(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181374
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231214BHJP
H02M 7/483 20070101ALI20231214BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/483
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186051
(22)【出願日】2023-10-31
(62)【分割の表示】P 2019135003の分割
【原出願日】2019-07-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】中島 修
(57)【要約】
【課題】半導体モジュールの直上に、半導体モジュールを駆動する駆動回路を配置することが可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】この電力変換装置100では、正側導体40および負側導体50は、各々、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cが配置される表面31aに略平行な脚部41および脚部51と、表面31aに略垂直な立壁部42および立壁部52とを含む。そして、正側導体40および負側導体50は、各々、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの表面のうちの、制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力する電力変換装置であって、
前記上位電位側と前記下位電位側との間に、互いに直列に接続されている上位電位側コンデンサおよび下位電位側コンデンサと、
前記上位電位側と、前記上位電位側コンデンサと前記下位電位側コンデンサとの接続点とに接続され、複数の半導体素子を内部に収納する上位電位側半導体モジュールと、
前記下位電位側と、前記上位電位側コンデンサと前記下位電位側コンデンサとの接続点とに接続され、前記複数の半導体素子を内部に収納する下位電位側半導体モジュールと、
前記上位電位側半導体モジュールと前記下位電位側半導体モジュールとに接続され、出力端子を有するとともに、前記複数の半導体素子を内部に収納する交流出力側半導体モジュールと、
前記上位電位側半導体モジュールの正側端子と、前記上位電位側コンデンサの正側端子とを接続する正側導体と、
前記下位電位側半導体モジュールの負側端子と、前記下位電位側コンデンサの負側端子とを接続する負側導体と、を備え、
前記正側導体および前記負側導体は、各々、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールが配置される配置面に略平行な脚部と、前記配置面に略垂直な立壁部とを含むとともに、前記配置面に垂直な方向から見て、前記上位電位側半導体モジュールおよび前記下位電位側半導体モジュールの表面のうちの、制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されており、
前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールの各々の直上で、かつ、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールの各々の前記制御端子と、前記上位電位側コンデンサおよび前記下位電位側コンデンサとの間で、かつ、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールの各々の負側端子と出力端子との間に配置され、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールに収容される前記複数のスイッチング素子を駆動する駆動回路をさらに備える、電力変換装置。
【請求項2】
前記配置面に垂直な方向から見て、前記正側導体の脚部は、前記制御端子が配置される領域に達することなく、前記上位電位側半導体モジュールの制御端子側とは反対側に延びるように前記上位電位側半導体モジュールの正側端子の表面上に配置されており、
前記配置面に垂直な方向から見て、前記負側導体の脚部は、前記制御端子が配置される領域に達することなく、前記下位電位側半導体モジュールの制御端子側に延びるように前記下位電位側半導体モジュールの負側端子の表面上に配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記上位電位側半導体モジュールの負側端子と、前記下位電位側半導体モジュールの正側端子と、前記上位電位側コンデンサの負側端子と、前記下位電位側コンデンサの正側端子とを接続する中間導体をさらに備え、
前記中間導体は、前記配置面に垂直な方向から見て、前記上位電位側半導体モジュールおよび前記下位電位側半導体モジュールの表面のうちの、前記制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されている、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記中間導体は、前記配置面に略平行な脚部と、前記配置面に略垂直な立壁部とを含み、
前記正側導体、前記負側導体、および、前記中間導体の各々の前記立壁部は、前記配置面に平行な方向に沿って、互いに隣り合うように配置されている、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記上位電位側コンデンサは、前記正側導体および前記中間導体の前記配置面側とは反対側において、前記正側導体の前記立壁部および前記中間導体の前記立壁部に接続されており、
前記下位電位側コンデンサは、前記負側導体および前記中間導体の前記配置面側とは反対側において、前記負側導体の前記立壁部および前記中間導体の前記立壁部に接続されている、請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記配置面に平行な方向から見て、前記上位電位側コンデンサおよび前記下位電位側コンデンサと、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールの表面とは、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールの各々の厚みよりも大きい距離分、互いに離間している、請求項1~5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記配置面に垂直な方向から見て、前記交流出力側半導体モジュールの前記制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置され、前記交流出力側半導体モジュールの出力端子に接続される交流導体をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記上位電位側半導体モジュールの出力端子と、前記交流出力側半導体モジュールの正側端子とを接続するとともに、前記配置面に垂直な方向から見て、前記上位電位側半導体モジュールの前記制御端子および前記交流出力側半導体モジュールの前記制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されている第1接続導体をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記下位電位側半導体モジュールの出力端子と、前記交流出力側半導体モジュールの負側端子とを接続するとともに、前記配置面に垂直な方向から見て、前記下位電位側半導体モジュールの前記制御端子および前記交流出力側半導体モジュールの前記制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されている第2接続導体をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記配置面に垂直な方向から見て、前記上位電位側半導体モジュール、前記下位電位側半導体モジュールおよび前記交流出力側半導体モジュールの各々の、前記正側端子、前記負側端子および前記制御端子は、この順で、第1の方向に沿って並ぶように配置されており、
前記配置面に垂直な方向から見て、前記上位電位側半導体モジュールと前記下位電位側半導体モジュールとは、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って隣り合うように、かつ、前記上位電位側半導体モジュールおよび前記下位電位側半導体モジュールの各々において、出力端子が前記第1の方向の一方側に位置するように、配置されており、
前記配置面に垂直な方向から見て、前記上位電位側半導体モジュールと前記交流出力側半導体モジュールとは、前記第1の方向に沿って隣り合うように、かつ、前記交流出力側半導体モジュールの前記正側端子が、前記交流出力側半導体モジュールにおいて前記第1の方向の他方側に位置するように、配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関し、特に、複数の半導体モジュールを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体モジュールを備える電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1では、2つのスイッチング素子を収納する複数の半導体モジュールを備える電力変換装置が開示されている。また、複数の半導体モジュールに並列に、2つのコンデンサが設けられている。また、複数の半導体モジュールと、2つのコンデンサとを電気的に接続するための配線が設けられている。なお、この配線には寄生インダクタンスが存在する。そして、上記特許文献1では、寄生インダクタンスを低減するために、配線が、積層されたバスバーにより構成されている。
【0004】
具体的には、上記特許文献1では、2つのコンデンサの正側電極と、複数の半導体モジュールの正側電極とがバスバー(以下、正側バスバーという)により電気的に接続されている。また、2つのコンデンサの負側電極と、複数の半導体モジュールの負側電極とがバスバー(以下、負側バスバーという)により電気的に接続されている。
【0005】
上記特許文献1では、上記の正側バスバーと負側バスバーとは、共に、略U字形状を有する銅板により構成されている。そして、略U字形状の負側バスバーの内側に、略U字形状の正側バスバーが配置されている。また、略U字形状の正側バスバーの内側に、2つのコンデンサが配置されている。また、複数の半導体モジュールの負側電極は、略U字形状の負側バスバーの底部に電気的に接続されている。また、上記特許文献1には明記されていないが、複数の半導体モジュールの正側電極は、負側バスバーに設けられた孔部を介して、略U字形状の正側バスバーの底部に電気的に接続されていると考えられる。また、複数の半導体モジュールの直上において、複数の半導体モジュールを覆うように、略U字形状の正側バスバーおよび略U字形状の負側バスバーが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、複数の半導体モジュールの直上に、複数の半導体モジュールを覆うように、略U字形状の正側バスバーおよび略U字形状の負側バスバーが配置されている。このため、複数の半導体モジュールの直上に、複数の半導体モジュールを駆動する駆動回路が配置できないという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、半導体モジュールの直上に、半導体モジュールを駆動する駆動回路を配置することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による電力変換装置は、上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力する電力変換装置であって、上位電位側と下位電位側との間に、互いに直列に接続されている上位電位側コンデンサおよび下位電位側コンデンサと、上位電位側と、上位電位側コンデンサと下位電位側コンデンサとの接続点とに接続され、複数の半導体素子を内部に収納する上位電位側半導体モジュールと、下位電位側と、上位電位側コンデンサと下位電位側コンデンサとの接続点とに接続され、複数の半導体素子を内部に収納する下位電位側半導体モジュールと、上位電位側半導体モジュールと下位電位側半導体モジュールとに接続され、出力端子を有するとともに、複数の半導体素子を内部に収納する交流出力側半導体モジュールと、上位電位側半導体モジュールの正側端子と、上位電位側コンデンサの正側端子とを接続する正側導体と、下位電位側半導体モジュールの負側端子と、下位電位側コンデンサの負側端子とを接続する負側導体と、を備え、正側導体および負側導体は、各々、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールが配置される配置面に略平行な脚部と、配置面に略垂直な立壁部とを含むとともに、配置面に垂直な方向から見て、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの表面のうちの、制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されており、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの各々の直上で、かつ、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの各々の制御端子と、上位電位側コンデンサおよび下位電位側コンデンサとの間で、かつ、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの各々の負側端子と出力端子との間に配置され、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールに収容される複数のスイッチング素子を駆動する駆動回路をさらに備える。
【0010】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、配置面に垂直な方向から見て、正側導体の脚部は、制御端子が配置される領域に達することなく、上位電位側半導体モジュールの制御端子側とは反対側に延びるように上位電位側半導体モジュールの正側端子の表面上に配置されており、配置面に垂直な方向から見て、負側導体の脚部は、制御端子が配置される領域に達することなく、下位電位側半導体モジュールの制御端子側に延びるように下位電位側半導体モジュールの負側端子の表面上に配置されている。このように構成すれば、正側導体の脚部および負側導体の脚部が、制御端子が配置される領域を覆うのを抑制することができるので、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの直上に、正側導体および負側導体が配置されるのを、確実に、抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、上位電位側半導体モジュールの負側端子と、下位電位側半導体モジュールの正側端子と、上位電位側コンデンサの負側端子と、下位電位側コンデンサの正側端子とを接続する中間導体をさらに備え、中間導体は、配置面に垂直な方向から見て、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの表面のうちの、制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されている。このように構成すれば、制御端子が配置される領域には、中間導体が配置されないので、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの直上に、半導体モジュールを駆動する駆動回路(制御端子に接続される駆動回路)を配置することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、中間導体は、配置面に略平行な脚部と、配置面に略垂直な立壁部とを含み、正側導体、負側導体、および、中間導体の各々の立壁部は、配置面に平行な方向に沿って、互いに隣り合うように配置されている。このように構成すれば、上位電位側コンデンサと下位電位側コンデンサとを近接するように配置した状態で、正側導体および中間導体と、上位電位側コンデンサとを接続するとともに、負側導体および中間導体と、下位電位側コンデンサとを接続することができる。
【0013】
上記正側導体、負側導体、および、中間導体の各々の立壁部が互いに隣り合うように配置されている電力変換装置において、好ましくは、上位電位側コンデンサは、正側導体および中間導体の配置面側とは反対側において、正側導体の立壁部および中間導体の立壁部に接続されており、下位電位側コンデンサは、負側導体および中間導体の配置面側とは反対側において、負側導体の立壁部および中間導体の立壁部に接続されている。このように構成すれば、上位電位側コンデンサおよび下位電位側コンデンサと、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの表面との間の距離(配置面に垂直な方向の距離)が比較的大きくなるので、駆動回路を容易に配置することができる。
【0014】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、配置面に平行な方向から見て、上位電位側コンデンサおよび下位電位側コンデンサと、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの表面とは、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの各々の厚みよりも大きい距離分、互いに離間している。このように構成すれば、上位電位側コンデンサおよび下位電位側コンデンサと、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの表面との間の距離を、確実に、大きくすることができる。
【0015】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、配置面に垂直な方向から見て、交流出力側半導体モジュールの制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置され、交流出力側半導体モジュールの出力端子に接続される交流導体をさらに備える。このように構成すれば、交流導体が設けられた場合でも、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの直上に、駆動回路を配置することができる。
【0016】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、上位電位側半導体モジュールの出力端子と、交流出力側半導体モジュールの正側端子とを接続するとともに、配置面に垂直な方向から見て、上位電位側半導体モジュールの制御端子および交流出力側半導体モジュールの制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されている第1接続導体をさらに備える。このように構成すれば、第1接続導体が設けられた場合でも、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの直上に、駆動回路を配置することができる。
【0017】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、下位電位側半導体モジュールの出力端子と、交流出力側半導体モジュールの負側端子とを接続するとともに、配置面に垂直な方向から見て、下位電位側半導体モジュールの制御端子および交流出力側半導体モジュールの制御端子が配置される領域とは異なる領域に配置されている第2接続導体をさらに備える。このように構成すれば、第2接続導体が設けられた場合でも、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの直上に、駆動回路を配置することができる。
【0018】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、配置面に垂直な方向から見て、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの各々の、正側端子、負側端子および制御端子は、この順で、第1の方向に沿って並ぶように配置されており、配置面に垂直な方向から見て、上位電位側半導体モジュールと下位電位側半導体モジュールとは、第1の方向に直交する第2の方向に沿って隣り合うように、かつ、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの各々において、出力端子が第1の方向の一方側に位置するように、配置されており、配置面に垂直な方向から見て、上位電位側半導体モジュールと交流出力側半導体モジュールとは、第1の方向に沿って隣り合うように、かつ、交流出力側半導体モジュールの正側端子が、交流出力側半導体モジュールにおいて第1の方向の他方側に位置するように、配置されている。このように構成すれば、上位電位側半導体モジュールの出力端子と交流出力側半導体モジュールの正側端子とが隣り合うように配置されるので、上位電位側半導体モジュールの出力端子と交流出力側半導体モジュールの正側端子とを接続する導体(第1接続導体)が、制御端子を覆うのを容易に抑制することができる。また、上位電位側半導体モジュールおよび下位電位側半導体モジュールの各々の、正側端子および負側端子が第1の方向の他方側に位置するので、上位電位側半導体モジュールの正側端子に接続される導体(正側導体)と、下位電位側半導体モジュールの負側端子に接続される導体(負側導体)と、上位電位側半導体モジュールの負側端子および下位電位側半導体モジュールの正側端子に接続される導体(中間導体)とを、第1方向の他方側に寄せて配置することができる。その結果、上位電位側半導体モジュール、下位電位側半導体モジュールおよび交流出力側半導体モジュールの直上に比較的大きな空間が生じるので、駆動回路などを容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、半導体モジュールの直上に、半導体モジュールを駆動する駆動回路を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態による電力変換装置(電力変換部)の回路図である。
【
図2】本実施形態による半導体モジュールの斜視図である。
【
図3】本実施形態による電力変換部の斜視図である。
【
図4】本実施形態による電力変換部の側面図(1)である。
【
図5】本実施形態による電力変換部の側面図(2)である。
【
図6】本実施形態による電力変換部の分解斜視図である。
【
図7】本実施形態による冷却部の表面上に配置された半導体モジュールの上面図である。
【
図10】本実施形態による中間導体の斜視図である。
【
図11】本実施形態による冷却部の表面上に配置された半導体モジュールおよび中間導体の上面図である。
【
図12】本実施形態による電力変換部の斜視図(コンデンサ、交流導体および第2接続導体を省いた状態の図)である。
【
図13】本実施形態による電力変換部の斜視図(コンデンサおよび交流導体を省いた状態の図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図13を参照して、本実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。
図1に示すように、電力変換装置100は、上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力するように構成されている。なお、電力変換装置100は、たとえば、鉄道車両に配置されている。なお、電力変換装置100が鉄道車両に設けられた場合、Y方向は、鉄道車両の走行方向に対応する。
【0023】
電力変換装置100は、コンバータ部(図示せず)と、インバータ部(図示せず)とを含む。コンバータ部は、互いに並列に接続される2つの電力変換部10により構成されている。また、インバータ部は、互いに並列に接続される3つの電力変換部10により構成されている。以下、1つの電力変換部10の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、電力変換部10は、互いに直列に接続されるスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3およびスイッチング素子Q4を含む。スイッチング素子Q1~Q4は、上位電位側(正極電位側P)と下位電位側(負極電位側N)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q1~Q4には、それぞれ、逆並列にダイオードDが接続されている。なお、スイッチング素子Q1~Q4(および、後述するQ5およびQ6)は、たとえば、シリコン(Si)半導体からなるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0025】
また、電力変換部10は、上位電位側と下位電位側との間に、互いに直列に接続されているコンデンサC1およびコンデンサC2を含む。なお、コンデンサC1とコンデンサC2との接続点は、中間電位点Mである。コンデンサC1およびコンデンサC2は、スイッチング素子Q1~Q4に対して電気的に並列に接続されている。なお、コンデンサC1およびコンデンサC2は、それぞれ、特許請求の範囲の「上位電位側コンデンサ」および「下位電位側コンデンサ」の一例である。また、スイッチング素子Q1~Q6は、特許請求の範囲の「半導体素子」の一例である。
【0026】
また、電力変換部10は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の接続点N1と、スイッチング素子Q3およびスイッチング素子Q4の接続点N2とに電気的に接続されるとともに互いに直列に接続されるスイッチング素子Q5(ダイオードD1)およびスイッチング素子Q6(ダイオードD2)が設けられている。なお、ダイオードD1およびダイオードD2は、クランプダイオードとして機能する。また、ダイオードD1のアノードが、中間電位点Mに電気的に接続されている。また、ダイオードD1のカソードが、接続点N1に電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードが、接続点N2に電気的に接続されている。また、ダイオードD2のカソードが、中間電位点Mに電気的に接続されている。なお、スイッチング素子Q5およびスイッチング素子Q6の代わりに、ダイオードD1およびダイオードD2が単独で設けられていてもよい。
【0027】
電力変換部10には、複数の半導体モジュール20(半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20c)が設けられている。半導体モジュール20aは、上位電位側(P側)と、コンデンサC1とコンデンサC2との接続点(中間電位点M)とに接続されている。また、半導体モジュール20aは、複数の半導体素子(スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q5)を内部に収納する。半導体モジュール20bは、下位電位側(N側)と、コンデンサC1とコンデンサC2との接続点(中間電位点M)とに接続されている。また、半導体モジュール20bは、複数の半導体素子(スイッチング素子Q4およびスイッチング素子Q6)を内部に収納する。半導体モジュール20cは、半導体モジュール20aと半導体モジュール20bとに接続されている。また、半導体モジュール20cは、交流出力端子(交流導体60に接続される出力端子24)を有する。また、半導体モジュール20cは、複数の半導体素子(スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q3)を内部に収納する。なお、半導体モジュール20a~20cは、それぞれ、特許請求の範囲の「上位電位側半導体モジュール」、「下位電位側半導体モジュール」、および、「交流出力側半導体モジュール」の一例である。
【0028】
図1(回路図)では、電力変換部10には、半導体モジュール20a~20cは、各々、1つずつ記載されている。一方、実際には、
図7に示すように、半導体モジュール20a~20cは、各々、2つずつ(並列に)、設けられている。
【0029】
図2に示すように、半導体モジュール20は、正側端子21と、負側端子22と、制御端子23と、出力端子24と、を含む。半導体モジュール20の表面において、正側端子21と、負側端子22と、制御端子23と、出力端子24とがこの順で、A1方向側からA2方向側に沿って並ぶように配置されている。また、半導体モジュール20(半導体モジュール20a、20bおよび20cの各々)において、正側端子21および負側端子22は、一方端部側(A1方向側)に配置されている。また、半導体モジュール20において、出力端子24は、他方端部側(A2方向側)に配置されている。また、半導体モジュール20において、制御端子23は、正側端子21および負側端子22と、出力端子24との間(中央領域)に配置されている。また、半導体モジュール20は、略直方体形状を有する。
【0030】
半導体モジュール20a~20cの正側端子21および負側端子22は、それぞれ、コレクタ(C)端子およびエミッタ(E)端子である。
【0031】
また、
図3~
図7に示すように、電力変換部10は、冷却部30を備えている。冷却部30は、略平板形状の冷却部本体部31と、冷却部本体部31から下方(Z2方向側)に延びる放熱フィン32とを含む。また、複数の半導体モジュール20は、冷却部本体部31の上方(Z1方向側)の表面31a上に配置されている。なお、表面31aは、特許請求の範囲の「配置面」の一例である。
【0032】
本実施形態では、
図7に示すように、表面31aに垂直な方向(Z方向)から見て、半導体モジュール20a~20cの各々の、正側端子21、負側端子22および制御端子23は、この順で、X方向に沿って並ぶように配置されている。そして、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aと半導体モジュール20bとは、X方向に直交するY方向に沿って隣り合うように、かつ、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの各々において、出力端子24がX方向の一方側(X1方向側)に位置するように、配置されている。
【0033】
また、本実施形態では、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aと半導体モジュール20cとは、X方向に沿って隣り合うように、かつ、半導体モジュール20cの正側端子21が、半導体モジュール20cにおいてX方向の他方側(X2方向側)に位置するように、配置されている。また、半導体モジュール20aと半導体モジュール20cの各々の長辺に対応する端面F1は、X方向に沿って揃っている(面一である)。
【0034】
また、互いに並列に接続される2つの半導体モジュール20a(互いに並列に接続される2つの半導体モジュール20b、および、互いに並列に接続される2つの半導体モジュール20c)が、Y方向に沿って配置されている。2つの半導体モジュール20a(2つの半導体モジュール20b、および、2つの半導体モジュール20c)の短辺に対応する端面F2同士は、Y方向に沿って揃っている(面一である)。
【0035】
なお、半導体モジュール20bは、半導体モジュール20aよりも、正側端子21(負側端子22および出力端子24)のX方向の長さの半分程度、X1方向側寄りに配置されている。これにより、本実施形態では、半導体モジュール20aの負側端子22と、半導体モジュール20bの正側端子21とは、各々、所定の方向(Y方向)に沿った直線Cを境界としてX2方向側とX1方向側とに配置されている。
【0036】
図4に示すように、電力変換装置100は、正側導体40を備えている。正側導体40は、半導体モジュール20aの正側端子21と、コンデンサC1の正側端子C1pとを接続する。また、正側導体40は、表面31aに略平行な脚部41と、表面31aに略垂直な立壁部42とを含む。立壁部42には、略長方形形状の切欠き部43(
図8参照)が設けられている。また、正側導体40は、銅バー(バスバー)により構成されている。また、正側導体40は、略L字形状を有する。また、脚部41および立壁部42は、略平板形状を有する。脚部41は、略長方形形状を有する。また、脚部41は、Y方向に隣り合うように配置される2つの半導体モジュール20aの各々の正側端子21に渡るように配置されている。なお、
図4では、正側導体40および後述する中間導体70にハッチングを施している。
【0037】
図5に示すように、電力変換装置100は、負側導体50を備えている。負側導体50は、半導体モジュール20bの負側端子22と、コンデンサC2の負側端子C2nとを接続する。また、負側導体50は、表面31aに略平行な脚部51と、表面31aに略垂直な立壁部52とを含む。立壁部52には、略長方形形状の切欠き部53(
図9参照)が設けられている。また、負側導体50は、銅バー(バスバー)により構成されている。また、負側導体50は、略L字形状を有する。また、脚部51および立壁部52は、略平板形状を有する。脚部51は、略長方形形状を有する。また、脚部51は、Y方向に隣り合うように配置される2つの半導体モジュール20bの各々の負側端子22に渡るように配置されている。なお、
図5では、負側導体50および後述する中間導体70にハッチングを施している。
【0038】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、正側導体40は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aの表面のうちの、制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。具体的には、表面31aに垂直な方向から見て、正側導体40の脚部41は、制御端子23が配置される領域に達することなく、半導体モジュール20aの制御端子23側(X1方向側)とは反対側(X2方向側)に延びるように半導体モジュール20aの正側端子21の表面上に配置されている。
【0039】
詳細には、
図4に示すように、X方向における、正側導体40の脚部41の長さL11は、正側端子21の長さL1と略等しい。そして、立壁部42は、半導体モジュール20aの正側端子21の直上に配置されている。また、正側導体40の脚部41は、正側端子21に直接接続されている。
【0040】
また、本実施形態では、
図5に示すように、負側導体50は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20bの表面のうちの、制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。具体的には、表面31aに垂直な方向から見て、負側導体50の脚部51は、制御端子23が配置される領域に達することなく、半導体モジュール20bの制御端子23側(X1方向側)に延びるように半導体モジュール20aの負側端子22の表面上に配置されている。
【0041】
詳細には、X方向における、負側導体50の脚部51の長さL12は、負側端子22の長さL2に略等しい。また、負側導体50の立壁部52は、負側端子22の直上に配置されている。また、負側導体50の脚部51は、直接、負側端子22に接続されている。
【0042】
また、本実施形態では、
図4および
図5に示すように、電力変換装置100は、中間導体70を備えている。中間導体70は、半導体モジュール20aの負側端子22と、半導体モジュール20bの正側端子21と、コンデンサC1の負側端子C1nと、コンデンサC2の正側端子C2pとを接続する。そして、中間導体70は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの表面のうちの、制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。
【0043】
具体的には、本実施形態では、
図10および
図11に示すように、中間導体70は、表面31aに略平行な脚部71と、表面31aに略垂直な立壁部72とを含む。中間導体70の脚部71は、第1脚部71aと第2脚部71bとを含む。第1脚部71aは、制御端子23が配置される領域に達することなく、直線Cを境界とするX1方向側に延びるともに、半導体モジュール20aの負側端子22に接続される。第2脚部71bは、制御端子23が配置される領域に達することなく、直線Cを境界とするX2方向側に延びるともに、半導体モジュール20bの正側端子21に接続される。
【0044】
また、中間導体70は、銅バー(バスバー)により構成されている。また、脚部71および立壁部72は、略平板形状を有する。脚部71は、略長方形形状を有する。また、第1脚部71aは、Y方向に隣り合うように配置される2つの半導体モジュール20aの各々の負側端子22に渡るように配置されている。また、第2脚部71bは、Y方向に隣り合うように配置される2つの半導体モジュール20bの各々の正側端子21に渡るように配置されている。
【0045】
図4に示すように、X方向において、中間導体70の第1脚部71aの長さL21は、半導体モジュール20aの負側端子22の長さL2に略等しい。また、
図5に示すように、X方向において、第2脚部71bの長さL22は、半導体モジュール20bの正側端子21の長さL1に略等しい。
【0046】
また、本実施形態では、
図10に示すように、中間導体70の立壁部72において、中間導体70の第1脚部71aに接続される部分73と、中間導体70の第2脚部71bに接続される部分74との間には、切欠き部75が設けられている。具体的には、切欠き部75は、略長方形形状を有する。また、中間導体70の部分73と部分74とは、部分76により接続されている。Y方向において、部分76の幅W3は、部分73の幅W1と部分74の幅W2との合計よりも大きい。
【0047】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、正側導体40の立壁部42、負側導体50の立壁部52、および、中間導体70の立壁部72は、表面31aに平行な方向(X方向)に沿って、互いに隣り合うように(所定の間隔を隔てた状態で)配置されている。また、正側導体40の立壁部42は、半導体モジュール20aの正側端子21の直上に配置されている。また、負側導体50の立壁部52は、半導体モジュール20bの負側端子22の直上に配置されている。また、中間導体70の立壁部72は、半導体モジュール20aと半導体モジュール20bとに亘るように配置されている。
【0048】
また、本実施形態では、
図4および
図5に示すように、電力変換装置100は、交流導体60を備えている。交流導体60は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20cの制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。また、交流導体60は、半導体モジュール20cの出力端子24に接続されている。具体的には、交流導体60は、表面31aに略平行な脚部61と、表面31aに略垂直な立壁部62とを含む。交流導体60の脚部61は、制御端子23が配置される領域に達することなく、半導体モジュール20cの制御端子23側とは反対側に延びるように半導体モジュール20cの出力端子24の表面上に配置されている。また、X方向において、交流導体60の脚部61の長さL31は、半導体モジュール20cの出力端子24の長さL3に略等しい。
【0049】
また、交流導体60は、銅バー(バスバー)により構成されている。また、交流導体60は、略L字形状を有する。また、脚部61および立壁部62は、略平板形状を有する。脚部61は、略長方形形状を有する。また、脚部61は、Y方向に隣り合うように配置される2つの半導体モジュール20cの各々の出力端子24に渡るように配置されている。
【0050】
本実施形態では、
図12に示すように、電力変換装置100は、第1接続導体80を備えている。第1接続導体80は、半導体モジュール20aの出力端子24と、半導体モジュール20cの正側端子21とを接続する。また、第1接続導体80は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aの制御端子23および半導体モジュール20cの制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。具体的には、第1接続導体80は、略平板形状(略長方形形状)を有する。そして、2つの半導体モジュール20aの出力端子24から、2つの半導体モジュール20cの正側端子21に亘るように配置されている。これにより、半導体モジュール20aおよび20cの各々の制御端子23は、第1接続導体80によって覆われない。
【0051】
本実施形態では、
図13に示すように、電力変換装置100は、第2接続導体90を備えている。第2接続導体90は、半導体モジュール20bの出力端子24と、半導体モジュール20cの負側端子22とを接続する。また、第2接続導体90は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20bの制御端子23および半導体モジュール20cの制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。具体的には、第2接続導体90は、略平板形状(略長方形形状)を有する。そして、2つの半導体モジュール20bの出力端子24から、2つの半導体モジュール20cの負側端子22に亘るように配置されている。これにより、半導体モジュール20bおよび20cの各々の制御端子23は、第2接続導体90によって覆われない。また、第2接続導体90には、複数の孔部91が設けられている。そして、複数の孔部91を介して、第1接続導体80(第1接続導体80を固定するためのネジ)が露出している。
【0052】
本実施形態では、
図4に示すように、コンデンサC1は、正側導体40および中間導体70の表面31a側とは反対側(Z1方向側)において、正側導体40の立壁部42および中間導体70の立壁部72に接続されている。また、
図5に示すように、コンデンサC2は、負側導体50および中間導体70の表面31a側とは反対側(Z1方向側)において、負側導体50の立壁部52および中間導体70の立壁部72に接続されている。具体的には、
図4に示すように、コンデンサC1では、正側端子C1pが、中間導体70の孔部77(
図10参照)を介して、正側導体40の立壁部42に接続され、負側端子C1nが、中間導体70の立壁部72に接続されている。
図5に示すように、コンデンサC2では、正側端子C2pが、負側導体50の孔部54(
図9参照)を介して、中間導体70の立壁部72に接続され、負側端子C2nは、負側導体50の立壁部52に接続されている。
【0053】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、表面31aに平行な方向(X方向またはY方向)から見て、コンデンサC1およびコンデンサC2と、半導体モジュール20a~20cの表面とは、半導体モジュール20a~20cの各々の厚みtよりも大きい距離L51分、互いに離間している。なお、半導体モジュール20a~20cの表面とは、正側端子21(負側端子22または出力端子24)のZ1方向側の表面を意味する。
【0054】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、電力変換装置100は、駆動回路1を備えている。駆動回路1は、半導体モジュール20a~20cの各々の制御端子23と、コンデンサC1およびコンデンサC2との間に配置されている。また、駆動回路1は、半導体モジュール20aに収容されるスイッチング素子Q1およびQ5(半導体モジュール20bに収容されるスイッチング素子Q4およびQ6、半導体モジュール20cに収容されるスイッチング素子Q2およびQ3)を駆動するように構成されている。具体的には、駆動回路1は、制御基板2や、保護回路(図示せず)などの電子部品を含む。
【0055】
そして、本実施形態では、
図4および
図5に示すように、駆動回路1と、コンデンサC1およびコンデンサC2とは、所定の絶縁距離以上離間した状態(距離L52離間した状態)で配置されている。具体的には、駆動回路1のZ1方向側の面と、コンデンサC1およびコンデンサC2のZ2方向側の面とが、Z方向に沿って、距離L52分、離間している。
【0056】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
本実施形態では、上記のように、正側導体40および負側導体50は、各々、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cが配置される表面31aに略平行な脚部41および51と、表面31aに略垂直な立壁部42および52とを含む。また、正側導体40および負側導体50は、各々、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの表面のうちの、制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。これにより、制御端子23が配置される領域には、正側導体40および負側導体50が配置されないので、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの直上に、半導体モジュール20を駆動する駆動回路1(制御端子23に接続される駆動回路1)を配置することができる。また、正側導体40の立壁部42および負側導体50の立壁部52は、表面31aに略垂直に配置されているので、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの直上に、正側導体40および負側導体50が配置されるのを、容易に、抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、表面31aに垂直な方向から見て、正側導体40の脚部41は、制御端子23が配置される領域に達することなく、半導体モジュール20aの制御端子23側とは反対側に延びるように半導体モジュール20aの正側端子21の表面上に配置されている。また、表面31aに垂直な方向から見て、負側導体50の脚部51は、制御端子23が配置される領域に達することなく、半導体モジュール20bの制御端子23側に延びるように半導体モジュール20bの負側端子22の表面上に配置されている。これにより、正側導体40の脚部41および負側導体50の脚部51が、制御端子23が配置される領域を覆うのを抑制することができるので、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの直上に、正側導体40および負側導体50が配置されるのを、確実に、抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、中間導体70は、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの表面のうちの、制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている。これにより、制御端子23が配置される領域には、中間導体70が配置されないので、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの直上に、半導体モジュール20を駆動する駆動回路1(制御端子23に接続される駆動回路1)を配置することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、中間導体70の脚部71は、制御端子23が配置される領域に達することなく、直線Cを境界とするX1方向側に延びるともに、半導体モジュール20aの負側端子22に接続される第1脚部71aと、制御端子23が配置される領域に達することなく、直線Cを境界とするX2方向側に延びるともに、半導体モジュール20bの正側端子21に接続される第2脚部71bとを含む。これにより、中間導体70の脚部71が、制御端子23が配置される領域を覆うのを抑制することができるので、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの直上に、中間導体70が配置されるのを、確実に、抑制することができる。また、半導体モジュール20aの負側端子22と半導体モジュール20bの正側端子21とが、各々、所定の方向に沿った直線Cを境界としてX1方向側とX2方向側とに配置されている場合(つまり、半導体モジュール20aの負側端子22と半導体モジュール20bの正側端子21とが直線上に配置されていない場合)でも、直線Cを境界とするX1方向側に延びる第1脚部71aとX2方向側に延びる第2脚部71bとが設けられることにより、中間導体70の立壁部72を略平板状に構成することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、中間導体70の立壁部72において、中間導体70の第1脚部71aに接続される部分73と、中間導体70の第2脚部71bに接続される部分74との間には、切欠き部75が設けられている。これにより、中間導体70の第1脚部71aに接続される半導体モジュール20aと、中間導体70の第2脚部71bに接続される半導体モジュール20bとの間の絶縁距離を、切欠き部75により確保することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、正側導体40の立壁部42、負側導体50の立壁部52、および、中間導体70の立壁部72は、表面31aに平行な方向に沿って、互いに隣り合うように配置されている。これにより、コンデンサC1とコンデンサC2とを近接するように配置した状態で、正側導体40および中間導体70と、コンデンサC1とを接続するとともに、負側導体50および中間導体70と、コンデンサC2とを接続することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、コンデンサC1は、正側導体40および中間導体70の表面31a側とは反対側において、正側導体40の立壁部42および中間導体70の立壁部72に接続されており、コンデンサC2は、負側導体50および中間導体70の表面31a側とは反対側において、負側導体50の立壁部52および中間導体70の立壁部72に接続されている。これにより、コンデンサC1およびコンデンサC2と、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの表面との間の距離(表面31aに垂直な方向の距離)が比較的大きくなるので、駆動回路1を容易に配置することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、表面31aに平行な方向から見て、コンデンサC1およびコンデンサC2と、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの表面とは、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの各々の厚みtよりも大きい距離分、互いに離間している。これにより、コンデンサC1およびコンデンサC2と、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの表面との間の距離を、確実に、大きくすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの各々の制御端子23と、コンデンサC1およびコンデンサC2との間に配置され、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cに収容される複数の半導体素子(スイッチング素子Q1~Q6)を駆動する駆動回路1が設けられている。これにより、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの直上に駆動回路1が配置されるので、制御端子23と駆動回路1とを接続する配線の配線長を短縮することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、駆動回路1と、コンデンサC1およびコンデンサC2とは、所定の絶縁距離以上離間した状態で配置されている。これにより、駆動回路1と、コンデンサC1およびコンデンサC2とが短絡するのを確実に抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20cの制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置され、半導体モジュール20cの出力端子24に接続される交流導体60が設けられている。これにより、交流導体60が設けられた場合でも、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの直上に、駆動回路1を配置することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、半導体モジュール20aの出力端子24と、半導体モジュール20cの正側端子21とを接続するとともに、半導体モジュール20aの制御端子23および半導体モジュール20cの制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている第1接続導体80が設けられている。これにより、第1接続導体80が設けられた場合でも、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの直上に、駆動回路1を配置することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、半導体モジュール20bの出力端子24と、半導体モジュール20cの負側端子22とを接続するとともに、半導体モジュール20bの制御端子23および半導体モジュール20cの制御端子23が配置される領域とは異なる領域に配置されている第2接続導体90が設けられている。これにより、第2接続導体90が設けられた場合でも、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの直上に、駆動回路1を配置することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aと半導体モジュール20bとは、X方向に直交するY方向に沿って隣り合うように、かつ、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの各々において、出力端子24がX1方向側に位置するように、配置されている。また、表面31aに垂直な方向から見て、半導体モジュール20aと半導体モジュール20cとは、X方向に沿って隣り合うように、かつ、半導体モジュール20cの正側端子21が、半導体モジュール20cにおいてX2方向側に位置するように、配置されている。これにより、半導体モジュール20aの出力端子24と半導体モジュール20cの正側端子21とが隣り合うように配置されるので、半導体モジュール20aの出力端子24と半導体モジュール20cの正側端子21とを接続する導体(第1接続導体80)が、制御端子23を覆うのを容易に抑制することができる。また、半導体モジュール20aおよび半導体モジュール20bの各々の、正側端子21および負側端子22がX2方向側に位置するので、半導体モジュール20aの正側端子21に接続される導体(正側導体40)と、半導体モジュール20bの負側端子22に接続される導体(負側導体50)と、半導体モジュール20aの負側端子22および半導体モジュール20bの正側端子21に接続される導体(中間導体70)とを、X2方向側に寄せて配置することができる。その結果、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cの直上に比較的大きな空間が生じるので、駆動回路1などを容易に配置することができる。
【0071】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0072】
たとえば、上記実施形態では、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cが、各々、2つずつ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記の半導体モジュールが、1つ、または、3つ以上設けられていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、正側導体、負側導体、中間導体、および、交流導体が、各々、脚部と立壁部とにより構成されることにより、制御端子の直上が、これらの導体によって覆われない(駆動回路が配置される空間が確保される)例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動回路が配置される空間が確保されるのであれば、上記の導体の形状は、脚部と立壁部とにより構成される形状には限られない。
【0074】
また、上記実施形態では、電力変換装置が鉄道車両に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、鉄道車両以外の装置に配置されている電力変換装置にも、本発明を適用することは可能である。
【0075】
また、上記実施形態では、半導体モジュール20a、半導体モジュール20bおよび半導体モジュール20cが、同一の半導体モジュール20から構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、これらの半導体モジュールが、互いに形状などの異なる半導体モジュールにより構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、スイッチング素子がシリコン半導体からなるIGBTであるとともに、ダイオードがシリコン半導体から構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スイッチング素子とダイオードとのうちの少なくとも一方を、ワイドバンドギャップ半導体から構成してもよい。また、スイッチング素子をMOSFETから構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 駆動回路
20a 半導体モジュール(上位電位側半導体モジュール)
20b 半導体モジュール(下位電位側半導体モジュール)
20c 半導体モジュール(交流出力側半導体モジュール)
21 正側端子
22 負側端子
23 制御端子
24 出力端子
31a 表面(配置面)
40 正側導体
41 脚部
42 立壁部
50 負側導体
51 脚部
52 立壁部
60 交流導体
70 中間導体
71 脚部
71a 第1脚部
71b 第2脚部
72 立壁部
73、74 部分
75 切欠き部
80 第1接続導体
90 第2接続導体
100 電力変換装置
C1 コンデンサ(上位電位側コンデンサ)
C1p 正側端子
C1n 負側端子
C2 コンデンサ(下位電位側コンデンサ)
C2p 正側端子
C2n 負側端子
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6 スイッチング素子(半導体素子)