(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181296
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】調光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20231214BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20231214BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231214BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1333
G02F1/1335
C03C27/12 N
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181242
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2019011496の分割
【原出願日】2019-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】石井 憲雄
(72)【発明者】
【氏名】面川 信之
(57)【要約】
【課題】面内で液晶を均一に分散させ、局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑制することが可能な、調光装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】調光装置10の製造方法は、第1ガラス板11を含む第1積層体50を準備する工程と、第2ガラス板12と第2中間膜14と調光セル20とを積層した第2積層体60を準備する工程と、第1積層体50と第2積層体60とを接着する工程と、を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ガラス板と第1中間膜とフィルムとを含む第1積層体と、
第2ガラス板と第2中間膜と調光セルとを積層した第2積層体と、を備え、
前記第1積層体と前記第2積層体とが、シール材によって互いに接着され、
前記第1積層体の前記フィルムと前記第2積層体の前記調光セルとの間に、樹脂層が設けられ、
前記樹脂層は、透明粘着樹脂であり、前記透明粘着樹脂は、OCRである、調光装置。
【請求項2】
前記樹脂層の厚さは、4μm以上200μm以下である、請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
第1ガラス板と第1中間膜と第1の光学フィルムとを含む第1積層体と、
第2ガラス板と第2中間膜と調光セルと光学透明粘着フィルムと第2の光学フィルムとを積層した第2積層体と、を備え、
前記第1積層体と前記第2積層体とが、シール材によって互いに接着され、
前記第1積層体の前記第1の光学フィルムと前記第2積層体の前記第2の光学フィルムとの間に、空隙層が形成され、
前記光学透明粘着フィルムは、OCAである、調光装置。
【請求項4】
前記第1の光学フィルム又は前記第2の光学フィルムは、アンチリフレクションフィルム又はモスアイフィルムである、請求項3に記載の調光装置。
【請求項5】
前記光学透明粘着フィルムの厚さは、50μm以上300μm以下である、請求項3又は4に記載の調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓等の透光部材と組み合わせて用いられ、外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光部材や、このような調光部材を用いた調光装置等が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような調光部材の1つに、液晶層を備える液晶フィルムが知られている。この液晶フィルムは、透明電極を含む透明な樹脂製の基材により液晶材料を挟持し、これをさらに直線偏光板により挟持する等して作成される。そして、液晶フィルムは、透明電極間に印加する電界を変化させることにより液晶の配向を変化させ、外来光の透過量を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6135816号公報
【特許文献2】特開2017-187810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液晶フィルムを自動車のルーフウィンドウ、サイドウィンドウ等に利用可能な調光部材とする場合には、液晶フィルムを、中間膜を介して一対のガラスで挟み、合わせガラスとすることが好適である。しかしながら、液晶フィルムを挟み込んだ合わせガラスでは、各部材を一体に圧着する際にその表面にかかる圧力が均一でない場合等、液晶の不均一な分布により、局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまり等が生じやすく、調光機能を有する合わせガラスとしての品質や外観が低下するという問題がある。
【0005】
本実施の形態は、面内で液晶を均一に分散させ、局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑制することが可能な、調光装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態による調光装置の製造方法は、第1ガラス板を含む第1積層体を準備する工程と、第2ガラス板と第2中間膜と調光セルとを積層した第2積層体を準備する工程と、前記第1積層体と前記第2積層体とを接着する工程と、を備えている。
【0007】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体と前記第2積層体とが、シール材によって接着されても良い。
【0008】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体の前記第1ガラス板と前記第2積層体の前記第2ガラス板とが、前記シール材によって接着されても良い。
【0009】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体は、第1中間膜をさらに含み、前記第1積層体の前記第1中間膜と前記第2積層体の前記第2中間膜とが、前記シール材によって接着されても良い。
【0010】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体は、第1中間膜とフィルムとをさらに含み、前記第1積層体の前記フィルムと前記第2積層体の前記第2中間膜とが、前記シール材によって接着されても良い。
【0011】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体は、第1中間膜とフィルムとをさらに含み、前記第1積層体の前記フィルムと前記第2積層体の前記調光セルとが、前記シール材によって接着されても良い。
【0012】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体と前記第2積層体との間に、液体層又は樹脂層が設けられても良い。
【0013】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体及び前記第2積層体の少なくとも一方は、光学フィルムを有しても良い。
【0014】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体と前記第2積層体とが、前記第1積層体及び前記第2積層体の外周に位置する外周シール材によって接着されても良い。
【0015】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体又は前記第2積層体は、光学透明粘着フィルムをさらに含み、前記第1積層体と前記第2積層体とが、前記光学透明粘着フィルムによって接着されても良い。
【0016】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体は、第1中間膜をさらに含み、前記第1中間膜は、前記第1ガラス板と前記光学透明粘着フィルムとの間に位置しても良い。
【0017】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記光学透明粘着フィルムは、前記第1ガラス板と前記調光セルとの間に位置しても良い。
【0018】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体又は前記第2積層体は、熱接着性樹脂層をさらに含み、前記第1積層体と前記第2積層体とが、前記熱接着性樹脂層によって接着されても良い。
【0019】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記第1積層体は、第1中間膜をさらに含み、前記第1中間膜は、前記第1ガラス板と前記熱接着性樹脂層との間に位置しても良い。
【0020】
本実施の形態による調光装置の製造方法において、前記熱接着性樹脂層は、前記第1ガラス板と前記調光セルとの間に位置しても良い。
【0021】
本実施の形態による調光装置は、第1ガラス板を含む第1積層体と、第2ガラス板と第2中間膜と調光セルとを積層した第2積層体と、を備え、前記第1積層体と前記第2積層体とが、シール材によって互いに接着され、前記第1積層体と前記第2積層体との間に、空隙層が形成されている。
【0022】
本実施の形態による調光装置は、第1ガラス板を含む第1積層体と、第2ガラス板と第2中間膜と調光セルとを積層した第2積層体と、を備え、前記第1積層体と前記第2積層体とが、前記第1積層体及び前記第2積層体の外周に位置する外周シール材によって互いに接着され、前記第1積層体と前記第2積層体との間に、空隙層が形成されている。
【0023】
本実施の形態による調光装置は、第1ガラス板を含む第1積層体と、第2ガラス板と第2中間膜と調光セルとを積層した第2積層体と、を備え、前記第1積層体又は前記第2積層体は、光学透明粘着フィルムをさらに含み、前記第1積層体と前記第2積層体とが、前記光学透明粘着フィルムによって互いに接着されている。
【0024】
本実施の形態による調光装置は、第1ガラス板を含む第1積層体と、第2ガラス板と第2中間膜と調光セルとを積層した第2積層体と、を備え、前記第1積層体又は前記第2積層体は、熱接着性樹脂層をさらに含み、前記第1積層体と前記第2積層体とが、前記熱接着性樹脂層によって互いに接着されている。
【発明の効果】
【0025】
本開示の実施の形態によれば、面内で液晶を均一に分散させ、局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による調光装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態による調光装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態による調光装置を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、調光セルの製造方法を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)-(c)は、調光セルの製造方法を示す断面図である。
【
図6】
図6(a)-(f)は、第1の実施の形態による調光装置の製造方法(前半)を示す断面図である。
【
図7】
図7(a)-(c)は、調光装置の作製後、調光セルの液晶だまりが解消する際の作用を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)-(c)は、第1の実施の形態による調光装置の製造方法(後半)を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態の第1の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態の第2の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態の第3の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第1の実施の形態の第4の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第1の実施の形態の第5の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第1の実施の形態の第6の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第2の実施の形態による調光装置を示す断面図である。
【
図16】
図16(a)-(d)は、第2の実施の形態による調光装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図17は、第2の実施の形態の第1の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図18】
図18は、第2の実施の形態の第2の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図19】
図19は、第2の実施の形態の第3の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図20】
図20は、第2の実施の形態の第4の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図21】
図21は、第3の実施の形態による調光装置を示す断面図である。
【
図22】
図22(a)-(d)は、第3の実施の形態による調光装置の製造方法を示す断面図である。
【
図23】
図23は、第3の実施の形態の第1の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図24】
図24は、第3の実施の形態の第2の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図25】
図25は、第4の実施の形態による調光装置を示す断面図である。
【
図26】
図26(a)-(d)は、第4の実施の形態による調光装置の製造方法を示す断面図である。
【
図27】
図27は、第4の実施の形態の第1の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図28】
図28は、第4の実施の形態の第2の変形例による調光装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
以下、
図1乃至
図14を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0028】
以下に説明する調光装置10は、光の透過率の調整が求められる様々な技術分野に応用可能であり、適用範囲は特に限定されない。調光装置10は、例えば、建築物の窓ガラスや、ショーケース、屋内の透明パーテーション、車両のウインドウ等の調光を図る部位(外光が入射する部位、例えば、フロントや、サイド、リア、ルーフ等のウインドウ)に配置され、建築物や車両等の内側への入射光の光量を制御することができる。
【0029】
なお以下に説明する調光装置10は、一実施の形態を例示しているに過ぎない。したがって例えば、調光装置10の構成要素として以下に挙げられている要素の一部が、他の要素に置換されてもよいし、含まれていなくてもよい。また以下に挙げられていない要素が、調光装置10の構成要素として含まれていてもよい。また図面中には、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺及び寸法比等を、実物のそれらから適宜変更又は誇張されている部分がある。
【0030】
(調光装置)
図1は、本実施の形態による調光装置(合わせガラス)10を示す図である。本実施の形態による調光装置10は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状により構成されており、
図1では、一例として、調光装置10が一方の面側に凸となる形状を有している。なお、調光装置10は、これに限らず、例えば、表面形状が平面状(すなわち、平板状)としてもよいし、その表面形状が曲面形状を有する2次元形状(例えば、円筒の一部を構成する形状)等としてもよい。ここで、3次元形状とは、単純な円筒面ではなく、平面を伸縮なしに変形させるだけでは構成できない曲面であり、単一の軸を中心として2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)とは区別されるものである。すなわち、3次元形状とは、互いに対して傾斜した複数の軸の各々を中心として、部分的に又は全体的に曲がっている面による形状である。また本明細書中、平面視とは、調光装置10の主たる面に対して垂直な方向から見た状態をいう。
【0031】
図1に示すように、本実施の形態による調光装置10は、第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とを備えている。第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とは、この順番で積層配置されている。この調光装置10は、後述するように、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33とを積層した第1積層体50と、第2ガラス板12と第2中間膜14と調光セル20とを積層した第2積層体60とを接着することにより作製されたものである。
【0032】
図2は、本実施の形態による調光装置10の層構成を示す断面図であり、
図3は、本実施の形態による調光装置10の層構成を示す分解斜視図である。なお、本実施の形態の調光装置10は、3次元形状の表面形状を有しているが、
図2及び
図3では、理解を容易にするために、調光装置10の表面形状が平面状である場合の図を示している。
【0033】
図2に示すように、調光装置10は、第1ガラス板11と、第2ガラス板12と、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配置された調光セル20とを備えている。このうち調光セル20は、第1基材24と第1透明電極25と第1配向層26とを含む第1セル積層体21と、第2基材27と第2透明電極28と第2配向層29とを含む第2セル積層体22と、第1セル積層体21と第2セル積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
【0034】
第1ガラス板(透明部材)11及び第2ガラス板(透明部材)12は、それぞれ、調光装置10の表裏面に配置され、高い透光性を有する板ガラスである。第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状であり、一方の面側に凸となる曲面形状を有する形状に予め形成されている(
図1参照)。この場合、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、第2ガラス板12側に対して第1ガラス板11側が凸状になるように形成されているが、これに限らず、第1ガラス板11側に対して第2ガラス板12側が凸状になるように形成されていても良い。また、本実施の形態では、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、厚さが1mm以上4mm以下であり、一例として、いずれも厚さ2mmの板ガラスを用いている。第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、無機ガラスでも良く、樹脂ガラスでも良い。樹脂ガラスとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル等を用いることができる。第1ガラス板11及び第2ガラス板12として無機ガラスを用いた場合、耐熱性、耐傷性に優れた調光装置10とすることができる。他方、第1ガラス板11及び第2ガラス板12として樹脂ガラスを用いた場合、調光装置10を軽量化することができる。さらに、第1ガラス板11及び第2ガラス板12には、必要に応じて、ハードコート等の表面処理がなされても良い。
【0035】
第1中間膜13は、第1ガラス板11と調光セル20とを接合させる部材である。同様に、第2中間膜14は、第2ガラス板12と調光セル20とを接合させる部材である。本実施の形態では、第1中間膜13及び第2中間膜14は、それぞれPVB(ポリビニルブチラール)樹脂製のシートを用いている。なお、第1中間膜13及び第2中間膜14の素材としては、上記PVBに限らす、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いてもよい。また、第1中間膜13及び第2中間膜14の厚さに関しても、その材料等に応じて適宜選択してよい。具体的には、第1中間膜13及び第2中間膜14の厚さは、300μm以上2.5mm以下としても良く、一例として厚さ760μmのものが用いられる。
【0036】
また、
図2及び
図3に示すように、第1積層体50及び第2積層体60は、シール材17により互いに接着されている。シール材17は、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の周縁内側に沿って設けられており、平面視で枠状ないしロ字形状(中央がくり抜かれた四角形形状)を有する。この場合、シール材17は、第1ガラス板11と第2ガラス板12とを互いに接着している。具体的には、シール材17は、第1ガラス板11の内側の面(第2ガラス板12側の面)と第2ガラス板12の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。このように、シール材17がガラス板同士を接着することにより、強い密着力を得ることができる。このシール材17により、第1積層体50と第2積層体60とが一体に接合される。シール材17は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。またシール材17としては、後述する調光セル20のシール材32と同一の材料を用いても良い。なお、
図1において、シール材17の表示を省略している。
【0037】
この場合、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、平面視で第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20よりも大きい。またシール材17は、断面視において、第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20の厚み部分に形成される。このシール材17は、平面視において第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20の周囲を取り囲むように形成され、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の形状から第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20の形状をくり抜いた平面形状を有する。これにより、調光装置10の側面からの水分等の侵入を抑止し、第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20への水分の浸透を抑制することができる。またシール材17は、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間であって、フィルム33(後述)及び空隙層G(後述)の周囲に相当する部分にも形成されている。シール材17の厚みは、第1中間膜13、フィルム33(後述)、空隙層G(後述)、調光セル20及び第2中間膜14の合計厚みに相当し、具体的には、1080μmよりも大きく、12000μm以下としても良い。なお、シール材17の幅W1(
図3)は、1mm以上10mm以下程度とすることが好ましい。
【0038】
調光セル20(調光フィルム、液晶フィルム)は、印加電圧を変化させることにより透過光の光量を制御することができるフィルムである。調光セル20は、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に挟持されるように配置されている。この調光セル20は、二色性色素を使用したゲストホスト型の液晶層を有しており、液晶に印加する電界により透過光量を変化させる部材である。調光セル20は、フィルム状の第1セル積層体21と、フィルム状の第2セル積層体22と、第1セル積層体21と第2セル積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
【0039】
図2に示すように、第1セル積層体21は、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とを積層して形成される。すなわち、第1中間膜13側から、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とがこの順番で積層配置されている。また第2セル積層体22は、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とを積層して形成される。すなわち、第2中間膜14側から、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とがこの順番で積層配置されている。
【0040】
さらに、第1セル積層体21と第2セル積層体22との間には、複数のビーズスペーサー31が配置されている。液晶層23は、第1セル積層体21及び第2セル積層体22の間において、複数のビーズスペーサー31の間に充填配置されている。複数のビーズスペーサー31は、それぞれ不規則的又は規則的に配置されていても良い。
【0041】
調光セル20は、この第1セル積層体21及び第2セル積層体22に設けられた第1透明電極25及び第2透明電極28の駆動により、液晶層23に設けられたゲストホスト液晶組成物による液晶材料の配向を変化させ、これにより透過光の光量を変化させるものである。
【0042】
第1基材24及び第2基材27は、透明な樹脂製であって、可撓性を有するフィルムを適用することができる。第1基材24及び第2基材27としては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380nm以上800nm以下)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明樹脂フィルムの材料としては、特に、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。また、第1基材24及び第2基材27として用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、その材料にもよるが、その透明樹脂フィルムが可撓性を有する範囲内で適宜選択することができる。第1基材24及び第2基材27の厚みは、それぞれ50μm以上200μm以下としても良い。本実施の形態では、第1基材24及び第2基材27の一例として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが適用される。
【0043】
第1透明電極25及び第2透明電極28は、それぞれ第1基材24及び第2基材27(透明樹脂フィルム)に積層される透明導電膜から構成されている。透明導電膜としては、この種の透明樹脂フィルムに適用される各種の透明電極材料を適用することができ、酸化物系の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。例えば、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が挙げられる。
【0044】
酸化錫(SnO2)系としてはネサ(酸化錫SnO2)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫が挙げられる。酸化インジウム(In2O3)系としては、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。酸化亜鉛(ZnO)系としては、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。本実施の形態では、第1透明電極25及び第2透明電極28を構成する透明導電膜は、ITOにより形成されている。
【0045】
ビーズスペーサー31は、液晶層23における外周部を除く部分の厚み(セルギャップ)を規定する部材である。本実施の形態では、ビーズスペーサー31として、球形状のビーズスペーサーを用いている。ビーズスペーサー31の直径は、1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上15μm以下の範囲としても良い。ビーズスペーサー31は、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用することができる。また、このビーズスペーサーは、球形状による構成の他、円柱形状、楕円柱形状、多角柱形状等のロッド形状により構成してもよい。またビーズスペーサー31は、透明部材により製造されるが、必要に応じて着色した材料を適用して色味を調整するようにしてもよい。
【0046】
なお、本実施の形態では、ビーズスペーサー31は、第2セル積層体22に設けられるが、これに限定されるものでなく、第1セル積層体21及び第2セル積層体22の両方、又は、第1セル積層体21にのみ設けられるようにしてもよい。また、ビーズスペーサー31は必ずしも設けられていなくてもよい。または、ビーズスペーサー31に代えて、あるいはビーズスペーサー31とともに、柱状のスペーサーを用いても良い。
【0047】
第1配向層26及び第2配向層29は、液晶層23に含まれる液晶分子群を所望方向に配向させるための部材である。第1配向層26及び第2配向層29は、光配向層により形成される。光配向層に適用可能な光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができ、例えば、光分解型、光二量化型、光異性化型等を挙げることができる。本実施の形態では、光二量化型の材料を使用する。光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。
【0048】
なお、光配向層に代えて、ラビング配向層を用いてもよい。ラビング配向層に関しては、ラビング処理を行わないものとしてもよいし、ラビング処理を行い、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。なお、本実施の形態では、調光セル20は、第1配向層26及び第2配向層29を備えているが、これに限らず、第1配向層26及び第2配向層29を備えない形態としてもよい。
【0049】
液晶層23には、ゲストホスト液晶組成物、二色性色素組成物を広く適用することができる。ゲストホスト液晶組成物にはカイラル剤を含有させるようにして、液晶材料を水平配向させた場合に液晶層23の厚み方向に螺旋形状に配向させるようにしてもよい。また、第1セル積層体21と第2セル積層体22との間において、液晶層23を取り囲むように、平面視で環状または枠状のシール材32が配置されている。このシール材32により、第1セル積層体21と第2セル積層体22とが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。シール材32は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。
【0050】
調光セル20は、この遮光時におけるゲストホスト液晶組成物の配向が電界印加時となるように、第1配向層26及び第2配向層29を、一定の方向にプレチルトに係る配向規制力を設定した垂直配向層により構成し、これによりノーマリークリアとして構成される。なお、この透光時の設定を電界印加時としてノーマリーダークとして構成してもよい。ここで、ノーマリーダークとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最小となり、黒い画面になる構造である。ノーマリークリアとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最大となり、透明となる構造である。
【0051】
なお、本実施の形態の調光セル20は、ゲストホスト型の液晶層23を備える例を示したが、これに限られるものではない。調光セル20は、二色性色素組成物を用いないTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等の液晶層23を備える構成としてもよい。このような液晶層23を備える場合、第1基材24及び第2基材27の表面にそれぞれ直線偏光層をさらに設けることで、調光フィルムとして機能させることができる。
【0052】
本実施の形態において、調光セル20と第1中間膜13との間に、フィルム33が配置されている。このフィルム33は、調光セル20の第1基材24と第1中間膜13との間に配置されており、第1中間膜13に対して接合されている。フィルム33は、透明な樹脂製であって、可撓性を有する樹脂フィルムであっても良い。フィルム33としては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380nm以上800nm以下)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。透明樹脂フィルムの材料としては、上述した第1基材24及び第2基材27に用いられる透明樹脂フィルムと同一のものを用いることができる。また、フィルム33の厚みは、その材料にもよるが、例えば50μm以上250μm以下としても良く、110μm以上140μm以下とすることが好ましい。また、フィルム33の平面形状は、第1中間膜13及び第2中間膜14の平面形状と略同一としても良い。さらに、フィルム33の平面形状は、調光セル20全体の平面形状と略同一であり、シール材32の内側に位置する液晶層23の平面形状よりも大きいことが好ましい。これにより、フィルム33が液晶層23の全体を覆うので、液晶層23の一部に局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を面内全域で抑制することができる。
【0053】
さらに、調光セル20とフィルム33との間に、空気層からなる空隙層Gが設けられている。この空隙層Gは、調光セル20の第1基材24とフィルム33との間の空間に形成される。すなわち調光セル20の第1基材24とフィルム33とは互いに接合されることなく、厚み方向に一定の間隔を空けて配置されている。この空隙層Gの厚みは、例えば0μmよりも大きく、10000μm以下であることが好ましい。空隙層Gの平面形状は、フィルム33の平面形状と略同一であっても良い。このように、調光セル20とフィルム33との間に空隙層Gが形成されることにより、調光セル20のセルギャップ不良が減少し、液晶層23の一部に局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑制することができる。また、調光セル20とフィルム33との間に空隙層Gが設けられることにより、調光装置10の断熱性が向上し、調光装置10を配置した車両や建物の保温性を高めることができる。なお、空隙層Gは、窒素等の不活性ガス等、空気以外の気体層であってもよい。また、調光セル20とフィルム33との間は、調光セル20とフィルム33とが平面視で重なる領域のすべてにおいて厚み方向に一定の間隔を空けて配置されている必要はなく、一部が互いに接合されていてもよい。
【0054】
図3に示すように、調光装置10は、調光コントローラ91に接続され、調光コントローラ91にはセンサ装置92及びユーザ操作部93が接続される。調光コントローラ91は、調光装置10の調光状態を制御し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、調光装置10における光の透過度を変えたりすることができる。具体的には、調光コントローラ91は、調光装置10の外部電極基板35に接続され、調光装置10の液晶層23に印加する電界を調整して液晶層23中の液晶分子の配向を変えることで、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。
【0055】
調光コントローラ91は、任意の手法に基づいて液晶層23に印加する電界を調整できる。調光コントローラ91は、例えばセンサ装置92の測定結果やユーザ操作部93を介してユーザにより入力される指示(コマンド)に応じて、液晶層23に印加する電界を調整し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。したがって調光コントローラ91は、液晶層23に印加する電界を、センサ装置92の測定結果に応じて自動的に調整してもよいし、ユーザ操作部93を介したユーザの指示に応じて手動的に調整してもよい。なおセンサ装置92による測定対象は特に限定されず、例えば使用環境の明るさを測定してもよく、この場合、調光装置10による光の遮断及び透過の切り換えや光の透過度の変更が使用環境の明るさに応じて行われる。また調光コントローラ91には、必ずしもセンサ装置92及びユーザ操作部93の両方が接続されている必要はなく、センサ装置92及びユーザ操作部93のうちのいずれか一方のみが接続されていてもよい。
【0056】
外部電極基板35は、第1セル積層体21と第2セル積層体22とによって挟持されている。外部電極基板35が形成される領域において、第1セル積層体21及び第2セル積層体22は、面方向外側に向けて突出する電極用突出片36を有している。外部電極基板35は、電極用突出片36の内部に埋め込まれている。なお、シール材17は、電極用突出片36上にも設けられていても良い。この場合、シール材17により電極用突出片36と第1ガラス板11とが接着されていても良い。
【0057】
(調光セルの製造方法)
次に、本実施の形態による調光装置10の調光セル20の製造方法について、
図4(a)-(d)及び
図5(a)-(c)を用いて説明する。
図4(a)-(d)及び
図5(a)-(c)は、本実施の形態による調光セル20の製造方法を示す断面図である。
【0058】
まず、
図4(a)に示すように、ロール状に供給された第2基材27を準備する。続いて、
図4(b)に示すように、スパッタリング装置を使用したスパッタリング等によって、第2基材27上に例えばITOからなる第2透明電極28を形成する。このとき、透明電極を所定のパターン形状となるようにパターンニングしてもよい。
【0059】
次に、
図4(c)に示すように、第2透明電極28を形成した第2基材27上に第2配向層29に係る塗工液を塗工した後、露光し、第2配向層29を作製する。このようにして、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とが積層された第2セル積層体22が準備される。
【0060】
なお、
図4(a)-(c)に示す工程と同様にして、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とが積層された第1セル積層体21も準備する。
【0061】
続いて、
図4(d)に示すように、第2セル積層体22の第2配向層29上に、ビーズスペーサー31を配置する。このビーズスペーサー31の配置は、湿式/乾式散布に加え、種々の配置方法を広く適用することができる。例えば、ビーズスペーサー31を樹脂成分と共に溶剤に分散して製造した塗工液を部分的に塗工した後、乾燥、焼成の処理を順次実行することにより、第2配向層29上にランダムにビーズスペーサー31を配置して移動困難に保持しても良い。なお、図示していないが、このビーズスペーサー31の外周が第2配向層29で覆われるようにしても良い。具体的には、第2配向層29に係る塗工液にビーズスペーサー31を混合させて第2配向層29を形成することにより、ビーズスペーサー31が第2配向層29に薄く覆われて保持される形態にすることができる。
【0062】
次に、
図5(a)に示すように、第2セル積層体22の第2配向層29上にディスペンサを使用してシール材32を塗布する。このシール材32は、液晶層23を作製する部位を取り囲むように枠形状に塗布される。
【0063】
次いで、
図5(b)(c)に示すように、第2セル積層体22と第1セル積層体21とを互いに積層し、液晶層23を配置する。この間、まず
図5(b)に示すように、シール材32によって囲まれた領域に液晶層23を構成する液晶を滴下する。このとき、液晶層23は、シール材32の内側であって、ビーズスペーサー31の周囲に充填される。
【0064】
続いて、
図5(c)に示すように、液晶層23を配置した第2セル積層体22と、予め準備した第1セル積層体21とを互いに積層して押圧する。その後、紫外線を照射することによりシール材32を半硬化させた後、加熱し、これにより第1セル積層体21と第2セル積層体22とを一体化する。その後、このようにして作製された第1セル積層体21と第2セル積層体22との積層体をトリミングすることにより所望の大きさに切断する。
【0065】
なお、上述したように、液晶層23を配置した後、第2セル積層体22と第1セル積層体21とを互いに積層することが好ましいが、これに限らず、第2セル積層体22と第1セル積層体21とを互いに積層した後、液晶層23を配置するようにしても良い。その後、第1セル積層体21と第2セル積層体22との間に外部電極基板35(
図3参照)を取り付けることにより、本実施の形態による調光セル20が得られる。
【0066】
(調光装置の製造方法)
次に、本実施の形態による調光装置10の製造方法について、
図6(a)-(f)、
図7(a)-(c)及び
図8(a)-(c)を用いて説明する。
図6(a)-(f)は、調光装置10の製造方法(前半)を示す断面図であり、
図7(a)-(c)は、調光セルの液晶だまりが解消する際の作用を示す断面図であり、
図8(a)-(c)は、調光装置10の製造方法(後半)を示す断面図である。
【0067】
まず、
図6(a)に示すように、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33とを積層した第1積層中間体50Aを準備する。このとき、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33とは互いに積層されているが、互いに接合されていない。また、第1ガラス板11は、平面視で第1中間膜13及びフィルム33よりも大きく、第1中間膜13及びフィルム33は、平面視で第1ガラス板11の内側に配置されている。ここで、第1ガラス板11は、予め、表面形状が3次元形状である曲面形状が賦形されている。
【0068】
次に、第1積層中間体50Aに対して合わせ加工を行う。ここで合わせ加工とは、合わせガラス加工に準じる、合わせガラス加工と略同様の加工方法であるが、ガラスが1枚だけしか含まない積層体に対して行われる加工をいう。具体的には、
図6(b)に示すように、第1積層中間体50Aをバッグ51に封入する。バッグ51は、可撓性及び気密性を有するゴム製やシリコン製が好適である。また、このバッグ51には、通気管52が接続されており、この通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引する。これにより、第1積層中間体50A間に残る空気を吸引し、第1積層中間体50A間に気泡等が残ることによる圧着不良を抑制できる。本実施の形態では、バッグ51内及び第1積層中間体50Aの各部材間が真空状態となるように吸引し、第1積層中間体50Aに対して差圧により大気圧程度(0.1MPa)の圧力がかかる例を挙げて説明する。しかしながら、これに限らず、例えば、不図示のポンプの吸引力を調整し、バッグ51内が完全に真空ではないが、第1積層中間体50Aの各部材間の空気が十分に吸引され、第1積層中間体50Aに対して、差圧により大気圧よりも小さい圧力がかかる状態としてもよい。
【0069】
続いて、
図6(c)に示すように、バッグ51に第1積層中間体50Aを封入した後、バッグ51ごと加熱・加圧装置53内へ配置する。続いて、所定の温度及び時間で、バッグ51ごと第1積層中間体50Aを加熱する。本実施の形態においては、第1中間膜13の軟化温度以上の温度で所定の時間、第1積層中間体50Aを加熱する。このとき、通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引することが好ましい。加熱・加圧装置53として使用する装置は、第1積層中間体50Aに対して十分に加熱や加圧が行えるのであれば特に限定しないが、例えば、オーブンやオートクレーブ用の装置等が挙げられる。この加熱により、第1中間膜13が溶融し、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が圧着されて一体に接合される。このようにして、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33とが互いに接合された第1積層体50が得られる。その後、第1積層体50を加熱・加圧装置53から取り出す。
【0070】
続いて、
図6(d)に示すように、調光セル20と第2中間膜14と第2ガラス板12とを積層した第2積層中間体60Aを準備する。このとき、調光セル20と第2中間膜14と第2ガラス板12とは互いに積層されているが、互いに接合されていない。また、第2ガラス板12は、平面視で調光セル20及び第2中間膜14よりも大きく、調光セル20及び第2中間膜14は、平面視で第2ガラス板12の内側に配置される。ここで、第2ガラス板12は、予め、表面形状が3次元形状である曲面形状が賦形されている。
【0071】
次に、第2積層中間体60Aに対して合わせ加工を行う。具体的には、
図6(e)に示すように、第2積層中間体60Aをバッグ51に封入し、バッグ51内及び第2積層中間体60Aの各部材間が真空状態となるように、バッグ51内の空気を吸引する。なお、この工程は、上述した第1積層中間体50Aの場合(
図6(b))と同様に行うことができる。
【0072】
続いて、
図6(f)に示すように、バッグ51に第2積層中間体60Aを封入した後、バッグ51ごと加熱・加圧装置53内へ配置し、加熱する。この加熱により、第2中間膜14が溶融し、第2積層中間体60Aの調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が圧着されて一体に接合される。このようにして、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60が得られる。その後、第2積層体60を加熱・加圧装置53から取り出す。なお、この工程は、上述した第1積層中間体50Aの場合(
図6(c))と同様に行うことができる。
【0073】
ところで、このようにして第2積層体60を合わせ加工により作製する間、第2積層体60の各部材には圧力が加わる。この際、スペーサー(ビーズスペーサー31)が位置する部分では、本来のセルギャップ(液晶層23の厚み)を維持しているが、ビーズスペーサー31から離れると、本来のセルギャップの値よりも小さくなる。そして、このようなセルギャップにムラが生じると、調光装置10に外観不良が生じたり、調光機能が不均一化になったりする等、その品質が低下するおそれがある。
【0074】
本実施の形態によれば、加熱・加圧装置53から取り出した後、第2積層体60の調光セル20が外方に露出するので、第2積層体60を常圧に戻したときに、調光セル20の液晶層23に加わる圧力が解放される。このため、調光セル20の液晶層23に偏在が存在していたとしても、この液晶層23の偏在が自然に解消される。すなわち、調光セル20の液晶層23に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じていた場合でも、液晶層23に加わる圧力が解放された際、調光セル20がセルギャップ(液晶層23の厚み)が均一になるように自然に移動する(
図7(a)-(c)参照)。これにより、調光セル20の液晶だまりが解消され、調光セル20の液晶層23を面内で均一に分布させることができ、調光装置10の品質や外観を高めることができる。
【0075】
なお、第1積層体50を作製する工程と第2積層体60を作製する工程の前後は問わない。
【0076】
続いて、
図8(a)-(c)に示すように、第1積層体50と第2積層体60とを互いに接着する。
【0077】
この場合、まず
図8(a)に示すように、第2積層体60を準備する。第2積層体60は、例えば上述した
図6(d)-(f)に示す工程によって作製されても良い。
【0078】
次に、
図8(b)に示すように、第2積層体60にシール材17を描画により塗布する。このシール材17は、第2ガラス板12の周縁内側に沿って塗布され、かつ第2中間膜14及び調光セル20よりも平面視で外側に形成される。このとき、シール材17の厚みは、第2中間膜14及び調光セル20の合計厚みよりも厚くなるように塗布される。
【0079】
続いて、
図8(c)に示すように、第1積層体50を準備する。第1積層体50は、例えば上述した
図6(a)-(c)に示す工程によって作製されても良い。その後、第1積層体50と第2積層体60とが、常圧・常圧でシール材17によって接着される。この間、第1積層体50のフィルム33が第2積層体60側を向くように配置し、第1積層体50と第2積層体60とを互いに位置決めする。次いで、第2積層体60に形成されたシール材17を第1積層体50の第1ガラス板11に密着させる。その後、シール材17を例えば紫外線(UV)及び熱によって硬化することにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このとき、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の調光セル20との間に、空気層からなる空隙層G(
図2参照)が設けられる。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、調光装置10が得られる。
【0080】
このように本実施の形態によれば、予め準備された第1積層体50と第2積層体60とをシール材17によって互いに接着することにより調光装置10を作製する。この際、合わせ加工によって作製された第2積層体60は、調光セル20が外方に露出している。これにより、調光セル20の液晶層23に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じていた場合でも、調光装置10の作製後、液晶層23に加わる圧力が解放された際、調光セル20がセルギャップ(液晶層23の厚み)が均一になるように自然に移動する(
図7(a)-(c)参照)。これにより、調光セル20の液晶だまりが解消され、調光セル20の液晶層23を面内で均一に分布させることができ、調光装置10の品質や外観を高めることができる。また、調光セル20に液晶だまりが生じにくくなっていることにより、第1中間膜13及び第2中間膜14を薄膜化することも容易となる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、調光セル20とフィルム33とを互いに重ねた状態で合わせガラス加工が行われることがない。このため、調光セル20とフィルム33との間の空隙層Gの厚み(ギャップ)を維持するために、フィルム33と第1基材24との間にスペーサー等を配置する必要もない。したがって、合わせガラス加工の際にフィルム33と第1基材24との間に配置されたスペーサーの形状が調光セル20に転写され、調光セル20に凹凸が生じるおそれもない。
【0082】
また、本実施の形態によれば、第1積層体50の第1ガラス板11と第2積層体60の第2ガラス板12とが、シール材17によって接着される。このように、シール材17がガラス板同士を接着することにより、これらの間に強い密着力を得ることができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20の周囲を取り囲むようにシール材17が形成されている。これにより、調光装置10の側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20に浸透することを抑止することができる。
【0084】
(第1の実施の形態の変形例)
次に、
図9乃至
図14を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図9乃至
図14は、それぞれ本実施の形態の変形例による調光装置を示す図である。
図9乃至
図14において、
図1乃至
図8に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
(第1の実施の形態の第1の変形例)
図9は、本実施の形態の第1の変形例による調光装置10Aを示している。
図9に示す調光装置10Aにおいて、第1積層体50の第1中間膜13と第2積層体60の第2中間膜14とが、シール材17によって接着されている。この場合、シール材17は、第1中間膜13の内側の面(第2ガラス板12側の面)と第2中間膜14の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11、第2ガラス板12、第1中間膜13及び第2中間膜14は、平面視でフィルム33及び調光セル20よりも大きい。シール材17は、断面視において、フィルム33、空隙層G及び調光セル20の厚み部分に形成されている。
【0086】
図9に示す調光装置10Aを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が互いに接合された第1積層体50を準備する。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する。その後、第2積層体60の第2中間膜14にシール材17を塗布し、このシール材17を第1積層体50の第1中間膜13に密着させ、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、
図9に示す調光装置10Aが得られる。
【0087】
本変形例によれば、調光装置10Aの側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が調光セル20に浸透することを抑止することができる。また
図9において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にも別途シール材17A(仮想線)を設けても良い。このシール材17Aは、上述したシール材17と同じ材料からなっても良く、異なる材料からなってもよい。この場合、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。
【0088】
(第1の実施の形態の第2の変形例)
図10は、第2の変形例による調光装置10Bを示している。
図10に示す調光装置10Bにおいて、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の第2中間膜14とが、シール材17によって接着されている。この場合、シール材17は、フィルム33の内側の面(第2ガラス板12側の面)と第2中間膜14の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11、第2ガラス板12、第1中間膜13、第2中間膜14及びフィルム33は、平面視で調光セル20よりも大きい。シール材17は、断面視において、空隙層G及び調光セル20の厚み部分に形成されている。
【0089】
図10に示す調光装置10Bを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が互いに接合された第1積層体50を準備する。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する。その後、第2積層体60の第2中間膜14にシール材17を塗布し、このシール材17を第1積層体50のフィルム33に密着させ、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、
図10に示す調光装置10Bが得られる。
【0090】
本変形例によれば、調光装置10Bの側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が調光セル20に浸透することを抑止することができる。また
図10において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にも別途シール材17A(仮想線)を設けても良い。このシール材17Aは、上述したシール材17と同じ材料からなっても良く、異なる材料からなってもよい。この場合、水分が第1中間膜13及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。
【0091】
(第1の実施の形態の第3の変形例)
図11は、第3の変形例による調光装置10Cを示している。
図11に示す調光装置10Cにおいて、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の調光セル20とが、シール材17によって接着されている。この場合、シール材17は、フィルム33の内側の面(第2ガラス板12側の面)と調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11、第2ガラス板12、第1中間膜13、第2中間膜14、フィルム33及び調光セル20は、平面視で略同一の形状を有している。シール材17は、断面視において、空隙層Gの厚み部分に形成されている。
【0092】
図11に示す調光装置10Cを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が互いに接合された第1積層体50を準備する。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する。その後、第2積層体60の調光セル20にシール材17を塗布し、このシール材17を第1積層体50のフィルム33に密着させ、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、
図11に示す調光装置10Cが得られる。
【0093】
図11において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にも別途シール材17A(仮想線)を設けても良い。このシール材17Aは、上述したシール材17と同じ材料からなっても良く、異なる材料からなってもよい。この場合、水分が第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20に浸透することを抑止することができる。
【0094】
(第1の実施の形態の第4の変形例)
図12は、第4の変形例による調光装置10Dを示している。
図12に示す調光装置10Dにおいて、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の調光セル20との間に、液体層Lが設けられている。この液体層Lは、調光セル20とフィルム33との間の空間に封入されている。液体層Lは、透明な液体からなっている。このような液体層Lとしては、例えばグリセリン等を用いることができる。液体層Lの厚さは、4μm以上200μm以下としても良い。
【0095】
図12に示す調光装置10Dを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が互いに接合された第1積層体50を準備する。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する。次いで、第2積層体60の調光セル20にシール材17を塗布し、液体層Lを第1積層体50と第2積層体60との間に充填する。その後、このシール材17を第1積層体50のフィルム33に密着させ、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、
図12に示す調光装置10Dが得られる。
【0096】
本変形例によれば、調光セル20とフィルム33との間に液体層Lを設けたことにより、調光セル20とフィルム33の間に空隙層Gが設けられている場合に生じうる、調光セル20と空隙層Gとの界面またはフィルム33と空隙層Gとの界面での光の反射を抑制することができる。
【0097】
(第1の実施の形態の第5の変形例)
図13は、第5の変形例による調光装置10Eを示している。
図13に示す調光装置10Eにおいて、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の調光セル20との間に、樹脂層56が設けられている。この樹脂層56は、調光セル20とフィルム33との間の空間に封入されている。このような樹脂層56としては、例えばOCR(Optical Clear Resin)と呼ばれる透明粘着樹脂、あるいは上述したシール材17と同一の樹脂であって透明なものを用いることができる。この樹脂層56の厚さは、4μm以上200μm以下としても良い。
【0098】
図13に示す調光装置10Eを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が互いに接合された第1積層体50を準備する。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する。次いで、第2積層体60の調光セル20にシール材17を塗布し、樹脂層56を第1積層体50と第2積層体60との間に充填する。その後、このシール材17を第1積層体50のフィルム33に密着させ、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、
図13に示す調光装置10Eが得られる。
【0099】
本変形例によれば、調光セル20とフィルム33との間に樹脂層56を設けたことにより、調光セル20とフィルム33の間に空隙層Gが設けられている場合に生じうる、調光セル20と空隙層Gとの界面またはフィルム33と空隙層Gとの界面での光の反射を低減することができる。また、低い加工難易度で樹脂層56を設けることができる。
【0100】
(第1の実施の形態の第6の変形例)
図14は、第6の変形例による調光装置10Fを示している。
図14に示す調光装置10Fにおいて、第1積層体50には、フィルム33に代えて光学フィルム37Aが設けられている。また、第2積層体60において、調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)に、光学透明粘着フィルム38を介して光学フィルム37Bが設けられている。このような光学フィルム37A、37Bとしては、例えば、アンチリフレクション(AR:Anti Reflection)フィルム又はモスアイフィルムを用いても良い。このうちアンチリフレクションフィルムは、反射光の干渉を利用して正反射を抑制するフィルムである。またモスアイフィルムは、反射光を低減する構造として、多数の微小突起が反射防止を図る光の波長域の最短波長以下の間隔で規則正しく配置されてなる凹凸構造を含む。これにより、入射光に対する屈折率を厚さ方向に連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることで、光の反射を防止することができる。光学フィルム37A、37Bの厚さは、30μm以上200μm以下としても良い。また光学透明粘着フィルム38は、例えばアクリル系粘着剤等の、OCA(Optical Clear Adhesive Film)と呼ばれる光学透明粘着フィルムを用いることができる。光学透明粘着フィルム38の厚さは、50μm以上300μm以下としても良い。なお、光学フィルム37A、37Bは、第1積層体50及び第2積層体60のいずれか一方のみに設けられていても良い。
【0101】
図14に示す調光装置10Fを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及び光学フィルム37Aが互いに接合された第1積層体50を準備する。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、光学フィルム37B、光学透明粘着フィルム38、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する。その後、第2積層体60の第2ガラス板12にシール材17を塗布し、このシール材17を第1積層体50の第1ガラス板11に密着させ、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とがシール材17によって接着され、
図14に示す調光装置10Fが得られる。
【0102】
本変形例によれば、第1積層体50と第2積層体60との間に光学フィルム37A、37Bを設けたことにより、調光装置10F内での界面反射を低減することができる。また、低い加工難易度で光学フィルム37A、37Bを設けることができる。
【0103】
(第2の実施の形態)
次に、
図15乃至
図20を参照して、第2の実施の形態について説明する。
図15乃至
図20は第2の実施の形態を示す図である。
図15乃至
図20に示す第2の実施の形態は、主としてシール材17に代えて外周シール材18を用いたものであり、他の構成は
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と略同様である。
図15乃至
図20において、
図1乃至
図8に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、以下においては、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0104】
図15に示すように、本実施の形態による調光装置10Gは、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33とを積層した第1積層体50と、第2ガラス板12と第2中間膜14と調光セル20とを積層した第2積層体60とを備えている。第1積層体50と第2積層体60とは、第1積層体50及び第2積層体60の外周に位置する外周シール材18によって接着されている。
【0105】
外周シール材18は、第1積層体50及び第2積層体60の周縁外側に沿って設けられており、平面視で枠状ないしロ字形状(中央がくり抜かれた四角形形状)を有する。この場合、外周シール材18は、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12を互いに接着している。この外周シール材18により、第1積層体50と第2積層体60とが一体に接合され、第1積層体50及び第2積層体60を構成する各層が互いに固定される。このような外周シール材18は、第1積層体50及び第2積層体60を重ねた後でシール塗工をすることができる。外周シール材18は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。また外周シール材18としては、上述したシール材17と同一の材料を用いても良い。
【0106】
図15において、第1ガラス板11、第2ガラス板12、第1中間膜13、第2中間膜14、フィルム33及び調光セル20は、平面視で略同一の形状を有していても良い。外周シール材18は、平面視において第1ガラス板11、第2ガラス板12、第1中間膜13、第2中間膜14、フィルム33及び調光セル20の周囲を取り囲むように形成される。これにより、調光装置10の側面からの水分等の侵入を抑止し、第1中間膜13、第2中間膜14及び調光セル20への水分の浸透を抑制することができる。外周シール材18の幅W2は、1mm以上10mm以下程度とすることが好ましい。なお、外周シール材18を塗布する際に空隙層Gの厚みを確保するため、空隙層Gの周縁内側に所定の厚みをもつ土手部61(仮想線)を設けても良い。このような土手部61としては、例えばUV硬化樹脂材料を用いることができる。
【0107】
図15に示す調光装置10Gを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13及びフィルム33が互いに接合された第1積層体50を準備する(
図16(a))。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する(
図16(b))。続いて、第1積層体50と第2積層体60を常圧で積層する(
図16(c))。その後、常圧で第1積層体50及び第2積層体60の外周に外周シール材18を塗布し、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される(
図16(d))。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが外周シール材18によって接着され、
図15に示す調光装置10Gが得られる。
【0108】
本実施の形態によれば、予め準備された第1積層体50と第2積層体60とを外周シール材18によって互いに接着することにより調光装置10Gを作製する。この際、合わせ加工によって作製された第2積層体60は、調光セル20が外方に露出している。これにより、調光セル20の液晶層23に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じていた場合でも、調光装置10Gの作製後、液晶層23に加わる圧力が解放された際、調光セル20がセルギャップ(液晶層23の厚み)が均一になるように自然に移動する。これにより、調光セル20の液晶だまりが解消され、調光セル20の液晶層23を面内で均一に分布させることができ、調光装置10Gの品質や外観を高めることができる。また、調光セル20に液晶だまりが生じにくくなっていることにより、第1中間膜13及び第2中間膜14を薄膜化することも容易となる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、調光セル20とフィルム33とを互いに重ねた状態で合わせガラス加工が行われることがない。このため、調光セル20とフィルム33との間の空隙層Gの厚み(ギャップ)を維持するために、フィルム33と第1基材24との間にスペーサー等を配置する必要もない。したがって、合わせガラス加工の際にフィルム33と第1基材24との間に配置されたスペーサーの形状が調光セル20に転写され、調光セル20に凹凸が生じるおそれもない。
【0110】
(第2の実施の形態の変形例)
次に、
図17乃至
図20を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図17乃至
図20は、それぞれ本実施の形態の変形例による調光装置を示す図である。
図17乃至
図20において、
図1乃至
図16に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0111】
(第2の実施の形態の第1の変形例)
図17は、本実施の形態の第1の変形例による調光装置10Hを示している。
図17に示す調光装置10Hにおいて、外周シール材18は、第1積層体50及び第2積層体60の外周だけでなく、第1積層体50の第1ガラス板11と第2積層体60の第2ガラス板12との間にも設けられている。この場合、外周シール材18は、第1ガラス板11の内側の面(第2ガラス板12側の面)と第2ガラス板12の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、平面視で、第1中間膜13、フィルム33、調光セル20及び第2中間膜14よりも大きい。
【0112】
図17に示す調光装置10Hを作製する場合、まず上述した
図13(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図16(c)に示す工程と略同様に、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、第1積層体50及び第2積層体60の外周とともに、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間にも外周シール材18を塗布し、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが外周シール材18によって接着され、
図17に示す調光装置10Hが得られる。
【0113】
本変形例によれば、調光装置10Hの側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。また、外周シール材18がガラス板同士を接着することにより、強い密着力を得ることができる。
【0114】
(第2の実施の形態の第2の変形例)
図18は、本実施の形態の第2の変形例による調光装置10Iを示している。
図18に示す調光装置10Iにおいて、外周シール材18は、第1積層体50及び第2積層体60の外周だけでなく、第1積層体50の第1中間膜13と第2積層体60の第2中間膜14との間にも設けられている。この場合、外周シール材18は、第1中間膜13の内側の面(第2ガラス板12側の面)と第2中間膜14の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11、第1中間膜13、第2中間膜14及び第2ガラス板12は、平面視で、フィルム33及び調光セル20よりも大きい。
【0115】
図18に示す調光装置10Iを作製する場合、まず上述した
図16(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図16(c)に示す工程と略同様に、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、第1積層体50及び第2積層体60の外周とともに、第1中間膜13と第2中間膜14との間にも外周シール材18を塗布し、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが外周シール材18によって接着され、
図18に示す調光装置10Iが得られる。
【0116】
本変形例によれば、調光装置10Hの側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。
【0117】
(第2の実施の形態の第3の変形例)
図19は、本実施の形態の第3の変形例による調光装置10Jを示している。
図19に示す調光装置10Jにおいて、外周シール材18は、第1積層体50及び第2積層体60の外周だけでなく、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の第2中間膜14との間にも設けられている。この場合、外周シール材18は、フィルム33の内側の面(第2ガラス板12側の面)と第2中間膜14の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33、第2中間膜14及び第2ガラス板12は、平面視で、調光セル20よりも大きい。
【0118】
図19に示す調光装置10Jを作製する場合、まず上述した
図16(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図16(c)に示す工程と略同様に、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、第1積層体50及び第2積層体60の外周とともに、フィルム33と第2中間膜14との間にも外周シール材18を塗布し、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが外周シール材18によって接着され、
図19に示す調光装置10Jが得られる。
【0119】
本変形例によれば、調光装置10Jの側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。
【0120】
(第2の実施の形態の第4の変形例)
図20は、本実施の形態の第4の変形例による調光装置10Kを示している。
図20に示す調光装置10Kにおいて、外周シール材18は、第1積層体50及び第2積層体60の外周だけでなく、第1積層体50のフィルム33と第2積層体60の調光セル20との間にも設けられている。この場合、外周シール材18は、フィルム33の内側の面(第2ガラス板12側の面)と調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。また、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12は、平面視で互いに同一の形状を有している。
【0121】
図20に示す調光装置10Kを作製する場合、まず上述した
図16(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図16(c)に示す工程と略同様に、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、第1積層体50及び第2積層体60の外周とともに、フィルム33と調光セル20との間にも外周シール材18を塗布し、硬化させることにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが外周シール材18によって接着され、
図20に示す調光装置10Kが得られる。
【0122】
本変形例によれば、調光装置10Kの側面からの水分等の侵入を抑止し、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。
【0123】
(第3の実施の形態)
次に、
図21乃至
図24を参照して、第3の実施の形態について説明する。
図21乃至
図24は第3の実施の形態を示す図である。
図21乃至
図24に示す第3の実施の形態は、主としてシール材17に代えて光学透明粘着フィルム57を用いたものであり、他の構成は
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と略同様である。
図21乃至
図24において、
図1乃至
図8に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、以下においては、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0124】
図21に示すように、本実施の形態による調光装置10Lは、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33と光学透明粘着フィルム57とを積層した第1積層体50と、第2ガラス板12と第2中間膜14と調光セル20とを積層した第2積層体60とを備えている。第1積層体50と第2積層体60とは、第1積層体50の光学透明粘着フィルム57によって接着されている。
【0125】
光学透明粘着フィルム57は、フィルム33の内面側(第2ガラス板12側)に設けられている。この光学透明粘着フィルム57により、第1積層体50と第2積層体60とが一体に接合され、第1積層体50及び第2積層体60を構成する各層が互いに固定される。このように、光学透明粘着フィルム57が第1積層体50及び第2積層体60を接着することにより、シール塗工工程を不要とすることができる。光学透明粘着フィルム57は、例えばアクリル系粘着剤等の、OCAと呼ばれる光学透明粘着フィルムを用いることができる。この光学透明粘着フィルム57は、基材を含まず、膜厚が略一定の粘着剤のみによって構成可能である。光学透明粘着フィルム57は、剥離性に優れたセパレーター(剥離材)58(
図22(a)参照)によって粘着剤を挟み込むことで製造され、粘着剤及びセパレーター58の積層体を所望形状に切り出し、セパレーター58を取り除くことによって所望箇所に光学透明粘着フィルム57を貼り付けることができる。また、光学透明粘着フィルム57の粘着剤としては、例えばアクリル系、シリコン系、ウレタン系粘着剤を用いても良い。
【0126】
図21において、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33、光学透明粘着フィルム57、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12は、平面視で略同一の形状を有している。光学透明粘着フィルム57の厚みは、50μm以上300μm以下程度としても良い。なお、
図21において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にシール材17A(仮想線)を設けても良い。この場合、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。なお、本実施の形態において、光学透明粘着フィルム57が第1積層体50に含まれる場合を例にとって説明するが、光学透明粘着フィルム57は第2積層体60に含まれても良い。この場合、光学透明粘着フィルム57は、調光セル20の内面(第2ガラス板12側の面)に設けられていても良い。
【0127】
図21に示す調光装置10Lを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33及び光学透明粘着フィルム57が互いに接合された第1積層体50を準備する(
図22(a))。このとき、光学透明粘着フィルム57のフィルム33と反対側の面には、セパレーター(剥離材)58が設けられている。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する(
図22(b))。続いて、セパレーター58を剥離するとともに、第1積層体50と第2積層体60とを積層する(
図22(c))。その後、図示しない真空貼合装置を用いて、第1積層体50及び第2積層体60を真空状態で貼合することにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される(
図22(d))。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが光学透明粘着フィルム57によって接着され、
図21に示す調光装置10Lが得られる。
【0128】
本実施の形態によれば、予め準備された第1積層体50と第2積層体60とを光学透明粘着フィルム57によって互いに接着することにより調光装置10Lを作製する。この際、合わせ加工によって作製された第2積層体60は、調光セル20が外方に露出している。これにより、調光セル20の液晶層23に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じていた場合でも、調光装置10Lの作製後、液晶層23に加わる圧力が解放された際、調光セル20がセルギャップ(液晶層23の厚み)が均一になるように自然に移動する。これにより、調光セル20の液晶だまりが解消され、調光セル20の液晶層23を面内で均一に分布させることができ、調光装置10Lの品質や外観を高めることができる。また、調光セル20に液晶だまりが生じにくくなっていることにより、第1中間膜13及び第2中間膜14を薄膜化することも容易となる。
【0129】
また、本実施の形態によれば、調光セル20とフィルム33とを互いに重ねた状態で合わせガラス加工が行われることがない。このため、調光セル20とフィルム33との間の空隙層Gの厚み(ギャップ)を維持するために、フィルム33と第1基材24との間にスペーサー等を配置する必要もない。したがって、合わせガラス加工の際にフィルム33と第1基材24との間に配置されたスペーサーの形状が調光セル20に転写され、調光セル20に凹凸が生じるおそれもない。
【0130】
(第3の実施の形態の変形例)
次に、
図23及び
図24を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図23及び
図24は、それぞれ本実施の形態の変形例による調光装置を示す図である。
図23及び
図24において、
図1乃至
図22に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0131】
(第3の実施の形態の第1の変形例)
図23は、本実施の形態の第1の変形例による調光装置10Mを示している。
図23に示す調光装置10Mにおいて、フィルム33が設けられておらず、第1中間膜13は、第1ガラス板11と光学透明粘着フィルム57との間に位置している。この場合、光学透明粘着フィルム57は、第1中間膜13の内側の面(第2ガラス板12側の面)と調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。
【0132】
図23に示す調光装置10Mを作製する場合、まず上述した
図22(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図22(c)に示す工程と略同様に、セパレーター58を剥離するとともに、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、図示しない真空貼合装置を用いて、第1積層体50及び第2積層体60を真空状態で貼合することにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが光学透明粘着フィルム57によって接着され、
図23に示す調光装置10Mが得られる。
【0133】
本変形例によれば、フィルム33を設けないので、調光装置10Mの層構成を簡略化することができる。また、調光装置10Mの作成過程の第1積層体50を準備する工程において、第1中間膜13が外方に露出せず、第1中間膜13に光学透明粘着フィルム57が積層されるため、第1中間膜13の水分による劣化を抑制し、第1中間膜13の表面(第2積層体60側)を平坦にすることができる。なお、
図23において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にシール材17A(仮想線)を設けても良い。
【0134】
(第3の実施の形態の第2の変形例)
図24は、本実施の形態の第2の変形例による調光装置10Nを示している。
図24に示す調光装置10Nにおいて、フィルム33及び第1中間膜13が設けられておらず、光学透明粘着フィルム57は、第1ガラス板11と調光セル20との間に位置している。この場合、光学透明粘着フィルム57は、第1ガラス板11の内側の面(第2ガラス板12側の面)と調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。
【0135】
図24に示す調光装置10Nを作製する場合、まず上述した
図22(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図22(c)に示す工程と略同様に、セパレーター58を剥離するとともに、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、図示しない真空貼合装置を用いて、第1積層体50及び第2積層体60を真空状態で貼合することにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが光学透明粘着フィルム57によって接着され、
図24に示す調光装置10Nが得られる。
【0136】
本変形例によれば、フィルム33及び第1中間膜13を設けないので、調光装置10Nの層構成を簡略化することができる。なお、
図24において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にシール材17A(仮想線)を設けても良い。
【0137】
(第4の実施の形態)
次に、
図25乃至
図28を参照して、第4の実施の形態について説明する。
図25乃至
図28は第4の実施の形態を示す図である。
図25乃至
図28に示す第4の実施の形態は、主としてシール材17に代えて熱接着性樹脂層63を用いたものであり、他の構成は
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と略同様である。
図25乃至
図28において、
図1乃至
図8に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、以下においては、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0138】
図25に示すように、本実施の形態による調光装置10Pは、第1ガラス板11と第1中間膜13とフィルム33と熱接着性樹脂層63とを積層した第1積層体50と、第2ガラス板12と第2中間膜14と調光セル20とを積層した第2積層体60とを備えている。第1積層体50と第2積層体60とは、第1積層体50の熱接着性樹脂層63によって接着されている。
【0139】
熱接着性樹脂層63は、フィルム33の内面側(第2ガラス板12側)に設けられている。この熱接着性樹脂層63により、第1積層体50と第2積層体60とが一体に接合され、第1積層体50及び第2積層体60を構成する各層が互いに固定される。このように、熱接着性樹脂層63が第1積層体50及び第2積層体60を接着することにより、シール塗工工程を不要とすることができる。熱接着性樹脂層63は、その融点が100℃以下、好ましくは80℃以上90℃以下の透明な樹脂材料から構成されている。このような熱接着性樹脂層63の材料としては、例えば熱接着性のエチレン・酢酸ビニル共重合体系樹脂(東ソー株式会社製、製品名:メルセンG(登録商標))が使用されてもよい。
【0140】
図25において、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33、熱接着性樹脂層63、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12は、平面視で略同一の形状を有している。熱接着性樹脂層63の厚みは、150μm以上400μm以下程度とすることが好ましい。なお、
図25において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にシール材17A(仮想線)を設けても良い。この場合、水分が第1中間膜13、調光セル20及び第2中間膜14に浸透することを抑止することができる。なお、本実施の形態において、熱接着性樹脂層63が第1積層体50に含まれる場合を例にとって説明するが、熱接着性樹脂層63は第2積層体60に含まれても良い。この場合、熱接着性樹脂層63は、調光セル20の内面(第2ガラス板12側の面)に設けられていても良い。
【0141】
図25に示す調光装置10Pを作製する場合、まず上述した
図6(a)-(c)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1ガラス板11、第1中間膜13、フィルム33及び熱接着性樹脂層63が互いに接合された第1積層体50を準備する(
図26(a))。また、上述した
図6(d)-(f)に示す工程と略同様の合わせ加工により、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が互いに接合された第2積層体60を準備する(
図26(b))。続いて、第1積層体50と第2積層体60とを積層する(
図26(c))。その後、図示しない真空バッグを用いて、第1積層体50及び第2積層体60を真空状態で貼合し、次いで、第1積層体50及び第2積層体60を熱接着性樹脂層63の融点(例えば100℃)以上の温度に加熱する。これにより、熱接着性樹脂層63が融解し、第1積層体50と第2積層体60とが接合される(
図26(d))。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが熱接着性樹脂層63によって接着され、
図25に示す調光装置10Pが得られる。
【0142】
本実施の形態によれば、予め準備された第1積層体50と第2積層体60とを熱接着性樹脂層63によって互いに接着することにより調光装置10Pを作製する。この際、合わせ加工によって作製された第2積層体60は、調光セル20が外方に露出している。これにより、調光セル20の液晶層23に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じていた場合でも、調光装置10Pの作製後、液晶層23に加わる圧力が解放された際、調光セル20がセルギャップ(液晶層23の厚み)が均一になるように自然に移動する。これにより、調光セル20の液晶だまりが解消され、調光セル20の液晶層23を面内で均一に分布させることができ、調光装置10Pの品質や外観を高めることができる。また、調光セル20に液晶だまりが生じにくくなっていることにより、第1中間膜13及び第2中間膜14を薄膜化することも容易となる。
【0143】
また、本実施の形態によれば、調光セル20とフィルム33とを互いに重ねた状態で合わせガラス加工が行われることがない。このため、調光セル20とフィルム33との間の空隙層Gの厚み(ギャップ)を維持するために、フィルム33と第1基材24との間にスペーサー等を配置する必要もない。したがって、合わせガラス加工の際にフィルム33と第1基材24との間に配置されたスペーサーの形状が調光セル20に転写され、調光セル20に凹凸が生じるおそれもない。
【0144】
(第4の実施の形態の変形例)
次に、
図27及び
図28を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図27及び
図28は、それぞれ本実施の形態の変形例による調光装置を示す図である。
図27及び
図28において、
図1乃至
図26に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0145】
(第4の実施の形態の第1の変形例)
図27は、本実施の形態の第1の変形例による調光装置10Qを示している。
図27に示す調光装置10Qにおいて、フィルム33が設けられておらず、第1中間膜13は、第1ガラス板11と熱接着性樹脂層63との間に位置している。この場合、熱接着性樹脂層63は、第1中間膜13の内側の面(第2ガラス板12側の面)と調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。
【0146】
図27に示す調光装置10Qを作製する場合、まず上述した
図26(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図26(c)に示す工程と略同様に、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、図示しない真空バッグを用いて、第1積層体50及び第2積層体60を真空状態で貼合し、次いでこれを加熱することにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが熱接着性樹脂層63によって接着され、
図27に示す調光装置10Qが得られる。
【0147】
本変形例によれば、フィルム33を設けないので、調光装置10Qの層構成を簡略化することができる。また、調光装置10Qの作成過程の第1積層体50を準備する工程において、第1中間膜13が外方に露出せず、第1中間膜13に熱接着性樹脂層63が積層されるため、第1中間膜13の水分による劣化を抑制し、第1中間膜13の表面(第2積層体60側)を平坦にすることができる。なお、
図27において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にシール材17A(仮想線)を設けても良い。
【0148】
(第4の実施の形態の第2の変形例)
図28は、本実施の形態の第2の変形例による調光装置10Rを示している。
図28に示す調光装置10Rにおいて、フィルム33及び第1中間膜13が設けられておらず、熱接着性樹脂層63は、第1ガラス板11と調光セル20との間に位置している。この場合、熱接着性樹脂層63は、第1ガラス板11の内側の面(第2ガラス板12側の面)と調光セル20の内側の面(第1ガラス板11側の面)とを接着している。
【0149】
図28に示す調光装置10Rを作製する場合、まず上述した
図26(a)、(b)に示す工程と略同様の合わせ加工により、第1積層体50及び第2積層体60をそれぞれ準備する。続いて、上述した
図26(c)に示す工程と略同様に、第1積層体50及び第2積層体60を重ね合わせる。その後、図示しない真空バッグを用いて、第1積層体50及び第2積層体60を真空状態で貼合し、次いでこれを加熱することにより、第1積層体50と第2積層体60とが接合される。このようにして、第1積層体50と第2積層体60とが熱接着性樹脂層63によって接着され、
図28に示す調光装置10Rが得られる。
【0150】
本変形例によれば、フィルム33及び第1中間膜13を設けないので、調光装置10Rの層構成を簡略化することができる。なお、
図28において、第1積層体50及び第2積層体60の外周にシール材17A(仮想線)を設けても良い。
【0151】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0152】
10、10A~10R 調光装置
11 第1ガラス板
12 第2ガラス板
13 第1中間膜
14 第2中間膜
17 シール材
18 外周シール材
20 調光セル
21 第1セル積層体
22 第2セル積層体
23 液晶層
24 第1基材
25 第1透明電極
26 第1配向層
27 第2基材
28 第2透明電極
29 第2配向層
31 ビーズスペーサー
32 シール材
33 フィルム
50 第1積層体
60 第2積層体