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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181486
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】心内信号のSNR
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/308 20210101AFI20231214BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20231214BHJP
   A61B 5/304 20210101ALI20231214BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20231214BHJP
   A61B 5/276 20210101ALI20231214BHJP
【FI】
A61B5/308
A61B5/287
A61B5/304
A61B5/367
A61B5/276 100
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188366
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2019044471の分割
【原出願日】2019-03-12
(31)【優先権主張番号】15/919,863
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(57)【要約】
【課題】被験者から生理学的データを取得すること。
【解決手段】記載される実施形態は、被験者の心臓内に配置されるそれぞれの電極によって取得される複数の心内心電図(ECG)信号をサンプリングするように構成されたサンプル・ホールド回路と、プロセッサとを備えるシステムを含む。プロセッサは、1つ以上の接触を示すセンサから、電極が心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信し、可能性が互いに異なることに応答して、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によってECG信号をサンプリングさせるように構成されている。他の実施形態もまた記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
被験者の心臓内に配置される第1及び第2の電極によってそれぞれ取得される第1及び第2の心内心電図(ECG)信号をサンプリングするように構成されたサンプル・ホールド回路と、
マルチプレクサと、
プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
1つ以上の接触を示すセンサから、前記第1の電極が前記心臓の組織と接触している第1の可能性を示す第1の接触を示す信号と前記第2の電極が前記組織と接触している第2の可能性を示す第2の接触を示す信号を受信し、
前記第1の可能性が前記第2の可能性と異なることに応答して、異なるサンプリング周波数で、前記サンプル・ホールド回路によって前記第1及び第2のECG信号のそれぞれをサンプリングさせるように構成され、
前記マルチプレクサは、
前記第1及び第2の電極から前記第1及び第2のECG信号をそれぞれ受信し、
受信した前記第1及び第2のECG信号を、1セットのチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送るように構成されており、
前記サンプル・ホールド回路が、前記1セットのチャネルをサンプリングすることによって、前記第1及び第2のECG信号をサンプリングするように構成され、
前記1セットのチャネルの各チャネルをサンプリングする周波数の合計が一定である、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記マルチプレクサに、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれを、異なる数のチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送らせることによって、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれを前記異なるサンプリング周波数でサンプリングさせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路の複数のサンプリングサイクルにわたって、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれについてチャネルの数を変えることによって、前記異なるサンプリング周波数で前記第1及び第2のECG信号のそれぞれをサンプリングさせるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記マルチプレクサが、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれを前記1セットのチャネルのうちの1つのチャネルである第1のチャネル及び第2のチャネルのそれぞれを通じて前記サンプル・ホールド回路に送るように構成されており、前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路に、前記異なるサンプリング周波数で前記第1及び第2のチャネルのそれぞれをサンプリングさせることによって、前記異なるサンプリング周波数で前記第1及び第2のECG信号のそれぞれをサンプリングさせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記第2のECG信号よりも高い周波数で前記第1のECG信号をサンプリングさせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記サンプル・ホールド回路の少なくとも1つのサンプリングサイクルの間は、前記第2のECG信号をサンプリングさせないように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
プログラム命令が格納される有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記プログラム命令がプロセッサによって読み取られると、前記プロセッサは、
1つ以上の接触を示すセンサから、第1の電極が被験者の心臓の組織と接触している第1の可能性を示す第1の接触を示す信号と、第2の電極が前記組織と接触している第2の可能性を示す第2の接触を示す信号を受信し、一方、前記第1及び第2の電極は、前記組織からの第1及び第2の心内心電図(ECG)信号をそれぞれ取得し、
前記第1の可能性が前記第2の可能性と異なることに応答して、異なるサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によって前記第1及び第2のECG信号のそれぞれをサンプリングさせ、
マルチプレクサは、前記第1及び第2の電極から前記第1及び第2のECG信号をそれぞれ受信し、受信した前記第1及び第2のECG信号を、1セットのチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送り、
前記サンプル・ホールド回路が、前記1セットのチャネルをサンプリングすることによって、前記第1及び第2のECG信号をサンプリングするように構成されており、
前記1セットのチャネルの各チャネルをサンプリングする周波数の合計が一定である、コンピュータソフトウェア製品。
【請求項8】
前記プログラム命令により、前記プロセッサは、前記マルチプレクサに、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれを、異なる数のチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送らせることによって、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれを前記異なるサンプリング周波数でサンプリングさせる、請求項7に記載のコンピュータソフトウェア製品。
【請求項9】
前記プログラム命令により、前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路の複数のサンプリングサイクルにわたって、前記第1及び第2のECG信号のそれぞれについてチャネルの数を変えることによって、前記異なるサンプリング周波数で前記第1及び第2のECG信号のそれぞれをサンプリングさせる、請求項8に記載のコンピュータソフトウェア製品。
【請求項10】
前記プログラム命令により、前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路に、前記異なるサンプリング周波数で前記第1及び第2のチャネルのそれぞれをサンプリングさせることによって、前記異なるサンプリング周波数で前記第1及び第2のECG信号のそれぞれをサンプリングさせる、請求項7に記載のコンピュータソフトウェア製品。
【請求項11】
前記プログラム命令により、前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記第2のECG信号よりも高い周波数で前記第1のECG信号をサンプリングさせる、請求項7に記載のコンピュータソフトウェア製品。
【請求項12】
前記プログラム命令により、前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記サンプル・ホールド回路の少なくとも1つのサンプリングサイクルの間は、前記第2のECG信号をサンプリングさせない、請求項11に記載のコンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者からの生理学的データの取得に関する。
【背景技術】
【0002】
ある場合には、被験者からの心内心電図(ECG)信号を取得するために、1つ以上の電極を備えるカテーテル器具を使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のいくつかの実施形態によれば、被験者の心臓内に配置されたそれぞれの電極によって取得される複数の心内心電図(ECG)信号をサンプリングするように構成されたサンプル・ホールド回路と、プロセッサとを備えるシステムが提供される。プロセッサは、1つ以上の接触を示すセンサから、電極が心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信し、可能性が互いに異なることに応答して、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によってECG信号をサンプリングさせるように構成されている。
【0004】
いくつかの実施形態では、システムは、さらに、マルチプレクサを備えており、マルチプレクサは、
電極からECG信号を受信し、
受信したECG信号を、1セットのチャネルを通じて、サンプル・ホールド回路に送るように構成されており、
サンプル・ホールド回路は、チャネルをサンプリングすることによって、ECG信号をサンプリングするように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、マルチプレクサに、異なるそれぞれの数のチャネルを通じて、サンプル・ホールド回路にECG信号を送らせることによって、ECG信号を異なるそれぞれのサンプリング周波数でサンプリングさせるように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、サンプル・ホールド回路の複数のサンプリングサイクルにわたってチャネルのそれぞれの数を変えることによって、プロセッサが、異なるそれぞれのサンプリング周波数でECG信号をサンプリングさせるように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、マルチプレクサが、ECG信号をチャネルのそれぞれの1つを通じてサンプル・ホールド回路に送るように構成されており、サンプル・ホールド回路に、異なるそれぞれのサンプリングでチャネルのそれぞれの1つをサンプリングさせることによって、プロセッサが、異なるそれぞれのサンプリング周波数でECG信号をサンプリングさせるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、
電極が、第1の電極と、第2の電極とを含み、
ECG信号は、第1の電極からの第1のECG信号と、第2の電極からの第2のECG信号とを含み、
可能性は、第1の電極が組織と接触している第1の可能性と、第2の電極が組織と接触している第2の可能性とを含み、
プロセッサは、第1の可能性が第2の可能性より大きいことに応答して、第2のECG信号よりも高い周波数で第1のECG信号をサンプリングさせるように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1の可能性が第2の可能性より大きいことに応答して、サンプル・ホールド回路の少なくとも1つのサンプリングサイクルの間は、第2のECG信号をサンプリングさせないように構成されている。
【0010】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、1つ以上の接触を示すセンサから、複数の電極が被験者の心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信し、一方、電極は、組織からのそれぞれの心内心電図(ECG)信号を取得することを含む、方法が提供される。この方法は、さらに、可能性が互いに異なることに応答して、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によってECG信号をサンプリングさせることを含む。
【0011】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、プログラム命令が格納される有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータソフトウェア製品が提供される。命令は、プロセッサによって読み取られると、プロセッサが、1つ以上の接触を示すセンサから、複数の電極が被験者の心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信させ、一方、電極は、組織からのそれぞれの心内心電図(ECG)信号を取得させる。命令は、さらに、可能性が互いに異なることに応答して、プロセッサに、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によってECG信号をサンプリングさせる。
【0012】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって一層十分な理解がなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る心内ECG信号を取得するためのシステムの模式図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に係るサンプリング技術の模式図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に係るサンプリング技術の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概説
本発明の実施形態では、複数の電極は、被験者の心臓からそれぞれの心内ECG信号(または「電位図」)を取得する。この信号は、1セットのチャネルを通り、集積回路(IC)、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)によって受信される。ICは、サンプル・ホールド回路(簡便のため、本明細書では「サンプラ」と呼ばれる)と、量子化回路(本明細書では「量子化器」と呼ばれる)とを備え、受信した信号をデジタル化する。
【0015】
仮定の話だが、それぞれの信号が、チャネルの異なるそれぞれの1つを通ってもよく、サンプラは、例えば、全ての信号について、同じサンプル速度(または「サンプリング周波数」)を得るために、チャネルを通って継続的に巡回し得る。しかし、この技術に伴う問題は、信号の得られるサンプル速度が、満足のいく信号ノイズ比(SNR)を達成するには不十分なことである。例えば、16チャネルであり、サンプラが320kHzの周波数でチャネルを通って巡回するような構成であと仮定すると、それぞれの信号についてのサンプル速度は、わずかに20kHzであろう。
【0016】
この課題に取り組むために、本発明の実施形態は、一般的に、組織と接触する電極によって取得されるECG信号は、他の電極からのECG信号よりも有用であるという事実を利用する。この事実を考慮して、本発明の実施形態は、ICのサンプリングリソースを電極に対して不均一に割り当て、組織と接触している電極を優先し、これらの電極からの信号のSNRを大きくする。
【0017】
例えば、組織と接触している電極からの任意の信号が、複数のチャネルを通って同時に進んでもよく、その結果、この信号は、組織と接触していない他の電極からの1つ以上の信号を置き換える。したがって、サンプラは、少なくとも1つのサンプリングサイクルの間、後者の信号をサンプリングする代わりに、前者の信号を複数回サンプリングする場合があり、いずれにせよ、前者の信号ほど多くの情報を与えない。これに代えて、またはこれに加えて、サンプラは、他のチャネルよりも高い周波数でいくつかのチャネルをサンプリングするように構成されていてもよく、その結果、さらに有用な信号が、他のシグナルより周波数高くサンプリングされる。
【0018】
システムの説明
最初に図1を参照するが、図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る心内ECG信号を取得するためのシステム20の模式図である。
【0019】
図1は、電気解剖学的マッピング手順を示し、これによって、医師27は、被験者25の心臓23内のカテーテル29を進める。カテーテル29は、遠位端31を有しており、遠位端31は、複数の電極32を備えている。心臓23内にカテーテル29を進めることによって、医師27は、例えば、組織30からの心内ECG信号を取得するために、複数の異なる位置で電極32を心臓の組織30(例えば、心臓の心筋組織)と接触させる。ECG信号は、プロセッサ(PROC)22によって受信され、処理される。
【0020】
カテーテル29は、さらに、1つ以上の位置センサを備えており、1つ以上の位置センサは、カテーテルの位置と向きを示すトラッキング信号を継続的に出力する。トラッキング信号に基づき、プロセッサ22は、電極のそれぞれの位置を突き止め、それにより、各ECG信号の発信源であるそれぞれの解剖学的位置を突き止める。プロセッサ22は、さらに、例えば、組織の電気生理学的特性を特定するために、ECG信号を処理する。この情報に基づき、プロセッサは、電気解剖学的マップ24を構築し、電気解剖学的マップ24において、組織30のモデルは、組織の電気生理学的特性を示すために、注釈が付けられている。次いで、プロセッサ22は、ディスプレイ26上にマップ24を表示してもよい。
【0021】
一般的に、プロセッサは、電極を追跡するための任意の適切な技術を使用してもよい。例えば、カテーテル29は、1つ以上の電磁気位置センサを備えていてもよく、1つ以上の電磁気位置センサは、外部磁場存在下で、センサのそれぞれの位置および向きと共に変化する信号を生成する。これらの信号に基づき、プロセッサは、電極のそれぞれの位置を突き止めてもよい。または、種々の異なる位置で被験者25に連結した複数の外部電極52は、位置センサとして機能してもよく、プロセッサ22は、電極32と外部電極52との間のそれぞれのインピーダンスに基づき、それぞれの電極32の位置を突き止めてもよい。さらにもう1つの代替形態として、プロセッサは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、例えば米国特許第8,456,182号に記載されているように、電磁気による追跡と、インピーダンスに基づく追跡を両方とも使用することができる。
【0022】
典型的には、プロセッサ22は、コンピュータコンソール28の中にある。コンソール28は、電気インターフェース35(例えば、ポートまたはソケット)を介して、カテーテル29に連結しており、そのため、電極からのECG信号は、本明細書に記載される種々の他の信号と共に、電気インターフェース35を介してプロセッサ22によって受信される。
【0023】
コンソール28によって受信されるのに続き、ECG信号は、システム20によってデジタル化される。ECG信号をデジタル化するために、システム20は、アナログ-デジタル(A/D)コンバータ36を備えており、アナログ-デジタル(A/D)コンバータ36は、典型的には、集積回路(IC)34、例えば、ASICに実装される。コンバータ36は、サンプラ40を備えており、サンプラ40は、1セットのチャネル46によって、アナログECG信号を受信する。(図1は、N個のチャネル46を示し、個々のチャネルそれぞれを示すために、46_1...46_Nの表記を用いている。)サンプラ40は、チャネル46をサンプリングすることによって、すなわち、チャネル46によって運ばれる電圧または電流をサンプリングすることによって、ECG信号をサンプリングする。コンバータ36は、さらに、量子化器42を備えており、量子化器42は、サンプラ40から受信したサンプルを量子化する。所与のECG信号をデジタル化するのに続き、コンバータ36は、その信号をプロセッサ22に送り、次いで、上述の信号を処理する。
【0024】
(トラッキング信号および/または以下に記載する接触をモニタリングする信号は、プロセッサ22に向かう前にコンバータ36によってデジタル化されるアナログ信号を含んでいてもよいことを注記しておく。)
【0025】
典型的には、システム20は、さらに、マルチプレクサ(MUX)38を備えており、マルチプレクサ(MUX)38を介し、A/Dコンバータは、電極32からECG信号を受信する。例えば、複数のワイヤ44が、カテーテル29の長さ全体で、電極32からのECG信号をマルチプレクサ38に運んでもよく、マルチプレクサは、その信号を、チャネル46によってサンプラに送ってもよい。典型的には、各ワイヤ44は、電極32の異なるそれぞれの1つに遠位に接続している。(図1は、M個のワイヤ44を示し、個々のワイヤそれぞれを示すために、44_1...46_Mの表記を用いている。)典型的には、ワイヤの数は、チャネル46の数と等しい。
【0026】
(「ワイヤ」および「チャネル」といった異なった用語は、単に説明を容易にするために用いられており、必ずしも構成または組成の差を示すものではないことを注記しておく。換言すれば、「チャネル」との用語が、これに代えて、ワイヤ44のそれぞれを記述するために使用されてもよく、「ワイヤ」との用語が、これに代えて、チャネル46のそれぞれを記述するために用いられてもよい。)
【0027】
プロセッサ22は、任意の適切な有線または無線の接続インターフェース33によってIC34に接続していてもよい。プロセッサ22は、図3を参照しつつ以下に記載するように、この通信インターフェースによって、例えば、デジタル化されたECG信号をICから受信することによって、および/または命令をサンプラ40に通信することによって、IC34との通信を交換するように構成されている。同様に、プロセッサ22は、任意の適切な有線または無線の通信インターフェース(図1には示していない)によって、マルチプレクサ38に接続してもよく、このインターフェースによって、図2を参照しつつ以下に記載するように、例えば、命令をマルチプレクサに通信することによって、マルチプレクサとの通信を交換してもよい。
【0028】
電極が、組織30からECG信号を取得すると、プロセッサ22は、1つ以上の接触を示すセンサから、電極が組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信する。換言すれば、プロセッサは、接触を示す信号を受信し、これらの信号に基づき、電極が組織と接触しているそれぞれの可能性を計算する。図2~3を参照しつつ以下にさらに記載するように、可能性に応答し、プロセッサは、ECG信号のサンプリングを制御する。特に、互いに異なる任意の2つのECG信号についてのそれぞれの可能性に応答して、プロセッサは、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプラ40によって2つのECG信号をサンプリングさせてもよい。
【0029】
一般的に、接触を示す信号を作成するために、任意の適切な接触を示すセンサを使用してもよい。例えば:
(i)例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,915,149号に記載されるように、1つ以上の圧力センサが、カテーテル29の遠位端に配置されてもよい。圧力センサによって測定される圧力に応答して、プロセッサは、それぞれの電極についての組織接触の可能性を計算してもよい。
(ii)これに代えて、またはこれに加えて、上述の位置センサ(例えば、外部電極52)は、接触を示すセンサとして機能してもよく、上述のトラッキング信号は、接触を示す信号として機能してもよく、プロセッサは、トラッキング信号から突き止められた電極のそれぞれの位置から組織接触の可能性を計算してもよい。例えば、その開示が本明細書に参考として組み込まれる2017年6月1日に出願された米国特許出願第15/610,865号に記載されるように、例えば、プロセッサは、遠位端31のモデルを電極位置に適合させ、次いで、モデルの構成に応答して、組織接触の可能性を計算してもよい。
(iii)これに代えて、またはこれに加えて、外部電極52は、電極の位置を追跡するために使用されない場合であっても、接触を示すセンサとして使用してもよく、プロセッサは、外部電極52から、電極32と外部電極52との間のインピーダンスの変化を示す信号を受信し、次いで、これらのインピーダンスの変化に応答して組織接触の可能性を決定してもよい。(一般的に、組織のインピーダンスは、血液のインピーダンスより大きく、そのため、任意の所与の電極が組織に近づくにつれて、所与の電極と外部電極との間のインピーダンスは増加する。)この目的のために、例えば、その開示が本明細書に参考として組み込まれる、2017年10月19日に出願された米国特許出願第15/788,286号に記載されるように、プロセッサは、ベースラインインピーダンスマップを使用してもよい。
【0030】
特許請求の範囲を含め、本出願の観点で、電極が、組織の所与の閾値距離内にある限り、電極は、組織と「接する」と言われてもよいことを注記しておく。この閾値は、暗に、どの方法を使用して組織接触を突き止めるかによって規定されるだろう。例えば、組織接触を突き止めるために、インピーダンス測定を使用する場合、測定されたインピーダンスが、ベースラインインピーダンスから、特定の閾値を超えて大きい場合には、電極は、組織と接触すると言われてもよい。
【0031】
一般的に、プロセッサ22は、1つのプロセッサとして具現化されていてもよく、またはネットワーク化されているか、またはクラスター状のプロセッサ群として具現化されてもよい。プロセッサ22は、典型的には、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性二次記憶装置、例えば、ハードドライブまたはCD ROMドライブ、ネットワークインターフェイスおよび/または周辺機器を含むプログラマブルデジタル演算装置である。ソフトウェアプログラムを含めたプログラムコード、および/またはデータは、当該技術分野において公知のとおり、CPUによる実行および処理のためにRAMにロードされ、表示、出力、送信または格納のために結果が生成される。プログラムコードおよび/またはデータは、例えば、ネットワークを通じて電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、またはこれに代えて、またはこれに加えて、磁気、光学または電子メモリなどの非一過性有形媒体上に提供および/または格納されてもよい。このようなプログラムコードおよび/またはデータが、プロセッサに提供されると、本明細書に記載されているタスクを行うように構成された、機械または専用コンピュータが実現する。
【0032】
図1に示される特定の事例にもかかわらず、本明細書に記載されるサンプリング技術は、心内ECG信号、または任意の他の種類の体内信号が取得される任意の手順に適用され得ることを注記しておく。例えば、本明細書に記載するサンプリング技術は、心臓アブレーション処置の一部として行われる電気解剖学的マッピングの間の心内ECG信号の取得に適用されてもよい。
【0033】
ECG信号のサンプリング
ここで図2~3を参照し、図2~3は、本発明のいくつかの実施形態に係るサンプリング技術の模式図である。
【0034】
図1を参照しつつ上に記載したように、マルチプレクサ38は、それぞれの電極からのそれぞれのECG信号をそれぞれのワイヤ44によって受信する。したがって、図2~3は、それぞれ、第1の電極32_1から第1のワイヤ44_1によって受信された第1の信号S1、第2の電極32_2から第2のワイヤ44_2によって受信された第2の信号S2、第3の電極32_3から第3のワイヤ44_3によって受信された第3の信号S3、第4の電極32_4から第4のワイヤ44_4によって受信された第4の信号S4を示す。受信された信号は、マルチプレクサ38によって、チャネル46を通り、サンプラ40は、チャネルのいくつかまたは全てを繰り返し通る(またはこれを「通って巡回する」)ことによって、信号をサンプリングする。例えば、図2に矢印48によって示すように、サンプラは、順に、第1のチャネル46_1、第2のチャネル46_2、第3のチャネル46_3および第4のチャネル46_4を繰り返しサンプリングしてもよい。
【0035】
図2~3は、それぞれ、所与の時間の瞬間に、第1の電極32_1および第3の電極32_3が組織30と接触しており、一方、第2の電極32_2および第4の電極32_4は、その組織には接触していない事例を示す。この事例では、プロセッサ22は、図1を参照しつつ上に記載した関連する接触を示す信号を処理することによって、第1の電極32_1および第3の電極32_3について、組織接触の大きな可能性を計算する。これに応答して、プロセッサ22は、以下にさらに記載するように、第2の信号S2および第4の信号S4がサンプリングされる周波数よりも多い周波数で、第1の信号S1および第3の信号S3をそれぞれサンプリングさせる。
【0036】
いくつかの実施形態では、接触を示す信号に応答して、プロセッサは、それぞれの電極について、1または0の組織接触可能性を計算する。すなわち、プロセッサは、それぞれの電極について、組織との接触が突き止められているかどうかを示す「はい」または「いいえ」の判定をする。例えば、組織接触信号を作成するための上述のインピーダンスに基づく技術を想定すると、プロセッサは、ベースラインインピーダンスから、所定の閾値より大きくなる方へ逸れる電極と外部電極52の少なくとも1つとの間のインピーダンスに応答して、特定の電極についての組織接触を突き止めてもよい。または、プロセッサは、それぞれの可能性が、組織接触が突き止められる効果的な信頼度となるように、可能性に、0と1の間の中間的な任意の適切な数字または任意の他の適切な境界の間の中間的な数字を与えてもよい。例えば、インピーダンスに基づく技術を想定すると、プロセッサは、ベースラインインピーダンスからの測定インピーダンスの変位の増加関数として信頼度を計算してもよい。
【0037】
例えば、図2~3に示される事例では、プロセッサは、第1の電極と第3の電極が組織に接触しており、一方、他のそれぞれの電極は、組織に接触していないことを突き止めてもよい。これに応答して、プロセッサは、第1の信号S1および第3の信号S3それぞれを第1のサンプリング周波数でサンプリングさせ、他のそれぞれの信号を、第2のこれより少ない周波数でサンプリングさせてもよい。または、第3の電極32_3についての信頼度よりも大きな信頼度を有する第1の電極32_1の接触を突き止めることに応答して、プロセッサは、第1の信号S1を第1のサンプリング周波数でサンプリングさせ、第3の信号S3を第2の少ない周波数でサンプリングさせ、他の2つの信号を第3の最も少ない周波数でサンプリングさせてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、プロセッサは、マルチプレクサ38に、異なるそれぞれの数のチャネルを通じて、サンプラ40にECG信号を送らせることによって、2つ以上のECG信号を、異なるそれぞれのサンプリング周波数でサンプリングさせる。したがって、例えば、プロセッサ22は、マルチプレクサ38に、第2の信号および第4の信号がそれぞれサンプラに送られるときに通るチャネルの数よりも多い(またはそれぞれのチャネルの数が両方の数よりも多い)数のチャネルを通り、第1の信号と第3の信号をそれぞれサンプルに送らせてもよい。第1の信号および第3の信号が、多くの数のチャネルを通って運ばれる結果、サンプラは、チャネルを通って循環するにつれて、第1の信号および第3の信号を多い周波数でサンプリングする。(プロセッサ22は、コンバータが、任意の所与のサンプルが属するシグナルを知っているように、マルチプレクサの構成のなんらかの変化、すなわち、ワイヤ44とチャネル46との間の接続のなんらかの変化をコンバータ36に知らせる。)
【0039】
例えば、プロセッサは、マルチプレクサに、サンプラの少なくとも1つのサンプリングサイクルの間に、第2の信号および第4の信号をサンプラに送ることなく、第1の信号および第3の信号をサンプラに送るように命令してもよく、その結果、第2の信号および第4の信号は、このサンプリングサイクルの間はサンプリングされない。例えば、マルチプレクサのデフォルト構成が、それぞれのチャネルを、その対応するワイヤに接続していると仮定すると(その結果、それぞれのi=1...4について、図3に示されるように、チャネル46_iは、ワイヤ44_iに接続する)、プロセッサは、マルチプレクサに、第2のチャネル46_2を第2のワイヤ44_2の代わりに第1のワイヤ44_1に接続し、第4のチャネル46_4を第4のワイヤ44_4の代わりに第3のワイヤ44_3に接続するように命令してもよい。したがって、サンプラの少なくとも1つのサイクルの間に、第1のサイクルおよび第3のサイクルはそれぞれ2回サンプリングされてもよく、一方、第2のチャネルおよび第4のチャネルは、まったくサンプリングされなくてもよい。これに代えて、例として上に記載したように、組織接触の可能性は、第3の電極よりも第1の電極で大きいと仮定すると、プロセッサは、例えば、マルチプレクサに、第1のワイヤを、第1、第2、第4のチャネルそれぞれの接続するように命令してもよく、その結果、第1の信号は、チャネルのうち3つを通って運ばれ、第3の信号は、チャネルのうち1つを通って運ばれる。
【0040】
典型的には、組織と接触していない電極によって取得された「組織と接触していない信号」を含め、それぞれの信号の少なくとも一部のサンプルを取得することが有利である。したがって、プロセッサは、信号が、サンプラの複数のサンプリングサイクルによって運ばれるときのチャネルのそれぞれの数を変えてもよく(電極の組織接触状態になんらかの変化がない場合でも)、その結果、組織と接触していない信号の少なくとも一部のサンプルしかまだ取得されていなくても、「組織接触信号」のサンプリング周波数が、「組織と接触していない信号」の周波数よりも多くなる。これに代えて、またはこれに加えて、プロセッサは、それぞれの組織接触信号が、組織接触が突き止められていない信頼度に対応する周波数でサンプリングされるように、信号が運ばれるそれぞれのチャネルの数を変えてもよい。
【0041】
例えば、プロセッサは、それぞれの2つの連続したサンプリングサイクルの間に、信号S1およびS3のそれぞれの3つのサンプルが取得され、信号S2およびS4のそれぞれの1つのサンプルが取得されるように、図2に示されるマルチプレクサ38の構成を、マルチプレクサのデフォルト構成と繰り返し交互に変えてもよい。別の例として、第3の電極32_3よりも第1の電極32_1の方が信頼度が大きいことに応答して、プロセッサは、図2に示す構成と、第1の信号S1が3つのチャネルに運ばれ、第3の信号S3が1つのチャネルによって運ばれ(上述のとおり)、第1の信号S1が2.5サンプル/サイクルの周波数でサンプリングされ、第3の信号S3が1.5サンプル/サイクルの周波数でサンプリングされる構成と繰り返し交互に変えてもよい。
【0042】
ワイヤ44とチャネル46の接続を変えることに代えて、またはこれに加えて、プロセッサは、図3に示すように、サンプラ40のサンプリング経路を変えてもよい。特に、プロセッサは、サンプラに、チャネルを単純に反復して連続的に通すのではなく、いくつかのチャネルを他のチャネルよりも頻繁にサンプリングさせてもよい。例えば、図3に示すように、プロセッサは、マルチプレクサが、ECG信号をそれぞれ1つのチャネルを通ってサンプラに向かわせるように、マルチプレクサのデフォルト構成を維持してもよいが、サンプラに、異なるそれぞれのサンプリング周波数でチャネルをサンプリングさせてもよい。例えば、第1の電極および第3の電極が組織30と接触していることを突き止めたことに応答して、プロセッサは、一対の矢印50によって示されるように、サンプラに、サンプラの少なくとも1つのサンプリングサイクルの間に、第1のチャンネルと第3のチャンネルとを交互に通るように命令してもよく、その結果、このサンプリングサイクルの間に、第2の信号および第4の信号からはなんらサンプルを得ることなく、第1の信号および第3の信号それぞれから2つのサンプルが得られる。
【0043】
図2を参照しつつ上に記載したのと同様に、プロセッサは、組織接触が突き止められる信頼度に応答して、サンプラ40のサンプリング経路を設定してもよい。これに代えて、またはこれに加えて、プロセッサは、それぞれの信号に所望なサンプリング周波数を与えるように、サンプラの複数のサンプリングサイクルにわたって(電極の組織接触状態になんら変化がなかったとしても)、サンプラ40のサンプリング経路を変動させてもよい。
【0044】
(プロセッサ22が、電極の組織接触状態を突き止めたことに応答してサンプラを制御する実施形態では、システム20は、必ずしもマルチプレクサ38を備えていなくてもよいことを注記しておく。むしろ、ECG信号は、ワイヤ44によってサンプラに直接運ばれてもよい。)
【0045】
本発明が、本明細書上に具体的に示されて記載されたものに限定されない点が、当業者により理解されよう。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、本明細書上に記載されているさまざまな特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方、および上記の説明を一読すると当業者には想起されると思われる、従来技術には存在しない特徴の変更例および改変例を含む。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的または暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
被験者の心臓内に配置されるそれぞれの電極によって取得される複数の心内心電図(ECG)信号をサンプリングするように構成されたサンプル・ホールド回路と、
プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
1つ以上の接触を示すセンサから、前記電極が前記心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信し、
前記可能性が互いに異なることに応答して、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、前記サンプル・ホールド回路によって前記ECG信号をサンプリングさせるように構成されている、システム。
(2) マルチプレクサをさらに備え、前記マルチプレクサは、
前記電極から前記ECG信号を受信し、
受信した前記ECG信号を、1セットのチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送るように構成されており、
前記サンプル・ホールド回路が、前記チャネルをサンプリングすることによって、前記ECG信号をサンプリングするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、前記マルチプレクサに、異なるそれぞれの数の前記チャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に前記ECG信号を送らせることによって、前記ECG信号を前記異なるそれぞれのサンプリング周波数でサンプリングさせるように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路の複数のサンプリングサイクルにわたって前記チャネルのそれぞれの数を変えることによって、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせるように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記マルチプレクサが、前記ECG信号を前記チャネルのそれぞれの1つを通じて前記サンプル・ホールド回路に送るように構成されており、前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路に、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記チャネルのそれぞれの1つをサンプリングさせることによって、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせるように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
【0047】
(6) 前記電極が、第1の電極と、第2の電極とを含み、
前記ECG信号は、前記第1の電極からの第1のECG信号と、前記第2の電極からの第2のECG信号とを含み、
前記可能性は、前記第1の電極が前記組織と接触している第1の可能性と、前記第2の電極が前記組織と接触している第2の可能性とを含み、
前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記第2のECG信号よりも高い周波数で前記第1のECG信号をサンプリングさせるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記サンプル・ホールド回路の少なくとも1つのサンプリングサイクルの間は、前記第2のECG信号をサンプリングさせないように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 方法であって、
1つ以上の接触を示すセンサから、複数の電極が被験者の心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信し、一方、前記電極は、前記組織からのそれぞれの心内心電図(ECG)信号を取得することと、
前記可能性が互いに異なることに応答して、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によって前記ECG信号をサンプリングさせることとを含む、方法。
(9) マルチプレクサは、前記電極から前記ECG信号を受信し、受信した前記ECG信号を、1セットのチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送り、
前記サンプル・ホールド回路が、前記チャネルをサンプリングすることによって、前記ECG信号をサンプリングする、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせることが、前記マルチプレクサに、異なるそれぞれの数の前記チャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に前記ECG信号を送らせることによって、前記ECG信号を前記異なるそれぞれのサンプリング周波数でサンプリングさせることを含む、実施態様9に記載の方法。
【0048】
(11) 前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせることが、前記サンプル・ホールド回路の複数のサンプリングサイクルにわたって前記チャネルのそれぞれの数を変えることによって、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせることを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記マルチプレクサが、前記ECG信号を前記チャネルのそれぞれの1つを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送り、
前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせることが、前記サンプル・ホールド回路に、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記チャネルのそれぞれの1つをサンプリングさせることによって、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせることを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記電極が、第1の電極と、第2の電極とを含み、
前記ECG信号は、前記第1の電極からの第1のECG信号と、前記第2の電極からの第2のECG信号とを含み、
前記可能性は、前記第1の電極が前記組織と接触している第1の可能性と、前記第2の電極が前記組織と接触している第2の可能性とを含み、
前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせることは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記第2のECG信号よりも高い周波数で、前記第1のECG信号をサンプリングさせることを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記高い周波数で前記第1のECG信号をサンプリングさせることが、前記サンプル・ホールド回路の少なくとも1つのサンプリングサイクルの間は、前記第2のECG信号をサンプリングさせないことによって、前記高い周波数で前記第1のECG信号をサンプリングさせることを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) プログラム命令が格納される有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令がプロセッサによって読み取られると、前記プロセッサは、
1つ以上の接触を示すセンサから、複数の電極が被験者の心臓の組織と接触しているそれぞれの可能性を示す、接触を示す信号を受信し、一方、前記電極は、前記組織からのそれぞれの心内心電図(ECG)信号を取得し、
前記可能性が互いに異なることに応答して、異なるそれぞれのサンプリング周波数で、サンプル・ホールド回路によって前記ECG信号をサンプリングさせる、コンピュータソフトウェア製品。
【0049】
(16) マルチプレクサは、前記電極から前記ECG信号を受信し、受信した前記ECG信号を、1セットのチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送り、
前記サンプル・ホールド回路が、前記チャネルをサンプリングすることによって、前記ECG信号をサンプリングするように構成されており、
前記命令により、前記プロセッサは、前記マルチプレクサに、異なるそれぞれの数の前記チャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に前記ECG信号を送らせることによって、前記ECG信号を前記異なるそれぞれのサンプリング周波数でサンプリングさせる、実施態様15に記載のコンピュータソフトウェア製品。
(17) 前記命令により、前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路の複数のサンプリングサイクルにわたって前記チャネルのそれぞれの数を変えることによって、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせる、実施態様16に記載のコンピュータソフトウェア製品。
(18) マルチプレクサは、前記電極から前記ECG信号を受信し、受信した前記ECG信号を、異なるそれぞれのチャネルを通じて、前記サンプル・ホールド回路に送り、
前記サンプル・ホールド回路が、前記チャネルをサンプリングすることによって、前記ECG信号をサンプリングするように構成されており、
前記命令により、前記プロセッサは、前記サンプル・ホールド回路に、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記それぞれのチャネルをサンプリングさせることによって、前記異なるそれぞれのサンプリング周波数で前記ECG信号をサンプリングさせる、実施態様15に記載のコンピュータソフトウェア製品。
(19) 前記電極が、第1の電極と、第2の電極とを含み、
前記ECG信号は、前記第1の電極からの第1のECG信号と、前記第2の電極からの第2のECG信号とを含み、
前記可能性は、前記第1の電極が前記組織と接触している第1の可能性と、前記第2の電極が前記組織と接触している第2の可能性とを含み、
前記命令により、前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記第2のECG信号よりも高い周波数で前記第1のECG信号をサンプリングさせる、実施態様15に記載のコンピュータソフトウェア製品。
(20) 前記命令により、前記プロセッサは、前記第1の可能性が前記第2の可能性より大きいことに応答して、前記サンプル・ホールド回路の少なくとも1つのサンプリングサイクルの間は、前記第2のECG信号をサンプリングさせない、実施態様19に記載のコンピュータソフトウェア製品。
図1
図2
図3
【外国語明細書】