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特開2023-181245空間浮遊映像情報表示システムに用いられる光源装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181245
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】空間浮遊映像情報表示システムに用いられる光源装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20231214BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231214BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231214BHJP
   F21V 7/06 20060101ALI20231214BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20231214BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20231214BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20231214BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20231214BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231214BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1335
F21S2/00 441
F21S2/00 431
F21S2/00 433
F21S2/00 434
F21S2/00 435
F21S2/00 496
F21S2/00 491
F21S2/00 492
F21V7/06
F21V7/24
F21V29/503
F21V29/83
F21Y103:10
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178736
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2022141460の分割
【原出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 寿紀
(57)【要約】
【課題】空間の外部に対して好適に映像を表示すること。本発明によれば、持続可能な開発目標の「3すべての人に健康と福祉を」、「9産業と技術革新の基盤をつくろう」、「11住み続けられるまちづくりを」に貢献する。
【解決手段】表示装置に光を供給する光源装置は、光源と、光源が設置される基板と、光源からの光を反射させるリフレクタと、リフレクタからの光を導光する導光体と、導光体からの光を拡散する拡散板と、を備え、拡散板は表示装置に近接して配置されるものであり、基板は、表示装置に対してリフレクタよりも遠い位置に配置される。
【選択図】図27B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に光を供給する光源装置であって、
光源と、
前記光源が設置される基板と、
前記光源からの光を反射させるリフレクタと、
前記リフレクタからの光を導光する導光体と、
前記導光体からの光を拡散する拡散板と、を備え、
前記拡散板は前記表示装置に近接して配置されるものであり、
前記基板は、前記表示装置に対して前記リフレクタよりも遠い位置に配置される、
光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記光源は平面の形状の光源であり、
前記リフレクタの反射面は、前記平面の形状の光源の当該平面からの発散光束を前記リフレクタで反射されたのちに平行光束として出射させる形状を備えており、
前記リフレクタの反射面で反射された光束の出射方向は、前記平面の形状の光源の当該平面に垂直な光軸に対して垂直な方向である、
光源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光源装置において、
前記リフレクタの反射面は、前記光源からの光を反射し、反射した光が略平行光となって前記導光体に向かって進行するように構成されたものであり、
前記リフレクタから前記導光体に向かう略平行光の進行方向を第1の方向とし、
前記光源は複数あり、前記複数の光源は第2の方向に一列に配置されている、
光源装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光源装置において、
前記導光体の反射面での反射により光を前記表示装置に向けて導光し、
前記導光体の反射面と前記表示装置の間に空間が設けられており、該空間で自然冷却が行われる、
光源装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光源装置において、
前記リフレクタは、プラスチック材料またはガラス材料または金属材料を用いる、
光源装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光源装置において、
前記リフレクタの反射面は放物面であり、
前記リフレクタと前記導光体は、前記光源から前記リフレクタに入る光軸の向きと前記導光体から前記拡散板に入る光の向きが略平行になるよう配置されている、
光源装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光源装置において、
前記光源は複数あり、
前記光源は、前記拡散板の複数の辺のうち、前記リフレクタ側の前記拡散板の辺と平行な方向に一列に配置される、
光源装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光源装置において、
前記光源からの光を特定方向の偏光に変換する偏光変換素子と、
前記導光体と前記拡散板との空間を挟むように配置される側壁と、を備え、
前記偏光変換素子の光出射面は、前記側壁と前記導光体と前記拡散板と前記偏光変換素子とで囲まれた空間に面する、
光源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光源装置において、
前記側壁は、通気口を有する、
光源装置。
【請求項10】
請求項8に記載の光源装置において、
前記側壁のうち、前記空間に接する面は反射面である、
光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間浮遊映像情報表示システムおよびそれに用いられる光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間浮遊情報表示システムとして、直接外部に向かって映像を表示する映像表示装置と空間画面として表示される表示法は既に知られている。また、表示された空間像の操作面における操作に対する誤検知を低減する検知システムについても、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-128722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術の空間浮遊映像情報表示システムや空間像の操作に対する誤検知を低減する方法として、空間浮遊映像の映像源となる映像表示装置の光源を含む設計の最適化技術については考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、空間浮遊情報表示システムまたは空間浮遊映像表示装置において、視認性(見た目の解像度やコントラスト)が高く、表示されている空間像の操作に対する誤検知を低減させた好適な映像を表示することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例として以下に挙げる。本願の一例としての表示装置に光を供給する光源装置は、光源と、光源が設置される基板と、光源からの光を反射させるリフレクタと、リフレクタからの光を導光する導光体と、導光体からの光を拡散する拡散板と、を備え、拡散板は表示装置に近接して配置されるものであり、基板は、表示装置に対してリフレクタよりも遠い位置に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、好適に空間浮遊映像情報を表示することができ、誤検知が少ないセンシング機能を有する空間浮遊情報表示システムまたは空間浮遊映像表示装置を実現できる。上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの使用形態の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの主要部構成と再帰反射部構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの主要部構成の他の例を示す図である。
図4】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの主要部構成の他の例を示す図である。
図5】空間浮遊映像情報表示システムで用いるセンシング装置の機能を説明するための説明図である。
図6】空間浮遊映像情報表示システムで用いる3次元映像表示の原理の説明図である。
図7】反射型偏光板の特性を評価した測定系の説明図である。
図8】反射型偏光板透過軸の光線入射角度に対する透過率特性を示す特性図である。
図9】反射型偏光板反射軸の光線入射角度に対する透過率特性を示す特性図である。
図10】反射型偏光板透過軸の光線入射角度に対する透過率特性を示す特性図である。
図11】反射型偏光板反射軸の光線入射角度に対する透過率特性を示す特性図である。
図12】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
図13】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
図14】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
図15】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの主要部を示す配置図である。
図16】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムを構成する映像表示装置の構成を示す断面図である。
図17】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
図18】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
図19】光源装置の具体的な構成の一例を示す断面図である。
図20】映像表示装置の光源拡散特性を説明するための説明図である。
図21】映像表示装置の拡散特性を説明するための説明図である。
図22】映像表示装置の拡散特性を説明するための説明図である。
図23】空間浮遊映像情報表示システムを構成する映像表示装置の構成を示す断面図である。
図24】従来技術による空間浮遊映像情報表示システムで発生するゴースト像の発生原理を説明するための説明図である。
図25】本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムを構成する映像表示装置の構成を示す断面図である。
図26】光源装置の具体的な構成の別の例を示す図である。
図27A】光源装置の具体的な構成の別の例を示す図である。
図27B】光源装置の具体的な構成の別の例を示す断面図である。
図27C】光源装置の具体的な構成の別の例を示す断面図である。
図27D】光源装置の具体的な構成の別の例の一部を抜粋した図である。
図28A】光源装置の具体的な構成の別の例を示す図である。
図28B】光源装置の具体的な構成の別の例を示す断面図である。
図29】光源装置の具体的な構成の別の例を示す図である。
図30】光源装置の具体的な構成の別の例の拡散板の形状の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態(以下、「本開示」ともいう)の内容に限定されるものではない。本発明は、発明の精神ないし特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲またはその均等範囲物にも及ぶ。また、以下に説明する実施形態(実施例)の構成は、あくまで例示に過ぎないのであって、本明細書に開示される技術的思想の範囲において、当業者による様々な変更および修正が可能である。
【0010】
また、本発明を説明するための図面において、同一または類似の機能を有するものには、同一の符号を付与し、適宜、異なる名称を使用する一方で、機能等の繰り返しの説明を省略する場合がある。なお、以下の実施形態の説明において、空間に浮遊する映像を「空間浮遊映像」という用語で表現している。この用語の代わりに、「空中像」、「空間像」、「空中浮遊映像」、「表示映像の空間浮遊光学像」、「表示映像の空中浮遊光学像」などと表現してもかまわない。実施形態の説明で主として用いる「空間浮遊映像」の用語は、これらの用語の代表例として用いている。
【0011】
本開示は、例えば、大面積な映像発光源からの映像光による映像を、ショーウィンドのガラス等の空間を仕切る透明な部材を介して透過して、店舗(空間)の内部または外部に空間浮遊映像として表示することが可能な情報表示システムに関する。また、本開示は、かかる情報表示システムを複数用いて構成される大規模なデジタルサイネージシステムに関する。
【0012】
以下の実施形態によれば、例えば、ショーウィンドのガラス面や光透過性の板材上に高解像度な映像情報を空間浮遊した状態で表示可能となる。この時、出射する映像光の発散角を小さく、即ち鋭角とし、さらに特定の偏波に揃えることで、再帰反射部材に対して正規の反射光だけを効率良く反射させることができる。このため、光の利用効率が高く、従来の再帰反射方式での課題となっていた主空間浮遊像の他に発生するゴースト像を抑えることができ、鮮明な空間浮遊映像を得ることができる。
【0013】
また、本開示の光源を含む装置により、消費電力を大幅に低減することが可能な、新規で利用性に優れた空間浮遊映像情報表示システムを提供することができる。また、本開示の技術によれば、例えば、車両のフロントガラスやリアガラスやサイドガラスを含むシールドガラスを介して、車両外部において視認可能である、いわゆる、一方向性の空間浮遊映像の表示が可能な車両用浮遊映像情報表示システムを提供することができる。
【0014】
一方、従来の空間浮遊映像情報表示システムでは、高解像度なカラー表示映像源150として有機ELパネルや液晶表示パネル(液晶パネルまたは表示パネル)を、再帰反射部材151と組み合わせる。従来技術による空間浮遊映像表示装置では、映像光が広角で拡散するため、再帰反射部材151(図23を参照)で正規に反射する反射光の他に、図24に示すように、再帰反射部材2aに斜めから入射する映像光によってゴースト像(図23中の符号301、302を参照)が発生し、空間浮遊映像の画質を損ねていた。また、従来技術による空間浮遊映像表示装置では、図23に示すように、正規な空間浮遊映像300の他に、第1ゴースト像301や第2ゴースト像302などが複数発生する。このため、観視者以外にもゴースト像である同一空間浮遊映像を観視されてしまい、セキュリティ上の観点からも、大きな課題があった。
【0015】
<空間浮遊映像情報表示システムの第1の構成例>
図1(A)は、本開示の空間浮遊映像情報表示システムの使用形態の一例を示す図である。また、図1(A)は、本実施形態における空間浮遊映像情報表示システムの全体構成を説明する図である。図1(A)を参照すると、例えば、店舗等においては、ガラス等の透光性の部材であるショーウィンド(「ウィンドガラス」とも言う)105により空間が仕切られている。本開示の空間浮遊情報表示システム(以下、「本システム」とも言う)によれば、かかる透明な部材を透過して、浮遊映像を店舗(空間)の外部に対して一方向に表示することが可能である。
【0016】
具体的には、本システムによれば、映像表示装置(表示装置)1から挟角な指向特性でかつ特定偏波の光が、映像光束として出射され、再帰反射部材2に一旦入射し、再帰反射してウィンドガラス105を透過して、店舗の外側に、実像である空中像3(空間浮遊像3)を形成する。図1(A)では、透明部材(ここではウィンドガラス)105の内側(店舗内)を奥行方向とし、ウィンドガラス105の外側(例えば、歩道)が手前になるように示している。
【0017】
他方、ウィンドガラス105に特定偏波を反射する手段を設け、かかる手段で映像光束を反射させて、店内の所望の位置に空中像を形成することもできる。
【0018】
図1(B)は、上述した映像表示装置1の構成を示すブロック図である。映像表示装置1は、空中像の原画像を表示する映像表示部と、入力された映像をパネルの解像度に合わせて変換する映像制御部と、映像信号を受信する映像信号受信部と、を含む。
【0019】
このうち、映像信号受信部は、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface(登録商標))などの入力インターレースを通じての有線での入力信号への対応と、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)などの無線入力信号への対応を行う役割を担う。また、映像信号受信部は、映像受信・表示装置として単独で機能することもできる。さらに、映像信号受信部は、タブレット、スマートフォンなどからの映像情報を表示することもできる。さらにまた、映像信号受信部は、必要に応じてスティックPCなどのプロセッサ(演算処理装置)を接続することもでき、この場合、映像信号受信部全体として、計算処理や映像解析処理などの能力を持たせることもできる。
【0020】
図2は、本開示の空間浮遊映像情報表示システムの主要部構成と再帰反射部構成の一例を示す図である。図2を用いて、空間浮遊映像情報表示システムの構成をより具体的に説明する。図2(A)に示すように、ガラス等の透光性を有する透過性プレート(以下、「透明な部材」と言う。)100の斜め方向に、特定偏波の映像光を挟角に発散させる映像表示装置1を備える。映像表示装置1は、液晶表示パネル11と挟角な拡散特性を有する特定偏波の光を生成する光源装置13とを備えている。
【0021】
映像表示装置1からの特定偏波の映像光は、透明な部材100に設けた特定偏波の映像光を選択的に反射する膜を有する偏光分離部材101(図中は偏光分離部材101をシート状に形成して透明な部材100に粘着している)で反射され、再帰反射部材2に入射する。再帰反射部材の映像光入射面にはλ/4板21を設ける。映像光は、再帰反射部材への入射のときと出射のときの2回、λ/4板21を通過させられることで特定偏波から他方の偏波へ偏光変換される。
【0022】
ここで、特定偏波の映像光を選択的に反射する偏光分離部材101は、偏光変換された他方の偏波の偏光は透過する性質を有するので、偏光変換後の特定偏波の映像光は、偏光分離部材101を透過する。偏光分離部材101を透過した映像光が、透明な部材100の外側に実像である空間浮遊映像3を形成する。
【0023】
なお、空中浮遊映像3を形成する光は、再帰反射部材2から空中浮遊映像3の光学像へ収束する光線の集合であり、これらの光線は、空中浮遊映像3の光学像を通過後も直進する。よって、空中浮遊映像3は、一般的なプロジェクタなどでスクリーン上に形成される拡散映像光とは異なり、高い指向性を有する映像である。
【0024】
よって、図2の構成では、矢印Aの方向からユーザが視認する場合には空中浮遊映像3は明るい映像として視認されるが、矢印Bの方向から他の人物が視認する場合には、空中浮遊映像3は映像として一切視認することはできない。この特性は、高いセキュリティが求められる映像や、ユーザに正対する人物には秘匿したい秘匿性の高い映像を表示するシステムに採用する場合に、非常に好適である。
【0025】
なお、再帰反射部材2の性能によっては、反射後の映像光の偏光軸が不揃いになることがある。この場合、偏光軸が不揃いになった一部の映像光は、上述した偏光分離部材101で反射され映像表示装置1に戻る。この一部の映像光は、映像表示装置1を構成する液晶表示パネル11の映像表示面で再反射し、ゴースト像を発生させることにより、空間浮遊像の画質の低下を引き起こす要因になり得る。
【0026】
そこで、本実施の形態では、映像表示装置1の映像表示面に吸収型偏光板12を設ける。吸収型偏光板12は、映像表示装置1から出射する映像光を当該吸収型偏光板12にて透過させ、偏光分離部材101から戻ってくる反射光を当該吸収型偏光板12で吸収させることで、再反射を抑制できる。したがって、吸収型偏光板12を用いる本実施の形態によれば、空間浮遊像のゴースト像による画質低下を防止ないし抑制することができる。
【0027】
上述した偏光分離部材101は、例えば反射型偏光板や特定偏波を反射させる金属多層膜などで形成すればよい。
【0028】
次に、図2(B)に代表的な再帰反射部材2として、今回の検討に用いた日本カ-バイト工業株式会社製の再帰反射部材の表面形状を示す。規則的に配列された6角柱の内部に入射した光線は、6角柱の壁面と底面で反射され再帰反射光として入射光に対応した方向に出射し、映像表示装置1に表示した映像に基づき実像である空間浮遊映像を表示する。この空間浮遊像の解像度は液晶表示パネル11の解像度の他に、図2(B)で示す再帰反射部材2の再帰反射部の外形DとピッチPに大きく依存する。例えば、7インチのWUXGA(1920×1200画素)液晶表示パネルを用いる場合には、1画素(1トリプレット)が約80μmであっても、例えば再帰反射部の直径Dが240μmでピッチが300μmであれば空間浮遊像の1画素は300μm相当となる。このため、空間浮遊映像の実効的な解像度は1/3程度に低下する。そこで空間浮遊映像の解像度を映像表示装置1の解像度と同等にするためには、再帰反射部の直径とピッチを液晶表示パネルの1画素に近づけることが望まれる。他方、再帰反射部材と液晶表示パネルの画素によるモアレの発生を抑えるため、それぞれのピッチ比を1画素の整数倍から外して設計すると良い。また形状は再帰反射部のいずれの一辺も液晶表示パネルの1画素のいずれの一辺と重ならないように配置すると良い。
【0029】
一方、再帰反射部材を低価格で製造するためには、ロールプレス法を用いて成形すると良い。具体的には再帰部を整列させフィルム上に賦形する方法であり、賦形する形状の逆形状をロール表面に形成し、固定用のベース材の上に紫外線硬化樹脂を塗布しロール間を通過させることで、必要な形状を賦形し紫外線を照射して硬化させ、所望形状の再帰反射部材2を得る。
【0030】
<空間浮遊映像情報表示システムの第2の構成例>
図3は、本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの主要部構成の他の例を示す図である。図3(A)は、空間浮遊映像情報表示システムの他の実施例を示す図である。映像表示装置1は、映像表示素子11としての液晶表示パネル11と、挟角な拡散特性を有する特定偏波の光を生成する光源装置13と、を備えて構成される。液晶表示パネル11は、画面サイズが5インチ程度の小型のものから、80インチを超える大型な液晶表示パネルで構成される。例えば、反射型偏光板のような偏光分離部材101で液晶表示パネルからの映像光を、再帰反射部材(再帰反射部または再帰反射板)2に向けて反射させる。
【0031】
図3に示す例における、図2に示した例との違いは、反射シートが凸面形状に沿って設けられている点である。このため、液晶表示パネル11からの映像光は凹面の形状に合わせて拡散して再帰反射部材2に入射する。この結果、液晶表示パネル11の画面表示面(表示サイズは図中L1)より広がり拡大された実像である空間浮遊映像3を得ることができる。更に、再帰反射部材2で反射した映像光束は偏光変換された後、凸面の反射シートを透過したのち凸面の他方の面に設けられた凹面形状の作用により更に拡散され透明部材100を透過し、図3(A)の斜め方向に拡大された空間浮遊映像L2となる。この時、空間浮遊映像の倍率Mは、M=L2/L1となる。
【0032】
以上述べたように、映像表示素子11と再帰反射部材2の間、又は再帰反射部材2と空間浮遊映像の間にレンズ作用を有する光学部材を設け、場合によってはこの光学部材を映像表示装置と再帰反射部材を結ぶ光軸から偏心させたり傾けたりすることで、映像情報システムにおいて得られる空間浮遊映像の大きさや結像位置を前述した光軸に対して任意に設定できる。上述したように、光学部材によって空間浮遊映像の大きさや結像位置を変えると、そのままでは空間映像に歪が生じるが、映像表示装置にこの歪を補正した映像を映し出すことによって、映像情報システム全体では歪のない映像を得ることができる。
【0033】
再帰反射部材2の光入射面にはλ/4板21を設け、入射した映像光が再帰反射部材2で反射したのち再びλ/4板21を透過することで、映像光の偏波が変換され凸面の偏光分離部材101を透過する。この結果、透明な部材100を透過した位置に液晶表示パネルで表示したサイズと異なるサイズの空間浮遊映像を形成できる。
【0034】
<空間浮遊映像情報表示システムの第3の構成例>
図3(B)は、空間浮遊映像情報表示システムの他の例を示す図である。図3(A)と同様に、映像表示装置1は、液晶表示パネル11と、挟角な拡散特性を有する特定偏波の光を生成する光源装置13と、を備える。液晶表示パネル11は、画面サイズが5インチ程度の小型のものから、80インチを超える大型な液晶表示パネルで構成することもできる。例えば、反射型偏光板のような特定偏波の映像光を選択的に反射する偏光分離部材101で、液晶表示パネル11からの映像光を、再帰反射部材(再帰反射部または再帰反射板)2に向けて反射させる。図2の例との違いは、得られた空間浮遊映像を凹面ミラー5で虚像Xとして拡大することである。映像表示装置1及び再帰反射部材2の構成については、図2及び図3(A)に示した実施例と同じであり、説明は省略する。なお、図3(B)の構成において、さらに偏光分離部材101を凸面形状としても良い。
【0035】
ここで、図2で説明したとおり、空中浮遊映像3は高い指向性を有する光線により形成されるので、矢印Aの方向から視認する場合には空中浮遊映像3は明るい映像として視認されるが、矢印Bの方向から視認する場合には、空中浮遊映像3は映像として一切視認されない。そのため、図3(B)の構成では、ユーザが矢印Bの方向から視認する場合に虚像Xの奥側に空中浮遊映像3が位置することとなるが、ユーザには、空中浮遊映像3は一切視認されず、虚像Xのみが好適に視認される。よって、この特性を活かして、図3(B)に示すように、虚像Xの奥側に空中浮遊映像3が位置するように構成すれば、虚像Xを視認するときのユーザXの視認範囲から空中浮遊映像3を除外するように構成するよりも、システム全体を小型化できるため、好適である。
【0036】
<空間浮遊映像情報表示システムの第4の構成例>
図4は、本発明の一実施例に係る空間浮遊映像情報表示システムの主要部構成の他の例を示す図である。図3(A)等と同様に、映像表示装置1は、液晶表示パネル11と、挟角な拡散特性を有する特定偏波の光を生成する光源装置13と、を備える。例えば、液晶表示パネル11は、画面サイズが5インチ程度の小型のものから80インチを超える大型な液晶表示パネルで構成される。折り返しミラー22は、透明な部材100を基板とする。透明な部材100の映像表示装置1側の表面には、反射型偏光板のような特定偏波の映像光を選択的に反射する偏光分離部材101を設け、液晶表示パネル11からの映像光を再帰反射部2に向けて反射する。これにより、折り返しミラー22はミラーとしての機能を有する。映像表示装置1からの特定偏波の映像光は、透明な部材100の下面に設けた偏光分離部材101(図示の例では、シート状の偏光分離部材101を粘着剤を用いて透明な部材100に貼り付けている。)で反射され、再帰反射部材2に入射する。なお、偏光分離部材101の代わりに、透明な部材100の表面に偏光分離特性を有する光学膜を蒸着してもよい。
【0037】
再帰反射部材2の光入射面にはλ/4板21を設け、映像光を2度通過させることで偏光変換し特定偏波を、位相が90°異なる他方の偏波に変換する。これにより、再帰反射後の映像光について偏光分離部材101を透過させ、透明な部材100の外側に、実像である空間浮遊映像3を表示する。ここで、上述した偏光分離部材101では再帰反射することで偏光軸が不揃いになるため、一部の映像光は、反射して映像表示装置1に戻る。この光は、再び映像表示装置1を構成する液晶表示パネル11の映像表示面で反射し、ゴースト像を発生させ空間浮遊像の画質を著しく低下させる。
【0038】
そこで、本実施例では、映像表示装置1の映像表示面に吸収型偏光板12を設けることとした。この吸収型偏光板12は、映像表示装置1から発せられる映像光は透過させ、上述した偏光分離部材101からの反射光を吸収させるものであり、かかる構成とすることにより、空間浮遊像のゴースト像による画質低下を防止する。また、セット外部の太陽光や照明光による画質低下を軽減するため、透明部材105の映像光出力側の表面に吸収型偏光板102を設けると良い。
【0039】
次に、上述した空間浮遊映像情報システムにより得られた空間浮遊映像に対して対象物とセンサ44の距離と位置の関係をセンシングするように、TOF(Time of Fly)機能を有するセンサ44を図5に示すように複数層に配置して、対象物の平面方向の座標の他に奥行方向の座標と対象物の移動方向、移動速度も感知することが可能となる。
【0040】
2次元の距離と位置を読み取るため、赤外線または紫外線などの非可視光発光部と受光部との組み合わせを複数直線的に配置し、発光点からの光を対象物に照射し反射した光を受光部で受光する。発光した時間と受光した時間との差と、光速の積により、対象物との距離が明確になる。また、平面上の座標は複数の発光部と受光部で、発光時間と受光時間の差が最も小さい部分での座標から読み取ることができる。以上により、平面(2次元)での対象物の座標と、前述したセンサを複数組み合わせることで、3次元の座標情報を得ることもできる。
【0041】
更に、上述した空間浮遊映像情報システムとして3次元の空間浮遊映像を得る方法について、図6を用いて説明する。図6は、空間浮遊映像情報表示システムで用いる3次元映像表示の原理を説明するための図である。図4に示す映像表示装置1の液晶表示パネル11の映像表示画面の画素に合わせて水平レンチキュラーレンズを配置する。この結果、図6に示すように画面水平方向の運動視差P1、P2、P3の3方向からの運動視差を表示するには、3方向からの映像を3画素ごとに1つのブロックとして、1画素ごとに3方向からの映像情報を表示し、対応するレンチキュラーレンズ(図6中に縦線で示す)の作用により光の出射方向を調整して3方向に分離出射する。この結果、3視差の立体像が表示可能となる。
【0042】
<反射型偏光板>
本実施例の空間浮遊映像情報装置において偏光分離部材101は、映像の画質を決めるコントラスト性能を、一般的なハーフミラーよりも向上させるために用いられる。本実施例の偏光分離部材101の一例として反射型偏光板の特性を説明する。図7は、反射型偏光板の特性を評価した測定系の説明図である。図7の反射型偏光板の偏光軸に対して垂直方向からの光線入射角に対する透過特性と反射特性をV-AOIとして、図8及び図9にそれぞれ示す。同様に反射型偏光板の偏光軸に対して水平方向からの光線入射角に対する透過特性と反射特性をH-AOIとして、図10及び図11にそれぞれ示す。
【0043】
なお、図8図11の特性グラフ(各々カラーで表示している)において、右側の欄外に示す角度(deg)の値は、縦軸すなわち透過率(%)の値が高い順に、上から示している。例えば、図8では、横軸が略400nm~800nmの波長の光を示す範囲において、垂直(V)方向の角度が0度(deg)の場合が最も透過率が高く、10度、20度、30度、40度の順に透過率が低くなる。また、図9では、横軸が略400nm~800nmの波長の光を示す範囲において、垂直(V)方向の角度が0度(deg)の場合が最も透過率が高く、10度、20度、30度、40度の順に透過率が低くなる。
【0044】
また、図10では、横軸が略400nm~800nmの波長の光を示す範囲において、水平(H)方向の角度が0度(deg)の場合が最も透過率が高く、10度、20度の順に透過率が低くなる。また、図11では、横軸が略400nm~800nmの波長の光を示す範囲において、水平(H)方向の角度が0度(deg)の場合が最も透過率が高く、10度、20度の順に透過率が低くなる。
【0045】
図8及び図9に示すように、グリッド構造の反射型偏光板は、偏光軸に対して垂直方向からの光についての特性は低下する。このため、偏光軸に沿った仕様が望ましく、液晶表示パネル11からの出射映像光を挟角で出射可能な本実施例の光源が理想的な光源となる。また、水平方向の特性も同様に、斜めからの光については、特性低下がある。以上の特性を考慮して、以下、液晶表示パネル11からの出射映像光をより挟角に出射可能な光源を液晶表示パネル11のバックライトとして使用する、本実施例の構成例について説明する。これにより、高コントラストな空間浮遊映像が提供可能となる。
【0046】
<映像表示装置>
次に、本実施例の映像表示装置1について図を用いて説明する。本実施例の映像表示装置は、映像表示素子11(液晶表示パネル)と共に、その光源を構成する光源装置13を備えており、図12では、光源装置13を液晶表示パネルと共に展開斜視図として示している。
【0047】
この液晶表示パネル(映像表示素子11)は、図12に矢印30で示すように、バックライト装置である光源装置13からの光により挟角な拡散特性を有する光束、即ち、指向性(直進性)が強く、かつ、偏光面を一方向に揃えたレーザ光に似た特性の照明光束を得て、入力される映像信号に応じて変調をかけた映像光を、再帰反射部材2により反射しウィンドガラス105を透過して、実像である空間浮遊像を形成する(図1も参照)。
【0048】
また、図12では、映像表示装置1を構成する液晶表示パネル11と、更に、光源装置13からの出射光束の指向特性を調整する光方向変換パネル54、および、必要に応じ挟角拡散板(図示せず)を備えて構成されている。即ち、液晶表示パネル11の両面には偏光板が設けられ、特定の偏波の映像光が映像信号により光の強度を変調して出射する(図12の矢印30を参照)構成となっている。これにより、所望の映像を指向性(直進性)の高い特定偏波の光として、光方向変換パネル54を介して、再帰反射部材2に向けて投写し、再帰反射部材2で反射後、店舗(空間)の外部の観視者の眼に向けて透過して空間浮遊像3を形成する。なお、上述した光方向変換パネル54の表面には保護カバー50(図13図14を参照)を設けてよい。
【0049】
本実施例では、光源装置13からの出射光束30の利用効率を向上させ、消費電力を大幅に低減するために、光源装置13と液晶表示パネル11を含んで構成される映像表示装置1において、光源装置13からの光(図12の矢印30を参照)を、再帰反射部材2に向けて投写し、再帰反射部材2で反射した後、ウィンドガラス105の表面に設けた透明シート(図示せず)により、浮遊映像を所望の位置に形成するよう指向性を調整することもできる。
【0050】
具体的には、この透明シートは、フレネルレンズやリニアフレネルレンズ等の光学部品によって高い指向性を付与したまま浮遊映像の結像位置を調整する。このことによれば、映像表示装置1からの映像光は、レーザ光のようにウィンドガラス105の外側(例えば、歩道)にいる観察者に対して高い指向性(直進性)で効率良く届くこととなり、その結果、高品位な浮遊映像を高解像度で表示すると共に、光源装置13のLED素子201を含む映像表示装置1による消費電力を著しく低減することが可能となる。
【0051】
<映像表示装置の例1>
図13には、映像表示装置1の具体的な構成の一例を示す。図13では、図12の光源装置13の上に、液晶表示パネル11と光方向変換パネル54を配置している。この光源装置13は、図12に示したケース上に、例えば、プラスチックなどにより形成され、その内部にLED素子201、導光体203を収納して構成されている。導光体203の端面には、図12等にも示したように、それぞれのLED素子201からの発散光を略平行光束に変換するために、受光部に対して対面に向かって徐々に断面積が大きくなる形状を有し、内部を伝搬する際に複数回全反射することで発散角が徐々に小さくなるような作用を有するレンズ形状を設けている。
【0052】
導光体203の上には、液晶表示パネル11が取り付けられている。また、光源装置13のケースのひとつの側面(本例では左側の端面)には、半導体光源であるLED(Light Emitting Diode)素子201や、その制御回路を実装したLED基板202が取り付けられると共に、LED基板202の外側面には、LED素子および制御回路で発生する熱を冷却するための部材であるヒートシンクが取り付けられてもよい。
【0053】
また、光源装置13のケースの上面に取り付けられる液晶表示パネル11のフレーム(図示せず)には、当該フレームに取り付けられた液晶表示パネル11と、更に、当該液晶表示パネル11に電気的に接続されたFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブル配線基板)(図示せず)などが取り付けられて構成される。即ち、映像表示素子である液晶表示パネル11は、固体光源であるLED素子201と共に、電子装置を構成する制御回路(図示せず)からの制御信号に基づいて、透過光の強度を変調することによって表示映像を生成する。この時、生成される映像光は拡散角度が狭く特定の偏波成分のみとなるため、映像信号により駆動された面発光レーザ映像源に近い、従来にない新しい映像表示装置が得られることとなる。
【0054】
なお、現状では、レーザ装置により、上述した映像表示装置1で得られる画像と同等のサイズのレーザ光束を得ることは、技術的にも安全上からも不可能である。そこで、本実施例では、例えば、LED素子を備えた一般的な光源からの光束から、上述した面発光レーザ映像光に近い光を得る。
【0055】
続いて、光源装置13のケース内に収納されている光学系の構成について、図13と共に、図14を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
図13および図14は断面図であるため、光源を構成する複数のLED素子201が1つだけ示されており、これらは導光体203の受光端面203aの形状により略コリメート光に変換される。このため、導光体端面の受光部とLED素子は、所定の位置関係を保って取り付けられている。
【0057】
なお、この導光体203は、各々、例えば、アクリル等の透光性の樹脂により形成されている。そして、この導光体203の端部のLED受光面は、例えば、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面を有し、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)を形成した凹部を有し、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でも良い)を有するものである(図示せず)。なお、LED素子201を取り付ける導光体の受光部外形形状は、円錐形状の外周面を形成する放物面形状をなし、LED素子から周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0058】
他方、LED素子201は、その回路基板である、LED基板202の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板202は、コリメータ(受光端面203a)に対して、その表面上のLED素子201が、それぞれ、前述した凹部の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0059】
かかる構成によれば、導光体203の受光端面203aの形状によって、LED素子201から放射される光は略平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0060】
以上述べたように、光源装置13は、導光体203の端面に設けた受光部である受光端面203aに光源であるLED素子201を複数並べた光源ユニットを取り付けて構成され、LED素子201からの発散光束を導光体端面の受光端面203aのレンズ形状によって略平行光として、矢印で示すように、導光体203内部を導光し(図面に平行な方向)、光束方向変換手段204によって、導光体203に対して略平行に配置された液晶表示パネル11に向かって(図面から手前に垂直な方向)出射する。導光体内部または表面の形状によって、この光束方向変換手段204の分布(密度)を最適化することで、液晶表示パネル11に入射する光束の均一性を調整することができる。
【0061】
上述した光束方向変換手段204は、図13または図14に示すように導光体表面の形状や導光体内部に例えば屈折率の異なる部分を設けることで、導光体203内を伝搬した光束を、導光体203に対して略平行に配置された液晶表示パネル11に向かって(図面から手前に垂直な方向)出射する。この時、液晶表示パネル11を画面中央に正対し画面対角寸法と同じ位置に視点を置いた状態で画面中央と画面周辺部の輝度を比較した場合の相対輝度比が20%以上あれば実用上問題なく、30%を超えていれば更に優れた特性となる。
【0062】
なお、図13は上述した導光体203とLED素子201を含む光源装置13において、偏光変換する本実施例の光源の構成とその作用を説明するための断面配置図である。図13において、光源装置13は、例えば、プラスチックなどにより形成される表面または内部に光束方向変換手段204を設けた導光体203、光源としてのLED素子201、反射シート205、位相差板206、レンチキュラーレンズなどから構成されており、その上面には、光源光入射面と映像光出射面に偏光板を備える液晶表示パネル11が取り付けられている。
【0063】
また、光源装置13に対応した液晶表示パネル11の光源光入射面(図の下面)にはフィルムまたはシート状の反射型偏光板49を設けており、LED素子201から出射した自然光束210のうち片側の偏波(例えばP波)212を選択的に反射させ、導光体203の一方(図の下方)の面に設けた反射シート205で反射して、再度、液晶表示パネル11に向かうようにする。そこで、反射シート205と導光体203の間もしくは導光体203と反射型偏光板49の間に位相差板(λ/4板)を設けて反射シート205で反射させ、2回通過させることで反射光束をP偏光からS偏光に変換し、映像光としての光源光の利用効率を向上する。
【0064】
液晶表示パネル11で映像信号により光強度を変調された映像光束は(図13の矢印213)、再帰反射部材2に入射して、図1に示したように、反射後にウィンドガラス105を透過して店舗(空間)の内部または外部に実像である空間浮遊像を得ることができる。
【0065】
図14は、図13と同様に、導光体203とLED素子201を含む光源装置13において、偏光変換する本実施例の光源の構成と作用を説明するための断面配置図である。光源装置13も、同様に、例えばプラスチックなどにより形成される表面または内部に光束方向変換手段204を設けた導光体203、光源としてのLED素子201、反射シート205、位相差板206、レンチキュラーレンズなどから構成されている。導光体203の上には、映像表示素子として、光源光入射面と映像光出射面に偏光板を備える液晶表示パネル11が取り付けられている。
【0066】
また、光源装置13に対応した液晶表示パネル11の光源光入射面(図の下面)にはフィルムまたはシート状の反射型偏光板49を設け、LED光源201から出射した自然光束210うち片側の偏波(例えばS波)211を選択的に反射させ、導光体203の一方(図の下方)の面に設けた反射シート205で反射して、再度液晶表示パネル11に向かう。反射シート205と導光体203の間もしくは導光体203と反射型偏光板49の間に位相差板(λ/4板)を設けて反射シート205で反射させ、2回通過させることで反射光束をS偏光からP偏光に変換し、映像光として光源光の利用効率を向上する。液晶表示パネル11で映像信号により光強度変調された映像光束は(図14の矢印214)、再帰反射部材2に入射して、図1に示すように、反射後にウィンドガラス105を透過して店舗(空間)の内部または外部に実像である空間浮遊像を得ることができる。
【0067】
図13および図14に示す光源装置においては、対応する液晶表示パネル11の光入射面に設けた偏光板の作用の他に、反射型偏光板49で片側の偏光成分を反射するため、理論上得られるコントラスト比は、反射型偏光板のクロス透過率の逆数と液晶表示パネルに付帯した2枚の偏光板により得られるクロス透過率の逆数を乗じたものとなる。これにより、高いコントラスト性能が得られる。実際には、表示画像のコントラスト性能が10倍以上向上することを実験により確認した。この結果、自発光型の有機ELに比較しても遜色ない高品位な映像が得られた。
【0068】
<映像表示装置の例2>
図15には、映像表示装置1の具体的な構成の他の一例を示す。図15の光源装置13は、図17等の光源装置と同様である。この光源装置13は、例えばプラスチックなどのケース内にLED、コリメータ、合成拡散ブロック、導光体等を収納して構成されており、その上面には液晶表示パネル11が取り付けられている。また、光源装置13のケースのひとつの側面には、半導体光源であるLED(Light Emitting Diode)素子14a、14bや、その制御回路を実装したLED基板が取り付けられると共に、LED基板の外側面には、LED素子および制御回路で発生する熱を冷却するための部材であるヒートシンク103が取り付けられている(図17図18等も参照)。
【0069】
また、ケースの上面に取り付けられた液晶表示パネルフレームには、当該フレームに取り付けられた液晶表示パネル11と、更に、液晶表示パネル11に電気的に接続されたFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブル配線基板)403(図7参照)などが取り付けられて構成されている。即ち、液晶表示素子である液晶表示パネル11は、固体光源であるLED素子14a,14bと共に、電子装置を構成する制御回路(ここでは図示せず)からの制御信号に基づいて、透過光の強度を変調することによって、表示映像を生成する。
【0070】
<映像表示装置の例2の光源装置の例1>
続いて、ケース内に収納されている光源装置13等の光学系の構成について、図17と共に、図18(a)および(b)を参照しながら、詳細に説明する。
【0071】
図17および図18には、光源を構成するLED14a、14bが示されており、これらはコリメータ15に対して所定の位置に取り付けられている。なお、このコリメータ15は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂により形成されている。そして、このコリメータ15は、図18(b)にも示すように、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面156を有すると共に、その頂部(LED基板に接する側)におけるその中央部に、凸部(即ち、凸レンズ面)157を形成した凹部153を有する。
【0072】
また、コリメータ15の平面部(上記の頂部とは逆の側)の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でも良い)154を有している。なお、コリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面156は、LED14a、14bから周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0073】
また、LED14a、14bは、その回路基板である、LED基板102の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板102は、コリメータ15に対して、その表面上のLED14aまたは14bが、それぞれ、その凹部153の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0074】
かかる構成によれば、上述したコリメータ15によって、LED14aまたは14bから放射される光のうち、特に、その中央部分から上方(図の右方向)に向かって放射される光は、コリメータ15の外形を形成する2つの凸レンズ面157、154により集光されて平行光となる。また、その他の部分から周辺方向に向かって出射される光は、コリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したコリメータ15によれば、LED14aまたは14bにより発生された光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0075】
なお、コリメータ15の光の出射側には、偏光変換素子21が設けられている。偏光変換素子21は、偏光変換部材と称しても良い。この偏光変換素子21は、図18からも明らかなように、断面が平行四辺形である柱状(以下、平行四辺形柱)の透光性部材と、断面が三角形である柱状(以下、三角形柱)の透光性部材とを組み合わせ、コリメータ15からの平行光の光軸に対して直交する面に平行に、複数、アレイ状に配列して構成されている。更に、これらアレイ状に配列された隣接する透光性部材間の界面には、交互に、偏光ビームスプリッタ(以下、「PBS膜」と省略する)211と反射膜212とが設けられている。また、偏光変換素子21へ入射してPBS膜211を透過した光が出射する出射面には、λ/2位相板213が備えられている。
【0076】
この偏光変換素子21の出射面には、更に、図18(a)にも示す、矩形状の合成拡散ブロック16が設けられている。即ち、LED14aまたは14bから出射された光は、コリメータ15の働きにより平行光となって合成拡散ブロック16へ入射し、出射側のテクスチャー161により拡散された後、導光体17に到る。
【0077】
導光体17は、例えばアクリル等の透光性の樹脂により断面が略三角形(図18(b)参照)の棒状に形成された部材であり、そして、図17からも明らかなように、合成拡散ブロック16の出射面に第1の拡散板18aを介して対向する導光体光入射部(面)171と、斜面を形成する導光体光反射部(面)172と、第2の拡散板18bを介して、液晶表示素子である液晶表示パネル11と対向する導光体光出射部(面)173と、を備えている。
【0078】
この導光体17の導光体光反射部(面)172には、その一部拡大図である図17にも示すように、多数の反射面172aと連接面172bとが交互に鋸歯状に形成されている。そして、反射面172a(図では右上がりの線分)は、図において一点鎖線で示す水平面に対してαn(n:自然数であり、本例では、例えば、1~130である)を形成しており、その一例として、ここでは、αnを43度以下(ただし、0度以上)に設定している。
【0079】
一方、導光体17の導光体入射部(面)171は、図17に示すように光源側に傾斜した湾曲の凸形状に形成されている。
【0080】
上記のような構成の光源装置13によれば、合成拡散ブロック16の出射面から出射された平行光は、第1の拡散板18aを介して拡散されて導光体17の導光体入射部(面)171に入射する。導光体17に入射した光は、図17からも明らかなように、導光体入射部(面)171に入射した際に上方に僅かに屈曲(偏向)しながら導光体光反射部(面)172に達し、導光体光反射部(面)172の反射面(172a)で反射して、図17の上方の出射面に設けた液晶表示パネル11へと到達する。
【0081】
以上に詳述した映像表示装置1によれば、光利用効率やその均一な照明特性をより向上すると同時に、モジュール化されたS偏光波の光源装置を含め、小型かつ低コストで製造することが可能となる。なお、上記の説明では、偏光変換素子21をコリメータ15の後に取り付けるものとして説明したが、本発明はそれに限定されることなく、液晶表示パネル11に到る光路中に設けることによっても、同様の作用・効果が得られる。
【0082】
なお、導光体光反射部(面)172には、多数の反射面172aと連接面172bとが交互に鋸歯状に形成されており、照明光束は、各々の反射面172a上で全反射されて上方に向かい、更には、導光体光出射部(面)173には挟角拡散板を設けて略平行な拡散光束として指向特性を調整する光方向変換パネル54に入射し、斜め方向から液晶表示パネル11へ入射する。本実施例では光方向変換パネル54を導光体出射面173と液晶表示パネル11の間に設けたが、液晶表示パネル11の出射面に設けても、同様の効果が得られる。
【0083】
<映像表示装置の例2の光源装置の例2>
光源装置13等の光学系の構成について、他の例を図19に示す。図19に示す光学系も、図18に示した例と同様に、光源を構成する複数(本例では、2個)のLED14a、14bが示されており、これらはコリメータ15に対して所定の位置に取り付けられている。なお、このコリメータ15は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂により形成されている。そして、図18に示した例と同様に、このコリメータ15は、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面156を有すると共に、その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)157を形成した凹部153を有する。また、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でも良い)154を有している。なお、コリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面156は、LED14aから周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0084】
また、LED14a、14bは、その回路基板である、LED基板102の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板102は、コリメータ15に対して、その表面上のLED14aまたは14bが、それぞれ、その凹部153の中央部に位置するように配置されて固定される。
【0085】
かかる構成によれば、上述したコリメータ15によって、LED14aまたは14bから放射される光のうち、特に、その中央部分から上方(図の右方向)に向かって放射される光は、コリメータ15の外形を形成する2つの凸レンズ面157、154により集光されて平行光となる。また、その他の部分から周辺方向に向かって出射される光は、コリメータ15の円錐形状の外周面を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したコリメータ15によれば、LED14aまたは14bにより発生された光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0086】
なお、コリメータ15の光の出射側には第一の拡散板18aを介して導光体170が設けられている。導光体170は、例えばアクリル等の透光性の樹脂により断面が略三角形(図19(a)参照)の棒状に形成された部材であり、そして、図19(a)からも明らかなように、拡散ブロック16の出射面に第1の拡散板18aを介して対向する導光体光170の入射部(面)171と、斜面を形成する導光体光反射部(面)172と、反射式偏光板200を介して液晶表示素子である液晶表示パネル11と対向する導光体光出射部(面)173とを備えている。
【0087】
この反射型偏光板200は、例えばP偏光を反射(S偏光は透過)させる特性を有する物を選択すれば、光源であるLEDから発した自然光のうちP偏光を反射し、図19(b)に示した導光体光反射部172に設けたλ/4板202を通過して反射面201で反射し、再びλ/4板202を通過することでS偏光に変換され、液晶表示パネル11に入射する光束は全てS偏光に統一される。
【0088】
同様に、反射型偏光板200としてS偏光を反射(P偏光は透過)させる特性を有する物を選択すれば、光源であるLEDから発した自然光のうちS偏光を反射し、図19(b)に示した導光体光反射部172に設けたλ/4板202を通過して反射面201で反射し、再びλ/4板202を通過することでP偏光に変換され、液晶表示パネル52に入射する光束は全てP偏光に統一される。以上述べた構成でも偏光変換が実現できる。
【0089】
<映像表示装置の例3>
続いて、図16を用いて、映像表示装置1の具体的な構成の他の例(映像表示装置の例3)を説明する。この映像表示装置1の光源装置は、LEDからの光(P偏光とS偏光が混在)の発散光束をコリメータ18により略平行光束に変換し、反射型導光体304の反射面により液晶表示パネル11に向け反射する。反射光は、液晶表示パネル11と反射型導光体304の間に配置された反射型偏光板49に入射する。
【0090】
反射型偏光板49では特定の偏波(例えばP偏光)は透過して液晶表示パネル11に入射する。反射型偏光板で他方の偏波(例えばS偏光)は反射され再び反射型導光体304へ向かう。反射型偏光板49は、反射型導光体304の反射面からの光の主光線に対して垂直とならないよう傾きを以て設置されており、反射型偏光板49で反射された光の主光線は、反射型導光体304の透過面に入射する。
【0091】
反射型導光体304の透過面に入射した光は、反射型導光体304の背面を透過し、位相差板であるλ/4板270を透過し、反射板271で反射される。反射板271で反射された光は、再びλ/4板270を透過し、反射型導光体304の透過面を透過する。反射型導光体304の透過面を透過した光は再び反射型偏光板49に入射する。
【0092】
このとき、反射型偏光板49に再度入射する光は、λ/4板270を2回通過しているため、反射型偏光板49を透過する偏波(例えば、P偏光)へ偏光が変換されている。よって、偏光が変換されている光は反射型偏光板49を透過し、液晶表示パネル11に入射する。なお、偏光変換に係る偏光設計について、上述の説明から偏波を逆に構成(S偏光とP偏光を逆にする)してもかまわない。
【0093】
この結果、LEDからの光は特定の偏波(例えばP偏光)に揃えられ、液晶表示パネル11に入射し、映像信号に合わせて輝度変調されパネル面に映像を表示する。上述の例と同様に光源を構成する複数のLEDが設けられており(ただし、縦断面のため図16ではLEDを1個のみ図示している)、これらはコリメータ18に対して所定の位置に取り付けられている。
【0094】
なお、コリメータ18は、各々、例えばアクリル等の透光性の樹脂またはガラスにより形成されている。そして、このコリメータ18は、放物断面を回転して得られる円錐凸形状の外周面を有してもよい。その頂部では、その中央部に凸部(即ち、凸レンズ面)を形成した凹部を有してもよい。また、その平面部の中央部には、外側に突出した凸レンズ面(あるいは、内側に凹んだ凹レンズ面でも良い)を有している。なお、コリメータ18の円錐形状の外周面を形成する放物面は、LEDから周辺方向に出射する光をその内部で全反射することが可能な角度の範囲内において設定され、あるいは、反射面が形成されている。
【0095】
なお、LEDは、その回路基板である、LED基板102の表面上の所定の位置にそれぞれ配置されている。このLED基板102は、コリメータ18に対して、その表面上のLEDが、それぞれ、円錐凸形状の頂部の中央部(頂部に凹部が有る場合はその凹部)に位置するように配置されて固定される。
【0096】
かかる構成によれば、コリメータ18によって、LEDから放射される光のうち、特に、その中央部分から放射される光は、コリメータ18の外形を形成する凸レンズ面により集光されて平行光となる。また、その他の部分から周辺方向に向かって出射される光は、コリメータ18の円錐形状の外周面を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したコリメータ18によれば、LEDにより発生された光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0097】
以上の構成は、図17図18等に示した映像表示装置の光源装置と同様の構成である。さらに、図16に示したコリメータ18により略平行光に変換された光は、反射型導光体304で反射される。当該光のうち、反射型偏光板49の作用により特定の偏波の光は反射型偏光板49を透過し、反射型偏光板49の作用により反射された他方の偏波の光は、再度導光体304を透過する。当該光は、反射型導光体304に対して、液晶表示パネル11とは逆の位置にある反射板271で反射する。この時、当該光は位相差板であるλ/4板270を2度通過することで偏光変換される。
【0098】
反射板271で反射した光は、再び導光体304を透過して、反対面に設けた反射型偏光板49に入射する。当該入射光は、偏光変換がなされているので、反射型偏光板49を透過して、偏光方向を揃えて液晶表示パネル11に入射させられる。この結果、光源の光を全て利用できるので、光の幾何光学的な利用効率が2倍になる。また、反射型偏光板の偏光度(消光比)もシステム全体の消光比に乗せられるので、本実施例の光源装置を用いることで、表示装置全体としてのコントラスト比が大幅に向上する。
【0099】
なお、反射型導光体304の反射面の面粗さおよび反射板271の面粗さを調整することで、それぞれの反射面での光の反射拡散角を調整することができる。液晶表示パネル11に入射する光の均一性がより好適になるように、設計毎に、反射型導光体304の反射面の面粗さおよび反射板271の面粗さを調整すればよい。
【0100】
なお、図16で説明した例では、位相差板であるλ/4板270は、λ/4板270へ垂直に入射した偏光に対する位相差がλ/4である構成としたが、必ずしも、このような構成である必要はない。図16の構成において、λ/4板270は、偏光が2回通過することで、位相が90°(λ/2)変わる位相差板であればよい。また、位相差板の厚さは、偏光の入射角度分布に応じて調整すればよい。
【0101】
<映像表示装置の例4>
さらに、表示装置の光源装置等の光学系の構成についての他の例(映像表示装置の例4)を、図25を用いて説明する。図25は、映像表示装置の例3の光源装置において、反射型導光体304の代わりに拡散シートを用いる場合の構成例を示す。
【0102】
具体的には、コリメータ18の光の出射側には図面の垂直方向と水平方向(図の前後方向で図示せず)の拡散特性を変換する光学シートを2枚用い(光学シート207Aおよび光学シート207B)、コリメータ18からの光を2枚の光学シート(拡散シート)の間に入射させる。この光学シートは、2枚構成ではなく1枚としてもよい。1枚構成とする場合には、1枚の光学シートの表面と裏面の微細形状で垂直と水平の拡散特性を調整する。
【0103】
また、拡散シートを複数枚使用して、拡散の作用を各々の拡散シートに分担させる構成としても良い。ここで、図25の例では、光学シート207Aと光学シート207Bの表面形状と裏面形状による反射拡散特性について、液晶表示パネル11から出射する光束の面密度が均一になるように、LEDの数量とLED基板(光学素子)102からの発散角およびコリメータ18の光学仕様を設計パラメータとして最適設計すると良い。すなわち、導光体の代わりに複数の拡散シートの表面形状により拡散特性を調整する。
【0104】
図25に示す例では、偏光変換は、上述した表示装置の例3と同様の方法で行われる。すなわち、図25の例において、反射型偏光板49は、S偏光を反射(P偏光は透過)させる特性を有するように構成すればよい。その場合、光源であるLEDから発した光のうちP偏光を透過して、透過した光は液晶表示パネル11に入射する。光源であるLEDから発した光のうちS偏光を反射し、反射した光は、図25に示した位相差板270を通過する。
【0105】
そして、位相差板270を通過した光は、反射板271で反射される。反射板271で反射した光は、再び位相差板270を通過することで、P偏光に変換される。偏光変換された光は、反射型変更板49を透過し、液晶表示パネル11に入射する。なお、図25の位相差板であるλ/4板270は、必ずしもλ/4板270へ垂直に入射した偏光に対する位相差がλ/4である必要はない。図25の構成において、λ/4板270は、偏光が2回通過することで、位相が90°(λ/2)変わる位相差板であればよい。位相差板の厚さは、偏光の入射角度分布に応じて調整すればよい。なお、図25においても、偏光変換に係る偏光設計について、上述の説明から偏波を逆に構成(S偏光とP偏光を逆にする構成と)してもかまわない。
【0106】
液晶表示パネル11からの出射光は、一般的なTV用途の装置では、例えば図22(A)中の「従来特性(X方向)」および図22(B)中の「従来特性(Y方向)」のプロット曲線に示すように、画面水平方向(図22(A)のグラフのX軸に対応した表示方向)と画面垂直方向(図22(B)のグラフのY軸に対応した表示方向)とで、互いに同様な拡散特性を有する。
【0107】
これに対して、本実施例の液晶表示パネルからの出射光束の拡散特性は、例えば図22(A)中の「例1(X方向)」および図22(B)中の「例1(Y方向)」のプロット曲線に示すような拡散特性となる。
【0108】
一具体例では、正面視(角度0度)の輝度に対して50%の輝度(約半分に低下する輝度)になる視野角が13度となるように設定した場合、一般的な家庭用のTV用途の装置の拡散特性(角度62度)に対して約1/5の角度となる。同様に、垂直方向の視野角を上側と下側とで不均等に設定する場合の一例では、上側の視野角を下側の視野角に対して1/3程度に抑える(狭くする)ように、反射型導光体の反射角度や反射面の面積等を最適化する。
【0109】
上記のような視野角等の設定が行われることにより、従来の液晶TVに比べ、ユーザの観視方向に向かう映像の光量が格段に増加(映像の明るさの点で大幅に向上)し、かかる映像の輝度は50倍以上となる。
【0110】
更に、図22の「例2」に示す視野角特性とした場合、正面視(角度0度)で得られる映像の輝度に対して50%の輝度(約半分に低下する輝度)になる視野角が5度となるように設定した場合、一般的な家庭用のTV用途の装置の拡散特性(角度62度)に対して約1/12の角度(狭い視野角)となる。同様に、垂直方向の視野角を上側と下側とで均等に設定する場合の一例では、かかる垂直方向の視野角を従来に対して1/12程度に抑える(狭くする)ように、反射型導光体の反射角度と反射面の面積等を最適化する。
【0111】
このような設定が行われることにより、従来の液晶TVに比べ、観視方向(ユーザの視線方向)に向かう映像の輝度(光量)が大幅に向上し、かかる映像の輝度は100倍以上となる。
【0112】
以上述べたように、視野角を挟角とすることで、観視方向に向かう光束量を集中できるので、光の利用効率が大幅に向上する。この結果、一般的なTV用途の液晶表示パネルを使用しても、光源装置の光拡散特性を調整することで同様な消費電力で大幅な輝度向上が実現可能で、明るい屋外に向けての情報表示システムに対応した映像表示装置とすることができる。
【0113】
大型の液晶表示パネルを使用する場合には、画面周辺の光は画面中央を観視者が正対した場合に観視者の方向に向かうように内側に向けることで、画面明るさの全面性が向上する。図20は、液晶表示パネルから観視者までの距離Lと、映像表示装置のパネルサイズ(画面比16:10)と、をパラメータとしたときの液晶表示パネル長辺と液晶表示パネル短辺との収斂角度を求めたものである。
【0114】
図20中の上側に示す図では、液晶表示パネルの画面を縦長(以下、「縦使い」とも称する)として映像を観視する場合を前提としている。この場合には、液晶表示パネルの短辺(適宜、図20中の矢印V方向を参照)に合わせて収斂角度を設定すればよい。より具体的な例としては、図20中のプロットグラフに参照されるように、例えば、22“パネルの縦使いで観視距離が0.8mの場合には、収斂角度を10度に設定することにより、画面の各隅(4コーナー)からの映像光を、観視者に向けて効果的に投射ないし出力することができる。
【0115】
同様に、15”パネルの縦使いで観視する場合には観視距離が0.8mの場合には収斂角度を7度とすれば画面4コーナからの映像光を有効に観視者に向けることができる。以上述べたように、液晶表示パネルのサイズ及び縦使いか横使いかによって画面周辺の映像光を、画面中央を観視するのに最適な位置にいる観視者に向けることで、画面明るさの全面性を向上できる。
【0116】
基本構成としては、上述の図16などに示すように光源装置により挟角な指向特性の光束を液晶表示パネル11に入射させ、映像信号に合わせて輝度変調することで、液晶表示パネル11の画面上に表示した映像情報を、再帰反射部材で反射させ得られた空間浮遊映像を、透明な部材100を介して室外または室内に表示する。
【0117】
以下、光源装置の別の例について複数の例を説明する。これらの光源装置の別の例は、いずれも上述した映像表示装置の例の光源装置に変えて採用してもよい。
【0118】
<光源装置の別の例1>
図26(a)及び図26(b)を参照して、光源装置の別の例について説明する。図26(a)は、導光体311を説明するために、液晶表示パネル11と拡散板206の一部を省略した図である。
【0119】
図26は、光源を構成するLED14が基板102に備え付けられた状態を示している。これらLED14および基板102は、リフレクタ300に対して所定の位置に取り付けられている。
【0120】
図26(a)に示すように、LED14は、リフレクタ300が配置される側の液晶表示パネル11の辺(この例では短辺)と平行な方向に、一列に配置される。図示の例では、かかるLEDの配置と対応して、リフレクタ300が配置されている。なお、リフレクタ300は複数配置されてもよい。
【0121】
一具体例では、リフレクタ300は、各々、プラスチック材料により形成されている。他の例として、リフレクタ300は、金属材料やガラス材料で形成してもよいが、プラスチック材料の方が成型しやすいため、本実施例ではプラスチック材料のものを用いる。
【0122】
図26(b)に示すように、リフレクタ300の内側(同図中の右側)の面は、放物面を子午面で切り取った形状の反射面(以下は「放物面」と称する場合がある)305を備える。リフレクタ300は、LED14から出射される発散光を、上記の反射面305(放物面)で反射させることにより、略平行な光に変換し、変換された光を導光体311の端面に入射させる。一具体例では、導光体311は、透過型導光体である。
【0123】
リフレクタ300の反射面は、LED14の出射光の光軸に対して非対称な形状である。また、リフレクタ300の反射面305は、上述のように放物面であり、かかる放物面の焦点にLEDを配置することで、反射後の光束を略平行光に変換する。
【0124】
LED14は面光源であるため放物面の焦点に配置してもLEDからの発散光を完全な平行光に変換することはできないが、本願発明の光源の性能を左右することはない。LED14とリフレクタ300は一対のペアでありLED14の基板102への取り付け精度±40μmにおいて所定の性能を確保するためにはLEDの基板の取り付けは最大10個以下とすべきであり、量産性を考慮すれば5個程度に抑えると良い。
【0125】
LED14とリフレクタ300は一部において近接されるがリフレクタ300の開口側の空間へ放熱できるためLEDの温度上昇が低減できる。このためプラスチック成型品のリフレクタ300が使用可能となる。この結果、反射面の形状精度をガラス素材のリフレクタに比べ10倍以上向上できるので光利用効率を向上させることができる。
【0126】
一方、導光体311の底面303には反射面が設けられ、LED14からの光はリフレクタ300により平行光束に変換された後、当該反射面で反射し、導光体311に対向して配置された液晶表示パネル11に向け出射する。底面303に設けられた反射面には、図26に示したように、リフレクタ300からの平行光束の進行方向において、傾きの異なる複数の面があってもよい。傾きの異なる複数の面のそれぞれの面はリフレクタ300からの平行光束の進行方向に垂直な方向に延伸する形状を有してもよい。
【0127】
また、底面303に設けられた反射面の形状は平面形状でもよい。この時、液晶表示パネル11に対向した導光体311の面に設けた屈折面314により、導光体311の底面303に設けられた反射面で反射された光を屈折させて液晶表示パネル11に向かう光束の光量と出射方向を高精度に調整する。
【0128】
屈折面314は、図26に示したように、リフレクタ300からの平行光束の進行方向において、傾きの異なる複数の面があってもよい。傾きの異なる複数の面のそれぞれの面はリフレクタ300からの平行光束の進行方向に垂直な方向に延伸する形状を有してもよい。当該複数の面の傾きは、導光体311の底面303に設けられた反射面で反射された光を液晶表示パネル11に向かって屈折させる。また、屈折面314は、透過面としてもよい。
【0129】
なお、液晶表示パネル11の前に拡散板206がある場合は、前記反射面で反射された光は、屈折面314の前記複数の傾きにより拡散板206に向かって屈折される。すなわち、屈折面314が有する傾きが異なる複数の面の延伸方向と、底面303に設けられた反射面が有する傾きが異なる複数の面の延伸方向は平行である。両者の延伸方向を平行にすることにより、より好適に光の角度を調整することができる。他方、LED14は、金属性の基板102に半田付けする。このためLEDの発熱を、基板を介して空気中に放熱することが出来る。
【0130】
また、基板102にリフレクタ300が接していても良いが、空間を開けておいても良い。空間を開ける場合、リフレクタ300は筐体に接着させて配置される。空間を開けておくことでLEDの発熱を空気中に放熱でき、冷却効果が上がる。この結果、LEDの動作温度が低減できるので発光効率の維持と長寿命化を実現する。
【0131】
<光源装置の別の例2>
続いて、図26に示した光源装置に対して、偏光変換を用いて光利用効率を1.8倍向上した光源装置に関する光学系の構成について、図27A(1)(2)及び図27B(1)(2)及び図27C及び図27D(1)(2)を参照しながら詳細に説明する。なお、図27A(1)においてサブリフレクタ308の図示は省略している。
【0132】
図27Aおよび図27Bおよび図27Cは、光源を構成するLED14が基板102に備え付けられた状態を示しており、これらはリフレクタ300とLED14を一対のブロックとし、複数のブロックを有するユニット312で構成する。
【0133】
このうち、図27A(2)に示した基材320は、基板102の基材である。一般に、金属性の基板102は熱を持っているため、かかる基板102の熱を絶縁(断熱)するために、基材320は、プラスチック材料などを用いるとよい。リフレクタ300の材質と反射面の形状は、図26の光源装置の例と同じ材質および形状でよい。
【0134】
また、リフレクタ300の反射面は、LED14の出射光の光軸に対して非対称な形状でもよい。この理由を、図27A(2)により説明する。本実施例では、図26の例と同様にリフレクタ300の反射面は放物面であり、放物面の焦点位置に面光源であるLEDの発光面の中心を配置する。
【0135】
また、放物面の特性上、発光面の4隅からの発光も略平行光束となり、出射方向が異なるだけである。そのため、発光部が面積を持っていても、後段に配置された偏光変換素子とリフレクタ300の間隔が短ければ偏光変換素子21へ入射する光量と変換効率は、ほとんど影響を受けない。
【0136】
また、LED14の取り付け位置が、対応するリフレクタ300の焦点に対してXY平面内でずれても上述した理由により光変換効率の低下を軽減できる光学系が実現できる。さらに、LED14の取り付け位置がZ軸方向にばらついた場合であっても、変換された平行光束がZX平面内で移動するだけであり、面光源であるLEDの取り付け精度を大幅に軽減できる。本実施例においても放物面の一部を子午的に切り欠いた反射面を有するリフレクタ300について記載したが、放物面全面を反射面として切り欠いた一部分にLEDを配置してもよい。
【0137】
一方、本実施例では、図27B(1)、図27Cに示したように、LED14からの発散光を放物面321で反射させ略平行な光に変換した後、後段の偏光変換素子21の端面に入射させ、偏光変換素子21により特定の偏波に揃えることを特徴的な構成としている。この特徴的な構成により、本発明においては、光の利用効率が前述した図26の例に対して1.8倍となり、高効率な光源が実現できる。
【0138】
なお、このとき、LED14からの発散光を放物面321で反射させた略平行な光は、すべて均一というわけではない。よって、複数の傾きを持った反射面307により反射光の角度分布を調整することで液晶表示パネル11に向けて、液晶表示パネル11に対して垂直方向に入射可能としている。
【0139】
ここで、本図の例では、LEDからリフレクタに入る光(主光線)の向きと液晶表示パネルに入る光の向きが略平行になるように配置している。この配置は、設計上配置がしやすく、また、熱源を光源装置の下に配置する方が、空気が上に抜けることによってLEDの温度上昇を低減することができるので、より好適である。
【0140】
また、図27B(1)示したように、LED14からの発散光の捕捉率を向上させるために、リフレクタ300で捕捉できない光束をリフレクタ上部に配置した遮光板309に設けたサブリフレクタ308で反射させ、下部のサブリフレクタ310の斜面で反射させ後段の偏光変換素子21の有効領域に入射させ光の利用効率を更に向上させる。すなわち、本実施例では、リフレクタ300で反射した光の一部をサブリフレクタ308で反射し、サブリフレクタ308で反射された光をサブリフレクタ310で導光体306に向かう方向に反射させる。
【0141】
かくして、偏光変換素子21により特定の偏波に揃えられた略平行光束は、反射型導光体306の表面に設けた反射形状によって、反射型導光体306の出射面に対向して配置された液晶表示パネル11に向けて反射される。このとき、液晶表示パネル11に入射する光束の光量分布は、前述したリフレクタ300の形状と配置及び反射型導光体の反射面形状(断面形状)と反射面の傾き、面粗さ等についての事前の設定ないし調整(最適設計)によって決定される。言い換えると、上述した設定ないし調整事項を最適化することにより、液晶表示パネル11に入射する光束の光量分布が最適化される。
【0142】
導光体306表面に設けた反射面形状としては、偏光変換素子の出射面に対向して複数の反射面を配置し、偏光変換素子21からの距離に応じて、反射面の傾き、面積、高さ、ピッチを最適化することで、前述したように、液晶表示パネル11に入射する光束の光量分布を所望の値とする。
【0143】
反射型導光体に設けた反射面307は、図27B(2)に示すように、1面に複数の傾きを持つような構成とすることで、より高精度に反射光の調整を実現できる。なお、反射面において、1面に複数の傾きを持つような構成としては、反射面として使用する領域が、複数面または多面または曲面でもよい。更に拡散板206の拡散作用により、より均一な光量分布を実現する。LEDに近い側の拡散板に入射する光は、反射面の傾きを変化させることで、均一な光量分布を実現する。
【0144】
本実施例では、反射面307の基材は、耐熱性ポリカーボネイトなどのプラスチック材料を用いる。また、λ/2板213の出射直後の反射面307の角度は、λ/2板と反射面の距離によって変化する。
【0145】
本実施例においても、LED14とリフレクタ300は、一部において近接されるが、リフレクタ300の開口側の空間へ放熱できLEDの温度上昇を低減できる。また、基板102とリフレクタ300を図27A図27B図27Cと上下逆に配置してもよい。
【0146】
ただし、基板102を上に配置すると、基板102が液晶表示パネル11と近くなるので、レイアウトが困難になる場合がある。よって、図示した通り、基板102をリフレクタ300の下側(液晶表示パネル11から遠い側)に配置する方が、装置内の構成がより簡素になる。
【0147】
偏光変換素子21の光入射面には、後段の光学系に不要な光が入射しないように、遮光板410を設けるとよい。このような構成とすることで、温度上昇を抑えた光源装置が実現できる。液晶表示パネル11の光入射面に設けた偏光板では、偏光が揃った光束については吸収により温度上昇を低減させることができ、反射型導光体で反射した際に偏光方向が回転した一部の光については、入射側偏光板で吸収される。更に、液晶そのものでの吸収や電極パターンに入射した光による温度上昇で液晶表示パネル11の温度も上昇するが、反射型導光体306の反射面と液晶表示パネル11の間に十分な空間があることから、かかる空間を利用した自然冷却によって、液晶表示パネル11の温度上昇を抑制することができる。
【0148】
図27Dは、図27B(1)および図27Cの光源装置の変形例である。図27D(1)は、図27B(1)の光源装置の一部を抜粋してその変形例を図示している。その他の構成については、図27B(1)で上述した光源装置と同じ構成であるため、図示および繰り返しの説明を省略する。
【0149】
まず、図27D(1)に示す例では、サブリフレクタ310の凹部319の高さは、蛍光体114から横向き(X軸方向)に出力される蛍光の主光線(図27D(1)中、X軸と平行な方向に伸びる直線を参照)が、サブリフレクタ310の凹部319から抜けるように、蛍光体114よりも低い位置となるように調整されている。さらに、蛍光体114から横向きに出力される蛍光の主光線が遮光板410により遮られずに偏光変換素子21の有効領域に入射するように、蛍光体114の位置に対して、Z軸方向において遮光板410の高さが低くなるように調整されている。
【0150】
また、サブリフレクタ310の頂部の凹凸の凸部が有する反射面は、サブリフレクタ308で反射した光を導光体306に導くために、サブリフレクタ308で反射した光を反射する。よって、サブリフレクタ310の凸部318の高さは、サブリフレクタ308で反射した光を反射させ後段の偏光変換素子21の有効領域に入射するように調整されることで、光の利用効率を更に向上させることができる。
【0151】
なお、サブリフレクタ310は図27A(2)に示すように一方方向に延伸して配置され、凹凸形状となっている。さらに、サブリフレクタ310の頂部には、1つ以上の凹部を有する凹凸が周期的に一方向に沿って並んでいる。このような凹凸形状とすることにより、蛍光体114から横向きに出力される蛍光の主光線が偏光変換素子21の有効領域に入射するように構成できる。
【0152】
また、サブリフレクタ310の凹凸形状は、LED14がある位置に凹部319がくるピッチで周期的に配置されている。すなわち、蛍光体114のそれぞれは、サブリフレクタ310の凹凸の凹部の配置のピッチに対応して一方向に沿って周期的に配置される。なお、蛍光体114がLED14に備えられている場合は、蛍光体114を光源の発光部と表現しても良い。
【0153】
また、図27D(2)は、図27Cの光源装置の一部を抜粋してその変形例を図示している。その他の構成については、図27Cの光源装置と同じ構成であるため、図示および繰り返しの説明を省略する。図27D(2)に示すように、サブリフレクタ310はなくてもよいが、図27D(1)と同様に、蛍光体114から横向きに出力される蛍光の主光線が遮光体410により遮られずに偏光変換素子21の有効領域に入射するように、蛍光体114の位置に対して、Z軸方向において遮光板410の高さが低くなるように調整されている。
【0154】
なお、図27A図27B図27C図27Dの光源装置について、27A(1)に示したように、反射型導光体306の反射面と液晶表示パネル11の間の空間へのごみ入り込み防止、光源装置外部への迷光発生防止、および光源装置外部からの迷光侵入防止のために、側壁400を設けてもよい。側壁400を設ける場合は、導光体306と拡散板206との空間を挟むように配置される。
【0155】
当該偏光変換素子21によって偏光変換された光を出射する偏光変換素子21の光出射面は、側壁400と導光体306と拡散板206と偏光変換素子21とで囲まれた空間に面する。また、側壁400の内側の面のうち、偏光変換素子21の出射面から光が出力される空間(図27B(1)の偏光変換素子21の出射面から右側の空間)を側面から覆う部分の面は、反射膜などを有する反射面を用いる。すなわち、上記空間に面する側壁400の面は、反射膜を有する反射領域を備える。側壁400の内側の面のうち当該部分を反射面とすることで、当該反射面で反射した光を光源光として再利用でき、光源装置の輝度を向上することができる。
【0156】
側壁400の内側の面のうち、偏光変換素子21を側面から覆う部分の面は、光反射率の低い面(反射膜のない黒色面など)とする。これは、偏光変換素子21の側面で反射光が生じると、想定外の偏光状態の光が生じ、迷光の原因となるためである。言い換えると、上記の面を光反射率の低い面とすることにより、映像の迷光および想定外の偏光状態の光の発生を防止ないし抑制することができる。また、側壁400の一部に空気が通る穴をあけておくことで冷却効果を向上させるように構成してもよい。
【0157】
なお、図27A図27B図27C図27Dの光源装置は、偏光変換素子21を用いる構成を前提として説明した。しかしながら、これらの光源装置から偏光変換素子21を省略して構成してもよい。この場合、より安価に光源装置を提供することができる。
【0158】
<光源装置の別の例3>
続いて、光源装置の例1に示した光源装置を基に反射型導光体304を用いた光源装置に関する光学系の構成について、図28A(1)、(2)、(3) 、及び図28Bを参照しながら詳細に説明する。
【0159】
図28Aは、光源を構成するLED14が基板102に備え付けられた状態を示しており、これらはコリメータ18とLED14が一対のブロックとし、複数のブロックを有するユニット328で構成する。本実施例のコリメータ18は、LED14と近接しているため、耐熱性を考慮してガラス材料を採用している。コリメータ18の形状は、図17のコリメータ15で説明した形状と同様である。また、偏光変換素子21へ入射する前段に遮光板317を設けることにより、不要な光が後段の光学系に入射するのを防止ないし抑制し、当該不要な光による温度の上昇を軽減している。
【0160】
図28Aに示す光源のその他の構成及び効果については、図27A図27B図27C図27Dと同様であるため、繰り返しの説明を省略する。図28Aの光源装置は、図27A図27B図27Cで説明したのと同様に、側壁を設けてもよい。側壁の構成及び効果については、既に説明した通りであることから、繰り返しの説明を省略する。
【0161】
図28Bは、図28A(2)の断面図である。図28Bに示す光源の構成については、図18の光源の構造の一部と共通であり、図18においてすでに説明済みであるため、繰り返しの説明を省略する。
【0162】
<光源装置の別の例4>
続いて、図29の光源装置は、図28に示した光源装置に用いたコリメータ18とLED14が一対のブロックとして複数のブロックを有するユニット328で構成する。液晶表示パネル11の背面の両端部に配置したLEDと反射型導光体504を用いた光源装置に関する光学系の構成について、図29(a)(b)及び(c)を参照しながら詳細に説明する。
【0163】
図29は光源を構成するLED14が基板505に備え付けられた状態を示しており、これらはコリメータ18とLED14が一対のブロックとした複数のブロックを有するユニット503で構成する。ユニット503は液晶表示パネル11の背面の両端部に配置される(本実施例では短辺方向に3ユニットが並んで配置される)。ユニット503から出力された光は反射型導光体504で反射され、対向配置された液晶表示パネル11(図29(c)に図示)に入射する構成としている。
【0164】
反射型導光体504は、図29(c)に示すように、それぞれの端部に配置されたユニットに対応して2つのブロックに分割され中央部が最も高くなるように配置されている。コリメータ18は、LED14と近接しているため、LED14から発せられる熱への耐熱性を考慮して、ガラス材料を採用している。コリメータ18の形状は、図17のコリメータ15で説明した形状である。
【0165】
LED14から出射された光は、コリメータ18を介して偏光変換素子501へ入射する。この例では、光学素子81の形状により、後段の反射型導光体504に入射する光の分布を調整する構成としている。すなわち、液晶表示パネル11に入射する光束の光量分布は、前述したコリメータ18の形状と、配置及び光学素子81の形状と、拡散特性及び反射型導光体の反射面形状(断面形状)と、反射面の傾き、反射面の面粗さと、を調整することによって最適設計される。
【0166】
反射型導光体504の表面に設けた反射面形状としては、図29(b)に示すように、偏光変換素子の出射面に対向して複数の反射面を配置し、偏光変換素子21からの距離に応じて、反射面の傾き、面積、高さ、ピッチを最適化する。また、同一反射面となる領域(すなわち、偏光変換素子に対向する面)を多面体に分割することで、前述したように液晶表示パネル11に入射する光束の光量分布を所望の値とする(最適化する)ことができる。
【0167】
反射型導光体に設けた反射面は、図27Bで説明した反射型導光体と同様に、1面(光の反射させる領域)を、複数の傾きを持った形状を持たせる構成(図29の例ではXY平面内で14分割して異なった傾斜面で構成)とすることで、より高精度に反射光の調整を行うことができる。また、反射型導光体からの反射光が光源装置13の側面から漏れないようにするため、遮光壁507を設けることにより、所望の方向(液晶表示パネル11へ向かう方向)以外への漏れ光の発生を防止することができる。
【0168】
また、図29の反射型導光体504の左右に配置されるユニット503を、図27の光源装置に置き換えてもよい。すなわち、図27の光源装置(基板102、リフレクタ300、LED14等)を複数用意し、かかる複数の光源装置を、図29(a),(b),(c)に参照されるように、互いに対向する位置に配置した構成としてもよい。
【0169】
図30は、拡散板206の形状の一例を示す断面図である。上述のように、LEDから出力された発散光は、リフレクタ300またはコリメータ18で略平行光に変換され、偏光変換素子21で特定偏波に変換された後に、導光体で反射させられる。そして、導光体で反射した光束は、拡散板206の入射面の平面部分を通過して、液晶表示パネル11に入射する(図30中の「導光体からの反射光」を示す2本の実線矢印を参照)。
【0170】
また、偏光変換素子21から出射した光のうち、発散光束は、拡散板206の入射面に設けた傾斜面を有する突起部の斜面で全反射して、液晶表示パネル11に入射する。偏光変換素子21から出射した光を拡散板206の突起部の斜面で全反射させるために、突起部の斜面の角度を、偏光変換素子21からの距離に基づいて変化させる。偏光変換素子21から遠い側またはLEDから遠い側の突起部の斜面の角度をαとし、偏光変換素子21から近い側またはLEDから近い側の突起部の斜面の角度をα’とする場合、αはα’より小さい(α<α’)。このような設定とすることにより、偏光変換された光束を有効利用することが可能となる。
【0171】
<レンチキュラーレンズ>
液晶表示パネル11からの映像光の拡散分布を調整する方法として、光源装置13と液晶表示パネル11との間、あるいは、液晶表示パネル11の表面に、レンチキュラーレンズを設け、当該レンズの形状を最適化することが挙げられる。すなわち、レンチキュラーレンズ形状の最適化を行うことによって、液晶表示パネル11から一方向に出射される映像光(以下、「映像光束」とも称する)の出射特性を調整することができる。
【0172】
代替的または追加的に、液晶表示パネル11の表面(または光源装置13と液晶表示パネル11との間)に、マイクロレンズアレイをマトリックス状に配置し、当該配置の態様を調整してもよい。すなわち、マイクロレンズアレイの配置を調整することによって、映像表示装置1から出射される映像光束についての、X軸およびY軸方向への出射特性を調整することができ、この結果、所望の拡散特性を有する映像表示装置を得ることができる。
【0173】
レンチキュラーレンズによる作用について説明する。上述のように、レンズ形状が最適化されたレンチキュラーレンズを使用した場合、以下の作用効果が得られる。すなわち、映像表示装置1から出射される映像光束の出射特性を、レンチキュラーレンズを通して調整(最適化)するとともに、当該最適化された映像光束を、効率良くウィンドガラス105で透過又は反射させて、好適な空間浮遊像を得ることができる。
【0174】
さらなる構成例として、映像表示装置1から出射される映像光が通過する位置に、2枚のレンチキュラーレンズを組み合わせて配置する、または、マイクロレンズアレイをマトリックス状に配置して拡散特性を調整するシートを設けてもよい。このような光学系の構成とすることにより、X軸およびY軸方向において、映像光の輝度(相対輝度)を、映像光の反射角度(垂直方向に反射した場合を基準(0度)とした反射角度)に応じて調整することができる。
【0175】
本実施例では、このようなレンチキュラーレンズを使用することにより、図22(B)中に「例1(Y方向)」および「例2(Y方向)」のグラフ(プロット曲線)に示すように、従来特性のグラフ(プロット曲線)とは明らかに異なった、優れた光学的特性を獲得することができる。具体的には、例1(Y方向)および例2(Y方向)のプロット曲線では、垂直方向の輝度特性を急峻にし、さらに、上下方向(Y軸の正負方向)の指向特性のバランスを変化させることで、反射や拡散による光の輝度(相対輝度)を高めることができる。
【0176】
このため、本実施例によれば、面発光レーザ映像源からの映像光のように、拡散角度が狭く(高い直進性)かつ特定の偏波成分のみの映像光とし、従来技術による映像表示装置を用いた場合に再帰反射部材で発生していたゴースト像を抑え、再帰反射による空間浮遊像を効率良く観視者の眼に届けるように、調整することができる。
【0177】
また、上述した光源装置により、図22の(a)、(b)に示した一般的な液晶表示パネルからの出射光拡散特性(図中では「従来特性」と表記)に対して、X軸方向およびY軸方向ともに大幅に挟角な指向特性を持たせることができる。本実施例では、このような狭角な指向特性を持たせることで、特定方向に向けて平行に近い映像光束を出射する、特定偏波の光を出射する映像表示装置を実現することができる。
【0178】
図21には、本実施例で採用するレンチキュラーレンズの特性の一例を示している。この例では、特に、Z軸を基準としたX方向(垂直方向)における特性を示しており、特性Oは、光の出射方向のピークが垂直方向(0度)から上方に30度付近の角度であり上下に対称な輝度特性を示している。また、図21のグラフに示す特性Aや特性Bのプロット曲線は、更に、30度付近においてピーク輝度の上方の映像光を集光して輝度(相対輝度)を高めた特性の例を示している。このため、これらの特性Aや特性Bでは、特性Oのプロット曲線と比較して分かるように、Z軸からX方向への傾き(角度θ)が30度を超えた角度(θ>30°)の領域において、急激に光の輝度(相対輝度)が低減する。
【0179】
即ち、上述したレンチキュラーレンズを含んだ光学系によれば、映像表示装置1からの映像光束を再帰反射部材2に入射させる際、光源装置13で挟角に揃えられた映像光の出射角度や視野角を調整でき、再帰反射シート2の設置の自由度を大幅に向上できる。その結果、ウィンドガラス105を反射又は透過して所望の位置に結像する空間浮遊像の結像位置の関係の自由度を大幅に向上できる。この結果、拡散角度が狭く(高い直進性)かつ特定の偏波成分のみの光として効率良く室外または室内の観視者の眼に届くようにすることが可能となる。このことによれば、映像表示装置1からの映像光の強度(輝度)が低減しても、観視者は映像光を正確に認識して情報を得ることができる。換言すれば、映像表示装置1の出力小さくすることにより、消費電力の低い情報表示システムを実現することが可能となる。
【0180】
以上、本発明を適用した種々の実施の形態ないし実施例(すなわち具体例)について詳述した。一方で、本発明は、上述した実施形態(具体例)のみに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0181】
上記で説明した光源装置は、空間浮遊映像表示装置に限られず、HUD、タブレット、デジタルサイネージ等のような情報表示装置に適用することも可能である。
【0182】
本実施の形態に係る技術では、空間浮遊映像を高解像度かつ高輝度な映像情報を空間浮遊した状態で表示することにより、例えば、ユーザは感染症の接触感染に対する不安を感じることなく操作することを可能にする。不特定多数のユーザが使用するシステムに本実施例に係る技術を用いれば、感染症の接触感染のリスクを低減し、不安を感じることなく使用できる非接触ユーザインタフェースを提供することを可能にする。このような技術を提供する本発明によれば、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「3すべての人に健康と福祉を」に貢献する。
【0183】
また、上述した実施の形態に係る技術では、出射する映像光の発散角を小さくし、さらに特定の偏波に揃えることで、再帰反射部材に対して正規の反射光だけを効率良く反射させるため、光の利用効率が高く、明るく鮮明な空間浮遊映像を得ることが可能になる。本実施の形態に係る技術によれば、消費電力を大幅に低減することが可能な、利用性に優れた非接触ユーザインタフェースを提供することができる。このような技術を提供する本発明によれば、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「9産業と技術革新の基盤をつくろう」および「11住み続けられるまちづくりを」に貢献する。
【0184】
さらに、上述した実施の形態に係る技術では、指向性(直進性)の高い映像光による空間浮遊映像を形成することを可能にする。本実施例に係る技術では、銀行のATMや駅の券売機等における高いセキュリティが求められる映像や、ユーザに正対する人物には秘匿したい秘匿性の高い映像を表示する場合でも、指向性の高い映像光を表示することで、ユーザ以外に空間浮遊映像を覗き込まれる危険性が少ない非接触ユーザインタフェースを提供することを可能にする。本発明は、以上のような技術を提供することにより、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「11住み続けられるまちづくりを」に貢献する。
【符号の説明】
【0185】
1…映像表示装置、2…再帰反射部材、3…空間像(空間浮遊像)、105…ウィンドガラス、100…透過性プレート、101…偏光分離部材、12…吸収型偏光板、13…光源装置、54…光方向変換パネル、151…再帰反射部材、102、202…LED基板、203…導光体、205…反射シート、271…反射板、206、270…位相差板、300…空間浮遊像、301…空間浮遊映像のゴースト像、302…空間浮遊映像のゴースト像、11…液晶表示パネル、206…拡散板、21…偏光変換素子、300…LEDリフレクタ、213…λ/2板、反射型導光体…306、反射面…307、サブリフレクタ…308、310、81…光学素子、偏光変換素子…501、ユニット…503、遮光壁…507、401、402…遮光板、320…基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図28A
図28B
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図30