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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181434
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G03G21/18 121
G03G21/18 185
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187622
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2023006492の分割
【原出願日】2018-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗次 広幸
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 良太
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 剛史
(57)【要約】
【課題】メモリ部に作用する力によるプロセスカートリッジの変形を抑制し、感光体ドラムに対する現像ローラの押圧力の安定化を図ること。
【解決手段】装置本体Aに対して着脱可能に装着されるカートリッジBは、感光体ドラム62と、装置本体Aに位置決めするための被位置決め部71d及び被回転止め部71fと、を備えたクリーニングユニット60と、現像ローラ32と、装置本体Aと通信するために装置本体Aの本体接点12と電気的に接続する接点面24aを有するメモリタグ24と、を備え、クリーニングユニット60に結合する現像ユニット20と、を有する。感光体ドラム62の軸線方向から見て、第1線分X1と第2直線X2とが交差する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
感光体ドラムと、前記装置本体に位置決めするための第1位置決め部及び第2位置決め部と、を備えた感光体ドラムユニットと、
現像ローラと、前記装置本体と通信するために前記装置本体の本体接点と電気的に接続する接点面を有する記憶手段と、を備え、前記感光体ドラムユニットに結合する現像ユニットと、
を有し、
前記感光体ドラムの軸線方向から見て、前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とを結ぶ第1の線分と、前記接点面を通ると共に前記接点面に直交する第1の直線と、が交差する、
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記軸線方向から見て、前記記憶手段と、前記感光体ドラムユニットと前記現像ユニットとの結合部と、を結ぶ第2の線分と、前記第1の線分と、が交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記軸線方向から見て、前記第1の直線に平行な前記感光体ドラムユニットと前記現像ユニットとの結合部を通る第2の直線と、前記第1の線分と、が交差する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記軸線方向から見て、前記感光体ドラムの中心と前記現像ローラの中心とを通る第3の直線と、前記第1の線分と、前記第1の直線と、によって囲まれた三角形における前記3の直線と前記第1の直線との2辺のなす角度が鋭角である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記現像ローラは、
前記感光体ドラムに対して接離可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記第1位置決め部は、
前記装置本体に設けられる第1ガイドレールに案内され、
前記第2位置決め部は、
前記装置本体に設けられる第2ガイドレールに案内され、
前記第1位置決め部が前記第1ガイドレールに当接し、前記第2位置決め部が前記第2ガイドレールに当接することで、前記装置本体内で画像形成装置に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の装置本体に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置には、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ又はレーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
このような画像形成装置は、一般に、トナー補給や各種のプロセス手段のメンテナンスを必要とする。これに対して、感光体ドラムと、この感光体ドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一つと、を枠体内にまとめて一体的にカートリッジ化したプロセスカートリッジが実用化されている。このようなプロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能に装着することにより、トナー補給やメンテナンスを容易にすることができる。
【0004】
このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスの一部を、アフターサービスを担当するサービスパーソンに頼ることなく、ユーザー自身で行うことができる。このようなプロセスカートリッジ又はこのプロセスカートリッジを装着された画像形成装置は、メンテナンスを容易にすることができると共に、印刷品質を容易に向上させることができる。このように、プロセスカートリッジ方式は、格段に装置の操作性を向上させることができ、ユーザビリティーに優れた画像形成装置を提供することができるため、画像形成装置において広く用いられている。
【0005】
従来、プロセスカートリッジにおいては、感光体ドラムに現像ローラを近接させた状態で、感光体ドラム上の静電潜像を現像する。感光体ドラムに現像ローラを近接させる手段としては、感光体ドラムを備えたドラムユニットに対して、現像ローラを備えた現像ユニットを回動可能に結合し、感光体ドラムと現像ローラとを接離可能にした構成が知られている。この構成により、現像ローラを感光体ドラムに接触する方向に押圧することで、感光体ドラムと現像ローラとを近接した状態に維持することができる。
【0006】
また、プロセスカートリッジには、サービス情報や印刷品質情報等を登録した記憶手段又は記憶素子等のメモリを内蔵したものがある。また、メモリは、プロセスカートリッジが画像形成装置に装着された状態において、画像形成装置側の電気接点部と一定圧で接触することで、通信可能となる。例えば、特許文献1は、現像ユニットにメモリを備えたカートリッジを開示している。
【0007】
ここで、現像ローラは、安定した画質を提供する現像性を実現するために、感光体ドラムに対して、一定距離の近接状態を保っていることが望ましい。すなわち、感光体ドラムに対する現像ローラの接触圧を安定化することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-099403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のプロセスカートリッジにおいては、メモリに作用する一定圧によって、プロセスカートリッジの画像形成装置に対する被位置決め部、又はドラムユニットと現像ユニットの結合部が変形する場合がある。この被位置決め部又は結合部が変形した場合には、感光体ドラムに対する現像ローラの位置が変化するため、感光体ドラムに対する現像ローラの接触圧が変化する。従来のプロセスカートリッジにおいては、このような接触圧の変化を抑制するために、実質的に問題のない変形の大きさになるように高剛性の材質を用いた部品で構成するか、又は接触圧に関係する部品の寸法を高精度に管理すること等が必要になる。
【0010】
本発明の目的は、メモリ部に作用する力によるプロセスカートリッジの変形を抑制し、感光体ドラムに対する現像ローラの押圧力の安定化を図ることができるプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、感光体ドラムと、前記装置本体に位置決めするための第1位置決め部及び第2位置決め部と、を備えた感光体ドラムユニットと、現像ローラと、前記装置本体と通信するために前記装置本体の本体接点と電気的に接続する接点面を有する記憶手段と、を備え、前記感光体ドラムユニットに結合する現像ユニットと、を有し、前記感光体ドラムの軸線方向から見て、前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とを結ぶ第1の線分と、前記接点面を通ると共に前記接点面に直交する第1の直線と、が交差する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メモリ部に作用する力によるプロセスカートリッジの変形を抑制し、感光体ドラムに対する現像ローラの押圧力の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る画像形成装置の模式図である。
図2】実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジの側面図である。
図3】実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジの断面図である。
図4】実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジの駆動側から見た分解斜視図である。
図5】実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジの非駆動側から見た分解斜視図である。
図6】実施の形態に係る画像形成装置の開閉扉が開いた状態の模式図である。
図7】実施の形態に係る画像形成装置の開閉扉が閉じた状態の模式図である。
図8】実施の形態に係る画像形成装置の駆動部の斜視図である。
図9】実施の形態に係る画像形成装置のメモリタグ及びその周辺の斜視図である。
図10】実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジの結合部とメモリタグとの関係を示す側面図である。
図11】実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジの内力に着目した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<画像形成装置の構成>
実施の形態に係る画像形成装置の構成について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0016】
図1に示す画像形成装置は、電子写真画像形成装置であり、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした構成を有し、ここでは電子写真技術を利用したレーザビームプリンタを例示する。
【0017】
装置本体Aは、画像形成装置のカートリッジBを除いた部分である。装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10及び排出トレイ11等が順次配置されている。定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。装置本体Aには、画像形成対象となる記録媒体としてのシート材PAを収納したシートトレイ4がカートリッジBの下側に配置されている。
【0018】
カートリッジBは、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である感光体ドラム62に潜像を形成するためのレーザスキャナユニットである露光装置3を有している。
【0019】
<カートリッジの構成>
実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジBの構成について、図1から図8を参照しながら、詳細に説明する。なお、本実施の形態において、各部品を結合しているビスに関する記載及び説明を省略する。
【0020】
カートリッジBは、現像ユニット20と、クリーニングユニット60と、を備え、装置本体Aに対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジである。クリーニングユニット60と現像ユニット20とは、回動可能に結合して構成されている。
【0021】
ここで、カートリッジBの長手方向において、装置本体Aから感光体ドラム62が駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0022】
現像ユニット20は、現像容器23と、トナー室29と、現像ローラ32と、吹き出し防止シート33と、現像ブレード42と、を備えている。
【0023】
現像容器23は、現像ローラ32を支持している。
【0024】
トナー室29は、現像容器23と底部材22とによって形成されている。トナー室29には、撹拌部材43が設けられている。
【0025】
現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(図4参照)及び軸受部材27(図5参照)により、現像容器23に対して回転可能に取り付けられている。現像ローラ32内には、マグネットローラ34が設けられている。現像ローラ32には、間隔保持部材38が両端部に取り付けられている。現像ローラ32は、間隔保持部材38と感光体ドラム62とが当接することにより、感光体ドラム62との間に微少な隙間を有して現像容器23に取り付けられている。現像ローラ32は、感光体ドラム62に形成された潜像を現像するために、トナーTをその表面に担持する現像剤担持体である。
【0026】
吹き出し防止シート33は、現像ローラ32に当接するように底部材22の縁部に設けられており、現像ユニット20から外部にトナーが漏れることを防止している。
【0027】
現像ブレード42は、現像ローラ32上のトナー層を規制する。
【0028】
撹拌部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0029】
クリーニングユニット60は、感光体ドラム62を有する感光体ドラムユニットである。具体的には、クリーニングユニット60は、図3に示すように、感光体ドラム62と、スクイシート65と、帯電ローラ66と、クリーニング枠体71と、廃トナー室71bと、クリーニング部材77と、を備えている。
【0030】
感光体ドラム62は、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aに回転可能に支持されることにより、クリーニングユニット60に回転可能に保持されている。感光体ドラム62は、表面に潜像又はトナーで形成される像(トナー像又は現像剤像)を担持する像担持体である。
【0031】
スクイシート65は、感光体ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられており、クリーニング枠体71から廃トナーが外部に漏れることを防止している。
【0032】
帯電ローラ66は、感光体ドラム62の外周面に接触して配置されている。帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受67を介してクリーニングユニット60に対して回転可能に取り付けられている。帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68により感光体ドラム62に向けて加圧されることにより、感光体ドラム62に圧接して、感光体ドラム62の回転に従動回転する。
【0033】
クリーニング枠体71は、帯電ローラ66及びクリーニング部材77を支持している。クリーニング枠体71の長手方向は、カートリッジBの長手方向と同一方向であると共に、感光体ドラム62の回転軸線が延びる方向である軸線方向と略平行である。ここで、広義には、ドラム軸受73とクリーニング枠体71とを総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。
【0034】
廃トナー室71bは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77とによって形成されており、クリーニング部材77によって感光体ドラム62の表面から除去された廃トナーを溜める。
【0035】
クリーニング部材77は、感光体ドラム62の外周面に接触して配置されている。クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレード77aを支持する支持部材77bと、を備えている。
【0036】
ゴムブレード77aは、感光体ドラム62の回転方向に対してカウンター方向に感光体ドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、先端部が感光体ドラム62の回転方向の上流側を向くように感光体ドラム62に当接している。
【0037】
ここで、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7及びクリーニング部材77は、感光体ドラム62に作用するプロセス手段である。
【0038】
<メモリタグ及びその周辺の構成>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置のメモリタグ24及びその周辺の構成について、図9を参照しながら、詳細に説明する。
【0039】
カートリッジBには、図9(a)に示すように、装置本体Aと通信を行って情報を入出力する接点面24aを有する記憶手段としてのメモリタグ24が備えられている。メモリタグ24は、接点面24aが感光体ドラム62と略平行になるように非駆動側の軸受部材27に取り付けられている。
【0040】
カートリッジBには、メモリタグ24に隣接するガイド27c及び上ガイド27dが設けられている。ガイド27cは、軸受部材27の一部として形成されている。
【0041】
装置本体Aは、図9(b)に示すように、メモリタグ24の接点面24aと電気的に接続して通信する本体接点12と、本体接点12に隣接する被ガイド部14H及び被ガイド部14Lと、を有した通信コネクタ99を備えている。本体接点12と被ガイド部14H及び被ガイド部14Lとは、装置本体Aに対して一体的に所定量だけ移動可能である。
【0042】
<カートリッジの組立方法>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置のカートリッジBの組立方法について、詳細に説明する。
【0043】
まず、クリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心と、を合わせる。
【0044】
次に、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることにより、第1吊り穴71iに第1支持ボス26aが嵌合すると共に、第2吊り穴71jに現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結されると共に、感光体ドラム62に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。
【0045】
次に、ドラム軸受73をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0046】
このようにして組み立てたカートリッジBの非駆動側において、図5に示すように、クリーニング枠体71の穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、クリーニングユニット60を装置本体Aに回転可能に支持させる。
【0047】
また、カートリッジBにおいて、圧縮バネである駆動側付勢部材46L及び非駆動側付勢部材46Rは、バネの付勢力によって現像ユニット20をクリーニングユニット60に付勢する。これにより、現像ローラ32は、感光体ドラム62の方向へ確実に押し付けられる。また、感光体ドラム62と現像ローラ32とは、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38を介して所定の接触圧で接触することにより、所定の間隔をもって保持され、各々の相対位置が決まる。
【0048】
ここで、現像ローラ32の周面上に担持されたトナーTにより、感光体ドラム62上の静電潜像を安定して現像するために、感光体ドラム62と現像ローラ32との間隔は一定で精度良く保たれることが望ましい。言い換えると、感光体ドラム62と現像ローラ32とが間隔保持部材38を介して接触するときの接触圧が安定していることが望ましい。
【0049】
<画像形成方法>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置における画像形成方法について、詳細に説明する。
【0050】
感光体ドラム62は、プリントスタート信号に基づいて、矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0051】
次に、バイアス電圧が印加された帯電ローラ66は、感光体ドラム62の外周面に接触し、感光体ドラム62の外周面を一様及び均一に帯電する。
【0052】
また、露光装置3は、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。このレーザー光Lは、カートリッジBのクリーニング枠体71のレーザー開口71hを通り、感光体ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、感光体ドラム62の外周面には、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0053】
更に、現像ユニット20のトナー室29内のトナーTは、撹拌部材43の回転によって撹拌及び搬送されて、トナー供給室28に送り出され、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32の表面に担持されたトナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像ローラ32の周面上での層厚が規制される。現像ローラ32の表面に担持されたトナーTは、静電潜像に応じて感光体ドラム62へ供給される。これにより、潜像は、現像されてトナー像として可視像化される。
【0054】
ピックアップローラ5a及び給送ローラ対5bは、レーザー光Lの出力タイミングに合わせて、装置本体Aの下部のシートトレイ4に収納されているシート材PAをシートトレイ4から送り出す。
【0055】
シートトレイ4から送り出されたシート材PAは、転写ガイド6を経由して、感光体ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送され、感光体ドラム62からトナー像が順次転写されていく。
【0056】
トナー像が転写されたシート材PAは、感光体ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。
【0057】
次に、定着装置9に搬送されたシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過し、このニップ部で加圧及び加熱定着処理が行われてトナー像が定着する。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送されて、排出トレイ11に排出される。
【0058】
一方、転写後の感光体ドラム62は、クリーニング部材77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。感光体ドラム62から除去されたトナーは、クリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。
【0059】
<装置本体に対するカートリッジの装着方法>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の装置本体Aに対するカートリッジBの装着方法について、図6及び図7を参照しながら、詳細に説明する。
【0060】
ここで、装置本体Aの第1駆動側板15は、第1ガイドレールとしてのガイドレール15gとガイドレール15hとを有している。また、装置本体Aの非駆動側板16は、第2ガイドレールとしてのガイドレール16dとガイドレール16eとを有している。また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73は、被回転止め部73cを有している。更に、クリーニング枠体71は、長手方向において非駆動側に、第1位置決め部としての被位置決め部71dと第2位置決め部としての被回転止め部71fとを有している。
【0061】
また、第1駆動側板15は、位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとを有している。また、非駆動側板16は、位置決め部16aと回転止め部16cとを有している。更に、ドラム軸受73は、被位置決め部73dと被位置決め部73fとを有している。
【0062】
カートリッジBの装着方向は、感光体ドラム62の軸線と実質的に直交する方向(図6の矢印C方向)である。
【0063】
カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ挿入口17から装着する際に、カートリッジBの駆動側の被回転止め部73cが装置本体Aのガイドレール15g及びガイドレール15hにガイド(案内)される。また、カートリッジBの非駆動側の被位置決め部71dと被回転止め部71fとが装置本体Aのガイドレール16d及びガイドレール16eにガイド(案内)され、カートリッジBが装置本体内の所定位置に位置決めされる。
【0064】
被位置決め部71dと被回転止め部71fとが所定位置に位置決めされているときは、被位置決め部71dとガイドレール16dとが、被回転止め部71fとガイドレール16eとが夫々当接している。これによって、カートリッジBは装置本体Aの画像形成位置に位置決めされる。
【0065】
次に、開閉扉13を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73eが装置本体Aのカートリッジ押圧バネ19によって付勢されたカートリッジ押圧部材1によって押圧される。また、カートリッジBの被押圧部71oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ21によって付勢されたカートリッジ押圧部材2によって押圧される(図7参照)。
【0066】
これによって、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部73dと被位置決め部73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとに固定される。これにより、カートリッジBや感光体ドラム62は、駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに固定される。これにより、カートリッジBや感光体ドラム62は、非駆動側で位置決めされる。
【0067】
なお、装置本体Aに対するカートリッジBの位置を決める構成は、上記に限らず、カートリッジBの駆動側の被位置決め部73d及び被回転止め部73fと、非駆動側の被位置決め部71d及び被回転止め部71fと、に直接作用して位置決めする構成でも良い。
【0068】
<装置本体からカートリッジに対する駆動力伝達機構>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の装置本体AからカートリッジBに対する駆動力伝達機構について、図8を参照しながら、詳細に説明する。
【0069】
ここで、装置本体Aには、装置本体Aの図示しない駆動源から受けた駆動力をカートリッジBに伝達する駆動伝達部材81が設けられている。また、カートリッジBには、駆動伝達部材81と係合して駆動力を受けるために、駆動側ドラムフランジ63に駆動受動部63bが設けられている。また、駆動伝達部材81の外周部には、歯車形状81gが設けられている。更に、現像ローラ32の端部には、現像ローラギア90が結合されている。
【0070】
開閉扉13を閉じて装置本体Aの電源をオンにすると、駆動伝達部材81は、図8(c)の矢印E方向に移動する。
【0071】
次に、駆動伝達部材81の駆動伝達部81bと、駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bと、が係合して、駆動側ドラムフランジ63を介して感光体ドラム62が回動する。また、駆動伝達部材81に設けられた歯車形状81gと現像ローラギア90とが噛合う。
【0072】
即ち、駆動源からの駆動力により駆動する駆動伝達部材81によって、駆動側ドラムフランジ63を介して感光体ドラム62が回動すると共に、現像ローラギア90を介して現像ローラ32も回動する。
【0073】
<メモリタグの動作>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置のメモリタグ24の動作について、図9を参照しながら、詳細に説明する。
【0074】
メモリタグ24は、カートリッジBを装置本体Aに装着することにより本体接点12に接触して、本体接点12と通信可能な状態になる。
【0075】
カートリッジBを装置本体Aに装着する過程において、図9(c)に示すように、被ガイド部14LとカートリッジBのガイド27cとが係合し、かつ被ガイド部14Hと上ガイド27dとが係合する。この際に、本体接点12と被ガイド部14H及び被ガイド部14Lとは、一体的にメモリタグ24に倣うように移動して位置決めされる。
【0076】
本体接点12とメモリタグ24とは、図9(d)に示すように、カートリッジBの装着が完了した際に接触して、電気的に通信可能な状態となる。この際に、本体接点12は、弾性を有しているため、メモリタグ24の接点面24aと所定の圧力で接触する。これより、カートリッジBは、メモリタグ24において接点面24aに直交する方向に、装置本体Aの通信コネクタ99から外力を受けることになる。この外力を接点圧F5とする(図9(d)参照)。
【0077】
<メモリタグの配置>
本発明の実施の形態に係る画像形成装置のメモリタグ24の配置について、図2図10及び図11を参照しながら、詳細に説明する。
【0078】
まず、図2を用いて、メモリタグ24の接点面24aに作用する接点圧F5に着目して、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとの関係について説明する。
【0079】
ここで、被位置決め部71d(第1位置決め部)の中心と被回転止め部71f(第2位置決め部)の中心とを結んだ線分を第1の線分X1とする。また、メモリタグ24の接点面24aを通り且つ接点面24aに直交する直線を第1の直線X2とする。
【0080】
メモリタグ24は、第1の線分X1と第1の直線X2とが交差するように配置されることにより、接点面24aに作用する接点圧F5の方向が第1の線分X1と交差するように配置されている。ここで、被位置決め部71dと被回転止め部71fとの距離をwとし、第1の線分X1と第1の直線X2との交点を点P1とすると共に、被位置決め部71dから点P1までの距離をw1とする。そして、接点圧F5に着目した場合に、被位置決め部71dに作用する反力F6は(1)式のようになり、被回転止め部71fに作用する反力F7は(2)式のようになる。
【0081】
F6=(1-w1/w)×F5 (1)
F7=(w1/w)×F5 (2)
例えば、被位置決め部71dの中心回りのモーメントつり合い式を立てると、F7w=F5w1となり(2)式が道き出される。またF6+F7=F5から、F7=F5-F6で、これをF7w=F5w1に代入することで(1)式が導き出される。
【0082】
距離wと距離w1との関係は、第1の線分X1と第1の直線X2とが交差する場合にはw>w1となる。
【0083】
このとき、接点圧F5、位置決め部71dに作用する反力F6、及び被回転止め部71fに作用する反力F7は、(3)式の関係にある。
【0084】
|F6|+|F7|=|F5| (3)
つまり、外力である接点圧F5は、被位置決め部71dに作用する反力F6と、被回転止め部71fに作用する反力F7と、の総和に等しくなる。
【0085】
次に、図2(b)に示すように、メモリタグ24が第1の線分X1と第1の直線X2とが交差しないように配置された場合に、距離wと距離w1との関係はw<w1となる。
【0086】
このとき、接点圧F5、位置決め部71dに作用する反力F6、及び被回転止め部71fに作用する反力F7は、(4)式の関係にある。
【0087】
|F6|+|F7|>|F5| (4)
つまり、外力である接点圧F5は、被位置決め部71dに作用する反力F6と、被回転止め部71fに作用する反力F7と、の総和よりも小さくなる。
【0088】
このように、第1の線分X1と第1の直線X2とが交差するようにメモリタグ24を配置することにより、カートリッジBにおいて外力である接点圧F5より大きい反力を生じないように、カートリッジBの位置を決めることができる。
【0089】
これにより、被位置決め部71d及び被回転止め部71fにおける接点圧F5による変形を抑制することができ、現像ユニット20とクリーニングユニット60との結合部Cの位置ずれを小さくすることができる。この結果、感光体ドラム62を備えるクリーニングユニット60に対して、現像ローラ32を備える現像ユニット20の位置ずれを小さくすることができ、感光体ドラム62に対する現像ローラ32の位置ずれを小さくすることができる。従って、感光体ドラム62に対して現像ローラ32の位置を精度良く保持することができ、感光体ドラム62に対する現像ローラ32の接触圧の安定化を図ることができる。
【0090】
次に、図10を用いて、クリーニングユニット60に対する現像ユニット20の結合部Cとメモリタグ24との配置の関係について説明する。
【0091】
現像ユニット20は、クリーニングユニット60に対して矢印T10方向に回転移動可能(回動可能)に連結されている。また、現像ローラ32は、感光体ドラム62に対して接離可能な状態で連結される。
【0092】
ここで、図10に示すように、メモリタグ24と軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心とを結んだ直線を第2の線分X3とする。
【0093】
メモリタグ24と現像第2支持ボス27aとは、第1の線分X1と第2の線分X3とが交差し、且つ第1の線分X1と第1の直線X2とが交差するように配置されている。この際に、メモリタグ24に作用する外力としての接点圧F5によって、図10に示すように、現像第2支持ボス27aの周りにモーメントM5が作用する。このモーメントM5が作用することにより、感光体ドラム62と現像ローラ32とが間隔保持部材38を介して接触するときの接触圧が変化する。
【0094】
しかしながら、第1の線分X1と第2の線分X3とが交差し、且つ第1の線分X1と第1の直線X2とが交差するようにメモリタグ24と現像第2支持ボス27aとを配置する。これにより、接点圧F5は、現像ユニット20の回動中心としての現像第2支持ボス27aの近傍に向かう。即ち、モーメントM5を小さくすることができ、モーメントM5による感光体ドラム62に対する現像ローラ32の接触圧に対する影響を小さくすることができ、感光体ドラム62に対する現像ローラ32の接触圧の安定化を図ることができる。
【0095】
次に、図11を用いて、カートリッジBの内力に着目した場合におけるメモリタグ24の配置について説明する。
【0096】
図11(a)に示すように、外力としての接点圧F5は、現像ユニット20を介して結合部Cに作用する。結合部Cに作用する力F5cは、結合部Cを通ると共にメモリタグ24の接点面24aと直交し且つ第1の直線X2と平行な第2の直線X4の方向に作用する。
【0097】
メモリタグ24は、力F5cの方向と平行な第2の直線X4と、第1の線分X1と、が交差するように配置されている。これにより、力F5cは、被位置決め部71dと被回転止め部71fとで両端支持されたクリーニングユニット60に対して中央荷重となるため、力F5cによる結合部Cの変形を抑制でき、結合部Cの位置ずれを小さくすることができる。
【0098】
従って、感光体ドラム62を備えるクリーニングユニット60に対して、現像ローラ32を備える現像ユニット20の位置ずれを小さくすることができる。即ち、感光体ドラム62に対する現像ローラ32の位置ずれを小さくすることができ、感光体ドラム62に対して現像ローラ32の位置を精度良く保持することができ、感光体ドラム62に対する現像ローラ32の接触圧の安定化を図ることができる。
【0099】
また、現像ローラギア90は、駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bが駆動伝達部材81に係合した際に、駆動伝達部材81に設けられた歯車形状81gに噛合うように配置される(図9(d)参照)。駆動伝達部材81は感光体ドラム62と同軸上に配置され、現像ローラギア90は現像ローラ32と同軸上に配置される。即ち、駆動伝達部材81と駆動受動部63bとが係合した状態のときに、歯車形状81gと現像ローラギア90とを安定して噛合わせるためには、感光体ドラム62に対して精度良く現像ローラ32の位置を決めておくことが望ましい。
【0100】
また、カートリッジBを装置本体Aに装着した際に、図11(b)に示すように、結合部Cにおけるクリーニング枠体71の第1吊り穴71iと、軸受部材27の現像第2支持ボス27aと、は実質的に隙間δ1を有する。そのため、接点圧F5を受ける現像ユニット20は、接点圧F5の方向に平行移動しようとする。
【0101】
これに対して、図11(b)に示すように、カートリッジBを非駆動側から見て、感光体ドラム62の中心と現像ローラ32の中心とを通る直線を第3の直線X5とする。
【0102】
メモリタグ24は、第3の直線X5と接点圧F5の方向を示す第1の直線X2と第1の線分X1とによって囲まれた三角形における、第1の直線X2と第3の直線X5との2辺の成す角度θ5が鋭角になるように配置される。これにより、現像ローラ32は感光体ドラム62に接触する方向に移動しようとするため、現像ユニット20に対して接点圧F5が作用した場合であっても、現像ローラ32を感光体ドラム62から離れ難くすることができる。これにより、駆動伝達部材81の歯車形状81gと現像ローラギア90とを安定して噛合わせることができる。
【0103】
このように、本実施の形態では、感光体ドラム62の軸線方向から見て、第1の線分X1と第1の直線X2とが交差するようにした。これにより、メモリタグ24に作用する力によるカートリッジBの変形を抑制し、感光体ドラム62に対する現像ローラ32の押圧力の安定化を図ることができる。
【0104】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
A 装置本体
B カートリッジ
C 結合部
X1 第1の線分
X2 第1の直線
X3 第2の線分
X4 第2の直線
X5 第3の直線
15g ガイドレール
15h ガイドレール
16d ガイドレール
16e ガイドレール
20 現像ユニット
24 メモリタグ
24a 接点面
27a 現像第2支持ボス
32 現像ローラ
62 感光体ドラム
71 クリーニング枠体
71d 被位置決め部
71f 被回転止め部
99 通信コネクタ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11