(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181485
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A01C11/02 341
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188348
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2021155428の分割
【原出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩見 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鳥津 龍之
(72)【発明者】
【氏名】林 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
(72)【発明者】
【氏名】藤代 孝行
(72)【発明者】
【氏名】朝田 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】小松 弘茂
(57)【要約】
【課題】 走行しながら苗を植付ける、田植え機などのような作業車両が、知られている。しかしながら、従来の田植え機などのような作業車両については、作業車両の大型化にともなうユーザーの負担の軽減が必ずしも十分に実現されていない。
【解決手段】 走行しながら苗を植付ける作業車両であって、整地ローター部材(261)を駆動する、長手方向が車体左右方向である整地ローター駆動軸(730)を備え、
前記整地ローター駆動軸(730)の外側端部は、前記整地ローター駆動軸(730)の中央部へ切離し可能に固定されており、前記中央部から前記切離された外側端部を吊下げる整地ローター駆動軸吊下げ具(735)が、設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら苗を植付ける作業車両であって、
整地ローター部材(261)を駆動する、長手方向が車体左右方向である整地ローター駆動軸(730)を備え、
前記整地ローター駆動軸(730)の外側端部(730e)は、前記整地ローター駆動軸(730)の中央部(730c)へ切離し可能に固定されており、
前記中央部(730c)から前記切離された外側端部(730e)を吊下げる整地ローター駆動軸吊下げ具(735)が、設けられていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記中央部(730c)から前記切離された外側端部(730e)は、前記整地ローター駆動軸吊下げ具(735)を利用することにより、上方へ向かって移動するように付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
走行しながら苗を植付ける作業車両であって、
車体左右方向に並んで設けられた複数の苗植付け具(241)を支持する、長手方向が前記車体左右方向である支持フレーム(710)と、
整地ローター部材(261)を駆動する、長手方向が前記車体左右方向である整地ローター駆動軸(730)と、
を備え、
前記支持フレーム(710)の外側端部(710e)を前記支持フレーム(710)の中央部(710c)へ折畳み可能に固定する支持フレーム固定具(711)が、設けられており、
前記整地ローター駆動軸(730)の外側端部(730e)を前記整地ローター駆動軸(730)の中央部(730c)へ切離し可能に固定する整地ローター駆動軸固定具(731)が、設けられており、
前記支持フレーム固定具(711)の折畳み手動操作部(711m)の位置と、前記整地ローター駆動軸固定具(731)の切離し手動操作部(711m)の位置と、は、前記車体左右方向を基準としてずれていることを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
走行しながら苗を植付ける、田植え機などのような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、さまざまな観点からユーザーの負担を軽減することが重要であると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来の田植え機などのような作業車両については、作業車両の大型化にともなうユーザーの負担の軽減が必ずしも十分に実現されていない。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、作業車両の大型化にともなうユーザーの負担を軽減することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、走行しながら苗を植付ける作業車両であって、
整地ローター部材(261)を駆動する、長手方向が車体左右方向である整地ローター駆動軸(730)を備え、
前記整地ローター駆動軸(730)の外側端部(730e)は、前記整地ローター駆動軸(730)の中央部(730c)へ切離し可能に固定されており、
前記中央部(730c)から前記切離された外側端部(730e)を吊下げる整地ローター駆動軸吊下げ具(735)が、設けられていることを特徴とする作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、前記中央部(730c)から前記切離された外側端部(730e)は、前記整地ローター駆動軸吊下げ具(735)を利用することにより、上方へ向かって移動するように付勢されていることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、走行しながら苗を植付ける作業車両であって、
車体左右方向に並んで設けられた複数の苗植付け具(241)を支持する、長手方向が前記車体左右方向である支持フレーム(710)と、
整地ローター部材(261)を駆動する、長手方向が前記車体左右方向である整地ローター駆動軸(730)と、
を備え、
前記支持フレーム(710)の外側端部(710e)を前記支持フレーム(710)の中央部(710c)へ折畳み可能に固定する支持フレーム固定具(711)が、設けられており、
前記整地ローター駆動軸(730)の外側端部(730e)を前記整地ローター駆動軸(730)の中央部(730c)へ切離し可能に固定する整地ローター駆動軸固定具(731)が、設けられており、
前記支持フレーム固定具(711)の折畳み手動操作部(711m)の位置と、前記整地ローター駆動軸固定具(731)の切離し手動操作部(711m)の位置と、は、前記車体左右方向を基準としてずれていることを特徴とする作業車両である。
【発明の効果】
【0010】
第1の本発明により、作業車両の大型化にともなうユーザーの負担を軽減することが可能である。
【0011】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0012】
第3の本発明により、作業車両の大型化にともなうユーザーの負担を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
【
図2】本発明における実施の形態の田植え機のブロック図
【
図3】(a)本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け装置近傍の部分平面図、(b)本発明における実施の形態の田植え機の支持フレーム近傍の部分背面図、(c)本発明における実施の形態の田植え機の支持フレーム近傍の部分平面図
【
図4】本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け装置近傍の部分左側面図
【
図5】本発明における実施の形態の田植え機の補強部材近傍の部分平面図
【
図6】本発明における実施の形態の田植え機の整地ローター駆動軸吊下げ具近傍の部分左側面図
【
図7】本発明における実施の形態の田植え機の支持フレーム固定具および整地ローター駆動軸固定具近傍の部分平面図
【
図8】本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け具駆動軸近傍の部分平面図
【
図9】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その一)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その二)
【
図10】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その三)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その四)、(c)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その五)
【
図11】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その六)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その七)、(c)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その八)、(d)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その九)、(e)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その十)、(f)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その十一)、(g)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その十二)、(h)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その十三)
【
図12】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のリヤステップの説明図(その一)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のリヤステップの説明図(その二)
【
図13】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のリヤステップの説明図(その三)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のリヤステップの説明図(その四)
【
図14】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その一)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その二)、(c)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その三)、(d)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その四)、(e)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その五)、(f)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その六)、(g)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その七)、(h)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その八)、(i)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その九)
【
図15】(a)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のレール式苗枠の説明図(その一)、(b)本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のレール式苗枠の説明図(その二)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態、および本発明に関連する発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0016】
(A)はじめに、
図1から4を参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0017】
ここに、
図1は本発明における実施の形態の田植え機の左側面図であり、
図2は本発明における実施の形態の田植え機のブロック図であり、
図3(a)は本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け装置240近傍の部分平面図であり、
図3(b)は本発明における実施の形態の田植え機の支持フレーム710近傍の部分背面図であり、
図3(c)は本発明における実施の形態の田植え機の支持フレーム710近傍の部分平面図であり、
図4は本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け装置240近傍の部分左側面図である。
【0018】
本実施の形態の田植え機は、車体100の操縦装置230における手動操縦操作または自動操縦操作のためのコントローラー500の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で走行しながら、整地ローター部材261および整地フロート部材262を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け装置240により圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0019】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置300および副変速装置400などを介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0020】
本実施の形態の田植え機は、走行しながら苗を植付ける、本発明における作業車両の例である。
【0021】
支持フレーム710は、車体左右方向に並んで設けられた複数の苗植付け具241、整地ローター部材261および整地フロート部材262を支持するフレームである。支持フレーム710の長手方向は、車体左右方向である。支持フレーム710の外側端は、車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。支持フレーム710のアルミフレーム回動支点は、支持部材750の苗取り量調節レバー回動支点と、支持部材750のフレームの後方の補強部材740の補強フレーム回動支点と、で決定される直線の上に設けられる。支持フレーム710に関する、矢印Xで示された上向きのアルミフレーム90度折畳みが実現される。このような折畳み機構は車体左右方向における支持フレーム710の両方の外側端に設けられるので、苗植付け部の両サイド折畳みによるコンパクトな収納を行うことができる。
【0022】
苗植付け具駆動軸720は、苗植付け具241を駆動する、長手方向が車体左右方向である部材である。苗植付け具駆動軸720の外側端は、取外し可能である、または車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。本実施の形態においては、苗植付け具駆動軸720の外側端は車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。苗植付け具駆動軸720に関する、駆動部ユニバーサルジョイント構成により、アルミフレーム折畳みとともに駆動部回動を行うことができる。折畳みにともなう苗植付け具駆動軸720の駆動部取外しのみならず、いわゆる位相合わせなどのような調節作業も不要であるので、使いやすさが向上される。
【0023】
整地ローター駆動軸730は、整地ローター部材261を駆動する、長手方向が車体左右方向である部材である。整地ローター駆動軸730の外側端は、取外し可能である、または車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。本実施の形態においては、整地ローター駆動軸730の外側端は取外し可能である。整地ローター部材261に関する、支持フレーム710のアルミフレームからの自由なローター脱着により、コンパクトなローター収納を行うことができる。
【0024】
補強部材740は、複数の苗植付け具241を繋いで補強する、長手方向が車体左右方向である部材である。補強部材740の外側端は、取外し可能である、または車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。本実施の形態においては、補強部材740の外側端は車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。
【0025】
苗載せ台支持レール620は、植付けられる苗を載せる苗載せ台610を支持するレールである。支持部材750は、苗載せ台610と苗植付け具241との間の距離が調節可能であるように苗載せ台支持レール620を下方から支持する、長手方向が車体左右方向である回動可能な部材である。支持部材750の外側端は、取外し可能である、または車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。本実施の形態においては、支持部材750の外側端は車体左右方向における車体中央へ向かって折畳み可能である。
【0026】
苗植付け具駆動軸720、整地ローター駆動軸730、補強部材740および支持部材750の四つの部材の内、少なくとも一つの部材の外側端は、折畳み可能である。少なくとも一つの部材の折畳み箇所の位置は、車体左右方向および上下方向において支持フレーム710の折畳み箇所の位置と一致する。本実施の形態においては、苗植付け具駆動軸720、補強部材740および支持部材750の外側端は折畳み可能であり、少なくとも補強部材740および支持部材750の折畳み箇所の位置は車体左右方向および上下方向において支持フレーム710の折畳み箇所の位置と一致する。たとえば、支持フレーム710のアルミフレームの下方に設けられたノブのような折畳み手動操作部711mの締付けでフレーム固定を行うことができるので、容易なノブ回しのみによる支持フレーム折畳みのワンタッチ操作が実現される。
【0027】
(B)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0028】
(B1)はじめに、
図5を主として参照しながら、説明する。
【0029】
ここに、
図5は、本発明における実施の形態の田植え機の補強部材740近傍の部分平面図である。
【0030】
苗載せ台610を支持する、長手方向が車体左右方向である、苗載せ台支持レール620の外側端部620eは、苗載せ台支持レール620の中央部620cへ取外し可能に固定されている。中央部620cから取外された外側端部620eは、車体左右方向に並んで設けられた複数の苗植付け具241の近傍へ係止可能である。
【0031】
このような苗載せ台支持レール620の外側端部620eは、マグネットの吸着を利用することにより行われてもよいし、螺子の締結を利用することにより行われてもよい。
【0032】
複数の苗植付け具241の近傍へ係止された外側端部620eは、複数の苗植付け具241を繋いで補強する、長手方向が車体左右方向である、補強部材740へ取外し可能に固定されている。
【0033】
もちろん、外側端部620eは、中央部620cから取外された後、中央部620cのような複数の苗植付け具241の近傍の箇所へ固定されていてもよい。
【0034】
外側端部620eを中央部620cへ取外し可能に固定する苗載せ台支持レール固定具621が、設けられている。複数の苗植付け具241の近傍へ係止された外側端部620eは、苗載せ台支持レール固定具621を利用することにより、補強部材740へ取外し可能に固定されている。
【0035】
図5に示されているように、望ましくは、2個のいわゆるサイドマエ板のような外側端部620eの各々は、対応する2個のノブボルトのような苗載せ台支持レール固定具621の各々を補強部材740へ設けられたナット部材741へ締結することにより、固定されている。しっかりしたボルトナット締結による固定が行われるので、中央部620cから取外されて収納された外側端部620eの振動などに起因する車体100のからの脱落などは、ほとんど発生しない。
【0036】
すなわち、乗用田植機において、植付け部に、植付け部のマエ板端部を取外し可能に構成し、使用状態になるようにマエ板同士を固定する固定部材(ナットとノブボルト)を設け、固定部材を外すことで、取外すことができ、端部の取外したマエ板を、植付け部から取外されていないマエ板に係止したり、固定部材で固定したりすることができる。振動による落下や破損防止を防止する効果が、発揮される。
【0037】
そして、植付け部中央のマエ板に、取外したマエ板を固定部材により係止する係止具を備え、係止具は、左右方向に複数並ぶ植え込みカンの間に位置し、左右端部のマエ板を固定できるように係止具は、左右のマエ板を係止できるように構成されている。
【0038】
(B2)つぎに、
図6および7を主として参照しながら、説明する。
【0039】
ここに、
図6は本発明における実施の形態の田植え機の整地ローター駆動軸吊下げ具735近傍の部分左側面図であり、
図7は本発明における実施の形態の田植え機の支持フレーム固定具711および整地ローター駆動軸固定具731近傍の部分平面図である。
【0040】
整地ローター部材261を駆動する、長手方向が車体左右方向である、整地ローター駆動軸730の外側端部730eは、整地ローター駆動軸730の中央部730cへ切離し可能に固定されている。中央部730cから切離された外側端部730eを吊下げる整地ローター駆動軸吊下げ具735が、設けられている。
【0041】
図6に示されているように、望ましくは、収納された整地ローター部材261は、サイド整地ローター収納のための回動支点部へ設けられたスプリングのような整地ローター駆動軸吊下げ具735で引付けられているので、自重などで垂下がらない。
【0042】
中央部730cから切離された外側端部730eは、整地ローター駆動軸吊下げ具735を利用することにより、上方へ向かって移動するように付勢されている。
【0043】
サイド整地ローター折畳みをともなう苗植付け部収納が行われるとき、外側端部730eの車体左右方向における広がりを惹起するサイド整地ローター垂下がりは矢印Yで示された上向きのスプリング付勢によりほとんど発生しないので、苗植付け部収納作業は容易であり、田植え機車体幅がサイド整地ローター回動にともなって田植え機積載トラック荷台幅より大きくなりにくい。
【0044】
すなわち、植付け部に支持され、植付け部の端部を折畳むことで、整地ローターも折畳め、端部整地ローターが植付け部基部側の整地ローターから取外された場合、自重で整地ローターが垂下がらないようにする部材(弾性部材)を備える。スプリングが無かったため、植付け部収納時にサイドローターが垂下がり、収納し辛かったのを防止する効果が、発揮される。また、サイドローターが回動し、田植機機体幅がトラックの荷台幅より広がっていたことを防止する効果が、発揮される。
【0045】
(B3)つぎに、
図7および8を主として参照しながら、説明する。
【0046】
ここに、
図8は、本発明における実施の形態の田植え機の苗植付け具駆動軸720近傍の部分平面図である。
【0047】
車体左右方向に並んで設けられた複数の苗植付け具241を支持する、長手方向が車体左右方向である、支持フレーム710の外側端部710eを支持フレーム710の中央部710cへ折畳み可能に固定する支持フレーム固定具711が、設けられている。整地ローター駆動軸730の外側端部730eを整地ローター駆動軸730の中央部730cへ切離し可能に固定する整地ローター駆動軸固定具731が、設けられている。支持フレーム固定具711の折畳み手動操作部711mの位置と、整地ローター駆動軸固定具731の切離し手動操作部731mの位置と、は、車体左右方向を基準としてずれている。
【0048】
整地ローター部材261の折畳みにおいては、外側端部730eを中央部730cへ固定する止めピン731pが取外された後、中央部730cから切離された外側端部730eは、治具なしに整地ローターノブボルト手動操作を行うためのノブのような切離し手動操作部731mを回すことにより、車体左右方向における車体中央から離れる向きに移動させられ、外側端部730eの切離しが行われる。
【0049】
図7に示されているように、望ましくは、折畳み手動操作部711mの位置と切離し手動操作部731mの位置との間における段違いDが、設けられている。したがって、苗植付け部ノブボルト手動操作を行うための折畳み手動操作部711mが手指で回されるとき、折畳み手動操作部711mを回す手指は整地ローターノブボルト手動操作を行うための切離し手動操作部731mと干渉しにくいので、苗植付け部ノブボルト手動操作は容易である。同様に、切離し手動操作部731mが手指で回されるとき、切離し手動操作部731mを回す手指は折畳み手動操作部711mと干渉しにくいので、整地ローターノブボルト手動操作は容易である。
【0050】
図8に示されているように、望ましくは、苗植付け具駆動軸720の2個のユニバーサルジョイント721の苗植付け停止位置での位相は支持フレーム710の折畳みを行うことができる方向性を有する。苗植付け停止位置でのユニバーサルジョイント位相が支持フレーム折畳みを阻害しないように、苗植付け伝動のための苗植付け具駆動軸720の駆動停止は煩わしい手動操作などによる駆動調節作業なしに自動調節処理で行われるので、そのような支持フレーム折畳みをともなう作業の効率性が作業容易化により向上される。
【0051】
すなわち、ローターを折畳むための固定操作具と、植付け部のフレームを折畳むための固定操作具を備え、固定具を平面視で段違いにし、植付け伝動軸に於いて、折畳み部のユニバーサル位相を、植付け停止位置で折畳める方向とした構成が、考えられる。植付け部、ローターの折畳み操作が容易になる効果が、発揮される。ノブボルトを回す時、回し易い効果が、発揮される。
【0052】
(C)つぎに、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の構成および動作
について具体的に説明する。
【0053】
<10条田植機用折畳み式補助ステップ>
はじめに、
図9(a)および9(b)ならびに
図10(a)から10(c)を主として参照しながら、10条田植機用折畳み式補助ステップについて説明する。
【0054】
ここに、
図9(a)および9(b)は本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その一および二)であり、
図10(a)から10(c)は本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その三から五)である。
【0055】
機体リヤ側の補助ステップにステーを取付けることで取付け可能な態様が、考えられる。リヤ側の補助ステップは折畳んで収納できるが、サイドステップの補助ステップは取外さなければ収納できない態様においては、トラックで運搬ができないことがある。現行のリヤ側補助ステップに取付けできるので、単品での交換が可能でメンテナンスが容易である。
【0056】
機体内側へ折畳んで収納可能な態様が、考えられる。折畳んで収納できるため、作業時と運搬時で取外したり、再度組み付けたりする必要が無くなる。
【0057】
つぎに、
図11(a)から11(h)を主として参照しながら、10条田植機用折畳み式補助ステップについて具体的に説明する。
【0058】
ここに、
図11(a)から11(h)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の10条田植機用折畳み式補助ステップの説明図(その六から十三)である。
【0059】
補助ステップを取付けるステーには、ピンが2本付いており、2本のピンは機体外側に向いている態様が、考えられる。ピンが機体外側に向いていることで、補助ステップを機体外側にスライドすることができる。
【0060】
補助ステップステーには、ピンの周りに三箇所の溝が設けられている態様が、考えられる。補助ステップの支柱部分には、ステーのピンを差し込むための穴とその下にステーの溝に差し込むピンが設けられている。ステー側のピンは、補助ステップの回動支点となり、補助ステップの支柱側のピンは、ステー側の溝へ差し込むことで、補助ステップを2点で固定する事ができる。
【0061】
補助ステップのステーへの組付けは、機体外側からステーに設けられたピンへ支柱部分の穴へ差し込み、機体外側のピンにのみ、バネと座金と抜け止めピンを挿すことで組付けが可能である態様が、考えられる。外側にある抜け止めピンを抜くことで、補助ステップを用意に外すことができる(メンテナンスの容易化が実現される)。
【0062】
そして、機体外側にステップをスライドさせても、バネによって、機体内側に容易にスライドできる。
【0063】
さらに、補助ステップをステー側のピンを支点に回動させて折畳んだ際に、ステップ側のピンをステー側の溝へ差し込む際に、バネにより、機体外側へ勝手にスライドするのを防止する。
【0064】
つぎのような折畳み方法による態様が、考えられる。(1)補助ステップを外側に引き、ステーの溝からピン部を抜き、(2)補助ステップを90度回動させ、機体内側へスライドさせ溝部にピンを差し込み、(3)リヤ側の補助ステップを折畳む。折畳みが容易である。
【0065】
そして、折畳みが容易のため、展開も容易である。
【0066】
つぎに、
図9(a)および9(b)ならびに
図10(a)から10(c)を主として参照しながら、10条田植機用折畳み式補助ステップについてより具体的に説明する。
【0067】
補助ステップ機体内側にパイプが付いている態様が、考えられる。パイプがサイドステップのステッププレートに乗ることで、補助ステップを支えることができる。
【0068】
そして、折畳んだ際に、パイプ部が手すりになり、乗り降りがしやすくなる。
【0069】
さらに、折畳んだ際に、パイプ部に苗取板や小物を引っ掛けることができる。
【0070】
<リヤステップ>
はじめに、
図12(a)および12(b)を主として参照しながら、リヤステップについて説明する。
【0071】
ここに、
図12(a)および12(b)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のリヤステップの説明図(その一および二)である。
【0072】
サイドステップの前端をメインのリヤステップ前端より前側へ伸ばした構成による態様が、考えられる。これは、内側へ折畳み可能とした構成である。サイドステップ前端とメインのリヤステップ前端が同じである態様においては、両端の苗タンクに苗補給する時、作業スペースが無く、作業し辛いことがある。サイドステップが取外し式になっていると、取外した後、サイドステップを置く所が無いことがある。両端の作業スペースが広がることにより、作業性が良くなる。サイドステップが折畳み式になるため、輸送時等の収納作業が容易になる。
【0073】
つぎに、
図13(a)および13(b)を主として参照しながら、リヤステップについて具体的に説明する。
【0074】
ここに、
図13(a)および13(b)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のリヤステップの説明図(その三および四)である。
【0075】
上述された態様において、伸ばしたサイドステップの高さを、メインステップとリヤステップの中間とした構成による態様が、考えられる。これも、内側へ折畳み可能とした構成である。
【0076】
<苗枠の折畳み構成>
はじめに、
図14(a)および14(b)を主として参照しながら、苗枠の折畳み構成について説明する。
【0077】
ここに、
図14(a)および14(b)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その一および二)である。
【0078】
現行の苗枠などの構成に関しては、(1)延長苗レール回動時に力を要することがあり、(2)収納時、レールとメインフレームを結ぶ支持ステーの強度不足が発生し、移動時(輸送時)に、振動等により破損のおそれがあることがある。
【0079】
つぎに、
図14(c)から14(e)を主として参照しながら、苗枠の折畳み構成について具体的に説明する。
【0080】
ここに、
図14(c)から14(e)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その三から五)である。
【0081】
延長苗レール部をガイド等に沿って水平状態から垂直状態(収納)に切り換え可能な構成による態様が、考えられる。
【0082】
延長苗レール部には折畳みレバーを取付け、オペレーターはステップに乗った状態で延長苗レール部を引き上げながら回動させることで作業状態に容易に変更可能とする態様が、考えられる(上述された態様の手段である)。
【0083】
折畳みレバーは収納時に垂直であり、オペレーターが昇降する際の手すりの役割をかねている構成による態様が、考えられる(収納状態で折畳みレバー兼手すりが機体の上下方向に伸びる位置に構成されている)。
【0084】
つぎに、
図14(f)および14(g)を主として参照しながら、苗枠の折畳み構成についてより具体的に説明する。
【0085】
ここに、
図14(f)および14(g)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その六および七)である。
【0086】
延長苗レール部の端部に挿入用のピンを設け、ステップ部には穴を設け印籠構成により剛性を確保する態様が、考えられる。左右収納時には、レール部が箱になり、移動時(輸送時)も破損することはない。
【0087】
つぎに、
図14(h)および14(i)を主として参照しながら、苗枠の折畳み構成についてさらにより具体的に説明する。
【0088】
ここに、
図14(h)および14(i)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機の苗枠の折畳み構成の説明図(その八および九)である。
【0089】
上述された態様に関して、収納時、箱になった苗レール部に延長ステップ等を拘束する構成による態様が、考えられる。
【0090】
<レール式苗枠>
図15(a)および15(b)を主として参照しながら、レール式苗枠について説明する。
【0091】
ここに、
図15(a)および15(b)は、本発明に関連する発明における実施の形態の田植え機のレール式苗枠の説明図(その一および二)である。
【0092】
レール式苗枠の前後のレール間の中央にもレールを設ける態様が、考えられる。前後のレールだけである態様においては、レール間から苗や苗箱が落下することがあるが、レール間から苗や苗箱が落ちにくくなる。
【0093】
レール式苗枠の前後のレールの真ん中にもレールを設ける態様が、考えられる。真ん中に設けたレールは前後方向にオフセット可能である。前後のレールだけである態様においては、レール間から苗や苗箱が落下することがあり、苗補給の際に補助車がレール間に入らないと苗補給が行いにくいことがあるが、レール間から苗や苗箱が落ちにくくなる。レールをオフセットさせることで、苗補給の際、補助車が入る事ができる。
【0094】
真ん中に設けたレールは回動する。レールが回動することで、苗補給の際に、補助車が入る事ができる。レールが回動するので、レールの前後位置は変わらないので、元の位置に戻す手間が無い。
【0095】
真ん中に設けたレールは前後方向にオフセット可能である。前後の真ん中の位置に来たときにレールがロックされるようになっている。前後の真ん中の位置に来た時にロックがかかるので、もとの位置に戻したことが分かる。
【0096】
すなわち、本発明に関連する発明の田植え機は、たとえば、つぎのような田植え機である。
【0097】
本発明に関連する発明の田植え機は、必要に応じてフロアステップの面積を機体左右方向に拡大するためのステップを機体後部のステップに備え、左右に拡大したステップ分前方のステップも左右方向に突出させる拡大ステップを備え、この拡大ステップを支持する支持部のひとつは(パイプ部)は、機体の乗り降りする乗車ステップにより支持させる。10条等の大型田植機には、補助的なワイドステップが備えられており、必要に応じて展開して使用しているが、このステップは機体後部のステップにしか備えられていなかったが、機体前側のステップにも備えられることで、より広くなり、必要でないときは、取外たり、折畳むことができる効果が、発揮される。
【0098】
そして、このような本発明に関連する発明の田植え機は、拡大ステップの支持部が位置する他方側に乗り降りの乗車ステップを備え、機体後部のステップに、拡大ステップを固定する固定具を形成する。
【0099】
本発明に関連する別の発明の田植え機は、機体の左右方向に延びる補助苗枠を備え、補助苗枠を折畳める構成とし、機体端部の補助苗枠を下方に回動させる構成とし、下方に回動させた圃場苗枠の端部はフロアステップに固定される。補助苗枠を下方に折畳めることで、補助苗枠の機体中央部分は、苗を載せられるため、作業性が良い効果が、発揮される。
【0100】
そして、このような本発明に関連する別の発明の田植え機は、下方に折畳んだ補助苗枠は、機体左右方向に拡大するためのステップを機体後部のステップを機体内側に折畳む際の固定具とする。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明における作業車両は、作業車両の大型化にともなうユーザーの負担を軽減することができ、田植え機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操縦装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
250 施肥装置
260 整地装置
261 整地ローター部材
262 整地フロート部材
300 主変速装置
400 副変速装置
500 コントローラー
610 苗載せ台
620 苗載せ台支持レール
620c 中央部
620e 外側端部
621 苗載せ台支持レール固定具
710 支持フレーム
710c 中央部
710e 外側端部
711 支持フレーム固定具
711m 折畳み手動操作部
720 苗植付け具駆動軸
721 ユニバーサルジョイント
730 整地ローター駆動軸
730c 中央部
730e 外側端部
731 整地ローター駆動軸固定具
731m 切離し手動操作部
731p 止めピン
735 整地ローター駆動軸吊下げ具
740 補強部材
741 ナット部材
750 支持部材
D 段違い
X、Y 矢印