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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181365
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自動細胞培養
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/36 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
C12M1/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185684
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2020563557の分割
【原出願日】2019-05-16
(31)【優先権主張番号】62/673,484
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/229,303
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520430963
【氏名又は名称】ホアセルズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HUACELLS CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】520430974
【氏名又は名称】ジャァジアン サイシャン メディカル サイエンス アンド テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG SAISHANG MEDICAL SCIENCE AND TECHNOLOGY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ジエ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ケネス エー コリンズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンホア ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス セント ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジェイ ドリスコール
(72)【発明者】
【氏名】ウェイジア タン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ドンピン リン
(72)【発明者】
【氏名】ジエン チォン
(57)【要約】
【課題】 検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、細胞培養反応器の動作を自動的に制御すること。
【解決手段】 自動細胞培養システム(100)は、ハウジング(105)と、細胞培養培地用の流体回路とを含む細胞培養反応器を含み、流体回路はハウジング(105)の内部に配置されている。流体回路は、細胞培養培地中で細胞を培養するための培養容器(200)と、細胞培養培地用の貯蔵部(202)であって、培養容器(200)に流体接続されている貯蔵部(202)と、流体回路中に細胞培養培地を送り出すように構成されたポンプ(204)とを含む。ハウジング(105)の内部には、一つ以上のセンサーであって、流体回路中の細胞培養培地およびハウジングの内部の環境のうちの一つ以上のパラメータを検出するように構成されたセンサーが配置され、コンピューティング装置を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養反応器であって、
ハウジングと、
細胞培養培地のための流体回路であって、前記流体回路が前記ハウジングの内部に配置されており、
前記細胞培養培地中で細胞を培養するための培養容器と、
前記培養容器に流体連結された前記細胞培養培地用の貯蔵部と、
前記流体回路中の前記細胞培養培地を送り出すように構成されたポンプと、を備える流体回路と、
前記ハウジングの前記内部に配置された一つ以上のセンサーであって、各センサーが、(1)前記流体回路中の前記細胞培養培地および(2)前記ハウジングの前記内部の環境のうちの一つ以上のパラメータを検出するように構成されている、一つ以上のセンサーと、を備える細胞培養反応器と、
前記検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、前記細胞培養反応器の動作を自動的に制御するように構成されたコンピューティング装置と、を備える、自動細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2018年5月18日出願の米国仮特許出願第62/673,484号、および2018年12月21日出願の米国特許出願第16 / 229,303号に対する優先権を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、細胞培養の技術分野、特に自動細胞培養に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養を使用して細胞集団を増加させることができる。例えば、T細胞を個人の血液から採取し、その個人の体の外部で培養して、T細胞の数を急速に増加させることができる。培養したT細胞は、抗原などの物質への曝露、またはサイトカインなどの免疫学的刺激物質への曝露を通して、疾患との闘いにおいてより効果的になるように活性化されうる。人の免疫応答を改善するために、増殖および活性化されたT細胞を個人に再び注入することができる。細胞培養は、幹細胞または他のタイプの細胞などの他のタイプの細胞のため、または細胞由来産物の産生、例えば、タンパク質、真核細胞由来産物、またはその他の産物の産生のために使用することができる。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、自動細胞培養システムは、ハウジングを含む細胞培養反応器と、細胞培養培地用の流体回路とを含み、流体回路はハウジングの内部に配置されている。流体回路は、細胞培養培地中の細胞を培養するための培養容器と、細胞容器と流体的に接続された細胞培養培地用の貯蔵部と、流体回路中の細胞培養培地を送り出すように構成されたポンプとを含む。自動細胞培養システムは、ハウジングの内部に配置された一つ以上のセンサーであって、各センサーが、(1)流体回路中の細胞培養培地および(2)ハウジングの内部の環境のうちの一つ以上のパラメータを検出するように構成されたセンサーと、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、細胞培養反応器の動作を自動的に制御するよう構成されたコンピューティング装置とを含む。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちの一つ以上を含むことができる。
【0006】
コンピューティング装置は、検出されたパラメータおよびそれぞれの閾値のうちの一つ以上のそれぞれの間の比較に基づいて、細胞培養反応器の動作を制御するように構成されている。検出されたパラメータの少なくとも一つの閾値は、細胞培養の相に基づく。コンピューティング装置は、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、細胞培養の相を決定するように構成されている。
【0007】
センサーは、貯蔵部中の細胞培養培地の量を検出するように構成された貯蔵部センサーを含む。貯蔵部センサーは質量センサーを含む。貯蔵部センサーは歪みゲージを含む。
【0008】
自動細胞培養システムは、細胞培養容器用の回転マウントを含む。
【0009】
自動細胞培養システムは、供給ラインを含み、供給ラインの第一の端部が流体回路に接続されていて、第二の端部が細胞培養培地の供給源に接続可能な供給システムと、供給ラインに連結された供給ポンプとを含む供給システムを含む。供給システムは、ハウジングであって、ハウジングの内部空間が細胞培養培地の供給源を保持するように構成されたハウジングと、ハウジングの内部空間を冷却または加温するように構成された温度制御モジュールとを含む温度制御システムを含む。コンピューティング装置は、貯蔵部中の細胞培養培地の量に基づいて、供給ポンプの動作を制御するように構成されている。コンピューティング装置は、貯蔵部中の細胞培養培地の量が閾値量よりも少ないことに基づいて、供給ポンプの動作を制御するように構成されている。コンピューティング装置は、貯蔵部中の細胞培養培地の標的量に基づいて、供給ポンプの動作を制御するように構成されていて、標的量は細胞培養の相に基づく。コンピューティング装置は、流体回路中の細胞培養培地のpHに基づいて、供給ポンプの動作を制御するように構成されている。
【0010】
一つ以上のセンサーは、流体回路中の細胞培養培地のpHを検出するように構成されたpHセンサーを含む。pHセンサーには、比色pHセンサーを含む。pHセンサーには、イオン性pHセンサーを含む。
【0011】
自動細胞培養システムは、ハウジングの内部に配置されたヒーターを含む。コンピューティング装置は、培養容器の外部の温度に基づいてヒーターの動作を制御するように構成されている。
【0012】
自動細胞培養装置は、ハウジングに弁を含み、その中でコンピューティング装置は、ハウジング内部のガス濃度に基づいて、弁の動作を制御するように構成されている。
【0013】
自動細胞培養システムは、ハウジングの内部に流体連結されたガス供給源と、ガス供給源に連結されたガス流量制御装置とを含む。コンピューティング装置は、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御するように構成されている。ガス流量制御装置には、マスフローコントローラを含む。ガス流量制御装置には、計量弁を含む。コンピューティング装置は、(i)ハウジング内部のガス濃度と閾値濃度の間の偏差と(ii)標的偏差との比較に基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御するように構成されている。一つ以上のセンサーは、ハウジング内部のガスの濃度を検出するように構成されたガスセンサーを含む。コンピューティング装置は、ガスの検出濃度に基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御するように構成されている。コンピューティング装置は、流体回路中の細胞培養培地のpHに基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御するように構成されている。コンピューティング装置は、流体回路中の細胞培養培地の溶存酸素量に基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御するように構成されている。
【0014】
一つ以上のセンサーは、流体回路中の細胞培養培地の溶存酸素量を検出するように構成された溶存酸素センサーを含む。
【0015】
一つ以上のセンサーは、流体回路中の細胞培養培地のグルコース量を検出するように構成されたグルコースセンサーを含む。
【0016】
一つ以上のセンサーは、流体回路中の細胞培養培地の乳酸の量を検出するように構成された乳酸センサーを含む。
【0017】
コンピューティング装置は、培養容器の細胞培養の相に基づいて、細胞培養反応器の動作を制御するように構成されている。コンピューティング装置は、(i)検出されたパラメータの一つ以上および(ii)検出されたパラメータのうちの一つ以上の履歴のうちの一つ以上に基づいて、細胞培養の相を決定するように構成されている。コンピューティング装置は、細胞培養の相に基づいて、ポンプの動作を制御するように構成されている。自動細胞培養システムは、供給ラインであって、供給ラインの第一の端部が流体回路に接続されていて、第二の端部が細胞培養培地の供給源に接続可能な供給ラインを含む供給システムと、供給ラインに連結された供給ポンプとを含み、その中でコンピューティング装置が細胞培養の相に基づいて供給ポンプの動作を制御するように構成されている供給システムを含む。
【0018】
培養容器は中空繊維カートリッジを含む。
【0019】
自動細胞培養システムは、廃棄ラインであって、廃棄ラインの第一の端部が流体回路に接続されていて、廃棄ラインの第二の端部が廃棄培地貯蔵部に接続可能な廃棄ラインと、廃棄ラインに連結された廃棄ポンプとを含む。
【0020】
自動細胞培養システムはユーザーインターフェースを含み、コンピューティング装置は、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す出力をユーザーインターフェース上にもたらすように構成されている。ユーザーインターフェースは、グラフィカルユーザーインターフェースを含む。ユーザーインターフェースは、タッチ感応ユーザーインターフェースを含む。
【0021】
コンピューティングシステムは、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す情報を遠隔コンピューティング装置に提供するように構成されている。
【0022】
コンピューティング装置は、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、警告の出力をもたらすように構成されている。
【0023】
自動細胞培養システムは、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す情報を保存するように構成されたデータストレージを含む。
【0024】
コンピューティング装置は、ネットワーク接続を通して、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す情報をデータストレージに提供するように構成されている。
【0025】
一態様では、細胞培養方法は、細胞培養反応器中で細胞をインキュベートすることを含み、これには細胞培養反応器の内部に配置された流体回路中に細胞培養培地を流すことを含み、細胞培養培地用の貯蔵部から、細胞培養培地中で細胞を培養するための培養容器に細胞培養培地を送り出すことを含む。方法は、細胞培養反応器の内部に配置された一つ以上のセンサーのそれぞれによって、(1)流体回路中の細胞培養培地、および(2)細胞培養反応器の内部の環境のうちの一つ以上のパラメータを検出することと、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、コンピューティング装置によって自動的に細胞培養反応器の動作を制御することを含む。
【0026】
実施形態は、以下の特徴のうちの一つ以上を含むことができる。
【0027】
細胞培養反応器の動作の制御には、検出されたパラメータのそれぞれをそれぞれの閾値と比較すること、および比較に基づいて細胞培養反応器の動作を制御することを含む。検出されたパラメータの少なくとも一つの閾値は、細胞培養の相に基づく。方法は、(i)検出されたパラメータのうちの一つ以上、および(ii)検出されたパラメータのうちの一つ以上の履歴のうちの一つ以上に基づいて細胞培養の相を決定することを含む。
【0028】
パラメータの検出には、貯蔵部中の細胞培養培地の量を検出することを含む。
【0029】
方法は、細胞培養容器を回転させることを含む。
【0030】
細胞培養反応器の動作の制御には、細胞培養培地の供給源から流体回路の中に細胞培養培地を送り出すように供給ポンプの動作を制御することを含む。方法は、細胞培養培地の供給源の温度を制御することを含む。方法は、細胞培養培地の供給源から流体回路の中に送り出される細胞培養培地を加温することを含む。方法は、貯蔵部中の細胞培養培地の量に基づいて、供給ポンプの動作を制御することを含む。方法は、貯蔵部中の細胞培養培地の量が閾値未満であることに基づいて、供給ポンプの動作を制御することを含む。方法は、貯蔵部中の細胞培養培地の標的量に基づいて供給ポンプの動作を制御することを含み、標的量は細胞培養の相に基づく。方法は、流体回路中の細胞培養培地のpHに基づいて、供給ポンプの動作を制御することを含む。
【0031】
方法は、流体回路中の細胞培養培地のpHを検出することを含む。
【0032】
細胞培養反応器の動作の制御には、細胞培養反応器中の温度に基づいてヒーターを制御することを含む。
【0033】
細胞培養反応器の動作の制御には、ガス供給源に連結されたガス流量制御装置の動作を制御することを含む。方法は、細胞培養反応器の内部のガス濃度を検出すること、および検出されたガスの濃度に基づいてガス流量制御装置の動作を制御することを含む。方法は、(i)細胞培養反応器の内部のガス濃度と閾値濃度の間の偏差と(ii)標的偏差との間の比較に基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御することを含む。方法は、流体回路中の細胞培養培地のpHに基づいて、ガス流量制御装置の動作を制御することを含む。
【0034】
方法は、細胞培養反応器の内部におけるガスの検出濃度に基づいて、細胞培養反応器のハウジング中の弁の動作を制御することを含む。
【0035】
方法は、培養容器中の細胞培養の相に基づいて、細胞培養反応器の動作を制御することを含む。方法は、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、細胞培養の相を決定することを含む。方法は、細胞培養の相に基づいて、流体回路中の細胞培養培地の送り出しを制御することを含む。方法は、細胞培養の相に基づいて、細胞培養培地の供給源から流体回路の中に細胞培養培地を送り出すように供給ポンプの動作を制御することを含む。
【0036】
方法は、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、警告の出力をもたらすことを含む。
【0037】
方法は、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す情報の出力をユーザーインターフェース上にもたらすことを含む。ユーザーインターフェース上に情報の出力をもたらすことには、グラフィカルユーザーインターフェース上に情報の出力をもたらすことを含む。方法は、ユーザーインターフェースを通して入力を受け取ること、および受け取った入力にさらに基づいて細胞培養反応器の動作を制御することを含む。
【0038】
方法は、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す情報をデータストレージに保存することを含む。
【0039】
方法は、ネットワーク接続を介してデータストレージに、検出されたパラメータのうちの一つ以上を示す情報を提供することを含む。
【0040】
方法は、ネットワーク接続によってコンピューティング装置に接続された遠隔コンピューティング装置によって、コンピューティング装置の動作を制御することを含む。
【0041】
自動細胞培養システムは、以下の利点のうちの一つ以上を有する可能性がある。自動化されたコンピュータ制御下で、労働集約型の人間同士の相互作用を伴わず、人為ミスおよび汚染のリスクが低いプロセスで細胞を培養することができる。自動細胞培養システムでは、人間の干渉を低減または最小化しながら、閉鎖細胞培養プロセスを促進することができ、それによってスケーラブルで費用対効果の高い、臨床グレードの細胞製造が促進される。自動細胞培養システムは、コンパクトなベンチトップ環境中の密閉された細胞培養流体回路として実施することができ、これはスペースをほとんど取らず、購入および操作の費用効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】細胞培養システムの図である。
図2】細胞培養システムの図である。
図3】中空管カートリッジの図である。
図4】流体回路の図である。
図5】フローチャートである。
図6】フローチャートである。
図7】pHセンサーの図である。
図8】フローチャートである。
図9】温度制御サブシステムの図である。
図10】ガス制御サブシステムの図である。
図11】フローチャートである。
図12】細胞培養システムの図である。
図13A】回転マウントの図である。
図13B】回転マウントの図である。
図13C】回転マウントの図である。
図14A】回転マウントの図である。
図14B】回転マウントの図である。
図14C】回転マウントの図である。
図15A】回転マウントの図である。
図15B】回転マウントの図である。
図15C】回転マウントの図である。
図16】温度制御システムの図である。
図17A】温度制御システムの図である。
図17B】温度制御システムの図である。
図18】ユーザーインターフェースの概要である。
図19】スクリーンショットである。
図20A】スクリーンショットである。
図20B】スクリーンショットである。
図20C】スクリーンショットである。
図21】スクリーンショットである。
図22】スクリーンショットである。
図23A】細胞数のプロットである。
図23B】細胞数のプロットである。
図24A】グルコース濃度および乳酸濃度のプロットである。
図24B】グルコース濃度および乳酸濃度のプロットである。
図25A】細胞増殖のプロットである。
図25B】細胞増殖のプロットである。
図25C】細胞増殖のプロットである。
図26A】細胞増殖のプロットである。
図26B】細胞増殖のプロットである。
図26C】細胞増殖のプロットである。
図26D】細胞増殖のプロットである。
図26E】細胞増殖のプロットである。
図27A】細胞増殖のプロットである。
図27B】細胞増殖のプロットである。
図27C】細胞増殖のプロットである。
図27D】細胞増殖のプロットである。
図27E】細胞増殖のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
浮遊細胞または付着細胞(例えば、T細胞、幹細胞、またはその他のタイプの細胞)などの細胞の、自動化されたコンピュータ制御培養、トランスフェクション、および増殖のための自動細胞培養システムを本明細書に記載する。自動細胞培養システム中の細胞培養環境の条件は、細胞培養培地の定常状態条件を維持するため、例えば、培地容量、流れ圧力、流速、pH、溶存酸素、グルコース濃度、乳酸濃度、またはその他のパラメータを予め設定された範囲内に維持するために、リアルタイムセンサーモニタリングに応答して、動的かつ自動的に調整することができる。細胞培養培地の定常状態条件を維持する能力は、培養細胞に対する生理化学的ストレスを減少するのに役立ち、それによって細胞培養効率および培養細胞の生存能力が改善される。自動細胞培養システムから採取された産物は、細胞自体または培養細胞の副産物(タンパク質、ウイルス、抗体、または他の細胞副産物など)を含む可能性がある。
【0044】
本明細書に記載した自動細胞培養システムを使用して、様々な細胞培養プロセスを実施することができ、これには周囲環境細胞培養、低酸素細胞培養、ヒトまたは動物血清中の培養、無血清培地中の培養、Tリンパ球、赤血球、人工多能性幹細胞、ナチュラルキラー細胞、もしくはその他のタイプの細胞の培養、またはその他のプロセスが含まれる。本明細書に記載される自動細胞培養システムは、調整可能な成長速度および高い収穫率での生細胞の活性化および/または増殖を可能にする。
【0045】
図1を参照すると、自動細胞培養システム100は、自動化されたコンピュータ制御の下で細胞を培養するための統合装置である。自動細胞培養システム100の基部部分102は、メモリに連結された一つ以上のマイクロプロセッサなど、自動細胞培養システム100の動作を制御するコンピューティング装置101を収容する。クランプカバー103は、基部部分102を閉じて機械的にロックして留めることができ、例えば、コンピューティング装置101への偶発的または未承認のアクセスを防止するのに役立つ。
【0046】
自動細胞培養システム100の反応器部分104は、その中で細胞培養が行われる内部インキュベーション空間を画定するハウジング105を含む。ハウジングは密閉することができる。例えば、ハウジングは、シリコーンガスケットによってクランプカバー103にぴったりはめ込むことができる。密閉されたハウジングは、ガス漏れの防止に役立ち、例えば、ハウジング105の内部のガス濃度の効率的な制御および効率的なガス使用を可能にし、かつ効率的な温度制御を可能にしうる。反応器部分104は、T細胞などの細胞が、コンピューティング装置によってモニターされ制御された環境中において細胞培養培地で効率的に培養されうる細胞培養容器を収容する。反応器部分104は、自動細胞培養システム100のコンピューティング装置に連結された一つ以上のセンサーを収容することができる。センサーは、細胞培養培地の温度、pH、反応器部分104の雰囲気中の酸素または二酸化炭素などのガスの濃度、細胞培養培地中に溶解した酸素などの濃度または分圧、グルコースなどの糖の濃度、乳酸などの細胞培養副産物の濃度などの培養環境のパラメータ、または細胞培養環境のその他のパラメータを検出することができる。反応器部分104は、加熱構成要素、ガス流量コントローラ、ポンプ、または自動細胞培養システム100のその他の構成要素など、自動細胞培養システム100のコンピューティング装置による自動制御下で動作可能な一つ以上の構成要素を収容することができる。例えば、自動細胞培養システム100のコンピューティング装置は、反応器部分の一つ以上のセンサーによって検出された培養環境のパラメータに基づいて、閉ループフィードバックシステムの反応器部分104の一つ以上の構成要素の動作を自動的に制御することができる。
【0047】
培養環境のパラメータの自動モニタリングおよび制御は、効率的な細胞培養を達成するのに役立ちうる。例えば、自動細胞培養システムの構成要素は、例えば、ユーザーがシステムを手動で操作するか、または手動で制御命令を入力するのを待つことなく、細胞培養環境のパラメータの変化に応答して、リアルタイムで制御されうる。リアルタイムのモニタリングに応答したシステムのリアルタイム制御は、システムの細胞培養培地の標的量、ガスの標的濃度、成長因子などの培養試薬の標的濃度、標的温度、標的pHまたはその他のパラメータなどの標的パラメータが一貫して維持されることを可能にする。細胞培養プロセス全体を通してパラメーを一貫して標的値に維持する能力は、培養の効率の改善に役立ちうる。
【0048】
培養環境のパラメータの自動モニタリングおよび制御は、成長因子などのリソースの効率的な使用の達成に役立ち、従って細胞培養に関連する材料コストを低減することができる。例えば、培養環境のパラメータのリアルタイムモニタリングに基づいて、細胞培養プロセスの相を決定することができる。特定のパラメータの標的値は、細胞培養プロセスの相によって異なる場合がある。これらのパラメータをモニタリングし、細胞培養プロセスの相の動的決定に応答してリアルタイムで調整することができる。
【0049】
図1の実施例では、自動細胞培養システム100の基部部分102に収容されたコンピューティング装置101は、例えば、反応器部分104に収容された一つ以上のセンサーからの信号を受信し、反応器部分104に収容された一つ以上の構成要素の動作を制御するなど、自動細胞培養装置100の動作を制御する。一部の実施例では、自動細胞培養装置100は、有線または無線接続を通して、ラップトップまたはデスクトップコンピュータ、サーバ、または携帯計算装置などの遠隔コンピューティング装置に接続でき、遠隔コンピューティング装置は、自動細胞培養装置100の動作をモニターおよび/または制御することができる。一部の実施例では、自動細胞培養システム100の基部部分102に収容された、または自動細胞培養システムに接続されたマイクロプロセッサベースのコントローラは、自動細胞培養システムの動作をモニターおよび/または制御することができる。本明細書で使用される「コンピュータ制御された」および「自動細胞培養システムのコンピューティング装置によって制御された」という用語は、自動細胞培養システム100に収容されたコンピューティング装置またはマイクロプロセッサベースのコントローラによる、または遠隔コンピューティング装置またはマイクロプロセッサベースのコントローラによる、自動細胞培養システム100の制御を指す。
【0050】
液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ106は、クランプカバー103のハウジング上または反応器部分104のハウジング上など、自動細胞培養システム100上に取り付けるか、または統合することができる。ディスプレイ106は、センサーのうちの一つ以上からのリアルタイム読取値など、細胞培養環境のパラメータを示す情報を表示するために、コンピューティングシステムによって制御されうる。ディスプレイ106は例えば、パラメータが閾値を超えたか、または下回ったことを示すために、コンピューティングシステムによって制御されることにより、ステータス警告を表示することができる。一部の実施例では、有線または無線接続によって自動細胞培養システム100のコンピューティング装置に連結された、例えば、ラップトップまたはデスクトップコンピュータまたは携帯コンピューティング装置などの遠隔コンピューティング装置上のディスプレイなど、遠隔ディスプレイ上に情報を表示することができる。一部の実施例では、ステータス情報は、視覚的インジケータ(例えば、ステータス情報を伝達するために点滅もしくは点灯する一つ以上のライト)または聴覚インジケータ(例えば、ステータス情報を伝達するためのアラームまたは音声)など、その他の方法で提供されうる。
【0051】
一部の実施例では、ディスプレイ106は、ユーザーからの入力を受け取り、受け取った入力を示す信号をコンピューティングシステムに提供することができるタッチ感応ディスプレイなどの双方向性ディスプレイでありうる。例えば、ディスプレイ106は、例えば、細胞培養環境のパラメータの閾値レベルを設定するための命令、反応器部分104の一つ以上の構成要素の動作のための命令、自動細胞培養システム100で培養される細胞を特定するもしくは特徴付ける情報、またはその他のタイプの情報または命令などの情報または命令をユーザーから受け取るように構成することができる。一部の実施例では、有線または無線接続によって自動細胞培養システム100のコンピューティング装置に連結された、例えば、ラップトップまたは携帯コンピューティング装置などの遠隔コンピューティング装置から、情報または命令を受信することができる。情報は、クラウドベースのデータストレージ、または分散データストレージシステムなど、集中型データストレージに保存することができる。情報は、例えば、システム性能を改善するため、パラメータ閾値の設定を調整するため、またはその他の目的のために分析することができる。例えば、収集された情報を使用して、人工知能ベースの細胞培養アルゴリズムを作成または更新し、自動細胞培養システムに適用することができる。
【0052】
図2を参照すると、自動細胞培養システム100の反応器部分104の内部において、細胞は、カートリッジ(例えば、中空繊維カートリッジ)などの培養容器200中で培養される。培養容器200は、管(図示せず)、例えば、シリコン管によって、ボトルなどの貯蔵部202に流体接続されている。蠕動ポンプまたは拍動型ポンプなどのポンプ204は、貯蔵部202から管の第一の部分を通って培養容器200の投入端部に、および培養容器200の排出端部から管の第二の部分を通ってまた流体回路(例えば、下記の図4に示す流体回路400)の貯蔵部に、細胞培養培地を送り出す。
【0053】
新鮮な細胞培養培地を、新鮮な培地の供給源206から供給ラインを通して流体回路に導入することができる。例えば、蠕動ポンプなどのポンプ208a、およびピンチ弁などの一つ以上の弁210は、新鮮な細胞培養物を新鮮な培地の供給源206から供給ラインを通して流体回路の中に送り出すように、コンピュータ制御下で動作可能でありうる。細胞培養培地は、蠕動ポンプなどのポンプ208bによって、流体回路から廃棄ラインに沿って廃棄物の行先(図示せず)に送り出すことができる。ポンプ208a、208bは、自動細胞培養システムのコンピューティングシステムの制御下で自動的に動作可能とすることができる。一部の実施例では、流体回路の容量よりも多くの細胞培養培地を提供することを避けるために、新鮮な細胞培養培地を新鮮な培地の供給源206から流体回路に送り出すことは、流体回路から細胞培養培地を送り出すことと実質的に同時に起きうる。一部の実施例では、例えば、流体回路中の細胞培養培地の体積を増やすために、細胞培養培地は、細胞培養培地が流体回路から廃棄物の行先に送り出されるよりも高い流量で、新鮮な培地の供給源206から流体回路の中に送り出される。一部の実施例では、例えば、流体回路中の細胞培養培地の体積を減らすために、細胞培養培地は、細胞培養培地が流体回路から廃棄物の行先に送り出されるよりも低い流量で、新鮮な培地の供給源206から流体回路の中に送り出される。
【0054】
自動細胞培養システム100の反応器部分104に収容された一つ以上のセンサーは、培養環境のパラメータをリアルタイムで検出し、感知されたパラメータを示す信号を、ローカルコントローラ、自動細胞培養システム100のコンピューティング装置またはその両方に提供するように構成されている。センサーは、自動細胞培養システムのコンピューティング装置と有線または無線通信している場合がある。培養環境とは、自動細胞培養システム100の反応器部分104のハウジングの内部の細胞培養培地および雰囲気を意味する。センサーには、温度センサー、pHセンサー、溶存ガスセンサー、大気ガスセンサー、グルコースセンサー、乳酸センサー、流体質量もしくは体積センサー、またはその他のタイプのセンサーを含みうる。コントローラまたはコンピューティング装置100は、リアルタイムのユーザー入力なしに、感知したパラメータに応答して、ヒーター、ガス流量コントローラ、ポンプ、またはその他の構成要素など、自動細胞培養システムの一つ以上の構成要素の動作を自動的に制御することができる。例えば、閉ループフィードバックシステムにおけるパラメータのリアルタイム調整は、時間およびリソース効率の高い細胞培養を可能にすることができる。一部の実施例では、コンピューティング装置100は、感知されたパラメータまたは感知されたパラメータの履歴またはその両方に基づいて、細胞培養の相を決定することができ、それによって、細胞培養の相に基づいて、自動細胞培養システム100の一つ以上の構成要素の動作を制御することができる。コンピューティング装置100は、例えば、感知されたパラメータが閾値を超えるかまたは下回る時、細胞培養の相に変化が特定された時、またはその他の理由のために、視覚的警告および音声警告のうちの一つ以上などの警告を、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に出力させることができる。
【0055】
一部の実施例では、一つ以上のpHセンサー212、214は、自動細胞培養システム100の反応器部分104に収容され、流体回路中の細胞培養培地のpHを検出するように位置付けられうる。例えば、pHセンサー212、214は、貯蔵部202と培養容器200の投入端部の間の管、培養容器200の排出端部と貯蔵部202の間の管、または流体回路に沿ったその他の場所の細胞培養培地のpHを検出するように位置付けられうる。図2の実施例では、pHセンサー212は、流体の光ルミネセンス消光に基づいて流体のpHを検出するイオン性pHセンサーであり、pHセンサー214は、流体の感知された色相に基づいて流体のpHを検出する比色pHセンサーである。その他のタイプのpHセンサーも使用できる。一部の実施例では、単一のpHセンサーのみが使用される。
【0056】
センサー212、214は、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムと有線または無線通信している場合がある。例えば、細胞培養培地のpHが、閾値Ph(例えば、それより下では細胞培養の効率が低くなるpH、またはそれより下では細胞培養培地が培養細胞に対して有害なpHなど、ユーザーによって設定された閾値)を下回った時、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムは、ポンプ208bを自動的に制御して、現在の細胞培養培地を流体回路から廃棄物の行先に送り出すことができ、ポンプ208aを自動的に制御して、新鮮な培地の供給源206から流体回路の中に新鮮な細胞培養培地を送り出すことができ、二酸化炭素ガスのマスフローコントローラを自動的に制御して、反応器部分の内部の雰囲気中の二酸化炭素濃度を減少させることができ、または自動細胞培養システム100の別の構成要素を自動的に制御することができる。コンピューティングシステムは、例えば、pHが閾値pHを下回った時に、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に警告を出力させることができる。
【0057】
自動細胞培養システム100は、自動細胞培養システム100の反応器部分104の内部の温度をモニターおよび制御するために、反応器部分104に収容された熱サブシステムを含むことができる。温度センサー216は、培養容器200の外部の温度を、例えば、流体回路中の細胞培養培地の温度のプロキシとして検出する。ヒーター、ファン、または両方など、加熱タワー218に収容された一つ以上の加熱装置は、自動細胞培養システムのコンピューティングシステムによる制御下、例えば、温度センサー216によって検出された温度に基づいて閉ループフィードバックシステム中の培養容器200の外部温度を制御するように動作可能である。コンピューティングシステムは、例えば、温度が事前設定された温度範囲外になった時に、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に警告を出力させることができる。熱サブシステムは、図9に関してより詳細に検討される。
【0058】
自動細胞培養システム100は、自動細胞培養システムの反応器部分の内部の酸素、二酸化炭素、または別のタイプのガスのうちの一つ以上など、一つ以上のガスの濃度をモニターおよび制御するために、反応器部分104に収容されたガスサブシステムを含むことができる。酸素センサー、二酸化炭素センサー、または別のタイプのガス用センサーなどの一つ以上のガスセンサーは、反応器部分の内部にある雰囲気中のガス濃度を検出する。溶存酸素センサー222は、細胞培養培地に溶解した酸素濃度を検出することができる。例えば、溶存酸素センサーは、光の蛍光消光に基づいて、センサーを囲む細胞培養培地中に存在する酸素の量を決定することができる。
【0059】
ガスセンサーは、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムと有線または無線通信している場合がある。コンピューティングシステムは、一つ以上のマスフローコントローラを制御して、例えば、閉ループフィードバックシステム中の反応器部分の二酸化炭素または酸素などのガスの濃度に応答して、ガス供給源から自動細胞培養の反応器部分の内部に、二酸化炭素または窒素などのガス流を提供することができる。一部の実施例では、コンピューティングシステムは、流体回路の細胞培養培地中の溶存酸素など、溶存ガスの検出濃度に基づいて、マスフローコントローラを制御することができる。コンピューティングシステムは、例えば、モニターされたガスの一つの濃度が事前設定された濃度の範囲外になった時に、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に警告を出力させることができる。ガスサブシステムは、図10に関してより詳細に検討される。
【0060】
自動細胞培養システム100は、細胞培養培地中のグルコース量を検出する微小電気機械システム(MEMS)回路を取り付けた酵素ベースセンサーなどのグルコースセンサー224を含むことができる。自動細胞培養システム100は、細胞培養培地中の乳酸の量を検出する乳酸センサーを含むことができる。一部の実施例では、単一のセンサーを、グルコースおよび乳酸の両方を検出するように構成しうる。グルコースセンサー224、乳酸センサー、または他のセンサーは、自動細胞培養システム100の反応器部分104に収容され、例えば、細胞増殖の指標として、細胞培養培地のグルコース消費および乳酸産生をモニターするために、自動細胞培養システムのコンピューティングシステムと有線または無線通信している場合がある。コンピューティングシステムは、例えば、グルコースまたは乳酸の濃度が事前設定された濃度の範囲外になった時に、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に警告を出力させることができる。
【0061】
自動細胞培養システム100は、貯蔵部202の細胞培養培地の質量または体積などの量を検出するために、反応器部分104に収容された流体量センサー(図示せず)を含むことができる。流体量センサーは、貯蔵部の細胞培養培地の質量を検出できる歪みゲージなどの質量センサーとしうる。流体量センサーは、貯蔵部の細胞培養培地の体積を検出できる光学センサーなどの体積センサーとすることができる。一部の実施例では、その他のタイプのセンサーを使用して、貯蔵部の細胞培養培地の量を検出することができる。
【0062】
流体量センサーは、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムと有線または無線通信している場合がある。例えば、(例えば、流体回路の細胞培養培地の量のプロキシとして使用される)貯蔵部202の細胞培養培地の量が閾値を下回った時、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムは、ポンプ208aを自動的に制御して、新鮮な細胞培養培地を流体回路の中に送り出すことができる。閾値量は、例えば、容量の約80%、容量の約60%、容量の約50%、容量の約40%、または別の量など、貯蔵部202の容量のパーセントとすることができる。閾値量は、体積、例えば、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、または別の量などの体積とすることができる。閾値量は、以下で考察するように、細胞培養の相に基づく場合がある。コンピューティングシステムは、例えば、貯蔵部202の細胞培養培地の量が閾値量を下回った時に、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に警告を出力させることができる。
【0063】
一部の実施例では、自動細胞培養システム100は、新鮮な培地の供給源206中の細胞培養培地の質量または体積などの量を検出するために、反応器部分104に収容されたまたはその上に取り付けられた流体量センサー226を含むことができる。流体量センサーは、新鮮な培地の供給源中の細胞培養培地の質量を検出できる歪みゲージなどの質量センサーとしうる。流体量センサーは、新鮮な培地の供給源中の細胞培養培地の体積を検出できる光学センサーなどの体積センサーとすることができる。一部の実施例では、その他のタイプのセンサーを使用して、新鮮な培地の供給源中の細胞培養培地の量を検出することができる。一部の実施例では、自動細胞培養システム100は、廃棄物の行先の細胞培養培地の質量または体積などの量を検出するために、反応器部分104に収容されたまたはその上に取り付けられた流体量センサーを含むことができる。
【0064】
流体量センサー226は、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムと有線または無線通信している場合がある。例えば、新鮮な培地の供給源206の細胞培養培地の量が閾値量を下回った時、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムは、ディスプレイ106上などのユーザーインターフェース上に警告を出力させて、新しい新鮮な培地の供給源が必要な可能性があることをユーザーに警告することができる。廃棄物の行先の細胞培養培地の量を検出する流体量センサーも、コンピューティングシステムと有線または無線通信することができる。例えば、廃棄物の行先の細胞培養培地の量が閾値量を超えた時、自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムは、ディスプレイ106上などのユーザーインターフェース上に警告を出力させて、廃棄物の行先を空にするかまたは交換する必要がありうることをユーザーに警告することができる。
【0065】
一部の実施例において、検出されたパラメータのうちの一つ以上は、細胞培養の相を決定するために、例えば、初期の低増殖期、急速な(例えば、急激な)増殖期、または細胞増殖が減少または停止しているプラトーなど、細胞培養の相を決定するためにコンピューティングシステムによって使用されうる。例えば、細胞培養培地中のグルコースまたは乳酸レベル、細胞培養培地中の溶存酸素濃度、流体回路の細胞培養培地中の栄養素の量の減少率、またはその他のパラメータは細胞培養の相を示す場合がある。
【0066】
自動細胞培養システム100のコンピューティングシステムは、検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、または検出されたパラメータのうちの一つ以上の経時的変化に基づいて、細胞培養プロセスの相を決定することができる。コンピューティングシステムは、細胞培養プロセスの決定された相に応答して、一つ以上の構成要素の動作を制御することができる。例えば、細胞培養が初期にある時は、コンピューティングシステムは、ユーザー入力なしにポンプ212a、212bを自動的に制御して、流体回路中の細胞培養培地の体積を低く保ち、それによって細胞培養培地中の成長因子の高い濃度を達成することを可能にする。急速な増殖期では、コンピューティングシステムは、ユーザー入力なしに、ポンプ212a、212bを自動的に制御して、流体回路の細胞培養培地の体積を増加させることができる。コンピューティングシステムは、細胞培養の相に基づいて、例えば、成長因子などの細胞培養試薬の追加を制御することができる。コンピューティングシステムは、ヒーター218の動作を制御して、細胞培養容器200を細胞培養の相に特定の目標温度に維持することができる。コンピューティングシステムは、一つ以上のマスフローコントローラまたは弁、または両方の組み合わせの動作を制御して、反応器部分の内部に二酸化炭素または窒素を提供して、細胞培養の相に特定の標的二酸化炭素または酸素濃度を維持するか、または細胞培養の相に特定の、細胞培養培地中の標的pHまたは溶存酸素濃度を維持することができる。コンピューティングシステムは、例えば、細胞培養の決定された相を示すため、細胞培養が停滞期に達したことを示すため、措置(例えば、成長因子などの試薬の手動追加、培養細胞の採取、または別の措置)を取るようユーザーに警告するため、措置(例えば、成長因子などの試薬の追加、細胞培養培地のリフレッシュ、または別の措置)が自動的に実施されたことをユーザーに知らせるため、またはその他の理由のために、ディスプレイ106などのユーザーインターフェース上に警告を出力させることができる。
【0067】
図3を参照すると、中空管カートリッジ300は、自動細胞培養システムと併用するための細胞培養容器の一例である。中空管カートリッジ300は、例えば、ガンマ照射によって滅菌された無菌の自己完結型環境とすることができ、単回使用のために設計された使い捨てカートリッジとすることができる。
【0068】
中空管カートリッジ300は、内部空間を画定する外側円筒形ケーシング302を含む。毛細管304と呼ばれる複数の管が、毛細管304の長軸方向軸がカートリッジ300の長軸方向軸と実質的に整列するように、ケーシング302の内部空間に配置されている。毛細管304は、ポリマー(例えばポリスルホン)などの細胞増殖を支持する能力を有する材料で形成されうる。材料は、毛細管の壁が有窓(例えば、多孔性)であるように、多孔性材料とすることができる。毛細管304は、各毛細管304の内部空間(毛細管内空間と呼ばれる)がカートリッジ300の入口308および出口310と流体接続されるように、ケーシング302のそれぞれの端でプラグ306の中に据え付けられて、ケーシング302内の毛細管の端部を密封する。カートリッジ300の入口308および出口310は、流体回路の管に接続されうる。
【0069】
毛細管304の外側であるが、ケーシング302の内部内の空間は、毛細管外空間314と呼ばれる。細胞培養は、毛細管外空間314で起こる。毛細管外空間314は、カートリッジ300のケーシング302を貫通するタケノコ継手などの入口管継手316および出口管継手318に流体接続している。管継手316、318は、例えば、細胞、血清、成長因子、サイトカインなどの免疫学的刺激物質、またはその他の高分子量材料などの細胞培養試薬を提供するために、管に接続されうる。毛細管304の壁は多孔性であるため、栄養素は毛細管内空間から毛細管外空間314の中を通過して培養細胞に供給することができ、細胞培養廃棄物は、毛細管外空間314から毛細管内空間を通過して、流体回路を通した細胞培養培地の流れによってカートリッジ300から流し出されうる。孔のサイズが、毛細管内空間と毛細管外空間314の間を通過できる分子のサイズを決定しうる。例えば、孔は、約10kDa~約0.2μm、例えば、約10 kDa、約20 kDa、約50 kDa、または約0.1 μmのサイズの分子の通過を許容するようにサイズ設定しうる。
【0070】
細胞培養が起こる毛細管外空間314は、空間に制約がある。例えば、毛細管外空間314は、約10mL~約100mL、例えば、約10mL~約70mL、約30mL~約70mL、約50mL~約70mL、約30mL~約50mL、または別の体積を有しうる。毛細管外空間314の小さな体積は、成長因子、血清、またはその他の試薬などの細胞培養試薬が比較的高い濃度で存在することを可能にし、従って効率的な細胞培養を促進する。一部の実施例では、毛細管外空間314の小さな体積はまた、培養細胞を近くに集まらせて細胞培養効率を改善しうる細胞間通信を促進する。一部の実施例では、例えば、細胞間通信の強化を助けるため、またはその他の理由で、比較的低い全細胞収率が許容される時、細胞培養物はまた、同じ側に制限された高分子量の栄養素などの細胞培養試薬と共に、毛細管内空間に収容されうる。
【0071】
体積、毛細管材料、孔径、またはその他の特徴などのカートリッジの特徴は、培養される細胞に基づいてカスタマイズ可能でありうる。例えば、カートリッジの特徴は、標的流量、ガス交換率、栄養素および廃棄物交換率、または細胞培養のその他の側面を達成するように選択して、例えば、生細胞の効率的な増殖を促進することができる。
【0072】
自動細胞培養システム100のコンピューティング装置は、細胞培養の相に応じて、流体回路中の細胞培養培地の量を調整することができる。例えば、中空管カートリッジ300の毛細管外空間314中の成長因子などの細胞培養試薬の濃度が高く、細胞増殖を促進しうるように、細胞培養の比較的低い量を細胞培養の初めに提供することができる。細胞培養の後の相で、細胞培養培地の量を増加させることができる。
【0073】
図4を参照すると、自動細胞培養システムの流体回路400において、ポンプ204は細胞培養培地を貯蔵部202から培養容器200へと送り出し、貯蔵部202に送り戻し、流体回路400を通して細胞培養培地を循環させる。流体回路400の細胞培養培地のための貯蔵部202は、細胞培養培地のためのボトルまたは他の入れ物としうる。例えば、貯蔵部202は約500mLの体積を有しうる。貯蔵部202は密閉されてもよく、大気圧への平衡化を可能にする通気口を有してもよい。通気口は、0.2ミクロンのフィルターなどの空気フィルター402を含むことができる。
【0074】
貯蔵部202は、シリコン管(例えば、1/4インチの外径のシリコン管)などの管404によって培養容器200に流体接続されうる。壁厚、長さ、またはその他の特徴などの管の特徴は、培養される細胞に基づいてカスタマイズ可能とすることができる。例えば、管の特徴は、標的流量、ガス交換率、栄養素および廃棄物交換率、または細胞培養のその他の側面を達成するように選択して、例えば、生細胞の効率的な増殖を促進することができる。
【0075】
細胞培養培地は、流体回路の管を通して貯蔵部202から培養容器200へ、および培養容器200から貯蔵部202へとポンプ204によって送り出される。例えば、流体回路を通した細胞培養培地の循環は、中空繊維カートリッジの毛細管内空間を通して細胞培養培地を循環させ、培養細胞に栄養素を送達し、カートリッジから廃棄物を除去することができる。ポンプ204は、例えば、最大2週間、最大1ヶ月間、最大2ヶ月間、最大3ヶ月間、または別の時間など、複数日または複数週にわたって、同じ管の連続的使用を可能にするフィンガータイプ蠕動ポンプなどの蠕動ポンプでありうる。
【0076】
貯蔵部202から送り出された細胞培養培地は、培養容器200に到着する前にガス交換管408を通過する。ガス交換管408は、培養細胞の代謝ガス交換パラメータを満たすのに十分な材料で作製されうる。例えば、ガス交換管408は、プラチナ硬化シリコンでありうる。比色pHセンサー214または、その他のpHセンサー、溶存酸素センサー、グルコースセンサー、乳酸センサー、もしくはその他のタイプのセンサーのうちの一つ以上を含むセンサー410などの、一つ以上のセンサーを、貯蔵部202と培養容器200の間の管404の長さに沿って配置することができる。
【0077】
細胞培養培地を、蠕動ポンプなどのポンプ208aによって、新鮮な培地の供給源206から投入管412を通して流体回路400の中に送り出すことができる。細胞培養培地は、蠕動ポンプなどのポンプ208bによって、流体回路から排出管418を通して廃棄物の行先416に送り出すことができる。新鮮な細胞培養培地を新鮮な培地の供給源206から流体回路400の中に送り出し、細胞培養培地を流体回路400から廃棄物の行先416に送り出すプロセスは、細胞培養培地の交換と呼ばれる。流体回路400ならびに投入管412および排出管418は、細胞培養培地の交換が、培養容器200中で培養している細胞を実質的に妨害することなく実施できるように配設されている。例えば、ピンチ弁などの、弁420、422、424は、細胞を実質的に妨害することなく細胞培養培地の交換が起こるように作動されうる。例えば、細胞培養培地の交換中、弁420は開けることができ、弁422、424は閉じることができる。一部の実施例では、培養容器の一部分(例えば、中空繊維カートリッジの毛細管内側部)を、細胞培養培地の交換中に、細胞培養培地と共により低い流量で流し出すことができる。
【0078】
細胞、血清、成長因子、またはその他の高分子量材料(まとめて試薬と呼ばれる)などの細胞培養に関連するその他の材料は、投入管426を通して培養容器200に直接提供することができる。例えば、投入管は、中空繊維カートリッジの毛細管外側に流体接続されうる。
【0079】
流体回路400は、密閉された流体回路であってもよい。流体回路400の密閉を維持するために、流体回路400の中への接続と流体回路400から外への接続は、一方向接続とすることができる。例えば、新鮮な培地の供給源206に接続された投入管412への投入接続は、流体回路400の中への流体の流れのみを可能にする一方向弁とすることができる。廃棄物の行先416に接続された排出管418への排出接続は、流体回路400からの流体流の流れのみを可能にする一方向弁とすることができる。試薬の投入のための投入管426への投入接続は、材料の流体回路400の中への流れのみを可能にする一方向弁とすることができる。流体回路400の密閉を維持するために、新鮮な培地の供給源206、廃棄物の行先416、または試薬の供給源を変える時でも、新鮮な培地の供給源206、廃棄物の行先416、および試薬の供給源は、ポリ塩化ビニル(PVC)管などの熱可塑性管を通して熱溶着接続434、436、438によって、それぞれの投入管および排出管412、418、426に接続でき、大気への曝露なく接続することができる。
【0080】
一部の実施例において、細胞培養培地の交換は、pH、溶存酸素濃度、貯蔵部202中の細胞培養培地の量、または別のパラメータなどの細胞培養培地の検出されたパラメータに応答して、自動化されたコンピュータ制御下で行うことができる。例えば、細胞培養培地のpHまたは貯蔵部中の細胞培養培地の量が、それぞれ閾値pHまたは閾値量を下回った場合、ポンプ208aは、追加の細胞培養培地を新鮮な培地の供給源206から流体回路400の中に送り出するように制御されうる。一部の実施例では、細胞培養培地の交換は、細胞培養の決定された相に応答して自動化されたコンピュータ制御下で行うことができる。例えば、貯蔵部中の細胞培養培地の閾値量は、細胞培養の相に依存する場合がある。細胞培養の特定の相における貯蔵部中の細胞培養培地の量がその相の閾値量を下回った場合、ポンプ208aは、追加の細胞培養培地を流体回路の中に送り出すように制御されうる。
【0081】
流体回路400中に循環する細胞培養培地の流量は、例えば、ポンプ204の動作の制御を通して、コンピュータシステムによって制御されうる。例えば、流体回路400中の細胞培養培地の標的流量は、細胞培養の相に依存する場合があり、例えば、早期相では、細胞を妨害しないように流量を低くすることができ、急速増殖期などの後期相では、栄養素を培養細胞に効率的に提供し、培養容器200から廃棄物を除去するために、流量をより高くすることができる。ポンプ204は、例えば、コンピュータシステムによって決定された細胞培養の相に応答して、自動的にかつユーザー入力なしに、コンピュータシステムによって制御されうる。
【0082】
図5を参照すると、細胞培養培地の交換プロセスの一例において、培地交換がトリガされる。交換を開始する前に、新鮮な培地の供給源の重量をチェックし、交換をサポートするのに十分な細胞培養培地が新鮮な培地の供給源にあることを確認する。新鮮な培地の供給源に十分な細胞培養培地がない場合、例えば、ユーザーインターフェース上に表示するために、警告をトリガすることができる。廃棄物の行先の利用可能な容量をチェックして、廃棄物の行先が交換される培地を受け入れるのに十分な容量があることを確認することもできる。例えば、廃棄物の行先に以前に移送された培地の累積量が、廃棄物の行先の容量と比較される。廃棄物の行先に十分な容量がない場合、警告がトリガされうる。
【0083】
また、図4を参照すると、交換中に、流体回路中のポンプ204は、流体回路を通して細胞培養培地を循環させ続ける。弁420、422、424は、それぞれ開放、閉鎖、および閉鎖に設定されている。廃棄物の行先ポンプ208bは、貯蔵部202中の細胞培養培地の量(例えば、重量または体積)の低下が、交換される細胞培養培地の量を満たすか、または超えるまで作動される。次いで、供給源ポンプ208aは、貯蔵部202中の細胞培養培地の量の上昇が、交換される細胞培養培地の量を満たすか、または超えるまで作動される。交換される培地の量は、廃棄物の行先の容量ログに記録することができる。
【0084】
一部の実施例では、培地交換プロセスは、時間制御下で起こりうる。それぞれの交換動作は、ロジックタイマーの制御下で時間を計ることができ、その動作のためにプログラムされた時間内に動作を完了できない場合は、警告を発することができる。
【0085】
図6を参照すると、例示的なプロセスにおいて、中空繊維カートリッジを含む培養容器は、例えば、中空繊維カートリッジからの製造化学物質などの不純物または汚染物質を溶出するために流し出すことができる。洗浄プロセスはコンピュータ制御下で自動化することができ、例えば、ユーザーインターフェースを通した入力によるなど、ユーザーによって指定されうる流量および時間にわたり実行することができる。ユーザーはまた、洗浄プロセスで使用される流体(複数可)を示す命令を入力することができる。
【0086】
例えば、洗浄プロセスを作動させるユーザー命令に応答して、洗浄プロセスが作動される(600)。洗浄プロセスの開始時に、空の貯蔵部(例えば、図2の貯蔵部202)の重量を風袋引きして計量する(602)ことができる。例えば、ユーザーは、空の貯蔵部を風袋引きして計量するかどうかを選択するように促されうる。貯蔵部を風袋引きして計量した場合、例えば、データベースのテーブルに、またはその他の方法でメモリに保存された空の貯蔵部の重量が、測定される際に空の貯蔵部の質量に設定される(604)。貯蔵部を風袋引きして計量しない場合、空の貯蔵部の重量がデフォルト値に設定される(606)。一部の実施例では、ユーザーは、空の貯蔵部の重量のデフォルト値を提供することができる。一部の実施例では、ユーザーは貯蔵部のタイプの識別子を提供することができ、空の貯蔵部の重量を貯蔵部のタイプのデフォルト値に設定することができる。
【0087】
空の貯蔵部の重量が設定された後に、洗浄プロセスが作動される(600)。また、図4を参照すると、ポンプ208aを使用して中空繊維カートリッジなどの培養容器200を満たし、新鮮な細胞培養培地を新鮮な培地の供給源206から貯蔵部202に送り出すことによって、洗浄が進行する(608)。ポンプ204は、貯蔵部202から培養容器200に細胞培養培地を循環させる。培養容器200が細胞培養培地で満たされると、ポンプ204は稼働を継続して流体回路400を通して細胞培養培地を循環させる。洗浄の初期部分の間は、すべての弁420、422、424が開いている。
【0088】
貯蔵部202がその細胞培養培地の標的量に達すると、ポンプ208aは新鮮な培地の供給源206から細胞培養培地を送り出すのを止める。弁420、422、424は、それぞれ閉鎖、閉鎖、および開放に設定されて、中空繊維カートリッジ200の毛細管外空間を満たす。例えば5分など、ある時間の経過後、弁420、422、424はそれぞれ閉鎖、開放、および閉鎖に設定されて、中空繊維カートリッジ200から気泡をパージする。例えば5分など、ある時間の経過後、カートリッジのバランシングのために、弁420、422、424はそれぞれ開放、閉鎖、および閉鎖に設定される。
【0089】
中空繊維カートリッジ200の第一のバランスは、細胞培養培地の交換がトリガされる前に、事前設定された時間にわたって維持される。事前設定された時間が終了すると、ポンプ208bが作動して、細胞培養培地を貯蔵部202から廃棄物の行先416に移動させる。次に、中空繊維カートリッジ200の第二のバランスが、第一のバランスの2倍の持続時間で実行される。
【0090】
交換された細胞培養培地の量(例えば、重量または体積)および廃棄物の行先416の容量は、例えば、廃棄物の行先416の過充填のために貯蔵部202が破損していないことを確実にするのを助けるため、および貯蔵部202自体が過充填されていないことを確実にするのを助けるために、バランシングプロセスの間モニターすることができる。
【0091】
図7を参照すると、例示的なpH比色センサー700は、流体の色相に基づいて、自動細胞培養システムの流体回路中の細胞培養培地などの流体のpHを検出する。pH比色センサー700は、色センサー組立品704および光パイプ706を保持するセンサーホルダー702を含む。クランプ708は、管が光パイプ706の二つの部分の間に配置されるように、pH比色センサー700を管(例えば、流体回路400の管404、図4を参照)に留める。光パイプおよび色センサー組立品704は、流体回路の管の中のフェノールレッドなどのpH感受性染料を含有する細胞培養培地の色相を検出する。検出された色相は、自動細胞培養システムのコンピューティングシステムに提供される。コンピューティングシステムは、流体の測定された色相を、例えば、4項多項式変換関数、決定論的方程式、または十分な解像力のデータルックアップテーブルなどのレファレンスソースと比較する。
【0092】
図8を参照すると、自動細胞培養システム中の細胞培養培地は、流体回路の細胞培養培地のpHに基づいて交換することができる。例えば、細胞培養培地のpHは細胞培養が進行するにつれて低下するので、細胞培養培地のpHを事前設定された範囲内、または事前設定された閾値より上に保つために、細胞培養培地のpHに基づいて細胞培養培地を交換することができる。細胞培養培地の交換の例示的なプロセスでは、細胞培養培地のpHは、比色pHセンサー(例えば、図7のセンサー700)によって検出される(800)。細胞培養培地のpHは、イオン性pHセンサーによって検出される(802)。一部の実施例では、細胞培養培地のpHは、別のタイプのpHセンサーによって検出されうる。一部の実施例では、細胞培養培地のpHは、単一のpHセンサーのみによって検出される。検出されたpH値のうちの一つ以上が、デフォルト閾値または自動細胞培養システムのユーザーによって設定された閾値値などの、閾値pH値と比較される(804)。一部の実施例では、平均pH値などの複数の検出されたpH値に基づいて決定された値が、閾値pH値と比較される。検出された細胞培養培地のpH値が、閾値pH値未満(またはそれ以下)の場合(806)、例えば、図5を参照して上述したように、細胞培養培地の交換が開始される(808)。検出された細胞培養培地のpH値が、閾値pH値より高い(またはそれ以上)の場合(806)、細胞培養培地の交換は開始されず、一つ以上のpHセンサーおよびローカルまたは遠隔コンピューティングシステムが引き続き細胞培養液のpHをモニターする。一部の実施例では、pHモニタリングプロセスは連続的なリアルタイムのプロセスである。一部の実施例では、pHモニタリングは、1分、2分、5分、10分、15分、30分、1時間、または別の間隔など、定期的な間隔で起こる。
【0093】
図9を参照すると、熱サブシステム900の一実施例は、自動細胞培養システムの反応器部分の内部の温度をモニターおよび制御する。中空繊維カートリッジなどの培養容器は、二重層金属カバー(例えば、アルミニウムカバー)などのカバー902内に収容されうる。例えば、カバー902は、自動細胞培養システムの反応器部分のカバー105(図1を参照)であってもよく、または別のカバーであってもよい。カバーは、細胞培養のための標的温度に環境の温度を維持するのに役立つ、断熱性でありうる。カバーは、培養容器内の細胞培養培地中の標的ガス濃度の維持を助けるために、二酸化炭素、酸素、または細胞培養に関連するその他のガスのうちの一つ以上など、一つ以上のガスに対して部分的または完全に不透過性とすることができる。カバーは、その中の培養容器へのアクセスを提供するためにちょうつがい式としうる。
【0094】
熱サブシステム900は、培養容器200に接続された温度センサー904、906を含む。例えば、温度センサー904、906は、温度センサー216の一部を形成することができる(図2参照)。温度センサー904、906は、成形シリコン台座などの取付け装置によって、培養容器200の外部に取り付けられうる。温度センサー904、906は、培養容器の温度を検出することができる、または環境の温度を決定できる出力を提供する装置である。簡略化するために、これらの場合の両方を、温度を検出する温度センサーと呼ぶ。例えば、温度センサーは、温度計、サーミスタ、熱電対、半導体ベースのセンサー、またはその他のタイプの温度センサーとすることができる。
【0095】
一部の実施例では、単一の温度センサーを使用する場合があり、一部の例では3つ以上の温度センサーを使用する場合がある。一部の実施例では、複数の温度センサーは、温度センサーのうちの一つが故障した場合に冗長性を提供することができる。一部の実施例では、温度センサーのうちの特定の一つ(例えば、センサー904)を一次温度センサーとして指定でき、自動細胞培養システムのコンピューティングシステムは、その一次温度センサーからの温度読取値を受信することができる。自動細胞培養システムのコンピューティングシステムが一次温度センサーの故障を検出した場合、コンピューティングシステムは、温度センサーのうちの別の一つ(例えば、センサー906)からの温度読取値を受信するように切り替えることができる。一部の実施例では、コンピューティングシステムは、ユーザーにセンサーの故障を警告するために、音声警告、自動細胞培養システムのユーザーインターフェース上もしくは遠隔コンピューティング装置のユーザーインターフェース上のテキスト、警告ライト、またはその他のタイプの警告などの警告を出力させることができる。一部の実施例では、コンピューティングシステムは、例えば、二つの温度センサーが一致しない場合、例えば、検出された温度が閾値パーセントを超えて異なる(例えば、2%を超えて異なる、5%を超えて異なる、10%を超えて異なる、または別の量などの)場合など、別の理由で警告を出力させることができる。
【0096】
熱サブシステム900は、培養容器中の温度を制御するために、温度センサー904、906からの信号を受信し、例えば、閉ループフィードバックシステム中の温度センサー904、906から受信した信号に応答して、ヒーター910およびファン912のうちの一つ以上の動作を制御する、比例・積分・微分制御(PID)コントローラなどの温度コントローラ908を含む。例えば、温度コントローラ908は、培養容器の温度を、デフォルト温度、または自動細胞培養システムのユーザーインターフェースを通してもしくは遠隔コンピューティング装置のユーザーインターフェースを通してゆユーザーによって入力された温度など、事前設定された温度であるように制御することができる。一部の実施例では、温度コントローラ908は、パルス幅変調を使用してヒーター910を制御して、測定温度と事前設定された温度と間の差異を与えられたヒーター910から高いレベルの安全な熱出力を提供することができる。ファン912は、ヒーター910の発熱体にわたる空気の流れを提供するように、カバー902内の空気の流れを提供するように、またはその両方を提供するように位置付けられうる。一部の実施例では、ファン912は、ヒーターから独立して動作可能であり、例えば、冷却機能を提供する、カバー902内部の空気混合を維持する、またはガスセンサー156、162およびガス温度センサー914などのセンサーへの空気の流れを維持することができる(下記参照)。一部の実施例では、ヒーター910は、ヒーター910の故障(例えば、破壊的故障)の検出に応答してヒーター910を停止させることができ、従って、自動細胞培養システムの構成要素の発火を防止し、システムのユーザーに対する火傷のリスクを減少させるのに役立つ、トリマーなどの緊急遮断センサー918を含みうる。
【0097】
温度コントローラ908は、図9に示すように、自動細胞培養システムの個別の構成要素であってもよく、または自動細胞培養システムのコンピューティングシステム916のモジュールであってもよい。一部の実施例では、例えば、温度センサー904、906のタイプに応じて、温度コントローラ908は、温度センサー904、906からの信号を受信し、バッファの役割を果たすことができる。温度コントローラ908が個別の構成要素である場合、温度コントローラ908は、温度センサー904、906によって検出された温度を示す信号を、自動細胞培養システムのコンピューティングシステム916に送信することができる。コンピューティングシステム916は、自動細胞培養システムのユーザーインターフェース上または遠隔コンピューティングシステムのユーザーインターフェース上に、温度を示す情報を表示させうる。コンピューティングシステム916は、受信信号を処理して、検出された温度が警告状態を示すかどうか、例えば、検出された温度が上限閾値温度より高いかどうか、下限閾値より低いかどうか、または別の方法で警告状態を示すかどうかを判断することができる。コンピューティングシステムは、ユーザーに警告状態を警告するために、音声警告、自動細胞培養システムのユーザーインターフェース上もしくは遠隔コンピューティング装置のユーザーインターフェース上のテキスト、警告ライト、またはその他のタイプの警告などの警告を出力させることができる。
【0098】
一部の実施例では、熱サブシステム900は、ファン912の入力側の上など、ファン912に近接して取り付けられて、カバー902内部の培養容器中の循環空気の温度をモニターする温度センサー914を含みうる。温度センサー914からの信号は、温度コントローラ908、または(図9の実施例に示すように)直接、自動細胞培養システムのコンピューティングシステム916に提供することができる。コンピューティングシステムは、温度センサー914によって検出された温度に基づいて、ヒーター910、ファン912、またはその両方の動作を制御することができる。例えば、コンピューティングシステム916は、温度センサー914によって検出された温度が第一の閾値温度(例えば45℃、46℃、48℃、50℃、または別の閾値温度)を超えた時、カバー902の内部の環境の過熱を避けるために、ヒーター910に信号を送信してヒーター910をオフにすることができる。コンピューティングシステム916は、温度センサー914によって検出された温度が第二の閾値温度(例えば40℃、42℃、43℃、45℃、または別の閾値温度)を下回った時、ヒーター910に信号を送信してヒーター910を再開させることができる。一部の実施例では、第一および第二の閾値温度は、同じでありうる。
【0099】
図10を参照すると、ガスサブシステム150の一実施例は、例えば、カバー902内部など、自動細胞培養システムの反応器部分104の内部の空気中の一つ以上のガスの濃度をモニターおよび制御する。例えば、ガスサブシステム150は、細胞培養培地が緩衝機能を提供することを可能にし、これにより二酸化炭素の濃度をモニターおよび制御することができる。一部の実施例では、二酸化炭素は、約0%~約5%、例えば、約0.04%~約6%の分圧に制御されうる。ガスサブシステム150は、細胞培養中の酸化ストレスに影響を与え、培養細胞の成長および機能に影響を与える、酸素(O)の濃度をモニターおよび制御することができる。一部の実施例では、酸素は、窒素ガス置換によって、約0%~約25%、例えば、約0%~約21%の分圧に制御されうる。ガスサブシステム150は、二酸化炭素および酸素に加えて、またはその代わりに、その他のガスの濃度をモニターおよび制御することができる。
【0100】
二酸化炭素センサー156は、カバー902内部の二酸化炭素の濃度を検出する。自動細胞培養システムのコンピューティングシステム916、または遠隔コンピューティングシステムは、二酸化炭素センサー156からの信号を受信し、受信した信号に応答して二酸化炭素のマスフローコントローラ158の動作を制御し、二酸化炭素の濃度を事前設定された範囲内に維持する。例えば、コンピューティングシステム916は、マスフローコントローラ158を制御して、二酸化炭素の濃度が閾値レベルを下回った時に、二酸化炭素供給源160から二酸化炭素の流れを提供することができる。
【0101】
酸素センサー162は、カバー902内部の酸素濃度を検出する。コンピューティングシステム916または遠隔コンピューティングシステムは、酸素センサー162からの信号を受信し、受信した信号に応答して窒素ガスマスフローコントローラ164の動作を制御し、酸素濃度を事前設定された範囲内に維持する。カバー902の中の窒素濃度を増加させることによって、酸素濃度が低下する可能性がある。例えば、コンピューティングシステム916は、酸素濃度が閾値を上回った時、マスフローコントローラ164を制御して、窒素(N)ガス供給源166から窒素ガスの流れを提供することができる。一部の実施例では、例えば、細胞培養中の過剰なバイオマスのために、周囲雰囲気がガス消費(例えば、O消費)を補うことができない場合、O富化ガスをカバー902の中に提供して標的酸素濃度を満たすことができる。例えば、比例・積分・微分コントローラ(PIDコントローラ)を使用して、酸素濃度を制御することができる。
【0102】
二酸化炭素、窒素、またはその他のガスを、出口168を通してカバー902の内部に提供しうる。一つ以上のパージ弁170、172は、例えば、二酸化炭素または酸素の濃度が事前設定された範囲から大幅に逸脱した場合、空気がカバー902の内部にパージされることを可能にすることができる。一部の実施例では、コンピューティングシステムは、ガス濃度が事前設定された範囲外であることをユーザーに警告するために、音声警告、自動細胞培養システムのユーザーインターフェース上もしくは遠隔コンピューティング装置のユーザーインターフェース上のテキスト、警告ライト、またはその他のタイプの警告などの警告を出力させることができる。
【0103】
図11も参照すると、一部の実施例では、CO、N、またはその他のガスは、カバー902の標的濃度と比較して過量である。コンピューティングシステムは、細胞培養組立品の雰囲気中で測定された酸素レベルと酸素の標的レベルの間の偏差ΔO2を計算する。コンピューティングシステムはまた、細胞培養組立品の雰囲気中で測定された二酸化炭素ガスレベルと二酸化炭素ガスの標的レベルの間の偏差ΔCO2を計算する。(1)酸素レベルが酸素の標的レベルよりも高いか、または二酸化炭素レベルが二酸化炭素の標的レベルよりも低く、(2)偏差ΔO2が酸素レベルの閾値偏差(Dev_O)を超えているか、または偏差ΔCO2が二酸化炭素レベルの閾値偏差(Dev_C)を超えている場合、リレーが閉じて空気弁172を開く。二酸化炭素または酸素の偏差が閾値偏差をまだ超えている場合、第二のリレーが閉じられて空気弁170を開き、空気ファンがトリガされる。第二のリレーを複数回開閉して、空気弁170を開き、どちらの偏差も閾値偏差を超えなくなるまでファンをトリガすることができる。
【0104】
一部の実施例では、培養容器200は、回転マウント上に取り付けられうる。回転マウントは、培養サイクル中に培養容器200が一つ以上の軸の周りに回転することを可能にする。培養サイクルの過程にわたる培養容器200の方向性のこのような回転変化は、細胞の再分配を促進し、細胞増殖および健康に悪影響を及ぼす可能性がある細胞の塊の形成を防止することができる。
【0105】
図12を参照すると、培養容器200の固定ホルダーの代わりに、回転マウント350が自動細胞培養システム100に組み込まれうる。
【0106】
図13A~13Cを参照すると、例示的な回転マウント450は、その上に培養容器を取り付けることができるマウント454を有するハウジング452を含む。機械的回転機構456は、ハウジング452内に収容されうる。一部の実施例では、回転機構は、ギアトレーン457、アームリンク機構、またはモーターから培養容器200に回転運動を移すための別の構成要素に連結されたモーター455を含むことができる。
【0107】
図14A~14Cも参照すると、培養容器200は、台座458によって回転マウント450のマウント454に取り付けられている。台座458は、培養容器200の温度を感知するための温度センサー216を組み込むことができる。
【0108】
回転マウント450は、培養容器を通して画定された軸の周りに培養容器200が転倒回転することを可能にする。軸は、培養容器の中心を通って画定されてもよく、または培養容器の中心からオフセットされてもよい。図14A~14Cの実施例では、培養容器200が水平方向(図14A)から垂直方向(図14C)に回転するように90°の回転が示されている。さらなる回転は、培養容器200を水平に戻すことができるが、例えば、第一の位置において培養容器200の第一の端部460aは回転マウント450の左側に位置付けられ、培養容器200の第二の端部460bは回転マウント450の右側に位置付けられており、最終位置において第一の端部460aは右側に位置付けられ、第二の端部460bは左側に位置付けられているように、逆の方向性である。方向性のこの著しい変化は、培養容器200の中空繊維束にわたる、それに沿った、およびその周りの細胞移動を促進することができ、培養容器200の内部(例えば、図3に示す毛細管外空間314)における栄養素混合物のより近位のアクセスを容易にする一方で、細胞集団のより低密度な分布への再分配も促進する。一部の実施例では、さらなる回転(例えば、最大270°または最大360°の回転)が可能でありうる。
【0109】
再び13Aおよび13Bを参照すると、一部の実施例では、光学センサーなどのセンサー462は、例えば、最大回転で回転を停止することを可能にするために、培養容器200の回転位置を検出することができる。例えば、センサー462は、培養容器200の回転位置のプロキシとして、台座458の位置を検出する(例えば、パイロンの隅がセンサー462の前を通過したかどうかを検出する)ことができる。一部の実施例(図示せず)では、培養容器200の回転は、特定の点を過ぎる回転を防止するバリアなどの機械的機能によって停止することができる。
【0110】
図15A~15Cを参照すると、例示的な回転マウント550は、二つの別個の軸の周りの培養容器200の回転を可能にする。回転マウント550は、その上に培養容器200を取り付けることができるマウント554を有するハウジング552を含む。機械的回転機構(図示せず)は、ハウジング552内に収容され、二つの軸の周りの培養容器200の回転を可能にする。図15A~15Cに示すように、回転マウント550は、培養容器200が、培養容器200の中心を通って画定された軸の周りに回転すること、および培養容器200の長軸の周りに回転する(例えば、ねじられる)ことを可能にする。一部の実施例では、回転マウント550の機械的回転機構は、異なる軸の周りの回転を可能にするように構成されうる。一部の実施例では、機械的回転機構は、単一の動きで、両方の軸の周りに培養容器200を回転させることができる。一部の実施例では、培養容器200の一つの軸の周りの回転は、もう一方の軸の周りの回転とは独立していてもよい。各軸の周りの回転量は異なる場合がある。例えば、回転マウント550は、±180°の培養容器200の転倒回転、および±30°のねじれ回転を可能にしうる。
【0111】
一部の実施例では、光学センサーなどのセンサー562は、例えば、培養容器が最大回転に達した時に回転が停止されうるように、培養容器200の回転位置を検出することができる。
【0112】
一部の実施例では、回転マウント(例えば、450または550)の動作は、例えば、細胞培養システムのユーザーによって動作可能なノブ、レバー、またはその他の機構によって、手動で制御されうる。一部の実施例では、回転マウントの動作は、細胞培養システムを制御するコンピューティング装置によって制御されうる。例えば、回転マウントは、規定されたスケジュールの規定量で培養容器を回転させるように制御することができる。一部の実施例では、回転は、培養容器中の細胞の感知された特徴によってトリガされうる。感知された特徴には、培養容器中の細胞の密度、グルコースの消費速度、乳酸の蓄積、グルコースの消費速度および乳酸の蓄積などの特徴の組み合わせに基づく指標、または別の感知された特徴を含みうる。例えば、静止またはビデオカメラなどの光学センサーは、培養容器の内部の画像を捕捉することができ、画像解析は培養容器中の細胞の密度を示すことができる。細胞の密度が閾値密度に達すると、回転がトリガされうる。
【0113】
一部の実施例では、温度制御システムを提供して、新鮮な培地の供給源の温度を標的温度に維持することができる。例えば、新鮮な培地の供給源を、室温より低い温度などの低温で保存することによって、新鮮な培地の供給源の寿命を延長することができる。
【0114】
図16および17A~17Bを参照すると、例示的な温度制御システム650はハウジング652を含み、新鮮な培地の供給源206はハウジングの内部空間654内に収容されている。ハウジング652は、例えば、断熱ハウジングとすることができる。歪みゲージまたは体積センサーなどの流体量センサー656は、新鮮な培地の供給源206の細胞培養培地の質量または体積などの量を検出するために、ハウジング652上に取り付けるか、またはその中に収容することができる。
【0115】
熱電冷却モジュール(例えば、ペルチェ冷却モジュール)などの温度制御モジュール658は、ハウジングの内部空間654の温度を制御するために出力を生成する。出力は、冷却出力または加温出力とすることができる。例えば、細胞培養システムからの温かい空気(例えば、細胞培養システムの構成要素からの廃熱のために温められた空気)がファン660によって温度制御モジュール658に流れ込ませることができ、温度制御モジュール658は熱電冷却によって出力を生成することができる。内部空間654からの空気は、温度制御モジュール658からの冷却出力が気流を冷却するように、例えば、ファン672によって熱交換器670を通って流される。冷却された気流は、内部空間654に戻されて、新鮮な培地の供給源206を標的温度に維持する。類似しているがこれとは反対のアプローチは、加温出力を生成することができる。
【0116】
一部の実施例では、新鮮な培地の供給源206からの細胞培養培地は、細胞培養システムの流体回路の中への導入の前に温めることができる。加温流路674は、新鮮な培地の供給源206の排出口に提供されうる。加温流路674は、例えば、(図示するように)温度制御モジュール658からの排熱によって加熱される、または別個の発熱体によって加熱される加温領域676を通過することができる。一部の実施例では、管中の培地が加温領域676で十分な時間を費やして標的温度に達するように、加温流路674は、管の長さ(例えば、コイル状または蛇行した管の長さ)を含むことができる。一部の実施例では、加温流路674は、細胞培養培地の加温を促進するために、薄い貯蔵部などの貯蔵部を含むことができる。一部の実施例では、加温領域676の加熱は、細胞培養培地が細胞培養システムの流体回路の中に送り出されている時にのみ加温領域676が加熱されるように、例えば、送り出しが起こっていない時は加温流路674中に残った細胞培養培地が加温されないように、制御することができる。
【0117】
温度制御システム650の動作は、温度コントローラ678によって制御されうる。一部の実施例では、図16に示すように、温度コントローラ678は、温度制御システム650自体の中に組み込まれており、細胞培養システム100の制御から独立して動作する。一部の実施例では、細胞培養システム100の動作を制御するコンピューティング装置は、温度制御システム650の動作も制御することができる。
【0118】
一部の実施例では、新鮮な細胞培養培地を新鮮な培地の供給源206から流体回路の中に送り出すためのポンプ(例えば、図2のポンプ208a)は、温度制御システム650の内部空間654の中に収容されうる。
【0119】
一部の実施例では、温度制御システム650のハウジング652は、例えば、異なる温度での材料の保管を許容するために、複数の別個の内部空間を画定することができる。例えば、複数の別個の内部空間は、適切な温度での、細胞培養培地、および成長因子、血清、またはその他の試薬などの細胞培養試薬の保管を可能にすることができる。
【0120】
一部の実施例では、温度制御モジュール658は、例えば、熱電冷却モジュールに加えて、またはその代わりに、ドライアイスなどの冷却材料用の区画を含みうる。一部の実施例では、冷却モジュールは、複数の細胞培養システム100のための温度制御システム650に冷却ラインを通して冷却能力(例えば、冷却流体)を供給する主冷却システムなど、ハウジング652の外部の冷却システムとすることができる。
【0121】
図18は、グラフィカルユーザーインターフェースのユーザーインターフェースビューの概要250の例を示す。例えば、ユーザーインターフェースは、PARRAEセキュアウェブサーバプラットフォーム上で開発され、自動細胞培養装置のユーザーインターフェース上または別のコンピューティング装置のユーザーインターフェース上に表示される一式のウェブページとして実行されうる。ユーザーインターフェース(例えば、自動細胞培養装置のユーザーインターフェース)は、自動細胞培養装置でユーザーによってローカルアクセスすることができ、または例えば、遠隔コンピューティング装置からの接続を通して、安全な承認を持つユーザーによって、遠隔アクセスすることもできる。一般に、ユーザーは、例えば、タッチスクリーンのユーザーインターフェース上のアイコンを押すかまたはクリックして、自動細胞培養システムの動作を命令するための命令を提供することができる。
【0122】
図18の実施例では、初期ログイン画面252は、ユーザーインターフェースへの安全なアクセスを提供する。細胞培養が進行中でない場合、スタンバイ画面254がユーザーインターフェース上に表示される。ユーザーは、ユーザーが閾値などの事前設定された動作パラメータを設定できる事前設定ページ256、ユーザーが進行中の細胞培養のステータスをモニターできる実行ページ258、ユーザーにシステムツールへのアクセスを提供するツールページ260、認定された保守エンジニアなどの人物に保守機能へのアクセスを提供する保守ページ262、およびユーザーマニュアルページ264を含む、様々なページにアクセスできる。ユーザーはまた、ユーザーインターフェース上の電力ページ266を通して自動細胞培養システムの電源をオフにすることができる。
【0123】
図19~22は、ユーザーインターフェース上に表示することができるスクリーンショットの例である。
【0124】
図19は、経過時間、温度、大気二酸化炭素濃度(CO)、大気酸素濃度(O)、pH(例えば、比色pHおよびイオン性pH値)、細胞培養培地中のグルコース濃度(GLC)、細胞培養培地中の乳酸濃度(LAC)、細胞培養培地中の溶存酸素分圧(DO)、および培地流量など、自動細胞培養システムの動作パラメータを示す概略インターフェースである。ビューインターフェースのその他の実施は、図19に示すものよりも他のパラメータ、またはそれらよりも少ないパラメータを表示することができる。
【0125】
図20A~20Cは、温度、二酸化炭素濃度、pHの制御インターフェースであり、ユーザーはこれを通して標的値、アラームをトリガするための上限閾値およびアラームをトリガするための下限閾値を設定することができる。酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、溶存酸素などの他のパラメータは、類似のインターフェースを通して制御することができる。
【0126】
図21は、培地交換制御インターフェースであり、ユーザーはそれを通して、貯蔵部中の細胞培養培地の量、交換する細胞培養培地の体積、廃棄物の行先の容量、および最後に廃棄物の行先がリセットされてから廃棄物の行先に移送された細胞培養培地の量を含む、細胞培養培地の交換のためのパラメータを閲覧および指定することができる。
【0127】
図22を参照すると、ユーザーインターフェースは、細胞培養プロセスのパラメータをリアルタイムで表示することができる。例えば、ユーザーインターフェースは、例えば、細胞培養が進行するにつれて、温度、pHおよび溶存酸素のグラフを時間の関数として表示することができる。
【実施例0128】
以下の実施例は、中空繊維カートリッジを使用した自動細胞培養システムで生細胞を培養する能力を論証する。
実施例1-培養細胞の細胞数、生存率、および代謝プロファイル
Jurkat、クローンE6-1は、免疫学的研究で広く使用されている代表的な不死化ヒトT細胞株である。2つの異なるサイズの中空繊維カートリッジ:小(20mLの培養体積)、大(70mLの培養体積)を使用して、自動細胞培養システムでJurkat細胞を培養した。培養細胞の細胞数、生存率、および代謝プロファイルを決定した。基礎培地は、L-グルタミンを含有するDMEM/F12であった。流体回路中の循環培地および中空繊維カートリッジの毛細管内部側は、5%ウシ胎児血清および抗生物質を含有していた。
【0129】
接種Jurkat細胞およびウシ胎児血清を、中空繊維カートリッジの毛細管外部側に注入した。接種細胞と共にウシ胎児血清を毛細管外部側に加えた。小さなカートリッジには10mLのウシ胎児血清を使用し、大きなカートリッジには35mLのウシ胎児血清を使用した。5%ウシ胎児血清および抗生物質を流体回路および中空繊維カートリッジの毛細管内部側に100mL/分で7日間循環させ、その後200mL/分に増加させた。ウシ胎児血清は3日ごとに毛細管外部側に再充填した。グルコースおよび乳酸のレベルをモニターし、mg/日で計算した。細胞数および生存率は、アクリジンオレンジ/過酸化ヨウ素染色を用いて、Countless FL II自動セルカウンターで測定した。
【0130】
図23Aは、小さなカートリッジの細胞総数10および生細胞数12を示し、図23Bは、大きなカートリッジの総細胞数14および生細胞数16を示す。図23Aおよび図23Bから分かるように、細胞数は着実に増加し、培養細胞のほぼすべてが生存可能であった。
【0131】
図24Aおよび図24Bは、それぞれ小さなカートリッジおよび大きなカートリッジの培養細胞の代謝プロファイルを示す。図24Aは、小さなカートリッジのグルコース取り込み18および乳酸分泌20が12日目まで増加し、その時からグルコース取り込みおよび乳酸分泌が減少し始めたことを示す。図24Aは、大きなカートリッジのグルコース取り込み22および乳酸分泌24は13日目まで増加し、その時からグルコース取り込みおよび乳酸分泌が実質的に安定したことを示す。
実施例2-Tリンパ球培養に対する溶存酸素濃度の影響
一次ヒトTリンパ球を、中空繊維カートリッジを使用して自動細胞培養システムで培養し、細胞増殖に対する溶存酸素濃度の影響を調べた。健常ドナーからのヒトTリンパ球を、中空繊維カートリッジの毛細管外部側に接種した。一部のカートリッジでは、細胞はAIM-V培地およびヒトAB血清の存在下で培養された。一部のカートリッジでは、細胞は無血清X-Vivo 15培地の存在下で培養された。インターロイキン-2(IL-2)を中空繊維カートリッジの毛細管外部側に毎日注入した。各細胞培養培地について、溶存酸素レベル(~20% O)を環境レベルまたは生理学的レベル(~5% O)のいずれかに制御した。細胞数は各カートリッジについて毎日推定した。
【0132】
図25Aは、AIM-V培地およびヒトAB血清で培養された細胞の、低酸素30(~5% O)および酸素正常状態32(~20% O)の推定細胞数を示す。図25Bは、無血清X-Vivo 15培地で培養された細胞の、低酸素34(~5% O)および酸素正常状態36(~20% O)の推定細胞数を示す。両方の細胞培養培地について、細胞数は低酸素で培養された細胞の方が酸素正常状態で培養された細胞の方よりも多かったが、細胞数はAIM-V培地およびヒトAB血清中で培養された細胞の方が無血清培地中で培養された細胞よりも多かった。図25Cは、両方の細胞培養培地ならびに、低酸素および酸素正常状態で培養された細胞の増殖倍率を示す。図25Aおよび25Bと一貫して、両方の細胞培養培地の増殖倍率は、低酸素の方が酸素正常状態で培養された細胞よりも高く、血清中の方が無血清培地中で培養された細胞よりも高かった。これらの結果は、生理学的酸素レベルが、血清含有培地または無血清培地のいずれにおいても細胞増殖速度およびヒトTリンパ球の最終収率を大幅に増強したことを示している。
実施例3-自動細胞培養システムにおけるTリンパ球の増殖
ヒトTリンパ球を、中空繊維カートリッジを使用して自動細胞培養システムで培養し、自動細胞培養システムおよび中空繊維カートリッジの性能を検証した。
【0133】
第一の検証では、ヒトTリンパ球をヒトAB血清含有AIM-V培地中で培養した。3人の健常なドナーからのヒトTリンパ球を、3日間、1:1の比でDynabeads CD3/CD28で活性化し、カートリッジあたり細胞2x10個の濃度で中空繊維カートリッジの毛細管外部側に接種した。プレーンAIM-V培地を、中空繊維カートリッジの毛細管内部側を通して流体回路中に循環させた。10mLのヒトAB血清をカートリッジの毛細管外部側に3日ごとに注入した。IL-2は、1.5の複数レートで毎日、毛細管外部側に注入した。細胞数および生存率はCountess FL IIセルカウンターで測定した。Tリンパ球のサブセットを、CD3、CD4、およびCD9マーカーを標的とする抗体で標識された蛍光染料で染色し、BD Accuri C6フローサイトメトリーで分析した。
【0134】
図26Aは、3人の健常なドナーそれぞれからの細胞の細胞数の増加を示す。図26Bは、3人のドナーそれぞれからの細胞の増殖倍率および倍加時間を示す。図26Cは、3人のドナーそれぞれからの細胞の、接種時および収穫時のT細胞の生存能力を示す。図26Dは、3人のドナーそれぞれからのPBMC、負荷細胞、および収穫細胞のCD3+パーセントを示す。図26Eは、3人のドナーそれぞれのPMBC、負荷細胞および収穫細胞に対するCD3+中のCD4+およびCD4-のサブセットパーセントを示す。これらの結果から、自動細胞培養システムで細胞を増殖させることができ、生存率を保持できることが確認される。
【0135】
第二の検証では、ヒトTリンパ球を無血清X-Vivo 15培地中で培養した。3人の健常なドナーからのヒトTリンパ球を、3日間、1:1の比でDynabeads CD3/CD28で活性化し、カートリッジあたり細胞2x10個の濃度で中空繊維カートリッジの毛細管外部側に接種した。プレーンX-Vivo15培地を、中空繊維カートリッジの毛細管内部側を通して流体回路中に循環させた。10mLの1%ヒトアルブミン溶液をカートリッジの毛細管外部側に3日ごとに注入した。IL-2は、1.5の複数レートで毎日、毛細管外部側に注入した。細胞数および生存率はCountess FL IIセルカウンターで測定した。Tリンパ球のサブセットを、CD3、CD4、およびCD9マーカーを標的とする抗体で標識された蛍光染料で染色し、BD Accuri C6フローサイトメトリーで分析した。
【0136】
図27Aは、3人の健常なドナーそれぞれからの細胞の細胞数の増加を示す。図27Bは、3人のドナーそれぞれからの細胞の増殖倍率および倍加時間を示す。図27Cは、3人のドナーそれぞれからの細胞の接種時および収穫時のT細胞の生存率を示す。図27Dは、3人のドナーそれぞれからのPBMC、負荷細胞、および収穫細胞のCD3+パーセントを示す。図27Eは、3人のドナーそれぞれのPMBC、負荷細胞および収穫細胞に対するCD3+中のCD4+およびCD4-のサブセットパーセントを示す。これらの結果から、自動細胞培養システムで細胞を増殖させることができ、生存率を保持できることが確認される。
【0137】
いくつかの実施形態について説明してきた。それでも、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。例えば、上に記載したステップの一部は、順序に依存しない場合があり、そのため、記載したものとは異なる順序で行うことができる。
【0138】
その他の実施もまた、以下の請求項の範囲内である。
【0139】
説明の目的で典型的な実施形態を示してきたが、以上の記述は、本開示または添付の請求項の範囲を限定するものであると見なすべきではない。したがって、本開示の意図および範囲または添付の請求項から逸脱しない種々の修正、適応、および代案を当業者は見出すことができる。
【0140】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0141】
実施形態1
細胞培養反応器であって、
ハウジングと、
細胞培養培地のための流体回路であって、前記流体回路が前記ハウジングの内部に配置されており、
前記細胞培養培地中で細胞を培養するための培養容器と、
前記培養容器に流体連結された前記細胞培養培地用の貯蔵部と、
前記流体回路中の前記細胞培養培地を送り出すように構成されたポンプと、を備える流体回路と、
前記ハウジングの前記内部に配置された一つ以上のセンサーであって、各センサーが、(1)前記流体回路中の前記細胞培養培地および(2)前記ハウジングの前記内部の環境のうちの一つ以上のパラメータを検出するように構成されている、一つ以上のセンサーと、を備える細胞培養反応器と、
前記検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、前記細胞培養反応器の動作を自動的に制御するように構成されたコンピューティング装置と、を備える、自動細胞培養システム。
【0142】
実施形態2
前記コンピューティング装置が、前記検出されたパラメータおよびそれぞれの閾値のうちの一つ以上のそれぞれの間の比較に基づいて前記細胞培養反応器の動作を制御するように構成されている、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0143】
実施形態3
前記細胞培養容器用の回転マウントを含む、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0144】
実施形態4
供給ラインであって、前記供給ラインの第一の端部が前記流体回路に接続されていて、前記供給ラインの第二の端部が細胞培養培地の供給源に接続可能である、供給ラインと、
前記供給ラインに連結された供給ポンプと、
温度制御システムであって、
ハウジングであって、前記ハウジングの内部空間が細胞培養培地の供給源を収容するように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジングの前記内部空間を冷却または加温するように構成された温度制御モジュールと、を備える、温度制御システムと、を含む供給システムを備える、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0145】
実施形態5
前記コンピューティング装置が、(i)前記貯蔵部中の細胞培養培地の量および(ii)前記流体回路中の前記細胞培養培地のpHのうちの一つ以上に基づいて、前記供給ポンプの動作を制御するように構成されている、実施形態4に記載の自動細胞培養システム。
【0146】
実施形態6
前記ハウジングの内部に配置されたヒーターを備える、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0147】
実施形態7
前記ハウジング中に弁を備え、前記コンピューティング装置が、前記ハウジングの前記内部のガスの濃度に基づいて前記弁の動作を制御するように構成されている、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0148】
実施形態8
前記ハウジングの前記内部に流体連結されたガス供給源と、
前記ガス供給源に連結されたガス流量制御装置と、を備え、
前記コンピューティング装置が、前記検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、前記ガス流量制御装置の動作を制御するように構成されている、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0149】
実施形態9
前記コンピューティング装置が、
(i)前記検出されたパラメータのうちの一つ以上および(ii)前記検出されたパラメータのうちの一つ以上の履歴のうちの一つ以上に基づいて前記培養容器中の前記細胞培養の相を決定するように、および
前記細胞培養の前記相に基づいて前記細胞培養反応器の動作を制御するように構成されている、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0150】
実施形態10
前記培養容器が中空繊維カートリッジを備える、実施形態1に記載の自動細胞培養システム。
【0151】
実施形態11
細胞を培養する方法であって、前記方法が、
細胞培養反応器中で細胞をインキュベートすることであって、
前記細胞培養培地中で前記細胞を培養するために、前記細胞培養培地の貯蔵部から培養容器に細胞培養培地を送り出すことを含め、前記細胞培養反応器の内部に配置された流体回路中に細胞培養培地を流すこと、を含む、細胞培養反応器中で細胞をインキュベートすることと、
前記細胞培養反応器の前記内部に配置された一つ以上のセンサーのそれぞれによって、(1)前記流体回路中の前記細胞培養培地および(2)前記細胞培養反応器の前記内部の環境のうちの一つ以上のパラメータを検出することと、
前記検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、自動的に、コンピューティング装置によって、前記細胞培養反応器の動作を制御することと、を含む、方法。
【0152】
実施形態12
前記細胞培養反応器の動作を制御することが、前記検出されたパラメータのそれぞれを、それぞれの閾値と比較することと、前記比較に基づいて前記細胞培養反応器の動作を制御することと、を含む実施形態11に記載の方法。
【0153】
実施形態13
前記培養容器を回転させることを含む、実施形態11に記載の方法。
【0154】
実施形態14
前記細胞培養反応器の動作を制御することが、(i)前記貯蔵部中の細胞培養培地の量および(ii)前記流体回路中の前記細胞培養培地のpHのうちの一つ以上に基づいて、細胞培養培地を細胞培養培地の供給源から前記流体回路の中に送り出すために供給ポンプの動作を制御することを含む、実施形態11に記載の方法。
【0155】
実施形態15
細胞培養培地の供給源の温度を制御することを含む、実施形態14に記載の方法。
【0156】
実施形態16
前記細胞培養反応器の動作を制御することが、前記細胞培養反応器の温度に基づいてヒーターを制御することを含む、実施形態11に記載の方法。
【0157】
実施形態17
前記細胞培養反応器の動作を制御することが、ガス供給源に連結されたガス流量制御装置および前記細胞培養反応器のハウジング中の弁のうちの一つ以上の動作を制御することを含む、実施形態11に記載の方法。
【0158】
実施形態18
実施形態11に記載の方法であって、
(i)前記検出されたパラメータのうちの少なくとも一つおよび(ii)前記検出されたパラメータのうちの少なくとも一つの履歴のうちの一つ以上に基づいて、前記培養容器中の前記細胞培養の相を決定することと、
前記細胞培養の前記相に基づいて前記細胞培養反応器の動作を制御することと、を含む方法。
【0159】
実施形態19
前記検出されたパラメータのうちの一つ以上に基づいて、情報または警告の出力をもたらすことを含む、実施形態11に記載の方法。
【0160】
実施形態20
ユーザーインターフェースを通してまたは遠隔コンピューティング装置から入力を受信することと、前記受信した入力にさらに基づいて前記細胞培養反応器の動作を制御することと、を含む、実施形態11に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E