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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181323
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電力変換ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231214BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183555
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2020182177の分割
【原出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸憲
(57)【要約】
【課題】平滑コンデンサに蓄えられた電荷が放電されがたくなることの抑制された電力変換ユニットを提供する。
【解決手段】第1電力変換ユニット300は、バッテリと接続されるPバスバ301とNバスバ302、これらに接続される放電抵抗320、および、放電抵抗と電気的に並列接続される第1平滑コンデンサ310を有する。また第1電力変換ユニットは、PバスバとNバスバそれぞれにおける第2電力変換ユニット500との接続箇所を覆う外部カバー740の固定される筐体350、および、外部カバーにおける筐体との固定箇所を覆う第2カバー362を有する。第2電力変換ユニット500には、放電抵抗と電気的に並列接続される第2平滑コンデンサ510が含まれている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(200)の正極と負極のうちの一方に電気的に接続される第1接続部(301)と、
前記電源の前記正極と前記負極のうちの他方に電気的に接続される第2接続部(302)と、
前記第1接続部と前記第2接続部とに電気的に接続される放電抵抗(320)と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間で前記放電抵抗と電気的に並列接続される第1平滑コンデンサ(310)と、
前記第1接続部と前記第2接続部から供給される電源電力を電力変換する電力変換部(331~333)と、
前記第1接続部および前記第2接続部それぞれにおける、前記放電抵抗と電気的に並列接続される第2平滑コンデンサ(510)を備える付属電気部品(500)との接続箇所を覆う外部カバー(740)の固定される筐体(350)と、
前記外部カバーにおける前記筐体との固定箇所を覆う少なくとも1つの覆い部(361,362)と、を有する電力変換ユニット。
【請求項2】
前記覆い部には、前記電力変換部とモータとの接続箇所を覆う第1カバー(361)、および、前記第1接続部と前記第2接続部それぞれにおける前記電源との接続箇所を覆う第2カバー(362)のうちの少なくとも1つが含まれている請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項3】
前記覆い部に前記第1カバーと前記第2カバーそれぞれが含まれ、
前記第2カバーおよび前記第1カバーのうちの一方の一部が、前記第2カバーおよび前記第1カバーのうちの他方によって覆われている請求項2に記載の電力変換ユニット。
【請求項4】
前記外部カバー、前記第2カバー、および、前記第1カバーそれぞれは前記筐体の一面(351a)に固定される請求項3に記載の電力変換ユニット。
【請求項5】
前記筐体には、前記一面から局所的に突起した位置決めピン(357)が形成され、
前記第1カバーに前記位置決めピンの通される第1位置決め孔(361c)が形成され、
前記第2カバーに前記位置決めピンの通される第2位置決め孔(362c)が形成されている請求項4に記載の電力変換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、付属電気部品の接続される電力変換ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、電力変換装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-92329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される電力変換装置に、バッテリとともに、平滑コンデンサを備える付属電気部品の接続される構成が考えられる。電力変換装置と付属電気部品との接続を容易に解除することができる場合、平滑コンデンサに蓄電された電荷が放電されがたくなる虞がある。
【0005】
本開示の目的は、平滑コンデンサに蓄えられた電荷が放電されがたくなることの抑制された電力変換ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電力変換ユニットは、電源(200)の正極と負極のうちの一方に電気的に接続される第1接続部(301)と、
電源の正極と負極のうちの他方に電気的に接続される第2接続部(302)と、
第1接続部と第2接続部とに電気的に接続される放電抵抗(320)と、
第1接続部と第2接続部との間で放電抵抗と電気的に並列接続される第1平滑コンデンサ(310)と、
第1接続部と第2接続部から供給される電源電力を電力変換する電力変換部(331~333)と、
第1接続部および第2接続部それぞれにおける、放電抵抗と電気的に並列接続される第2平滑コンデンサ(510)を備える付属電気部品(500)との接続箇所を覆う外部カバー(740)の固定される筐体(350)と、
外部カバーにおける筐体との固定箇所を覆う少なくとも1つの覆い部(361,362)と、を有する。
【0007】
これによれば、第1接続部(301)と第2接続部(302)それぞれに対する付属電気部品(500)との接続を解除するためには、外部カバー(740)と覆い部(361,362)それぞれを筐体(350)から取り外さなくてはならない。そのために第1接続部(301)と第2接続部(302)それぞれに対する付属電気部品(500)との接続の解除に時間がかかる。換言すれば、放電抵抗(320)と第2平滑コンデンサ(510)を含む閉回路が開路されるまでに時間がかかる。
【0008】
この結果、第2平滑コンデンサ(510)に蓄えられた電気エネルギーが放電抵抗(320)で熱エネルギーに変換される時間が長くなりやすくなる。そのため、第2平滑コンデンサ(510)に蓄えられた電荷が放電されがたくなることが抑制される。電力変換ユニットと付属電気部品(500)との接続を解除する作業者が、電気エネルギーを蓄えた第2平滑コンデンサ(510)に触れることが抑制される。
【0009】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車載システムを示す回路図である。
図2】第1電力変換ユニットの上面図である。
図3】ボルトを除いた第1電力変換ユニットの上面図である。
図4】第1カバーと第2カバーを除いた第1電力変換ユニットの上面図である。
図5図4に示す第1電力変換ユニットに外部コネクタとコネクタカバーの連結された状態を示す上面図である。
図6図5に示す第1電力変換ユニットに第2ワイヤハーネスと第2カバーの連結された状態を示す上面図である。
図7図6に示す第1電力変換ユニットに第1ワイヤハーネスと第2カバーの連結された状態を示す上面図である。
図8】位置決めピンと連結ねじ孔それぞれを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0012】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせが可能である。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、組み合わせが可能であることを明示していなくても、実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、図1に基づいて第1電力変換ユニット300の適用される車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。
【0014】
車載システム100は主部品と付属品を有する。主部品には、バッテリ200、第1電力変換ユニット300、および、第1モータ400が含まれる。付属品には、第2電力変換ユニット500と第2モータ600が含まれる。主部品の第1電力変換ユニット300に付属品の第2電力変換ユニット500が接続される。
【0015】
バッテリ200が電源に相当する。第1電力変換ユニット300が電力変換ユニットに相当する。第1モータ400がモータに相当する。第2電力変換ユニット500が付属電気部品に相当する。
【0016】
図1に示すように、第1電力変換ユニット300に対して、バッテリ200、第1モータ400、および、第2電力変換ユニット500それぞれが接続されている。そして第2電力変換ユニット500に第2モータ600が接続されている。
【0017】
図1では、第1電力変換ユニット300におけるバッテリ200、第1モータ400、および、第2電力変換ユニット500それぞれとの接続箇所を二点鎖線で囲って示している。第1電力変換ユニット300のバッテリ200との接続箇所には、後述の第2連通口353bが含まれている。第1電力変換ユニット300の第1モータ400との接続箇所には、後述の第1連通口353aが含まれている。第1電力変換ユニット300の第2電力変換ユニット500との接続箇所には、後述のコネクタ部354が含まれている。
【0018】
車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じた第1モータ400の力行と回生、および、第2モータ600の力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0019】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0020】
バッテリ200の正極端子と負極端子それぞれにはSMR210が設けられている。このSMR210を介してバッテリ200と第1電力変換ユニット300とが電気的に接続される。SMR210はノーマリクローズ式の機械スイッチである。SMRはSystem Main Relayの略である。
【0021】
SMR210は例えば電気自動車の停車時に上記ECUによって開状態に制御される。これによりバッテリ200と第1電力変換ユニット300とが電気的に遮断される。
【0022】
これとは逆に、SMR210は電気自動車の駆動時に上記ECUによって閉状態に制御される。これによりバッテリ200と第1電力変換ユニット300とが電気的に接続される。
【0023】
第1電力変換ユニット300はバッテリ200と第1モータ400との間の電力変換を行う。第1電力変換ユニット300はバッテリ200から供給される直流の電源電力を交流電力に変換する。第1電力変換ユニット300は第1モータ400の発電(回生)によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0024】
第1モータ400は図示しない電気自動車の車軸に連結されている。第1モータ400の回転エネルギーは車軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは車軸を介して第1モータ400に伝達される。
【0025】
第1モータ400は第1電力変換ユニット300から供給される交流電力によって力行する。これにより推進力が走行輪に付与される。また第1モータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生で発生した交流電力は、第1電力変換ユニット300によって直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また、この直流電力は第2電力変換ユニット500などの付属品にも供給される。
【0026】
第2電力変換ユニット500はバッテリ200と第2モータ600との間の電力変換を行う。第2電力変換ユニット500はバッテリ200の直流電力を交流電力に変換し、それを第2モータ600に供給する。第2モータ600はエアコンなどの車両に搭載された電気機器の駆動源である。
【0027】
<第1電力変換ユニット>
第1電力変換ユニット300はインバータを含んでいる。インバータはバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。この交流電力が第1モータ400に供給される。またインバータは第1モータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。この直流電力がバッテリ200に供給される。
【0028】
図1に示すように第1電力変換ユニット300はPバスバ301とNバスバ302を有する。これらPバスバ301とNバスバ302にバッテリ200が接続される。Pバスバ301はバッテリ200の正極に接続される。Nバスバ302はバッテリ200の負極に接続される。Pバスバ301とNバスバ302が第1接続部と第2接続部に相当する。
【0029】
また、第1電力変換ユニット300はU相バスバ303、V相バスバ304、および、W相バスバ305を有する。これらU相バスバ303、V相バスバ304、および、W相バスバ305に第1モータ400が接続される。図1では各種バスバの接続部位を白丸で示している。これら接続部位は例えばボルトや溶接などによって電気的に接続されている。
【0030】
第1電力変換ユニット300は第1平滑コンデンサ310、放電抵抗320、および、U相スイッチモジュール331~W相スイッチモジュール333を有する。これら各種構成要素がPバスバ301とNバスバ302との間で電気的に並列接続されている。
【0031】
第1平滑コンデンサ310は2つの電極を有する。これら2つの電極のうちの一方にPバスバ301が接続されている。2つの電極のうちの他方にNバスバ302が接続されている。
【0032】
放電抵抗320はPバスバ301とNバスバ302とに接続されている。Pバスバ301、Nバスバ302、第1平滑コンデンサ310、および、放電抵抗320によって閉ループが構成されている。
【0033】
例えば電気自動車の停車時にSMR210が開状態になると、バッテリ200から第1平滑コンデンサ310への電力供給が途絶える。第1平滑コンデンサ310に蓄電された電荷が上記閉ループを流れる。第1平滑コンデンサ310に蓄えられた電気エネルギーが放電抵抗320で積極的に熱エネルギーに変換される。
【0034】
U相スイッチモジュール331~W相スイッチモジュール333それぞれは、ハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342を有する。またU相スイッチモジュール331~W相スイッチモジュール333それぞれは、ハイサイドダイオード341aとローサイドダイオード342aを有する。これら半導体素子は封止樹脂によって被覆保護されている。U相スイッチモジュール331~W相スイッチモジュール333が電力変換部に相当する。
【0035】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342としてnチャネル型のIGBTを採用している。図1に示すようにハイサイドスイッチ341のエミッタ電極とローサイドスイッチ342のコレクタ電極とが接続されている。これによりハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342とが直列接続されている。
【0036】
また、ハイサイドスイッチ341のコレクタ電極にハイサイドダイオード341aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ341のエミッタ電極にハイサイドダイオード341aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ341にハイサイドダイオード341aが逆並列接続されている。
【0037】
同様にして、ローサイドスイッチ342のコレクタ電極にローサイドダイオード342aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ342のエミッタ電極にローサイドダイオード342aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ342にローサイドダイオード342aが逆並列接続されている。
【0038】
上記したようにハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342は封止樹脂によって被覆保護されている。この封止樹脂から、ハイサイドスイッチ341のコレクタ電極、ハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342との間の中点、および、ローサイドスイッチ342のエミッタ電極それぞれに接続された端子の先端が露出されている。ハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342それぞれのゲート電極に接続された端子の先端が封止樹脂から露出されている。以下においてはこれら端子を、コレクタ端子340a、中点端子340c、エミッタ端子340b、および、ゲート端子340dと示す。
【0039】
このコレクタ端子340aがPバスバ301に接続される。エミッタ端子340bがNバスバ302に接続される。これによりハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342とがPバスバ301からNバスバ302へ向かって順に直列接続されている。
【0040】
U相スイッチモジュール331の中点端子340cがU相バスバ303を介して第1モータ400のU相ステータコイルに接続されている。V相スイッチモジュール332の中点端子340cがV相バスバ304を介してV相ステータコイルに接続されている。W相スイッチモジュール333の中点端子340cがW相バスバ305を介してW相ステータコイルに接続されている。
【0041】
そしてU相スイッチモジュール331~W相スイッチモジュール333に含まれるハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342それぞれのゲート端子340dがゲートドライバに接続されている。
【0042】
ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅し、それをゲート端子340dに出力する。これによりハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342はECUによって開閉制御される。ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整している。このオンデューティ比と周波数は図示しない電流センサや回転角センサの出力、および、第1モータ400の目的とする回転数などに基づいて決定される。
【0043】
第1モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号の出力によって3相のスイッチモジュールの備えるハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342それぞれがPWM制御される。これにより第1電力変換ユニット300で3相交流が生成される。第1モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これにより発電によって生成された交流電力が3相のスイッチモジュールの備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0044】
<付属品>
第2電力変換ユニット500は、放電抵抗320を除く、これまでに説明した第1電力変換ユニット300と同等の構成要素を有している。第2モータ600は第1モータ400と同等の構成要素を有している。そのためにこれら第2電力変換ユニット500と第2モータ600の構成と動作の説明を省略する。
【0045】
ただし、以下においては表記を簡便とするため、第2電力変換ユニット500の備える平滑コンデンサを第2平滑コンデンサ510と表記する。
【0046】
<分岐バスバ>
図1に示すように第1電力変換ユニット300のPバスバ301の一部が分岐している。この第1分岐バスバ301aが第2電力変換ユニット500のPバスバ301に電気的に接続される。
【0047】
同様にして、第1電力変換ユニット300のNバスバ302の一部が分岐している。この第2分岐バスバ302aが第2電力変換ユニット500のNバスバ302に電気的に接続される。
【0048】
以上に示した電気的な接続構成により、第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500それぞれはバッテリ200に対して並列接続されている。バッテリ200から供給される直流電力がこれら2つの電力変換ユニットに供給される。第1モータ400での発電によって生成され、第1電力変換ユニット300で交流電力から直流電力に変換された電力が、バッテリ200と第2電力変換ユニット500に供給される。
【0049】
<放電抵抗の共用>
これまでに説明したように第2電力変換ユニット500は放電抵抗320を有していない。第1電力変換ユニット300の備える放電抵抗320は、第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500それぞれの共用になっている。
【0050】
図1に示すように、放電抵抗320、第2平滑コンデンサ510、および、第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500それぞれが備えるPバスバ301とNバスバ302によって閉ループが構成されている。この閉ループは、当然ながらにして、第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500とが電気的に接続されている時に構成される。
【0051】
例えば電気自動車の停車時にSMR210が開状態になると、バッテリ200から第2平滑コンデンサ510への電力供給が途絶える。第2平滑コンデンサ510に蓄電された電荷が上記した2つの電力変換ユニットの構成要素によって構成される閉ループを流れる。これにより、第2平滑コンデンサ510に蓄えられた電気エネルギーが放電抵抗320で積極的に熱エネルギーに変換される。
【0052】
しかしながら、第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500との電気的な接続が途絶えると、これら2つの電力変換ユニットの構成要素によって構成される閉ループが開路状態になる。そのために第2平滑コンデンサ510に蓄電された電荷が放出されがたくなる。第2平滑コンデンサ510に電気エネルギーが蓄えられた状態が維持される。
【0053】
<電力変換ユニットの構成>
次に、第1電力変換ユニット300の機械的な構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。
【0054】
<機械的な構成要素>
図3に示すように第1電力変換ユニット300は、これまでに図1に基づいて説明した電気的な構成要素の他に、機械的な構成要素として筐体350を有する。この筐体350の内部空間に図1に示す電気的な構成要素が収納されている。それとともに、図示しない機械的な構成要素も筐体350の内部空間に収納されている。
【0055】
この機械的な構成要素としては、例えば、冷却器、コンデンサケース、および、端子台がある。冷却器はこれまでに説明した計3つのスイッチモジュールを収納しつつ、これらを冷却する機能を果たす。コンデンサケースは第1平滑コンデンサ310を収納するとともにPバスバ301とNバスバ302を支持する機能を果たす。端子台はこれまでに説明した各種バスバと他の機器とを接続する機能を果たす。この端子台には電流センサが設けられている。
【0056】
<筐体>
筐体350は金属材料で構成される。筐体350は例えばアルミダイカストで製造される。筐体350はz方向まわりの周方向で環状に延びる側壁を有する。側壁はz方向で離間して並ぶ2つの開口を区画(構成)している。これら2つの開口の間の空間が、筐体350の内部空間に相当する。これら2つの開口のうちの一方が図示しない底壁、若しくは、第1モータ400のケースによって閉塞される。
【0057】
筐体350は側壁の他に天壁351を有する。天壁351は側壁によって構成される2つの開口のうちの他方を閉塞している。この天壁351と側壁とは別体でも一体でもよい。
【0058】
<連通窓>
天壁351は内部空間側の内面とその外側の外面351aとを有する。図2図3に示すように、この天壁351には内面と外面351aとに開口する第1連通窓352a~第3連通窓352cが形成されている。
【0059】
第1連通窓352aは第1電力変換ユニット300と第1モータ400とを電気的に接続するための役割を果たす。第2連通窓352bは第1電力変換ユニット300とバッテリ200とを電気的に接続するための役割を果たす。第3連通窓352cは上記したゲートドライバやECUの搭載された回路基板を覆う役割を果たす。若しくは、第3連通窓352cはこれまでに説明した各種構成要素を内部空間に収納するための役割を果たす。
【0060】
第1連通窓352aと第2連通窓352bそれぞれは第3連通窓352cよりも開口面積が小さくなっている。第1連通窓352aと第2連通窓352bそれぞれは第3連通窓352cとy方向で離間している。第1連通窓352aと第2連通窓352bはx方向で離間して並んでいる。
【0061】
<連通口>
側壁には筐体350の内部空間とその外の外部空間とを連通するための第1連通口353aと第2連通口353bが形成されている。これら第1連通口353aと第2連通口353bはx方向で離間して並んでいる。
【0062】
<第1重畳領域>
第1連通口353aのy方向への投影領域と、第1連通窓352aのz方向への投影領域とが重なっている。これら2つの投影領域の重なる第1重畳領域にU相バスバ303~W相バスバ305それぞれの先端が設けられている。
【0063】
U相バスバ303~W相バスバ305は金属製の平板をプレス加工することで製造される。これら3つの相バスバそれぞれの第1重畳領域に位置する先端はy方向に延びた形状を成している。そしてこれら3つの相バスバそれぞれの先端は第1重畳領域でx方向に並んでいる。これら3つの相バスバの先端には、図7に示す第1ワイヤハーネス710とボルト止めするための貫通孔が形成されている。この第1ワイヤハーネス710が第1モータ400のステータコイルと接続される。
【0064】
<第2重畳領域>
第2連通口353bのy方向への投影領域と、第2連通窓352bのz方向への投影領域とが重なっている。これら2つの投影領域の重なる第2重畳領域にPバスバ301とNバスバ302それぞれの先端が設けられている。
【0065】
Pバスバ301とNバスバ302は金属製の平板をプレス加工することで製造される。これら2つのバスバそれぞれの第2重畳領域に位置する先端はy方向に延びた形状を成している。そしてこれら2つのバスバそれぞれの先端は第2重畳領域でx方向に並んでいる。これら2つのバスバの先端には、図6図7に示す第2ワイヤハーネス720とボルト止めするための貫通孔が形成されている。この第2ワイヤハーネス720がSMR210を介してバッテリ200と接続される。
【0066】
<コネクタ部>
また側壁には内部空間側へ局所的に凹むコネクタ部354が形成されている。このコネクタ部354には、第1分岐バスバ301aと第2分岐バスバ302aそれぞれと電気的に接続された電極端子306が設けられている。このコネクタ部354に図5図7に示す外部コネクタ730が接続される。外部コネクタ730は第2電力変換ユニット500のPバスバ301とNバスバ302それぞれと電気的に接続されたワイヤハーネスの端部である。なお、図面では電極端子306をオス型で示している。しかしながら電極端子306はメス型でもよい。
【0067】
<カバー>
図2図3に示すように第1電力変換ユニット300は第1連通窓352a~第3連通窓352cを閉塞する第1カバー361~第3カバー363を有する。第1カバー361は第1連通窓352aを閉塞する。第2カバー362は第2連通窓352bを閉塞する。第3カバー363は第3連通窓352cを閉塞する。第1カバー361と第2カバー362が覆い部に含まれる。
【0068】
第1カバー361~第3カバー363それぞれはz方向の厚さの薄い平板形状を成している。第1カバー361~第3カバー363それぞれは、z方向で天壁351の外面351aと対向する対向面360aと、その裏側の上面360bを有する。第1カバー361~第3カバー363それぞれには、対向面360aと上面360bとに開口する貫通孔360cが形成されている。第1カバー361~第3カバー363それぞれは天壁351の外部空間側の形状などに応じて、局所的にz方向に屈曲している。
【0069】
第1カバー361と第2カバー362それぞれは第3カバー363よりも上面360bの面積が小さくなっている。第1カバー361と第2カバー362それぞれは第3カバー363とy方向で離間している。第1カバー361と第2カバー362はx方向で並んでいる。
【0070】
<位置決めピン>
第1カバー361と第2カバー362それぞれの一部はz方向で並んでいる。図8に示すように、第2カバー362における第1カバー361とz方向で並ぶ部位は、第1カバー361における第2カバー362とz方向で並ぶ部位よりも、z方向において天壁351側に位置している。第1カバー361の上面360bの一部が第2カバー362の対向面360aの一部とz方向で対向している。
【0071】
この第1カバー361におけるz方向で第2カバー362と並ぶ部位には、対向面360aと上面360bを貫く第1位置決め孔361cが形成されている。同様にして、第2カバー362におけるz方向で第1カバー361と並ぶ部位には、対向面360aと上面360bとを貫く第2位置決め孔362cが形成されている。
【0072】
図2図4に示すように、筐体350の天壁351には、第1カバー361と第2カバー362の位置決めを行うための位置決めピン357が形成されている。図8に示すように位置決めピン357は天壁351の外面351aからz方向に突起している。この位置決めピン357に第1位置決め孔361cと第2位置決め孔362cそれぞれが通される。
【0073】
位置決めピン357には、第2位置決め孔362cが通された後に第1位置決め孔361cが通される。そのために位置決めピン357から第1カバー361を抜いた後でしか、位置決めピン357から第2カバー362を抜けない構成になっている。第1カバー361を筐体350から取り外した後でしか、第2カバー362を筐体350から取り外せない構成になっている。
【0074】
なお、本実施形態の位置決めピン357は円柱形状を成している。そのため、単に位置決めピン357に第2位置決め孔362cを通しただけでは、第2カバー362は位置決めピン357を中心として回転可能になっている。
【0075】
係る回転を阻止するために、例えば以下の構成を採用することができる。位置決めピン357が例えば四角柱形状を成してもよい。複数の位置決めピン357が天壁351に形成され、それら複数の位置決めピン357に第2カバー362の第2位置決め孔362cが通された構成を採用してもよい。第2カバー362が天壁351に設けられた状態で、両者がx方向とy方向の少なくとも一方で接触する構成を採用してもよい。
【0076】
<ねじ孔>
図4に示すように、筐体350の天壁351には、ボルト364の軸部を締結するためのねじ孔355が形成されている。ねじ孔355は外面351aに開口している。このねじ孔355を区画する壁面にねじ溝が形成されている。
【0077】
このねじ孔355と貫通孔360cとがz方向で並ぶ態様で、外面351aに第1カバー361~第3カバー363が設けられる。そして貫通孔360cとねじ孔355とにボルト364の軸部が通される。ねじ孔355にボルト364の軸部が締結される。これにより天壁351に第1カバー361~第3カバー363それぞれが固定される。
【0078】
第3カバー363の天壁351に対する固定は、第1カバー361や第2カバー362の天壁351に対する固定にかかわらずに実行される。これに対して、第1カバー361の天壁351に対する固定は、第2カバー362の天壁351に対する固定の後に実行される。なお、図面では第3カバー363の貫通孔360c、この貫通孔360cに通されるボルト364、および、このボルト364の軸部の締結されるねじ孔355それぞれの図示を省略している。
【0079】
<外部カバー>
図5図7に示すように、筐体350には外部カバー740が連結される。この外部カバー740はコネクタ部354とこれに接続される外部コネクタ730それぞれを覆う機能を果たす。
【0080】
外部カバー740は蓋部741と連結腕部742を有する。蓋部741はy方向まわりの周方向で環状を成す縁壁と、この縁壁の構成する2つの開口のうちの一方を閉塞する壁部と、を有する。連結腕部742は蓋部741の縁壁からy方向に延びている。本実施形態では2本の連結腕部742が蓋部741に一体的に連結されている。
【0081】
外部カバー740が筐体350に設けられると、蓋部741の構成する2つの開口のうちの他方は筐体350の側壁によって閉塞される。そして2つの連結腕部742それぞれが筐体350の天壁351とz方向で対向配置される。これら2つの連結腕部742それぞれには連結ボルト750を通すための通し孔が形成されている。
【0082】
<連結ねじ孔>
天壁351には、外部カバー740を締結するための連結ねじ孔356が形成されている。この連結ねじ孔356もねじ孔355と同様にして、外面351aに開口している。この連結ねじ孔356を区画する壁面にねじ溝が形成されている。外面351aが一面に相当する。
【0083】
図4に示すように天壁351には外部カバー740を固定するための連結ねじ孔356が2つ形成されている。以下においては説明を簡便とするために、2つの連結ねじ孔356を第1連結ねじ孔356a、第2連結ねじ孔356bと示す。
【0084】
<覆い>
図4に示すように第1連結ねじ孔356aと第2連結ねじ孔356bはx方向で離間して並んでいる。これら第1連結ねじ孔356aと第2連結ねじ孔356bの間にコネクタ部354が位置している。第1連結ねじ孔356aはx方向においてコネクタ部354と第2連通口353bとの間に位置している。
【0085】
図2図3、および、図8に示すように第1連結ねじ孔356aは第2カバー362とz方向で離間して並んでいる。第1連結ねじ孔356aが第2カバー362によって覆われている。
【0086】
第1連結ねじ孔356aの開口と第2カバー362との間のz方向の離間距離は、連結ボルト750の頭部の軸方向の長さよりも長くなっている。しかしながら、この離間距離は連結ボルト750の頭部と軸部の軸方向の長さを合わせた総長よりも短くなっている。簡単に言えば、この離間距離は連結ボルト750の軸方向(z方向)の長さよりも短くなっている。
【0087】
係る構成のため、筐体350に第2カバー362が連結された状態で、第1連結ねじ孔356aに連結ボルト750を連結できなくなっている。筐体350に第2カバー362とともに外部カバー740が連結された状態では、第2カバー362を取り外さない限り、第1連結ねじ孔356aから連結ボルト750を外せなくなっている。筐体350に第1カバー361、第2カバー362、および、外部カバー740が連結された状態では、第1カバー361と第2カバー362を取り外さない限り、第1連結ねじ孔356aから連結ボルト750を外せなくなっている。
【0088】
<組付け>
図3に第1電力変換ユニット300を単品で示す。この状態においては、当然ながらにして第1電力変換ユニット300に、第1ワイヤハーネス710、第2ワイヤハーネス720、外部コネクタ730、および、外部カバー740は連結されていない。これらを連結するため、図4に示すように筐体350から第1カバー361と第2カバー362が取り外される。
【0089】
先ず、第1カバー361と第2カバー362が取り外された筐体350のコネクタ部354に外部コネクタ730が接続される。外部コネクタ730によってコネクタ部354の空間が埋められる。
【0090】
次に、図5に示すように、コネクタ部354に挿入された外部コネクタ730を覆うように、外部カバー740を筐体350に設ける。外部カバー740の備える2つの連結腕部742それぞれの通し孔を第1連結ねじ孔356aと第2連結ねじ孔356bそれぞれと個別にz方向で並ばせる。
【0091】
そして連結ボルト750の軸部を通し孔と第1連結ねじ孔356aに挿入し、連結ボルト750の軸部を第1連結ねじ孔356aに締結する。同様にして、連結ボルト750の軸部を通し孔と第2連結ねじ孔356bに挿入し、連結ボルト750の軸部を第2連結ねじ孔356bに締結する。これによって2つの連結腕部742それぞれが連結ボルト750の頭部と天壁351との間で挟持される。この結果、外部カバー740が天壁351に固定される。それとともに、外部カバー740によってコネクタ部354と外部コネクタ730が覆われる。
【0092】
なお、外部コネクタ730はワイヤハーネスの端部に設けられている。このワイヤハーネスにおける外部コネクタ730から延びるワイヤを通すための孔が外部カバー740の縁壁に形成されている。
【0093】
次に、第2連通口353bから第2重畳領域に向かって第2ワイヤハーネス720の端部を挿入する。そして第2連通窓352bから第2重畳領域に向かって固定ボルトを挿入する。この固定ボルトの軸部に第2ワイヤハーネス720の端部の端子に形成された孔とPバスバ301の貫通孔とを通す。同様にして、固定ボルトの軸部に第2ワイヤハーネス720の端子の孔とNバスバ302の貫通孔とを通す。そしてこれら固定ボルトの軸部を端子台に形成されたねじ孔に締結する。これにより端子とPバスバ301とが固定ボルトの頭部と端子台との間で挟持される。端子とNバスバ302とが固定ボルトの頭部と端子台との間で挟持される。
【0094】
次に、図6図8に示すように、第2カバー362の第2位置決め孔362cに位置決めピン357を通す。それとともに、第2カバー362の貫通孔360cと天壁351のねじ孔355とをz方向で並ばせる。そしてボルト364の軸部を貫通孔360cとねじ孔355に挿入する。ボルト364の軸部をねじ孔355に締結する。これによって第2カバー362がボルト364の頭部と天壁351との間で挟持される。この結果、第2カバー362が天壁351に固定される。それとともに、第2カバー362によって第1連結ねじ孔356aに締結された連結ボルト750の頭部が覆われる。第1連結ねじ孔356aが固定箇所に相当する。
【0095】
次に、第1連通口353aから第1重畳領域に向かって第1ワイヤハーネス710の端部を挿入する。そして第1連通窓352aから第1重畳領域に向かって固定ボルトを挿入する。この固定ボルトの軸部に第1ワイヤハーネス710の端部の端子に形成された孔とU相バスバ303の貫通孔とを通す。同様にして、固定ボルトの軸部に第1ワイヤハーネス710の端子の孔とV相バスバ304の貫通孔とを通す。固定ボルトの軸部に第1ワイヤハーネス710の端子の孔とW相バスバ305の貫通孔とを通す。そしてこれら3つの固定ボルトの軸部を端子台に形成されたねじ孔に締結する。これにより端子とU相バスバ303~W相バスバ305それぞれとが固定ボルトの頭部と端子台との間で個別に挟持される。
【0096】
次に、図7図8に示すように、第1カバー361の第1位置決め孔361cに位置決めピン357を通す。それとともに、第1カバー361の貫通孔360cと天壁351のねじ孔355とをz方向で並ばせる。そしてボルト364の軸部を貫通孔360cとねじ孔355に挿入し、ボルト364の軸部をねじ孔355に締結する。これによって第1カバー361がボルト364の頭部と天壁351との間で挟持される。この結果、第1カバー361が天壁351に固定される。それとともに、第1カバー361によって第2カバー362の一部が覆われる。
【0097】
なお、特に図示しないが、第1カバー361と天壁351とにはインターロック回路が含まれている。第1カバー361に天壁351が正常に組付け固定されると、インターロック回路から上記ECUにインターロック信号が出力される。逆に、第1カバー361に天壁351が正常に組付け固定されていなかったり、第1カバー361が天壁351から取り外されていたりした場合、インターロック回路から上記ECUへのインターロック信号の出力が途絶える。
【0098】
ECUはインターロック信号が入力されている場合に、第1電力変換ユニット300の駆動を制御する。ECUはインターロック信号の入力が途絶えている場合、第1電力変換ユニット300の駆動の制御をやめる。
【0099】
<作用効果>
上記したように、例えば電気自動車の停車によってSMR210が開状態になると、第2平滑コンデンサ510に蓄電された電荷が第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500によって構成される閉ループを流れる。この閉ループの構成は、外部カバー740によって覆われる外部コネクタ730と第1電力変換ユニット300のコネクタ部354との接続が継続される限り継続される。
【0100】
これに対して、外部カバー740における天壁351との締結箇所が第2カバー362によって覆われている。係る構成のため、外部コネクタ730とコネクタ部354との接続を解除するためには、外部カバー740と第2カバー362それぞれを天壁351から取り外さなくてはならない。このために外部コネクタ730とコネクタ部354との接続の解除に時間がかかる。換言すれば、第1電力変換ユニット300と第2電力変換ユニット500によって構成される閉ループが開路されるまでに時間がかかる。
【0101】
この結果、第2平滑コンデンサ510に蓄電された電荷が放電抵抗320を流れる時間が長くなる。第2平滑コンデンサ510に蓄えられた電気エネルギーが放電抵抗320で熱エネルギーに変換される時間が長くなる。そのため、第2平滑コンデンサ510に蓄えられた電荷が放電されがたくなることが抑制される。外部コネクタ730とコネクタ部354との接続を解除する作業者が、電気エネルギーを蓄えた第2平滑コンデンサ510に触れることが抑制される。
【0102】
さらに本実施形態では、第2カバー362の一部が第1カバー361によって覆われている。係る構成のため、外部コネクタ730とコネクタ部354との接続を解除するためには、外部カバー740と第2カバー362だけではなく、第1カバー361も天壁351から取り外さなくてはならない。係る構成のため、第2平滑コンデンサ510に蓄えられた電気エネルギーが放電抵抗320で熱エネルギーに変換される時間がより長くなる。
【0103】
外部カバー740の固定される連結ねじ孔356と、第2カバー362および第1カバー361の固定されるねじ孔355それぞれとが天壁351の外面351aに開口している。連結ねじ孔356とねじ孔355それぞれが天壁351の同一面に開口している。そのために連結ねじ孔356に連結ボルト750を締結する作業とねじ孔355にボルト364を締結する作業とが同等になる。これにより、外部カバー740、第2カバー362、および、第1カバー361それぞれを天壁351に固定する作業が煩瑣となることが抑制される。
【0104】
(第1の変形例)
本実施形態では第1電力変換ユニット300が外部カバー740を有さない構成を示した。しかしながら、第1電力変換ユニット300が外部カバー740を有する構成を採用することもできる。
【0105】
(第2の変形例)
本実施形態では外部カバー740と第2カバー362とが別体の例を示した。しかしながら外部カバー740と第2カバー362とが一体の構成を採用することもできる。
【0106】
(第3の変形例)
本実施形態では第2カバー362と第1カバー361とが別体の例を示した。しかしながら第2カバー362と第1カバー361とが一体の構成を採用することもできる。
【0107】
(第4の変形例)
本実施形態では図8に示すように第1連結ねじ孔356aが第2カバー362によって覆われる例を示した。しかしながら第2連結ねじ孔356bが第2カバー362によって覆われる構成を採用することもできる。第1連結ねじ孔356aと第2連結ねじ孔356bそれぞれが第2カバー362によって覆われる構成を採用することもできる。若しくは、第1カバー361によって連結ねじ孔356が覆われる構成を採用することもできる。総括して言えば、複数の連結ねじ孔356のうちの少なくとも1つが第2カバー362と第1カバー361のうちの少なくとも一方によって覆われた構成を採用することができる。
【0108】
(第5の変形例)
本実施形態では位置決めによる仮止めとしての機能を果たす位置決めピン357に第1カバー361と第2カバー362が通される例を示した。しかしながら、この仮止めとしての機能を果たす位置決めピン357に第2カバー362と外部カバー740とが通される構成を採用することもできる。
【0109】
この位置決めピン357には、外部カバー740通された後に第2カバー362が通される。そのために位置決めピン357から第2カバー362を抜いた後でしか、位置決めピン357から外部カバー740を抜けない構成になっている。この変形例の場合、連結ねじ孔356は第2カバー362や第1カバー361によって覆われていなくともよい。
【0110】
(第6の変形例)
本実施形態では第1カバー361と第2カバー362それぞれの一部がz方向で並ぶ例を示した。しかしながら第1カバー361と第2カバー362それぞれの少なくとも一部がz方向で並ばない構成を採用することもできる。
【0111】
(その他の変形例)
本実施形態では第1電力変換ユニット300にインバータの含まれる例を示した。しかしながら第1電力変換ユニット300にインバータのほかにコンバータが含まれてもよい。
【0112】
本実施形態では第1電力変換ユニット300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら第1電力変換ユニット300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータと内燃機関を備えるハイブリッドシステムに第1電力変換ユニット300が含まれる構成を採用することもできる。
【0113】
本実施形態では第1電力変換ユニット300に1つの第1モータ400の接続される例を示した。しかしながら第1電力変換ユニット300に複数の第1モータ400の接続される構成を採用することもできる。この場合、第1電力変換ユニット300はインバータを構成するための3相のスイッチモジュールを複数有する。
【0114】
本実施形態ではU相スイッチモジュール331~W相スイッチモジュール333それぞれがIGBTを備える例を示した。しかしながら、これらスイッチモジュールの備えるスイッチ素子の種類としては特に限定されない。このスイッチ素子としては例えばMOSFETを採用することができる。そしてこれらスイッチモジュールに含まれるスイッチやダイオードなどの半導体素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0115】
本実施形態ではハイサイドスイッチ341とローサイドスイッチ342、および、ハイサイドダイオード341aとローサイドダイオード342aが封止樹脂に被覆保護されて1つのスイッチモジュールが構成される例を示した。
【0116】
しかしながらこれとは異なり、例えばハイサイドスイッチ341とハイサイドダイオード341aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成されてもよい。ローサイドスイッチ342とローサイドダイオード342aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成されてもよい。スイッチモジュールの構成形態としては特に限定されない。
【0117】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0118】
100…車載システム、200…バッテリ、300…第1電力変換ユニット、301…Pバスバ、302…Nバスバ、310…第1平滑コンデンサ、320…放電抵抗、331…U相スイッチモジュール、332…V相スイッチモジュール、333…W相スイッチモジュール、350…筐体、351a…外面、357…位置決めピン、361…第1カバー、361c…第1位置決め孔、362…第2カバー、362c…第2位置決め孔、400…第1モータ、500…第2電力変換ユニット、510…第2平滑コンデンサ、600…第2モータ、740…外部カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(200)の正極と負極のうちの一方に電気的に接続される第1接続部(301)と、
前記電源の前記正極と前記負極のうちの他方に電気的に接続される第2接続部(302)と、
前記第1接続部と前記第2接続部とに電気的に接続される放電抵抗(320)と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間で前記放電抵抗と電気的に並列接続される平滑コンデンサ(310)と、
前記第1接続部と前記第2接続部から供給される電源電力を電力変換する電力変換部(331~333)と、
前記第1接続部および前記第2接続部それぞれにおける、前記放電抵抗と電気的に並列接続される付属電気部品(500)との接続箇所を覆う外部カバー(740)の固定される筐体(350)と、
前記外部カバーにおける前記筐体との固定箇所を覆う少なくとも1つの覆い部(361,362)と、を有する電力変換ユニット。
【請求項2】
前記覆い部には、前記電力変換部とモータとの接続箇所を覆う第1カバー(361)、および、前記第1接続部と前記第2接続部それぞれにおける前記電源との接続箇所を覆う第2カバー(362)のうちの少なくとも1つが含まれている請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項3】
前記覆い部に前記第1カバーと前記第2カバーそれぞれが含まれ、
前記第2カバーおよび前記第1カバーのうちの一方の一部が、前記第2カバーおよび前記第1カバーのうちの他方によって覆われている請求項2に記載の電力変換ユニット。
【請求項4】
前記外部カバー、前記第2カバー、および、前記第1カバーそれぞれは前記筐体の一面(351a)に固定される請求項3に記載の電力変換ユニット。
【請求項5】
前記筐体には、前記一面から局所的に突起した位置決めピン(357)が形成され、
前記第1カバーに前記位置決めピンの通される第1位置決め孔(361c)が形成され、
前記第2カバーに前記位置決めピンの通される第2位置決め孔(362c)が形成されている請求項4に記載の電力変換ユニット。
【請求項6】
前記覆い部にはインターロック回路が含まれており、
前記インターロック回路は、前記覆い部が前記筐体に正常に取り付けられているか否かの信号を出力する請求項1~5のいずれか1つに記載の電力変換ユニット。
【請求項7】
電源(200)の正極と負極のうちの一方に電気的に接続される第1接続部(301)と、
前記電源の前記正極と前記負極のうちの他方に電気的に接続される第2接続部(302)と、
前記第1接続部と前記第2接続部とに電気的に接続される放電抵抗(320)と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間で前記放電抵抗と電気的に並列接続される平滑コンデンサ(310)と、
前記第1接続部と前記第2接続部から供給される電源電力を電力変換する電力変換部(331~333)と、
前記第1接続部および前記第2接続部それぞれにおける、前記放電抵抗と電気的に並列接続される付属電気部品(500)との接続箇所を覆う外部カバー(740)の固定される筐体(350)と、
前記外部カバーとは別に前記筐体に取り付けられるカバー(361,362)と、を備え、
前記外部カバーは、前記カバーを前記筐体から取り外さない限り前記筐体から取り外せない状態で、前記筐体に取り付けられている電力変換ユニット。
【請求項8】
前記筐体には、モータに接続される第1ワイヤハーネス(710)が挿入される第1連通口(353a)と、前記第1ワイヤハーネスと前記電力変換部との接続箇所を露出させる第1連通窓(352a)とが別々に形成されており、
前記カバーには、前記第1連通窓を閉塞させる第1カバー(361)が少なくとも含まれている請求項7に記載の電力変換ユニット。
【請求項9】
前記筐体には、前記電源に接続される第2ワイヤハーネス(720)が挿入される第2連通口(353b)と、前記第1接続部および前記第2接続部それぞれと前記第2ワイヤハーネスとの接続箇所を露出させる第2連通窓(352b)とが別々に形成されており、
前記カバーには、前記第2連通窓を閉塞させる第2カバー(362)が少なくとも含まれている請求項7または8に記載の電力変換ユニット。
【請求項10】
前記カバーにはインターロック回路が含まれており、
前記インターロック回路は、前記カバーが前記筐体に正常に取り付けられているか否かの信号を出力する請求項7~9のいずれか1つに記載の電力変換ユニット。
【請求項11】
前記第1接続部および前記第2接続部に電気的に接続されたオス型またはメス型の電極端子(306)を有し、前記付属電気部品に設けられた外部コネクタ(730)に接続されるコネクタ部(354)を備え、
前記外部カバーは、前記コネクタ部および前記外部コネクタを覆う請求項1~10のいずれか1つに記載の電力変換ユニット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の目的は、付属電気部品に蓄えられた電荷が放電されがたくなることの抑制された電力変換ユニットを提供することである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の第1の態様による電力変換ユニットは、電源(200)の正極と負極のうちの一方に電気的に接続される第1接続部(301)と、
電源の正極と負極のうちの他方に電気的に接続される第2接続部(302)と、
第1接続部と第2接続部とに電気的に接続される放電抵抗(320)と、
第1接続部と第2接続部との間で放電抵抗と電気的に並列接続される平滑コンデンサ(310)と、
第1接続部と第2接続部から供給される電源電力を電力変換する電力変換部(331~333)と、
第1接続部および第2接続部それぞれにおける、放電抵抗と電気的に並列接続される付属電気部品(500)との接続箇所を覆う外部カバー(740)の固定される筐体(350)と、
外部カバーにおける筐体との固定箇所を覆う少なくとも1つの覆い部(361,362)と、を有する。
本開示の第2の態様による電力変換ユニットは、電源(200)の正極と負極のうちの一方に電気的に接続される第1接続部(301)と、
電源の正極と負極のうちの他方に電気的に接続される第2接続部(302)と、
第1接続部と第2接続部とに電気的に接続される放電抵抗(320)と、
第1接続部と第2接続部との間で放電抵抗と電気的に並列接続される平滑コンデンサ(310)と、
第1接続部と第2接続部から供給される電源電力を電力変換する電力変換部(331~333)と、
第1接続部および第2接続部それぞれにおける、放電抵抗と電気的に並列接続される付属電気部品(500)との接続箇所を覆う外部カバー(740)の固定される筐体(350)と、
外部カバーとは別に筐体に取り付けられるカバー(361,362)と、を備え、
外部カバーは、カバーを筐体から取り外さない限り筐体から取り外せない状態で、筐体に取り付けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記第1の態様によれば、第1接続部(301)と第2接続部(302)それぞれに対する付属電気部品(500)との接続を解除するためには、外部カバー(740)と覆い部(361,362)それぞれを筐体(350)から取り外さなくてはならない。また、上記第2の態様によれば、上記接続を解除するためには、カバー(361,362)を筐体(350)から取り外し、その後で、外部カバー(740)を筐体(350)から取り外さなくてはならない。そのため、これら第1の態様および第2の態様によれば、第1接続部(301)と第2接続部(302)それぞれに対する付属電気部品(500)との接続の解除に時間がかかる。換言すれば、放電抵抗(320)と付属電気部品(500)を含む閉回路が開路されるまでに時間がかかる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この結果、付属電気部品(500)に蓄えられた電気エネルギーが放電抵抗(320)で熱エネルギーに変換される時間が長くなりやすくなる。そのため、付属電気部品(500)に蓄えられた電荷が放電されがたくなることが抑制される。電力変換ユニットと付属電気部品(500)との接続を解除する作業者が、電気エネルギーを蓄えた付属電気部品(500)に触れることが抑制される。