(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181421
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】水型又は水中油型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20231214BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q17/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187471
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2018229841の分割
【原出願日】2018-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100137512
【弁理士】
【氏名又は名称】奥原 康司
(72)【発明者】
【氏名】西田 百合香
(72)【発明者】
【氏名】石田 昂
(72)【発明者】
【氏名】山口 和弘
(57)【要約】
【課題】みずみずしい使用感触と高い紫外線防御力とを備えた水型又は水中油型化粧料を提供する。
【解決手段】
本発明に係る水型又は水中油型化粧料は、(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が160ml/100g以下である多孔質球状粉末と、(B)紫外線吸収剤とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が160ml/100g以下である多孔質球状粉末と、
(B)紫外線吸収剤と
を含む、水型又は水中油型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水型又は水中油型化粧料に関する。さらに詳しくは、所定の平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状粉末を配合することにより、紫外線吸収剤を高配合しなくても高い紫外線防御力を達成する水型又は水中油型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
水型又は水中油型化粧料は、肌に塗布した際に爽やかでみずみずしい感触が得られることから、肌に直接適用される皮膚化粧料等の皮膚外用剤の基剤として広く用いられている。なかでも、スキンケア、ボディケアにおいて紫外線から皮膚を保護することが日常的に行われるようになり、そのようなUVケア化粧料において水型又は水中油型化粧料を基剤とするものの重要性が増している。
【0003】
一般的な日焼け止め化粧料に配合される紫外線吸収剤は、紫外線吸収力、取り扱いやすさ、コスト等の面から油溶性のものが多い。しかし、油溶性紫外線吸収剤はべたつきを生じるため、水型又は水中油型化粧料に高配合すると折角のさっぱりとしたみずみずしい感触が損なわれてしまう。このため、水型又は水中油型化粧料に油溶性紫外線吸収剤を高配合することは難しい。
【0004】
そこで、水型又は水中油型化粧料のみずみずしさを維持する観点から、油溶性紫外線吸収剤を高配合する代わりに、水溶性紫外線吸収剤を配合することが行われている。しかし、一般に、水溶性紫外線吸収剤は油溶性のものに比べて紫外線防御力に劣るため、水溶性紫外線吸収剤を高配合しても十分な紫外線防御力を達成することは難しい。また、水溶性紫外線吸収剤を配合する場合、それと共に配合される塩(中和塩)の影響により化粧料の安定性が低下してしまう問題がある。このため、水溶性紫外線吸収剤を高配合することも避けるのが好ましい。
【0005】
このような事情により、水型又は水中油型化粧料において紫外線防御力を向上させる種々の試みがなされている。
例えば、特許文献1には、脂肪酸PEGグリセリル系界面活性剤、水添ヒマシ油系界面活性剤、PEG・PPGアルキルエーテル系界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上の親水性非イオン性界面活性剤を配合することにより、水溶性紫外線吸収剤を安定に配合可能にして、紫外線防御力の改善を図ることが提案されている。
また、特許文献2には、特定のオルガノシロキサン誘導体と、ステアリン酸ポリエチレングリコールと、高級アルコールとを特定の割合にて配合することにより、紫外線吸収剤を安定性および使用感を損なうことなく高配合できる水中油型乳化日焼け止め化粧料が提案されている。
【0006】
しかし、化粧料の安定性等に与える影響を根本から改善するためには、紫外線吸収剤そのものの配合量を少量に抑えることが望ましい。さらに、近年では紫外線吸収剤による環境への負荷が問題とされており、より少ない紫外線吸収剤で、より高い紫外線防御力を達成する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-162930号公報
【特許文献2】特開2013-121947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、みずみずしい使用感触と高い紫外線防御力とを備えた水型又は水中油型化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状粉末を配合することにより、紫外線防御力が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、単に紫外線吸収剤の配合量を増大させることによって紫外線防御効果を高めるという従来の方法とは根本的に異なる発明であり、所定の平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状粉末が、紫外線防御力の向上剤又は増幅剤として機能することを見出したことに基づく発明である。
【0010】
かくして、本発明は、
(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が160ml/100g以下である多孔質球状粉末と、
(B)紫外線吸収剤と
を含む、水型又は水中油型化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成とすることにより、紫外線吸収剤を高配合しなくても高い紫外線防御効果を得ることができる。このため、水型又は水中油型化粧料が有する本来のみずみずしい使用感触を損なうことなく、少量の紫外線吸収剤で十分な紫外線防御効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の通り、本発明の水型又は水中油型化粧料は、(A)多孔質球状粉末及び(B)紫外線吸収剤を含むことを特徴としている。以下、本発明の化粧料を構成する各成分について詳述する。
【0013】
<(A)多孔質球状粉末>
本発明に係る化粧料に配合される(A)多孔質球状粉末(以下、単に「(A)成分」と称する場合がある)は、所定の平均粒子径及び吸油量を有する。
【0014】
(A)多孔質球状粉末の平均粒子径は、1~4μmであり、より好ましくは1.5~4μmである。平均粒子径が1μm未満では取り扱い性が悪くなる傾向があり、4μmを超えると高い紫外線防御力向上効果が得られないほか、粒子感が生じて使用性が悪くなる傾向がある。
なお、本発明における平均粒子径は、粉末0.05gをエタノール溶媒20g中に添加後、超音波ホモジナイザー(US-150T;日本精機製作所製)を用いて1分間超音波分散を行い、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(MT3300EXII;マイクロトラック・ベル製)を用いて体積平均粒子径(D50)として測定した値である。
【0015】
(A)多孔質球状粉末の吸油量は、JIS K5101-13-2(煮あまに油法)に従って測定した吸油量が、160ml/100g以下であり、より好ましくは50~160ml/100g、さらに好ましくは60~160ml/100gである。吸油量が上記範囲内であれば、紫外線防御効果を十分に向上させることができる。
【0016】
(A)多孔質球状粉末の形状は球状であり、特に真球状が好ましい。(A)成分の形状が真球状に近いほど、皮膚上に均一な厚みで化粧料の塗膜を形成することができ、これにより高い紫外線防御力向上効果を達成することができる。
本発明において真球状とは、いずれの方向から投影して見た場合にも概略真円状を示すものであって、粒子径の最小値が最大値の80%以上、より好ましくは90%以上であることを意味する。
【0017】
(A)多孔質球状粉末を構成する材質は特に限定されず、シリカ(無水ケイ酸)、セルロース等を挙げることができるが、なかでもシリカが好ましい。
(A)多孔質球状粉末として使用できるシリカ粉末の市販品としては、例えば、ゴッドボールE-6C、ゴッドボールB-6C(以上、鈴木油脂工業株式会社)、シリカマイクロビードP-500(日揮触媒化成株式会社)、サンスフェアL-31(AGC エスアイテック株式会社)等が挙げられる。
【0018】
(A)多孔質球状粉末は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。(A)成分の配合量は、水型又は水中油型化粧料全量に対して、1~5質量%が好ましく、2~4質量%がより好ましい。(A)成分の配合量が1質量%未満では(A)成分による紫外線防御力向上効果を十分に発揮できない傾向があり、5質量%を超えて配合すると使用性が悪くなる場合がある。
【0019】
<(B)紫外線吸収剤>
本発明に係る化粧料に配合される(B)紫外線吸収剤(以下、単に「(B)成分」と称する場合がある)は、日焼け止め化粧料に通常配合される水溶性紫外線吸収剤及び/又は油溶性紫外線吸収剤を使用することができる。
【0020】
水溶性紫外線吸収剤としては、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸塩、4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、フェニレン-1,4-ビス(2-ベンズイミダジル)-3,3’-5,5’-テトラスルホン酸ビス-ナトリウム塩、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸を挙げることができる。
【0021】
油溶性紫外線吸収剤としては、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、4-tert-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンを挙げることができる。
【0022】
(B)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、水溶性紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤からそれぞれ1種以上を組み合わせて用いることにより、より高い紫外線防御力を達成することができる。
【0023】
(B)成分の配合量は、水型又は水中油型化粧料全量に対して、6~40質量%が好ましく、より好ましくは8~35質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。(B)成分の配合量が6質量%未満では十分な紫外線防御効果が得られにくく、40質量%を超えて配合しても配合量に見合った紫外線防御効果の増加を期待できず、安定性が悪くなるなどの点から好ましくない。
【0024】
本発明の水型又は水中油型化粧料には、上記必須成分以外に、化粧料に通常用いられる成分、例えば、油分、水、アルコール類、界面活性剤、油性活性剤、水性活性剤、増粘剤、保湿剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤等を必要に応じて適宜配合してよい。
【0025】
<増粘剤>
特に、増粘剤を配合することにより、皮膚上に十分な厚みの化粧料の塗膜を形成することができ、さらに高い紫外線防御力向上効果を達成することができる。
増粘剤としては、化粧品に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば天然の水溶性高分子、半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子等といった各種の親水性増粘剤が好ましい。
【0026】
天然の水溶性高分子としては、例えばアラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。
【0027】
半合成の水溶性高分子としては、例えばカルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
【0028】
合成の水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール(分子量 1500、4000、6000)等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0029】
増粘剤の中でも特に好ましくは、アクリル系高分子、キサンタンガム、アルキル変性セルロースなどであり、これらの2種以上を組み合わせて配合することがより好ましい。
【0030】
増粘剤を配合する場合、水型又は水中油型化粧料全量に対して、0.01~5質量%が好ましく、より好ましくは0.1~3質量%である。増粘剤の配合量が0.01質量%未満であると、増粘剤の効果が十分に発揮されない場合があり、5質量%を超えて配合すると、塗布時に重い感触を生じる場合がある。
【0031】
本発明の水型又は水中油型化粧料は、従来から使用されている方法に準じて製造することができ、日焼け止めクリーム、日焼け止め乳液、日焼け止めローションなどの他、日焼け止め効果を付与した化粧水等としても使用できる。
【0032】
上述したように、本発明は、所定の平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状粉末が、紫外線防御力の向上剤又は増幅剤として機能することを見出したことに基づいている。
従って、本発明は、別の態様として、(A)多孔質球状粉末を配合することにより、(B)紫外線吸収剤を含む水型又は水中油型化粧料の紫外線防御力を向上させる方法を含む。
【実施例0033】
以下に具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。各実施例について具体的に説明する前に、採用した評価方法について説明する。
【0034】
<吸光度(Abs)積算値の測定>
測定プレート(Sプレート)(5×5cmのV溝PMMA板、SPFMASTER-PA01)に各例の化粧料(サンプル)を2mg/cm2の量で滴下し、60秒間指で塗布し、15分間乾燥した後に、形成された塗膜の吸光度を株式会社日立製作所社製U-3500型自記録分光光度計にて測定した。無塗布のプレートをコントロールとし、吸光度(Abs)を以下の式で算出し、280nm~400nmにおける測定値を積算し、吸光度積算値を求めた。
Abs=-log(T/To)
T:サンプルの透過率、To:無塗布の透過率
【0035】
求めたサンプルの吸光度積算値から、粉末を配合しないサンプル(比較例1)を基準とする紫外線防御力の向上率を以下の式により算出した。
[紫外線防御力の向上率(%)]=[サンプルの吸光度積算値]/[比較例1の吸光度積算値]×100
算出した紫外線防御力の向上率を、以下の評価点基準に当てはめて判定した。
「評価基準」
A:紫外線防御力の向上率が170%以上
B:紫外線防御力の向上率が140~170%
C:紫外線防御力の向上率が105~140%
D:紫外線防御力の向上率が105%未満
【0036】
<使用性>
実施例及び比較例の各サンプルを、10名の専門パネルに実際に使用してもらい、使用性(べたつきのなさ、みずみずしさ)について評価した。下記評価点基準に従って各パネルに5段階官能評価してもらい、その合計点により下記評価基準に基づいて判定した。
「評価点基準」
5:非常に優れている
4:優れている
3:普通
2:劣る
1:非常に劣る
「評価基準」
A:合計点が40点以上
B:合計点が30~39点
C:合計点が20~29点
D:合計点が19点以下
【0037】
<安定性(ローリング試験)>
円筒型の容器に実施例及び比較例の各サンプルを充填し、室温にて速度45rpmで4時間回転させてローリング試験を行い、目視で粉体の凝集度合いを観察した。
「評価基準」
A:粉体の凝集はみられなかった。
B:粉体の凝集がみられたが、攪拌により均一な状態に戻った。
C:粉体の凝集がみられ、攪拌しても均一にならなかった。
【0038】
(実施例1~4及び比較例1~17)
以下の表1a及び表1bに記載の組成を有する水中油型化粧料を、油相成分を溶解混合して得られた油相に、水相成分を粉末成分等とともに混合して得られた水相を添加して、攪拌処理にて乳化することにより調製した。上記評価方法に従って、吸光度(Abs)積算値を測定し、紫外線防御力の向上効果、使用性、安定性を評価した。
【0039】
【0040】
【0041】
*1:PEMULEN TR-2(Lubrizol Advanced Materials社)((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー含有量:1%)
*2:カーボポール 981(Lubrizol Advanced Materials社)(カルボマー含有量:1%)
*3:ケルトロール(ケルコ社)
*4:エマレックス GWIS-160N(日本エマルジョン社)
*5:TSポリマー 50-IP(東レダウコーニングシリコーン社)
*6:一般式 H[OCH(CH3)CH2]nOH(平均分子量 : 約1000)
*7:シリコーンKF-96A-6T(信越化学工業株式会社)
【0042】
上記表1a及び1bに示すように、平均粒子径1~4μm、吸油量が160ml/100g以下である多孔質球状粉末を配合することにより、吸光度(Abs)積算値が著しく高く、紫外線防御力の向上効果に優れることが確認された(実施例1~4)。
一方、平均粒子径又は吸油量が上記数値範囲を満たさない場合や、粒子形状が球形でない場合には、紫外線防御力の向上は僅かであった(比較例1~17)。
【0043】
以下に、本発明の化粧料の処方を例示する。本発明はこれらの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。なお、配合量は全て化粧料全量に対する質量%で表す。
【0044】
処方例1:BBクリーム
(成分名) 配合量(質量%)
精製水 残余
エタノール 8
EDTA-2Na・H2O 0.05
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.01
(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.3
セルロースガム 0.2
グリセリン 2
ブチレングリコール 5
ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル
1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100モル) 1
ポリオキシエチレン(8モル)ベヘニルエーテル 1
ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.1
ステアリルアルコール 0.5
ベヘニルアルコール 0.5
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10
エチルヘキシルトリアジン 1
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
1
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
1
イソドデカン 10
カプリリルメチコン 5
N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)
0.5
(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン 0.5
オクチルトリエトキシシラン処理微粒子酸化亜鉛(粒子径25nm)
8
顔料級アルミナ処理酸化チタン 4
オクチルトリエトキシシラン処理酸化鉄赤 適量
オクチルトリエトキシシラン処理酸化鉄黄 適量
オクチルトリエトキシシラン処理酸化鉄黒 適量
イソステアリン酸 0.5
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
香料 適量
多孔質シリカ粉末(平均粒子径3.7μm、吸油量120ml/100g)
3
【0045】
本発明は以下の態様を包含する。
[第1項]
(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が160ml/100g以下である多孔質球状粉末と、
(B)紫外線吸収剤と
を含む、水型又は水中油型化粧料。
[第2項]
(A)多孔質球状粉末が真球状である、第1項に記載の水型又は水中油型化粧料。
[第3項]
(A)多孔質球状粉末がシリカからなる、第1項又は第2項に記載の水型又は水中油型化粧料。
[第4項]
(A)多孔質球状粉末の配合量が1~5質量%である、第1項~第3項のいずれか一項に記載の水型又は水中油型化粧料。
[第5項]
(B)紫外線吸収剤が水溶性紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤をそれぞれ1種以上含む、第1項~第4項のいずれか一項に記載の水型又は水中油型化粧料。
[第6項]
増粘剤をさらに含む、第1項~第5項のいずれか一項に記載の水型又は水中油型化粧料。
[第7項]
(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が160ml/100g以下である多孔質球状粉末を配合することにより、(B)紫外線吸収剤を含む水型又は水中油型化粧料の紫外線防御力を向上させる方法。