(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181479
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ピンチクランプ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/28 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61M39/28 130
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188277
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2021518753の分割
【原出願日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】62/741,382
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/573,709
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィア フー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ エル.ソンデレッガー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ステイリー
(57)【要約】
【課題】正の変位を生成すると同時にリバウンドを防止するピンチクランプを提供すること。
【解決手段】医療用チューブをクランプするピンチクランプであって、下部クランプ面からなる下部アームであって、前記下部クランプ面は、第1の曲線を有する上方突出部からなる、前記下部アームと、上部クランプ面を備える上部アームであって、前記上部クランプ面は、第2の曲線を有する下方突出部を備え、前記上方突出部の前記第1の曲線は、前記下方突出部の前記第2の曲線に対して伸長しており、前記ピンチクランプが係合位置にあるとき、前記上方突出部は、前記下方突出部と整列している、前記上部アームと、前記下部アームと前記上部アームとの間に配置されたヒンジと、を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブをクランプするピンチクランプであって、
下部クランプ面からなる下部アームであって、前記下部クランプ面は、第1の曲線を有する上方突出部からなる、前記下部アームと、
上部クランプ面を備える上部アームであって、前記上部クランプ面は、第2の曲線を有する下方突出部を備え、前記上方突出部の前記第1の曲線は、前記下方突出部の前記第2の曲線に対して伸長しており、前記ピンチクランプが係合位置にあるとき、前記上方突出部は、前記下方突出部と整列している、前記上部アームと、
前記下部アームと前記上部アームとの間に配置されたヒンジと、
を備える、ピンチクランプ。
【請求項2】
前記下部クランプ面は、上方に突出する近位部分をさらに備え、前記上部アームは、前記下方突出部に近接し、その近位に位置する凹部をさらに備え、前記ピンチクランプが係合位置にあるとき、前記下方突出部と前記上方突出部との間の空間は、前記凹部と前記上方に突出する近位部分との間の空間よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のピンチクランプ。
【請求項3】
前記下部アームの遠位端から上方に延びる末端端部をさらに備え、前記末端端部は、下方に向いた係合面を有する係合構造を形成し、前記上部アームは、前記ピンチクランプが前記係合位置にあるとき、前記下部アームに対して旋回し、前記係合面の下に固定されるように構成されている、請求項1に記載のピンチクランプ。
【請求項4】
前記上部クランプ面と前記下部クランプ面との間に配置されたチャンネル「0026」をさらに含む、請求項1に記載のピンチクランプ。
【請求項5】
前記上方突出部と前記係合構造との間に、前記下部アームから上方に延びるタブをさらに備える、請求項3に記載のピンチクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ピンチクランプは、静脈内または他の医療システムのチューブを塞ぐために一般的に使用されている。
【背景技術】
【0002】
ピンチクランプは、多くの場合、上部アームがリビングヒンジを介して下部アームに接続されているクラムシェル(clam-shell)デザインになっている。下部アームは、通常、チューブが2つのアームの間にクランプされている閉位置に上部アームを保持するように構成されている。
【0003】
従来のピンチクランプの設計には、さまざまな欠点がある。例えば、成形プロセスのため、ピンチクランプは通常、患者に不快感を与える可能性のある鋭いエッジを持っている。成形プロセスにより、ピンチクランプも比較的かさばる。多くのピンチクランプの設計では、閉じた位置にあるときに2つのアームが横方向に移動して、ピンチクランプが意図せずに外れることもある。横方向の解放機能がこれらの設計に組み込まれている場合でも、機能の非対称性はしばしば一方向の故障につながる。
【0004】
多くのピンチクランプの設計では、過剰な係合が可能であり、リバウンドが発生する可能性がある。
図1A~1Cは、ピンチクランプ100が過剰に係合したときにリバウンドがどのように発生するかの一例を示している。ピンチクランプ100は、リビングヒンジ(living hinge)130を介して下部アーム120に接続されている上部アーム110を含む。末端部分140(「末端」は、末端部分140が、リビングヒンジ130に対して患者またはチューブ190の遠位端に向かっていることを表す)は、リビングヒンジ130の反対側の下部アーム120から上向きに延びる。末端部分140の上端には、係合構造141が形成されている。係合構造141は、上部アーム110の前端111が係合面141の下に維持され、それによってピンチクランプ100と係合することを可能にするように下向きに配向された係合面141を形成する。この係合位置では、下部クランプ面151および上部クランプ面152は、ピンチクランプ100を通って延びるチューブ190を妨害するのに十分に近接して配置される。
【0005】
図1Aは、係合位置にあるときのピンチクランプ100を示している。ピンチクランプ100をこの係合位置に動かすために、臨床医は、通常、上部アーム110の前端111が係合面141の下に落ちるまで、上部アームおよび下部アーム110、120を圧迫する。その時点で、バイアスされた末端部分140は、係合面141の下に先端111を維持するであろう。しかしながら、係合位置に到達するために必要なものを超えて下向きに移動する上部アーム110の能力のために、困難が生じる。例えば、
図1Bは、前端111が係合面141aを実質的に超えて移動するように、上部アーム110が下向きに強制されていることを示している。その結果、上部クランプ面152は、下部クランプ面151と接触し、下部クランプ面151に対して前方方向(すなわち、末端部分140に向かって)に移動した。
【0006】
下部クランプ面151に対する上部クランプ面152のこの前方移動は、
図1Bの矢印によって表されるように、チューブ190内の流体の「正の変位」をもたらす。言い換えれば、ピンチクランプ100の過度の係合は、チューブ190内の流体が患者に流入するか、少なくとも患者に向かって流入する。正の変位が一般的に望ましい。ただし、このシナリオでは、正の変位は過剰な係合の結果であるため、
図1Cに示すようにリバウンドが発生する。
図1Cでは、臨床医がもはやピンチクランプ100を圧迫しておらず、したがって、上部アーム110が上方に旋回して係合位置に(すなわち、先端111が係合面141aに接触するまで)戻ったと想定される。下部アーム120に対する上部アーム110のこの上向きの動きは、上部クランプ面152も上向きで幾分後方に移動することになる。この上向きおよび後ろ向きの動きは、「ピンチポイント」(すなわち、下部クランプ面151および上部クランプ面152がチューブ190を閉塞する点)から下流のチューブ190の内部容積を増加させる。結果として、流体(おそらく血液を含む)は、チューブ190が結合されている他のデバイスのカテーテルに吸い込まれる。リバウンドという用語は、
図1Bに示されている過剰に係合した位置から
図1Cに示されている係合位置へのこの遷移を表す。
【0007】
ピンチクランプのリバウンドに起因する逆流は、多くの問題を引き起こす。例えば、血液の逆流は、閉塞(例えば、カテーテル内の管腔内血栓に起因する)のリスクを高める可能性があり、カテーテルからの液体の注入や血液の採取を妨げる可能性がある。閉塞が起こらなくても、逆流は感染のリスクを高める可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、一般に、反発を防止しながら正の変位を提供するように設計されたピンチクランプに関する。その結果、これらのピンチクランプの設計により、逆流の発生が最小限に抑えられる。ピンチクランプの設計は、リバウンドを防ぐだけでなく、横方向の解放を防ぎ、係合に必要な力を最小限に抑え、患者の快適さを向上させることができる。
【0009】
正の変位を提供しながら反発を防ぐために、上部および下部のクランプ面は、ピンチプロファイルを形成するように構成され得、それに沿って、ピンチプロファイルの遠位端に形成されるピンチポイントでチューブが圧縮される。リバウンドをさらに防止するために、ピンチクランプの下部アームは、上部アームが過度に係合した位置に強制された場合でも、ピンチポイントの遠位移動を防止するために上部クランプ表面とインターフェースするブロッキングリブを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、近位端および遠位端を有する上部アームと、近位端および遠位端を有する下部アームとを含むピンチクランプとして実施され、下部アームの近位端がヒンジを介して上部アームの近位端に結合されている。ピンチクランプはまた、下部アームの遠位端から上向きに延びる末端を含む。末端端部は、ピンチクランプを係合位置に保持するために上部アームの遠位端とインターフェースする係合面を形成する係合構造を含む。上部クランプ面は上部アームに形成され、近位部分と遠位部分を有する。また、下部アームには下部クランプ面が形成されており、近位部分と遠位部分がある。前記ピンチクランプが係合位置にあるとき、前記上部クランプ面の遠位部分と前記下部クランプ面の遠位部分との間の距離は、前記上部クランプ面の近位部分と前記下部クランプ面の近位部分との間の距離よりも短い。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、近位端および遠位端を有する上部アームと、近位端および遠位端を有する下部アームとを含むピンチクランプとして実施され、下部アームの近位端がヒンジを介して上部アームの近位端に結合されている。ピンチクランプはまた、下部アームの遠位端から上向きに延びる末端を含む。末端端部は、ピンチクランプを係合位置に保持するために上部アームの遠位端とインターフェースする係合面を形成する係合構造を含む。上部クランプ面は上部アームに形成され、近位部分と遠位部分を有する。また、下部アームには下部クランプ面が形成されており、近位部分と遠位部分がある。ピンチクランプは、前記下部アームの両側面側に配置され、前記下部クランプ面の遠位部分から遠位に延びるブロッキングリブをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、近位端および遠位端を有する上部アームと、近位端および遠位端を有する下部アームとを含むピンチクランプとして実施され、下部アームの近位端がヒンジを介して上部アームの近位端に結合されている。ピンチクランプはまた、下部アームの遠位端から上向きに延びる末端を含む。末端端部は、ピンチクランプを係合位置に保持するために上部アームの遠位端とインターフェースする係合面を形成する係合構造を含む。上部クランプ面は、上部アームに形成され、平坦な近位部分と、平坦な近位部分から下向きに突出する遠位部分とを有する。下部アームには下部クランプ面が形成されており、平らである。
【0013】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、両方とも例示的且つ説明的であり、特許請求の範囲と同様に、本発明を限定しないと理解される。さまざまな実施形態は、図面に図示される配置および手段に限定されないことを理解されたい。また、実施形態を組み合わせることができ、または他の実施形態を利用することができ、そうであると主張されない限り、本発明のさまざまな実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更をすることができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、具体的且つ詳細に記載および説明されることとなる。
【0015】
【
図1】
図1は、ピンチクランプが過剰に係合されたときにピンチクランプがどのように逆流を引き起こすかを含む従来技術のピンチクランプを示す。
【
図1A】
図1Aは、ピンチクランプが過剰に係合されたときにピンチクランプがどのように逆流を引き起こすかを含む従来技術のピンチクランプを示す。
【
図1B】
図1Bは、ピンチクランプが過剰に係合されたときにピンチクランプがどのように逆流を引き起こすかを含む従来技術のピンチクランプを示す。
【
図1C】
図1Cは、ピンチクランプが過剰に係合されたときにピンチクランプがどのように逆流を引き起こすかを含む従来技術のピンチクランプを示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態に従って構成されたピンチクランプの正面斜視図を提供する。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態に従って構成されたピンチクランプを示す。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態に従って構成されたピンチクランプを示す。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態に従って構成されたピンチクランプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に従って構成されたピンチクランプは、正の変位を提供すると同時に、反発を防止して、それによって逆流の発生を最小限に抑えることができる。単一のピンチポイントとは対照的に、ピンチプロファイルを提供するように上部および下部クランプ面を構造化することにより、本発明のピンチクランプは、正の変位を引き起こすことができる。さらに、上部および下部のクランプ面は、ピンチプロファイルの遠位端に向かってピンチポイントを形成するように構成することができる。ピンチポイントを遠位端に向けて配置することで、ピンチクランプが過度にかみ合った場合のリバウンドの可能性を最小限に抑えることができる。代替的または追加的に、ピンチクランプは、上部アームが過剰に係合した位置に強制された場合でも、ピンチポイントの遠位移動を防ぐために上部クランプ表面とインターフェースするブロッキングリブを含むことができる。
【0017】
図2A~2Eは、本発明の実施形態に従って構成されるピンチクランプ200の様々な図を提供する。ピンチクランプ200は、上部アーム210、下部アーム220、上部アームおよび下部アーム210、220の近位端を結合するリビングヒンジ230、および下部アーム220の遠位端から上方に延びる末端部分240を含む。リビングヒンジ230および末端部分240は、それぞれ、チューブ(図示せず)が延びる開口部230aおよび240aを形成する。末端部分240の上部は、下向きの係合面241aを有する係合構造241を形成する。上部アーム210は、下部アーム220に対して旋回して、上部アーム210の前端211が係合面241aの下に固定され、それによってピンチクランプ200を係合位置に維持することを可能にする。いくつかの実施形態では、先端211は、上部アーム210の片側から外向きに延びる突出部分212を含み得る。グリップを強化するために、上部アーム210および下部アーム220は、それぞれのアームの幅にまたがる一連の隆起(ridge)213および222をそれぞれ含み得る。
【0018】
横方向の解放を防ぐために、下部アーム220は、下部アーム220の両側面側から上方に延在してタブ間にギャップを形成するタブ221を含むことができる。上部アーム210は、上部アーム210の下側から下向きに延在し、タブ221の間のギャップに挿入するように構成されたリブ214を含むことができる。リブ214とタブ221との間のインターフェースは、係合位置にある間、上部アーム210が下部アーム220に対して横方向に移動するのを防ぎ、それにより、先端211が横方向に外れて表面241aに係合するのを防ぐ。
図2Bに最もよく見られるように、リブ214およびタブ221は、末端部分240に向かって配置することができる。タブ221は、横方向の解放を防止することに加えて、チューブを下部アーム210と上部アーム220との間の中心に置くようにも機能する。他の実施形態では、ピンチクランプ200は、
図5に示されるように、リブ214を含まなくてもよい。そのような実施形態では、ピンチクランプ200は、横方向の動きによって解放することができるが、それでも正の変位を提供し、チューブを中心に置く。
【0019】
図2Bに最もよく示されるように、ピンチクランプ200は、下部アーム220が水平であり、ピンチクランプ220が解放位置にあるときに、上部アーム210が上向きの角度に向けられるように構成することができる。また、
図2Cに最もよく示されるように、上部アーム210および下部アーム220の外縁231は、鋭い縁を排除し、それによって患者の快適さを高めるために丸みを帯びている。
【0020】
上部アーム210は、リブ214の近位に配置され、リブ214を超えて下方に延びる上部クランプ面252を形成する。
図2A~2Eに示される実施形態を含むいくつかの実施形態では、上部クランプ面252は、概して平坦な近位部分252bおよび突出する遠位部分252aを含む。他の実施形態では、上部クランプ面252は、上部クランプ面252がその近位端からその遠位端まで一般に平坦であるように、突出した遠位部分252aを含まなくてもよい。下部アーム220は、概して平坦である下部クランプ面251を形成する。ブロッキングリブ253は、下部アーム220の両側面側に沿って、下部クランプ面251の遠位端を越えて遠位方向に延びる。それにより、ギャップ253aが、下部クランプ面251の遠位にあるブロッキングリブ253の間に形成される。いくつかの実施形態では、タブ221は、ブロッキングリブ253の隆起した延長部を含む。
【0021】
上部クランプ面252および下部クランプ面251は両方とも細長くされ、それにより、ピンチクランプ200が係合位置にあるときにピンチプロファイルを作成する。
図2Dおよび2Eを参照すると、上部クランプ面252は、ピンチクランプが解放位置にあるときに、下部クランプ面251に対して遠位方向に上向きに角度が付けられるように構成することができる。次に、ピンチクランプ200が係合位置に移行すると、上部クランプ面252は、下部クランプ面251に対して下向きに旋回する。この移行の一部として、近位部分252bは、最初に、チューブを下部クランプ面251の近位端に向かって接触させて圧縮する。チューブのこの圧縮により、正の変位が発生する。ピンチクランプ200が完全に係合位置に移行し、上部クランプ面252が下向きに角度を付けられているため、遠位部分252aは、下部クランプ面251の遠位端に向かってチューブに接触し、圧縮し、閉塞する(すなわち、ピンチポイントを作成する)。したがって、ピンチプロファイルは、クランプ面251/252の近位端に向かってチューブを圧縮することと、クランプ面251/252の遠位端でのチューブを閉塞することとで構成される。
【0022】
チューブを閉塞するのに必要な力は、突出した遠位部分252aを提供することによって最小限に抑えられる。より具体的には、突出した遠位部分252aは、閉塞されるチューブの長さを最小化し、それにより、係合位置に到達するために必要な圧搾力を最小化する。対照的に、上部クランプ面252が平坦である場合、より長いチューブが圧縮されて閉塞され、それにより、係合位置に到達するために必要な圧搾力が増加する。
【0023】
再び
図2Eを参照すると、ブロッキングリブ253の配置により、ピンチクランプ200に過剰な係合力が加えられると、上部クランプ面252は、下部クランプ面251に対して下方向に移動するのを阻止される。言い換えれば、ブロッキングリブ253は、ピンチポイントが遠位方向に移動するのを防ぎ、それによって、過剰な係合力が除去されると、反発を防ぐ。下部クランプ面251およびブロッキングリブ253のほぼ平坦な配向は、上部クランプ面252の下向きに角度を付けられた配向と組み合わされて、上部アーム220にかかる過剰係合力を遠位部分252aの周りの旋回力に変換する。この旋回力は、上部クランプ面252が下部クランプ面251に対して遠位方向にスライドする可能性を最小限に抑える。
【0024】
図3は、ピンチプロファイルも提供する下部クランプ面251および上部クランプ面252の代替構成を示している。この実施形態では、上部クランプ面252は、上で説明したものと同様に、概して平坦な近位部分252bおよび突出した遠位部分252aを含む。しかしながら、下部クランプ面251はまた、一般に遠位部分252aと整列するが、遠位部分252aに対して伸長される突出した遠位部分251bを含む。この構成では、上部および下部クランプ面252/251のほぼ平坦な近位部分がチューブを圧縮し、一方、遠位部分252a/251aがピンチポイントを形成する。
【0025】
図4は、ピンチプロファイルも提供する下部クランプ面251および上部クランプ面252の代替構成を示している。この実施形態では、下部クランプ面251は平坦ではないが、突出した遠位部分251aに加えて突出した近位部分251bを含む。近位部分251bは、遠位部分251aよりも上方に突出している。上部クランプ面252は、突出した遠位部分252aならびに突出する近位部分252bを含む。凹部252cは、遠位部分252aと近位部分252bとの間に形成され、近位部分251bの湾曲形状に対応する湾曲形状を有する。近位部分251bは、凹部分252cに挿入され、これにより、ピンチクランプの過度の係合を防ぐことができる。
【0026】
図4に示されるように、係合位置にあるとき、ほぼ一定の間隔が、近位部分251bと陥凹部分252cとの間、および近位部分251bと近位部分252bとの間に形成される。この一定の間隔は、チューブが圧縮されるが閉塞されないチャネルを形成する。対照的に、係合位置では、遠位部分252aと遠位部分251aとの間の間隔は、他の部分との間の一定の間隔よりも小さく、その結果、ピンチポイントが遠位部分252a/251aとの間に形成される。
【0027】
図3および4に示される実施形態では、細長い上部および下部クランプ面は、正の変位を提供し、またリバウンドを防止する。ピンチポイントをクランプ面の遠位端に配置するピンチプロファイルにより、リバウンドが防止される。
【0028】
要約すると、本発明のピンチクランプは、ピンチプロファイルを提供するように構成された上部および下部クランプ面を含む。このピンチプロファイルは、クランプ面の近位端に向かってチューブを圧縮することによって正の変位を提供し、クランプ面の遠位端に向かってピンチポイントを配置することによってリバウンドを防いでいる。