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特開2023-181528無線基地局、移動局、車両、及びメッセージ送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181528
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】無線基地局、移動局、車両、及びメッセージ送信方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231214BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189172
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2022150412の分割
【原出願日】2019-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】島村 淳
(57)【要約】
【課題】踏切事故を削減すること。
【解決手段】鉄道120と道路110とが交差する踏切道150の周辺に設けられる路側機20aは、踏切道150の入り口側に向けて道路110を通行する車両10aに対して、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素を含むメッセージを無線通信により送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道と道路とが交差する踏切道の周辺に設けられる無線基地局であって、
前記踏切道の入り口側に向けて前記道路を通行する車両に対して無線通信によりメッセージを送信する送信部を備え、
前記送信部は、前記踏切道の出口側にある先行車両が存在しない場合、前記先行車両が存在しないことを前記メッセージにより前記車両に通知する
無線基地局。
【請求項2】
前記送信部は、前記先行車両が存在する場合、前記先行車両の緯度及び経度を示す位置情報を含む前記メッセージを前記車両に送信する
請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記送信部は、前記先行車両の進行方向を示す方角情報をさらに含む前記メッセージを前記車両に送信する
請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
車両に設けられる移動局であって、
鉄道と道路とが交差する踏切道の入り口側に向けて前記車両が前記道路を通行する際に、前記踏切道の周辺に設けられる無線基地局から無線通信によりメッセージを受信する受信部を備え、
前記受信部は、前記踏切道の出口側にある先行車両が存在しないことを通知する前記メッセージを前記無線基地局から受信する
移動局。
【請求項5】
請求項4に記載の移動局を備える
車両。
【請求項6】
鉄道と道路とが交差する踏切道の周辺に設けられる無線基地局が、前記踏切道の入り口側に向けて前記道路を通行する車両に対して無線通信によりメッセージを送信する無線通信ステップを備え、
前記無線通信ステップでは、前記踏切道の出口側にある先行車両が存在しない場合、前記先行車両が存在しないことを前記メッセージにより前記車両に通知する
メッセージ送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局、移動局、車両、及びメッセージ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高度交通システム(例えば、ITS:Intelligent Transport System)において、道路周辺に設けられる基地局である路側機と、車両に設けられる移動局である車載機との間で無線通信を行う技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】一般社団法人電波産業会、”700MHz帯高度道路交通システム ARIB-STD T109 1.3版“,[online]、平成29年7月27日、[平成30年6月22日検索]、インターネットhttp://www.arib.or.jp/tyosakenkyu/kikaku_tushin/tsushin_kikaku_number.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のITSは、道路を通行する自動車等の車両を対象として交通事故の削減を図ろうとするものであって、鉄道を通行する鉄道車両について十分に考慮されていない。
【0005】
このため、従来のITSには、鉄道と道路とが交差する踏切道における踏切事故、特に、踏切先の渋滞(いわゆる、先詰まり)を見誤った結果、車両が踏切道に停滞することで発生する踏切事故を削減する点において改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、踏切事故を削減可能な基地局、移動局、車両、及びメッセージ送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る基地局は、鉄道と道路とが交差する踏切道の周辺に設けられる。前記基地局は、前記踏切道の入り口側に向けて前記道路を通行する車両に対して無線通信によりメッセージを送信する送信部を備える。前記送信部は、前記踏切道の出口側における前記道路の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素を含む前記メッセージを前記車両に送信する。
【0008】
第2の態様に係る移動局は、車両に設けられる。前記移動局は、鉄道と道路とが交差する踏切道の入り口側に向けて前記車両が前記道路を通行する際に、前記踏切道の周辺に設けられる基地局から無線通信によりメッセージを受信する受信部を備える。前記受信部は、前記踏切道の出口側における前記道路の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素を含む前記メッセージを前記基地局から受信する。
【0009】
第3の態様に係る車両は、第2の態様に係る移動局を備える。
【0010】
第4の態様に係るメッセージ送信方法は、鉄道と道路とが交差する踏切道の周辺に設けられる基地局が車両に対して無線通信によりメッセージを送信するメッセージ送信方法において、前記踏切道の入り口側に向けて前記道路を通行する車両に対して、前記踏切道の出口側における前記道路の交通状況を示す情報要素を含むメッセージを送信するステップを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、踏切事故を削減可能な基地局、移動局、車両、及びメッセージ送信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る交通通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る路側機の構成を示す図である。
図3図3(A)乃至(C)は、一実施形態に係る車両向けのメッセージの構成を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る車両の構成を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係る交通通信システムの動作シーケンス例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0014】
(交通通信システム)
まず、一実施形態に係る交通通信システムについて説明する。図1は、一実施形態に係る交通通信システムの構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、一実施形態に係る交通通信システムは、車両10a乃至10dと、路側機20a及び20bとを有する。以下において、車両10a乃至10dを区別しないときは単に車両10と呼び、路側機20a及び20bを区別しないときは単に路側機20と呼ぶ。路側機20は、基地局の一例である。
【0016】
車両10は、道路110を通行する。図1において、車両10として自動四輪車を例示しているが、車両10は、自動二輪車、自動三輪車等、又は電動自転車等であってもよい。また、1車線の道路110を例示しているが、道路110は、複数の車線を有していてもよい。
【0017】
路側機20aは、道路110と鉄道120とが交差する踏切道150の周辺に設けられている。鉄道120においては、図示を省略する鉄道車両が通行する。図1において、1つの線路からなる鉄道120を例示しているが、鉄道120は、複数の線路を有していてもよい。
【0018】
踏切道150には、踏切道保安設備が設けられている。図1において、踏切道保安設備として、踏切警報機130(130a及び130b)と、踏切遮断機140(140a及び140b)とが設けられる一例を示している。踏切警報機130は、道路110を通行する車両運転者等に対して踏切道150の存在を知らせ、鉄道車両が接近した場合は音と光で警報して道路交通を停止させるための装置である。踏切遮断機140は、鉄道車両の通行を優先するために道路110の通行を制限するための装置である。踏切遮断機140は、遮断桿及びそれを昇降させる機構部を有する。
【0019】
踏切道150の周辺には、センサ160が設けられている。センサ160は、踏切道150の出口側の道路110の交通状況を検出し、検出結果を路側機20aに出力する。センサ160は、交通状況を検出可能なセンサであればどのようなものであってもよいが、例えば、超音波センサ、光学式センサ、又は画像センサ等である。なお、踏切道150の出口側とは、車線の車両通行方向における踏切道150の後側をいい、踏切道150の入り口側とは、車線の車両通行方向における踏切道150の前側をいう。
【0020】
踏切道150から間隔をおいて踏切道150の出口側の道路110に交通信号機170が設けられている。交通信号機170は、道路110における交通の安全の確保、若しくは交通の流れを円滑にするために、進行許可・停止指示などの信号を表示する装置である。図1において、交通信号機170が停止指示を示す灯色の信号を表示しており、それにより車両10b乃至10dが停止している一例を示している。
【0021】
路側機20bは、交通信号機170の周辺に設けられている。路側機20bは、交通信号機170の信号灯色を示す信号灯色情報を取得する。信号灯色情報は、現時点の信号灯色を示す情報だけではなく、将来の一定期間における信号灯色の遷移パターンを示す情報を含んでもよい。路側機20bは、信号灯色情報を無線通信により路側機20aに送信する。
【0022】
路側機20aは、踏切道150の入り口側に向けて道路110を通行する車両10aに対して無線通信によりメッセージを送信する。具体的には、路側機20aは、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素を含むメッセージを車両10aに送信する。例えば、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素は、路側機20aが路側機20bから受信する信号灯色情報と、路側機20aがセンサ160から取得する検出情報とに基づく。
【0023】
車両10aは、路側機20aからメッセージを受信する。車両10aは、路側機20aから受信するメッセージに基づいて、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を車両10aの運転者に提示する。車両10aが自動運転車両である場合、車両10aは、路側機20aから受信するメッセージに基づいて、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を考慮して、踏切道150への車両10aの進行・停止を自動的に制御してもよい。
【0024】
このように、踏切道150の入り口側に向けて道路110を通行する車両10aに対して、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素を含むメッセージを送信することにより、踏切道150における踏切事故を削減できる。特に、車両10aの運転者が踏切先の渋滞(いわゆる、先詰まり)を見誤った結果、車両10aが踏切道150に停滞することで発生する踏切事故を削減できる。
【0025】
(路側機)
次に、一実施形態に係る路側機20aについて説明する。図2は、一実施形態に係る路側機20aの構成を示す図である。
【0026】
図2に示すように、路側機20aは、アンテナ21aと、無線通信部21と、制御部22と、インターフェイス23とを有する。インターフェイス23は、センサ160との通信を行うためのインターフェイスである。路側機20aは、踏切警報機130及び踏切遮断機140との通信を行なうためのインターフェイスをさらに有していてもよい。路側機20aは、鉄道車両の接近を検知するためのセンサとの通信を行なうためのインターフェイスをさらに有していてもよい。また、路側機20aは、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を有していてもよい。
【0027】
無線通信部21は、アンテナ21aを介して無線通信を行う。アンテナ21aは、無指向性アンテナであってもよいし、踏切道150の入り口側に向けて指向性を有する指向性アンテナであってもよい。アンテナ21aは、指向性を動的に変更可能なアダプティブアレイアンテナであってもよい。
【0028】
無線通信部21の無線通信方式は、ARIB T109に準拠した方式であってもよいし、3GPP(登録商標。以下同じ)のV2X(Vehicle to Everything)規格に準拠した方式であってもよいし、IEEE802.11シリーズ等の無線LAN規格に準拠した方式であってもよい。無線通信部21は、これらの通信規格の全てに対応可能に構成されていてもよい。
【0029】
無線通信部21は、アンテナ21aが受信する無線信号をベースバンド信号(受信パケット)に変換して制御部22に出力する受信部21bを有する。また、無線通信部21は、制御部22が出力するベースバンド信号(送信パケット)を無線信号に変換してアンテナ21aから送信する送信部21cを有する。
【0030】
無線通信部21は、ARIB T109規格に準拠している場合、受信部21bを用いてキャリアセンスを行って電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定する機能を有していてもよい。無線通信部21の送信部21cは、キャリアセンスの結果に応じて決定されたタイミングでパケットを送信してもよい。1以上のパケットによって1つのメッセージが構成されてもよい。
【0031】
例えば、無線通信部21は、他の路側機20bとの路路間通信を行う。路路間通信は、ユニキャストで行われてもよいし、ブロードキャスト又はマルチキャストで行われてもよい。無線通信部21の受信部21bは、路側機20bから路路間通信パケットを受信する。路路間通信パケットは、送信元の識別に用いる識別情報を含んでもよい。受信部21bは、1以上のパケットによって構成されるメッセージを路側機20bから受信する。メッセージは、上述した信号灯色情報を含む。
【0032】
無線通信部21は、車両10との路車間通信を行う。路車間通信は、ユニキャストで行われてもよいし、ブロードキャスト又はマルチキャストで行われてもよい。車両10に送信される路車間通信パケットは、送信元の識別に用いる識別情報、路側機20aに対する同期方法を示す同期情報、パケットの送信時刻、路車間通信の期間を示す期間情報(例えば、路車間通信の転送回数、路車間通信の期間長)などを含んでもよい。
【0033】
無線通信部21の送信部21cは、1以上のパケットによって構成されるメッセージを路車間通信により車両10に送信する。このメッセージは、制御部22により生成される。
【0034】
制御部22は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを有する制御回路によって構成される。制御部22は、路側機20aにおける各種の機能を制御する。制御部22は、車両10向けのメッセージを周期的に生成し、送信部21cを介してメッセージを周期的に送信する。
【0035】
図3は、一実施形態に係る車両10向けのメッセージMの構成を示す図である。メッセージMは、OSI参照モデルにおけるレイヤ2又はレイヤ3において送受信されるメッセージであってもよいし、アプリケーションレイヤにおいて送受信されるメッセージであってもよい。
【0036】
図3(A)に示すように、メッセージMは、情報要素E1乃至E5を有する。
【0037】
情報要素E1は、道路110上に踏切道150が存在することを示す踏切道存在情報である。情報要素E1は、踏切道150が存在する場合は「1」が設定され、踏切道150が存在しない場合は「0」が設定されるフラグであってもよい。
【0038】
情報要素E2は、踏切道150の地理的属性を示す踏切道地理情報である。情報要素E2は、踏切道150の地理的な位置(緯度及び経度)を示す情報を含む。情報要素E2は、踏切道150の規模、例えば、入り口と出口との間の距離を示す情報を含んでもよい。踏切道150の入り口と出口との間の距離を示す情報は、この距離を示す数値(例えば、何メートル)であってもよいし、鉄道120が単線であるか又は複線であるかを示す情報であってもよい。
【0039】
情報要素E3は、踏切道150への鉄道車両の接近が検出されているか否かを示す鉄道車両接近情報である。情報要素E3は、鉄道車両の接近が検出されている場合は「1」が設定され、鉄道車両の接近が検出されていない場合は「0」が設定されるフラグであってもよい。情報要素E3は、踏切警報機130が警報動作を行っている否かを示すものであってもよいし、踏切遮断機140が遮断動作を行っている否かを示すものであってもよい。
【0040】
情報要素E4は、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す少なくとも1つの情報要素(踏切先交通情報)である。図3(B)に、情報要素E4の構成例1を示す。図3(C)に、情報要素E4の構成例2を示す。
【0041】
図3(B)に示すように、情報要素E4は、踏切道150の出口側の道路110にある先行車両10bの緯度及び経度を示す情報要素E41(先行車両位置情報)と、この先行車両10bの移動速度を示す情報要素E42(先行車両速度情報)とを含む。先行車両10bとは、踏切道150の出口側において最も踏切道150に近い車両10、すなわち、踏切道150を直近に通過した車両10をいう。
【0042】
情報要素E41は、踏切道150の出口側に先行車両10bが存在するか否かを示す情報であってもよい。情報要素E42は、先行車両10bの移動速度を示す数値(例えば、時速何キロ)であってもよいし、先行車両10bが停止状態であるか否かを示すフラグであってもよい。停止状態とは、閾値未満の移動速度である状態をいい、例えば移動速度がゼロである状態をいう。
【0043】
図3(C)に示すように、情報要素E4は、踏切道150の出口側の道路110に停止状態の先行車両10bがあるか否かを示す情報要素E44(先行車両停止情報)を含む。情報要素E44は、踏切道150の出口側の道路110に停止状態の先行車両10bがある場合は「1」が設定され、無い場合は「0」が設定されるフラグであってもよい。
【0044】
制御部22は、センサ160により得られる検出結果に基づいて情報要素E41、E42、E44を生成してもよい。或いは、制御部22は、先行車両10bから受信部21bが路車間通信により受信するメッセージに基づいて情報要素E41、E42、E44を生成してもよい。このメッセージは、先行車両10bの地理的な位置を示す位置情報と先行車両10bの移動速度を示す速度情報とを含む。
【0045】
踏切道150から間隔をおいて踏切道150の出口側の道路110に交通信号機170が設けられている場合、情報要素E4は、交通信号機170の信号灯色を示す情報要素E43(踏切先信号情報)を含む。情報要素E43は、現時点の信号灯色を示す情報だけではなく、将来の一定期間における信号灯色の遷移パターンを示す情報を含んでもよい。
【0046】
制御部22は、他の路側機20bから受信部21bが路路間通信により受信する信号灯色情報に基づいて情報要素E43を生成してもよい。或いは、制御部22は、図示を省略する交通管理センターから通信回線を介して取得される信号灯色情報に基づいて情報要素E43を生成してもよい。
【0047】
往復の方向にする通行が行われる複数の車線が道路110にある場合、メッセージMは、情報要素E4が対象とする車線を特定するための情報要素E5(対象車線情報)を含んでもよい。情報要素E5は、情報要素E4が対象とする車線の識別子であってもよいし、情報要素E4が対象とする車線の車両通行方向(方角)を示す情報であってもよい。
【0048】
(車両)
次に、一実施形態に係る車両10aについて説明する。図4は、一実施形態に係る車両10aの構成を示す図である。
【0049】
図4に示すように、車両10aは、GNSS受信機12と、提示部13と、駆動制御部14と、車載機16とを有する。車載機16は、車両10aに設けられる移動局の一例である。車載機16は、アンテナ11aと、無線通信部11と、制御部15とを有する。
【0050】
無線通信部11は、アンテナ11aを介して無線通信を行う。アンテナ11aは、無指向性アンテナであってもよいし、指向性を有する指向性アンテナであってもよい。
【0051】
無線通信部11の無線通信方式は、ARIB T109に準拠した方式であってもよいし、3GPPのV2X規格に準拠した方式であってもよいし、IEEE802.11シリーズ等の無線LAN規格に準拠した方式であってもよい。無線通信部11は、これらの通信規格の全てに対応可能に構成されていてもよい。
【0052】
無線通信部11は、アンテナ11aが受信する無線信号をベースバンド信号(受信パケット)に変換して制御部15に出力する受信部11bを有する。また、無線通信部11は、制御部15が出力するベースバンド信号(送信パケット)を無線信号に変換してアンテナ11aから送信する送信部11cを有する。
【0053】
無線通信部11は、ARIB T109規格に準拠している場合、受信部11bを用いてキャリアセンスを行って電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定する機能を有していてもよい。無線通信部11の送信部11cは、キャリアセンスの結果に応じて決定されたタイミングでパケットを送信してもよい。1以上のパケットによって1つのメッセージが構成されてもよい。
【0054】
無線通信部11は、路側機20aとの路車間通信を行う。路車間通信は、ユニキャストで行われてもよいし、ブロードキャストで行われてもよい。無線通信部11の受信部11bは、路側機20aからメッセージMを受信する。
【0055】
GNSS受信機12は、GNSS衛星信号に基づいて測位を行い、車両10aの現在の地理的な位置(緯度・経度)を示す位置情報を制御部15に出力する。
【0056】
提示部13は、制御部15の制御下で、車両10aの運転者に対する情報の提示を行う。例えば、提示部13は、情報を表示するディスプレイ及び情報を音声出力するスピーカのうち少なくとも一方を含む。以下において、情報の提示とは、情報の表示及び情報の音声出力のうち少なくとも一方をいう。
【0057】
駆動制御部14は、動力源としてのエンジン又はモータ、動力伝達機構、及びブレーキ等を制御する。車両10aが自動運転車両である場合、駆動制御部14は、制御部15と連携して車両10aの駆動を制御してもよい。
【0058】
制御部15は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを有する制御回路によって構成される。制御部15は、車両10a(車載機16)における各種機能を制御する。
【0059】
例えば、制御部15は、路側機20aから受信部11bが受信するメッセージMに基づいて提示部13を制御する。
【0060】
制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E1(踏切道存在情報)に基づいて、車両10aの進行方向に踏切道150がある旨の情報を提示するように提示部13を制御してもよい。
【0061】
制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E2(踏切道地理情報)に基づいて、踏切道150の地理的属性を示す情報を提示するように提示部13を制御してもよい。ここで、制御部15は、車両10aの現在位置と踏切道150の位置との間の距離を示す情報を提示するように提示部13を制御してもよい。
【0062】
制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E3(鉄道車両接近情報)に基づいて、踏切道150への鉄道車両の接近が検出されているか否かを示す情報を提示するように提示部13を制御してもよい。
【0063】
制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E4(踏切先交通情報)に基づいて、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す情報を提示するように提示部13を制御してもよい。
【0064】
例えば、制御部15は、情報要素E41(先行車両位置情報)及び情報要素E42(先行車両速度情報)、又は情報要素E44(先行車両停止情報)に基づいて、踏切道150の出口側における道路110に停止状態の先行車両10bがあると判定した場合、その旨の情報を提示するように提示部13を制御する。ここで、制御部15は、「踏切侵入注意」または「踏切先渋滞中。侵入注意」といった情報を提示することで、運転者に対する注意喚起を行ってもよい。
【0065】
制御部15は、情報要素E43(踏切先信号情報)に基づいて、踏切道150の出口側における交通信号機170が停止指示を示す信号を表示していると判定した場合、その旨の情報を提示するように提示部13を制御する。ここで、制御部15は、「踏切先赤信号。侵入注意」といった情報を提示することで、運転者に対する注意喚起を行ってもよい。
【0066】
往復の方向にする通行が行われる複数の車線が道路110にある場合、制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E5(対象車線情報)に基づいて、情報要素E4に基づく情報の提示を行うか否かを判定してもよい。具体的には、制御部15は、車両10aが通行中の車線と、情報要素E5が示す車線とが合致する場合に限り、情報要素E4に基づく情報の提示を行う。
【0067】
車両10aが自動運転車両である場合、制御部15は、路側機20aから受信部11bが受信するメッセージMに基づいて車両10aの駆動を制御してもよい。
【0068】
制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E1(踏切道存在情報)及び情報要素E2(踏切道地理情報)に基づいて、車両10aが踏切道150に近づく際に車両10aを減速し、踏切道150の手前で一時停止するように制御してもよい。
【0069】
また、制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E3(鉄道車両接近情報)に基づいて、踏切道150への鉄道車両の接近が検出されていると判定した場合、鉄道車両が踏切道150を通過するまで車両10aの停止状態を継続するように制御してもよい。
【0070】
制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E4(踏切先交通情報)に基づいて、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を考慮して、踏切道150への車両10aの進入を制御してもよい。
【0071】
例えば、制御部15は、情報要素E41(先行車両位置情報)及び情報要素E42(先行車両速度情報)、又は情報要素E44(先行車両停止情報)に基づいて、踏切道150の出口側における道路110に停止状態の先行車両10bがあると判定した場合、先行車両10bが移動を再開する又は先行車両10bが踏切道150から所定距離だけ離れるまで、車両10aの停止状態を継続するように制御してもよい。
【0072】
制御部15は、情報要素E43(踏切先信号情報)に基づいて、踏切道150の出口側における交通信号機170が停止指示を示す信号を表示していると判定した場合、交通信号機170が進行許可を示す信号に切り替わるまで、車両10aの停止状態を継続するように制御してもよい。
【0073】
往復の方向にする通行が行われる複数の車線が道路110にある場合、制御部15は、メッセージMに含まれる情報要素E5(対象車線情報)に基づいて、情報要素E4に基づく情報の提示を行うか否かを判定してもよい。具体的には、制御部15は、車両10aが通行中の車線と、情報要素E5が示す車線とが合致する場合に限り、情報要素E4に基づく車両10aの駆動制御を行う。
【0074】
(動作シーケンス例)
図5は、一実施形態に係る交通通信システムの動作シーケンス例を示す図である。図5に示すシーケンスは、周期的に実行されてもよい。
【0075】
図5に示すように、ステップS1において、路側機20aの受信部21bは、路路間通信により信号灯色情報を路側機20bから受信する。
【0076】
ステップS2において、路側機20aの制御部22は、センサ160からインターフェイス23を介して検出情報を取得する。なお、ステップS1及びステップS2の順番は逆であってもよい。
【0077】
ステップS3において、路側機20aの制御部22は、メッセージMを生成する。
【0078】
ステップS4において、路側機20aの送信部21cは、生成したメッセージMを路車間通信により車両10aに送信する。車両10aの受信部11bは、路側機20aからメッセージMを受信する。
【0079】
ステップS5において、車両10aの制御部15は、受信したメッセージMに基づく情報の提示又は車両10aの駆動制御を行う。
【0080】
(その他の実施形態)
上述した実施形態において、踏切道150の出口側における道路110の交通状況を示す情報要素E4(踏切先交通情報)に、先行車両10bに関する情報要素と交通信号機170に関する情報要素とが個別に含まれる一例について説明した。
【0081】
ここで、先行車両10bに関する情報要素は、踏切道150の出口側における現時点での先行車両10bの停止状態を示し、交通信号機170に関する情報要素は、踏切道150の出口側における近い将来の渋滞状況を示すものであると考えることができる。
【0082】
しかしながら、路側機20aは、先行車両10b及び交通信号機170の両方の状況を考慮して、車両10aが踏切道150に進入することを許可するか否かを判定し、車両10aが踏切道150に進入することを許可するか否かを示す1つの情報要素を情報要素E4(踏切先交通情報)として車両10aに送信してもよい。
【0083】
例えば、路側機20aは、踏切道150の出口側で先行車両10bが停止している、又は踏切道150の出口側が近い将来渋滞すると判定した場合、踏切道150への進入禁止を示す情報要素E4(踏切先交通情報)を車両10aに送信する。
【0084】
車両10(車載機16)が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラム及び路側機20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0085】
車両10(車載機16)が行う各処理を実行する回路を集積化し、車両10(車載機16)の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)により構成してもよい。また、路側機20が行う各処理を実行する回路を集積化し、路側機20を半導体集積回路(チップセット、SoC)により構成してもよい。
【0086】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 :車両
11 :無線通信部
11a :アンテナ
11b :受信部
11c :送信部
12 :GNSS受信機
13 :提示部
14 :駆動制御部
15 :制御部
16 :車載機
20 :路側機
21 :無線通信部
21a :アンテナ
21b :受信部
21c :送信部
22 :制御部
23 :インターフェイス
110 :道路
120 :鉄道
130 :踏切警報機
140 :踏切遮断機
150 :踏切道
160 :センサ
170 :交通信号機
図1
図2
図3
図4
図5