(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181304
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】指紋読取装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182188
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2021202136の分割
【原出願日】2018-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2017144533
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】幸田 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】樋口 輝幸
(57)【要約】
【課題】指紋を読み取るべき指の読取面に対する位置ずれを抑制することができる指紋読取装置を提供する。
【解決手段】指紋読取装置は、指が載置される載置部と、載置部に載置された指が接触する読取面と、載置部に設けられ、載置部に載置された指に光を照射する一対の光源と、読取面に接触する指の指紋を、指内で散乱して指の表面から出射した光により撮像して読み取る読取部とを有し、一対の光源が、読取面の、載置部の幅方向に対向する端部の両側に設けられ、それぞれ載置部の前後方向に沿って形成された導光部を有し、導光部が、読取面の端部上まで延在するように形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する材質の板状部材と、
前記板状部材の端部上まで延在するように形成され、少なくとも当該板状部材の端部上まで延在するように形成された部分で指紋を読み取る対象の指の両側面が接触することで当該指を支持可能である導光部と、
前記板状部材の幅方向に対向する端部の両側に設けられ、それぞれ前記指の側方から前記導光部を介して前記指に光を照射する一対の光源と、
前記指の指紋を撮像して読み取る読取部と、を有し、
前記導光部の幅は、前記導光部が延在する方向で変化し、指根側よりも指先側が広い
指紋読取装置。
【請求項2】
前記一対の光源が、前記板状部材の内側に向かって傾斜している
ことを特徴とする請求項1記載の指紋読取装置。
【請求項3】
前記一対の光源のそれぞれが、延在する前記方向に沿って配置された複数の単位光源を有し、
前記導光部が、前記複数の単位光源を覆うように形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の指紋読取装置。
【請求項4】
前記導光部が、
前記複数の単位光源を覆う突出部と、
前記突出部の前記板状部材の側に前記突出部と一体的に形成され、前記板状部材の上下方向の高さが前記突出部よりも低い縁端部と
を有する
ことを特徴とする請求項3記載の指紋読取装置。
【請求項5】
前記突出部の一部及び前記縁端部が、前記板状部材の前記端部上に位置している
ことを特徴とする請求項4記載の指紋読取装置。
【請求項6】
前記縁端部の一部が、前記板状部材の前記端部上に位置している
ことを特徴とする請求項4記載の指紋読取装置。
【請求項7】
前記導光部の前記板状部材の前記端部上に位置する部分の下面に形成された遮光部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の指紋読取装置。
【請求項8】
前記一対の光源による前記光の照射の指示、前記読取部による撮像の指示、及び画像処理装置に対する前記指紋の画像の記録指示のうち少なくとも一つの指示を行う指示部をさらに有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の指紋読取装置。
【請求項9】
前記指示部は押しボタン式のスイッチであり、かつ前記指紋読取装置の前記指を載置する面とは反対側の面に設けられる、請求項8に記載の指紋読取装置。
【請求項10】
前記対象とは異なるユーザが保持可能な保持部をさらに有し、
前記指示部は前記保持部に設けられる、請求項8又は9に記載の指紋読取装置。
【請求項11】
前記導光部の幅は、前記指根側から前記指先側に向かうにつれて広くなる
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記導光部は、前記読取部の側にて、前記板状部材の下方向に凸の表面を有する
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋は、個人によって異なるという万人不同性を有するとともに、一生変化することがないという終生不変性を有している。このため、指紋は、個人の識別が必要となる場面において広く利用されるに至っている。
【0003】
上記のような指紋を読み取る装置としては、光学式、静電容量式等の装置が知られている(特許文献1~4)。例えば、光学式の装置では、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元のイメージセンサにより指紋が撮像されて読み取られる。
【0004】
イメージセンサを用いて指紋を撮像する光学式の装置のなかでも、透過光型の指紋入力装置が注目されている(特許文献1~3参照)。透過光型の指紋入力装置では、光源からの光を指内に入れ、指内で散乱させて、再び指の表面から外に出てくる光を利用して指紋の像を結像させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/047090号
【特許文献2】国際公開第2017/047091号
【特許文献3】国際公開第2017/047092号
【特許文献4】特開2005-182474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、各種の方式により指紋を読み取る場合、指紋を読み取る指は、一般的に、イメージセンサ等の方式に応じた読取センサ上の読取面に指が載置されて指紋が読み取られる。この場合において、例えば、湿潤状態の指、保水能力の高い指や、新生児や乳幼児の指のように比較的に柔らかい指は、読取面への指の載置の仕方によっては、センサ面に対する位置がずれることがある。読取面に対する位置ずれが生じている指では、指紋を適切に読み取ることは困難であるため、個人の識別等に利用しうる高品質の指紋画像を取得することは困難である。
【0007】
本発明の目的は、指紋を読み取るべき指の読取面に対する位置ずれを抑制することができる指紋読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、指が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記指が接触する読取面と、前記載置部に設けられ、前記載置部に載置された前記指に光を照射する一対の光源と、前記読取面に接触する前記指の指紋を、前記指内で散乱して前記指の表面から出射した光により撮像して読み取る読取部とを有し、前記一対の光源が、前記読取面の、前記載置部の幅方向に対向する端部の両側に設けられ、それぞれ前記載置部の前後方向に沿って形成された導光部を有し、前記導光部が、前記読取面の前記端部上まで延在するように形成されていることを特徴とする指紋読取装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、指紋を読み取るべき指の読取面に対する位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態による指紋読取システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態による指紋読取装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態による指紋読取装置を示す横断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置におけるセンサ駆動部の一例を示す概略図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置におけるセンサ駆動部の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態による指紋読取装置を用いて対象者の指の指紋を読み取る様子を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態による指紋読取装置を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態による画像処理装置を示すブロック図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図9B】
図9Bは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図9C】
図9Cは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置により指紋を読み取る際に指紋の変形が低減される原理を説明する概略図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置により指紋を読み取る際に指紋の変形が低減される原理を説明する概略図である。
【
図10C】
図10Cは、本発明の第1実施形態による指紋読取装置により指紋を読み取る際に指紋の変形が低減される原理を説明する概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態による指紋読取装置を示す平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図である。
【
図13A】
図13Aは、本発明の第2実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図13B】
図13Bは、本発明の第2実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図13C】
図13Cは、本発明の第2実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施形態による指紋読取装置を示す平面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図である。
【
図16A】
図16Aは、本発明の第3実施形態による指紋読取装置におけるセンサ駆動部の一例を示す概略図である。
【
図16B】
図16Bは、本発明の第3実施形態による指紋読取装置におけるセンサ駆動部の一例を示す概略図である。
【
図17A】
図17Aは、本発明の第3実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図17B】
図17Bは、本発明の第3実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図17C】
図17Cは、本発明の第3実施形態による指紋読取装置の動作を説明する概略図である。
【
図18】
図18は、本発明の第4実施形態による指紋読取装置を示す平面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第5実施形態による指紋読取装置を示す平面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第6実施形態による指紋読取装置を示す横断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第7実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第8実施形態による指紋読取装置及び画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、本発明の他の実施形態による指紋読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図1乃至
図10Cを用いて説明する。
【0012】
はじめに、本実施形態による指紋読取装置を含む指紋読取システムの全体構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態による指紋読取システムの全体構成を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態による指紋読取システム1は、対象者の指紋を撮像して読み取る指紋読取装置10と、指紋読取装置10により読み取られた指紋の画像である指紋画像に対して表示、記録等の処理を行う画像処理装置20とを有している。指紋読取装置10は、対象者の指が載置される載置部102と、使用時にユーザにより把持される把持部104とを有している。載置部102には、載置部102に載置された指が接触するセンサ面118が設けられている。指紋読取装置10は、通信ケーブル30を介して画像処理装置20に通信可能に接続されている。なお、指紋読取装置10は、通信ケーブル30による有線方式に代えて、無線方式により画像処理装置20に通信可能に接続されてもよい。
【0014】
本実施形態による指紋読取装置10は、例えば、新生児、乳児及び幼児を、指紋を読み取るべき対象者とするものである。新生児、乳児及び幼児、特に新生児の指は、大人の指と比較して、水分比率が高いために柔らかく、大人の指と比較して容易に大きく弾性変形しうる。本実施形態による指紋読取装置10は、後述するように、新生児、乳児及び幼児の指のように、水分比率が高いために比較的に柔らかく容易に大きく弾性変形しうる指の場合であっても、指紋を適切に読み取ることができる。なお、新生児、乳児、幼児等は、自ら単独では指紋の撮像が不可能又は困難である。このように自ら単独では指紋の撮像が不可能又は困難である対象者の指紋を読み取るべき場合、後述するように、装置の操作が可能な成年者等がユーザとなり、ユーザが、対象者の指紋の読み取りを行うことになる。
【0015】
指紋読取装置10は、二次元イメージセンサを用いて指紋画像を撮像して指紋を読み取る光学式の指紋スキャナである。指紋読取装置10は、例えば、対象者の左手及び右手それぞれの親指、人差し指、中指、薬指、及び小指の合計10本の指のうちのいずれか1本の指の指紋画像を撮像することができる。また、指紋読取装置10は、手の指のみならず、左足及び右足それぞれの第一趾、第二趾、第三趾、第四趾、及び第五趾の合計10本の趾のうちのいずれか1本の足の指(趾)紋画像を撮像することもできる。
【0016】
例えば新生児、乳児又は幼児が対象者である場合、指紋読取装置10を用い、1人の対象者について複数の指趾について指紋を撮像し、これら複数の指の指紋画像を個人の識別の用に供することができる。この場合、例えば、1人の対象者について、左手の親指、右手の親指、左足の第一趾、及び右足の第一趾について順次指紋を撮像することができる。
【0017】
以下、本実施形態による指紋読取装置10の具体的な構成についてさらに
図2乃至
図7を用いて説明する。
図2は、本実施形態による指紋読取装置10を示す平面図であり、指紋読取装置10の表裏面のうちの表面側から見た平面を示している。
図3は、本実施形態による指紋読取装置10を示す縦断面図であり、
図2のA-A線に沿った縦断面を示している。
図4は、本実施形態による指紋読取装置10を示す横断面図であり、
図2のB-B線に沿った横断面を示している。
図5A及び
図5Bは、本実施形態による指紋読取装置10におけるセンサ駆動部の一例を示す概略図である。
図6は、本実施形態による指紋読取装置10を用いて対象者の指の指紋を読み取る様子を示す概略図である。
図7は、本実施形態による指紋読取装置10を示すブロック図である。なお、第1実施形態及びその後の実施形態において参照する各図において、各部材の縮尺は必ずしも一定ではなく、説明の便宜上、誇張して描かれている場合がある。
【0018】
図2乃至
図4に示すように、本実施形態による指紋読取装置10は、筐体106と、イメージセンサ108と、センサカバー110と、一対の側方光源112と、センサ駆動部114と、制御回路116とを有している。
【0019】
筐体106は、上下方向に扁平した薄型で略直方体状の外形を有する中空のものであり、長手方向を前後方向としている。筐体106は、例えば樹脂製のものである。筐体106の長手方向に沿った前側部分及び後側部分のうち、前側部分が載置部102、後側部分が把持部104になっている。載置部102の前端部分は、裏面側から表面側に向かって傾斜するテーパ形状を有している。なお、筐体106の外形は、扁平した略直方体状の外形に限定されるものではなく、あらゆる形状を採用することができる。
【0020】
イメージセンサ108は、載置部102の筐体106内に設けられている。イメージセンサ108は、その撮像面を筐体106の外側に向けるように配置されている。イメージセンサ108の撮像面には、センサカバー110が設けられている。
【0021】
センサカバー110の表面は、指紋を読み取るべき対象者の指の腹が載置されて接触する読取面であるセンサ面118になっている。センサカバー110は、近赤外光を透過する材質の板状部材で構成されており、例えば保護ガラスで構成されている。これにより、後述するように一対の側方光源112から放射されてセンサカバー110上の指内に入射し、指内で散乱した後に指の腹側から放射される近赤外光がイメージセンサ108に入射するようになっている。
【0022】
イメージセンサ108の撮像面は、指紋を撮像する対象となる指(趾)の腹よりも広い面積を有する矩形状の平面形状を有している。イメージセンサ108は、後述の撮像位置で、矩形状の平面形状の長手方向が、筐体106の前後方向に沿うように配置されている。なお、イメージセンサ108の平面形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状を採用することができる。また、イメージセンサ108の裏面には、イメージセンサ108を冷却するための金属等からなるヒートシンクが設けられていてもよい。
【0023】
イメージセンサ108は、指の指紋を読み取る読取部として機能する。イメージセンサ108は、後述するように、センサカバー110のセンサ面118に接触する指の腹から放射されてセンサカバー110を透過した近赤外光を撮像面で受光することにより、指の指紋を撮像して読み取るように構成されている。イメージセンサ108は、二次元イメージセンサであり、例えばCMOSイメージセンサである。また、イメージセンサ108として、CMOSイメージセンサのほか、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いることもできる。イメージセンサ108の画素密度及び画素数は、特に限定されるものではないが、新生児、乳児、及び幼児等の指紋を撮像する場合を考慮すると、例えば1000ppi以上のように高い密度で画素数が多いことが好ましい。具体的には、イメージセンサ108としては、例えば、サイズが幅20mm、長さ30mmであり、画素密度が1270ppiである大型かつ高画素密度の画素数の多いCMOSイメージセンサを用いることができる。
【0024】
イメージセンサ108の前端部は、ヒンジ部120を介して、筐体106における載置部102前端の天板に取り付けられている。ヒンジ部120は、筐体106における載置部102の幅方向に沿った揺動軸を含んでいる。なお、イメージセンサ108の前側や前端部は、指紋読取装置10における端部、すなわち載置部102における把持部104とは反対側の端部を示す。また、イメージセンサ108の後側や後端部は、指紋読取装置10における中央部、すなわち載置部102における把持部104側の端部を示す。
【0025】
イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、載置部102前側の端部に位置するヒンジ部120の揺動軸を支点として揺動可能に設けられている。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1の位置である撮像位置と、撮像位置よりも筐体106内に位置する第2の位置である退避位置との間を移動可能になっている。
【0026】
撮像位置において、イメージセンサ108及びセンサカバー110は、センサカバー110のセンサ面118が載置部102の上下方向に垂直になるように配置される。また、撮像位置に位置するイメージセンサ108及びセンサカバー110は、載置部102内を密閉している。一方、退避位置において、イメージセンサ108及びセンサカバー110は、センサカバー110のセンサ面118が載置部102の後側斜め上方を向くように傾斜して配置される。
【0027】
イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、センサ駆動部114により駆動されて、撮像位置と退避位置との間を移動する。撮像位置において、センサ面118は、載置部102に載置された指の腹に接触する。一方、退避位置において、センサ面118は、載置部102に載置された指の腹が離れる。
【0028】
図3では、撮像位置におけるイメージセンサ108及びセンサカバー110を実線で示し、退避位置におけるイメージセンサ108及びセンサカバー110を一点鎖線で示している。図示するように、撮像位置におけるセンサカバー110のセンサ面118は、載置部102の上下方向に垂直であり、把持部104の表面とほぼ段差のない面一になっている。一方、退避位置におけるセンサカバー110のセンサ面118は、載置部102の前側から後側に向かうに従って、筐体106の内側に入り込むように傾斜している。
【0029】
筐体106の載置部102におけるセンサ面118の両側の領域上には、一対の側方光源112が設けられている。一対の側方光源112は、それぞれ、筐体106の長手方向である載置部102の前後方向に沿って延在するように設けられた線状光源である。一対の側方光源112は、センサ面118の、載置部102の幅方向に対向する端部の両側に設けられ、センサ面118を介して載置部102の幅方向に互いに対向している。一対の側方光源112は、載置部102のセンサ面118上に載置された指に近赤外光を照射する光源である。
【0030】
各側方光源112は、複数の近赤外LED122と、複数の近赤外LED122を覆うように形成された導光部124とを有している。各側方光源112において、複数の近赤外LED122は、載置部102の前後方向に沿って一列に並ぶように配置されている。一列に配置された複数の近赤外LED122は、載置部102の前後方向に沿って設けられた導光部124により覆われている。
【0031】
複数の近赤外LED122は、それぞれ、線状光源を構成する単位光源であり、例えば波長820~980nmの近赤外光を出射する。各近赤外LED122は、筐体106の上下方向において、撮像位置におけるセンサ面118と同じ高さ又は撮像位置におけるセンサ面118よりも高い高さに設けられている。また、各近赤外LED122は、撮像位置におけるセンサ面118の中央上方をその光軸が向くように傾斜して配置されている。各近赤外LED122は、センサ面118に対する光軸の角度が例えば0度よりも大きく90度よりも小さくなるように傾斜して配置されている。
【0032】
こうして各近赤外LED122が傾斜して配置されていることにより、線状光源である各側方光源112は、その光軸が撮像位置に位置するセンサ面118の内側に向かって傾斜し、その光軸がセンサ面118の中央上方を向くように構成されている。各側方光源112は、例えばセンサ面118に対する光軸の角度が例えば0度よりも大きく90度よりも小さくなっている。このように各側方光源112の光軸がセンサ面118の内側に向かって傾斜していることにより、各側方光源112は、十分な光量の近赤外光を、載置部102のセンサ面118上に載置された指に照射することができる。
【0033】
導光部124は、例えばシリコーン等の透光性樹脂その他の透光性材料から構成されている。なお、導光部124を構成する透光性材料は、複数の近赤外LED122が出射する近赤外光に対して透光性を有するものであれば特に限定されるものではなく、種々の透光性材料を用いることができる。
【0034】
導光部124は、載置部102の前後方向に沿って一列に並んだ複数の単位光源である複数の近赤外LED122を覆うように、載置部102の前後方向に沿って形成されている。複数の近赤外LED122を覆う導光部124は、その複数の近赤外LED122から出射された近赤外光を拡散しつつ導光して、載置部102のセンサ面118上に載置された指に向けて出射する。
【0035】
導光部124は、畝状の突出部126と、突出部126と一体的に形成された裾野状の縁端部128とを有している。突出部126は、複数の近赤外LED122を覆って載置部102の上方に突出するように畝状に形成されている。縁端部128は、突出部126のセンサ面118の側に、突出部126から連続的にセンサ面118側に延在するように突出部126と一体的に裾野状に形成されている。縁端部128は、載置部102の上下方向の高さが突出部126よりも低く、センサ面118側に向かうに従って徐々にその高さが低くなっている。
【0036】
突出部126は、例えば、センサ面118とは反対の側である載置部102上方の側に凸の表面を有している。一方、縁端部128は、例えば、センサ面118の側である載置部102下方の側に凸の表面を有している。
【0037】
導光部124は、センサ面118の端部上まで部分的に張り出して延在するように形成されている。より具体的には、導光部124において、突出部126の縁端部128側の一部及び縁端部128が、センサ面118の端部上に張り出してセンサ面118の端部上に位置している。このように一部が張り出した導光部124は、そのセンサ面118側の表面が、センサ面118上の指のセンサ面118側の表面に接触するように構成されている。こうして、導光部124は、センサ面118の端部上まで部分的に張り出して延在するように形成されていることで、載置部102に載置された指を支持可能に構成されている。
【0038】
突出部126の縁端部128側の一部及び縁端部128が張り出してセンサ面118の端部上に位置する幅である張り出し幅は、載置部102の前後方向にわたって一定になっている。突出部126の縁端部128側の一部及び縁端部128の張り出し幅は、特に限定されるものではなく、対象者となる年齢層の指の大きさ等に応じて適宜設定することができる。例えば、新生児を対象者とする場合、幅20mmのイメージセンサ108に対して、その両側の導光部124は、それぞれ、突出部126の縁端部128側の一部及び縁端部128の張り出し幅が5mmになるように構成することができる。この場合、両側の縁端部128の間に露出するセンサ面118の幅は10mmとなる。
【0039】
導光部124のセンサ面118の端部上に張り出して位置する部分である突出部126の一部及び縁端部128のセンサ面118側の下面には、遮光部130が設けられている。遮光部130が設けられた突出部126の一部及び縁端部128のセンサ面118側の下面は、撮像位置におけるセンサ面118に平行な平坦な面になっている。
【0040】
遮光部130は、近赤外LED122から出射された近赤外光が、突出部126及び縁端部128から指を介さずに直接イメージセンサ108に入射することを防止するために設けられている。指を介さずに直接イメージセンサ108に近赤外光が入射することを遮光部130により防止することにより、ノイズ光を低減してさらに高品質の指紋画像を取得することができる。なお、遮光部130は、遮光部130に入射する近赤外光を反射することにより近赤外光を遮光する反射型のものであってもよいし、遮光部130に入射する近赤外光を吸収することにより近赤外光を遮光する吸収型のものであってもよい。遮光部130としては、このように近赤外光を反射又は吸収することにより近赤外光を遮光する遮光材料からなるフィルム、箔、シートその他の遮光部材を用いることができる。
【0041】
本実施形態による指紋読取装置10において、導光部124では、突出部126のみならず、突出部126よりもセンサ面118に近い縁端部128から、センサ面118上の指に向けて近赤外光を照射することができる。さらに、縁端部128又は縁端部128及び突出部126は、センサ面118に載置された指のセンサ面118側の表面に接触する。このような縁端部128により、センサ面118上の指の中に入射する近赤外光の光量を増大させることができる。したがって、本実施形態によれば、コントラストの高い高品質の指紋画像を取得することができる。
【0042】
また、各側方光源112における導光部124は、上述のように複数の近赤外LED122から出射された近赤外光を導光するのみならず、載置部102のセンサ面118上に載置された指を支持可能に構成された支持部として機能する。すなわち、導光部124において、センサ面118の端部上に張り出して位置する突出部126の一部及び縁端部128は、
図4に示すように、センサ面118上の指Fのセンサ面118側の表面に接触して指Fをセンサ面118側から支持するようになっている。このような導光部124が設けられていることにより、指紋を撮像すべき指を安定して支持して、センサ面118に対する指の位置ずれを抑制、さらには防止することができる。
【0043】
特に、本実施形態による指紋読取装置10は、上述のようにイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が撮像位置と退避位置との間で移動する構成になっている。このような構成において、突出部126の一部及び縁端部128が、指Fのセンサ面118側の表面に接触して指Fをセンサ面118側から支持する。これにより、イメージセンサ108及びセンサカバー110の移動に起因する指Fの位置ずれを抑制、さらには防止することができる。例えば、イメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置から退避位置に移動した場合であっても、その移動に伴う指Fの位置ずれを抑制、さらには防止することができる。
【0044】
イメージセンサ108は、撮像位置において、センサ面118に載置された指の指紋を撮像して読み取る。ここで、センサ駆動部114は、後述するように、撮像位置において指に接触するセンサ面118を、撮像位置から退避位置に移動させ、さらに退避位置から撮像位置に移動させて復帰させる。この場合において、イメージセンサ108は、退避位置から撮像位置に復帰したセンサ面118に接触する指の指紋を撮像して読み取る。
【0045】
イメージセンサ108は、指内で散乱して指の表面から出射した近赤外光により指紋を撮像して読み取る。イメージセンサ108により指紋が撮像される原理は次のとおりである。指紋の撮像に際しては、センサカバー110のセンサ面118に指の腹を接触させた状態で、一対の側方光源112から近赤外光が放射される。一対の側方光源112から放射された近赤外光は、センサカバー110上の指内に入射する。指内に入射した近赤外光は、指内で散乱した後、指外に指の表面から出射する。指外に出射した近赤外光は、指紋の隆線部から出射するか谷線部から出射するかに応じて、その強度が異なったものとなる。
【0046】
指紋の隆線部から指外に出射した近赤外光は、隆線部がセンサカバー110のセンサ面118に接触しているため、大きく減衰することなく、比較的高い強度でイメージセンサ108に到達して入射する。一方、指紋の谷線部から指外に出射した近赤外光は、谷線部がセンサ面118に接触していないため、谷線部とセンサ面118との間に存在する空気層により拡散される。これとともに、皮膚と空気及び空気とセンサカバー110の界面において屈折率の違いにより反射と屈折現象が起こる。このため、谷線部から出射した近赤外光は、隆線部から出射した近赤外光と比較して大きく減衰し、比較的低い強度でイメージセンサ108に到達して入射するか、イメージセンサ108へ到達することができない。
【0047】
この結果、イメージセンサ108には、指紋の隆線部と谷線部との間に明暗差が存在する指紋像が結像される。すなわち、結像される指紋像においては、指紋の隆線部が明部となり、谷線部が暗部となる。こうして、指内で散乱して指外に出射する近赤外光をイメージセンサ108で受光することにより指紋が撮像される。
【0048】
指の指紋を撮像したイメージセンサ108は、その指紋画像を構成する画像データを出力する。後述するように、イメージセンサ108から出力された画像データは、制御回路116を経た後、通信ケーブル30を介して画像処理装置20に転送される。画像データが転送された画像処理装置20は、転送された画像データに基づき、指紋画像の表示、記録等を行う。
【0049】
センサ駆動部114は、載置部102の筐体106内においてイメージセンサ108の後端部の下に設けられている。センサ駆動部114は、揺動可能に筐体106に取り付けられたイメージセンサ108の後端部を下降、上昇させるように駆動して、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて移動させる駆動部である。
【0050】
具体的には、センサ駆動部114は、撮像位置に位置するイメージセンサ108の後端部を降下させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて撮像位置から退避位置に移動させる。また、センサ駆動部114は、退避位置に位置するイメージセンサ108の後端部を上昇させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて退避位置から撮像位置に移動させる。こうして、センサ駆動部114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を、撮像位置から退避位置に移動させ、さらに退避位置から撮像位置に移動させて復帰させる。
【0051】
センサ駆動部114の構成は、特定の構成に限定されるものではなく、イメージセンサ108の後端部を降下、上昇させることができるものであればよい。例えば、センサ駆動部114は、アクチュエータとしてソレノイドが用いられたソレノイド式の構成を有するものであってもよい。
図5A及び
図5Bは、センサ駆動部114の一例として、ソレノイド式の構成を有するものを示している。
図5Aは、イメージセンサ108が撮像位置に位置するときのソレノイド式のセンサ駆動部114を示す側面図である。
図5Bは、イメージセンサ108が退避位置に位置するときのソレノイド式のセンサ駆動部114を示す側面図である。
【0052】
図5A及び
図5Bに示すように、ソレノイド式のセンサ駆動部114は、ソレノイド132と、当接部134と、弾性体部材136とを有している。
【0053】
ソレノイド132は、プランジャ138と、コイルを含む本体部140とを有し、通電状態においてプランジャ138が本体部140内に引き込まれるプル型のソレノイドである。ソレノイド132の本体部140は、筐体106の上下方向にプランジャ138が動作するように筐体106の底に設けられている。
【0054】
当接部134は、プランジャ138の上端部に取り付けられている。当接部134は、イメージセンサ108の後端部の下面に当接してイメージセンサ108の後端部を支持している。当接部134と本体部140との間には、当接部134をイメージセンサ108側に付勢するばね等の弾性体部材136が設けられている。
【0055】
ソレノイド132の非通電状態においては、
図5Aに示すように、プランジャ138は、本体部140内に引き込まれていない。さらに、当接部134は、弾性体部材136によりイメージセンサ108側に付勢されている。弾性体部材136により付勢されている当接部134は、イメージセンサ108の後端部の下面に当接してイメージセンサ108の後端部を支持する。非通電状態において、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、撮像位置に位置する。
【0056】
一方、ソレノイド132に通電されると、プランジャ138は、本体部140内に引き込まれる。プランジャ138が本体部140内に引き込まれると、当接部134は、弾性体部材136の付勢力に抗して下降する。これに伴い、当接部134に支持されているイメージセンサ108の後端部も下降する。このため、当接部134は、
図5Bに示すように、非通電状態の位置よりも低い位置でイメージセンサ108の後端部の下面に当接してイメージセンサ108を支持する。こうして、通電状態において、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、退避位置に位置する。
【0057】
さらに、ソレノイド132への通電が停止されると、プランジャ138の本体部140内への引き込みが解除される。さらに、プランジャ138及び当接部134は、弾性体部材136の付勢力により上昇して非通電状態の初期位置に復帰する。これに伴い、当接部134に支持されるイメージセンサ108の後端部も上昇する。こうして、通電状態後の非通電状態において、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、撮像位置に復帰する。
【0058】
こうして、ソレノイド式のセンサ駆動部114は、プランジャ138に取り付けられた当接部134により、イメージセンサ108の後端部を下降、上昇させる。これにより、センサ駆動部114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を撮像位置と退避位置との間で移動させる。
【0059】
上述のように、センサ駆動部114として、ソレノイド132を用いたソレノイド式のものを用いることができる。なお、イメージセンサ108及びセンサカバー110を移動させるセンサ駆動部114の駆動機構は、上述したようなソレノイド132を用いた電気的な機構に限定されるものではない。センサ駆動部114の駆動機構は、電気的に駆動される駆動モータ、リニアアクチュエータ等を用いた他の電気的な機構であってもよいし、手動により操作可能なハンドル、レバー、リンク、アーム等を用いた機械的な機構であってもよい。
【0060】
筐体106の後側部分である把持部104は、指紋の撮像に際して、指紋を撮像すべき対象者の指の撮像を行うユーザが把持する部分である。
【0061】
新生児、乳児、幼児等は、自ら単独では指紋の撮像が不可能又は困難な者である。このため、自ら単独で装置の操作が可能な成年者又は未成年者であるユーザが、指紋読取装置10を操作して、新生児、乳児、幼児等である対象者の指の指紋の撮像を行う。ユーザは、一方の手で把持部104を把持して指紋読取装置10をその前側の載置部102側から、指紋を撮像すべき対象者の親指等の指に向けて移動させる。ユーザは、例えば、把持部104を把持する手の指のうち、親指が筐体106の天板側に位置し、親指以外の4指が筐体106の底板側に位置するように把持部104を側方から把持することができる。さらに、ユーザは、必要に応じて他方の手を使いつつ、
図6に示すように、対象者の指の腹をセンサカバー110のセンサ面118に接触させることができる。なお、
図6には示していないが、ユーザは、把持部104を把持する手の親指等の指先でセンサ面118に接触する対象者の指を押さえてその位置を固定することができる。
【0062】
ユーザにより把持される把持部104の底面には、押しボタン式の移動スイッチ142が設けられている。移動スイッチ142は、これを押下することで、センサ駆動部114を駆動して、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を移動させることができるように構成されている。すなわち、移動スイッチ142は、これを押下することで、イメージセンサ108及びセンサカバー110を、撮像位置から退避位置に移動させ、さらに、退避位置から撮像位置に移動させて復帰させることができるように構成されている。
【0063】
また、把持部104の底面には、押しボタン式のキャプチャスイッチ144が設けられている。キャプチャスイッチ144は、これを押下することで、側方光源112に対する点灯若しくは消灯の指示、イメージセンサ108に対する指紋の撮像の指示、又は画像処理装置20に対する指紋画像の記録の指示を行うことができるように構成されている。
【0064】
把持部104を把持するユーザは、把持部104を把持したままで、把持部104を把持する手の指のうちの筐体106の底板側に位置する4指のいずれかで移動スイッチ142及びキャプチャスイッチ144を押下することができる。
【0065】
また、移動スイッチ142は、移動スイッチ142の押下面と把持部104の底面との間がほぼ平坦になるように、把持部104に埋め込まれるように形成されている。また、キャプチャスイッチ144も、キャプチャスイッチ144の押下面と把持部104の底面との間がほぼ平坦になるように、把持部104に埋め込まれるように形成されている。このように移動スイッチ142及びキャプチャスイッチ144が把持部104の底面に対して突出しないように設けられていることで、移動スイッチ142及びキャプチャスイッチ144の誤った押下を抑制することができる。
【0066】
筐体106の把持部104内には、制御回路116が収容されている。また、把持部104の後側の側端部には、通信ケーブル30が接続されるコネクタ部146が設けられている。
【0067】
図7は、上述した指紋読取装置10の各部を示すブロック図であり、イメージセンサ108、側方光源112、センサ駆動部114、及び制御回路116の詳細を示している。
【0068】
図7に示すように、イメージセンサ108は、画素アレイ148と、タイミングジェネレータ150とを有している。また、イメージセンサ108は、垂直走査回路152と、列増幅回路154と、A/D(Analog/Digital)変換回路156と、水平走査回路158と、信号処理回路160とを有している。
【0069】
画素アレイ148には、複数の画素が行列状に設けられている。各画素は、入射した近赤外光を光電変換することにより画素信号を生成する光電変換素子を有している。タイミングジェネレータ150は、垂直走査回路152及び水平走査回路158を制御するためのタイミング信号を生成して出力する。垂直走査回路152は、画素アレイ148の画素を画素行ごとに走査する。列増幅回路154は、垂直走査回路152の走査により読み出された画素信号を増幅する。A/D変換回路156は、列増幅回路154により増幅された画素信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。水平走査回路158は、A/D変換回路156により変換された画素信号を外部に読み出すために画素列ごとに走査する。信号処理回路160は、水平走査回路158により読み出されてA/D変換回路156から出力された画素信号に対して所定の信号処理を行って、指紋画像を構成する画像データを出力する。信号処理回路160から出力された画像データは、制御回路116に入力される。
【0070】
側方光源112において、複数の近赤外LED122のそれぞれには、近赤外LED122に流れる電流を制限する電流制限抵抗162と、スイッチとなるトランジスタ164とが接続されている。
【0071】
各近赤外LED122のアノード側端子には、電流制限抵抗162の一方の端子が接続されている。各近赤外LED122のカソード側端子には、トランジスタ164のコレクタが接続されている。電流制限抵抗162の他方の端子には、正電源電圧VDDが入力される。トランジスタ164のベースは、制御回路116に接続されており、制御回路116からベースに入力されるスイッチ信号によりトランジスタ164のオンオフが切り替えられる。
【0072】
制御回路116は、CPU(Central Processing Unit)166と、ROM(Read Only Memory)168と、RAM(Random Access Memory)170とを有している。また、制御回路116は、ビデオコントローラ172と、インターフェース(I/F)174と、通信コントローラ176とを有している。さらに、制御回路116は、電圧レギュレータ178を有している。CPU166、ROM168、RAM170、ビデオコントローラ172、I/F174、及び通信コントローラ176は、共通のバスライン180に接続されている。
【0073】
CPU166は、指紋読取装置10の動作を制御するためのプログラムを実行して、指紋読取装置10の各部の動作を制御する。ROM168は、CPU166が実行するプログラムを記憶する。また、RAM170は、CPU166がプログラムを実行する際のワーキングエリアとなる。
【0074】
ビデオコントローラ172は、イメージセンサ108の信号処理回路160に接続されており、信号処理回路160から画像データが入力される。ビデオコントローラ172は、バスライン180を介して通信コントローラ176に画像データを転送する。
【0075】
I/F174には、イメージセンサ108のタイミングジェネレータ150が接続されている。これにより、CPU166による制御信号が、I/F174を介してタイミングジェネレータ150に入力される。タイミングジェネレータ150は、I/F174を介して入力された制御信号に基づきタイミング信号を生成して出力する。
【0076】
また、I/F174には、側方光源112における複数のトランジスタ164のベースが接続されている。これにより、CPU166によるスイッチ信号が、I/F174を介してトランジスタ164のベースに入力される。トランジスタ164は、I/F174を介して入力されたスイッチ信号に基づきオンオフが切り替えられる。トランジスタ164のオンオフが切り替えられることにより、近赤外LED122の点灯及び消灯が切り替えられて側方光源112の点灯及び消灯が切り替えられる。
【0077】
センサ駆動部114は、ソレノイド132と、ソレノイド132の駆動を制御するドライバ182とを有している。ドライバ182は、I/F174に接続されている。これにより、CPU166による制御信号が、I/F174を介してドライバ182に入力される。ドライバ182は、I/F174を介して入力された制御信号に基づき、ソレノイド132の駆動を制御する。
【0078】
I/F174には、移動スイッチ142が接続されている。移動スイッチ142の押下に応じて、CPU166によるドライバ182の制御信号の出力がトリガされる。
【0079】
具体的には、イメージセンサ108による指紋の読み取り前の状態では、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が撮像位置に位置している。移動スイッチ142が押下されると、センサ駆動部114において、ドライバ182によりソレノイド132が駆動される。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、撮像位置から退避位置に移動し、さらに退避位置から撮像位置に移動して復帰する。
【0080】
なお、移動スイッチ142は、必ずしも設けられている必要はない。これに代えて、センサ面118に指が接触したことが検知されると、上記と同様に、ドライバ182の制御信号の出力がトリガされて、センサ駆動部114により、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、撮像位置から退避位置に向けて移動するように構成することもできる。このように移動スイッチ142を設けない構成では、センサ面118への指の接触は、例えば、イメージセンサ108により撮像される画像の変化に基づき検知することができ、また、センサ面118に設けたタッチセンサ等の接触を検知しうるセンサにより検知することができる。
【0081】
また、イメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置から退避位置を経て撮像位置に復帰するまでの動作時間は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。ただし、この動作時間は、センサ面118に一旦接触した指の弾性変形が十分に低減される時間に設定することが好ましい。
【0082】
また、I/F174には、キャプチャスイッチ144が接続されている。キャプチャスイッチ144の押下に応じて、CPU166によるイメージセンサ108の制御信号及び側方光源112のスイッチ信号の出力がトリガされる。
【0083】
具体的には、イメージセンサ108の停止状態では、側方光源112も消灯状態であり、この状態でキャプチャスイッチ144が押下されると、側方光源112が点灯するとともに、イメージセンサ108が指紋を撮像する。指紋を撮像したイメージセンサ108は、撮像した指紋画像の画像データを出力する。画像データの出力後、イメージセンサ108は停止状態になり、側方光源112は消灯状態となる。画像処理装置20には、イメージセンサ108が出力した指紋画像の画像データが転送される。
【0084】
通信コントローラ176は、指紋画像の画像データを転送する転送部として機能し、ビデオコントローラ172から転送された画像データを、コネクタ部146に接続された通信ケーブル30を介して画像処理装置20に転送する。通信コントローラ176は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の通信規格に従って通信ケーブル30を介して画像処理装置20と通信するように構成されている。
【0085】
通信ケーブル30は、信号の送受信のための2本の差動信号線と、電力供給のための電源線と、グラウンド線とを有するように構成されている。通信コントローラ176は、通信ケーブル30における2本の差動信号線により信号の送受信を行う。
【0086】
電圧レギュレータ178には、通信ケーブル30の電源線が接続されており、この電源線を介して画像処理装置20における電源回路216(
図8参照)から電力が供給される。電圧レギュレータ178は、供給された電力の電圧を調整して指紋読取装置10の各部に電源として供給する。指紋読取装置10は、このように画像処理装置20から通信ケーブル30を介して供給される電力により動作するバスパワー式のものとなっている。なお、指紋読取装置10は、バスパワー式のものに限定されるものではなく、例えば、内蔵バッテリーにより供給される電力により動作するものであってもよい。
【0087】
一方、画像処理装置20は、指紋を撮像した指紋読取装置10から転送される指紋画像に対して、その表示、記録等の処理を行う画像処理部として機能するものである。画像処理装置20は、例えば、ラップトップ型、タブレット型等のパーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン等のコンピュータ装置により構成することができる。また、画像処理装置20は、指紋読取装置10の動作を制御することもできる。なお、画像処理装置20は、必ずしも後述のディスプレイ214を含むものである必要はなく、表示部を含まないものとして画像処理部を構成することもできる。
【0088】
以下、画像処理装置20の具体的な構成についてさらに
図8を用いて説明する。
図8は、画像処理装置20を示すブロック図である。
【0089】
図8に示すように、画像処理装置20は、CPU202と、ROM204と、RAM206と、HDD(Hard Disk Drive)208と、通信コントローラ210とを有している。また、画像処理装置20は、ディスプレイコントローラ212と、ディスプレイ214とを有している。また、画像処理装置20は、電源回路216と、入力装置218とを有している。CPU202、ROM204、RAM206、HDD208と、通信コントローラ210、ディスプレイコントローラ212、電源回路216、及び入力装置218は、共通のバスライン220に接続されている。また、画像処理装置20は、通信ケーブル30が接続されるコネクタ部222が設けられている。
【0090】
CPU202は、画像処理装置20全体の動作を制御する。また、CPU202は、指紋読取装置10により取得される指紋画像の表示、記録等を行うための画像処理プログラムを実行する。画像処理プログラムは、指紋読取装置10により転送される画像データに対して画像処理を行い、その指紋画像の表示、記録等を行う。
【0091】
ROM204には、ブートプログラム等のプログラムが記録されている。RAM206は、CPU202が処理を実行する際のワーキングエリアとして使用される。また、RAM206は、指紋読取装置10から転送される指紋画像の画像データが一時的に記憶される画像メモリとしても機能する。HDD208には、CPU202が実行する画像処理プログラム等のプログラムが記録されている。
【0092】
また、HDD208は、指紋読取装置10により撮像された指紋画像を記録する記録部としても機能する。CPU202は、記録制御部として機能し、指紋画像をHDD208に記録する。なお、指紋画像を記録する記録部は、HDD208に限定されるものではなく、HDD208に代えて、種々の記録装置を記録部として用いることができる。指紋画像を記録する記録部は、HDD208のように画像処理装置20に内蔵されていてもよいし、画像処理装置20とは別個独立の外部記録装置であってもよい。
【0093】
通信コントローラ210は、指紋画像の画像データを受信する受信部として機能し、コネクタ部222に接続された通信ケーブル30を介して、指紋読取装置10の通信コントローラ176から転送される画像データを受信する。通信コントローラ210により受信された画像データは、画像メモリとしてのRAM206に一時的に記憶される。通信コントローラ210は、通信コントローラ176に対応して、例えばUSB等の通信規格に従って通信ケーブル30を介して指紋読取装置10と通信するように構成されている。通信コントローラ210は、通信コントローラ176に対応して、通信ケーブル30における2本の差動信号線により信号の送受信を行うように構成されている。
【0094】
ディスプレイコントローラ212には、指紋画像を表示する表示部として機能するディスプレイ214が接続されている。ディスプレイコントローラ212は、CPU202と協働して表示制御部として機能し、CPU202により実行される画像処理プログラムの表示画面をディスプレイ214に描画して表示する。ディスプレイ214に表示される画像処理プログラムの表示画面は、撮像された指紋画像が表示されるプレビューウィンドウを含んでいる。なお、ディスプレイ214は、特に限定されるものではないが、例えば液晶ディスプレイである。また、ディスプレイ214は、ラップトップ型、タブレット型等のPCである画像処理装置20に内蔵されたものであってもよいし、画像処理装置20とは別個に設けられた外部ディスプレイであってもよい。
【0095】
電源回路216は、画像処理装置20の内蔵電源の電力、又は画像処理装置20に接続された外部電源の電力を指紋読取装置10に供給する。電源回路216は、通信ケーブル30における電源線及びグラウンド線が接続され、電源線を介して指紋読取装置10の電圧レギュレータ178に電力を供給する。
【0096】
入力装置218は、例えば、キーボード、マウス等である。また、入力装置218は、ディスプレイ214に組み込まれたタッチパネルであってもよい。操作者は、入力装置218を介して、ディスプレイ214に表示される画像処理プログラムにおいて、対象者の識別番号(ID)、氏名等の文字情報を入力したり、指の種別に関する情報を選択したりすることができる。また、撮像条件等の設定を行うことができる。
【0097】
こうして、本実施形態による指紋読取システム1が構成されている。
【0098】
次に、本実施形態による指紋読取装置10の動作についてさらに
図9A乃至
図9C、及び
図10A乃至
図10Cを用いて説明する。
図9A乃至
図9Cは、本実施形態による指紋読取装置10の動作を説明する概略図である。
図9A乃至
図9Cは、センサ面118に指Fが接触してから指紋を撮像するまでの間の指Fとイメージセンサ108及びセンサカバー110との位置関係を示している。簡単のため、
図9A乃至
図9Cでは、側方光源112を省略している。
図10A乃至
図10Cは、本実施形態による指紋読取装置10により指紋を読み取る際に指紋の弾性変形が低減される原理を説明する概略図である。
図10Aは、読み取るべき理想的な指紋を模式的に示す概略図である。
図10Bは、大きく弾性変形した指から読み取られる指紋を模式的に示す概略図である。
図10Cは、弾性変形が低減された指から読み取られる指紋を模式的に示す概略図である。
【0099】
指紋読取装置10が停止した状態において、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、撮像位置に位置している。まず、このイメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置に位置している状態で、
図9Aに示すように、ユーザは、対象者の指Fの腹を、指紋読取装置10のセンサ面118に接触させる。例えば、指Fの腹には、筐体106の長手方向、すなわち載置部102の前後方向に指Fが沿うように、筐体106の前側である載置部102の前側からセンサ面118を滑り込ませてセンサ面118に接触させる。
【0100】
指Fの腹がセンサ面118に接触した状態では、一対の側方光源112のそれぞれにおいて、センサ面118の端部上に張り出して位置する突出部126の一部及び縁端部128が、センサ面118上に載置された指Fのセンサ面118側の表面に接触する。指Fのセンサ面118側の表面に接触した突出部126の一部及び縁端部128は、センサ面118に接触した指Fをセンサ面118側から支持する。
【0101】
ここで、上述のように指Fをセンサ面118に接触させると、センサ面118が滑り込む方向に受ける力その他の力により、センサ面118に接触した指Fには、大きな弾性変形が生じる場合がある。特に、新生児や乳幼児の指のような指Fの場合、水分比率が高いため、比較的に柔らかく、大きな弾性変形が生じうる。また、上述のように指Fの腹にセンサ面118を滑り込ませた場合、指Fの先端側の部分は、根本側の部分よりも長時間にわたりセンサ面118が滑り込む方向に力を受けることになる。このため、指Fの先端側の部分は、根本側の部分と比較して、より大きく弾性変形しうる。
【0102】
指Fに大きな弾性変形が生じた状態で指紋を読み取ると、読み取られる指紋は、全体的に又は局所的に大きく変形し、理想的な指紋とは大きく異なるものとなる。例えば、大きな弾性変形が生じた指Fから読み取られる指紋は、
図10Aに示す理想的な指紋と比較して、
図10Bに示すようにセンサ面118が滑り込む方向、すなわち指Fの長手方向に全体的に縮まったものとなる。なお、指紋は、縮むのみならず、指Fに加わる力に応じて、伸びたり、撓んだりする等、様々な態様で変形しうる。また、指紋は、
図10Bに示すように全体的に変形することもあれば、その一部が局所的に変形することもありうる。
【0103】
次いで、センサ面118に指Fの腹が接触した状態で、ユーザは、移動スイッチ142を押下する。移動スイッチ142の押下により、指紋読取装置10に対して、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動を指示する駆動指示信号を入力する。
【0104】
指紋読取装置10のCPU166は、移動スイッチ142の押下により入力された駆動指示信号に応じて、センサ駆動部114を駆動して、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を駆動する。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、イメージセンサ108の前端部を筐体106に取り付けるヒンジ部120の揺動軸を支点として揺動する。
【0105】
なお、移動スイッチ142を設けない構成では、移動スイッチ142の押下に代えて、センサ面118に指Fの腹が接触したことが検知されると、上記と同様に、駆動指示信号が入力され、センサ駆動部114によりイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が駆動される。
【0106】
揺動するイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、まず、
図9Bに示すように、後端部が下降して、撮像位置から退避位置に移動する。退避位置では、センサ面118が、指Fの腹から離れる。移動スイッチ142を設けない構成では、センサ面118に指Fの腹が接触したことが検知されると、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、後端部が下降して、撮像位置から退避位置に向けて移動する。
【0107】
続いて、退避位置に移動したイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、
図9Cに示すように、後端部が上昇して、退避位置から撮像位置に移動して復帰する。復帰した撮像位置では、センサ面118が、再び指Fの腹に接触する。
【0108】
なお、指紋読取装置10のCPU166は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の後端部が下降から上昇に切り替わるトリガとして、種々のトリガを用いることができる。例えば、CPU166は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の後端部が下降して、センサ面118が指Fから離れたことを検知すると、これをトリガとして、イメージセンサ108及びセンサカバー110の後端部を上昇させるように、センサ駆動部114を駆動させることができる。すなわち、撮像位置から退避位置に向かうセンサ面118が指Fから離れたことを検知すると、センサ駆動部114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を撮像位置に向けて移動させる。センサ面118が指Fから離れたことは、例えば、イメージセンサ108により撮像される画像の変化に基づき検知することができ、また、センサ面118に設けたタッチセンサ等の接触を検知しうるセンサにより検知することができる。
【0109】
また、ユーザが移動スイッチ142を用いて手動でイメージセンサ108及びセンサカバー110を移動させる場合、次のように構成することもできる。すなわち、移動スイッチ142を再度押下することにより、撮像位置から退避位置に向かうイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、移動方向を変えて退避位置から撮像位置に向かって移動するように構成することもできる。この場合、例えば指紋読取装置10のCPU166又は画像処理装置20のCPU202は、センサ面118が指Fから離れたことを検知すると、ユーザに対して、センサ面118が指Fから離れたことを例えば通知ライト、通知音、画面表示等により通知する。これにより、ユーザは、イメージセンサ108及びセンサカバー110の全体を下降させる必要なく、イメージセンサ108及びセンサカバー110を上昇させるタイミングを知ることができる。センサ面118が指Fから離れたことを通知されたユーザは、移動スイッチ142を再度押下する。移動スイッチ142を再度押下されることにより、センサ面118が指Fから離れた位置である退避位置から撮像位置に向かって、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が移動する。
【0110】
このように、本実施形態では、退避位置において、センサ面118が、指Fの腹から一旦離れる。続いて、退避位置から復帰した撮像位置において、センサ面118が、再び指Fの腹に接触する。センサ面118が指Fの腹から一旦離れることにより、はじめにセンサ面118が接触した際に生じた指Fの弾性変形を低減、さらには解消することができる。本実施形態では、こうして指Fの弾性変形を低減、さらには解消してから、以下に述べるようにして指Fの指紋を撮像して読み取り、指紋画像を取得する。したがって、本実施形態によれば、比較的に柔らかく容易に弾性変形しうる指Fの指紋を読み取る場合であっても、指紋を適切に読み取ることができ、高品質の指紋画像を取得することができる。指Fに生じた弾性変形を低減等して指紋を読み取ると、読み取られる指紋は、
図10Cに示すように、
図10Aに示す理想的な指紋とほぼ同様のものとなる。
【0111】
また、本実施形態では、イメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置から退避位置に移動し、さらに撮像位置に復帰するまでの間、導光部124が指Fを支持している。すなわち、この間、導光部124のセンサ面118の端部上に張り出して位置する部分である突出部126の一部及び縁端部128が、指Fをセンサ面118側から支持している。したがって、本実施形態によれば、センサ面118が指Fの腹から一旦離れるにもかかわらず、指Fの位置ずれを抑制、さらには防止することができ、よって、指Fの指紋をさらに適切に読み取ることができ、さらに高品質の指紋画像を取得することができる。
【0112】
ところで、特開2005-182474号公報には、指が載置部に置かれたことを検知すると、モータによって指紋センサを載置部に上昇移動させる構成が記載されている。この構成では、指紋の読み取り時以外は指紋センサが載置部から離されて下降位置に位置するため、筐体内の密閉性を確保することが困難であり、よって防塵性等に問題があった。一方、本実施形態では、イメージセンサ108及びセンサカバー110が、通常、載置部102内を密閉する撮像位置に位置しており、指紋を読み取る際に、撮像位置から退避位置に移動し、さらに退避位置から撮像位置に移動して復帰する。このように、本実施形態では、通常はイメージセンサ108及びセンサカバー110が載置部102内を密閉しているため、優れた防塵性を確保することができる。
【0113】
次いで、指紋読取装置10のセンサ面118に再び指Fの腹が接触した状態で、ユーザは、キャプチャスイッチ144を押下する。このキャプチャスイッチ144の押下により、指紋読取装置10に対して、撮像を指示する撮像指示信号を入力する。
【0114】
指紋読取装置10のCPU166は、キャプチャスイッチ144の押下により入力された撮像指示信号に応じて、イメージセンサ108を駆動するとともに、側方光源112を点灯する。これにより、指紋読取装置10は、イメージセンサ108で指Fの指紋を撮像して読み取り、指紋画像を取得する。指紋画像の取得後、指紋読取装置10のCPU166は、側方光源112を消灯する。
【0115】
また、指紋読取装置10のCPU166は、指紋画像を取得すると、通信ケーブル30を介して、取得した指紋画像の画像データを画像処理装置20に転送する。
【0116】
指紋画像の画像データが転送された画像処理装置20において、CPU202は、画像メモリとしてのRAM206に画像データを一時的に記憶した後、画像データに所定の画像処理を施す。さらに、画像処理装置20のCPU202は、ディスプレイ214に指紋画像を表示する。また、画像処理装置20のCPU202は、ユーザによる記録指示の入力に応じて又は自動的に指紋画像をHDD208等に記録する。
【0117】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図11乃至
図13Cを用いて説明する。なお、上記第1実施形態による指紋読取装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0118】
本実施形態による指紋読取装置の基本的構成は、上記第1実施形態による指紋読取装置10の構成とほぼ同様である。本実施形態による指紋読取装置は、イメージセンサ108が筐体106に取り付けられた位置、及びイメージセンサ108のセンサ駆動部114により支持されて下降、上昇される部分に関する点で、第1実施形態による指紋読取装置10とは異なっている。
【0119】
以下、本実施形態による指紋読取装置の具体的な構成について
図11及び
図12を用いて説明する。
図11は、本実施形態による指紋読取装置を示す平面図であり、指紋読取装置の表裏面のうちの表面側から見た平面を示している。
図12は、本実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図であり、
図11のA-A線に沿った縦断面を示している。
【0120】
図11及び
図12に示すように、本実施形態による指紋読取装置2010では、第1実施形態と異なり、イメージセンサ108の後端部が、ヒンジ部2120を介して、筐体106における把持部104の天板前端に取り付けられている。ヒンジ部2120は、筐体106における載置部102の幅方向に沿った揺動軸を含んでいる。
【0121】
イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、載置部102後側の端部に位置するヒンジ部2120の揺動軸を支点として揺動可能に設けられている。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1の位置である撮像位置と、撮像位置よりも筐体106内に位置する第2の位置である退避位置との間を移動可能になっている。
【0122】
撮像位置において、イメージセンサ108及びセンサカバー110は、第1実施形態と同様に、センサカバー110のセンサ面118が載置部102の上下方向に垂直になるように配置される。また、撮像位置に位置するイメージセンサ108及びセンサカバー110は、第1実施形態と同様に、載置部102内を密閉している。一方、退避位置において、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、イメージセンサ108及びセンサカバー110は、センサカバー110のセンサ面118が載置部102の前側斜め上方を向くように傾斜して配置される。
【0123】
イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1実施形態によるセンサ駆動部114と同様のセンサ駆動部2114により駆動されて、撮像位置と退避位置との間を移動する。
【0124】
図12では、撮像位置におけるイメージセンサ108及びセンサカバー110を実線で示し、退避位置におけるイメージセンサ108及びセンサカバー110を一点鎖線で示している。図示するように、撮像位置におけるセンサカバー110のセンサ面118は、第1実施形態と同様に、載置部102の上下方向に垂直であり、把持部104の表面とほぼ段差のない面一になっている。一方、退避位置におけるセンサカバー110のセンサ面118は、第1実施形態とは異なり、載置部102の後側から前側に向かうに従って、筐体106の内側に入り込むように傾斜している。
【0125】
本実施形態による指紋読取装置2010は、第1実施形態によるセンサ駆動部114に代えて、センサ駆動部2114を有している。センサ駆動部2114は、載置部102の筐体106内においてイメージセンサ108の前端部の下に設けられている。センサ駆動部2114は、第1実施形態によるセンサ駆動部114と同様の駆動機構を有すものである。
【0126】
センサ駆動部2114は、揺動可能に筐体106に取り付けられたイメージセンサ108の前端部を下降、上昇させるように駆動して、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて移動させるものである。
【0127】
具体的には、センサ駆動部2114は、撮像位置に位置するイメージセンサ108の前端部を下降させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて撮像位置から退避位置に移動させる。また、センサ駆動部2114は、退避位置に位置するイメージセンサ108の前端部を上昇させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を揺動させて退避位置から撮像位置に移動させる。こうして、センサ駆動部2114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を、撮像位置から退避位置に移動させ、さらに退避位置から撮像位置に移動させて復帰させる。
【0128】
センサ駆動部2114の構成は、第1実施形態によるセンサ駆動部114と同様に、特定の構成に限定されるものではなく、イメージセンサ108の前端部を降下、上昇させることができるものであればよい。例えば、センサ駆動部2114は、第1実施形態によるセンサ駆動部114と同様に、アクチュエータとしてソレノイドが用いられたソレノイド式の構成を有するものであってもよい。
【0129】
次に、本実施形態による指紋読取装置2010の動作についてさらに
図13A乃至
図13Cを用いて説明する。
図13A乃至
図13Cは、本実施形態による指紋読取装置2010の動作を説明する概略図である。
図13A乃至
図13Cは、センサ面118に指Fが接触してから指紋を撮像するまでの間の指Fとイメージセンサ108及びセンサカバー110との位置関係を示している。簡単のため、
図13A乃至
図13Cでは、側方光源112を省略している。
【0130】
まず、第1実施形態と同様に、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が撮像位置に位置している状態で、
図13Aに示すように、ユーザは、対象者の指Fの腹を、指紋読取装置2010のセンサ面118に接触させる。指Fの腹がセンサ面118に接触した状態では、第1実施形態と同様に、指Fのセンサ面118側の表面に接触した突出部126の一部及び縁端部128が、センサ面118に接触した指Fをセンサ面118側から支持する。
【0131】
次いで、センサ面118に指Fの腹が接触した状態で、ユーザは、第1実施形態と同様に、移動スイッチ142を押下する。移動スイッチ142の押下により、指紋読取装置2010に対して、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動を指示する駆動指示信号を入力する。
【0132】
指紋読取装置2010のCPU166は、移動スイッチ142の押下により入力された駆動指示信号に応じて、センサ駆動部2114を駆動して、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を駆動する。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、イメージセンサ108の後端部を筐体106に取り付けるヒンジ部2120の揺動軸を支点として揺動する。
【0133】
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に移動スイッチ142を設けない構成とすることができる。この場合、センサ面118に指Fの腹が接触したことが検知されると、上記と同様に、駆動指示信号が入力され、センサ駆動部2114によりイメージセンサ108及びセンサカバー110が駆動される。
【0134】
揺動するイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、まず、
図13Bに示すように、前端部が下降して、撮像位置から退避位置に移動する。退避位置では、センサ面118が、指Fの腹から離れる。移動スイッチ142を設けない構成では、センサ面118に指Fの腹が接触したことが検知されると、イメージセンサ108及びセンサカバー110は、前端部が下降して、撮像位置から退避位置に向けて移動する。
【0135】
続いて、退避位置に移動したイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、
図13Cに示すように、前端部が上昇して、退避位置から撮像位置に移動して復帰する。復帰した撮像位置では、センサ面118が、再び指Fの腹に接触する。
【0136】
なお、指紋読取装置2010のCPU166は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の前端部が下降から上昇に切り替わるトリガとして、種々のトリガを用いることができる。例えば、CPU166は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の前端部が下降して、センサ面118が指Fから離れたことを検知すると、これをトリガとして、イメージセンサ108及びセンサカバー110の前端部を上昇させるように、センサ駆動部2114を駆動させることができる。すなわち、撮像位置から退避位置に向かうセンサ面118が指Fから離れたことを検知すると、センサ駆動部2114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を撮像位置に向けて移動させる。センサ面118が指Fから離れたことは、第1実施形態と同様に検知することができる。
【0137】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、移動スイッチ142を再度押下することにより、撮像位置から退避位置に向かうイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、移動方向を変えて退避位置から撮像位置に向かって移動するように構成することもできる。
【0138】
このように、本実施形態でも、退避位置において、センサ面118が、指Fの腹から一旦離れる。続いて、退避位置から復帰した撮像位置において、センサ面118が、再び指Fの腹に接触する。これにより、本実施形態においても、はじめにセンサ面118に接触した際に生じた指Fの弾性変形を低減、さらには解消することができる。したがって、本実施形態によれば、比較的に柔らかく容易に弾性変形しうる指Fの指紋を読み取る場合であっても、指紋を適切に読み取ることができ、高品質の指紋画像を取得することができる。
【0139】
また、本実施形態でも、イメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置から退避位置に移動し、さらに撮像位置に復帰するまでの間、導光部124における突出部126の一部及び縁端部128が、指Fをそのセンサ面118側から支持している。したがって、本実施形態によれば、センサ面118が指Fの腹から一旦離れるにもかかわらず、指Fの位置ずれを抑制、さらには防止することができ、よって、指Fの指紋をさらに適切に読み取ることができ、さらに高品質の指紋画像を取得することができる。
【0140】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、通常はイメージセンサ108及びセンサカバー110が載置部102内を密閉しているため、優れた防塵性を確保することができる。
【0141】
以後の動作は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0142】
なお、上記第1及び第2実施形態では、イメージセンサ108の前端部又は後端部が、ヒンジ部2120を介して筐体106に取り付けられている場合について説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、イメージセンサ108の一方の側端部が、ヒンジ部を介して筐体106における載置部102の一方の側方部に揺動可能に取り付けられていてもよい。この場合、ヒンジ部は、例えば、筐体106における載置部102の前後方向に沿った揺動軸を含んでいる。また、この場合、載置部102内には、イメージセンサ108の他方の側端部を下降、上昇させるように駆動する、センサ駆動部114と同様のセンサ駆動部を設けることができる。
【0143】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図14乃至
図17Cを用いて説明する。なお、上記第1及び第2実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0144】
本実施形態による指紋読取装置の基本的構成は、上記第1実施形態による指紋読取装置10の構成とほぼ同様である。本実施形態による指紋読取装置は、イメージセンサ108及びセンサカバー110が移動する態様に関する点で、第1実施形態による指紋読取装置10とは異なっている。
【0145】
以下、本実施形態による指紋読取装置の具体的な構成について
図14乃至
図16Bを用いて説明する。
図14は、本実施形態による指紋読取装置を示す平面図であり、指紋読取装置の表裏面のうちの表面側から見た平面を示している。
図15は、本実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図であり、
図14のA-A線に沿った縦断面を示している。
図16A及び
図16Bは、本実施形態による指紋読取装置におけるセンサ駆動部の一例を示す概略図である。
【0146】
図14及び
図15に示すように、本実施形態による指紋読取装置3010では、第1実施形態とは異なり、イメージセンサ108が、センサ駆動部3114を介して、載置部102の筐体106内の底に取り付けられている。
【0147】
イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、センサ駆動部3114を介して、筐体106の上下方向に平行移動可能になっている。イメージセンサ108及びセンサカバー110の平行移動可能な方向は、センサ面118に対して垂直な方向になっている。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1の位置である撮像位置と、撮像位置よりも筐体106内に位置する第2の位置である退避位置との間を移動可能になっている。本実施形態では、第1実施形態とは異なり、退避位置においても、イメージセンサ108及びセンサカバー110は傾斜することなく、センサカバー110のセンサ面118が、筐体106の上下方向に垂直なままとなる。なお、撮像位置に位置するイメージセンサ108及びセンサカバー110は、第1実施形態と同様に、載置部102内を密閉している。
【0148】
イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、センサ駆動部3114により駆動されて、撮像位置と退避位置との間を移動する。
【0149】
図15では、撮像位置におけるイメージセンサ108及びセンサカバー110を実線で示し、退避位置におけるイメージセンサ及びセンサカバー110を一点鎖線で示している。図示するように、撮像位置におけるセンサカバー110のセンサ面118は、第1実施形態と同様に、載置部102の上下方向に垂直であり、把持部104の表面とほぼ段差のない面一になっている。一方、退避位置におけるセンサカバー110のセンサ面118は、撮像位置に位置するときよりも筐体106内に位置するとともに、載置部102の上下方向に垂直なままとなっている。
【0150】
本実施形態による指紋読取装置3010は、第1実施形態によるセンサ駆動部114に代えて、センサ駆動部3114を有している。センサ駆動部3114は、載置部102の筐体106においてイメージセンサ108の中央部の下に設けられている。センサ駆動部3114の上部には、イメージセンサ108が取り付けられている。
【0151】
センサ駆動部3114は、その上部に取り付けられたイメージセンサ108を下降、上昇させるように駆動して、イメージセンサ108及びセンサカバー110を平行移動させて移動させるものである。
【0152】
具体的には、センサ駆動部3114は、撮像位置に位置するイメージセンサ108の全体を下降させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を平行移動させて撮像位置から退避位置に移動させる。また、センサ駆動部3114は、退避位置に位置するイメージセンサ108の全体を上昇させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を平行移動させて退避位置から撮像位置に移動させる。こうして、センサ駆動部3114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を、撮像位置から退避位置に移動させ、さらに退避位置から撮像位置に移動させて復帰させる。
【0153】
センサ駆動部3114の構成は、特定の構成に限定されるものではなく、イメージセンサ108の全体を降下、上昇させることができるものであればよい。例えば、センサ駆動部3114は、パンタグラフ機構が用いられたパンタグラフ式の構成を有するものであってもよい。
図16A及び
図16Bは、センサ駆動部3114の一例として、パンタグラフ式の構成を有するものを示している。
図16Aは、イメージセンサ108が撮像位置に位置するときのパンタグラフ式のセンサ駆動部3114を示す側面図である。
図16Bは、イメージセンサ108が退避位置に位置するときのパンタグラフ式のセンサ駆動部3114を示す側面図である。
【0154】
図16A及び
図16Bに示すように、パンタグラフ式のセンサ駆動部3114は、基台3116と、パンタグラフアーム3118を含むパンタグラフ機構と、支持部3120とを有している。なお、パンタグラフアーム3118は、平行に例えば2つ並んで設けられている。また、パンタグラフ式のセンサ駆動部3114は、パンタグラフアーム3118を駆動する駆動機構3122を有している。
【0155】
基台3116は、載置部102における筐体106内の底に設けられている。支持部3120は、パンタグラフアーム3118を介して基台3116上に設けられている。駆動機構3122は、基台3116上に設けられている。
【0156】
パンタグラフアーム3118の下側の一端及び他端は、基台3116に軸支されている。パンタグラフアーム3118の下側の一端及び他端のうちの一端は、基台3116に沿ってスライド可能になっている。パンタグラフアーム3118の上側の一端及び他端は、支持部3120に軸支されている。パンタグラフアーム3118の上側の一端及び他端のうちの一端は、支持部3120に沿ってスライド可能になっている。
【0157】
駆動機構3122は、パンタグラフアーム3118の下側の一端をスライド駆動するものである。駆動機構3122は、特定の機構に限定されるものではなく、電気的にスライド駆動するものであってもよいし、機械的にスライド駆動するものであってもよい。例えば、駆動機構3122として、駆動モータにより回転されるボールねじや、ソレノイド等によりパンタグラフアーム3118の下側の一端をスライド駆動する電気的な駆動機構を用いることができる。また、例えば、駆動機構3122として、手動操作されるレバー等によりパンタグラフアーム3118の下側の一端をスライド駆動する機械的な駆動機構を用いることができる。
【0158】
パンタグラフアーム3118は、その下側の一端が駆動機構3122により駆動されてスライドすることにより、筐体106の上下方向に伸縮する。すなわち、パンタグラフアーム3118は、その下側の一端が他端に近づくように、その下側の一端が駆動機構3122により駆動されてスライドすることにより伸長する。また、パンタグラフアーム3118は、その下側の一端が他端から離れるように、その下側の一端が駆動機構3122により駆動されてスライドすることにより収縮する。
【0159】
支持部3120には、イメージセンサ108が取り付けられている。筐体106の上下方向に対してセンサ面118が垂直になるようにイメージセンサ108及びセンサカバー110を支持している。
【0160】
図16Aに示すように、パンタグラフアーム3118が伸長した状態では、支持部3120により支持されたイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、撮像位置に位置する。
【0161】
図16Bに示すように、駆動機構3122によりパンタグラフアーム3118が伸長した状態から収縮した状態になると、支持部3120により支持されたイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、撮像位置から下降する。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、退避位置に移動する。
【0162】
さらに、駆動機構3122によりパンタグラフアーム3118が収縮した状態から伸長した状態になると、支持部3120により支持されたイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、退避位置から撮像位置に移動して復帰する。
【0163】
こうして、パンタグラフ式のセンサ駆動部3114は、パンタグラフアーム3118により、イメージセンサ108及びセンサカバー110の全体を下降、上昇させる。これにより、センサ駆動部3114は、イメージセンサ108及びセンサカバー110を平行移動させて、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を撮像位置と退避位置との間で移動させる。
【0164】
上述のように、センサ駆動部3114として、パンタグラフ機構を有するパンタグラフ式のものを用いることができる。
【0165】
次に、本実施形態による指紋読取装置3010の動作についてさらに
図17A乃至
図17Cを用いて説明する。
図17A乃至
図17Cは、本実施形態による指紋読取装置3010の動作を説明する概略図である。
図17A乃至
図17Cは、センサ面118に指Fが接触してから指紋を撮像するまでの間の指Fとイメージセンサ108及びセンサカバー110との位置関係を示している。簡単のため、
図17A乃至
図17Cでは、側方光源112を省略している。
【0166】
まず、第1実施形態と同様に、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が撮像位置に位置している状態で、
図17Aに示すように、ユーザは、対象者の指Fの腹を、指紋読取装置3010のセンサ面118に接触させる。指Fの腹がセンサ面118に接触した状態では、第1実施形態と同様に、指Fのセンサ面118側の表面に接触した突出部126の一部及び縁端部128が、センサ面118に接触した指Fをセンサ面118側から支持する。
【0167】
次いで、センサ面118に指Fの腹が接触した状態で、ユーザは、第1実施形態と同様に、移動スイッチ142を押下する。移動スイッチ142の押下により、指紋読取装置3010に対して、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動を指示する駆動指示信号を入力する。
【0168】
指紋読取装置3010のCPU166は、移動スイッチ142の押下により入力された駆動指示信号に応じて、センサ駆動部3114を駆動して、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を駆動する。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、筐体106の上下方向に平行移動する。
【0169】
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に移動スイッチ142を設けない構成とすることができる。この場合、センサ面118に指Fの腹が接触したことが検知されると、上記と同様に、駆動指示信号が入力され、センサ駆動部3114によりイメージセンサ108及びセンサカバー110が駆動される。
【0170】
平行移動するイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、まず、
図17Bに示すように、全体が下降して、撮像位置から退避位置に移動する。退避位置では、センサ面118が、指Fの腹から離れる。移動スイッチ142を設けない構成では、センサ面118に指Fの腹が接触したことが検知されると、イメージセンサ108及びセンサカバー110は、全体が下降して、撮像位置から退避位置に向けて移動する。
【0171】
続いて、退避位置に移動したイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、
図17Cに示すように、全体が上昇して、退避位置から撮像位置に移動して復帰する。復帰した撮像位置では、センサ面118が、再び指Fの腹に接触する。
【0172】
なお、指紋読取装置3010のCPU166は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の全体が下降から上昇に切り替わるトリガとして、種々のトリガを用いることができる。例えば、CPU166は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の全体が下降して、センサ面118が指Fから離れたことを検知すると、これをトリガとして、イメージセンサ108及びセンサカバー110の全体を上昇させるように、センサ駆動部3114を駆動させることができる。すなわち、撮像位置から退避位置に向かうセンサ面118が指Fから離れたことを検知すると、センサ駆動部3114は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を撮像位置に向けて移動させる。センサ面118が指Fから離れたことは、第1実施形態と同様に検知することができる。
【0173】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、移動スイッチ142を再度押下することにより、撮像位置から退避位置に向かうイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、移動方向を変えて退避位置から撮像位置に向かって移動するように構成することもできる。
【0174】
このように、本実施形態でも、退避位置において、センサ面118が、指Fの腹から一旦離れる。続いて、退避位置から復帰した撮像位置において、センサ面118が、再び指Fの腹に接触する。これにより、本実施形態においても、はじめにセンサ面118に接触した際に生じた指Fの弾性変形を低減、さらには解消することができる。したがって、本実施形態によれば、比較的に柔らかく容易に弾性変形しうる指Fの指紋を読み取る場合であっても、指紋を適切に読み取ることができ、高品質の指紋画像を取得することができる。
【0175】
また、本実施形態でも、イメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置から退避位置に移動し、さらに撮像位置に復帰するまでの間、導光部124における突出部126の一部及び縁端部128が、指Fをセンサ面118側から支持している。したがって、本実施形態によれば、センサ面118が指Fの腹から一旦離れるにもかかわらず、指Fの位置ずれを抑制することができ、よって、指Fの指紋をさらに適切に読み取ることができ、さらに高品質の指紋画像を取得することができる。
【0176】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、通常はイメージセンサ108及びセンサカバー110が載置部102内を密閉しているため、優れた防塵性を確保することができる。
【0177】
以後の動作は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0178】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図18を用いて説明する。なお、上記第1乃至第3実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0179】
本実施形態による指紋読取装置の基本的構成は、上記第1実施形態による指紋読取装置10とほぼ同様である。本実施形態による指紋読取装置は、側方光源112における導光部の形状に関する点で、第1実施形態による指紋読取装置10とは異なっている。
【0180】
以下、本実施形態による指紋読取装置の具体的な構成について
図18を用いて説明する。
図18は、本実施形態による指紋読取装置を示す平面図であり、
図2に示す第1実施形態による指紋読取装置10の平面と対応する平面を示している。
【0181】
図18に示すように、本実施形態による指紋読取装置4010では、一対の側方光源112のそれぞれが、第1実施形態による導光部124に代えて、導光部4124を有している。なお、導光部4124を構成する透光性材料は、第1実施形態による導光部124と同様である。
【0182】
各側方光源112における導光部4124は、第1実施形態による導光部124と同様に、載置部102の前後方向に沿って形成されている。導光部4124は、畝状の突出部4126と、裾野状の縁端部4128とを有している。突出部4126は、第1実施形態による突出部126と同様のものである。
【0183】
縁端部4128は、第1実施形態による縁端部128と同様に、突出部4126のセンサ面118の側に、突出部4126から連続的にセンサ面118側に延在するように突出部4126と一体的に裾野状に形成されている。縁端部4128は、載置部102の上下方向の高さが突出部4126よりも低く、センサ面118側に向かうに従って徐々にその高さが低くなっている。突出部4126の縁端部4128側の一部及び縁端部4128は、第1実施形態と同様に、センサ面118の端部上に張り出して位置している。
【0184】
さらに、縁端部4128は、第1実施形態による縁端部128とは異なり、センサ面118の端部上に張り出して位置する幅である張り出し幅が一定でない部分を有している。具体的には、縁端部4128は、載置部102の前側部分において、載置部102の前後方向に沿って載置部102の前側に向かうに従って、その張り出し幅が広くなっている。このため、一方の側方光源112における縁端部4128と他方の側方光源112における縁端部4128との間の間隔は、載置部102の前後方向に沿って載置部102の前側に向かうに従って狭くなっている。
【0185】
このように、本実施形態による指紋読取装置4010では、上述のように載置部102の前側部分における縁端部4128の張り出し幅が広くなっている部分により、指紋を読み取るべき指をセンサ面118側からより確実に支持することができる。このため、本実施形態によれば、指紋を読み取るべき指の位置ずれをより確実に抑制することができる。また、縁端部4128の張り出し幅が広くなっている部分は、載置部102の前側部分であるため、イメージセンサ108による指紋の撮像を妨げることもない。したがって、本実施形態によれば、より適切に指紋を読み取ることができ、より高品質の指紋画像を取得することができる。
【0186】
また、指紋の特徴量は、指の付け根部よりも先端部の方が多い。そのため、本実施形態では、
図18に示すように、指の付け根部に対応する縁端部4128が存在していても、指の先端部には開口があるため、指の先端部がセンサ面118に接触することができ、指紋画像を取得することができる。
【0187】
なお、上記では、第1実施形態において導光部124に代えて導光部4124を設けた場合について説明したが、第2及び第3実施形態においても導光部124に代えて導光部4124を設けることができる。
【0188】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図19を用いて説明する。なお、上記第1乃至第4実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0189】
本実施形態による指紋読取装置の基本的構成は、上記第1実施形態による指紋読取装置10の構成とほぼ同様である。本実施形態による指紋読取装置は、側方光源112における導光部の形状に関する点で、第1実施形態による指紋読取装置10とは異なっている。
【0190】
以下、本実施形態による指紋読取装置の具体的な構成について
図19を用いて説明する。
図19は、本実施形態による指紋読取装置を示す平面図であり、
図2に示す第1実施形態による指紋読取装置10の平面と対応する平面を示している。
【0191】
図19に示すように、本実施形態による指紋読取装置5010では、一対の側方光源112のそれぞれが、第1実施形態による導光部124に代えて、導光部5124を有している。なお、導光部5124を構成する透光性材料は、第1実施形態による導光部124と同様である。
【0192】
各側方光源112における導光部5124は、第1実施形態による導光部124と同様に、載置部102の前後方向に沿って形成されている。導光部5124は、畝状の突出部5126と、裾野状の縁端部5128とを有している。突出部5126は、第1実施形態による突出部126と同様のものである。
【0193】
縁端部5128は、第1実施形態による縁端部128と同様に、突出部5126のセンサ面118の側に、突出部5126から連続的にセンサ面118側に延在するように突出部5126と一体的に裾野状に形成されている。縁端部5128は、載置部102の上下方向の高さが突出部5126よりも低く、センサ面118側に向かうに従って徐々にその高さが低くなっている。突出部5126の縁端部5128側の一部及び縁端部5128は、第1実施形態と同様に、センサ面118の端部上に張り出して位置している。
【0194】
さらに、本実施形態では、一方の側方光源112の縁端部5128と、他方の側方光源112の縁端部5128とが、センサ面118上にわたって延在してセンサ面118上で互いに連続するように形成されている。センサ面118上にわたって延在する縁端部5128の下面には、第1実施形態と同様の遮光部130が形成されている。
【0195】
センサ面118上にわたって延在する縁端部5128の中央部には、センサ面118を露出する開口部5130が形成されている。開口部5130は、イメージセンサ108及びセンサカバー110が撮像位置に位置する場合において、指紋を読み取ることができる形状及び面積のセンサ面118が露出するように形成されている。開口部5130の平面形状は、特に限定されるものではないが、例えば、楕円形状、指先形状になっている。
【0196】
このように、本実施形態による指紋読取装置5010では、上述のようにセンサ面118にわたって延在する縁端部5128の開口部5130以外の部分により、指紋を読み取るべき指をセンサ面118側からより確実に支持することができる。このため、本実施形態によれば、指紋を読み取るべき指の位置ずれをより確実に抑制することができる。また、開口部5130を介してイメージセンサ108が指紋を撮像することができるため、イメージセンサ108による指紋の撮像が妨げられることもない。したがって、本実施形態によれば、より適切に指紋を読み取ることができ、より高品質の指紋画像を取得することができる。
【0197】
また、本実施形態でも、
図19に示すように、指の付け根部に対応する縁端部5128が存在していても、指紋の特徴量が多い指の先端部には開口があるため、指の先端部がセンサ面118に接触することができ、指紋画像を取得することができる。
【0198】
なお、上記では、第1実施形態において導光部124に代えて導光部5124を設けた場合について説明したが、第2及び第3実施形態においても導光部124に代えて導光部5124を設けることができる。
【0199】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図20を用いて説明する。なお、上記第1乃至第5実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法と同様の構成要素については同様の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0200】
上記第1乃至第5実施形態では、新生児、乳児及び幼児を、指紋を読み取るべき対象者とする場合について説明したが、対象者は新生児、乳児及び幼児に限定されるものではない。指紋読取装置は、新生児、乳児及び幼児以外のほか、あらゆる年齢層の者を対象者とすることができる。
【0201】
本実施形態では、指紋読取装置が、新生児、乳児及び幼児のみならず、新生児、乳児及び幼児以外の者をも対象者とする場合について説明する。なお、新生児、乳児及び幼児以外の者には、新生児、乳児及び幼児以外の未成年者、及び成年者が含まれる。以下の説明では、新生児、乳児及び幼児を「新生児等」と表記し、新生児、乳児及び幼児以外の者を「成年者等」と表記する。
【0202】
新生児等及び成人者等を対象者とする本実施形態による指紋読取装置の基本的構成は、第1実施形態による指紋読取装置10の構成とほぼ同様である。本実施形態による指紋読取装置は、成年者等をも対象者とするため、側方光源112における導光部の形状に関する点で、第1実施形態による指紋読取装置10とは異なっている。
【0203】
以下、本実施形態による指紋読取装置の具体的な構成について
図20を用いて説明する。
図20は、本実施形態による指紋読取装置を示す横断面図であり、
図4に示す第1実施形態による指紋読取装置10の横断面と対応する横断面を示している。なお、
図20には、対比のため、第1実施形態による導光部124を一点鎖線で示している。
【0204】
図20に示すように、本実施形態による指紋読取装置6010では、一対の側方光源112のそれぞれが、第1実施形態による導光部124に代えて、導光部6124を有している。なお、導光部6124を構成する透光性材料は、第1実施形態による導光部124と同様である。
【0205】
各側方光源112における導光部6124は、第1実施形態による導光部124と同様に、載置部102の前後方向に沿って形成されている。導光部6124は、畝状の突出部6126と、裾野状の縁端部6128とを有している。
【0206】
突出部6126は、第1実施形態による突出部126と同様に、複数の近赤外LED122を覆って筐体106表面の上方に突出するように畝状に形成されている。ただし、突出部6126は、第1実施形態による突出部126とは異なり、センサ面118の端部上に張り出さず、センサ面118の端部上に位置しないように形成されている。
【0207】
縁端部6128は、第1実施形態による縁端部128と同様に、突出部6126のセンサ面118の側に、突出部6126から連続的にセンサ面118側に延在するように突出部6126と一体的に裾野状に形成されている。縁端部6128は、載置部102の上下方向の高さが突出部6126よりも低く、センサ面118側に向かうに従って徐々にその高さが低くなっている。本実施形態では、縁端部6128の一部が、センサ面118の端部上に張り出して位置している。
【0208】
導光部124のセンサ面118の端部上に張り出して位置する部分である縁端部6128の一部のセンサ面118側の下面には、第1実施形態と同様に遮光部130が設けられている。
【0209】
なお、縁端部6128の一部が張り出してセンサ面118の端部上に位置する幅である張り出す幅は、新生児等の指紋のみならず、成年者等の指紋をも読み取ることができるように適宜設定することができる。
【0210】
このように、本実施形態では、突出部6126がセンサ面118の端部上に張り出しておらず、導光部6124のうちの縁端部6128の一部のみが、センサ面118の端部上に張り出して位置している。このため、本実施形態では、第1実施形態と比較して広い空間がセンサ面118上に確保されているため、新生児等の指と比較して大きな成年者等の指をセンサ面118に接触させることができる。これにより、本実施形態では、第1実施形態と同様にして、新生児等のみならず、成年者等の指紋を読み取ることができる。
【0211】
なお、対象者として成年者等の指紋を読み取る場合、成年者等の対象者自身が指紋読取装置6010を操作して、自身の指の指紋を読み取ることができる。この場合、対象者は、指紋を撮像すべき自身の指とは反対の手で把持部104を把持しつつ、指紋を撮像すべき指の腹をセンサカバー110のセンサ面118に接触させることができる。対象者は、例えば、把持部104を把持する手の指のうち、親指が筐体106の天板側に位置し、親指以外の4指が筐体106の底板側に位置するように把持部104を側方から把持することができる。
【0212】
把持部104を把持する成年者等の対象者は、把持部104を把持したままで、把持部104を把持する手の指のうちの筐体106の底板側に位置する4指のいずれかで移動スイッチ142及びキャプチャスイッチ144を押下することができる。対象者自身が移動スイッチ142及びキャプチャスイッチ144を操作することにより、第1実施形態と同様にして対象者の指紋を読み取ることができる。成年者等の指の指紋を読み取る場合においても、例えば、湿潤状態、高い保水能力、高い水分比率等の影響により、指は大きく弾性変形しうる。本実施形態によれば、成年者等の指の指紋を読み取る場合においても、第1実施形態と同様に指に生じた弾性変形を低減、さらには解消してから指紋を読み取るため、指紋を適切に読み取ることができ、高品質の指紋画像を取得することができる。
【0213】
一方、対象者として新生児等の指紋を読み取る場合は、第1実施形態と同様にして対象者の指紋を読み取ることができる。
【0214】
なお、上記では、第1実施形態において導光部124に代えて導光部6124を設けた場合について説明したが、第2及び第3実施形態においても導光部124に代えて導光部6124を設けることができる。
【0215】
また、第4及び第5実施形態においても、本実施形態と同様に、突出部4126、5126がセンサ面118の端部上に位置しないように導光部4124、5124を形成することができる。
【0216】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図21を用いて説明する。なお、上記第1乃至第6実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0217】
上記第1実施形態では、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、ヒンジ部120により揺動可能に設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、撮像位置に位置するように筐体106における載置部102に固定されて設けられていてもよい。
【0218】
本実施形態では、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、撮像位置に位置するように載置部102に固定されて設けられている場合について説明する。
【0219】
本実施形態による指紋読取装置の基本的構成は、第1実施形態による指紋読取装置10とほぼ同様である。本実施形態による指紋読取装置は、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が固定されている点、及びこれに伴いセンサ駆動部114が設けられていない点で、第1実施形態による指紋読取装置10とは異なっている。
【0220】
以下、本実施形態による指紋読取装置の具体的な構成について
図21を用いて説明する。
図21は、本実施形態による指紋読取装置を示す縦断面図であり、
図3に示す第1実施形態による指紋読取装置10の縦断面と対応する縦断面を示している。
【0221】
図21に示すように、本実施形態による指紋読取装置7010では、第1実施形態とは異なり、ヒンジ部120が用いられておらず、イメージセンサ108が、例えば、固定部材7116を介して筐体106における載置部102に固定されている。固定部材7116は、イメージセンサ108を載置部102内の底に固定している。載置部102に固定されたイメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1実施形態と同様の撮像位置に位置している。なお、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110を固定する態様は、特に限定されるものではなく、種々の態様で固定することができる。
【0222】
こうして、本実施形態では、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、撮像位置に位置するように載置部102に固定されて設けられている。なお、イメージセンサ108及びセンサカバー110が固定されているため、本実施形態では、センサ駆動部114は設けられていない。
【0223】
本実施形態のように、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が、撮像位置に位置するように載置部102に固定されて設けられていてもよい。
【0224】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法について
図22を用いて説明する。なお、上記第1乃至第7実施形態による指紋読取装置及び指紋読取方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0225】
上記第1乃至第7実施形態では、ユーザ又は対象者が移動スイッチ142及びキャプチャスイッチ144を押下して指紋を読み取る場合について説明したが、指紋の読み取りは自動化することができる。本実施形態では、第1実施形態において、指紋の読み取りを自動化した場合について説明する。
【0226】
本実施形態では、指紋読取システム1における画像処理装置20が、指紋読取装置10による指紋の読み取りを自動化するように構成されている。本実施形態では、以下のように画像処理装置20及び指紋読取装置10が構成されている。
【0227】
画像処理装置20において、CPU202は、センサ駆動部114及びイメージセンサ108を含む指紋読取装置10の動作を制御して指紋読取装置10による指紋の読み取りを自動化する制御部として機能する。CPU202は、指紋の読み取りを指示する読取指示信号に応じて、指紋読取装置10を制御する制御信号を出力して通信ケーブル30を介して指紋読取装置10に入力する。制御信号は、指紋読取装置10による指紋の読み取りを自動化するための信号である。制御信号は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動を指示する駆動指示信号と、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動後の指紋の撮像を指示する撮像指示信号とを含む。
【0228】
指紋読取装置10及び画像処理装置20は、例えば、ユーザがキャプチャスイッチ144を押下することにより、指紋読取装置10を介して画像処理装置20に上記の指紋の読み取りを指示する読取指示信号が入力されるように構成することができる。また、画像処理装置20は、ユーザが入力装置218を操作することにより、上記の指紋の読み取りを指示する読取指示信号が入力されるように構成することもできる。
【0229】
さらに、画像処理装置20において、CPU202は、指紋読取装置10から転送される指紋画像の品質の良否を判定する判定部としても機能する。CPU202は、指紋画像の品質に関する基準に基づき、指紋読取装置10から転送される指紋画像の品質の良否を判定する。CPU202は、指紋画像の品質が所定の品質以上である場合にその指紋画像の品質が良好であると判断し、指紋画像の品質が所定の品質以上でない場合にその指紋画像の品質が不良であると判定する。
【0230】
CPU202は、指紋画像の品質が不良であると判定した場合、上記の駆動指示信号と撮像指示信号とを含む制御信号を再度出力して指紋読取装置10に入力する。こうして、CPU202は、指紋画像の品質の良否の判定結果に基づき、駆動指示信号によりセンサ駆動部114の動作を制御し、撮像指示信号によりイメージセンサ108の動作を制御する制御部として機能する。
【0231】
一方、指紋読取装置10において、CPU166は、画像処理装置20から入力される制御信号に基づき、センサ駆動部114及びイメージセンサ108を駆動する。具体的には、CPU166は、制御信号に含まれる、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動を指示する駆動指示信号に応じて、センサ駆動部114を駆動する。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1実施形態と同様に、撮像位置から退避位置に移動し、さらに退避位置から撮像位置に移動して復帰する。また、CPU166は、制御信号に含まれる、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動後の指紋の撮像を指示する撮像指示信号に応じて、第1実施形態と同様に、側方光源112の点灯下でイメージセンサ108に指紋を撮像させて読み取らせる。
【0232】
以下、本実施形態による指紋読取装置10及び画像処理装置20の動作について
図22を用いて説明する。
図22は、本実施形態による指紋読取装置及び画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0233】
まず、ユーザは、第1実施形態と同様に、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110が撮像位置に位置している状態で、対象者の指の腹を、指紋読取装置10のセンサ面118に接触させる(ステップS102)。
【0234】
次いで、ユーザは、例えば入力装置218を用いて、指紋の読み取りを指示する読取指示信号を画像処理装置20に入力する(ステップS202)。
【0235】
次いで、画像処理装置20のCPU202は、ユーザにより入力された指紋読取信号に応じて、指紋読取装置10を制御する制御信号を出力して指紋読取装置10に入力する(ステップS204)。制御信号は、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動を指示する駆動指示信号と、イメージセンサ108及びセンサカバー110の駆動後の指紋の撮像を指示する撮像指示信号とを含む。なお、本実施形態でも、移動スイッチ142を設けない構成と同様にセンサ面118に指の腹が接触したことが検知されると、ユーザによる読取指示信号の入力を待たずに、上記と同様に駆動指示信号及び撮像指示信号が指紋読取装置10に入力されてもよい。
【0236】
次いで、指紋読取装置10のCPU166は、画像処理装置20から入力された制御信号に基づき、以下のように、センサ駆動部114を駆動し、その後、イメージセンサ108に指紋を撮像させる(ステップS104、S106)。
【0237】
まず、CPU166は、画像処理装置20から入力された制御信号に含まれる駆動指示信号に応じて、センサ駆動部114を駆動する(ステップS104)。これにより、イメージセンサ108及びセンサ面118を含むセンサカバー110は、第1実施形態と同様に、撮像位置から退避位置に移動し、さらに退避位置から撮像位置に移動して復帰する。なお、本実施形態でも、イメージセンサ108及びセンサカバー110の後端部が下降から上昇に切り替わるトリガとして、第1実施形態と同様のトリガを用いることができる。
【0238】
次いで、CPU166は、画像処理装置20から入力された制御信号に含まれる撮像指示信号に応じて、第1実施形態と同様に、側方光源112の点灯下でイメージセンサ108に指紋を撮像させて読み取らせる(ステップS106)。
【0239】
イメージセンサ108により撮像された指紋画像の画像データは、第1実施形態と同様に、通信ケーブル30を介して画像処理装置20に転送される(ステップS108)。画像処理装置20に転送された指紋画像の画像データには、第1実施形態と同様に所定の画像処理が施される。
【0240】
次いで、画像処理装置20のCPU202は、指紋画像の品質に関する基準に基づき、指紋読取装置10から転送された指紋画像の品質が良好か否かを判定する(ステップS206)。
【0241】
CPU202は、指紋画像の品質が良好であると判定すると(ステップS206、YES)、第1実施形態と同様に、その指紋画像の表示、記録等を行う(ステップS208)。
【0242】
一方、CPU202は、指紋画像の品質が不良であると判定すると(ステップS206、NO)、ステップS204に移行し、上記の駆動指示信号と撮像指示信号とを含む制御信号を再度出力して指紋読取装置10に再度入力する。なお、CPU202は、不良であると判定した指紋画像についても、第1実施形態と同様に表示等を行うこともできる。
【0243】
画像処理装置20から制御信号が再度入力された指紋読取装置10のCPU166は、ステップS104、S106、S108を再度実行する。これにより、指紋読取装置10において再度取得された指紋画像の画像データが画像処理装置20に再度転送される。センサ駆動部114を駆動するステップS104が再度実行されることにより、指紋画像の品質の低下の一因である指の弾性変形の低減、解消が試みられる。
【0244】
指紋画像の画像データが再度転送された画像処理装置20のCPU202は、ステップS206を再度実行する。
【0245】
こうして、所定の品質以上の指紋画像が取得されるまで指紋読取装置10における指紋の読み取りが繰り返される。
【0246】
このように、本実施形態では、画像処理装置20により指紋読取装置10を制御して指紋の読み取りを自動化する。さらに、本実施形態では、画像処理装置20における指紋画像の品質の良否判定の結果に基づき、所定の品質以上の指紋画像が取得されるまで指紋読取装置10における指紋の読み取りが繰り返される。したがって、本実施形態によれば、高品質の指紋画像を効率よく取得することができる。
【0247】
また、上記では、画像処理装置20のCPU202が、指紋読取装置10の動作を制御して指紋読取装置10による指紋の読み取りを自動化する判定部及び制御部として機能する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、指紋読取装置10自体の制御回路116のCPU166が、上記画像処理装置20のCPU202と同様に指紋読取装置10による指紋の読み取りを自動化する判定部及び制御部の全部又は一部として機能してもよい。
【0248】
また、上記では、第1実施形態において指紋の読み取りを自動化した場合について説明したが、第2乃至第6実施形態においても上記と同様に指紋の読み取りを自動化することができる。
【0249】
[他の実施形態]
上記各実施形態において説明した指紋読取装置は、他の実施形態によれば、
図23に示すように構成することもできる。
図23は、他の実施形態による指紋読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【0250】
図23に示すように、他の実施形態による指紋読取装置8000は、指が載置される載置部8002と、載置部8002に載置された前記指が接触する読取面8004とを有している。また、指紋読取装置8000は、載置部8002に設けられ、載置部8002に載置された指に光を照射する一対の光源8006を有している。さらに、指紋読取装置8000は、読取面8004に接触する指の指紋を、指内で散乱して指の表面から出射した光により撮像して読み取る読取部8008を有している。一対の光源8006は、読取面8004の、載置部8002の幅方向に対向する端部の両側に設けられている。また、一対の光源8006は、それぞれ載置部8002の前後方向に沿って形成された導光部8010を有している。導光部8010は、読取面8004の端部上まで延在するように形成されている。
【0251】
他の実施形態による指紋読取装置8000によれば、指紋を読み取るべき指の読取面に対する位置ずれを抑制することができる。
【0252】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
【0253】
例えば、上記実施形態では、指紋を撮像して読み取る光学式の読取部であるイメージセンサ108を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。指紋を読み取る読取部としては、光学式のほか、静電容量方式、電界強度方式等の種々の方式のものを用いることができる。
【0254】
また、上記実施形態では、指が接触するセンサ面118を含むセンサカバー110とともにイメージセンサ108がセンサ駆動部114により駆動される場合を例に説明したが、これに限定されるものでない。少なくともセンサ面118が上記実施形態のように駆動されればよく、撮像位置に位置するセンサ面118に接触する指の指紋を読み取り可能なイメージセンサ108その他の読取部が、センサ面118から分離された位置に固定されていてもよい。
【0255】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0256】
(付記1)
指が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記指が接触する読取面と、
前記載置部に設けられ、前記載置部に載置された前記指に光を照射する一対の光源と、
前記読取面に接触する前記指の指紋を、前記指内で散乱して前記指の表面から出射した光により撮像して読み取る読取部とを有し、
前記一対の光源が、
前記読取面の、前記載置部の幅方向に対向する端部の両側に設けられ、
それぞれ前記載置部の前後方向に沿って形成された導光部を有し、
前記導光部が、前記読取面の前記端部上まで延在するように形成されている
ことを特徴とする指紋読取装置。
【0257】
(付記2)
前記導光部が、前記載置部に載置された前記指を支持可能に構成されている
ことを特徴とする付記1記載の指紋読取装置。
【0258】
(付記3)
前記一対の光源が、前記読取面の内側に向かって傾斜している
ことを特徴とする付記1又は2に記載の指紋読取装置。
【0259】
(付記4)
前記一対の光源のそれぞれが、前記載置部の前記前後方向に沿って配置された複数の単位光源を有し、
前記導光部が、前記複数の単位光源を覆うように形成されている
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の指紋読取装置。
【0260】
(付記5)
前記導光部が、
前記複数の単位光源を覆う突出部と、
前記突出部の前記読取面の側に前記突出部と一体的に形成され、前記載置部の上下方向の高さが前記突出部よりも低い縁端部と
を有する
ことを特徴とする付記4記載の指紋読取装置。
【0261】
(付記6)
前記突出部の一部及び前記縁端部が、前記読取面の前記端部上に位置している
ことを特徴とする付記5記載の指紋読取装置。
【0262】
(付記7)
前記縁端部の一部が、前記読取面の前記端部上に位置している
ことを特徴とする付記5記載の指紋読取装置。
【0263】
(付記8)
前記縁端部の前記読取面の前記端部上に位置する幅が、前記載置部の前側に向かうに従って広くなっている
ことを特徴とする付記5乃至7のいずれかに記載の指紋読取装置。
【0264】
(付記9)
前記一対の光源の一方及び他方の前記導光部の前記縁端部が、前記読取面の上で互いに連続するように形成されており、
前記縁端部には、前記読取面を露出する開口部が形成されている
ことを特徴とする付記5乃至7のいずれかに記載の指紋読取装置。
【0265】
(付記10)
前記導光部の前記読取面の前記端部上に位置する部分の下面に形成された遮光部を有する
ことを特徴とする付記1乃至9のいずれかに記載の指紋読取装置。
【0266】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0267】
この出願は、2017年7月26日に出願された日本出願特願2017-144533を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0268】
1…指紋読取システム
10、2010、3010、4010、5010、6010、7010、8000…指紋読取装置
20…画像処理装置