(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181381
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】計測装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 7/487 20060101AFI20231214BHJP
G01S 17/93 20200101ALN20231214BHJP
【FI】
G01S7/487
G01S17/93
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186123
(22)【出願日】2023-10-31
(62)【分割の表示】P 2019155408の分割
【原出願日】2019-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】細井 研一郎
(57)【要約】
【課題】背景光の影響を好適に除去しつつ、反射光のデータを除去することなく有効に活用することが可能な計測装置、制御方法、プログラム及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供する。
【解決手段】ライダ100の制御部7は、照射光を照射して走査領域内の反射光強度分布を計測し、照射光を照射せずに走査領域内の背景光強度分布を計測する。そして、制御部7は、反射光強度分布に対して平滑化処理を行い、平滑化済み背景光強度分布を生成する。そして、制御部7は、反射光強度分布から、平滑化済み背景光強度分布を減算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測部と、
前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化部と、
前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する減算部と、
を有する計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射した光の反射光の計測に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、計測対象物に光を照射して該計測対象物からの反射光を検出し、該計測対象物に光を照射するタイミングと、該計測対象物からの反射光を検出するタイミングとの時間差により計測対象物までの距離を算出する距離計測装置が知られている。また、特許文献1には、照明手段が計測対象物に光を照射していない時の受光手段の受光データである背景光情報を、照明手段が計測対象物に光を照射している時の受光手段の受光データである計測光情報から減じた時の差を算出し、当該差が閾値以下となる受光データを、近傍の受光データにより補完する距離計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ランダムな位置にスポット的に発生する背景光ノイズが生じた計測点の受光データは除去され、除去された画素の受光データは、近傍の受光データに基づいて補完される。この場合、背景光ノイズが発生した計測点において、照射光が物体で反射した反射光を検出した場合、当該計測点での反射光のデータは除去されることになる。この時、背景光ノイズが発生した計測点でのみ反射光が検出され、その近傍の計測点では検出されなかった場合には、上述の補完処理により、物体が検出されなくなる。このように、特許文献1では、遠方に存在して1つの計測点にのみ計測される物体については、背景光ノイズの除去の影響により検出できない可能性があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、背景光の影響を好適に除去しつつ、反射光のデータを除去することなく有効に活用することが可能な計測装置、制御方法、プログラム及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、計測装置であって、照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測部と、前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化部と、前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する減算部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、計測装置が実行する制御方法であって、照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測工程と、前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化工程と、前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する減算工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測部と、前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化部と、前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する減算部としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】仮想平面上におけるライダの走査領域を示した図である。
【
図3】5フレーム分の期間における背景光計測領域及び反射光計測領域の遷移と、補正済み反射光強度分布の導出過程とを概略的に示した図である。
【
図4】(A)背景光計測領域内において背景光が計測される計測点を明示した図である。(B)対象の計測点の周辺での背景光強度分布を示した図である。(C)対象の計測点の背景光強度を周辺の計測点の背景光強度により置換した後の背景光強度分布を示した図である。
【
図5】(A)ある計測点において計測された反射光強度の時間波形を示す。(B)対象の計測点に対応する平滑化済み背景光強度の時間波形を示す。(C)対象の計測点における補正済み反射光強度の時間波形を示す。
【
図6】第1生成方法に基づく補正済み反射光強度分布の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】(A)走査領域内のある分割領域における背景光の計測点と反射光の計測点とをそれぞれ示した図である。(B)背景光の計測タイミング、照射光の射出タイミング、及び反射光の計測期間を時系列により示した図である。
【
図8】第2生成方法に基づく補正済み反射光強度分布の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態では、計測装置は、照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測部と、前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化部と、前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する減算部と、を有する。この態様によれば、計測装置は、計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布から、複数の計測点に渡って計測される背景光の影響を好適に除外することができる。
【0011】
上記計測装置の一態様では、計測装置は、前記第1強度分布から前記第3強度分布を減算することで得られる第4強度分布に基づき、前記計測対象領域において、前記照射光が照射された物体までの距離と方向とを示した点群情報を生成する点群情報生成部をさらに有する。この態様により、計測装置は、周辺の物体の距離と方向とを示した点群情報を好適に生成することができる。
【0012】
上記計測装置の他の一態様では、前記第1強度分布は、前記計測対象領域内の複数の計測点における前記反射光の強度の前記反射光の計測期間における時間波形を示し、前記第3強度分布は、前記複数の計測点に対応する前記背景光の平滑化された強度を示し、前記減算部は、前記複数の計測点の各々に対し、前記反射光の強度の時間波形から、前記計測期間において一定とみなした前記背景光の平滑化された強度を減算する。この態様により、計測装置は、第1強度分布から、複数の計測点に渡って継続的に計測される背景光の強度分を好適に減算することができる。
【0013】
上記計測装置の他の一態様では、前記計測部は、計測対象領域の一部の領域であって、フレーム毎に異なる領域に設定される第1領域における前記第1強度分布を計測し、かつ、前記計測対象領域内の前記第1領域以外の領域である第2領域における前記第2強度分布を計測し、前記減算部は、前記第1強度分布から、当該第1強度分布が計測された領域と同一領域であって異なるフレームにおいて計測された第2強度分布が平滑化された第3強度分布を減算する。この態様により、計測装置は、フレーム毎に第1強度分布を計測する領域と第2強度分布を計測する領域とをそれぞれ設け、これらの領域を変更することで、毎フレームにおいて反射光強度を計測しつつ、背景光の影響を除外する処理を好適に行うことができる。
【0014】
上記計測装置の他の一態様では、前記計測部は、前記照射光を照射して前記反射光の強度を計測する度に前記背景光の強度を計測することで、フレーム毎に前記計測対象領域の全領域を対象とした前記第1強度分布と前記第2強度分布を計測する。この態様により、毎フレームにおいて計測対象領域の全領域における反射光強度を計測しつつ、背景光の影響を除外する処理を好適に行うことができる。
【0015】
本発明の他の好適な実施形態では、計測装置が実行する制御方法であって、照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測工程と、前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化工程と、前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する減算工程と、を有する。計測装置は、この制御方法を実行することで、計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布から、複数の計測点に渡って計測される背景光の影響を好適に除外することができる。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、照射光を照射して計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布を計測し、照射光を照射せずに前記計測対象領域内の背景光の強度分布である第2強度分布を計測する計測部と、前記第2強度分布に対して平滑化処理を行い、第3強度分布を生成する平滑化部と、前記第1強度分布から、前記第3強度分布を減算する。コンピュータは、このプログラムを実行することで、計測対象領域内の反射光の強度分布である第1強度分布から、複数の計測点に渡って計測される背景光の影響を好適に除外することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0018】
[装置構成]
図1は、本実施例に係るライダ100の概略構成を示す。ライダ100は、例えば、自動運転などの運転支援を行う車両に搭載される。ライダ100は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対して光ビーム(「照射光」とも呼ぶ。)を照射し、当該照射光が物体に反射されて戻った光(「反射光」とも呼ぶ。)を受光することで、物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の3次元位置を示す点群情報を生成する。
図1に示すように、ライダ100は、主に、送信部1と、受信部2と、ビームスプリッタ3と、スキャナ5と、ピエゾセンサ6と、制御部7と、を有する。
【0019】
送信部1は、パルス状の照射光をビームスプリッタ3に向けて出射する光源である。送信部1は、例えば、赤外線レーザ発光素子を含む。送信部1は、制御部7から供給される駆動信号「S1」に基づき駆動される。
【0020】
受信部2は、例えばアバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode)であり、受光した光量に対応する検出信号「S2」を生成し、生成した検出信号S2を制御部7へ供給する。
【0021】
ビームスプリッタ3は、送信部1から射出されるパルス状の照射光を透過する。また、ビームスプリッタ3は、スキャナ5によって反射された反射光を、受信部2に向けて反射する。
【0022】
スキャナ5は、例えば静電駆動方式のミラー(MEMSミラー)であり、制御部7から供給される駆動信号「S3」に基づき、傾き(即ち光走査の角度)が所定の範囲内で変化する。そして、スキャナ5は、ビームスプリッタ3を透過した照射光をライダ100の外部へ向けて反射すると共に、ライダ100の外部から入射する反射光をビームスプリッタ3へ向けて反射する。以後では、ライダ100の照射光が通過する仮想平面9上において照射光の走査が行われる領域を、単に「走査領域」又は「計測対象領域」とも呼ぶ。また、走査領域上において照射光が照射される点を「計測点」とも呼ぶ。
【0023】
また、スキャナ5には、ピエゾセンサ6が設けられている。ピエゾセンサ6は、スキャナ5のミラー部を支持するトーションバーの応力により生じる歪みを検出する。ピエゾセンサ6は、生成した検出信号「S4」を、制御部7へ供給する。検出信号S4は、スキャナ5の向きの検出に用いられる。
【0024】
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのメモリとを含む。制御部7は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、所定の処理を実行する。
【0025】
制御部7は、機能的には、送信駆動ブロック70と、スキャナ駆動ブロック71と、反射光計測ブロック72と、背景光計測ブロック73と、平滑化処理ブロック74と、減算ブロック75と、点群情報生成ブロック76と、出力ブロック77と、を含んでいる。
【0026】
送信駆動ブロック70は、送信部1を駆動する駆動信号S1を出力する。駆動信号S1は、送信部1に含まれるレーザ発光素子の発光時間と、当該レーザ発光素子の発光強度を制御するための情報を含む。送信駆動ブロック70は、駆動信号S1に基づき、送信部1に含まれるレーザ発光素子の発光強度を制御する。
【0027】
スキャナ駆動ブロック71は、スキャナ5を駆動するための駆動信号S3を出力する。この駆動信号S3は、スキャナ5の共振周波数に対応する水平駆動信号と、垂直走査するための垂直駆動信号と、を含む。また、スキャナ駆動ブロック71は、ピエゾセンサ6から出力される検出信号S4を監視することで、スキャナ5の走査角度(すなわち照射光の照射方向)を検出する。
【0028】
反射光計測ブロック72は、受信部2が出力する検出信号S2に基づき、計測点毎の反射光強度を計測する。この場合、反射光計測ブロック72は、照射光が射出された後の所定期間において受信部2が出力する反射光強度の時間波形を、計測点毎の反射光強度として計測する。以後では、反射光計測ブロック72が反射光強度を計測した走査領域内の全計測点に対する反射光強度を、「反射光強度分布」とも呼ぶ。反射光強度分布では、個々の計測点に対応する反射光強度が時間波形により表される。反射光強度分布は、本発明における「第1強度分布」の一例である。
【0029】
背景光計測ブロック73は、照射光が射出されていないときに受信部2が出力する検出信号S2に基づき、背景光強度を計測する。背景光計測ブロック73が背景光強度を計測した走査領域内の全計測点に対する背景光強度を、「背景光強度分布」とも呼ぶ。背景光強度分布は、本発明における「第2強度分布」の一例である。また、反射光計測ブロック72及び背景光計測ブロック73は、本発明における「計測部」の一例である。
【0030】
平滑化処理ブロック74は、背景光計測ブロック73が生成した背景光強度分布に対して平滑化処理を適用することで、平滑化された背景光強度分布(「平滑化済み背景光強度分布」とも呼ぶ。)を生成する。平滑化処理ブロック74は、平滑化処理により、ランダムな位置にスポット的に発生する背景光のノイズ成分(「背景光ノイズ」とも呼ぶ。)を好適に除外した背景光強度分布を、平滑化済み背景光強度分布として生成する。平滑化処理ブロック74が生成する平滑化済み背景光強度分布は、本発明における「第3強度分布」の一例である。また、平滑化処理ブロック74は、本発明における「平滑化部」の一例である。
【0031】
なお、平滑化処理ブロック74が計測点毎に算出する平滑化済み背景光強度は、ライダ100の計測結果において継続的かつ複数の計測点に跨って検出される背景光(「継続的背景光」とも呼ぶ。)の強度となる。継続的背景光は、例えば、雲、路面、植物、建物の壁、ガラスなどの近赤外線に対して高い反射率を持つ物体による太陽光の反射光であり、当該物体は概ね空間的な広がりが大きいために、ライダ100によって複数の計測点に跨って計測される。
【0032】
減算ブロック75は、反射光計測ブロック72が生成した反射光強度分布に対し、平滑化済み背景光強度分布を減算する。具体的には、減算ブロック75は、反射光強度分布が示す計測点毎の反射光強度の時間波形に対し、対応する計測点毎の時間不変の平滑化済み背景光強度を減算する。これにより、減算ブロック75は、継続的背景光の影響を除外した反射光強度分布(「補正済み反射光強度分布」とも呼ぶ。)を生成する。補正済み反射光強度分布では、個々の計測点に対応する補正済み反射光強度が時間波形により表される。補正済み反射光強度分布は、本発明における「第4強度分布」の一例である。また、減算ブロック75は、本発明における「減算部」の一例である。
【0033】
点群情報生成ブロック76は、補正済み反射光強度分布に基づき、ライダ100の計測範囲内の計測点毎に照射光が照射された物体までの距離と方向とを示した点群情報を生成する。この場合、点群情報生成ブロック76は、照射光を射出してから受信部2が反射光を検出するまでの時間を、光の飛行時間(Time of Flight)として算出する。そして、点群情報生成ブロック76は、算出した飛行時間に応じた距離の情報と、受信部2が受信した反射光に対応する照射光の照射方向の情報とを計測点毎に関連付けた点群情報を生成する。点群情報生成ブロック76は、本発明における「点群情報生成部」の一例である。
【0034】
出力ブロック77は、点群情報生成ブロック76が生成した点群情報を、車両の自動運転などの運転支援を制御する装置(「運転支援装置」とも呼ぶ。)に出力する。この場合、運転支援装置は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)であってもよく、車両と電気的に接続したカーナビゲーション機器などの車載装置であってもよい。
【0035】
[補正済み反射光強度分布の生成]
次に、補正済み反射光強度分布の生成方法の具体例(第1生成方法及び第2生成方法)について具体的に説明する。
【0036】
(1)第1生成方法
第1生成方法は、各フレーム(即ちスキャナ5による1周分の走査毎)において背景光強度の計測範囲と反射光強度の計測範囲とを分ける計測方法を採用した補正済み反射光強度分布の生成方法である。
【0037】
図2は、仮想平面9上におけるライダ100の走査領域を示した図である。
図2の実線矢印は、仮想平面9上において照射光が照射される位置の軌跡を示している。また、
図2では、走査領域は、3つの分割領域F1~F3(破線枠参照)に分けられている。
【0038】
この場合、制御部7は、3つの分割領域F1~F3のうちいずれか1つの分割領域を、背景光強度の計測領域(「背景光計測領域」とも呼ぶ。)と定め、残りの分割領域を、反射光強度の計測領域(「反射光計測領域」とも呼ぶ。)と定める。そして、制御部7は、1フレーム毎に、背景光計測領域を他の分割領域に移行(シフト)させることで、3フレームの周期により背景光計測領域を分割領域F1~F3によりローテーションさせる。この場合、送信駆動ブロック70は、背景光計測領域を走査する期間においては照射光を射出させず、反射光計測領域を走査する期間においては照射光を射出させる。
【0039】
図3は、5フレーム分の計測タイミング(第1フレーム~第5フレーム)における背景光計測領域及び反射光計測領域の遷移と、背景光強度分布及び反射光強度分布に基づく補正済み反射光強度分布の導出過程とを概略的に示した図である。
【0040】
図3において、第1フレームでは、制御部7の送信駆動ブロック70は、分割領域F1を背景光計測領域とし、分割領域F2及び分割領域F3を反射光計測領域とするように、送信部1における照射光の制御を行う。また、背景光計測ブロック73は、分割領域F1における背景光強度分布を生成し、平滑化処理ブロック74は、当該背景光強度分布を平滑化することで、平滑化済み背景光強度分布「B1」を生成する。平滑化処理ブロック74は、生成した平滑化済み背景光強度分布B1をメモリに記憶する。この平滑化済み背景光強度分布B1は、第2フレームの補正済み反射光強度分布の生成に用いられる。また、反射光計測ブロック72は、分割領域F2及び分割領域F3における反射光強度分布を生成する。
【0041】
次に、第2フレームでは、送信駆動ブロック70は、分割領域F2を背景光計測領域とし、分割領域F1及び分割領域F3を反射光計測領域とするように、送信部1における照射光の制御を行う。これにより、反射光計測ブロック72は、分割領域F1及び分割領域F3における反射光強度分布を生成する。また、背景光計測ブロック73は、分割領域F2における背景光強度分布を生成し、平滑化処理ブロック74は、当該背景光強度分布を平滑化することで、平滑化済み背景光強度分布「B2」を生成する。平滑化処理ブロック74は、生成した平滑化済み背景光強度分布B2をメモリに記憶する。
【0042】
また、減算ブロック75は、第1フレームにおいて分割領域F1の平滑化済み背景光強度分布B1が得られていることから、第2フレームで得られた分割領域F1での反射光強度分布「R1」に対し、同領域における平滑化済み背景光強度分布B1の減算(R1-B1)を行う。これにより、減算ブロック75は、分割領域F1における補正済み反射光強度分布を生成し、生成した補正済み反射光強度分布を、点群情報生成ブロック76へ供給する。この場合、点群情報生成ブロック76は、供給された補正済み反射光強度分布に基づき、分割領域F1における点群情報を生成する。
【0043】
次に、第3フレームでは、送信駆動ブロック70は、分割領域F3を背景光計測領域とし、分割領域F1及び分割領域F2を反射光計測領域とするように、送信部1における照射光の制御を行う。また、背景光計測ブロック73は、分割領域F3における背景光強度分布を生成し、平滑化処理ブロック74は、当該背景光強度分布を平滑化することで、平滑化済み背景光強度分布「B3」を生成する。平滑化処理ブロック74は、生成した平滑化済み背景光強度分布B3をメモリに記憶する。また、反射光計測ブロック72は、分割領域F1での反射光強度分布「R2」及び分割領域F2での反射光強度分布「R3」を生成する。
【0044】
また、減算ブロック75は、第3フレームで得られた分割領域F1での反射光強度分布R2及び分割領域F2での反射光強度分布R3を、夫々、同領域における平滑化済み背景光強度分布B1及び平滑化済み背景光強度分布B2により減算する(即ち、「R2-B1」と「R3-B2」とを実行する)。これにより、減算ブロック75は、分割領域F1と分割領域F2とにおける補正済み反射光強度分布を夫々生成し、生成した補正済み反射光強度分布を点群情報生成ブロック76へ供給する。
【0045】
次に、第4フレームでは、送信駆動ブロック70は、分割領域F1を背景光計測領域とし、分割領域F2及び分割領域F3を反射光計測領域とするように、送信部1における照射光の制御を行う。また、背景光計測ブロック73は、分割領域F1における背景光強度分布を生成し、平滑化処理ブロック74は、当該背景光強度分布を平滑化することで、平滑化済み背景光強度分布「B4」を生成する。平滑化処理ブロック74は、生成した平滑化済み背景光強度分布B4をメモリに記憶する。この場合、平滑化処理ブロック74は、同じ分割領域F1に対して前回生成した平滑化済み背景光強度分布B1をメモリから削除するとよい。また、反射光計測ブロック72は、分割領域F2での反射光強度分布「R4」及び分割領域F3での反射光強度分布「R5」を生成する。
【0046】
また、減算ブロック75は、第4フレームで得られた分割領域F2での反射光強度分布R4及び分割領域F3での反射光強度分布R5を、夫々、同領域における平滑化済み背景光強度分布B2及び平滑化済み背景光強度分布B3により減算する(即ち、「R4-B2」と「R5-B3」とを行う)。これにより、減算ブロック75は、分割領域F2と分割領域F3とにおける補正済み反射光強度分布を生成し、生成した補正済み反射光強度分布を点群情報生成ブロック76へ供給する。
【0047】
同様に、第5フレームでは、送信駆動ブロック70は、分割領域F2を背景光計測領域とし、分割領域F1及び分割領域F3を反射光計測領域とするように、送信部1における照射光の制御を行う。また、背景光計測ブロック73は、分割領域F2における背景光強度分布を生成し、平滑化処理ブロック74は、当該背景光強度分布を平滑化することで、平滑化済み背景光強度分布を生成する。平滑化処理ブロック74は、生成した平滑化済み背景光強度分布をメモリに記憶する。この場合、平滑化処理ブロック74は、同じ分割領域F2に対して前回生成した平滑化済み背景光強度分布B2をメモリから削除するとよい。また、反射光計測ブロック72は、分割領域F1での反射光強度分布「R6」及び分割領域F3での反射光強度分布「R7」を生成する。
【0048】
また、減算ブロック75は、第5フレームで得られた分割領域F1での反射光強度分布R6及び分割領域F3での反射光強度分布R7を、夫々、同領域における平滑化済み背景光強度分布B4及び平滑化済み背景光強度分布B3により減算する(即ち、「R6-B4」と「R7-B3」を行う)。これにより、減算ブロック75は、分割領域F1と分割領域F3とにおける補正済み反射光強度分布を生成し、生成した補正済み反射光強度分布を点群情報生成ブロック76へ供給する。
【0049】
ここで、
図3の処理について補足説明する。継続的背景光は、数フレームの間に大きく変化することは少ないという考えに基づき、制御部7は、対象のフレーム(「第Mフレーム」とする)で背景光計測領域とした分割領域(「第N分割領域」とする)の背景光強度を平滑化して平滑化済み背景光強度分布を生成し、これを、第M+1フレーム、および第M+2フレームにおいて適用する。そして、制御部7は、第M+1フレーム、および第M+2フレームで測定した第N分割領域の反射光強度分布から、同分割領域における平滑化済み背景光強度分布を減算する。このように取得された、第N分割領域の補正済み反射光強度分布は、順次、点群情報生成ブロック76に出力される。そして、
図2及び
図3の例のように走査領域を3分割した場合には、1フレーム中において3つの分割領域F1~F3のうちの2つの分割領域において、最新の反射光強度の計測結果を反映した補正済み反射光強度分布及び点群情報が得られる。よって、例えば、運転支援装置が点群情報に基づき障害物検知などを行う場合に、走査領域の分割を行わず、フレーム毎に背景光計測領域と反射光計測領域を切り替える場合と比較して、運転支援装置は、ライダ100から供給される点群情報に基づき、歩行者の飛び出しなどをいち早く検出することが可能となる。
【0050】
なお、
図2及び
図3では、走査領域を3分割する例を代表例として示したが、走査領域の分割数はこれに限定されず、任意の分割数(例えば1~4)であってもよい。
【0051】
次に、平滑化処理ブロック74が実行する平滑化処理について説明する。ここでは、一例として、対象の計測点の値(強度)を周辺の計測点の値の中央値に置き換えるメディアンフィルタによる平滑化処理について説明する。
【0052】
図4(A)は、背景光計測領域内において背景光が計測される計測点を明示した図である。
図4(A)では、計測される計測点の順序を矢印により示している。平滑化処理ブロック74は、背景光計測領域となる分割領域内の各計測点の背景光強度が検出信号S2に基づき得られた場合、背景光計測領域となる分割領域内の計測点の各々を、順に処理対象の計測点として定める。そして、平滑化処理ブロック74は、処理対象の計測点の値を、その周辺の計測点の値の中央値に値を置き換える処理を行う。例えば、平滑化処理ブロック74は、計測点Ptagを処理対象とする場合、計測点Ptagの周辺を囲む破線枠10内の各計測点の強度を参照して上述の置換処理を行う。
【0053】
図4(B)は、
図4(A)に示す計測点Ptagの周辺の計測点での背景光強度分布を示した図である。
図4(C)は、計測点Ptagでの背景光強度を周辺の計測点の背景光強度に基づき置き換えた後の各計測点での背景光強度分布を示した図である。
【0054】
図4(B)に示すように、計測点Ptagは、背景光ノイズに起因して、周辺の計測点の強度に比べて高い値となっている。これに対し、
図4(C)に示すように、平滑化処理ブロック74は、計測点Ptagの値を、計測点Ptagを含む9個の計測点での背景光強度の中間値である「20」に置き換える。これにより、平滑化処理ブロック74は、計測点Ptagに発生した背景光ノイズを好適に除去することができる。
【0055】
そして、平滑化処理ブロック74は、
図4(B)及び
図4(C)に示す置換処理を、処理対象となる計測点を順次変えながら繰り返す。一般に、ショットノイズ、熱雑音、他のライダの照射光などに起因して発生する背景光ノイズは、ランダムな位置にスポット的に発生する確率が高い。従って、平滑化処理ブロック74は、上述の処理により、背景光計測領域内における背景光ノイズを好適に除去することができる。
【0056】
なお、平滑化処理ブロック74は、平滑化処理として、メディアンフィルタに代えて、ガウンシアンフィルタ、移動平均フィルタなどの画像ノイズを除去するために用いられる各種フィルタを使用してもよい。
【0057】
次に、減算ブロック75が実行する処理の具体例について説明する。
【0058】
図5(A)は、ある計測点において計測された反射光強度の時間波形を示す。
図5(B)は、対象の計測点に対応する平滑化済み背景光強度の時間波形を示す。
図5(C)は、対象の計測点における補正済み反射光強度の時間波形を示す。
【0059】
図5(A)に示すように、計測点毎の反射光強度は、最大測距距離に応じた時間長における時間波形により表される。そして、減算ブロック75は、
図5(B)に示すように、背景光強度を、反射光強度を計測する期間において一定(時間不変)であるとみなす。そして、減算ブロック75は、
図5(A)に示す反射光強度の時間波形に対し、
図5(B)に示す反射光強度の時間波形を減算することで、
図5(C)に示す補正済み反射光強度の時間波形を算出する。この場合、減算ブロック75は、継続的背景光の成分を好適に除去した補正済み反射光強度の時間波形を取得することができる。この場合、
図5(C)に示すように、補正済み反射光強度の時間波形は、反射光を受光した際に計測されるピーク位置(破線円90参照)以外の時間帯では0付近となる。よって、この場合、点群情報生成ブロック76は、補正済み反射光強度に対する閾値判定により、反射光の受光タイミングを的確に把握し、照射光が照射された物体の距離を的確に算出することができる。
【0060】
減算ブロック75は、反射光強度を計測する分割領域内の各計測点に対して
図5(A)~
図5(C)に示す処理を実行することで、対象の分割領域における補正済み反射光強度分布を生成する。そして、点群情報生成ブロック76は、生成された補正済み反射光強度分布から、対象の分割領域に対応する点群情報を生成する。
【0061】
図6は、第1生成方法に基づく補正済み反射光強度分布の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
まず、制御部7の背景光計測ブロック73は、背景光計測領域とする走査領域内の分割領域において背景光強度を計測することで、背景光強度分布を生成する(ステップS11)。このとき、送信駆動ブロック70は、対象の分割領域の計測期間では送信部1による照射光の射出を停止する。そして、平滑化処理ブロック74は、背景光強度分布に対して平滑化処理を適用することで、平滑化済み背景光強度分布を生成し、生成した平滑化済み背景光強度分布をメモリに記憶する(ステップS12)。
【0063】
また、反射光計測ブロック72は、背景光強度を計測した分割領域以外の走査領域(即ち反射光計測領域)において、送信部1から射出された照射光に対応する反射光の強度を計測する(ステップS13)。これにより、反射光計測ブロック72は、反射光計測領域における反射光強度分布を取得する。なお、ステップS13の処理は、ステップS11及びステップS12の処理より先に行われてもよい。
【0064】
そして、減算ブロック75は、反射光計測領域における反射光強度分布に対し、異なるフレームの同一領域で得られた平滑化済み背景光強度分布を減算することで、補正済み反射光強度分布を生成する(ステップS14)。この場合、減算ブロック75は、反射光計測領域における計測点毎に、反射光強度の時間波形から平滑化済み背景光強度の時間波形を減算することで、補正済み反射光強度分布を生成する。
【0065】
点群情報生成ブロック76は、反射光計測領域における補正済み反射光強度分布から、計測点毎に飛行時間を算出し、算出した飛行時間に応じた物体までの距離と方向を表す点群情報を生成する。そして、出力ブロック77は、反射光計測領域に対して生成された点群情報を、運転支援装置に出力する(ステップS15)。
【0066】
そして、制御部7は、走査を停止すべきか否か判定する(ステップS16)。例えば、制御部7は、走査を停止すべき信号を運転支援装置から受信した場合に、走査を停止すべきと判定する。そして、制御部7は、走査を停止すべきと判定した場合(ステップS16;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、制御部7は、走査を停止すべきでないと判定した場合(ステップS16;No)、背景光計測領域とする分割領域をシフトさせる(ステップS17)。そして、制御部7は、ステップS11に処理を戻す。
【0067】
(2)第2生成方法
第2生成方法は、同一フレームにおいて、同一領域に対して背景光強度の計測と反射光強度の計測との両方を行う計測方法を採用した補正済み反射光強度分布の生成方法である。
【0068】
図7(A)は、走査領域内のある分割領域における背景光の計測点と反射光の計測点とをそれぞれ示した図である。
図7(A)では、背景光の計測点を「○」により示し、反射光の計測点を「●」により示している。
図7(B)は、背景光の計測タイミング、照射光の射出タイミング、及び反射光の計測期間を時系列により示した図である。
【0069】
図7(A)、(B)に示すように、制御部7は、各計測点において、背景光の計測タイミングを反射光の計測タイミングの直前に設定する。具体的には、制御部7は、
図7(B)に示すように、背景光の計測後に照射光の射出を行い、当該照射光に対応する反射光の計測(受光)期間を設け、これを照射光の射出方向を変えながら繰り返す。
【0070】
そして、制御部7の平滑化処理ブロック74は、走査中の分割領域の走査が終わる毎に、当該分割領域における背景光強度分布の平滑化を行う。そして、減算ブロック75は、対象の分割領域における反射光強度分布を、平滑化処理ブロック74が算出した平滑化済み背景光強度分布により減算することで、補正済み反射光強度分布を生成する。その後、点群情報生成ブロック76は、補正済み反射光強度分布から対象の分割領域に対応する点群情報を生成し、出力ブロック77は、対象の分割領域内の計測点に対応する点群情報を出力する。なお、走査領域を分割する分割数は、1以上の任意の数であってもよい。
【0071】
このように、第2生成方法によれば、ライダ100は、走査領域内において走査対象となっている分割領域の走査が完了する毎に、対象の分割領域に対応する点群情報を出力する。この場合、ライダ100は、第1生成方法と異なり、フレーム毎に、全ての走査領域における点群情報を好適に生成することができる。即ち、第1生成方法では、背景光強度を計測した分割領域では反射光強度を計測することができないため、当該分割領域の点群情報は次のフレームにおいて生成される。これに対し、第2生成方法では、全ての分割領域に対応する点群情報が毎フレームにおいて好適に生成される。また、第2生成方法によれば、反射光強度の計測の直前に背景光強度の計測を行うため、より反射光強度の計測タイミングに近いタイミングで計測された背景光強度に基づいて、補正済み反射光強度分布を生成することができる。
【0072】
なお、
図6及び
図7の例では、制御部7は、背景光強度の計測後に反射光強度の計測を行ったが、これに代えて、反射光強度の計測後に背景光強度の計測を行ってもよい。
【0073】
図8は、第2生成方法に基づく補正済み反射光強度分布の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0074】
まず、制御部7の反射光計測ブロック72と背景光計測ブロック73は、計測点毎に、背景光強度と反射光強度とを続けて計測する(ステップS21)。そして、制御部7は、走査対象となっている分割領域内におけるステップS21の計測が完了したか否か判定する(ステップS22)。そして、制御部7は、対象の分割領域内におけるステップS21の計測が完了していない場合(ステップS22;No)、引き続きステップS21の処理を実行する。
【0075】
一方、対象の分割領域内におけるステップS21の計測が完了した場合(ステップS22;Yes)、平滑化処理ブロック74は、対象の分割領域内の背景光強度分布を平滑化することで、平滑化済み背景光強度分布を生成する(ステップS23)。そして、減算ブロック75は、対象の分割領域内の反射光強度分布から平滑化済み背景光強度分布を減算する(ステップS24)。この場合、減算ブロック75は、ステップS21で背景光強度を計測した計測点を、背景光強度と連続して計測した反射光強度の計測点と同一点とみなし、計測点毎に、反射光強度の時間波形に対して時間不変の平滑化済み背景光強度を減算する。これにより、減算ブロック75は、補正済み反射光強度分布を生成する。
【0076】
点群情報生成ブロック76は、反射光計測領域における補正済み反射光強度分布から、計測点毎に飛行時間を算出し、算出した飛行時間に応じた物体までの距離と方向を表す点群情報を生成する。そして、出力ブロック77は、反射光計測領域に対して生成された点群情報を、運転支援装置に出力する(ステップS25)。
【0077】
そして、制御部7は、走査を停止すべきか否か判定する(ステップS26)。例えば、制御部7は、走査を停止すべき信号を運転支援装置から受信した場合に、走査を停止すべきと判定する。そして、制御部7は、走査を停止すべきと判定した場合(ステップS26;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、制御部7は、走査を停止すべきでないと判定した場合(ステップS26;No)、対象の分割領域を走査領域内でシフトさせる(ステップS27)。そして、制御部7は、ステップS21に処理を戻す。
【0078】
以上説明したように、本実施例に係るライダ100の制御部7は、照射光を照射して走査領域内の反射光強度分布を計測し、照射光を照射せずに走査領域内の背景光強度分布を計測する。そして、制御部7は、背景光強度分布に対して平滑化処理を行い、平滑化済み背景光強度分布を生成する。そして、制御部7は、反射光強度分布から、平滑化済み背景光強度分布を減算する。これにより、制御部7は、複数フレームに渡って存在する継続的背景光の影響を好適に除外した反射光強度を算出することができる。
【0079】
例えば、車両の後部反射板は左右のペアで存在するために、遠方を走行する前方車両の後部反射板は一定の距離を隔てた2つの計測点でのみ物体として検出される場合がある。この場合、2つの計測点の間の距離が車幅相当の距離であれば、該2つの計測点が車両の後部反射板を示す可能性が高いと判定できるように、例え1つの計測点でのみ計測される反射光であっても重要な情報を含んでいる可能性がある。この点において、本発明では、反射光の測定データを除去することなく、ノイズを除去した背景光の測定データを減算することで、反射光の測定データの精度を高めることを可能する。すなわち、本発明によれば、反射光のデータを除去することなく有効に活用することが可能な計測装置を提供することができる。