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特開2023-181222紫外線をスクリーニング除去するための多層材料、それを含む組成物、それを使用するケラチン材料の処理プロセス、及び材料の調製プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181222
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】紫外線をスクリーニング除去するための多層材料、それを含む組成物、それを使用するケラチン材料の処理プロセス、及び材料の調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/14 20060101AFI20231214BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231214BHJP
   B32B 9/00 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
B32B5/14
B32B7/023
B32B9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174370
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2021566036の分割
【原出願日】2020-05-06
(31)【優先権主張番号】1904826
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・カルドゾ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・モントー-ランベール
(57)【要約】
【課題】製造費用を削減するために、特にUVA及びUVB領域における日焼け止め特性を改善すると同時に、少ない層を含む新規材料も求められる。加えて、光放射の一フラクション、すなわち、UV及び光放射の波長範囲、例えばUVA及びUVBなどの標的の光線のみをスクリーニング除去することができるように設計された、UV線をスクリーニング除去する材料を提供することが必要とされている。
【解決手段】本発明は、i)多層材料、ii)前記多層材料の調製プロセス、iii)1つ又はそれ以上の多層材料を含む化粧用組成物、iv)ケラチン材料、特に皮膚などのヒトケラチン材料を処理するためのプロセス、v)紫外(UV)線をスクリーニング除去するための多層材料の使用に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
奇数Nの層を有する多層材料であって、
・少なくとも3つの層を含み、そのそれぞれの層は、材料A、又はAとは異なる材料Bからなり、前記連続層A及びBは交互に換えられて、2つの隣接する層は異なる屈折指数を有し;
・それぞれの層の厚さは以下の数式(I):[x/y/(αx/y)/x]
に従い、式(I)中、
xは、内層及び外層の厚さであり;
yは、内層αx又は外層xに隣接する層の厚さであり;
αは整数又は分数であり、且つα=2±0~15%、好ましくはα=2±0~10%、より好ましくはα=2±0~5%であり、
中間奇数層(αx)は、前記外層xの厚さの2倍±0~15%の厚さを有し;且つ
aは、a=(N-3)/2のように、交互の層Nの数に関連した0以上の整数を表し;
以下のことが理解される:
・好ましくは、xはyとは異なる厚さを有し;
・いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
・いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する、多層材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、i)その連続層が交互に換えられ、且つ隣接層が異なる屈折率を有する、少なくとも3層を含む奇数の層を有する特定の構造の多層材料、ii)前記多層材料の調製プロセス、iii)1つ又はそれ以上の多層材料を含む組成物、特に化粧用組成物、iv)少なくとも前記多層材料i)又は前記組成物iii)を使用して、ケラチン材料、特に皮膚などのヒトケラチン材料を処理するためのプロセス、v)紫外(UV)線をスクリーニング除去するための多層材料の使用である。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、様々な種類のUVスクリーニング剤、例えば二酸化チタン(TiO2)及び酸化亜鉛(ZnO)などの鉱物スクリーニング剤としても知られる無機UVスクリーニング剤、並びにベンゾフェノン誘導体及びケイ皮酸誘導体などの有機UVスクリーニング剤が知られている。
【0003】
毎日の日焼け止め及び光保護の市場において、鉱物UVスクリーニング剤を使用する光保護は、非常に重要であり、世界中の消費者が期待している。多くの消費者は、鉱物日焼け止めが敏感肌に関してより安全であると考える。TiO及びZnOは、鉱物光保護製品中で最も共通の鉱物日焼け止め剤である。しかしながら、TiO及びZnOの有効性は、特にUV-A波長範囲(320nm~400nm)に限定される。加えて、高い日焼け止め指数(SPF)値(例えば50)を達成するためには多量のUVスクリーニング剤が必要であり、このことによって、皮膚への適用後に実質的な白色化効果及び/又は不快感が誘導される。したがって、特にUVA範囲でUV線を効率的に遮断することができ(すなわち、低いUV線透過材料)、且つ可視光に対して高い透明度を有し(すなわち、400~780nmの光線の高い透過を有する材料)、且つ適用後に白色化しない(無機)有機材料が求められる。
【0004】
化粧品中で使用されるUVスクリーニング剤の中で、多層粒子を使用することは既知の実施である。例えば、(特許文献1)は、紫外線からの保護のための多層顔料を記載する。(特許文献2)は、基材上でUV線を反射する顔料の化粧品用途を記載する。(特許文献3)は、製薬及び食品製品を着色するために、基材をベースとし、且つプレート型の鉱物をベースとする多層顔料の使用を記載する。(特許文献4)は、20nm~2μmの厚さを有する透明基材フレーク上でのTiOのコーティングをベースとする干渉顔料を記載する。
【0005】
加えて、(特許文献5)は、UV線からの保護のための層化干渉による干渉顔料を記載する。これは、高い屈折率を有する金属酸化物及び低い屈折率を有する金属酸化物の少なくとも3つの層を含む交互の層によって被覆された層状又は平坦な顔料を含む。(特許文献6)は、基材を含まない多層薄膜を製造するためのプロセスを記載する。
【0006】
(特許文献7)は、高い屈折率及び低い屈折率を有する材料の連続交互層からなるプレート形又は層状の基材を含む、1μmの全厚さを有する多層干渉顔料を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本特許第3986304号公報
【特許文献2】国際公開第2014/150846A1号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2003/063616A1号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0176850A1号明細書
【特許文献5】特開2003/171575号公報
【特許文献6】特開2014-811号公報
【特許文献7】米国特許第2006/0027140号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらのスクリーニング剤は、UV線をスクリーニング除去する観点から必ずしも満足でない。それらは特に、非常に狭いフィルトレーションフロント、及びそれらを高度に透明にする可視波長における高透過率領域を有さない。すなわち、それらは低透過率領域(UV)及び高透過率領域の間で「急勾配」フィルトレーションフロントを有さない。
【0009】
製造費用を削減するために、特にUVA及びUVB領域における日焼け止め特性を改善すると同時に、少ない層を含む新規材料も求められる。
【0010】
加えて、光放射の一フラクション、すなわち、UV及び光放射の波長範囲、例えばUVA及びUVBなどの標的の光線のみをスクリーニング除去することができるように設計された、UV線をスクリーニング除去する材料を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的の1つは、本質的に及び/又は任意選択的にその実施後にUV線をスクリーニング徐去するための材料であって、UV線のみをスクリーニング除去することができる材料を提供することである。
【0012】
このために、材料は本質的に非常に狭いフィルトレーションフロント及び/又はその実施後に非常に狭いフィルトレーションフロントを有し、特に「カットオフ」以上の可視波長に関して高い透過率範囲を有する。
【0013】
したがって、本発明の目的の1つは、本質的に及び/又は任意選択的にその実施後にUV線のみをスクリーニング除去することが可能である、UV線をスクリーニング除去するための材料を提供することである。
【0014】
本発明の材料が、注目すべき光学特性として、UV及び可視範囲の間の狭いフィルトレーションフロント並びに可視範囲における高い透過率を特に有する、すなわち、「急勾配」の、すなわち、2.5×10-3nm-1より大きい、好ましくは3×10-3nm-1より大きい、より好ましくは4×10-3nm-1より大きい透過率対波長勾配を有するということが発見された。
【0015】
本発明の対象は、ケラチン材料、特に皮膚を、特にUVA範囲の紫外線から保護するために、UV線をスクリーニング除去するための少なくとも1つの多層材料の使用でもある。
【0016】
本発明は、組成物、特に抗日光ケア、スキンケア、ヘアケア及びメイクのための化粧用組成物にも関する。
【0017】
本発明は、多層材料自体にも関する。
【0018】
本発明は、多層材料を調製する特定の方法にも関する。本発明は、前記多層材料を皮膚などのケラチン材料に適用するためのプロセスにも関する。
【0019】
本発明の多層材料は、高いUVスクリーニング特性、可視範囲(400~780nm)における特別な透明度、並びに本質的に及び/又は様々な適用モードにおけるその使用の間、十分画定されたカットオフによるUV保護を提供する。
【0020】
本発明のそのような多層材料の使用によって、可視範囲(400nm~780nm)における良好な透明度を維持すると同時に、UVA(320nm~400nm)、特に長UVA(340nm~400nm)を良好にスクリーニング除去することが可能となる。さらにまた、前記多層材料の使用は、UV-B光線(280~320nm)の良好なスクリーニングも可能にし得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的に関して、別段の指定がない限り、
・「フィルトレーションフロント」という用語は、透過率の最低値及び最高値の間の遷移波長範囲(カットオフ遷移範囲)に相当し;「カットオフ波長」という用語(λc、カットオフ)は、フィルトレーションフロントの中心における波長値を意味し;
・「透過率対波長勾配」という用語は、以下の通りに定義される。
【数1】
【0022】
【表1】
【0023】
・「少なくとも1つ」という用語は、「1つ又はそれ以上」と等しく;且つ
・「包括的」という用語は、濃度の範囲に関して、範囲の限度が定義された間隔に含まれることを意味する。
・「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を含む、線形又は分枝状、飽和炭化水素ベースの基を意味し;
・「アルキレン」という用語は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を含む、線形又は分枝状、飽和二価炭化水素ベースの基を意味し;
・「アルケニル」という用語は、2~20個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子及び1~3個の共役又は非共役不飽和を含む、線形又は分枝状、不飽和炭化水素ベースの基を意味し;
・「アリール」という用語は、環の少なくとも1つが芳香族であり、且つ5~10個の炭素原子を含む、フェニルなどの1つ又はそれ以上の環を含む、環式不飽和及び芳香族炭素ベースの基を意味し;
「アリーレン」という用語は、以前に定義されたが、二価であるアリール基を意味し;
・「(無機)有機」という用語は、有機又は無機、好ましくは無機であることを意味し;
・「無機」及び「鉱物」という用語は、区別なく使用される。
【0024】
多層材料
本発明の第1の対象は、奇数Nの層を有する多層材料であって、
・少なくとも3つの層(3以上のN)を含み、そのそれぞれの層は、材料A、又はAとは異なる材料Bからなり、前記連続層A及びBは交互に換えられて、2つの隣接する層は異なる屈折指数を有し;
・それぞれの層の厚さは以下の数式(I):[x/y/(αx/y)/x]
に従い、式(I)中、
xは、内層及び外層の厚さであり;
yは、内層αx又は外層xに隣接する層の厚さであり;
αは整数又は分数であり、且つα=2±0~15%、好ましくはα=2±0~10%、より好ましくはα=2±0~5%であり、
中間奇数層(αx)は、前記外層xの厚さの2倍±0~15%の厚さを有し;且つ
aは、a=(N-3)/2のように、交互の層Nの数に関連した0以上の整数を表し;
以下のことは理解される:
好ましくは、xはyとは異なる厚さであり;
いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0025】
重ね合わせられた交互層の化学組成
材料の重ね合わせられた層を構成する化合物の形態:
多層材料は、互いに異なる層の重ね合せであり、それぞれの層は、材料A、又はAとは異なる材料Bからなり、前記連続層は交互に換えられ、そして2つの隣接する層は異なる屈折指数を有する。したがって、多層化合物が3層を含む場合、Aは外層を構成し得、そして多層材料は積層A/B/Aによって表されるか、或いはBは外層を構成し得、そして多層材料は積層B/A/Bによって表される。同様に、多層化合物が5層を含む場合、Aは外層を構成し得、そして多層材料は積層A/B/A/B/Aによって表されるか、或いはBは外層を構成し得、そして多層材料は積層B/A/B/A/Bによって表される。
【0026】
化合物A及びBは、異なる屈折指数を有する(無機)有機材料である。好ましくは、材料Aと材料Bとの間の屈折率の差異は少なくとも0.3であり;特にこの差異は、0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.5~1.8、さらにより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3である。
【0027】
本発明の好ましい形態によると、材料A及びBは無機材料である。
【0028】
一実施形態によると、外層は、隣接する層より低い屈折率を有する層である。
【0029】
別の実施形態によると、外層は、隣接する層より高い屈折率を有する。
【0030】
それぞれの層の厚さは、特に5~500nm、より好ましくは10~200nmである。
【0031】
種々の層の積層は、それぞれの層の厚さが、以前に定義される数式(I)に従うようなものである。
【0032】
(無機)有機材料A(又は、それぞれ、B)は、単一純粋化合物から、又は無機化合物の混合物からなるか、或いは有機及び無機化合物の混合物から、或いは有機化合物の混合物からなり得、A及びBが上記の異なる屈折指数を有することは理解される。
【0033】
本発明の特定の形態によると、A及びBは異なり、且つA及びBは、独立して、純粋な無機化合物から、又は無機化合物の混合物からなり、A及びBが上記の異なる屈折指数を有することは理解される。
【0034】
本発明の好ましい変形によると、A及びBは異なり、且つA及びBは、純粋な無機化合物からなり、A及びBが上記の異なる屈折指数を有することは理解される。
【0035】
材料A及びBが、純粋な形態で、又は混合物として無機材料からなる場合、A及びBを構成するこれらの無機化合物は、以下から特に選択される:ゲルマニウム(Ge)、ガリウムアンチモナイド(GaSb)、テルル(Te)、ヒ化インジウム(InAs)、ケイ素(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)、グラファイト(C)、クロム(Cr)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫酸亜鉛(ZnSO)、バナジウム(V)、セレン化ヒ素(AsSe)、ルチル二酸化チタン(TiO)、二セレン化銅アルミニウム(CuAlSe)、ペロブスカイトチタン酸カルシウム(CaTiO)、硫化スズ(SnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、アナタース二酸化チタン(TiO)、酸化セリウム(CeO2)、窒化ガリウム(GaN)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、特に真空堆積された二酸化チタン(TiO)、ダイヤモンド(C)、酸化ニオブ(Nb)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ソル-ゲル二酸化チタン(TiO)、硫化亜鉛(ZnS)、窒化ケイ素(SiN)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、コランダム酸化アルミニウム又はコランダム(AlO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、ペリクレース酸化マグネシウム(MgO)、ポリスルホン、フッ化ナトリウムアルミニウム(NaAlF)、フッ化鉛(PbF)、マイカ、ヒ化アルミニウム(AlAs)、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化ナトリウム(NaF)、シリカ(SiO)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カリウム(KF)、真空堆積シリカ(SiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ化ストロンチウム(SrF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF)、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)、ビスマスフェライト(BiFeO)、窒化ホウ素(NB)及び(ビ)カーボネート、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)。
【0036】
本発明の1つの興味深い実施形態によって、A及びBを構成する化合物は、より特に、TiO+SiO、又はTiO+MgF、又はTiO+BaF、TiO+MgO、TiO+CaCO、Nb+SiO、又はNb+MgF、又はNb+BaF、Nb+MgO、Nb+CaCO、ZnO+MgF、ZnS+MgFから選択される。
【0037】
A又はBが有機化合物を含有する場合、前記化合物は、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ塩化ビニル(PVC)、特に6/6型のポリアミドナイロン、スチレン-ブタジエンコポリマー、II型ポリアミドナイロン、ポリメタクリル酸メチルなどのマルチアクリル系ポリマー、イオノマー、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリプロピレン、硝酸セルロース、ポリホルムアルデヒドなどのアセタールホモポリマー、メチルペンテンポリマー、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フルオロカーボン又はポリフッ化ビニリデン(FEP)、好ましくはポリスチレンから選択される。
【0038】
本発明の好ましい形態によると、A及びBは純粋な無機材料からなり;A及びBを構成するこれらの無機化合物は、以下から特に選択される:アナターゼ二酸化チタン(TiO)、特に真空堆積された二酸化チタン(TiO)、ソル-ゲル二酸化チタン(TiO)、シリカ(SiO)、真空堆積シリカ(SiO)。
【0039】
本発明の別の実施形態によると、本発明の多層材料は、無機材料A及び有機材料Bの混合物、又は有機材料A及び無機材料Bの混合物、例えばAのSiO及びBのPS又はAのPS及びBのSiOの混合物である。特にSiO(60~99%、好ましくは80%~95%、例えば90%の質量範囲で)、ポリスチレン(PS)(1~40%、好ましくは5%~20%、例えば10%の質量範囲で)。
【0040】
材料の重ね合わせられた層を構成する化合物の屈折率
本発明の多層材料は、奇数(N)の層を有し、且つ少なくとも3つの層を含み、その連続層は交互に換えられ、且つその中の層は、好ましくは少なくとも0.3異なる屈折率を有する(無機)有機化合物からなる。
【0041】
重ね合わせられた層の化学組成は、以下の様式で表され得る:
x/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x又はx/yαx/y/αx/y/αx/y/x又はx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x(x、yは、異なる屈折率を有する層であり、それぞれが純粋な(無機)有機化合物、又は(無機)有機化合物の混合物、より特に純粋な無機化合物からなる)。全ての層xは互いに同一の屈折率を有し、そして全ての層yは互いに同一の屈折率を有し、αxは上記で定義された通りである。
【0042】
特定の実施形態によると、隣接する層は、1つの層が、ある屈折率を有する(無機)有機化合物からなり、そして他の隣接する層は、より低い屈折率を有する(無機)有機化合物からなる、すなわち、層の屈折率値が他の隣接する層の屈折率より少なくとも0.3高いようなものである。
【0043】
特に、隣接する層の間の屈折率の差異は、包括的に0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.5~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はより好ましくは0.7~1.3である。
【0044】
材料の重ね合わせられた層を構成する(無機)有機化合物及び屈折指数の例のリスト:
本発明の特定の実施形態によると、高い屈折率(すなわち1.7以上の屈折率)を有する化合物は、特に無機化合物であり、好ましくは、ゲルマニウム(式:Ge;屈折率:4.0~5.0)、ガリウムアンチモナイド(GaSb;4.5~5.0)、テルル(Te;4.6)、ヒ化インジウム(InAs;4.0)、ケイ素(Si;3.97)、ヒ化ガリウム(GaAs;3.53)、リン化インジウム(InP;3.5)、リン化ガリウム(GaP;3.31)、グラファイト(C;3.13)、クロム(Cr;3.0)、テルル化亜鉛、硫酸亜鉛(ZnSO;3.0)、(ZnTe;3.0)、バナジウム(V;3)、硫酸亜鉛(ZnSO;2.5~3.0)、セレン化ヒ素(AsSe;2.8)、ルチル二酸化チタン(TiO;2.77)、CuAlSe(2.75)、ペロブスカイトチタン酸カルシウム(CaTiO;2.74)、硫化スズ(SnS;2.6)、セレン化亜鉛(ZnSe;2.6)、アナターゼ二酸化チタン(TiO;2.55)、酸化セリウム(CeO;2.53)、窒化ガリウム(GaN;2.5)、タングステン(W;2.5)、マンガン(Mn;2.5)、特に真空堆積された二酸化チタン(TiO;2.5)、ダイヤモンド(2.42)、酸化ニオブ(Nb;2.4)、五酸化ニオブ(Nb;2.4)、酸化ジルコニウム(ZrO;2.36)、ソル-ゲル二酸化チタン(TiO;2.36)、硫化亜鉛(ZnS;2.3)、窒化ケイ素(SiN;2.1)、酸化亜鉛(ZnO;2.01)、アルミニウム(Al;2.0)、酸化ハフニウム(HfO;1.9~2.0)、コランダム酸化アルミニウム又はコランダム(Al;1.76)、酸化アルミニウム(Al;1.75)、酸化イットリウム(Y;1.75)、ペリクレース酸化マグネシウム(MgO;1.74)、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)、ビスマスフェライト(BiFeO)及び窒化ホウ素(NB)から選択される。
【0045】
高い屈折率を有する2種以上の化合物は、混合物、好ましくは2~5種の化合物、特に2種の混合物として使用され得る。
【0046】
好ましくは、高い屈折率を有する化合物は、純粋なものが使用される。
【0047】
本発明の特定の実施形態によると、低い屈折率、すなわち1.7未満の屈折率を有する無機化合物は、ポリスルホン(1.63)、フッ化ナトリウムアルミニウム(NaAlF;1.6)、フッ化鉛(PbF;1.6)、マイカ(1.56)、ヒ化アルミニウム(AlAs;1.56)、塩化ナトリウム(NaCl;1.54)、フッ化ナトリウム(NaF;1.5)、シリカ(SiO;1.5)、フッ化バリウム(BaF;1.5)、フッ化カリウム(KF;1.5)、真空堆積シリカ(SiO;1.46)、酸化インジウムスズ(ITO;1.46)、フッ化リチウム(LiF;1.45)、フッ化ストロンチウム(SrF;1.43)、フッ化カルシウム(CaF;1.43)、フッ化リチウム(LiF;1.39)、フッ化マグネシウム(MgF;1.38)から選択され、そして有機化合物は、ポリエーテルイミド(PEI;1.6)、ポリスチレン(PS;1.6)、PKFE(1.6)、ポリカーボネート(1.58)、尿素ホルムアルデヒド(1.54~1.58)、スチレン-アクリロニトリルコポリマー(1.56)、ポリエーテルスルホン(PES;1.55)、ポリ塩化ビニル(PVC,1.55)、6/6型ポリアミドナイロン(1.53)、スチレンブタジエン(1.52)、II型ポリアミドナイロン(1.52)、マルチアクリル酸ポリマー(1.52)、イオノマー(1.51)、ポリエチレン(1.5)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA.1.5)、ポリブチレン(1.50)、酢酸セルロース(1.46-1.50)、ポリアロマー(PA;1.49)、ポリプロピレン(1.49)、硝酸セルロース(1.49)、アセタールホモポリマー(1.48)、メチルペンテンポリマー(1.48)、エチルセルロース(1.47)、酢酸酪酸セルロース(1.46)、プロピオン酸セルロース(1.46)、酢酸セルロース(1.46)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE;1.42)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;1.35)、フルオロカーボン又はポリフッ化ビニリデン(FEP;1,34)及び(ビ)カーボネート、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)から選択される。
【0048】
低い屈折率を有する2種以上の化合物は、好ましくは2~5の化合物、より好ましくは2種の混合物として使用され得る。
【0049】
本発明による材料は、好ましくは金属酸化物、ハロゲン化物及びカーボネート、より特に元素周期表の第IIA列、第IIIB列、第IVB列及び第VIIB列の金属の金属酸化物及びカーボネートから選択され、xより低い屈折率を有する化合物からなる層yを含有し、より特に低い屈折率を有する金属酸化物又はカーボネートは、CaCO、SiO、MgO及びITO、並びにフッ化物、特にNaAlF、MgF、PbF、CaF、KF、LiF、BaF、NaF及びSrFから選択され、好ましくはBaF、MgF、CaCO、ITO、SiO及びMgOから、より好ましくはCaCO、SiO又はMgO、さらにより好ましくはMgF、CaCO、SiOから選択される。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によると、高い屈折率を有する化合物は、層yがxより高い屈折率を有する化合物、特に無機化合物からなるものから選択され、好ましくは、金属酸化物、特に元素周期表の第IIIA列、第IVA列、第VA列、第IIIB列及びランタニドの金属の金属酸化物から選択され、より特に以下の金属酸化物:TiO、CeO、Nb、Nb、HfO、Al、Y及びZrO、より好ましくはNb、TiO、CeO、なおより好ましくはTiO、Nbから選択される。
【0051】
好ましくは、低い屈折率を有する化合物は、純粋なものが使用される。本発明の好ましい実施形態によると、高い屈折率を有する化合物は、金属酸化物、特に元素周期表の第IIIA列、第IVA列、第VA列及び第IIIB列並びにランタニドの金属の金属酸化物から選択され、より特に以下の金属酸化物:TiO、CeO、Nb、Nb、HfO、Al、Y及びZrO、より特にTiO、Nb、CeO、好ましくはTiO、Nb、より好ましくはTiO、CeO、なおより好ましくはTiOから選択される。
【0052】
本発明の有利な実施形態によると、低い屈折率を有する化合物は、金属酸化物及びハロゲン化物、より特に元素周期表の第IIA列、第IVB列及び第VIIB列の金属の金属酸化物から選択され、より特に、低い屈折率を有する金属酸化物は、SiO、MgO及びITO、並びにフッ化物、特にNaAlF、MgF、PbF、CaF、KF、LiF、BaF、NaF及びSrFから選択され、好ましくはITO、SiO及びMgO、より好ましくはSiO又はMgO、なおより好ましくはSiOから選択される。
【0053】
本発明のさらに別の特定の実施形態によると、隣接する層は高い屈折率を有し、そして隣接する層の間の屈折率の差異は、包括的に0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.5~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3である。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態によると、隣接する層は低い屈折率を有し、そして隣接する層の間の屈折率の差異は、包括的に0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.5~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3である。
【0055】
材料の重ね合わせられた層の数N:
本発明の多層材料は、少なくとも3つの層を含む(Nは3以上である)。本発明の特定のモードによると、層Nの数は、3~17、より特に3~13、なおより特に3~9の間の奇数である。
【0056】
材料の層の厚さ:
本発明の材料の層と層の厚さとの関係
本発明の多層材料は、奇数Nの層を有する材料であって、
・少なくとも3つの層(3以上のN)を含み、そのそれぞれの層は、材料A、又はAとは異なる材料Bからなり、前記連続層A及びBは交互に換えられて、2つの隣接する層は異なる屈折指数を有し;
・それぞれの層の厚さは以下の数式(I):[x/y/(αx/y)/x]
に従い、式(I)中、
xは、内層及び外層の厚さであり;
yは、内層αx又は外層xに隣接する層の厚さであり;
αは整数又は分数であり、且つα=2±0~15%、好ましくはα=2±0~10%、より好ましくはα=2±0~5%であり、
中間奇数層(αx)は、前記外層xの厚さの2倍±0~15%の厚さを有し;且つ
aは、a=(N-3)/2のように、交互の層Nの数に関連した0以上の整数を表し;
以下のことは理解される:
好ましくは、xはyとは異なる厚さであり;
いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0057】
上記の通り、最初及び最後の層は、いずれもBよりも高い屈折率を有する材料A、又はBよりも低い屈折率を有する材料Aからなり得る。
【0058】
好ましくは、屈折率が高いほど、連続厚x又はyの厚さは低くなり、またその逆に、屈折率が低いほど、厚x又はyの厚さは高い。
【0059】
好ましくは、厚さxは厚さyより少ない。
【0060】
本発明の特定の実施形態によると、本発明の多層材料のそれぞれの層の最大厚さは120nm;より特に、それぞれの層の最大厚さは100nmである。好ましくは、厚さxはyであり、5~60nmであり、より好ましくは10~50nm、さらにより好ましくは20~40nmである。
【0061】
本発明の有利な変形によると、数式(I)において、「a」は0以上であり、且つ0~7の整数である(0≦a≦7;したがって、3≦N≦17)。より好ましくは、「a」は0~5であり(0≦a≦5;したがって、3≦N≦13)、さらにより好ましくは、「a」は0~3である(0≦a≦3;したがって、3≦N≦9)。
【0062】
好ましくは、本発明の多層材料は、以下の通り3~17の層の数Nを有する。
【0063】
N=3である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/x]
となる。
【0064】
N=5である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/x]
となる。
【0065】
N=7である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/αx/y/x]
となる。
【0066】
N=9である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/αx/y/αx/y/x]
となる。
【0067】
N=11である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x]
となる。
【0068】
N=13である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x]
となる。
【0069】
N=15である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x]
となる。
【0070】
N=17である特定の場合、発展された数式(I)は以下:
[x/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/αx/y/x]
となる。
【0071】
それぞれの特定の場合に関して、以下のことが理解される:
好ましくは、xはyとは異なる厚さであり;
いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
・いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0072】
本発明の好ましい形によると、本発明の多層材料は、以下のようなものである:
・多層材料の層の数Nが、3、5、7、9、13及び17に等しいようなものであり、且つ/又は
・前記多層材料の交互層のそれぞれを構成するA及びBが、アナターゼ二酸化チタン(TiO)、特に真空堆積された二酸化チタン(TiO)、ソル-ゲル二酸化チタン(TiO)、シリカ(SiO)、真空堆積シリカ(SiO)から選択される純粋な無機材料であり、且つ/又は
・材料A及び材料Bの間の屈折率の差異が0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.4~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3であるように、2つの隣接する層が異なる屈折率を有し、且つ/又は
・材料A及び材料Bの層のそれぞれの厚さが100nm未満であり、且つ
・それぞれの層の厚さが、以前に定義された数式(I)に従う。
【0073】
本発明のこのような好ましい形態の第1の実施形態によると、外部層は、隣接する層より低い屈折率を有する層である。
【0074】
本発明のこのような好ましい形態の第2の実施形態によると、外部層は、隣接する層より高い屈折率を有する。
【0075】
特定の実施形態によると、Nが、3、5、7、9、13及び17と等しい本発明の多層材料の化学組成及び厚さは以下の表に記載されており、それぞれの層の厚さは100nm未満である。これらの好ましい実施形態において、特に無機である高い屈折率を有する(無機)有機化合物はTiOであり、そしてそれも特に無機である、より低い屈折率を有する(無機)有機化合物はSiOであり、それぞれの屈折率は440nmにおいて2.5及び1.5である。好ましくは、本発明の多層材料の外層は、最も高い屈折率を有する(無機)有機化合物、特に無機化合物からなる。
【0076】
本発明の特定の実施形態によると、多層材料は3~17の層を含み、そしてそれは以下のようなものである。
【0077】
【表2】
【0078】
以下のことは理解される:
・好ましくは、xはyとは異なる厚さを有し;
・いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
・いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0079】
本発明の特定の実施形態によると、多層材料は以下のようなものである。
・A及びBは、隣接する層の無機又は有機材料、好ましくは無機材料であり、Aは材料Bよりも高い屈折率を有し、隣接する層の間の屈折率の差異は、好ましくは包括的に0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.5~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3であり、且つ
・x及びyは、x<yであり、好ましくは、それらは、5nm≦x≦40nm、及び10nm≦y≦50nm、より好ましくは10nm≦x≦30nm、及び20nm≦y≦40nmであるような材料の層の厚さであり、
互いの間の層x、互いの間のαx及び互いの間のyの厚さは同一であり、且つαは以前に定義される通りであることは理解される。
【0080】
本発明の好ましい実施形態によると、多層材料は3~17の層を含み、そしてそれは以下のようなものである。
【0081】
【表3】
【0082】
x及びyが、x<yであり、好ましくは5nm≦x≦40nm、及び10nm≦y≦50nm、より好ましくは10nm≦x≦30nm、及び20nm≦y≦40nm及びx<yであるような多層材料であって、
以下のことが理解される:
・好ましくは、xはyとは異なる厚さを有し;
・互いの間の層x、互いの間のαx及び互いの間のyの厚さは同一であり、且つαは以前に定義される通りであり;
・いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
・いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0083】
本発明のさらにより好ましい実施形態によると、多層材料は3~17の層を含み、そしてそれは以下のようなものである。
【0084】
【表4】
【0085】
以下のことが理解される:
・いくつかの層が厚さ21nmである場合、これは、それぞれの層が、厚さ21nm±0~3.15nm、好ましくは21nm±0~2.1nm、より好ましくは21nm±0~1.05nmを有することを意味し;
・いくつかの層が厚さ37nmである場合、これは、それぞれの層が、厚さ37nm±0~5.55nm、好ましくは37nm±0~3.7nm、より好ましくは37nm±0~1.85nmを有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さ42nmである場合、これは、それぞれの層が、厚さ42nm±0~6.3nm、好ましくは42nm±0~4.2nm、より好ましくは42nm±0~2.1nmを有することを意味する。
【0086】
本発明の別の特定の実施形態によると、多層材料は3~17の層を含み、そしてそれは以下のようなものである。
【0087】
【表5】
【0088】
多層材料であって、
・A及びBは、隣接する層の無機又は有機材料、好ましくは無機材料であり、AはBよりも高い屈折率を有し、隣接する層の間の屈折率の差異は、好ましくは包括的に0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.5~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3であり、且つ
・x及びyは、x<y、好ましくは、41nm≦x≦200nm、及び51nm≦y≦250nm、並びにx<y、より好ましくは80nm≦x≦120nm、及び90nm≦y≦130nmであるような材料の層の厚さであり、
以下のことが理解される:
・好ましくは、xはyとは異なる厚さであり;互いの間の層x、互いの間のαx及び互いの間のyの厚さは同一であり、且つαは以前に定義される通りであり;
・いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
・いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0089】
本発明の好ましい実施形態によると、多層材料は3~17の層を含み、そしてそれは以下のようなものである。
【0090】
【表6】
【0091】
x及びyが、x<yであり、好ましくは41nm≦x≦200nm、及び51nm≦y≦250nm、並びにx<y、より好ましくは80nm≦x≦120nm、及び90nm≦y≦130nmであり、且つαは以前に定義される通りであるような多層材料であって、
以下のことが理解される:
・好ましくは、xは、yとは異なる厚さであり、いくつかの層が厚さxである場合、これは、それぞれの層が、厚さx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;
・いくつかの層が厚さyである場合、これは、それぞれの層が、厚さy±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さαxである場合、これは、それぞれの層が、厚さαx±0~15%、好ましくは±0~10%、より好ましくは±0~5%を有することを意味する。
【0092】
本発明のさらにより好ましい実施形態によると、多層材料は3~17の層を含み、そしてそれは以下のようなものである。
【0093】
【表7】
【0094】
以下のことが理解される:
・いくつかの層が厚さ105nmである場合、これは、それぞれの層が、厚さ105nm±0~15.75nm、好ましくは105nm±0~10.5nm、より好ましくは105nm±0~5.25nmを有することを意味し;
・いくつかの層が厚さ92nmである場合、これは、それぞれの層が、厚さ92nm±0~13.8nm、好ましくは92nm±0~9.2nm、より好ましくは92nm±0~4.6nmを有することを意味し;且つ
・いくつかの層が厚さ184nmである場合、これは、それぞれの層が、厚さ184nm±0~27.6nm、好ましくは184nm±0~18.4nm、より好ましくは184nm±0~9.2nmを有することを意味する。
【0095】
これらの実施形態において、TiO及びSiOを使用することによって、特にUVA及び長UVA範囲におけるUVフィルトレーション、及び可視範囲における満足な透明度が特に得られる。
【0096】
多層材料の調製プロセス
本発明は、本発明の多層材料の調製プロセスにも関する。
このプロセスを実行する前に、
・(無機)有機材料A及びB、好ましくは無機材料は、材料A及びBのN交互層から構成されており、材料A及び材料Bの間の屈折率の差異が、0.3~2、好ましくは0.4~2、より好ましくは0.4~1.8、なおより好ましくは0.6~1.5、又はさらにより好ましくは0.7~1.3であるように選択され;
且つ
・層の厚さは、任意選択的に、得られる多層材料が、2.5.10-3nm-1より大きい、好ましくは3.10-3nm-1より大きい、より好ましくは4.10-3nm-1より大きい勾配によって特徴づけられる可能な限り狭いフィルトレーションフロントとともに、低い透過率及び可視範囲における高い透過率などの所望の任意選択的な特性を有するようにモデル化される。
【0097】
材料の屈折率及び層の厚さの関係:
使用される材料A及びBの屈折指数、並びにこれらの材料のそれぞれの層の厚さの関係は、UVA波長範囲(320nm~400nm)及び可視範囲(400nm~780nm)の間での透過の遷移プロファイルの「カットオフ位置」を定義する。
【0098】
光学特性を最適化するために層の厚さをモデル化することが可能である。
【0099】
光学特性(透過、反射、吸収)を有する本発明の多層材料の層を構成する(無機)有機化合物A及びBの厚さ及び屈折率を関連づける計算は、「トランスファマトリックス法(Transfer Matrix Method)」によって、又は「FDTDアルゴリズム」を使用して特に実行され得る。
【0100】
トランスファマトリックス法:
[1] P.Yeh,Optical Waves in Layered Media(Wiley,New York,1988)
[2] Z.Knittl,Optics of Thin Films:An Optical Multilayer Theory(Wiley,London,1976).
[3] O.S.Heavens,Optical Properties of Thin Films(Dover,New York,1965)
[4] M.Claudia Troparevsky et.al.,Transfer-matrix formalism for the calculation of optical response in multilayer systems:from coherent to incoherent interference.Optics Express vol.18,Issue 24,pp.24715-24721(2010)
【0101】
FDTD:
[1] Dennis M.Sullivan,Electromagnetic simulation using the FDTD method.New York:IEEE Press Series,(2000).
[2] Allen Taflove,Computational Electromagnetics:The Finite-Difference Time-Domain Method.Boston:ArtechHouse,(2005).
[3] Stephen D.Gedney,Introduction to the Finite-Difference Time-Domain(FDTD)Method for Electromagnetics.Morgan & Claypool publishers,(2011).
【0102】
又は例えば、以下のアドレスで入手可能である他の「オープンソース」アルゴリズムによって。
https://fr.mathworks.com/matlabcentral/fileexchange/47637-transmittance-and-reflectance-spectra-of-multilayered-dielectric-stack-using-transfer-transfer-transfer-mansx-method.
【0103】
例えば、以下の商業的なアルゴリズムが使用されてもよい。
http://www.lighttec.fr/optical-design-software/tfcalc/
https://www.lumerical.com/products/fdtd-solutions/
【0104】
本発明の特定の実施形態によると、
「カットオフ」位置を最適化するための反復計算は、上述のアルゴリズムと組み合わせて、又は組み合わせることなく、「粒子群アルゴリズム」又は「遺伝的アルゴリズム」などの最適化アルゴリズムによって実行される。
【0105】
これらのアルゴリズムのための参照は以下の通りである。
粒子群アルゴリズム:
[1] Kennedy,J.,and R.Eberhart.“Particle Swarm Optimization.” Proceedings of the IEEE International Conference on Neural Networks.Perth,Australia,1995,pp.1942-1945.
[2] Mezura-Montes,E.,and C.A.Coello Coello.“Constraint-handling in nature-inspired numerical optimization:Past,present and future.” Swarm and Evolutionary Computation.2011,pp.173-194.
[3] Pedersen,M.E.“Good Parameters for Particle Swarm Optimization.” Luxembourg:Hvass Laboratories,2010.
【0106】
遺伝的アルゴリズム:
[1] Goldberg,David E.,Genetic Algorithms in Search,Optimization & Machine Learning,Addison-Wesley,1989.
[2] A.R.Conn,N.I.M.Gould,and Ph.L.Toint.“A Globally Convergent Augmented Lagrangian Algorithm for Optimization with General Constraints and Simple Bounds”,SIAM Journal on Numerical Analysis,Volume 28,Number 2,pages 545-572,1991.
[3] A.R.Conn,N.I.M.Gould,and Ph.L.Toint.“A Globally Convergent Augmented Lagrangian Barrier Algorithm for Optimization with General Inequality Constraints and Simple Bounds”,Mathematics of Computation,Volume 66,Number 217,pages 261-288,1997.
【0107】
モデル化の間、N<9に関しての種々の層x及びyの厚さの最適化は、好ましくはN’層が少なくとも9層、より好ましくは少なくとも13層、さらにより好ましくは少なくとも15層を含む材料において実行される。
【0108】
本発明の特定の実施形態によると、最適化は、Nが少なくとも9であるN層を含む材料に対して実行される。その設計は、以下の原理に従って、上記の反復方法によって製造される。
1.N’>Nであり、N’が少なくとも9に等しい、より好ましくは13に等しい、さらにより好ましくは15に等しい、N’層を有する多層材料のモデル化;
2.N’に関しての値x及びyの最適化のための反復
N’=[x/y/(αx/y)a’/x]
a’は0以上の整数として定義され、αは以前に定義された通りである;
3.その後の最適化を用いずに、N層を有する多層材料の設計のためのN’の設計の間に得られるx、αx及びyの値を使用すること;
N=[x/y/(αx/y)/x]
aは0以上の整数及びa’>aとして定義され、αは以前に定義された通りである。
【0109】
N<9に関するこれらの構造指示に従うことによって、N層を有する保護剤のカットオフは、カットオフ範囲[380nm~420nm]から外れるであろう。これらの場合、多層材料の調製の特定のモードと、又は特定の適用モードとの組合せ、或いは2つの組合せとの組合せによって、範囲内のカットオフを確実にすることが可能である。
【0110】
反復アプローチは、多層材料に関して、及び当業者によってその分野で使用され、且つ知られている製造プロセスに関しての当業者の一般知識と組み合わせられてもよい。
【0111】
本発明の1つの対象は、上記で定義される多層材料の調製プロセスであって、以下のステップを含むプロセスである。
1.基材を調製し、そして任意選択的に、前記基材上へ少なくとも1つの犠牲層としても知られている非粘着性の層を基材に適用すること;
2.任意選択的に犠牲層によってコーティングされた基材上に、高い屈折率及びより低い屈折率、又は低い屈折率及びより高い屈折率の(無機)有機化合物からなる材料A及びBの奇数Nの交互層を堆積させること;
3.任意選択的に犠牲層によってコーティングされた基材から多層材料を分離すること;
4.必要に応じて、多層材料のサイズを調整し、多層材料粒子を得ること;並びに
5.任意選択的に後処理を実行し、任意選択的にそれに続いて(再)調整を実行すること。
【0112】
「基材」という用語は、異なる屈折率を有する(無機)有機材料A及びBの種々の連続層を適用するための支持体を意味し;この基材は、金属プレート、シート、織布又は不織布の形態であり得、又はガラス、天然若しくは非天然ポリマー化合物、例えばプラスチック、絶縁体又は(半)導体からなり得る。この基材は平坦又は非平坦であり得、丸形又は球形であり得るが、好ましくは平坦であり得る。
【0113】
本発明の一実施形態によると、奇数Nの層を有する多層材料は、基材も含有する。
【0114】
本発明の特定の実施形態によると、基材は、ガラス、ケイ素又は石英などの無機化合物、アルミニウムなどの金属、或いは好ましくは以下の有機ポリマーから選択される有機化合物からなる:ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(テレフタル酸エチレン)(ET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(PI)、ナイロン、セルロース及びその誘導体、例えば紙又は綿。特定の実施形態によると、基材は、ガラス又は石英、好ましくはガラスなどの無機物である。
【0115】
本発明の多層材料は、金属基板、半導体又は金属酸化物上でも製造され得る。
【0116】
好ましくは、本発明の多層材料の製造プロセスは、以下のステップを含む:1)基材を提供すること、2)基材上へ犠牲層を堆積させること、次いで、3)犠牲層上への(無機)有機材料A及びBの奇数の交互層の連続堆積、次いで、4)犠牲層を化学溶液に暴露することによって選択的に除去すること、並びに5)そのようにして得られた多層材料に任意選択的にそのサイズを調製するための処理、及び/又は後処理を受けさせること。
【0117】
本発明の別の実施形態によると、奇数Nの層を有する多層材料は、基材を含まない。
【0118】
本発明の特定の実施形態によると、多層材料の調製プロセスは、犠牲層としても知られる非粘着性層を含む。
【0119】
プロセスが犠牲層又は非粘着性の層の適用を含む場合、基材は、前記犠牲層又は非粘着性の層に対して不活性でなければならない。
【0120】
特に、犠牲層中に使用され得る化合物は、以下のポリマーから選択される:i)アセナフチレン/MMAポリマー;ii)アセナフチレン/スチレン/アクリルポリマー;iii)アクリル/ブタジエン/スチレンポリマー;iv)(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)アミドポリマー;v)アクリルイミド/アクリル酸ポリマー;vi)(低分子量)アセチレンポリマー;vii)アクリルポリマー;viii)アクリロニトリル/ブタジエン(ゴム)ポリマー;viii)アルキド樹脂;ix)好ましくは(C~C)アルキルのアルキル樹脂;x)好ましくは(C~C)アルキレンのアルキレングリコールポリマー;xi)アミド/イミドポリマー;xii)アクリロニトリルポリマー;xiii)アクリル酸ポリマー;xiv)プロピオン酸アミロースポリマー;xv)酢酸アミロースポリマー;xvi)酪酸アミロースポリマー;xvii)アクリロニトリル/スチレンポリマー;xviii)1-ブテンポリマー;xix)ブチルゴム;xx)メタクリル酸ブチルポリマー;xxi)テレフタル酸ブチレンポリマー;xxii)ブタジエン/アクリルポリマー;xxiii)酸/アクリロニトリルブチルイソシアネートポリマー;xxiv)酢酸セルロースポリマー;xxv)硝酸セルロースポリマー;xxvi)ハロゲン化、特に塩素化ポリエチレンポリマー(クロロプレン);xxvii)カプロラクタムポリマー;xxviii)カーボネートポリマー;xxix)カルボキシル化ポリブタジエンポリマー;xxx)カルボキシ(C~C)アルキルセルロースポリマー、好ましくはカルボキシメチルセルロースポリマー;xxxi)シス-トランスイソプレンポリマー、好ましくはシスイソプレン;xxxii)セルローストリニトレートポリマー;xxxiii)デキストランポリマー;xxxiv)ジアルキルフタレートポリマー、好ましくはジ(C~C)アルキルフタレートポリマー;xxxv)ジメチルシロキサンポリマー;xxxvi)ドデシルアクリレートポリマー;xxxvii)ジオキサランポリマー;xxxvii)(C~C)アルキレンオキシドポリマー、好ましくはエチレンオキシドポリマー;xxxviii)ポリエーテル;xxxix)エピクロルヒドリンポリマー;xxxx)エポキシ樹脂;xxxxi)(C~C)アルキルアクリレート、好ましくはアクリル酸エチルポリマー;xxxxii)(C~C)アルキレン/(C~C)アルキルカルボニル(C~C)アルキレンオキシポリマー、好ましくはエチレン/酢酸ビニル(EVA)ポリマー;xxxxiii)(C~C)アルキレン/(C~C)アルキレンポリマー、好ましくはエチレン/プロピレンポリマー;xxxxiv)(C~C)アルキレンテレフタレートポリマー、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー;xxxxv)(C~C)アルキレン/(C~C)アルケン酸ポリマー、或いはアルカリ剤、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属によるその塩、及びその(C~C)アルキルエステル、好ましくはエチレン/アクリル酸ポリマー、或いはアルカリ剤、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属によるその塩、及びその(C~C)アルキルエステル;xxxxvi)(C~C)アルキレン/(C~C)アルケン酸/(C~C)アルケニルカルボニルオキシ(C~C)アルキルポリマー、好ましくはエチレン/メチルアクリレートポリマー;xxxxvii)エチレン/1-ヘキサンポリマー;xxxxviii)ポリエステル;xxxxix)脂肪酸ポリマー;L)フルフリルアルコールポリマー;Li)ゼラチンポリマー;Lii)グリセリドポリマー;Liii)グリコールエステル/グリセロールポリマー;Liv)ポリグリコール;Lv)ポリイソプレン;Lvi)ポリイソブチレン;Lvii)ポリイソシアネート;Lviii)ポリイミド;Lix)イミン酸ポリマー;Lx)アリール(C~C)アルケニルポリマー、好ましくはイソプロピリデン-1,4-フェニレンポリマー;Lxi)リグニンスルホネート;Lxii)脂質ポリマー;Lxiii)メラミン;Lxiv)(C~C)アルケン酸ポリマー、或いはアルカリ剤、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属によるその塩、及びその(C~C)アルキルエステル、好ましくはメタクリル酸メチルポリマー;Lxv)ポリメチルアクリレート;Lxvi)(C~C)アルケン酸ポリマー、或いはアルカリ剤、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属によるその塩、及びその(C~C)アルキルエステル/アリール(C~C)アルケニル、好ましくはメタクリル酸メチル/スチレンポリマー;Lxvii)メチルペンテンポリマー;Lxviii)オキシカルボニルアリーレンポリマー、好ましくはオキシカルボニルオキシ-1,4-フェニレンポリマー;Lxix)オキシ(C~C)アルキレンポリマー、好ましくはポリオキシプロピレン又はポリオキシメチレン;Lxxi)(C~C)アルケン酸エステルのポリマー、及び(C~C20)アルカノールポリマー、好ましくはオクタデシルメタクリレートポリマー;Lxxii)(C~C20)アルケニルポリマー;Lxxiii)オキシマレオイルオキシ(C~C)アルキレンポリマー、好ましくはオキシマレオイルオキシヘキサメチレンポリマー;Lxxiv)オキシスクシニルオキシ(C~C)アルキレンポリマー、好ましくはオキシスクシニルオキシヘキサメチレンポリマー;Lxxv)ポリオール;Lxxvi)ヒドロキシアリールポリマー、好ましくはフェノールポリマー;Lxxvi)フェノール-ホルムアルデヒド樹脂;Lxxvii)オキシアリーレンポリマー、好ましくはポリフェニレンオキシド;Lxxviii)ポリプロピレン;Lxxix)ポリ(C~C)アルキレンオキシド、好ましくはポリプロピレンオキシド;Lxxx)プロピレン/1-ブテンポリマー;Lxxxi)ポリ酢酸ビニル;Lxxxii)ポリビニルアルコール(PVA);Lxxxiii)ビニルブチラルのポリマー;Lxxxiv)ハロゲン化ビニルのポリマー、特に塩化ビニル又はフッ化ビニルポリマー;Lxxxv)ビニルメチルエーテルポリマー;Lxxxvi)ハロゲン化ビニル/ビニルポリマー、特に塩化ビニル/ビニルポリマー;Lxxxvii)アセテート/マレイン酸/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマー;Lxxxv)ポリビニルエステル;Lxxxvi)ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル;Lxxxvii)酢酸ビニル/エチレンポリマー;Lxxxix)酢酸ビニル/エチレン/アクリレートポリマー;xC)ハロゲン化ビニルポリマー、特に臭化ビニルポリマー;xCi)フェロセンビニルポリマー;xCii)ビニルカルバゾールポリマー;xCiii)ビニルホルムアルデヒドポリマー;xCiv)プロピオン酸セルロース;並びにxCv)ビニル樹脂。
【0121】
特に、犠牲層は、ビニル樹脂(例えばポリ(酢酸ビニル)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリルメタクリル酸樹脂(ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリアクリルアミド)、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロース及びその誘導体、(多-オリゴ-単-)糖類、並びに有機塩などの可溶性ポリマーから選択される有機化合物からなる。
【0122】
犠牲層は、無機化合物、金属及び/又は半導体、例えばアルミニウム、アルミニウムヒ化ガリウム、三酸化ジアルミニウム/アルミナ/サファイヤ、アンチモン、ビスマス、黄銅、青銅、炭素、クロム、コバルト、銅、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、ヒ化インジウムガリウム、リン化インジウムガリウム、リン化インジウム、リン化インジウムオキシドオキシド、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、ニオブ、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、亜鉛、類似の合金、さらには無機塩からもなり得る。
【0123】
別の変形によると、調製プロセスは、基材上へ犠牲層を堆積させること、そして前記非粘着性の層又は犠牲層上へ高い屈折率及びより低い屈折率を有する(無機)有機化合物A及びBの奇数Nの層を交互に堆積させることからなる。
【0124】
堆積ステップは、連薄膜を堆積させるために周知のプロセスによって実行され得る。これらの堆積プロセスは、それに限定されることなく、化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)などの蒸着プロセス、或いは沈殿又はソル-ゲル凝縮などのウェット化学プロセス、又はロールツーロールプロセス、ローラーを使用する体積、スピンコーティング及びディップコーティングを使用するウェットルートコーティングを含み得る。これらのプロセスの大多数は、本「Special Effect Pigments」,Gerhard Pfaff,ISBN 9783866309050に部分的に記載される。
【0125】
基材からの、又は犠牲層からの多層材料の分離又は剥離は、溶解、熱分解、機械的作用、化学的攻撃、照射又はこれらの操作の組合せによって実行され得る。基材から、又は犠牲層から多層材料を分離するためのプロセスは、米国特許出願公開第2012/0256333A1号明細書「Process for manufacturing an autonomous multilayer thin film」に見られ得る。
【0126】
調製プロセスの一実施形態によると、犠牲の層、並びに高い屈折率及びより低い屈折率を有する(無機)有機材料A及びBの種々の層は、アルカリ性攻撃剤である水性化学溶液、すなわち、アルカリ性溶液(pH>7)、又は酸性攻撃溶液である水性化学溶液、すなわち、酸性溶液(pH<7)、或いは水性又は有機溶媒に暴露される。アルカリ性溶液又は酸性溶液又は溶媒への本発明の基材、犠牲層及び多層材料の曝露によって、犠牲層を溶解することが可能であり、したがって、本発明の多層材料から基材が除去される。
【0127】
別の変形によると、化学溶液は、犠牲層を溶解して、したがって、多層材料から基材が除去される、有機又は鉱物溶媒である。
【0128】
基材の除去後、次いで本発明の多層材料は、「自律的」となり、すなわち、基材及び犠牲層又は非粘着性の層を含まない。
【0129】
本発明のプロセスの特定の実施形態によると、犠牲層は、真空堆積技術を使用して特に堆積されるアルミニウムなどの金属及び/又は半導性層である。次いで、前記金属犠牲層を破壊するために有用である化合物は、UVスクリーニング光学特性を妨害することなく、本発明の多層材料から基材を分離するように、前記犠牲層と特に反応するアルカリ性溶液である。アルカリ性溶液を製造するために、特に水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物から選択されるアルカリ性剤の使用が挙げられてよい。
【0130】
本発明のプロセスの別の特定の実施形態によると、犠牲層は有機物であり、より特に前記層は有機ポリマーである。
【0131】
本実施形態によると、有機犠牲層は、溶媒によって、或いはアルカリ性溶液又は酸性溶液によって、本発明の多層材料から分離される。
【0132】
有機犠牲層の例として、本発明の多層材料から前記犠牲層を分離するために使用される溶媒、又はアルカリ性溶液、又は酸性溶液の性質が明示される、以下の化合物が挙げられてよい:
i)アセナフチレン/MMAポリマー 犠牲層を溶解する有機溶媒(solv.):テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF);ii)アセナフチレン/スチレン/アクリルポリマー:solv.THF、DMF;iii)アクリル/ブタジエン/スチレンポリマー:solv.THF、DMF、ジメチルスルホキシド(DMSO);iv)(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)アミドポリマー:solv.DMF;v)アクリルイミド/アクリル酸ポリマー:solv.HO+酢酸アルカリ金属+リン酸アルカリ金属、DMSO;vi)アセチレンポリマー(低分子量):solv.トルエン、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB);vii)アクリルポリマー:solv.トルエン、THF、DMF、DMSO;viii)アクリロニトリル/ブタジエンポリマー(ゴム):solv.トルエン、DMF、TCB;viii)アルキド樹脂:solv.トルエン、THF、クロロホルム、ジメチルアセトアミド(DMAC);ix)アルキル樹脂:solv.THF、クロロホルム;x)アルキレングリコールポリマー:solv.オルトジクロロベンゼン(ODCB)、トルエン、THF、クロロホルム;xi)アミド/イミドポリマー:solv.DMF、DMAC、DMSO、DMF+LiBr;xii)アクリロニトリルポリマー:solv.DMF;xiii)アクリル酸ポリマー:solv.(NHOHなどのアルカリ性剤によって調製され得る)7~8、例えば7.2のpHにおいて、HO+アルカリ金属、アルカリ土類金属又は酢酸アンモニウム塩(好ましくは0.05M)+メタノールなどの極性プロトン性有機溶媒(好ましくは2質量%;xiv)プロピオン酸アミロースポリマー:solv.THF;xv)酢酸アミロースポリマー:solv.THF;xvi)酪酸アミロースポリマー:solv.THF;xvii)アクリロニトリル/スチレンポリマー:solv.THF;xviii)1-ブテン:solv.ODCB、トルエン、TCB;xix)ブチルゴム:solv.ODCB、トルエン、TCB;xx)ブチルメタクリレートポリマー:solv.DMF;xxi)テレフタル酸ブチレンポリマー:solv.m-クレゾール;xxii)ブタジエン/アクリルポリマー:solv.トルエン、DMF;xxiii)酸/アクリロニトリルブチルイソシアネートポリマー:solv.THF;xxiv)酢酸セルロースポリマー:solv.THF、DMF;xxv)硝酸セルロースポリマー:solv.THF;xxvi)塩素化ポリエチレンポリマー(クロロプレン):solv.TCB;xxvii)カプロラクタムポリマー:solv.m-クレゾール、HFIP;xxviii)カーボネートポリマー:ODCB、THF、TCB;xxix)カルボキシル化ポリブタジエンポリマー;solv.THF;xxx)カルボキシメチルセルロースポリマー:solv.HO、DMF;xxxi)イソプレンポリマー(好ましくはシスイソプレン):solv.THF;xxxii)セルローストリニトレートポリマー:solv.THF;xxxiii)デキストランポリマー:solv.HO、DMSO;xxxiv)ジアルキルフタレートポリマー:solv.ODCB、トルエン、クロロホルム、TCB;xxxv)ジメチルシロキサンポリマー:solv.ODCB、トルエン、TCB、クロロホルム;xxxvi)ドデシルアクリレートポリマー:solv.THF;xxxvii)ジオキサランポリマー:solv.THF;xxxvii)エチレンオキシドポリマー:solv.THF、DMF、HO、TCB;xxxviii)ポリエーテル:solv.トルエン、THF、DMF;xxxix)エピクロルヒドリンポリマー:solv.TCB;xxxx)エポキシ樹脂:トルエン、THF、クロロホルム;xxxxi)アクリル酸エチルポリマー:solv.ODCB、トルエン、DMF、m-クレゾール;xxxxii)エチレン/酢酸ビニル(EVA)ポリマー:solv.TCB;xxxxiii)エチレン/プロピレンポリマー:solv.ODCB、TCB;xxxxiv)ポリエチレンテレフタレート(PET):solv.m-クレゾール、HFIP;xxxxv)エチレン/アクリル酸ポリマー(NA+型):solv.TCB;xxxxvi)エチレン/アクリル酸メチルポリマー:solv.TCB;xxxxvii)エチレン/1-ヘキサンポリマー:solv.TCB;xxxxviii)ポリエステル:solv.m-クレゾール、HFIP、TCB、トルエン;xxxxix)脂肪酸ポリマー、solv.ODCB、THF、クロロホルム、TCB;L)フルフリルアルコールポリマー:solv.ODCB、THF、クロロホルム、TCB;Li)ゼラチンポリマー:solv.HO、DMSO;Lii)グリセリドポリマー:solv.ODCB、THF、TCB;Liii)グリコール/グリセロールポリエステル:solv.DMF、DMF+0.005% LiBr;Liv)ポリグリコール:solv.ODCB、トルエン、THF、DMF、TCB;Lv)ポリイソプレン:solv.トルエン、TCB;Lvi)ポリイソブチレン:solv.トルエン、THF;Lvii)ポリイソシアネート:solv.トルエン、THF、DMF、クロロホルム;Lviii)ポリイミド:solv.DMAC、DMF;Lix)イミン酸ポリマー:solv.NMP;Lx)イソプロピリデン-1,4-フェニレンポリマー:solv.THF;Lxi)リグニンスルホネート:solv.HO;Lxii)脂質ポリマー:solv.塩化メチレン、THF;Lxiii)メラミン:solv.HFIP、m-クレゾール、TFA、TCB;Lxiv)メタクリル酸メチルポリマー:solv.トルエン、THF、DMF、m-クレゾール、DMAC;Lxv)ポリアクリル酸メチル:solv.TCB、DMF、THF;Lxvi)メタクリル酸メチル/スチレンポリマー:solv.ODCB、トルエン、THF、クロロホルム;Lxvii)メチルペンテンポリマー:solv.TCB;Lxviii)オキシカルボニルオキシ-1,4-フェニレンポリマー:solv.THF;Lxix)ポリオキシプロピレン:solv.THF;Lxx)ポリオキシメチレン:solv.DMAC;Lxxi)ポリオクタデシルメタクリレート:solv.DMF、熱DMSO(140℃);Lxxii)オクタデシルビニルポリマー:solv.THF;Lxxiii)オキシマレオイルオキシヘキサメチレンポリマー:solv.THF;Lxxiv)オキシスクシニルオキシ-ヘキサメチレンポリマー:solv.THF;Lxxv)ポリオール:solv.THF、DMF;Lxxvi)フェノールポリマー(特にノボラック):solv.THF、クロロホルム;Lxxvi)フェノール-ホルムアルデヒド樹脂:solv.THF、TCB;Lxxvii)ポリフェニレンオキシド:solv.TCB;Lxxviii)ポリプロピレン:solv.ODCB、TCB;Lxxvii)ポリプロピレンオキシド:solv.THF、TCB;Lxxx)プロピレン/1-ブテンポリマー:solv.ODCB、TCB;Lxxxi)ポリ酢酸ビニル:solv.ODCB、THF、DMF;Lxxxii)ポリビニルアルコール:solv.HO、好ましくは熱(50~80℃)DMF、DMSO;Lxxxiii)ビニルブチラルのポリマー:solv.THF、DMF;Lxxxiv)ハロゲン化ビニル、特に塩化ビニルのポリマー:solv;トルエン、THF;フッ化ビニルのポリマー;solv.DMF;Lxxxv)ビニルメチルエーテルポリマー:solv.THF、DMF;Lxxxvi)ハロゲン化ビニル/ビニルポリマー、特に塩化ビニル/ビニルポリマー:solv.DMF;Lxxxvii)アセテート/マレイン酸/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマー:solv.DMF、DMSO;Lxxxv)ポリビニルエステル:solv.DMF、THF;Lxxxvi)ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル:solv.DMF;Lxxxvii)酢酸ビニル/エチレンポリマー:solv.DMF;Lxxxix)酢酸ビニル/エチレン/アクリレートポリマー:solv.DMF;xC)ハロゲン化ビニル、特に臭化ビニルのポリマー:solv.THF;xCi)ビニルフェロセンポリマー:solv.THF;xCii)ビニルカルバゾールポリマー:solv.THF;xCiii)ビニルホルムアルデヒドポリマー:solv.THF;xCiv)プロピオン酸セルロース:solv.アルコール及びケトン(特にC~Cアルコール及びC~Cジアルキルケトン);並びにxCv)ビニル樹脂、solv.アセトン又はエタノール。
【0133】
基材を含まない多層材料を放出するために化学溶液を使用する非粘着性又は犠牲層の除去が、前記多層材料の色又は光学特性に影響を及ぼさないことも分かる。例えば、多層材料の視覚による色、吸収特性、反射特性などは、犠牲層の除去の前のそれらと同一又は等しいままである。
【0134】
Nが17未満、より好ましくは13未満、さらにより好ましくは9未満であるN層を含む多層材料の調製のための特定の実施形態によると、後処理は、剥離ステップ3の後及び/又はサイズ調整ステップ4の後に実行される。
【0135】
このような後処理は、好ましくは平坦な粒子の形態でのN層を含有する(無機)有機化合物の多層材料の少なくとも2つの粒子をスタッキングすることからなる。このスタッキングは、層x及びyの交互軸において実行される。
【0136】
特に以下の後処理プロセスが挙げられてよい。
・熱的プロセス(乾燥、焼結、噴霧化、焼成)
・機械的プロセス(圧縮、遠心分離、メカノフュージョン、粒状化)
・自己集合のための物理化学的方法によって引き起こされるプロセス、例えば、pH調整、溶媒(共溶媒)の最適化、添加剤の使用
・層x及びyの挿入の方向での単位多層材料の間の共有結合の形成による架橋などの化学的プロセス
・又は上記のプロセスの2つ以上の組合せ
【0137】
特定の実施形態によると、本発明の多層材料の調製は、多層材料のサイズを調整することからなるステップ4)を含む。このステップ4)は、多層粒子のサイズ分布を所望の値まで均質化するためにミル加工及び/又はスクリーニングを実行することからなる。
【0138】
ミル加工は、1000μm未満の径(体積によるD90)、好ましくは700μm未満の径(体積によるD90)、さらにより好ましくは400μm未満の径(体積によるD90)を有する粒子を得るために実行される。このサイズ分布は、レーザー散乱粒度分布、例えばMalvern Instruments Ltd.からのMastersizer 2000器機を使用することによって決定され得る。
【0139】
スクリーニングは、それらの径の相関関係として粒子を選択するため、したがって、本発明の多層材料のより良好な径均一性を得るために実行される。例えば、スクリーニングは、20~400μmの径を有する粒子を選択するために実行され得る。
【0140】
本発明は、紫外線をスクリーニングするための活性成分としての多層材料の美容的使用にも関する。
【0141】
本発明はまた、ケラチン材料、特にヒトケラチン材料、特に皮膚、ケラチン繊維、特に毛髪及び爪に適用されることが意図される局所使用のための組成物、特に化粧用組成物であって、上記で定義された本発明の少なくとも1つの多層材料を含む組成物に関する。
【0142】
本発明の組成物
多層材料は、乾燥形態(粉末、フレーク、プレート)で、分散体として、又は液体懸濁液として、又はエアゾールとして存在し得る。多層材料は、提供される形で使用され得るか、又は他の成分と混合されてもよい。
【0143】
本発明の1つの対象は、1つ又はそれ以上の上記で定義された多層材料を含む組成物である。
【0144】
本発明の組成物は、種々のガレノス型であり得る。したがって、本発明の組成物は、粉末組成物(粉状)、又は液体組成物の形態、或いはミルク、クリーム、ペースト、又はエアゾール組成物の形態であり得る。
【0145】
本発明による組成物は、特に化粧用組成物であり、すなわち、本発明の多層材料は化粧媒体である。「化粧媒体」という用語は、ケラチン材料、特に皮膚などのヒトケラチン材料への適用に関して適切である媒体を意味し、前記化粧媒体は、一般に水からなるか、或いは水と、1つ又はそれ以上の有機溶媒との混合物、又は有機溶媒の混合物からなる。好ましくは、組成物は、特に組成物の全質量に対して包括的に5%~95%の含有量で水を含む。「有機溶媒」という用語は、化学的に変性することなく別の物質を溶解することができる有機物質を意味する。
【0146】
有機溶媒:
有機溶媒の例として、低級C~Cアルカノール、例えば、エタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、並びにジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテルに加えて、芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノール並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0147】
有機溶媒は、組成物の全質量に対して、好ましくは包括的に約0.1質量%~40質量%、より好ましくは約1質量%~30質量%、さらにより好ましくは包括的に5質量%~25質量%の割合で存在する。
【0148】
本発明の組成物は、脂肪相を含み得、直接又は逆エマルジョンの形態であり得る。
【0149】
本発明の組成物は、組成物の全質量に対して、0.1質量%~40質量%、特に0.5質量%~20質量%、より特に1質量%~10質量%、好ましくは1.5質量%~5質量%の多層材料を含む。
【0150】
組成物中の多層材料の濃度は、組成物中に含まれる多層材料を構成する層の数Nの相関関係として調整され得る。
【0151】
本発明の組成物は、単一適用で、又は複数適用で使用され得る。本発明の組成物が複数適用に対して意図される場合、多層材料の含有量は、単一出願に対して意図される組成物におけるものよりも一般に低い。
【0152】
本発明の目的に関して、「単一適用」という用語は、組成物の単一適用を意味し、この適用は、必要に応じて、それぞれの適用が1分間又はそれ以上の時間互いに離された状態で、おそらく1日あたり数回繰り返されるか、或いは1日に1回適用される。
【0153】
本発明の目的に関して、「複数適用」という用語は、それぞれの適用が数秒又は数分間互いに離された状態で、数回、一般に2~5回繰り返される組成物の適用を意味する。それぞれの複数適用は、必要に応じて、1分間又はそれ以上の時間互いに離された状態で、1日あたり数回繰り返され得るか、又は毎日繰り返されてもよい。
【0154】
適用プロセス
本発明の前記多層材料は、UVA及びUVBから保護するための薬剤であり、それは特に、可視範囲における良好な全透過を維持すると同時に、UVの全スクリーニング除去を改善する。
【0155】
本発明の多層材料が、i)それらの特定の設計、ii)それぞれの層の厚さの選択肢、iii)有機及び/又は無機化合物の化学組成、iv)低い及び高い屈折率を有する有機及び/又は無機化合物の選択肢、並びにiv)適切な調製方法及びv)適切な適用方法の長所によって、特に以下を与えることを可能にするように見える:
・特にUVA範囲におけるUVスクリーニング特性(カットオフ位置λ);
・λを中心とする「急」勾配によるカットオフ遷移の改善;及び
・可視範囲(400~780nm)における優れた透明度。
【0156】
本発明の多層材料は、特にケラチン材料、特に皮膚などのヒトケラチン材料への適用のための化粧用組成物中で、好ましくはそれらを含む組成物の全質量に対して0.1質量%~40質量%、より好ましくはそれらを含む組成物の全質量に対して0.5質量%~20質量%の濃度で使用される。
【0157】
本発明の多層材料の濃度は、前記材料の層の数Nの相関関係として調整され得る。組成物は、いずれの提示の形態でもあり得る。
【0158】
本発明の材料は、単一適用として、又は複数適用としてケラチン材料に適用され得る。例えば、本発明による少なくとも1つの多層材料を含む化粧用組成物は、一度適用され得る。
【0159】
別の変形によると、適用プロセスは、本発明による少なくとも1つの多層材料を含む化粧用組成物のケラチン材料上でのいくつかの連続適用を含む。
【0160】
それらは、関連する適用方法であり得、例えば、飽和単一適用、すなわち、高濃度の本発明による多層材料による化粧用組成物の単一適用、又は本発明による少なくとも1つの多層材料を含む(より濃度が低い)化粧用組成物の複数適用であり得る。複数適用の場合、本発明の少なくとも1つの多層材料を含む化粧用組成物のいくつかの連続適用は、適用の間で遅れの有無にかかわらず繰り返される。
【0161】
本発明の別の対象は、好ましくは1~5回の連続適用によって、上記で定義された組成物を材料に適用し、層の間を乾燥させることによる、ケラチン材料、特に皮膚などのヒトケラチン材料を処理するためのプロセスであって、適用は噴霧又は他の様式であるプロセスである。
【0162】
本発明の一実施形態によると、複数適用は、本発明による少なくとも1つの多層材料を含む化粧用組成物の連続適用間の乾燥ステップを伴って、ケラチン材料上で実行される。本発明による少なくとも1つの多層材料を含む化粧用組成物の連続適用間の乾燥ステップは、戸外で、又は人工的に、例えばヘアドライヤーなどの熱空気乾燥システムを用いて実行され得る。
【0163】
本発明の好ましい実施形態によると、多層材料は粒子の形態である。
【0164】
本発明の特定の実施形態によると、本発明の多層材料は、化粧用組成物に組み込まれ、本発明の多層材料、特に粒子は、特定の調製方法及び適用方法によって適用の前又は後に層x及びyの交互軸に沿って特定のプロセスによって積層され得る。
【0165】
本発明の多層材料及びそれらを含む組成物、並びに本発明の多層材料の適用方法は、特に粒子の分散及び被覆の状態を改善すること、UVスクリーニング特性及び/又は可視範囲における透明性、及びUV→可視カットオフを改善することを可能にする。
【0166】
本発明の別の対象は、ケラチン材料、特に皮膚を保護するためのUVA及びUVBスクリーニング剤としての上記で定義される1つ又はそれ以上の多層材料の使用である。
【0167】
以下の実施例は、性質を制限することなく、本発明を説明するために有用である。
【実施例0168】
多層材料の調製
本発明及び本発明の範囲外の多層材料のUVスクリーニング特性の測定
本発明によるの5層材料と本発明の範囲外の5層材料との比較
標準方法によって、9×9cmの透明ガラス基材上で蒸着(CVD/PVD、S5)によって2つの5層試料を製造した。蒸着の前に、非粘着性(犠牲)層として、ガラスプレートの表面に水溶性PVAポリマーの薄層(JP-05(登録商標)Japan Vam and Poval Co)を適用した。熱水(50℃)中に6時間浸漬させた後、ガラス基材から上記フィルムを分離することによって、多層材料を調製した。分離後、多層材料を濾過によって回収し、脱イオン水中で再分散させた。第1の多層材料ML1は、本発明によるものである。本発明の範囲外の第2の多層材料ML2は、比較として設計された。
【0169】
それぞれの層の詳細な厚さ及び組成を以下の表に示す。
【0170】
【表8】
【0171】
5層材料ML1及びML2の間で透過率の測定を以下の通りに実行した。
【0172】
飽和適用:
脱イオン水中1.7質量%の多層材料の分散体の液滴を石英基材上に堆積させた。全ての水が蒸発した後、透過率測定を実行した。
【0173】
連続複数適用:
多層材料(1.7質量%)の分散体にブラシを浸漬し、そして過剰量の多層材料を除去し、続いて、石英基材に連続コーティングを適用した。室温条件(20℃)で水分を蒸発させた後、透過率の測定による操作を3回実行し、そしてそれぞれのステップにおいて、光学特性に及ぼす表面被覆及び材料の量の影響を見るために顕微鏡観察を行った。
【0174】
噴霧による適用:
多層材料の適用の調査を変更するために、噴霧によるコーティングを試験した。材料を基材に適用する前に、15000rpmにおいて5分間のUltra-Turrax(登録商標)器機による処理によってML1の径を減少させ、sML1を得た。以下の表に径の比較を示す。
【0175】
【表9】
【0176】
粒径分布は、Malvern Instruments Ltd Master Size 2000粒度計を用いてレーザー散乱によって決定された。このレーザー散乱粒径分析器は、ブルーライト(488.0μmの波長)及びレッドライト(633.8μmのHe-Ne波長)を使用する。
【0177】
二波長及びシングルレンズ検出システム
使い捨て気体圧力タンク付きのEcospray再充電型バッテリーミクロ噴霧器を使用して、基材上に無機化合物の分散体sML1を適用した。噴霧器と基材との間で約25cmの距離を維持しながら、水の蒸発を加速するために適用を加熱基材上で実行した。この手順をさらに3回繰り返し、それぞれの適用間で5分間待機した。
【0178】
本発明の範囲外の5層材料に対する本発明による5層材料の光学性能
反射率-透過率積分球(Oriel Instruments,model 70491)を備えたUSB4000-UV-VIS分光光度計(Ocean Optic)を用いて、透過率測定を実行した。基礎としての石英基材上で透過率データを記録した。石英基材の影響は、二重ビームでブランクとして同一の未コーティング石英を使用することにより差し引かれた。光源は、200~800nmの間で確立された(DH-2000-BAL Ocean Optics)。
【0179】
透過分析:
【0180】
【表10】
【0181】
飽和適用(液滴):
全透過は、特にブルー波長範囲では、本発明による多層材料ML1に関してより高く、比較ML2に対するML1に関して39%に対する57%である。
【0182】
本発明による多層材料ML1は、UVに対する保護、及び全可視透明度の能力に関して、本発明の範囲外の材料ML2より良好に機能する。
【0183】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
全UV透過は、特にUVAに関して非常に減少する。透過は、本発明による多層材料ML1に関しては50%から20%に(2.5分の一に減少)、そして比較材料ML2に関しては25%から13%に(1.9倍分の一に減少)になる。
【0184】
全可視透過は、特にブルー波長範囲において、比較多層材料ML2に関するよりも、本発明の多層材料ML1に関して有意に影響を受けない。透過減少は、ML2に関する1.46の因子と比較して、ML1に関しては1.3である。
【0185】
本発明による多層材料ML1は、本発明の範囲外の多層材料ML2よりも、UVに対する保護に関するより良好な能力、及びより良好な全可視透明度を有する。
【0186】
噴霧適用:
ML1が良好なUVスクリーニング特性、さらには高い可視透過を有することがわかる。
【0187】
透過率対波長勾配の分析:
λ波長軸(ナノメートル)及びt透過率軸(nm-1)を有する本発明による多層材料に関する透過率対波長曲線:
t=0.0056λ-1.9155(線形 1液滴 ML1)
t=0.0034λ-0.7037(線形 1適用 ML1)
t=0.0048λ-1.4557(線形 2適用 ML1)
t=0.0050λ-1.6315(線形 3適用 ML1)
t=0.0055λ-1.765(線形、噴霧としての4適用 ML1)
【0188】
本発明の範囲外の多層材料に関する透過率対波長曲線:
t=0.0021λ-0.5468(線形 1液滴 ML2)
t=0.0019λ-0.4012(線形 1適用 ML2)
t=0.0017λ-0.3864(線形 2適用 ML2)
t=0.0017λ-0.4491(線形 3適用 ML2)
【0189】
【表11】
【0190】
表10中のML1及びML2の値は、nm-1で与えられる。
【0191】
UV及び可視の透過率対波長勾配は、線形回帰によって得られ、本発明による多層材料ML1に関して、本発明の範囲外の材料ML2に関するものよりも顕著に高い。
【0192】
ML2に対して、飽和適用で、及び適用に関して、ML1では2倍超高い。
【0193】
勾配パラメーターは、ML2とは異なり、ML1の適用回数によって有意に増加する。噴霧適用も、勾配パラメーターを改善する。
【0194】
比較多層材料ML2の複数適用によって、勾配パラメーターに関してはほとんど改善が得られない。
【0195】
高い透過率対波長勾配(3×10-3より大きい)の可視範囲の高い透過率の他に、本発明の多層材料は、別の注目すべき光学特性として、UVと可視範囲との間のより狭いフィルトレーションフロントを有する。
【0196】
カットオフ位置
【0197】
【表12】
【0198】
カットオフ位置は、本発明による多層材料ML1の場合、適用方法とは無関係に400nm±10nmで十分に画定される。反対に、本発明の範囲外の多層材料ML2の場合、変動は450nmから488nmまでの範囲にわたり、比較ML2に関して適用方法の相関関係としてカットオフ位置の高い依存性を示す。
【0199】
多層材料の設計及びシミュレーション
以下のシミュレーションは、本発明の記載がTiO/SiOの組合せ以外の他の材料とフィッティングする設計を実証する。
【0200】
設計及び性能評価のためのシリコ(silico)アプローチの説明
以下で提示される材料A及びBから構成される全ての設計は、粒子群最適化アルゴリズムと組み合わせた転送行列計算によって達成された。
【0201】
より正確に、使用される材料A及びBの屈折率とこれらの材料の各層の厚さとの関係は、UVA波長範囲(320nm~400nm)と可視範囲(400nm~780nm)との間での透過の遷移プロファイルの「カットオフ位置」を画定する。
【0202】
光学特性を最適化するために層の厚さをモデル化することが可能である。
【0203】
光学特性(透過、反射、吸収)を有する本発明の多層材料の層を構成する(無機)有機化合物A及びBの厚さ及び屈折率を関連づける計算は、「トランスファマトリックス法(Transfer Matrix Method)」によって、例えば、以下のアドレスで入手可能な「オープンソース」アルゴリズムの1つによって、特に実行され得る。https://fr.mathworks.com/matlabcentral/fileexchange/47637-transmittance-and-reflectance-spectra-of-multilayered-dielectric-stack-using-transfer-transfer-transfer-mansx-method.
【0204】
本発明の特定の実施形態によると、「カットオフ」位置を最適化するための反復計算は、上述のアルゴリズムと組み合わせて、又は組み合わせることなく、Mathworks社からのソフトウェアMatlabの最適化ツールボックスからの「粒子群アルゴリズム」によって実行される。
【0205】
多層の光学特性をモデル化するために必要な屈折率データ(真の屈折率n及び架空の屈折率k)は、オープンソースのデータベースに見ることができる。https://refractiveindex.info/特定の参照は、以下の表に報告される。
【0206】
【表13】
【0207】
周囲媒体は、1.45の一定の屈折率値の化粧ベースをシミュレーションする。
【0208】
理想的な多数適用プロセスは、本発明に記載される光学性能の改善を実証するためにモデル化された。すなわち、本発明からの所与の多層の所与の多数適用が本発明からのより多数の層の別の多層と同等になるように、完璧なスタッキングを仮定する。同等の表は以下の表で報告される。
【0209】
【表14】
【0210】
したがって、シミュレーションされた多数適用プロセスによる光学性能改善を実証するために、以下、5、9、13多層の光学性能を直接比較する。結論は、3~17層を推定することができる。
【0211】
シリコ性能予測の確認
この項目は、上記手順によるシミュレーションにおいて、2つの実験例ML1及びML2を再現する。真の材料及びシミュレーションされた材料の屈折率がおそらくわずかに異なるため、ML S1の最適化はML1とはわずかに異なる。
【0212】
【表15】
【0213】
シミュレーションの結果
【0214】
【表16】
【0215】
UV及び可視領域間の遷移の方程式:
ML S1×1適用:t(λ)=0.0082λ-2.5987 有効性のスペクトル間隔:[325:450nm]
ML S1×2適用:t(λ)=0.0129λ-4.6693 有効性のスペクトル間隔:[355:445nm]
ML S1×3適用:t(λ)=0.0226λ-8.6225 有効性のスペクトル間隔:[375:425nm]
ML S2×1適用:t(λ)=0.0058λ-1.8847 有効性のスペクトル間隔:[320:465nm]
ML S2×2適用:t(λ)=0.0047λ-1.5688 有効性のスペクトル間隔:[320:450nm]
ML S2×3適用:t(λ)=0.0041λ-1.3972 有効性のスペクトル間隔:[320:450nm]
【0216】
両設計は、理想的な適用のシミュレーションのために類似の性能を有し、
-UVは、ML S1及びML S2に関して、それぞれ28.95%及び29.48%の透過を意味し、
-UVAは、ML S1及びML S2に関して、それぞれ37.57%及び39.01%の透過を意味し、
-UVBは、ML S1及びML S2に関して、それぞれ4.93%及び3.53%の透過を意味し、
-可視は、ML S1及びML S2に関して、それぞれ98.55%及び96.82%の透過を意味する。
【0217】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
それぞれのMLに対する1適用への比較での3適用のシミュレーションによって、以下を実証する。
-ML S2に関する6.3%に対するML S1に関する1.3%の透過の減少により、可視範囲におけるより少ない影響
-ML S2に関する3.3に対するML S1に関する因子8.6による透過の減少により、UVにおけるより多くの有効性、
-ML S2に関する3.2に対するML S1に関する因子8.3による透過の減少により、UVAにおけるより多くの有効性、
-ML S21に関する38に対するML S2に関する因子70.6による透過の減少により、UVBに関するより多くの有効性、
-遷移の勾配は、ML S1に関しては2.8倍増加し、設計ML S2に関しては非常に一定である。それは、因子0.7によってわずかに減少さえする。
-カットオフ位置は、ML S2に関する435nmに対してML S1に関しては約405nmで安定する。
【0218】
したがって、第1の設計(本発明)は、第2の設計(発明以外)よりも効率的である。UV透過の減少に関して、可視範囲の一定の挙動、約400nm+/-10nmのカットオフ位置の観点、そして最後にUV及び可視領域の間の遷移勾配の増加。
【0219】
勾配パラメーター及びカットオフ位置に関する実験データをML1及びML2上で収集した。
【0220】
【表17】
【0221】
1適用及び3適用の間で
-勾配パラメーターは、ML1及びそのシミュレーションされた相対物ML S1に関してのそれぞれのシミュレーションにおいて、実験的に2.8倍と比較して1.5倍増加する。
-勾配パラメーターは、ML2及びそのシミュレーションされた相対物ML S2に関しては非常に一定である。
-カットオフ位置は、ML1及びそのシミュレーションされた相対物ML S1に関しては、それぞれ402nm及び405nmである。
-ML2及びそのシミュレーションされた相対物ML S2のカットオフの位置は、それぞれ、435nm及び488nmの値で、それぞれ両方とも本発明の範囲外である。
【0222】
値は、主に材料の真の屈折率上での不確実性のため、シミュレーションされた値と実験値との間でわずかに異なり得るが、性能の傾向は類似である。したがって、シミュレーションによるこの性能予測が実験的な評価と一致することが実証される。
【0223】
組合せTiO/SiOとは別の材料による実施例
系統群A-TiOによる
それぞれの層の詳細な厚さ及び組成を以下の表に示す。
【0224】
【表18】
【0225】
シミュレーションの結果
【0226】
【表19】
【0227】
UV及び可視領域間の遷移の方程式:
ML A1×1適用:t(λ)=0.0089λ-2.8287 有効性のスペクトル間隔:[325:440nm]
ML A1×2適用:t(λ)=0.0131λ-4.7046 有効性のスペクトル間隔:[350:440nm]
ML A1×3適用:t(λ)=0.0249λ-9.4683 有効性のスペクトル間隔:[375:420nm]
ML A2×1適用:t(λ)=0.0077λ-2.4018 有効性のスペクトル間隔:[325:455nm]
ML A2×2適用:t(λ)=0.0115λ-4.1129 有効性のスペクトル間隔:[350:455nm]
ML A2×3適用:t(λ)=0.0211λ-8.0554 有効性のスペクトル間隔:[375:430nm]
ML A3×1適用:t(λ)=0.0093λ-2.8171 有効性のスペクトル間隔:[300:415nm]
ML A3×2適用:t(λ)=0.0122λ-4.1372 有効性のスペクトル間隔:[330:415nm]
ML A3×3適用:t(λ)=0.0145λ-5.0091 有効性のスペクトル間隔:[345:415nm]
ML A4×1適用:t(λ)=0.0077λ-2.3296 有効性のスペクトル間隔:[300:465nm]
ML A4×2適用:t(λ)=0.0104λ-3.5811 有効性のスペクトル間隔:[330:450nm]
ML A4×3適用:t(λ)=0.0169λ-6.2607 有効性のスペクトル間隔:[360:425nm]
【0228】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
それぞれの実施例、ML A1、A2、A3、A4において、1適用及び3適用の間で、
-可視範囲における透過は、2%の範囲内で変動を有する。
UVにおける透過は、ML A1、A2、A3及びA4に関して、それぞれ、因子6.7、10.1、3.3、7で減少する。
-UVBにおける透過は、ML A1、A2、A3及びA4に関して、それぞれ、因子80.2、9.7、7.1、10.7で減少する。
-UVAにおける透過は、ML A1、A2、A3及びA4に関して、それぞれ、因子6.5、23、3.2、6.8で減少する。
-勾配パラメーターは、ML A1、A2、A3及びA4に関して、それぞれ2.8、2.7、1.56、2.2倍増加する。
-カットオフ位置は、それぞれの設計に関して、400nm+/-6nmで安定する。
【0229】
結論として、本発明の定義に属するこれらの4つの設計は、シミュレーションされた多数適用プロセスによって、それらの光学特性(UV、UVA、UVB透過、UV及び可視領域の間の遷移の勾配、並びにカットオフ位置)の改善を実証する。
【0230】
系統群B-Nb2O5による
それぞれの層の詳細な厚さ及び組成を以下の表に示す。
【0231】
【表20】
【0232】
シミュレーションの結果
【0233】
【表21】
【0234】
UV及び可視領域間の遷移の方程式:
ML B1×1適用:t(λ)=0.0076λ-2.3661 有効性のスペクトル間隔:[315:455nm]
ML B1×2適用:t(λ)=0.0128λ-4.6086 有効性のスペクトル間隔:[350:440nm]
ML B1×3適用:t(λ)=0.0212λ-8.0269 有効性のスペクトル間隔:[370:425nm]
ML B2×1適用:t(λ)=0.0087λ-2.8169 有効性のスペクトル間隔:[325:455nm]
ML B2×2適用:t(λ)=0.0135λ-4.9227 有効性のスペクトル間隔:[350:455nm]
ML B2×3適用:t(λ)=0.0174λ-6.5164 有効性のスペクトル間隔:[375:430nm]
ML B3×1適用:t(λ)=0.0085λ-2.5457 有効性のスペクトル間隔:[300:425nm]
ML B3×2適用:t(λ)=0.0114λ-3.854 有効性のスペクトル間隔:[325:425nm]
ML B3×3適用:t(λ)=0.0184λ-6.318 有効性のスペクトル間隔:[355:415nm]
ML B4×1適用:t(λ)=0.0094λ-3.002 有効性のスペクトル間隔:[335:410nm]
ML B4×2適用:t(λ)=0.0163λ-6.0363 有効性のスペクトル間隔:[375:430nm]
ML B4×3適用:t(λ)=0.0281λ-10.951 有効性のスペクトル間隔:[325:455nm]
【0235】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
それぞれの実施例、ML B1、B2、B3、B4において、1適用及び3適用の間で、
-可視範囲における透過は、2%の範囲内で変動を有する。
-UVにおける透過は、ML B1、B2、B3及びB4に関して、それぞれ、因子10.0、10.8、3.83、9.34で減少する。
-UVBにおける透過は、ML B1、B2、B3及びB4に関して、それぞれ、因子39、93.4、4.43、6.6で減少する。
-UVAにおける透過は、ML B1、B2、B3及びB4に関して、それぞれ、因子8.6、10.4、3.83、9.89で減少する。
-勾配パラメーターは、ML B1、B2、B3及びB4に関して、それぞれ2.8、2、2.2、3倍増加する。
-カットオフ位置は、それぞれの設計に関して、400nm+/-5nmで安定する。
【0236】
結論として、本発明の定義に属するこれらの4つの設計は、シミュレーションされた多数適用プロセスによって、それらの光学特性(UV、UVA、UVB透過、UV及び可視領域の間の遷移の勾配、並びにカットオフ位置)の改善を実証する。
【0237】
系統群C-ZnOによる
それぞれの層の詳細な厚さ及び組成を以下の表に示す。
【0238】
【表22】
【0239】
シミュレーションの結果
【0240】
【表23】
【0241】
UV及び可視領域間の遷移の方程式:
ML C1×1適用:t(λ)=0.0043λ-0.09309 有効性のスペクトル間隔:[290:465nm]
ML C1×2適用:t(λ)=0.0054λ-1.4895 有効性のスペクトル間隔:[290:470nm]
ML C1×3適用:t(λ)=0.00076λ-2.5319 有効性のスペクトル間隔:[350:480nm]
【0242】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
実施例ML C1に関して、1適用及び3適用の間で、
-可視範囲における透過は、96%より上に留まる。
-UVにおける透過は、因子1.7で減少する。
-UVBにおける透過は、因子3.8で減少する。
-UVAにおける透過は、因子2.6で減少する。
-勾配パラメーターは、1.77倍増加する。
-カットオフは、400nmにおいて安定する。
【0243】
結論として、本発明の定義に属するこの設計は、シミュレーションされた多数適用プロセスによって、その光学特性の改善を実証する。
【0244】
系統群D-ZnSによる
それぞれの層の詳細な厚さ及び組成を以下の表に示す。
【0245】
【表24】
【0246】
シミュレーションの結果
【0247】
【表25】
【0248】
UV及び可視領域間の遷移の方程式:
ML D1×1適用:t(λ)=0.0037λ-0.8667 有効性のスペクトル間隔:[335:510nm]
ML D1×2適用:t(λ)=0.0074λ-2.5171 有効性のスペクトル間隔:[335:465nm]
ML D1×3適用:t(λ)=0.0076λ-2.7247 有効性のスペクトル間隔:[355:480nm]
【0249】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
実施例ML D1に関して、1適用及び3適用の間で、
-可視範囲における透過は、84%より上に留まる。
-UVにおける透過は、因子5.4で減少する。
-UVBにおける透過は、因子2.9で減少する。
-UVAにおける透過は、因子7.35で減少する。
-勾配パラメーターは、2倍増加する。
-カットオフは、405nmにおいて安定する。
【0250】
結論として、本発明の定義に属するこの設計は、シミュレーションされた多数適用プロセスによって、その光学特性の改善を実証する。
【0251】
系統群E-混合物SiO/PSとのTiO
特定の有機及び無機材料の混合物の場合、10質量%濃度(質量分率)でSiO及びポリスチレン(PS)の混合物がシミュレーションされた。
【0252】
この混合物をシミュレーションするために、新規材料の結果のn及びk値を算出した。
SIO290%PS10%=0.9*nSiO2+0.1*nPS
SIO290%PS10%=0.9*kSiO2+0.1*kPS
【0253】
それぞれの層の詳細な厚さ及び組成を以下の表に示す。
【0254】
【表26】
【0255】
シミュレーションの結果
【0256】
【表27】
【0257】
UV及び可視領域間の遷移の方程式:
ML E1×1適用:t(λ)=0.0088λ-2.7329 有効性のスペクトル間隔:[305:415nm]
ML E1×2適用:t(λ)=0.0125λ-4.415 有効性のスペクトル間隔:[345:440nm]
ML E1×3適用:t(λ)=0.0210λ-7.8267 有効性のスペクトル間隔:[365:420nm]
【0258】
複数適用、1適用と3適用との間の比較:
実施例ML E1に関して、1適用及び3適用の間で、
-可視範囲における透過は、98%より上に留まる。
-UVにおける透過は、因子5.5で減少する。
-UVBにおける透過は、因子37.5で減少する。
-UVAにおける透過は、因子5.3で減少する。
-勾配パラメーターは、2.4倍増加する。
-カットオフは、400nmにおいて安定する。
【0259】
結論として、本発明の定義に属するこの設計は、シミュレーションされた多数適用プロセスによって、その光学特性の改善を実証する。