(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181451
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】高トリグリセライド血症の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/423 20060101AFI20231214BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K31/423
A61P3/06
A61P9/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187862
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2020534340の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/609,048
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】大島 隆
(72)【発明者】
【氏名】末平 和人
(57)【要約】
【課題】正常腎機能のまたは腎障害のある、中等度または重度の高トリグリセライド血症患者を治療することができる、ペマフィブラート療法を提供すること。
【解決手段】本発明は、中等度または重度の高トリグリセライド血症のためのペマフィブラートによる薬理学的介入に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中等度または重度の高トリグリセライド血症の治療を必要とする対象において、中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、治療上有効な量のペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩をその患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
重度の高トリグリセライド血症の治療を必要とする対象において、重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、
(a) 約500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上の空腹時ベースライントリグリセライド値を有する対象を同定し、そして
(b) その対象にペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、
を含む、方法。
【請求項3】
重度の高トリグリセライド血症の治療を必要とする対象において、重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、
(a) 約500 mg/dL(5.65ミリモル/L)~約2000 mg/dL(22.6ミリモル/L)の空腹時ベースライントリグリセライド値を有する対象を同定し、そして
(b) その対象にペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、
を含む、方法。
【請求項4】
前記ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日当たりの経口投与量で0.2~1.0 mgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日当たりの経口投与量で0.4 mgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日2回投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日当たりの経口投与で0.2 mgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が1日2回投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が正常な腎機能を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が軽度または中等度の腎機能障害を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者が重度の腎機能障害を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者が高強度スタチン療法を施行中であり、且つ急性冠動脈症候群または心筋梗塞、安定もしくは不安定狭心症、冠動脈血行再建術、脳卒中、アテローム動脈硬化症起源の一過性脳虚血発作[TIA]、または末梢動脈疾患もしくは血行再建術の既往歴から選択された臨床的ASCVDを有する、年齢≧21歳の患者である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、高強度スタチン療法を施行中であり、修正可能な二次的原因によるものでないLDL-C≧190 mg/dLの既往歴を有する、年齢≧21歳の患者である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者が、中強度または高強度スタチン療法を施行中であり、臨床的ASCVDを呈さないが2型糖尿病を有し、70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)のLDL-Cの既往歴を有する、年齢40~75歳(40歳と75歳を含む)の患者である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者が中強度または高強度スタチン療法を施行中であり、臨床的ASCVDまたは糖尿病を呈さず、70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)のLDL-Cの既往歴を有し、Pooled Cohort Equation(統合コホート研究によるリスク予測式)により≧7.5%の10年ASCVDリスクを有する、年齢40~75歳(40歳と75歳を含む)の患者である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、HDL-C低値、LDL-C高値、non-HDL-C高値または総コレステロール高値の1つもしくは組み合わせを有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が成人でありかつスタチン療法の施行中でなく、前記対象にペマフィブラート0.2 mgまたはその薬学的に許容される塩を1日2回投与することを含み、中等度または重度の高トリグリセライド血症を有する、中強度または高強度スタチン療法を施行中の第二の成人対象に、ペマフィブラート0.2 mgまたはその薬学的に許容される塩を投与することを更に含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第二の成人対象が高強度スタチン療法を施行中である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が成人でありかつ腎機能障害を持たず、前記患者にペマフィブラート 0.2 mgまたはその薬学的に許容される塩を1日2回投与することを含み、中等度または重度の高トリグリセライド血症により腎機能障害を有する第二の成人対象に、ペマフィブラート 0.2 mgまたはその薬学的に許容される塩を投与することを更に含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第二の対象が、軽度から中等度の腎機能障害を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、750 mg/dL(8.475ミリモル/L)より大きい空腹時ベースライントリグリセライド値を有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、1000 mg/dL(11.3ミリモル/L)より大きい空腹時ベースライントリグリセライド値を有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、1500 mg/dL(16.95ミリモル/L)より大きい空腹時ベースライントリグリセライド値を有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
腎機能障害のある成人患者および腎機能障害のない成人患者において脂質異常症を治療する方法であって、両患者にペマフィブラート0.2 mgまたはその薬学的許容される塩を1日2回投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記腎機能障害のある患者が軽度から中等度の腎機能障害を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記腎機能障害のある患者が重度の腎機能障害を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記対象または腎機能障害のある患者が、40 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象または腎機能障害のある患者が、中強度または高強度スタチン療法を施行中である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、そして中強度から高強度スタチン療法を施行中である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、中強度または高強度スタチン療法を施行中であり、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有し、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血性発作、計画外の冠動脈血行再建術を必要とする不安定狭心症による入院、心血管死、およびそれらの組み合わせを予防する、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中等度の高トリグリセライド血症(血清TGが200 mg/dL以上500 mg/dL未満)または重度の高トリグリセライド血症(血清TGが500 mg/dL以上)の、ペマフィブラートによる薬理学的介入に関する。
【背景技術】
【0002】
リポ蛋白代謝の様々な原発性疾患が記載されており、それはアテローム発生リポ蛋白(超低比重リポ蛋白(VLDL)、レムナント粒子、低比重リポ蛋白(LDL)等)濃度の上昇または抗動脈硬化性の高比重リポ蛋白濃度の低下を引き起こし、それらの全てが冠動脈疾患のリスク増大につながり得る。懸念されるのは、トリグリセライド(TG)の濃度上昇、特にTG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上が、急性膵炎のリスクを増加させる点である1),2)。高トリグリセライド血症(HTG)により誘発される急性膵炎は、HTG以外の原因による膵炎に比較して、重篤度と合併症発生率の増加を伴う3),4)。
【0003】
フィブラート系薬は、ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターα(PPARα)5)を活性化することにより、TGおよび高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)を改善し、重度HTGの治療用に米国で承認されている薬である。米国では、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸およびゲムフィブロジルが利用可能である。欧州で利用可能なフィブラート系薬はベンザフィブラート、シプロフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブラートである。日本では、ベンザフィブラート、シノフィブラート、クロフィブラート、およびフェノフィブラートが利用可能である。
【0004】
NCEP ATP III(National Cholesterol Education Program- United States Adult Treatment Panel III;米国のコレステロール診療プログラム)ガイドライン6)は、血清TGが500 mg/dL以上(≧500 mg/dL)である時に治療の最優先事項として、生活習慣、食事療法および薬理学的方法を通してTGを低下させることを推奨している。魚油中に見られるようなオメガ3脂肪酸での治療は、TGレベルを30%まで効率的に減少させることが証明された。しかしながら、重度のHTGを有する個体の場合には、オメガ3脂肪酸の摂取量を増やしてもTG値を適切にコントロールすることはできない7)。
【0005】
欧州心臓学会および欧州動脈硬化学会の総合ガイドラインは、5~10 ミリモル/L(440~880 mg/dL)のTG濃度で患者が膵炎を発症しうると記述している8)。これらのガイドラインは急性膵炎を予防するためにフィブラート系薬を開始することも推奨している。
【0006】
大部分のフィブラート系薬は、腎機能障害のある患者では禁忌であるかまたは慎重投与を必要とする。更に、重篤な腎機能障害のある患者では、それらの薬とスタチンとの併用投与は禁忌である。よって、現存のPPARα作動薬の使用には制限がある9),10),11),12),13),14),15),16)。
【0007】
化学名が(2R)-2-〔3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ〕ブタン酸である、ペマフィブラートは、フェノフィブラートと同様にPPARα活性化剤であるが、それは脂質代謝に作用することで一層有効であることが証明され、フェノフィブラートよりもPPARα受容体に対する特異性が高い。よって、ペマフィブラートは選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)としても記載されている。この薬は最近日本で高脂血症治療用に承認され、現在世界中で心血管疾患の治療薬として開発中である。
【0008】
ペマフィブラートは、PPARα活性化作用のEC50の点から、フェノフィブリン酸よりも約2500倍活性が大きい。それはアポリポ蛋白(Apo)A1トランスジェニックマウスにおいてTGを低下させかつHDL-Cを増加させる効力がフェノフィブラートよりも高い。ペマフィブラートは、以前の臨床試験において、健常成人に0.1 mg~1.6 mg/日の範囲の用量で投与された。最大0.4 mg/日の用量が脂質異常症患者に投与された。ペマフィブラートは、日本人と西欧人の両患者においてTGの用量依存的低下を惹起した。欧州で行われた第2相用量探索試験であるK-877-201 試験において、1日2回投与されるペマフィブラート 0.2 mgは、プラセボ比較対照したTG低下が54.4%という最大の効能を示した。ペマフィブラートの1日2回投与の例では、1日1回投与に比べて、TG低下およびHDL-C増加に関してより大きな効能が観察された。ペマフィブラートでの処置は、12週時までに次の脂質パラメータのベースラインからの変化も引き起こした。最終観察は有効性の副次的評価項目の解析において規定された通りに進めた:Apo A1、Apo A2、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)、HDL-Cの増加;並びにApo B48、Apo C2、Apo C3およびVLDL-Cの減少。Friedewald式(F式)を用いた計算とベータ定量法(beta quantification)による、LDL-Cの増加も観察した。有効性変数の解析に基づき、ペマフィブラートはApo C3に対する低下作用を有するようであり、これはVLDL粒子からLDL粒子への変換を引き起こし、粒子サイズの大きなLDLの画分を増加させ、そしてTG値の低下をもたらした。同様に、Apo C3の減少は、レムナント様粒子の引き抜きの増加とApo B48の低下を引き起こした。全体として、総Apo B値には全く変化が観察されず、このことはLDL-Cの増加がLDL粒子数の増加や冠動脈性心臓疾患(CHD)リスクの増加とは関連性がないことを示し、LDL-CよりもCHDリスクをより正確に反映するパラメータであるnon-HDL-Cの減少によって裏付けられた。観察されたApo A1とHDL-Cの増加は、肝臓におけるApo A1の生産増加とTGに富むリポ蛋白のターンオーバーの増加の両方(両方ともCHDリスクの減少に関連する)に起因していた。
【0009】
この情報の他に、中等度および重度の高トリグリセライド血症患者に対するぺマフィブラートの効果は知られていない。更に、中等度または重度の高トリグリセライド血症と共に腎障害のある患者に対するペマフィブラートの効果、特にスタチン併用時の効果も知られていない。
【0010】
従って、本発明の目的は、正常腎機能のまたは腎障害のある、中等度または重度の高トリグリセライド血症患者を治療することができる、ペマフィブラート療法を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、中等度および重度の高トリグリセライド血症患者においても、血漿トリグリセライド値を低下させることができるペマフィブラートの驚くべき能力に関する。かくして、本発明は、治療を必要とする対象において、中等度および重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、治療上有効な量のペマフィブラートまたは薬学的に許容されるその塩を前記対象に投与することを含む方法を提供する。本発明はまた、治療を必要とする対象において、中等度および重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、前記患者が腎機能障害を有し、治療上有効な量のペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下を提供する:
1) 治療を必要とする対象において中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、治療上有効な量のペマフィブラートまたは薬学的に許容されるその塩を患者に投与することを含む方法;
【0013】
2) 治療を必要とする対象において重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、(a) 約500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上の空腹時ベースライントリグリセライド濃度を有する対象を同定し、そして(b) 前記対象にペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【0014】
3) 治療を必要とする対象において重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、(a) 約500 mg/dL(5.65ミリモル/L)~約2000 mg/dL(22.6ミリモル/L)の空腹時ベースライントリグリセライド濃度を有する対象を同定し、そして(b) 前記対象にペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【0015】
4) ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日1回経口投与される0.2~1.0 mgである、1)~3)のいずれか1つに記載の方法。
5) ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日1回経口投与される、1)~3)のいずれか1つに記載の方法。
6) ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日2回投与される、5)に記載の方法。
7)ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日1回経口投与される0.2 mgである、1)~3)のいずれか1つに記載の方法。
8) ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量が、1日2回投与される、7)に記載の方法。
【0016】
9) 患者が正常な腎機能を有する、1)~3)のいずれか1つに記載の方法。
10)患者が軽度または中等度の腎機能障害を有する、1)~3)のいずれか1つに記載の方法。
11) 患者が重度の腎機能障害を有する、1)~8)のいずれか1つに記載の方法。
12) 患者が高強度スタチン療法を受けており、急性冠症候群または心筋梗塞、安定もしくは不安定狭心症、冠動脈血行再建術、脳卒中、アテローム動脈硬化症起源の一過性脳虚血発作[TIA]、または末梢動脈疾患または血行再建術の既往歴から選択された臨床的ASCVDを有する年齢≧21歳である、1)~11)のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
13) 患者が高強度スタチン療法を受けており、LDL-C≧190 mg/dLの既往歴を有する年齢≧21歳であり、それが変更可能な副次的原因によるものでない、1)~11)のいずれか1つに記載の方法。
14) 患者が中強度または高強度スタチン療法を受けており、年齢が40~75歳(40歳と75歳を含む)であり、臨床的ASCVDは示さないが2型糖尿病と70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)の既往歴を有する、1)~11)のいずれか1つの方法。
15) 患者は中強度または高強度スタチン療法を受けており、年齢が40歳~75歳(40歳と75歳を含む)であり、臨床的ASCVDまたは糖尿病を持たないが、Pooled Cohort Equation(米国の地域住民の統合コホート研究より作成されたリスク予測式)により、≧7.5%の10年ASCVDリスク予測率を有する、1)~11)のいずれか1つの方法。
【0018】
16) 対象がHDL-C低値、LDL-C高値、非HDL-C高値、または総コレステロール高値の1つまたは組み合わせを有する、1)~15)のいずれか1つの方法。
17) 前記対象が成人であり、スタチン療法を受けておらず、0.2 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を1日2回前記対象に投与することを含み、更に中等度または重度の高トリグリセライド血症による中強度または高強度スタチン療法を受けている第二の成人対象に0.2 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、1)~16)のいずれか1つの方法。
18) 前記第二の成人対象が高強度スタチン療法を受けている、17)の方法。
【0019】
19) 前記対象が成人であり、腎機能障害を有しておらず、前記対象に0.2 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、中等度または重度の高トリグリセライド血症と共に腎機能障害を有する第二の成人対象に、0.2 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を投与することを更に含む、1)~17)のいずれか1つの方法。
【0020】
20) 前記第二の対象が、軽度から中等度の腎機能障害を有する、19)の方法。
21) 前記対象が750 mg/dL(8.475ミリモル/L)より大きい空腹時ベースライントリグリセライド濃度を有する、1)~20)のいずれか1つの方法。
22) 前記対象が1000 mg/dL(16.95ミリモル/L)より大きい空腹時ベースライントリグリセライド濃度を有する、1)~20)のいずれか1つの方法。
23) 前記対象が1500 mg/dL(16.95ミリモル/L)より大きい空腹時ベースライントリグリセライド濃度を有する、1)~20)のいずれか1つの方法。
【0021】
24) 腎機能障害のある成人患者と腎機能障害を持たない成人患者において脂質異常症を治療する方法であって、両患者に0.2 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を1日2回投与することを含む方法。
25) 腎機能障害のある患者が軽度から中等度の腎機能障害を有する、24)の方法。
26) 腎機能障害のある患者が重度の腎機能障害を有する、24)の方法。
27) 対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有する、1)~26)のいずれか1つの方法。
28) 患者または腎機能障害のある患者が中強度または高強度スタチン療法を受けている、1)~26)のいずれか1つの方法。
【0022】
29) 対象が70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する、1)~26)のいずれか1つの方法。
30) 対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ中強度~高強度スタチン療法を受けている、1)~26)のいずれか1つの方法。
31) 対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する、1)~26)のいずれか1つの方法。
32) 対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、中強度~高強度スタチン療法を受けており、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する、1)の方法。
33) 対象または腎機能障害のある患者が40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有し、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する、1)の方法。
【0023】
34) 該方法が、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血発作、未計画の冠動脈血行再建術を必要とする不安定狭心症による入院、心血管死、およびそれらの組み合わせから選択された心血管イベントを予防する、1)~33)のいずれか1つの方法。
【0024】
本明細書と特許請求の範囲の中で用いる場合、単数形の「1つの("a"、"an")」および「その("the")」は、文脈が明らかに異なって指示しない限り、複数形の意味を包含する。例えば、用語「医薬賦形剤」は、本開示の製剤および方法に用いられる1または複数の医薬賦形剤を指す。
【0025】
本願明細書に特定される様々な定量的値における数値の使用は、明らかに異なって指摘しない限り、言及した範囲内の最大値と最小値が共にあたかも「約」という語句で前置きされたかのように近似値として言及される。また、範囲の開示は、言及された最小値と最大値の間の各値、並びにそのような数値により作成できる任意の範囲を包含する、連続範囲として意図される。開示された数値を、任意の別の開示された数値に分割することによって作ることができる、任意のあらゆる比率(任意のそのような比率の範囲)も、本明細書中に開示される。従って、当業者は、多数のそのような比率、範囲および比率の範囲が、本明細書に与えられる数値から一義的に誘導でき、そしてどの場合も、そのような比率、範囲および比率の範囲が本発明の種々の実施形態を表わすことを理解するだろう。
【0026】
本明細書中で用いる場合、「治療上有効な量」は、患者における所望の生物学的応答を惹起するのに十分な量を指す。治療上有効な量または用量は、患者の年齢、性別および体重、並びに患者の現在の病状に依存する。当業者は、自身の知識と本明細書に含まれる教示に基づいて、上記因子に依存する適当な量または用量を決定することができる。
【0027】
「薬学的に許容される」とは、一般的に安全で、非毒性で、生物学的にも他の面でも不適切でない医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、そして獣医学用途だけでなくヒト医薬用途にも許容され得ることを意味する。「薬学的に許容される塩」は、上記に定義される通り、薬学的に許容されかつ所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。
【0028】
本明細書中で用いる時、「治療する(処置する)」および「治療(処置)」は、疾病、病理学的状態または疾患(まとめて「疾患」と称する)を治癒する、緩和する、安定化する、または予防する意図での患者の医学的管理を指す。それらの用語は、積極的治療、すなわち疾患の改善に特異的に向けられた治療を含み、そして原因治療、すなわち関連疾患の原因の除去に向けられた治療も含む。加えて、この用語は緩和治療、すなわち疾患の治癒よりもむしろ症状の軽減のために計画された治療;予防的治療、すなわち疾患の発生を最小限に抑える、部分的にもしくは完全に抑制する、または遅らせるために向けられた治療;および対症療法、すなわち疾患の改善に向けられた補足的な別の特殊療法に用いられる治療を包含する。
【0029】
本明細書に記載の患者を限定するのに用いる場合、言及される全ての分析対象の測定値は、ペマフィブラート処置の開始時点で測定される。
【0030】
異なって言及しない限り、全ての被験物質の測定値は、空腹状態で取得され、血漿または血清中の被験物質の濃度に基づく。空腹状態とは、患者が8~12時間の間、水以外は何も摂取していなことを意味する。被験物質を測定する標準法は、米国疾病対策センター(United States Centers for Disease Control)により発行されたNHANES 2003-2004データのLab Protocol中に見つけることができる。
【0031】
本明細書中で異なって言及しない限り、本明細書中に記載の全ての方法は、あらゆる年齢、好ましくは18歳齢より上の者に対して実施される。
【0032】
本明細書中で用いる場合、用語「有意に」とは、統計的有意水準を指す。統計的有意水準は、例えば、少なくともp<0.05、少なくともp<0.01、少なくともp<0.005、または少なくともp<0.001の水準であることができる。
【0033】
本明細書中で用いる場合、用語「正常な腎機能」とは、本発明の患者の腎機能が正常である状況を指す。一般に、概算糸球体ろ過量(eGFR)が90 mL/分/1.73 m2以上(eGFR≧90)を正常な腎機能と見なす。
【0034】
本明細書中で用いる場合、用語「軽度の腎機能障害」は、本発明の患者の腎機能に軽度の障害が認められる状況を指す。一般に、60 mL/分/1.73 m2未満でかつ60 mL/分/1.73 m2以上であるeGFR(60≦eGFR<90)を軽度の腎機能障害と見なす。
【0035】
本明細書中で用いる場合、用語「中等度の腎機能障害」は、本発明の患者の腎機能に中等度の障害が認められる状況を指す。一般に、60 mL/分/1.73 m2未満でかつ30 mL/分/1.73 m2以上であるeGFR(30≦eGFR<60)を中等度の腎機能障害と見なす。
【0036】
本明細書中で用いる場合、用語「軽度または中等度の腎機能障害」とは、本発明の患者の腎機能に軽度または中等度の障害が認められる状況を指す。一般に、90 mL/分/1.73 m2未満でかつ30 mL/分/1.73 m2以上であるeGFR(30≦eGFR<90)を軽度または中等度の腎機能障害と見なす。
【0037】
本明細書中で用いる場合、用語「重度の腎機能障害」とは、本発明の患者の腎機能に重篤な障害が認められる状況を指す。一般に、30 mL/分/1.73 m2未満のeGFR(30<eGFR)を重度の腎機能障害と見なす。
【0038】
本明細書中で用いられるASCVDは、アテローム動脈硬化性心血管疾患を指す。
【0039】
「Pooled Cohort Equation」(統合コホート研究により導出された計算式)は、Preiss D, Kristensen SL, "The new pooled cohort equations risk calculator." Can. J. Cordiol. 2015年5月; 31(5): 613-9に報告されている。
【0040】
HMG-CoA還元酵素阻害薬としても知られるスタチン系薬は、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチンおよびロバスタチン、並びにそれらの薬学的に許容される塩を包含する。スタチンは、LDL-C低下の程度に基づいて一般的に高強度、中強度または低強度に分類され、ACC/AHA Release Updated Guideline on the Treatment of Blood Cholesterol to Reduce ASCVD Risk(ASCVDリスク低減のための血中コレステロールの治療に関するACC/AHAによる改正カイドライン)、AMERICAN FAMILY PHYSICIAN、第90巻、第4号(2014年8月15日)から抽出した下記の表に要約される通り、比較検証試験において証明されている。
【0041】
【0042】
注:ボールド体で示した特定のスタチンと用量は、重点課題1、重点課題2に含まれるRCT、並びに重点課題3に含まれるCTT(Cholesterol Treatment Trialist)2010メタ解析において評価された(詳細については完全ガイドラインを参照のこと)。それらのRCTは全て主要な心血管イベントの低減を証明した。イタリック体で示したスタチンと用量は、米国食品医薬品局により承認されているがRCTでは試験されなかった。RCT=無作為化比較試験。
【0043】
用語「中強度から高強度スタチン療法」という語句を用いる場合、好ましくは次のスタチン治療群が投与され、そして用語「中強度から高強度スタチン療法」に代わり以下を用いることができる:アトルバスタチン≧40 mg/日(遊離塩基の重量に基づく)、ロスバスタチン≧20 mg/日(カルシウム塩の重量に基づく)、およびシンバスタチン≧40 mg/日(遊離塩基の重量に基づく)、またはピタバスタチン≧4 mg/日。用語「非-中強度~高強度スタチン療法」は、アトルバスタチン≧40 mg/日(遊離塩基の重量に基づく)、ロスバスタチン≧20 mg/日(カルシウム塩の重量に基づく)、およびシンバスタチン≧40 mg/日(遊離塩基の重量に基づく)、またはピタバスタチン≧4 mg/日を除く任意のスタチン治療を指す。
【0044】
本明細書中で用いる場合、「高」または「低」と表示されるバイオマーカーについて試験された患者は、その患者が有害心血管イベントを発生するリスクがあることを意味する。成人の高血中コレステロールの検出、評価および治療に関する米国コレステロール管理プログラム(「NCEP」)専門委員会の報告書3(The Third Report of the National Cholesterol Education Program "NCEP" Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults)(Adult Treatment Panel III(ATP-III))は、心血管リスクを評価するための脂質管理目標値を開示している。それらの管理目標値以下では、100 mg/dL (2.59 ミリモル/L)より上または更に70 mg/dL (1.81 ミリモル/L)より上のLDL-C濃度を有する者は、心血管イベントを発生するリスクがある。200 mg/dL(5.18ミリモル/L)より上の総コレステロール濃度を有する者は心血管イベントを発生するリスクがある。男性の場合40 mg/dL(1.0ミリモル/L)未満そして女性の場合50 mg/dL(1.3ミリモル/L)未満のHDL-C濃度を有する者は心血管イベントを発生するリスクがある。200 mg/dL (2.27ミリモル/dL)より上または更に150 mg/dL (1.70ミリモル/L)より上の空腹時トリグリセライド濃度を有する者は、心血管イベントのリスクがある。130 mg/dL (3.37ミリモル/L)より高い非HDL-C濃度を有する者も、心血管イベントを発生するリスクがある。
【0045】
本発明の方法は、高トリグリセライド血症の治療に特に有用であるが、HDL-C低値、LDL-C低値、non-HDL-C高値、または総コレステロール高値のうちの1つまたは組み合わせを有する患者の治療にも有用である。よって、当該方法は下記を有する患者の治療にも有用である:
・低HDL-C
・高LDL-C
・高non-HDL-C
・高総コレステロール
・低HDL-Cおよび高LDL-C
・低HDL-Cおよび高non-HDL-C
・低HDL-Cおよび高総コレステロール
・低HDL-Cおよび高LDL-Cおよび高non-HDL-C
・低HDL-Cおよび高LDL-Cおよび高総コレステロール
・低HDL-Cおよび高non-HDL-Cおよび高総コレステロール
・低HDL-Cおよび高LDL-Cおよび高non-HDL-Cおよび高総コレステロール
・高LDL-Cおよび高non-HDL-C
・高LDL-Cおよび高総コレステロール
・高LDL-Cおよび高non-HDL-Cおよび高総コレステロール
・高non-HDL-Cおよび高総コレステロール
【0046】
1日1回または1日2回分割投与される0.1 mg~0.4 mgの総ペマフィブラート1日量は、許容される安全性プロファイルを提唱した。非臨床および臨床試験により示された通り、ペマフィブラートの尿排泄率が低いため、腎機能障害が認められる患者であっても、ペマフィブラートは安全に使用することができると予想される。加えて、この薬物は肝臓の主要薬物代謝酵素に対する阻害効果が最小であるため、薬物-薬物間相互作用を引き起こす可能性が低いと考えられる;しかしながら、強力な有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)阻害薬である薬物(例えばシクロスポリンおよびリファンピシン)は、ペマフィブラートと相互作用しない。従って、ペマフィブラートは有力な脂質代謝改善効果を示すだけでなく、腎機能低下を有する患者における制限をほとんど伴わない、または現存のPPARα作動薬よりも併用薬と共に広範な治療域を提示する薬物としても働くと予想される。
【0047】
日本の腎機能障害患者での試験K-877-12 からのデータは、重篤な腎機能障害患者であっても、ペマフィブラート薬物動態(PK)試験において全く有意な差を認めなかった。これは、患者の安全性を保証するために腎障害に対するペマフィブラートの投薬量の調整が必要ないだろうということを示唆している。
【0048】
第一の実施形態では、本発明は、治療を必要とする対象において中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
この実施形態によれば、中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療することができる。
【0049】
好ましい第一の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は、1日あたり経口投与で0.2~1.0 mgである。
【0050】
好ましい第一の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は、1日当たり経口投与で約0.4 mgである。
【0051】
好ましい第一の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は1日2回投与される。
【0052】
好ましい第一の実施形態では、患者は正常な腎機能を有する。
【0053】
好ましい第一の実施形態では、患者は軽度または中等度の腎機能障害を有する。
【0054】
別の好ましい第一の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有する。
【0055】
別の好ましい第一の実施形態では、対象は中強度または高強度スタチン療法を受けている。
【0056】
別の好ましい第一の実施形態では、対象は70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する。
【0057】
別の好ましい第一の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、そして中強度または高強度スタチン療法を受けている。
【0058】
別の好ましい第一の実施形態では、対象または腎機能障害のある患者は、40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する。
【0059】
別の好ましい第一の実施形態では、該方法は、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血発作、計画外の冠動脈血行再建術を必要とする不安定狭心症による入院、心血管死、およびその組み合わせから選択された、心血管イベントを予防する。
【0060】
別の好ましい第一の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、中強度から高強度のスタチン療法を受けており、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する。
【0061】
別の好ましい第一の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHLD-C濃度を有し、かつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有し、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する。
【0062】
第二の実施形態では、本発明は、治療を必要とする対象において重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、(a) 約500 mg/dL (5.65 ミリモル/L)以上の空腹時ベースライントリグリセライド値を有する対象を同定し、そして(b) 前記対象にペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0063】
この実施形態によれば、中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療することができる。
【0064】
好ましい第二の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は、1日あたり経口投与で0.2 mg~1.0 mgである。
【0065】
好ましい第二の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は、1日あたり経口投与で約0.4 mgである。
【0066】
好ましい第二の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は1日2回投与される。
【0067】
好ましい第二の実施形態では、対象は正常な腎機能を有する。
【0068】
好ましい第二の実施形態では、対象は軽度または中等度の腎機能障害を有する。
【0069】
別の好ましい第二の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有する。
【0070】
別の好ましい第二の実施形態では、対象は中強度または高強度スタチン療法を受けている。
【0071】
別の好ましい第二の実施形態では、対象は70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する。
【0072】
別の好ましい第二の実施形態では、対象は40 mg/dLのHDL-C濃度を有し、かつ中強度から高強度のスタチン療法を受けている。
【0073】
別の好ましい第二の実施形態では、対象または腎機能障害のある患者は、40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有しかつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する。
【0074】
別の好ましい第二の実施形態では、当該方法は、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血発作、計画外の冠動脈血行再建術を必要とする不安定狭心症による入院、心血管死、およびその組み合わせから選択された、心血管イベントを予防する。
【0075】
別の好ましい第二の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ中強度から高強度のスタチン療法を受けており、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する。
【0076】
別の好ましい第二の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有し、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する。
【0077】
第三の実施形態では、本発明は、治療を必要とする対象において重度の高トリグリセライド血症を治療する方法であって、(a) 約500 mg/dL (5.65 ミリモル/L)~約2000 mg/dL (22.6ミリモル/L)の空腹時ベースライントリグリセライド値を有する対象を同定し、そして(b) 前記対象にペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0078】
この実施形態によれば、中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療することができる。
【0079】
好ましい第三の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は、1日あたり経口投与で0.2 mg~1.0 mgである。
【0080】
好ましい第三の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は、1日あたり経口投与で約0.4 mgである。
【0081】
好ましい第三の実施形態では、ペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量は1日2回投与される。
【0082】
好ましい第三の実施形態では、患者は正常な腎機能を有する。
【0083】
好ましい第三の実施形態では、患者は軽度または中等度の腎機能障害を有する。
【0084】
別の好ましい第三の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有する。
【0085】
別の好ましい第三の実施形態では、対象は中強度または高強度のスタチン療法を受けている。
【0086】
別の好ましい第三の実施形態では、対象は70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する。
【0087】
別の好ましい第三の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ中強度から高強度のスタチン療法を受けている。
【0088】
別の好ましい第三の実施形態では、対象または腎機能障害のある患者は、40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有しかつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有する。
【0089】
別の好ましい第三の実施形態では、当該方法は、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血発作、計画外の冠動脈血行再建術を必要とする不安定狭心症による入院、心血管死、およびその組み合わせから選択された、心血管イベントを予防する。
【0090】
別の好ましい第三の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ中強度から高強度のスタチン療法を受けており、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する。
【0091】
別の好ましい第三の実施形態では、対象は40 mg/dL未満のHDL-C濃度を有し、かつ70 mg/dL未満のLDL-C濃度を有し、かつ200~500 mg/dLのトリグリセライド濃度を有する。
【0092】
ペマフィブラートの投薬は、投与の経路、用量および処置の長さに基づいて規定される。好ましい投与経路は経口である。ペマフィブラートは栄養供給状態(非空腹状態)または空腹状態で患者に投与することができる。
【0093】
ペマフィブラートの治療上有効な量は、日基準で一定範囲の適当量として規定することができる。よって、一実施形態では、治療上有効な量は、1日あたりの経口投与で0.1~1.0 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩である。別の実施形態では、治療上有効な量は、1日あたりの経口投与で0.2~0.8 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩である。更に別の実施形態では、治療上有効な量は1日あたりの経口投与で約0.4 mgのペマフィブラートまたはその薬学的に許容される塩である。別記しない限り、それらの用量はペマフィブラートの遊離塩基の重量に基づくものである。
【0094】
ペマフィブラートの用量は1日1回量または1日2回、3回もしくは4回に均等分割した量として投与することができる。
【0095】
幾つかの実施形態では、ペマフィブラートは治療上有効な期間に渡り投与することができる。治療上有効な期間とは、中等度または重度の高トリグリセライド血症を治療するのに必要な期間を指し、それは処置すべき患者の状態と、患者の年齢といった他の因子によって変動する。治療上有効な期間は、一般に、3か月以上の処置、6か月以上、1年以上、2年以上、3年以上、または4年以上に等しい。
【0096】
本発明の利点は、上記記載に一部記載されるが、一部は本発明の詳細な説明から明らかであり、または本発明の実施によって習得することができよう。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に指摘された要素およびその組み合わせによって具現化され、獲得されるだろう。本明細書の記載は単に例示的でかつ説明的であり、本発明の限定でないと理解すべきである。
【0097】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の詳細と実施の考察から当業者に明白であり得る。明細書と実施例は、後述の特許請求の範囲により指摘される本発明の真の範囲と精神の例示としてのみ見なされることを意図している。
実施例
【0098】
下記の実施例では、数字(例えば量、温度など)に関して精度を保証しようと努めているが、幾分の誤差と偏差を考慮に入れるべきである。次の実施例は、本明細書の特許請求の範囲に記載される方法がいかに構成され評価されるかの十分な開示と記載を当業者に提供するために与えられ、本発明の単なる例示であるつもりであり、本発明者らが自身の発明として考える範囲を制限するつもりではない。
【0099】
〔実施例1〕
ペマフィブラートによる重度の高トリグリセライド血症の治療
試験の標題:
空腹時トリグリセライド値が500 mg/dL以上2000 mg/dL未満(500≦空腹時TG<2000)を示す正常腎機能を有する成人患者を対象とした、ペマフィブラートの有効性および安全性の評価を目的とした40週実薬対照の二重盲検長期投与試験を伴う、第III相多施設プラセボ比較検証無作為化二重盲検12週投与試験。
【0100】
適格な患者は4~6週間の生活習慣安定化期間(ウオッシュアウトを必要としない患者については4週間の安定化期間、およびスタチン、エゼチミブまたはプロタンパク質変換酵素サブチリシン/ケキシン9型[PCSK9]阻害薬を除く脂質是正療法を受けている患者については6週間のウオッシュアウトおよび安定化期間)に入る。安定化期間に続いて、2週間のTG適格化期間(来院2[-2週時]および3[-1週時])を設け、患者の適格性を上記2回の来院からの平均TG値に基づいて評価する。TG適格化期間の間の患者の平均TG値が≧450 mg/dL(5.09ミリモル/L)かつ<500 mg/dL(5.65ミリモル/L)である場合、来院3.1時の1週間後に追加のTG測定値を取得した。3回のTG測定値の平均を用いて本試験の適格性を決定する。空腹時TG値の適格化の確認の後、適格な患者は12週無作為化二重盲検有効性試験期間に入る。来院4(第1日)時に、患者をペマフィブラート0.2 mgを1日2回または同等の対応するプラセボ錠(偽薬)1日2回に、2:1の比で無作為に割り付ける。12週有効性試験期間の間、患者は有効性と安全性の評価のため来院5(4週時)、来院6(8週時)および来院7(12週時)時に治験施設に戻る。
【0101】
12週有効性試験期間を成功裏に終えた患者は、来院7(12週時)手順を終えた後、40週二重盲検実薬対照長期投与試験期間の継続に適格である。12週有効性試験期間中1日2回0.2 mgのペマフィブラートの投与を受けるように無作為に割り付けられた患者は、次の40週長期投与試験期間において、ペマフィブラート0.2 mgの1日2回投与、およびフェノフィブラート145 mgの1日1回に一致するプラセボ投与を続けた。12週有効性試験期間においてペマフィブラート0.2 mg1日2回に一致するプラセボ投与を受けるように無作為に割り付けられた患者は、次の40週長期投与試験期間においてフェノフィブラート145 mg1日1回およびペマフィブラート0.2 mg1日2回に一致するプラセボ投与を受ける。
【0102】
来院7(12週時)から、スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬を受けていない患者は治療を開始することができ、スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬を投与している患者は、ガイドラインまたは現地の標準治療により指示される通り、その用量を変更することができる。
【0103】
来院8(16週時)後、患者は最終来院(来院11[52週])時まで12週毎に治験施設に戻ることになる。
【0104】
主目的:
本試験の主目的は、空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する患者において、空腹時TG値低下作用についてのベースラインから12週時までのプラセボに比較したペマフィブラート0.2 mg、1日2回投与の有効性を証明することである。
【0105】
副次目的:
本試験の副次目的は、以下の通りである:
空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する患者において、空腹時TG値低下作用についてのベースラインから52週時までのペマフィブラート0.2 mg、1日2回投与の有効性を評価すること;
【0106】
空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する患者において、脂質関連指標の変化についてのベースラインから12週時および52週時までのペマフィブラート0.2 mg、1日2回投与の有効性を評価すること;
【0107】
空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する患者において、ペマフィブラート0.2 mg、1日2回投与の安全性および忍容性を評価すること;
【0108】
群間薬物動態(PK)分析およびPK/薬力学(PD)分析において使用実態下でペマフィブラートの血中濃度を測定すること。
【0109】
探索的目的:
本試験の探索的目的は、空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する患者において、非アルコール性脂肪肝疾患を治療するためにペマフィブラート0.2 mg、1日2回の潜在的有効性の徴候を評価することである。
【0110】
患者母集団:
試験母集団は、スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬以外のバックグラウンド脂質是正療法からウオッシュアウトした後の正常腎機能を有する、空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満の年齢≧18歳の男性および女性患者から成る。スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬での安定療法も許容される。40週実薬対照長期投与試験母集団は、12週プラセボ比較有効性試験期間を完了した患者から成る。40週実薬対照長期投与試験期間は、スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬によるバックグラウンド脂質是正療法が調整を必要とする場合であっても、試験を続行することが可能である。
【0111】
患者の数:
約630例の患者(ペマフィブラート投与を受ける患者420例;プラセボ/フェノフィブラート投与を受ける患者210例)
【0112】
用量レベル:
12週有効性試験期間
ペマフィブラート:0.2 mg 1日2回
プラセボ:1日2回
【0113】
40週長期投与試験期間
ペマフィブラート:0.2 mg 1日2回/フェノフィブラートに対応するプラセボ:1日1回
フェノフィブラート:145 mg 1日1回/ペマフィブラートに対応するプラセボ:1日2回
【0114】
投与の経路:
経口
【0115】
治療期間:
本試験は、治験薬に関する合計52週に渡る、12週二重盲検プラセボ比較有効性試験期間に続く、40週二重盲検実薬対照長期投与試験期間から成る。
【0116】
評価基準:
有効性:
有効性主要評価項目は、12週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率である。TGのベースラインは来院4(第1日)および先行するTG適格化のための来院(必要なら、来院3[1週時]または来院3.1のいずれか)時の測定値の平均として定義される。
【0117】
12週有効性試験期間の有効性副次的評価項目は以下を含む:
・レムナントコレステロール(総コレステロール値[TC]-(マイナス)低比重リポ蛋白C[LDL-C]-(マイナス)高比重リポ蛋白C[HDL-C]にて算出)、HDL-C、アポリポ蛋白(Apo)A1、およびnon-HDL-Cにおける、12週時までのベースラインからの変化率;
ここで低比重リポ蛋白コレステロールは、調製用超遠心分離により測定する;
・TC、LDL-C、遊離脂肪酸(FFA)、Apo A2、Apo B、Apo B48、Apo B100、Apo C2、Apo C3およびApoEの、12週時までのベースラインからの変化率;
・線維芽細胞増殖因子21(FGF21)および高感度C反応性タンパク質(hsCRP)の、12週時までのベースラインからの変化率、並びにイオン移動度分析およびリポ蛋白画分(核磁気共鳴[NMR])の、ベースラインからの変化率;および
・TG:HDL-C、TC:HDL-C、non-HDL-C:HDL-C、LDL-C:Apo B:Apo A1、およびApo C3:Apo C2の脂質:リポ蛋白比における、52週までのベースラインからの変化率。
【0118】
40週長期投与試験期間の有効性副次的評価項目は以下の通りである:
・空腹時TGの52週までのベースラインからの変化率;
・レムナントコレステロール(TC-(マイナス)LDL-C-(マイナス)HDL-Cにて算出)、HDL-C、Apo A1、およびnon-HDL-Cの、52週時までのベースラインからの変化率。
・低比重リポ蛋白コレステロールは調製用超遠心分離により測定する;
・52週時までのTC、LDL-C、FFA、Apo A2、Apo B、Apo B48、Apo B100、Apo C2、Apo C3、およびApo Eの、ベースラインからの変化率;
・FGF21およびhsCRPの12週時までのベースラインからの変化率、並びにイオン移動度分析およびリポ蛋白画分(NMR)のベースラインからの変化率;
・TG:HDL-C、TC:HDL-C、non-HDL-C:HDL-C、LDL-C:Apo B:Apo A1、およびApo C3:Apo C2の脂質:リポ蛋白比における、52週までのベースラインからの変化率。
【0119】
TG、TC、HDL-C、non-HDL-C、LDL-C、およびレムナントコレステロールのベースラインは、来院4(第1日)および先行するTG適格化のための来院(必要であれば、来院3[-1週時]または来院3.1のいずれか)時の平均として規定される。全ての他の有効性および安全性変数のベースラインは、来院4(第1日)時として規定される。この来院時の測定値が欠損している場合、無作為化治験薬の初回投薬前の最後の測定値が用いられる。
【0120】
プラセボ(12週有効性試験期間の)およびフェノフィブラート145 mg(40週長期投与試験期間)投与を受けるように無作為化された患者について、有効性および安全性変数の来院7(12週)時からの変化も探索される。
【0121】
12週有効性試験期間の有効性の探索的評価項目は、以下の通りである:
サイトケラチン-18(CK-18)、フェリチン、ヒアルロン酸、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、IV型コラーゲン、およびアジポネクチンをはじめとする、肝炎および線維症を示唆する12週時までの特定マーカーのベースラインからの変化率。
【0122】
安全性:
安全性評価は、有害事象(AE)、臨床試験測定(化学、血液学、凝固プロファイル、内分泌学および尿分析)、12誘導心電図(ECG)、バイタルサイン(心拍数、呼吸数、および血圧)および身体検査を含む。
【0123】
薬物動態/薬力学:
12週有効性試験期間の間に収集した薬物動態濃度が、集団PK解析およびPK/PD解析に用いられる。
【0124】
登録基準:
試験期間を通じて全ての試験要件および手順を理解し、進んでそれに従い、そして書面でのインフォームドコンセントを与えることができること;
年齢≧18歳;
【0125】
スタチン療法を受けている患者は次の基準の1つを満たさなければならない:
・高強度スタチン(または安全性の懸念により高強度スタチンの候補者でない場合には中強度スタチン)療法を受けている、臨床上のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する年齢≧21歳の患者(急性冠症候群または心筋梗塞、安定または不安定狭心症、冠動脈血行再建術、脳卒中、アテローム動脈硬化症起源のものと推測される一過性脳虚血発作[TIA]、または末梢動脈疾患もしくは血行再建術);
【0126】
・高強度スタチン(または安全性の懸念により高強度スタチンの候補者でない場合には中強度スタチン)療法を受けている、副次的な修正可能な原因によるものでない、LDLC≧190 mg/dLの既往歴を有する年齢≧21歳の患者;
【0127】
・臨床的ASCVDを呈さないが、糖尿病であり、中強度または高強度スタチン療法を受けている、70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)のLDL-Cの既往歴を有する、年齢40~75歳(40歳と75歳を含む)の患者;
【0128】
・臨床上ASCVDまたは糖尿病を呈さないが、70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)LDL-Cの既往歴を有し、中強度または高強度スタチン療法を受けている、Pooled Cohort Equation(統合コホート研究でのリスク予測方程式)により10年ASCVDリスク予測率が≧7.5%である、年齢40~75歳(40歳と75歳を含む)の患者;
【0129】
・現在スタチン治療中でない患者は、上記に列挙したスタチン療法の基準を満たさない;
【0130】
除外基準:
・試験期間中、治験薬(ペマフィブラートまたはフェノフィブラート)、スタチン、エゼチミブ、またはPCSK9阻害薬以外の脂質低下治療を必要とする患者。その中には、胆汁酸イオン封鎖剤、非試験フィブラート系薬、ナイアシン(>100 mg/日)、オメガ3脂肪酸(>1000 mg/日)、または赤米酵母サプリメント、ニンニクサプリメント、大豆イソフラボンサプリメント、ステロール/スタノール製剤、またはポリコサノールを含むがそれに限定されない脂質代謝を是正するために用いられる任意サプリメントが含まれる;
【0131】
・来院1(8週または6週)時に体格指数(BMI)≧45 kg/m2である者;
・1型糖尿病患者;
・新たに診断を受けた患者(来院2[2週]時前の3ヵ月以内);または
・来院1(8週または6週)時にヘモグロビンAlc>9.5%として規定される、コントロール不能な2型糖尿病(T2DM)患者;
【0132】
統計解析:
有効性:
0.05水準の第一種過誤(ファミリーワイズエラー率)をコントロールするために、固定した連続試行手順を実行する。階層的下降方式で、主要評価項目を最初に試験し、次に副次的評価項目を試験し、次の階層方式で試験する:(1) レムナントコレステロール(TC-(マイナス)LDL-C-(マイナス)HDL-Cとして算出)、(2) HDL-C、(3) Apo A1、および(4) 非HDL-Cの固定順序での12週時までのベースラインからの変化率。各試験は、0.05有意水準で実施するよう計画する。それらの有効性評価項目についての推測結果は、事前試験の統計的有意差を必要とする。
【0133】
別の有効性評価項目については、基準p値および95%信頼区間(CI)が表示されるが、確証として解釈すべきではない。
【0134】
主要有効性解析は、フル・アナリシス・セット(FAS)に基づくパターン混合モデル代入法を用いるホッジス・レーマン(Hodges-Lehmann)推定量に基づく。このパターン混合モデルは、12週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率についての主解析の一部としての一次代入法として使用する。この代入法は、患者層、病態およびベースラインTG、並びに療法への遵守などの因子を含む。この代入モデルは、欠測している12週時TG値を以下のようにして代入する:
【0135】
・療法を遵守しない患者および12週時測定値のない患者については、欠測データの代入法として、療法を順守しないが12週時測定値のある、同じ治療群内の患者を使用する;および
・療法を遵守しないが12週時測定値のある患者が同じ治療群内に一名もいない場合、欠測12週時TG値は次のように代入される:
【0136】
- ペマフィブラート治療群では、治療効果は、ウオッシュアウトを考慮し、そして12週時TG値を代入するのにベースラインTG値を用いる;および
- プラセボ治療群では、欠測した12週時TG値は、患者層、病態、並びにプラセボ治療群からのベースラインおよびベースライン後有効性データを含む、MAR(ランダムに欠測していると仮定する方法)で代入される。
【0137】
多重代入ステップの後、各代入データセットは、ノンパラメトリックのホッジス・レーマン法により解析し、そしてホッジス・レーマン推測量と標準誤差を併合して、治癒率の差の推定並びに95%信頼区間(CI)およびp値を求める。
【0138】
別の感度分析法は、以下を含む点を探索するためのものである:(1) ホッジス・レーマン推測による代入法で、FASに基づくロジスティック回帰を使って欠測の確率を推測すること;および(2) FASに基づくパターン混合モデル代入を用いる、12週時のTGのベースラインからの変化率のランク変換後の共分散分析(ANCOVA)。追加の統計法は、FASに基づくTGのベースラインからの変化率を用いる、混合効果モデル反復測定(MMRM)を含む探索であり得る。
【0139】
有効性の主解析は、パープロトコル・セット(Per-Protocol Set)に基づいて反復する。
【0140】
計画された来院時ごとの、ベースラインの要約(サマリー)統計量(患者数、平均、標準偏差、中央値、最小、最大、25パーセンタイル、および75パーセンタイル)、および各計画された来院までの空腹時TGのベースラインからの変化量と変化率を提供する。
【0141】
下降階層的試験手順に含まれる有効性の副次的評価項目は、(1) レムナントコレステロール、(2) HDL-C、(3) Apo Al、および(4) non-HDL-Cの固定配列における12週時までのベースラインからの変化率を含む。
【0142】
12週有効性試験期間の間の有効性の副次的および探索的評価項目は、主解析に使用したものと同じ代入法を用いるANCOVAモデルを使って解析される。ANCOVAモデルには、因子として、国、現在のスタチン療法使用の有無(スタチン療法中でない者と現在スタチン療法中の者)、および治療が含まれ、共変量としてベースライン値が含まれる。正規性仮定が満たされない場合、主解析に使用したのと同じ代入法を使用するホッジス・レーマン推定量が用いられる。
【0143】
52週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率の有効性副次的評価項目が記述的に要約される。40週長期投与試験期間の間のフェノフィブラート群の来院7(12週時)からの変化も、各来院時ごとに要約される。40週長期投与試験期間の間の他の有効性評価基準が記述的に要約されるだろう。仮説検定は全く実施されない。
【0144】
選択された主要、副次的および探索的有効性変数の解析は、スタチン療法(スタチン療法ありとスタチン療法なし)、性別、年齢(65歳未満対65歳以上)、人種(白色人種対非白色人種)、民族性および他のベースライン特性に基づいて、患者のサブグループについて実施することができる。
【0145】
安全性:
安全性評価項目データは、12週有効性試験期間、40週長期投与試験期間および全期間の安全性解析セット(Safety Analysis Set)について要約される。
【0146】
AEは、国際医薬用語集の最新版を使って表記される。AEおよび重篤なAE(SAE)の一般的要約は、治療群ごとにAEの全患者数、重篤度、および治験薬との関係によって要約される。また、使用中止に至るAEの数および死亡に至るSAEの数も要約される。AEの発症率は、体系と治療群によって要約される。治療中に発現したAEの発生率も、器官別大分類および優先使用語(PT)により要約される。
【0147】
安全性試験データは、ベースラインからの変化と共に、来院および治療群により要約される。参照範囲の下限より下または上限より上である数値にフラグが付けられる。臨床的に有意であると同定された値または値の変化量にフラグが付けられる。特別に注目される検査所見の異常、例えば肝機能試験および膵炎イベントが要約される。
【0148】
バイタルサインと12誘導ECGも、ベースラインからの変化と共に、来院および治療群により要約される。
【0149】
薬物動態:
母集団PKおよびPK/PDデータを個別に解析し報告する。コンパートメント・モデルを用いる母集団アプローチを使って濃度-時間データをモデル化し、患者特性の影響を調査して、それらが薬物暴露に影響を及ぼすかどうかを調べる。患者特性には、年齢、性別、人種、BMI、国別などが含まれる。加えて、薬物濃度と安全性変数との関係が調査される。安全性変数としては、限定されないが、AST、ALT、アルカリホスファターゼおよびCKが挙げられる。暴露の尺度(予測クリアランス、濃度-時間曲線下面積[AUC]、および/または最大血漿PK濃度[Cmax])は安全性変数と相関する。
【0150】
〔実施例2〕
ペマフィブラートによる重篤な高トリグリセライド血症の治療
試験の標題:
空腹時トリグリセライド値500 mg/dL以上2000 mg/dL未満を示す、軽度または中等度腎機能障害のある成人患者を対象とした、ペマフィブラートの有効性および安全性の評価を目的とした40週実薬対照二重盲検長期投与試験を伴う、第III相多施設プラセボ比較無作為化二重盲検12週投与試験。
【0151】
試験計画:
K-877-303試験は、空腹時トリグリセライド(TG)値500 mg/dL(5.65 ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を示す、軽度および中等度の腎機能障害(概算糸球体ろ過率[eGFR]30 mL/分/1.73 m2以上かつ90 mL/分/1.73 m2未満)のある患者を対象とした、対応するプラセボ(二重盲検12週有効性試験期間において)および実薬比較対象であるフェノフィブラート(非盲検40週長期投与試験期間において)に比較した、ペマフィブラート0.2 mg1日2回の有効性および安全性の評価を目的とした、第III相多施設無作為化試験である。
【0152】
適格な患者は4~6週間の生活習慣安定化期間(ウオッシュアウトを必要としない患者については4週間の安定化期間、およびスタチン、エゼチミブまたはプロタンパク質変換酵素サブチリシン/ケキシン9型[PCSK9]阻害薬を除く脂質是正療法を受けている患者については6週間のウオッシュアウトおよび安定化期間)に入る。安定化期間に続いて、2週間のTG適格化期間(来院2[2週]時および来院3[1週]時)を設け、患者の適格性を上記2回の来院からの平均TG値に基づいて評価する。TG適格化期間の間の患者の平均TG値が450 mg/dL(5.09ミリモル/L)以上かつ500 mg/dL(5.65ミリモル/L)未満である場合、来院3.1時の1週間後に追加のTG測定値を取得することができる。3回のTG測定値の平均を用いて本試験の適格性を決定する。空腹時TG値の適格化の確証の後、適格な患者は12週無作為化二重盲検有効性試験期間に入る。来院4(第1日)時に、患者をペマフィブラート0.2 mg 1日2回または同等の一致するプラセボ錠(偽薬)1日2回に、2:1の比で無作為に割り付ける。12週有効性評価期間の間、患者は有効性と安全性の評価のため来院5(4週時)、来院6(8週時)および来院7(12週時)時に治験施設に戻る。
【0153】
12週有効性試験期間を成功裏に終えた患者は、来院7(12週時)手順を終えた後、40週非盲検実薬対照長期投与試験の継続に適格である。その12週有効性試験期間中ペマフィブラート0.2 mg 1日2回の投与を受けるように無作為に割り付けた患者は、次の40週長期投与試験期間において、ペマフィブラート0.2 mg 1日2回の投与を続ける。12週有効性試験期間にペマフィブラート0.2 mg 1日2回に一致するプラセボ投与を受けるように無作為に割り付けた患者は、来院7(12週)時に48 mg 1日1回でのフェノフィブラート投与を開始する。来院8(16週)時から出発して、現地の標準治療に従って研究者自身の自由裁量でフェノフィブラートの投薬量を調整することができる(145 mg 1日1回に)。
【0154】
来院7(12週)時から、スタチン、エゼチミブ、またはPCSK9阻害薬治療中でない患者は治療を開始してよく、スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬治療を受けている患者は、ガイドラインまたは現地の標準治療に指示される通り、それらの用量を変更してよい。
【0155】
来院8(16週)時の後、患者は最終来院(来院11[52週時])まで12週間毎に治験施設に戻ることになる。
【0156】
主目的:
本試験の主目的は、空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する軽度または中等度の腎機能障害のある患者において、空腹時TG値低下作用についてのベースラインから12週時までプラセボに比較したペマフィブラート0.2 mg 1日2回の有効性を証明することである。
【0157】
副次目的:
本試験の副次目的は、以下の通りである:
空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上かつ2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する軽度または中等度の腎機能障害のある患者において、空腹時TG値低下作用についてのペマフィブラート0.2 mg 1日2回の有効性を評価すること;
【0158】
空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上かつ2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する軽度または中等度の腎機能障害のある患者において、脂質関連指標のベースラインからの変化率についての12週時および52週時までのペマフィブラート0.2 mg 1日2回の有効性を評価すること;
【0159】
空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上かつ2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する軽度または中等度の腎機能障害のある患者において、ペマフィブラート 0.2 mg 1日2回の安全性および忍容性を評価すること;
【0160】
群間薬物動態(PK)分析およびPK/薬力学(PD)分析における使用実態下でペマフィブラートの血漿濃度を測定すること。
【0161】
探索的目的:
本試験の探索的目的は、空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満を有する軽度または中等度の腎機能障害のある患者において、非アルコール性脂肪肝疾患を治療するためにペマフィブラート0.2 mg 1日2回の潜在的有効性の兆候を評価することである。
【0162】
患者母集団:
試験母集団は、スタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬以外のバックグラウンド脂質是正療法からウオッシュアウトした後の、正常腎機能を有する、空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上かつ2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満の年齢≧18歳の男性および女性患者から成る。スタチン、エゼチミブまたはPCK9阻害薬での安定療法が許容される。40週実薬対照長期投与試験期間の集団は、12週プラセボ比較有効性試験期間を終えた患者から成り、40週実薬対照長期投与試験期間の患者は、たとえスタチン、エゼチミブまたはPCSK9阻害薬でのバックグラウンド脂質是正療法の調整が必要である場合でも、本試験を続行することが可能である。
【0163】
患者の数:
約430例の患者(ペマフィブラート投与を受ける患者280例;プラセボ/フェノフィブラート投与を受ける患者140例)
【0164】
用量レベル:
12週有効性試験期間
ペマフィブラート:0.2 mg 1日2回
プラセボ:1日2回
【0165】
40週長期投与試験期間
ペマフィブラート:0.2 mg 1日2回/フェノフィブラートに対応するプラセボ:1日1回
フェノフィブラート:48 mg 1日1回または145 mg 1日1回/ペマフィブラートに対応するプラセボ:1日2回
【0166】
投与の経路:
経口
【0167】
治療期間:
本試験は、試験薬に関する合計52週に渡る、12週二重盲検プラセボ比較有効性試験期間に続く、40週二重盲検実薬対照長期投与試験期間から成る。
【0168】
評価基準:
有効性:
有効性主要評価項目は、12週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率である。TGのベースラインは来院4(第1日)時および先行するTG適格化のための来院(必要なら、来院3[-1週]または来院3.1のいずれか)時の測定値の平均として定義される。
【0169】
12週有効性試験期間の有効性副次的評価項目は以下を含む:
・レムナントコレステロール(総コレステロール[TC]-(マイナス)低比重リポ蛋白C[LDL-C]-(マイナス)高比重リポ蛋白C[HDL-C])、HDL-C、アポリポ蛋白(Apo)A1、およびnon-HDL-Cの、12週時までのベースラインからの変化率;
ここで低比重リポ蛋白コレステロールは、調製用超遠心分離により測定される;
・TC、LDL-C、遊離脂肪酸(FFA)、Apo A2、Apo B、Apo B48、Apo B100、Apo C2、Apo C3およびApo Eの、12週時までのベースラインからの変化率;
・イオン移動度分析およびリポ蛋白分画(核磁気共鳴[NMR])における、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)および高感度C反応性タンパク質(hsCRP)の、12週時までのベースラインからの変化率;並びに
・TG:HDL-C、TC:HDL-C、non-HDL-C:HDL-C、LDL-C:Apo B、Apo B:Apo A1、およびApo C3:Apo C2の、脂質:リポ蛋白比における12週時までのベースラインからの変化率。
【0170】
40週長期投与試験期間の有効性副次的評価項目は以下を含む:
・52週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率;
・52週時までのレムナントコレステロール([TC]-[LDL-C]-[HDL-C]として計算)、HDL-C、Apo A1およびnon-HDL-Cの、ベースラインからの変化率;
ここで低比重リポ蛋白コレステロールは、調製用超遠心分離により測定される;
・TC、LDL-C、FFA、Apo A2、Apo B、Apo B48、Apo B100、Apo C2、Apo C3およびApo Eの、52週時までのベースラインからの変化率;
・イオン移動度分析およびリポ蛋白分画(核磁気共鳴[NMR])における、FGF21およびhsCRPの52週時までのベースラインからの変化;
・TG:HDL-C、TC:HDL-C、non-HDL-C:HDL-C、LDL-C:Apo B、Apo B:Apo A1、およびApo C3:Apo C2の、脂質:リポ蛋白比における52週時までのベースラインからの変化率。
【0171】
TG、TC、HDL-C、non-HDL-C、LDL-Cおよびレムナントコレステロールのベースライン値は、来院4(第1日)時および先行するTG適格化のための来院(必要であれば、来院3[-1週]または来院3.1)時の測定値の平均として規定される。他の別の有効性および安全性変数のベースライン値は、来院4(第1日)時として規定される。この来院時の測定値が欠測している場合、無作為化治験薬の初回投与前の最終測定値が用いられる。
【0172】
プラセボ(12週有効性試験期間)およびフェノフィブラート(40週長期投与試験期間)を受けるように無作為に割り付けられた患者については、有効性および安全性変数の来院7(12週)時からの変化も探索される。
【0173】
プラセボ群(12週有効性試験期間)およびフェノフィブラート群(40週長期投与試験期間)に無作為に割り付けられた患者については、有効性および安全性変数の来院7(12週)時からの変化も探索される。
【0174】
12週有効性試験期間の有効性の探索的評価項目は以下を含む:
・肝炎および肝線維症を示唆する選択バイオマーカー、例えばサイトケラチン-18(CK-18)、フェリチン、ヒアルロン酸、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、IV型コラーゲン、およびアジポネクチンの、12週までのベースラインからの変化。
【0175】
40週長期投与試験期間の有効性の副次的評価項目は以下を含む:
・肝炎および肝線維症を示唆する選択バイオマーカー、例えばCK-18、フェリチン、ヒアルロン酸、TNF-α、IV型コラーゲンおよびアジポネクチンの、52週までのベースラインからの変化。
【0176】
安全性:
安全性評価は、有害事象(AE)、臨床試験測定(化学、血液学、凝固プロファイル、内分泌学および尿分析)、12誘導心電図(ECG)、バイタルサイン(心拍数、呼吸数および血圧)および身体検査を含む。
【0177】
薬物動態/薬力学:
12週有効性試験期間の間に収集した薬物動態濃度が、集団PK解析およびPK/PD解析に用いられる。
【0178】
登録基準:
試験期間を通じて全ての試験要件および手順を理解し、進んでそれに従い、そして書面でのインフォームドコンセントを与えることができること;
年齢≧18歳;
【0179】
スタチン療法を受けている患者は次の基準の1つを満たさなければならない:
・高強度スタチン(または安全性の懸念により高強度スタチンの候補者でない場合には中強度スタチン)療法を受けている、臨床上のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する年齢≧21歳の患者(急性冠症候群または心筋梗塞、安定または不安定狭心症、冠動脈血行再建術、脳卒中、アテローム動脈硬化症起源のものと推測される一過性脳虚血発作[TIA]、または末梢動脈疾患もしくは血行再建術の既往歴);
【0180】
・高強度スタチン(または安全性の懸念により高強度スタチンの候補者でない場合には中強度スタチン)療法を受けている、副次的な修正可能な原因によるものでない、LDL-C≧190 mg/dLの既往歴を有する、年齢≧21歳の患者;
【0181】
・臨床的ASCVDを呈さないが、糖尿病であり、中強度または高強度スタチン療法を受けている、70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)のLDL-Cの既往歴を有する、年齢40~75歳(40歳と75歳を含む)の患者;
【0182】
・臨床的ASCVDまたは糖尿病を呈さないが、70~189 mg/dL(70 mg/dLと189 mg/dLを含む)のLDL-Cの既往歴を有し、中強度または高強度スタチン療法を受けている、Pooled Cohort Equation(統合コホート研究でのリスク予測方程式)により10年ASCVDリスク予測率が≧7.5%である、年齢40~75歳(40歳と75歳を含む)の患者;
【0183】
・現在スタチン治療中でない患者は、上記に列挙したスタチン療法の基準を満たさない;
・来院2(-2週)時および来院3(-1週)時の平均に基づいた空腹時TG値500 mg/dL(5.65ミリモル/L)以上かつ2000 mg/dL(22.60ミリモル/L)未満;
・来院1(-8週または-6週)時の正常腎機能(すなわち推算糸球体ろ過量[eGFR]≧90 mL/分/1.73 m2)。
【0184】
除外基準:
・試験期間中、治験薬(ペマフィブラートまたはフェノフィブラート)、スタチン、エゼチミブ、またはPCSK9阻害薬以外の脂質低下治療を必要とする患者。その中には、胆汁酸イオン封鎖剤、非試験フィブラート系薬、ナイアシン(>100 mg/日)、オメガ3脂肪酸(>1000 mg/日)、または赤米酵母サプリメント、ニンニクサプリメント、大豆イソフラボンサプリメント、ステロール/スタノール製剤、またはポリコサノールを含むがそれに限定されない脂質代謝を是正するために用いられる任意サプリメントが含まれる;
【0185】
・来院1(8週または6週)時に体格指数(BMI)>45 kg/m2である者;
・1型糖尿病患者;
・新たに診断を受けた患者(来院2[2週]時前の3ヵ月以内)または
・来院1(8週または6週)時にヘモグロビンAlc>9.5%として規定される、コントロール不能な2型糖尿病(T2DM)患者。
【0186】
統計解析:
有効性:
0.05水準の第一種過誤(ファミリーワイズエラー率)をコントロールするために、固定した連続試行手順を実行する。階層的下降方式で、主要評価項目を最初に試験し、次に副次的評価項目を試験し、次の階層方式で試験する:(1) レムナントコレステロール(TC-(マイナス)LDL-C-(マイナス)HDL-Cとして算出)、(2) HDL-C、(3) Apo A1、および(4) 非HDL-Cの固定順序での12週時までのベースラインからの変化率。各試験は、0.05有意水準で実施するよう計画する。それらの有効性評価項目についての推測結果は、事前試験の統計的有意差を必要とする。
【0187】
別の有効性評価項目については、基準p値および95%信頼区間(CI)が表示されるが、確証として解釈すべきではない。
【0188】
主要有効性解析は、フル・アナリシス・セット(FAS)に基づくパターン混合モデル代入法を用いたホッジス・レーマン(Hodges-Lehmann)推測量に基づく。パターン混合モデルは、12週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率についての主解析の一部として主代入法として使用する。この代入法は、患者層、病態およびベースラインTG、並びに療法への順守などの因子を含む。この代入モデルは、欠測している12週時TG値を以下のようにして代入する:
【0189】
・療法を順守しない患者および12週時測定値のない患者については、欠測データの代入法として、療法を遵守しないが12週時測定値のある、同じ治療群内の患者を使用する。
・プラセボ群からの患者層、病態並びにベースラインおよびベースライン後有効性データを含む、ランダムな欠測(MAR;Missing at Random)と仮定して、欠測12週時TG値を代入する。
【0190】
多重代入ステップの後、各代入データセットは、ノンパラメトリックのホッジス・レーマン法により解析し、そしてホッジス・レーマン推測値と標準誤差を併合して、治癒率の差の推定並びに95%信頼区間(CI)およびp値を求める。
【0191】
別の感度分析法は、以下を含む点を探索するためのものである:(1) ホッジス・レーマン推測による代入法で、FASに基づくロジスティック回帰を使って欠測の確率を推測すること;および(2) FASに基づくパターン混合モデル代入を用いる、12週時のTGのベースラインからの変化率のランク変換後の共分散分析(ANCOVA)。追加の統計法は、FASに基づくTGのベースラインからの変化率を用いる、混合効果モデル反復測定(MMRM)を含む探索であり得る。
【0192】
有効性の主解析は、パー・プロトコル・セット(Per-Protocol Set)に基づいて反復する。
【0193】
計画された来院時ごとの、ベースラインの要約統計量(患者数、平均、標準偏差、中央値、最小、最大、25パーセンタイル、および75パーセンタイル)、および各計画された来院までの空腹時TGのベースラインからの変化量と変化率を提供する。
【0194】
下降階層的試験手順に含まれる有効性の副次的評価項目は、(1) レムナントコレステロール、(2) HDL-C、(3) Apo Al、および(4) non-HDL-Cの固定順における12週時までのベースラインからの変化率を含む。
【0195】
12週有効性試験期間の間の有効性の副次的および探索的評価項目は、主解析に使用したものと同じ代入法を用いるANCOVAモデルを使って解析される。ANCOVAモデルには、因子として、国、現在のスタチン療法使用の有無(スタチン療法中でない者と現在スタチン療法中の者)、および治療が含まれ、共変量としてベースライン値が含まれる。正規性仮定が満たされない場合、主解析に使用したのと同じ代入法を使用するホッジス・レーマン推定量が用いられる。
【0196】
52週時までの空腹時TGのベースラインからの変化率の有効性副次的評価項目が記述的に要約される。40週長期投与試験期間の間のフェノフィブラート群の来院7(12週)時からの変化も、各来院時ごとに要約される。40週長期投与試験期間の間の他の有効性評価基準が記述的に要約されるだろう。仮説検定は全く実施されない。
【0197】
選択された主要、副次的および探索的有効性変数の解析は、スタチン療法(スタチン療法ありとスタチン療法なし)、性別、年齢(65歳未満対65歳以上)、人種(白色人種対非白色人種)、民族性および他のベースライン特性に基づいて、患者のサブグループについて実施することができる。
【0198】
安全性:
安全性評価項目データは、12週有効性試験期間、40週長期投与試験期間および全期間の安全性解析セット(Safety Analysis Set)について要約される。
【0199】
AEは、国際医薬用語集の最新版を使って表記される。AEおよび重篤なAE(SAE)の一般的要約は、AEの全患者数、重篤度、および治験薬との関係によって要約される。また、使用中止に至るAEの数および死亡に至るSAEの数も要約される。AEの発症率は、体系と治療群によって要約される。治療中に発現したAEの発生率も、器官別大分類および優先使用語(PT)により要約される。
【0200】
安全性試験データは、ベースラインからの変化と共に、来院および治療群により要約される。参照範囲の下限より下または上限より上である数値にフラグが付けられる。臨床的に有意であると同定された値または値の変化量にフラグが付けられる。特別に注目される検査所見の異常、例えば肝機能試験および膵炎イベントが要約される。
【0201】
バイタルサインと12誘導ECGも、ベースラインからの変化と共に、来院および治療群により要約される。
【0202】
薬物動態:
母集団PKおよびPK/PDデータを個別解析し報告する。コンパートメント・モデルを用いる母集団アプローチを使って濃度-時間データをモデル化し、患者特性の影響を調査して、それらが薬物暴露に影響を及ぼすかどうかを調べる。患者特性には、年齢、性別、人種、BMI、国別などが含まれる。加えて、薬物濃度と安全性変数との関係が調査される。安全性変数としては、限定されないが、AST、ALT、アルカリホスファターゼおよびCKが挙げられる。暴露の尺度(予測クリアランス、濃度-時間曲線下面積[AUC]、および/または最大血漿PK濃度[Cmax])は安全性変数と相関する。
【0203】
引用文献
本出願を通して、様々な刊行物が参照される。それらの刊行物の開示は、本発明が属する技術の現状をより十分に記載するために、本出願への参照として本明細書中に組み入れられる。開示される参考文献は、該参考文献が頼りとする文章の中で論じられるものに含まれる重要な材料について、本明細書中に参考として個別にかつ明確に組み込まれる。
【0204】
1. Miller M, Stone NJ, Ballantyne C他、"American Heart Association Clinical Lipidology, Thrombosis, and Prevention Committee of the Council on Nutrition, Physical Activity, and Metabolism; Council on Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology; Council on Cardiovascular Nursing; Council on the Kidney in Cardiovascular Disease." Triglycerides and cardiovascular disease: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2011;123(20):2292-2333.
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10. ベザトール(登録商標)SR錠の添付文書[Package insert for Bezatol (registered) SR Tablets] 2009年6月改訂(第12版)。
11. クロフィブラートカプセル錠の添付文書[Package insert for Clofibrate Capsules], 2009年6月改訂(第6版)。
12. シプロフィブラート100 mg錠、eMedicines Compendiumにある製品特性の要約。
13. ロピッド300 mg カプセル錠および600 mg錠、eMedicines Compendiumにある製品特性の要約。
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15. トリリピックス(登録商標)カプセル錠の添付文書、2012年9月改訂。
16. ロピッド(登録商標)錠の添付文書、2010年9月改訂。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。