(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181223
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】PRAMEを標的とするがんワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20231214BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/705
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174455
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2020532577の分割
【原出願日】2018-12-13
(31)【優先権主張番号】62/598,290
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(72)【発明者】
【氏名】アナ スレイガー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニール クーチ
(57)【要約】
【課題】本明細書に開示されるのは、変異コンセンサスPRAME抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含む核酸分子である。変異コンセンサスPRAME抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含むベクター、組成物、およびワクチンを開示する。
【解決手段】PRAMEを発現する腫瘍を有する対象を治療する方法、およびPRAMEを発現する腫瘍を予防する方法を開示する。変異コンセンサスPRAME抗原を開示する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項2】
配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項3】
配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項4】
配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項6】
前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターである、請求項5に記載のベクター。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、組成物。
【請求項8】
請求項5または6に記載のベクターを含む、組成物。
【請求項9】
配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項10】
配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項5もしくは6に記載のベクターを含む、ワクチン。
【請求項12】
抗原をコードする核酸分子を含むワクチンであって、前記抗原が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項13】
抗原をコードする核酸分子を含むワクチンであって、前記抗原が、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項14】
前記核酸分子が、配列番号1に示される核酸配列または配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される配列を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項15】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項16】
アジュバントをさらに含む、請求項11~15のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項17】
前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、請求項16に記載のワクチン。
【請求項18】
異常なPRAME発現を特徴とする細胞を有する対象を治療する方法であって、請求項11~17のいずれか一項に記載のワクチンの治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項19】
対象においてがんを治療する方法であって、請求項11~17のいずれか一項に記載のワクチンの治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記がんが、卵巣がんである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、上皮性卵巣がんである、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記がんが、漿液性卵巣がんである、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
異常なPRAME発現を特徴とする細胞に対して対象にワクチン接種する方法であって、免疫応答を誘発するのに有効な量の11~17のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
【請求項24】
対象において免疫応答を誘発する方法であって、請求項11~17のいずれか一項に記載のワクチンの治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記誘発される免疫応答が、細胞性応答、体液性免疫応答、または細胞性免疫応答および体液性免疫応答の両方である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞性免疫応答が、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)、もしくはそれらの両方の誘導または分泌を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記誘発される免疫応答が、PRAME抗原を発現する細胞、腫瘍、またはがんの増殖を促進する1つ以上の免疫抑制因子の阻害を含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記投与することが、エレクトロポレーションを含む、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ワクチンが、前記対象の1つ以上の部位に投与される、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
薬剤として使用するための、配列番号1に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項31】
薬剤として使用するための、配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項32】
がんの治療における薬剤としての使用のための、配列番号1に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項33】
がんの治療における薬剤として使用するための、配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項34】
薬剤の調製において使用するための、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項35】
薬剤の調製において使用するための、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項36】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項37】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/598,290号の優先権および利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。該ASCIIコピーは、2018年12月12日に作成され、104409_000445_sequence_listing.txtという名称であり、7,231バイトのサイズである。
【0003】
本発明は、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)の抗原およびそれをコードする核酸分子に関する。本発明はまた、かかるPRAME免疫原および/または核酸分子を含むワクチンに関する。本発明はさらに、免疫応答を誘導し、PRAMEを発現するがん細胞および腫瘍を有する対象を予防および/または治療するためにワクチンを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
がんは、世界中で主要な死因の1つであり、米国では、2番目に多い死因であり、4人に1人近くの死を占める。がんワクチン市場は急速に成長している。有効な腫瘍ワクチンは、腫瘍の増殖を予防するために有用であり得、かつ/または進行がんの患者の標準治療のより有効で毒性が低い代替品として有用であり得る。がんと関連する抗原、したがって抗腫瘍ワクチンの標的はPRAMEである。
【0005】
PRAMEは、当初、ヒトメラノーマにおいてHLA-A24制限抗原ペプチドをコードする遺伝子として特定され、自己細胞傷害性T細胞性免疫応答を引き起こす。ヒトPRAME遺伝子は、22番染色体(HSA22)に位置し、PRAMEがレチノイン酸受容体(RAR)経路を妨害する7つのロイシンリッチ(LXXLL)モチーフを有するタンパク質をコードし、RA誘導性分化、成長停止、およびアポトーシスの阻害につながる(Epping,M.T.et al.The human tumor antigen PRAME is a dominant repressor of retinoic acid receptor signaling.Cell 122,835-847,doi:10.1016/j.cell.2005.07.003(2005))。このように、PRAMEは、シグナル伝達経路の転写抑制因子として機能し、PRAMEの過剰発現は、腫瘍形成をもたらす。
【0006】
精巣を除くほとんどすべての正常な成人組織でその発現が低いか、または存在しないため、PRAMEは、がん精巣抗原(CTA)とみなされる。メラノーマに加えて、PRAMEは、急性および慢性白血病、多発性骨髄腫、髄芽腫、肉腫、頭頸部がん、乳がん、非小細胞肺がん、腎がん、ならびに卵巣がんを含む、他の様々なヒト悪性腫瘍で過剰発現する。卵巣がんの研究では、PRAME発現は、外科的試料の100%で特定された(n=27)(Brenne,K.,Nymoen,D.A.,Reich,R.&Davidson,B.PRAME(preferentially expressed antigen of melanoma)is a novel marker for differentiating serous carcinoma from malignant mesothelioma.American journal of clinical pathology 137,240-247,doi:10.1309/AJCPGA95KVSAUDMF(2012))。
【0007】
がんの予防、診断、および治療は、多くの異なる形態をとり得る。予防には、素因(例えば、特定の遺伝的バリアント)のスクリーニング、挙動の改変(例えば、喫煙、食事、および身体活動の量)、およびウイルスに対するワクチン接種(例えば、ヒト乳頭腫ウイルスB型肝炎ウイルスなど)が含まれる。治療には、化学療法、放射線療法、および腫瘍またはがん性組織の外科的切除などを含み得る。多数の予防および治療法が利用可能であるにもかかわらず、かかる方法は、がんを効果的に予防および/または治療する上で限られた成功しか収めないことが多い。
【0008】
がんの治療および予防のためのワクチンは、興味深いものである。しかしながら、腫瘍細胞抗原を標的とする既存のワクチンは、インビボでの不十分な抗原発現により制限されている。したがって、当技術分野では、がんを予防および/または治療し、がんに罹患している対象の死亡率を低減するための安全かつ効果的なワクチンおよびそれらの使用方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、配列番号1を含む核酸分子、および配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1に示される核酸配列を含む。さらなる実施形態では、核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される核酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、核酸分子は、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。さらなる実施形態では、核酸分子は、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、ベクターは、請求項1に記載の核酸分子を含む。
【0010】
さらに別の実施形態では、核酸分子は、PRAME抗原をコードする。いくつかの実施形態では、コードされるPRAME抗原は、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、コードされるPRAME抗原は、配列番号2を含む。
【0011】
本明細書に記載される核酸分子は、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号1に示される核酸配列を含む。特定の実施形態では、ベクターは、配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される核酸配列を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、ベクターは、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。特定の実施形態では、ベクターは、請求項1に記載の核酸分子を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸は、制御性要素に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、制御性要素は、プロモーターおよび/またはポリアデニル化シグナルである。さらなる実施形態では、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。なおさらなる実施形態では、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である。
【0013】
配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む、PRAME抗原タンパク質が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号2を含む。
【0014】
ワクチンは、PRAME抗原を含み、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む抗原も提供される。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号2を含む。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号1のヌクレオチド55~1584によってコードされる。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号1を含む核酸分子によってコードされる。
【0015】
開示されるPRAME抗原をコードする核酸分子を含むワクチンが本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態では、コードされるPRAME抗原は、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、コードされるPRAME抗原は、配列番号2を含む。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号1のヌクレオチド55~1584によってコードされる。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号1を含む核酸分子によってコードされる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、プラスミドまたはウイルスベクターを含むがこれらに限定されないベクターに組み込まれる。
【0016】
開示されるワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ワクチンは、アジュバントをさらに含み得る。特定の実施形態では、アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである。
【0017】
異常なPRAME発現を特徴とする細胞を有する対象を治療するための方法であって、ワクチンの治療有効量を投与することを含む方法が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態では、投与は、エレクトロポレーションステップを含む。他の実施形態では、投与は、対象の1つ以上の部位で行われる。
【0018】
対象においてがんを治療する方法であって、方法が、ワクチンの治療有効量を対象に投与することを含む、方法が本明細書でさらに記載される。異常なPRAME発現を特徴とする細胞に対して対象にワクチン接種するための方法も提供され、免疫応答を誘発するのに有効な量でワクチンを投与することを含む。この開示で教示される方法で投与されるワクチンは、上述されるような核酸を含む。いくつかの実施形態では、投与は、エレクトロポレーションステップを含む。他の実施形態では、投与は、対象の1つ以上の部位で行われる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸分子は、薬剤として使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療における薬剤として使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸分子は、薬剤の調製において使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療のための薬剤の調製において使用するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】PRAMEの図式表現を示す。
図1Aは、PRAMEタンパク質における7つの推定核内受容体(NR)ボックス(LXXLLモチーフ)のアミノ酸残基番号の位置のグラフ表示を提供する。
図1Bは、各NRボックスについて、隣接するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列データを提供する。
【
図1B】PRAMEの図式表現を示す。
図1Aは、PRAMEタンパク質における7つの推定核内受容体(NR)ボックス(LXXLLモチーフ)のアミノ酸残基番号の位置のグラフ表示を提供する。
図1Bは、各NRボックスについて、隣接するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列データを提供する。
【
図2】改変した合成コンセンサスPRAMEとヒトPRAME配列との配列アラインメントを提供する。
【
図3】一般に、pGX1421を生成するクローニング反応を示す。
【
図4】合成コンセンサスPRAMEをトランスフェクトした細胞株におけるPRAME抗原の発現のウエスタンブロット分析による確認を示す。
【
図5】合成コンセンサスPRAMEの発現を、対照(pVAX)と比較するイムノアッセイの結果を示す。
【
図6】C57Bl/6マウスにおいて実施した免疫原性試験の免疫化および採血スケジュールを示す。
【
図7】マウスにおけるpGX1411の用量応答を示す。
【
図8A】pGX1411がマウスにおいて免疫原性であることの確認を示す。
【
図8B】pGX1411の投与後のマウスまたは未処理マウスにおける免疫応答をグラフで示す。
【
図9A】マウスにおけるCD4+およびCD8+T細胞応答を決定するためのフローサイトメトリー分析の結果をグラフで示す。詳細には、
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、未処理対照と比較して、pGX1411を受けたマウスにおいてIFNγを産生するためのCD4+およびCD8+応答を示す。
【
図9B】マウスにおけるCD4+およびCD8+T細胞応答を決定するためのフローサイトメトリー分析の結果をグラフで示す。詳細には、
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、未処理対照と比較して、pGX1411を受けたマウスにおいてIFNγを産生するためのCD4+およびCD8+応答を示す。
【
図9C】
図9Cおよび
図9Dは、それぞれ、未処理対照と比較して、pGX1411を受けたマウスにおいてCD107a+を産生するためのCD4+およびCD8+応答を示す。
【
図9D】
図9Cおよび
図9Dは、それぞれ、未処理対照と比較して、pGX1411を受けたマウスにおいてCD107a+を産生するためのCD4+およびCD8+応答を示す。
【
図9E】
図9Eおよび
図9Fは、それぞれ、未処理対照と比較して、pGX1411を受けたマウスにおいてTNFαを産生するためのCD4+およびCD8+応答を示す。
【
図9F】
図9Eおよび
図9Fは、それぞれ、未処理対照と比較して、pGX1411を受けたマウスにおいてTNFαを産生するためのCD4+およびCD8+応答を示す。
【
図10】未処理対照と比較した、5、25、および50μgのpGX1411による処理後のエンドポイント力価をグラフで示す。
【
図12】合成コンセンサスPRAMEおよび改変した合成コンセンサスPRAMEを投与したマウスにおける免疫応答の比較をグラフで示す。
【
図13】非ヒト霊長類(NHP)研究についての免疫化および採血スケジュール示す。
【
図14A】IFNγ ELISpotによって決定した細胞性免疫原性を示す。
図14Aは、経時的な免疫化群による平均IFNγ応答を示す。
【
図14C】
図14Cは、群内のバリエーションとともに群内のIFNγ応答を示す。pGX1421およびpGX6006の投与のタイミングは、矢印1~4で示した。
【
図15A】pGX1421およびPGX6006を投与したNHPにおけるCD4+およびCD8+T細胞応答を示す。
図15Aは、CD4+T細胞応答をグラフで示す。
【
図16A】pGX1421およびpGX1421がpGX6006(IL-12)と組み合わせて誘導する細胞性免疫応答を示す。
図16Aは、pGX1421を投与した個々のNHPにおけるIFNγ応答を示す。
【
図16B】
図16Bは、pGX1421およびpGX6006の両方を投与した個々のNHPにおけるIFNγ応答を示す。
【
図16C】
図16Cは、
図16Aおよび
図16Bに示される応答の比較を提供する。pGX1421およびpGX1421をpGX6006と組み合わせて投与するタイミングは、矢印1~4で示した。
【
図17A】フローサイトメトリーで特徴付けしたpGX1421およびpGX1421とpGX6006との組み合わせによって誘導される細胞性免疫応答を示す。
図17Aは、任意の個々のレシピエントにおける最小のCD4+応答を示す。
【
図17C】
図17Cは、pGX1421単独投与よりも大きいpGX1421/pGX6006投与のCD8+T細胞応答を示す。
【
図17E】
図17Eは、pGX1421を単独でまたはpGX6006と組み合わせて投与したNHPにおけるCD8+GrB+T細胞応答を示す。
【
図18A】pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたIFNγ応答(
図18A)と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたそれらの応答(
図18B)とを比較した。
【
図18B】pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたIFNγ応答(
図18A)と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたそれらの応答(
図18B)とを比較した。
【
図18C】
図18Cは、比較を容易にするために、
図18Aおよび
図18Bのデータを組み合わせる。pGX6006と組み合わせたpGX1421、およびpGX6006と組み合わせたpGX1411の投与のタイミングは、矢印1~4で示した。
【
図19A】pGX1421をpGX6006と組み合わせて投与することによって誘導される細胞性免疫応答と、pGX1411をpGX6006と組み合わせて投与することによって誘導されるそれらの同じ応答と、を示す。詳細には、
図19Aは、pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたCD4+T細胞応答と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたCD4+T細胞応答と、を示しており、
図19Dは、これらの2つの群間のINFγおよびTNFαを示す。
【
図19B】
図19Bは、pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたCD8+T細胞応答と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたCD8+T細胞応答と、を示しており、
図19Eは、これらの2つの群間のINFγおよびTNFαを示す。
【
図19C】
図19Cは、pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたCD8+GrB+T細胞応答と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたCD8+GrB+T細胞応答と、を示しており、
図19Dは、群間のINFγおよびTNFαを示す。
【
図19D】
図19Aは、pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたCD4+T細胞応答と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたCD4+T細胞応答と、を示しており、
図19Dは、これらの2つの群間のINFγおよびTNFαを示す。
【
図19E】
図19Bは、pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたCD8+T細胞応答と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたCD8+T細胞応答と、を示しており、
図19Eは、これらの2つの群間のINFγおよびTNFαを示す。
【
図19F】
図19Cは、pGX6006と組み合わせたpGX1421の投与によって誘導されたCD8+GrB+T細胞応答と、pGX6006と組み合わせたpGX1411の投与によって誘導されたCD8+GrB+T細胞応答と、を示しており、
図19Fは、群間のINFγおよびTNFαを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、PRAME抗原を含むワクチンに関する。ワクチンは、PRAMEを発現するがんの治療および/または予防を提供する。本発明のワクチンは、治療を必要とする対象のがんの特定の予防または治療のための特定のがん抗原の任意の組み合わせを提供することができる。
【0022】
組換えがん抗原の核酸およびそのコードされるアミノ酸配列を設計するための1つの方法は、天然がん抗原の全体的なアミノ酸配列において特定のアミノ酸を変化させる変異を導入することによるものである。変異の導入は、がん抗原をあまり改変しないため、哺乳動物対象、好ましくはヒトまたはイヌ対象にわたり普遍的に適用することはできないが、結果として生じるアミノ酸配列は、免疫応答を生成するために、寛容性を破壊するか、または外来抗原と見なされるように十分に変化する。別の様式は、それに対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%~最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、少なくとも90%~最大98%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも93%~最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは、少なくとも95%~最大98%の配列同一性を有するコンセンサス組換えがん抗原を作製することであり得る。いくつかの実施形態では、組換えがん抗原は、それに対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。天然がん抗原は、特定のがんまたはがん腫瘍に通常関連する抗原である。がん抗原に応じて、がん抗原のコンセンサス配列は、哺乳動物種全体、または種のサブタイプ内、またはウイルス株全体、または血清型にわたることができる。いくつかのがん抗原は、がん抗原の野生型アミノ酸配列と大きく異ならない。いくつかのがん抗原は、種にわたり多岐の核酸/アミノ酸配列を有し、コンセンサス配列を生成できない。これらの事例では、組換えがん抗原は、寛容性を破壊して生成し、それに対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%~最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、少なくとも90%~最大98%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも93%~最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは、少なくとも95%~最大98%の配列同一性を有する免疫応答が生成される。いくつかの事例では、組換えがん抗原は、それに対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。前述のアプローチを組み合わせて、最終的な組換えがん抗原が、上述される天然がん抗原アミノ酸配列との類似性パーセントを有するようにすることができる。
【0023】
本開示のPRAME抗原は、異なる種または種内の異なるアイソフォームからのPRAMEのアミノ酸または核酸配列に由来する合成コンセンサスPRAME抗原であり得、したがって、合成コンセンサスPRAME抗原は非天然である。合成コンセンサスPRAME抗原は、レチノイン酸受容体(RAR)と相互作用または相互作用を媒介するタンパク質ドメイン内のアミノ酸置換も含む。詳細には、アミノ酸残基487および488でのロイシンアミノ酸残基は、バリン残基によって置換され得る。さらに、PRAME抗原は、それぞれ、発現および免疫原性を増強するために、コザック制御性配列および/またはIgEリーダー配列を含み得る。
【0024】
組換えPRAMEは、抗原特異的T細胞および/または高力価の抗体応答を誘導し、それにより、抗原を発現するがんまたは腫瘍に対して直接的もしくは反応性である免疫応答を誘導または誘発する。いくつかの実施形態において、誘導または誘発された免疫応答は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性免疫応答の両方であり得る。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された細胞性免疫応答は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌を含むことができる。他の実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Treg)、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生される可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、および免疫チェックポイント分子を上方制御する因子を低減または阻害することができる。
【0025】
ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わせて、細胞性および体液性免疫応答の両方の刺激を増強できる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用すると、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを防止する。全体として、免疫系により認識されるようにがん抗原を設計することは、腫瘍細胞による他の形態の免疫抑制を克服するのに役立ち、これらのワクチンは、抑制または阻害療法(抗PD-1および抗PDL-1抗体療法など)と組み合わせて使用して、T細胞および/またはB細胞応答をさらに増強できる。
【0026】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含む本文書が優先される。好ましい方法および材料を以下に記載するが、本明細書に記載されているものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができる。本明細書で言及したすべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。
【0027】
本明細書で使用される「含む(comprise(複数可))」、「含む(include(複数可))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる」、「含む(contain(複数可))」、およびそれらの変形の用語は、追加の行為または構造の可能性を排除しない、制限のない過渡的な句、用語、または単語であることを意図する。単数形「a」、「and」、および「the」には、文脈から明確に指示されない限り、複数の参照が含まれる。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素を「含む」、「からなる」および「本質的にからなる」他の実施形態も企図する。
【0028】
本明細書の数値範囲の列挙については、列挙された範囲の最小値および最大値と同じ程度の精度を有する各々の介在する値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6および9に加えて7および8の数値が企図され、6.0~7.0の範囲では、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数値が、明示的に企図される。
【0029】
本明細書で使用される「アジュバント」は、本明細書で記載されるPRAME抗原および/または本明細書で記載される抗原をコードする核酸分子の免疫原性を増強するために本明細書で記載されるワクチンに追加される任意の分子を意味する。
【0030】
本明細書で使用される「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、またはその断片もしくは誘導体を意味し、Fab、F(ab’)2、Fd、および一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、およびそれらの誘導体を含む。抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製された抗体、またはその任意の混合物であり得、それに由来する所望されるエピトープまたは配列に対して十分な結合特異性を示す。
【0031】
「PRAME抗原」とは、配列番号2のアミノ酸残基19~526を含む、変異PRAMEアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。PRAME抗原は、他のタンパク質からのものなどのシグナルペプチドを任意で含み得る。例えば、シグナルペプチドを含むPRAME抗原は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み得る。
【0032】
本明細書で使用される「コード化配列」または「コード化核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード化配列は、核酸が投与される対象または哺乳動物の細胞における発現を指示することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む、制御要素に作動可能に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。
【0033】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」は、核酸がヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間のワトソン-クリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対を意味し得ることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される、「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、異なる生物からの同じ遺伝子に対する複数の配列のアラインメントの分析に基づいたポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。コンセンサス配列を含むタンパク質および/またはそのようなタンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンを使用して、抗原に対して広範な免疫を誘導することができる。
【0035】
本明細書で使用される「定電流」は、同じ組織に送達される電気パルスの持続時間にわたって、組織または該組織を規定する細胞によって受け取られるまたは経験される電流を表す。電気パルスは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションデバイスから送達される。本明細書で提供されるエレクトロポレーションデバイスは、好ましくは瞬間的なフィードバックを有するフィードバック要素を有するので、この電流は、電気パルスの寿命にわたって該組織内で一定のアンペア数のままである。フィードバック要素は、パルスの持続時間全体で組織(または細胞)の抵抗を測定し、エレクトロポレーションデバイスにその電気エネルギー出力を変化(例えば、電圧を増加)させることができるため、同じ組織の電流は電気パルス全体で(マイクロ秒のオーダーで)、またパルス間で一定のままである。いくつかの実施形態において、フィードバック要素は、コントローラを含む。
【0036】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、互換的に使用され得、かつ提供されたエレクトロポレーションデバイスの能動的応答を意味し得、これは、電極間の組織の電流を測定し、それに応じて電流を一定レベルに維持するために、EPデバイスによって供給されるエネルギー出力を変更することを含む。この一定レベルは、パルス配列または電気治療の開始前にユーザによって事前設定される。フィードバックは、電気回路が、電極間の組織の電流を継続的にモニタリングし、そのモニタリングされた電流(または組織内の電流)をプリセット電流と比較し、エネルギー出力調整を継続的に行って、モニタリングされた電流をプリセットレベルに維持するため、エレクトロポレーションデバイスのエレクトロポレーション構成要素、例えば、コントローラによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるため、瞬間的であり得る。
【0037】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書で記載される電気穿孔デバイスの様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、ここで、パターンは、エレクトロポレーションされている組織の任意の領域におけるエレクトロポレーション関連熱ストレスの発生を最小化、または好ましくは排除する。
【0038】
本明細書で互換的に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過性」、または「動電学的増強」(「EP」)は、生体膜に微視的経路(細孔)を誘導する膜貫通電場パルスの使用を意味し、それらの存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、水などの生体分子が細胞膜の一方の側からもう一方の側へと通過することができる。
【0039】
核酸配列に関して本明細書で使用される「断片」は、本明細書で開示される抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することが可能なポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部を意味する。断片は、以下に記載のタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。断片は、追加された異種シグナルペプチドを除いて、以下に示される1つ以上の核酸配列の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。断片は、以下に示される1つ以上の核酸配列の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得、さらに任意で、異種シグナルペプチドをコードする配列を含み、同一性パーセントを計算する際に含まれない。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドのコード化配列をさらに含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード化配列は、コード化配列の断片に連結され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、断片は、以下に示される少なくとも1つの核酸配列のうちの少なくとも20ヌクレオチド以上、少なくとも30ヌクレオチド以上、少なくとも40ヌクレオチド以上、少なくとも50ヌクレオチド以上、少なくとも60ヌクレオチド以上、少なくとも70ヌクレオチド以上、少なくとも80ヌクレオチド以上、少なくとも90ヌクレオチド以上、少なくとも100ヌクレオチド以上、少なくとも150ヌクレオチド以上、少なくとも200ヌクレオチド以上、少なくとも250ヌクレオチド以上、少なくとも300ヌクレオチド以上、少なくとも350ヌクレオチド以上、少なくとも400ヌクレオチド以上、少なくとも450ヌクレオチド以上、少なくとも500ヌクレオチド以上、少なくとも550ヌクレオチド以上、少なくとも600ヌクレオチド以上、少なくとも650ヌクレオチド以上、少なくとも700ヌクレオチド以上、少なくとも750ヌクレオチド以上、少なくとも800ヌクレオチド以上、少なくとも850ヌクレオチド以上、少なくとも900ヌクレオチド以上、少なくとも950ヌクレオチド以上、または少なくとも1000ヌクレオチド以上を含むことができる。
【0041】
ポリペプチド配列に関する「断片」または「免疫原性断片」は、本明細書に開示される抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドを意味する。断片は、以下の様々なアミノ酸配列の少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。コンセンサスタンパク質の断片は、追加された異種シグナルペプチドを除いて、コンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。断片は、以下に示される1つ以上のアミノ配列の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得、さらに任意で、異種シグナルペプチドを含み、同一性パーセントを計算する際に含まれない。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、コンセンサスタンパク質の断片は、本明細書に開示されるタンパク質配列の少なくとも20アミノ酸以上、少なくとも30アミノ酸以上、少なくとも40アミノ酸以上、少なくとも50アミノ酸以上、少なくとも60アミノ酸以上、少なくとも70アミノ酸以上、少なくとも80アミノ酸以上、少なくとも90アミノ酸以上、少なくとも100アミノ酸以上、少なくとも110アミノ酸以上、少なくとも120アミノ酸以上、少なくとも130アミノ酸以上、少なくとも140アミノ酸以上、少なくとも150アミノ酸以上、少なくとも160アミノ酸以上、少なくとも170アミノ酸以上、少なくとも180アミノ酸以上を含むことができる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード化配列は、核酸分子が投与される対象の細胞における発現を指示することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む、制御要素に作動可能に連結された開始および終結シグナルを含む。本明細書で使用する場合、「発現可能な形態」という用語は、対象の細胞に存在する場合に、コード化配列が発現されるようにタンパク質をコードするコード化配列に機能的に連結された必要な制御性要素を含む遺伝子構築物を指す。
【0044】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、ある程度の相補性を指す。部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)があり得る。完全に相補的な配列が、標的核酸にハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な配列は、機能的用語「実質的に相同」を使用して言及される。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合に、本明細書で使用される「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズできるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合に、本明細書で使用される「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸鋳型配列にハイブリダイズできる(すなわち、その相補体である)プローブを指す。
【0045】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈で本明細書で使用される「同一」または「同一性」は、配列が、特定の領域にわたって同じである特定の割合の残基を有することを意味する。割合は、2つの配列を最適に整列し、指定された領域にわたり2つの配列を比較し、一致した位置の数を得るために、両方の配列で同一の残基が発生する位置の数を決定し、一致した位置の数を指定された領域の位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性の割合を得ることで計算できる。2つの配列の長さが異なる場合、またはアラインメントによって1つ以上の互い違いの末端が生成され、指定された比較領域に単一配列のみが含まれる場合、単一配列の残基は分母に含まれるが、計算の分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等と見なすことができる。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST 2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを使用して実施できる。
【0046】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を論じるときに使用され得、オームの法則に従って電流値に変換できるため、事前設定された電流との比較が可能になる。
【0047】
本明細書で使用される「免疫応答」は、抗原の導入に応答した、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味する。免疫応答は、細胞性、または体液性応答、またはその両方の形態であり得る。
【0048】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の描写は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸はまた、描写された一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントは、所定の核酸と同じ目的で使用できる。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその相補体を包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズできるプローブを提供する。したがって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
【0049】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得、または二本鎖および一本鎖配列の両方の部分を含み得る。核酸は、ゲノムおよびcDNAの両方のDNA、RNA、またはハイブリッドであることができ、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組み合わせを含むことができ、塩基の組み合わせは、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む。核酸は、化学合成法または組換え法によって得ることができる。
【0050】
本明細書で使用される「作動可能に連結される」は、遺伝子の発現が、それが空間的に接続されているプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に配置できる。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターとプロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当技術分野で知られているように、この距離の変動は、プロモーター機能を失うことなく対応することができる。
【0051】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0052】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する、または増強することができる合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、細胞における核酸の発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写制御配列を含み得る。プロモーターは、転写の開始部位から数千塩基対ほど離れて位置し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素も含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは臓器に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して、構成的または差次的に遺伝子構成成分の発現を制御することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、またはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが含まれる。
【0053】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書において互換的に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端で連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質が産生される細胞からその分泌を容易することが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、しばしば成熟タンパク質と称される、タンパク質の残りの部分から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端(すなわち、N末端)で連結される。
【0054】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複雑な混合物などにおいて、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況において異なる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特異的配列の熱的融点(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)であり得る(標的配列は過剰で存在するため、Tmで、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0~8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が短いプローブについては(例えば、約10~50ヌクレオチド)少なくとも約30℃、そして長いプローブについては(例えば、約50ヌクレオチド超)少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成することができる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、正のシグナルは背景ハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下を含む:50%ホルムアミド、5xSSC、および1%SDS、42℃でのインキュベート、または5xSSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、65℃で0.2xSSC、および0.1%SDSで洗浄。
【0055】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫化されることを望む、またはそれを必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはラットであり得る。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に相補的」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または2つの配列がストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
【0057】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1および第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または核酸に関して、第1の配列が第2の配列の補体と実質的に相補的であることを意味する。
【0058】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、阻止する、または完全に排除することにより疾患から動物を保護することを意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の抑制は、疾患の誘導後であるが、その臨床的出現の前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の阻止は、疾患の臨床的出現後に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。
【0059】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の一部もしくは断片、(ii)参照ヌクレオチド配列もしくはその一部の補体、(iii)参照核酸またはその補体と実質的に同一である核酸、または(iv)ストリンジェントな条件下で、参照核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸を意味する。
【0060】
ペプチドまたはポリペプチドに関して本明細書で使用される「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているペプチドまたはポリペプチドを意味する。バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似する特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、および分布)の異なるアミノ酸に置き換えることは、当該技術分野において典型的にわずかな変化を伴うと認識されている。これらのわずかな変化は、当該技術分野において理解されるように、一部、アミノ酸の疎水性親水性指数を考慮することによって同定され得る。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指数は、その疎水性および電荷を考慮することに基づく。類似する疎水性親水性指数のアミノ酸が置換され、尚もタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において既知である。一態様では、±2の疎水性親水性指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を使用して、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにすることもできる。ペプチドの文脈において、アミノ酸の親水性を考慮することにより、抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な手段である、そのペプチドの最大局所平均親水性の計算が可能となる。米国特許第4,554,101号が、参照により本明細書に完全に組み込まれる。類似する親水性値を有するアミノ酸を置換することにより、当該技術分野において理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2内の親水性値を有するアミノ酸で実施することができる。アミノ酸の疎水性親水性指数および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その観察と一致して、生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の特性により明らかにされるように、アミノ酸の相対類似性および特にそれらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
【0061】
バリアントは、完全な遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0062】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含有するか、それを含み得る。
【0063】
ワクチン
本明細書に記載されるPRAME抗原またはかかる抗原をコードする核酸分子を含むワクチンが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2のアミノ酸残基19~526に示されるアミノ酸配列を有するPRAME抗原をコードする。いくつかの実施形態では、PRAME抗原は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するPRAME抗原をコードする。いくつかの実施形態では、PRAME抗原をコードする核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド55~1584に示される核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、PRAME抗原をコードする核酸分子は、配列番号1に示される核酸配列を含む。ワクチンは、抗原に対する免疫応答を対象において生じさせることが可能であり得る。免疫応答は、治療的または予防的免疫応答であり得る。ワクチンは、以下により詳細に記載されるように、ベクターまたは複数のベクターを含み得る。
【0064】
ワクチンは、がん、例えば、PRAMEを発現するがんまたは腫瘍から保護するために使用することができる。ワクチンは、PRAMEを発現する卵巣がんを予防および/または治療するために、それを必要とする対象において使用することができる。ワクチンは、PRAMEおよびPRAMEを発現するがんに対する細胞性および/または抗体応答を、それを必要とする対象において誘導することができる。本開示のいくつかの実施形態では、ワクチンは、PRAMEの異常な発現を特徴とする細胞に対する細胞性および/または抗体応答を保護、予防、治療、および/または誘導するために使用することができる。本開示のいくつかの実施形態では、ワクチンは、PRAME、使用際には上皮性卵巣がん細胞、さらに詳細には漿液性卵巣がん細胞の異常な発現を特徴とする卵巣がん細胞に対する細胞性および/または抗体応答を保護、予防、治療、および/または誘導するために使用できる。
【0065】
本明細書に記載されるがんワクチンの開発には、免疫系によって認識されず、自己抗原であるがん抗原、例えばPRAMEを同定することを含む。同定されたがん抗原は、免疫系により認識されるために、自己抗原から外来抗原に変更される。組換えがん抗原の核酸およびアミノ酸配列を自己から外来抗原に再設計すると、免疫系による抗原の寛容性が破壊される。寛容性を破壊するために、いくつかの再設計手段を用いて、以下で記載するようにがん抗原を生成することができる。
【0066】
寛容性を破壊することは、抗原特異的T細胞および/または高力価の抗体応答を誘導し、それにより、抗原を発現するがんまたは腫瘍に対して直接的もしくは反応性である免疫応答を誘導または誘発する。いくつかの実施形態において、誘導または誘発された免疫応答は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性免疫応答の両方であり得る。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された細胞性免疫応答は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌を含むことができる。他の実施形態において、誘導または誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Treg)、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生される可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、および免疫チェックポイント分子を上方制御する因子を低減または阻害することができる。
【0067】
特定の実施形態において、ワクチンは、(1)CD8+(CTL)などの細胞傷害性Tリンパ球を増加させて、腫瘍細胞を攻撃して殺傷する、(2)Tヘルパー細胞応答を増加させる、ならびに/または(3)IFN-γおよびTFN-α、または好ましくは前述のすべてを介した炎症応答を増加させることにより、クリアランスを媒介するか、または腫瘍細胞の増殖を防止できる。ワクチンは、腫瘍フリー生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、および45%で増強できる。ワクチンは、免疫化後に、腫瘍質量を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%で低減できる。このワクチンは、骨髄由来サプレッサー細胞から分泌されるサイトカインである単球走化性タンパク質1(MCP-1)の増加を防止および遮断できる。ワクチンは、腫瘍生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%で増強できる。
【0068】
ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象における細胞性免疫応答と比較して、ワクチンを投与された対象における細胞性免疫応答を約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍で増強できる。いくつかの実施形態において、ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象における細胞性免疫応答と比較して、ワクチンを投与された対象における細胞性免疫応答を約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍で増強できる。
【0069】
ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象におけるIFN-γレベルと比較して、ワクチンを投与された対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルを約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍で増強できる。いくつかの実施形態において、ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象におけるIFN-γレベルと比較して、ワクチンを投与された対象におけるIFN-γレベルを約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍で増強できる。
【0070】
ワクチンは、DNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号に開示されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。DNAワクチンは、それが染色体に組み込まれるのを阻害する要素または試薬をさらに含むことができる。
【0071】
ワクチンは、がん抗原をコードするRNAを含み得る。RNAワクチンは、細胞に導入することができる。
【0072】
ワクチンは、弱毒生ワクチン、組換えベクターを使用して抗原を送達するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチンであり得、例えば、これらに限定されないが、ワクチンは、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号、および同第6,589,529に記載され、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
いくつかの実施形態において、核酸ワクチンは、分子アジュバントのコード化配列をさらに含み得、いくつかの事例において、分子アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESであり得。いくつかの事例において、分子アジュバントは、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、抗プログラム死受容体1(PD-1)、および抗リンパ球活性化遺伝子(LAG-3)を含む、チェックポイント阻害剤である。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESについてのコード化配列は、1つ以上の抗原についてのコード化配列を含む1つ以上の核酸分子に含まれ得る。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESのコード化配列は、別個のプラスミドなどの別個の核酸分子上に含まれ得る。
【0074】
本発明のワクチンは、ワクチンのそれ自体が疾患または死亡を引き起こさないように安全である、疾患から保護する、中和抗体の誘導する、保護T細胞応答を誘導する、投与の簡易性、少ない副反応、生物学的安定性、低い用量あたりのコストを提供するなどの有効なワクチンに要求される特徴を有することができる。ワクチンは、以下で論ずるように、がん抗原を含有することによりこれらの特徴のいくつかまたはすべてを達成することができる。
【0075】
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に記載される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラス提示、T細胞提示および/もしくは分化、B細胞提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達など、免疫系の任意の成分の抑制を防止する任意の核酸またはタンパク質である。以下でさらに詳細に記載するように、ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わせて、細胞性および体液性免疫応答の両方の刺激を増強できる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用すると、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを防止する。
【0076】
抗原
上述されるように、ワクチンは、抗原または抗原をコードする核酸分子を含むことができる。抗原は、PRAME、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。PRAMEは、精巣で発現するが、通常は、または比較的少量で、正常な非がん性組織で発現する。PRAMEタンパク質は、レチノイン酸受容体のリプレッサーであり、理論に縛られることなく、このリプレッサーは、レチノイン酸によって誘導される細胞増殖およびアポトーシスの停止を抑制することにより、がん細胞に成長の利点を与えると考えられている。例えば、PRAMEは、いくつかの形態のがんに関連しており、既知のがん抗原である。PRAME発現は、子宮内膜がん、精巣がん、メラノーマ、および卵巣がんにおいて増強される。
【0077】
したがって、ワクチンは、PRAMEを発現するがんに罹患する対象を治療するために使用することができる。ワクチンは、PRAMEを発現するがんもしくは腫瘍を有する対象を治療するため、または対象のそのような腫瘍の発達を予防するためにも使用され得る。本開示のPRAME抗原は、天然の「正常な」PRAME抗原とは異なり、したがって、PRAME抗原を発現する腫瘍に対する治療または予防を提供する。したがって、天然PRAME遺伝子とは異なるPRAME抗原配列(すなわち、バリアントPRAME遺伝子または配列)が本明細書で提供される。本発明のいくつかの態様は、配列番号1に示される核酸配列を含む核酸分子を含むワクチンを提供し、いくつかの態様は、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸分子を含むワクチンを提供する。
【0078】
上述される異種配列を含む単離された核酸分子が提供される。上述される異種配列からなる単離された核酸分子が提供される。上述される異種配列を含む単離された核酸分子は、プラスミド、ウイルスベクター、および以下に記載されるような他の形態の核酸分子などのベクターに組み込まれ得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、核酸分子は、プラスミドに組み込まれる。他の実施形態では、核酸分子は、ベクターに組み込まれる。本開示のいくつかの態様は、配列番号1のヌクレオチド酸配列を有するか、または配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む組成物を提供する。
【0079】
PRAME抗原をコードする配列を有する核酸分子が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、プラスミドまたはウイルスベクターを含むがこれらに限定されないベクターに組み込まれる。PRAME抗原をコードするコード化配列は、上述される配列を有する。
【0080】
上述される異種アミノ酸配列を含むタンパク質分子が提供される。上述される異種アミノ酸配列からなるタンパク質分子が提供される。上述される配列を有するタンパク質およびポリペプチドが本明細書に提供される。本開示のタンパク質およびポリペプチドは、PRAME抗原およびPRAME免疫原と称され得る。PRAME抗原は、PRAME抗原を発現するがんおよび/または腫瘍に対する免疫応答を誘発することが可能である。
【0081】
一態様では、転写を増加するための低GC含有リーダー配列、mRNA安定性およびコドン最適化、ならびに可能な限り、シス作用性配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の排除の1つ以上を含む、コンセンサス抗原が転写および翻訳の改善を提供することが望ましい。
【0082】
いくつかの態様では、複数の株にわたって広範な免疫応答を生成するコンセンサス抗原を生成し、コンセンサス抗原が、すべての利用可能な完全長配列の組み込み、各位置で最も一般的に生じるアミノ酸を利用するコンピュータが生成した配列、および株間での交差反応の増加のうちの1つ以上を有することが望ましい。
【0083】
PRAME抗原は、2つ以上の種に由来するコンセンサス抗原(または免疫源)配列であり得る。PRAME抗原は、コンセンサス配列および/または発現を改善するための修飾(複数可)を含み得る。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を増加させるためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加、および/またはPRAME抗原の免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の追加を含み得る。PRAME抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、PRAMEコンセンサス抗原は、血球凝集素(HA)タグを含むことができる。PRAMEコンセンサス抗原は、対応するコドン最適化PRAME抗原よりも強力かつ幅広い細胞性および/または体液性免疫応答を誘発するように設計できる。
【0084】
PRAMEコンセンサス抗原は、タンパク質の1つ以上の機能ドメインに1つ以上のバリアント体を含むことができ、それにより、対応するコドン最適化PRAME抗原より強力かつより広範な細胞性および/または体液性免疫応答を誘発する。1つ以上の変異は、RARとの相互作用を媒介するPRAMEタンパク質のドメインにおける1つ以上のアミノ酸の置換であり得る。
【0085】
免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたワクチン
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下でより詳細に記載する。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラス提示、T細胞提示および/もしくは分化、B細胞提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達など、免疫系の任意の成分の抑制を防止する任意の核酸またはタンパク質である。
【0086】
かかる阻害剤は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸はまた、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤と連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列を含むことができる。小分子は、低分子量、例えば、800ダルトン未満の酵素基質、タンパク質もしくは核酸により結合されたリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの制御因子として機能する、有機または無機化合物であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせをコードする1つ以上の核酸配列であり得る。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0088】
1.免疫チェックポイント分子
免疫チェックポイント分子は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸はまた、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤と連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列を含むことができる。小分子は、低分子量、例えば、800ダルトン未満の酵素基質、タンパク質もしくは核酸により結合されたリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの制御因子として機能する、有機または無機化合物であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0089】
a.PD-1およびPD-L1
免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1は、PDCD1遺伝子によりコードされる細胞表面タンパク質である。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞およびプロB細胞に発現しているため、これらの細胞の運命および/または分化に寄与する。特に、PD-1は、T細胞制御因子のCD28/CTLA-4ファミリーの1型膜タンパク質であり、T細胞受容体(TCR)シグナルを負に制御し、それにより免疫応答を負に制御する。PD-1は、CD8+T細胞応答を負に制御することができるため、CD8媒介細胞傷害性を阻害し、腫瘍の成長を促進する。
【0090】
PD-1は、PD-L1およびPD-L2という2つのリガンドを有し、それは、B7ファミリーのメンバーである。PD-L1は、LPSおよびGM-CSF処理に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)で、かつTCRおよびB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞およびB細胞で上方制御される。PD-L1は、骨髄腫、肥満細胞腫、およびメラノーマを含む多くの腫瘍細胞株で発現する。
【0091】
2.抗免疫チェックポイント分子抗体
上述されるように、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体であり得る。抗体は、抗原(すなわち、上述される免疫チェックポイント分子)と結合または反応することができる。したがって、抗体は、抗免疫チェックポイント分子抗体または免疫チェックポイント分子抗体と考慮され得る。抗体は、含まれる核酸配列によりコードすることができる。
【0092】
抗体は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含むことができる。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域および/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含むことができる。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、および定常重鎖領域3(CH3)、および/またはヒンジ領域を含むことができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含むことができる。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含むことができる。
【0094】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。CDRセットは、VH領域のうちの3つの超可変領域を含むことができる。重鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と示される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与することができる。
【0095】
軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域および/または定常軽鎖(CL)領域を含むことができる。軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。CDRセットには、VL領域のうちの3つの超可変領域を含むことができる。軽鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と示される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与することができる。
【0096】
抗体は、重鎖および軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得、CDRに対して支持を提供し、CDRの空間的な関係を相互に定義する重鎖および軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間にそれぞれ挿入される。CDRセットは、重または軽鎖V領域のうちの3つの超可変領域を含み得る。重または軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、「CDR3」と示される。したがって、抗原結合部位は、重および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、6つのCDRを含み得る。
【0097】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含むことができる。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含むことができる。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含むことができる。
【0098】
追加的に、タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片を生成し、その2つ(F(ab)断片)は、各々、無傷の抗原結合部位を含む共有ヘテロダイマーを含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、F(ab’)2断片を含むいくつかの断片を提供でき、両方の抗原結合部位を含む。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含むことができる。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含むことができる。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含むことができる。
【0099】
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する所望される抗原と結合する非ヒト種からの抗体であり得る。
【0100】
a.PD-1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-1抗体(本明細書では「PD-1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1抗体は、ニボルマブであり得る。抗PD-1抗体は、PD-1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍増殖を減少させることができる。
【0101】
b.PD-L1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-L1抗体(本明細書では「PD-L1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。抗PD-L1抗体は、PD-L1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍増殖を減少させることができる。
【0102】
ベクター
ワクチンは、PRAME抗原をコードする異種核酸を含む1つ以上のベクターを含むことができる。1つ以上のベクターが、哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有効な量で抗原を発現することが可能であり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターは、複製起点を含む核酸配列を有することができる。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0103】
1つ以上のベクターは、発現構築物であり得、これは、一般的に、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞転写および翻訳機構によって生成される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として機能し、発現ベクター上で運ばれる遺伝子の効率的な転写につながる制御性配列を含むように多くの場合設計されている。本発明のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現する。
【0104】
ベクターは、強力なプロモーター、強力な終止コドン、プロモーターとクローニングされた遺伝子との間の距離の調整、ならびに転写終結配列およびPTIS(携帯型翻訳開始配列)の挿入などの発現エンハンサーを有し得る。
【0105】
ベクターは、環状プラスミドまたは直鎖状核酸であり得る。環状プラスミドおよび直鎖状核酸は、適切な対象細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を指示することが可能である。ベクターは、抗原をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを有することができ、終結シグナルに機能的に連結され得る。ベクターは、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も含有し得る。ベクターは、PRAME抗原または他のコード化配列、制御性配列、ならびに選択および/またはスクリーニングマーカーコード化配列を含むがこれらに限定されない所望の断片をベクターにクローニングするために必要な、またはその効率を高める配列を含み得る。目的のヌクレオチド配列を含むベクターは、キメラであり得、これは、その成分の少なくとも1つが、他の成分の少なくとも1つに関して異種であることを意味する。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下であり得、宿主細胞が、一部の特定の外部刺激に曝露されたときにのみ転写を開始する。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織または器官または発生段階に特異的であり得る。
【0106】
ベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、PRAME抗原をコードする核酸により細胞にトランスフェクトするのに有用であり得、形質転換された宿主細胞は、抗原の発現が起こる条件下で培養および維持される。
【0107】
プラスミドは、合成の、抗原に対する免疫応答を誘発できるコンセンサス抗原、かかるタンパク質の断片、かかるタンパク質のバリアント、バリアントまたは融合タンパク質の断片をコードするコード化配列を含む、本明細書に開示されたPRAME抗原の1つ以上をコードする核酸配列を含み得、これらは、コンセンサスタンパク質および/またはコンセンサスタンパク質の断片および/またはコンセンサスタンパク質のバリアントおよび/またはコンセンサスタンパク質のバリアントの断片の組み合わせで構成される。
【0108】
単一のプラスミドは、単一の抗原のコード化配列、2つの抗原のコード化配列、3つの抗原のコード化配列、または4つの抗原のコード化配列を含有し得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、プラスミドは、CCR20を単独で、またはこれらのプラスミドの一部としてコードするコード化配列をさらに含み得る。同様に、プラスミドは、IL-12、IL-15、および/またはIL-28のコード化配列をさらに含み得る。
【0110】
プラスミドは、コード化配列の上流であり得る開始コドン、およびコード化配列の下流であり得る終止コドンをさらに含み得る。開始および終止コドンは、コード化配列を伴うインフレームであり得る。
【0111】
プラスミドは、コード化配列に動作可能に連結されるプロモーターも含み得る。コード化配列に動作可能に連結されたプロモーターは、サルウイルス40(SV40)、マウス乳がんウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV最初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターからのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはヒトメタロチオネイン(metalothionein)などのヒト遺伝子からのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、天然または合成の、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターでもあり得る。そのようなプロモーターの例は、米国特許公開第2004/0175727号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0112】
プラスミドは、コード化配列の下流であり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
【0113】
プラスミドは、コード化配列の上流のエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはCMV、FMDV、RSV、もしくはEBVからのものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、およびW094/016737に記載されており、それぞれの内容は参照により完全に組み込まれる。
【0114】
プラスミドは、プラスミドを染色体外で維持し、細胞においてプラスミドの複数コピーを産生するために、哺乳類の複製起点も含み得る。プラスミドは、pVAXI、pCEP4、またはpREP4(Invitrogen,San Diego,CA)であり得る。プラスミドは、エプスタインバールウイルスの複製開始点および核抗原EBNA-1コード領域を含み得、組み込みなしで高コピーのエピソーム複製を生成し得る。プラスミドの骨格は、pAV0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0115】
プラスミドはまた、制御性配列を含み得、プラスミドを保有する細胞における遺伝子発現に好適であり得る。コード化配列は、宿主細胞におけるコード化配列のより効率的な転写を可能にし得るコドンを含み得る。
【0116】
コード化配列は、免疫グロブリン(Ig)リーダー配列も含み得る。リーダー配列は、コード化配列の5’であり得る。この配列によってコードされるコンセンサス抗原は、N末端Igリーダー、続いてコンセンサス抗原タンパク質を含み得る。N末端Igリーダーは、IgEまたはIgGであり得る。
【0117】
プラスミドはpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これはEscherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよく、これはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。
【0118】
ベクターは、細胞ゲノムに組み込むことによって標的細胞を形質転換するか、または染色体外で存在し得る環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自己複製プラスミド)であり得る。
【0119】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0120】
エレクトロポレーションにより対象に効率的に送達され、1つ以上の所望の抗原を発現することができる直鎖状核酸ワクチンまたは直鎖状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の直鎖状DNAであり得る。DNAは、1つ以上の抗原をコードし得る。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含有し得る。抗原の発現はプロモーターにより制御され得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現に無関係の他の核酸配列を含有しなくてもよい。
【0121】
LECは、局在化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、抗原を発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0122】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0123】
ベクターは、プロモーターを有し得る。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離された核酸の発現を制御することが可能な任意のプロモーターであり得る。かかるプロモーターは、本明細書に記載される抗原配列を転写するDNA依存性RNAポリメラーゼを介した転写に必要なシス作用性配列要素である。異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、ベクター内の転写開始からほぼ同じ距離に配置し得、それは、その自然な設定での転写開始部位からである。しかしながら、この距離の差異は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0124】
プロモーターは、転写物、リボソーム結合部位、および翻訳終結の効率的なポリアデニル化に必要な抗原およびシグナルをコードする核酸配列に動作可能に連結され得る。
【0125】
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞において発現に有効であると示される別のプロモーターであり得る。
【0126】
ベクターは、機能的なスプライスドナーおよびアクセプター部位を有するエンハンサーおよびイントロンを含み得る。ベクターは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含有し得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、または異なる遺伝子から得てもよい。
【0127】
ベクターを調整する方法
本明細書で論じられるPRAME抗原をコードする核酸分子を含むベクターを調製する方法が本明細書で提供される。哺乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、ベクターを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に播種するために使用することができる。
【0128】
以下により詳細に説明されるEP装置で使用するためのベクターは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2008年5月23日に出願された実施対象の同時係属中の米国特許出願第12/126,611号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究で使用されるPRAME抗原をコードする核酸分子は、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、米国出願第60/939792号に記載されるものに加えて、2007年7月3日に取得された許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらも組み込む。上記に参照される出願および特許である、米国出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号はそれぞれが、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
ワクチンの賦形剤および他の成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤はトランスフェクション促進剤であり得、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などの界面活性剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0130】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在し得る。トランスフェクション促進剤は、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞などの界面活性剤も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。DNAプラスミドワクチンは、脂質、リポソーム(DNA-リポソーム混合物として、レシチンリポソームまたは当該技術分野において既知の他のリポソームを含む)(例えばW09324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などのトランスフェクション促進剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤も含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0131】
薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上のアジュバントであり得る。アジュバントは、代替えのプラスミドにおいて発現されるか、またはワクチンにおいて上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。1つ以上のアジュバントは、CCL20、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、MHC、CD80、CD86、IL-l、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-28、IL-33、MCP-1、MIP-la、MIP-1~、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM,ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、TAP2、欠失したシグナル配列をコードするシグナル配列またはコード化配列を有し、任意選択でIgEからのものなどの異なるシグナルペプチド、もしくはIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドをコードするコード化配列を含むIL-15、およびそれらの機能断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-33、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、1つ以上のタンパク質および/またはCCL-20、IL-12、IL-15、IL-28、IL-33、CTACK、TECK、MEC、もしくはRANTESからなる群から選択されるタンパク質をコードする1つ以上の核酸分子であり得る。IL-12構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US1997/019502号および対応する米国出願第08/956,865号、ならびに2012年12月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2012/069017号、および2014年6月12日に出願され、2011年12月12日に出願された対応する米国出願第14/365,086号、ならびに2016年2月26日に出願された同第15/055,002号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。IL-15構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US04/18962号および対応する米国出願第10/560,650号、ならびにPCT出願第PCT/US07/00886号および対応する米国出願第12/160,766号、ならびにPCT出願第PCT/USI0/048827号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。IL-28構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US09/039648号および対応する米国出願第12/936,192号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622,452号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622,452号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。ケモカインCTACK、TECK、およびMEC構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US2005/042231号および対応する米国出願第11/719,646号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。OX40および他の免疫調節剤の例は、米国出願第10/560,653号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。DR5および他の免疫調節剤の例は、米国出願第09/622452号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子は、MCP-1、MIP-la、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1,Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、IL-22、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能断片をコードするものを含む。
【0134】
ワクチンは、1994年4月1日に出願された米国出願第021,579号(参照により完全に組み込まれる)に記載される遺伝子ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0135】
ワクチンは、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で抗原およびプラスミドを含み得る。いくつかの好ましい実施形態において、本発明によるワクチンは、約5ナノグラム~約1000マイクログラムの核酸分子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約10ナノグラム~約800マクログラムの核酸分子を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約0.1~約500マクログラムの核酸分子を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約1~約350マクログラムの核酸分子を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムの抗原またはそのプラスミドを含有し得る。
【0136】
ワクチンは、使用される投与モードにより製剤化され得る。注射可能なワクチン薬学的組成物は、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含であり得る。等張製剤または溶液を使用することができる。等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。ワクチンは、血管収縮剤を含み得る。等張溶液は、リン酸緩衝食塩水を含み得る。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む安定剤は、製剤を長期間室温または周囲温度で安定させることができる。
【0137】
ワクチンの薬学的組成物
ワクチンは、薬学的組成物の形態であり得る。薬学的組成物は、ワクチンを含むことができる。薬学的組成物は、約5ナノグラム(ng)~約10ミリグラム(mg)のワクチンの核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明による薬学的組成物は、約25ng~約5mgのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約50ng~約1mgのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約5~約250マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約10~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約15~約150マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約20~約100マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約25~約75マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約30~約50マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約35~約40マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約100~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約10マイクログラム~約100マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約20マイクログラム~約80マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約25マイクログラム~約60マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約30ng~約50マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約35ng~約45マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約25~約250マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約100~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子を含有する。
【0138】
いくつかの実施形態において、本発明による薬学的組成物は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ngのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムのワクチンのDNAを含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg以上のワクチンの核酸分子を含み得る。
【0139】
他の実施形態において、薬学的組成物は、最大15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ng(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、最大1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラム(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、最大1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子を含み得る。
【0140】
薬学的組成物は、使用される投与モードにより製剤目的のための他の薬剤をさらに含み得る。薬学的組成物が注射可能な薬組成物である場合、それらは、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含である。等張製剤を使用することが好ましい。一般的に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張溶液が好ましい。安定剤としてはゼラチンおよびアルブミンが含まれる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。
【0141】
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。一実施形態では、トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、より好ましくは、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在する。トランスフェクション促進剤は、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞などの界面活性剤も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。いくつかの実施形態では、トランスフェクション促進剤は、脂質、DNA-リポソーム混合物としてのレシチンリポソームまたは当技術分野で既知の他のリポソームを含むリポソーム(例えば、WO/9324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満であり得る。
【0143】
ワクチン接種の方法
上述の薬学的製剤を使用して、PRAMEを発現するがんを治療および/または予防するための方法が本明細書に提供される。対象におけるPRAMEを発現するがんの治療および/または予防に上述の薬学的製剤を使用する方法も本明細書に記載される。対象にワクチン接種する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の薬学的製剤を、それを必要する対象に投与する方法も本明細書に記載される。集合的に本明細書に記載の薬学的製剤を使用する治療方法と称される本明細書に記載の方法は、治療的および/または予防的免疫応答を誘導するために、本明細書に記載される1つ以上のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含み得る。ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節し、免疫応答を増強するために対象に投与され得る。ワクチンの投与は、トランスフェクトされた細胞において発現され、細胞の表面に送達されると、免疫系が、抗原を認識し、細胞性、液性、または細胞性および液性応答を誘導する核酸分子としての本明細書に開示されるがん抗原のトランスフェクションであり得る。ワクチンの投与は、本明細書で論じられるワクチンを対象に投与することにより、対象において、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を誘導または誘発するために使用され得る。
【0144】
ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節するために対象に投与され、それにより免疫応答を増強させることができる。いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。哺乳動物にワクチンを投与し、それによりベクターを哺乳動物の細胞に導入すると、トランスフェクトされた細胞が本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上を発現および分泌する。これらの分泌されたタンパク質または合成抗原は、1つ以上のがん抗原に対して作られた抗体、および1つ以上のがん抗原に特異的に対するT細胞応答を含み得る免疫応答を開始する免疫系により異物として認識される。いくつかの例では、本明細書で論じられるワクチンをワクチン接種された哺乳動物は、抗原刺激を受けた免疫系を有し、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を接種された場合、抗原刺激を受けた免疫系は、液性、細胞性、または細胞性および液性両方の免疫応答によるものかにかかわらず、本明細書に開示される後のがん抗原を迅速に除去することができる。
【0145】
ワクチンの核酸分子の投与方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、その両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0146】
ワクチンを哺乳動物に投与して、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、水牛、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、好ましくはヒト、ウシ、またはブタであり得る。ワクチンは同様に、免疫応答を誘発するために、非ヒト対象、例えば、ニワトリに投与され得る。
【0147】
ワクチンの用量は、経時的にキログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mg(構成成分/kg体重/回)の活性構成成分であり得、20マイクログラム~10mg構成成分/kg体重/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0148】
ワクチンにより免疫応答を生成する方法
ワクチンを使用して、治療的または予防的免疫応答を含む、哺乳動物または非哺乳動物対象において免疫応答を生成することができる。免疫応答は、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原に指向される抗体および/またはキラーT細胞を生成することができる。そのような抗体およびT細胞が単離され得る。
【0149】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を生成する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態は、上述のがん抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に対して対象に予防的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、がん抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に罹患している対象に治療的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。ワクチンの投与前に本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍の診断は、日常的に行うことができる。
【0150】
ワクチンによるがん治療の方法
ワクチンは、哺乳動物またはそれを必要とする対象において、卵巣がん、特に上皮性卵巣がんなどであるがこれらに限定されないHPV媒介PRAME発現がんに対して反応性または指向性である免疫応答を生成または誘発するために使用され得る。誘発された免疫応答は、がんまたは腫瘍の成長を防止できる。誘発された免疫応答は、がん性または腫瘍細胞の転移を防止および/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンを投与された哺乳動物または対象におけるがんまたは腫瘍を治療および/または予防する方法で使用することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、ワクチンの投与は、(1)単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の産生を遮断する抗体を生成し、それにより骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を遅延し、腫瘍成長を抑制するB細胞応答による液性免疫、(2)腫瘍細胞を攻撃し、殺傷するCD8+などの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の増加、(3)Tヘルパー細胞応答の増加、(4)ならびにIFN-γおよびTFN-αによる炎症応答の増加、または好ましくは前述のすべてを誘導することにより、腫瘍細胞のクリアランスを媒介するか、またはその成長を妨げることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、様々な組織または系(例えば、脳または神経系など)に損傷を与えないか、またはその炎症を引き起こさない液性免疫応答および/または抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を生成することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、ワクチンの投与は、対象における無腫瘍生存率を増加させ、腫瘍量を低減させ、またはそれらの組み合わせであり得る。ワクチンの投与により、対象の無腫瘍生存率を、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%増加させることができる。ワクチンの投与により、免疫化後の対象において、腫瘍量を、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、および70%低減することができる。ワクチンの投与は、PRAMEが媒介するレチノイン酸受容体の阻害を防止および遮断することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、がん性もしくは腫瘍細胞または組織を標的とする抗原特異的免疫応答を確立して、ワクチンを投与された対象において、損傷を与える、または病気もしくは死を引き起こすことなく、1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍を除去または排除するために、抹消に投与され得る(以下により詳細に説明される)。
【0155】
ワクチンの投与は、対象における細胞性免疫応答を、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態において、ワクチンの投与は、対象における細胞性免疫応答を約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0156】
ワクチンの投与は、対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルを、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態において、ワクチンの投与は、対象におけるIFN-γレベルを約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0157】
ワクチンの用量は、経時的にキログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mg(構成成分/kg体重/回)の活性構成成分であり得、20マイクログラム~10mg構成成分/kg体重/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0158】
投与経路
ワクチンまたは薬学的組成物は、経口、非経口、舌下、経皮的、直腸に、経粘膜的、局所的、吸入により、頬側投与により、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、くも膜下腔内、および/もしくは関節内、またはそれらの組み合わせにより投与され得る。獣医学的使用のために、組成物は、通常の獣医学診療に従って適切に許容される製剤として投与することができる。獣医は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃(microprojectile bombardment gene guns)」、または電気穿孔法(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などの他の物理的方法により投与され得る。
【0159】
ワクチンのベクターは、インビボエレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、ナノ粒子促進トランスフェクション(nanoparticle facilitated transfection)、ならびに組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、および組換えワクシニアなどの組換えベクターを伴うまたは伴わないDNA注射(DNA injection)(DNAワクチン接種とも称される)を含む、いくつかの周知の技術により哺乳動物に投与され得る。1つ以上のがん抗原のワクチンがインビボエレクトロポレーションとともにDNA注射により投与され得る。
【0160】
エレクトロポレーション
ワクチンまたは薬学的組成物は、エレクトロポレーションにより投与され得る。エレクトロポレーションによるワクチンの投与は、可逆性細孔を細胞膜において形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得るエレクトロポレーションデバイスを使用して達成することができ、好ましくは、エネルギーのパルスは、ユーザによって入力される予め調整された電流と同等の定電流である。エレクトロポレーションデバイスは、エレクトロポレーション構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。エレクトロポレーション構成要素は、コントローラ、電流波形発生装置、インピーダンステスター、波形ロガー、入力素子、ステータス報告要素、通信ポート、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチを含む、エレクトロポレーションデバイスの様々な要素のうちの1つ以上を含み、それらを組み込むことができる。エレクトロポレーションは、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にするために、インビボエレクトロポレーションデバイス、例えば、CELLECTRA(登録商標)EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Inc.,Blue Bell,PA)またはElgenエレクトロポレーター(electroporator)(Inovio Pharmaceuticals,Inc.)を使用して達成され得る。
【0161】
本発明のDNAワクチンの投与を容易にし得るエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション法の例には、米国特許第7,245,963号、米国特許公開第2005/0052630号に記載されているものが含まれ、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DNAワクチンの投与を容易にするために使用することができる他のエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション法には、同時係属および共同所有の2007年10月17日に出願された米国特許出願第11/874,072号、2006年10月17日に出願された米国出願第60/852,149号、および2007年10月10日に提出された第60/978,982号で提供されているものが含まれ、これらはすべて、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0162】
米国特許第7,245,963号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを容易にするためのモジュール電極システムおよびそれらの使用を記載している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクタ、および電源を備え得る。オペレーターは、支持構造に載置される複数の針電極を把持し、それらを身体もしくは植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次に、生体分子を、皮下針により選択された組織内に投与する。プログラム可能な定電流パルスコントローラを作動させ、定電流電気パルスを複数の針電極に適用する。適用された定電流電気パルスは、生体分子を、複数の電極間の細胞に導入するのを容易にする。米国特許第7,245,963号の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0163】
米国特許公開第2005/0052630号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを効果的に容易にするために使用することができるエレクトロポレーションデバイスを記載している。エレクトロポレーションデバイスは、操作がソフトウェアまたはファームウェアによって指定される動電デバイス(「EKDデバイス」)を備える。EKDデバイスは、ユーザ制御に基づいた一列の電極とパルスパラメータの入力との間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを作り出し、電流波形データの保存および取得を可能にする。エレクトロポレーションデバイスは、一連の針電極を有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および着脱可能なガイドディスクも備える。米国特許公開第2005/0052630号の全内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0164】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく他の組織または臓器にも深く浸透させるのに適している。電極アレイの構成により、注射針は標的臓器にも完全に挿入され、注射は電極によって予め描かれた領域の標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは20mm長および21ゲージである。
【0165】
加えて、エレクトロポレーションデバイスおよびその使用を組み込むいくつかの実施形態において企図される、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された国米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、および2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号に記載されるもののエレクトロポレーションデバイスがある。さらに、様々なデバイスのいずれかを使用したDNAの投与に関係する2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAを注射する方法が注目された2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号に提供される主題を網羅する特許が、本明細書で企図される。上記の特許は、その全体が参照により組み込まれる。
【0166】
ワクチンを調整する方法
本明細書で論じられるワクチンに含まれるベクターを調製するための方法が本明細書において提供される。ベクターは、最終的なサブクローニングステップの後、当技術分野で既知の方法を使用して、大規模発酵タンク内の細胞培養に播種するために使用され得る。
【0167】
本発明のEP装置で使用するためのDNAプラスミドは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2007年5月23日に出願された米国特許公開第2009/0004716号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、米国出願第60/939792号に記載されるものに加えて、2007年7月3日に取得された許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらも組み込む。上記に参照される出願および特許である、米国出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号はそれぞれが、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0168】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって図示される多くの態様を有する。
【実施例0169】
本発明は、以下の実施例においてさらに図示される。これらの実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に実例として示されることを理解するべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を様々な使用および条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示され記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正も、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0170】
実施例1
合成コンセンサスPRAME
ヒトコンセンサスPRAMEを生成するために、10個のPRAME配列をGenBankから収集した(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)。選択したPRAME配列のGenBank受入番号は、
【0171】
NP_006106.1、AFX65483.1、XP_001090516.1、AFI35054.1、AFJ71405.1、XP_003805956.1、XP_525643.2、BAK62424.1、XP_003919211.1、およびXP_003919212.1である。
【0172】
DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して、コンセンサス配列を生成した。上に列挙される配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アラインメントプログラムを使用してアラインメントした。得られたPRAME配列は、天然ヒトPRAME配列と95.1%~95.5%の相同性を共有する。
【0173】
合成コンセンサスPRAME DNA配列が得られたら、より高いレベルの発現を得るために、上流のコザック配列およびIgEリーダーをN末端に追加した。さらに、この遺伝子のコドン使用法は、ホモサピエンス遺伝子のコドンバイアスに適合した。加えて、GC含有量が非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)領域、ならびに内部TATAボックス、chi-部位、リボソームエントリー部位などのcis-作動配列モチーフを避けた、RNA最適化を実施した。レチノイン酸シグナル伝達抑制における発現されたPRAME分子の潜在的な機能を排除するために、2つの点変異(L487VおよびL488V)をPRAMEの核内受容体ボックスLRELLに導入し、改変した合成コンセンサスPRAMEを得た。この改変した合成コンセンサスPRAMEタンパク質配列は、ヒト天然PRAMEタンパク質と94.7%~95.1%の同一性を共有する。合成コンセンサスPRAMEの特徴を表1に提供する。
【表1】
【0174】
図2を参照すると、改変したコンセンサスPRAMEと5つのヒトPRAME配列との配列アラインメントは、配列間のアミノ酸の違いを示している。改変した合成コンセンサスPRAMEのアミノ酸残基487および488でのロイシンからバリンへの置換は、強調されたアミノ酸の違いの1つである。アラインメントした配列間の同一性の割合を表2に示す。
【表2】
【0175】
改変していない合成コンセンサスPRAMEと改変したコンセンサスPRAMEとの比較を表3に提供する。
【表3】
【0176】
図3を参照すると、合成した合成コンセンサスPRAMEを、BamHIおよびXhoIで消化し、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの転写制御下に配置された発現カセットとともにInovioの発現ベクターpGX0001にクローニングした。得られたプラスミドをpGX1421と命名し、完全長配列決定を実施して配列を確認した。
【0177】
pGX1421は、合成コンセンサスPRAMEタンパク質をコードするDNAプラスミドである。関連するmRNA産生は、ヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格(改変したpVAX1発現ベクター、元のpVAX1は、ThermoFisher,St.Louis,MOから入手した)には、生産目的のためのカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)が含まれる。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。
【0178】
改変をpVAX1に導入してpGX0001を創出し、ThermoFisher Scientificから入手可能なpVAX1の報告された配列に基づいて同定した。これらの改変は以下に列挙されており、プラスミド増幅、ならびに抗原の転写および翻訳に関して問題は検出されていない。
【0179】
C>G 241 CMVプロモーター内
【0180】
C>T 1158 骨格、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHポリA)の下流
【0181】
A> - 2092 骨格、カナマイシン耐性遺伝子の下流
【0182】
C>T 2493 複製起点のpUC(pUC ori)
【0183】
G>C 2969 RNASeH部位の上流のpUC Oriの最端
【0184】
塩基対2、3、および4は、CMVプロモーターの上流の骨格においてACTからCTGに変更される。
【0185】
実施例2
PRAME発現
PRAME発現を、合成コンセンサスPRAME(pGX1411)または対照をコードするプラスミドを用いてトランスフェクトした細胞株で調査し、合成抗原が発現したかを判断した。市販の抗PRAME抗体およびβ-アクチン対照抗体を使用した細胞株のウエスタンブロット分析は、pGX1411を用いてトランスフェクトしたそれらの細胞のみが正しい分子量で遊走したPRAMEタンパク質の発現を示したことを示している(
図4)。間接免疫蛍光アッセイは、PRAME遺伝子発現を横紋筋肉腫細胞およびHek293細胞におけるpVAX発現と比較した。
図5を参照すると、合成コンセンサスPRAMEは、両方の細胞株で発現したが、pVAX陰性対照は発現しなかった。
【0186】
実施例3
マウスにおける免疫原性
免疫原性研究を、
図6に示した免疫化および採血スケジュールに従ってC57Bl/6マウスで実施した。簡単に言うと、免疫化あたり5、10、15、25、および50μgのpGX1411を、第0週目(初回免疫化)、第2週目、第4週目、およびELISpotの時点でマウスに投与した。マウスは、第0週(ベースライン測定)および第5週目の時点で採血した。最も効果的な用量を決定するために用量応答研究を最初に実施し、
図7を参照すると、調査したすべての用量は、未処理よりも大きな応答をもたらした。最大15μgまでpGX1411 DNAの用量を増加させると、応答がわずかに増加した。25および50μgのpGX1411 DNAの高用量では、応答はプラトーに達した。
【0187】
合成コンセンサスPRAMEは、マウスにおいて高度に免疫原性であり(
図8A)、免疫優性エピトープは、エピトープマッピングにより同定された(
図8Bおよび表4)。簡単に言うと、コンセンサスPRAME全体におよぶペプチドが産生され、各々が8アミノ酸ずつ重複する15アミノ酸残基を含有する。これらのペプチドを3つのペプチドプールにプールした(表4)。未処理およびpGX1411免疫化マウスからの脾細胞を、マウスIFNγ ELISpotアッセイで3つのペプチドプールで刺激した。結果を
図8Aに示す。免疫優性エピトープは、ペプチドマトリックスマッピングアプローチを使用して同定した(
図8B)。免疫優性エピトープには表4で下線が引かれている。
【表4】
【0188】
pGX1411によって誘導された抗原特異的CD4+およびCD8+T細胞応答を、未処理およびpGX1411処理マウスからのペプチド刺激脾細胞の細胞内サイトカイン染色によって評価した。pGX1411処置マウスからのCD4細胞がpGX1411での処置後にIFN-γのわずかではあるが有意な増加を示した(
図9A)一方、CD8+細胞は、およそ10倍大きい有意な増加をもたらした(
図9B)。TNF-αおよびCD107a+の場合、CD8+細胞がpGX1411処置で有意により大きな増加をもたらした(
図9Dおよび
図9F)一方、CD4+細胞の場合、未処理とpGX1411処置との間に差はなかった(
図9Cおよび
図9E)。全体として、合成コンセンサスPRAMEは、CD4+およびCD8+T細胞の両方を誘導し、CD8+は、より高いサイトカイン応答を示す。
【0189】
図10に示すように、エンドポイント力価は、pGX1411、すなわち5、25、および50μgの用量応答様式で決定した。試験した各用量は、未処理と比較してエンドポイント力価を増加させたが、用量の増加は、エンドポイント力価応答を有意に増加しなかった。pGX1411誘導抗体が、ヒトがんにおいて発現した天然PRAMEを認識できるかを決定するために、
図11に示されるように、がんにおけるpGX1411の応答性を免疫組織化学により調査した。ヒトがん生検の組織切片を、未処理またはpGX1411処置マウスからの血清で染色した。ビオチン化二次抗体で処理した後、組織切片を過酸化水素を含むジアミノベンジジンで染色し、ヘマトキシリンで対比染色した。市販のPRAME抗体を用いた組織染色を比較として使用した。陽性染色は、pGX1411ワクチン接種マウス血清および市販のPRAME抗体を用いてメラノーマがん組織試料で検出されたが、未処理マウス血清では検出されなかった。したがって、pGX1411を用いたワクチン接種は、PRAME特異的抗体を誘導する能力を有する。
【0190】
pGX1421によってコードされた改変した合成コンセンサスPRAMEは、pGX1411によってコードされた改変していない合成コンセンサスPRAMEによって生成されるものと同様の免疫応答を誘導する。
図12を参照すると、pGX1421によるこの誘発された免疫応答は、マウスにおけるELISpotによって調査された際にpGX1411により誘発されたものに匹敵する。pGX1411およびpGX1421の両方は、5μgの用量で、未処理のベースラインレベル(0SFU/10
6PBMC)と比較して、およそ900SFU/10
6の末梢血単核細胞(PBMC)をもたらした。
【0191】
実施例4
非ヒト霊長類(NHP)における免疫原性
免疫原性研究を、
図13に示した免疫化および採血スケジュールに従って、非ヒト霊長類(NHP)で実施した。pGX1421は、免疫化後2週間ごとに採血する第0、4、8、および12週目に、最適化されたアカゲザルIL-12(pGX6006)で、反対側の肢に交互に5P CELLECTRA(登録商標)を筋肉内(IM)に送達した。
図14A~
図14Cを参照すると、細胞性免疫原性がIFNγ ELISpot、ICSによって評価され、測定されたIFNγ応答は、pGX1421およびpGX6006による4回の免疫化で全体的な増加を明らかにした。3回目の免疫化後、IFNγは、ベースラインレベルと比較しておよそ600SFU/10
6PBMCに増加した。4回目の免疫化は、およそ700SFU/10
6のPBMCを用いた3回目の免疫と比較して、応答をわずかにブーストした(
図14A)。個々の応答は、
図14Bおよび
図14Cに示し、6匹のNHPのうち2匹は、3回目の免疫化後に平均よりも大きい応答を有する。これは、6匹のNHPのうち3匹に増加し、4回目の免疫化後に平均よりも大きい応答を有する。全体として、3回目の免疫化から2週間後(10週目)に、第0週目と比較して、IFNγ ELISpotによって決定された6匹のNHPのうち6匹が応答した。
【0192】
図15A~
図15Dを参照すると、pGX1421およびpGX6006は、CD8
+T細胞応答と比較して最小限のCD4
+T細胞応答を誘導する。CD4
+T細胞応答は、あらゆるNHPにも見られなかったが、強固なCD8
+T細胞応答は、NHP 5840および5967において、4回目の免疫化から2週間後に、最も高いIFNγ ELISpot応答を有するNHPにおいてICSより検出された(
図15C)。
【0193】
実施例5
PRAME誘導免疫原性に対するpGX6006のアジュバント効果の特徴づけ
表5に示すように、15匹のNHPを3つの群に分け、pGX6006のアジュバント効果を決定した。免疫化および採血スケジュールは、3つの群すべてで同じであり、
図13に示される。
【表5】
【0194】
図16A~
図16Cを参照すると、IL-12は、pGX1421によってコードされるPRAMEに対するIFNγ応答をPD3(第10週目)およびPD4(第14週目)の2週間で有意に増加させた。3回目の免疫化後、pGX1421単独で誘導された平均IFNγ SFU(108±124)は、pGX1421およびpGX6006を併用して誘導された平均応答(609±597、p<0.08)よりも有意に低かった。IFNγ応答は、4回目の免疫化後に群2でブーストした(1636±999 SFU、p<0.08、
図16C)。
【0195】
pGX1421およびpGX1421とpGX6006との組み合わせによって誘導される細胞性免疫応答は、2週間のPD4(第14週目、
図17A~
図17C)でフローサイトメトリーによりさらに特徴づけした。
図17Aに示すように、いずれかの群のCD4
+T細胞区画で検出された最小の応答があった。pGX6006なしでpGX1421を投与した場合、CD8
+T細胞区画で最小の応答を検出した(
図17B)。2週間のPD4群のpGX6006と組み合わせたpGX1421で検出されたPRAME特異的CD8+T細胞集団の大部分は、IFNγおよびTNFαの両方を産生した。集団の残りは、主にIFNγ産生のみに陽性であった。pGX6006と組み合わせたpGX1421で誘導した抗原特異的CD8+T細胞の大部分は、CD107aおよびグランザイムBの両方に陽性であり、CTLおよびエフェクタ機能の可能性を示す(
図17C)。
【0196】
pGX6006と組み合わせたpGX1411およびpGX6006と組み合わせたpGX1421によって誘導された細胞性免疫応答を、IFNγ ELISpot(
図18A~
図18C)および2週間のPD4のフローサイトメトリー(第14週目、
図19A~
図19F)により比較した。pGX6006と組み合わせたPGX1411によって誘導された2週間のPD3(666±597SFU)およびPD4(1931±2795SFU)のPRAME特異的IFNγ応答は、pGX6006と組み合わせたpGX1421に匹敵した(PD3:609±597;PD4:1636±999 SFU)。研究中の任意の時点で、pGX6006と組み合わせたpGX1411およびpGX6006と組み合わせたpGX1421によって誘導されたIFNγ ELISpot応答の間に有意差はなかった(
図18C)。フローサイトメトリーによるさらなる特徴づけは、2週間のPD4のpGX6006と組み合わせたpGX1421と比較して、pGX6006と組み合わせたpGX1411でCD4
+T細胞応答がより強固になる傾向を示した(
図19A)。CD8
+T細胞区画における表現型および応答の大きさは、pGX6006と組み合わせたpGX1411およびpGX6006と組み合わせたpGX1421に匹敵した(
図19Bおよび
図19C)。
【0197】
要約すると、PRAMEに対する細胞性免疫応答は、pGX6006と組み合わせたpGX1411およびpGX6006と組み合わせたpGX1421に匹敵した。pGX6006によってコードされたIL-12を含めると、pGX1421によって誘導される細胞性免疫応答が有意に増加した。
【0198】
合成コンセンサスPrameのヌクレオチド配列(配列番号1)およびアミノ酸(配列番号2)をそれぞれ表6および表7に示す。
【0199】
前述の詳細な説明および付随する実施例は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されないことが理解される。
【0200】
本開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含む、本開示の実施形態に対するそのような変更および修正は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
【表6】
【表7】