純物をさらに低減して、酸化物半導体層を高純度化するため
に、加熱処理を行うことが好ましい。
【0247】
例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾
燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定
した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下、好ましくは1ppm以下、
好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、酸化物半導体層に加熱処理を施す。なお
、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含
有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であ
り、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
【0248】
また、加熱処理を行うことにより、不純物の放出と同時に絶縁層226に含まれる酸素を
酸化物半導体層中に拡散させ、当該酸化物半導体層に含まれる酸素欠損を低減することが
できる。なお、不活性雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガス
を10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。な
お、加熱処理は、酸化物半導体層の形成後であればいつ行ってもよい。
【0249】
加熱処理に用いる加熱装置に特別な限定はなく、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導ま
たは熱輻射によって、被処理物を加熱する装置であってもよい。例えば、電気炉や、LR
TA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Ther
mal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、
メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウム
ランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を
加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。
【0250】
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えば
よい。処理時間は24時間以内とする。24時間を超える加熱処理は生産性の低下を招く
ため好ましくない。
【0251】
〔電極〕
電極243、電極224、電極244a、電極244b、電極225a、および電極22
5bを形成するための導電性材料としては、アルミニウム、クロム、鉄、銅、銀、金、白
金、タンタル、ニッケル、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、
バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムなどから選ば
れた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含
有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドな
どのシリサイドを用いてもよい。これらの材料で形成される導電層を複数積層して用いて
もよい。
【0252】
また、電極243、電極224、電極244a、電極244b、電極225a、および電
極225bを形成するための導電性材料に、インジウム錫酸化物(ITO:Indium
Tin Oxide)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステン
を含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むイ
ンジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、シリコンを
添加したインジウム錫酸化物などの酸素を含む導電性材料、窒化チタン、窒化タンタルな
どの窒素を含む導電性材料を適用することもできる。また、前述した金属元素を含む材料
と、酸素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造とすることもできる。また、前述した
金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造とすることもでき
る。また、前述した金属元素を含む材料、酸素を含む導電性材料、および窒素を含む導電
性材料を組み合わせた積層構造とすることもできる。導電性材料の形成方法は特に限定さ
れず、蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの各種形成方法を用いることができる。
【0253】
〔コンタクトプラグ〕
コンタクトプラグとしては、例えば、タングステン、ポリシリコン等の埋め込み性の高い
導電性材料を用いることができる。また、当該材料の側面および底面を、チタン層、窒化
チタン層またはこれらの積層からなるバリア層(拡散防止層)で覆ってもよい。この場合
、バリア層も含めてコンタクトプラグという場合がある。
【0254】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0255】
(実施の形態5)
上記実施の形態で開示した半導体装置は、表示装置の駆動回路に用いることができる。本
実施の形態では、上記実施の形態で開示した半導体装置を表示装置に用いる例について、
図面を用いて説明する。
【0256】
<表示装置の一例>
図29(A)は、表示装置500の構成例を説明するブロック図である。
図29(A)に
示す表示装置500は、駆動回路511、駆動回路521a、駆動回路521b、および
表示領域531を有している。なお、駆動回路511、駆動回路521a、および駆動回
路521bをまとめて「駆動回路」または「周辺駆動回路」という場合がある。
【0257】
駆動回路521a、駆動回路521bは、例えば走査線駆動回路として機能できる。また
、駆動回路511は、例えば信号線駆動回路として機能できる。なお、駆動回路521a
、および駆動回路521bは、どちらか一方のみとしてもよい。また、表示領域531を
挟んで駆動回路511と向き合う位置に、何らかの回路を設けてもよい。
【0258】
また、
図29(A)に例示する表示装置500は、各々が略平行に配設され、且つ、駆動
回路521a、および/または駆動回路521bによって電位が制御されるm本の配線5
35と、各々が略平行に配設され、且つ、駆動回路511によって電位が制御されるn本
の配線536と、を有する。さらに、表示領域531はマトリクス状に配設された複数の
画素532を有する。画素532は、画素回路534および表示素子を有する。
【0259】
また、3つの画素532を1つの画素として機能させることで、フルカラー表示を実現す
ることができる。3つの画素532は、それぞれが赤色光、緑色光、または青色光の、透
過率、反射率、または発光光量などを制御する。なお、3つの画素532で制御する光の
色は赤、緑、青の組み合わせに限らず、黄、シアン、マゼンダであってもよい。
【0260】
また、赤色光、緑色光、青色光を制御する画素に、白色光を制御する画素532を加えて
、4つの画素532をまとめて1つの画素として機能させてもよい。白色光を制御する画
素532を加えることで、表示領域の輝度を高めることができる。また、1つの画素とし
て機能させる画素532を増やし、赤、緑、青、黄、シアン、およびマゼンダを適宜組み
合わせて用いることにより、再現可能な色域を広げることができる。
【0261】
画素を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「
2K解像度」、「2K1K」、「2K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示
装置500を実現することができる。また、例えば、画素を3840×2160のマトリ
クス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、
「4K」などとも言われる。)の解像度で表示可能な表示装置500を実現することがで
きる。また、例えば、画素を7680×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆる
スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」などとも言われる。)
の解像度で表示可能な表示装置500を実現することができる。画素を増やすことで、1
6Kや32Kの解像度で表示可能な表示装置500を実現することも可能である。
【0262】
i行目の配線535_i(iは1以上m以下の自然数。)は、表示領域531においてm
行n列(m、nは、ともに1以上の自然数。)に配設された複数の画素532のうち、i
行に配設されたn個の画素532と電気的に接続される。また、j列目の配線536_j
(jは1以上n以下の自然数。)は、m行n列に配設された画素532のうち、j列に配
設されたm個の画素532に電気的に接続される。
【0263】
〔表示素子〕
表示装置500は、様々な形態を用いること、または様々な表示素子を有することが出来
る。表示素子の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機EL素子、
無機EL素子、または、有機物及び無機物を含むEL素子)、LED(白色LED、赤色
LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジ
スタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバ
ルブ(GLV)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表
示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シ
ャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェロメトリック・モジ
ュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素
子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチュー
ブを用いた表示素子、など、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射
率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。また、表示素子として量子ドッ
トを用いてもよい。
【0264】
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子
を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又は
SED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction El
ectron-emitter Display)などがある。量子ドットを用いた表示
装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。液晶素子を用いた表示装置の
一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ
、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などが
ある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例
としては、電子ペーパーなどがある。表示装置はプラズマディスプレイパネル(PDP)
であってもよい。
【0265】
なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電
極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、
画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。
さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である
。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
【0266】
なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファ
イトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜として
もよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物
半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。
さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDを構成するこ
とができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との
間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体層は、MOCVDで
成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体
層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
【0267】
図29(B)、
図29(C)、
図30(A)、および
図30(B)は、画素532に用い
ることができる回路構成例を示している。
【0268】
〔発光表示装置用画素回路の一例〕
図29(B)に示す画素回路534は、トランジスタ461と、容量素子463と、トラ
ンジスタ468と、トランジスタ464と、を有する。また、
図29(B)に示す画素回
路534は、表示素子として機能できる発光素子469と電気的に接続されている。
【0269】
トランジスタ461のソース電極およびドレイン電極の一方は、配線536_jに電気的
に接続される。さらに、トランジスタ461のゲート電極は、配線535_iに電気的に
接続される。配線536_jからはビデオ信号が供給される。
【0270】
トランジスタ461は、ビデオ信号のノード465への書き込みを制御する機能を有する
。
【0271】
容量素子463の一対の電極の一方は、ノード465に電気的に接続され、他方は、ノー
ド467に電気的に接続される。また、トランジスタ461のソース電極およびドレイン
電極の他方は、ノード465に電気的に接続される。
【0272】
容量素子463は、ノード465に書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能
を有する。
【0273】
トランジスタ468のソース電極およびドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電
気的に接続され、他方はノード467に電気的に接続される。さらに、トランジスタ46
8のゲート電極は、ノード465に電気的に接続される。
【0274】
トランジスタ464のソース電極およびドレイン電極の一方は、電位供給線V0に電気的
に接続され、他方はノード467に電気的に接続される。さらに、トランジスタ464の
ゲート電極は、配線535_iに電気的に接続される。
【0275】
発光素子469のアノードまたはカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続
され、他方は、ノード467に電気的に接続される。
【0276】
発光素子469としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともい
う)などを用いることができる。ただし、発光素子469としては、これに限定されず、
例えば無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
【0277】
例えば、電位供給線VL_aまたは電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが
与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
【0278】
図29(B)の画素回路534を有する表示装置500では、駆動回路521a、および
/または駆動回路521bにより各行の画素532を順次選択し、トランジスタ461、
およびトランジスタ464をオン状態にしてビデオ信号をノード465に書き込む。
【0279】
ノード465にデータが書き込まれた画素532は、トランジスタ461、およびトラン
ジスタ464がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、ノード465に書き込ま
れたデータの電位に応じてトランジスタ468のソース電極とドレイン電極の間に流れる
電流量が制御され、発光素子469は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行
毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
【0280】
また、
図30(A)に示すように、トランジスタ461、トランジスタ464、およびト
ランジスタ468として、バックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。
図30(
A)に示すトランジスタ461、およびトランジスタ464は、ゲートがバックゲートと
電気的に接続されている。よって、ゲートとバックゲートが常に同じ電位となる。また、
トランジスタ468はバックゲートがノード467と電気的に接続されている。よって、
バックゲートがノード467と常に同じ電位となる。
【0281】
〔液晶表示装置用画素回路の一例〕
図29(C)に示す画素回路534は、トランジスタ461と、容量素子463と、を有
する。また、
図29(C)に示す画素回路534は、表示素子として機能できる液晶素子
462と電気的に接続されている。
【0282】
液晶素子462の一対の電極の一方の電位は、画素回路534の仕様に応じて適宜設定さ
れる。例えば、液晶素子462の一対の電極の一方に、共通の電位(コモン電位)を与え
てもよいし、容量線CLと同電位としてもよい。また、液晶素子462の一対の電極の一
方に、画素532毎に異なる電位を与えてもよい。液晶素子462の一対の電極の他方は
ノード466に電気的に接続されている。液晶素子462は、ノード466に書き込まれ
るデータにより配向状態が設定される。
【0283】
液晶素子462を備える表示装置の駆動方法としては、例えば、TN(Twisted
Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モー
ド、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Mi
cro-cell)モード、OCB(Optically Compensated B
irefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liqui
d Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liq
uid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Ver
tical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、またはTBA
(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。
また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electric
ally Controlled Birefringence)モード、PDLC(P
olymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC
(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホ
ストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子およびその駆動方式として
様々なものを用いることができる。
【0284】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液
晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これら
の液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイ
ラルネマチック相、等方相等を示す。
【0285】
また、配向膜を用いないブルー相(Blue Phase)を示す液晶を用いてもよい。
ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック
相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現し
ないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物
を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が
1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、かつ、視野角依
存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビ
ング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示
装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させるこ
とが可能となる。
【0286】
また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に
分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる
方法を用いることができる。
【0287】
また、液晶材料の固有抵抗は、1×109Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011
Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細
書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
【0288】
i行j列目の画素回路534において、トランジスタ461のソース電極およびドレイン
電極の一方は、配線536_jに電気的に接続され、他方はノード466に電気的に接続
される。トランジスタ461のゲート電極は、配線535_iに電気的に接続される。配
線536_jからはビデオ信号が供給される。トランジスタ461は、ノード466への
ビデオ信号の書き込みを制御する機能を有する。
【0289】
容量素子463の一対の電極の一方は、特定の電位が供給される配線(以下、容量線CL
)に電気的に接続され、他方は、ノード466に電気的に接続される。なお、容量線CL
の電位の値は、画素回路534の仕様に応じて適宜設定される。容量素子463は、ノー
ド466に書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
【0290】
例えば、
図29(C)の画素回路534を有する表示装置500では、駆動回路521a
、および/または駆動回路521bにより各行の画素回路534を順次選択し、トランジ
スタ461をオン状態にしてノード466にビデオ信号を書き込む。
【0291】
ノード466にビデオ信号が書き込まれた画素回路534は、トランジスタ461がオフ
状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、表示領域531に
画像を表示できる。
【0292】
また、
図30(B)に示すように、トランジスタ461にバックゲートを有するトランジ
スタを用いてもよい。
図30(B)に示すトランジスタ461は、ゲートがバックゲート
と電気的に接続されている。よって、ゲートとバックゲートが常に同じ電位となる。
【0293】
〔周辺回路の構成例〕
次に、
図31(A)を用いて駆動回路511の構成例を説明する。駆動回路511は、シ
フトレジスタ512、およびDA変換出力回路513を有する。
【0294】
シフトレジスタ512はn個のレジスタSR(レジスタSR_1乃至レジスタSR_n)
を有する。シフトレジスタ512にはスタートパルスSP、クロック信号CLKなどが入
力される。シフトレジスタ512を構成する回路に、上記実施の形態に開示した半導体装
置を用いることができる。
【0295】
DA変換出力回路513は、n個の変換出力回路CA(変換出力回路CA_1乃至変換出
力回路CA_n)を有する。また、DA変換出力回路513には映像情報を含むデジタル
信号などが入力される。変換出力回路CAは、入力されたデジタル信号をアナログ電圧信
号に変換する機能を有する。
【0296】
〔周辺回路の動作例〕
本実施の形態では、駆動回路511が、i行目の画素回路534に接続する配線536_
jにビデオ信号を供給する動作について説明する。
【0297】
i行目の配線535_iが選択されると、シフトレジスタ512にスタートパルスSPが
入力される。シフトレジスタ512が有するレジスタSR_1乃至レジスタSR_nの出
力は、スタートパルスSPをきっかけとして、クロック信号CLKと同期して順送りされ
る。このため、動作する変換出力回路CA_jがクロック信号CLKと同期して順次選択
される。
【0298】
具体的には、シフトレジスタ512にスタートパルスSPが入力されると、まず1番目の
レジスタSR_1から1列目が選択されたことを知らせる列選択信号が変換出力回路CA
_1に入力される。よって、j列目が選択されたことを知らせる列選択信号は変換出力回
路CA_jに入力される。
【0299】
列選択信号が入力された変換出力回路CA_jは、変換出力回路CA_jに入力されたデ
ジタル信号をアナログ電圧信号(ビデオ信号)に変換して、配線536_jに出力する。
【0300】
上記動作が繰り返され、m行n列まで終了すると、次のフレームの書き込みが開始される
。このようにして、表示領域531に画像を表示させることができる。
【0301】
また、
図31(B)に示すように、シフトレジスタ512とDA変換出力回路513の間
にレベルシフタ514を設けてもよい。レベルシフタ514は、各列に対応するシフタL
S(シフタLS_1乃至シフタLS_n)を有する。j列目のシフタLS_jは、シフト
レジスタ512から出力された信号の電圧振幅を大きくして、変換出力回路CA_jに入
力する機能を有する。レベルシフタ514を設けることで、シフトレジスタ512の動作
電圧を小さくすることができる。よって、表示装置500の消費電力を低減することがで
きる。
【0302】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0303】
(実施の形態6)
上記実施の形態に示したトランジスタおよび半導体装置を用いて、トランジスタを含む駆
動回路の一部または全体を画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成
することができる。上記実施の形態に示したトランジスタを用いることが可能な表示装置
の構成例について、
図32および
図33を用いて説明する。
【0304】
<液晶表示装置の一例およびEL表示装置の一例>
表示装置の一例として、液晶素子を用いた表示装置およびEL素子を用いた表示装置につ
いて説明する。
図32(A)において、第1の基板4001上に設けられた画素部400
2を囲むようにして、シール材4005が設けられ、第2の基板4006によって封止さ
れている。
図32(A)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって
囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体又は多結晶半
導体で形成された信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004が実装されてい
る。また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、または画素部4002に
与えられる各種信号および電位は、FPC(Flexible printed cir
cuit)4018a、FPC4018bから供給されている。
【0305】
図32(B)及び
図32(C)において、第1の基板4001上に設けられた画素部40
02と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられてい
る。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けら
れている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001
とシール材4005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。
図32(B)及び
図32(C)においては、第1の基板4001上のシール材4005に
よって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体又は多
結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。
図32(B)及び図
32(C)においては、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、または画素
部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0306】
また
図32(B)及び
図32(C)においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、
第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線
駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路
の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0307】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、ワイヤボンデ
ィング、COG(Chip On Glass)、TCP(Tape Carrier
Package)、COF(Chip On Film)などを用いることができる。図
32(A)は、COGにより信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004を実装す
る例であり、
図32(B)は、COGにより信号線駆動回路4003を実装する例であり
、
図32(C)は、TCPにより信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0308】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラ
を含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む場合がある。
【0309】
また第1の基板上に設けられた画素部及び走査線駆動回路は、トランジスタを複数有して
おり、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
【0310】
図33(A)及び
図33(B)は、
図32(B)中でN1-N2の鎖線で示した部位の断
面構成を示す断面図である。
図33(A)及び
図33(B)に示す表示装置は電極401
5を有しており、電極4015はFPC4018が有する端子と異方性導電層4019を
介して、電気的に接続されている。また、電極4015は、絶縁層4112、絶縁層41
11、および絶縁層4110に形成された開口において配線4014と電気的に接続され
ている。
【0311】
電極4015は、第1の電極層4030と同じ導電層から形成され、配線4014は、ト
ランジスタ4010、およびトランジスタ4011のソース電極およびドレイン電極と同
じ導電層で形成されている。
【0312】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と走査線駆動回路4004は、ト
ランジスタを複数有しており、
図33(A)及び
図33(B)では、画素部4002に含
まれるトランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ401
1とを例示している。
図33(A)では、トランジスタ4010およびトランジスタ40
11上に、絶縁層4112、絶縁層4111、および絶縁層4110が設けられ、
図33
(B)では、絶縁層4112の上に隔壁4510が形成されている。
【0313】
また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102上に設けら
れている。また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102
上に形成された電極4017を有し、電極4017上に絶縁層4103が形成されている
。
電極4017はバックゲート電極として機能することができる。
【0314】
トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、上記実施の形態で示したトランジ
スタを用いることができる。上記実施の形態で例示したトランジスタは、電気特性変動が
抑制されており、電気的に安定である。よって、
図33(A)及び
図33(B)で示す本
実施の形態の表示装置を信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0315】
なお、
図33(A)および
図33(B)では、トランジスタ4010およびトランジスタ
4011として、上記実施の形態に示したトランジスタ452と同様の構造を有するトラ
ンジスタを用いる場合について例示している。
【0316】
また、
図33(A)および
図33(B)に示す表示装置は、容量素子4020を有する。
容量素子4020は、トランジスタ4010のソース電極またはドレイン電極の一方の一
部と、電極4021が絶縁層4103を介して重なる領域を有する。電極4021は、電
極4017と同じ導電層で形成されている。
【0317】
一般に、表示装置に設けられる容量素子の容量は、画素部に配置されるトランジスタのリ
ーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。容量素子の
容量は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。
【0318】
例えば、液晶表示装置の画素部にOSトランジスタを用いることにより、容量素子の容量
を、液晶容量に対して1/3以下、さらには1/5以下とすることができる。OSトラン
ジスタを用いることにより、容量素子の形成を省略することもできる。
【0319】
画素部4002に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続する。
図3
3(A)は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の一例である。
図33(A)
において、表示素子である液晶素子4013は、第1の電極層4030、第2の電極層4
031、及び液晶層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜とし
て機能する絶縁層4032、絶縁層4033が設けられている。第2の電極層4031は
第2の基板4006側に設けられ、第1の電極層4030と第2の電極層4031は液晶
層4008を介して重畳する。
【0320】
またスペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサ
であり、第1の電極層4030と第2の電極層4031との間隔(セルギャップ)を制御
するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
【0321】
なお、トランジスタ4010およびトランジスタ4011としてOSトランジスタを用い
ることが好ましい。OSトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低く
することができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電
源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少な
くすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0322】
また、OSトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能
である。よって、表示装置の画素部に上記トランジスタを用いることで、高画質な画像を
提供することができる。また、同一基板上に駆動回路部または画素部を作り分けて作製す
ることが可能となるため、表示装置の部品点数を削減することができる。
【0323】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射
防止部材などの光学部材(光学基板)などを適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位
相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトな
どを用いてもよい。
【0324】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素
子(「EL素子」ともいう。)を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に
発光性の化合物を含む層(「EL層」ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子
の閾値電圧よりも大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰
極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に
含まれる発光物質が発光する。
【0325】
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別さ
れ、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0326】
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔
がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合す
ることにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る
際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素
子と呼ばれる。
【0327】
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質
、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ
性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。
【0328】
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法な
どの方法で形成することができる。
【0329】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分
類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有
するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-ア
クセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、
さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利
用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明す
る。
【0330】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そし
て、基板上にトランジスタ及び発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取り
出す上面射出(トップエミッション)構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射出(
ボトムエミッション)構造や、両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション
)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0331】
図33(B)は、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置(「EL表示装置」とも
いう。)の一例である。表示素子である発光素子4513は、画素部4002に設けられ
たトランジスタ4010と電気的に接続している。なお発光素子4513の構成は、第1
の電極層4030、発光層4511、第2の電極層4031の積層構造であるが、この構
成に限定されない。発光素子4513から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4
513の構成は適宜変えることができる。
【0332】
隔壁4510は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂
材料を用い、第1の電極層4030上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続した曲
率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0333】
発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成され
ていてもどちらでも良い。
【0334】
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層
4031および隔壁4510上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコ
ン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、
窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形成
することができる。また、第1の基板4001、第2の基板4006、及びシール材40
05によって封止された空間には充填材4514が設けられ密封されている。このように
、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィ
ルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ま
しい。
【0335】
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂また
は熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル系樹脂、
ポリイミド、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)または
EVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材4514
に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0336】
シール材4005には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常
温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることが
できる。また、シール材4005に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0337】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、
位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよ
い。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により
反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0338】
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すこと
ができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映り
込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
【0339】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層及び第2の電極層(画素電極層、共通電極層、対
向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、及び
電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0340】
第1の電極層4030、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸
化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化
物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物
、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いるこ
とができる。
【0341】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデン
(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(N
b)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタ
ン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属
、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができる
。
【0342】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリ
マーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子として
は、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若
しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導
体、または、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくは
その誘導体などがあげられる。
【0343】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路
を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0344】
上記実施の形態で示したトランジスタを用いることで、信頼性のよい表示装置を提供する
ことができる。また、上記実施の形態で示したトランジスタを用いることで、高精細化や
、大面積化が可能で、表示品質の良い表示装置を提供することができる。また、消費電力
が低減された表示装置を提供することができる。
【0345】
<表示モジュールの一例>
上述したトランジスタを使用した半導体装置の一例として、表示モジュールについて説明
する。
図34に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー600
2との間に、FPC6003に接続されたタッチセンサ6004、FPC6005に接続
された表示パネル6006、バックライトユニット6007、フレーム6009、プリン
ト基板6010、バッテリ6011を有する。なお、バックライトユニット6007、バ
ッテリ6011、タッチセンサ6004などは、設けられない場合もある。
【0346】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、タッチセンサ6004、表示パネル6006、
プリント基板6010に実装された集積回路などに用いることができる。例えば、表示パ
ネル6006に前述した表示装置を用いることができる。
【0347】
上部カバー6001および下部カバー6002は、タッチセンサ6004や表示パネル6
006などのサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0348】
タッチセンサ6004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチセンサを表示パネル6
006に重畳して用いることができる。表示パネル6006にタッチセンサの機能を付加
することも可能である。例えば、表示パネル6006の各画素内にタッチセンサ用電極を
設け、静電容量方式のタッチパネル機能を付加することなども可能である。または、表示
パネル6006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチセンサの機能を付加するこ
となども可能である。
【0349】
バックライトユニット6007は、光源6008を有する。光源6008をバックライト
ユニット6007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。また、表示パネル
6006に発光表示装置などを用いる場合は、バックライトユニット6007を省略する
ことができる。
【0350】
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010側から
発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。また、フレーム6
009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0351】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号およびクロック信号を出力するための信
号処理回路などを有する。電源回路に電力を供給する電源としては、バッテリ6011で
あってもよいし、商用電源であってもよい。なお、電源として商用電源を用いる場合には
、バッテリ6011を省略することができる。
【0352】
また、表示モジュール6000に、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加
して設けてもよい。
【0353】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0354】
(実施の形態7)
上記実施の形態に示した半導体装置は、照明装置などに用いることができる。一例として
、
図35(A)に、照明装置1100のブロック図を示す。照明装置1100は、コント
ローラ1101、プリドライバ1102、電圧生成回路1103、および発光部1104
を有する。上記実施の形態に示した半導体装置は、例えば、プリドライバ1102に用い
ることができる。
【0355】
発光部1104は1以上のLED1114を有する。なお、本実施の形態では、発光素子
としてLEDを例示しているが、他の発光素子を用いてもよい。電圧生成回路1103は
発光部1104に供給する電圧を生成するための回路である。電圧生成回路1103とし
て、例えばスイッチングレギュレータを用いてもよい。プリドライバ1102は電圧生成
回路1103を駆動するための回路である。よって、電圧生成回路1103から出力され
る電圧は、プリドライバ1102により制御される。
【0356】
コントローラ1101は、例えば、輝度調整回路、発光部短絡検出回路、調光用PWM信
号生成部などを有する(図示せず。)。コントローラ1101は、発光部1104の発光
輝度を決定する信号をプリドライバ1102に供給する。また、別途、温度センサ、光セ
ンサなどの検出器を設けて、これらの検出器から得られた情報を加味した信号をプリドラ
イバ1102に供給することもできる。
【0357】
また、照明装置1100は様々な分野の照明装置に適用することができる。例えば、屋内
用照明装置(LED電球や、LED蛍光灯)、屋外用照明装置、液晶表示装置(LCD)
のバックライト装置、車両(自動車、2輪車など)の照明装置、鉄道車両の照明装置、信
号灯器、電光掲示板、電光標識などがある。例えば、車両用照明装置としては、ヘッドラ
ンプ(前照灯)、フロントコンビ―ネーションランプ、デイタイムランニングランプ、リ
アコンビネーションランプ、方向指示灯、ルームランプなどがある。
【0358】
また、上記実施の形態に示した半導体装置は、モータの動作を制御するモータ駆動装置な
どに用いることができる。一例として、
図35(B)に、モータ駆動装置1200のブロ
ック図を示す。モータ駆動装置1200は、コントローラ1201、プリドライバ120
2、電圧生成回路1203、およびモータ1204を有する。上記実施の形態に示した半
導体装置は、例えば、プリドライバ1202に用いることができる。
【0359】
電圧生成回路1203はモータ1204に供給する電圧を生成するための回路である。電
圧生成回路1203として、例えばパワートランジスタを用いてもよい。プリドライバ1
202は電圧生成回路1203を駆動するための回路である。よって、電圧生成回路12
03から出力される電圧は、プリドライバ1202により制御される。
【0360】
コントローラ1201は、モータ1204の出力を決定する信号をプリドライバ1202
に供給する。コントローラ1201は、別途設けられた検出器から得た情報により、モー
タ1204の出力を決定することができる。
【0361】
本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせることが
できる。
【0362】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置などを電子部品に適用する例
、および該電子部品を具備する電子機器の例について、
図36、
図37を用いて説明する
。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は
、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。そこで、本
実施の形態では、電子部品の一例について説明する。
【0363】
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と該
半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
【0364】
図36(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において
上記実施の形態に示した半導体装置を有する素子基板が完成した後、該素子基板の裏面(
半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップ
S1)。研削により素子基板を薄くすることで、素子基板の反りなどを低減し、電子部品
の小型化を図ることができる。
【0365】
次に、素子基板を複数のチップに分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS2)。
そして、分離したチップを個々ピックアップしてリードフレーム上に接合する「ダイボン
ディング工程」を行う(ステップS3)。ダイボンディング工程におけるチップとリード
フレームとの接合は、樹脂による接合や、テープによる接合など、適宜製品に応じて適し
た方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップを接合
してもよい。
【0366】
次いで、リードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気
的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS4)。金属の細線には、
銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディング
や、ウェッジボンディングを用いることができる。
【0367】
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モー
ルド工程)」が施される(ステップS5)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂
で充填され、チップに内蔵される回路部やチップとリードを接続するワイヤーを機械的な
外力から保護することができ、また水分や埃による特性の劣化(信頼性の低下)を低減す
ることができる。
【0368】
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステ
ップS6)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のは
んだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成
形工程」を行なう(ステップS7)。
【0369】
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう
(ステップS8)。そして外観形状の良否や動作不良の有無などを調べる「検査工程」(
ステップS9)を経て、電子部品が完成する)。
【0370】
以上説明した電子部品は、上述の実施の形態で説明したトランジスタを含む構成とするこ
とができる。そのため、高温環境下における誤動作が低減され、且つ製造コストの抑制が
図られた半導体装置を有する電子部品を実現することができる。該電子部品は、高温環境
下における誤動作が低減され、且つ製造コストの抑制が図られた半導体装置を含むため、
使用環境の制限が緩和され、小型化が図られた電子部品である。
【0371】
また、完成した電子部品の斜視模式図を
図36(B)に示す。
図36(B)では、電子部
品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示して
いる。
図36(B)に示す電子部品700は、リード705および半導体装置703を示
している。半導体装置703としては、上記実施の形態に示した半導体装置などを用いる
ことができる。
【0372】
図36(B)に示す電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このよ
うな電子部品700が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に
接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板704)が完成する。完成した実
装基板704は、電子機器などに用いられる。
【0373】
次いで
図37を参照して、固定電源の電力で駆動する乗物類(自転車等)等に設けられる
、インバータやモータなどを駆動する駆動回路に、上述の電子部品を適用する応用例につ
いて説明する。
【0374】
図37(A)は、応用例として、電動自転車1010を示している。電動自転車1010
は、モータ1011に電流を流すことによって動力を得るものである。また電動自転車1
010は、モータ1011に流す電流を供給するための蓄電装置1012、およびモータ
1011を駆動するための駆動回路1013、を有する。なお、
図37(A)ではペダル
を図示したが、なくてもよい。
【0375】
駆動回路1013には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する電子部品が設けられた
実装基板が搭載されている。そのため、小型化が図られた電子部品を備えた電動自転車を
実現することができる。また、消費電力が少なく、航続距離の長い電動自転車を実現する
ことができる。また、信頼性の良好な電動自転車を実現することができる。
【0376】
図37(B)は、別の応用例として、電気自動車1020を示している。電気自動車10
20は、モータ1021に電流を流すことによって動力を得るものである。また電気自動
車1020は、モータ1021に流す電流を供給するための蓄電装置1022、およびモ
ータ1021を駆動するための駆動回路1023、を有する。
【0377】
駆動回路1023には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する電子部品が設けられた
実装基板が搭載されている。そのため、小型化が図られた電子部品を備えた電気自動車を
実現することができる。また、消費電力が少なく、航続距離の長い電気自動車を実現する
ことができる。また、信頼性の良好な電気自動車を実現することができる。
【0378】
また、先の実施の形態に示す半導体装置を有する電子部品は、電気自動車(EV)だけで
なく、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などに用いる
こともできる。
【0379】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置を有
する電子部品が設けられた実装基板が搭載されている。このため、小型化が図られた電子
部品を備えた電子機器を実現することができる。また、消費電力が少ない電子機器を実現
することができる。また、信頼性の良好な電子機器を実現することができる。
【0380】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0381】
(実施の形態9)
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器の制御回路に用いることができる。
図38に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0382】
本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置
、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッ
サ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶さ
れた静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープ
レコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機
、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、タブレット型端末、パチンコ
機などの大型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音
声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周
波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エア
コンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥
器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中
電灯、チェーンソーなどの工具、煙感知器、透析装置などの医療機器などが挙げられる。
さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット
、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置などの産業機器
が挙げられる。
【0383】
また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器の範疇
に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電
動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、
これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自
転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプ
ター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる
。
【0384】
図38に、電子機器の一例を示す。
図38において、表示装置8000は、本発明の一態
様に係る半導体装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置800
0は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部
8003、半導体装置8004、蓄電装置8005などを有する。本発明の一態様に係る
半導体装置8004は、筐体8001の内部に設けられている。半導体装置8004によ
り、表示装置8000内部にある冷却ファンなどの冷却装置の駆動や発光輝度の調整など
を制御することができる。また、表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受ける
こともできるし、蓄電装置8005に蓄積された電力を用いることもできる。
【0385】
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光
装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Devi
ce)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field
Emission Display)などの表示装置を用いることができる。
【0386】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など
、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0387】
図38において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る半導体装置8
103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、
光源8102、半導体装置8103、蓄電装置8105などを有する。
図38では、半導
体装置8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部
に設けられている場合を例示しているが、半導体装置8103は、筐体8101の内部に
設けられていても良い。半導体装置8103により、光源8102の発光輝度などを制御
することができる。また、照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることも
できるし、蓄電装置に蓄積された電力を用いることもできる。
【0388】
なお、
図38では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示してい
るが、本発明の一態様に係る半導体装置は、天井8104以外、例えば側壁8405、床
8406、窓8407などに設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、
卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0389】
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができ
る。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光
素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0390】
図38において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、
本発明の一態様に係る半導体装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室
内機8200は、筐体8201、送風口8202、半導体装置8203、蓄電装置820
5などを有する。
図38では、半導体装置8203が、室内機8200に設けられている
場合を例示しているが、半導体装置8203は室外機8204に設けられていても良い。
或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、半導体装置8203が設けられてい
ても良い。半導体装置8203により、エアコンディショナーのコンプレッサに用いられ
るモータの動作を制御することができる。また、エアコンディショナーは、商用電源から
電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8205に蓄積された電力を用いることも
できる。
【0391】
なお、
図38では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを
例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコン
ディショナーに、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることもできる。
【0392】
図38において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る半導体装置8304
を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、
冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、半導体装置8304、蓄電装置8305など
を有する。
図38では、蓄電装置8305が、筐体8301の内部に設けられている半導
体装置8304により、電気冷凍冷蔵庫8300のコンプレッサに用いられるモータの動
作を制御することができる。また、電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給
を受けることもできるし、蓄電装置8305に蓄積された電力を用いることもできる。
【0393】
図39(A)に示す携帯型ゲーム機2900は、筐体2901、筐体2902、表示部2
903、表示部2904、マイクロホン2905、スピーカ2906、操作スイッチ29
07等を有する。また、携帯型ゲーム機2900は、筐体2901の内側にアンテナ、バ
ッテリなどを備える。なお、
図39(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部29
03と表示部2904とを有しているが、表示部の数は、これに限定されない。表示部2
903は、入力装置としてタッチスクリーンが設けられており、スタイラス2908等に
より操作可能となっている。
【0394】
図39(B)に示す情報端末2910は、筐体2911に、表示部2912、マイク29
17、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ
2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタ
ッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、
バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブ
レット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いる
ことができる。
【0395】
図39(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部
2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有する。ま
た、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッ
テリなどを備える。
【0396】
図39(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部29
43、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作
スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部294
3は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内
側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部
2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部29
46により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の
角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の
切り換えを行うことができる。
【0397】
図39(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951
、および表示部2952等を有する。また、情報端末2950、筐体2951の内側にア
ンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持さ
れている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレ
キシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
【0398】
図39(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、
表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端
子2966などを備える。また、情報端末2960、筐体2961の内側にアンテナ、バ
ッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、
音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実
行することができる。
【0399】
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができ
る。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れるこ
とで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触
れることで、アプリケーションを起動することができる。操作スイッチ2965は、時刻
設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及
び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば
、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作スイッチ29
65の機能を設定することもできる。
【0400】
また、情報端末2960は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である
。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話
することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末
とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子296
6を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無
線給電により行ってもよい。
【0401】
図39(G)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、
車輪2982、ダッシュボード2983、およびライト2984等を有する。また、自動
車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。
【0402】
本発明の一態様の半導体装置は、上述した電子機器の表示部、発光部、またはモータなど
の制御部などに用いることができる。なお、上述した電子機器のうち、特に、電子レンジ
などの高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。
また、一定期間安定して高い電力を制御する必要がある。本発明の一態様に係る半導体装
置を用いることで、電力の制御を安定して行なうことができるため、信頼性の高い電子機
器を実現することができる。
【0403】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【実施例0404】
Silvaco社の回路シミュレータSmartspice version4.10.
6.Rを用いて、半導体装置100の動作を検証した。検証に用いた回路モデルを
図40
に示す。当該回路シミュレータではバックゲートを有するトランジスタのモデルが無いた
め、トランジスタ111として、トランジスタ111aとトランジスタ111bを並列に
接続したモデルを用いた。
【0405】
主な設定パラメータは、Level=36、VTO=0.4197V、ゲート絶縁層の厚
さ=20nm、トランジスタ111aのL/W=0.5μm/300μm、トランジスタ
111bのL/W=0.5μm/300μm、トランジスタ112のL/W=0.5μm
/1000μm、トランジスタ113のL/W=0.5μm/400μm、容量素子11
7の容量=10pF、VDD=3.3V、GND=VSS=0Vである。
【0406】
図40に示す回路図において、VINは端子102に供給される信号を示す。また、VO
UTは端子105に供給される信号を示す。また、VINB1は配線124に供給される
信号を示す。また、VINB2は配線123に供給される信号を示す。また、VF1は、
ノード132の電位を示す。
【0407】
図41に検証結果を示す。期間151においてVINがH電位(VDD)になると、VO
UTがL電位(GND=VSS)になる。また、期間152においてVINがL電位にな
ると、VOUTがH電位以上になる。検証結果から、半導体装置100がインバータ回路
として機能できることが確認できた。