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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181521
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189084
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2022104166の分割
【原出願日】2014-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2013032084
(32)【優先日】2013-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】平形 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】早川 昌彦
(57)【要約】
【課題】耐久性の高い液晶表示装置などを提供することを課題とする。または、狭額縁化
された液晶表示装置などにおいても、耐久性の高い液晶表示装置などを提供する。または
、水の侵入を低減した液晶表示装置などを提供する。または、額縁の小さな液晶表示装置
などを提供する。
【解決手段】シール材で固着された対向基板と素子基板との間に、液晶層を有するアクテ
ィブマトリクス型の液晶表示装置において、対向基板には少なくとも樹脂層が形成されて
おり、前記樹脂層の端部は、外部雰囲気に露出しておらず、前記樹脂層と前記シール材と
は、前記液晶表示装置の断面を見た際に少なくとも一部において重なりを有しており、前
記樹脂層と前記シール材との間には非透湿性の層が形成されている液晶表示装置を提供す
る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール材で固着された対向基板と素子基板との間に、液晶層を有するアクティブマトリクス型の液晶表示装置であって、
前記対向基板には少なくとも樹脂層が形成されており、
前記樹脂層の端部は、外部雰囲気に露出しておらず、
前記樹脂層と前記シール材とは、前記液晶表示装置の断面を見た際に少なくとも一部において重なりを有しており、
前記樹脂層と前記シール材との間には非透湿性の層が形成されている液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシ
ン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特
に、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、それらの駆動方法、または、
それらの製造方法に関する。特に、本発明は、例えば、液晶表示装置及び当該液晶表示装
置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットなど、モバイル用途の液晶表示装置が全盛を極めている。
家庭用テレビなどの不調をよそに、一部は供給が追い付かないほどの売れ行きであるとも
報道されている。家庭用テレビと異なり、2~3年での買い替えが通常であるモバイル機
器は、買い替え需要も常に存在し、不振を極める我が国におけるディスプレイ業界の命綱
となっている。
【0003】
買い替え需要の創出には、より洗練された商品の開発が不可欠である。そして、それに
伴い、ディスプレイには常に高画質化、狭額縁化が求められてきた。
【0004】
液晶表示装置は、シール材によって周囲を固着させた一対の基板間に液晶材料が封入さ
れた構造を有している。また、一対の基板のうち、一方の基板には、カラーフィルタや、
ブラックマトリクスが設けられ、他方の基板にはアクティブマトリクス型の液晶表示装置
の場合には駆動素子が設けられる構造が一般的である。
【0005】
特許文献1には、素子基板側に存在する平坦化膜が外部雰囲気に曝されることによる、
吸湿や透水を防止する目的で、平坦化膜の端部をシール材と重なる位置に配置する構成が
開示されている。
【0006】
液晶表示装置における有効表示領域の外側に位置する非表示領域、いわゆる額縁領域に
対する要求は、狭くなり続けるばかりである。大型のディスプレイでも数mmのもの、小
型のディスプレイでは1mmを切るものまで発表されている。
【0007】
額縁領域は、封止や、ドライバの実装に用いられているが、狭額縁化することによって
、それらに割くことができる領域も大きく減少してきている。
【0008】
封止のために用いられるシール材は、樹脂であるため、透湿性が小さいとはいえ水を完
全に遮断するものではない。それでも、従来のようにある程度の幅をシール領域に割くこ
とができれば、使用に十分耐えうる期間、外部雰囲気からの水の影響を抑制することがで
きていた。
【0009】
しかし、狭額縁化が進む昨今においては、そのような領域を充分に確保することが困難
となりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3531048号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の一態様では耐久性の高い液晶表示装置などを提供することを課題とす
る。
【0012】
または、本発明の一態様では、狭額縁化された液晶表示装置などにおいても、耐久性の
高い液晶表示装置などを提供することを課題とする。または、本発明の一態様では、水の
侵入を低減した液晶表示装置などを提供することを課題とする。または、本発明の一態様
では、額縁の小さな液晶表示装置などを提供することを課題とする。または、本発明の一
態様では、新規な液晶表示装置などを提供することを課題とする。なお、これらの課題の
記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題
の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請
求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載
から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、シール材で固着された対向基板と素子基板との間に、液晶層を有す
るアクティブマトリクス型の液晶表示装置において、対向基板には少なくとも樹脂層が形
成されており、前記樹脂層の端部は、外部雰囲気に露出しておらず、前記樹脂層と前記シ
ール材とは、前記液晶表示装置の断面を見た際に少なくとも一部において重なりを有して
おり、前記樹脂層と前記シール材との間には非透湿性の層が形成されている液晶表示装置
である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様の液晶表示装置は、耐久性の高い液晶表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】シール構造を示す図。
図2】液晶素子の電極構造を示す図。
図3】シール構造を示す図。
図4】液晶素子を示す図。
図5】液晶表示パネル(液晶表示モジュール)を示す図。
図6】電子機器を示す図。
図7】電子機器を示す図。
図8】ESD耐性試験結果(対向基板側より電圧印加)を示す図。
図9】ESD耐性試験結果(素子基板側より電圧印加)を示す図。
図10】シール構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の一態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限
定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態を様々に変更し得
る。したがって、本発明は以下に示す記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0017】
なお、本明細書中において、液晶表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと
、該パネルにコントローラを含むIC(集積回路)等を実装した状態にあるモジュールと
を含む。さらに、該液晶表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形
態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複
数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状
態であっても良いし、画素電極となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素
電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0018】
また、本明細書中における液晶表示装置とは、画像表示デバイスもしくは光源(照明装置
含む)を指す場合がある。また、コネクター、例えばFPC(Flexible pri
nted circuit)又はTCP(Tape Carrier Package)
が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又
は表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりICが直接実装されたモ
ジュールは、液晶表示装置を含んでいたり、液晶表示装置に含まれていたりする場合があ
る。
【0019】
液晶素子における平坦化膜などに用いられる樹脂は、透明性や取扱いの容易さから、ア
クリルが良く用いられる。また、ポリイミド、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、
エポキシ等を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low-k
材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を
用いることができる。このような材料は、一般的に透湿性が高いことが知られている。そ
のため、上述の特許文献1のように、平坦化膜のような樹脂層の端部を外部雰囲気に露出
させず、シール材で囲まれた領域、若しくはシール材の内部に位置させる構成などが提案
されている。
【0020】
シール材は、上述のような通常の樹脂と比較して、透湿性が非常に小さい材料である。
額縁が充分に確保できる液晶表示装置の場合、シール材の幅を充分にとることによって、
水の影響を長期間受けないようにすることが可能であった。しかし、額縁の狭い液晶表示
装置の場合は、シール材の幅が充分に確保できず、水の影響を受けやすい状態となってい
る。
【0021】
そのため、シール材は、有効画素部にも連続して設けられている平坦化膜やブラックマ
トリクスなどの樹脂層と、断面を見た際に、少なくとも一部が重なるように設けられ、シ
ール材により接着される幅が広くなるように形成されていることが好ましい。なお、この
場合の断面とは、表示面に垂直に切断された断面であるものとする。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態における液晶表示装置のシール部分の断面図を図1(A)乃至(F)に示
す。図1(A)乃至(F)では各々の右方が液晶表示装置の端部に当たり、左方が、液晶
表示装置の内側に向かう方向である。
【0023】
図1では、対向基板100、素子基板101がシール材107によって固着されており
、素子基板101と対向基板100との間隙に液晶層102が設けられている。対向基板
100にはカラーフィルタ103、ブラックマトリクス104、それらを覆う平坦化膜1
05が設けられている。少なくとも平坦化膜105は樹脂で形成されており、その材料は
主としてアクリルなどであり、シール材107の10倍以上の透湿性を有する。ブラック
マトリクス104は金属であっても、樹脂であっても構わないが、樹脂である場合、平坦
化膜105と同様に、水を通しやすい性質を有する。なお、ブラックマトリクス104が
樹脂である場合、図1(A)のように、ブラックマトリクス104と平坦化膜105が接
して形成されているときは、当該2層は1層の樹脂層ともみなすこともできるものとする
。また、図示されていないが、液晶層102に接して配向膜が形成されていても良い。
【0024】
また、素子基板101には、図示されていないが、駆動のための駆動素子や平坦化膜、
配向膜などが形成されていても良く、それらを含めて素子基板101として表現するもの
とする。なお、素子基板101の構成要素は、上記に限定されず、また、上記いずれかが
形成されていなくともよい。たとえば、パッシブマトリクス型の液晶表示装置であれば、
駆動素子は形成されていなくともよいし、ブルー相を用いた表示モードなど、配向膜のい
らない表示モードであれば配向膜は形成されていなくても良い。
【0025】
図1(A)は、樹脂層が外部雰囲気に一部曝されている構成である。この場合、樹脂層
とは、平坦化膜105及びカラーフィルタ103であり、ブラックマトリクス104が樹
脂で形成されている場合には、ブラックマトリクス104と平坦化膜105及びカラーフ
ィルタ103を合わせて樹脂層とする。
【0026】
図1(A)の構成では、樹脂層が外部雰囲気に一部曝されているため、樹脂層内に比較
的早く水が拡散してしまう。その水が液晶層及び駆動素子に到達することによって、液晶
表示装置の劣化を促進してしまうことが懸念される。
【0027】
そのため、図1(A)の構成では、液晶層102と樹脂層を接触させないように、非透
湿性の層106を設けた構成である。非透湿性の層106が形成されることによって、樹
脂層内部に侵入した水が液晶層及び駆動素子に到達することを抑制できるため、液晶表示
装置の劣化を抑制することが可能となる。ここで、非透湿性の層とは、シール材に用いら
れる材料よりも透湿性の小さい材料により形成された層であるものとし、非透湿性が高け
れば高いほど好ましい。
【0028】
なお、シール材107は樹脂層と比較して10分の1程度の透湿性であり、樹脂層と重
畳して形成されることによって、狭額縁化された液晶表示装置であっても、十分な幅を確
保することができ、通常の使用において十分な非透湿性を確保することができる。
【0029】
また、図中符号108で表されているものは、透明導電膜で形成された液晶表示装置の
電極である。電極108については、液晶の駆動モードによっては、形成しないこともあ
り得、そのような場合本発明の一態様である図1(A)の構成はより効果を発揮する。こ
のように、対向基板100にコモン電極を形成しない液晶表示装置の駆動モードとしては
、IPS(In Plane Switching)モードや、FFS(Fringe
Field Switching)モードなどがあり、図1(A)の構成が適用好適であ
る。
【0030】
対向基板100に電極108が形成される場合であっても、MVA(Multi-do
main Vertical Alignment)モードのように、電極108がパタ
ーン形成されている場合や、TN(Twisted Nematic)モードのように全
面に電極が形成されている場合であっても、ガス抜きの目的の他、配向制御などの目的で
電極108に切れ目や穴が開いている場合は、樹脂層から液晶層102及び駆動素子へ水
が移動しやすい環境であるため、適用好適である。
【0031】
図1(B)も図1(A)と同様に樹脂層の一部が外部雰囲気に曝されている構成である
図1(B)は、ブラックマトリクス104が樹脂である場合に該当する構成である。
【0032】
また、樹脂層のうち、平坦化膜105はその外側の端部が、液晶表示装置の端部より内
側に形成され、シール材107で覆われており、ブラックマトリクス104が液晶表示装
置端部まで連続して形成されている構成である。
【0033】
このような構成を有する液晶表示装置では、外部雰囲気に曝されているブラックマトリ
クス104とそれに接するカラーフィルタ103には比較的早く水が拡散してゆく。一方
で、平坦化膜105はその端部がシール材107で覆われているため、水の到達がブラッ
クマトリクス104やカラーフィルタ103などと比較すると、遅くなっている。しかし
、平坦化膜105とブラックマトリクス104やカラーフィルタ103が接していると、
そこから平坦化膜105中に水が拡散してしまい、平坦化膜105の端部を内部に後退さ
せた意味がなくなってしまう。
【0034】
そこで、図1(B)の構成では、外部雰囲気に曝される第1の樹脂層(ブラックマトリ
クス104及びカラーフィルタ103)と外部雰囲気に曝されない第2の樹脂層(平坦化
膜105)との間に非透湿性の層106を設けた。
【0035】
この構成を有することによって、水が速く拡散するのは第1の樹脂層のみとなるため、
液晶表示装置の劣化を抑制することにつながる。
【0036】
ここで、シール材107の透湿度は、平坦化膜105や、ブラックマトリクス104に
用いられるアクリルなどの透湿度と比較して、10分の1以下であるが、水をまったく通
さないわけではない。そのため、平坦化膜105の端部がシール材107で覆われており
、且つ、シール材107の幅を充分に設けても、シール材107と平坦化膜105が接し
て重なっていれば、その接触部分から平坦化膜105に水が浸入する恐れがある。いった
ん平坦化膜105に侵入した水は、速やかに拡散してしまうため、シール材107のシー
ル幅に相当する水の侵入抑制効果を得られなくなってしまう恐れがある。
【0037】
たとえば、平坦化膜の10分の一の透湿度を有するシール材のシール幅の中間地点に平
坦化膜の端部が位置している場合、当該中間地点で平坦化膜に達した水は、すべてシール
材を介して液晶表示装置内部に侵入した場合と比較して、約半分の時間で液晶表示装置内
部に到達する計算となる。
【0038】
そのため、平坦化膜105とシール材107が重なっている部分には、非透湿性の層が
形成されていることが好ましい。平坦化膜105とシール材107との間に非透湿性の層
を形成することによって、シール材107から平坦化膜105に水が侵入する経路が遮断
されるため、シール材107でシールされた幅の分、設計通りの水の抑制効果を得ること
ができるようになる。
【0039】
図1(B)では、対向基板100に設けられた電極108を非透湿性の層109として
も用いている構成である。この場合、電極108と非透湿性の層109とを同一の工程で
形成することが可能であるため、製造コスト的に有利となる。また、このような構成であ
る場合、電極108は透明酸化物導電体のように、透湿性の小さい無機酸化物などの透明
導電体を用いることが好ましい。もちろん、電極108とは別に非透湿性の層109を設
けても構わない。なお、当該非透湿性の層109は、少なくともシール材107と平坦化
膜105が重なる部分に設けてあればよい。
【0040】
図1(C)の構成は、ブラックマトリクス104が樹脂である場合と、金属である場合
で、水の拡散状況が異なる構成である。ブラックマトリクス104が樹脂である場合は、
樹脂層(カラーフィルタ103、ブラックマトリクス104及び平坦化膜105)が一部
外部雰囲気に曝されている構成である。そのため、液晶層102と樹脂層との間には非透
湿性の層106が形成されることによって液晶層102や駆動素子への水の浸入を抑制し
ている。また、平坦化膜105の端部は基板端部よりも内側に形成され、当該平坦化膜1
05の表面はシール材107によって覆われている。また、平坦化膜105はシール材1
07と重なっているが、直接接しておらず、間に非透湿性の層106が形成されているこ
とから、シール材107から平坦化膜105への水の侵入も抑制され、シール材107の
形成された幅に相当する水の抑制効果を得ることができる。
【0041】
ブラックマトリクス104が金属である場合は、非透湿性の層106が形成されていな
くても樹脂層(カラーフィルタ103及び平坦化膜105)は外部雰囲気から隔離された
状態にある。そのため、外部の水の影響を受けにくく、劣化をより有効に抑制することが
可能である。また、平坦化膜105はシール材107と重なっているが、直接接しておら
ず、間に非透湿性の層106が形成されていることから、シール材107から平坦化膜1
05への水の侵入も抑制され、シール材107の形成された幅に相当する水の抑制効果も
得ることができる。なお、この構成である場合、非透湿性の層106は、少なくともシー
ル材107と平坦化膜105との間に存在すればよい。
【0042】
ブラックマトリクス104が、金属と樹脂、どちらの場合でも、電極108は、形成さ
れていても、されていなくても良い。電極108が形成されていない場合、樹脂層から侵
入する水の影響を受けやすいため、本構成をより好適に適用することができる。また、電
極108が形成されている場合でも、穴や切れ目、スリットが存在する、電極108がパ
ターン形成されているなどの場合、当該電極108が形成されている面(この図の場合、
非透湿性の層106)と液晶層102が接している構成である際、同様の理由により適用
好適である。電極108が形成されていない液晶表示装置の駆動方式としては、FFS方
式やIPS方式などが、電極108がパターン形成される駆動方式としてはMVAモード
などがある。また、ガス抜きなどの目的で電極108に穴やスリット、切れ目が形成され
ている場合もある。
【0043】
以上、図1(A)乃至図1(C)の構成を有する液晶表示装置は、ブラックマトリクス
104が、液晶表示装置の基板端部まで形成されていることから、基板周囲におけるバッ
クライトからの光漏れや、外光の侵入を抑制することもでき、狭額縁化された液晶表示装
置であっても光漏れや外光の影響を受けにくい高品位な画像を提供することができる。
【0044】
図1(D)は、樹脂層であるブラックマトリクス104の端部及び平坦化膜105の外
側端部が、ともに液晶表示装置の基板端部よりも内側に位置する構成である。この構成を
有するブラックマトリクス104及び平坦化膜105はその外側端部よりもさらに外周側
にシール材107が存在するため外部雰囲気から遮断された状態にある。
【0045】
また、樹脂層であるブラックマトリクス104とシール材107との間には、非透湿性
の層106が形成され、水の侵入を阻んでいる。また、平坦化膜105とシール材107
との間にも非透湿性の層109を形成することによって、水の侵入を阻み、シール材10
7の形成された幅に相当する水の影響抑制を得ることができる構成となっている。図1
D)においては、平坦化膜105とシール材107との間に形成する非透湿性の層109
を電極108を構成する材料と同じ材料によって形成する例を示した。このような構成と
することによって、非透湿性の層109を電極108と同時に形成することが可能となる
ため、製造工程が減り、コスト的に有利となる。
【0046】
このように、非透湿性の層109を電極108と同時に形成する場合には、電極108
はITOのような透湿性の小さい透明酸化物導電体で形成することが好ましい。なお、も
ちろん、非透湿性の層109は電極108とは別に形成しても良い。この場合、電極10
8の材料については、透湿性の小さい材料を用いる必要はない。
【0047】
なお、電極108は、形成されていても、されていなくても良い。電極108が形成さ
れていない場合、樹脂層から侵入する水の影響を受けやすいため、本構成をより好適に適
用することができる。また、電極108が形成されている場合でも、穴や切れ目、スリッ
トが存在する、電極108がパターン形成されているなどの、当該電極108が形成され
ている面(この図の場合、平坦化膜105)と液晶層102が接している構成である際に
も樹脂層からの水の影響を受けやすいため、適用好適である。
【0048】
また、このようにブラックマトリクス104の端部が、液晶表示装置の基板端部よりも
内側に位置する構成であると、静電気放電(ESD:electro-static d
ischarge)への耐性が向上するため、さらに信頼性や耐久性の高い液晶表示装置
とすることが可能となる。
【0049】
図1(E)の構成は、樹脂層であるブラックマトリクス104の外側端部と、平坦化膜
105の外側端部が共に基板の端部よりも内側に形成されている構成である。また、さら
に、ブラックマトリクス104の外側端部は平坦化膜105の外側端部よりも内側に形成
されている。そして、平坦化膜105の外側端部よりも基板外周側にシール材107の外
側端部が位置し、平坦化膜105の外側端部よりも基板内部側にシール材107の内側端
部が存在し、平坦化膜105とシール材107とは一部重なっている。さらに、平坦化膜
105とシール材107とが重畳している部分には、非透湿性の層109が形成され、シ
ール材107から樹脂層への水の侵入を抑制している。
【0050】
以上のような構成を有する液晶表示装置は、比較的透湿性の高い樹脂層の外側に、比較
的透湿性の低いシール材107が位置するため、水の侵入を抑制することが可能である。
また、シール材107と樹脂層との間に非透湿性の層109が位置することによって、シ
ール材107からの樹脂層への水の侵入を抑制し、シール材107が形成された幅に相当
する水の侵入抑制効果を得やすい構成である。
【0051】
また、このようにブラックマトリクス104の端部が、液晶表示装置の基板端部よりも
内側に位置した構成であると、静電気放電(ESD)への耐性が向上するため、さらに信
頼性や耐久性の高い液晶表示装置とすることが可能となる。
【0052】
図1(E)において、非透湿性の層109は、対向基板100に形成された電極108
と同じ工程で形成した場合の図が示されている。このように、電極108と非透湿性の層
109とを同じ工程により形成することで、コスト削減につながり、各々を別々に形成す
る場合と比較して有利である。なお、この場合、電極108の材料は、透湿度の小さい透
明酸化物導電体を用いることが好ましい。
【0053】
電極108と非透湿性の層109とは、異なる工程で形成されても構わない。この場合
、非透湿性の層109は透湿度が小さければ、どのような材料を用いて形成されていても
構わないし、電極108は透明導電膜であればよく、透湿度の小さい材料を用いる必要は
ない。
【0054】
なお、電極108は、形成されていても、されていなくても良い。電極108が形成さ
れていない場合、樹脂層から侵入する水の影響を受けやすいため、本構成をより好適に適
用することができる。また、電極108が形成されている場合でも、穴や切れ目、スリッ
トが存在する、電極108がパターン形成されている、などの、当該電極108が形成さ
れている面(この図の場合、平坦化膜105)と液晶層102が接している構成である際
にも、樹脂層から侵入する水の影響を受けやすいため、適用好適である。
【0055】
また、このようにブラックマトリクス104の端部が、液晶表示装置の基板端部よりも
内側に位置した構成であると、静電気放電(ESD)への耐性が向上するため、さらに信
頼性や耐久性の高い液晶表示装置とすることが可能となる。
【0056】
なお、ESDへの耐性向上への貢献は、ブラックマトリクスの端部が液晶表示装置の基
板端部よりも内側に位置していることであり、図10(A)、(B)のような構造であっ
てもESDへの耐性が向上する。
【0057】
図1(F)は図1(E)とほとんど同じ構成であるが、非透湿性の層109の外側端部
が基板の端部よりも内側に形成されており、シール材107が対向基板100とも接触し
ている構成である。シール材107が対向基板100とも接していることで、より良好な
封止効果を得ることができるため好ましい構成である。
【0058】
図1(D)乃至図1(F)の構成を有する液晶表示装置においては、ブラックマトリク
ス104が基板の端部にまで形成されていないために、バックライトからの光漏れや外光
の侵入による不都合が起きる可能性がある。そのため、これらの構成を有する液晶表示装
置におけるシール材107は濃色に着色されていることが好ましい。着色は濃色の顔料や
紛体をシール材107に混合又は分散させることによって行うことができる。
【0059】
図2に液晶表示装置の表示方法毎の電極配置の模式図を示す。図2には対向基板150
、素子基板151、液晶層152、対向基板側の電極158、素子基板側の電極160な
どが記載されている。なお、図1では、素子基板101は素子基板側の電極も含めて素子
基板101としたが、図2における素子基板151は、素子基板側の電極160は素子基
板151とは別に図示した。なお、図示されていないが、電極158や電極160と液晶
層152との間に配向膜が形成されていても良い。また、図1では対向基板100は樹脂
層などを形成する基板自体を示していたが、図2においては、樹脂層や非透湿性の層も含
めて対向基板150として示す。
【0060】
図2(A)はTN(Twisted Nematic)モードやVAモード(Vert
ical Alignmentモード、 垂直配向モード)の電極配置の模式図である。
対向基板側の電極158はパターニングされていないが、この場合も、ガス抜きなどの目
的で穴や切れ目、スリットなどが形成される場合があり、そのような場合に本実施の形態
で説明した構成は好適に適用することができる。もちろん、穴などがあえて形成されてい
なくても、本実施の形態で説明した構成を適用することで、耐久性の高い液晶表示装置を
得ることができる。
【0061】
図2(B)はMVAモード(Multi-domain Vertical Alig
nmentモード、マルチドメイン垂直配向モード)の電極配置の模式図である。対向基
板側の電極158がパターニングされ、液晶層152が電極158の被形成面に接触して
いる構成である。このような構成を有する本表示モードの液晶表示装置には、本実施の形
態で説明した構成を好適に適用することができる。
【0062】
図2(C)はIPSモード(In-Plane Switchingモード、インプレ
イン・スイッチングモード)の電極配置の模式図である。本表示モードにおいては、対向
基板側の電極158は形成されず、素子基板151側の電極160と、同じく素子基板1
51側の電極161の間に発生する水平電界により液晶を駆動する。このような構成を有
する本表示モードの液晶表示装置は、対向基板150側の電極158による水のブロック
効果を期待できないため、本実施の形態で説明した各構成を非常に好適に適用することが
できる。
【0063】
図2(D)はFFSモード(fringe field switchingモード、
フリンジ フィールド スイッチングモード)の電極配置の模式図である。本表示モード
においては、対向基板側の電極158は形成されず、素子基板151側の電極160と、
同じく素子基板151側に、電極160に対して絶縁膜162を介して形成された電極1
61を設け、電極幅を短くすることによる、フリンジ電界により液晶を駆動する。このよ
うな構成を有する本表示モードの液晶表示装置は、対向基板150側の電極158による
水のブロック効果を期待できないため、本実施の形態で説明した各構成を非常に好適に適
用することができる。
【0064】
図2(E)はASVモード(Advanced Super Viewモード、アドバ
ンスト・スーパー・ビューモード)の電極配置の模式図である。本表示モードでは対向基
板150側の電極158がパターン形成されているため、本実施の形態で説明した構成は
好適に適用することができる。
【0065】
図3には、図2(C)や図2(D)のように、対向基板150側に電極158が形成さ
れない、IPSモードやFFSモードなどでの本発明の態様の一部を示した。なお、図3
では、素子基板101は、駆動素子や素子基板側の電極(図2における電極160、16
1)や配向膜なども含むこととする。各々の素子基板101には、表示モードに対応する
電極160、電極161が形成されているものとする。
【0066】
図3(A)は、図1(A)に対応する。このように、外部雰囲気に曝されている樹脂層
(カラーフィルタ103、ブラックマトリクス104及び平坦化膜105)と液晶層10
2との間に非透湿性の層106が形成されている。このことから、樹脂層から液晶層10
2への水の侵入を抑制し、水による悪影響を抑制することが可能となる。また、シール材
107と樹脂層との間に非透湿性の層106が形成されていることから、シール材107
の性能及びシール材が形成された幅から期待される封止性能を確実に得ることができる。
【0067】
図3(B)は図1(B)に対応する。図3(B)では外部雰囲気に曝されている樹脂層
(カラーフィルタ103及びブラックマトリクス104)と、当該樹脂層よりも液晶層1
02側に設けられた外側端部が基板端部よりも内側に形成され、外部雰囲気に曝されてい
ない樹脂層(平坦化膜105)との間に非透湿性の層106を形成した構成を示している
。この構成を有することにより、外部雰囲気に曝されている樹脂層には水は比較的速やか
に拡散するが、より液晶層に近い平坦化膜105に水が浸入することを抑制することがで
き、液晶層102や駆動素子に水が悪影響を及ぼすことを抑制することが可能となる。
【0068】
また、平坦化膜105の外側端部はシール材107に覆われており、また、少なくとも
平坦化膜105とシール材107が重畳する部分には、それらの間に非透湿性の層109
が形成されている。この構成を有することによって、シール材107から平坦化膜105
への水の侵入を抑制することが可能となるため、シール材107の透湿度とシール幅から
期待される封止性能を損なわずに得ることが可能となる。図3(B)では、非透湿性の層
109はほぼシール材107と平坦化膜105が重なる部分のみに設けられているが、非
透湿性の層109は、全面に形成されていても良い。非透湿性の層109が全面に形成さ
れている場合は、パターニングやエッチングなどの工程が不要であるため、製造工程が簡
略化できる。一方、図3(B)のように、有効表示領域の非透湿性の層109を除去する
ことで、非透湿性の層109の屈折率や着色などによる、表示品質の劣化を抑制すること
ができる。
【0069】
図3(C)は図1(C)に対応する。図3(C)では、樹脂層(カラーフィルタ103
、ブラックマトリクス104、平坦化膜105)の一部(ブラックマトリクス104のみ
)が外部雰囲気に曝されている構成である。平坦化膜105の外側端部は、基板の外周部
よりも内側に形成されており、樹脂層と液晶層102との間及び樹脂層とシール材107
との間には非透湿性の層106が形成されている。樹脂層のうち、外部雰囲気に曝されて
いるのがブラックマトリクス104のみであることから、外部雰囲気からの水の侵入を最
小限に抑制することができる。また、ブラックマトリクス104が基板端部まで形成され
ていることによって、バックライトの光漏れや、外光の侵入による表示品質の低下を抑制
することができる。
【0070】
図3(D)は図1(D)に対応する。図3(D)では樹脂層(カラーフィルタ103、
ブラックマトリクス104、平坦化膜105)の端部が基板外周部よりも内側に形成され
ており、その外側にシール材107が存在することから、外部雰囲気に曝されておらず、
水の影響を受けにくい構造となっている。また、少なくとも樹脂層とシール材107との
重畳部分には、非透湿性の層106が形成されており、シール材107から樹脂層に侵入
する水の影響も抑制している。なお、非透湿性の層106はほぼシール材107と樹脂層
が重なる部分のみに設けられているが、非透湿性の層106は、全面に形成されていても
良い。非透湿性の層106が全面に形成されている場合は、パターニングやエッチングな
どの工程が不要であるため、製造工程が簡略化できる。一方、図3(D)のように、有効
表示領域の非透湿性の層106を除去することで、非透湿性の層106の屈折率の差や着
色などによる、表示品質の劣化を抑制することができる。
【0071】
なお、非透湿性の層106は、平坦化膜105を形成した後、平坦化膜105の端部と
ブラックマトリクス104の端部とを同時に覆うように形成しているが、ブラックマトリ
クス104の端部を覆う非透湿性の層と、平坦化膜105を覆う非透湿性の層とを別々に
形成してももちろん構わない。
【0072】
また、図3(D)に示した構成では、ブラックマトリクス104が基板端部まで形成さ
れていないため、狭額縁化された液晶表示装置においては、バックライトからの光漏れや
外光の侵入によって表示品質が低下する恐れがある。このような場合、シール材107に
染料や顔料を混入することによって、濃色に着色することで、光漏れや外光の影響を抑え
、表示品質を維持することができるようになる。
【0073】
図3(E)は図1(E)に対応する。図3(E)では、樹脂層(カラーフィルタ103
、ブラックマトリクス104、平坦化膜105)の端部が基板外周部よりも内側に形成さ
れており、その外側にシール材107が存在することから、外部雰囲気に曝されておらず
、水の影響を受けにくい構造となっている。また、少なくとも樹脂層とシール材107と
の重畳部分には、非透湿性の層106が形成されており、シール材107から樹脂層に侵
入する水の影響も抑制している。図3(E)の構成では、ブラックマトリクス104の外
側端部が、平坦化膜105の外側端部よりも内側に位置しており、ブラックマトリクス1
04は平坦化膜105に覆われている構成となっている。なお、非透湿性の層106はほ
ぼシール材107と樹脂層が重なる部分のみに設けられているが、非透湿性の層106は
、全面に形成されていても良い。非透湿性の層106が全面に形成されている場合は、パ
ターニングやエッチングなどの工程が不要であるため、製造工程が簡略化できる。一方、
図3(E)のように、有効表示領域の非透湿性の層106を除去することで、非透湿性の
層106の屈折率や着色などによる、表示品質の劣化を抑制することができる。
【0074】
また、図3(E)に示した構成では、ブラックマトリクス104が基板端部まで形成さ
れていないため、狭額縁化された液晶表示装置においては、バックライトからの光漏れや
外光の侵入によって表示品質が低下する恐れがある。このような場合、シール材107に
染料や顔料を混入することによって、濃色に着色することで、光漏れや外光の影響を抑え
、表示品質を維持することができるようになる。
【0075】
また、図3(D)~(E)では、ブラックマトリクス104の端部が、液晶表示装置の
基板端部よりも内側に位置した構成であるため、静電気放電(ESD)への耐性が向上す
る。このため、さらに信頼性や耐久性の高い液晶表示装置とすることが可能となる。
【0076】
また、シール材107は、0.2mm以上1.5mm以下好ましくは0.4mm以上1
mm以下の幅を有することで、本実施の形態に記載の構成を有する液晶表示装置は狭額縁
化をしながら、充分な封止性能を必要期間維持することができる。
【0077】
本実施の形態における、非透湿性の層とは、少なくとも用いられているシール材よりも
透湿度が小さい材料のことを指し、単層で形成されていても、積層構造を有していても良
い。好ましい材料としては、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ケイ
素などがあげられる。また、透明酸化物導電体も用いることができる。非透湿性の層に透
明酸化物導電体を用いた場合、非透湿性の層と、対向基板側の電極とを同時に形成するこ
とができ、好ましい構成である。透明酸化物導電体としては、インジウム錫酸化物(IT
O)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合した導電材料、酸化インジウムに酸化
シリコン(SiO)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステ
ンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタン
を含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、グラフェンなどが挙げ
られ、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上
であることが好ましい
【0078】
電極108、電極160及び電極161は、画素電極や共通電極に相当する。透過型の
液晶表示装置の場合、光が透過する画素領域に存在する画素電極層、共通電極層、素子基
板、対向基板、その他の絶縁膜、導電膜などは可視光の波長領域の光に対して透光性とす
る。IPSモードやFFSモードのように横方向に電界が与えられる構成の液晶表示装置
においては、画素電極層、共通電極層は透光性が好ましいが、比較的大きな開口パターン
を有する構成の液晶表示装置の場合は形状によっては金属膜などの非透光性材料を用いて
もよい。なお、本明細書で透光性とは少なくとも可視光の波長領域の光を透過する性質を
いう。
【0079】
一方反射型の液晶表示装置の場合、液晶組成物に対して視認側と反対側には液晶組成物
を透過した光を反射する反射性の部材(反射性を有する膜や基板など)を設ければよい。
よって、視認側より反射性の部材までに設けられた、光が透過する基板、絶縁膜、導電膜
は可視光の波長領域の光に対して透光性とする。縦方向に電界が与えられる液晶表示装置
においては、視認側と反対側の画素電極層又は共通電極層を反射性とし、反射性の部材と
して用いることができる。
【0080】
画素電極層、共通電極層は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜
鉛(ZnO)を混合した導電材料、酸化インジウムに酸化シリコン(SiO)を混合し
た導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸
化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化
チタンを含むインジウム錫酸化物、グラフェン、又はタングステン(W)、モリブデン(
Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb
)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン
(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又
はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて、形成することがで
きる。また、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成
することも可能である。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用
いることができる。例えば、ポリアニリン又はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体
、ポリチオフェン又はその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などが挙げられ
、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であ
ることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・c
m以下であることが好ましい。以上、電極材料の選択においては、上述したように、液晶
表示装置の表示形式に合わせ、透光性を有する材料や構成、反射性を有する材料や構成を
適宜選択する。
【0081】
素子基板101、151、対向基板100、150にはバリウムホウケイ酸ガラスやア
ルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、プラスチック基板などを用いるこ
とができる。なお、反射型の液晶表示装置の場合、視認側と反対側の基板にはアルミニウ
ム基板やステンレス基板などの金属基板を用いてもよい。
【0082】
なお、偏光板、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどは適宜設けても良い。ま
た、光源としてバックライトなどを用いることができる。
【0083】
以上、本実施の形態に示す、構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法など
と適宜組み合わせて用いることができる。
【0084】
(実施の形態2)
本発明の一態様に係る液晶表示装置として、パッシブマトリクス型の液晶表示装置、ア
クティブマトリクス型の液晶表示装置を提供することができる。本実施の形態は、本発明
の一態様に係るアクティブマトリクス型の液晶表示装置の例を、図4を用いて説明する。
【0085】
図4(A)は液晶表示装置の平面図であり2画素分の画素を示している。図4(B)は
図4(A)の線X1-X2における断面図である。
【0086】
図4(A)において、複数の配線405aは互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互
いに離間して配置されている。配線405aはソース配線として機能する。また、配線4
05aと同じ導電層によって配線層405bが設けられている。複数の配線401は、配
線405aに概略直交する方向(図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間して配置され
ている。配線401はゲート配線として機能する。配線405aと配線401で囲まれた
概略長方形の領域に対応して第1の電極層447が配置されている。第1の電極層447
は画素電極として機能する。画素電極を駆動するトランジスタ420は、図中、配線40
5aと配線401で囲まれた概略長方形の領域における右上の角に配置されている。画素
電極及びトランジスタは、マトリクス状に複数配置されている。
【0087】
図4の液晶表示装置において、コンタクトホール421を介してトランジスタ420に
電気的に接続する第1の電極層447が画素電極として機能し、第1の電極層447と絶
縁膜408を介して重なる第2の電極層446が共通電極として機能する。共通電極層は
コモン電位が印加される。
【0088】
電極の配置としては、特に限定はないが、図3に示すFFSモードのようなフリンジ電
界を生じさせて、液晶分子を動かし、階調を制御する方式が用いることができる。その他
図2で示したような電極構造を用いる駆動方式を適宜適用することができる。
【0089】
液晶層に用いる液晶組成物は、それぞれの駆動方法にあった液晶組成物を適宜用いるこ
とができる。
【0090】
なお、第2の電極層446は、開口パターンを有する形状であるために、図4(B)の
断面図においては分断された複数の電極層として示されている。これは本明細書の他の図
面においても同様である。
【0091】
本明細書に開示する液晶表示装置に適用できるトランジスタの構造は特に限定されず、
例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いる
ことができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート
構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造
などのマルチゲート構造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介
して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
【0092】
図4ではトランジスタ420は逆スタガ型の薄膜トランジスタを示した。トランジスタ
420は絶縁表面を有する基板である第1の基板441上に形成され、ゲート電極401
a、ゲート絶縁層402、半導体層403、ソース電極又はドレイン電極として機能する
配線層405bを含む。また、トランジスタ420を覆う絶縁膜407が積層されている
。絶縁膜407は積層で構成されていても、単層であっても構わない。
【0093】
第1の基板441と対向基板である第2の基板(図示せず)とを、液晶層を間に挟持さ
せてシール材で固着する。シール材周辺の構成は、実施の形態1に説明したような構成を
有するものとする。液晶層を形成する方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の
基板441と第2の基板とを貼り合わせてから毛細管現象等を用いて液晶組成物を注入す
る注入法を用いることができる。
【0094】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性又は熱硬化性の樹脂を用い
るのが好ましい。代表的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂などを用いるこ
とができる。また、光(代表的には紫外線)重合開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリ
ング剤を含んでもよい。ブラックマトリクスが基板の端部まで形成されていない場合は、
シール材に染料や顔料を混入し、濃色に着色することが好ましい。
【0095】
シール材に紫外線などの光硬化樹脂を用い、滴下法で液晶組成物を形成する場合など、
高分子安定化処理の光照射工程によってシール材の硬化も行ってもよい。
【0096】
本実施の形態では、第1の基板441の外側に偏光板を、第2の基板(対向基板)の外
側に偏光板を設けても良い。また、偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィル
ムなどを設けてもよい。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。以上
の工程で、液晶表示装置を完成させることができる。
【0097】
また、大型の基板を用いて複数の液晶表示装置を作製する場合(所謂多面取り)、その
分断工程は、高分子安定化処理の前、又は、偏光板を設ける前に行うことができる。分断
工程による液晶組成物への影響(分断工程時にかかる力などによる配向乱れなど)を考慮
すると、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後であって、高分子安定化処理の前が
好ましい。
【0098】
図示しないが、光源としてはバックライト、サイドライトなどを用いればよい。光源は
素子基板である第1の基板441側から、視認側である第2の基板へと透過するように照
射される。
【0099】
第1の電極層447及び第2の電極層446は、実施の形態1において、電極108の
材料として挙げたものと同様の材料を用いることができる。材料の選択においては、上述
したように、液晶表示装置や液晶表示モジュールの表示形式に合わせ、透光性を有する材
料や構成、反射性を有する材料や構成を適宜選択する。
【0100】
下地膜となる絶縁膜を第1の基板441と配線401の間に設けてもよい。下地膜は、
第1の基板441からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化
シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜
による、単層又は積層構造により形成することができる。配線401の材料は、モリブデ
ン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジ
ウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成
することができる。また、配線401としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶
シリコン膜に代表される半導体膜、ニッケルシリサイドなどのシリサイド膜を用いてもよ
い。配線401に遮光性を有する導電膜を用いると、バックライトからの光(第1の基板
441から入射する光)が、半導体層403へ入射することを防止することができる。
【0101】
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリ
コン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、
酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化シリコン膜等を用いて形成することができる。ゲ
ート絶縁層402の材料としては、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、
ハフニウムシリケート、ハフニウムアルミネート、窒素が添加されたハフニウムシリケー
ト、窒素が添加されたハフニウムアルミネートなどのhigh-k材料を用いてもよい。
これらのhigh-k材料を用いることでゲートリーク電流を低減できる
【0102】
半導体層403に用いる材料は特に限定されず、トランジスタ420に要求される特性
に応じて適宜設定すればよい。半導体層403に用いることのできる材料の例を説明する
【0103】
半導体層403を形成する材料としては、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガ
スを用いる気相成長法や、スパッタリング法で作製される非晶質(アモルファスともいう
。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結
晶半導体、或いは微結晶半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタリング法
、LPCVD法、又はプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0104】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体
としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)に
は、800℃以上のプロセス温度を経て形成される所謂高温ポリシリコンや、600℃以
下のプロセス温度で形成される所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを
用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述
したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもでき
る。
【0105】
また、酸化物半導体を用いてもよく、酸化物半導体としては、酸化インジウム、酸化ス
ズ、酸化亜鉛や、二元系金属の酸化物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、
Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、
In-Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOと
も表記する)、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Z
n系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn
系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系
酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸
化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化
物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物
、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるI
n-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-
Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、I
n-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体にInと
GaとSnとZn以外の元素、例えばSiOを含ませてもよい。
【0106】
ここで、例えば、In-Ga-Zn-O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガ
リウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味であり、その組成は問
わない。
【0107】
酸化物半導体膜は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(
C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する
。非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAAC
よりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC-OS(
C Axis Aligned Crystalline Oxide Semicon
ductor)と呼ぶ。
【0108】
酸化物半導体膜は、例えばCAAC-OSを有してもよい。CAAC-OSは、例えば
、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
【0109】
酸化物半導体膜は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体
を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm
未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。
【0110】
酸化物半導体膜は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半
導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩
序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶
質であり、結晶部を有さない。
【0111】
なお、酸化物半導体膜が、CAAC-OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体
の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化
物半導体の領域と、CAAC-OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶
質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC-OSの領域と、の積
層構造を有してもよい。
【0112】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、単結晶を有してもよい。
【0113】
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトル
または表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶
部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体
膜の一例としては、CAAC-OS膜がある。
【0114】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大き
さであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission E
lectron Microscope)による観察像では、CAAC-OS膜に含まれ
る結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC-OS膜には
明確な粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC-
OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0115】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC-OS膜の被形成面の
法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂
直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見
て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶
部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に
垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲
も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、-10°以上10°以下、好ま
しくは-5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0116】
なお、CAAC-OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CA
AC-OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被
形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、C
AAC-OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部の結
晶性が低下することもある。
【0117】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面の法線ベク
トルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC-OS膜の
形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くこ
とがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を
行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC-OS膜が形成されたとき
の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
【0118】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変
動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0119】
酸化物半導体層は複数層から成っていても良い。以下では、3層構造である酸化物半導
体層について説明するが、積層構造は、3層でなくともよい。
【0120】
1層目の酸化物半導体層と3層目の酸化物半導体層は、それぞれ2層目の酸化物半導体
層を構成する元素1種以上を含む酸化物半導体層である。これにより2層目の酸化物半導
体層との界面においてDOSが形成されにくくすることができる。
【0121】
2層目の酸化物半導体層はキャリア移動度が高い酸化物を用いると良い。インジウムを
含む酸化物やZn-Sn酸化物、Ga-Sn酸化物が好ましい。また、2層目の酸化物半
導体層は酸素との結合エネルギーが高い元素を含むことが好ましい。このような元素とし
ては、アルミニウム、ガリウム、イットリウムなどが挙げられる。これらを含むことによ
って酸化物のエネルギーギャップを大きくすることができる。また、2層目の酸化物半導
体層は亜鉛を含むことが好ましい。亜鉛を含むことによって酸化物が結晶化しやすくなる
【0122】
なお、上記酸素との結合エネルギーが高い元素をMとした場合、1層目の酸化物半導体
層がIn-M-Zn酸化物のとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが50ato
mic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic
%未満、Mが75atomic%以上とする。また、2層目の酸化物半導体層がIn-M
-Zn酸化物のとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが25atomic%以上
、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが
66atomic%未満とする。また、3層目の酸化物半導体層がIn-M-Zn酸化物
のとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが50atomic%未満、Mが50a
tomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atom
ic%以上とする。なお、上記のInとMの原子数比率はInおよびMの和を100at
omic%としたときの値である。なお、1層目の酸化物半導体層は、3層目の酸化物半
導体層と同じ構成の酸化物を用いても構わない。
【0123】
1層目の酸化物半導体層をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は
、In:M:Znが1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、1:3:1、1:3:2
、1:3:4、1:3:6、1:6:2、1:6:4、1:6:6、1:6:8、1:6
:10、1:9:2、1:9:4、1:9:6、1:9:8、1:9:10などとすれば
よい。
【0124】
2層目の酸化物半導体層をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は
、In:M:Znが3:1:1、3:1:2、3:1:4、1:1:0.5、1:1:1
、1:1:2、などとすればよい。
【0125】
3層目の酸化物半導体層をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比は
、In:M:Znが1:1:0.5、1:1:1、1:1:2、1:3:1、1:3:2
、1:3:4、1:3:6、1:6:2、1:6:4、1:6:6、1:6:8、1:6
:10、1:9:2、1:9:4、1:9:6、1:9:8、1:9:10などとすれば
よい。
【0126】
これら半導体層をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた
原子数比の膜が形成される場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比よりも膜の
原子数比が小さくなる場合があり、具体的には、ターゲットに含まれる亜鉛の原子数比の
40atomic%以上90atomic%以下程度となる場合がある。
【0127】
半導体層、配線層の作製工程において、薄膜を所望の形状に加工するためにエッチング
工程を用いる。エッチング工程は、ドライエッチングやウエットエッチングを用いること
ができる。
【0128】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチン
グ液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0129】
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層405bの材料としては、Al
、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か
、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、熱処理を行う場合には、こ
の熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。例えば、Al単体では耐熱
性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成
する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta
)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、ス
カンジウム(Sc)から選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする窒化物、もしくは
上述した元素との積層で形成する。
【0130】
なお、配線層405bと、半導体層403との間に、絶縁膜を設けても良い。この絶縁
膜は、チャネル保護膜として機能させることが出来る。チャネル保護膜は、チャネル領域
の上にのみ設けても良いし、配線層405bと、半導体層403とを接触させる部分のみ
を開口して、開口部以外の領域にも配置してもよい。
【0131】
トランジスタ420を覆う絶縁膜407は、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、
有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタリング法などを用いて得
られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸
化タンタル膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブ
テン系樹脂、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材
料の他に、低誘電率材料(low-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)
、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。また、絶縁膜407として酸
化ガリウム膜を用いてもよい。
【0132】
なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜407を形成
してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
【0133】
以上のような構成を有する液晶表示装置や液晶表示モジュールに、実施の形態1で説明
した構造の封止構造を適用することによって、信頼性の高い液晶表示モジュール又は液晶
表示装置とすることができる。
【0134】
以上、本実施の形態に示す、構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法など
と適宜組み合わせて用いることができる。
【0135】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した封止構造を有する液晶表示パネル、液晶表
示モジュールの一例について説明する。本実施の形態ではトランジスタを用いて駆動回路
の一部又は全体を、画素部と同じ基板上に一体形成した、液晶表示パネル、液晶表示モジ
ュールについて説明するが、これに限られず、駆動回路はすべて外付けであっても良いし
、すべて同一基板上に形成されていても良い。また、図示はされていないが、センサやタ
ッチパネルを備えていても良い。例えば、共通電極として機能する第2の電極層446な
どを、タッチセンサ用の電極として使用することによって、インセル型タッチセンサを内
蔵してもよい。
【0136】
液晶表示装置の一形態に相当する液晶表示パネル(液晶表示モジュール)の外観及び断
面について、図5を用いて説明する。図5(A)は、第1の基板4001上に形成された
トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間
にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図5(B)は、図5(A
)のM-Nにおける断面図に相当する。
【0137】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲
むようにして、シール材4005が設けられており、画素部4002と、走査線駆動回路
4004の上に第2の基板4006が設けられている。画素部4002と、走査線駆動回
路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによっ
て、液晶層4008と共に封止されている。ブラックマトリクス4041やカラーフィル
タ4040、平坦化膜4042などの外側の端部は、第1の基板4001や第2の基板4
006の端部よりも内側に形成され、その外側にはシール材4005が形成されており、
水が樹脂層から侵入することが抑制された構成となっている。また、充分なシール幅を確
保するために、シール材4005はその一部が樹脂層と重なって形成されている。そのた
め、シール材4005から樹脂層へ水が浸入し、封止性能が悪化することを防ぐために、
樹脂層とシール材4005との間には、非透湿性の層4043が形成されている。なお、
この例は一例であり、実施の形態1で説明したその他のシール構造を用いることによって
も、水の影響を抑制した信頼性の高い液晶表示パネル、液晶表示モジュールを提供するこ
とができる。
【0138】
なお、第1の基板4001の方においても、層間膜4021が樹脂材料で形成されてい
る場合は、第2の基板4006側と同様の構成を、第1の基板4001側にも適用するこ
とで、良好な耐久性を有する液晶表示モジュール、液晶表示パネルを得ることができる。
【0139】
また、図5(A)は第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領
域とは異なる領域に、単結晶半導体または多結晶半導体で形成された信号線回路が実装さ
れた液晶表示モジュール、液晶表示パネルが示されている。なお、図5(A)は信号線駆
動回路の一部を第1の基板4001上に設けられたトランジスタで形成する例であり、第
1の基板4001上に信号線駆動回路4003bが形成され、かつ単結晶半導体または多
結晶半導体で形成された信号線駆動回路4003aが実装されている。
【0140】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法
、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図5(A)は
、TAB方法により信号線駆動回路4003aを実装する例である。
【0141】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は
、トランジスタを複数有しており、図5(B)では、画素部4002に含まれるトランジ
スタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示して
いる。トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、層間膜4021が設けら
れている。
【0142】
トランジスタ4010、4011は、実施の形態2に示すトランジスタを適用すること
ができる。
【0143】
また、層間膜4021、又は絶縁層4020上において、駆動回路用のトランジスタ4
011の半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層を設けてもよい。導電層は、
電位がトランジスタ4011のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第
2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層の電位がGND、0V、
或いは導電層はフローティング状態であってもよい。
【0144】
また、層間膜4021上に画素電極層4030及び共通電極層4031が形成され、画
素電極層4030はトランジスタ4010と電気的に接続されている。液晶素子4013
は、画素電極層4030、共通電極層4031及び液晶層4008を含む。なお、第1の
基板4001、第2の基板4006の外側にはそれぞれ偏光板4032a、4032bが
設けられている。
【0145】
液晶層4008には、表示モードにあった液晶組成物を用いる。
【0146】
図5に記載の液晶表示パネル(液晶表示モジュール)では、画素電極層4030と共通
電極層4031との間に電界を形成することで、液晶層4008の液晶を制御する構成(
IPSモードなど)を有する液晶表示パネル(液晶表示モジュール)を図示した。本構成
では液晶には水平方向の電界が形成されるため、その電界を用いて液晶分子を制御できる
【0147】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、透光性を有するガラス、プ
ラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiber R
einforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィル
ム、ポリエステルフィルム又はアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アル
ミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いる
こともできる。
【0148】
なお図5は透過型液晶表示装置の例であるが、本発明の一態様は半透過型液晶表示装置
でも、反射型液晶表示装置でも適用できる。
【0149】
また、図5の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設ける例を示すが、
偏光板は基板の内側に設けてもよい。偏光板の材料や作製工程条件によって適宜設定すれ
ばよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光層を設けてもよい。さらに、図示
していないが、タッチパネルと一体になったモジュールであっても良く、また、インセル
型のタッチパネル構成をさらに有していても良い。
【0150】
層間膜4021の一部としてカラーフィルタ層や遮光層を形成してもよい。図5におい
ては、トランジスタ4010、4011上方を覆うように遮光層4034が第2の基板4
006側に設けられている例である。遮光層4034を設けることにより、さらにコント
ラスト向上やトランジスタの安定化の効果を高めることができる。
【0151】
トランジスタの保護膜として機能する絶縁層4020で覆う構成としてもよいが、特に
限定されない。
【0152】
なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を
防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタリング法を用いて、酸
化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミ
ニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜
の単層、又は積層で形成すればよい。
【0153】
また、平坦化絶縁膜として透光性の絶縁層をさらに形成する場合、ポリイミド、アクリ
ル、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を
用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low-k材料)、シロ
キサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることが
できる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層を形成
してもよい。
【0154】
画素電極層4030及び共通電極層4031は、実施の形態2において、画素電極層、
共通電極層の材料として挙げたものと同様の材料を用いることができる。材料の選択にお
いては、上述したように、液晶表示装置の表示形式に合わせ、透光性を有する材料や構成
、反射性を有する材料や構成を適宜選択する。
【0155】
また別途形成された信号線駆動回路と、走査線駆動回路4004又は画素部4002に
与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0156】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、ゲート線又はソース線に
対して、駆動回路保護用の保護回路を同一基板上に設けることが好ましい。保護回路は、
非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0157】
図5では、接続端子電極4015が、画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、
端子電極4016は、トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極
層と同じ導電膜で形成されている。
【0158】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介
して電気的に接続されている。
【0159】
また図5においては、信号線駆動回路を別途形成し、第1の基板4001に実装してい
る例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装して
も良いし、信号線駆動回路の一部又は走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装して
も良い。
【0160】
以上のような構成を有する液晶表示パネル(液晶表示モジュール)は、外部雰囲気から
の水の影響を抑制できるために、信頼性が高い液晶表示パネル(液晶表示モジュール)と
することができる。また、耐久性の高い液晶表示パネル(液晶表示モジュール)とするこ
とができる。
【0161】
以上、本実施の形態に示す、構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法など
と適宜組み合わせて用いることができる。
【0162】
(実施の形態4)
上記液晶表示装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、ま
たはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デ
ジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置と
もいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム
機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
【0163】
図6(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体71
01に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐
体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが
可能であり、表示部7103のシール構造は実施の形態1に記載のシール構造を有してい
る。そのため、表示部7103を有するテレビ装置は耐久性の高いテレビ装置とすること
ができる。
【0164】
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操
作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作パッド71
09により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映
像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機71
10から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0165】
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一
般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通
信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信
者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0166】
図6(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キ
ーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む
。なお、このコンピュータは、表示部7203のシール構造は実施の形態1に記載のシー
ル構造を有している。
【0167】
図6(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成さ
れており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部
7304が組み込まれ表示部7304のシール構造は実施の形態1に記載のシール構造を
有している。筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図6(C)に
示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDラ
ンプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、
変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音
声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又
は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もち
ろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および
表示部7305の両方、または一方に実施の形態1で説明した液晶表示装置を用いた表示
部を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図6
(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出
して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能
を有する。なお、図6(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々
な機能を有することができる。上述のような表示部7304を有する携帯型遊技機は、表
示部7304のシール構造は実施の形態1に記載のシール構造を有していることによって
、耐久性の高い携帯型遊技機とすることができる。
【0168】
図6(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込
まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7
405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機は、実施の形態1に記載の
シール構造を有する表示部7402を有している。そのため、当該液晶素子で構成される
表示部7402を有する携帯電話機は耐久性の高い携帯電話機とすることができる。
【0169】
図6(D)に示す携帯電話機は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力
することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作
成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることによっても行うことができる
【0170】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする
表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表
示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0171】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力
を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場
合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが
好ましい。
【0172】
また、携帯電話機内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する
検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の
画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0173】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操
作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類
によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画
のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0174】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表
示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モー
ドから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0175】
図7(A)及び図7(B)は2つ折り可能なタブレット型端末の一例である。図7(A
)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示
部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モ
ード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。な
お、当該タブレット端末は、実施の形態1に記載のシール構造を有する液晶表示装置を表
示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に用いることにより作製される。
【0176】
表示部9631aは、一部をタッチパネル領域9632aとすることができ、表示され
た操作キー9637にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部963
1aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域
がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部963
1aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部96
31aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示
画面として用いることができる。
【0177】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一
部をタッチパネル領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで
表示部9631bにキーボードボタンを表示することができる。
【0178】
また、タッチパネル領域9632aとタッチパネル領域9632bに対して同時にタッ
チ入力することもできる。
【0179】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向き
を切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替え
スイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外
光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光セ
ンサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置
を内蔵させてもよい。
【0180】
また、図7(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示し
ているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示
の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネル
としてもよい。
【0181】
図7(B)は、閉じた状態であり、本実施の形態におけるタブレット型端末では、筐体
9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDC
コンバータ9636を備える例を示した。なお、図7(B)では充放電制御回路9634
の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示
している。
【0182】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態
にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、
耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0183】
また、この他にも図7(A)及び図7(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報
(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを
表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力
機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有すること
ができる。
【0184】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル
、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は
、筐体9630の一面または二面に設けられていると効率的なバッテリー9635の充電
を行う構成とすることができるため好適である。
【0185】
また、図7(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図7(C)
にブロック図を示し説明する。図7(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635
、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3、表示
部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コ
ンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、図7(B)に示す充放電制御回路96
34に対応する箇所となる。
【0186】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する
。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDC
DCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に
太陽電池9633で充電された電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コン
バータ9638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また
、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバ
ッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0187】
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、発電手段は特に
限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電
手段によってバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。無線(非接触)で電
力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて
行う構成としてもよく、発電手段を有さなくとも良い。
【0188】
また、上記表示部9631を具備していれば、図7に示した形状の電子機器に特に限定
されないことは言うまでもない。
【実施例0189】
本実施例では、ブラックマトリクスの端部を基板端部よりも内側に位置させた構造によ
るESD(静電気放電)への耐性の向上について検討した結果を示す。
【0190】
本実施例では、駆動回路を一体形成した液晶表示装置にESD試験を行い、走査線駆動
回路における動作余裕幅(マージン)の変化を確認した。動作余裕幅(マージン)とは、
設計仕様電圧に対する電圧の余裕幅であり、マージン内であれば電源電圧が下がっても正
常動作が可能となる。
【0191】
測定した試料は、画素回路及び駆動回路を第1の基板上(素子基板)に形成したいわゆる
アクティブマトリクス型の駆動回路一体型液晶表示装置である。駆動回路及び画素回路の
半導体素子はボトムゲートのトップコンタクト、活性層には酸化物半導体を用いた。半導
体素子はアクリル樹脂層で覆って平坦化し、当該アクリル樹脂層上に共通電極を作製した
。画素電極は共通電極を覆って形成した絶縁膜(窒化ケイ素膜)上に形成し、配向膜で覆
った。本液晶表示装置はFFSモードの液晶表示装置とした。
【0192】
第2の基板(対向基板)にはブラックマトリクス及びカラーフィルタを形成し、アクリ
ル樹脂の平坦化膜兼オーバーコート層と、配向膜とを設け、基板周辺端部においてシール
材で封止した。
【0193】
ESD試験は、試験規格IEC61000-4-2に準拠したガンタイプの試験器を用
い、放電抵抗330Ω、放電容量150pFにおいて所定の電圧を+、-各々連続十回ず
つ1秒間隔で放電することにより行った。ESDを印加した箇所は画素領域を挟んで対向
して設けられた2つの走査線駆動回路各々の中央付近及び入力端子寄りの画素領域の計三
か所とした。結果を図8及び図9に示す。なお、図8は対向基板側からESDを印加した
時の、図9は素子基板側から印加した時の結果である。また、各々の図において(A)で
示されるグラフは、ブラックマトリクスを基板端部まで形成した表示装置の結果であり、
(B)で表されるグラフはブラックマトリクスの端部が基板端部から180乃至290μ
m程度内側に位置する表示装置の結果である。
【0194】
図8図9ともに、ブラックマトリクスが基板端部まで形成された液晶表示装置の結果
である(A)のグラフではESDストレス電圧が6kVを越えた辺りから駆動素子の動作
余裕幅(マージン)が低下し始め、10kVでは、マージンが0となり、動作不能に陥っ
た。一方、ブラックマトリクスの端部が基板端部から180乃至290μm程度内側に位
置する液晶表示装置の結果である(B)のグラフでは、12kVのESD印加であっても
動作余裕幅(マージン)の低下は起こらず、当該構造を有する液晶表示装置はESD耐性
が向上していることがわかる。
【符号の説明】
【0195】
100 対向基板
101 素子基板
102 液晶層
103 カラーフィルタ
104 ブラックマトリクス
105 平坦化膜
106 非透湿性の層
107 シール材
108 電極
109 非透湿性の層
150 対向基板
151 素子基板
152 液晶層
158 電極
160 電極
161 電極
162 絶縁膜
401 配線
401a ゲート電極
402 ゲート絶縁層
403 半導体層
405a 配線
405b 配線層
407 絶縁膜
408 絶縁膜
420 トランジスタ
421 コンタクトホール
441 第1の基板
446 第2の電極層
447 第1の電極層
4001 第1の基板
4002 画素部
4003a 信号線駆動回路
4003b 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 第2の基板
4008 液晶層
4010 トランジスタ
4011 トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 絶縁層
4021 層間膜
4030 画素電極層
4031 共通電極層
4032a 偏光板
4032b 偏光板
4034 遮光層
4040 カラーフィルタ
4041 ブラックマトリクス
4042 平坦化膜
4043 非透湿性の層
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作パッド
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
9033 留め具
9034 表示モード切り替えスイッチ
9035 電源スイッチ
9036 省電力モード切り替えスイッチ
9038 操作スイッチ
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a タッチパネル領域
9632b タッチパネル領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 操作キー
9638 コンバータ
9639 キーボード表示切り替えボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10