(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181215
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】医学的用量調製システムのための画像収集の改善
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20231214BHJP
G16H 30/00 20180101ALI20231214BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G16H30/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173742
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2022022388の分割
【原出願日】2013-03-15
(31)【優先権主張番号】61/719,235
(32)【優先日】2012-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514000967
【氏名又は名称】バクスター・コーポレーション・イングルウッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER CORPORATION ENGLEWOOD
【住所又は居所原語表記】9540 S.Maroon Circle,Suite 400,Englewood,CO 80112 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウェズレイ・ジェイ・ウェーバー
(57)【要約】
【課題】医学的用量調製画像データを処理する医学的用量調製管理用システムを提供する。
【解決手段】医学的用量調製システムのための改善された画像収集の使用。この医学的用量調製システムは、(たとえば、薬剤用量の調製を文書化するために)医学的用量調製画像を取り込むためのワーク・ステーションを含むことができる。この医学的用量調製画像は、画像デバイスから受け取られたビデオ・データ・ストリームに対して自動クロッピング技法を実行することが可能なビデオ・データ・ストリーム・プロセッサによって取り込まれることがある。したがって、メモリ・リソースは、高品質の医学的用量調製画像を維持しながら、より効率的に用いられ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの薬剤容器を利用した医学的用量調製を管理するためのシステム(30)であって、
医学的用量調製ステージング領域(86)を包含する撮像野(84)を有する撮像デバイス(80)であって、前記医学的用量調製ステージング領域(86)を含む前記撮像野(84)のデジタル画像データを出力するように動作可能な撮像デバイス(80)と、
前記撮像野(84)の前記デジタル画像データを受け取るために、前記撮像デバイス(80)と通信動作可能なプロセッサ(70)と、
前記撮像野(84)の前記デジタル画像データを受け取り、ユーザによって知覚可能な前記撮像野の対応する画像を表示するために、前記プロセッサ(70)と通信動作可能なディスプレイ(110)であって、前記プロセッサ(70)が、前記デジタル画像データを処理して、前記医学的用量調製ステージング領域(86)の中に配置された少なくとも1つの薬剤容器(100、100a、100b)に対応する前記撮像野(84)内の少なくとも1つの関心領域を識別するように動作可能であり、前記プロセッサが、前記少なくとも1つの関心領域を識別するために、前記デジタル画像データを、前記医学的用量調製ステージング領域内に薬剤容器を含まない前記医学的用量調製ステージング領域の背景画像と比較することにより、前記デジタル画像データを解析するように動作可能であり、前記少なくとも1つの関心領域が、前記ユーザによって視覚的に知覚可能である様式で前記プロセッサ(70)によってディスプレイ(110)上の前記対応する画像に対して視覚的に区別される境界区域(360)によって画定される、ディスプレイ(110)と、
前記ユーザによって制御可能であり、前記プロセッサ(70)において前記デジタル画像データからの医学的用量調製画像データの取り込みを開始するために、前記プロセッサ(70)と通信動作可能なユーザ制御デバイス(130)であって、前記医学的用量調製画像データが、前記ディスプレイ上の前記対応する画像に対して視覚的に区別され、且つ、前記対応する画像よりも小さな境界区域によって画定される前記少なくとも1つの関心領域の少なくとも一部分に対応する画像データを含み、前記ディスプレイ上の前記対応する画像に含まれる前記撮像野の別の部分に対応する他の画像データを除外する、ユーザ制御デバイス(130)と、
前記医学的用量調製画像データを受け取り格納するために、前記プロセッサ(70)と通信動作可能なメモリ(120)と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記デジタル画像データがビデオ・データ・ストリームを含む、請求項1に記載のシステム(30)。
【請求項3】
前記プロセッサ(70)が、前記関心領域を識別するために前記デジタル画像データを含む前記ビデオ・データ・ストリームを解析するように動作可能である、請求項2に記載のシステム(30)。
【請求項4】
前記撮像野(84)の前記除外された部分が前記関心領域の外部にある、請求項1に記載のシステム(30)。
【請求項5】
前記比較時に、前記デジタル画像データの所定のサブセットが前記背景画像の対応するサブセットと比較される、請求項1に記載のシステム(30)。
【請求項6】
前記所定のサブセットが前記デジタル画像データの複数のピクセルに対応する、請求項5に記載のシステム(30)。
【請求項7】
前記複数のピクセルが、少なくとも第1の方向に前記デジタル画像データの実質的に全体にわたって延在する、請求項6に記載のシステム(30)。
【請求項8】
前記複数のピクセルが、前記第1の方向に垂直な第2の方向に前記デジタル画像データの実質的に全部にわたって延在する、請求項7に記載のシステム(30)。
【請求項9】
前記複数のピクセルが前記デジタル画像データの上でグリッドを形成する、請求項6に記載のシステム(30)。
【請求項10】
前記グリッドが、既知のサイズの薬剤容器(100、100a、100b)に関連して離間した複数のグリッド線(210)を備える、請求項9に記載のシステム(30)。
【請求項11】
前記境界区域(360)が複数の縁によって画定される、請求項10に記載のシステム(30)。
【請求項12】
前記複数の縁の各々が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットの識別された場所における前記デジタル画像データと前記背景画像の閾値差分に少なくとも部分的に基づいて前記識別された場所に配置される、請求項11に記載のシステム(30)。
【請求項13】
前記プロセッサ(70)が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットの各ピクセルの、および前記背景画像の前記対応する所定のサブセットの各ピクセルの強度データを計算するように動作可能である、請求項6~12の何れか一項に記載のシステム(30)。
【請求項14】
前記強度データがフィルタリングされる、請求項13に記載のシステム(30)。
【請求項15】
前記強度データがハイ・パス・フィルタリングの少なくとも1つを経験する、請求項14に記載のシステム(30)。
【請求項16】
前記閾値差分が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットと前記背景画像の、強度データの所定の差分を含む、請求項12に記載のシステム(30)。
【請求項17】
前記所定のサブセットの各ピクセルが、前記背景画像からの複数の隣接する対応するピクセルと比較される、請求項13に記載のシステム(30)。
【請求項18】
前記識別された場所が、第1の方向または第2の方向に前記グリッド線(210、212)に沿った最小閾値差分または最大閾値差分の一方に対応する、請求項12に記載のシステム(30)。
【請求項19】
前記識別された場所が、前記グリッド線に沿った前記第1の方向および前記グリッド線に沿った前記第2の方向の、前記閾値差分の外部にあるグリッドの次のグリッド線(210、212)に対応するように選択される、請求項18に記載のシステム(30)。
【請求項20】
前記境界区域(360)が、少なくとも一つの重ね合わされた箱によって、前記境界区域(360)の外部の区域の様式と異なる様式で表示された区域として表される、請求項11に記載のシステム(30)。
【請求項21】
命令処理器(20)から用量命令を受け取り、命令処理器(20)から受け取られた用量命令から用量命令データを獲得するように動作可能である請求項1~20の何れか一項に記載のシステム(30)。
【請求項22】
薬剤用量命令データベース(32)と通信動作可能である請求項1~21の何れか一項に記載のシステム(30)。
【請求項23】
用量命令の履行において使用するためのワーク・ステーション(40)に用量命令をルーティングするように動作可能である請求項1~22の何れか一項に記載のシステム(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年10月26日に出願された「IMAGE ACQUISITION FOR MEDICAL DOSE PREPARATION SYSTEM」という名称の米国仮特許出願第61/719,235号の優先権を主張するものであり、同仮特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多数のケア提供者は、そのケア提供者により治療される患者への投与のために医学的用量(medical dose)を調製する薬局を有する。この点に関して、薬局は、患者への投与のためにケア提供担当者(たとえば医師)によって命令された医学的用量命令を履行するために薬剤を調製するために処方集を用いることがある。調製されるべきいくつかの医学的用量は、薬局内の特別に構築および制御された環境(たとえば「IV室」)で調製され得る混合滅菌製品(CSP:compounded sterile product)を含むことがある。医学的用量を調製するプロセスは、現地のケア提供者の方針、政府の規制、業界団体(たとえば米国薬局方の第797章)、または他の適切な方針に従って実行され得る。たとえば、薬剤の調製は、一般に、医学的用量を調製する作業が課されたオペレータ(一般的には薬局の技術者)によって、層流フード、アイソレータ、または生物学的に安全なキャビネット内で行われることがある。医学的用量がひとたび調製されると、医学的用量は、患者への投与のために薬局から調剤(dispense)される前に薬剤師によって確認されることが必要とされることがある。
【0003】
従来の薬局管理法では、医学的用量命令が、用量がひとたび調製されると完成した用量に貼付されるべき医学的用量命令を示すラベルを印刷するプリンタに提供され得る。薬局の技術者は、ラベル・プリンタからラベルを取り出し、それらのラベルを、各用量を調製するプロセスにおいて作業命令を移動する物(work order traveler)として使用することが必要とされることがある。用量がひとたび調製されると、技術者は、用量にラベルを貼付することができる。完成し、ラベルの付けられた用量は、薬剤師が、たとえば供給源成分(source ingredient)とともに、用量を調製する最中に使用される薬剤容器、および/または他の材料を確認するために取っておかれることがある。この点に関して、用量を確認するために、薬剤師は、用量が調製されるクリーン・ルームに入り、用量命令に関連する材料を物理的に観察することが必要とされることがある。したがって、調製された用量の確認では、薬剤師が、防護服または保護具を着用することが求められ、これに時間と資源がかかることがある。
【0004】
そのうえ、医学的用量命令を調製するために薬局が受けることがある唯一のきっかけは、ラベルの印刷物である。この点に関して、ラベルが紛失または損傷された場合、用量が調製されないことがある。さらに、ラベル・プリンタにおけるラベル・スタックは、何の用量が命令、調製、および/または調剤されたかについての唯一の証拠になることがあるので、優先順位を決定する作業も困難になる。したがって、物理的ラベルのみに依拠して用量を追跡した結果、用量の未調剤(unprepare)、紛失、または重複がもたらされることがある。場合によっては、薬局は、当然のことながら、ラベルを複製することがあり、したがって、薬局は、すでに受け取られた他のラベルに対して各ラベルをチェックして、調製されることが必要とされる新しい用量命令をラベルが表しているかどうか判断する。この慣例が、運営費を増し薬局の効率を低下させる、薬局における管理オーバヘッドの増加をもたらすことがある。
【0005】
そのうえ、薬品の調製に関する指示は、FDAの承認を受けた薬品用の公的文書に記録されることがあるが、薬局の技術者は、用量を調製しているとき、文書を確実に調べるとは限らないであろう。むしろ、薬局の技術者は、最も一般的な薬品に必要とされるステップを覚え、次いで、それらのステップを、特定の薬品に関連するプロトコルを確認せずに、調製されるべき他の薬品に合わせて一般化する。この点に関して、用量命令が、薬局の技術者が認識しない特定の指示を含む場合、適切な技法に関する参考文献が存在しないかまたは調べられないことがある。したがって、特別な指示を含む用量命令は、より熟練した技術者によって、またはより熟練した技術者の指導の下で、調製されなければならないことが多い。どちらの点に関しても、用量を調製するために使用されるプロトコルは、調製されている薬品についてのFDA承認文書に適合しないことがある。
【0006】
さらに、従来の薬局管理法では、薬局の技術者が、調製された用量および用量を作るために用いられた処方集の製品に関して保守される記録を作製する責任を担うことがある。たとえば、薬局の技術者は、ロット番号、使用期限、シリアル番号などの情報を転記する作業が課されていることがある。人力で行う記録の作製は、薬局の非効率性に結びつくことがある労働集約的な慣例を必要とし、記録の誤りの可能性をもたらし、紙の記録がほとんど探索不可能になることがある。
【発明の概要】
【0007】
この点に関して、本開示は、医学的用量調製管理システムの実施形態に関する。この医学的用量調製管理システムは、用量命令を受け取り、受け取った用量命令からデジタル用量命令を作製し、このデジタル用量命令を管理することを可能にすることができる。たとえば、医学的用量調製管理システムは、医学的用量の調製に関連する情報を作製および格納するように動作可能であることがある。そのような情報は、薬剤師によって医学的用量命令を確認し、薬局またはケア提供者で医学的用量命令を追跡し、会計監査、コンプライアンス、または品質保証の目的でデジタル用量命令記録に関連して保持されるために使用されてもよいし、患者への投与の前またはその後に用量命令の管理において利用されてもよい。言い換えれば、医学的用量調製管理システムは、薬局またはケア提供者において医学的用量命令を追跡することを可能にする改善されたシステムを、自動的な様式で提供することができる。医学的用量調製管理システムは、会計監査、コンプライアンス、または品質保証の目的でデジタル用量命令記録に関連して医学的用量が保持される自動的な様式で用意してもよいし、患者への投与の前またはその後に用量命令の管理において利用されてもよい。したがって、医学的用量調製管理システムは、とりわけ、必要な担当者の干渉がほとんどなくても、またはまったくなくても、薬品の製造および販売における高レベルのコンプライアンス要件を満たす、改善された人間と機械の相互作用を提供する。医学的用量命令に関連して作成および格納され得る情報の一例は、1つまたは複数の医学的用量調製画像である。たとえば、用量命令が調製されるワーク・ステーションは、医学的用量の調製に関連する画像を取り込むことが可能な撮像デバイス(たとえばデジタル・カメラ)を含むことができる。一実施形態では、医学的用量調製画像は、たとえば供給源容器(source receptacle)、搬送容器、および/または投与容器を含む、用量の調製において使用される薬剤容器を含むことがある。したがって、医学的用量調製画像は、医学的用量命令の調製を文書化するまたは証拠となるために使用されることがある。したがって、人間からの対話の必要性が少なくなる又はなくなっても、依然として、正確で信頼できる文書作成を可能にするので、システムは、改善された人間と機械の対話を提供する。
【0008】
多数の医学的用量調製画像を取り込み格納するための可能性を仮定すれば、メモリ内での医学的用量調製画像のサイズを減少させることは有利であり得る。しかしながら、そのような画像は、さまざまな文脈(たとえば、薬剤師による用量命令の確認中を含む)において使用され得るので、画質は、一般に大きな関心事であり、したがって、医学的用量調製画像を格納するとき、解像度が減少されないことが好ましい。この点に関して、画像の物理的サイズの減少(すなわち、画像の情報価値のない部分または役に立たない部分を除去するために画像を切り取ること)は、画像の解像度を減少させることなくメモリ内での医学的用量調製画像のサイズを効果的に減少させるために使用されることがある。
【0009】
しかしながら、各医学的用量調製画像を手動で切り取ることは煩わしいことがあり、用量を調製するために必要とされるコストおよび時間を増加させる。この点に関して、本明細書で説明する装置は、自動クロッピング動作を用いて、メモリ内での医学的用量調製画像のサイズを自動的に減少させることができる。たとえば、画像内の関心領域が決定され得る。画像内の関心領域は、関心領域内にない画像データの少なくとも一部分を排除する医学的用量調製画像として取り込まれ得る。
【0010】
したがって、メモリ内に格納される画像データの量は、対応する画像の解像度の減少なしで減少され得、かつ/または、メモリ内に格納される対応する画像データの量を維持もしくは減少させながら、取り込まれた画像の解像度が増加され得る。たとえば、所与の画像解像度について、対応する画像データの量は、画像のサイズを減少させることによって減少され得る。したがって、ハードウェア・リソースがほとんどない、たとえばメモリ容量がほとんどない場合でも、大量のデータが格納可能である。さらに、ハードウェア・リソースがほとんどない、たとえば処理能力がほとんどない場合でも、画像データが処理可能である。
【0011】
追加または代替として、所与の量の画像データについて、解像度のより高い画像は、対応する画像データが画像の切り取られた部分の画像データのみである場合、格納されることがある。したがって、画像データの量が減少する場合、画像を処理する、格納する、または画像に関する行動を起こすために必要とされる計算のオーバヘッドが減少されることがあり、したがって、ワーク・ステーションにおけるワーク・フローがより迅速に行われ得る。追加または代替として、画像の解像度が増加した場合、画像のチェックは、(たとえば、薬剤師等によるチェック中の画像の拡大を可能にするなどのために)より細かい詳細の取り込みを可能にすることによって改善され得る。
【0012】
この点に関して、本明細書で説明する第1の態様は、医学的用量調製管理用システムにおいて医学的用量調製画像データを処理するための装置を含む。このシステムは、医学的用量調製ステージング領域を包含する撮像野を有する撮像デバイス(たとえばデジタル・カメラ)を含む。この撮像デバイスは、医学的用量調製ステージング領域を含む撮像野のデジタル画像データ(たとえば、静止デジタル画像、デジタル・ビデオ・データ・ストリーム、および/または他の形態のデジタル画像データに相当する)を出力するように動作可能である。システムは、撮像野のデジタル画像データを受け取るために、撮像デバイスと通信動作可能なプロセッサも含む。システムは、医学的用量命令調製および/または配達の文書作成の自動化を可能にする。特に、システムは、別の方法では人間によって可能でないであろう非常に高速でのそのような自動化および/または画像解像度の増加を可能にすることができる。言い換えれば、システムは、有利には、デジタル画像処理を、他の方法であれば行われていないような医学的用量命令調製および/または薬品配達と組み合わせる。その理由は、本出願によれば、データ処理は、高速で、および/または画像解像度を増加させて、実行されることがあるからである。
【0013】
第1の態様のシステムは、撮像野のデジタル画像データを受け取り、ユーザによって知覚可能である対応する画像を表示するために、プロセッサと通信動作可能なディスプレイを含むことができる。プロセッサは、デジタル画像データを処理して、医学的用量調製ステージング領域内に配置された少なくとも1つの薬剤容器に対応する撮像野内の少なくとも1つの関心領域を識別するように動作可能である。したがって、ディスプレイが、上記で説明したように利用される場合、関心領域は、ユーザによって知覚可能である様式で、ディスプレイ上でプロセッサによって視覚的に区別され得る。したがって、システムによって撮像デバイスを物理的に制御すること、または人間によって医学的用量調製ステージング領域の1つまたは複数の薬剤容器を利用できることを必要とせずに、医学的用量調製および/または配達において望ましい高いレベルの文書作成を可能にすることが可能である。言い換えれば、システムは、人間が手動ステップの作業から解放される、かつ/またはユーザが手動ステップの作業を行うのを支援して、詳細な文書作成(たとえば詳細な画像データ)を取得することを可能にする。さらに、文書作成は機械による支援を受けたり、機械すなわち本出願で説明するシステムによって完全に実行されたりすらするので、文書作成は、人間による文書作成と比較して、信頼性が高いまたは信頼できる。システムは、人間ではあり得るような逸脱をせずに機械のルールに厳密に従うので、そのような文書作成を保証することが可能であることすらある。
【0014】
第1の態様のシステムは、デジタル画像データからの医学的用量調製画像データの取り込みを開始するためにプロセッサと通信動作可能なユーザ制御デバイスも含むことができる。他の実施形態は、医学的用量調製画像の取り込みを開始する他の機構を含むことができる。いずれの点に関しても、医学的用量調製画像データは、関心領域の少なくとも一部分に対応する画像データを含むことができ、撮像野の少なくとも一部分(たとえば、関心領域の外部の画像データの一部分に対応する)を除外することができる。システムは、医学的用量調製画像データを受け取り格納するためにプロセッサと通信動作可能なメモリも含むことができる。ユーザ制御デバイスは、たとえば、画像を自動的に処理するプロセッサに関連することにより、改善された人間と機械の相互作用を提供する。
【0015】
いくつかの特徴の改良および追加の特徴が第1の態様に適用可能である。これらの特徴の改良および追加の特徴は、個々に使用されてもよいし、任意の組み合わせで使用されてもよい。したがって、説明されるであろう以下の特徴の各々は、他の任意の特徴または第1の態様の特徴の組み合わせとともに使用されてよいが、そのように使用されることは要求されない。
【0016】
一実施形態では、プロセッサは、関心領域を識別するためにデジタル画像データを分析するように動作可能であることがある。たとえば、プロセッサは、関心領域を識別するためにデジタル画像データの所定のサブセット(たとえばデジタル画像データのピクセルのサブセット)を分析するように動作可能であることがある。このサブセットは、画像データの解析がデジタル画像データの一部分に対して実行されることがあるが、デジタル画像データの全体に対しては実行されないことがあるように、デジタル画像データの所定の部分に対応することがある。
【0017】
一適用例では、解析は、デジタル画像データを医学的用量調製ステージング領域の背景画像と比較することを含むことがある。この点に関して、背景画像は、医学的用量調製ステージング領域内に薬剤容器を含まないことがある。すなわち、背景画像は、物体(たとえば薬剤容器など)がない場合の医学的用量調製ステージング領域の外観を表すことがある。したがって、デジタル画像データの所定のサブセットは、背景画像の対応するサブセットと比較されることがある。たとえば、デジタル画像データと背景画像内のピクセルのサブセットのうちの対応するサブセットが比較されることがある。
【0018】
一適用例では、複数のピクセルは、少なくとも第1の方向(たとえば画像データの幅)にデジタル画像データの実質的に全体にわたって延在することがある。さらに、複数のピクセルは、第1の方向に垂直な第2の方向(たとえば画像データの高さ)にデジタル画像データの実質的に全部にわたって延在することがある。したがって、画像データの所定のサブセットに対応する複数のピクセルは、デジタル画像データの上でグリッドを形成することができる。このグリッドは、既知のサイズの薬剤容器に関連して離隔されたグリッド線を備えることができる。たとえば、グリッド線は、撮像されるべき最小の既知の薬剤容器に対してすら少なくとも2つのグリッド線が少なくとも2つの次元(たとえば容器の幅と長さの両方に対応する)で医療用容器と交差するように離隔されることがある。
【0019】
一実施形態では、関心領域は、複数の縁によって画定された境界区域によって画定され得る。複数の縁の各々は、デジタル画像データの所定のサブセットの識別された場所における(たとえば、グリッド線の少なくとも一部分に沿って)デジタル画像データと背景画像の閾値差分に少なくとも部分的に基づいて、この識別された場所に配置されることがある。一例では、プロセッサは、デジタル画像データの所定のサブセットの各ピクセルの、および背景画像の対応する所定のサブセットの各ピクセルの強度データを計算するように動作可能であることがある。この強度データは、フィルタリング(たとえば、ハイ・パス・フィルタリングおよび/またはロー・パス・フィルタリング)されることがある。閾値差分は、デジタル画像データの所定のサブセットと背景画像の、強度データの所定の差分に対応することがある。
【0020】
さまざまな実施形態では、デジタル画像データは、薬剤容器の存在に起因するのではなく、単にデジタル画像データの背景に対する背景画像の位置のわずかな変動、照明の変動、または他の軽微な相違点に起因する、背景画像に対する相違点を含むことがある。この点に関して、所定のサブセットの各ピクセルは、背景画像からの複数の隣接する対応するピクセルと比較されることがある。この点に関して、上記で開示された相違点に関連する些細な変動は、解析で無視されることがある。
【0021】
一適用例では、デジタル画像データと背景画像の間の強度データの比較から生じる識別された場所は、第1の方向および/または第2の方向にグリッド線に沿った最小閾値差分および/または最大閾値差分の一方に対応することがある。すなわち、2つの閾値差分は、幅および/または高さの次元で薬剤容器の範囲に対応する第1の方向および第2の方向のうちのどちらかまたは両方で識別されることがある。さらに別の適用例では、識別された場所は、グリッド線に沿って第1の方向および第2の方向の、閾値差分の外部の、グリッドの2番目に遠隔のグリッド線に対応するように選択されることがある。したがって、薬剤容器の一部分が、閾値差分が識別されるグリッド線を越えて延在する場合、識別される場所が次の遠隔のグリッド線として選択されるならば、容器の全部分が依然として関心領域に含まれることがある。上記を要約すると、システムは、たとえば、ユーザが手動作業および/もしくは知的作業から解放される、かつ/またはユーザが手動作業および/もしくは知的作業を行うのを支援して、撮像デバイスを制御する、または1つまたは複数の薬剤容器を操作することによって、改善された人間と機械の相互作用を提供する。
【0022】
本明細書で説明する第2の態様は、医学的用量調製画像データを処理し取り込むための方法を含む。この方法は、撮像デバイスの撮像野内に医学的用量調製ステージング領域を包含することを含む。方法は、撮像野のデジタル画像データを取得することをさらに含む。方法は、撮像デバイスと通信動作可能なプロセッサで、医学的用量調製ステージング領域内に配置された少なくとも1つの薬剤容器に対応する撮像野内の領域を識別することも含む。方法は、デジタル画像データをディスプレイに表示することも含むことができる。関心領域は、ユーザによって知覚可能な様式でディスプレイ上でプロセッサによって目に見えるように区別され得る。
【0023】
第2の態様の方法は、ユーザ制御デバイスから入力を受け取り、デジタル画像データからの医学的用量調製画像データの取り込みを開始することも含むことができる。この医学的用量調製画像データは、領域の少なくとも一部分に対応する画像データを含む。方法は、医学的用量調製画像データをメモリに格納することをさらに含む。さまざまな方法実施形態では、方法は、本明細書で説明するシステム特徴のいずれかを備えるシステムを用いることができる。
【0024】
さらに別の態様によれば、コンピュータ可読媒体に格納可能であるかつ/またはコンピュータ処理可能なデータ・ストリームとして実施され得るコンピュータ・プログラム製品が提供され、このコンピュータ・プログラム製品はコンピュータ処理可能な命令を含み、この命令は、コンピュータのメモリに読み込まれてコンピュータによって実行されると、コンピュータに、上記で一般に、および以下のより具体的な例で説明する方法を実行させる。
【0025】
いくつかの特徴の改良および追加の特徴が第2の態様に適用可能である。これらの特徴の改良および追加の特徴は、個々に使用されてもよいし、任意の組み合わせで使用されてもよい。したがって、説明されるであろう以下の特徴の各々は、他の任意の特徴または第2の態様の特徴の組み合わせとともに使用されてよいが、そのように使用されることは要求されない。
【0026】
たとえば、識別動作が行われる速度は、第2の態様の方法にとって重要なことがある。諒解され得るように、薬局などで調製される用量命令の量は比較的に多いことがある。したがって、医学的用量命令の効率的な調製が非常に重要なことがある。この点に関して、医学的用量命令を調製するときに調製遅延を防止するように、自動クロッピング動作を比較的すばやく発生させることが望ましいことがある。
【0027】
したがって、一実施形態では、デジタル画像データは、ビデオ・ストリーム・データを含むことがある。この実施形態では、識別することは、ビデオ・データ・ストリームのリフレッシュ・レートよりも迅速に行われ得る。したがって、ビデオ・データ・ストリームの各連続したフレームは、ビデオ・データ・ストリームが取り込まれるまたは表示される速度を低下させずに自動クロッピング動作を受けることができる。
【0028】
本発明の多数の追加の特徴および利点は、本明細書で提供される実施形態の説明を考慮すると、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】医学的用量調製管理システムの一実施形態およびその動作の一実施形態を示す概略的な流れ図である。
【
図2】医学的用量調製管理システムにおいて使用するためのワーク・ステーションの一実施形態の概略図である。
【
図3】自動クロッピング動作の一実施形態において使用するための背景画像の一実施形態を示す図である。
【
図4】自動クロッピング動作の対象であることがあるビデオ・データ・ストリームの一実施形態を示す図である。
【
図5】画像のサブセットが識別された、
図4のビデオ・データ・ストリームを示す図である。
【
図6】背景画像のサブセットが、識別された
図5のサブセットに対応する、
図3の背景画像を示す図である。
【
図7】ビデオ・データ・ストリームから得られる画像の一実施形態を示す図である。
【
図8】
図7の画像から取得されたデータの数学的変換を示すプロットである。
【
図9】
図7の画像から取得された生のピクセル強度データを示すプロットである。
【
図10】
図7の画像からの処理されたピクセル強度データを示すプロットである。
【
図11】自動クロッピング動作に適用可能な特定の特徴が強調されている、
図4のビデオ・データ・ストリームを示す図である。
【
図12】ひとたび自動クロッピング動作がその上で実行されると、
図4のビデオ・データ・ストリームに対応する、ユーザによって知覚可能なディスプレイ出力を示す図である。
【
図13】その上で実行された自動クロッピング動作から生じる
図4のビデオ・データ・ストリームから取得された医学的用量調製画像の一例である。
【
図14】その上で実行された自動クロッピング動作から生じる
図4のビデオ・データ・ストリームから取得された医学的用量調製画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、さまざまな変更および代替形態の余地があるが、本発明の具体的な実施形態は例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明する。しかしながら、本明細書は、本発明を特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲に含まれるすべての変更、均等物、および代替形態を包含することができることを理解されたい。
【0031】
図1は、医学的用量の調製および/または管理の助けとなるためにケア提供者薬局12において使用され得るシステム10の一実施形態を示す。システム10は、医学的用量命令を受け取るために、用量命令入力20を含むことができる。用量命令入力20は、医学的用量を命令するために、ケア提供担当者(たとえば、医師、看護師など)によって利用され得る。
【0032】
用量命令入力20で受け取られる医学的用量命令は、患者に固有であってもよいし、命令の時点で患者に関連しない命令であってもよい。この点にて、医学的用量命令は、被含有薬剤ユニット(contained medication unit)に対応することがあり、この薬剤ユニットは、
・特定の患者への投与用に指定された薬剤ユニットを備える患者固有ユニット、
・後で特定の患者への投与用に指定されるべき薬剤ユニットを備える非患者固有ユニット、または
・(たとえば、調製後に特定の患者への投与用に指定される)患者固有ユニットまたは非患者固有ユニットの調製において使用されるべき薬剤成分供給源ユニット
のうちの1つを備えることがある。薬剤用量命令に対応することがある、被含有薬剤ユニットの例としては、
・混合滅菌製品、
・注入可能薬剤、
・化学療法薬調製、または
・患者ケア提供者による投与を必要とする栄養補助剤(たとえば、滅菌済みの注入可能な栄養補助剤)
がある。
【0033】
後者の点に関して、栄養補助剤は、完全静脈栄養法(TPN:total parenteral nutrition)またはTPNの成分を含むことがある。そのうえ、栄養補助剤は、部分的な栄養補助剤を含むことがある。栄養補助剤は、あらかじめ混合されたバッグ、基剤、および追加成分を個別に、または組み合わせて含んでもよいし、他の形態の栄養補助剤またはその成分を含んでもよい。栄養補助剤は、静脈内注射を介した投与のためのものであってもよいし、食物の形態であってもよいし、栄養チューブなどとともに使用するためのものであってもよい。
【0034】
いずれの点に関しても、医学的用量は、薬剤用量の調製の助けとなるために使用され得る情報の1つまたは複数の部分を含むことがあり、患者への用量命令の投与に関連することがあり、または用量命令に関することがある。たとえば、用量命令は、
・薬剤識別子、
・薬剤量、
・薬剤濃度、
・薬剤用量命令に関連する薬剤ユニットが投与される患者に関連する情報、
・薬剤用量命令に関連する薬剤ユニットのスケジューリング情報(たとえば、投与時刻)、または
・薬剤用量命令に関連する薬剤ユニットに関する他の適切な情報
に相当する情報を含むことがある。
【0035】
いずれの点に関しても、医学的用量命令は、医学的用量調製管理システム30に通信されることがある。医学的用量調製管理システム30は、命令処理器20から受け取られた用量命令情報から用量命令データを獲得する50ように動作可能であることがある。医学的用量調製管理システム30はまた、用量命令データを前処理する52ことがある。前処理52としては、たとえば、医学的用量調製管理システム30によって保守されるデジタル用量命令記録を生成することが含まれ得る。デジタル用量命令記録は、たとえば医学的用量命令に関して上記で説明した情報のいずれかなどの命令から取得され得るデータが自動的に設定されることがある。この点に関して、情報は、解析されてもよいし、削除されてもよいし、命令入力20で受け取られる薬剤用量命令から取得されてもよい。具体的には、一実施形態では、医学的用量調製管理システム30は、命令入力20からの人間可読出力(たとえばプリンタ)を宛先とするデータを削除して、医学的用量命令記録に、医学的用量命令に対応するデータを設定するように動作可能であってもよい。
【0036】
一実施形態では、医学的用量調製管理システム30は、薬剤用量命令データベース32と通信動作可能であってもよい。この点に関して、薬剤用量命令データベース32は、ケア提供者施設にあってよい(すなわち、ケア提供者病院12に対してオンサイトであってよい)。医学的用量調製管理システム30は、追加または代替として、遠く離れた薬剤用量命令データベース34と通信するように動作可能であってよい。この点に関して、医学的用量調製管理システム30は、ネットワークなどを介して、遠く離れた薬剤用量命令データベース34と通信することがある。いずれの点に関しても、薬剤用量命令データベース32または34は、薬剤用量命令データベース32および/または34内の薬剤用量命令記録を格納するように動作可能であってよい。さらに、薬剤用量命令データベース32または34は、格納された薬剤用量命令のそれぞれの命令に対して対応する関係として用量命令メタデータを格納してよい。薬剤用量命令データベース32または34は、アクティブな用量命令(たとえば、生成されているがまだ患者に投与されていない用量命令に相当する)またはアーカイブされた用量命令(たとえば、患者に投与された用量命令に相当する)を格納することができる。冗長なデータがオンサイト医学的用量命令データベース32およびオフサイト医学的用量命令データベース34に格納されることがある。たとえば、オフサイト医学的用量命令データベース34は、オンサイト医学的用量命令データベース32のバックアップ版であってよい。
【0037】
いずれの点に関しても、医学的用量命令メタデータは、薬剤用量命令に対して対応する関係で格納され得る。医学的用量命令メタデータは、たとえば、以下のタイプのデータを含むことがある、
・以下のうちの少なくとも1つを示す薬剤供給源データ
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素の製造業者、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素のロット番号、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素の使用期限、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素のシリアル番号、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素の識別子を示す薬品コード
・以下のうちの少なくとも1つを示す一連の保管データ
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットを所有するエンティティのリスト、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに関して行動を起こしたユーザのリスト。このユーザのリストは、各ユーザによって行われる特定の行動に相互に関連する。または
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの物理運動に対応する追跡情報
・以下のうちの少なくとも1つを示す履行データ
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに対応する画像データ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素から取得されるスキャンされたデータ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに関する分析データ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの少なくとも1つの薬剤師チェックに対応する薬剤師チェックデータ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに関連するベストプラクティスに対応するコンプライアンスデータ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに対応する無菌性評価データ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに対応する行動のリスト、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに対応する行動に対応するタイム・スタンプ・データ、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットに対して行われたライフ・サイクル・イベントのリスト、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの実測重量および/または予想重量に対応する重量データ、または
・以下のうちの少なくとも1つを示す環境データ
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットが曝露されている温度、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットが曝露されている温度および対応する時間期間、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットが冷却されているかどうか、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットが冷凍されているかどうか、
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットによって経験される温度プロファイル、または
- 薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの構成要素または薬剤用量命令に対応する被含有薬剤ユニットによって経験される力に対応する加速度計データ。
【0038】
医学的用量命令メタデータの上記の説明から諒解され得るように、医学的用量命令は、医学的用量命令の調製において使用される構成要素からメタデータを継承することがある。単純な例では、医学的用量命令は、第2の構成要素(たとえば希釈剤)と混合されるべき第1の構成要素(たとえば薬品)を含むことがある。この第1の構成要素は、第1の構成要素に関連する上記で説明したメタデータの1つまたは複数の部分を有することがある。さらに、第2の構成要素は、第2の構成要素に関連する上記で説明したメタデータの1つまたは複数の部分を有することがある。したがって、第1の構成要素および第2の構成要素を使用して調製される医学的用量命令は、第1の構成要素および第2の構成要素の各々からメタデータを継承することがある。この点に関して、複数の世代のメタデータは、所与の医学的用量命令に対して編集および起因され得る。一実施形態では、用量命令を調製するために使用される任意のあらゆる構成要素に対するメタデータは、所与の医学的用量命令に対して編集および起因され得る。したがって、医学的用量命令に関するメタデータ情報は、用量命令の構成要素の製造業者によって提供される供給源構成要素に発するメタデータを含むことがある。
【0039】
医学的用量調製管理システム30はまた、用量命令を組織化する54ように動作可能である。組織化54としては、優先順位付け、スケジューリング、または用量命令の組織化もしくは管理に関連する他の作業があり得る。医学的用量調製管理システム30はまた、用量命令を用量命令の履行において使用するための適切なワーク・ステーション40にルーティングする56ように動作可能である。この点に関して、医学的用量調製管理システム30と通信する複数のワーク・ステーション40が設けられてよい。複数のワーク・ステーション40のうちの異なるワーク・ステーション40は各々、医学的用量命令管理に関連する異なる動作に適していることがある。したがって、医学的用量の性質に応じて、特定のタイプのワーク・ステーション40は、用量を調製するために使用され得る。ワーク・ステーション40は、
図1に示されるケア提供者病院12に対してオンサイトであってもよいし、オフサイトであってもよい。この点に関して、ルーティング56としては、ネットワークを介したリモート・ワーク・ステーション40への通信があり得る。そのうえ、システム10は、用量命令がルーティング56され得る、オンサイトワーク・ステーション40ならびにオフサイトワーク・ステーション40の組み合わせを含むことができる。
【0040】
いずれの点に関しても、医学的用量調製管理システム30は、1つまたは複数のワーク・ステーション40と動作可能に通信してもよい。用量命令のルーティング56は、用量命令または用量命令の調製に関連する1つまたは複数の要因に少なくとも部分的に基づいてよい。たとえば、上記で述べたように、用量命令に対応する被含有薬剤ユニットの性質(たとえば、用量命令が化学療法薬用量命令であるか、非経口用量命令であるか、または他の特殊用量命令であるか)は、用量命令のルーティング56に関する判断を要因として考慮に入れることがある。追加または代替として、用量命令が調製されるべき様式に関するさまざまなワーク・ステーション40の機能が考慮されてよい。たとえば、いくつかの命令は、異なるレベルの封じ込め、覆うこと(hooding)、または各ワーク・ステーション40に設けられても設けられなくてもよい他の予防措置を必要とすることがある。一実施形態では、技術者のスケジュール、ワーク・ステーションのスケジュール、ワーク・ステーションの場所、薬剤用量命令スケジューリング情報、または他の情報などの他のパラメータは、用量命令を特定のワーク・ステーション40にルーティングする56ために、単独で使用されてもよいし、組み合わされて使用されてもよい。
【0041】
ワーク・ステーション40では、医学的用量命令の調製に対応するワーク・フローが表示され得る58。この点に関して、ワーク・ステーション40で現在調製されている医学的用量命令に固有のワーク・フローは、ワーク・ステーション40で技術者に提示され、用量命令を調製する技術者を支援するまたは技術者に指針を提供することができる。したがって、技術者は、一連のステップに従って、用量命令に関連する表示される58ワーク・フローに基づいて医学的用量を調製することができる。
【0042】
用量命令の調製中および/またはその後、ワーク・ステーション40は、医学的用量命令に関連する用量命令メタデータを取得する60を支援するために使用され得る。たとえば、ワーク・ステーション40は、たとえば、製品のバーコード・スキャンの獲得、用量の調製における使用中もしくはその後の医学的用量命令容器の医学的用量調製画像の取り込み、または用量の調製に関連する他の情報の取得などの医学的用量の調製に関する書類の記録を可能とすることができる。一実施形態では、薬剤用量メタデータに関して上記で説明したデータのタイプのうちの1つまたは複数は、ワーク・ステーション40での医学的用量命令の調製に関連して獲得され得る。
【0043】
薬剤用量に関して取得される60用量メタデータの少なくとも一部分は、適切な担当者(たとえば薬剤師)による閲覧のために格納され得る。この点に関して、用量メタデータは、用量が薬局12から投薬される前に、調製された用量を確認する62ために利用され得る。一実施形態では、ワーク・ステーション40で収集されたメタデータは、ネットワークを介して薬剤師に利用され得る。この点に関して、用量命令を確認する62作業が課された薬剤師は、リモートで(たとえば、ネットワークを介して、病院内であるがIV室の外部にある場所で、または病院構内から完全に離れた場所で)情報および/またはデータにアクセスすることがある。メタデータにリモートでアクセスする機能によって、薬剤師は、用量命令を確認する62ためにIV室に入らなければならない状態を回避する(すなわち、したがって、IV室の制御された環境に入ることに一般に関連する潜在的に面倒な更衣手順を回避する)ことを可能にすることができる。確認する62としては、薬剤師による、医学的用量調製画像、取得された情報、または医学的用量命令に関する他のデータの点検があり得る。たとえば、薬剤師は、正しい薬剤が医学的用量命令の調製中に集められ格納されたメタデータに基づいて正しい様式および/または正しい量で調製されたことを確認することがある。薬剤用量命令が何らかの点で間違っている場合、薬剤師は、薬剤用量命令が再処理されるまたは再開することを求めることがある。
【0044】
用量命令がひとたび調製および確認される62と、医学的用量調製管理システム30は、用量命令を調剤する64ことができる。用量命令を調剤する64とき、用量命令は、ケア提供者による患者への投与のために薬局12から送られることがある。たとえば、用量は、ケア提供者の指導または監督の下で、ケア提供者病院12で、またはオフサイトの場所で、投与されることがある。
【0045】
医学的用量調製管理システム30はまた、患者への投与という用量命令の追跡66を容易にする。薬局ワーク・フロー・マネージャ30はまた、格納またはアーカイブされ得る各用量に関連する記録を保持することができる。たとえば、記録は、電子的にインデックスが付与された検索可能な形でデジタルに格納され得る。記録は、各用量に関するメタデータの少なくとも一部分、好ましくはすべてを含むことができる。
【0046】
図2をさらに参照すると、ワーク・ステーション40の一実施形態を示す概略図が示されている。ワーク・ステーション40は、撮像デバイス80と通信動作可能なプロセッサ70を含むことができる。撮像デバイス80は、デジタル画像データを出力するように動作可能なデジタル・カメラであってよい。デジタル画像データは、静止画像および/またはデジタル・ビデオを含むことができる。この点に関して、撮像デバイス80は、プロセッサ70によって受け取られるビデオ・データ・ストリーム82を出力することができる。この点に関して、プロセッサ70は、撮像デバイス80からプロセッサ70で受け取られるビデオ・データ・ストリーム82を処理するためのビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72を含むことができる。直接通信する、
図2に示されるさまざまな構成要素が示されているが、これらのさまざまな構成要素は、ネットワーク・インタフェースなどによって通信動作可能としてもよい。
【0047】
撮像デバイス80は、撮像野84を含むことができる。撮像野84は、医学的用量調製ステージング領域86を包含することができる。撮像デバイス80は、基部90に支持可能に装着され得る。たとえば、支持具92は、基部90から撮像デバイス80に延在して、撮像デバイス80を基部80に対して支持することができる。この点に関して、一実施形態では、医学的用量調製ステージング領域86は、基部90の支持面94を含むことができる。医学的用量調製ステージング領域86は、面94の上の空間(たとえば、面から面に垂直なおよび/または撮像デバイス80に向かう方向に延在する)も含むことができる。いずれの点に関しても、撮像デバイス80の撮像野84は、薬剤容器100を支持可能に受け取ることができる医学的用量調製ステージング領域86を包含することができる。次に、撮像デバイス80、支持具92、および基部90は、カメラ・スタンド190をまとめて定義することができる。したがって、カメラ・スタンド190は、医学的用量命令の調製中に医学的用量調製画像および/または他のメタデータを取得する目的で、撮像デバイス80を基部90に対して支持するためにワーク・ステーション40において使用され得る。
【0048】
医学的用量調製ステージング領域86内で基部90によって支持可能な薬剤容器100は、用量の調製において使用される、任意の材料、容器、装置、または他の物体を含むことができる。たとえば、薬剤容器100は、供給源容器(source receptacle)、搬送容器、または投与容器であってもよいし、これを含んでもよい。供給源容器は、配合または用量調製の前に薬局で格納される薬剤製品を格納することができる。この点に関して、供給源容器は、薬品製造業者によって包装され、薬品製造業者から受け取られる容器であってよい。したがって、供給源容器は、薬剤に関する情報をその上に含むことができる。たとえば、製品名、濃度、量、ロット情報、有効期限情報、シリアル番号、他の製造情報、または他の情報は、薬剤に関連付けられることがあり、かつ/または供給源容器上に表示されることがある。医学的用量調製管理システム30は、供給源容器上に表示されることがあるデータの前述の部分のいずれかを含む、供給源容器に関するメタデータを格納するように動作可能であってよい。この点に関して、供給源容器は、(たとえば、バー・コードなどの機械可読証印(indicium)の使用を介して)ワーク・ステーション40によって識別可能であってよい。
【0049】
そのうえ、医学的用量調製管理システム30は、供給源容器からのメタデータを、上記で説明したように供給源容器が使用される用量命令に属するように動作可能であってよい。供給源容器が、薬局で配合され、かつ後で用量の調製において使用するために供給源容器に配置された、あらかじめ調剤された薬剤を含むとき、供給源容器メタデータは、医学的用量命令のためのメタデータに属されまたは付加すらされ得る。この点に関して、医学的用量命令を調製するために使用されるいくつかの世代の構成要素のためのメタデータ(たとえば、製造業者薬品などの製造業者から受け取られた元の供給源構成要素から発する)は、医学的用量命令に属され得る。したがって、医学的用量命令メタデータとしては、継承されたメタデータを含む医学的用量命令で使用されるすべての構成要素に関する情報があり得る。さまざまな構成要素のためのメタデータは、ワーク・ステーション40における容器100の識別時に(たとえば、機械可読証印をスキャンすることによって)取り出され得る。さまざまな実施形態では、供給源容器としては、バイアル、シリンジ、瓶、袋、または当技術分野で知られている他の適切な薬剤容器があり得る。
【0050】
投与容器は、患者への医学的用量の投与中に使用される任意の容器であってよい。投与容器は、任意の薬剤、希釈剤、補助剤、または患者に投与されるべき他の任意の材料を含有し得る。さまざまな実施形態では、投与容器としては、シリンジ、IVバッグ、または患者への物質の投与において使用される他の適切な薬剤容器があり得る。投与容器は、調製された医学的用量命令のためのメタデータに含まれるメタデータも含むことがある。
【0051】
搬送容器は、供給源容器から投与容器に物質を搬送するために使用され得る。たとえば、搬送容器は、シリンジまたは供給源容器から投与容器に物質を搬送することが可能な当技術分野で知られている他の任意の適切な容器であってよい。搬送容器は、調製された医学的用量命令のためのメタデータに含まれるメタデータも含むことがある。
【0052】
図2に戻ると、プロセッサ70は、さらにディスプレイ110と通信動作することができる。この点に関して、撮像デバイス80から受け取られるビデオ・データ・ストリーム82は、ユーザによって知覚可能な様式でディスプレイ110に表示され得る。ディスプレイ110に表示されるビデオ・データ・ストリーム82は、ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72によって処理され得る。たとえば、ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72は、ビデオ・データ・ストリーム82から静止画像を取り込むように動作可能であってよい。ビデオ・データ・ストリーム82は、所与のフレーム・レートで表示される一連の画像を含むことができる。たとえば、フレーム・レートは5~10フレーム/秒であってよい。別の実施形態では、撮像デバイス80は、プロセッサ70に静止画像を提供することができる。この点に関して、以下に提示する説明は、ビデオ・データ・ストリーム82を処理することに関連して説明しているが、静止デジタル画像にも関連して(たとえば、ユーザ・コマンドに応答して要求されたときなどに一度に1つ画像上で)実行され得ることが諒解されよう。
【0053】
プロセッサ70のビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72は、撮像デバイス80から受信されたビデオ・データ・ストリーム82から医学的用量調製画像を取り込むように動作可能であってもよい。ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72によって取り込まれる医学的用量調製画像としては、医学的用量命令を調製する最中に使用される1つまたは複数の薬剤容器100があり得る。この点に関して、医学的用量命令の調製は、用量を調製するために使用される薬剤容器100の画像を取り込むことによって文書化され得る。医学的用量調製画像は、医学的用量命令に関するメタデータとして格納され得る。医学的用量調製画像としては、用量の調製中のさまざまな段階における1つまたは複数の薬剤容器があり得る。たとえば、供給源容器、搬送容器、または投与容器は、用量の調製の前、その間、またはその後に撮像され得る。
【0054】
ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72によって取り込まれる医学的用量調製画像は、プロセッサ70と通信動作可能なメモリ120に格納され得る。この点に関して、医学的用量調製画像は、ワーク・ステーション40においてメモリ120にローカルに格納され得る。追加または代替として、医学的用量調製画像は、プロセッサ70と通信動作可能なネットワーク・インタフェース140によってリモートな場所(たとえば、
図1に示されるオンサイト薬剤用量命令データベース32またはオフサイト薬剤用量命令データベース34に)に通信され得る。いずれの点に関しても、医学的用量調製画像は、医学的用量命令を確認する(たとえば、
図1に関して上記で説明した、確認する62)最中に画像が後でチェックされ得るように、かつ/または一般にワーク・ステーション40および/または病院薬局12によって調製される用量命令に関する記録を保守するためにアクセス可能であり得る。
【0055】
プロセッサ70は、ユーザ制御デバイス130とも通信動作可能である。ユーザ制御デバイス130は、ユーザ(たとえば、用量を調製する薬局の技術者)から入力を受け取るように動作可能であってよい。ユーザ制御デバイス130は、たとえば、フット・ペダル、ボタン、タッチ・スクリーン、マウス、キーボード、または当技術分野で知られている他のユーザ入力デバイスであってよい。ユーザは、ユーザ制御デバイス130を利用して、ビデオ・データ・ストリーム82からの医学的用量調製画像の取り込みをトリガすることができる。たとえば、薬剤容器100は、薬剤容器100を含む撮像野86の撮像デバイス80によって取り込まれたビデオ・データ・ストリーム82を表示するディスプレイ110を観察することによってユーザによって閲覧され得る。ディスプレイ110に表示される画像がひとたびユーザにとって許容可能であると、ユーザは、ユーザ制御デバイス130を使用して、上記で説明したように、メモリ120内またはリモート・データベース内への格納のために医学的用量調製画像の取り込みをトリガすることができる。
【0056】
ワーク・ステーション40は、医学製品に関連する用量ラベル、進行中の用量、および/または完了した用量を印刷するように動作可能なプリンタ150も含むことができる。この点に関して、プリンタ150は、金属用量および/または医学的用量命令に関連して薬局12および/または病院において使用されるラベルを印刷するように動作可能なラベル・プリンタであってよい。
【0057】
病院12において医学的用量命令を調製する間、用量命令に関連して取り込まれる医学的用量調製画像の数が極めて多くなり得ることが諒解されよう。たとえば、複数の画像が、調製された各用量に関連して取り込まれることがある。ほとんどの病院では、毎日調製される用量の数は、数百程度の用量またはそれ以上であり得る。この点に関して、医学的用量命令の調製に関連して取り込まれる画像を格納するために必要なメモリ・リソースは、特に用量命令に関するアーカイブされた画像を格納する病院の実施を考慮すると、大量であることがある。
【0058】
そのうえ、医学的用量調製画像は、薬局からの命令を調合する前に医学的用量命令を確認するために薬剤師によって使用されることがあるので、薬剤師による画像の正確なチェックを容易にするために、画像解像度が異常に高いことがある。したがって、医学的用量調製画像を格納するに専用の大量のメモリ・リソースの必要性が高くなる。したがって、画像サイズ(たとえば、メモリ内の画像のサイズによって表される)のいかなる減少も、画像の格納に必要なメモリ・リソースを減少させるのに、かつ/または医学的用量調製画像の格納に利用できるメモリ・リソースのより効率的な使用を可能にするのに有利なことがある。
【0059】
したがって、撮像野86全体を含む医学的用量調製画像を取り込むことは、メモリ・リソースの非効率的な使用法であることがある。画像を切り取り、撮像野86の関連した部分(すなわち、薬剤容器100を含む部分)を保持して、格納することは、撮像野86全体の画像を格納することよりも、メモリ・リソースのより効率的な使用法であることがある。たとえば、所与の解像度の場合、メモリ内での画像のサイズを減少させるために、画像の全体的な寸法を減少させることがある。追加または代替として、全体的な寸法を減少させた画像の場合、減少させた解像度における撮像野84全体の画像と比較して、メモリ内での画像のサイズを増加させずに画像の解像度を増加させ得る。
【0060】
しかしながら、オペレータに、撮像野86の各画像を手動で切り取ることを求めることによって、医学的用量命令の調製の時間が増加することがある。これによって、疾患の調製に関連するコストの増加がもたらされることがあり、または用量、特に患者の生命にとって重要である可能性のある「スタット(stat)」用量のスケジューリング要件に基づいて望ましくないことがある。この点に関して、ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72は、格納の目的でビデオ・データ・ストリーム82の関連した部分を識別し、医学的用量命令の調製の速度に影響を与えずに、医学的用量調製画像を格納するために必要とされるメモリ・リソースを減少させるように、撮像デバイス80によって収集されたビデオ・データ・ストリーム82に対して自動クロッピング動作を実行するように動作可能であり得る。
【0061】
一実施形態では、自動クロッピング動作は、ビデオ・データ・ストリーム82を背景画像と比較して、ビデオ・データ・ストリーム82内の撮像野に配置された物体に対応する関心領域を識別することを含むことがある。さらに
図3を参照すると、医学的用量調製ステージング領域86の撮像デバイス80によって収集されたビデオ・データ・ストリーム82の時間的な1つの実例を表す静止画像の一例が示されている。医学的用量調製ステージング領域86は、溝88、チャネル89、または薬剤容器100と係合して薬剤容器100を医学的用量調製ステージング領域86内で静止するように保持するように適合された他の機構などの薬剤容器係合機構を含むことができる。
図3では、薬剤容器100が示されておらず、したがって、医学的用量調製ステージング領域86には物体がない。この画像は、薬剤容器100が存在しないビデオ・データ・ストリーム82内での医学的用量調製領域86の外観を示す背景画像200として取り込まれ得る。注目すべきことに、基部90は、撮像野84全体にわたって延在し、画像野84内の背景のほぼ全部を占めることがある。背景画像200は、自動クロッピング動作中に、撮像デバイス80からのビデオ・データ・ストリーム82と比較されることがある。背景画像は、リモートに格納されてもよいし、ローカルに(たとえば、ワーク・ステーションのメモリ120内の背景画像ストア124に)格納されてもよい。
【0062】
一実施形態では、撮像デバイス80の場所および/または方位に応じて複数の背景画像200のうちの異なる背景画像が自動クロッピング動作において用いられるように、複数の背景画像200が取得されることがある。たとえば、撮像デバイス80は、複数の位置に位置決め可能であることがある。したがって、撮像デバイス80の位置に応じて、背景画像200が異なることがある。この点に関して、撮像デバイス80の識別された位置に基づいて複数の背景画像のうちの適切な対応する背景画像が使用され得るように撮像デバイス80が配置された位置を決定するために、センサが設けられることがある。
【0063】
いずれの点に関しても、背景画像200が達成された後、1つまたは複数の薬剤容器100は、
図4に示されるように医学的用量調製ステージング領域86内に配置され得る。たとえば、
図4に示されるように、シリンジ100aおよびバイアル100bが医学的用量調製ステージング領域86内に配置されている。諒解され得るように、薬剤容器係合機構(88、89)は、少なくとも一般に、医学的用量調製ステージング領域86内に配置された薬剤容器100に対応することができる。いずれの点に関しても、撮像デバイス80から取得されたビデオ・データ・ストリーム82は現在、
図4に示されるように、薬剤容器100aおよび100bを含むことができる。自動クロッピング動作は、一般に、薬剤容器100がその上に配置されていない、取得された医学的用量調製ステージング領域86の背景画像200を、医学的用量調製ステージング領域86内に配置されている薬剤容器100を含むビデオ・データ・ストリーム82と比較して、薬剤容器100に相当する関心領域を判断することを含む。
【0064】
この点に関して、背景画像200とビデオ・データ・ストリーム82の差分の解析時、薬剤容器100に相当する、ビデオ・データ・ストリーム82と背景画像200の差分を表す複数の場所が判断されることがあり、したがって、薬剤容器100を包含する関心領域が判断され得る。次に、取り込まれた医学的用量調製画像は、薬剤容器100を含む識別された関心領域のみに相当する画像データを含むことがあり、関心領域の外部にある撮像野86の一部分またはすべてを除外することがある。
【0065】
一実施形態では、ビデオ・データ・ストリーム82のサブセット(たとえば、所定のサブセット)が、背景画像200の対応するサブセットと比較されて、薬剤容器100の存在に相当するビデオ・データ・ストリーム82と背景画像200の差分を識別することがある。ビデオ・データ・ストリーム82のサブセットのみを背景画像200の対応するサブセットに対して比較することによって、処理されるべきデータの量が減少することがあり、したがって、自動クロッピング動作がより迅速に行われて、医学的用量の調製が遅くなることを防止することができる。
【0066】
この点に関して、本明細書で説明する自動クロッピング動作は、画像のあらゆるピクセルが解析されてビデオ・データ・ストリーム82と背景画像200の差分を決定する方法よりもかなり速く行われ得る。したがって、本明細書で説明する自動切り取り動作は、実行時間の非常に速い正確な自動切り取り動作を提供することができる。たとえば、本明細書で説明する自動切り取り動作がビデオ・データ・ストリーム82の所与のフレームに対して行われてから、ビデオ・データ・ストリーム82内の次のフレームを取得することがある。たとえば、撮像デバイス80が毎秒5~10フレームでビデオを収集する実施形態では、自動クロッピング動作は、撮像デバイス80のフレーム・レート(すなわち、10フレーム/秒のフレーム・レートに対して少なくとも100ミリ秒以内に)よりも速く完了されることがある。すなわち、自動クロッピング・アルゴリズムは、ビデオ・データ・ストリームのリフレッシュ・レートよりも短い時間で実行することがある。この点に関して、自動クロッピング動作は、ビデオ・データ・ストリーム82内の次の画像を取得する前に、ビデオ・データ・ストリーム82内の画像ごとに関心領域を識別することができる。
【0067】
図5を参照すると、ビデオ・データ・ストリーム82の選択されたピクセルに対応し得るビデオ・データ・ストリーム82の潜在的サブセットの一実施形態が示されている。たとえば、ビデオ・データ・ストリーム82のサブセットを含むピクセルは、
図5に示される複数の水平グリッド線210および複数の垂直グリッド線212に沿って得られることがある。したがって、水平グリッド線210は、医学的用量調製ステージング領域86の幅に対応する第1の方向に延在することができる。たとえば、水平グリッド線210は、医学的用量調製ステージング領域86の幅の実質的に全体および/または撮像野86の幅の実質的に全体にわたって延在することがある。垂直グリッド線212は、医学的用量調製ステージング領域86の長さに対応する第2の方向に延在することができる。たとえば、垂直グリッド線212は、医学的用量調製ステージング領域86の長さの実質的に全体および/または撮像野86の長さの実質的に全体にわたって延在することがある。
【0068】
グリッド線210および212は、撮像野にわたって少なくとも2つの方向に延在することができ、したがって、関心領域の長さおよび幅は、グリッド線210および212に対して決定され得る。さらに
図6を参照すると、
図5に示されるグリッド線210および212に対応する背景画像200内のグリッド線210’および212’に沿って得られるピクセルの対応する所定のサブセットが、比較において使用されることがある。
【0069】
ビデオ・データ・ストリーム82および背景画像200の所定の部分のグリッド間隔は、画像化されることが予期される最小物体に基づいて選択されてよい。たとえば、グリッド線210、212の間隔は、最小の2つのグリッド線210、212が、医学的用量調製ステージング領域86内に置かれ得る任意の薬剤容器100と交差するように選択されてよく、したがって、境界区域の範囲が薬剤容器100ごとに正確に決定され得る。
【0070】
図7~
図10をさらに参照すると、自動クロッピング動作中に比較されるデータは、ビデオ・データ・ストリームおよび背景画像の各グリッド線に沿って各ピクセルから抽出されたデータに対応することがある。たとえば、
図7は、撮像野86内に配置されている薬剤容器100を示す。例示のために、薬剤容器100の外側縁102および104と交差する単一の水平線300が示されている。
【0071】
ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72は、水平線300に沿ってカラー・ビットマップ・データを抽出することができる。ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72は、水平線300に沿って得られる各ピクセルのデータを各ピクセルの強度データに対応するグレースケール・データの配列に変換することができる。一実施形態では、ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72は、各ピクセルのグレースケール・データを、白色と黒色の間の各ピクセルのグレースケール・データの相対色を表す定量値に変換することができる。たとえば、ピクセルに関してゼロが黒色を表し、255が白色を表す0~255のスケール上で、8ビット値が確立され得る。したがって、各ピクセルの強度データは、白色と黒色の間のグレースケールにおけるピクセル場所を表す値に対応することができる。
【0072】
さまざまな処理技法が、水平線に沿って得られたピクセルの強度データに適用され得る。たとえば、数学的変換(たとえば高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform))を使用した、データの周波数領域への変換が強度データに適用され得る。
図8は、
図7から水平線300に沿って得られたデータのFFTの一例結果を示す。第1の線310は、薬剤容器100を含む、
図7に示されるビデオ・データ・ストリーム82からのデータに対応し、第2の線312は、薬剤容器100のない
図7の撮像野の背景画像内の対応する水平線からのデータに対応する。
【0073】
図8から諒解され得るように、全周波数の約5%までの著しく低い周波数成分が存在する。より高い周波数における第2の線312からの第1の線310の偏差は、FFTプロセスの影響から生じることがあり、真実ではないことがある。したがって、ハイ・パス・カットオフ周波数が、低周波数強度の変化を効果的に排除するために確立されることがある。ハイ・パス・フィルタに対する閾値は、ハイ・パス・フィルタ閾値が低すぎると、FFTプロットでは主に低周波数データとして現れる照明の変化に対するロバストネスがなくなることがあることを考慮して選択されることがある。
【0074】
図9をさらに参照すると、
図7に示されるビデオ・データ・ストリームの水平線300に沿って得られたピクセルに対する生の強度データはプロット線320を使用してプロットされ、背景画像の対応する水平線に沿って得られたピクセルに対する生の強度データはプロット線322を使用してプロットされている。
図9のプロットの垂直軸は強度データ(たとえば、上記で説明したように定量化されたグレースケール・データ)を表し、水平軸は
図7の水平線に沿ったピクセル場所を表す。
図9の垂直線324および326はそれぞれ、
図7に示される薬剤容器100の外側縁102および104の、
図9のプロット内の場所をそれぞれ表す。諒解され得るように、ビデオ・データ・ストリーム・プロット線320と背景画像プロット線322の偏差はシャープ・エッジを含まないことがあり、したがって、薬剤容器100の縁102、104の場所は、生の強度データを使用して検出することが困難なことがある。
【0075】
しかしながら、
図10(この図の軸も、垂直軸に沿って強度の偏差を表し、水平軸上ではピクセル場所を表す)は、ハイ・パス・フィルタリングを受けた類似のプロットを示す。諒解され得るように、薬剤容器100の左縁102(垂直線324によって表される)および右縁104(垂直線326によって表される)における偏差は、薬剤容器100の縁102、104が検出され得るように、より顕著である。これは、薬剤容器100の左外側縁102上で、
図7のビデオ・データ画像においてラベルが縁102に存在しない場合にまさに当てはまることに留意されたい。この点に関して、左縁102は「ソフト・エッジ」を表す。「ソフト・エッジ」という用語は、
図7で薬剤容器100の左側102に示されるような、縁に存在するラベル部分が薬剤容器100の縁にない状況を示すことを意図する。すなわち、ソフト・エッジは、薬剤容器100の完全に半透明または透明な縁部分に対応することがある。そのようなソフト・エッジは、
図10のプロットの左側(324)および右側(326)それぞれにおける偏差を比較する際に諒解され得るような、背景画像データ内のデータビデオ・データ・ストリーム間のあまり顕著でない差分を示すことがあることが諒解されよう。しかしながら、
図10のフィルタ・データの検査時、薬剤容器100の縁ははっきりと示され、識別され得る。
【0076】
そのうえ、処理は、自動クロッピング動作の精度を改善する助けとなるために各ピクセルの強度データに対して実行されることがある。たとえば、強度データは、当技術分野で知られている任意の数の追加または代替のフィルタリング技法を使用してフィルタリングされることがある。
【0077】
さらに、各ピクセルの生の強度データではなく各グリッド線210、212に沿った強度の変化率が、医学的用量調製ステージング領域86内に配置される薬剤容器100の有無のより正確な尺度を提供することがある。この点に関して、生の強度データ320の導関数は、医学的用量調製ステージング領域86内に配置された薬剤容器100の縁の場所を決定する助けとなるために各グリッド線210、212に沿った強度の変化率を反映するように計算され得る。
【0078】
そのうえ、ビデオ・データ・ストリーム82のサブセットを背景画像200と相関させる間、ビデオ・データ・ストリーム82の各ピクセルは、背景画像200内の直接対応するピクセルと比較されてもよいし、ビデオ・データ・ストリーム82の各ピクセルは、直接対応するピクセルの背景画像200内の対応するグリッド線に沿った特定の所定の距離内の複数のピクセルと比較されてもよい。たとえば、ビデオ・データ・ストリーム82に関する任意の所与のピクセルは、背景画像200内の直接対応するピクセルの約+/-10ピクセル以内のピクセルと比較され得る。したがって、そうでない場合は薬剤容器100の識別された縁に起因することがあるビデオ・データ・ストリーム82に対する背景画像200の位置間のわずかな変動および/または軽微な照明の変動は、対応され得る。たとえば、背景画像200に対応するビデオ・データ・ストリーム82は、わずかに移動する、かつ/またはわずかに異なる照明を受けやすいことがあり、したがって、軽微な変動が生じることがある。しかしながら、ビデオ・データ・ストリーム82内の所与のピクセルを、対応する背景画像200内のピクセルの範囲と比較することによって、軽微な変動が説明され得る。
【0079】
背景画像200に関するビデオ・データ・ストリーム82の解析に基づいて、所与の薬剤容器100の縁が、各グリッド線210、212に沿って決定され得る。たとえば、所定の変化率を超える、グリッド線210、212に沿って識別される差分は、薬剤容器100の縁の場所370に起因することがある。薬剤容器100の決定された縁に対応する各グリッド線210、212における場所370に基づいて、境界区域360(たとえば、
図11に示される)。境界区域360は、ビデオ・データ・ストリーム82内の薬剤容器100の縁の識別された場所370に対応して位置し得る縁362からなることがある。たとえば、水平グリッド線210のヒット(hit)の各々に沿って決定される最大場所および最小場所370は、境界区域360の縁362の水平位置を決定するために使用されることがある。一実装形態では、垂直グリッド線212の各々に沿って決定される最大場所および最小場所370は、境界区域362の縁362の垂直位置を決定するために使用されることがある。そのうえ、一実施形態では、境界区域360の縁362は、垂直方向と水平方向の両方で最小場所および最大場所370を越え、最小場所および最大場所370を越えて次のグリッド線まで延在することがある。たとえば、薬剤容器100は、場所370が識別されるように、グリッド線210または212を越えて延在することがある。薬剤容器100は、グリッド線210または212を越えて延在することがあるが、容器100は、次の隣接するグリッド線までは延在しないことがある。したがって、境界区域360が場所370で確立される場合、薬剤容器100の一部分は、境界区域360の中に含まれないことがある。したがって、境界区域360は、所与の薬剤容器100に対する識別された最小場所および最大場所370を越えて水平方向と垂直方向の両方で次の隣接するグリッド線までの区域を含むように、自動的に拡張されることがある。
【0080】
図11をさらに参照すると、ビデオ・データ・ストリーム82および背景画像200の所定のサブセットに沿って背景画像200をビデオ・データ・ストリーム82と比較することによって、背景画像200とビデオ・データ・ストリームの差分に対応する場所370が、上記で説明した様式で位置することがある。次に、水平グリッド線210および垂直グリッド線212の両方に沿ってビデオ・データ・ストリーム82と背景画像200の差分の最小場所および最大場所に対応する、グリッド線210および212に沿った場所370が、
図11に示されるように識別されることがある。これらの場所370に基づいて、境界区域360の縁362は、各薬剤容器100の周りに確立され得る。
【0081】
図11でさらに諒解され得るように、複数の薬剤容器100は、常に撮像野86内に配置されることがある。ビデオ・ストリーム・データ処理モジュール72は、個別の境界区域360が各薬剤容器100に対して個々に確立されるように、複数の薬剤容器100を別個に識別するように動作可能であることがある。2つの薬剤容器100が
図11に示されているが、追加のまたはより少数の薬剤容器100が、追加のまたはより少数の対応する境界区域360がプロセッサ70のビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72によって確立されるように、識別され得ることが諒解されよう。
【0082】
この点に関して、自動クロッピング動作は、撮像野86の中に配置された異なる薬剤容器100を個々に識別するロジックを含むことができる。たとえば、グリッド線210、212に沿った特定の所定の距離に背景画像200と比較して差がない場合は所定の距離を超える距離の伸張における場所370が別個の薬剤容器100に属すると考えられ得るロジックが用いられることがある。追加または代替として、薬剤容器100の周囲長を識別する解析が実行されることがあり、したがって、個々の医療用容器100が、単一の閉じられた周囲長の識別に基づいて識別され得る。たとえば、所与の閉じた周囲長の場合、自動クロッピング動作によって、単一の薬剤容器100が存在すると判断され、単一のバウンディング・ボックスが、識別された医療用容器100専用にされることがある。
【0083】
さらに
図12を参照すると、ディスプレイ110の出力の一例が示されている。境界区域360を決定するために解析されるビデオ・データ・ストリーム82のサブセットに対応するグリッド線210および212がディスプレイ110に示されないことがあることが諒解されよう。しかしながら、境界区域360がディスプレイ110に表されてもよく、したがって、ビデオ・データ・ストリーム処理モジュール72によって識別される関心領域が、ディスプレイ110を見るユーザによって知覚可能であることがある。この点に関して、ひとたび境界区域360が薬剤容器100の各々に対して確立されると、ディスプレイ110は、ビデオ・データ・ストリーム82に関する境界区域360をディスプレイ110に表示するように構成されてもよく、したがって、ユーザは、境界区域360が境界区域360内の薬剤容器100の関連した部分をすべて含むことを確認することができる。
【0084】
ユーザは、表示される境界区域360を拡張または収縮させて、ビデオ・データ・ストリーム82内の薬剤容器100を囲む関心領域のサイズを増加または減少させる機会を有することができる。一実施形態では、バウンディング・ボックス320が自動クロッピング動作によって不適切に決定される場合、ユーザは、背景200に対する高いコントラストを提供するマーカまたは医学的用量調製ステージング区域86内に配置された他の物体を用いて、境界区域360に対する縁場所370を確立することができる。たとえば、物体は、薬剤容器100の範囲を越えて境界区域360の縁362を確実に確立するために、薬剤容器100に隣接して配置されることがある。物体は、撮像野86の中に置かれたマーカなどの個別の物体であってよく、または、ユーザは、場所370を確実に確立するために、撮像野86の中に配置された自分の指または他のポインティング・デバイスを用いてよい。
【0085】
ひとたび関心領域がユーザによって確立されると、ユーザは、ユーザ制御デバイス130を利用して、バウンディング・ボックス320に含まれるビデオ・データ・ストリーム82の部分(すなわち関心領域)に対応する医学的用量調製画像の取り込みを開始することができる。たとえば、
図13および
図14は、
図12に示されるように境界区域360が確立されるときにユーザがユーザ制御デバイス130を利用して画像の取り込みを開始すると取り込まれ得る、
図12に示されるディスプレイ110に示されるビデオ・データ・ストリーム82に含まれる2つの薬剤容器100aおよび100bにそれぞれ対応する医学的用量調製画像を示す。
【0086】
一実施形態では、境界区域360は、ユーザによって知覚可能な様式でビデオ・データ・ストリーム82の上に重ね合わされた箱が表されることがある。追加または代替として、医学的用量調製画像に含まれるべきでない境界区域360の外部の区域は、医学的用量調製画像に含まれるべきである境界区域360内の区域と異なる様式で表示されることがある。たとえば、境界区域360の外部の撮像野86の区域は、境界区域360の外部の区域が医学的用量調製画像に含まれないことがユーザにはっきりと識別される、淡色表示または影付きの画像として表示されることがある。
【0087】
本発明を図面に示しおよび前述の説明で詳細に説明してきたが、このような図示および説明は例示的なものであり、その特性を制限するものではないと見なすべきである。たとえば、先に説明した特定の実施形態は、説明した他の実施形態と組み合わせ可能であり、かつ/または他の方法で並べられ得る(たとえば、プロセス要素は他の順序で実行されてよい)。したがって、好ましい実施形態およびその変形態を図示し説明してきたに過ぎず、本発明の趣旨に含まれるあらゆる改変および変更が保護されることが望ましいことを理解されたい。
【0088】
前述の本発明の説明は、例示および説明のために提示されている。そのうえ、説明は、本発明を本明細書で開示される形態に限定することを意図するものではない。したがって、上記の教示に相応する改変形態および変更形態、ならびに関連技術の技法および知識は、本発明の範囲に含まれる。先に説明した実施形態は、さらに、本発明を実施する既知のモードを説明し、当業者がそのような実施形態または他の実施形態において本発明の特定の適用例または使用法によって必要とされるさまざまな変更とともに本発明を利用することを可能にすることを意図する。添付の特許請求の範囲は、従来技術によって許容される範囲内で代替実施形態を含むと解釈されることが意図されている。
【0089】
本発明は以下の発明を包含する。
1.医学的用量調製管理のためのシステム(30)であって、
医学的用量調製ステージング領域(86)を包含する撮像野(84)を有する撮像デバイス(80)であって、前記医学的用量調製ステージング領域(86)を含む前記撮像野(84)のデジタル画像データを出力するように動作可能な撮像デバイス(80)と、
前記撮像野(84)の前記デジタル画像データを受け取るために、前記撮像デバイス(80)と通信動作可能なプロセッサ(70)と、
前記撮像野(84)の前記デジタル画像データを受け取り、ユーザによって知覚可能な対応する画像を表示するために、前記プロセッサ(70)と通信動作可能なディスプレイ(110)であって、前記プロセッサ(70)が、前記デジタル画像データを処理して、前記医学的用量調製ステージング領域(86)の中に配置された少なくとも1つの薬剤容器(100、100a、100b)に対応する前記撮像野(84)内の少なくとも1つの関心領域を識別するように動作可能であり、前記関心領域が、前記ユーザによって知覚可能である様式で前記プロセッサ(70)によってディスプレイ(110)上で視覚的に区別される、ディスプレイ(110)と、
前記デジタル画像データからの医学的用量調製画像データの取り込みを開始するために、前記プロセッサ(70)と通信動作可能なユーザ制御デバイス(130)であって、前記医学的用量調製画像データが、前記関心領域の少なくとも一部分に対応する画像データを含み、前記撮像野の少なくとも一部分を除外する、ユーザ制御デバイス(130)と、
前記医学的用量調製画像データを受け取り格納するために、前記プロセッサ(70)と通信動作可能なメモリ(120)と
を備えるシステム。
2.前記デジタル画像データがビデオ・データ・ストリームを含む、1に記載のシステム(30)。
3.前記プロセッサ(70)が、前記関心領域を識別するために前記デジタル画像データを解析するように動作可能である、1または2に記載のシステム(30)。
4.前記撮像野(84)の前記除外された部分が前記関心領域の外部にある、1から3のいずれか一項に記載のシステム(30)。
5.前記プロセッサ(70)が、前記関心領域を識別するために前記デジタル画像データの所定のサブセットを解析するように動作可能である、1から4のいずれか一項に記載のシステム(30)。
6.前記解析が、前記デジタル画像データを前記医学的用量調製ステージング領域(86)の背景画像と比較することを含む、5に記載のシステム(30)。
7.前記背景画像が、前記医学的用量調製ステージング領域(86)内に薬剤容器(100、100a、100b)を含まない、6に記載のシステム(30)。
8.前記デジタル画像データの前記所定のサブセットが前記背景画像の対応するサブセットと比較される、7に記載のシステム(30)。
9.前記所定のサブセットが前記デジタル画像データの複数のピクセルに対応する、8に記載のシステム(30)。
10.前記複数のピクセルが、少なくとも第1の方向に前記デジタル画像データの実質的に全体にわたって延在する、9に記載のシステム(30)。
11.前記複数のピクセルが、前記第1の方向に垂直な第2の方向に前記デジタル画像データの実質的に全部にわたって延在する、10に記載のシステム(30)。
12.前記複数のピクセルが前記デジタル画像データの上でグリッドを形成する、9から11のいずれか一項に記載のシステム(30)。
13.前記グリッドが、既知のサイズの薬剤容器(100、100a、100b)に関連して離間した複数のグリッド線(210)を備える、12に記載のシステム(30)。
14.前記関心領域が、複数の縁によって画定された境界区域(360)によって画定される、12または13に記載のシステム(30)。
15.前記複数の縁の各々が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットの識別された場所における前記デジタル画像データと前記背景画像の閾値差分に少なくとも部分的に基づいて前記識別された場所に配置される、14に記載のシステム(30)。
16.前記プロセッサ(70)が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットの各ピクセルの、および前記背景画像の前記対応する所定のサブセットの各ピクセルの強度データを計算するように動作可能である、9から15のいずれか一項に記載のシステム(30)。
17.前記強度データがフィルタリングされる、16に記載のシステム(30)。
18.前記強度データがハイ・パス・フィルタリングのうちの少なくとも1つを経験する、17に記載のシステム(30)。
19.前記閾値差分が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットと前記背景画像の、強度データの所定の差分を含む、16から18のいずれか一項に記載のシステム(30)。
20.前記所定のサブセットの各ピクセルが、前記背景画像からの複数の隣接する対応するピクセルと比較される、16から19のいずれか一項に記載のシステム(30)。
21.前記識別された場所が、前記第1の方向または前記第2の方向に前記グリッド線(210、212)に沿った最小閾値差分または最大閾値差分の一方に対応する15から20のいずれか一項に記載のシステム(30)。
22.前記識別された場所が、前記グリッド線に沿って前記第1の方向および前記第2の方向の、前記閾値差分の外部の、前記グリッドの2番目に遠隔のグリッド線(210、212)に対応するように選択される、21に記載のシステム(30)。
23.医学的用量調製画像データを処理し取り込むための方法であって、
撮像デバイス(80)の撮像野内に医学的用量調製ステージング領域(86)を包含すること、
前記撮像野のデジタル画像データを取得すること、
前記撮像デバイス(80)と通信動作可能なプロセッサ(70)で、前記医学的用量調製ステージング領域(86)内に配置された少なくとも1つの薬剤容器(100、100a、100b)に対応する前記撮像野内の領域を識別すること、
前記デジタル画像データをディスプレイ(110)に表示すること、但し、前記領域は、ユーザによって知覚可能な様式で前記ディスプレイ(110)上で前記プロセッサ(70)によって目に見えるように区別される、
ユーザ制御デバイス(130)から入力を受け取り、前記デジタル画像データからの医学的用量調製画像データの取り込みを開始すること、但し、前記医学的用量調製画像データは前記領域の少なくとも一部分に対応する画像データを含む、および
前記医学的用量調製画像データをメモリ(120)に格納すること
を含む方法。
24.前記デジタル画像データがビデオ・ストリーム・データを含む、23に記載の方法。
25.前記識別することが前記ビデオ・データ・ストリームのリフレッシュ・レートよりも迅速に行われる、23または24に記載の方法。
26.1から22のいずれか一項に記載のシステム(30)を利用する、23から25のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的用量調製を管理するためのシステムであって、
医学的用量調製ステージング領域を包含する撮像野を有する撮像デバイスであって、前記医学的用量調製ステージング領域を含む前記撮像野のデジタル画像データを出力するように動作可能な撮像デバイスと、
ディスプレイデバイスと、
前記撮像デバイスおよび前記ディスプレイデバイスと通信動作可能なプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
前記撮像デバイスから、前記撮像野のデジタル画像データを受信し、
前記デジタル画像データを処理することにより、前記医学的用量調製ステージング領域内に配置される少なくとも一つの薬剤容器に対応する、前記撮像野内の関心領域を識別し、
前記撮像野の対応する画像に関して、前記関心領域を視覚的に区別し、
視覚的に区別された前記関心領域を含んだ、前記撮像野の前記対応する画像を、前記ディスプレイデバイスに表示させる
ように構成される
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
視覚的に区別された前記関心領域を含んだ、前記撮像野の前記対応する画像から、医学的用量調製画像データの取り込みを開始するための、前記プロセッサと通信動作可能なユーザ制御デバイス
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザ制御デバイスが、フット・ペダル、ボタン、タッチ・スクリーン、マウス及びキーボードのうちの一つ以上を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記医学的用量調製画像データが、前記ディスプレイデバイス上の前記対応する画像に対して視覚的に区別され、且つ、前記撮像野の別の部分に対応する他の画像データを除外した、前記関心領域の少なくとも一部分に対応する画像データを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記撮像野の前記除外された部分が前記関心領域の外部にある、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記医学的用量調製画像データを受け取り格納するために、前記プロセッサと通信動作可能なメモリ
をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
医学的用量命令を履行することに関連して、ラベルを印刷するプリンタ
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ネットワーク・インタフェースをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記デジタル画像データがビデオ・データ・ストリームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記関心領域を識別するために前記デジタル画像データの所定のサブセットを解析するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記解析が、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットと、前記医学的用量調製ステージング領域内に薬剤容器を含まない前記医学的用量調製ステージング領域の背景画像の対応するサブセットとを比較することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記撮像デバイスが、複数の異なる位置に位置決め可能であり、前記背景画像が、前記複数の異なる位置に対応する複数の異なる背景画像の対応する一つである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記デジタル画像データの前記所定のサブセットが、前記デジタル画像データの複数のピクセルに対応し、且つ前記複数のピクセルが、少なくとも第1の方向に前記デジタル画像データにわたって延在する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のピクセルが、前記第1の方向に垂直な第2の方向に前記デジタル画像データにわたって延在する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記関心領域が、境界区域によって画定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記境界区域が複数の縁によって画定され、且つ、前記複数の縁の各々が、前記デジタル画像データの所定のサブセットの識別された場所における前記デジタル画像データと背景画像の閾値差分に少なくとも部分的に基づいて前記識別された場所に配置される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記デジタル画像データの前記所定のサブセットの各ピクセルの、および前記背景画像の前記対応する所定のサブセットの各ピクセルの強度データを計算するように動作可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記強度データが、周波数領域処理を使用して処理される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記強度データが、ハイ・パス・フィルタリングおよびロー・パス・フィルタリングのうちの少なくとも1つを経験する、請求項17に記載のシステム。