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特開2023-181225高度に耐久性の透過性フルオロポリマー細胞培養バッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181225
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】高度に耐久性の透過性フルオロポリマー細胞培養バッグ
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174607
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2021563060の分割
【原出願日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】62/838,127
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エー.ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】スージー アール.エナケ
(57)【要約】
【課題】高度に耐久性の透過性フルオロポリマー細胞培養バッグを提供すること。
【解決手段】細胞培養バッグは、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む複合フィルムから形成された本体を含む。第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、第二のフルオロポリマーは、第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入している。複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さ、及び10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有する。複合フィルムはまた、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、かつ、全透過率が70%~100%である。細胞培養アセンブリは、直列に接続された複数の細胞培養バッグを含む。細胞培養容器は、細胞培養コンパートメント及び該細胞培養コンパートメントに接続された複合フィルムを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む複合フィルムから形成された本体を含んでなる細胞培養バッグであって、
該本体は細胞培養物を保持するように構成された細胞培養コンパートメントを画定し、
該第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、
該第二のフルオロポリマーは、該第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入しており、
該複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有し、
該複合フィルムは、10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有し、
該複合フィルムは、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、かつ
該複合フィルムは、全透過率が70%~100%である、細胞培養バッグ。
【請求項2】
前記複合フィルムはシリコーンを含まない、請求項1記載の細胞培養バッグ。
【請求項3】
前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さの0.00001mm~0.02mmまで侵入している、請求項1又は2記載の細胞培養バッグ。
【請求項4】
前記複合フィルムは、0.02mm~0.059mmの総厚を有する、請求項1~3のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項5】
前記複合フィルムは、水中の全有機炭素(TOC)が0.00001mg/cm~1mg/cmである、請求項1~4のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項6】
前記複合フィルムは、Oフラックスが8,000cm/m/atm/日~15,000cm/m/atm/日である、請求項1~5のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項7】
前記複合フィルムは、20,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する、請求項1~6のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項8】
前記複合フィルムの剥離強度は、0.25N/mm~10N/mmである、請求項1~7のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項9】
前記第一のフルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項1~8のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項10】
前記第一のフルオロポリマーは緻密化された延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項1~9のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項11】
第一の端部から第二の端部まで延在し、かつ、細胞培養コンパートメントを画定するチューブと、
第一の端部に第一の接合部と、
該第一の接合部の上に折り重ねて該第一の接合部の上に第一のラップシームを形成するように構成された第二の複合フィルムと、
該第一の端部から該第二の端部まで長手方向に延在している第二のラップシームと
を含んでなる細胞培養バッグであって、
該チューブは、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む第一の複合フィルムから形成されており、
該第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、
該第二のフルオロポリマーは、該第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入しており、
該第一の複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有し、
該第一の複合フィルムはOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、
該第一の複合フィルムは引張強度が10,000psi~92,000psiであり、
該第一の複合フィルムは、少なくとも70%の全透過率を有し、かつ
第二のラップシームは、該第一の複合フィルムの重畳縁部によって形成される、細胞培養バッグ。
【請求項12】
第二の端部に第二の接合部、及び
前記第二の接合部の上に折り重ねて第三のラップシームを形成するように構成された第三の複合フィルムをさらに含む、請求項11記載の細胞培養バッグ。
【請求項13】
前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さの0.00001mm~0.005mmまで侵入している、請求項11又は12記載の細胞培養バッグ。
【請求項14】
前記第一の複合フィルムは、0.02mm~0.059mmの厚さを有する、請求項11~13のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項15】
前記第一の複合フィルムは、全有機炭素(TOC)が1mg/cm未満である、請求項11~14のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項16】
前記第一の複合フィルムは、Oフラックスが8,000cm/m/atm/日~15,000cm/m/atm/日である、請求項11~15のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項17】
前記第一の複合フィルムは、20,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する、請求項11~16のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項18】
前記第一のフルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項11~17のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項19】
前記第一のフルオロポリマーは、緻密化された延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーは、フッ素化エチレン-プロピレンである、請求項11~18のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項20】
前記細胞培養コンパートメントと流体連通する少なくとも1つのアクセスポートをさらに含む、請求項11~19のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項21】
前記細胞培養物は、結合組織細胞、骨格細胞、心臓細胞、上皮細胞、神経細胞、内分泌細胞、免疫細胞、リンパ球、メラノサイト、腫瘍細胞又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項11~20のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項22】
前記第一の複合フィルム及び前記第二の複合フィルムは同じである、請求項11~21のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項23】
前記第三の複合フィルムは、前記第一の複合フィルム又は前記第二の複合フィルムのうちの少なくとも1つと同じである、請求項12又は20~22のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項24】
前記第一の複合フィルムの剥離強度は、0.25N/mm~10N/mmである、請求項11~23のいずれか1項記載の細胞培養バッグ。
【請求項25】
直列に接続された複数の細胞培養バッグを含む、細胞培養アセンブリであって、
該細胞培養バッグのそれぞれは、
第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む複合フィルムから形成された本体を含み、該本体は、細胞培養物を保持するように構成された細胞培養コンパートメントを画定し、
該第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、
該第二のフルオロポリマーは、該第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入しており、
該複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有し、
該複合フィルムは、10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有し、
該複合フィルムのOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、
該複合フィルムの全透過率は70%~100%である、細胞培養アセンブリ。
【請求項26】
前記複数の細胞培養バッグのうちの第一の細胞培養バッグは、第一のOフラックスを有し、前記複数の細胞培養バッグのうちの第二の細胞培養バッグは、第二のOフラックスを有し、かつ
前記第一のOフラックスと前記第二のOフラックスとは異なる、請求項25記載の細胞培養アセンブリ。
【請求項27】
前記複数の細胞培養バッグのうちの第一の細胞培養バッグは、第一の体積を有し、前記複数の細胞培養バッグのうちの第二の細胞培養バッグは、第二の体積を有し、かつ
前記第一の体積は、前記第二の体積とは異なる、請求項25又は26記載の細胞培養アセンブリ。
【請求項28】
前記複数の細胞培養バッグのうちの第一の細胞培養バッグは、細胞トランスフェクション又は細胞活性化のうちの少なくとも1つのために構成されており、かつ
前記複数の細胞培養バッグのうちの第二の細胞培養バッグは、細胞膨張のために構成されている、請求項25~27のいずれか1項記載の細胞培養アセンブリ。
【請求項29】
細胞培養物を受けるように構成された細胞培養コンパートメント、及び
該細胞培養コンパートメントに接続された複合フィルムであって、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む複合フィルム
を含んでなる細胞培養容器であって、
該第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、
該第二のフルオロポリマーは、該第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入しており、
該複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有し、
該複合フィルムは、10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有し、
該複合フィルムはOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、
該複合フィルムの全透過率は70%~100%である、細胞培養容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガス透過性材料又は構成要素、より具体的には、非極性ガス透過性を有するフルオロポリマー細胞培養バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞及び遺伝子療法は、様々な癌、神経疾患、結核及び嚢胞性線維症などの感染症、潰瘍性大腸炎、末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓病、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、眼科病態、糖尿病及びその他の病状を含む多くの状態を治療するための益々実行可能な方法である。一般的に細胞及び遺伝子治療に関して、様々な細胞型はインビトロで増殖されうる。インビトロ細胞培養は、細胞が、それらの自然環境の外であるが、それらの自然のインビボ条件に可能な限り近い、制御された条件下で増殖される複雑なプロセスである。
【0003】
インビトロで細胞を培養する1つの方法は、フルオロポリマー細胞培養バッグなどの細胞培養バッグを使用することによるものであり、これは、細胞培養バッグが使い捨てでありかつ閉鎖システムを提供するため、細胞培養の汚染リスクを低減する。しかしながら、幾つかの現在のフルオロポリマー細胞培養バッグは、細胞培養バッグとしてしっかりと機能するための耐久性を欠いている。具体的には、現在のフルオロポリマー細胞培養バッグは、取り扱い中に破損する可能性のある引張強度を有する。これらの細胞培養バッグの耐久性は、細胞培養バッグを形成するために使用されるフルオロポリマーフィルムの厚さを増加させることによって増加させることができる。しかしながら、フィルム厚を厚くすると、培養細胞が生き残るために必要な酸素(O)及び二酸化炭素(CO)の両方などのガスのガス透過が減少することになりうる。したがって、細胞の代謝及び増殖に適した環境を提供しながら、取り扱いの負荷に耐えることができる細胞培養バッグが必要である。
【0004】
インビトロで細胞を培養するための別の既存の方法は、O及びCOなどのガスに対して透過性であるフルオロポリマーフィルムを含むフラスコなどの細胞培養容器を使用することである。現在の細胞培養容器はまた、取り扱い中に破損する可能性のある引張強度を有するフルオロポリマー複合フィルムを含む。さらに、現在の細胞培養容器は、「汚れた」フィルム、例えば、望ましくない量の抽出物及び/又は浸出物を含む複合フィルムを含むことがある。さらに、従来のフルオロポリマー複合フィルムは、細胞培養容器中を見るのに必要な透明度を備えていない。したがって、容器内の可視性を可能にし、細胞の代謝及び増殖に適した環境を提供しながら、取り扱いの負荷に耐えることができる細胞培養容器が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
この要旨は、本発明の様々な態様の高レベルの概要であり、以下の詳細な説明のセクションでさらに詳細に記載される幾つかの概念を紹介している。この要旨は、特許請求された主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。主題は、明細書全体、一部又はすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本開示の実施形態は、限定するわけではないが、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む複合フィルムから形成された本体を含み、該本体は細胞培養物を保持するように構成された細胞培養コンパートメントを画定する、細胞培養バッグに関する。第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、第二のフルオロポリマーは、第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入している。複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の総厚を有し、ここで、第二の総厚は、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーの合計の厚さである。複合フィルムは、10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有する。複合フィルムはOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、全透過率が70%~100%である。
【0007】
幾つかの実施形態において、前記複合フィルムはシリコーンを含まない。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さの0.00001mm~0.02mmまで侵入する。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記複合フィルムは、0.02mm~0.059mmの総厚を有する。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記複合フィルムは、水中の全有機炭素(TOC)が0.00001mg/cm~1mg/cmである。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記複合フィルムは、Oフラックスが8,000cm/m/atm/日~15,000cm/m/atm/日である。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記複合フィルムは、20,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記複合フィルムの剥離強度は、0.25N/mm~10N/mmである。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記第一のフルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである。
【0015】
本開示の実施形態は、限定するわけではないが、第一の端部から第二の端部まで延在し、細胞培養コンパートメントを画定するチューブを含む、細胞培養バッグに関する。前記チューブは、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む第一の複合フィルムから形成されている。前記第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入している。前記第一の複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有する。前記第一の複合フィルムはOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日である。前記第一の複合フィルムは引張強度が10,000psi~92,000psiである。前記第一の複合フィルムは、少なくとも70%の全透過率を有する。細胞培養バッグはまた、第一の端部に第一の接合部、前記第一の接合部上に折り重ねて前記第一の接合部上に第一のラップシームを形成するように構成された第二の複合フィルム、及び、第一の端部から第二の端部まで長手方向に延在している第二のラップシームであって、前記第一の複合フィルムの重畳縁部によって形成される第二のラップシームを含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記細胞培養バッグは、第二の端部に第二の接合部、及び、前記第二の接合部の上に折り重ねて第三のラップシームを形成するように構成された第三の複合フィルムをさらに含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さの0.00001mm~0.005mmまで侵入している。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記第一の複合フィルムは、0.02mm~0.059mmの厚さを有する。
【0019】
幾つかの実施形態において、前記第一の複合フィルムは、全有機炭素(TOC)が1mg/cm未満である。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記第一の複合フィルムは、Oフラックスが8,000cm/m/atm/日~15,000cm/m/atm/日である。
【0021】
幾つかの実施形態において、前記第一の複合フィルムは、20,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。
【0022】
幾つかの実施形態において、前記第一のフルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである。
【0023】
幾つかの実施形態において、前記第一のフルオロポリマーは、緻密化された延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、前記第二のフルオロポリマーは、フッ素化エチレン-プロピレンである。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記細胞培養バッグは、細胞培養コンパートメントと流体連通する少なくとも1つのアクセスポートをさらに含む。
【0025】
幾つかの実施形態において、前記細胞培養物は、結合組織細胞、骨格細胞、心臓細胞、上皮細胞、神経細胞、内分泌細胞、免疫細胞、リンパ球、メラノサイト、腫瘍細胞又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
幾つかの実施形態において、前記第一の複合フィルム及び前記第二の複合フィルムは同じである。
【0027】
幾つかの実施形態において、前記第三の複合フィルムは、前記第一の複合フィルム又は前記第二の複合フィルムのうちの少なくとも1つと同じである。
【0028】
幾つかの実施形態において、前記第一の複合フィルムの剥離強度は、0.25N/mm~10N/mmである。
【0029】
本開示の実施形態はまた、限定するわけではないが、直列に接続された複数の細胞培養バッグを含む細胞培養アセンブリに関する。細胞培養バッグのそれぞれは、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む複合フィルムから形成された本体を含み、該本体は、細胞培養物を保持するように構成された細胞培養コンパートメントを画定する。前記第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入している。前記複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有する。前記複合フィルムは、10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有する。前記複合フィルムのOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、前記複合フィルムの全透過率は70%~100%である。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記複数の細胞培養バッグのうちの第一の細胞培養バッグは、第一のOフラックスを有し、前記複数の細胞培養バッグのうちの第二の細胞培養バッグは、第二のOフラックスを有する。
【0031】
幾つかの実施形態において、前記第一のOフラックスと前記第二のOフラックスとは異なる。
【0032】
幾つかの実施形態において、前記複数の細胞培養バッグのうちの第一の細胞培養バッグは、第一の体積を有し、前記複数の細胞培養バッグのうちの第二の細胞培養バッグは、第二の体積を有する。
【0033】
幾つかの実施形態において、前記第一の体積は、前記第二の体積とは異なる。
【0034】
幾つかの実施形態において、前記複数の細胞培養バッグのうちの第一の細胞培養バッグは、細胞トランスフェクション又は細胞活性化のうちの少なくとも1つのために構成されている。
【0035】
幾つかの実施形態において、前記複数の細胞培養バッグのうちの第二の細胞培養バッグは、細胞膨張のために構成されている。
【0036】
本開示の実施形態はまた、細胞培養物を受けるように構成された細胞培養コンパートメントを含む細胞培養容器に関する。前記細胞培養容器はまた、前記細胞培養コンパートメントに接続された複合フィルムを含み、該複合フィルムは、第一のフルオロポリマー及び第二のフルオロポリマーを含む。前記第一のフルオロポリマーは第一の厚さを有し、前記第二のフルオロポリマーは、前記第一のフルオロポリマーの第一の厚さに少なくとも部分的に侵入している。前記複合フィルムは、0.01mm~0.059mmの第二の厚さを有する。前記複合フィルムは、10,000psi~92,000psiの一方向の引張強度を有する。前記複合フィルムはOフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日であり、前記複合フィルムの全透過率は70%~100%である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0038】
図1図1は、本明細書中の幾つかの実施形態による細胞培養バッグの上面図である。
【0039】
図2図2は、本明細書中の幾つかの実施形態による細胞培養バッグの複合フィルムチューブの斜視図である。
【0040】
図3図3は、本明細書中の幾つかの実施形態による、直列に連結された4つの細胞培養バッグの斜視図である。
【0041】
図4図4は、本明細書中の幾つかの実施形態による細胞培養容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0043】
本明細書に記載されているのは、細胞のインビトロ培養用の複合フィルムを含む細胞培養バッグ及び容器である。また、本明細書には、細胞培養バッグ及び容器を形成するために使用される複合フィルムを形成するための方法が記載されている。幾つかの実施形態において、複合フィルムは、細胞培養容器内の細胞代謝及び増殖を促進するOフラックスを有する。さらに、幾つかの実施形態において、複合フィルムはまた、取り扱い中の細胞培養バッグ又は容器の引き裂き又は漏出を低減又はさらには防止するのに十分な引張強度を有する。幾つかの実施形態において、複合フィルムは緻密化されている。本明細書に記載される細胞培養バッグ及び容器は、細胞培養物内の細胞の喪失又は培養細胞の不十分な増殖が治療の成功に影響を及ぼしうる病的疾患又は状態の患者からの細胞を処理するのに有用であることができる。
【0044】
図1及び2はそれぞれ、本開示の幾つかの実施形態による、細胞培養バッグ100を示す。細胞培養バッグ100は、その中に細胞培養コンパートメント114、第一の端部106及び第二の端部108を画定する複合フィルムチューブ104から形成されている。第一の端部106はハンドル端部であり、一方、第二の端部108はポート端部である。 。1つの実施形態において、第二の端部108は、細胞培養コンパートメント114の中の細胞培養物116の挿入、除去、サンプリング及び供給のために、細胞培養コンパートメント114と流体連通している少なくとも1つのシール可能なポート112及びポートアダプタ110を有する。
【0045】
複合フィルムチューブ104は、少なくとも1つの複合フィルム102から形成される。「複合フィルム」は、本明細書では、少なくとも2つの異なる材料又はフィルムから形成されるフィルムと定義される。例えば、幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、少なくとも2つの材料又はフィルムを層状にし、熱及び/又は圧力を加えることにより形成されることができ、それにより、得られる複合フィルム102の層は互いに除去できないようになる。
【0046】
1つの実施形態において、複合フィルム102は、一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Kennedyらの米国特許第7,521,010号明細書に提供される教示に従って緻密化される。
【0047】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、非極性ガス透過性フルオロポリマー複合フィルムを含む。幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100は、ガス透過性フルオロポリマー複合フィルムを含む。というのは、前記フルオロポリマー複合フィルムは生物学的、化学的及び免疫学的に細胞培養物と適合性があるからである。
【0048】
幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100の複合フィルム102は、限定するわけではないが、以下の材料:フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリビニルフルオリド(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、クロロトリフルオロエチレンビニリデンフルオリド(FPM/FKM)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ペルフルオロエラストマー(FFPM/FFLM)、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)、テトラフルオロエチレン及びペルフルオロメチルビニルエーテルコポリマー(MFA)、クロロトリフルオロエチレンビニリデンフルオリドコポリマー(FTFE/VDF)及びそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0049】
議論を容易にするために、本明細書では延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を参照するが、延伸変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFEの延伸ブレンド、PTFEの延伸コポリマー及びPTFEホモポリマーはすべて本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。PTFEの延伸可能なブレンド、延伸可能な変性PTFE及びPTFEの延伸コポリマーに関する特許が付与されており、例えば、Brancaの米国特許第5,708,044号、Baillieの米国特許第6,541,589号、Sabolらの米国特許第7,531,611号、Fordの米国特許第8,647,144号及びXuらの米国特許第9,139,669号である。
【0050】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のための材料は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む。
【0051】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のための材料は、緻密化された延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む。
【0052】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のためのフィルム及び/又は材料は、シリコーンを含まない。
【0053】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、第一の材料及び第二の材料を含む。幾つかの実施形態において、第一の材料及び第二の材料のそれぞれは、フルオロポリマーである。幾つかの実施形態において、第一の材料はePTFEであり、第二の材料はFEPである。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Kennedyらの米国特許第7,521,010号明細書に提供される教示に従って作製される。
【0054】
幾つかの実施形態において、第一の材料は、第二の材料で少なくとも部分的に侵入されて、高度に耐久性のある機械的結合を形成する。具体的には、幾つかの実施形態において、第二の材料は、第一の材料の厚さに少なくとも部分的に延在している。幾つかの実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00005mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.0001mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.0005mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.001mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.005mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.01mm~0.02mmだけ第一の材料中に侵入している。
【0055】
幾つかの実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.01mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.005mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.001mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.0005mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.0001mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00001mm~0.00005mmだけ第一の材料中に侵入している。
【0056】
幾つかの実施形態において、第二の材料は、0.0001mm~0.005mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.0005mm~0.001mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.00005mm~0.005mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.001mm~0.005mmだけ第一の材料中に侵入している。他の実施形態において、第二の材料は、0.005mm~0.01mmだけ第一の材料中に侵入している。
【0057】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、第一の材料の第一の面及び第二の面の両方で第二の材料が侵入された第一の材料を含む。
【0058】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、第一の材料の一方の面(例えば、第一の面)に第二の材料が侵入され、第一の材料の反対面(例えば、第二の面)に第三の材料が侵入された第一の材料を含む。
【0059】
細胞培養物を育成するための複合フィルム102の特徴は、水中の全有機炭素(TOC)である。本明細書で規定されるように、TOCは、有機化合物において結合した炭素の量であり、とりわけ、水質又は製薬機器の清浄度の非特異的指標としてしばしば使用される。TOCは、バイオテクノロジー業界のプロセス制御属性として利用され、精製及び流通システムを採用する単位操作の性能をモニターする。
【0060】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.0005mg/cm未満のTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルムは、0.00001mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00005mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.0001mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.005mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.1mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.5mg/cm~1mg/cmのTOCを有する。
【0061】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.5mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.1mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.05mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.01mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.005mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.001mg/cmのTOCを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.00001mg/cm~0.0005mg/cmのTOCを有する。
【0062】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.00005mg/cm~0.005mg/cmのTOCを有する。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.0008mg/cm~0.02mg/cmのTOCを有する。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.006mg/cm~0.4mg/cmのTOCを有する。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.04mg/cm~0.8mg/cmのTOCを有する。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.5mg/cm~0.75mg/cmのTOCを有する。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.00005~0.0001mg/cmのTOCを有する。
【0063】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、少なくとも一方向で10,000psi(69MPA)以上引張強度を有する。別の実施形態において、複合フィルム102の少なくとも一方向の引張強度は、12,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の少なくとも一方向の引張強度は、15,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の少なくとも一方向の引張強度は、17,500psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の引張強度は、少なくとも一方向で20,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の少なくとも一方向の引張強度は、35,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の引張強度は、少なくとも一方向で50,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の少なくとも一方向の引張強度は、60,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の引張強度は、少なくとも一方向で75,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の引張強度は、少なくとも一方向で80,000psi以上である。別の実施形態において、複合フィルム102の引張強度は、少なくとも一方向で92,000psi以下である。
【0064】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~80,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~60,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~50,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~25,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~20,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~15,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、10,000psi~12,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。
【0065】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、12,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、15,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、20,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、25,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、40,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、50,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、75,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。
【0066】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、12,000psi~75,000psiの少なくとも一方向に引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、25,000psi~60,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、15,000psi~45,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、50,000psi~80,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、45,000psi~65,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、60,000psi~92,000psiの少なくとも一方向の引張強度を有する。
【0067】
本明細書で規定されるように、厚さは、複合フィルム102の第一の表面から複合フィルム102の第二の表面までz方向に延在する寸法である。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.09mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.085mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.075mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.065mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.059mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.05mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.04mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.03mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.025mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.01mm~0.015mmの厚さを有する。
【0068】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.015mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.025mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.03mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.045mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.05mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.059mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.065mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.075mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.09mm~0.1mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.095mm~0.1mmの厚さを有する。
【0069】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、0.02mm~0.045mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.025mm~0.035mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.03mm~0.04mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.02mm~0.025mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.075mm~0.095mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.065mm~0.08mmの厚さを有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、0.059mm~0.098mmの厚さを有する。
【0070】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、複合フィルム102を通して、細胞培養物116を細胞培養コンパートメント114内で見ることを可能にする透明度を有する。本明細書で使用されるときに、透明度は、複合フィルムの全透過率(%)として定量化される。具体的には、より高い全透過率はより高い透明度を示し、一方、より低い全透過率はより低い透明度を示す。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、70%~100%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、75%~100%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、80%~100%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、85%~100%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、90%~100%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、95%~100%の全透過率を有する。
【0071】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、70%~95%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、70%~90%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、70%~85%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、70%~80%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、70%~85%の全透過率を有する。
【0072】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、75%~85%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、90%~95%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルム102は、80%~95%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルムは、75%~95%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルムは、80%~90%の全透過率を有する。他の実施形態において、複合フィルムは、75%~90%の全透過率を有する。
【0073】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102の厚さが減少すると、非極性ガス透過性を有する細胞培養バッグ100が得られ、それにより、酸素が細胞に流れて細胞の生存及び増殖を促進することができる。本明細書で規定されているように、非極性ガス透過性は、Oフラックスが少なくとも2,000cm/m/atm/日である。この規定の目的上、水蒸気は非極性ガスではない。
【0074】
フラックスは、本明細書において、複合フィルム102を介して細胞培養物116にデリバリー可能な酸素の量として定義される。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日である。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが5,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが10,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが15,000cm/m/atm/日~20,000cm/m/atm/日である。
【0075】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~15,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~10,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~7,500cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが2,000cm/m/atm/日~5,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、のOフラックスが2,000cm/m/atm/日~2,500cm/m/atm/日である。
【0076】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが3,000cm/m/atm/日~8,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが6,000cm/m/atm/日~16,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが4,500cm/m/atm/日~5,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが15,000cm/m/atm/日~17,500cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが12,000cm/m/atm/日~18,000cm/m/atm/日である。他の実施形態において、複合フィルム102は、Oフラックスが17,500cm/m/atm/日~19,000cm/m/atm/日である。
【0077】
本明細書に記載されるように、第二の材料の第一の材料への侵入は、複合フィルム102の第一の材料及び第二の材料の間に耐久性結合を作成する。幾つかの実施形態において、第一の材料と第二の材料との間の耐久性結合は、複合フィルム102に0.25N/mm~10N/mmの剥離強度を提供するのに十分である。本明細書で定義されるように、複合フィルム102の剥離強度は、複合フィルム102が結合されている第二のフィルム(又は第二の材料)から複合フィルム102を分ける(すなわち、分離する)ための平均の力の尺度である。本明細書で定義されるときに、剥離強度は、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するのに必要な強度、又は、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するのに必要な強度であることができる。幾つかの実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.5N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、1.0N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、2.5N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、5N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、7.5N/mm~10N/mmである。
【0078】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~7.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~2.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~1.0N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~0.5N/mmである。
【0079】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.5N/mm~7.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、1.0N/mm~5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、2.5N/mm~7.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、1.0N/mm~2.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のePTFEと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、5N/mm~7.5N/mmである。
【0080】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.5N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、1.0N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、2.5N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、5N/mm~10N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、7.5N/mm~10N/mmである。
【0081】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102と第二のフィルムのFEPを分離するために必要なFEPの剥離強度は、0.25N/mm~7.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~2.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~1.0N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.25N/mm~0.5N/mmである。
【0082】
幾つかの実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、0.5N/mm~7.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、1.0N/mm~5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、2.5N/mm~7.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、1.0N/mm~2.5N/mmである。他の実施形態において、複合フィルム102のFEPと第二のフィルムのFEPを分離するために必要な剥離強度は、5N/mm~7.5N/mmである。
【0083】
図1及び2に示す実施形態において、細胞培養バッグ100は、複合フィルム102を加熱要素の周りに巻き付けてチューブを形成することによって作製される。幾つかの実施形態において、複合フィルム102の第一の端部を複合フィルム102の第二の端部と重畳させ、次いで熱及び圧力を使用して複合フィルム102をそれ自身に結合させて、長手方向のラップシーム118を有する複合フィルムチューブ104を作製する。次に、複合フィルムチューブ104は、複合フィルムチューブ104の長手方向軸Lに垂直な方向に平坦化される。
【0084】
次に、複合フィルム130の第二の片をそれ自体の上に折り返す。複合フィルムチューブ104の第一の端部106は、折り返された複合フィルム130の2つの層の間に配置される。熱及び圧力を使用して、折り返された複合フィルム130を複合フィルムチューブ104に結合して、複合フィルムチューブ104の第一の端部106を閉じるラップシーム132を作成する。折り返された複合フィルム130は、フィンシーム142において複合フィルムチューブ104の外側でそれ自体に結合する。次に、複合フィルム140の第三の片をそれ自体の上に折り返す。複合フィルムチューブ104の第二の端部108を、折り返された複合フィルム140の2つの層の間に配置する。非接着性要素(図示せず)を、折り返された複合フィルム140内に延在している細胞培養バッグ100内に配置して、結合されていない領域を作成する。熱及び圧力を使用して、折り返された複合フィルム140を複合フィルムチューブ104に結合して、複合フィルムチューブ104の第二の端部を閉じるラップシーム144を作成する。折り返された複合フィルム140を、フィンシーム146で複合フィルムチューブ104の外側でそれ自体に結合する。細胞培養バッグ100のフィンシーム146にスリットを切り込む。非接着性要素を除去する。ポートアダプタ110を結合されていない領域に配置する。ポートアダプタ110は、所望の最終用途に応じて、様々なポート(図示せず)と組み合わせて使用することができる。例えば、1つの実施形態において、崩潰不能なポートアセンブリを使用することができる。熱及び圧力を使用して、ポートアダプタ110を折り返された複合フィルム140に結合し、フィンシーム(図示せず)を作成し、細胞培養バッグ100を形成することができる。
【0085】
さらに他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、一般に、AlfordらのP.C.T.特許出願番号WO2019/209268号明細書に提供される教示に従って製造され、これを参照により本明細書に取り込む。
【0086】
他の実施形態において、細胞培養バッグ100の他の構成を使用することができる。例えば、幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100は、一般に、Snyderらの米国特許出願公開第2016/0030283A1号明細書の教示に従って構成されうる。
【0087】
代替の実施形態において、複合フィルムチューブ104の各面上に1つの複合フィルム102がある2つの複合フィルム102を使用することができる。
【0088】
細胞培養バッグ100内の体積は、用途に応じて変えることができる。例えば、1つの実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、100mL~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、500mL~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、5L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、10L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、50L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、100L~200Lの体積を有する。
【0089】
幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~100Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~50Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~10Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~5Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~2Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~1Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~500mLの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~250mLの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~100mLの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~20mLの体積を有する。
【0090】
幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100は、1mL~150Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、100mL~50Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、500mL~1Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、10mL~10Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、5L~20Lの体積を有する。実施形態では、細胞培養バッグ100は、1L~50Lの体積を有する。
【0091】
幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100は、様々な癌、神経疾患、結核及び嚢胞性線維症などの感染症、潰瘍性大腸炎、末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓病、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、眼科病態、糖尿病及びその他の病状を含む多くの状態に関連する細胞及び遺伝子治療に使用される。幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100は、活性化、トランスフェクション、膨張及び増殖段階における細胞のインビトロ培養のために使用される。
【0092】
幾つかの実施形態において、少なくとも2つの細胞培養バッグ100は、図3に示されるように、流体連通して直列に一緒に連結されて、細胞培養プロセス中の細胞培養物116の無菌移動を可能にする。幾つかの実施形態において、3つの細胞培養バッグは直列に連結されている。他の実施形態において、4つの細胞培養バッグは直列に連結されており、図3に示されている。他の実施形態において、5つ以上の細胞培養バッグ100を直列に連結することができる。幾つかの実施形態において、直列内の細胞培養バッグ100は、細胞培養物116の要件に基づいて異なる特性を有する。例えば、各細胞培養バッグ100のサイズ及びOフラックスは、細胞培養プロセスの段階に基づいて調整されうる。幾つかの実施形態において、異なるサイズ及び異なるOフラックスを有する2つの細胞培養バッグ100を一緒に連結することができる。他の実施形態において、異なるサイズ及び異なるOフラックスを有する3つの細胞培養バッグ100を一緒に連結することができる。1つの例として、細胞培養増殖が必要とされる段階の間に、複合フィルム102のOフラックスは、他の細胞培養バッグ100におけるOフラックスと比較して増加されうる。他の実施形態において、細胞培養バッグ100は、2か月~20年以上のいずれかで長期保存のために、細胞培養物116を無菌的に移送するために、例えば、Gore(登録商標)STA-PURE(商標)フレキシブルフリーズコンテナなどのフリーズコンテナバッグに連結されうる。
【0093】
幾つかの実施形態において、細胞培養バッグ100の内面又は外面は、疎水性であるか、又は疎水性コーティングを含む。他の実施形態において、細胞培養バッグ100の内面又は外面は、親水性であるか、又は親水性コーティングを含む。
【0094】
様々な細胞型を細胞培養バッグ内100で増殖させることができ、該細胞型としては、限定するわけではないが、T細胞、TCR細胞、結合組織細胞、骨格細胞、心臓細胞、上皮細胞、神経細胞、内分泌細胞、免疫細胞、リンパ球及びメラノサイトが挙げられる。同様に、細胞の特定の増殖要件及び増殖条件に応じて、細胞型が増殖しうる様々な増殖培地が利用可能である。幾つかの実施形態において、適切な増殖培地としては、例えば、ホルモン及び/又は成長因子が添加された栄養素又は溶原性ブロスが挙げられる。
【0095】
幾つかの実施形態において、コーティング又は処理剤は、細胞培養バッグ100の細胞培養バッグコンパートメント114の内面に適用されて、所望の目的を達成する。例えば、細胞培養バッグ100は、細胞の増殖及び代謝を促進するために、細胞培養コンパートメント114の内面にコーティング又は処理剤を含むことができる。他の実施形態において、コーティング又は処理剤は、細胞の活性化、トランスフェクション、膨張及び/又は増殖を促進することができる。しかしながら、細胞培養バッグコンパートメント114に適用される任意の機能的コーティング又は処理剤は、複合フィルム102のOフラックスを妨げないものである。例えば、幾つかの実施形態において、コーティング又は処理剤は、パターンで又は細胞培養コンパートメント114の内面の一部の上で細胞培養バッグ100に適用される。他の実施形態において、複合フィルム102は、複合フィルム102の表面が処理されたときに、得られた複合フィルム102が少なくとも2000cm/m/atm/日のOフラックスを有するように、閾値レベルを超えるOフラックスを備えて形成される。他の実施形態において、複合フィルム102は、細胞培養バッグ100が、製造後であるが、使用前に機能化されることを可能にするOフラックス、厚さ及び引張強度を備えて形成される。幾つかの実施形態において、複合フィルム102は、細胞培養バッグ100が、製造後であるが、使用前に機能化されることを可能にする表面積及び/又は表面エネルギーを備えて形成される。
【0096】
図4は、本開示の幾つかの実施形態による細胞培養容器200を示す。細胞培養容器200は、細胞培養物216を受け入れるように構成された細胞培養コンパートメント214を含む。細胞培養容器200はまた、細胞培養容器200の底部に配置されるか、又は細胞培養容器200の底部に接続され、そこに含まれる細胞培養物216と接触する複合フィルム202を含む。複合フィルム202は、本明細書に記載の複合フィルム102のすべての特性を備えた複合フィルム102と実質的に同じ又は同じであることができる。幾つかの実施形態において、複合フィルム202は、耐久性(例えば、引張強度及び耐穿刺性)、ならびに細胞増殖を支持するために必要なOフラックス及び表面積を提供するフルオロポリマー複合フィルムである。さらに、幾つかの実施形態において、フルオロポリマー複合フィルム202は、浸出物及び抽出物の量を減らす。
【0097】
細胞培養容器200の細胞培養コンパートメント214内の体積は、所望の用途に応じて変えることができる。例えば、1つの実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、100mL~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、500mL~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、10L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、50L~200Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、100L~200Lの体積を有する。
【0098】
幾つかの実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~100Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~50Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~10Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~1Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~750mLの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~500mLの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~100mLの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~20mLの体積を有する。
【0099】
幾つかの実施形態において、細胞培養容器200は、1mL~150Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、100mL~20Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、500mL~1Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、1L~2Lの体積を有する。他の実施形態において、細胞培養容器200は、2L~100Lの体積を有する。他の実施形態においいて、細胞培養容器200は、250mL~750mLの体積を有する。
【0100】
幾つかの実施形態において、細胞培養容器200の体積を変化させると、容器の体積が、そこに含まれる細胞の適切なガス交換を確保にするために変化するので、表面積対体積比(SA/V)が一定又はほぼ一定のままであるように、複合フィルム202の表面積に対応する変化が生じる。
【0101】
幾つかの実施形態において、細胞培養容器200は、限定するわけではないが、様々な癌、神経疾患、結核及び嚢胞性線維症などの感染症、潰瘍性大腸炎、末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓病、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、眼科病態、糖尿病及びその他の病状を含む多くの状態に関連する細胞及び遺伝子治療に使用される。幾つかの実施形態において、細胞培養容器200は、活性化、トランスフェクション、膨張及び増殖段階における細胞のインビトロ培養のために使用される。
【実施例0102】
試験方法
フラックス
本明細書に記載されている複合フィルムのOフラックスを、ASTM D1434-82(2015)に従って測定した。
【0103】
抗張力
本明細書に記載の複合フィルムの引張強度を、ASTM D412-16 ダイFに従って測定した。
【0104】
水中の全有機炭素
本明細書に記載されている複合フィルムのTOCは、米国薬局方(USP)643に従って、UV促進化学酸化の高温湿式酸化反応を利用する装置を使用して測定された(Ultra-Clean Technology Handbook:Volume 1:Ultra-Pure Water、Ohmi、Tadahiro; CRC Press, 1993, pp.497-517)。精製水を、70℃で24時間、例えば、1mLの水に対して3cmの物品表面積の比率で複合フィルムと接触させた。水はポリマーとの接触から除去され、TOCアナライザーで試験した。適切な機器片は、SUEZ WATER TECHNOLOGIES & SOLUTIONSのSievers M9TOCアナライザーである。
【0105】
剥離強度
本明細書に記載されている複合フィルムの剥離強度を、ASTMF88-15に従って測定した。
【0106】
全透過率
ASTM D1003-13に従って、本明細書に記載の複合フィルムを通る波長380~740nmの平均全透過率を測定した。
【0107】
例1
70wt%のePTFEと30wt%のFEPを含む27.14μmの厚さの複合フィルムを得た。複合フィルムは、一般に、Kennedyの米国特許第7,521,010号明細書に従って製造した。
【0108】
複合フィルムのFEP侵入厚は0.45μmであり、非侵入ePTFE厚は19.89μmであった。
【0109】
複合フィルムを、ASTMD1434に示されている試験方法を使用してOフラックスについて試験した。複合材料は、Oフラックスが11,500cm/m/atm/日であると決定された。
【0110】
複合フィルムは、ASTM 412 ダイFに示されている試験方法を使用して、少なくとも一方向の引張強度についても試験した。複合フィルムは、機械方向及び横断方向の最小引張強度が10,520psiであると判断された。
【0111】
複合フィルムは、FEP/ePTFE界面で0.42N/mmの剥離強度を示し、FEP/FEP界面で1.12N/mmの剥離強度を示した。
【0112】
複合フィルムの全透過率は91.0%であると決定された。
【0113】
例2
78wt%のePTFEと22wt%のFEPを含む厚さ19.78μmの複合フィルムを得た。複合フィルムを、一般に、Kennedyの米国特許第7,521,010号明細書に従って製造した。
【0114】
複合フィルムのFEP侵入厚は0.35μmであり、非侵入ePTFE厚は14.86μmであった。
【0115】
複合フィルムは、ASTMD1434に示されている試験方法を使用してOフラックスについて試験した。複合フィルムは、Oフラックスが7,786cm/m/atm/日であると決定された。
【0116】
複合フィルムは、ASTM 412 ダイFに示されている試験方法を使用して、少なくとも一方向の引張強度についても試験した。複合フィルムは、機械方向及び横方向の最小引張強度が24,100psiであると判断された。
【0117】
複合材料は、FEP/ePTFE界面で0.43N/mmの剥離強度、FEP/FEP界面で1.60N/mmの剥離強度を有した。
【0118】
複合フィルムの全透過率は93.4%であると決定された。
【0119】
例1の結果を表1に示す。
【表1】
【0120】
比較において、従来の複合フィルムを、削られたePTFEにFEPを接着することによって形成した。試験したときに、これらの複合フィルムは、FEP侵入、剥離強度、引張強度(機械及び横方向)及びOフラックスが本明細書に記載の実施例及び説明に提供される範囲の外にあると予想される。
【0121】
さらに、FEPをePTFEに接着することによって形成された従来の複合フィルムを製造した。試験したときに、これらの従来の複合フィルムは、本明細書に記載の実施例及び説明に提供される範囲の外にある全透過率を有すると予想される。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】