IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特開2023-181295二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム
<>
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図1
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図2
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図3
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図4
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図5
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図6
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図7
  • 特開-二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181295
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20231214BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B66B11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180939
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2023505373の分割
【原出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】谷島 誠
(72)【発明者】
【氏名】井上 琢視
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】篠木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福井 智哉
(57)【要約】
【課題】システム全体における二酸化炭素の回収効率を維持することが可能な二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る二酸化炭素回収装置は、エレベータかご室の昇降路内であって、前記エレベータかご室の外側、または、カウンターウエイトの外側に配置される、通気性を有する容器と、前記容器に収容される、二酸化炭素を吸着する吸着剤と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかご室の昇降路内であって、前記エレベータかご室の外側、または、カウンターウエイトの外側に配置される、通気性を有する容器と、
前記容器に収容される、二酸化炭素を吸着する吸着剤と、を備える、二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記容器は、前記エレベータかご室の上側および下側の少なくとも一方に固定される、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記容器は、前記昇降路の内部に固定される、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
二酸化炭素を吸着する吸着剤を、エレベータかご室の昇降路内であって前記エレベータかご室の外側またはカウンターウエイトの外側に配置された、通気性を有する容器に充填する充填工程と、
前記エレベータかご室を昇降させることで、前記吸着剤と二酸化炭素を含んだ空気とを接触させて、二酸化炭素を前記吸着剤に吸着させる吸着工程と、
二酸化炭素を吸着した前記吸着剤を、前記容器から回収する回収工程と、を有する、二酸化炭素回収方法。
【請求項5】
前記充填工程において、前記エレベータかご室の積載率が50%となるように、前記容器に前記吸着剤を充填する、請求項4に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項6】
フロアから前記昇降路へと空気を搬送することで、前記昇降路内の二酸化炭素濃度を上昇させる高濃度化工程をさらに有する、請求項4または5に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収装置と、
前記エレベータかご室と、
前記カウンターウエイトと、
前記エレベータかご室の昇降を制御する制御盤と、を備える、二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記制御盤は、前記エレベータかご室の積載率が50%以下のときに、前記容器に前記吸着剤を充填させる、請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記制御盤は、
前記エレベータかご室の停止時間が閾値を超えたときに、前記エレベータかご室を昇降させる、請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
第2エレベータかご室と、
前記第2エレベータかご室の昇降を制御する第2制御盤と、をさらに備え、
前記第2制御盤は、前記制御盤と通信を行い、前記エレベータかご室が停止している場合に、前記第2エレベータかご室を昇降させる、請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
前記昇降路に設けられた換気口から、外気を前記昇降路内に取り込む、請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素を吸着可能な吸着剤を用いて、空気中の二酸化炭素を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-131166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸着剤に二酸化炭素が吸着すると、吸着剤の表面における空気の二酸化炭素濃度が、徐々に低下する。二酸化炭素濃度が低下すると、吸着剤による二酸化炭素の回収効率が低下する。したがって、二酸化炭素の回収効率を維持するためには、二酸化炭素濃度が低下してない空気を、継続して吸着剤に当てることが好ましい。しかしながら、例えば吸着剤に空気を当てるためだけの設備を設けると、その設備における電力の消費により、システム全体における実質的な二酸化炭素の回収効率が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、システム全体における二酸化炭素の回収効率を維持することが可能な二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る二酸化炭素回収装置の一つの態様は、エレベータかご室の昇降路内であって、前記エレベータかご室の外側、または、カウンターウエイトの外側に配置される、通気性を有する容器と、前記容器に収容される、二酸化炭素を吸着する吸着剤と、を備える。
【0007】
本開示に係る二酸化炭素回収方法の一つの態様は、二酸化炭素を吸着する吸着剤を、エレベータかご室の昇降路内であって前記エレベータかご室の外側またはカウンターウエイトの外側に配置された、通気性を有する容器に充填する充填工程と、前記エレベータかご室を昇降させることで、前記吸着剤と二酸化炭素を含んだ空気とを接触させて、二酸化炭素を前記吸着剤に吸着させる吸着工程と、二酸化炭素を吸着した前記吸着剤を、前記容器から回収する回収工程と、を有する。
【0008】
本開示に係る二酸化炭素回収システムの一つの態様は、前記二酸化炭素回収装置と、前記エレベータかご室と、前記カウンターウエイトと、前記エレベータかご室の昇降を制御する制御盤と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、システム全体における二酸化炭素の回収効率を維持することが可能な二酸化炭素回収装置、二酸化炭素回収方法、および二酸化炭素回収システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図2】実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図3図2のA-A断面矢視図である。
図4】実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図5】エレベータ装置における積載率と消費電力との関係を示すグラフである。
図6】実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図7】実施の形態5に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図8】実施の形態6に係る二酸化炭素回収システムの構成の一部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における二酸化炭素回収装置および二酸化炭素回収システムを示す模式図である。
図1に示すように、二酸化炭素回収システム1は、二酸化炭素回収装置10と、エレベータ装置20と、を備えている。二酸化炭素回収システム1は、エレベータ装置20を備える建物Bに設けられている。
【0013】
エレベータ装置20は、エレベータかご室21、カウンターウエイト22、ロープ23、巻上機24、制御盤25、等を備えている。エレベータかご室21およびカウンターウエイト22は、建物Bが備える昇降路P内に配置されている。また、エレベータかご室21およびカウンターウエイト22は、昇降路P内で上昇および下降可能である。エレベータ装置20は乗客が乗り降りする種類であってもよいし、貨物専用であってもよい。
【0014】
エレベータかご室21およびカウンターウエイト22はそれぞれ、ロープ23の両端に固定されている。巻上機24はロープ23を送り出して、エレベータかご室21を昇降させる。制御盤25は、巻上機24と電気的に接続されている。図では制御盤25が巻上機24の近傍に配置されているが、制御盤25は巻上機24から離れて配置されていてもよい。制御盤25は、巻上機24によるロープ23の送り出しの長さ、速度、方向等を制御する。制御盤25の制御に基づき、エレベータかご室21は、建物Bが備える各フロアF間を移動したり、各フロアFで停止したりする。図では建物BのフロアFの数は3つであるが、フロアFの数は2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0015】
二酸化炭素回収装置10は、容器11と、吸着剤12と、を備えている。二酸化炭素回収装置10は、昇降路P内であって、エレベータかご室21の外側、または、カウンターウエイト22の外側に配置される。図1では、二酸化炭素回収装置10はエレベータかご室21の下側に固定されている。ただし、二酸化炭素回収装置10をカウンターウエイト22の上側または下側に固定してもよい。
【0016】
容器11は通気性を有している。このため、エレベータかご室21およびカウンターウエイト22が上下動すると、昇降路P内の空気が容器11内に入り込む。また、容器11内の空気が昇降路P内に排出される。つまり、エレベータかご室21およびカウンターウエイト22の上下動によって、容器11内の空気と昇降路P内の空気とを置換することができる。
【0017】
容器11は、吸着剤12を収容可能で、かつ通気性を有していればよい。例えば吸着剤12が粒状である場合には、吸着剤12の粒径よりも小さい複数の孔を、容器11に形成してもよい。容器11の全部あるいは一部がメッシュ状であってもよい。容器11の材質は適宜変更可能であるが、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。容器11として上記以外の構造も採用可能である。
【0018】
吸着剤12は、二酸化炭素を吸着可能な材質を含んでいる。二酸化炭素を吸着可能な材質としては、例えばアミン、ゼオライト、シリカゲル、珪藻土、アルミナ、活性炭等が挙げられる。上記のなかから複数の材質を選択して採用してもよいし、上記以外の材質を採用してもよい。吸着剤12は粒状(例えばビーズ状(球形)、ペレット状(円柱形))であってもよい。あるいは、粉状の吸着剤12を採用してもよい。この場合、粉状の吸着剤12を、基材の表面に担持させてもよい。基材は、例えばハニカム形状であってもよい。
【0019】
本実施の形態に係る二酸化炭素回収方法は、充填工程と、吸着工程と、回収工程と、を有する。
充填工程では、吸着剤12を容器11に充填する。
吸着工程では、エレベータかご室21を昇降させることで、二酸化炭素を含んだ空気と吸着剤12とを接触させて、吸着剤12に二酸化炭素を吸着させる。
回収工程では、二酸化炭素を吸着した吸着剤12を、容器11から回収する。
【0020】
なお、回収工程は、例えばエレベータ装置20の保守点検の際に実行してもよい。このとき、二酸化炭素を吸着した吸着剤12を容器11から取り出すとともに、新たな吸着剤12を容器11内に充填してもよい。あるいは、容器11ごと交換を行ってもよい。回収された吸着剤12から二酸化炭素を取り出し、この二酸化炭素を用いてメタン等を生成してもよい。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素回収装置10は、エレベータかご室21の昇降路P内であって、エレベータかご室21の外側、または、カウンターウエイト22の外側に配置される、通気性を有する容器11と、容器11に収容される、二酸化炭素を吸着する吸着剤12と、を備える。
【0022】
また、本実施の形態に係る二酸化炭素回収方法は、二酸化炭素を吸着する吸着剤12を、エレベータかご室21の昇降路P内であってエレベータかご室21の外側またはカウンターウエイト22の外側に配置された、通気性を有する容器11に充填する充填工程と、エレベータかご室21を昇降させることで、吸着剤12と二酸化炭素を含んだ空気とを接触させて、二酸化炭素を吸着剤12に吸着させる吸着工程と、二酸化炭素を吸着した吸着剤12を、容器11から回収する回収工程と、を有する。
【0023】
このような二酸化炭素回収装置10または二酸化炭素回収方法によれば、エレベータ装置20の稼働に伴って昇降路P内に生じる気流を用いて、容器11内の空気と昇降路P内の空気とを効率よく置換することができる。これにより、吸着剤12に触れることで二酸化炭素濃度が低下した空気を容器11から排出し、二酸化炭素濃度が低下していない空気を容器11内に取り込むことができる。したがって、二酸化炭素の回収効率を維持することが可能となる。また、例えば気流を生じさせるための専用の送風機などを利用する場合と比較して、省エネルギー化および低コスト化を図り、システム全体における二酸化炭素の回収効率を維持することができる。
【0024】
また、容器11は、エレベータかご室21の上側もしくは下側に固定されてもよい。この場合、エレベータかご室21の上下動に伴って、容器11に空気が当たりやすい。したがって、容器11内の空気と昇降路P内の空気とをより効率よく置換することが可能となり、二酸化炭素の回収効率を高めることができる。また、カウンターウエイト22に容器11を固定する場合と比較して、二酸化炭素回収装置10の設置面積を大きくできる。つまり、容器11に充填する吸着剤12の量を多くすることができるため、二酸化炭素の回収効率を高めることができる。容器11を、エレベータかご室21の上側および下側の両方に固定してもよい。かご室21の上下のみでなく、カウンターウエイト22の外側にも合わせて固定すると、さらに回収効率を高めることができる。
【0025】
ここで、例えばエレベータ装置20の稼働率が低い場合には、二酸化炭素回収装置10に風が当たる機会が減り、二酸化炭素の回収効率が低下することが考えられる。そこで、エレベータかご室21の停止時間が閾値を超えた場合に、使用者等が操作を行わなくても、エレベータかご室21を昇降させてもよい。この制御は、制御盤25が行ってもよいし、その他の制御機器が行ってもよい。閾値は適宜設定可能であるが、例えば10分としてもよい。
【0026】
このように、エレベータかご室21の停止時間が閾値を超えたときにエレベータかご室21を昇降させることで、エレベータ装置20の稼働率が低い状況においても、二酸化炭素回収装置10による二酸化炭素の回収効率を維持することができる。
【0027】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システムは、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
実施の形態1では、二酸化炭素回収装置10はエレベータかご室21またはカウンターウエイト22に固定され、エレベータ装置20の稼働に伴って上下動する。これに対して本実施の形態では、図2および図3に示すように、二酸化炭素回収装置10は昇降路Pの壁面に固定される。つまり、本実施の形態では、エレベータ装置20が稼働しても、二酸化炭素回収装置10は昇降路P内で静止したままである。
【0028】
図2図3の例では、昇降路P内の壁面P1に沿って、容器11が配置されている。そして、この容器11内に吸着剤12が充填されている。容器11は、複数のフロアFに跨るように配置されていてもよい。あるいは、複数の容器11が、フロアFごとに配置されていてもよい。
【0029】
本実施の形態のように、容器11が昇降路P内で固定されている場合、エレベータ装置20が稼働したときに昇降路P内で生じる気流が、静止した容器11に当たる。この気流によって、容器11内の空気と昇降路P内の空気とを置換することができる。そして、容器11の容積および容器11に充填される吸着剤12の量を増やすことができる。したがって、二酸化炭素の回収効率をより高めることができる。
【0030】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システムは、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
図4に示すように、本実施の形態では、建物Bに分離装置b1およびメタネーションシステムb2が設けられている。
【0031】
分離装置b1は、吸着剤12から二酸化炭素を分離する機能を有する。分離装置b1は、加熱器を備え、吸着剤12を加熱(例えば60~120℃)することで、二酸化炭素を分離させてもよい。加熱温度は、吸着剤12の具体的な材質によって適宜変更してもよい。あるいは分離装置b1は、真空ポンプを備え、吸着剤12を減圧条件下に置くことで、二酸化炭素を分離させてもよい。
【0032】
メタネーションシステムb2は、二酸化炭素、水、電力等を用いてメタンを生成する機能を有する。メタネーションシステムb2は、再生可能エネルギー(例えば太陽光等)を用いて生成された電力を用いて、メタンを生成してもよい。建物Bには、メタネーションシステムb2を稼働させるための太陽電池などが設けられてもよい。
【0033】
本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1は、以下のように、吸着剤12を循環させる。
まず、昇降路P内で、吸着剤12に二酸化炭素を吸着させる。
次に、容器11から分離装置b1まで吸着剤12を搬送する。
次に、分離装置b1によって、吸着剤12から二酸化炭素を分離させる。
次に、分離した二酸化炭素をメタネーションシステムb2に搬送し、メタネーションシステムb2においてメタンを生成する。
次に、二酸化炭素を分離した吸着剤12を、容器11まで搬送し、容器11内に充填する。
なお、二酸化炭素を分離後の吸着剤12を保管する貯留タンクを設けてもよい。この場合、上記した吸着剤12の循環を滞りなく行うことができる。
【0034】
ここで、吸着剤12を容器11に充填する際に、エレベータかご室21の積載率に応じて、容器11への吸着剤12の充填量を変化させてもよい。例えば、容器11への吸着剤12の充填量は、制御盤25が制御してもよい。エレベータかご室21の積載率は、以下の数式(1)により求められる。数式(1)において、Rは積載率(%)であり、x1はエレベータかご室21の重量であり、x2はエレベータかご室21内の積載重量であり、x3はエレベータかご室21に固定された二酸化炭素回収装置10の重量であり、nは許容重量である。
R=(x1+x2+x3)/n×100 …(1)
なお、(x1+x2+x3)の値は、例えばロープ23にかかる荷重を測定するセンサを用いて、取得することができる。制御盤25は、センサが測定したx1+x2+x3の値に基づいて、積載率Rを算出してもよい。
【0035】
図5は、積載率Rと、エレベータ装置20の消費電力と、の関係を示したグラフである。図5に示す通り、積載率Rが50%のときに、エレベータ装置20の消費電力は最小となる。したがって、積載率Rが50%以下である場合に、容器11に吸着剤12を充填し(つまりx3の値を増加させ)、積載率Rを50%に近づけてもよい。この場合、吸着剤12を容器11に充填することによって、エレベータ装置20の消費電力を低減することが可能となる。容器11への吸着剤12の充填量は、積載率Rが50%となるように制御されることが、より好ましい。
【0036】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システムは、基本的な構成は実施の形態3と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
図6に示すように、本実施の形態では、建物Bにブロワb3が設けられている。ブロワb3は各フロアFに設けられており、フロアF内の空気を昇降路P内に搬送する。フロアF内の空気の二酸化炭素濃度は、人間の呼吸に伴って上昇している場合が多い。このため、フロアF内の空気を昇降路P内に搬送することで、昇降路P内の二酸化炭素濃度を上昇させることができる。このように、昇降路P内の二酸化炭素濃度を上昇させる工程を、本明細書では「高濃度化工程」という。
【0037】
つまり、本実施の形態に係る二酸化炭素回収方法は、充填工程、吸着工程、および回収工程に加えて、高濃度化工程をさらに有する。高濃度化工程では、フロアFから昇降路Pへと空気を搬送することで、昇降路P内の二酸化炭素濃度を上昇させる。これにより、二酸化炭素回収装置10による二酸化炭素の回収効率を、さらに高めることが可能である。
なお、ブロワb3以外の手段を用いて、昇降路P内の二酸化炭素濃度を上昇させてもよい。
【0038】
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システムは、基本的な構成は実施の形態3と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
図7に示すように、本実施の形態では、昇降路Pに換気口A1、A2が設けられている。図7では換気口A1、A2の数は計2つであるが、この数は適宜変更可能であり、1つでも3つ以上でもよい。第1の換気口A1は昇降路Pの上端部に配置され、第2の換気口A2は昇降路Pの配置されている。
【0039】
二酸化炭素回収装置10による二酸化炭素の吸着が進むと、昇降路P内の空気の二酸化炭素濃度が徐々に低下する。二酸化炭素濃度が低下すると、二酸化炭素回収装置10による二酸化炭素の回収効率が低下する。そこで本実施の形態では、換気口A1,A2を通じて、外気を昇降路P内に取り込む。これにより、昇降路P内の二酸化炭素濃度を、外気と同等まで回復させることができ、二酸化炭素の回収効率の低下を抑制することができる。
なお、換気口A1、A2は単なる開口であってもよい。また、換気口A1,A2に換気扇を配置して、外気を積極的に昇降路P内に流入させてもよい。換気口A1,A2のうちの一方から外気を昇降路P内に取り込み、換気口A1,A2のうちの他方から昇降路P内の空気を排出してもよい。
【0040】
実施の形態6.
次に、実施の形態6に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。本実施の形態に係る二酸化炭素回収システムは、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
本実施の形態では、建物Bが複数のエレベータ装置20を備える場合について説明する。
【0041】
例えばビルまたは集合住宅のエレベータホールでは、エレベータの待ち時間を短縮するように、複数のエレベータ装置が並設されることが多い。待機しているエレベータ装置20が1台以上存在している場合は、その他のエレベータ装置20を二酸化炭素の回収のために稼働させても、乗客の待ち時間の増大を避けられる。つまり、乗客などを載せていない状態で、エレベータ装置20を稼働させることで、待機時間を有効活用して二酸化炭素を回収することができる。
【0042】
そこで、本実施の形態では、図8のような構成を採用する。すなわち、二酸化炭素回収システム1は、複数のエレベータ装置20、20Aを備えている。エレベータ装置20Aの構造は、エレベータ装置20と同様であってもよい。エレベータ装置20Aは、エレベータかご室21Aと、巻上機24Aと、制御盤25Aと、を含む。制御盤25Aは、巻上機24Aを制御して、エレベータかご室21Aを昇降させる。また、制御盤25と制御盤25Aとの間では通信が行われ、相互の運転状況が共有される。エレベータかご室21Aには、実施の形態1における第1エレベータかご室21と同様に、二酸化炭素回収装置10が固定されてもよい。あるいは、エレベータかご室21、21Aが共通の昇降路P内に配置され、実施の形態2と同様に、昇降路Pの内部に二酸化炭素回収装置10が固定されてもよい。
【0043】
制御盤25、25Aは、互いに通信を行い、エレベータかご室21、21Aのうち一方が停止している場合に、他方を昇降させる。例えば、エレベータかご室21が停止している場合には、エレベータかご室21Aを昇降させる。エレベータかご室21Aの昇降に伴って、二酸化炭素回収装置10に風が当たるため、吸着剤12による二酸化炭素の回収を促進することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の二酸化炭素回収システム1は、複数のエレベータかご室(第1エレベータかご室21、第2エレベータかご室21A)および複数の制御盤(第1制御盤25、第2制御盤25A)を備えている。制御盤25Aは、制御盤25と通信を行い、エレベータかご室21が停止している場合に、エレベータかご室21Aを昇降させる。この構成によれば、乗客の待ち時間の増大を避けつつ、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。3つ以上のエレベータ装置が並設されている場合にも、同様の制御を適用可能である。
【0045】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
例えば、実施の形態3において説明したメタネーションシステムb2に代えて、あるいはメタネーションシステムb2に加えて、二酸化炭素を貯留可能なボンベを設けてもよい。この場合、分離装置b1によって吸着剤12から分離された二酸化炭素を、ボンベに貯留しておくことができる。二酸化炭素を貯留したボンベを、他の場所(例えば工場等)に運搬して、二酸化炭素を使用してもよい。
【0047】
その他、上記した実施の形態あるいは変形例を、適宜組み合わせてもよい。
例えば、実施の形態2のように昇降路Pの内部に容器11が固定された二酸化炭素回収システム1において、実施の形態3で説明したように、吸着剤12を循環させてもよい。
【0048】
尚、上述した制御盤25は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した二酸化炭素回収システム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上述した制御盤25における処理を行ってもよい。また、制御盤25以外のハードウェアが、上述した処理を行ってもよい。
【0049】
ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS及び周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0050】
また、「コンピュータシステム」は、インターネット又はWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0051】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。尚、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に二酸化炭素回収システム1が備える各構成で合体される構成であってもよく、また、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…二酸化炭素回収システム 10…二酸化炭素回収装置 11…容器 12…吸着剤 21…エレベータかご室 21A…第2エレベータかご室 22…カウンターウエイト 25…制御盤 25A…第2制御盤 A1,A2…換気口 F…フロア P…昇降路 P1…壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8