IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特開2023-181342料金収受システムおよび料金収受方法
<>
  • 特開-料金収受システムおよび料金収受方法 図1
  • 特開-料金収受システムおよび料金収受方法 図2
  • 特開-料金収受システムおよび料金収受方法 図3
  • 特開-料金収受システムおよび料金収受方法 図4
  • 特開-料金収受システムおよび料金収受方法 図5
  • 特開-料金収受システムおよび料金収受方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181342
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】料金収受システムおよび料金収受方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20231214BHJP
   G08G 1/017 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G08G1/017
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184998
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2019221470の分割
【原出願日】2019-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智弘
(57)【要約】
【課題】 車載器にセットするICカードなどの媒体を用いることなく料金収受が行える料金収受システムおよび料金収受方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、料金収受システムは、中央装置、入口処理装置及び出口処理装置を備える。入口処理装置は、第1の通信部と第1の情報取得部と第1の制御部とを備える。出口処理装置は、第2の通信部と第2の情報取得部と第2の制御部とを備える。中央装置は、第3の通信部と記憶部と第3の制御部とを備える。第1の情報取得部は、入口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得する。第2の情報取得部は、出口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得する。記憶部は、利用者特定情報と入口情報とを対応づけて記憶する。第2の制御部は、利用者特定情報に対応する入口情報を起点として算出される通行料金の決済結果に応じて出口レーン内の車両の通行を制御する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央装置、入口処理装置および出口処理装置を備える料金収受システムであって、
前記入口処理装置は、
前記中央装置と通信する第1の通信部と、
有料道路の入口となる入口レーンを通行する車両に設置された車載器と無線通信する第1の車両通信器と、
前記入口レーンを通行する前記車両から前記第1の車両通信器が前記車載器から取得する情報とは異なる利用者特定情報を取得する第1の情報取得部と、
前記第1の情報取得部により取得した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて前記第1の通信部により前記中央装置へ送信する第1の制御部と、を備え、
前記出口処理装置は、
前記中央装置と通信する第2の通信部と、
前記有料道路の出口となる出口レーンを通行する車両に設置された車載器と無線通信する第2の車両通信器と、
前記出口レーンを通行する車両から前記第2の車両通信器が前記車載器から取得する情報とは異なる利用者特定情報を取得する第2の情報取得部と、
前記第2の情報取得部により取得した利用者特定情報を前記第2の通信部により前記中央装置へ送信し、前記中央装置が保持する前記利用者特定情報に対応する入口情報を起点として算出される通行料金の決済結果に応じて前記出口レーン内の車両の通行を制御する第2の制御部と、を備え、
前記中央装置は、
前記入口処理装置および前記出口処理装置と通信する第3の通信部と、
前記第3の通信部により前記入口処理装置から受信する利用者特定情報と入口情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記第3の通信部により前記出口処理装置から受信する利用者特定情報に対応する入口情報を特定する第3の制御部と、を備える、
料金収受システム。
【請求項2】
前記中央装置の前記記憶部は、当該料金収受システムによる料金収受を実施する前に利用者からの登録要求に応じて前記利用者特定情報を記憶する、
前記請求項1に記載の料金収受システム。
【請求項3】
前記入口処理装置の前記第1の制御部は、前記第1の情報取得部により取得した情報が登録済みであるかを前記第1の通信部により前記中央装置に問い合わせ、前記第1の情報取得部により取得した情報が前記中央装置に登録済みの利用者特定情報である場合に前記車両の通行を許可する、
前記請求項2に記載の料金収受システム。
【請求項4】
前記中央装置の前記第3の制御部は、前記入口情報を前記利用者特定情報の送信元の出口処理装置へ送信し、
前記出口処理装置の前記第2の制御部は、前記中央装置から受信する前記入口情報に基づいて通行料金を算出する、
前記請求項1に記載の料金収受システム。
【請求項5】
前記中央装置の前記記憶部は、利用者が指定する利用者特定情報と決済情報とを対応づけて記憶し、
前記中央装置の前記第3の制御部は、さらに、前記出口処理装置から受信する前記利用者特定情報に対応する決済情報を特定し、前記入口情報と前記決済情報とを前記利用者特定情報の送信元の出口処理装置へ送信し、
前記出口処理装置の前記第2の制御部は、前記中央装置から受信する前記入口情報に基づいて算出する通行料金を前記決済情報によって決済処理する、
前記請求項4に記載の料金収受システム。
【請求項6】
前記利用者特定情報は、利用者の顔画像であり、
前記第1の情報取得部は、前記入口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出する当該車両に乗車している利用者の顔画像を利用者特定情報として取得し、
前記第2の情報取得部は、前記出口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出する当該車両に乗車している利用者の顔画像を利用者特定情報として取得する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の料金収受システム。
【請求項7】
前記利用者特定情報は、利用者が所持する携帯端末が発信する特定情報であり、
前記第1の情報取得部は、前記入口レーン内を通信範囲とした無線通信によって通信する携帯端末から受信する特定情報を利用者特定情報として取得し、
前記第2の情報取得部は、前記出口レーン内を通信範囲とした無線通信によって通信する携帯端末から受信する特定情報を利用者特定情報として取得する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の料金収受システム。
【請求項8】
前記利用者特定情報は、車両に取り付けられるナンバープレートの情報であり、
前記第1の情報取得部は、前記入口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出するナンバープレートの画像に対する文字認識によって取得する前記ナンバープレートの情報を利用者特定情報として取得し、
前記第2の情報取得部は、前記出口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出するナンバープレートの画像に対する文字認識によって取得する前記ナンバープレートの情報を利用者特定情報として取得する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の料金収受システム。
【請求項9】
中央装置、入口処理装置および出口処理装置を備える料金収受システムに用いられる料金収受方法であって、
入口処理装置が、有料道路の入口となる入口レーンを通行する車両に設置された車載器と無線通信し、
入口処理装置が、前記入口となる入口レーンを通行する前記車両から前記車載器から取得する情報とは異なる利用者特定情報を取得し、
入口処理装置が、前記入口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて前記中央装置へ送信し、
前記中央装置が、前記入口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報と入口情報とを記憶部に記憶し、
出口処理装置が、前記有料道路の出口となる出口レーンを通行する車両に設置された車載器と無線通信し、
出口処理装置が、前記出口レーンを通行する前記車両から前記車載器から取得する情報とは異なる利用者特定情報を取得し、
出口処理装置が、前記出口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報を前記中央装置へ送信し、
前記中央装置が、前記記憶部に記憶した入口情報から前記出口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報に対応する入口情報を特定し、
出口処理装置が、前記特定した入口情報を起点として算出される通行料金の決済結果に応じて前記出口レーン内の車両の通行を制御する、
料金収受方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、料金収受システムおよび料金収受方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載した車載器と路側に設置した路側システムとが無線通信を行うことにより有料道路における通行料金を収受する料金収受システムがある。従来の料金収受システムは、利用者が車両に車載器を搭載し、車両に搭載した車載器に料金決済用のICカードをセットしておく必要がある。従来の料金収受システムは、入口料金所に設置されたアンテナを用いて入口を通過する車両に搭載された車載器との間で無線通信することで、車載器にセットされているICカードが入口情報を記録する。料金収受システムは、出口料金所においてもアンテナを用いて車載器と無線通信することで、車載器にセットされているICカードに記録されている入口情報を読み取り、その入口情報をもとに料金が決定される。決定された料金は、車載器にセットされているICカードの決済情報を用いて決済され、後日利用者に請求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-250404号公報
【特許文献2】特開2005-196664号公報
【特許文献3】特開平9-190554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の料金収受システムは、車載器にセットされるICカードが入口から出口までの移動中に交換されると、正しい料金が算出できない。また、入口でICカードに入口情報が確実に記録できていないと、従来の料金収受システムは、出口料金所での正常な料金収受処理が実施できなくなる。さらに、従来の料金収受システムは、車載器にセットすべきICカードを紛失してしまうと、適切な出場処理を実行することが困難となるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、車載器にセットするICカードなどの媒体を用いることなく料金収受が行える料金収受システムおよび料金収受方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、料金収受システムは、中央装置、入口処理装置および出口処理装置を備える。入口処理装置は、第1の通信部と第1の車両通信器と第1の情報取得部と第1の制御部とを備える。出口処理装置は、第2の通信部と第2の車両通信器と第2の情報取得部と第2の制御部とを備える。中央装置は、第3の通信部と記憶部と第3の制御部とを備える。第1の車両通信器は、有料道路の入口となる入口レーンを通行する車両に設置された車載器と無線通信する。第1の情報取得部は、前記入口レーンを通行する前記車両から前記第1の車両通信機が前記車載器から取得する情報とは異なる利用者特定情報を取得する。第1の制御部は、第1の情報取得部により取得した利用者特定情報と車種などの通行料金の計算に用いる情報を含む入口情報とを対応づけて通信部により中央装置へ送信する。第2の車両通信器は、前記有料道路の出口となる出口レーンを通行する車両に設置された車載器と無線通信する。第2の情報取得部は、前記出口レーンを通行する車両から前記第2の車両通信機が前記車載器から取得する情報とは異なる利用者特定情報を取得する。第2の制御部は、第2の情報取得部により取得した利用者特定情報を第2の通信部により中央装置へ送信し、中央装置が保持する利用者特定情報に対応する入口情報を起点として算出される通行料金の決済結果に応じて出口レーン内の車両の通行を制御する。記憶部は、第3の通信部により入口処理装置から受信する利用者特定情報と入口情報とを対応づけて記憶する。第3の制御部は、第3の通信部により出口処理装置から受信する利用者特定情報に対応する入口情報を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの構成例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る料金収受システムの動作例を模式的に示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る料金収受システムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
図5図5は、第2の実施形態に係る料金収受システムの動作例を模式的に示す図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る料金収受システムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
第1および第2の実施形態に係る料金収受システムは、有料道路の入口料金所および出口料金所を通行する車両に対して料金収受を含む入口処理および出口処理を実行する料金を収受するシステムである。例えば、料金収受システムは、入口料金所を通行した車両または利用者を特定する情報(利用者特定情報)に対応づけた入口情報を出口料金所の機器が取得して車両に対する通行料金を収受するものである。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システム全体の構成例を模式的に示す図である。
図1に示すように、料金収受システムは、中央装置(上位システム)1、入口処理システム(入口処理装置)2、および、出口処理システム(出口処理装置)4を有する。 中央装置1は、料金収受システム全体における情報の管理を行う。中央装置1は、各入口に設けられる入口処理システム2および出口の料金所に設けられるおよび出口処理システム4と通信可能に接続される。
【0010】
入口処理システム2は、有料道路の入口としての入口料金所に設置される各機器で構成される。入口処理システム2は、入口料金所から有料道路に入場する車両に対して入口処理を実行する。図1に示す構成例において、入口処理システム2は、車線サーバ21、発進制御器22、路側表示器23、車両通信器24、情報取得装置25、料金所サーバ28およびデータ処理装置29などを有する。
【0011】
車線サーバ21、発進制御器22、路側表示器23、車両通信器24および情報取得装置25は、入口料金所機器20を構成する。入口料金所機器20は、入口料金所に設けた車両が通行する入口レーンごとに設置される。入口料金所機器20は、入口レーンを走行する車両に搭載されている車載器6と通信して当該車両に対して入口処理を行う。入口料金所機器20において、発進制御器22、路側表示器23、車両通信器24および情報取得装置25は、車線サーバ21に接続され、車線サーバ21の制御によって動作する。
【0012】
料金所サーバ28は、入口料金所の各入口レーンに設けられた入口料金所機器20に接続される。例えば、料金所サーバ28は、各入口料金所機器20へ配信するデータや各入口料金所機器20で実行した入場処理の処理結果を示す情報などを管理する。
【0013】
データ処理装置29は、料金所サーバ28に接続され、上位システムとしての中央装置1と通信する機能を有する。例えば、データ処理装置29は、料金所サーバ28を経由して入口料金所機器20が入口処理した車両の利用者特定情報および入口情報を受信して中央装置1へ送信する。
【0014】
出口処理システム4は、有料道路の出口としての出口料金所に設置される各機器で構成される。出口処理システム4は、有料道路から出場する車両に対して出口処理を実行する。図1に示す構成例において、出口処理システム4は、車線サーバ41、発進制御器42、路側表示器43、車両通信器44、情報取得装置45、料金所サーバ48およびデータ処理装置49などを有する。
【0015】
車線サーバ41、発進制御器42、路側表示器43、車両通信器44および情報取得装置45は、出口料金所機器40を構成する。出口料金所機器40は、出口料金所に設けた車両が通行する出口レーンごとに設置される。出口料金所機器40は、出口レーンを走行する車両に搭載されている車載器6と通信して当該車両に対して出口処理を行う。出口料金所機器40において、発進制御器42、路側表示器43、車両通信器44および情報取得装置45は、車線サーバ41に接続され、車線サーバ41の制御によって動作する。
【0016】
料金所サーバ48は、出口料金所の各出口レーンに設けられた出口料金所機器40に接続される。料金所サーバ48は、車線サーバ41およびデータ処理装置49に接続される。例えば、料金所サーバ48は、当該出口料金所における各出口料金所機器40へ配信するデータや各出口料金所機器40で実行した入場処理の処理結果を示す情報などを管理する。
【0017】
データ処理装置49は、料金所サーバ48に接続され、上位システムとしての中央装置1と通信する機能を有する。例えば、データ処理装置49は、料金所サーバ48を経由して出口料金所機器40が出口処理した車両の利用者特定情報および出口情報を受信して中央装置1へ送信する。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
まず、第1の実施形態係る中央装置1の構成例について説明する。
図2に示すように、上位システムとしての中央装置1は、制御部11、記憶部12および通信部13を備える。
制御部11は、データ処理を司る。制御部11は、CPU(central processing unit)等のプロセッサ、メモリ、及びインターフェースなどを有する。プロセッサは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現する。プロセッサは、インターフェースなどを介して中央装置1を構成する各部に接続される。メモリは、プロセッサが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、及び一時的にデータを記憶する揮発性メモリ等を含む。すなわち、制御部11は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することによりデータ処理を実行する。
【0019】
記憶部12は、ROMおよびRAMなどの読み出しや書込みが高速に行えるシステムメモリ、および、HDD或はSSDなどのデータメモリを含む。例えば、記憶部12のROMは、制御部11のプロセッサが実行するプログラムを記憶する。記憶部12のRAMは、プロセッサが使用するプログラムがロードされたり、データを一時的に記憶するバッファメモリとして使用されたりするワーキングメモリとして機能する。
【0020】
記憶部12のデータメモリは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部12のデータメモリは、利用者を特定する利用者特定情報と当該利用者の決済情報とを対応づけた登録情報を記憶する。また、記憶部12のデータメモリは、入口処理システム2から供給される利用者特定情報と対応づけた入口情報を記憶する。入口情報は、少なくとも入口を示す入口識別情報を含む。また、入口情報は、入場日時などの情報を含むようにしてもよい。
【0021】
また、記憶部12のデータメモリは、各出口処理システム4に配信する料金テーブルを保持しても良い。料金テーブルは、入口と出口とに応じた通行料金(基本料金)を示す情報を格納する。例えば、料金テーブルは、有料道路全体における各入口と各出口との組み合わせに対して同一発着で同一料金となるような通行料金を示す情報を格納する。また、料金テーブルには、種々の条件に応じた割引額を示す情報を保持しても良い。
【0022】
通信部13は、入口処理システム2および出口処理システム4と通信するための通信インターフェースである。例えば、通信部13は、入口処理システム2との通信として、後述するデータ処理装置29および料金所サーバ28を介して入口料金所機器20の車線サーバ21と通信し、車線サーバ21からの入口情報および利用者特定情報などを受信する。また、通信部13は、出口処理システム4との通信として、後述するデータ処理装置49および料金所サーバ48を介して出口料金所機器40の車線サーバ41と通信し、車線サーバ41からの問合せに応じて入口情報および利用者特定情報などを送信する。
【0023】
次に、入口処理システム2について説明する。
図2に示すように、入口処理システム2は、入口料金所機器20、料金所サーバ28およびデータ処理装置29を有する。
入口料金所機器20は、車線サーバ(車線制御装置)21、発進制御器22、路側表示器23、車両通信器24および情報取得装置(情報取得部)25などを有する。これらの入口料金所機器20を各機器は、図1に示すように、入口料金所において車両が通行する入口レーンごとに設けられる。
【0024】
車線サーバ21は、制御部31、記憶部32および通信部33などを有する。
制御部31は、入口料金所機器20全体の制御及びデータ処理などを行う。制御部31は、CPUなどのプロセッサ、メモリおよびインターフェースなどを有する。プロセッサは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現する。プロセッサは、インターフェースなどを介して入口料金所機器20を構成する各部に接続される。メモリは、制御部31が動作するためのデータを格納するシステムメモリである。例えば、メモリは、プロセッサが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0025】
記憶部32は、データを記憶する記憶装置である。記憶部32は、例えば、HDDあるいはSSDなどの記憶装置で構成する。記憶部32は、入口料金所機器20又は入口料金所機器20に対応する入口(入口料金所)を示す入口識別情報を記憶する。この入口識別情報は、通行料金を算出する上で通行区間の起点を示す。また、記憶部32は、車載器6との無線通信で取得する車両情報、情報取得装置が取得する利用者特定情報および入場日時などを記憶するようにしても良い。
【0026】
通信部33は、料金所サーバ28と接続する通信インターフェースである。通信部33は、入口レーンを通行する車両に対する入場処理によって得た情報を料金所サーバ28およびデータ処理装置29を介して中央装置1へ送信する。
【0027】
発進制御器22は、入口レーンを走行する車両の有料道路への入場を制御する。発進制御器22は、入口料金所の入口レーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御器22は、車両を一旦停止させる場合あるいは車両の通行(入場)を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両の通行を阻止する。また、発進制御器22は、車両の通行(入場)を許可する場合、発進制御バーを開放して車両の通過を許可する。なお、料金所での渋滞緩和を優先して、発進制御器22に発進制御バーを設けないようにしても良い。
【0028】
路側表示器23は、入口レーンを通行する車両に乗車する利用者に対して案内などを表示する。路側表示器23は、入口レーンを通行する車両に向けて設置される。路側表示器23は、車線サーバ21からの制御指示に応じて表示内容を制御する。
【0029】
車両通信器24は、車両の車載器6との無線通信に対応する通信インターフェースである。車両通信器24は、入口料金所において入口料金所機器20に接近する車両(入場しようとする車両)の車載器6と無線通信する。車両通信器24は、車載器6から車両識別情報を含む車両情報を受信し、車両情報と当該車両の入場日時を出力する。なお、入場日時は、車両通信器24と車両の車載器6との通信日時に相当する。
【0030】
情報取得装置(情報取得部)25は、入口レーンを走行する車両から利用者特定情報を取得するものである。利用者特定情報は、車両に乗車している利用者(決済者)または車両自体を特定する情報であれば良い。本実施形態では、車載器6にセットするカードなどの媒体を用いないで料金収受を実行すること前提する。このため、利用者特定情報は、少なくとも車載器6または車載器6にセットされるカードなどの媒体から取得される情報以外の情報であるものとする。
【0031】
例えば、車両に乗車している利用者を特定する情報としては、利用者の顔画像、あるいは、利用者が所持する携帯端末(例えばスマートフォン)が発信する特定情報などが利用者特定情報として適用できる。
利用者の顔画像を利用者特定情報とする場合、情報取得装置25は、入口レーンを通行する車両内を撮影した画像から利用者の顔画像を取得するように構成する。例えば、情報取得装置25は、入口レーン内を撮影範囲に設置したカメラが撮影する画像から人物の顔画像を抽出することにより利用者(運転者または搭乗者)の顔画像を取得するようにすれば良い。この場合、情報取得装置25は、入口レーンを通行する車両内を撮影するカメラから撮影画像を取得するインターフェースとカメラが撮影した撮影画像から利用者の顔画像を抽出する処理を行う処理部とを有する装置(顔画像取得装置)として構成すれば良い。なお、情報取得装置25は、中央装置1に登録された登録者の顔画像を辞書として利用者の顔画像から人物を特定する処理を行う装置(顔認識装置)で実現しても良い。
【0032】
利用者が所持する携帯端末が発信する特定情報を利用者特定情報とする場合、情報取得装置25は、入口レーンを通行する車両に登場する利用者が所持する携帯端末から発信される情報を取得するように構成する。例えば、情報取得装置25は、入口レーンにおける車両の通行範囲を通信エリアとする近距離無線通信によって利用者が所持する携帯端末から発信される特定情報を取得する。この場合、情報取得装置25は、入口レーン内を通信エリアとして携帯端末と無線通信する無線通信器と通信制御を行う処理部とを具備する装置(無線通信装置)として構成すれば良い。
【0033】
また、車両自体を特定する情報としては、車両の前方又は後方に取り付けられるナンバープレートの情報などが利用者特定情報として適用できる。
ナンバープレートの情報を利用者特定情報とする場合、情報取得装置25は、入口レーンを通行する車両を撮影した画像に含まれるナンバープレートの画像に対して文字認識することでナンバープレートの情報を取得するように構成する。例えば、情報取得装置25は、カメラが入口レーン内を走行する車両を前方または後方から撮影した画像からナンバープレートの画像を抽出し、抽出したナンバープレートの画像に対してナンバー(文字)認識を行うことによりナンバープレートの情報を取得する。この場合、情報取得装置25は、入口レーンを通行する車両の前方または後方を撮影するカメラから撮影画像を取得するインターフェースとカメラが撮影した撮影画像からナンバープレートの画像を抽出して文字認識する処理を行う処理部とを有する装置(ナンバープレート読取装置)として構成すれば良い。
【0034】
次に、出口処理システム4について説明する。
図2に示すように、出口処理システム4は、出口料金所機器40、料金所サーバ48およびデータ処理装置49を有する。
出口料金所機器40は、車線サーバ(車線制御装置)41、発進制御器42、路側表示器43、車両通信器44および情報取得装置(情報取得部)45などを有する。これらの出口料金所機器40を構成する各機器は、図1に示すように、出口料金所において車両が通行する出口レーンごとに設けられる。
【0035】
なお、出口処理システム4を構成する各機器は、入口処理システム2を構成する各機器と同様な構成を有するハードウエアで実現できる。すなわち、出口料金所機器40、車線サーバ41、発進制御器42、路側表示器43、車両通信器44、情報取得装置45、料金所サーバ48およびデータ処理装置49は、それぞれ、上述した入口料金所機器20、車線サーバ21、発進制御器22、路側表示器23、車両通信器24、情報取得装置25、料金所サーバ28およびデータ処理装置29と同等なもので実現できる。また、車線サーバ41の構成としての制御部51、記憶部52および通信部53についても、上述した車線サーバ21の制御部31、記憶部32および通信部33と同等なもので実現できる。このため、出口処理システム4を構成する各機器についても詳細な説明は省略するものとする。
【0036】
次に、第1の実施形態に係る料金収受システムの動作について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る料金収受システムによる入口処理および出口処理の流れを模式的に示す図である。図4は、第1の実施形態に係る料金収受システムによる入口処理および出口処理の流れを説明するためのタイミングチャートである。
【0037】
まず、利用者は、当該システムによる料金収受のサービスを受ける前に利用者特定情報の登録処理を実行する。例えば、利用者は、パソコンあるいは携帯端末(スマートフォン等)などの情報処理装置から中央装置1にアクセスし、利用者特定情報などの登録を要求する操作を実行する。中央装置1は、利用者からの登録要求に応じて利用者特定情報などの登録処理を実行する(ST10)。
【0038】
利用者特定情報は、当該利用者の決済情報と対応づけて記憶部12に記憶することにより中央装置1に登録される。決済情報は、通行料金を利用者が支払うための情報であり、例えば、利用者のクレジットカード情報などである。これにより、中央装置1は、利用者特定情報に対応する決済情報が特定できるようにできる。
【0039】
また、利用者特定情報は、顔画像、携帯端末(例えばスマートフォン)に発信する特定情報、あるいは、ナンバープレートの情報などがある。
顔画像は、利用者の顔を撮影した画像を登録しても良いし、免許証などの顔写真付きの証明書の画像を用いて登録するようにしても良い。後者の場合、顔画像だけでなく、個人を証明するための情報としても登録できる。
【0040】
携帯端末が発信する特定情報は、例えば、携帯端末のプロセッサが実行する専用のアプリケーションプログラム(専用アプリと称する)で発行し、専用アプリを用いて発信できる情報としても良い。この場合、携帯端末は、専用アプリを事前にインストールした上で、当該専用アプリを用いて中央装置1への利用者特定情報および決済情報の登録を行い、料金収受システムでの入口処理及び出口処理を行う場合には当該専用アプリを起動しておくようにすれば良い。
【0041】
また、ナンバープレートの情報は、例えば、利用者自身が入力し、さらに利用者が入力する決済情報と対応づけて登録すれば良い。ただし、ナンバープレートは、車両に固有な情報であるため、1つのナンバープレートの情報に対しては、当該車両の決済者となる1人の利用者の決済情報を登録するものとするようにしても良い。
上記のような登録処理が完了した利用者は、登録した利用者特定情報を用いた料金収受のサービスが受けられるものとなる。
【0042】
以下、上述した登録処理が完了済みであるものとして、料金収受システムにおける入口処理および出口処理について説明するものとする。
まず、車両が入口料金所の入口レーンを通行すると、当該入口レーンに設けられた入口料金所機器20は、車両の車載器6と通信して入口処理を実行する。すなわち、車載器6は、車載器識別情報を含む車両情報を送信し(ST11)、入口料金所機器20の車両通信器24は、車載器6から送信される車両情報を受信する(ST12)。ここで、車両情報は、車載器識別情報だけでなく車種などの通行料金の結果に関わる情報が含まれるものとするが、後述の利用者特定情報だけで通行料金の計算を行う運用であれば、ST11-12の処理は省略しても良い。
【0043】
車線サーバ21の制御部31は、車両が入口レーンに進入してきた検知すると、情報取得装置25を用いて当該車両から利用者特定情報を取得する処理を実行する(ST13)。情報取得装置25は、車線サーバ21から指示に応じて、入口レーンを走行する車両から利用者特定情報を取得する。
【0044】
例えば、利用者特定情報が利用者の顔画像であれば、情報取得装置25は、入口レーンを走行する車両内を撮影するカメラが撮影する画像を取得し、取得した画像から車両に乗車している人物(利用者)の顔画像を抽出する。情報取得装置25は、カメラが撮影した画像から抽出した利用者の顔画像を利用者特定情報として車線サーバ21へ送信する。なお、車両内に複数の利用者がいる場合、情報取得装置25は、カメラが撮影した画像から車両内にいる複数の人物の顔画像を取得するようにしても良い。この場合、情報取得装置25は、各人物の顔画像を利用者の顔画像候補として車線サーバ21へ送るようにしても良い。
【0045】
また、利用者特定情報が利用者の携帯端末が発信する情報であれば、情報取得装置25は、携帯端末と無線通信するための電波を入口レーン内に送信し、車両に乗車している人物が所持する携帯端末との通信を行う。この場合、携帯端末のプロセッサは、情報取得装置25と通信するための専用のアプリケーションプログラム(専用アプリ)を実行し、専用アプリによる動作によって利用者特定情報とする情報を情報取得装置25へ送信するものとする。情報取得装置25は、携帯端末との無線通信によって携帯端末からの利用者特定情報を取得する。情報取得装置25は、携帯端末から取得した利用者特定情報を車線サーバ21へ送信する。
【0046】
また、利用者特定情報が車両のナンバープレートの情報であれば、情報取得装置25は、入口レーンを走行する車両を前方または後方から撮影するカメラが撮影する画像を取得し、取得した画像からナンバープレートの画像を抽出する。ナンバープレートの画像を抽出すると、情報取得装置25は、ナンバープレートの画像に対して文字認識を実行することによりナンバープレートの情報を取得する。情報取得装置25は、カメラが撮影した画像から認識したナンバープレートの情報を利用者特定情報として車線サーバ21へ送信する。
【0047】
車線サーバ21の制御部31は、情報取得装置25による利用者特定情報を取得結果に基づいて、当該車両に対する通行制御を行う(ST14)。例えば、制御部31は、情報取得装置25から利用者特定情報を取得できた場合、当該車両の通行を許可する。制御部31は、情報取得装置25から利用者特定情報を取得できない場合、当該車両の通行を阻止する。車両の通行を許可する場合、制御部31は、路側表示器23に通行可を示す案内を表示するとともに、発進制御器22により発進制御バーを上げて当該車両を通行させる。車両の通行を阻止する場合、制御部31は、路側表示器23に通行不可の案内を表示するとともに、発進制御器22により発進制御バーを下して当該車両の通行を阻止する。
【0048】
なお、制御部31は、情報取得装置25により取得した情報が中央装置1に登録済みの利用者特定情報であるか否かを確認し、その確認結果に応じて当該車両の通行の可否を判定するようにしても良い。例えば、制御部31は、情報取得装置25により取得した情報が登録済みの利用者特定情報であるかを中央装置1に問い合わせることにより、登録済みの利用者特定情報であるか否かを確認できる。
【0049】
利用者特定情報が取得できた車両の通行を許可した場合、制御部31は、情報取得装置25から取得した利用者特定情報に対応づけた入口識別情報及び入場日時を含む入口情報を中央装置1へ送信する(ST15)。図3に示す例では、車線サーバ21が、利用者特定情報と入口情報とを含む情報を料金所サーバ28およびデータ処理装置29を介して中央装置1へ送信する様子を示している。
【0050】
これらの入口処理システムによる入口処理に対して、中央装置1は、入口料金所機器20からの利用者特定情報と入口情報とを通信部13により受信する。入口料金所機器20から利用者特定情報と入口情報とを受信すると、中央装置1の制御部11は、受信した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて記憶部12に記憶する(ST16)。例えば、記憶部12は、利用者特定情報から入口情報が特定できる情報を保存する。
【0051】
入口料金所から入場した車両が出口料金所の出口レーンを通行すると、出口レーンに設けられた出口料金所機器40は、車両の車載器6と通信して出口処理を実行する。すなわち、車載器6は、車載器識別情報(車載器ID)を含む車両情報を送信し(ST21)、出口料金所機器40の車両通信器44は、車載器6から送信される車両情報を受信する(ST22)。ここで、車両情報は、車載器識別情報だけでなく車種などの通行料金の結果に関わる情報が含まれるものとするが、後述の利用者特定情報だけで通行料金の計算を行う運用であれば、ST21-22の処理は省略しても良い。
【0052】
出口料金所機器40における車線サーバ41の制御部51は、車両が出口レーンに進入してきた検知すると、情報取得装置45を用いて当該車両から利用者特定情報を取得する処理を実行する(ST23)。情報取得装置45は、車線サーバ41から指示に応じて、出口レーンを走行する車両から利用者特定情報を取得する。情報取得装置45は、入口処理システム2における情報取得装置25と同様な構成を有するものとし、情報取得装置25と同様な利用者特定情報を取得する。
【0053】
車線サーバ41の制御部51は、情報取得装置45により利用者特定情報を取得すると、取得した利用者特定情報に対応する情報(入口情報および決済情報)を中央装置1に対して問い合わせる(ST24)。車線サーバ41からの利用者特定情報を指定する問合せは、料金所サーバ48およびデータ処理装置49を介して中央装置1へ供給される。図3に示す例では、車線サーバ41が取得した利用者特定情報に対応する情報を中央装置1に照会する様子を示している。
【0054】
中央装置1は、上述の入口処理によって入口料金所で当該車両から取得した利用者特定情報に対応づけた入口情報を記憶部12に記憶している。また、中央装置1は、上述した登録処理によって利用者特定情報に対応づけた決済情報を記憶部12に記憶している。この状態において、中央装置1は、通信部13によって出口料金所機器40からの利用者特定情報に対する情報の問合せを受信する。
【0055】
中央装置1において、通信部13が問合せを受信すると、制御部11は、記憶部12に記憶している入口情報から問合せを受けた利用者特定情報に対する入口情報を特定する(ST25)。さらに、制御部11は、記憶部12に記憶している決済情報から問合せを受けた利用者特定情報に対する入口情報を特定する(ST26)。
【0056】
問合せを受けた利用者特定情報に対する入口情報および決済情報を特定すると、制御部11は、特定した入口情報および決済情報を問合せ元の出口料金所機器40へ送信する(ST27)。ただし、問合せを受けた利用者特定情報に対する入口情報が存在しない場合、制御部11は、利用者特定情報に対応する入口情報が存在しない旨のメッセージを問合せ元の出口料金所機器40へ送信する。あるいは、問合せを受けた利用者特定情報に対する決済情報(登録情報)が存在しない場合、制御部11は、利用者特定情報に対応する決済情報が存在しない旨のメッセージを問合せ元の出口料金所機器40へ送信する。
【0057】
出口料金所機器40は、中央装置1からの入口情報および決済情報をデータ処理装置49および料金所サーバ48を介して車線サーバ41が通信部53により受信する(ST28)。車線サーバ41の制御部51は、利用者特定情報に対応する入口情報および決済情報を中央装置1から取得すると、取得した入口情報に基づいて通行料金を算出する(ST29)。
【0058】
ここでは、図3に示すように、通行料金を算出するための料金テーブルTaが車線サーバ41の記憶部52に記憶されているものとする。料金テーブルTaは、例えば、中央装置1から予めダウンロードしておくものである。制御部51は、料金テーブルTaを参照して取得した入口情報に基づく通行料金を算出する。
【0059】
通行料金を算出すると、制御部51は、取得した決済情報を用いて算出した通行料金の決済処理を実行する(ST30)。この決済処理は、算出した通行料金を収受できるものであれば良い。また、通行料金の決済処理に関する情報は、中央装置1あるいは決済情報に紐づいた決済システムなどを介して利用者に通知させるようにしても良い。
【0060】
料金収受を実施すると、制御部51は、当該車両に対する通行制御を行う(ST31)。すなわち、料金収受が正常終了すると、制御部51は、当該車両の通行(出場)を許可する。制御部51は、車両の通行を許可する場合、路側表示器43に通行可を示す案内を表示し、発進制御器42により発進制御バーを上げて当該車両を通行させる。また、利用者特定情報が取得できなかった場合、入口情報または決済情報が取得できなかった場合、あるいは、料金収受がエラーとなった場合、制御部51は、当該車両の通行を阻止する。場合、制御部51は、車両の通行を阻止する場合、路側表示器43に通行不可(係員対応による料金収受)の案内を表示し、発進制御器42により発進制御バーを下して当該車両の通行を阻止する。
【0061】
なお、利用者特定情報が取得できた車両を出場させた後、車線サーバ41の制御部51は、出場履歴(出場処理の結果)として利用者特定情報に対応づけた出場識別情報及び出場日時を含む出場情報を料金所サーバ28およびデータ処理装置29を介して中央装置1へ送信するようにしても良い。この場合、中央装置1では、利用者特定情報に対応づけた出場情報を出場履歴として記憶部12に保存しておくことが可能となる。
【0062】
上記のように、第1の実施形態に係る料金収受システムにおいて、入口処理システムは、入口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得し、取得した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて前記中央装置へ送信する。中央装置は、入口処理システムからの入口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報と入口情報とを記憶部に記憶する。出口処理システムは、出口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得し、取得した利用者特定情報に対応する入口情報を中央装置へ要求する。中央装置は、出口処理システムからの利用者特定情報に対応する入口情報および決済情報を特定し、特定した入口情報および決済情報を出口処理システムへ送信する。出口処理システムは、中央装置から取得する入口情報を用いて通行料金を計算し、中央装置から取得する決済情報を用いて算出した通行料金の決済処理を実行する。
【0063】
これにより、第1の実施形態によれば、車載器にセットするICカードなどの媒体を用いることなく料金収受が行える。また、第1の実施形態によれば、中央装置で利用者特定情報に対応づけた入口情報および決済情報を管理でき、出場する車両の利用者特定情報に基づいて入口情報および決済情報を適宜取得できる。このため、第1の実施形態によれば、ICカードなどの媒体に対する入口情報の書込みあるいは読取の不具合などで料金収受が行えなくなるリスクを回避できる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムについて説明する。
第2の実施形態に係る料金収受システムは、第1の実施形態で説明した図1および図2に示す料金収受システムと同様なハードウエア構成で実現できる。このため、第2の実施形態に係る料金収受システムのハードウエア構成については、詳細な説明を省略するものとする。以下に説明する第2の実施形態に係る料金収受システムは、図1および図2に示す構成を有するものとして説明するものとする。
【0065】
第2の実施形態に係る料金収受システムは、料金の算出および決済の処理を中央装置1で実施する点が第1の実施形態と異なる。このため、第2の実施形態に係る料金収受システムは、通行料金を算出するための料金テーブルを出口処理システム側が持たなくても良く、後述する図5に示すように中央装置1が料金テーブルTaを持つ構成となる。
【0066】
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムの動作について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る料金収受システムによる入口処理および出口処理の流れを模式的に示す図である。図6は、第2の実施形態に係る料金収受システムによる入口処理および出口処理の流れを説明するためのタイミングチャートである。
【0067】
まず、利用者に料金収受システムによるサービスを提供する前に、中央装置1は、利用者からの登録要求に応じて利用者特定情報などの登録処理を実行する(ST10)。この登録処理は、第1の実施形態で説明したものと同様な処理によって実現できる。登録処理によって、中央装置1の記憶部12には、図5に示すように、利用者特定情報と決済情報と対応づけて記憶される。なお、利用者特定情報は、第1の実施形態と同様に、顔画像、携帯端末(例えばスマートフォン)が発信する特定情報、あるいは、ナンバープレートの情報などであるものとする。
【0068】
登録処理が完了した利用者が乗車する車両が入口料金所の入口レーンを通行すると、当該入口レーンに設けられた入口料金所機器20は、車両の車載器6と通信して入口処理を実行する。ここで、図6に示すST51-56の処理は、第1の実施形態で説明した図4に示すST31-16の処理と同様に実施できる。このため、ST51-56については、簡単に説明するものとする。
【0069】
すなわち、車両が入口料金所を通過する場合、車載器6は、車載器識別情報を含む車両情報を送信し(ST51)、入口料金所機器20の車両通信器24は、車載器6から送信される車両情報を受信する(ST52)。また、車線サーバ21の制御部31は、車両が入口レーンに進入してきた検知すると、情報取得装置25を用いて当該車両から利用者特定情報を取得する(ST53)。
【0070】
車線サーバ21の制御部31は、利用者特定情報が取得できれば、当該車両の通行(入場)を許可し、利用者特定情報が取得できなければ、当該車両の通行を阻止する(ST54)。車両の通行(入場)を許可した場合、車線サーバ21の制御部31は、図5に示すように、取得した利用者特定情報に対応づけた入口識別情報及び入場日時を含む入口情報を料金所サーバ28およびデータ処理装置29を介して中央装置1へ送信する(ST55)。中央装置1は、入口料金所機器20から受信する利用者特定情報と入口情報とを対応づけて記憶部12に記憶する(ST56)。
【0071】
入口料金所を通過した車両が出口料金所の出口レーンを通行すると、料金収受システムは、当該車両に対する料金収受を含む出口処理を実行する。まず、出口レーンに設けられた出口料金所機器40は、出口レーンに進入してきた車両の車載器6と通信する。車載器6は、車載器識別情報(車載器ID)を含む車両情報を送信し(ST61)、出口料金所機器40の車両通信器44は、車載器6から送信される車両情報を受信する(ST62)。ここで、車両情報は、車載器識別情報だけでなく車種などの通行料金の結果に関わる情報が含まれるものとするが、後述の利用者特定情報だけで通行料金の計算を行う運用であれば、ST61-62の処理は省略しても良い。
【0072】
出口料金所機器40における車線サーバ41の制御部51は、車両が出口レーンに進入してきた検知すると、情報取得装置45を用いて当該車両から利用者特定情報を取得する処理を実行する(ST63)。情報取得装置45は、車線サーバ41から指示に応じて、出口レーンを走行する車両から利用者特定情報を取得する。情報取得装置45は、入口処理システム2における情報取得装置25と同様な構成を有するものとし、入口料金所機器20の情報取得装置25と同様な利用者特定情報を取得する。
【0073】
車線サーバ41の制御部51は、情報取得装置45により利用者特定情報を取得すると、取得した利用者特定情報に対応づけた出口識別情報および出場日時を含む出口情報を料金所サーバ48およびデータ処理装置49を介して中央装置1へ送信する(ST64)。ここで、出口料金所機器40は、通行料金の計算に必要な情報を利用者特定情報に対応づけて中央装置1へ送信する。このため、車線サーバ41の制御部51は、車種などの通行料金の計算に用いる情報も出口情報として中央装置1へ送信する。図5に示す例では、車線サーバ41が取得した利用者特定情報に対応する出口情報を中央装置1へ送信する様子を示している。
【0074】
中央装置1は、入口料金所を通過する車両から取得した利用者特定情報に対応づけた入口情報を記憶部12に記憶している。また、中央装置1は、登録処理によって利用者特定情報に対応づけた決済情報を記憶部12に記憶している。この状態において、中央装置1は、通信部13によって出口料金所機器40からの利用者特定情報と出口情報とを受信する。
【0075】
中央装置1の制御部11は、通信部13により出口料金所機器40から受信した利用者特定情報に対応する入口情報と決済情報とを特定する(ST65、ST66)。ただし、受信した利用者特定情報に対する入口情報が存在しない場合、制御部11は、利用者特定情報に対応する入口情報が存在しない旨のメッセージを問合せ元の出口料金所機器40へ送信する。また、受信した利用者特定情報に対する決済情報(登録情報)が存在しない場合、制御部11は、利用者特定情報に対応する決済情報が存在しない旨のメッセージを問合せ元の出口料金所機器40へ送信する。
【0076】
出口料金所機器40から受信した利用者特定情報に対応する入口情報を特定すると、中央装置1の制御部11は、特定した入口情報および利用者特定情報と共に受信した出口情報に基づいて通行料金を算出する(ST67)。例えば、中央装置1は、図5に示すように、記憶部12に料金テーブルTaを有する。制御部11は、記憶部12の料金テーブルTaを参照して入口情報および出口情報に基づく通行料金を算出する。
【0077】
利用者特定情報に対応する入口情報および出口情報に基づく通行料金を算出すると、制御部11は、利用者特定情報から特定した決済情報を用いて算出した通行料金の決済処理を実行する(ST68)。決済処理が終了すると、中央装置1の制御部11は、決済結果を利用者特定情報の送信元の出口料金所機器40へ送信する。
【0078】
出口料金所機器40の車線サーバ41は、中央装置1から決済結果をデータ処理装置49および料金所サーバ48を介して受信する(ST69)。車線サーバ41の制御部51は、車両から取得した利用者特定情報に対する決済結果を中央装置1から取得すると、取得した決済結果に基づいて当該車両に対する通行制御を行う(ST70)。
【0079】
中央装置1での決済が正常に終了した場合、制御部51は、路側表示器43に通行可を示す案内を表示し、発進制御器42により発進制御バーを上げて当該車両を通行させることにより、当該車両の通行(出場)を許可する。また、通行料金の決済ができなかった場合、制御部51は、路側表示器43に通行不可(係員対応による料金収受)の案内を表示し、発進制御器42により発進制御バーを下して当該車両の通行を阻止することにより、当該車両の通行を阻止する。
【0080】
上記のように、第2の実施形態に係る料金収受システムにおいて、入口処理システムは、入口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得し、取得した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて前記中央装置へ送信する。中央装置は、入口処理システムからの入口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報と入口情報とを記憶部に記憶する。出口処理システムは、出口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得し、取得した利用者特定情報と出口情報とを中央装置へ送信する。中央装置は、出口処理システムからの利用者特定情報に対応する入口情報および決済情報を特定し、特定した入口情報を起点として算出する通行料金を特定した決済情報を用いて決済する。
【0081】
これにより、第2の実施形態によれば、車載器にセットするICカードなどの媒体を用いることなく料金収受が行え、ICカードなどの媒体に対する入口情報の書込み処理の不具合などで料金収受が行えなくなることを防止できる。また、第2の実施形態によれば、通行料金の計算及び決済処理を中央装置で実施できるため、出口処理システムが料金計算のために料金テーブルなどを保持する必要がなく、出口料金所機器などの処理負荷を低減できる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の原出願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
中央装置、入口処理装置および出口処理装置を備える料金収受システムであって、
前記入口処理装置は、
前記中央装置と通信する第1の通信部と、
有料道路の入口となる入口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得する第1の情報取得部と、
前記第1の情報取得部により取得した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて前記第1の通信部により前記中央装置へ送信する第1の制御部と、を備え、
前記出口処理装置は、
前記中央装置と通信する第2の通信部と、
前記有料道路の出口となる出口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得する第2の情報取得部と、
前記第2の情報取得部により取得した利用者特定情報を前記第2の通信部により前記中央装置へ送信し、前記中央装置が保持する前記利用者特定情報に対応する入口情報を起点として算出される通行料金の決済結果に応じて前記出口レーン内の車両の通行を制御する第2の制御部と、を備え、
前記中央装置は、
前記入口処理装置および前記出口処理装置と通信する第3の通信部と、
前記第3の通信部により前記入口処理装置から受信する利用者特定情報と入口情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記第3の通信部により前記出口処理装置から受信する利用者特定情報に対応する入口情報を特定する第3の制御部と、を備える、
料金収受システム。
[2]
前記中央装置の前記第3の制御部は、前記入口情報を前記利用者特定情報の送信元の出口処理装置へ送信し、
前記出口処理装置の前記第2の制御部は、前記中央装置から受信する前記入口情報に基づいて通行料金を算出する、
[1]に記載の料金収受システム。
[3]
前記中央装置の前記記憶部は、利用者が指定する利用者特定情報と決済情報とを対応づけて記憶し、
前記中央装置の前記第3の制御部は、さらに、前記出口処理装置から受信する前記利用者特定情報に対応する決済情報を特定し、前記入口情報と前記決済情報とを前記利用者特定情報の送信元の出口処理装置へ送信し、
前記出口処理装置の前記第2の制御部は、前記中央装置から受信する前記入口情報に基づいて算出する通行料金を前記決済情報によって決済処理する、
[2]に記載の料金収受システム。
[4]
前記中央装置の前記第3の制御部は、前記入口情報に基づいて通行料金を算出する、
[1]に記載の料金収受システム。
[5]
前記中央装置の前記記憶部は、利用者が指定する利用者特定情報と決済情報とを対応づけて記憶し、
前記中央装置の前記第3の制御部は、さらに、前記出口処理装置から受信する前記利用者特定情報に対応する決済情報を特定し、前記入口情報に基づいて算出した通行料金を前記決済情報によって決済処理する、
[4]に記載の料金収受システム。
[6]
前記利用者特定情報は、利用者の顔画像であり、
前記第1の情報取得部は、前記入口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出する当該車両に乗車している利用者の顔画像を利用者特定情報として取得し、
前記第2の情報取得部は、前記出口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出する当該車両に乗車している利用者の顔画像を利用者特定情報として取得する、
[1]乃至[5]の何れか1つに記載の料金収受システム。
[7]
前記利用者特定情報は、利用者が所持する携帯端末が発信する特定情報であり、
前記第1の情報取得部は、前記入口レーン内を通信範囲とした無線通信によって通信する携帯端末から受信する特定情報を利用者特定情報として取得し、
前記第2の情報取得部は、前記出口レーン内を通信範囲とした無線通信によって通信する携帯端末から受信する特定情報を利用者特定情報として取得する、
[1]乃至[5]の何れか1つに記載の料金収受システム。
[8]
前記利用者特定情報は、車両に取り付けられるナンバープレートの情報であり、
前記第1の情報取得部は、前記入口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出するナンバープレートの画像に対する文字認識によって取得する前記ナンバープレートの情報を利用者特定情報として取得し、
前記第2の情報取得部は、前記出口レーンを走行する車両を撮影した画像から抽出するナンバープレートの画像に対する文字認識によって取得する前記ナンバープレートの情報を利用者特定情報として取得する、
[1]乃至[5]の何れか1つに記載の料金収受システム。
[9]
中央装置、入口処理装置および出口処理装置を備える料金収受システムに用いられる料金収受方法であって、
有料道路の入口となる入口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得し、
前記入口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報と入口情報とを対応づけて前記中央装置へ送信し、
前記中央装置が前記入口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報と入口情報とを記憶部に記憶し、
前記有料道路の出口となる出口レーンを通行する車両から利用者特定情報を取得し、 前記出口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報を前記中央装置へ送信し、 前記中央装置が前記記憶部に記憶した入口情報から前記出口レーンを通行する車両から取得した利用者特定情報に対応する入口情報を特定し、
前記特定した入口情報を起点として算出される通行料金の決済結果に応じて前記出口レーン内の車両の通行を制御する、
料金収受方法。
【符号の説明】
【0083】
1…中央装置(上位システム)、2…入口処理システム(入口処理装置)、4…出口処理システム(出口処理装置)、11…制御部(第3の制御部)、12…記憶部、13…通信部(第3の通信部)、20…入口料金所機器、21…車線サーバ(車線制御装置)、25…情報取得装置(情報取得部)、31…制御部(第1の制御部)、32…記憶部、33…通信部(第1の通信部)、40…出口料金所機器、41…車線サーバ(車線制御装置)、45…情報取得装置(情報取得部)、51…制御部(第2の制御部)、52…記憶部、53…通信部(第2の通信部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6