(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181337
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置、車両用表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20231214BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231214BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W60/00
B60K35/00 A
B60K35/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184197
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2020146390の分割
【原出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畠 聡章
(72)【発明者】
【氏名】木村 公治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 純二
(72)【発明者】
【氏名】緒方 瞭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】森下 肇
(57)【要約】
【課題】自動運転時において運転操作の介入を乗員へ伝えることができる車両用表示制御装置を得る。
【解決手段】車両用表示制御装置10は、車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示する車両用表示制御装置であって、車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示する車両用表示制御装置であって、
車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする、
車両用表示制御装置。
【請求項2】
車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示し、
車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする、
車両用表示制御方法。
【請求項3】
車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示し、
車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御装置、車両用表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の運転モードで走行可能な車両において、車両の運転モードの変更を予告する画像を運転席前方の表示領域に表示する表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転時において乗員が運転操作を行った場合に、乗員による運転操作を優先する構成が考えられる。このような構成において、自動運転時に乗員が無意識に運転操作の介入(オーバーライド操作)を行った場合、不用意に運転操作の一部が乗員に移行される虞がある。
【0005】
本発明は、自動運転時において運転操作の介入を乗員へ伝えることができる車両用表示制御装置、車両用表示制御方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る車両用表示制御装置は、車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示する車両用表示制御装置であって、車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする。
【0007】
請求項1に係る車両用表示制御装置では、予定走行ルートが非表示となることで、乗員に対して運転操作の介入が行われたことを把握させることができる。
【0008】
請求項2に係る車両用表示制御方法は、車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示し、車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする。
【0009】
請求項3に係るプログラムは、車両の予定走行ルートを車室内の表示部に表示し、車両の運転モードが自動運転モードである場合に乗員による運転操作の介入が検知された場合には、前記予定走行ルートを非表示にする、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る車両用表示制御装置、車両用表示制御方法及びプログラムでは、自動運転時において運転操作の介入を乗員へ伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態における車両の車室前部を車両後方側から見た状態を概略的に示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る車両用表示制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る車両用表示制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】自動運転時における第二表示部の表示画面の一例を示す図であり、ステアリング操作の介入及びアクセル操作の介入が行われていない状態の図である。
【
図5】自動運転時における第二表示部の表示画面の一例を示す図であり、アクセル操作の介入が行われている状態の図である。
【
図6】自動運転時における第二表示部の表示画面の一例を示す図であり、ステアリング操作の介入が行われている状態の図である。
【
図7】変形例における自動運転時の表示画面の一例を示す図であり、アクセル操作の介入が行われている状態の図である。
【
図8】実施形態における表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る車両用表示制御装置10が適用された車両12について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態の車両12は一例として、自動運転と手動運転とを切替可能に構成されている。
【0013】
図1に示されるように、車両12における車室内の前部には、インストルメントパネル14が設けられている。インストルメントパネル14は、車両幅方向に延在されており、このインストルメントパネル14の車両右側にはステアリングホイール16が設けられている。すなわち、本実施形態では一例として、右側にステアリングホイール16が設けられた右ハンドル車とされており、運転席が車両右側に設定されている。
【0014】
インストルメントパネル14の前端部にはウインドシールドガラス18が設けられている。ウインドシールドガラス18は、車両上下方向及び車両幅方向に延在されて車室内部と車室外部とを区画している。
【0015】
ウインドシールドガラス18の車両右側端部は、車両右側のフロントピラー20に固定されている。フロントピラー20は、車両上下方向に延在されており、このフロントピラー20の車両幅方向内側端部にはウインドシールドガラス18が固定されている。また、フロントピラー20の車両幅方向外側端部にはフロントサイドガラス22の前端部が固定されている。なお、ウインドシールドガラス18の車両左側端部は、図示しない車両左側のフロントピラーに固定されている。
【0016】
ここで、ウインドシールドガラス18には、第一表示部24が設けられている。第一表示部24は、
図2に示されるヘッドアップディスプレイ装置23によって投影された投影面によって構成されている。具体的には、インストルメントパネル14よりも車両前方側にヘッドアップディスプレイ装置23が設けられており、このヘッドアップディスプレイ装置23からウインドシールドガラス18の第一表示部24へ向けて映像が投影されるように構成されている。
【0017】
第一表示部24よりも車両下方側には第二表示部26が設けられている。第二表示部26は、メータ25に表示された表示部であり、メータ25は、インストルメントパネル14における運転席の車両前方に位置している。第一表示部24及び第二表示部26は、運転者が視認可能な位置に設けられており、本発明の「表示部」に相当する。また、車両用表示制御装置10、第一表示部24及び第二表示部26によって本発明の「車両用表示システム」が構成されている。
【0018】
(車両用表示制御装置10のハードウェア構成)
図2に示されるように、本実施形態の車両用表示制御装置10は、ECU(Electronic Control Unit)28を含んで構成されている。
【0019】
ECU28は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34、ストレージ36及び入出力インターフェース38を含んで構成されている。各構成は、内部バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0020】
CPU30は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU30は、ROM32又はストレージ36からプログラムを読み出し、RAM34を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU30は、ROM32又はストレージ36に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0021】
ROM32は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM34は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ36は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。本実施形態では、ROM32又はストレージ36には、表示処理を行うための表示プログラム等が格納されている。また、入出力インターフェース38には各種の入出力装置が接続される。
【0022】
ここで、ECU28は、自動運転ECU40と電気的に接続されている。自動運転ECU40は、ECU28と同様に、図示しないCPU、ROM、RAM、ストレージ及び入出力インターフェースなどを含んで構成されている。
【0023】
自動運転ECU40には、車両の現在の状況を検出するセンサ群42および車両の走行を制御するアクチュエータ群44が接続されている。センサ群42には、カメラ、レーダ、ライダ(LIDAR;Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)、GPS(global positioning system)センサなどの各種センサのうちの複数のセンサが含まれる。カメラは、車両の周辺を撮影する。レーダは、電波により車両の周辺の物体との距離および方向を検出する。ライダは、レーザ光により車両の周辺の物体との距離および方向を検出する。GPSセンサは、車両の現在位置を検出する。この他に、センサ群42は、乗員の状態を検出するセンサを含んで構成されている。例えば、乗員の心拍数及び覚醒度などを検出する生体センサを含んでセンサ群42を構成してもよい。
【0024】
アクチュエータ群44は、車両の加減速を調整する加減速アクチュエータおよび車両の操舵装置を駆動する操舵アクチュエータを含んでいる。自動運転ECU40には、センサ群42によって検出された車両の現在の状況に応じてアクチュエータ群44の作動を制御することで、車両の自動運転を行う。なお、自動運転ECU40の記憶部には、車両が走行を予定している経路を表す予定経路が記憶されており、自動運転ECU40は、記憶部に記憶された予定経路に沿って車両を走行させる。
【0025】
ECU28には、アクセルポジションセンサ46及びステアリングセンサ48が接続されている。アクセルポジションセンサ46は、運転席の下部に設けられた図示しないアクセルペダルの位置を検出するセンサである。また、ステアリングセンサ48は、乗員によってステアリングホイール16に加えられた荷重を検出するセンサである。すなわち、本実施形態のステアリングセンサ48は、自動運転時に自動運転ECU40によってステアリングホイール16が操作されている場合には荷重を検出せず、乗員がステアリングホイール16を操作している場合に、荷重を検出する構成となっている。
【0026】
(車両用表示制御装置10の機能構成)
車両用表示制御装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。車両用表示制御装置10が実現する機能構成について
図3を参照して説明する。
【0027】
図3に示されるように、車両用表示制御装置10は、機能構成として、運転モード取得部52、周辺情報表示部54、操作介入検知部56、表示変化部58及び警告表示部60を含んで構成されている。各機能構成は、ECU28のCPU30がプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、本発明の表示制御部は、周辺情報表示部54及び表示変化部58を含んだ機能とされている。
【0028】
運転モード取得部52は、車両12の運転モードが手動運転モード及び自動運転モードの何れの運転モードであるか取得する。ここで、本実施形態における手動運転モードは、乗員の運転操作を介して車両12が走行している運転モードを指す。また、本実施形態における自動運転モードは、乗員によるステアリングホイール16の操作及びアクセル操作を介さずに車両12が走行している運転モードを指す。運転モード取得部52は、例えば、自動運転ECU40からの信号に基づいて運転モードに関する情報を取得してもよい。
【0029】
表示制御部を構成する周辺情報表示部54は、運転モード取得部52で取得された運転モードが少なくとも自動運転モードである場合に、車両12の周辺情報を車室内に設けられた第一表示部24及び第二表示部26に表示する。具体的には、周辺情報表示部54は、センサ群42からの信号を取得し、取得された信号に基づく車両12の周辺情報を第一表示部24及び第二表示部26に表示する。
【0030】
図4には、自動運転モードにおける第二表示部26の表示画面の一部が示されている。この
図4に示されるように、自動運転モードでは、第二表示部26の下部に車両12を模した自車両画像M1が表示されている。また、車両12の前方を走行する先行車両を模した先行車両画像M2が表示されている。さらに、車両12が走行している車線と隣り合う車線を走行している周辺車両を模した周辺車両画像M3が表示されている。ここで、先行車両画像M2及び周辺車両画像M3は、周辺情報表示部54の機能によって第二表示部26に表示されている。また、車両12に対して所定の範囲内に先行車両及び周辺車両が走行していない場合には、先行車両画像M2及び周辺車両画像M3は第二表示部26に表示されない。
【0031】
また、第二表示部26の上部には、現在の車両12の速度を示す画像M4が表示されており、この画像M4の下には、設定速度を示す画像M5が表示されている。
【0032】
さらに、自車両画像M1と先行車両画像M2との間には、車両12の予定走行ルートを示すトラジェクトリ画像M6、及び車両12の速度に対向する速度マークM7が表示されている。トラジェクトリ画像M6は、略帯状に表示されており、車両12が直進している場合には、上下方向に略直線状に表示されている。また、図示はしないが、車両12が右左折する場合、及びカーブに沿って曲がる場合には、トラジェクトリ画像M6が車両12の予定走行ルートに沿って曲がった状態で表示される。このトラジェクトリ画像M6は、周辺情報表示部54の機能によって第二表示部26に表示されている。
【0033】
速度マークM7は、トラジェクトリ画像M6に重畳された状態で間隔をあけて複数表示されており、
図4では4つの速度マークM7が表示されている。この速度マークM7は、車両12の速度に応じて間隔が変化するように表示される。例えば、車両12の速度が
図4の状態よりも低速の場合には、速度マークM7の間隔が狭くなるように表示される。また逆に、車両12の速度が
図4の状態よりも速い場合には、速度マークM7の間隔が広くなるように表示される。この速度マークM7は、周辺情報表示部54の機能によって第二表示部26に表示されている。
【0034】
なお、第一表示部24には、第二表示部26と同様の画像が表示される。本実施形態では、第一表示部24の表示領域が第二表示部26の表示領域よりも狭いため、第一表示部24には、第二表示部26の一部の画像が表示されるように構成されている。例えば、第一表示部24には、先行車両画像M2、トラジェクトリ画像M6及び速度マークM7が表示される。
【0035】
図3に示される操作介入検知部56は、運転モード取得部52で取得された運転モードが自動運転モードである場合に、乗員による運転操作の介入を検知する。すなわち、操作介入検知部56は、運転モードが自動運転モードの場合にのみ機能し、運転モードが手動運転モードである場合には機能しない。また、操作介入検知部56は、自動運転モードにおいて、アクセルポジションセンサ46からの信号に基づいてアクセルペダルが初期位置から移動していることを検知した場合に、乗員によってアクセル操作が介入されていると判定する。さらに、操作介入検知部56は、自動運転モードにおいて、ステアリングセンサ48からの信号に基づいて乗員がステアリングホイール16に荷重を加えたことが検知された場合に、乗員によってステアリング操作が介入されていると判定する。
【0036】
表示制御部を構成する表示変化部58は、操作介入検知部56によって乗員による運転操作の介入が検知された場合に、第一表示部24及び第二表示部26に表示された車両12の周辺情報の背景色を変化させる。
【0037】
本実施形態では一例として、操作介入検知部56が運転操作の介入を検知した場合、表示変化部58は、
図4に示される状態から
図5に示されるように第二表示部26の背景色を変化させる。なお、背景色は特に指定されず、表示変化部58は、乗員に対して注意喚起を行うことができる程度に背景色を変化させる。
【0038】
例えば、
図4に示されるように、運転操作の介入が検知されていない通常の状態では、第二表示部26の背景色が無色の状態となっている。これに対して、
図5に示されるように、運転操作の介入が検知された場合には、表示変化部58が第二表示部26の背景色をトーンダウンさせてグレーとする。このとき、自車両画像M1及び車線についてはトーンダウンさせず、周囲の色のみをトーンダウンする。
【0039】
また、表示変化部58は、操作介入検知部56によってアクセル操作が検知された場合には、先行車両の色彩をトーンダウンして表示する。さらに、表示変化部58は、操作介入検知部56によってアクセル操作が検知された場合には、速度マークM7を非表示にする。
【0040】
図5は、自動運転時においてアクセル操作の介入が行われている状態における第二表示部26の表示画面である。この
図5に示されるように、表示変化部58により先行車両画像M2の色彩がトーンダウンして表示されている。このように先行車両画像M2の色彩をトーンダウンして表示することで、先行車両との車間を自動的に調節する運転支援機能が有効になっていないことを表示している。
【0041】
また、表示変化部58により予定走行ルートのトラジェクトリ画像M6に重畳して表示されていた速度マークM7が非表示にされている。すなわち、乗員がアクセルペダルを踏み込んでいるため、車両12の速度が制御されていないことを表示している。
【0042】
さらに、表示変化部58は、自動運転時においてアクセル操作の介入が行われている場合には、設定速度の画像M5をトーンダウンして表示する。これにより、設定速度の機能が有効になっていないことを表示している。
【0043】
表示変化部58は、操作介入検知部56によってステアリング操作の介入が検知された場合には、トラジェクトリ画像M6を非表示にする。
図6は、自動運転時においてステアリング操作の介入が行われている状態における第二表示部26の表示画面である。この
図6に示されるように、表示変化部58によりトラジェクトリ画像M6が非表示にされている。また、トラジェクトリ画像M6の非表示化に伴い、速度マークM7も非表示となっている。
【0044】
また、
図6では、先行車両画像M2はトーンダウンされず、
図4と同様に表示されている。すなわち、
図6では、アクセル操作の介入が行われていないため、先行車両との車間を調節する運転支援機能が作動している。また、ステアリングホイール16が操作されていることで予定走行ルートを走行する機能が無効になっていることを表示している。
【0045】
図3に示される警告表示部60は、操作介入検知部56によってステアリング操作の介入及びアクセル操作の介入が検知された場合に、第一表示部24及び第二表示部26に運転操作の介入を示す警告を表示する。
【0046】
図5及び
図6に示されるように、ステアリング操作の介入及びアクセル操作の介入の少なくとも一方が行われている場合には、車両12の速度を表示する画像M4の左側に警告画像M8が表示される。本実施形態の警告画像M8は一例として、ステアリングホイールを把持している状態を示す画像となっているが、これに限定されない。例えば、
図7に示される変形例の表示としてもよい。
【0047】
(変形例)
図7には、自動運転時においてアクセル操作の介入が行われている状態における第二表示部26の表示画面の変形例が示されている。この
図7に示されるように、表示変化部58により先行車両画像M2及び設定速度の画像M5をトーンダウンして表示する。また、警告表示部60は、車両12の速度を表示する画像M4の左側に警告画像M9を表示する。警告画像M9は、アクセルペダルを踏み込んでいる画像となっている。このように、警告表示部60は、操作介入検知部56によってステアリング操作が検知された場合と、アクセル操作が検知された場合とで異なる表示を行うようにしてもよい。
【0048】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0049】
(表示処理の一例)
図8は、車両用表示制御装置10による表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。この表示処理は、ECU28のCPU30がROM32又はストレージ36からプログラムを読み出して、RAM34に展開して実行することによって実行される。
【0050】
図8に示されるように、CPU30は、ステップS102で運転モードを取得する。具体的には、CPU30は、運転モード取得部52の機能により、車両12の運転モードが手動運転モード及び自動運転モードの何れの運転モードであるか取得する。
【0051】
CPU30は、ステップS104で車両12の運転モードが自動運転モードであるか否かについて判定する。CPU30は、運転モード取得部52で取得された車両12の運転モードが自動運転モードであった場合、ステップS104の判定を肯定してステップS106の処理へ移行する。一方、CPU30は、運転モード取得部52で取得された車両12の運転モードが手動運転モードであった場合、表示処理を終了する。
【0052】
CPU30は、ステップS106で周辺情報を表示する。具体的には、CPU30は、周辺情報表示部54の機能により、センサ群42からの信号を取得し、取得された信号に基づく車両12の周辺情報を第一表示部24及び第二表示部26に表示する。例えば、CPU30は、ステップS106で
図4に示されるように、自車両画像M1、先行車両画像M2、周辺車両画像M3、トラジェクトリ画像M6及び速度マークM7などを第二表示部26に表示する。また、CPU30は、第二表示部26と同様の画像を第一表示部24にも表示する。
【0053】
CPU30は、ステップS108でアクセル操作の介入が行われたか否かについて判定する。具体的には、CPU30は、操作介入検知部56の機能により、アクセルポジションセンサ46からの信号に基づいてアクセル操作の介入を検知した場合、ステップS108の判定を肯定してステップS110の処理へ移行する。
【0054】
一方、CPU30は、ステップS108で操作介入検知部56の機能により、アクセル操作の介入が検知されなかった場合、ステップS108の判定を否定してステップS112の処理へ移行する。
【0055】
CPU30は、ステップS110でアクセル操作介入時の表示を行う。具体的には、CPU30は、表示変化部58の機能により、
図5に示されるように第二表示部26の背景色を変更する。また、CPU30は、表示変化部58の機能により、先行車両画像M2及び設定速度の画像M5をトーンダウンして表示すると共に、速度マークM7を非表示とする。さらに、CPU30は、ステップS110で警告表示部60の機能により警告画像M8を表示する。図示はしないが、第一表示部24についても同様に表示の変更が行われる。
【0056】
CPU30は、ステップS112でステアリング操作の介入が行われたか否かについて判定する。具体的には、CPU30は、操作介入検知部56の機能により、ステアリングセンサ48からの信号に基づいてステアリング操作の介入を検知した場合、ステップS112の判定を肯定してステップS114の処理へ移行する。
【0057】
一方、CPU30は、ステップS112で操作介入検知部56の機能により、ステアリング操作の介入が検知されなかった場合、ステップS112の判定を否定して表示処理を終了する。
【0058】
CPU30は、ステップS114でステアリング操作介入時の表示を行う。具体的には、CPU30は、表示変化部58の機能により、
図6に示されるように第二表示部26の背景色を変更する。また、CPU30は、表示変化部58の機能により、予定走行ルートを示すトラジェクトリ画像M6及び速度マークM7を非表示とする。さらに、CPU30は、ステップS114で警告表示部60の機能により警告画像M8を表示する。図示はしないが、第一表示部24についても同様に表示の変更が行われる。そして、CPU30は、表所処理を終了する。
【0059】
なお、
図6に示されている状態は、ステップS108の判定が否定され、ステップS112の判定が肯定された場合の表示である。すなわち、アクセル操作の介入がなく、ステアリング操作の介入が行われた場合における表示例が
図6に示されている。一方、ステップS108の判定が肯定され、かつ、ステップS112の判定が肯定された場合、すなわち、アクセル操作及びステアリング操作の両方の介入が行われた場合には、
図5の表示及び
図6の表示が組み合わされる。この場合、CPU30は、表示変化部58の機能により、
図5又は
図6に示されるように第二表示部26の背景色を変更する。また、CPU30は、表示変化部58の機能により、先行車両画像M2及び設定速度の画像M5をトーンダウンして表示すると共に、予定走行ルートを示すトラジェクトリ画像M6及び速度マークM7を非表示とする。さらに、CPU30は、警告表示部60の機能により警告画像M8を表示する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る車両用表示制御装置10では、周辺情報表示部54は、運転モード取得部で取得された運転モードが少なくとも自動運転モードである場合に、車両12の周辺情報を第一表示部24及び第二表示部26に表示する。これにより、自動運転モードでは、乗員が第一表示部24及び第二表示部26を見ることで車両12の周辺情報を確認することができる。
【0061】
また、本実施形態では、操作介入検知部56によって運転操作の介入が検知された場合に、表示変化部58が第一表示部24及び第二表示部26に表示された車両12の周辺情報の背景情報を変化させる。これにより、自動運転モードでの走行中に乗員が無意識に運転操作を行った場合、第一表示部24及び第二表示部26の背景が変化するため、乗員に対して運転操作の介入を視覚的に通知することができる。例えば、乗員が無意識のうちにアクセルペダルに載せていた足でアクセルペダルを踏みこんだ場合に、アクセル操作の介入が行われていることを注意喚起することができる。
【0062】
ここで、本実施形態では、視覚的に乗員に注意喚起を行うことで、音声で頻繁に通知する構成と比較して、他の乗員が快適性を損なうのを抑制することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、周辺情報表示部54が予定走行ルートを第一表示部24及び第二表示部26に表示することで、自動運転モードであっても乗員が予定走行ルートを一見して把握することができる。また、ステアリング操作の介入時には、表示変化部58が予定走行ルートの画像M6を非表示にすることで、乗員に対してステアリングホイール16が操作されていることを認識させることができる。
【0064】
さらにまた、本実施形態では、周辺情報表示部54が先行車両画像M2を第一表示部24及び第二表示部26に表示することで、自動運転モードであっても乗員が先行車両の存在を一見して把握することができる。また、アクセル操作の介入時には、表示変化部58が先行車両画像M2の色彩をトーンダウンして表示することで、乗員に対してアクセル操作が行なわれていることを認識させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、周辺情報表示部54が速度マークM7を第一表示部24及び第二表示部26に表示することで、自動運転モードであっても乗員が速度マークM7の間隔を確認するだけで車両12の速度を確認することができる。また、アクセル操作の介入時には、表示変化部58が速度マークM7を非表示にすることで、乗員に対してアクセル操作が行われていることを認識させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、警告表示部60によって第一表示部24及び第二表示部26に警告画像M8が表示されるため、乗員に対して運転操作の介入があることを効果的に通知することができる。この際、
図7に示される変形例のように、アクセル操作の介入時とステアリング操作の介入時とで警告画像を変更することで、乗員が運転操作の種類を容易に把握することができる。
【0067】
以上、実施形態に係る車両用表示制御装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、表示変化部58は、アクセル操作の介入時及びステアリング操作の介入時に第一表示部24及び第二表示部26の背景情報を変更する構成としたが、これに限定されない。他の運転操作の介入時にも第一表示部24及び第二表示部26の背景情報を変更してもよい。例えば、方向指示器が操作された場合に、表示変化部58が第一表示部24及び第二表示部26の背景情報を変更してもよい。また、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に、表示変化部58が第一表示部24及び第二表示部26の背景を変更してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、アクセルポジションセンサ46の信号に基づいてアクセル操作の介入を検知したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダルに代えてボタン及びレバーなどの操作部を操作することで加減速を行う車両では、この操作部からの信号に基づいてアクセル操作の介入を検知してもよい。
【0069】
さらに、上記実施形態では、ステアリングセンサ48の信号に基づいてステアリング操作の介入を検知したが、これに限定されない。例えば、ステアリングホイール16に代えてボタン及びレバーなどの操作部を操作することで操舵を行う車両では、この操作部からの信号に基づいてステアリング操作の介入を検知してもよい。
【0070】
さらにまた、上記実施形態では、第一表示部24及び第二表示部26の両方に車両の周辺情報を表示したが、これに限定されない。例えば、周辺情報表示部54は、第一表示部24のみに車両の周辺情報を表示する構成としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、表示変化部58は、第二表示部26の全体の背景色を変化したが、これに限定されない。例えば、表示変化部58が第二表示部26の一部の背景色を変化する構成とした場合であっても、乗員に対して運転操作の介入を注意喚起させることができれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
さらに、上記実施形態では、表示変化部58は、運転操作の介入時に第一表示部24及び第二表示部26の背景色を変化させる構成としたが、これに限定されない。例えば、表示変化部58は、運転操作の介入時に第一表示部24及び第二表示部26の背景に所定のパターンを表示することで背景情報を変更してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 車両用表示制御装置
12 車両
24 第一表示部
26 第二表示部
54 周辺情報表示部(表示制御部)
58 表示変化部(表示制御部)