(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181298
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/38 20230101AFI20231214BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20231214BHJP
H10K 50/852 20230101ALI20231214BHJP
H10K 50/816 20230101ALI20231214BHJP
H10K 50/828 20230101ALI20231214BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H10K59/38
H10K59/35
H10K50/852
H10K50/816
H10K50/828
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 349B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181540
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2021170721の分割
【原出願日】2014-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2013100023
(32)【優先日】2013-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】石谷 哲二
(72)【発明者】
【氏名】中野 賢
(57)【要約】
【課題】外光の反射が抑制された新規な発光装置または発光パネルを提供する。または、
外光の反射が抑制された新規な表示パネルを提供する。
【解決手段】可視光領域の一の波長に極大を備えるスペクトルの光を射出する発光モジュ
ールと、一の波長より短い波長を有する光の一部および当該一の波長より長い波長を有す
る光の一部を当該一の波長を有する光より吸収する吸収層を有する発光装置の構成に想到
した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極上の発光性の第1の有機化合物を含む層と、
前記第1の有機化合物を含む層上の第2の電極と、を有し、赤色を呈する光を前記第2の電極上方の方向に射出する第1の発光素子と、
第3の電極と、
前記第3の電極上の発光性の第2の有機化合物を含む層と、
前記第2の有機化合物を含む層上の第4の電極と、を有し、緑色を呈する光を前記第4の電極上方の方向に射出する第2の発光素子と、
前記第2の電極上及び前記第4の電極上に共通して配置され、且つ、前記第2の電極及び前記第4の電極に接する吸収層と、
を有し、
前記第1の電極は、透光性の第1の導電膜と、前記第1の導電膜下に配置され、且つ、前記第1の導電膜に接する反射性の第2の導電膜と、を有し、
前記第3の電極は、透光性の第3の導電膜と、前記第3の導電膜下に配置され、且つ、前記第3の導電膜に接する反射性の第4の導電膜と、を有し、
前記第2の導電膜と前記第2の電極との間隔は、前記第4の導電膜と前記第4の電極との間隔とは異なり、
前記吸収層は、金属錯体系色素を含み、
前記緑色を呈する光は、第1の波長に極大を備え、
前記赤色を呈する光は、第2の波長に極大を備え、
前記吸収層は、少なくとも前記第1の波長より長く前記第2の波長より短い第3の波長と、前記第2の波長より長い第4の波長とに、吸収率のピークを有し、
前記第4の波長の吸収率は、前記第3の波長の吸収率より大きい、表示装置。
【請求項2】
第1の電極と、
前記第1の電極上の発光性の第1の有機化合物を含む層と、
前記第1の有機化合物を含む層上の第2の電極と、を有し、赤色を呈する光を前記第2の電極上方の方向に射出する第1の発光素子と、
第3の電極と、
前記第3の電極上の発光性の第2の有機化合物を含む層と、
前記第2の有機化合物を含む層上の第4の電極と、を有し、緑色を呈する光を前記第4の電極上方の方向に射出する第2の発光素子と、
前記第2の電極上及び前記第4の電極上に共通して配置され、且つ、前記第2の電極及び前記第4の電極に接する吸収層と、
を有し、
前記第1の電極は、透光性の第1の導電膜と、前記第1の導電膜下に配置され、且つ、前記第1の導電膜に接する反射性の第2の導電膜と、を有し、
前記第3の電極は、透光性の第3の導電膜と、前記第3の導電膜下に配置され、且つ、前記第3の導電膜に接する反射性の第4の導電膜と、を有し、
前記第2の導電膜と前記第2の電極との間隔は、前記第4の導電膜と前記第4の電極との間隔とは異なり、
前記吸収層は、金属錯体系色素と、樹脂とを含み、
前記緑色を呈する光は、第1の波長に極大を備え、
前記赤色を呈する光は、第2の波長に極大を備え、
前記吸収層は、少なくとも前記第1の波長より長く前記第2の波長より短い第3の波長と、前記第2の波長より長い第4の波長とに、吸収率のピークを有し、
前記第4の波長の吸収率は、前記第3の波長の吸収率より大きい、表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の発光素子は、前記第1の電極と前記第2の電極とを用いた微小共振器を備え、
前記第2の発光素子は、前記第3の電極と前記第4の電極とを用いた微小共振器を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に
、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、それらの駆動方法、
または、それらの製造方法に関する。特に、本発明は、発光装置、発光パネルまたは表示
パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の基板に設けられた第1の電極と、当該第1の電極との間に発光性の有機化合物を含
む層を挟持する第2の電極と、当該第2の電極上に液状の材料から形成された犠牲層と、
を第1の基板と第2の基板の間に有する構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様は、外光の反射が抑制された新規な発光装置または発光パネルを提供する
ことを課題の一とする。または、外光の反射が抑制された新規な表示パネルを提供するこ
とを課題の一とする。
【0005】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、吸収層と、吸収層が重なる導電膜と、導電膜と電気的に接続される発
光モジュールと、を有する発光装置である。そして、導電膜は可視光を反射し、発光モジ
ュールは可視光領域の一の波長に極大を備えるスペクトルの光を吸収層に向けて射出する
。また、吸収層は一の波長より短い波長を有する光の一部および一の波長より長い波長を
有する光の一部を一の波長を有する光より吸収する。
【0007】
また、本発明の一態様は、吸収層と、吸収層が重なる第1の導電膜および第2の導電膜と
、第1の導電膜と電気的に接続される第1の発光モジュールと、第2の導電膜と電気的に
接続される第2の発光モジュールと、を有する発光パネルである。そして、第1の導電膜
および第2の導電膜は可視光を反射する。また、第1の発光モジュールは可視光領域の第
1の波長に極大を備えるスペクトルの光を吸収層に向けて射出する。第2の発光モジュー
ルは可視光領域の第1の波長と異なる第2の波長に極大を備えるスペクトルの光を吸収層
に向けて射出する。また、吸収層は、第1の波長より短い波長を有する光の一部および第
1の波長より長い波長を有する光の一部を第1の波長を有する光より吸収し、且つ、第2
の波長より短い波長を有する光の一部および第2の波長より長い波長を有する光の一部を
、第2の波長を有する光より吸収する。
【0008】
上記本発明の一態様の発光パネルは、可視光領域の一の波長に極大を備えるスペクトルの
光を射出する発光モジュールと、一の波長より短い波長を有する光の一部および当該一の
波長より長い波長を有する光の一部を当該一の波長を有する光より吸収する吸収層を有す
る。
【0009】
これにより、発光パネルの外部から吸収層を通って反射性の導電膜に向かう外光の一部を
、反射性の導電膜に到達する前に吸収層を用いて吸収することができる。また、反射性の
導電膜に反射された光の一部を吸収層から射出される前に吸収層を用いて吸収することが
できる。そして、反射性の導電膜が反射する外光の強度を低減することができる。
【0010】
その結果、発光装置の使用者が、反射された外光と発光モジュールの発光を、区別できな
くなる現象を発生し難くすることができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、吸収層と、吸収層が重なる第1の導電膜乃至第3の導電膜と、
第1の導電膜と電気的に接続される第1の発光モジュールと、第2の導電膜と電気的に接
続される第2の発光モジュールと、第3の導電膜と電気的に接続される第3の発光モジュ
ールと、を有する表示パネルである。そして、第1の導電膜乃至第3の導電膜は可視光を
反射する。また、第1の発光モジュールは、可視光領域の第1の波長に極大を備えるスペ
クトルの光を吸収層に向けて射出し、第2の発光モジュールは、可視光領域の第1の波長
と異なる第2の波長に極大を備えるスペクトルの光を吸収層に向けて射出し、第3の発光
モジュールは、可視光領域の第1の波長および第2の波長と異なる第3の波長に極大を備
えるスペクトルの光を吸収層に向けて射出する。また、吸収層は、第1の波長より短い波
長を有する光の一部および第1の波長より長い波長を有する光の一部を第1の波長を有す
る光より吸収し、且つ、第2の波長より短い波長を有する光の一部および第2の波長より
長い波長を有する光の一部を第2の波長を有する光より吸収し、且つ、第3の波長より短
い波長を有する光の一部および第3の波長より長い波長を有する光の一部を第3の波長を
有する光より吸収する、表示パネルである。
【0012】
また、本発明の一態様は、吸収層が、第1の波長と第2の波長の間の波長を有する光の一
部を第1の波長を有する光および第2の波長を有する光より吸収する、上記の表示パネル
である。
【0013】
上記本発明の一態様の表示パネルは、第1の波長より短い波長を有する光の一部および第
1の波長より長い波長を有する光の一部を、第1の波長を有する光より吸収し易く、第2
の波長より短い波長を有する光の一部および第2の波長より長い波長を有する光の一部を
、第2の波長を有する光より吸収し易く、第1の波長と第2の波長の間の光の一部を、第
1の波長を有する光より吸収し易く、且つ第2の波長を有する光より吸収し易い、吸収層
を有する。
【0014】
その結果、表示のコントラストが外光の強い環境下において低減してしまう不具合の発生
を抑制することができる新規な表示パネルを提供することができる。または、副画素等の
規則的な構造物に設けられた発光モジュールに反射される光が互いに干渉し合う現象によ
り引き起こされる不具合(例えば干渉縞による模様が観察される現象等)の発生を抑制す
ることができる新規な表示パネルを提供することができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、第1の波長に極大を備えるスペクトルの第1の波長における強
度の半値幅が15nm以上35nm以下であり、且つ、第2の波長に極大を備えるスペク
トルの第2の波長における強度の半値幅が15nm以上95nm以下である上記の表示パ
ネルである。
【0016】
また、本発明の一態様は、第1の発光モジュールと第2の発光モジュールが、微小共振器
構造を備える上記の表示パネルである。
【0017】
上記本発明の一態様の表示パネルは、半値幅が狭いスペクトルの可視光を発する発光モジ
ュールを備える。これにより、発光モジュールが発する光が吸収層に吸収されてしまう現
象を低減できる。その結果、発光モジュールが発する光を効率よく取り出すことができる
新規な表示パネルを提供することができる。
【0018】
また、本発明の一態様は、第1の導電膜および第1の導電膜と電気的に接続される第1の
発光モジュールが200ppi以上1000ppi以下の精細度で繰り返し設けられる、
上記の表示パネルである。なお、ppi(pixels per inch)は、一の画
素が1インチあたりに出現する頻度を表す単位である。また、例えば3つの副画素が1つ
の画素を構成する場合、3つの副画素を1つの繰り返し単位と数える。
【0019】
上記本発明の一態様の表示パネルは、高い空間周波数で繰り返し配置される発光モジュー
ルと電気的に接続される導電膜が反射する光を吸収することができる吸収層を備える。こ
れにより、精細度の高い良好な画像を表示できるだけでなく、導電膜に反射される光が互
いに干渉し合う現象を発生し難くすることができる。その結果、干渉現象がもたらす煩わ
しい光(例えば干渉縞による模様)を低減することができる新規な表示パネルを提供する
ことができる。
【0020】
また、本発明の一態様は、吸収層が、第1の発光モジュール乃至第3の発光モジュールと
接し、且つ、1.4以上2.0以下の屈折率を備える上記の表示パネルである。
【0021】
これにより、発光モジュールが発する光が効率よく吸収層に進入する。その結果、発光モ
ジュールが発する光を効率よく取り出すことができる新規な表示パネルを提供することが
できる。
【0022】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すもの
とする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一
態様である。
【0023】
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マ
トリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲス
ト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても
良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
【0024】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイスもしくは光源(照明装置含む
)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible print
ed circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)
が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、ま
たは発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC
(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、外光の反射が抑制された新規な発光装置または発光パネルを提
供できる。または、外光の反射が抑制された新規な表示パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図4】実施の形態に係る表示パネルの画素を説明する図。
【
図5】実施の形態に係る発光装置および表示パネルに適用可能な発光素子を説明する図。
【
図7】実施例に係る吸収層の吸収スペクトルおよび発光モジュールの発光スペクトルを説明する図。
【
図8】実施例に係る表示パネルが反射する光の写真。
【
図9】実施例に係る吸収層の作製方法および外光の反射を評価する方法を説明する図。
【
図10】実施例に係る発光素子の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<本発明の一態様が解決することができる課題の例>
発光素子および光学素子を備える発光モジュール、発光モジュールを有する発光装置、お
よび複数の発光モジュールを有する表示パネルが知られている。このような発光装置は、
発光モジュールを駆動するための信号や電力を供給することができる導電膜を備える。
【0028】
金属は他の物質に比べて電気抵抗が低い。これにより、信号や電力を発光モジュールに供
給する配線に金属を用いると、発光装置の明るさのムラや消費電力を低減できる。
【0029】
また、金属を導電膜に用いると、導電膜は発光装置の外部から導電膜に向かう光を顕著に
反射する。これにより、発光装置の使用者が、反射された外光と発光モジュールの発光を
、区別できなくなる不具合が発生する。
【0030】
例えば、表示パネルを外光の強い環境下において使用する場合、表示パネルに表示される
表示のコントラストが、上述の現象により低減してしまう不具合が発生する。
【0031】
また、発光装置を用いる表示パネルは発光モジュールを副画素に備える。表示パネルは、
規則的に配置された副画素を備える。副画素等のように規則的に配置される構造物が反射
する光は互いに干渉し合う。これにより、煩わしい光(例えば干渉縞による模様)が観察
される等の不具合が発生する。
【0032】
<本発明の一態様>
以下に説明する実施の形態には、発光装置の外部から発光装置に進入する光の波長と、発
光装置が射出する光の波長に着眼して創作された本発明の一態様が含まれる。
【0033】
本発明の一態様の発光装置は、可視光領域の一の波長に極大を備えるスペクトルの光を射
出する発光モジュールと、一の波長より短い波長を有する光の一部および当該一の波長よ
り長い波長を有する光の一部を、当該一の波長を有する光より吸収する吸収層を有する。
【0034】
これにより、発光装置の外部から吸収層を通って反射性の導電膜に向かう外光の一部を、
導電膜に到達する前に吸収層を用いて吸収することができる。また、導電膜に反射された
光の一部を吸収層から発光装置の外部に射出される前に吸収層を用いて吸収することがで
きる。そして、反射性の導電膜が反射する外光の強度を低減することができる。
【0035】
その結果、発光装置の使用者が、反射された外光と発光モジュールの発光を、区別できな
くなる現象を発生し難くすることができる。
【0036】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置の構成について、
図1(A-1)および図
1(A-2)を参照しながら説明する。
【0038】
図1(A-1)は本発明の一態様の発光装置100の断面模式図であり、
図1(A-2)
は本発明の一態様の発光装置100が備える吸収層160の吸収スペクトルおよび第1の
発光モジュール180Rの発光スペクトルである。
図1(A-2)の横軸は光の波長を、
左の縦軸は吸収(吸光度ともいう)を、右の縦軸は光の相対強度をそれぞれ表す。
【0039】
本実施の形態で説明する発光装置は、吸収層160と、吸収層160が重なる第1の導電
膜125Rと、第1の導電膜125Rと電気的に接続される第1の発光モジュール180
Rと、を有する(
図1(A-1)参照)。なお、第1の発光モジュール180Rは図中に
示す矢印Rの方向に光を射出する。また、外光11が発光装置100に進入し第1の導電
膜125Rに反射される軌跡を、実線および破線の矢印を用いて、模式的に図示する。
【0040】
第1の導電膜125Rは可視光を反射する。
【0041】
第1の発光モジュール180Rは、可視光領域の波長λ(R)に極大を備えるスペクトル
180Em(R)の光を吸収層160に向けて射出する。なお、スペクトル180Em(
R)を一点鎖線で
図1(A-2)に示す。
【0042】
吸収層160は、波長λ(R)より短い波長を有する光の一部および波長λ(R)より長
い波長を有する光の一部を、波長λ(R)を有する光より吸収する。
【0043】
例えば、吸収層160の吸収スペクトル160Absは、波長λ(R)において吸収Ab
s(R)を備え、波長λ(R)より短い波長において吸収Abs(R)より大きい吸収A
bs(1)を備える。また、波長λ(R)より長い波長において吸収Abs(R)より大
きい吸収Abs(2)を備える。
【0044】
これにより、発光装置100の外部から吸収層160を通って反射性の第1の導電膜12
5Rに向かう外光11の一部を、第1の導電膜125Rに到達する前に吸収層160を用
いて吸収することができる。また、第1の導電膜125Rに反射された光の一部を吸収層
160から発光装置100の外部に射出される前に吸収層160を用いて吸収することが
できる。そして、第1の導電膜125Rが反射することにより外部に射出される、外光1
1に由来する光の強度を低減することができる。
【0045】
吸収層160は、波長λ(R)を有する光を波長λ(R)より短い波長を有する光の一部
より透過し易く、波長λ(R)より長い波長を有する光の一部より透過し易い。言い換え
ると、吸収層160は、第1の発光モジュール180Rが発する波長λ(R)を有する光
を吸収し難い。
【0046】
その結果、発光装置の使用者が、反射された外光11と第1の発光モジュール180Rの
発光を、区別できなくなる現象を発生し難くすることができる。
【0047】
また、本実施の形態で例示して説明する発光装置100は、基板110、基板110に対
向する対向基板170、基板110と対向基板170の間に第1の発光モジュール180
Rおよび吸収層160ならびに第1の発光モジュール180Rに電力を供給する配線を備
える。なお、第1の発光モジュール180Rおよび配線は基板110上に設けられ、吸収
層160は第1の発光モジュール180Rと対向基板170の間に設けられている。
【0048】
以下に、本発明の一態様の発光装置100を構成する個々の要素について説明する。
【0049】
《発光モジュール》
第1の発光モジュール180Rは、発光素子と光学素子を備える。適用することができる
発光素子としては、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンス素子等の他、様々な発光
素子を用いることができる。
【0050】
例えば、本実施の形態で例示する発光素子は下部電極151R、下部電極151Rと重な
る上部電極152および下部電極と上部電極に挟持される発光性の有機化合物を含む層1
53を備える。
【0051】
下部電極151Rは反射性の導電膜125Rに重ねて設けられ且つ下部電極151Rは導
電膜125Rと電気的に接続されている。言い換えると、反射性の導電膜125Rは下部
電極151Rに重なる部分および下部電極151Rに電気的に接続される部分を有する。
そして、反射性の導電膜125Rの下部電極151Rに重なる部分は第1の発光モジュー
ル180Rに含まれ、反射性の導電膜125Rの他の部分は配線を含む。なお、上部電極
152は図示されていない接続部を介して図示されていない他の配線と電気的に接続され
ている。発光素子は導電膜125Rと図示されていない他の配線から電力を供給される。
【0052】
なお、本実施の形態で例示する発光装置に適用可能な発光素子の一例を実施の形態3で詳
細に説明する。
【0053】
また、発光素子に重ねて光学素子を設けることができる。光学素子としては、微小共振器
等をその例に挙げることができる。
【0054】
例えば、半透過・半反射性の導電膜と反射性の導電膜を用いて微小共振器を構成し、その
間に発光素子を形成することにより、発光モジュールを構成できる。具体的には、下部電
極151Rを、透光性を有する導電膜を用いて反射性の導電膜125Rに重ねて形成し、
上部電極152を、半透過・半反射性の導電膜を用いて形成する。
【0055】
なお、下部電極151Rの厚さを用いて微小共振器の半透過・半反射性の導電膜と反射性
の導電膜の間隔を調整できる。微小共振器の間隔を調整することにより、微小共振器から
取り出す光の波長を調節することができる。また、微小共振器を用いることにより、半値
幅の狭いスペクトルの光を発光モジュールから取り出すことができる。
【0056】
《基板》
基板110に用いることができる基板は、製造工程に耐えられる程度の耐熱性および製造
装置に適用可能な厚さおよび大きさを備え、意図しない不純物の発光素子への拡散を防ぐ
ものであれば、特に限定されない。
【0057】
基板に用いることができる程度に意図しない不純物の拡散が抑制された基板は、組み合わ
せて用いられる発光素子に応じて決定されたガスバリア性を指標にして選択することがで
きる。具体的には、有機エレクトロルミネッセンス素子を発光素子に用いる場合は、水蒸
気の透過率が10-5g/m2・day以下、好ましくは10-6g/m2・day以下
である基板を用いることができる。
【0058】
基板に用いることができる構造は、単層構造、積層構造または繊維状若しくは粒子状の材
料を含む複合構造を有していても良い。例えば、厚さが1μm以上200μm未満のフィ
ルム状構造、厚さが0.1mm以上の板状構造等が挙げられる。
【0059】
基板に用いることができる程度に線膨張率が抑制された基板は、積層されて用いられる他
の層の線膨張率との差、作製工程中に加わる熱および許容されるカールに応じて選択する
ことができる。具体的には、線膨張率の範囲が1×10-3/K以下、好ましくは5×1
0-5/K以下、より好ましくは1×10-5/K以下である基板を用いることができる
。
【0060】
基板に用いることができる材料は、例えば、ガラス、セラミックス、金属、無機材料、ま
たは樹脂等が挙げられる。
【0061】
ガラスとしては、具体的には、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス若しく
はクリスタルガラス等を用いることができる。
【0062】
金属としては、SUSおよびアルミニウム等を用いることができる。なお、絶縁性の膜を
金属の表面に形成することにより、金属の表面を絶縁性にすることができる。
【0063】
無機材料としては、例えば金属酸化物、金属窒化物若しくは金属酸窒化物等を適用できる
。具体的には酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、アルミナ等を適用できる。
【0064】
樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート若しくはアクリル樹脂等を用いることができる。
【0065】
本実施の形態で例示する基板110は、基材110bおよび意図しない不純物の発光素子
への拡散を防ぐバリア膜110aの積層体である。具体的には、基材110bはガラス基
板であり、バリア膜110aは珪素および窒素を含む無機膜である。
【0066】
《対向基板》
対向基板170に適用可能な基板は、透光性を有するものであれば、基板110と同様の
基板を用いることができる。
【0067】
対向基板170の表面に用いることができる構造は、マイクロレンズおよび凹凸構造等が
挙げられる。これらの構造は、型押し法、真空成型法、ブラスト加工法、フロスト加工法
等を用いて形成することができる。また、凹凸があらかじめ形成されたフィルム等が積層
された基板を用いてもよい。
【0068】
これらの構造を対向基板170の発光素子側に設けることにより、発光素子が発する光は
、多様な角度で対向基板170に進入することができる。または、これらの構造を対向基
板170の光を取り出す側に設けることにより、発光素子が発する光は、対向基板170
から外部に多様な角度で射出される。これにより、界面で繰り返し全反射する条件を満た
すことが困難になる。その結果、発光素子が発する光を外部に取り出す効率を高めること
ができる。
【0069】
本実施の形態で例示する対向基板170は、無アルカリガラス基板である。
【0070】
《吸収層》
吸収層160は、色素を含む層である。色素は少なくとも可視光の一部を吸収する。例え
ば、金属錯体系色素または有機色素を用いることができる。
【0071】
具体的には、ポルフィリン系色素、クロロフィル系色素、フタロシアニン系色素、ナフタ
ロシアニン系色素、モノメチン系色素、ポリメチン系色素、シアニン系色素、ヘミシアニ
ン系色素、ストレプトシアニン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、オキ
ソノール系色素、ポリエン系色素、スチリル系色素、スチルベン系色素、アジン系色素、
オキサジン系色素、チアジン系色素、アゾメチン系色素、アゾ系色素、トリフェニルメタ
ン系色素、ピロニン系色素、フルオレッセイン系色素、ローダミン系色素、ウラニン系色
素、エオシン系色素、エリスロシン系色素、ローズベンガル系色素、マーキュロクロム系
色素、アクリジン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、クマリン系色素
、ジケトピロロピロール系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、キナクリドン系
色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、アントラセン系色素、ペリレン系色
素、ピレン系色素、ピリリウム系色素、ベンゾピラン系色素、ペリミジン系色素、キノキ
サリン系色素、ナフタルイミド系色素、デアザフラビン系色素、モーブ系色素、フルギド
系色素、プロシオン系色素、ベンゾジフラノン系色素、キサンテン系色素、トリフェニル
メタン系色素、フルオラン系色素、キノフタロン系色素、ナフトラクタム系色素、イミダ
ゾールアゾ系色素、トリシアノスチリル系色素、ベンゾチアゾールアゾ系色素、ベンゼン
アゾ系色素、ピラゾロトリアゾール系色素、イソチアゾールアゾ系色素およびピラゾロン
アゾメチン系色素等を、金属錯体系色素または有機色素の一例として挙げることができる
。
【0072】
また、吸収層160は、接着剤を含むことができる。接着剤を含む吸収層160は、対向
基板170を基板110に貼り合わせることができる。
【0073】
接着剤としては、樹脂を用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、
ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂若しくはアクリル樹脂等を、
樹脂の一例として挙げることができる。
【0074】
また、吸収層160は空気より高い屈折率を有する。特に1.4以上2.0以下の屈折率
を有すると好ましい。これにより、吸収層160は光学接合層を兼ね、発光モジュールが
発する光は、効率よく吸収層160に進入することができる。
【0075】
<変形例>
本実施の形態で例示する発光装置の変形例について、
図1(B-1)および
図1(B-2
)を参照しながら説明する。
【0076】
図1(B-1)は本発明の一態様の発光パネル100Bの断面模式図であり、
図1(B-
2)は本発明の一態様の発光パネル100Bが備える吸収層160の吸収スペクトルおよ
び発光モジュールの発光スペクトルである。
【0077】
本実施の形態の変形例で例示する発光パネル100Bは、発光モジュールを複数有する点
が、
図1(A-1)および
図1(A-2)を参照しながら説明する発光装置100と異な
る。よって、ここでは異なる部分について詳細に説明し、同様の構成を用いることができ
る部分は、
図1(A-1)および
図1(A-2)を用いてする説明を援用する。
【0078】
本実施の形態の変形例で例示して説明する発光パネル100Bは、吸収層160と、吸収
層160が重なる第1の導電膜125Rおよび第2の導電膜125Gと、第1の導電膜1
25Rと電気的に接続される第1の発光モジュール180Rおよび第2の導電膜125G
と電気的に接続される第2の発光モジュール180Gと、を有する(
図1(B-1)参照
)。
【0079】
第1の導電膜125Rおよび第2の導電膜125Gは可視光を反射する。
【0080】
第1の発光モジュール180Rは、可視光領域の第1の波長λ(R)に極大を備えるスペ
クトル180Em(R)の光を吸収層160に向けて射出する。また、第2の発光モジュ
ール180Gは、可視光領域の第1の波長λ(R)とは異なる第2の波長λ(G)に極大
を備えるスペクトル180Em(G)の光を吸収層160に向けて射出する。
【0081】
吸収層160は、第1の波長λ(R)より短い波長を有する光の一部および第1の波長λ
(R)より長い波長を有する光の一部を第1の波長λ(R)を有する光より吸収する。
【0082】
加えて吸収層160は、第2の波長λ(G)より短い波長を有する光の一部および第2の
波長λ(G)より長い波長を有する光の一部を第2の波長λ(G)を有する光より吸収す
る。
【0083】
例えば、吸収層160の吸収スペクトル160Absは、波長λ(R)において吸収Ab
s(R)を備え、波長λ(R)より短い波長において吸収Abs(R)より大きい吸収A
bs(4)を備える。また、波長λ(R)より長い波長において吸収Abs(R)より大
きい吸収Abs(5)を備える。
【0084】
また、波長λ(G)において吸収Abs(G)を備え、波長λ(G)より短い波長におい
て吸収Abs(G)より大きい吸収Abs(3)を備える。また、波長λ(G)より長い
波長において吸収Abs(G)より大きい吸収Abs(5)を備える。
【0085】
本実施の形態の変形例で例示する発光パネル100Bは、可視光領域の第1の波長λ(R
)に極大を備えるスペクトル180Em(R)の光を射出する第1の発光モジュール18
0Rと、可視光領域の第2の波長λ(G)に極大を備えるスペクトル180Em(G)の
光を射出する第2の発光モジュール180Gと、第1の波長λ(R)より短い波長を有す
る光の一部および第1の波長λ(R)より長い波長を有する光の一部を第1の波長λ(R
)を有する光より吸収し、第2の波長λ(G)より短い波長を有する光の一部および第2
の波長λ(G)より長い波長を有する光の一部を第2の波長λ(G)を有する光より吸収
する吸収層160を有する。
【0086】
これにより、発光パネル100Bの外部から吸収層160を通って反射性の第1の導電膜
125Rまたは第2の導電膜125Gに向かう外光11の一部を、第1の導電膜125R
または第2の導電膜125Gに到達する前に吸収層160を用いて吸収することができる
。また、第1の導電膜125Rまたは第2の導電膜125Gに反射された光の一部を吸収
層160から発光パネル100Bの外部に射出される前に吸収層160を用いて吸収する
ことができる。そして、第1の導電膜125Rまたは第2の導電膜125Gが反射するこ
とにより外部に射出される、外光11に由来する光の強度を低減することができる。
【0087】
吸収層160は、波長λ(R)を有する光を波長λ(R)より短い波長を有する光の一部
より透過し易く、波長λ(R)より長い波長を有する光の一部より透過し易い。また、吸
収層160は、波長λ(G)を有する光を波長λ(G)より短い波長を有する光の一部よ
り透過し易く、波長λ(G)より長い波長を有する光の一部より透過し易い。言い換える
と、吸収層160は、第1の発光モジュール180Rが発する波長λ(R)を有する光を
吸収し難く、第2の発光モジュール180Gが発する波長λ(G)を有する光を吸収し難
い。
【0088】
その結果、発光パネル100Bからの光が、外光11の反射に由来するものか第1の発光
モジュール180Rまたは第2の発光モジュール180Gの発光に由来するものかを区別
できなくなる現象を発生し難くすることができる。
【0089】
また、本実施の形態の変形例で例示して説明する発光パネル100Bは、第1の発光モジ
ュール180Rおよび第2の発光モジュール180Gが基板110上に設けられている他
は、本実施の形態で例示する発光装置100と同様の構成を備える。
【0090】
以下に、本実施の形態の変形例で例示して説明する発光パネル100Bを構成する要素の
うち、発光装置100に含まれていないものについて説明する。
【0091】
《発光モジュール》
第2の発光モジュール180Gを、第1の発光モジュール180Rが発する光のスペクト
ル180Em(R)と異なるスペクトル180Em(G)の光を発するようにする。
【0092】
例えば、第1の発光モジュール180Rと第2の発光モジュール180Gは、いずれも発
光素子と光学素子を備える。具体的には有機エレクトロルミネッセンス素子と微小共振器
を備える。特に、赤色を呈する光と緑色を呈する光を含む光を発する有機エレクトロルミ
ネッセンス素子をいずれも備える。
【0093】
そして、第1の下部電極151Rの厚さは、第1の発光モジュール180Rが発する光の
スペクトルが第1の波長λ(R)に極大を備えるスペクトル180Em(R)になるよう
に調整されている。
【0094】
また、第2の下部電極151Gの厚さは、第2の発光モジュール180Gが発する光のス
ペクトルが第2の波長λ(G)に極大を備えるスペクトル180Em(G)になるように
調整されている。
【0095】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルの構成について、
図2および
図3を参照
しながら説明する。
【0097】
図2(A)は本発明の一態様の表示パネルに適用可能な表示パネルの構造を説明する上面
図である。
【0098】
図2(B)は
図2(A)の切断線A-Bおよび切断線C-Dにおける断面図である。
【0099】
図2(C)は
図2(A)の切断線E-Fにおける断面図である。
【0100】
本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は(
図2(C)参照)、吸収
層260と、吸収層260が重なる第1の導電膜225R、第2の導電膜225Gおよび
第3の導電膜225Bと、第1の導電膜225Rと電気的に接続される第1の発光モジュ
ール280R、第2の導電膜225Gと電気的に接続される第2の発光モジュール280
Gおよび第3の導電膜225Bと電気的に接続される第3の発光モジュール280B、と
を有する。
【0101】
第1の導電膜225R、第2の導電膜225Gおよび第3の導電膜225Bは可視光を反
射する。
【0102】
第1の発光モジュール280Rは、可視光領域の第1の波長λ(R)に極大を備えるスペ
クトル280Em(R)の光を吸収層260に向けて射出する(
図3参照)。
【0103】
第2の発光モジュール280Gは、可視光領域の第2の波長λ(G)に極大を備えるスペ
クトル280Em(G)の光を吸収層260に向けて射出する。
【0104】
第3の発光モジュール280Bは、可視光領域の第3の波長λ(B)に極大を備えるスペ
クトル280Em(B)の光を吸収層260に向けて射出する。
【0105】
吸収層260は、第1の波長λ(R)より短い波長を有する光の一部および第1の波長λ
(R)より長い波長を有する光の一部を第1の波長λ(R)を有する光より吸収する。言
い換えると、吸収層260は、第1の波長λ(R)における吸収Abs(R)より大きい
吸収を第1の波長λ(R)より短い波長側および長波長側にそれぞれ有する。
【0106】
且つ、吸収層260は、第2の波長λ(G)より短い波長を有する光の一部および第2の
波長λ(G)より長い波長を有する光の一部を第2の波長λ(G)を有する光より吸収す
る。言い換えると、吸収層260は、第2の波長λ(G)における吸収Abs(G)より
大きい吸収を第2の波長λ(G)より短い波長側および長波長側にそれぞれ有する。
【0107】
且つ、吸収層260は、第3の波長λ(B)より短い波長を有する光の一部および第3の
波長λ(B)より長い波長を有する光の一部を第3の波長λ(B)を有する光より吸収す
る。言い換えると、吸収層260は、第3の波長λ(B)における吸収Abs(B)より
大きい吸収を第3の波長λ(B)より短い波長側および長波長側にそれぞれ有する。
【0108】
例えば、吸収層260の吸収スペクトル260Absは、波長λ(R)において吸収Ab
s(R)を備え、波長λ(R)より短い波長において吸収Abs(R)より大きい吸収を
備え、波長λ(R)より長い波長において吸収Abs(R)より大きい吸収を備える。ま
た、吸収層260の吸収スペクトル260Absは、波長λ(G)において吸収Abs(
G)を備え、波長λ(G)より短い波長において吸収Abs(G)より大きい吸収を備え
、波長λ(G)より長い波長において吸収Abs(G)より大きい吸収を備える。また、
吸収層260の吸収スペクトル260Absは、波長λ(B)において吸収Abs(B)
を備え、波長λ(B)より短い波長において吸収Abs(B)より大きい吸収を備え、波
長λ(B)より長い波長において吸収Abs(B)より大きい吸収を備える。
【0109】
また、本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は(
図3参照)、吸収
層260が、第2の波長λ(G)と第3の波長λ(B)の間の波長を有する光の一部を、
第2の波長λ(G)を有する光および第3の波長λ(B)を有する光より吸収する。
【0110】
本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は、第2の波長λ(G)より
短い波長を有する光の一部および第2の波長λ(G)より長い波長を有する光の一部を第
2の波長λ(G)を有する光より吸収し易く、第3の波長λ(B)より短い波長を有する
光の一部および第3の波長λ(B)より長い波長を有する光の一部を第3の波長λ(B)
を有する光より吸収し易く、第2の波長λ(G)と第3の波長λ(B)の間の光の一部を
第2の波長λ(G)を有する光より吸収し易く、且つ第3の波長λ(B)を有する光より
吸収し易い吸収層を有する。
【0111】
これにより、表示パネル200の外部から吸収層260を通って反射性の第1の導電膜2
25R、反射性の第2の導電膜225Gまたは反射性の第3の導電膜225Bに向かう外
光11の一部を、それぞれの導電膜に到達する前に吸収層260を用いて吸収することが
できる。また、それぞれの導電膜に反射された光の一部を吸収層260から表示パネル2
00の外部に射出される前に吸収層260を用いて吸収することができる。そして、少な
くとも一の導電膜が反射することにより外部に射出される、外光11に由来する光の強度
を低減することができる。
【0112】
その結果、表示のコントラストが外光の強い環境下において低減してしまう不具合の発生
を抑制することができる新規な表示パネルを提供することができる。または、副画素等の
規則的な構造物に設けられた発光モジュールに反射される光が互いに干渉し合う現象によ
り引き起こされる不具合(例えば干渉縞による模様が観察される現象等)の発生を抑制す
ることができる新規な表示パネルを提供することができる。
【0113】
なお、本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200が備える副画素202
Rは、第1の波長λ(R)における強度の半値幅が35nm以上95nm以下であるスペ
クトル280Em(R)の光を射出する第1の発光モジュール280Rを備える(
図3参
照)。また、副画素202Gは、第2の波長λ(G)における強度の半値幅が25nm以
上35nm以下であるスペクトル280Em(G)の光を射出する第2の発光モジュール
280Gを備える。また、副画素202Bは、第3の波長λ(B)における強度の半値幅
が15nm以上30nm以下であるスペクトル280Em(B)の光を射出する第3の発
光モジュール280Bを備える。
【0114】
本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は、強度の半値幅が狭いスペ
クトルの可視光を発する発光モジュールを備える。これにより、第1の発光モジュール2
80R、第2の発光モジュール280Gおよび第3の発光モジュール280Bが発する光
が吸収層260に吸収されてしまう現象を低減できる。その結果、これらの発光モジュー
ルが発する光を効率よく取り出すことができる新規な表示パネルを提供することができる
。
【0115】
なお、本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は、第1の発光モジュ
ール280R、第2の発光モジュール280Gおよび第3の発光モジュール280Bが、
いずれも微小共振器構造を備える。
【0116】
これにより、第1の発光モジュール280R、第2の発光モジュール280Gおよび第3
の発光モジュール280Bが発する光の強度の半値幅を狭めることができる。なお、強度
の半値幅が狭められた光は鮮やかな色を呈する。このような光を表示に用いると、表示を
鮮やかにすることができる。
【0117】
なお、本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は、第1の導電膜22
5Rおよび第1の導電膜225Rと電気的に接続される第1の発光モジュール280Rが
200ppi以上1000ppi以下の精細度で繰り返し設けられる。
【0118】
本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は、高い空間周波数で繰り返
し配置される発光モジュール(例えば第1の発光モジュール280R)と電気的に接続さ
れる導電膜(例えば第1の導電膜225R)が反射する光を吸収することができる吸収層
260を備える。
【0119】
これにより、精細度の高い良好な画像を表示できるだけでなく、例えば繰り返し配置され
る第1の導電膜225Rに反射される光が弱められ、互いに干渉し合う現象を発生し難く
することができる。その結果、干渉現象がもたらす煩わしい光(例えば干渉縞による模様
)を低減することができる新規な表示パネルを提供することができる。
【0120】
なお、本実施の形態で説明する本発明の一態様の表示パネル200は、第1の発光モジュ
ール280R、第2の発光モジュール280Gおよび第3の発光モジュール280Bと接
し、且つ、1.4以上2.0以下の屈折率を備える吸収層260を有する。
【0121】
これにより、例えば第1の発光モジュール280Rが発する光が効率よく吸収層260に
進入する。その結果、第1の発光モジュール280Rが発する光を効率よく外部に取り出
すことができる新規な表示パネルを提供することができる。
【0122】
また、本実施の形態で例示して説明する表示パネル200は、以下の構成を備える。
【0123】
<上面図の説明>
本実施の形態で例示する表示パネル200は表示領域201を有する(
図2(A)参照)
。
【0124】
表示領域201には、複数の画素202が設けられ、画素202には複数の副画素(例え
ば副画素202R)が設けられている。なお、副画素は、発光素子および発光素子を駆動
する電力を供給することができる画素回路を備える。
【0125】
なお、副画素等の規則的な構造物に設けられた発光モジュールに反射される光は、下記数
式に従って、互いに干渉し合う。
【0126】
【0127】
ただし、数式(1)中、dは規則的に設けられた構造物の間隔、λは構造物に照射する光
の波長、Lは構造物から反射された光の干渉を観測する位置までの距離、Dは観測される
干渉縞の間隔である。
【0128】
規則的に配置される構造物が反射する光が互いに干渉することにより、観察される干渉縞
の周期(D)は、構造物が配置される頻度が高い程(dの値が小さい程)大きくなる。例
えば、1インチあたり200個以上、1000個以下の頻度で規則的に構造物が配置され
ると、干渉現象がもたらす光(例えば干渉縞による模様)が目立ちやすくなり、その煩わ
しさが増す。
【0129】
画素回路は、選択信号を供給することができる配線およびデータ信号を供給することがで
きる配線と電気的に接続される。
【0130】
また、表示パネル200は選択信号を供給することができる走査線駆動回路203gと、
データ信号を供給することができるデータ線駆動回路203sを備える。
【0131】
<断面図の説明>
表示パネル200は、基板210および基板210に対向する対向基板270を有する(
図2(B)参照)。
【0132】
基板210は、可撓性を有する基板210b、意図しない不純物の発光素子への拡散を防
ぐバリア膜210aおよび基板210bとバリア膜210aを貼り合わせる接着層210
cの積層体である。
【0133】
対向基板270は、可撓性を有する基板270b、意図しない不純物の発光素子への拡散
を防ぐバリア膜270aおよび基板270bとバリア膜270aを貼り合わせる接着層2
70cの積層体である。
【0134】
吸収層260は光学接合層および封止材を兼ねる。第1の発光モジュール280Rが発す
る光は吸収層260に効率よく進入できる。また、吸収層260は対向基板270を基板
210に貼り合わせる。
【0135】
なお、画素回路および発光素子(例えば第1の発光素子250R)は基板210と対向基
板270の間にある。
【0136】
《画素の構成》
画素202は、副画素202R、副画素202Gおよび副画素202Bを有する(
図2(
C)参照)。また、副画素202Rは第1の発光モジュール280Rと第1の着色層26
7Rを備え、副画素202Gは第2の発光モジュール280Gと第2の着色層267Gを
備え、副画素202Bは第3の発光モジュール280Bと第3の着色層267Bを備える
。
【0137】
例えば、副画素202Rは(
図2(B)参照)、第1の発光素子250Rおよび第1の発
光素子250Rに電力を供給することができるトランジスタ202tを含む画素回路を備
える。また、副画素202Rは第1の発光モジュール280Rを備え、第1の発光モジュ
ール280Rは第1の発光素子250Rおよび光学素子(例えば微小共振器)を備える。
【0138】
第1の発光モジュール280Rは(
図2(C)参照)、第1の導電膜225R、および第
1の導電膜225Rと重なる半透過・半反射性の導電膜を備える。そして、第1の導電膜
225Rおよび半透過・半反射性の導電膜の間に第1の発光素子250Rを備える。なお
、第1の発光素子250Rの上部電極252は半透過・半反射性の導電膜を兼ねる。
【0139】
なお、第1の導電膜225Rは、第1の発光素子250Rが発する光を反射し、半透過・
半反射性の上部電極252は第1の発光素子250Rが発する光の一部を反射し、一部を
透過する。また、第1の発光素子250Rが発する光の一部が効率良く取り出されるよう
に、第1の導電膜225Rと上部電極252の間の距離が調整される。この構成により、
微小共振器が構成される。
【0140】
第1の発光素子250Rは、第1の下部電極251R、上部電極252、および下部電極
251Rと上部電極252の間に発光性の有機化合物を含む層253を有する。
【0141】
なお、発光性の有機化合物を含む層253は、発光ユニット253a、発光ユニット25
3bおよび発光ユニット253aと発光ユニット253bの間に中間層254を備える。
【0142】
副画素202Rは(
図2(C)参照)、第1の着色層267Rを対向基板270の第1の
発光モジュール280Rに重なる位置に備え、副画素202Gは、第2の着色層267G
を対向基板270の第2の発光モジュール280Gに重なる位置に備え、副画素202B
は、第3の着色層267Bを対向基板270の第3の発光モジュール280Bに重なる位
置に備える。これにより、例えば第1の発光モジュール280Rが発する光の一部は、第
1の着色層267Rを透過して、図中の矢印に示すように表示パネル200の外部に射出
される。
【0143】
着色層は特定の波長を有する光を含む光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色
、青色、マゼンタ、黄色またはシアン等を呈する光を選択的に透過するものを用いること
ができる。または、発光素子の発する光をそのまま透過する領域を設けてもよい。
【0144】
《吸収層の構成》
吸収層260は、色素を含む層である。色素は少なくとも可視光の一部を吸収する。例え
ば、実施の形態1において説明する吸収層160と同様の構成を吸収層260に適用する
ことができる。
【0145】
特に、互いに異なる波長(例えば第2の波長λ(G)と第3の波長λ(B))に極大を備
えるスペクトル(例えばスペクトル280Em(G)とスペクトル280Em(B))を
射出する2つの発光モジュール(例えば第2の発光モジュール280Gと第3の発光モジ
ュール280B)の2つの極大の間の波長を有する光の一部を、それぞれの極大の波長を
有する光より吸収する吸収層260が好ましい。
【0146】
可視光の一部を吸収する一の色素を用いることにより、または適宜選択された複数の色素
を混合して用いることにより、このような吸収層260を構成することができる。
【0147】
また、吸収層260は対向基板270を基板210に貼り合わせる。
【0148】
また、吸収層260は発光モジュール(例えば第1の発光モジュール280R)と着色層
(例えば第1の着色層267R)に接し、吸収層260は空気より高い屈折率を有する。
例えば、吸収層260は、1.4以上2.0以下の屈折率を備えると好ましい。
【0149】
これにより、吸収層260は光学接合層を兼ね、発光モジュールが発する光は、効率よく
吸収層260に進入することができる。
【0150】
なお、空気より高い屈折率を有する他の層が吸収層260と発光素子の間に設けられてい
ても良い。また、空気より高い屈折率を有する他の層が吸収層260と着色層の間に設け
られていても良い。また、これらの層は、1.4以上2.0以下の屈折率を備えると好ま
しい。
【0151】
《表示パネルの構成》
表示パネル200は、遮光層267BMを対向基板270に有する。遮光層267BMは
、着色層(例えば第1の着色層267R)を囲むように設けられている(
図2(B)参照
)。
【0152】
表示パネル200は、絶縁膜221を備える。絶縁膜221はトランジスタ202tを覆
う。なお、絶縁膜221を用いて、画素回路に起因する凹凸を平坦化することができる。
また、絶縁膜221として、緻密な無機膜(例えば窒素と珪素を含む膜)が積層された積
層膜を用いて、意図しない不純物がトランジスタ202t等に拡散する現象を抑制するこ
とができる。
【0153】
表示パネル200は、発光素子(例えば第1の発光素子250R)を絶縁膜221上に有
する。
【0154】
表示パネル200は、絶縁膜221上に第1の下部電極251Rの端部に重なる隔壁22
8を有する(
図2(C)参照)。また、基板210と対向基板270の間隔を制御するス
ペーサ229が、隔壁228上に設けられている。
【0155】
《データ線駆動回路の構成》
データ線駆動回路203sは、トランジスタ203tおよび容量203cを含む。なお、
駆動回路を画素回路と同一基板上に、同一の工程で形成することができる(
図2(B)参
照)。
【0156】
《他の構成》
表示パネル200は、信号を供給することができる配線211を備え、端子219が配線
211に設けられている。なお、データ信号および同期信号等の信号を供給することがで
きるFPC(フレキシブルプリントサーキット)209が端子219に電気的に接続され
ている。
【0157】
なお、FPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書に
おける発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCまたはPWBが取り付けら
れた状態をも含むものとする。
【0158】
<変形例>
本実施の形態で例示する表示パネルの変形例について、
図4を参照しながら説明する。
【0159】
図4は本発明の一態様の表示パネルの画素の断面模式図である。
【0160】
本実施の形態の変形例で例示する表示パネルの画素202Aは、吸収層260Aが対向基
板270を基板210に貼り合わせていない点が、
図2(C)を参照しながら説明する表
示パネルの画素202と異なる。よって、ここでは異なる部分について詳細に説明し、同
様の構成を用いることができる部分は、
図2(C)を用いてする説明を援用する。
【0161】
本実施の形態の変形例で例示して説明する表示パネルの画素202Aは、吸収層260A
と発光モジュール(例えば、第1の発光モジュール280R)の間に対向基板270を有
する(
図4参照)。なお、第1の発光モジュール280Rは、基板210と基板210と
重なる対向基板270の間にあり、接着層261が対向基板270を基板210に貼り合
わせている。
【0162】
また、対向基板の一部が吸収層を兼ねる構成にすることもできる。例えば、対向基板27
0が、可撓性を有する基板270b、意図しない不純物の発光素子への拡散を防ぐバリア
膜270aおよび基板270bとバリア膜270aを貼り合わせる接着層270cの積層
体で構成される場合、色素をいずれかの構成に添加して吸収層に用いることができる。具
体的には、色素を接着層270cまたは可撓性を有する基板270bに添加して吸収層に
することができる。
【0163】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0164】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に用いることができる発光素子の構成につ
いて説明する。具体的には、一対の電極に発光性の有機化合物を含む層が挟持された発光
素子の一例について、
図5を参照しながら説明する。
【0165】
本実施の形態で例示する発光素子は、下部電極、上部電極及び下部電極と上部電極の間に
発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。EL層は、単層であっても
複数の層が積層されたものであってもよく、少なくとも一の層が発光性の有機化合物を含
む。下部電極または上部電極のいずれか一方は陽極、他方は陰極として機能する。EL層
は下部電極と上部電極の間に設けられ、該EL層の構成は下部電極と上部電極の材質に合
わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成
がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0166】
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を
図5(A)に示す。
図5(A)に示す発光素子は、陽極1101
と陰極1102の間にEL層が挟まれている。
【0167】
陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、E
L層に陽極1101の側から正孔が注入され、陰極1102の側から電子が注入される。
注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する
。
【0168】
本明細書においては、両端から注入された電子と正孔が再結合する領域にある層を発光層
といい、発光層を1つ有する層または積層体を発光ユニットという。よって、当該発光素
子の構成例1は発光ユニットを1つ備えるということができる。
【0169】
発光ユニット1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を1つ以上備えていればよく
、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正
孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)
物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正
孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
【0170】
発光ユニット1103の具体的な構成の一例を
図5(B)に示す。
図5(B)に示す発光
ユニット1103は、正孔注入層1113、正孔輸送層1114、発光層1115、電子
輸送層1116、並びに電子注入層1117が陽極1101側からこの順に積層されてい
る。
【0171】
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を
図5(C)に示す。
図5(C)に例示する発光素子は、陽極
1101と陰極1102の間に発光ユニット1103を含むEL層が挟まれている。さら
に、陰極1102と発光ユニット1103との間には中間層1104が設けられている。
なお、当該発光素子の構成例2の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1
が備える発光ユニットと同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成
例1の記載を参酌できる。
【0172】
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域
以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電
子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積
層された構造を適用することができる。
【0173】
中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極110
2の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104
cにおいて、正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1
104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域
1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入
バッファー1104aは発光ユニット1103に電子を注入する障壁を緩和し、発光ユニ
ット1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生
した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、発光ユニ
ット1103のLUMO準位に注入される。
【0174】
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子
注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしま
う等の相互作用を防ぐことができる。
【0175】
当該発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料の選択の幅は、構成例1の陰極
に用いることができる材料の選択の幅に比べて、広い。なぜなら、構成例2の陰極は中間
層が発生する正孔を受け取ればよく、仕事関数が比較的大きな材料を適用できるからであ
る。
【0176】
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を
図5(D)に示す。
図5(D)に例示する発光素子は、陽極
1101と陰極1102の間に2つの発光ユニットが設けられたEL層を備えている。さ
らに、第1の発光ユニット1103aと、第2の発光ユニット1103bとの間には中間
層1104が設けられている。
【0177】
なお、陽極と陰極の間に設ける発光ユニットの数は2つに限定されない。
図5(E)に例
示する発光素子は、発光ユニット1103が複数積層された構造、所謂、タンデム型の発
光素子の構成を備える。但し、例えば陽極と陰極の間にn(nは2以上の自然数)層の発
光ユニット1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n-1)以下)番目の
発光ユニットと、(m+1)番目の発光ユニットとの間に、それぞれ中間層1104を設
ける構成とする。
【0178】
また、当該発光素子の構成例3の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1
と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層110
4には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細につい
ては、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
【0179】
発光ユニットの間に設けられた中間層1104における電子と正孔の挙動について説明す
る。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると
、中間層1104において正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102側に設けられた発光
ユニットへ移動し、電子は陽極側に設けられた発光ユニットへ移動する。陰極側に設けら
れた発光ユニットに注入された正孔は、陰極側から注入された電子と再結合し、当該発光
ユニットに含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられた発光ユニットに注入
された電子は、陽極側から注入された正孔と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光
物質が発光する。よって、中間層1104において発生した正孔と電子は、それぞれ異な
る発光ユニットにおいて発光に至る。
【0180】
なお、発光ユニット同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成され
る場合は、発光ユニット同士を接して設けることができる。具体的には、発光ユニットの
一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発
生領域として機能するため、発光ユニット同士を接して設けることができる。
【0181】
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、
発光素子の構成例3の陰極と発光ユニットの間に中間層を設けることもできる。
【0182】
<微小共振器を含む構成>
なお、反射膜と反射膜に重なる半透過・半反射膜とで構成された微小共振器(マイクロキ
ャビティ)を、発光素子を挟むように配置してもよい。微小共振器の内部に発光素子を配
置することにより、発光素子が発する光が干渉し合い、特定の色を呈する光を効率よく取
り出すことができる。
【0183】
なお、本明細書において半透過・半反射膜は入射する光の一部を透過し、一部を反射する
膜をいう。また、微小共振器に用いる半透過・半反射膜は、光の吸収が少ない膜が好まし
い。
【0184】
取り出す光の波長は、反射膜と半透過・半反射膜の間の距離に依存する。反射膜と半透過
・半反射膜の距離を調整するための光学調整層を、発光素子に設ける場合がある。
【0185】
光学調整層に用いることができる材料としては、可視光に対して透光性を有する導電膜の
他、EL層を適用できる。
【0186】
例えば、透光性を有する導電膜と反射膜の積層膜または透光性を有する導電膜と半透過・
半反射膜の積層膜を、光学調整層を兼ねる下部電極または上部電極に用いることができる
。
【0187】
また、厚さが調整された中間層を光学調整層に用いてもよい。または、正孔輸送性の高い
物質と当該正孔輸送性の高い物質に対してアクセプター性の物質を含み、その厚さが調整
された領域を光学調整層に用いてもよい。この構成の電気抵抗はEL層を構成する他の構
成に比べて低い。これにより、光学調整のために厚さを厚くしても、発光素子の駆動電圧
の上昇を抑制できるため好ましい。
【0188】
<発光素子に用いることができる材料>
次に、上述した構成を備える発光素子に用いることができる具体的な材料について、陽極
、陰極、並びにEL層の順に説明する。
【0189】
《1.陽極に用いることができる材料》
陽極1101は導電性を有する金属、合金、電気伝導性化合物等およびこれらの混合物の
単層または積層体で構成される。特に、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)
材料をEL層に接する構成が好ましい。
【0190】
金属、または合金材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)
、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(
Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)等の金属材料またはこれらを
含む合金材料が挙げられる。
【0191】
電気伝導性化合物としては、例えば、金属材料の酸化物、金属材料の窒化物、導電性高分
子が挙げられる。
【0192】
金属材料の酸化物の具体例として、インジウム-錫酸化物(ITO:Indium Ti
n Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム-錫酸化物、チタンを含
有したインジウム-錫酸化物、インジウム-チタン酸化物、インジウム-タングステン酸
化物、インジウム-亜鉛酸化物、タングステンを含有したインジウム-亜鉛酸化物等が挙
げられる。また、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステ
ン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
【0193】
金属材料の酸化物を含む膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル-ゲル法
などを応用して作製しても構わない。
【0194】
金属材料の窒化物の具体例として、窒化チタン、窒化タンタル等が挙げられる。
【0195】
導電性高分子の具体例として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(ス
チレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸
)(PAni/PSS)等が挙げられる。
【0196】
なお、陽極1101と接して第2の電荷発生領域を設ける場合には、仕事関数の大きさを
考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができる。具体的には、仕事関
数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。第2の電荷発
生領域および第1の電荷発生領域に適用することができる材料は、後述する。
【0197】
《2.陰極に用いることができる材料》
陰極1102に接して第1の電荷発生領域1104cを、発光ユニット1103との間に
設ける場合、陰極1102は仕事関数の大小に関わらず様々な導電性材料を用いることが
できる。
【0198】
なお、陰極1102および陽極1101のうち少なくとも一方を、可視光を透過する導電
膜を用いて形成する。例えば、陰極1102または陽極1101の一方を、可視光を透過
する導電膜を用いて形成し、他方を、可視光を反射する導電膜を用いて形成すると、一方
の面に光を射出する発光素子を構成できる。また、陰極1102および陽極1101の両
方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成すると、両方の面に光を射出する発光素子を
構成できる。
【0199】
可視光を透過する導電膜としては、例えば、インジウム-錫酸化物、珪素若しくは酸化珪
素を含有したインジウム-錫酸化物、チタンを含有したインジウム-錫酸化物、インジウ
ム-チタン酸化物、インジウム-タングステン酸化物、インジウム-亜鉛酸化物、タング
ステンを含有したインジウム-亜鉛酸化物等が挙げられる。また、光を透過する程度(好
ましくは、5nm以上30nm以下程度)の金属薄膜を用いることもできる。
【0200】
可視光を反射する導電膜としては、例えば金属を用いれば良く、具体的には、銀、アルミ
ニウム、白金、金、銅等の金属材料またはこれらを含む合金材料が挙げられる。銀を含む
合金としては、銀-ネオジム合金、マグネシウム-銀合金等を挙げることができる。アル
ミニウムの合金としては、アルミニウム-ニッケル-ランタン合金、アルミニウム-チタ
ン合金、アルミニウム-ネオジム合金等が挙げられる。
【0201】
《3EL層に用いることができる材料》
上述した発光ユニット1103を構成する各層に用いることができる材料について、以下
に具体例を示す。
【0202】
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、
例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物
、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)
や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3
,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PS
S)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
【0203】
なお、第2の電荷発生領域を用いて正孔注入層を形成してもよい。正孔注入層に第2の電
荷発生領域を用いると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いる
ことができるのは前述の通りである。第2の電荷発生領域を構成する材料については第1
の電荷発生領域と共に後述する。
【0204】
《3.1正孔輸送層》
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層は、単層に限られず正
孔輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子よりも正孔の輸送性
の高い物質であればよく、特に10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が、
発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0205】
正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物(例えば、4,4’-ビス[N-(
1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD))
やカルバゾール誘導体(例えば、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フ
ェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA))などが挙げられる。また、高分子化
合物(例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK))等を用いることがで
きる。
【0206】
《3.2発光層》
発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、単層に限られず発光物質を含む層を二層
以上積層したものでもよい。発光物質は蛍光性化合物や、燐光性化合物を用いることがで
きる。発光物質に燐光性化合物を用いると、発光素子の発光効率を高められるため好まし
い。
【0207】
発光物質として蛍光性化合物(例えば、クマリン545T)や燐光性化合物(例えば、ト
リス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3))等
を用いることができる。
【0208】
発光物質は、ホスト材料に分散させて用いるのが好ましい。ホスト材料としては、その励
起エネルギーが、発光物質の励起エネルギーよりも大きなものが好ましい。
【0209】
ホスト材料として用いることができる材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例え
ば、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、高分子化合物等)、後述の電子輸送性の
高い物質(例えば、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾ
ール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体等)などを用いることができる。
【0210】
《3.3電子輸送層》
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層は、単層に限られず電
子輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。正孔よりも電子の輸送性
の高い物質であればよく、特に10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が、
発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0211】
電子輸送性の高い物質としては、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯
体(例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq))、オキサゾー
ル系やチアゾール系配位子を有する金属錯体(例えば、ビス[2-(2-ヒドロキシフェ
ニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2))、その他の化合物(例え
ば、バソフェナントロリン(略称:BPhen))などが挙げられる。また、高分子化合
物(例えば、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリ
ジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py))等を用いることができる。
【0212】
《3.4電子注入層》
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層は、単層に限られず電
子注入性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子注入層を設ける構成
とすることで陰極1102からの電子の注入効率が高まり、発光素子の駆動電圧を低減で
きるため好ましい。
【0213】
電子注入性の高い物質としては、アルカリ金属(例えば、リチウム(Li)、セシウム(
Cs))、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム(Ca))、またはこれらの化合物(
例えば、酸化物(具体的には酸化リチウム等)、炭酸塩(具体的には炭酸リチウムや炭酸
セシウム等)、ハロゲン化物(具体的にはフッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(
CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)))などが挙げられる。
【0214】
また、電子注入性の高い物質を含む層を電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む層(
具体的には、Alq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものなど)で形成してもよい
。なお、電子輸送性の高い物質に対するドナー性物質の添加量の質量比は0.001以上
0.1以下の比率が好ましい。
【0215】
ドナー性の物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはこれら
の化合物の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッ
ケロセン等の有機化合物を用いることもできる。
【0216】
《3.5電荷発生領域》
第1の電荷発生領域1104c、及び第2の電荷発生領域は、正孔輸送性の高い物質とア
クセプター性物質を含む領域である。なお、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高
い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層
とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、第1の電荷発生領域を
陰極側に設ける積層構造の場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極1102と接
する構造となり、第2の電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合には、アクセプタ
ー性物質を含む層が陽極1101と接する構造となる。
【0217】
なお、電荷発生領域において、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.
0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。
【0218】
電荷発生領域に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表におけ
る第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリ
ブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している
。
【0219】
また、電荷発生領域に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カル
バゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー
等)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10-6cm2/Vs
以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の
高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0220】
《電子リレー層》
電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cにおいてアクセプター性物質
がひき抜いた電子を速やかに受け取ることができる層である。従って、電子リレー層11
04bは、電子輸送性の高い物質を含む層であり、またそのLUMO準位は、第1の電荷
発生領域1104cにおけるアクセプター性物質のアクセプター準位と、当該電子リレー
層が接する発光ユニット1103のLUMO準位との間に位置する。具体的には、およそ
-5.0eV以上-3.0eV以下とするのが好ましい。
【0221】
電子リレー層1104bに用いる物質としては、ペリレン誘導体(例えば、3,4,9,
10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA))や、含窒素縮合芳香族
化合物(例えば、ピラジノ[2,3-f][1,10]フェナントロリン-2,3-ジカ
ルボニトリル(略称:PPDN))などが挙げられる。
【0222】
なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定な化合物であるため電子リレー層1104bに用
いる物質として好ましい。さらに、含窒素縮合芳香族化合物のうち、シアノ基やフルオロ
基などの電子吸引基を有する化合物を用いることにより、電子リレー層1104bにおけ
る電子の受け取りがさらに容易になるため、好ましい。
【0223】
《電子注入バッファー》
電子注入バッファーは、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入バッファー11
04aは、第1の電荷発生領域1104cから発光ユニット1103への電子の注入を容
易にする層である。電子注入バッファー1104aを第1の電荷発生領域1104cと発
光ユニット1103の間に設けることにより、両者の注入障壁を緩和することができる。
【0224】
電子注入性が高い物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、または
これらの化合物などが挙げられる。
【0225】
また、電子注入性の高い物質を含む層を電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む層で
形成してもよい。
【0226】
<発光素子の作製方法>
発光素子の作製方法の一態様について説明する。下部電極上にこれらの層を適宜組み合わ
せてEL層を形成する。EL層は、それに用いる材料に応じて種々の方法(例えば、乾式
法や湿式法等)を用いることができ、例えば、真空蒸着法、転写法、印刷法、インクジェ
ット法またはスピンコート法などを選んで用いればよい。また、各層で異なる方法を用い
て形成してもよい。EL層上に上部電極を形成し、発光素子を作製する。
【0227】
以上のような材料を組み合わせることにより、本実施の形態に示す発光素子を作製するこ
とができる。この発光素子からは、上述した発光物質からの発光が得られ、その発光色は
発光物質の種類を変えることにより選択できる。
【0228】
また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて
、例えば白色発光を得ることもできる。白色発光を得る場合には、例えば、発光物質を含
む層を少なくとも2つ備える構成とし、それぞれの層を互いに補色の関係にある色を呈す
る光を発するように構成すればよい。具体的な補色の関係としては、例えば青色と黄色、
あるいは青緑色と赤色等が挙げられる。
【0229】
さらに、演色性の良い白色発光を得る場合には、発光スペクトルが可視光全域に拡がるも
のが好ましく、例えば、一つの発光素子が、青色を呈する光を発する層、緑色を呈する光
を発する層、赤色を呈する光を発する層を備える構成とすればよい。
【0230】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0231】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置または発光パネルが適用された電子機器に
ついて、
図6を参照しながら説明する。
【0232】
本発明の一態様の電子機器は、本発明の一態様の発光パネルを備える表示部を有し、当該
表示部に画像を表示できる。例えば、放送もしくは配信される映像情報または情報記録媒
体に保存された映像情報を表示できる。情報処理装置が処理した情報を表示できる。また
は、操作パネル等に操作の用に供される画像を表示できる。
【0233】
映像情報を表示する電子機器の一例として、テレビジョン装置やデジタルフォトフレーム
をその一例に挙げることができる。
【0234】
情報処理装置の一例として、コンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラまた
は携帯情報端末などを挙げることができる。
【0235】
その他の電子機器として、時計、携帯電話機、携帯型ゲーム機および大型ゲーム機(パチ
ンコ機など)、音響再生装置などを挙げることができる。
【0236】
<テレビジョン装置>
テレビジョン装置7100は、スタンド7105が支持する筐体7101に組み込まれた
表示部7103を有する(
図6(A)参照)。また、テレビジョン装置7100は本発明
の一態様の発光パネルを備える表示部7103を有し、映像を表示できる。
【0237】
リモートコントローラ7110は、テレビジョン装置7100を操作することができ、例
えば表示部7103に表示する映像情報の選択または音量の調整等をすることができる。
【0238】
リモートコントローラ7110は情報入出力パネル7107および操作キー7109等を
有する。
【0239】
表示部7103は、受信機が受信する放送またはモデムから供給される映像を表示できる
。
【0240】
テレビジョン装置7100をインターネットに接続し、情報を双方向(送信者と受信者間
、あるいは受信者間同士など)に通信してもよい。
【0241】
<情報処理装置>
情報処理装置の一例として、コンピュータを
図6(B)に示す。コンピュータは、本体7
201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205
、ポインティングデバイス7206等を備える。また、コンピュータは、本発明の一態様
の発光パネルを備える表示部7203を有し、画像を表示できる。
【0242】
<遊技機>
携帯型遊技機の一例を
図6(C)に示す。例示する携帯型遊技機は、筐体7301と、連
結部7303により開閉可能に連結されている筐体7302の2つの筐体で構成されてい
る。筐体7301には第1の表示部7304が組み込まれ、筐体7302には第2の表示
部7305が組み込まれている。また、携帯型遊技機は、本発明の一態様の発光パネルを
備える第1の表示部7304および第2の表示部7305を有し、画像を表示できる。
【0243】
また、携帯型遊技機は、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7
308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、
位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、赤外線等の光、液体、磁気、温度、化学物
質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、ま
たはにおいを測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。
【0244】
携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して第1の
表示部7304および第2の表示部7305に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線
通信を行って情報を共有する機能を有する。
【0245】
<携帯電話>
携帯電話機の一例を
図6(D)に示す。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込ま
れた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ74
05、マイク7406などを備えている。また、携帯電話機7400は、本発明の一態様
の発光パネルを備える表示部7402を有し、画像を表示できる。
【0246】
表示部7402は、近接センサを有し、指などで触れるまたは近づけることで、情報を入
力することができる。
【0247】
また、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けて、携
帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に
切り替えるようにすることができる。
【0248】
表示部7402は、二次元型のイメージセンサとして機能させることもできる。例えば、
表示部7402に触れた掌の掌紋、指の指紋等、近赤外光を発光するバックライトまたは
センシング用光源を用いて撮像できる掌静脈、指静脈等の画像を用いて、本人認証を行う
ことができる。
【0249】
<携帯情報端末>
折りたたみ式の携帯情報端末の一例を
図6(E)に示す。携帯情報端末7450は、ヒン
ジ7454で接続された筐体7451Lと筐体7451Rを備えている。また、携帯情報
端末7450は、操作ボタン7453、左側スピーカ7455Lおよび右側スピーカ74
55Rの他、携帯情報端末7450の側面には図示されていない外部接続ポート7456
を備える。なお、筐体7451Lに設けられた表示部7452Lと、筐体7451Rに設
けられた表示部7452Rが互いに対峙するようにヒンジ7454を折り畳むと、2つの
表示部を筐体で保護することができる。また、携帯情報端末7450は、本発明の一態様
の発光パネルを備える表示部7452Lと表示部7452Rを有し、画像を表示できる。
【0250】
また、携帯情報端末7450に、ジャイロ、加速度センサ、GPS(Global Po
sitioning System)受信機、ビデオカメラを搭載することもできる。例
えば、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けること
で、携帯情報端末7450の向き(縦か横か)を判断して、表示する画面の向きを自動的
に切り替えるようにすることができる。
【0251】
また、携帯情報端末7450はネットワークに接続できる。携帯情報端末7450はイン
ターネット上の情報を表示できる他、ネットワークに接続された他の電子機器を遠隔から
操作する端末として用いることができる。
【0252】
<照明装置>
照明装置の一例を
図6(F)に示す。照明装置7500は、筐体7501に組み込まれた
発光装置7503a、発光装置7503b、発光装置7503cおよび発光装置7503
dを備える。照明装置7500は、天井や壁等に取り付けることが可能である。また、照
明装置7500は、本発明の一態様の発光装置を有する。
【0253】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【実施例0254】
本実施例では、発光装置、発光パネルおよび表示パネルに適用可能な吸収層について、図
7乃至
図9を参照しながら説明する。
【0255】
図7は本発明の一態様の発光装置、発光パネルおよび表示パネルに適用可能な吸収層の吸
収スペクトルと、発光モジュールの発光スペクトルである。なお、吸収層の吸収スペクト
ルは、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:U-4100)を用
いて測定した。また、発光モジュールの発光スペクトルは、スペクトロラジオメータ(ウ
シオ電機社製)を用いて測定した。
【0256】
具体的には、
図7(A)は吸収層360(1)の吸収スペクトル360(1)Abs並び
に発光スペクトル380EM(R)、発光スペクトル380EM(G)および発光スペク
トル380EM(B)である。
【0257】
具体的には、
図7(B)は吸収層360(2)の吸収スペクトル360(2)Abs並び
に発光スペクトル380EM(R)、発光スペクトル380EM(G)および発光スペク
トル380EM(B)である。
【0258】
発光スペクトル380EM(R)の極大波長は611nm、半値幅は45nmであった。
発光スペクトル380EM(G)の極大波長は533nm、半値幅は36nmであった。
発光スペクトル380EM(B)の極大波長は460nm、半値幅は29nmであった。
【0259】
なお、発光スペクトル380EM(R)を備える光を射出する発光モジュール、発光スペ
クトル380EM(G)を備える光を射出する発光モジュールおよび発光スペクトル38
0EM(B)を備える光を射出する発光モジュールを有する表示パネルの構成を、実施例
2において詳細に説明する。
【0260】
図8は本実施例で説明する吸収層が重ねられた表示パネルが反射する光の様子と、吸収層
が重ねられていない表示パネルが反射する光の様子を説明する図である。
【0261】
具体的には、
図8(A)は吸収層360(1)が重ねられた表示パネルが反射する光をデ
ジタルカメラで撮影した写真である。
図8(B)は吸収層360(2)が重ねられた表示
パネルが反射する光を撮影した写真である。なお、
図8(C)は吸収層が重ねられていな
い表示パネルが反射する光を撮影した写真である。
【0262】
図9は本実施例で説明する吸収層の作製方法と、外光の反射を評価する方法を説明する図
である。
【0263】
具体的には、
図9(A-1)乃至
図9(A-3)は本発明の一態様の表示パネルに適用可
能な吸収層360の作製方法を説明する図である。また、
図9(B)は吸収層360が煩
わしい反射を抑制する効果を観測する方法について説明する図である。
【0264】
以下に、本実施例で作製した吸収層360(1)および吸収層360(2)の構成につい
て説明する。なお、吸収層360(1)および吸収層360(2)の組成の詳細を表1に
示す。
【0265】
【0266】
<吸収層360(1)>
吸収層360(1)は、色素(山田化学工業株式会社製、商品名:RPC-122)およ
び二液性エポキシ接着剤(株式会社アルテコ製、商品名:R2007/H-1010)を
含む。
【0267】
吸収層360(1)は、波長が611nmより長い光の一部を、波長が611nmの光よ
り吸収した。また、波長が611nmより短い光の一部を、波長が611nmの光より吸
収した(
図7(A)参照)。
【0268】
吸収層360(1)は、波長が533nmより長い光の一部を、波長が533nmの光よ
り吸収し、波長が533nmより短い光の一部を波長が533nmの光より吸収した。
【0269】
吸収層360(1)は、波長が460nmより長い光の一部を波長が460nmの光より
吸収し、波長が460nmより短い光の一部を、波長が460nmの光より吸収した。
【0270】
吸収層360(1)が重ねられた表示パネルは、吸収層が重ねられていない表示パネルに
比べて外光を反射し難かった。特に、表示パネルに規則的に配置された副画素が反射する
光の強度が抑制され、吸収層が重ねられていない表示パネル(
図8(C)参照)に比べて
、干渉縞による模様が観察されにくくなった(
図8(A)参照)。
【0271】
<吸収層360(2)>
吸収層360(2)は、色素(株式会社林原、商品名:G207)、色素(株式会社林原
、商品名:G241)および二液性エポキシ接着剤(株式会社アルテコ製、商品名:R2
007/H-1010)を含む。
【0272】
吸収層360(2)は、波長が611nmより短い光の一部を、波長が611nmの光よ
り吸収した(
図7(B)参照)。
【0273】
吸収層360(2)は、波長が533nmより長い光の一部を、波長が533nmの光よ
り吸収し、波長が533nmより短い光の一部を、波長が533nmの光より吸収した。
【0274】
吸収層360(2)は、波長が460nmより長い光の一部を、波長が460nmの光よ
り吸収し、波長が460nmより短い光の一部を、波長が460nmの光より吸収した。
【0275】
吸収層360(2)は、611nmと533nmの間の波長を有する光の一部を、波長が
611nmの光および波長が533nmの光より吸収した。また、吸収層360(2)は
、611nmと460nmの間の波長を有する光の一部を、波長が611nmの光および
波長が460nmの光より吸収した。
【0276】
吸収層360(2)が重ねられた表示パネルは、吸収層が重ねられていない表示パネルに
比べて外光を反射し難かった。特に、表示パネルに規則的に配置された副画素が反射する
光の強度が抑制され、吸収層が重ねられていない表示パネル(
図8(C)参照)に比べて
、干渉縞による模様が観察されにくくなった(
図8(B)参照)。
【0277】
<吸収層の作製方法>
以下に、本実施例で作製した吸収層の作製方法について、
図9(A-1)乃至
図9(A-
3)を用いて説明する。
【0278】
ステップ1において、直径4μmのスペーサを0.7mm厚の無アルカリガラス基板31
0に散布した。
【0279】
ステップ2において、紫外線硬化型のシール材355(長瀬ケムテックス株式会社製、商
品名:XNR-5516Z)を閉曲線状に塗布した(
図9(A-1)参照)。
【0280】
ステップ3において、未硬化の吸収層の材料をシール材355に囲まれた領域に滴下した
(
図9(A-2)参照)。
【0281】
ステップ4において、未硬化の吸収層をガラス基板310と無アルカリガラス基板370
の間に挟み込み、両者を0.1MPaの圧力で2分間、圧接した(
図9(A-3)参照)
。
【0282】
ステップ5において、紫外線をシール材に照射して、シール材を硬化した。なお、遮光マ
スクを用いて、吸収層を紫外線から保護した。
【0283】
ステップ6において、1日間放置することにより、二液性のエポキシ接着剤を含む吸収層
360を硬化した。
【0284】
<外光の反射を評価する方法>
表示パネルが反射する外光を評価する方法について、
図9(B)を用いて説明する。
【0285】
吸収層を重ねた表示パネルを試料とした。光を、試料の表面に対し約45°の角度から照
射した。また、吸収層が重ねられていない状態の表示パネルを比較試料とした。
【0286】
試料が反射する外光を、試料の表面に対して約45°の角度からデジタルカメラを用いて
撮影した。
【0287】
なお、ミニハロゲンランプ(パナソニック株式会社製、商品名:マルチレイアHE/ダイ
クールSミラー(登録商標))を光源に用いた。
【0288】
<評価結果>
本実施例の表示パネルは、高い空間周波数で繰り返し配置される発光モジュールと電気的
に接続される導電膜が反射する光を吸収することができる吸収層を備える。これにより、
精細度の高い良好な画像を表示できるだけでなく、導電膜に反射される光が互いに干渉し
合う現象を発生し難くすることができる。その結果、干渉現象がもたらす煩わしい光(例
えば干渉縞による模様)が低減された新規な表示パネルを提供できた。なお、吸収層が発
光モジュールに射出される光のスペクトルに含まれる余分な部分を吸収することにより、
表示パネルの色再現度が向上した。具体的には、吸収層360(1)を用いた表示パネル
は、NTSC比が102%から105%に向上した。