(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181291
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物、ネガ型感光性樹脂組成物フィルム、硬化膜、および電子部品
(51)【国際特許分類】
C08G 59/42 20060101AFI20231214BHJP
C08G 69/00 20060101ALI20231214BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20231214BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C08G59/42
C08G69/00
C08G73/10
C08J5/18 CFG
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180755
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2020545603の分割
【原出願日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2019172590
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松村 和行
(72)【発明者】
【氏名】楯岡 佳子
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 彰
(57)【要約】
【課題】
パターン加工性、膜強度に優れた樹脂組成物、樹脂組成物フィルムおよびこれらを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】
(A)高分子化合物、(B)カチオン重合性化合物、および(C)カチオン重合開始剤を含有する樹脂組成物であって、前記(A)高分子化合物は、その分子鎖末端がカルボン酸残基であることを特徴とする、樹脂組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)高分子化合物、及び(B)カチオン重合性化合物を含有する樹脂組成物であって、
前記(A)高分子化合物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリベンゾオキサゾールからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であって、
さらに(C)カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)高分子化合物の分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
全ての樹脂組成物の合計を100質量%とした場合、前記(A)高分子化合物が30~70質量%、前記(B)カチオン重合性化合物が30~70質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)高分子化合物は、カルボン酸残基の合計を100モル%とした場合に、アミン残基の合計を60~98モル%として重合させて得られる化合物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)高分子化合物は、ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であって、さらに、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)高分子化合物の分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造が、テトラカルボン酸二無水物に由来する構造であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)高分子化合物が、下記一般式(3)または(4)の少なくとも一方で表される化合物に由来する構造を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項8】
前記(A)高分子化合物は、分子鎖内にフェノール性水酸基を有する化合物であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記(B)カチオン重合性化合物は、常温で液状である多官能エポキシ化合物であって、エポキシ当量が80~160g/eq.であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記(C)カチオン重合開始剤は、スルホニウム塩であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物から形成された樹脂組成物被膜を有する樹脂組成物フィルム。
【請求項12】
前記樹脂組成物被膜を200度で加熱した時の重量減少率が0.01~1.0%であることを特徴とする、樹脂組成物フィルム。
【請求項13】
前記樹脂組成物被膜の40℃での溶融粘度が、0.5×106~1.0×107MPa・sであることを特徴とする、請求項11又は12に記載の樹脂組成物フィルム。
【請求項14】
前記樹脂組成物被膜を熱硬化させた後の180℃でのクリープ変形量が、0.5~2.5%であることを特徴とする、請求項11~13のいずれかに記載の樹脂組成物フィルム。
【請求項15】
請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物または請求項11~14のいずれかに記載の樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜を硬化した硬化膜。
【請求項16】
請求項15に記載の硬化膜が、中空部分を有する構造体(以下、中空構造体という)の屋根部分として用いられたことを特徴とする中空構造体。
【請求項17】
前記屋根部分の厚みが、10~30μmであることを特徴とする、請求項16に記載の中空構造体。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の中空構造体の外周部が、モールド樹脂で封止された構造であることを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物フィルム、硬化膜、これらを用いた中空構造体、および半導体装置に関する。より詳しくは、半導体素子やインダクタ装置の表面保護膜、層間絶縁膜、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステムズ)の構造体などに好適に用いられる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜には、耐熱性や電気絶縁性及び機械特性に優れたポリイミド系材料やポリベンゾオキサゾール系材料が広く使用されている。近年の半導体素子の高密度化や高性能化要求に伴い、生産効率の観点から、表面保護膜や層間絶縁膜には、感光性を有する材料が求められている。
【0003】
一方、感光性材料には、近年の半導体素子の様々なパッケージング構造や、MEMS向けに高アスペクト比の加工が要求されている。そのような要求に応えるために、化学増幅型の光カチオン重合系の感光性材料が開示されている(例えば、特許文献1)。また、化学増幅型の光カチオン重合系において、特定の構造のエポキシ樹脂を含有させることで、機械特性や熱特性の向上を意図した光カチオン重合系材料が開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/007764号パンフレット
【特許文献2】特開2019-38964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような光カチオン重合系材料では、十分な機械特性と熱特性を両立することが困難であった。具体的には、熱特性の指標となる硬化膜のガラス転移温度を向上させるために、架橋密度を向上させると、機械特性の指標となる硬化膜の引張強度や引張伸度が劣る。一方で、引張強度や引張伸度を向上させるために、柔軟成分を導入すると、硬化膜のガラス転移温度が低下する。
【0006】
かかる状況に鑑み、筆者らは、鋭意検討した結果、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、及びポリベンゾオキサゾールからなる群より選ばれる少なくとも一つの高分子化合物を用いた光カチオン重合系材料とすることによって、パターン加工性を有し、硬化膜のガラス転移温度と硬化膜の引張強度・引張伸度に優れることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
【0008】
(A)高分子化合物、及び(B)カチオン重合性化合物を含有する樹脂組成物であって、
前記(A)高分子化合物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリベンゾオキサゾールからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であって、
さらに(C)カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂脂組成物は、パターン加工性を有し、低温硬化条件において硬化膜のガラス転移温度と硬化膜の引張強度・引張伸度に優れた樹脂組成物、組成物フィルム、硬化膜、これらを用いた中空構造体および、半導体装置を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、(A)高分子化合物、(B)カチオン重合性化合物を含有する樹脂組成物であって、前記(A)高分子化合物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリベンゾオキサゾールからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であって、さらに(C)カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
【0011】
後述するように(A)高分子化合物は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリベンゾオキサゾールからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である。なお、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は、それぞれ、上記のポリアミドに相当する。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、この(A)高分子化合物を含有することにより、フィルム状にする際の製膜性に優れ、また硬化膜の引張強度・引張伸度に優れる。(A)高分子化合物とは、その重量平均分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が1,000以上200,000以下であることが好ましい。また(A)高分子化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。なお、本発明における(A)高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によって測定し、ポリスチレン換算で算出する。
【0013】
また本発明の樹脂組成物は、分子鎖末端がカルボン酸残基となった(A)高分子化合物を含むことが好ましい。より具体的には、本発明の樹脂組成物は、(A)高分子化合物を含むが、その(A)高分子化合物の分子鎖末端はカルボン酸残基に由来する構造であることが好ましい。本発明の樹脂組成物は、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物を含みさえすれば、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造とはなっていない高分子化合物を含むことも可能である。なお、本発明の樹脂組成物において、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造とはなっていない高分子化合物を含む場合には、その含有量は少ないほど好ましく、具体的には、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物の合計100質量部に対して、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造とはなっていない高分子化合物の含有量は0質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。
【0014】
また本発明の樹脂組成物は、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物を含むことが好ましく、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物を含みさえすれば、その含有量は特に限定されないが、樹脂組成物100質量%において、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物を20質量%以上95質量%以下含むことが好ましく、30質量%以上85質量%以下含むことがより好ましく、30質量%以上70質量%以下含むことが特に好ましい。分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物を樹脂組成物中に20質量%以上含むことによって、硬化膜の膜強度が向上する。一方、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物の含有量を樹脂組成物中に95質量%以下とすることにより、カチオン重合反応が進行し易くなり、硬化膜の耐薬品性が向上する。また、さらに好ましくは、樹脂組成物中の分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)高分子化合物の含有量は、70質量%以下である。
【0015】
(A)高分子化合物は、その分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造であることが好ましい。前記(A)高分子化合物の分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造であることによって、分子鎖末端が、カチオン重合の阻害官能基となり得る、アミン末端構造を保有しない分子構造とすることができ、結果として、ポリアミドやポアイミドおよびポリアミドイミドを用いた際においても、十分なカチオン重合性を発現することができる点で好ましい。
【0016】
ここで、(A)高分子化合物の分子鎖末端におけるカルボン酸残基に由来する構造とは、ポリアミドやポリイミドまたはポリアミドイミドを構成し得る、カルボン酸残基に由来する有機基であり、モノカルボン酸やジカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、ジ酸クロリド化合物、テトラカルボン酸または酸無水物、酸二無水物等に由来する構造を言う。上記の中でも特に、(A)高分子化合物の分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造が、テトラカルボン酸二無水物に由来する構造であることが好ましい。分子鎖末端がテトラカルボン酸二無水物に由来する構造であると、熱硬化前の樹脂組成物の保存安定性が向上する点で好ましい。一方、硬化膜として、末端のカルボン酸無水物基が反応性官能基となり、熱硬化後の耐熱性や耐薬品性が向上する点で好ましい。
【0017】
更に、(A)高分子化合物は、アルカリ可溶性であることが好ましい。アルカリ可溶性であると、パターン加工時の現像で、環境負荷の要因となる有機溶媒を使用することなく、アルカリ水溶液で現像をすることができるため好ましい。ここで言うアルカリ可溶性とは、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液100gに対して、25℃で0.1g以上溶解するものを指す。アルカリ可溶性を発現するために、(A)高分子化合物は、アルカリ可溶性の官能基を有することが望ましい。アルカリ可溶性の官能基とは酸性を有する官能基であり、具体的には、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。上記、アルカリ可溶性の官能基の中でも、感光性樹脂組成物組成物の保存安定性や、導体である銅配線への腐食等の問題から、アルカリ可溶性の官能基はフェノール性水酸基であることが好ましい。つまり(A)高分子化合物は、分子鎖内にフェノール性水酸基を有する化合物であることが好ましい。
【0018】
(A)高分子化合物の分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造(有機基)としては、芳香族ジカルボン酸、芳香族酸二無水物、脂環式ジカルボン酸、脂環式酸二無水物、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族酸二無水物などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
【0019】
これらの中でも、パターニングの際に使用する波長に対して、透明な樹脂を設計することができ、結果として厚膜で微細なパターン加工性を発現することができる点から、脂環式のカルボン酸残基に由来する有機基であることが好ましい。
【0020】
本発明において、前記(A)高分子化合物は、前記ポリアミド、ポリイミド、およびポリアミドイミドであることが好ましいが、これらが一般式(1)および一般式(2)で表される構造から選ばれる少なくとも1種類以上の構造を有する化合物であることが好ましい。
【0021】
【0022】
(一般式(1)および(2)中、X1およびX2はそれぞれ独立に2~10価の有機基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に2~4価の有機基を示し、Rは水素原子または炭素数1~20の有機基を示す。qは0~2の整数であり、r,s,t,uはそれぞれ独立に0~4の整数である。)
一般式(1)および(2)中のY1およびY2は2価~4価の有機基を示し、ジアミン由来の有機基を表している。
【0023】
前記(A)高分子化合物の一般式(1)および(2)中のY1およびY2は、フェノール性水酸基を有するジアミン残基を含有することが好ましい。フェノール性水酸基を有するジアミン残基を含有させることで、樹脂のアルカリ現像液への適度な溶解性が得られるため、露光部と未露光部の高いコントラストが得られ、所望のパターンが形成できる。
【0024】
フェノール性水酸基を有するジアミンの具体的な例としては、例えば、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、2,2’-ジトリフルオロメチル-5,5’-ジヒドロキシル-4,4’-ジアミノビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-5,5’-ジヒドロキシベンジジンなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1~10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、また、下記に示す構造を有するジアミンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。共重合させる他のジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして用いることができる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
【0026】
【0027】
一般式(1)および(2)中のY1およびY2は、前記以外の芳香族を有するジアミン残基を含んでもよい。これらを共重合することで、耐熱性が向上できる。芳香族を有するジアミン残基の具体的な例としては、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1~10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。共重合させる他のジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして用いることができる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
また、本発明における上記一般式(1)や一般式(2)中、X1およびX2はカルボン酸残基を表しており、2価~10価の有機基である。
【0029】
前記カルボン酸残基としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することが好ましい。つまり(A)高分子化合物は、ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であって、さらに、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することが好ましい。カルボン酸残基が、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することにより、露光波長に対する樹脂組成物の光透過率が高くなり、20μm以上の厚膜での加工が容易となる。更に理由は定かではないが、(A)高分子化合物が脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することにより、芳香族酸二無水物と比較して、カチオン重合の反応性が高くなり、硬化膜の耐薬品性が向上する点で好ましい。
【0030】
更に、脂環式テトラカルボン酸二無水物の中でも、硬化物とした際の耐薬品性が向上し、イオンマイグレーション耐性が向上する点から、多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物であることが好ましい。
【0031】
また、本発明の(A)高分子化合物は下記一般式(3)または(4)の少なくとも一方で表される化合物に由来する構造を有することが好ましい。
【0032】
【0033】
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。)
(A)高分子化合物が前記一般式(3)または(4)で表される化合物に由来する構造を有することで、樹脂骨格が屈曲性を有することで、硬化前の樹脂組成物として、有機溶剤への溶解性が高く、組成物中において樹脂の析出が発生し難く、保存安定性に優れる点から好ましい。
【0034】
また、多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基の具体的な例としては、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-4メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-7メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0035】
また、前記カルボン酸残基としては、前記多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物を含んでもよい。具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシ-2-シクロペンタン酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
【0036】
本発明における一般式(1)および(2)で表される構造のモル比は、重合する際に用いるモノマーのモル比から算出する方法や、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、得られた樹脂、樹脂組成物、硬化膜におけるポリアミド構造やイミド前駆体構造、イミド構造のピークを検出する方法において確認できる。
【0037】
分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)高分子化合物は、例えば分子鎖末端がカルボン酸残基であるポリイミドの場合には、重合の際に用いるジアミンに対して酸無水物の含有量を多くすることで得ることができる。その際、(A)高分子化合物のカルボン酸残基の合計を100モル%とした場合、アミン残基の合計は60モル%以上98モル%以下であることが好ましい。つまり(A)高分子化合物は、カルボン酸残基の合計を100モル%とした場合に、アミン残基の合計を60~98モル%として重合させて得られる化合物であることが好ましい。アミン残基の合計が60モル%以上であると、重量平均分子量が1,000以上となり易く、フィルム状にする際の製膜性に優れ、98モル%以下であると末端がアミン残基となる高分子化合物が含有される割合が小さくなり、カチオン重合反応が進行し易くなり、硬化膜の耐薬品性が向上する。
【0038】
分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)高分子化合物を得る別の方法として、一般に末端封止剤として用いられる化合物の中から特定の化合物、具体的には、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物を用いることによっても得る事ができる。
【0039】
また、(A)高分子化合物の分子鎖末端を水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、ビニル基、エチニル基、またはアリル基を有するカルボン酸または酸無水物の末端封止剤により封止することで、前記(A)高分子化合物のアルカリ水溶液に対する溶解速度や得られる硬化膜の機械特性を好ましい範囲に容易に調整することができる。また、複数の末端封止剤を反応させ、複数の異なる末端基を導入してもよい。
【0040】
末端封止剤としての酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3-カルボキシフェノール、4-カルボキシフェノール、3-カルボキシチオフェノール、4-カルボキシチオフェノール、1-ヒドロキシ-7-カルボキシナフタレン、1-ヒドロキシ-6-カルボキシナフタレン、1-ヒドロキシ-5-カルボキシナフタレン、1-メルカプト-7-カルボキシナフタレン、1-メルカプト-6-カルボキシナフタレン、1-メルカプト-5-カルボキシナフタレン、3-カルボキシベンゼンスルホン酸、4-カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5-ジカルボキシナフタレン、1,6-ジカルボキシナフタレン、1,7-ジカルボキシナフタレン、2,6-ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN-ヒドロキシベンゾトリアゾールやイミダゾール、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
【0041】
これらの末端封止剤を導入した高分子化合物は、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)高分子化合物となる。そして分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)高分子化合物を得るために用いることのできる末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された(A)高分子化合物を、酸性溶液に溶解し、構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRにより、本発明に使用された末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂成分を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13C-NMRスペクトルで測定することによっても、容易に検出できる。
【0042】
本発明において、(A)高分子化合物は、たとえば、次の方法により合成されるが、これに限定はされない。ポリイミド構造は、ジアミンの一部を末端封止剤である1級モノアミンに置き換えて、または、テトラカルボン酸二無水物を、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に置き換えて、公知の方法で合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンを反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミンとモノアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得る。その後、公知のイミド化反応法を利用してポリイミドを合成することができる。
【0043】
本発明において、(A)高分子化合物は、上記の方法で重合させた後、多量の水またはメタノールおよび水の混合液などに投入し、沈殿させて濾別乾燥し、単離することが好ましい。乾燥温度は40~100℃が好ましく、より好ましくは50~80℃である。この操作によって未反応のモノマーや、2量体や3量体などのオリゴマー成分が除去され、熱硬化後の膜特性を向上させることができる。
【0044】
本発明における、イミド化率は、例えば以下の方法で容易に求めることができる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm-1付近、1377cm-1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理したもののイミド化率を100%のサンプルとして赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前後の樹脂の1377cm-1付近のピーク強度を比較することによって、熱処理前樹脂中のイミド基の含量を算出し、イミド化率を求める。熱硬化時の閉環率の変化を抑制し、低応力化の効果が得られるため、イミド化率は50%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、(B)カチオン重合性化合物を含有する。(B)カチオン重合性化合物は、環状エーテル化合物(エポキシ化合物及びオキセタン化合物等)、エチレン性不飽和化合物(ビニルエーテル及びスチレン類等)、ビシクロオルトエステル、スピロオルトカーボネート及びスピロオルトエステル等が挙げられる。
【0046】
エポキシ化合物としては、公知のもの等が使用でき、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が含まれる。
【0047】
芳香族エポキシ化合物としては、少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のフェノール(フェノール、ビスフェノールA、フェノールノボラック及びこれらのアルキレンオキシド付加体した化合物)のグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0048】
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個のシクロヘキセンやシクロペンテン環を有する化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる化合物(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、等)が挙げられる。
【0049】
脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコール又はこのアルキレンオキシド付加体のポリグリシジルエーテル(1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等)、脂肪族多塩基酸のポリグリシジルエステル(ジグリシジルテトラヒドロフタレート等)、長鎖不飽和化合物のエポキシ化物(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ポリブタジエン等)が挙げられる。
【0050】
オキセタン化合物としては、公知のもの等が使用でき、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメ
チルオキセタン、2-エチルヘキシル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシプロピル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
【0051】
エチレン性不飽和化合物としては、公知のカチオン重合性単量体等が使用でき、脂肪族モノビニルエーテル、芳香族モノビニルエーテル、多官能ビニルエーテル、スチレン及びカチオン重合性窒素含有モノマーが含まれる。
【0052】
脂肪族モノビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル及びシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0053】
芳香族モノビニルエーテルとしては、2-フェノキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル及びp-メトキシフェニルビニルエーテル等が挙げられる。
【0054】
多官能ビニルエーテルとしては、ブタンジオール-1,4-ジビニルエーテル及びトリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0055】
スチレン類としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン及びptert-ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0056】
カチオン重合性窒素含有モノマーとしては、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0057】
ビシクロオルトエステルとしては、1-フェニル-4-エチル-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及び1-エチル-4-ヒドロキシメチル-2,6,7-トリオキサビシクロ-[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0058】
スピロオルトカーボネートとしては、1,5,7,11-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン及び3,9-ジベンジル-1,5,7,11-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
【0059】
スピロオルトエステルとしては、1,4,6-トリオキサスピロ[4.4]ノナン、2-メチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4.4]ノナン及び1,4,6-トリオキサスピロ[4.5]デカン等が挙げられる。
【0060】
これらのカチオン重合性化合物のうち、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテルが好ましく、さらに好ましくはエポキシ化合物及びオキセタン化合物、特に好ましくはエポキシ化合物である。その中でも、常温(20度)で液状である多官能エポキシ化合物であり、エポキシ当量が80g/eq.以上、160g/eq.以下であることが好ましい。多官能エポキシ化合物が常温で液状であることにより、(A)高分子化合物との相溶性が向上し、微細なパターン加工性が得られる点で好ましい。一方、多官能エポキシ化合物のエポキシ当量が、80g/eq.以上、160g/eq.以下であることにより、硬化膜の耐熱性や耐薬品性が向上する点から好ましい。
【0061】
常温で液状である多官能エポキシ化合物であって、エポキシ当量が80g/eq.以上、160g/eq.以下であるエポキシ化合物としては、例えばTEPIC-VL、(商品名、日産化学(株)製)、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ショウフリーBATG、ショウフリーPETG(商品名、いずれも昭和電工(株)製)等があげられる。
【0062】
また、(B)カチオン重合性化合物は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0063】
(B)カチオン重合性化合物の含有量は、(A)高分子化合物の合計を100質量部とした際、十分なカチオン硬化性を示し、パターン加工性を向上させる点から、30質量部以上であることが好ましく、より好ましくは50質量部以上である。一方、フィルム状にした際にフィムル膜表面のタックが無く、ハンドリングし易くなる観点から、200質量部以下が好ましい。
【0064】
本発明の樹脂組成物は、(C)カチオン重合開始剤を含有する。(C)カチオン重合開始剤は、光あるいは加熱により直接または間接的に酸を発生しカチオン重合を生じさせるものである。(C)カチオン重合開始剤としては、公知の化合物を、特に限定なく使用することができるが、スルホニウム塩であることが好ましい。(C)カチオン重合開始剤について具体的には、例えば芳香族ヨードニウム錯塩と芳香族スルホニウム錯塩等を挙げることができる。芳香族ヨードニウム錯塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの(C)カチオン重合開始剤は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0065】
本発明において、(C)カチオン重合開始剤は、光カチオン重合開始剤であることが好ましい。(C)カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を選択することにより、光照射部と光未照射部でカチオン重合の進行のコントラストをつけることができ、任意の現像液で樹脂組成物を溶解させることで、パターン形成が可能となる点から好ましい。
【0066】
上記(C)カチオン重合開始剤の含有量は、上記(B)カチオン重合性化合物を100質量部とした場合、0.3質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、0.7質量部以上がさらに好ましい。これにより、カチオン重合性化合物が十分な硬化性を示し、パターン加工性を向上させることができる。一方、樹脂組成物の硬化前の保存安定性が向上する点から、10重量部以下が好ましく、より好ましくは8重量部以下である。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、紫外線を吸収し、吸収した光エネルギーを光酸発生剤に供与するために増感剤を使用してもよい。増感剤としては、例えば9位と10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10-ジアルコキシ-アントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のC1~C4のアルコキシ基が挙げられる。9,10-ジアルコキシ-アントラセン誘導体は、さらに置換基を有していても良い。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1~C4のアルキル基やスルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル等のC1~C4のアルキルが挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
【0068】
本発明の樹脂組成物は、熱架橋剤を含有してもよく、アルコキシメチル基、メチロール基を有する化合物が好ましい。
【0069】
アルコキシメチル基またはメチロール基を有する例としては、例えば、DML-PC、DML-PEP、DML-OC、DML-OEP、DML-34X、DML-PTBP、DML-PCHP、DML-OCHP、DML-PFP、DML-PSBP、DML-POP、DML-MBOC、DML-MBPC、DML-MTrisPC、DML-BisOC-Z、DML-BisOCHP-Z、DML-BPC、DML-BisOC-P、DMOM-PC、DMOM-PTBP、DMOM-MBPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC(登録商標)MX-290、NIKALAC MX-280、NIKALAC MW-100LM、NIKALAC MX-750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
【0070】
本発明の樹脂組成物は、さらにシラン化合物を含有することができる。シラン化合物を含有することにより、耐熱性樹脂被膜の密着性が向上する。シラン化合物の具体例としては、N-フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。
【0071】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、基材との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を含有してもよい。また、熱膨張係数の抑制や高誘電率化、低誘電率化のなどの目的で、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを含有してもよい。
【0072】
本発明の樹脂組成物は、硬化前の形状は限定されず、例えば、ワニス状やフィルム状などが挙げられる。本発明の樹脂組成物フィルムは、本発明の樹脂組成物の形態をフィルム状としたもの、つまり、本発明の樹脂組成物から形成された樹脂組成物被膜を有する樹脂組成物フィルムである。そのため本発明の樹脂組成物フィルムは、支持体上に形成されたフィルム状、つまり支持体上に本発明の樹脂組成物から形成された樹脂組成物被膜を有する樹脂組成物フィルムであってもよいし、支持体のない態様であってもよい。ワニス状で用いる場合は、(A)~(C)成分および必要に応じ加えられる成分を有機溶媒に溶解させたものを用いることができる。また、樹脂組成物フィルムは、例えば本発明の樹脂組成物を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。
【0073】
次に、本発明の樹脂組成物組成物を用いて樹脂組成物フィルムを作製する方法について説明する。本発明の樹脂組成物フィルムは樹脂組成物の溶液(ワニス)を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。樹脂組成物ワニスは、樹脂組成物に有機溶剤を添加することで得られる。ここで使用される有機溶剤としては、樹脂組成物を溶解するものであればよい。
【0074】
有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、その他、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0075】
また、樹脂組成物ワニスを濾紙やフィルターを用いて濾過しても良い。濾過方法は特に限定されないが、保留粒子径0.4μm~10μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
【0076】
本発明の樹脂組成物フィルムは支持体上に形成されて用いられるのが好ましい。支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持体と樹脂組成物フィルムとの接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmの範囲であることが好ましい。
【0077】
また、本発明の樹脂組成物フィルムは、表面を保護するために、膜上に保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から感光性樹脂組成物フィルム表面を保護することができる。保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。保護フィルムは、樹脂組成物フィルムとの接着力が小さいものが好ましい。
【0078】
樹脂組成物ワニスを支持体に塗布する方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコー/ター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0079】
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物フィルムが未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分から数十分行うことが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、70℃、80℃、90℃で各1分ずつ熱処理してもよい。
【0080】
次に、本発明の樹脂組成物ワニス、またはそれを用いた樹脂組成物フィルムをパターン加工する方法、および他の部材に熱圧着する方法について、例を挙げて説明する。
【0081】
まず、本発明の樹脂組成物、またはそれを用いた樹脂組成物フィルムを用いて、基板上に樹脂組成物被膜を形成する方法について説明する。樹脂組成物ワニスを用いる場合は、まずワニスを基板上に塗布する。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷などの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、樹脂組成物の固形分濃度および粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下になるように塗布することが好ましい。次に、樹脂組成物ワニスを塗布した基板を乾燥して、樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、樹脂組成物被膜が未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、50~150℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
【0082】
一方、樹脂組成物フィルムを用いる場合は、保護フィルムを有する場合にはこれを剥離し、樹脂組成物フィルムと基板を対向させ、熱圧着により貼り合わせて、樹脂組成物被膜を得る。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。貼り合わせ温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、貼り合わせ時に樹脂組成物フィルムが硬化し、露光・現像工程におけるパターン形成の解像度が悪くなることを防ぐために、貼り合わせ温度は150℃以下が好ましい。
【0083】
いずれの場合にも、用いられる基板は、シリコンウェハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
【0084】
次に、上記方法によって形成された樹脂組成物被膜上に、所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。樹脂組成物フィルムにおいて、支持体がこれらの光線に対して透明な材質である場合は、樹脂組成物フィルムから支持体を剥離せずに露光を行ってもよい。
【0085】
パターンを形成するには、露光後、現像液にて露光部を除去する。現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを含有してもよい。
【0086】
現像は、上記の現像液を被膜面にスプレーする、被膜面に現像液を液盛りする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬して超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。現像時間や現像ステップ現像液の温度などの現像条件は、露光部が除去されパターン形成が可能な条件であればよい。
【0087】
現像後は水にてリンス処理を行うことが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0088】
また、必要に応じて現像前にベーク処理を行ってもよい。これにより、現像後のパターンの解像度が向上し、現像条件の許容幅が増大する場合がある。このベーク処理温度は50~180℃の範囲が好ましく、特に60~120℃の範囲がより好ましい。時間は5秒~数時間が好ましい。
【0089】
パターン形成後、樹脂組成物被膜中には未反応のカチオン重合性化合物やカチオン重合開始剤が残存している。このため、熱圧着あるいは硬化の際にこれらが熱分解しガスが発生することがある。これを避けるため、パターン形成後の樹脂組成物被膜の全面に上述の露光光を照射し、カチオン重合開始剤から酸を発生させておくことが好ましい。こうすることによって、熱圧着あるいは硬化の際に、未反応のカチオン重合性化合物の反応が進行し、熱分解由来のガスの発生を抑制することができる。
【0090】
現像後、150℃~500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させる。架橋により、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。この加熱処理の方法は、温度を選び、段階的に昇温する方法や、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施する方法を選択できる。前者の一例として、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する方法が挙げられる。後者の一例として室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0091】
本発明の硬化膜は、本発明の樹脂組成物または本発明の樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜を硬化した硬化膜である。本発明の樹脂組成物や樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜を硬化した本発明の硬化膜は、半導体装置等の電子部品に使用することができる。本発明でいう半導体装置とは、半導体素子の特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。半導体素子を基板に接続した電気光学装置や半導体回路基板、複数の半導体素子を積層したもの、並びにこれらを含む電子装置は、全て半導体装置に含まれる。また、半導体素子を接続するための多層配線板等の電子部品も半導体装置に含める。具体的には、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の表面保護膜、半導体素子と配線の間の層間絶縁膜、複数の半導体素子の間の層間絶縁膜、高密度実装用多層配線の配線層間の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられるが、これに制限されず、様々な用途に用いることができる。
【0092】
また、本発明の硬化膜は、中空部分を有する構造体(以下、中空構造体という)の屋根部分として用いることができる。つまり本発明の中空構造体は、その中空構造体の屋根部分が本発明の硬化膜である中空構造体である。
【0093】
中空構造体は、電子部品に設けられた凹部または凸部と屋根部分からなる構造であって、本発明の樹脂組成物フィルムを凹部または凸部に熱圧着することにより形成される。その後、必要に応じ、上記のパターン加工方法によって、不要部を除去し、加熱処理を施すことにより中空構造体の屋根部分として形成することができる。
【0094】
本発明の中空構造体の屋根部分の厚みは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。屋根部分の厚みが10μm以上であると、中空構造体とした際の屋根部分の膜強度が向上する点で好ましい。一方、屋根部分の厚みが30μm以下であると、中空構造体を薄くすることができ、電子部品の小型化に寄与する点で好ましい。
【0095】
さらに、本発明の硬化膜を有する中空構造体は、電子部品としての堅牢性を高めるためにモールド樹脂で封止されることが好ましい。つまり本発明の中空構造体は、その外周部が、モールド樹脂で封止された構造であることが好ましい。モールド樹脂によって中空構造体の外周部を封止する際は、一般的にトランスファーモールディング法やコンプレッションモールディング法が用いられる。上記のようなモールディング法は180℃前後に溶解した封止樹脂を6MPa前後の圧力で電子部品の周辺に流し込むことによって形成される。つまりこの封止時に、中空構造体の屋根部分に高温で6MPa前後の圧力がかかることになる。中空構造体の屋根部分として用いられる硬化膜の膜強度が低いと、中空構造の屋根部分が撓み構造が崩れることがある。その点、本発明の硬化膜を中空構造体の屋根部分として用いた中空構造体は、十分な膜強度を有することから、モールド樹脂の封止工程での電子部品の歩留まりが向上する。
【0096】
本発明の樹脂組成物フィルムは、樹脂組成物被膜を200℃で加熱した時の重量減少率が0.01%以上、1.0%以下であることが好ましい。該重量減少率が上記範囲であることによって、上記中空構造体の屋根部分として硬化膜を形成する際に、樹脂組成物被膜からのアウトガス成分が抑えられ、極端に屋根構造が膨らんだり、または硬化収縮により撓んだりすることを抑制することができる。
【0097】
なお、200℃で加熱した時の重量減少率は、熱重量分析装置を用い、樹脂組成物被膜の質量を8~12mg秤量し、窒素ガスを100mL/分でパージした状態で、40℃で10分間保持した後の重量を基準とし、40℃から200℃へ10℃/分の昇温速度で昇温し、その後60分間保持した後の質量の減少率を算出することができる。
【0098】
また、本発明の樹脂組成物フィルムは、樹脂組成物被膜の40℃での溶融粘度が、0.5×106MPa・s以上、1.0×107MPa・s以下であることが好ましい。樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜の40℃での溶融粘度が、0.5×106MPa・s以上であると室温でのフィルム表面のタックが低減され、フィルムのハンドリングが容易になる。一方、樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜の40℃での溶融粘度が、1.0×107MPa・s以下であると、室温でのフィルムのクラックが低減され、フィルムの欠点が低減し、歩留まりが向上する。
【0099】
40℃での樹脂組成物被膜の溶融粘度の測定は、下記方法で実施することができる。まず、樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜同士を対向させ、60℃にて熱圧着し、積層された樹脂組成物フィルムを得る。上記操作を繰り返し、樹脂組成物被膜の厚みを600~700μm厚みまで積層する。次に、積層した樹脂組成物被膜を用い、レオメーターにて、周波数0.2Hz、ひずみ量1.0%、30℃から80℃まで昇温速度2℃/分にて昇温測定した際の40℃での複素溶融粘度の値を読むことで得ることができる。
【0100】
本発明の樹脂組成物は、前記の通り、中構造体の屋根部分として使用することができる。特に、屋根部分として使用される際、樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜を熱硬化させた後での180℃でのクリープ変形量が、0.5%以上、2.5%以下であることが好ましい。クリープ変形量が、0.5%以上であると硬化膜の靭性が高く、本発明の硬化膜を中空構造の屋根構造として有する電子部品をモールド樹脂で封止した際に、屋根構造にクラックが発生することが抑えられ、電子部品の収率が向上する。一方、クリープ変形量が2.5%以下であると、モールド樹脂で封止した際に、モールド封止時の圧力で屋根構造の撓みが抑制され、中空構造部分を保持したままでの、モールド封止された電子部品の収率を向上することができる。
【0101】
前記樹脂組成物被膜を熱硬化させた後の180℃でのクリープ変形量の測定方法は、下記の通り実施することができる。まず、30μm厚みの樹脂組成物被膜が形成された樹脂組成物フィルムを銅箔の光沢面に熱圧着させる。その後、ベースフィルムを剥離したのち、必要に応じ露光機を用い露光をする。その後、イナートオーブンを用いて、180℃で1時間、加熱硬化をする。得られた硬化膜付き銅箔を塩化第二鉄溶液を用い、銅箔部分をエッチングすることで、樹脂組成物被膜の硬化膜を得る。次に、得られた硬化膜を8cm×1cmのサイズにカットする。その後、万能試験機を用い、得られた硬化膜サンプルを180℃下のチャンバーにセットし、6分間温度が安定するまで保持した後、チャック間隔5cm、5Nの一定荷重で引張荷重を加え、300秒後の変形量を読むことで、クリープ変形量を測定することができる。
【実施例0102】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
<パターン加工性の評価>
各実施例および比較例で作製した樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、該剥離面を、4インチのシリコンウェハ上に、真空ダイアフラム式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP-500/600)を用いて、上下熱盤温度80℃、真空引き時間20秒、真空プレス時間30秒、貼付圧力0.5MPaの条件でラミネートし、シリコンウェハ上に樹脂組成物フィルムを形成した。そして、支持体フィルムを剥離した後、露光装置にビアサイズが30μmφ、20μmφ、10μmφのパターンを有するマスクをセットし、マスクと感光性樹脂組成物フィルムの露光ギャップ100μmの条件下で、超高圧水銀灯を用いて、露光量1000mJ/cm2(i線換算、全波長露光)で露光を行った。露光後、ホットプレートで120℃、10分間、露光後加熱を行った。その後、ディップ現像にて、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液を用いて未露光部を除去し、水にてリンス処理をした。現像時間は、未露光部が完全に溶解した時間の2倍の時間とした。この様にして得られたパターンを、光学顕微鏡で観察し、パターンにツマリ等の異常のない場合の最小のサイズをパターン加工性の評価とした。また、パターンが全て溶解したものを0(不良)とした。
【0104】
<ガラス転移温度の評価>
前記パターン加工性の評価方法と同様にして、基板をシリコンウェハから平面サイズが10cm×10cmの銅箔(CF-T9DA-SV-1、福田金属箔粉工業(株)製)に変更し、銅箔上に樹脂組成物フィルムを形成した。そして支持体フィルムを剥離した後、超高圧水銀灯を用いて、露光量1000mJ/cm2(i線換算、全波長露光)で露光を行った。露光後、ホットプレートで120℃、10分間、露光後加熱を行った。そして、イナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製、INL-60)を用いて、N2雰囲気下(酸素濃度20ppm以下)、室温から200℃まで60分かけて昇温したのち、200℃で60分間熱処理し、銅箔上に形成された樹脂組成物フィルムの硬化膜を得た。
【0105】
その後、銅箔上に形成された樹脂組成物フィルムを塩化第二鉄液で銅箔のみを溶解させ、水洗し、風乾させることによって、樹脂組成物フィルム単体の硬化膜を得た。得られた硬化膜を5mm×40mmサイズの試験片にカットし、動的粘弾性測定装置DVA-200(アイティー計測制御(株)製)を用いて、チャック間距離20mm、周波数1Hz、温度範囲室温~350℃、昇温速度5℃/分、測定ひずみ0.1%の条件で測定を実施し、貯蔵弾性率と損失弾性率の比を取ったtanδ=貯蔵弾性率/損失弾性率のピークトップの温度をガラス転移温度とした。また、上記パターン加工性の評価でパターンが溶解したもののガラス転移温度の評価は実施せず、0(不良)とした。
【0106】
<引張強度・引張伸度の評価>
前記ガラス転移温度の評価方法と同様にして、樹脂組成物フィルム単体の硬化膜を得た。得られた硬化膜を10mm×80mmサイズの試験片にカットし、万能試験機AG-Xplus((株)島津製作所製)、50Nのロードセルを用いて、室温下、チャック間距離50mm、引張速度50mm/分で引張試験を行い、引張強度(破断点応力)および引張伸度(破断点伸度)の測定を行った。測定は1検体につき10枚の試験片について行い、結果から上位5点の平均値を求めた。また、上記パターン加工性の評価でパターンが溶解したものの引張強度・引張伸度の評価は実施せず、0(不良)とした。
【0107】
各実施例および比較例で用いた化合物は以下の方法により合成した。
【0108】
合成例1 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)の合成
2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以降BAHFと呼ぶ)(18.3g、0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド(17.4g、0.3モル)に溶解させ、-15℃に冷却した。ここに3-ニトロベンゾイルクロリド(20.4g、0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、-15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色個体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
【0109】
得られた白色個体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセロソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム―炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)を得た。得られた個体はそのまま反応に使用した。
【0110】
【0111】
合成例2 ポリアミド(A-1)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF(29.30g、0.08モル)をγ―ブチロラクトン(以下、GBLとする)100gに添加し、室温で攪拌溶解した。その後、反応溶液の温度を-10~0℃に保ちながら、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド(29.52、0.1モル)を少量ずつ添加し、添加終了後室温まで昇温させ、3時間攪拌を続けた。次に、反応溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
【0112】
合成例3 ポリイミド(A-2)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF(29.30g、0.08モル)をGBL80gに添加し、120℃で攪拌溶解した。次に、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物(以下、TDA-100とする)(30.03g、0.1モル)をGBL20gとともに加えて、120℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して反応溶液を得た。次に、反応溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
【0113】
合成例4 ポリアミドイミド(A-3)の合成
乾燥窒素気流下、ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(31.43g、0.08モル)をGBL80gに添加し、120℃で攪拌した。次に、TDA-100(30.03g、0.1モル)をGBL20gとともに加えて、120℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して反応溶液を得た。次に、反応溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
【0114】
合成例5 ポリイミド(A-4)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF(25.64g、0.07モル)をGBL70gに添加し、120℃で攪拌溶解した。次に、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(38.44g、0.1モル)をGBL20gとともに加えて、120℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して反応溶液を得た。次に、反応溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
【0115】
実施例1
(A)成分として合成例2で得られたポリアミド(A-1)10g、(B)成分としてTEPIC-VL(商品名、日産化学(株)製)10g、(C)成分としてCPI-310B(商品名、サンアプロ(株)製)0.6g、シラン化合物としてKBM-403(商品名、信越化学工業(株)製)0.8gをGBLに溶解した。溶媒の添加量は、溶媒以外の添加物を固形分とし、固形分濃度が60重量%となるように調整した。その後、保留粒子径1μmのフィルターを用いて加圧ろ過し、樹脂組成物ワニスを得た。
【0116】
得られた樹脂組成物ワニスを、コンマロールコーターを用いて、厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、120℃で8分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ10μmのPPフィルムをラミネートし、樹脂組成物フィルムを得た。樹脂組成物フィルムの膜厚は25μmとなるように調整した。得られた樹脂組成物フィルムを用いて、前記のように、パターン加工性、ガラス転移温度、引張強度・引張伸度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0117】
実施例2~9
(A)~(C)成分および、その他成分を下記の構造の化合物に変更し、それらの混合比を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物フィルムを作製し、前記のように、パターン加工性、ガラス転移温度、引張強度・引張伸度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0118】
実施例10
実施例2と同様にして、樹脂組成物フィルムを作製し、前記のパターン加工性の評価において、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに、リンスの水をイソプロピルアルコールに変更した以外は同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0119】
比較例1
(A)~(C)成分および、その他成分を下記の構造の化合物に変更し、それらの混合比を表1に記載のように変更した以外は実施例9と同様にして、樹脂組成物フィルムを作製し、前記のように、パターン加工性、ガラス転移温度、引張強度・引張伸度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0120】
【0121】
【0122】
なお、各合成例、実施例および比較例で用いた化合物の構造を下記に示した。
【0123】
(A)高分子化合物
A-1:分子鎖末端がカルボン酸残基のポリアミド
A-2:分子鎖末端がカルボン酸残基のポリイミド
A-3:分子鎖末端がカルボン酸残基のポリアミドイミド
A-4:分子鎖末端がカルボン酸残基のポリイミド。
【0124】
(A)以外の高分子化合物
1007(BisA型フェノキシ樹脂、三菱化学(株)製)
(B)カチオン重合性化合物
TEPIC-VL(日産化学(株)製)、常温において液体、エポキシ当量=128g/eq.
PETG(昭和電工(株)製)、常温において液体、エポキシ当量=90g/eq.
BATG(昭和電工(株)製)、常温において液体、エポキシ当量=113g/eq.
【0125】
【0126】
(C)カチオン重合開始剤
CPI-210S(スルホニウム塩系光酸発生剤、サンアプロ(株)製)
CPI-310B(スルホニウム塩系光酸発生剤、サンアプロ(株)製)
シラン化合物
KBM-403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)。
【0127】
<重量減少率の評価>
各実施例および比較例で作製した樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、スパチュラを用いで樹脂組成物被膜を8~12mg取り出した。その後、熱重量測定装置TG/DTA6200((株)日立ハイテクサイエンス製)を用い、窒素ガスを100mL/分でパージした状態で、40℃で10分間保持した後の重量を基準とし、40℃から200℃へ10℃/分の昇温速度で昇温し、その後60分間保持した後の質量を読み取り、重量減少率を算出した。
【0128】
<溶融粘度>
各実施例および比較例で作製した樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、樹脂組成物フィルムの樹脂組成物被膜同士を対向させ、60℃にて熱圧着し、積層された樹脂組成物被膜(樹脂組成物被膜の積層体)を得る。次いで、樹脂組成物被膜の積層体のPETフィルムを剥離した樹脂組成物被膜の積層体と、樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離した樹脂組成物被膜を対向させ、上記のように熱圧着し、樹脂組成物被膜の積層体を得る。その後、上記操作を繰り返し、樹脂組成物被膜の積層体の厚みを600~700μm厚みまで積層した。次に、樹脂組成物被膜の積層体を用い、レオメーターMCR302((株)アントンパール製)にて、直径15mmのディスポーザブルパラレルプレートを用い、周波数0.2Hz、ひずみ量1.0%、30℃から80℃まで昇温速度2℃/分にて昇温測定した際の40℃での複素溶融粘度の値を読みとった。
【0129】
<クリープ変形量>
樹脂組成物被膜の厚みを30μmとした以外は、前記ガラス転移温度の評価方法と同様にして、樹脂組成物フィルム単体の硬化膜を得た。得られた硬化膜を得られた硬化膜を10mm×80mmサイズの試験片にカットし、万能試験機AG-Xplus((株)島津製作所製)、50Nのロードセルを用い、180℃下のチャンバーにセットし、6分間温度が安定するまで保持した後、チャック間隔5cm、5Nの一定荷重で引張荷重を加え、300秒後の変形量を読みとり、初期のチャック間隔からの変形量をクリープ変形量とした。
【0130】
実施例11~12
実施例2および実施例5の樹脂組成物フィルムを用い、前記のように重量減少率、溶融粘度、クリープ変形量の評価を行った。結果を表2に示す。
【0131】
比較例2
比較例1の樹脂組成物フィルムを用い、前記のように重量減少率、溶融粘度、クリープ変形量の評価を行った。結果を表1に示す。