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特開2023-181540神経学的疾患または障害を処置するためのVMAT2阻害剤
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  • 特開-神経学的疾患または障害を処置するためのVMAT2阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181540
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】神経学的疾患または障害を処置するためのVMAT2阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231214BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P25/00
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/18
A61K31/4745
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189491
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2021210352の分割
【原出願日】2016-06-23
(31)【優先権主張番号】62/183,519
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/183,520
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/183,525
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/183,530
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,797
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,803
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,007
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,009
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,012
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,018
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,019
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/251,023
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/262,856
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/262,860
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/290,839
(32)【優先日】2016-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/290,864
(32)【優先日】2016-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】398005054
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エフ. オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ イー. グリゴリアディス
(57)【要約】
【課題】神経学的疾患または障害を処置するためのVMAT2阻害剤の提供。
【解決手段】本明細書では、気分障害の躁病、および他の神経疾患または障害を処置するための方法が提供される。本明細書において提供される方法は、それを必要とする被験体に、VMAT2阻害剤を投与するステップを含む。本明細書において提供される方法に有用なVMAT2阻害剤には、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルが含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の組成物等。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、気分障害の躁病、気分障害のうつ病、難治性の強迫性障害、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害、アルツハイマー病に関連する激越、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または有棘赤血球舞踏病を含む、モノアミンの不均衡と部分的に関連するある特定の神経疾患または障害を処置する方法であって、それを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
気分障害は、潜在的な問題が、人物の持続的な情緒状態(彼らの気分)に対して主に影響を及ぼす、精神障害の一区分を表す。気分障害には、大うつ病性障害(大うつ病とも呼ばれる)、双極性障害、持続性うつ病性障害(長期の軽度うつ病)、気分循環症(双極性障害の軽症型)、緊張病性うつ病、産後うつ病、躁病、および季節性感情障害(SAD)が含まれる。気分障害には、物質誘発気分障害および医学的状態に起因する気分障害、例えば甲状腺機能低下症またはパーキンソン病が含まれる。
【0003】
双極性感情障害または躁うつ病としても公知である双極性障害は、高揚した気分の期間および、うつの期間によって特徴付けられる精神障害である。高揚した気分の期間は、重症度または精神病が存在するかどうかに依存して、躁病または軽躁病として公知である。躁病の症状または躁病エピソードには、「ハイ」または過度な幸福感または外向的な気分を長期間感じること、極度の被刺激性、非常に速く話すこと、めまぐるしく変わる思考(racing thoughts)、あるアイデアから別のアイデアに飛びつくこと、容易に気をそらされること、活動の増加、過度な落ち着きの無さ、ほとんど眠らないこと、自身の能力に非現実的な信念をもっていること、衝動的行動、および快楽的で高リスクの行動に熱中することが含まれる。うつ病の症状またはうつ病エピソードには、過度に長期間の悲しみまたは絶望、活動への興味の喪失、疲労感、集中または記憶に関する問題、決断を下すことが困難になること、落ち着きが無くなったりまたは過敏になったりすること、食習慣または睡眠習慣の変化、および自殺念慮が含まれる。双極性障害を有する患者は、自殺および自傷の高いリスクを有する。双極性障害の原因は完全に理解されているわけではないが、遺伝因子および環境因子の両方が役割を果たしていると考えられる。環境因子には、長期間のストレスおよび児童虐待歴が含まれる。
【0004】
双極性障害の躁病、精神病、またはうつ病の態様を処置するための医薬品には、概して、精神療法と組み合わせた、気分安定剤、非定型抗精神病薬、または抗うつ剤が含まれる。睡眠障害に役立てるために、睡眠薬が使用される場合もある。医薬品および精神療法が効かない重度の場合には、電気けいれん療法が使用されることがある。双極性障害は通常、一生の疾病であり、未処置のまま放置された場合、悪化する可能性がある。症状を制御するには、長期間の継続的な処置が必要とされるが、適正な処置をもってしてもなお、気分変化は起こり得る。多くの場合、患者は、症状の制御に役立つ医薬品を見つけるまでに、いくつかの異なる医薬品を試す必要がある。これらの医薬品、特に抗精神病薬に関連する、不快かつ潜在的に重度の副作用について考慮すると、気分障害の躁病およびそれらの関連症状を処置するための新しい治療薬の開発が必要とされている。
【0005】
強迫性障害(OCD)は、反復性かつ持続性の不安を誘発する思考(強迫観念)によって特徴付けられる不安障害であり、強迫思考によって引き起こされる苦悩を軽減することに集中した反復行動(強迫行為)につながる。患者は、これらの強迫観念および強迫行為が不合理であることを認識している場合も、認識していない場合もあり、これらの思考および行動は、時間の浪費になり、機能を損なう可能性がある。
【0006】
OCDは、概して、精神療法、医薬品、または両方で処置される。認知行動療法(CBT)では、強迫思考を有したり強迫的に振舞ったりすることなく、心配や恐れをより感じないように手助けする、状況に対する異なる思考、行動、および反応の方法を人に教示する(認知再構築および曝露反応妨害法)。しかしながら、CBTは、不安に対処するための健全な方法を学ぶことに注力し、実践するものである。OCDを処置するために、医薬品が処方される場合もある。最も一般に処方される医薬品は、抗不安薬および抗うつ剤である。抗不安薬は即効性であるが、長期間服用されるべきではない。抗うつ剤は、効き始めるまでに10~12週間かかる場合があり、頭痛、吐き気、睡眠障害、および性欲の減退などの副作用を引き起こす可能性がある。非定型抗精神病薬が処方される場合もある。OCD患者にとって、OCD症状を制御する医薬品を見つけるまでに、いくつかの医薬品を試さなければならないことは珍しくはない。
【0007】
しかしながら、OCDが適切に診断され、処置された場合でも、多くのOCD患者は「治療抵抗性」または「難治性」であり、標準治療に対して十分に応答しない。OCD患者のうち推定で10%~40%が難治性である(Bystritsky、Mol.Psychiatry 11巻:805~814頁)。治療抵抗性とは、概して、複数の適当かつ適切な処置を試みたものの、十分な改善が得られないことを指す。気分障害の場合、治療抵抗性は、2種以上の適当な抗うつ剤を試みても寛解しないもしくは臨床応答(症状の50%の低減)がないこと、またはいくつかの神経伝達物質クラスにわたって適当な医薬品を試みても臨床応答がないことで定義することができる。PallantiおよびQuercioli(Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry 30巻:400~412頁)は、強迫性障害の処置応答を、全快(または寛解)から完全応答または部分応答、無応答(または完全に難治性)にわたるスペクトルに沿って、いくつかの段階に分類することを提案した。どちらの定義が使用される場合でも、不安障害において治療抵抗性を有する患者は、いくつかの適当な処置に曝露しても最小限の機能しか回復しない。OCDにおける治療抵抗性に寄与する因子には、疾患の重症度、医学的共存症、精神医学的共存症、処置に対するノンコンプライアンス、文化的要因、幼年期のストレス要因、長期の持続性ストレス要因、ライフステージ、および臨床医/医療システムの限界が含まれるが、それらに限定されない(Khalsaら、Curr. Psychiatry、2011年、10巻:45~52頁)。電気けいれん療法、迷走神経刺激、反復経頭蓋磁気刺激、および手術法などの不可逆的なものを含む侵襲的療法は、治療抵抗性が最も強い患者のために確保されている。したがって、難治性のOCDに関連する症状を処置するためのより有効な処置が必要とされている。
【0008】
レッシュ・ナイハン症候群は、神経機能障害、認知障害および行動障害、ならびに尿酸の過剰産生によって特徴付けられ、有病率は1:380,000である。この症状を有する患者は、認知欠陥、運動障害、および自傷行動に悩まされる。レッシュ・ナイハン症候群が呈する最も一般的な特色は、人生の最初の1年の間の発達遅延であり、3~6月齢までに筋緊張低下および運動スキルの遅延が明白となる。レッシュ・ナイハン症候群を有する子どもは、典型的には、お座り、はいはい(crawl)、および歩くことができず、最終的には車椅子を余儀なくされる。症状が有効に管理されても、ほとんどの罹患個人は、20年または30年までしか生存できない。
【0009】
レッシュ・ナイハン症候群は、X連鎖劣性パターンで遺伝し、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)の欠損によって引き起こされる。この酵素は、ホスホリボシルピロリン酸の存在下において、ヒポキサンチンのイノシン一リン酸(イノシン酸、IMP)への変換およびグアニンのグアニン一リン酸(グアニル酸、GMP)への変換を触媒する。高尿酸血症を処置して、それにより腎結石症、尿酸塩腎症、痛風性関節炎、および痛風結節のリスクを低減するには、尿酸の過剰産生をアロプリノールで制御する。アロプリノールは、キサンチンオキシダーゼによって触媒されるヒポキサンチンおよびキサンチンの尿酸への代謝を遮断する。
【0010】
この疾患の神経行動学的態様を管理するための、一様に有効な介入は存在しない。自傷行動および他の有害な行動は、典型的には、理学的処置、行動的処置、および医学的処置の組合せによって管理される。ほぼすべての罹患個人が、自傷を防止するために、身体拘束を必要とする。これらの個人は、多くの場合自身の要請により、75%超の時間拘束されている。どの医薬品も、この疾患の運動特色を制御するのに一貫して有効ではない。したがって、レッシュ・ナイハン症候群に関連する状態を管理するためのより有効な処置が必要とされている。
【0011】
アルツハイマー病の激越は、この疾患に関連するいくつかの行動症状のクラスターを指す。激越は、疾患が進行するにつれて発症し、認知喪失に加えて起こる。症状のクラスターには、不安症、うつ病、被刺激性、および運動不穏(ペーシング、徘徊、一定の運動など)が含まれる。起こり得る他の症状には、睡眠障害、妄想、幻覚、強迫行動、攻撃性、および一般的な情緒的苦悩が含まれる。激越は、アルツハイマー病を有する全個人の半分もの数において起こり得る。激越は、不良な生活の質、悪化する家族関係、および専門の介護者を有する患者と関連付けられ、最終的には居住介護施設への入所につながる。
【0012】
アルツハイマー病を有し、激越を呈する患者は、非定型抗精神病薬(例えば、リスペリドン、オランザピン)および定型抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)で処置されているが、成功することは多くなく、重篤な副作用のリスクが存在する。したがって、アルツハイマーを有する患者の激越を処置するためのより有効な治療剤の特定および開発が必要とされている。
【0013】
脆弱X症候群(マーティン・ベル症候群とも呼ばれる)は、学習障害および認知機能障害を含む一連の発達上の問題を引き起こす遺伝的状態である。通常、女性よりも男性の方がこの障害によってより深刻に影響を受ける。脆弱X症候群は、X連鎖優性パターンで遺伝する。脆弱X症候群は、およそ男性4,000名に1人、および女性8,000名に1人で起こる。この症候群は、概して、FMR1遺伝子の5’非翻訳領域におけるCGGリピート伸長による転写サイレンシングに起因する、脆弱X精神遅滞タンパク質(FMRP)の喪失によって引き起こされる(例えば、Verkerkら、Cell 65巻:905~14頁(1991年)参照)。
【0014】
罹患個人は通常、2歳までに、発話と言語の発達の遅延を有する。大部分の脆弱X症候群を有する男性が、軽度から中度の知的障害を有する一方で、罹患女性は、約3分の1が知的障害である。また、脆弱X症候群を有する子どもは、不安症、注意欠如、不安症、および貧乏揺すりまたは衝動行為などの多動性行動を含む、行動上の問題も呈する場合がある。脆弱X症候群を有し、注意欠如を有する子どもは、注意欠陥障害(ADD)と診断される場合がある。これには、注意を維持する能力が損なわれていること、および特定の課題に集中することが困難であることが含まれる。脆弱X症候群を有する個人の約3分の1が、意思疎通および社会的相互作用に影響を及ぼす自閉症スペクトラム障害の特色、例えば不安症および反復性の常同行動(すなわち、常同症)を有する。この症候群を有する男性の約15パーセントおよび女性の約5パーセントにおいて、てんかん発作が起こる。
【0015】
脆弱X症候群を有する患者では、CGGリピート伸長が、200回を超えて起こる。リピート伸長の起こる程度がより少ない場合(すなわち、約50~200回の間)、FMR1遺伝子の並べ替えが起こり、FMRPがある程度産生される。FMR1遺伝子の並べ替えは、脆弱X関連振戦失調症候群(FXTAS)と呼ばれる別の遺伝的状態をもたらす場合がある。FXTASは、運動障害および認知の問題によって特徴付けられる。FXTASは、通常50歳以降に生じる遅発性障害であり、症状は年齢とともに悪化する。この状態もまた、女性よりも男性に対してより頻繁かつ深刻に影響を及ぼし、約3000名に1人の男性が罹患している。
【0016】
FXTASの特徴には、協調および平衡に関する問題(運動失調)および企図振戦が含まれる。企図振戦とは、罹患個人が随意運動を行おうと試みた際、例えば物体に手を伸ばした際の手足の震えまたは揺れのことである。大部分の場合において、企図振戦がまず発症し、数年後に運動失調が続く。FXTASを有するすべての人物が両方の特色を有するわけではない。多くの罹患個人は、パーキンソニズムなどの他の運動問題を発症し、これには、動いていないときの振戦(安静時振戦)、硬直、および異常に緩徐な運動(運動緩慢)が含まれる。加えて、罹患個人は、下肢において感覚鈍麻、痺れもしくは刺痛、疼痛、または筋力低下を有する場合もある。一部のFXTASを有する人々は、自律神経系に関する問題を経験し、膀胱または腸の制御不能がもたらされる。
【0017】
FMR1遺伝子の前変異(pre-mutation)を有する女性は、原発性卵巣機能不全(脆弱X関連原発性卵巣機能不全)のリスクがより高く、脆弱X症候群を有する子どもをもつリスクがより高い。脆弱X関連原発性卵巣機能不全は、不妊症および早発閉経の原因となる。
【0018】
脆弱X症候群またはFXTASの神経行動学的態様を管理するための、一様に有効な介入は存在しない。したがって、これらの遺伝性疾患に関連する状態を管理するためのより有効な処置が必要とされている。
【0019】
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、一連の複雑な神経発達障害であり、社会性の機能障害、意思疎通の困難、および制限された反復性の常同行動パターン(常同症)によって特徴付けられる。自閉症または古典的ASDと呼ばれることもある自閉症性障害は、ASDの最も重度の形態である。他の状態には、アスペルガー症候群として公知であるより軽度な形態、小児期崩壊性障害、他に特定されない広汎性発達障害(通常、PDD-NOSと呼ばれる)が含まれる。ASDは性質および重症度において著しく異なるものの、すべての民族および社会経済的群において生じ、すべての年齢群に影響を及ぼす。最近のデータによれば、8歳の子どもの約70人に1人がASDを有すると専門家は推定している。男性は、女性よりもASDを有する可能性が4~5倍高い。
【0020】
ASDの特徴的特色は、社会的相互作用が損なわれていることである。ASDを有する多くの子どもが、揺動および回旋などの反復運動を行ったり、またはかみつきもしくはヘッドバンギングなどの自傷的行動を呈したりする。
【0021】
ASDに対して利用可能な治療法はない。特定の症状を治すための療法および行動介入が設計されており、著しい改善をもたらすことができる。医師は、不安症、うつ病、または強迫性障害などの特定の自閉症関連症状を処置するための医薬品を処方する場合がある。重度の行動上の問題を処置するために、抗精神病薬が使用され、てんかん発作は、1種または複数種の抗けいれん薬で処置することができる。注意欠陥障害を有する人々を処置するために使用される医薬品を有効に使用して、衝動性および多動を減少させるのに役立てることができる。これらの医薬品、特に抗精神病薬に関連する副作用について考慮すると、ASDおよびその関連症状を処置するための新しい治療薬の開発が必要とされている。
【0022】
うつ病は、その性質および起源がどうあれ、精神疾病の一般的特色である。なんらかの重篤な精神障害の既往歴を有する人物は、過去に大うつ病を有していた人物とほぼ同程度の高い確率で大うつ病を発症する。米国の人口の約20%が、ある所定の月において少なくとも1回のうつ症状を報告しており、12%は1年で2回またはそれ超を報告している。気分障害は、潜在的な問題が、人物の持続的な情緒状態(彼らの気分)に対して主に影響を及ぼす、精神障害の一区分を表す。双極性障害は一般集団の1%の率で生じるため、それ程一般的ではないが、躁病の発揚状態が疾病として報告されるのは非常に稀であるため、診断で見過ごされていることが多いと考える人々もいる。双極性障害は、重篤な躁病およびうつ病の1つまたは複数のエピソードを伴う疾病である。ある人物は、躁病の症状しか経験しない場合もある。ある人物が悲しみの感情しか経験しない場合、これはうつ病とみなされる。双極性障害のエピソード中、人物の気分は、間に通常の気分の期間を有して、過度に「ハイ」かつ/または過敏であることから悲しみおよび絶望へと揺れ動き得る。
【0023】
大うつ病性障害は、最も一般的な精神疾病の1つである。うつ病は、人々に日常生活からの楽しみを失わせ、他の医学的状態を悪化させる可能性があり、自殺に至るほど重篤にもなり得る。うつ病は、どの年齢の誰にでも、かつあらゆる人種または民族群の人々に起こる可能性がある。うつ病は通常、医薬品、精神療法、またはこれら2つの組合せで処置される。大うつ病性障害のための医薬品は、三環系抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、および非定型抗うつ剤を含む、複数の薬物クラスに該当する。しかしながら、ほとんどの抗うつ剤は、効力が発揮されるまでに少なくとも4~6週間を必要とし、多くの抗うつ剤は、不快な副作用を有する。また、うつ病を有する患者の3分の2もの多くが、最初の抗うつ剤では処置の失敗を経験しており、うつ病を有する患者の最大で3分の1が、数回の処置の試みに対して応答しない。これらの医薬品に関連する、不快かつ潜在的には重度の副作用について考慮すると、気分障害のうつ病およびそれらの関連症状を処置するための新しい治療薬の開発が必要とされている。
【0024】
元来は脳委縮性高アンモニア血症と呼ばれたレット症候群(RTT)とは、脳の灰白質の、稀な遺伝性の出生後神経障害であり、女性および男性患者の両方に影響を及ぼすが、女性患者が主である。レット症候群は、認知機能、感覚機能、情緒機能、運動機能、および自律神経機能を司る脳機能において問題を引き起こす。最も頻繁に生じる問題には、学習、発話、感覚機能、気分、運動、呼吸、心機能、咀嚼、嚥下、および消化に関与する問題が含まれる。レット症候群は、通常の早期成長および発達の後の、発達が遅くなること、手の意図的な使用の喪失、特徴的な手の運動、脳および頭部の成長が遅くなること、歩行に関する問題、てんかん発作、および知的障害によって特徴付けられる。特に、手を絞ること(wringing)および/または繰り返し手を口に入れることなどの手の反復性常同運動が、通常の症状である。失行症(運動機能を行えなくなること)がおそらく、視線および発話を含めたあらゆる身体運動を妨害する、レット症候群の最も深刻な障害性の特色である。レット症候群を有する子どもは、多くの場合、早期段階において自閉症様行動を呈する(http://www.ninds.nih.gov/disorders/rett/detail_rett.htm)。
【0025】
レット症候群のほぼすべての症例は、メチル化CpG結合タンパク質2またはMECP2遺伝子の変異によって引き起こされる。MECP2遺伝子は、メチルシトシン結合タンパク質2(MeCP2)と呼ばれるタンパク質を合成するための指示を含有しており、このタンパク質は、脳の発達にとって必要であり、遺伝子発現を上昇させたり、他の遺伝子にそれら自身に特有のタンパク質の産生をいつ止め、停止するかを知らせたりすることができる、多くの生化学的スイッチの1つとして作用する。レット症候群を有する個人においてはMECP2遺伝子が適正に機能していないため、不十分な量のタンパク質または構造的に異常な形態のタンパク質が産生され、他の遺伝子の異常な発現を引き起こし得る。しかしながら、MECP2変異を有するすべての人がレット症候群を有するわけではない。レット症候群は遺伝性障害であるものの、報告された症例の1パーセント未満が、1つの世代から次の世代へと遺伝するまたは受け継がれる。大部分の症例は自然発生的であり、これはこの変異がランダムに発生していることを意味する。レット症候群は、世界中のすべての人種および民族群において、生きて生まれた女性の10,000~15,000人当たり1人に影響を及ぼすと推定されている。
【0026】
現在、レット症候群に対する治療法は存在しない。この障害に対する処置は、対症的(症状の管理に重きを置いている)かつ支持的であり、多くの学問領域にわたるアプローチが必要とされる。ドーパミンアゴニストであるブロモクリプチンおよびカルビドパ-レボドパが、レット症候群を有する人々の運動機能障害に対する処置として試されてきた。しかしながら、利益は実質的でも長期的でもない。したがって、レット症候群およびその関連症状を処置するための新しい治療薬の開発が必要とされている。
【0027】
有棘赤血球舞踏病(ChAc)は、身体の多くの部分における運動に影響を及ぼす神経障害である。舞踏病は、この障害を有する人々によってなされる不随意律動運動(involuntary jerking movement)を指す。また、この状態を有する人々は、異常な星形の赤血球を有する(有棘赤血球増加症)。この障害は、神経学的問題および異常な赤血球を伴う、神経有棘赤血球症と呼ばれる一群の状態のうちの1つである。臨床的には、運動障害、精神医学的徴候、および認知障害を含む進行性の神経学的症状を伴う、ハンチントン病様の表現型によって特徴付けられる。
【0028】
有棘赤血球舞踏病の有病率および発生率は公知ではないが、世界中でおよそ1,000件の症例が存在すると推定されている。成人早期において発症し、初期症状は、わずかな認知症状または精神症状であることが多い。この疾患の過程において、大部分の患者が、舞踏病を含む特徴的な表現型を発症する。大部分の患者が、全身性舞踏病およびある程度のパーキンソニズムを発症する。記憶機能および実行機能の機能障害が頻繁にある。精神医学的徴候が一般的であり、統合失調症様精神病または強迫性障害(OCD)としてあらわれる場合がある。有棘赤血球舞踏病は通常、15~30年かけて緩徐に進行するが、恐らく、てんかん発作または自律神経合併症によって引き起こされようである突然死が起こる場合もある。
【0029】
有棘赤血球舞踏病は、choreinをコードするVPS13A遺伝子における様々な変異によって引き起こされる。遺伝子型と表現型との明確な相関関係は観察されていない。この状態は、常染色体劣性パターンで遺伝し、これは、各細胞において遺伝子のコピーの両方が変異を有することを意味する。常染色体劣性状態を有する個体の親は、変異した遺伝子のコピーを各々1つ有しているが、これらの親は、典型的にはこの状態の徴候および症状を示さない。現在利用可能な治療的処置または疾患修飾性処置はなく、管理は単に対症的なものである。したがって、有棘赤血球舞踏病およびその関連症状を処置するための新しい治療薬の開発が必要とされている。
このような必要性に対処し、かつ他の関連する利点をさらに提供するアプローチおよび実施形態が、本開示によって提供される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Bystritsky、Mol.Psychiatry 11巻:805~814頁
【非特許文献2】PallantiおよびQuercioli(Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry 30巻:400~412頁
【非特許文献3】Khalsaら、Curr. Psychiatry、2011年、10巻:45~52頁
【非特許文献4】Verkerkら、Cell 65巻:905~14頁(1991年)
【非特許文献5】http://www.ninds.nih.gov/disorders/rett/detail_rett.htm
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
一態様では、本開示は、気分障害の躁病を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、気分障害、例えば双極性障害の躁病を処置することを必要とする被験体における気分障害、例えば双極性障害の躁病を処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。これらおよびさらなる実施形態は、本明細書により詳細に記載されている。
【0032】
実施形態1. 被験体における気分障害の躁病を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0033】
実施形態2. 被験体における気分障害の躁病を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0034】
実施形態3. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態1または2に記載の方法。
【0035】
実施形態4. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態3に記載の方法。
【0036】
実施形態5. 前記気分障害が、双極性障害である、実施形態1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
実施形態6. 前記気分障害の前記躁病が、軽躁病または重度の躁病である、請求項5に記載の方法。
【0038】
実施形態7. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
実施形態8. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
実施形態9. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態8に記載の方法。
【0041】
実施形態10. 気分障害の躁病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0042】
実施形態11. 気分障害の躁病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0043】
実施形態12. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態10または11に記載の医薬組成物。
【0044】
実施形態13. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態12に記載の医薬組成物。
【0045】
実施形態14. 前記気分障害が、双極性障害である、実施形態11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0046】
実施形態15. 前記気分障害の前記躁病が、軽躁病または重度の躁病である、実施形態14に記載の医薬組成物。
【0047】
実施形態16. 約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、実施形態11から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0048】
実施形態17. 経口投与のために製剤化されている、実施形態11から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0049】
実施形態18. 錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、実施形態17に記載の医薬組成物。
【0050】
別の態様では、本開示は、難治性のOCDに関連する症状を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、難治性のOCDを処置することを必要とする被験体における難治性のOCDを処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。これらおよびさらなる実施形態は、本明細書により詳細に記載されている。
【0051】
実施形態19. 被験体における難治性の強迫性障害(OCD)を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0052】
実施形態20. 被験体における難治性のOCDを処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0053】
実施形態21. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態19または20に記載の方法。
【0054】
実施形態22. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態21に記載の方法。
【0055】
実施形態23. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態19から22のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
実施形態24. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態19から23のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
実施形態25. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態24に記載の方法。
【0058】
実施形態26. 洗浄、溜め込み、数唱儀式、チェック儀式、ラインクロス、祈りの儀式、手洗いの儀式、厳格なルーチンに従うこと、整頓、保証を求めること、またはその組合せの頻度もしくは重症度が低減される、実施形態19から25のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
実施形態27. 難治性のOCDの処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0060】
実施形態28. 難治性のOCDの処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、
またはその同位体変種、その薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0061】
実施形態29. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態27または28に記載の医薬組成物。
【0062】
実施形態30. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態28または29に記載の医薬組成物。
【0063】
実施形態31. 約10mgから約80mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、実施形態27から30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0064】
実施形態32. 経口投与のために製剤化されている、実施形態27から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0065】
実施形態33. 液剤、錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、請求項32に記載の医薬組成物。
【0066】
実施形態34. 洗浄、溜め込み、数唱儀式、チェック儀式、ラインクロス、祈りの儀式、手洗いの儀式、厳格なルーチンに従うこと、整頓、保証を求めること、またはその組合せの頻度もしくは重症度が低減される、実施形態27から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0067】
別の態様では、本開示は、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、レッシュ・ナイハン症候群を処置することを必要とする被験体におけるレッシュ・ナイハン症候群を処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。これらおよびさらなる実施形態は、本明細書により詳細に記載されている。
【0068】
実施形態35. 被験体におけるレッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0069】
実施形態36. 被験体におけるレッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置するための方法であって、該被験体に、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0070】
実施形態37. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態35または36に記載の方法。
【0071】
実施形態38. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態37に記載の方法。
【0072】
実施形態39. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態35から38のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
実施形態40. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態35から39のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
実施形態41. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態40に記載の方法。
【0075】
実施形態42. レッシュ・ナイハン症候群に関連する前記神経機能障害が、自傷、ジストニア、痙直、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、反弓緊張、バリズム、反射亢進、および伸展性足底反射の1つまたは複数である、実施形態35から41のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
実施形態43. レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0077】
実施形態44. レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0078】
実施形態45. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態43または44に記載の医薬組成物。
【0079】
実施形態46. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態45に記載の医薬組成物。
【0080】
実施形態47. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態43から46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0081】
実施形態48. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態43から47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0082】
実施形態49. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態48に記載の医薬組成物。
【0083】
実施形態50. レッシュ・ナイハン症候群に関連する前記神経機能障害が、自傷、ジストニア、痙直、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、反弓緊張、バリズム、反射亢進、および伸展性足底反射の1つまたは複数である、実施形態43から49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0084】
さらに別の態様では、本開示は、アルツハイマー病の激越(本明細書では、アルツハイマー病に関連する激越とも呼ぶ)を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、アルツハイマー病を有する被験体における激越を処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。
【0085】
実施形態51. アルツハイマー病を有する被験体における激越を処置するための方法であって、該被験体にVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0086】
実施形態52. 前記VMAT2阻害剤が、選択的VMAT2阻害剤である、実施形態51に記載の方法。
【0087】
実施形態53. 前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、
またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、同位体変種
から選択される、実施形態51または52に記載の方法。
【0088】
実施形態54. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態52または53に記載の方法。
【0089】
実施形態55. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態54に記載の方法。
【0090】
実施形態56. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態51から55のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
実施形態57. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態51から56のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
実施形態58. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態67に記載の方法。
【0093】
実施形態59. アルツハイマー病に関連する前記激越が、不安症、被刺激性、ペーシング、過剰な貧乏揺すり、反復行動、異常な発声、および運動不穏の1つまたは複数である、実施形態51から58のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
実施形態60. アルツハイマー病の激越の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤とVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0095】
実施形態61. 薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、アルツハイマー病に関連する激越の処置において使用するための、実施形態60に記載の医薬組成物。
【0096】
実施形態62. 前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択される、実施形態60または61に記載の医薬組成物。
【0097】
実施形態63. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態61または62に記載の医薬組成物。
【0098】
実施形態64. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態63に記載の医薬組成物。
【0099】
実施形態65. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態60から64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0100】
実施形態66. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態60から65のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0101】
実施形態67. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態66に記載の医薬組成物。
【0102】
実施形態68. アルツハイマー病に関連する前記激越が、不安症、被刺激性、ペーシング、過剰な貧乏揺すり、反復行動、異常な発声、および運動不穏の1つまたは複数である、実施形態60から67のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0103】
別の態様では、本開示は、脆弱X症候群および脆弱X関連振戦失調症候群を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、脆弱X症候群(FXS)および脆弱X関連振戦失調症候群(FXTAS)を処置することを必要とする被験体におけるFXSおよびFXTASを処置する方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。
【0104】
実施形態69. 被験体における脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0105】
実施形態70. 被験体における脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0106】
実施形態71. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態69または70に記載の方法。
【0107】
実施形態72. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態71に記載の方法。
【0108】
実施形態73. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態69から72のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
実施形態74. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態69から73のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
実施形態75. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態74に記載の方法。
【0111】
実施形態76. 不安症、注意欠如、多動性行動(例えば、貧乏揺すりまたは衝動行為)、自閉症的行動(例えば、反復行動)、発作、運動失調、企図振戦(罹患個人が随意運動を行おうと試みた際の手足の震えまたは揺れ)、パーキンソニズム、安静時振戦、硬直、運動緩慢、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下の1つまたは複数が低減される、実施形態70から75のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
実施形態77. 脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0113】
実施形態78. 脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0114】
実施形態79. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態77または78に記載の医薬組成物。
【0115】
実施形態80. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態79に記載の医薬組成物。
【0116】
実施形態81. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態77から80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0117】
実施形態82. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態77から81のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0118】
実施形態83. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態82に記載の医薬組成物。
【0119】
実施形態84. 不安症、注意欠如、多動性行動(例えば、貧乏揺すりまたは衝動行為)、自閉症的行動(例えば、反復行動)、発作、運動失調、企図振戦(罹患個人が随意運動を行おうと試みた際の手足の震えまたは揺れ)、パーキンソニズム、安静時振戦、硬直、運動緩慢、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下の1つまたは複数が低減される、実施形態77から83のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0120】
別の態様では、本開示は、自閉症スペクトラム障害を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、自閉症スペクトラム障害を処置することを必要とする被験体における自閉症スペクトラム障害を処置する方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。
【0121】
実施形態85. 被験体における自閉症スペクトラム障害(ASD)を処置するための方法であって、該被験体にVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0122】
実施形態86. 前記VMAT2阻害剤が、選択的VMAT2阻害剤である、実施形態85に記載の方法。
【0123】
実施形態87. 前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択される、実施形態85または86に記載の方法。
【0124】
実施形態88. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態86または87に記載の方法。
【0125】
実施形態89. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態88に記載の方法。
【0126】
実施形態90. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態85から89のいずれか一項に記載の方法。
【0127】
実施形態91. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態85から90のいずれか一項に記載の方法。
【0128】
実施形態92. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態91に記載の方法。
【0129】
実施形態93. 多動、集中できないこと、うつ病、不安症、強迫性行動、発作、反復運動、または自傷の1つまたは複数が低減される、実施形態85から92のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
実施形態94. 自閉症スペクトラム障害(ASD)の処置において使用するための医薬組成物であって、VMAT2阻害剤と薬学的に許容される添加剤とを含む、医薬組成物。
【0131】
実施形態95. 前記VMAT2阻害剤が、選択的VMAT2阻害剤である、実施形態94に記載の医薬組成物。
【0132】
実施形態96. 前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、
またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択される、実施形態94または95に記載の医薬組成物。
【0133】
実施形態97. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態95または96に記載の医薬組成物。
【0134】
実施形態98. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態97に記載の医薬組成物。
【0135】
実施形態99. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態94から98のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0136】
実施形態100. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態94から99のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0137】
実施形態101. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態100に記載の医薬組成物。
【0138】
実施形態102. 多動、集中できないこと、うつ病、不安症、強迫性行動、発作、不随意運動、反復運動、常同症、または自傷の1つまたは複数が低減される、実施形態94から101のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0139】
別の態様では、本開示は、気分障害のうつ病を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、気分障害のうつ病を処置することを必要とする被験体における気分障害のうつ病を処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。これらおよびさらなる実施形態は、本明細書により詳細に記載されている。
【0140】
実施形態103. 被験体における気分障害のうつ病を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0141】
実施形態104. 被験体における気分障害のうつ病を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0142】
実施形態105. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態1または2に記載の方法。
【0143】
実施形態106. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態105に記載の方法。
【0144】
実施形態107. 前記気分障害が、双極性障害である、実施形態103から106のいずれか一項に記載の方法。
【0145】
実施形態108. 前記気分障害が、大うつ病性障害である、実施形態103から106のいずれか一項に記載の方法。
【0146】
実施形態109. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態103から108のいずれか一項に記載の方法。
【0147】
実施形態110. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態103から109のいずれか一項に記載の方法。
【0148】
実施形態111. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態110に記載の方法。
【0149】
実施形態112. 気分障害のうつ病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0150】
実施形態113. 気分障害のうつ病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0151】
実施形態114. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態112または113に記載の医薬組成物。
【0152】
実施形態115. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態114に記載の医薬組成物。
【0153】
実施形態116. 前記気分障害が、双極性障害である、実施形態112から115のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0154】
実施形態117. 前記気分障害が、大うつ病性障害である、実施形態116に記載の医薬組成物。
【0155】
実施形態118. 約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、実施形態112から117のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0156】
実施形態119. 経口投与のために製剤化されている、実施形態110から116のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0157】
実施形態120. 錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、実施形態119に記載の医薬組成物。
【0158】
別の態様では、本開示は、有棘赤血球舞踏病を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、有棘赤血球舞踏病を処置することを必要とする被験体における有棘赤血球舞踏病を処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。これらおよびさらなる実施形態は、本明細書により詳細に記載されている。
【0159】
実施形態121. 被験体における有棘赤血球舞踏病を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0160】
実施形態122. 被験体における有棘赤血球舞踏病を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0161】
実施形態123. 有棘赤血球舞踏病の舌ジスキネジアを処置するための、実施形態121または122に記載の方法。
【0162】
実施形態124. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態121から123のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
実施形態125. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態124に記載の方法。
【0164】
実施形態126. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態121から125のいずれか一項に記載の方法。
【0165】
実施形態127. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態121から126のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
実施形態128. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態127に記載の方法。
【0167】
実施形態129. 有棘赤血球舞踏病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0168】
実施形態130. 有棘赤血球舞踏病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0169】
実施形態131. 有棘赤血球舞踏病の舌ジスキネジアを処置するための、実施形態129または130に記載の医薬組成物。
【0170】
実施形態132. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態127から129のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0171】
実施形態133. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態130に記載の医薬組成物。
【0172】
実施形態134. 約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、請求項129から133のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0173】
実施形態135. 経口投与のために製剤化されている、実施形態129から134のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0174】
実施形態136. 錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、実施形態135に記載の医薬組成物。
【0175】
さらに別の態様では、本開示は、レット症候群を処置するための、VMAT2阻害剤の使用に関する。本明細書では、VMAT2阻害剤を投与することによって、レット症候群を処置することを必要とする被験体におけるレット症候群を処置する新しい方法が提供される。本開示は、以下の実施形態を提供する。これらおよびさらなる実施形態は、本明細書により詳細に記載されている。
【0176】
実施形態137. 被験体におけるレット症候群を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0177】
実施形態138. 被験体におけるレット症候群を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
【0178】
実施形態139. レット症候群の失行症を処置するための、実施形態137または138に記載の方法。
【0179】
実施形態140. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態137から139のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
実施形態141. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態140に記載の方法。
【0181】
実施形態142. 前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、実施形態137から141のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
実施形態143. 前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、実施形態137から142のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
実施形態144. 前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、実施形態143に記載の方法。
【0184】
実施形態145. レット症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0185】
実施形態146. レット症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
【0186】
実施形態147. レット症候群の失行症を処置するための、実施形態145または146に記載の医薬組成物。
【0187】
実施形態148. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、実施形態145から146のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0188】
実施形態149. 前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、実施形態148に記載の医薬組成物。
【0189】
実施形態150. 約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、実施形態145から149のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0190】
実施形態151. 経口投与のために製剤化されている、実施形態145から150のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0191】
実施形態152. 錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、実施形態151に記載の医薬組成物。
【0192】
上および本明細書に記載の組成物および方法の一実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)またはその薬学的に許容される塩である。別の具体的な実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体、またはその薬学的に許容される塩である。さらに別の具体的な実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルである。別の具体的な実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルの薬学的に許容される塩、例えば二トシル酸塩である。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、重水素化テトラベナジン、特に3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)またはその薬学的に許容される塩である。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール、またはその前駆体、またはその薬学的に許容される塩である。
【0193】
さらに他の特定の実施形態では、本明細書に記載の方法および使用は、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤とVMAT2阻害剤とを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0194】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照すると明らかになる。この目的のために、本明細書では、ある特定の背景情報、手順、化合物および/または組成物についてより詳細に記載している様々な参考文献を記載しており、これらは、参照によってそれらの全体が本明細書にそれぞれ組み込まれる。
【0195】
本明細書で具体的に定義されていない用語には、本開示および文脈に照らして当業者に理解され得る意味が与えられるものとする。しかし本明細書で使用される場合、そうでないことが明記されない限り、用語は、示された意味を有する。
【0196】
本明細書を通して、「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、その実施形態と関連して記載される特定の特色、構造または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所に出現する「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という句は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているとは限らない。さらに、特定の特色、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方式で組み合わせることができる。
【0197】
また、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、内容が明らかに別のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「1匹の非ヒト動物」への言及は、1匹もしくは複数の非ヒト動物、または複数のこのような動物を指すことができ、「1つの細胞」または「その細胞」への言及は、1つまたは複数の細胞、および当業者に公知のその等価物等(例えば複数の細胞)への言及を含む。方法のステップが、記載されまたは特許請求され、ステップが、特定の順序で起こるものとして記載される場合、第2のステップ「に先立って」(すなわち前に)生じる(または実施される)第1のステップの説明は、第2のステップが、第1のステップ「の後」に生じる(または実施される)ことを述べるように書き換えられるならば、同じ意味を有する。「約」という用語は、数または数値範囲に言及する場合、言及される数または数値範囲は、実験的変動性内(または統計的実験誤差内)の近似であることを意味し、したがって、数または数値範囲は、記載の数または数値範囲の1%~15%で変わり得る。「または」という用語は、内容が明らかに別のことを示さない限り、「および/または」を含むその意味で一般に用いられることにまた留意されたい。「少なくとも1つ」という用語は、例えば、少なくとも1つの化合物または少なくとも1つの組成物に言及する場合、「1つまたは複数の」という用語と同じ意味を有し、そのように理解される。
【図面の簡単な説明】
【0198】
図1図1は、処置の6週目に、プラセボを投与された、または(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル二トシル酸塩(バルベナジン二トシル酸塩、NBI-98854としても公知)で処置された、気分障害が根底にある被験体における、ヤング躁病評価尺度の総スコアおよびベースラインからの変化(CFB)の値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0199】
本開示は、神経伝達物質の不均衡、特にモノアミンの不均衡に関連する疾患または障害を処置する方法を対象とする。モノアミン神経伝達物質は、炭素2個の鎖によって芳香族環に接続された、1個のアミノ基を含有する。モノアミン神経伝達物質には、例えば、カテコールアミン(例えば、ドーパミン、ノルエピネフリン)、トリプタミン(例えば、セロトニン)、およびヒスタミンが含まれる。VMAT2は、モノアミン作動性ニューロンのシナプス前小胞の膜に存在する輸送体である。その主な機能は、後にシナプスへと放出するために、シナプス前ニューロンの細胞質からモノアミン(例えば、ドーパミン)を小胞内にパッケージすることのようである。VMAT2を阻害することで、関連するニューロン回路における活性の調節がもたらされる。
【0200】
理論に拘束されることを望むものではないが、モノアミンの不均衡、例えば過剰なドーパミン活性は、ある特定の行動症状、例えば反復性の不随意身体行動および常同症に寄与する場合がある。脳のドーパミン作動性経路を調節するための1つのアプローチは、ドーパミン2受容体(D2)アンタゴニスト薬を使用することである。しかしながら、一部の患者は、D2受容体アンタゴニストに応答せず、多くの場合、それらの副作用(例えば、鎮静、うつ病、体重増加、メタボリックシンドローム)に起因して忍容性が低い。別のアプローチは、テトラベナジンを使用することである。テトラベナジンは、シナプス前ドーパミンを枯渇させるVMAT2阻害剤である。しかしながら、テトラベナジンは、鎮静、うつ病、アカシジア、およびパーキンソニズムを含めた過剰なドーパミンの枯渇の副作用に起因して忍容性が低い。また、テトラベナジンには、立体異性体代謝産物の1つによるシナプス後D2受容体に対するオフターゲット結合に起因して、遅発性ジスキネジアを引き起こす可能性がある。テトラベナジン処置に対する他の欠点は、応答が変動することおよびTBZの急速な代謝に起因する、頻繁な摂取の必要性である。したがって、当技術分野では、気分障害の躁病またはうつ病、難治性のOCD、アルツハイマー病の激越、自閉症スペクトラム障害、レッシュ・ナイハン病、脆弱X症候群、レット症候群、および有棘赤血球舞踏病を含む神経障害の処置にとって有効な治療薬の開発に対する、未だ満たされていない必要性が存在する。
【0201】
本開示は、VMAT2阻害剤を使用して、神経伝達物質の不均衡、特にモノアミンの不均衡と部分的に関連する神経疾患または障害を処置するために、モノアミンを安定化するための組成物および方法を提供する。
【0202】
一態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、双極性障害を含む気分障害の躁病を処置するための方法において有用であり得る。一実施形態では、双極性障害の躁病を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによる、双極性障害の躁病を処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、処置される双極性障害の躁病は、軽躁病または重度の躁病である。本明細書に記載のVMAT2阻害剤のいずれか1つは、気分障害の躁病に関連する、1つまたは複数の問題となる気分または行動を処置することができる。例として、VMAT2阻害剤は、過度に興奮したまたは喜びに満ちた状態、極度の被刺激性、めまぐるしく変わる思考、アイデアの飛躍、精神運動性激越、非常に速く話すこと、増加した多弁性、落ち着きの無さの増加、目標指向活動の増加、睡眠の必要性の低下、自尊心の肥大または誇大妄想、衝動的行動、および痛ましい結果につながる可能性の高い、愉快な活動に対して過剰に関与することを含む、双極性障害の躁病に関連する、問題となる気分または行動を処置するために使用することができる。VMAT2阻害は、神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらす。様々な領域、例えば遺伝学、薬理学、および神経画像処理からのデータが、躁病において増加したドーパミン伝達の役割について示唆しているため、双極性障害の躁病の強度、頻度、および振幅(amplitude)における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0203】
別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、難治性の強迫性障害(OCD)を処置するための方法において有用であり得る。一実施形態では、難治性のOCDを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによる、難治性のOCDを処置するための方法が提供される。本明細書に記載のVMAT2阻害剤のいずれか1つは、洗浄、溜め込み、数唱儀式(counting ritual)、チェック儀式、ラインクロス(line-crossing)、祈りの儀式、手洗いの儀式、厳格なルーチンに従うこと、整頓、保証を求めること、またはその組合せを含む、1つまたは複数の強迫性行動を低減することができる。VMAT2阻害が、OCDの病態生理と関係するようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、様々なOCD行動の強度、頻度、および振幅の頻度および重症度における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0204】
別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、レッシュ・ナイハン症候群を処置するための方法において有用であり得る。より詳細には、VMAT2阻害剤は、不随意運動、常同症、および自傷行動を含む、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害の処置にとって有用であり得る。VMAT2阻害剤は、ジストニア(筋肉の緊張)、痙直、舞踏病(痙動)、常同症、舞踏病アテトーゼ、反弓緊張、バリズム(手足のけいれんまたはばたつかせること(flailing))、反射亢進(過活動性または過応答性の反射)、および伸展性足底反射(足の裏をこすった際の、足の親指の伸展および他の指の外転)などの、レッシュ・ナイハン症候群に関連する1つまたは複数の運動障害の処置にとって有用であり得る。痙直は、麻痺、腱反射活動の増加、および筋緊張亢進の組合せとして観察される。舞踏病アテトーゼは、舞踏病(不規則な移動性収縮)およびアテトーゼ(捻転および身悶え)の組合せ、すなわち舞踏病運動およびアテトーゼ様運動の組合せである。反弓緊張は、頭部および下肢を仰け反らせ、体幹を前向きの弓形にさせる、背中の筋肉のれん縮の状態である。
【0205】
別の態様では、VMAT2阻害剤は、レッシュ・ナイハン症候群に関連する自傷行動を処置するための方法において使用することができる。自傷行動には、例えば、指、手、唇および頬をかむこと、ならびに頭部または手足のバンギングが含まれる。
【0206】
別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、アルツハイマー病に関連する激越を処置することを必要とする被験体におけるアルツハイマー病に関連する激越を処置するための方法において使用することができる。激越は、不安症、被刺激性、および運動不穏を含む、関連症状のクラスターであり、これは、攻撃性、叫び、徘徊およびペーシングにつながり得る(例えば、Howardら、Int. J. Geriatr. Psychiatry 16巻:714~17頁(2001年)参照)。VMAT2阻害剤による処置は、激越を象徴する症状(例えば、不安症、被刺激性、および運動不穏)のいずれか1つまたは複数のレベルまたは程度を低減し得る。また、VMAT2阻害剤の投与は、アルツハイマー病の激越の症状のクラスターに含まれる1つまたは複数の症状を防止したり(すなわち、発生の可能性を低減したり)、発生の頻度を低減したり、またはその重症度を低減したりすることができる。アルツハイマー病に関連する激越のいくつかの態様は、運動障害(例えば、運動不穏)を含む、適用可能な神経回路の神経薬理に基づいて、VMAT2阻害に対して特に適している。VMAT2阻害が、運動不穏にとって中心的であるようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、様々な運動機能障害の頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0207】
別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、脆弱X症候群(FXS)および脆弱X関連振戦失調症候群(FXTAS)を処置するための方法において使用することができる。一実施形態では、脆弱X症候群(FXS)を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによる、脆弱X症候群(FXS)を処置するための方法が提供される。本明細書に記載のVMAT2阻害剤のいずれか1つは、不安症、注意欠如(ADDまたはADHDなど)、不安症、および多動性行動(例えば、貧乏揺すりまたは衝動行為)を含む、1つまたは複数の問題行動を処置することができる。他の実施形態では、方法は、反復性行動、常同症、またはてんかん発作の処置にとって有用であり得る。別の実施形態では、本明細書に記載のVMAT2阻害剤を投与することによる、FXTASを処置するための方法が提供される。これらの方法は、運動失調、企図振戦(罹患個人が随意運動を行おうと試みた際の手足の震えまたは揺れ)、パーキンソニズム、安静時振戦、硬直、運動緩慢、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下などのFXTASに関連する状態の処置にとって有用であり得る。
【0208】
別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を処置するための方法において使用することができる。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、多動、集中できないこと、うつ病、不安症、強迫性行動などの行動の管理などASDに関連する状態の処置もしくは管理、またはてんかん発作、反復性の不随意運動、常同症、自傷(ヘッドバンギング、唇、頬、および手足をかむことなど)などのASDに関連する身体の状態の管理にとって有用であり得る。ASDのいくつかの態様は、運動障害(例えば、常同症)および行動的困難(例えば、被刺激性、強迫性行動)を含む、適用可能な神経回路の神経薬理に基づいて、VMAT2阻害に対して特に適している。VMAT2阻害が、運動常同症にとって中心的であるようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、常同症および自傷行動の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。しかしながら、てんかん発作は、VMAT2阻害剤によっては処置されない。
【0209】
別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、気分障害のうつ病を処置するために使用することができる。一実施形態では、気分障害のうつ病を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによる、気分障害のうつ病を処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、気分障害は、双極性障害または大うつ病性障害である。本明細書に記載のVMAT2阻害剤のいずれか1つは、気分障害のうつ病に関連する、1つまたは複数の問題となる気分または行動を処置することができる。例として、VMAT2阻害剤は、持続性の悲しみ、不安症または「空っぽ」の気分、寝過ぎることまたはほとんど寝ないこと、真夜中または早朝に目覚めること、食欲の低下および体重損失または食欲の増加および体重増加、セックスを含む一度は楽しんだことのある活動に対する楽しみおよび興味の喪失、落ち着きの無さ、被刺激性、処置に対して応答しない持続性の身体症状(慢性疼痛または消化障害など)、集中、想起または決断を下すことが困難になること、疲労またはエネルギーの喪失、罪悪感、絶望感または無価値感、および自殺念慮を含む、気分障害のうつ病に関連する、問題となる気分または行動を処置するために使用することができる。VMAT2阻害は、神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらす。遺伝学および薬理学のデータが、うつ病の特色におけるモノアミンの役割について示唆しているため、気分障害のうつ病の強度、頻度、および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0210】
さらに別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、レット症候群を処置するために使用することができる。一実施形態では、レット症候群を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによる、レット症候群を処置するための方法が提供される。本明細書に記載のVMAT2阻害剤のいずれか1つは、意思疎通スキルの喪失、手の意図的な使用の喪失、手の常同運動、手絞りおよび手洗いなどの手の強迫性運動、歩行もしくは幼児の場合にははいはいが困難になること、より一般的には失行症としても公知である運動機能を行えなくなること、視線を合わせたりもしくは話したりすることが困難になること、またはそれらの任意の組合せを含む、レット症候群に関連する1つまたは複数の症状を低減することができる。VMAT2阻害が、レット症候群の病態生理と関係するようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、レット症候群の症状の強度、頻度、および振幅の頻度および重症度における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0211】
さらに別の態様では、予想外に、VMAT2阻害剤は、有棘赤血球舞踏病を処置するために使用することができる。一実施形態では、有棘赤血球舞踏病を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することにより、有棘赤血球舞踏病を処置するための方法が提供される。本明細書に記載のVMAT2阻害剤のいずれか1つは、手足、顔、口、舌、および咽喉の筋肉など、様々な筋肉の不随意緊張(ジストニア)を含む、有棘赤血球舞踏病に関連する1つまたは複数の症状を低減することができる。これらの単収縮は、喉音発生などの音声チック、不随意の曖気、および手足のれん縮を引き起こす可能性がある。摂食もまた損なわれる可能性がある。有棘赤血球舞踏病は、ハンチントン遺伝子の常染色体優性変異によって引き起こされるハンチントン舞踏病とは区別される。VMAT2阻害が、レット症候群の病態生理と関係するようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、レット症候群の症状の強度、頻度、および振幅の頻度および重症度における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。VMAT2阻害剤
【0212】
「溶質キャリアファミリー18メンバー2」(SLC18A2)としても公知である「VMAT2」という用語は、ヒト小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2という膜内在性タンパク質を指し、これは、モノアミン、特にドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンおよびヒスタミンなどの神経伝達物質を、細胞サイトゾルからシナプス小胞へと輸送するように作用する。
【0213】
「活性成分」および「活性物質」という用語は、障害、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置、防止、または回復させるために、単独で、または1種または複数種の薬学的に許容される添加剤と組み合わせて被験体に投与される化合物を指す。ある特定の実施形態では、「活性成分」および「活性物質」は、本明細書に記載の化合物の光学活性異性体または同位体変種であってもよい。
【0214】
「薬物」、「治療剤」、および「化学療法剤」という用語は、障害、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置、防止、または回復させるために被験体に投与される化合物またはその医薬組成物を指す。
【0215】
「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」という用語は、本明細書に開示される化合物の、VMAT2の機能を変える能力を指す。VMAT2阻害剤は、阻害剤とVMAT2の間で可逆的もしくは不可逆的な共有結合を形成することによって、または非共有結合的に結合した複合体を形成することによって、VMAT2の活性を遮断または低減することができる。このような阻害は、特定の細胞の種類においてのみ顕在化している場合もあり、または特定の生物学的事象に付随的である場合もある。また、「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」という用語は、VMAT2と天然基質の間で複合体が形成される可能性を低下させることによって、VMAT2の機能を変えることも指す。一部の実施形態では、VMAT2の調節は、WO2005077946;WO2008/058261;EP1716145;Kilbournら、European Journal of Pharmacology 1995年、(278巻)、249~252頁;Leeら、J. Med.
Chem.、1996年(39巻)、191~196頁;Schermanら、Journal of Neurochemistry 1988年、50巻(4号)、1131~36頁;Kilbournら、Synapse 2002年、43巻(3号)、188~194頁;Kilbournら、European Journal of Pharmacology 1997年、331巻(2~3号)、161~68頁;およびEricksonら、Journal of Molecular Neuroscience 1995年、6巻(4号)、277~87頁に記載の方法を使用して評価することができる。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンを含まない。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、ヒト小胞モノアミン輸送体タイプ1(VMAT1)、ドーパミン受容体タイプ2(D2)、またはセロトニン受容体の有意な阻害は呈しない、選択的VMAT2阻害剤である。ある特定の実施形態では、選択的VMAT2阻害剤は、鎮静、うつ病、アカシジア、およびパーキンソニズムを引き起こす可能性がある、「オフターゲット」副作用または過剰なモノアミンの枯渇を呈する可能性がより低い。本明細書で使用される場合、テトラベナジンは、選択的VMAT2阻害剤ではない。ある特定の実施形態では、選択的VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルもしくはその塩(例えば、二トシル酸塩)、または[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはそのプロドラッグである。
【0216】
VMAT2阻害剤(およびその同位体変種、多形体、生理的に許容される塩)は、小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2(VMAT2)を阻害することによって、中枢神経系におけるモノアミンの供給を低減することができる。気分障害の躁病、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群、アルツハイマー病の激越、脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、気分障害のうつ病、および有棘赤血球舞踏病を処置するための、本明細書に記載の方法において使用することができるVMAT2阻害剤およびモノアミン枯渇薬の例として、例えば、テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン、TBZ)が挙げられる。TBZは、ハンチントン病に関連する舞踏病の処置に承認されている。遅発性ジスキネジアおよび様々な運動亢進障害の処置にテトラベナジンを使用することについても記載されている。テトラベナジンは、投与されると、ジヒドロテトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、DHTBZ)に容易に代謝され、DHTBZのR,R,R立体異性体は、最も活性な代謝産物であると考えられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用するためのVMAT2阻害剤は、テトラベナジンを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用するためのVMAT2阻害剤は、選択的VMAT2阻害剤である。
【0217】
ある特定の実施形態では、気分障害の躁病を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,039,627号参照)。別の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、本明細書に記載の方法において使用するための医薬組成物を形成するための、薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0218】
ある特定の実施形態では、難治性のOCDを処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。別の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、本明細書に記載の方法において使用するための医薬組成物を形成するための、薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0219】
ある特定の実施形態では、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置することによってレッシュ・ナイハン症候群を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々はが参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。別の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の方法において使用されるVMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、本明細書に記載の方法において使用するための医薬組成物を形成するための、薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0220】
ある特定の実施形態では、アルツハイマー病に関連する激越を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、レセルピン、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々はが参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、医薬組成物を形成するための薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0221】
ある特定の実施形態では、脆弱X症候群(FXS)または脆弱X関連振戦失調症候群(FXTAS)を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、レセルピン、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することがでる。一実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、医薬組成物を形成するための薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0222】
ある特定の実施形態では、自閉症スペクトラム障害(ASD)を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、レセルピン、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、医薬組成物を形成するための薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0223】
ある特定の実施形態では、気分障害患者のうつ病を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、レセルピン、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。例えば、VMAT2阻害剤は、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体であってもよい。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、VMATs阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、医薬組成物を形成するための薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0224】
ある特定の実施形態では、レット症候群を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、レセルピン、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。例えば、VMAT2阻害剤は、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体であってもよい。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、医薬組成物を形成するための薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0225】
ある特定の実施形態では、有棘赤血球舞踏病を処置するための、本明細書に記載の方法は、TBZ類似体および代謝産物、レセルピン、ロベリンおよび類似体、ならびにその各々の開示が参照によってその全体が組み込まれる米国特許第8,039,627号、同第8,357,697号、および同第8,524,733号に記載の化合物を投与することを含む。テトラベナジンは、その各々が参照によってその全体が組み込まれるPCT公開WO2010/018408、WO2011/019956、およびWO2014/047167に開示の製剤を含む、様々な方法によって投与することができる。一実施形態では、VMAT2阻害剤は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩(例えば、二トシル酸塩)、もしくは多形体である(米国特許第8,039,627号参照)。例えば、VMAT2阻害剤は、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体であってもよい。別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)、またはその前駆体である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)、またはその前駆体(例えば、化合物5-1のプロドラッグ、PCT出願第PCT/US2016/016892号参照)である。さらに別の実施形態では、VMAT2阻害剤は、テトラベナジンまたは重水素化テトラベナジンである。重水素化テトラベナジンには、3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)(米国特許第8,524,733号参照)が含まれる。d-TBZは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、PCT公開WO2014/047167に開示されるような、製剤を含む様々な方法によって投与することができる。本明細書に記載の通り、VMAT2阻害剤のいずれか1つを、医薬組成物を形成するための薬学的に許容される添加剤、キャリア、および/または賦形剤と組み合わせることができる。
【0226】
VMAT2阻害剤の活性の特徴付けは、当技術分野および本明細書に記載のin vitro法および動物モデルを使用して容易に決定することができる(例えば、Tengら、J. Neurochem. 71巻、258~65頁、1998年;Near(1986年)、Near(1986年)、Mol. Pharmacol. 30巻:252~57頁参照)。
【0227】
当業者には、このようなアッセイおよび技法が、適切な陰性対照(例えば、ビヒクルだけ、賦形剤だけ等)および適切な陽性対照を使用して実施されることが容易に理解される。特定のin vitroアッセイのための条件には、アッセイで使用される試験薬剤および試薬の完全性を維持し、当業者によく知られており、かつ/または容易に決定され得る、温度、緩衝剤(塩、カチオン、媒体を含む)、および他の構成成分が含まれる。動物モデルにおけるVMAT2阻害剤の有効性を決定することは、典型的には、当業者によく知られている1つまたは複数の統計的分析を使用して実施される。例として、2元分散分析(ANOVA)、フィッシャーの正確確率検定、および/またはボンフェローニ試験などの統計的分析を、動物群間差異の統計的有意性を決定するために使用することができる。
【0228】
本明細書に記載の化合物は、そのあらゆる多形、プロドラッグ、異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)、塩、溶媒和物および同位体を含む。立体異性体に関して、VMAT2阻害剤は、キラル中心を有する場合があり、ラセミ体、ラセミ混合物、および個々の鏡像異性体またはジアステレオマーとして生じることができる。それらの混合物を含む、このようなあらゆる異性体形態が含まれる。本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、具体的に示されない限り、所与の化学式または名称は、それらの互変異性体、ならびにあらゆる立体異性体、光学異性体および幾何異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、E/Z異性体等)およびラセミ体、ならびに異なる割合の別個の鏡像異性体の混合物、ジアステレオマー混合物、またはこのような異性体および鏡像異性体が存在する場合には先の形態のいずれかの混合物、ならびに薬学的に許容されるその塩を含むそれらの塩、およびそれらの溶媒和物、例えば遊離化合物の溶媒和物または化合物の塩の溶媒和物を含む水和物などを包含するものとする。
【0229】
本明細書で使用される場合、「同位体富化された」は、原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有するその原子を指す。「同位体富化された」はまた、原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1つのその原子を含有する化合物を指す場合もある。
【0230】
本明細書において提供される化合物に関して、特定の原子位置が重水素または「D」を有すると指定されている場合、その位置での重水素の存在度が、約0.015%である重水素の天然存在度よりも実質的に大きいことが理解される。重水素を有すると指定される位置は、典型的には、特定の実施形態では、指定される各重水素位置において、少なくとも1000(15%の重水素取り込み)、少なくとも2000(30%の重水素取り込み)、少なくとも3000(45%の重水素取り込み)、少なくとも3500(52.5%の重水素取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素取り込み)、または少なくとも6633.3(99.5%の重水素取り込み)という最小同位体富化因子を有する。
【0231】
本明細書において提供される化合物の同位体富化は、質量分析法、核磁気共鳴分光法、および結晶解析法を含む、当業者に公知の従来の分析方法を使用して決定することができる。
【0232】
薬物動態(「PK」)、薬動力学(「PD」)、および毒性プロファイルを改善するための医薬の同位体富化(例えば、重水素化)は、一部のクラスの薬物ですでに実証されている。例えば、Lijinskyら、Food Cosmet. Toxicol.、20巻:393頁(1982年)、Lijinskyら、J. Nat. Cancer Inst.、69巻:1127頁(1982年)、Mangoldら、Mutation
Res. 308巻:33頁(1994年)、Gordonら、Drug Metab. Dispos.、15巻:589頁(1987年)、Zelloら、Metabolism、43巻:487頁(1994年)、Gatelyら、J. Nucl. Med.、27巻:388頁(1986年)、Wade D、Chem. Biol. Interact. 117巻:191頁(1999年)を参照されたい。
【0233】
薬物の同位体富化は、例えば、(1)望ましくない代謝産物を低減もしくは排除するため、(2)親薬物の半減期を延長するため、(3)所望の効果を達成するのに必要とされる投薬回数を減少させるため、(4)所望の効果を達成するのに必要な投与量を減少させるため、(5)もし形成される場合には、活性代謝産物の形成を増加させるため、および/あるいは(6)併用療法が意図的であろうとなかろうと、特定の組織における有害な代謝産物の産生を低下させ、かつ/または併用療法にとってより有効な薬物および/もしくはより安全な薬物を作り出すために使用することができる。
【0234】
ある原子をその同位体のうちの1つで置き換えることにより、化学反応の反応速度の変化がもたらされることが多い。この現象は、動的同位体効果(「KIE」)として公知である。例えば、C-H結合が化学反応における律速ステップ(すなわち、最大遷移状態エネルギーを有するステップ)の間に破壊される場合、その水素を重水素で置換することは、反応速度の低下を引き起こし、プロセスは減速する。この現象は、重水素動的同位体効果(「DKIE」)として公知である。(例えば、Fosterら、Adv. Drug
Res.、14巻、1~36頁(1985年)、Kushnerら、Can. J. Physiol. Pharmacol.、77巻、79~88頁(1999年)を参照)。
【0235】
DKIEの規模は、C-H結合が破壊される所与の反応と、水素を重水素で置換した同じ反応との間の速度比として表すことができる。DKIEは、約1(同位体効果なし)から50またはそれ超など非常に大きな数までの範囲であり得、これは、水素を重水素で置換した場合、反応が50倍またはそれ超緩徐になり得ることを意味している。高いDKIE値は、不確定性原理の結果であるトンネリングとして公知の現象に一部起因し得る。トンネリングは、水素原子の小さい質量に起因しており、プロトンを包含する遷移状態が、必要とされる活性化エネルギーの非存在下で時折形成し得るために生じる。重水素は水素よりも大きい質量を有するため、この現象を経る確率は統計的に遥かに低い。
【0236】
トリチウム(「T」)は、研究、核融合炉、中性子発生装置、および放射性医薬において使用される、水素の放射性同位体である。トリチウムは、核に2個の中性子を有し、3に近い原子量を有する水素原子である。トリチウムは、環境中において非常に低い濃度で天然に存在し、最も一般にはTOとして見出される。トリチウムは緩徐に壊変し(半減期=12.3年)、ヒトの皮膚の外層を貫通できない低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被曝が、この同位体と関連する主な害であるが、有意な健康リスクをもたらすには多量に摂取しなければならない。重水素と比較した場合、より少ない量のトリチウム消費で危険なレベルに到達するはずである。しかし、水素をトリチウム(「T」)で置換することは、重水素よりも強い結合をもたらし、数値的により大きい同位体効果が与えられる。同様に、炭素に対する13Cまたは14C、硫黄に対する33S、34S、または36S、窒素に対する15N、および酸素に対する17Oまたは18Oを含むがそれらに限定されない、他の元素に対する同位体置換は、同様の動的同位体効果をもたらし得る。
【0237】
例えば、DKIEは、おそらくはトリフルオロアセチルクロリドなどの反応性種の産生を制限することによって、ハロタンの肝毒性を低下させるために使用された。しかしながら、この方法は、すべての薬物クラスに対して適用可能な訳ではない。例えば、重水素の取り込みは、代謝スイッチングをもたらし得る。代謝スイッチングの概念は、第I相酵素によって隔離される際に、異種(xenogen)が、化学反応(例えば、酸化)の前に過渡的に結合し、様々な立体配座で再結合し得ると主張している。この仮説は、多くの第I相酵素の結合ポケットの比較的巨大なサイズ、および多くの代謝反応の乱雑な性質によって支持されている。代謝スイッチングは、潜在的に、異なる割合の公知の代謝産物および完全に新しい代謝産物をもたらす可能性がある。この新しい代謝プロファイルは、大なり小なり毒性を付与し得る。
【0238】
動物の身体は、治療剤などの外来物質をその循環系から排除することを目的として、様々な酵素を発現している。腎排泄のために、これらの外来物質と反応して、より極性のある中間体または代謝産物へと変換するためのこのような酵素の例として、シトクロムP450酵素(「CYP」)、エステラーゼ、プロテアーゼ、還元酵素、脱水素酵素、およびモノアミンオキシダーゼが挙げられる。医薬化合物の最も一般的な代謝反応の一部は、炭素-水素(C-H)結合を炭素-酸素(C-O)または炭素-炭素(C-C)パイ結合へと酸化することを伴う。結果として生じる代謝産物は、生理学的条件下で安定である場合も不安定である場合もあり、親化合物と比較して実質的に異なる薬物動態、薬動力学、ならびに急性および長期の毒性プロファイルを有し得る。多くの薬物に関して、このような酸化は迅速である。したがって、これらの薬物は多くの場合、複数用量または高い1日用量の投与を必要とする。
【0239】
したがって、本明細書において提供される化合物のある特定の位置における同位体富化は、天然の同位体組成を有する類似の化合物と比較して、本明細書において提供される化合物の薬物動態プロファイル、薬理学プロファイル、および/または毒性プロファイルに影響を及ぼす、検出可能なKIEをもたらし得る。
【0240】
「同位体変種」という用語は、治療剤を構成する原子のうちの1つまたは複数において非天然の割合の同位体を含有するこのような治療剤を指す。ある特定の実施形態では、治療剤の同位体変種は、水素(H)、重水素(H)、トリチウム(H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨウ素-129(129I)、およびヨウ素-131(131I)を含むがそれらに限定されない、非天然の割合の1つまたは複数の同位体を含有する。ある特定の実施形態では、治療剤の同位体変種は、水素(H)、重水素(H)、トリチウム(H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨウ素-129(129I)、およびヨウ素-131(131I)を含むがそれらに限定されない、非天然の割合の1つまたは複数の同位体を含有する。
【0241】
治療剤においては、当業者が実行可能であると判断した場合、例えば任意の水素がHであってもよく、または例えば任意の炭素が13Cであってもよく、または例えば任意の窒素が15Nであってもよく、または例えば任意の酸素が18Oであってもよいことが理解される。ある特定の実施形態では、治療剤の「同位体変種」は、非天然の割合の重水素(D)を含有する。
【0242】
本明細書で使用される場合、薬学的に(または生理的に)許容される塩は、親化合物が、その酸塩または塩基塩を作製することによって修飾されている記載の化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例として、塩基性残基、例えばアミンの無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩等が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、このような塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物/臭化水素酸塩、Ca-エデト酸塩/エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物/塩酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エタンジスルホン酸塩、エストレート(estolate)、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルスニレート(glycollylarsnilate)、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩 塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルファミド、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリエチオジド、アンモニウム、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミンおよびプロカインが含まれる。薬学的に許容されるさらなる塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属からのカチオンを用いて形成することができる。(また例えば、Pharmaceutical Salts、Birge、S.M.ら、J. Pharm. Sci.、(1977年)、66巻、1~19頁参照)。
【0243】
さらに本明細書に記載の化合物に関しては、プロドラッグも含まれる。プロドラッグは、このようなプロドラッグが患者に投与されるとin vivoで化合物を放出する、共有結合によって結合した任意のキャリアである。プロドラッグは、一般に、ありふれた操作またはin vivoのいずれかによって修飾が切断されて親化合物を生じるような様式で、官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグとして、例えば、ヒドロキシ、アミンまたは酸基が、被験体に投与されると切断されて、ヒドロキシ、アミンまたは酸基を形成する任意の基に結合している、本明細書に記載の化合物が挙げられる。したがって、プロドラッグの代表例として、化合物のアルコールおよびアミン官能基の酢酸誘導体、ギ酸誘導体および安息香酸誘導体が挙げられる(しかし、それに限定されるものではない)。さらに、カルボン酸(-COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを用いることができる。
【0244】
本明細書に記載の化合物は、完全に非晶質なものから完全に結晶性のものにわたる一連の固体状態で存在することができる。さらに、化合物の結晶形態の一部は、多形として存在することができる。さらに、一部の化合物は、水または他の有機溶媒とともに溶媒和物を形成することもできる。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。溶媒和物という用語は、本明細書では、化合物と、化学量論的または非化学量論的量で存在する、1つまたは複数の薬学的に許容される溶媒分子とを含む分子複合体を説明するために使用される。適切な溶媒には、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、および酢酸が含まれるが、それらに限定されない。ある特定の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容される。一実施形態では、複合体または凝集体は結晶形態である。別の実施形態では、複合体または凝集体は非結晶形態である。水和物の例として、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、および五水和物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0245】
化合物の「結晶形態」という用語は、遊離酸としての化合物の、遊離塩基としての化合物の、化合物の酸付加塩、化合物の塩基付加塩、化合物の複合体、化合物の溶媒和物(水和物を含む)、または化合物の共結晶としての任意の結晶形態を指し得る。化合物の「固体形態」という用語は、遊離酸としての化合物の、遊離塩基としての化合物の、化合物の酸付加塩、化合物の塩基付加塩、化合物の複合体、または化合物の溶媒和物(水和物を含む)、または化合物の共沈殿物としての、化合物の任意の結晶形態または任意の非晶形を指し得る。多くの例では、「結晶形態」および「固体形態」という用語は、例えば薬学的に許容される付加塩、薬学的に許容される複合体、薬学的に許容される溶媒和物、薬学的に許容される共結晶、および薬学的に許容される共沈殿物のものを含む、薬学的に許容されるものを指し得る。
【0246】
本明細書で使用される場合、かつ特に定めのない限り、「多形体」および「多形形態」という用語は、化合物または複合体の固体結晶体を指す。同じ化合物の異なる多形体は、異なる物理的、化学的、および/または分光的特性を呈し得る。異なる物理的特性には、(例えば、熱または光に対する)安定性、圧縮性および密度(製剤化および製品製造において重要)、ならびに溶解速度(バイオアベイラビリティに影響を及ぼし得る)が含まれるが、それらに限定されない。安定性における差は、化学反応性における変化(例えば、差次的酸化により、剤形がある多形体で構成されている場合、別の多形体で構成されている場合よりも迅速に変色する)もしくは機械的特徴における変化(例えば、錠剤は貯蔵で、動態学的に好ましい多形体が熱力学的により安定な多形体へと変換するにつれて砕ける)、またはこれら両方(例えば、ある多形体の錠剤は、高い湿度でより崩壊しやすい)によってもたらされ得る。多形体の異なる物理的特性は、多形体の加工に影響を及ぼし得る。例えば、ある多形体は、例えばその粒子の形状またはサイズ分布に起因して、別の多形体よりも溶媒和物を形成する可能性がより高かったり、あるいは不純物を含まないように濾過または洗浄することが困難であったりする。
【0247】
分子の多形体は、当技術分野において公知のいくつかの方法によって得ることができる。そのような方法には、融解再結晶化、融解冷却、溶媒再結晶、脱溶媒和、急速蒸発、急速冷却、緩徐冷却、蒸気拡散、および昇華が含まれるが、それらに限定されない。多形体は、限定されるものではないが、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量測定(TGA)、粉末X線回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、振動分光法、溶液熱量測定、固相核磁気共鳴(NMR)、赤外(IR)分光法、ラマン分光法、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、電子線結晶学、および定量分析、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解性、ならびに溶解速度などの周知の技法を使用して検出、同定、分類、および特徴付けすることができる。
【0248】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数の原子が、原子番号は同じであるが原子質量は異なっている原子によって置き換えられている、同位体的に標識された薬学的に許容される化合物である。例として、水素についてはH(重水素)およびH(トリチウム)、炭素については11C、13Cおよび14C、塩素については36Cl、フッ素については18F、ヨウ素については123Iおよび125I、窒素については13Nおよび15N、硫黄については35Sが挙げられる。また例として、Hについて重水素の置換が挙げられ、この場合、重水素(複数可)が分子に選択的に付加されて薬物の代謝を変え、その結果、半減期の増大などの一部の特性が増強される。
処置の方法および医薬調製物および組成物
【0249】
本明細書では、モノアミンの不均衡によって特徴付けられるある特定の神経障害を、その障害を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。「神経障害」または「神経疾患」という用語には、気分障害の躁病、気分障害のうつ病、レット症候群、有棘赤血球舞踏病、ASD、アルツハイマー病の激越、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群、FXS、およびFXTASが含まれるが、それらに限定されない。
【0250】
本明細書では、気分障害の躁病を、その躁病を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、気分障害は、1型双極性障害、2型双極性障害、特定不能の双極性障害、および気分循環症を含む、双極性障害である。
【0251】
VMAT2阻害剤は、気分障害の躁病、例えば双極性障害に関連する症状を防止したり、その発生の可能性を低減したり、その進行を遅くしたり、その発現を遅延させたり、または処置したりすることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法にしたがって処置される気分障害の躁病には、軽躁病が含まれる。他の実施形態では、本明細書に記載の方法にしたがって処置される気分障害の躁病には、重度の躁病が含まれる。躁病期を経験している気分障害を有する被験体では、VMAT2阻害剤による処置は、例として、過度に興奮したまたは喜びに満ちた状態、極度の被刺激性、めまぐるしく変わる思考、アイデアの飛躍、精神運動性激越、非常に速く話すこと、増加した多弁性、落ち着きの無さの増加、目標指向活動の増加、睡眠の必要性の低下、自尊心の肥大または誇大妄想、衝動的行動、および痛ましい結果につながる可能性の高い、愉快な活動に対して過剰に関与することを含む、気分障害の躁病に関連する1つまたは複数の気分または行動上の問題を、改善または有効に低減することができる。VMAT2阻害が、神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらし、その調節不全が躁病に関連するため、気分障害の躁病に関連する気分または行動の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0252】
本明細書では、難治性のOCDを、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、洗浄、溜め込み、数唱儀式、チェック儀式、ラインクロス強迫観念、祈りの儀式、手洗いの儀式、厳格なルーチンに従うこと、整頓、保証を求めること、またはその組合せを含む、1つまたは複数の強迫性行動の頻度または重症度を低減することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法にしたがって処置される強迫性行動には、ラインクロス強迫観念が含まれる。他の実施形態では、処置される強迫性行動は、祈りの儀式である。さらに他の実施形態では、処置される強迫性行動は、手洗いの儀式である。VMAT2阻害が、OCDの病態生理と関係するようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、様々なOCD行動の強度、頻度、および振幅の頻度および重症度における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0253】
本明細書では、レッシュ・ナイハン症候群を処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することで、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置することによって、レッシュ・ナイハン症候群を処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害の発生の可能性を低減したり、神経機能障害の進行を遅くしたり、神経機能障害の発現を遅延させたり、または神経機能障害を処置したりすることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法にしたがって処置される神経機能障害には、運動機能障害が含まれる。他の実施形態では、処置される神経機能障害は、自傷行動である。VMAT2阻害が、運動常同症にとって中心的であるようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、舞踏病、アテトーゼ、常同症、自傷行動の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0254】
本明細書では、アルツハイマー病を有する被験体におけるアルツハイマー病に関連する激越を、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、激越を防止したり(すなわち、その発生の可能性を低減したり)、その進行を遅くしたり、遅延させたり、または処置したりすることができる。激越の一般的な症状には、運動不穏、身体的に攻撃性の行動、ペーシング、過剰な貧乏揺すり、反復行動、異常な発声、またはそれらの任意の組合せが含まれる。ある特定の実施形態では、激越の1つまたは複数の症状が、VMAT2阻害剤を投与することを含む方法によって処置される。具体的な一実施形態では、アルツハイマー病に関連する不安症、被刺激性、ペーシング、過剰な貧乏揺すり、反復行動、異常な発声、および運動不穏のいずれか1つまたは複数を、VMAT2阻害剤を投与することによって処置する方法が提供される。
【0255】
本明細書では、脆弱X症候群(FXS)および脆弱X関連振戦失調症候群(FXTAS)を、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、FXSまたはFXTASを防止したり(すなわちその発生の可能性を低減したり)、その進行を遅くしたり、遅延させたり、または処置したりすることができ、あるいはFXSまたはFXTASに関連する状態を処置することができる。脆弱X症候群を有する被験体では、VMAT2阻害剤による処置は、例として、不安症、注意欠如、多動性行動(例えば、貧乏揺すりまたは衝動行為)、自閉症的行動(例えば、反復行動)、および発作を含む、FXSに関連する1つまたは複数の行動上の問題を、改善または有効に低減することができる。注意欠如は、注意欠陥障害(ADD、ADHDとも呼ばれる)である場合があり、注意または集中を維持する能力が損なわれていることなどの行動を含む。他の実施形態では、VMAT2阻害剤は、FXTASを有する被験体に投与することができる。このような方法は、運動失調、企図振戦(罹患個人が随意運動を行おうと試みた際の手足の震えまたは揺れ)、パーキンソニズム、安静時振戦、硬直、運動緩慢、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下などのFXTASに関連する1つまたは複数の状態を処置することができる。FXTASを有する被験体では、特に下肢が、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下によって影響を及ぼされ得る。パーキンソニズムは、振戦、動作緩慢、硬直および姿勢不安定性によって特徴付けられる臨床症候群である。パーキンソニズムは、その名付け元であるパーキンソン病を有する患者において見られる症状を共有しているが、パーキンソニズムは症状が複雑であり、パーキンソン病とは異なる。
【0256】
FXSおよびFXTASのいくつかの態様は、運動障害(例えば、常同症)および行動障害(例えば、多動性行動および自閉症的行動)を含む、適用可能な神経回路の神経薬理に基づいて、VMAT2阻害に対して特に適している。VMAT2阻害が、運動常同症にとって中心的であるようである神経伝達物質系(例えば、ドーパミンおよびセロトニン)の調節をもたらすため、様々な運動機能障害の頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0257】
本明細書では、ASDを、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、ASDを防止したり(すなわち、その発生の可能性を低減したり)、その進行を遅くしたり、遅延させたり、または処置したりすることができる。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、多動、集中できないこと、うつ病、不安症、強迫性行動の管理、またはてんかん発作、反復運動、自傷(ヘッドバンギング、唇、頬、および手足をかむことなど)、および常同症の低減など、ASDに関連する1つまたは複数の状態の処置または管理にとって有用であり得る。VMAT2阻害剤のASDを処置する有効性は、過去の情報に基づいて同じ被験体の同じ行動または状態について比較することによって、あるいはVMAT2阻害剤を投与されていない異なる被験体と比較することによって決定することができる。この情報は、ヒト臨床試験の間に得られる。
【0258】
本明細書では、気分障害患者のうつ病を、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、うつ病を防止したり(すなわち、その発生の可能性を低減したり)、その進行を遅くしたり、遅延させたり、または処置したりすることができる。うつ病の一般的な症状には、持続性の悲しみ、不安症もしくは「空っぽ」の気分、寝過ぎることもしくはほとんど寝ないこと、真夜中もしくは早朝に目覚めること、食欲の低下および体重損失もしくは食欲の増加および体重増加、セックスを含む一度は楽しんだことのある活動に対する楽しみおよび興味の喪失、落ち着きの無さ、被刺激性、処置に対して応答しない持続性の身体症状(慢性疼痛もしくは消化障害など)、集中、想起もしくは決断を下すことが困難になること、疲労もしくはエネルギーの喪失、罪悪感、絶望感もしくは無価値感、自殺念慮、またはそれらの任意の組合せが含まれる。ある特定の実施形態では、激越の1つまたは複数の症状が、VMAT2阻害剤を投与することを含む方法によって処置される。ある特定の実施形態では、処置される気分障害は、双極性障害である。他の実施形態では、気分障害は、大うつ病性障害である。気分障害患者のうつ病に関連する気分または行動または症状の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0259】
本明細書では、レット症候群を、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、レット症候群を防止したり(すなわち、その発生の可能性を低減したり)、その進行を遅くしたり、遅延させたり、または処置したりすることができる。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、意思疎通スキルの喪失、手の意図的な使用の喪失、手の常同運動、手絞りおよび手洗いなどの手の強迫性運動、歩行もしくは幼児の場合にははいはいが困難になること、より一般的には失行症としても公知である運動機能を行えなくなること、視線を合わせたりもしくは話したりすることが困難になること、通常の頭部の成長速度が遅くなること、てんかん発作、無秩序な呼吸パターン、筋緊張の喪失(筋緊張低下)、摂食が困難になること、手足の運動のけいれん、睡眠の問題、ワイドベース歩行、歯ぎしりおよびかむことが困難になること、成長が遅くなること、認知障害、ならびに過換気、無呼吸(息こらえ)および空気嚥下などの起きている間の呼吸困難などの、レット症候群に関連する1つまたは複数の状態の処置または管理にとって有用であり得る。レット症候群に関連する気分または行動または症状の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0260】
本明細書では、有棘赤血球舞踏病を、それを処置することを必要とする被験体にVMAT2阻害剤を投与することによって処置するための方法が提供される。VMAT2阻害剤は、有棘赤血球舞踏病を防止したり(すなわち、その発生の可能性を低減したり)、その進行を遅くしたり、遅延させたり、または処置したりすることができる。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、認知、運動、および心理的機能に影響を及ぼすものを含む、有棘赤血球舞踏病に関連する1つまたは複数の状態の処置または管理にとって有用であり得る。最も頻繁な症状には、てんかん、行動変化、筋変性、不随意咬舌および咬唇などの不随意運動、ならびに統合失調症様精神病または強迫性障害(OCD)などの精神医学的徴候が含まれる。有棘赤血球舞踏病に関連する気分または行動または症状の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。
【0261】
医学分野の当業者に理解される通り、「処置する」および「処置」という用語は、被験体(すなわち患者)の疾患、障害、または状態の医学的管理を指す(例えば、Stedman’s Medical Dictionary参照)。「処置」および「処置すること」という用語は、防止的、すなわち予防的処置、または治療的、すなわち根治的および/もしくは緩和的処置の両方を包含する。したがって、「処置」および「処置すること」という用語は、状態を、特に顕在化した形態で既に発症している患者の治療的な処置を含む。治療的な処置は、特定の徴候の症状を緩解するための対症処置、あるいは徴候の状態を逆転させもしくは部分的に逆転させ、または疾患の進行を停止もしくは緩徐するための原因処置であり得る。したがって、本明細書に記載の組成物および方法は、例えば、ある期間にわたる治療的な処置として、ならびに長期治療のために使用することができる。さらに「処置」および「処置すること」という用語は、予防処置、すなわち本明細書で既に記載した状態を発症する危険性のある患者の処置を含み、そうすることで危険性を低減する。
【0262】
本明細書に記載の組成物および方法を必要とする被験体には、医学分野の当業者に診断された被験体が含まれる。双極性障害は、感情的高揚(躁病または軽躁病)および低迷(うつ病)を含む、極度の気分変動によって特徴付けられる。気分変動は、1年に何回か、1週間に数回起こる場合があり、あるいはさらには同時に経験される場合もある。躁病または躁病エピソードの症状には、例えば、「ハイ」または過度な幸福感または外向的な気分を長期間感じること、極度の被刺激性、非常に速く話すこと、めまぐるしく変わる思考、あるアイデアから別のアイデアに飛びつくこと、容易に気をそらされること、活動の増加、過度な落ち着きの無さ、ほとんど眠らないこと、自身の能力に非現実的な信念をもっていること、衝動的行動、および快楽的で高リスクの行動に熱中することが含まれる。重度の躁病は、被験体の人生(仕事、学校、家族生活、社会生活)において著しい障害を引き起こし、入院が必要となる場合もある。また、重度の躁病またはうつ病のエピソードは、幻覚または妄想などの精神病症状を呈する場合もある。軽躁病または軽躁病エピソードは、2型双極性障害の一部である。軽躁病エピソードは、気分が、被験体の仕事もしくは社会生活を損なわせたり、入院が必要となったりするほどには重度ではなく、精神病症状を呈しないという点を除き、重度の躁病と同じ症状を有する。適正な処置がなければ、軽躁病は、重度の躁病またはうつ病へと発達する場合がある。
【0263】
気分障害は、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)(例えば、DSM-IV)において定義される通りである。一部の実施形態では、気分障害には、大うつ病性障害、双極性障害、持続性うつ病性障害、気分循環症、および季節性感情障害が含まれる。双極性障害は、DSMからのガイドラインを使用して診断される。双極性障害と診断されるには、症状は、患者の通常の気分または行動から大きく変化しなければならない。双極性障害には4つの基本的種類が存在する。
【0264】
1.1型双極性障害-少なくとも7日間続く躁病エピソードまたは混合エピソードによって、あるいは非常に重度であるため、人物が即時の入院治療を必要とするような躁病症状によって定義される。通常、うつ病エピソードも起こり、典型的には少なくとも2週間続く。
【0265】
2.2型双極性障害-うつ病エピソードおよび軽躁病エピソードのパターンによって定義されるが、末期的な躁病エピソードまたは混合エピソードは伴わない。
【0266】
3.特定不能の双極性障害(BP-NOS)-疾病の症状は存在するものの、双極性1型または2型のいずれの診断判定基準も満たしていない場合に診断される。しかしながら、症状は、人物の通常の行動の範囲からは明らかに外れている。
【0267】
4.気分循環性障害または気分循環症-双極性障害の軽症型。気分循環症を有する人々は、少なくとも2年間、軽躁病および軽症うつ病のエピソードを有する。しかしながら、症状は、あらゆる他の種類の双極性障害の診断要件も満たさない。
【0268】
DSMはまた、躁病エピソードおよび軽躁病エピソードの診断に関する具体的な判定基準も有する。躁病エピソードは、少なくとも1週間(または、入院が必要である場合には1週間未満)続く、異常かつ持続的に高揚した、誇大化した、または過敏な気分の明瞭な期間である。エピソードには、持続的に増加した目標指向活動またはエネルギーが含まれる。躁病エピソードとみなされるには、気分障害は、仕事、学校、社会的活動、または関係性において顕著な障害を引き起こしたり、入院が必要となったり、または精神病を誘発したりするほどに重度でなければならない。
【0269】
軽躁病エピソードは、少なくとも連続で4日間続く、異常かつ持続的に高揚した、誇大化した、または過敏な気分の明瞭な期間である。軽躁病エピソードは、他の人々が気付くには十分なほど明瞭な、気分および機能における通常のレベルからの変化であり、仕事、学校、社会的活動、または関係性を著しく損なうことはなく、入院は必要とされず、精神病は呈さず、アルコール摂取、薬物使用、医薬品、または医学的状態によって引き起こされるものではない。
【0270】
双極性障害の重度の形態は、急速交代型双極性障害と呼ばれる。急速交代は、ある人物が、4つまたはそれ超の大うつ病、躁病、軽躁病、または混合状態のエピソードをすべて1年以内に有する場合に起こる。急速交代は、若年期に最初の双極性エピソードを有する人々においてより一般的であるようである。1つの研究では、急速交代を有する人々は、10代半ばから後半にかけて、急速交代型双極性障害を有しない人々と比べて約4年早く、最初のエピソードを有したことが見出された。
【0271】
双極性障害の他の特色には、不安症、メランコリー、緊張病、および季節パターンが含まれ得る。
【0272】
診断を得る際、医師は、身体検査、面接、および臨床検査を実施する。双極性障害を含む気分障害は、現時点では血液検査または脳スキャンを使用して診断することはできないが、これらの試験は、卒中、脳腫瘍、または甲状腺の状態などの、気分の問題に寄与し得る他の因子を除外するのに役立ち得る。問題が他の疾病によって引き起こされたものではない場合、医師、例えば精神科医は、精神衛生評価を実施し得る。
【0273】
いくつかの精神医学的尺度および試験が、気分障害の躁病の評価に役立てるために作り出されている。躁病エピソードの重症度を測定するために、ヤング躁病評価尺度(YMRS)が使用される。YMRSは11の項目からなり、7項目は5ポイントの尺度(0~4)でスコア付けされ、4項目は9ポイントの尺度(0~8)でスコア付けされる。数値の増加は、各項目に関して記載される異常性の重症度の増加を示している。躁病評価尺度臨床医版(CARS-M)が、躁病症状および精神病症状の両方の重症度を評価するために使用されてもよい。アルトマン自己評価躁病尺度(ASRM)を使用して、躁病症状および軽躁病症状の存在および重症度を評価してもよい。
【0274】
うつ病に関連する症状には、持続性の悲しみ、不安症または「空っぽ」の気分、寝過ぎることまたはほとんど寝ないこと、真夜中または早朝に目覚めること、食欲の低下および体重損失または食欲の増加および体重増加、セックスを含む一度は楽しんだことのある活動に対する楽しみおよび興味の喪失、落ち着きの無さ、被刺激性、処置に対して応答しない持続性の身体症状(慢性疼痛または消化障害など)、集中、想起または決断を下すことが困難になること、疲労またはエネルギーの喪失、罪悪感、絶望感または無価値感、自殺または死の思考が含まれるが、それらに限定されない。
【0275】
多くの物事が、臨床的うつ病に寄与し得る。一部の人々の場合、いくつかの因子が関与しているようであるが、一方で他の人々の場合、単一の因子がこの疾病を引き起こしている可能性がある。多くの場合、人々は明確な理由なしにうつ状態になる。うつ病の原因は様々である。うつ病の生物学的原因には、ある特定の神経伝達物質が少な過ぎることまたは多過ぎることが含まれる。これらの脳内化学物質における変化が、うつ病を引き起こしたり、またはそれに寄与したりする。ネガティブな思考パターンおよび低い自尊心は、臨床的うつ病が発症する可能性を高める。また、男性よりも多くの女性がうつ病を経験するため、性別もうつ病の発症に影響を及ぼし得る。このことに関する理由は未だ不明確であるが、理由には、月経期間、妊娠期間、出産、および閉経期中に女性が経験するホルモンの変化が含まれ得る。他の理由には、女性が有する複数の責任によって引き起こされるストレスが含まれ得る。うつ病は、心疾患、がん、パーキンソン病、糖尿病、アルツハイマー病、およびホルモン障害などのある特定の疾病とともに起こる可能性がより高い。一部の医薬品の副作用が、うつ病をもたらし得る。うつ病の家族歴も、この疾病を発症するリスクを高める。また、一部の研究は、遺伝子と環境因子との組合せが協働して、うつ病のリスクを高めていると示唆している。離婚、財政問題、または愛する人の死を含む、困難なライフイベントなどの状況による原因が、うつ病に寄与し得る(Menthal Health America(MHA)、http://www.mentalhealthamerica.net/conditions/depressionを参照)。
【0276】
いくつかの精神医学的尺度および試験が、気分障害のうつ病の評価に役立てるために作り出されている。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)は、気分、罪悪感、自殺念慮、不眠症、激越または遅滞、不安症、体重損失、および身体症状を探ることによって、うつ病の重症度を評価するために使用される、多項目アンケートである。モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、以下の症状に関する質問を含む。このアンケートは、以下の症状:外見に表出される悲しみ、言葉で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、制止、感情をもてないこと、悲観的思考、自殺思考に関する質問を含む。他のうつ病尺度には、ベックうつ病質問票(BDI)、ツァン自己評価式抑うつ尺度、ウェクスラーうつ病評価尺度、ラスキンうつ病評価尺度、うつ病症候学評価尺度(IDS)、簡易抑うつ症状尺度(QIDS)が含まれる。
【0277】
「難治のOCD」または「治療抵抗性のOCD」とも呼ばれる「難治性のOCD」は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の2つの試験に応答しないことによって定義される。OCDに関する診断判定基準は、アメリカ精神医学会によって出版されている精神障害の診断と統計マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)に示されている。OCDの診断に必要とされる一般的判定基準には:強迫観念もしくは強迫行為、またはそれら両方;強迫観念および強迫行為が過剰または不合理であるという認識または認識の欠如;強迫観念および強迫行為が著しく時間の浪費になり、日課、および社会的機能または仕事の機能を妨害していることが含まれる。強迫観念は、以下の判定基準:反復性、持続性、かつ好ましくない思考、衝動、またはイメージが干渉的であり、苦悩を引き起こしていること;被験体が、別の思考または行為によって強迫観念を中和しようと試みていること;および、これらの行動または精神的な行為は、苦悩を防止または低減することを意図しているが、それらは過剰であったり、または修復することを意図している問題とは現実的に関連していなかったりすることを満たさなければならない。OCDはまた、一進一退(waxing and waning)を有し得る。
【0278】
10項目の臨床医版尺度であるエール・ブラウン強迫尺度(Y-BOCS)は、OCDに関して最も広く使用されている評価尺度である。Y-BOCSは、症状の重症度を評価するようにデザインされており、診断を下すためのものではない。Y-BOCSは、強迫観念および強迫行為に関する5つの評価次元:消費されているまたは占有されている時間;機能または関係性に対する妨害;苦悩の程度;抵抗;および制御(すなわち、抵抗の成功)を提供する。Y-BOCSの10項目は、各々について、0=「症状なし」から4=「最重度の症状」の4ポイントの尺度でスコア付けされる。最初の5項目の合計は、強迫観念に関する重症度の指標であり、後半の5項目の合計は、強迫行動に関する指標である。総スコアを全体的重症度の近似指標に解釈すると、以下の通りとなる。
【表A】
【0279】
概して、Y-BOCSスコアにおいて25%の減少を経験する被験体は、軽度から中度の改善とされ、スコアが35~50%減少すれば、中度から顕著な改善とされる。対照を置いた処置治験では、35%を上回るかまたはそれに等しい減少が、臨床的に意味のある応答を示すとして広く受け入れられ、大きく改善されたまたは非常に大きく改善されたという包括的な改善の評価へと解釈されるが、多くの研究は、25%を上回るかまたはそれに等しい減少という、より低い判定基準を受け入れている。Y-BOCS II、レイトン強迫性検査、クラーク・ベック強迫観念・強迫行為質問票(Clark-Beck Obsessive Compulsive Inventory)、ハンブルグ強迫観念・強迫行為質問票、および国立精神衛生研究所の全般的強迫観念・強迫行為尺度も利用可能である。
【0280】
強迫観念の一般的なテーマは、汚染、病的疑い、攻撃性、危害の回避、受け入れがたい衝動、極めて不快または過剰な性的アイデア、宗教的な懸念、他人を傷つけることへの恐れ、知る必要性、溜め込み、整頓、および完璧である。強迫行為は、未来の恐ろしい事象を防止するように設計されているが、過剰であったり、または修復することを意図している問題とは現実的に関連していなかったりする。強迫行為は、被験体に楽しみをもたらさない。一般的な強迫行為には、洗浄、掃除、チェック、尋ねるまたは告白する必要性、整理、反復、溜め込み、数唱、祈り、ラインクロス(crossing line)、反復、および精神的な儀式が含まれる。
【0281】
レッシュ・ナイハン症候群は、神経機能障害、認知障害および行動障害、ならびに尿酸の過剰産生によって特徴付けられる。診断へとつながる、提示される最も一般的な特色は、人生の最初の1年の間の発達遅延であり、通常、3~6月齢までに筋緊張低下および運動スキルの遅延が明白となる。レッシュ・ナイハン症候群は、尿の尿酸対クレアチニンの比が2.0を上回っており、したがって尿酸の過剰産生(高尿酸血症)を示している場合に診断され得る。これは、レッシュ・ナイハン症候群を有する10歳未満の子どもに特徴的である。しかしながら、高尿酸尿症および高尿酸血症(血清の尿酸濃度>8mg/dL)のどちらも、診断にとって十分に高感度でも特異的でもない。任意の組織(例えば、血液、培養した線維芽細胞、リンパ芽球)に由来する細胞における通常の1.5%未満のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)酵素の活性が、診断に役立つ。HPRT1は、レッシュ・ナイハン症候群に関連することが公知である唯一の遺伝子である。
【0282】
大部分のレッシュ・ナイハン症候群を有する個人は、認知機能障害を有する(例えば、Schretlenら、J Int Neuropsychol Soc. 2001年、7巻:805~12頁;Schretlenら、Dev Med Child Neurol. 2005年、47巻:673~7頁を参照)。ほぼすべての罹患個人は、最終的には、この疾患の特徴である、持続性の自傷行動(例えば、指、手、唇、および頬をかむこと)を発症する(例えば、Schretlenら、2005年、上記;Robeyら、Dev Med Child Neurol. 2003年、45巻:167~71頁を参照)。他の個人は、頭部または手足を硬い物体に対してバンギングする。一部の子どもは、人生の最初の1年の間に自傷行動を発症し、大部分の子どもは2~3歳の間にこの行動を発症するが、一部の子どもは遥かに遅くまで自傷を呈しない。他の強迫性行動には、攻撃性、嘔吐、喀出、および汚言が含まれ得る。
【0283】
レッシュ・ナイハン症候群における、ヘッドバンギング、自咬、自らを引っ掻くこと、自らを叩くこと、えぐり取り(gouging)、およびむしることなどの自傷行動は、自傷行動アンケート(SIB-Q)を使用することで評価することができる。SIB-Qは、自傷行動を含む問題行動に対する医薬品の効果を評価するために使用することができる、5ポイントの重症度評価尺度(0=問題なしから4=重度の問題までの範囲)を有する、25項目の評価手段である。SIB-Qの項目1~5は、自傷行動の重症度、頻度、拘束具が使用されていたか、自らの手で加えた(self-inflected)打撲傷が存在したか、傷または組織損傷が存在したかについて言及している。
【0284】
アルツハイマー病に関連する激越の行動症状および精神症状は、臨床分野の当業者によって診断され得る。激越を有する被験体における処置の有効性を診断およびモニタリングするために、臨床医によって日常的に使用されている診断ツールには、神経精神症状評価(NPI)(例えば、Cummingsら、Neurology 44巻:2308~14頁(1994年)を参照)およびコーエン・マンスフィールド激越評価表(CMAI)(例えば、Cohen-Mansfieldら、J. Gerontol. 44巻:M77~M84頁(1989年);Ballardら、BMJ 330巻:874~77頁(2005年)を参照)が含まれる。また、臨床医は、感染症、処方箋医薬品、または未補正の失明もしくは聴覚損失などの、激越の他の医学的理由について排除することもできる。
【0285】
FXSまたはFXTASの各々の診断は、遺伝子検査によって最終的に決定される。FXSを有する子どもは、発達遅延(同年齢の他の子どもと同じ時期に座ったり、歩いたり、または話したりしないことなど)、学習障害、および社会的または問題行動(例として、視線を合わせないこと、不安症、異常に短い注意持続時間、手の羽ばたき運動、思考を伴わずに行動することおよび話をすること、多動)の1つまたは複数を呈し得る。FXSを有する男児の大部分および罹患した女児のおよそ半分において観察される身体的属性には、長く細い顔、大きい耳、突出した顎および額、異常に柔軟な指、偏平足、および男性においては、思春期の後の拡大した睾丸(巨精巣症)が含まれる。
【0286】
FXTASの特徴的特色は、企図振戦、ならびに協調および平衡に関する問題(運動失調)である。FXTASを有するすべての被験体が、これらの特徴的特色を両方とも有するわけではないが、典型的には、企図振戦がまず発症した後、数年後に運動失調が発症する。多くの罹患個人は、常同症、パーキンソニズムなどの他の運動問題を発症する。これには、動いていないときの振戦(安静時振戦)、硬直、および異常に緩徐な運動(運動緩慢)が含まれる。加えて、FXTASを有する被験体は、下肢において感覚鈍麻、痺れもしくは刺痛、疼痛、または筋力低下を有する場合もある。一部のFXTASを有する被験体は、自律神経系に関する問題を経験して、膀胱または腸の制御不能がもたらされる。
【0287】
FXTASを有する患者は、一般に、認知障害を有する。患者は、短期記憶喪失および実行機能(すなわち、行為を計画して実行し、問題解決ストラテジーを展開する能力)の喪失を発症する場合がある。実行機能の喪失は、衝動の制御、自己モニタリング、注意を適切に集中させる能力、および認知の柔軟性などの行動スキルを損なわせる。多くのFXTASを有する人々が、不安症、うつ病、むら気、または被刺激性を経験する。女性は、FXTASの徴候および症状が現れる前に、甲状腺機能低下症または線維筋痛症などの免疫系障害を発症する場合がある。
【0288】
本明細書に記載の組成物および方法を必要とする被験体には、医学分野の当業者に診断された被験体が含まれる。自閉症スペクトラム障害(ASD)を有する子どもは、典型的には、子どもの学習スキルが子供の年齢と見合ったものであるかを決定する発達スクリーニングによってまず特定される。発達スクリーニング中にASDを有する可能性があると特定された子どもは、その後総合的評価を受ける。神経科医を含む医師、および発達専門家、心理学者、および精神科医が、子どもの行動および発達を評価し、両親と面接する。より広範な検査は、他の検査の中でもとりわけ、聴力および視力スクリーニング、遺伝子検査、神経学的検査も含み得る。医療介護者もまた、VMAT2阻害剤による処置中の経過、精神および身体の健康および状態について評価およびモニタリングすることができる。加えて、常同症および自傷行動の強度、頻度および振幅における低減は、様々な臨床的評価尺度で測定可能である。これらおよび他の臨床的方法のいずれか1つまたは複数を、処置に対する被験体の応答をモニタリングするために使用することができる。
【0289】
自閉症スペクトラム評価尺度(ASRS)は2~18歳の年齢範囲についての70項目の行動評価尺度であり、これが総スコア、2つ(2~5歳について、社会的/意思疎通および普通でない行動)または3つ(6~18歳について、社会的/意思疎通、普通でない行動、および自己調節)の下位尺度、DSM-IV-TR尺度、ならびに8つの処置下位尺度(ピア社会化、成人社会化、社会的/感情的相互性、常同症、行動の硬直性、感覚の感度、および2~5歳については注意/自己調節、または6~18歳については注意)を提供して、自閉症スペクトラム障害に関連する行動を測定する。自閉症診断面接改訂版(ADI-R)は、ASDの評価および診断に関するDSM-IV TR診断判定基準に基づく、93個の質問からなる半構造化面接である。スコアは3つの領域:言語/意思疎通、相互的な社会的相互作用、および反復行動/興味で提供される。
【0290】
症状の発症の年齢および重症度を含むレット症候群の経過は、子ども毎に異なる。しかしながら、症状が始まるまでは、子どもは概して通常通りに成長および発達しているように映る。しかし、多くの場合、乳児期でもわずかな異常性、例えば筋緊張の喪失(筋緊張低下)、摂食が困難であること、および手足の運動のけいれんが存在する。その後、徐々に、精神症状および身体症状が現れる。レット症候群を有する子どもは、多くの場合、早期段階において自閉症様行動を呈する。他の症状には、つま先で歩行すること、睡眠の問題、ワイドベース歩行、歯ぎしりおよびかむことが困難であること、不随意運動、常同症、成長が遅くなること、てんかん発作、認知障害、ならびに過換気、無呼吸(息こらえ)および空気嚥下などの起きている間の呼吸困難が含まれ得る。
【0291】
レット症候群には4つの段階が存在する。早期発症と呼ばれる段階Iは、典型的には6~18月齢で始まる。この段階は、障害の症状がいくぶん曖昧である場合があり、両親および医者も、わずかな発達が遅くなることに最初は気付かない場合があるため、見過ごされることが多い。幼児は、視線を合わすことが少なくなり始め、玩具に対する興味が低減し得る。お座りまたは、はいはいなどの総体的な運動能力における遅延が存在し得る。手絞りおよび手の成長の減少が起こる場合があるが、注意を引くには至らない。この段階は通常数ヶ月続くが、1年より長く継続する可能性もある。
【0292】
段階IIまたは急速破壊段階は、通常、1~4歳の間に始まり、数週間または数ヶ月続き得る。その発症は急速であったり、または段階的であったりする場合もあるが、子どもは意図的な手のスキルおよび話し言葉を失う。手絞り、手洗い、手をたたくこと、またはタップ、および繰り返し手を口に入れることなどの特徴的な手の運動は、多くの場合、この段階中に始まる。これらは顕性の常同症であり得る。子どもは、背中の後ろで手を握ったままにしたり、両手で手を握ったままにしたり、無秩序に触り、掴み、放したりする場合がある。これらの運動は、子どもが起きている間は継続するが、睡眠中は消失する。呼吸は通常、睡眠中は改善するものの、無呼吸および過換気のエピソードなどの呼吸の不規則性が起こる場合もある。また、一部の女児は、社会的相互作用および意思疎通の喪失など、自閉症様症状を示す。歩行は不安定な場合があり、運動を開始することは困難になり得る。頭部の成長が遅くなることは、通常この段階中に気付かれる。
【0293】
段階IIIまたはプラトーもしくは偽静止段階は、通常、2~10歳の間に始まり、数年間続き得る。失行症、運動の問題、およびてんかん発作が、この段階中に顕著である。しかしながら、行動においては改善が見られ、被刺激性、泣くこと、および自閉症様の特色は少なくなり得る。段階IIIの女児は、周囲に対してより興味を示す場合があり、注意力、注意持続時間、および意思疎通スキルは改善し得る。多くの女児は、一生の大部分でこの段階に留まる。
【0294】
段階IVまたは後期運動悪化段階は、数年間または数十年間続き得る。顕著な特色には、可動性の低減、脊椎の湾曲(脊柱側弯症)、および筋力低下、硬直、痙直、ならびに手、足、または身体の上半身の異常な姿勢を伴う筋緊張の増加が含まれる。以前は歩行できていた女児も、歩行を停止する場合がある。認知、意思疎通、または手のスキルは概して、段階IVでは低下しない。手の反復運動は減少する場合があり、視線は通常改善する。
【0295】
レット症候群は遺伝性障害であるものの、報告された症例の1パーセント未満しか、1つの世代から次の世代へと遺伝しないまたは受け継がれない。大部分の症例は自然発生的であり、これはこの変異がランダムに発生していることを意味する。MECP2変異が同定されている罹患した娘を有する家族では、出生前検査が利用可能である。しかしながら、大部分の罹患個人において、この障害は自然発生的に起こっていることから、2人目の障害を有する子どもを授かる家族のリスクは1パーセント未満である。
【0296】
レット症候群を有する人々では、ノルエピネフリンの脳レベルがより低い。MECP2の遺伝的喪失が、大脳皮質および海馬に対するノルアドレナリン作動性神経支配の排他的供給源である青斑核の細胞の特性を変更する。これらの変化には、興奮性亢進およびそのノルアドレナリン作動性神経支配の機能の低下が含まれる。
【0297】
レット症候群は、MECP2変異を同定するための単純な血液検査によって確認される。しかしながら、MECP2変異は他の障害においても見られることから、MECP2変異の存在自体は、レット症候群の診断にとって十分ではない。医師は、子どもの早期成長および発達の間の徴候および症状を観察し、子どもの身体状態および神経状態の継続評価を実施することによって、レット症候群を臨床的に診断する。
【0298】
小児神経科医、臨床遺伝学者、または発達小児科医が、通常、レット症候群の臨床診断を確認する。医師は、3種類の臨床判定基準:主要、支持、および除外に分けられた高度に特異的なガイドラインのセットを使用する。除外判定基準のいずれかの存在は、古典的レット症候群の診断を打ち消す。主要な診断判定基準または症状の例として、獲得した意図的な手のスキルの部分的または完全な喪失、獲得した話し言葉の部分的または完全な喪失、手の反復運動(手絞りもしくは捻り、手をたたくこと、または手擦りなど)、およびつま先歩行または不安定な、足が固まったワイドベース歩行を含む、歩行異常性が挙げられる。
【0299】
支持判定基準は、レット症候群の診断にとって必要ではないが、一部の個人においては行い得る。加えて、子ども毎に重症度が異なるこれらの症状は、非常に若い女児においては観察されない場合があるが、年齢とともに発症し得る。支持判定基準を有するが、必須判定基準はどれも有しない子どもは、レット症候群を有しない。支持判定基準には、脊柱側弯症、歯ぎしり、身長に関連して冷たい小さい手足、異常な睡眠パターン、異常な筋緊張、不適当な笑いまたは叫び、強い目による意思疎通、および疼痛に対する応答の減少が含まれる。
【0300】
主要な診断判定基準に加えて、いくつかの具体的な状態は、医師がレット症候群の診断を除外することを可能にする。これらは除外判定基準と呼ばれる。以下の判定基準:外傷続発性脳損傷、神経代謝性疾患、神経学的問題を引き起こす重度の感染症、および人生の最初の6ヶ月における総体的に異常な精神運動発達のうちのいずれか1つを有する子どもは、レット症候群を有しない。
【0301】
レット症候群重症度尺度(RSSS)は、レット症候群の7つのパラメーター(てんかん発作の頻度/管理性、呼吸器の不規則性、脊柱側弯症、歩行能力、手の使用、発話、および睡眠の問題)に対する臨床評価を含む。各パラメーターは、4ポイントのリッカート尺度で、0(非存在/通常)から3(重度)に評価される。
【0302】
有棘赤血球舞踏病に関連する症状には、手足、顔、口、舌、および咽喉の筋肉など、様々な筋肉の不随意緊張(ジストニア)、音声チック(喉音発生など)、不随意の曖気、手足のれん縮、常同症、食物をかむことおよび嚥下が困難になること、てんかん発作、情報の処理、学習、および想起が困難になること、手および足における感覚鈍麻および脱力、筋力低下、発話が困難になること、顕性の舌ジスキネジアが原因となって摂食および話すことが困難になること、性格の変化、強迫性障害(OCD)、自制の欠如、ならびに自身の面倒を見られなくなることが含まれるが、それらに限定されない。有棘赤血球舞踏病を有する人々はまた、情報の処理、学習、および想起が困難になること(認知機能障害)も経験する。彼らは、手および足における感覚鈍麻および脱力(末梢神経障害)、ならびに筋力低下(筋障害)を有し得る。この状態を有する個人では、損なわれた筋肉機能および神経機能は、一般に発話を困難にさせ、話すことができなくなる可能性がある。特に、有棘赤血球舞踏病患者は、顕性の舌ジスキネジアを有し、摂食および話すことが困難になる。
【0303】
行動変化は、有棘赤血球舞踏病の一般的特色であり、この状態の最初の徴候であり得る。これらの行動変化には、性格の変化、強迫性障害(OCD)、自制の欠如、および自身の面倒を見られなくなることが含まれ得る。
【0304】
有棘赤血球舞踏病の徴候および症状は、通常、成人早期から成人期半ばに始まる。この状態の運動問題は、年齢とともに悪化する。ある特定の脳の領域における細胞の喪失(萎縮)が、有棘赤血球舞踏病を有する人々に見られる神経学的問題の主原因である。
【0305】
診断は困難であり得る。唇の自傷行為および咬舌、または他の自傷行為の存在は、有棘赤血球舞踏病を強く示唆している。末梢血塗抹における有棘赤血球増加症の決定は陰性である場合もあるが、この障害が除外されるわけではない。VPS13A遺伝子の確証的なDNA分析は、そのサイズおよび変異部位が不均一であることに起因して困難である。神経電気記録法が、感覚運動性軸索ニューロパチーを実証できる一方で、筋電図検査は、神経原性の変化および筋障害性の変化を示す。脳波記録法の所見は特異的ではない。
【0306】
鑑別診断は、提示する症状に依存し、マクラウド神経有棘赤血球症候群、ハンチントン病、ハンチントン様障害、若年性パーキンソン病、およびトゥーレット症候群を含む。出生前検査のための通例の方法を適用することができる。
【0307】
統一ハンチントン病評価尺度(UHDRS)は、有棘赤血球舞踏病の重症度を測定するために使用することができる評価システムである。UHDRSは、複数の下部セクション:運動、認知、行動、機能に分けられる。舞踏病およびジストニアのセクションでは、各四肢、顔、頬-口-舌、および体幹を別個に等級付けすることが必要とされる。
【0308】
処置を受ける被験体(または患者)は、ヒトまたは非ヒト霊長類を含む哺乳動物であり得る。哺乳動物は、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ、ラット、マウス、ネコ、またはイヌなどの飼育動物であり得る。「被験体」および「患者」という用語は、例えば、ヒト被験体などの哺乳類被験体に関して、一実施形態ではヒトに関して、本明細書中において交換可能に使用される。
【0309】
治療上および/または予防上の利益には、例えば、臨床転帰、治療的処置および予防的または防止的手段の両方の改善が含まれ、その目的は、望ましくない生理的変化もしくは障害を、防止するもしくは遅くするもしくは遅らせる(和らげる)こと、またはこのような障害の拡大もしくは重症度を防止するもしくは遅くするもしくは遅らせる(和らげる)ことである。本明細書において考察される通り、被験体を処置することで得られる有益なまたは所望される臨床結果には、処置を受ける疾患、状態もしくは障害から生じるもしくはそれに関連する症状の寛解、緩和もしくは軽減;症状の発生の減少;生活の質の改善;疾患がない状態をより長くすること(すなわち、疾患の診断が下される症状に基づいて、被験体が症状を呈する可能性または傾向を減少させること);疾患の程度の縮減;疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させないこと);疾患の進行の遅延もしくは遅くすること;病態の回復もしくは緩和;ならびに検出可能であろうとなかろうと、(部分的なまたは完全な)寛解、ならびに/または全生存が含まれるが、それらに限定されない。また「処置」は、被験体が処置を受けていない場合に期待される生存期間と比較して、生存期間を延長することを意味し得る。処置を必要とする被験体には、その状態または障害を既に有する被験体、ならびに疾患、状態または障害(例えば、うつ病、躁病、強迫性障害、レッシュ・ナイハン症候群、アルツハイマー病に関連する激越、FXSまたはFXTAS、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、有棘赤血球舞踏病)を有する傾向がある、または発症する危険性がある被験体、およびその被験体の疾患、状態または障害が防止されるべき(すなわち、疾患、障害または状態の発生の可能性を低減する)被験体が含まれる。
【0310】
「治療有効量」は、一般に、本明細書に記載の(i)特定の疾患もしくは状態を処置もしくは防止し、(ii)特定の疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状を減弱、回復、もしくは排除し、または(iii)特定の疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症を防止もしくは遅延する、VMAT2阻害剤などの処置剤の量を指す。最適な用量は、一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定することができる。最適な用量は、被験体のボディマス、体重、血液量、または年齢に依存し得る。一般に、1日に適用できるVMAT2阻害剤である化合物の用量範囲は、通常、1日当たり5.0~150mgであり、ある特定の実施形態では、1日当たり5~100mgである。ある特定の実施形態では、用量は、1日当たり約40mg~約80mgである。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、または約80mgの1日投薬量で投与される。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤の小児患者用の用量範囲は、成人の用量範囲と比較してより少ない範囲であり、当業者によって決定され得る(例えば、小児臨床試験)。組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、気分障害の躁病を処置するのに十分である。
【0311】
例えば、組成物中のVMAT2阻害剤の用量は、双極性障害の躁病、例えば、「ハイ」または過度な幸福感または外向的な気分を長期間感じること、極度の被刺激性、非常に速く話すこと、めまぐるしく変わる思考、あるアイデアから別のアイデアに飛びつくこと、容易に気をそらされること、活動の増加、過度な落ち着きの無さ、ほとんど眠らないこと、自身の能力に非現実的な信念をもっていること、衝動的行動、および快楽的で高リスクの行動に熱中することを含む、双極性障害の躁病に関連する症状を処置するのに十分である(すなわち、この用量は、双極性障害の躁病を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0312】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、難治性のOCDを処置するのに十分である(すなわち、この用量は、OCDに関連する1つまたは複数の症状または状態を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0313】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害(例えば、自傷、ジストニア、痙直、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、反弓緊張、バリズム、反射亢進、および伸展性足底反射)を処置するのに十分である(すなわち、この用量は、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0314】
さらに別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、アルツハイマー病に関連する激越を処置するのに十分である(すなわち、この用量は、アルツハイマー病に関連する激越、または激越の1つもしくは複数の症状を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0315】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、FXSまたはFXTASを処置するのに十分である(すなわち、この用量は、FXSまたはFXTASを処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0316】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、ASDを処置するのに十分である(すなわち、この用量は、ASDに関連する1つまたは複数の症状または状態を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0317】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、気分障害患者のうつ病を処置するのに十分である(すなわち、この用量は、うつ病に関連する1つまたは複数の症状または状態を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0318】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、レット症候群を処置するのに十分である(すなわち、この用量は、レット症候群に関連する1つまたは複数の症状または状態を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0319】
別の例では、組成物中に含まれるVMAT2阻害剤の用量は、有棘赤血球舞踏病を処置するのに十分である(すなわち、この用量は、有棘赤血球舞踏病に関連する1つまたは複数の症状または状態を処置し、防止し(すなわち、その発生の可能性を低減し)、その進行を遅くし、その発症を遅延させるための治療上有効な用量である)。
【0320】
本明細書で使用される場合、特定の障害の症状を特定の医薬組成物の投与によって回復させることとは、組成物の投与に起因し得るかまたはそれと関連し得る、永続的であろうと一時的であろうと、持続的であろうと一過性であろうと、あらゆる緩和を指す。
【0321】
気分障害の躁病、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群、FXSもしくはFXSTS、ASD、アルツハイマー病の激越、気分障害のうつ病、レット症候群、有棘赤血球舞踏病、またはVMAT2阻害に関連する他の状態、障害もしくは疾患の1つまたは複数の症状の処置、防止、または回復においては、適当な投薬量レベルは、概して、1日当たり患者の体重1kg当たり約0.001~100mg(1日当たりのmg/kg)、1日当たり約0.01~約80mg/kg、1日当たり約0.1~約50mg/kg、1日当たり約0.5~約25mg/kg、または1日当たり約1~約20mg/kgであり、これは、単回投与または複数回投与で投与され得る。この範囲内において、投薬量は、1日当たり0.005~0.05、0.05~0.5、または0.5~5.0、1~15、1~20、または1~50mg/kgであり得る。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.001~100mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは1日当たり約5.0~150mgであり、ある特定の実施形態では、1日当たり5~100mgである。他の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約25~100mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.01~約40mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.1~約80mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.1~約50mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.1~約40mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.5~約80mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.5~約40mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約0.5~約25mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約1~約80mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約1~約75mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約1~約50mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約1~約40mg/kgである。ある特定の実施形態では、投薬量レベルは、1日当たり約1~約25mg/kgである。
【0322】
経口投与の場合、医薬組成物は、処置を受ける患者に対する投薬量の対症調整(symptomatic adjustment)のために、1.0~1,000mgの活性成分、特に約1、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約75、約80、約100、約150、約200、約250、約300、約400、約500、約600、約750、約800、約900、および約1,000mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約100mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約80mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約75mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約50mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約40mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約25mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約5mg~約150mg、約5mg~約100mg、または約40mg~約80mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。組成物は、1日当たり1回、2回、3回、および4回を含む、1日当たり1~4回のレジメンで投与することができる。
【0323】
しかしながら、任意の特定の患者のための具体的な用量レベルおよび投与量の頻度は様々であり得、用いられる具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の様式および時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、およびホストが受けている療法を含む、様々な因子に依存することが理解されよう。
【0324】
VMAT2阻害剤は、気分障害の躁病、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害、アルツハイマー病に関連する激越、FXSもしくはFXTAS、自閉症スペクトラム障害、気分障害のうつ病、レット症候群、または有棘赤血球舞踏病の処置にとって適当な時間および頻度で投与される。VMAT2阻害剤は、1日1回、2回、または3回投与することができる。VMAT2阻害剤の用量は、被験体において用量設定され得る。VMAT2阻害剤は、単位剤形または複数剤形で提供することができる。本明細書で使用される場合、単位剤形とは、当技術分野において公知のとおり、ヒトおよび動物被験体への投与にとって適切であり、かつ個々に包装された、物理的に分離した単位を指す。各単位用量は、所望される治療効果を生じるのに十分な所定の量の活性成分(複数可)を、必要とされる医薬キャリアまたは添加剤とともに含有する。単位剤形の例として、アンプル、シリンジ、ならびに個々に包装された錠剤およびカプセルが挙げられる。単位剤形は、その分数または倍数で投与されてもよい。複数剤形とは、分離された単位剤形として投与される単一の容器内に入れた、複数の同一の単位剤形のことである。複数剤形の例として、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶、またはパイントもしくはガロンの瓶が挙げられる。
【0325】
有効な療法を提供し、かつ毒性を最小限に抑えるのに十分な最小用量が、通常好ましい。被験体は、一般に、臨床的評価によって、ならびに処置または防止される状態に適したアッセイを使用することによって、治療有効性についてモニタリングされ得る。このアッセイは、当業者によく知られており、本明細書に記載されている。被験体に投与される化合物のレベルは、生物学的流体、例えば血液、血液画分(例えば、血清)、および/または尿、および/または被験体から得られる他の生物学的試料における当該化合物のレベルを決定することによってモニタリングされ得る。化合物を検出するために当技術分野で実践されている任意の方法を使用して、治療レジメンの過程における化合物のレベルを測定することができる。気分障害の躁病期またはうつ病は、当業者によく知られている、気分障害にとって適当な、行動上のおよび物理的な、評価および分析によってモニタリングおよび評価され得る。OCD症状は、当業者によく知られている、OCDにとって適当な、行動上のおよび物理的な、評価および分析によってモニタリングおよび評価され得る。レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害は、当業者によく知られている、特定の神経機能障害にとって適当な、行動上のおよび物理的な、評価および分析によってモニタリングおよび評価され得る。脆弱X症候群、アルツハイマー病の激越、ASD、レット症候群、および有棘赤血球舞踏病は、当業者によく知られている、障害にとって適当な、行動上のおよび物理的な、評価および分析によってモニタリングおよび評価され得る。
【0326】
気分障害の躁病、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害、アルツハイマー病に関連する激越、脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、気分障害のうつ病、レット症候群、および有棘赤血球舞踏病を処置するための、本明細書に記載のVMAT2阻害剤を含む組成物の用量は、被験体の状態、すなわち疾患の段階、疾患によって引き起こされている症状の重症度、一般的な健康状態、ならびに年齢、性別および体重、ならびに医学分野の当業者には明らかである他の因子に依存し得る。同様に、VMAT2阻害剤化合物の用量は、当業者に理解され、本明細書に記載のパラメーターに従って決定され得る。
【0327】
本明細書において提供されるVMAT2阻害剤は、単独で投与されてもよく、あるいは1種または複数種の本明細書において提供される他の化合物、1種または複数種の他の活性成分と組み合わせて投与されてもよい。また、ある特定の実施形態では、本明細書において提供されるVMAT2阻害剤は、気分障害の躁病、ASD、FXSまたはFXTAS、難治性のOCD、アルツハイマー病の激越、レッシュ・ナイハン症候群、気分障害のうつ病、レット症候群、有棘赤血球舞踏病、および抗精神病薬で一般に処置される他の状態を含む、本明細書において提供されるVMAT2阻害剤が有用である疾患または状態の1つまたは複数の症状の処置、防止、または回復において有用である他の薬剤と組み合わせてもよく、あるいはそれと組み合わせて使用されてもよい。
【0328】
VMAT2阻害剤と、1つまたは複数のさらなる薬物とを伴う併用療法の場合、VMAT2阻害剤は、1つまたは複数のさらなる薬物と同時に、それとは別個に、またはそれと同じ製剤として、あるいは逐次的に投与することができる。
【0329】
本明細書に記載の、レッシュ・ナイハン症候群を処置するためのVMAT2阻害剤は、レッシュ・ナイハン症候群を処置するための他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。例として、VMAT2阻害剤は、アロプリノール、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパムもしくはアルプラゾラム)、バクロフェン、ガバペンチン、神経弛緩薬、またはそれらの組合せとともに投与されてもよい。
【0330】
また、本明細書では、現在抗精神病薬で処置されている、アルツハイマー病の激越または激越の神経精神症状を処置するための方法も提供される。本明細書では、第1世代(すなわち、定型)または第2世代(すなわち、非定型)の抗精神病薬物(例えば、化合物)をVMAT2阻害剤と組み合わせて、激越を処置することを必要とする被験体に投与することによって、激越を処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、被験体が、激越クラスターを形成する運動障害を発症しているか、または運動障害の少なくとも1つの症状を有している場合、VMAT2阻害剤を抗精神病薬と組み合わせて投与するステップを含む方法は、運動障害を処置するのに有用である。
【0331】
また、本明細書では、抗精神病薬または他の抗うつ剤(例えば、SSRI)と組み合わせて、気分障害の被験体のうつ病または躁病を処置するための方法も提供される。本明細書では、第1世代(すなわち、定型)または第2世代(すなわち、非定型)の抗精神病薬物(例えば、化合物)をVMAT2阻害剤と組み合わせて、気分障害のうつ病または躁病を処置することを必要とする被験体に投与することによって、気分障害のうつ病または躁病を処置するための方法が提供される。本明細書では、三環系抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、非定型抗うつ剤、認知行動療法、経頭蓋磁気刺激、またはそれらの組合せをVMAT2阻害剤と組み合わせて、気分障害のうつ病を処置することを必要とする被験体に投与することによって、気分障害のうつ病を処置するための方法が提供される。
【0332】
アルツハイマー病の激越または双極性障害の躁病を処置するのに典型的に使用される抗精神病薬の用量は、これまでに記載されている、激越を有効に処置するための薬物単独の投与量範囲よりも少なくてもよい(すなわち、低減され、減らされ、それ未満になってもよい)。ある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤と組み合わされる場合の投与される抗精神病薬物の用量は、単独で投与される場合(すなわち、VMAT2阻害剤の非存在下で投与される場合)には、神経精神障害を有効に処置できない。換言すれば、VMAT2阻害剤および抗精神病薬物の組合せは、激越の処置において相乗的に作用する。抗精神病薬物は、VMAT2阻害剤と組み合わせて使用される場合、単独で投与されると神経精神障害の処置にほとんどまたはまったく有効性がない用量で使用することができ、すなわち抗精神病薬物の用量は、治療量未満である。すなわち、VMAT2阻害剤を、治療量未満の用量の抗精神病薬物と組み合わせることによって、抗精神病薬物の有効性は増強される。例として、神経精神障害またはその症状の処置は、激越および関連する不安をより大きく緩解することができる。
【0333】
抗精神病薬物の用量の低減は、抗精神病薬物の1つまたは複数の副作用の強度を低減し、または副作用を防止する(すなわち、発生の可能性または危険性を低減する)有益な効果を有する。一実施形態では、例えば、定型抗精神病薬物が激越を処置するために使用される場合、運動障害の発生の可能性を低減することができ、運動障害の重症度もしくは強度を低減もしくは低下することができ、または運動障害(またはその症状)の発生頻度を低減することができる(すなわち、低減し、低下する)。別の実施形態では、例えば、非定型薬物が神経精神障害またはその症状を処置するためにVMAT2阻害剤と組み合わせて使用される場合、代謝障害、例えば体重増加、耐糖能障害の発生可能性または重症度、およびアテローム硬化性心血管疾患の危険性を低減することができる。他の実施形態では、抗精神病薬(非定型または定型抗精神病薬のいずれか)を、VMAT阻害剤と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与することによって低減され得る副作用には、鎮静、口内乾燥、性機能障害、および心不整脈の1つまたは複数が含まれる。
【0334】
定型抗精神病薬物(すなわち、第1世代抗精神病薬物)には、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、スルピリド、チオリダジン、またはトリフロペラジンのいずれか1つが含まれる。非定型抗精神病薬物(すなわち、第2世代抗精神病薬物)は、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、イロペリドン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、またはジプラシドンのいずれか1つであり得る。定型抗精神病薬ハロペリドール、ならびに非定型抗精神病薬オランザピンおよびリスペリドンは、アルツハイマー病を有する患者を処置するために使用されており、中程度の利益が観察されているが、認知低下、脳血管イベント、パーキンソニズム、および死亡が増加する(例えば、Ballardら、Nat. Rev. Neurosci. 7巻:492~500頁(2006年);Schneiderら、Am. J. Geriatr. Psychiatry 14巻:191~210頁(2006年)参照)。したがって、VMAT2阻害剤を同時に投与することによって抗精神病薬の用量を低減することは、抗精神病薬の潜在的副作用を低減し、かつ激越を処置することができる。
【0335】
VMAT2阻害剤が、アルツハイマー病に関連する激越または双極性障害の躁病を処置するために、抗精神病薬と組み合わせて投与される場合、抗精神病薬およびVMAT2阻害剤の各々は、激越の処置にとって適当な時間および頻度で投与される。VMAT2阻害剤は、1日1回、2回、または3回投与することができる。抗精神病薬物は、VMAT2阻害剤と独立に、または一緒に、1日1回、2回または3回投与することができる。他の実施形態では、抗精神病薬は、毎週、2週間毎(1カ月当たりおよそ2回)、3週間毎、4週間毎(1カ月当たりおよそ1回)、6週間毎、または8週間毎に投与される。特定の実施形態では、VMAT2阻害剤と組み合わせて使用される抗精神病薬物の用量は、単独で使用される場合よりも、少なくとも約10%少なく、少なくとも約20%少なく、少なくとも約25%少なく、少なくとも約30%少なく、少なくとも約35%少なく、少なくとも約40%少なく、少なくとも約45%少なく、少なくとも約50%少なく、少なくとも約55%少なく、少なくとも約60%少なく、少なくとも約65%少なく、少なくとも約70%少なく、少なくとも約75%少なく、少なくとも約80%少なく、少なくとも約85%少なく、または少なくとも約90%少なくてもよい。他のある特定の実施形態では、VMAT2阻害剤と組み合わせて使用される場合の抗精神病薬物の用量は、抗精神病薬物が単独で使用される場合よりも10~90%少なく、10~20%少なく、10~25%少なく、20~30%少なく、25%~30%少なく、25%~40%少なく、25%~50%少なく、25%~60%少なく、25%~75%少なく、25%~80%少なく、30~40%少なく、30~60%少なく、40~50%少なく、40~60%少なく、50~60%少なく、50~75%少なく、60~70%少なく、60~75%少なく、70%~80%少なく、または80~90%少なくてもよい。
【0336】
本明細書に記載の、アルツハイマー病に関連する激越を処置するためのVMAT2阻害剤は、アルツハイマー病を処置するための他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。例として、VMAT2阻害剤は、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、RAZADYNE(登録商標)(ガランタミン)、EXELON(登録商標)(リバスチグミン)、およびARICEPT(登録商標)(ドネペジル))、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト(例えば、NAMENDA(登録商標)(メマンチン))、ビタミンE、またはそれらの組合せと組み合わせて投与されてもよい。
薬物動態特性
【0337】
2つのキラル中心を含有し、2つの立体異性体のラセミ混合物であるVMAT2阻害剤テトラベナジンは、in vivoで迅速かつ広範に代謝されて、その還元型であるジヒドロテトラベナジン(DHTBZ)としても公知の3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールとなる。DHTBZは、4種の個々の異性体:(±)α-DHTBZおよび(±)ベータ-DHTBZとして存在すると考えられている。(+)α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールとしても公知である、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)異性体は、最も活性な代謝産物の絶対配置であると考えられている(例えば、Kilbourn Chirality 1997年、9巻:59~62頁参照)。
【0338】
一態様では、本明細書において、被験体における気分障害の躁病(例えば、双極性障害の躁病)、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群、アルツハイマー病に関連する激越、FXSもしくはFXTAS、ASD、レット症候群、有棘赤血球舞踏病、または気分障害のうつ病を処置するための方法が提供され、この方法は、それを必要とする被験体に、本明細書に記載のVMAT2阻害剤を含む医薬組成物を、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の最大血漿濃度(Cmax)、および血漿1mL当たり少なくとも15ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の最小血漿濃度(Cmin)を8時間の期間にわたって達成するのに十分な量で投与することを含む。
【0339】
本明細書に記載の方法における(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の血漿濃度に対する言及は、重水素化(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)および非重水素化(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の両方を含む。本明細書に記載の重水素化VMAT2阻害剤が被験体に投与された場合(例えば、重水素化テトラベナジン(tetrabenzine)、重水素化(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、または重水素化(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール)、次に、重水素化(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールが被験体の血漿中に現れ、測定されることは、当業者には明らかである。本明細書に記載の非重水素化VMAT2阻害剤が被験体に投与された場合(例えば、テトラベナジン、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、または(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール)、次に、非重水素化(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールが被験体の血漿中に現れ、測定される。本明細書に記載の重水素化VMAT2阻害剤および非重水素化VMAT2阻害剤の組合せが被験体に投与される場合、重水素化および非重水素化(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールの両方が被験体の血漿中に現れ、両方が測定される。
【0340】
ある特定の実施形態では、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmaxは、血漿1mL当たり約15ng、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、または約60ng/mLである。ある特定の実施形態では、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCminは、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、または32時間の期間にわたって、血漿1mL当たり少なくとも15ng、少なくとも20ng/mL、少なくとも25ng/mL、少なくとも30ng/mL、または少なくとも35ng/mLである。ある特定の実施形態では、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCminは、約15ng/mL~約35ng/mLの間である。
【0341】
一実施形態では、医薬組成物は、24時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmax、およびこのCmaxのおよそ少なくとも33%のCminを提供するのに十分な量で投与される。別の実施形態では、医薬組成物は、24時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmax、およびこのCmaxのおよそ少なくとも50%のCminを提供するのに十分な量で投与される。ある種の特定の実施形態では、医薬組成物は、24時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmax、およびこのCmaxのおよそ少なくとも約33%~50%の間のCminを提供するのに十分な量で投与される。
【0342】
他のある特定の実施形態では、医薬組成物は、12時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmax、およびこのCmaxのおよそ少なくとも33%のCminを提供するのに十分な量で投与される。さらに別のある特定の実施形態では、医薬組成物は、12時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmax、およびこのCmaxのおよそ少なくとも50%のCminを提供するのに十分な量で投与される。ある種の特定の実施形態では、医薬組成物は、12時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmax、およびこのCmaxのおよそ少なくとも約33%~50%の間のCminを提供するのに十分な量で投与される。
【0343】
別の実施形態では、医薬組成物は、24時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmaxおよび血漿1mL当たり約5ng~約30ngの間のCminを提供する量で、それを必要とする被験体に投与される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、24時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)のCmaxおよび血漿1mL当たり約7.5ng~約30ngの間のCminを提供する量で、それを必要とする被験体に投与される。
【0344】
別の態様では、本明細書において、被験体における気分障害の躁病(例えば、双極性障害の躁病)、難治性のOCD、レッシュ・ナイハン症候群、アルツハイマー病に関連する激越、自閉症スペクトラム障害、FXSもしくはFXTAS、気分障害のうつ病、レット症候群、または有棘赤血球舞踏病を処置するための方法が提供され、この方法は、それを必要とする被験体に、本明細書に記載のVMAT2阻害剤を含む医薬組成物を、(i)血漿1mL当たり約15ng~約60ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の治療濃度範囲と、(ii)血漿1mL当たり少なくとも15ngの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の閾値濃度とを約8時間~約24時間の期間にわたって提供するのに十分な量で投与することを含む。
【0345】
ある特定の実施形態では、治療濃度範囲は、血漿1mL当たり約15ngから約35ngまで、約40ngまで、約45ngまで、約50ngまで、または約55ngまでの(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)である。
【0346】
ある特定の実施形態では、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の閾値濃度は、約8時間、約12時間、約16時間、約20時間、約24時間、約28時間、または約32時間の期間にわたって、血漿1mL当たり約15ng、約20ng、約25ng、約30ng、約35ng、約40ng、約45ng、約50ng、約55ng、または約60ngである。特定の実施形態では、(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)の閾値濃度は、約8時間~約24時間の期間にわたって、約15ng/mL~約35ng/mLである。
【0347】
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)および本明細書に開示の化合物の血漿濃度は、Derangulaら、Biomedical Chromatography 2013年、27巻(6号):792~801頁、Mehvarら、Drug Metabolism and
Distribution 1987年、15巻(2号):250~55頁に記載の方法によって、概してタンデム質量分析法によって測定することができる。
医薬組成物
【0348】
本明細書に記載のVMAT2阻害剤化合物の少なくとも1つを含む、本明細書に記載の医薬組成物は、有効量の化合物を有効に送達するいくつかの経路のいずれか1つによって、必要とする被験体に投与することができる。医薬組成物は、単独で投与されてもよく、あるいは1種または複数種の本明細書において提供される他の化合物、1種または複数種の他の活性成分と組み合わせて投与されてもよい。このような投与経路には、例えば、経口、非経口、経腸、直腸、鼻腔内、頬側、舌下、筋肉内、および経皮が含まれる。これらの投与経路などによって投与される組成物は、本明細書により詳細に記載されている。
【0349】
医薬組成物はまた、遅延放出剤形、延長放出剤形、長期放出剤形、持続放出剤形、拍動放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラム放出剤形、ならびに胃内貯留剤形を含む、放出調節剤形として製剤化してもよい。これらの剤形は、当業者に公知の従来の方法および技法に従って調製することができる(Remington: The Science and Practice of Pharmacy、上記;Modified-Release Drug Delivery Technology、Rathboneら編、Drugs and the Pharmaceutical Science、Marcel Dekker, Inc.: New York、NY、2002年、126巻を参照)。
【0350】
各医薬調製物および医薬組成物は、少なくとも1つの生理的に(または薬学的に)許容される、または適切な添加剤をさらに含むことができる。医薬組成物において使用するための、当業者に公知の任意の生理的にまたは薬学的に適切な添加剤またはキャリア(すなわち、活性成分(複数可)の活性を妨害しない、非毒性の材料))は、本明細書に記載の組成物において用いることができる。例示的な添加剤には、化合物の安定性および完全性を維持する賦形剤およびキャリアが含まれる。
【0351】
薬学的に許容される添加剤は、医薬分野で周知であり、例えば、Roweら、Handbook of Pharmaceutical Excipients: A Comprehensive Guide to Uses, Properties, and Safety、第5版、2006年、およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro、第21版、Mack Pub. Co.、Easton、PA(2005年))に記載されている。薬学的に許容される例示的な添加剤として、生理的pHの滅菌食塩水およびリン酸緩衝食塩水が挙げられる。保存剤、安定剤、染料、緩衝剤等を、医薬組成物中に提供することができる。さらに、抗酸化剤および懸濁化剤を使用することもできる。
【0352】
医薬組成物は、溶液の形態であってもよい。溶液は、食塩水または滅菌水を含むことができ、任意選択で、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および他の一般的な添加物を含むことができる。あるいは、医薬組成物は、例えば、散剤・粉剤(powder)、錠剤、丸剤などの固体の形態であってもよい。本明細書に記載の化合物のいずれか1つを含む組成物は、デポ注射、持続放出または緩慢放出(時限放出とも呼ばれる)のために製剤化することができる。このような組成物は、一般に、周知の技術を使用して調製することができ、例えば、経口、直腸もしくは皮下移植によって、筋肉内によって、または所望の標的部位への移植によって投与することができる。持続放出製剤は、キャリアマトリックス中に分散した、および/または速度制御膜に取り囲まれたリザーバー内に含有された化合物を含有することができる。このような製剤中で使用するための添加剤は、生体適合性があり、生分解性であってもよく、好ましくは、製剤は、相対的に一定のレベルでVMAT2阻害剤化合物を放出する。持続放出製剤に含有されている化合物の量は、移植部位、放出速度および期待される放出期間、ならびに処置または防止する状態の性質に依存する。
【0353】
本明細書において提供される医薬組成物は、経口投与のための固体、半固体、または液体剤形で提供することができる。本明細書で使用される場合、経口投与は、また、頬側投与、舌投与、および舌下投与を含む。適切な経口剤形には、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、パステル剤、カシェ剤、ペレット剤、医薬用チューインガム、顆粒剤、混合散剤、発泡または非発泡散剤または顆粒剤、液剤、乳剤、懸濁剤、液剤、ウェーハ剤、スプリンクル剤、エリキシル剤、およびシロップ剤が含まれるが、それらに限定されない。活性成分(複数可)に加えて、医薬組成物は、結合剤、充填剤、賦形剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素移動阻害剤(dye-migration inhibitor)、甘味剤、および香味剤を含むがそれらに限定されない、1つまたは複数の薬学的に許容されるキャリアまたは添加剤を含有してもよい。
【0354】
結合剤または造粒剤は、錠剤が圧縮後に無傷のままであることを確保するために、粘着性を錠剤に付与する。適切な結合剤または造粒剤には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン(例えば、STARCH 1500)などのデンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、デキストロース、モラセス、およびラクトースなどの糖;アカシア、アルギン酸、アルギネート、アイリッシュモスの抽出物、パンワールガム(Panwar gum)、ガティガム、イサブゴールハスク(isabgol
husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、トラガント末、およびグアーガムなどの天然および合成ゴム;エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース;AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.、Marcus Hook、PA)などの微結晶性セルロース;ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。適切な充填剤には、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。結合剤または充填剤は、本明細書において提供される医薬組成物中に、約50~約99重量%で存在してもよい。
【0355】
適切な賦形剤には、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が含まれるが、それらに限定されない。マンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース、およびイノシトールなどのある特定の添加剤は、充分な量で存在する場合、一部の圧縮錠剤に、かむことによる口の中での崩壊を可能にする特性を付与し得る。このような圧縮錠剤は、咀嚼錠として使用することができる。
【0356】
適切な崩壊剤には、寒天;ベントナイト;メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;木産物;天然スポンジ;カチオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガムおよびVeegum HVなどのガム;柑橘類のパルプ;クロスカルメロースなどの架橋セルロース;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋デンプン;炭酸カルシウム;デンプングリコール酸ナトリウムなどの微結晶性セルロース;ポラクリリンカリウム;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびアルファ化デンプンなどのデンプン;クレー;アライン(align);ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。本明細書において提供される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて様々であり、当業者であれば容易に認識できる。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.5~約15重量%または約1~約5重量%の崩壊剤を含有することができる。
【0357】
適切な滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽鉱油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのグリコール;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コムオイル(com oil)、およびダイズ油などの水添植物油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル(ethyl laureate);寒天;デンプン;セキショウシ;AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.、Baltimore、MD)およびCAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co.、Boston、MA)などのシリカまたはシリカゲル;ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.1~約5重量%の滑沢剤を含有することができる。
【0358】
適切な流動促進剤には、コロイド状二酸化ケイ素、CAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co.、Boston、MA)、およびアスベストフリータルクが含まれる。着色剤には、承認され、公認された水溶性FD&C色素、およびアルミナ水和物に懸濁させた水不溶性FD&C色素、およびレーキ顔料、ならびにそれらの混合物のいずれかが含まれる。レーキ顔料は、重金属の含水酸化物に対して水溶性色素を吸着させることによって組み合わせた結果として生じた、不溶性形態の色素である。香味剤には、果実などの植物から抽出された天然香味料、およびペパーミントおよびサリチル酸メチルなどの好ましい味覚をもたらす化合物の合成配合物が含まれる。甘味剤には、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルテームなどの人工甘味料が含まれる。適切な乳化剤には、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)およびトリエタノールアミンオレエートなどの界面活性剤が含まれる。懸濁化剤および分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカンタ、Veegum、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが含まれる。保存剤には、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸(benzoic add)、安息香酸ナトリウム、およびアルコールが含まれる。湿潤剤には、プロピレングリコールモノモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが含まれる。溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが含まれる。乳剤に利用される非水性液体の例として、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸には、クエン酸および酒石酸が含まれる。二酸化炭素源には、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。
【0359】
多くのキャリアおよび添加剤が、同じ製剤内でも、いくつかの機能を果たし得ることを理解すべきである。本明細書において提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、錠剤粉砕物(tablet triturate)、咀嚼ロゼンジ、急速溶解性錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶コーティング錠剤、糖衣もしくはフィルムコーティング錠剤として提供することができる。腸溶コーティング錠剤は、胃酸の作用には耐性があるが腸で溶解または崩壊する物質でコーティングされているため、胃の酸性の環境から活性成分を保護する、圧縮錠剤である。腸溶コーティングには、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラック、および酢酸フタル酸セルロースが含まれるが、それらに限定されない。糖衣錠は、糖衣によって取り囲まれた圧縮錠剤であり、好ましくない味または匂いを覆い隠すこと、および錠剤を酸化から保護することにおいて有益であり得る。フィルムコーティング錠剤は、水溶性材料の薄層またはフィルムで覆われた圧縮錠剤である。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが含まれるが、それらに限定されない。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般的特徴を付与する。多重圧縮錠剤は、2回以上の圧縮サイクルによって作製される圧縮錠剤であり、層化錠剤、およびプレスコーティング錠剤または乾燥コーティング錠剤が含まれる。
【0360】
錠剤剤形は、単独で、あるいは結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、滑沢剤、賦形剤、および/または着色剤を含む、本明細書に記載の1つまたは複数のキャリアまたは添加剤と組み合わせて、粉末形態、結晶形態、または顆粒形態の活性成分から調製することができる。香味剤および甘味剤は、咀嚼錠およびロゼンジの形成において特に有用である。
【0361】
本明細書において提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプンまたはアルギン酸カルシウムから作製することができる、軟質カプセルまたは硬質カプセルとして提供することができる。乾燥充填カプセル(DFC)としても公知である硬質ゼラチンカプセルは、2つの部分からなり、一方が他方に被さるため、活性成分を完全に封じ込める。軟質弾性カプセル(SEC)は、ゼラチンシェルなどの柔らかい球状のシェルであり、グリセリン、ソルビトールまたは類似のポリオールの添加によって可塑化される。軟質ゼラチンシェルは、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有してもよい。適切な保存剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸を含む、本明細書に記載のものである。本明細書において提供される液体、半固体、および固体剤形は、カプセルに封入することができる。適切な液体剤形および半固体剤形には、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリドの溶液および懸濁液が含まれる。このような溶液を含有するカプセルは、米国特許第4,328,245号、第4,409,239号、および第4,410,545号に記載されているように調製することができる。カプセルはまた、活性成分の溶解を調節または持続させるために、当業者に公知であるようにコーティングすることもできる。
【0362】
本明細書において提供される医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、およびシロップ剤を含む、液体剤形および半固体剤形で提供することができる。乳剤は、一方の液体が他方の液体の全体にわたって小球の形態で分散されている二相系であり、水中油型であってもよく、または油中水型であってもよい。乳剤は、薬学的に許容される非水性液体または溶媒、乳化剤、および保存剤を含むことができる。懸濁剤は、薬学的に許容される懸濁化剤および保存剤を含むことができる。水性アルコール溶液は、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(「低級」という用語は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを意味する)、例えばアセトアルデヒドジエチルアセタールなどの薬学的に許容されるアセタール;ならびにプロピレングリコールおよびエタノールなどの1つまたは複数のヒドロキシル基を有する水混和性溶媒を含むことができる。エリキシル剤は、透明な、甘みのある、ヒドロアルコール溶液である。シロップ剤は、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液であり、保存剤を含有してもよい。液体剤形の場合、例えば、ポリエチレングリコールの溶液は、投与にとって都合よく測定するために、充分な量の薬学的に許容される液体キャリア、例えば水で希釈することができる。
【0363】
他の有用な液体剤形および半固体剤形には、本明細書において提供される活性成分(複数可)を含有するもの、ならびに1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(ここで、350、550、および750はポリエチレングリコールの近似の平均分子量を指す)を含む、ジアルキル化モノまたはポリアルキレングリコールが含まれるが、それらに限定されない。これらの製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートなどの1種または複数種の抗酸化剤をさらに含んでもよい。
【0364】
また、本明細書において提供される経口投与用の医薬組成物は、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、またはナノシステムの形態で提供されてもよい。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載されているように調製することができる。
【0365】
本明細書において提供される医薬組成物は、液体剤形に再構成される、非発泡性または発泡性の顆粒剤および散剤・粉剤として提供されてもよい。非発泡顆粒剤または散剤・粉剤において使用される、薬学的に許容されるキャリアおよび添加剤は、賦形剤、甘味剤、および湿潤剤を含むことができる。発泡顆粒剤または散剤・粉剤において使用される、薬学的に許容されるキャリアおよび添加剤は、有機酸および二酸化炭素源を含むことができる。
【0366】
着色剤および香味剤は、上記の剤形のすべてにおいて使用することができる。本明細書において提供される医薬組成物は、即時放出剤形、または遅延放出形態、持続放出形態、パルス放出形態、制御放出形態、標的化放出形態、およびプログラム放出形態を含む放出調節剤形として製剤化してもよい。
【0367】
本明細書において提供される医薬組成物は、所望される治療作用を損なわない他の活性成分と、または制酸剤、プロトンポンプ阻害剤、およびH受容体アンタゴニストなどの所望の作用を補う物質と共製剤化することができる。
【0368】
本明細書において提供される医薬組成物は、局所投与または全身投与のために、注射、注入、または埋め込みによって、非経口的に投与することができる。本明細書で使用される場合、非経口投与には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液包内、および皮下投与が含まれる。
非経口投与
【0369】
本明細書において提供される医薬組成物は、非経口投与に適している任意の剤形に製剤化することができ、液剤、懸濁剤、乳剤、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノシステム、および注射前の液体中の溶液または懸濁液に適している固体形態が含まれる。このような剤形は、薬科学の当業者に公知の従来の方法に従って調製することができる(Remington: The Science and Practice of Pharmacy、上記を参照)。
【0370】
非経口投与を意図した医薬組成物は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対抗する抗菌剤または保存剤、安定剤、溶解度増強剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、封鎖剤またはキレート剤、凍結防止剤、凍結乾燥防止剤、増粘剤、pH調整剤、および不活性ガスを含むがそれらに限定されない、1つまたは複数の薬学的に許容されるキャリアおよび添加剤を含むことができる。
【0371】
適切な水性ビヒクルには、水、食塩水、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロースおよび乳酸リンゲル注射液が含まれるが、それらに限定されない。非水性ビヒクルには、植物起源の不揮発性油、ヒマシ油、コムオイル、綿実油、オリーブ油、落花生油、ハッカ油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水添植物油、水添ダイズ油、ならびにヤシ油およびパーム核油の中鎖トリグリセリドが含まれるが、それらに限定されない。水混和性ビヒクルには、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドが含まれるが、それらに限定されない。
【0372】
適切な抗菌剤または保存剤には、フェノール、クレゾール、水銀製剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシベンゾエート(propyl phydroxybenzate)、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸が含まれるが、それらに限定されない。適切な等張剤には、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが含まれるが、それらに限定されない。適切な緩衝剤には、ホスフェートおよびシトレートが含まれるが、それらに限定されない。適切な抗酸化剤は、重亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載のものである。適切な局所麻酔薬には、塩酸プロカインが含まれるが、これに限定されない。適切な懸濁化剤および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む、本明細書に記載のものである。適切な乳化剤には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80、およびトリエタノールアミンオレエートを含む、本明細書に記載のものが含まれる。適切な封鎖剤またはキレート剤には、EDTAが含まれるが、これに限定されない。適切なpH調整剤には、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が含まれるが、それらに限定されない。適切な錯化剤には、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7-ベータ-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、KS)を含むシクロデキストリンが含まれるが、それらに限定されない。
【0373】
本明細書において提供される医薬組成物は、単回投与または複数回投与によって投与するために製剤化することができる。単回投与用製剤は、アンプル、バイアルまたはシリンジに詰められる。複数回投与用の非経口製剤は、静菌性または静真菌性の濃度で抗菌剤を含有しなければならない。当技術分野において公知でありかつ実践されているように、すべての非経口製剤は、無菌でなければならない。
【0374】
一実施形態では、医薬組成物は、すぐに使える無菌液剤として提供される。別の実施形態では、医薬組成物は、使用前にビヒクルで再構成される、凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含む、無菌乾燥可溶性製品として提供される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、すぐに使える無菌懸濁剤として提供される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、使用前にビヒクルで再構成される無菌乾燥不溶性製品として提供される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、すぐに使える無菌乳剤として提供される。
【0375】
本明細書において提供される医薬組成物は、即時放出剤形、または遅延放出形態、持続放出形態、パルス放出形態、制御放出形態、標的化放出形態、およびプログラム放出形態を含む放出調節剤形として製剤化してもよい。
【0376】
医薬組成物は、埋込みデポ剤として投与するための懸濁液、固体、半固体、またはチキソトロピー液として製剤化することができる。一実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、外側のポリマー膜によって囲まれている、内側の固体マトリックスに分散される。このポリマー膜は、体液に不溶性であるが、医薬組成物の活性成分の拡散は許容する。
【0377】
適切な内側マトリックスには、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、ならびに架橋され部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルが含まれる。
【0378】
適切な外側のポリマー膜には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが含まれる。
局所投与
【0379】
本明細書において提供される医薬組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に対して局所的に投与することができる。本明細書で使用される場合、局所投与には、真皮(内)投与、結膜(conjuctival)投与、角膜内投与、眼内投与、点眼投与、耳介投与、経皮投与、経鼻投与、経膣投与、経尿道投与、呼吸器投与、および直腸投与が含まれる。
【0380】
本明細書において提供される医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、軟膏剤、散布剤、ドレッシング剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、フィルム剤、エアゾール剤、潅注剤、スプレー剤、坐薬、包帯剤、皮膚用パッチを含む、局所効果または全身効果のための局所投与にとって適切な任意の剤形で製剤化することができる。本明細書において提供される医薬組成物の局所製剤はまた、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、ナノシステム、およびそれらの混合物を含んでもよい。
【0381】
本明細書において提供される局所製剤での使用にとって適切な、薬学的に許容されるキャリアおよび添加剤には、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対抗する抗菌剤または保存剤、安定剤、溶解度増強剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、封鎖剤またはキレート剤、浸透促進剤、凍結防止剤、凍結乾燥防止剤、増粘剤、および不活性ガスが含まれるが、それらに限定されない。
【0382】
また、医薬組成物は、電気穿孔法、イオン導入法、フォノフォレシス、ソノフォレシス、または極微針または無針注射、例えばPOWDERJECT(商標)(Chiron Corp.、Emeryville、CA)およびBIOJECT(商標)(Bioject Medical Technologies Inc.、Tualatin、OR)によって局所的に投与することもできる。
【0383】
本明細書において提供される医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、およびゲル剤の形態で提供されてもよい。適切な軟膏ビヒクルには、ラード、安息香豚脂、オリーブ油、綿実油および他の油、白色ワセリンなどを含む油性または炭化水素基剤;親水ワセリン、ヒドロキシステアリンスルフェート、および無水ラノリンなどの乳化性または吸収基剤;親水軟膏などの水除去性基剤;異なる分子量のポリエチレングリコールを含む、水溶性軟膏基剤;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラノリン、およびステアリン酸を含む、油中水型(W/O)乳剤または水中油型(O/W)乳剤のどちらかである乳剤基剤が含まれる(Remington: The Science and Practice of Pharmacy、上記を参照)。これらのビヒクルは、皮膚軟化性であるが、一般に、抗酸化剤および保存剤の添加を必要とする。
【0384】
適切なクリーム基剤は、水中油型であってもよく、または油中水型であってもよい。クリームビヒクルは、水で洗浄可能であってもよく、油相、乳化剤、および水相を含有する。油相は、「内」相とも呼ばれ、概して、ワセリン、およびセチルアルコールまたはステアリルアルコールなどの脂肪アルコールで構成される。水相は通常、必ずしもそうではないが、容量において油相を上回り、概して保湿剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または両性界面活性剤であってもよい。
【0385】
ゲルは、半固体の懸濁剤型の系である。単相ゲルは、液体キャリアの全体にわたって実質的に均一に分布する有機高分子を含有する。適切なゲル化剤には、架橋アクリル酸ポリマー、例えばカルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標);親水性ポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコール;セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメチルセルロース;ガム、例えばトラガカントおよびキサンタンガム;アルギン酸ナトリウム;ならびにゼラチンが含まれる。均一のゲルを調製するために、アルコールまたはグリセリンなどの分散剤を添加してもよく、あるいはゲル化剤を、研和、機械的混合、および/または撹拌によって分散させてもよい。
【0386】
本明細書において提供される医薬組成物は、坐薬、腟坐剤、ブージー剤、湿布薬またはパップ剤、ペースト剤、散剤・粉剤、ドレッシング剤、クリーム剤、硬膏剤、避妊薬、軟膏剤、液剤、乳剤、懸濁剤、タンポン剤、ゲル剤、フォーム剤、スプレー剤、または浣腸剤の形態で、直腸に、尿道に、膣に、または膣周囲に投与することができる。これらの剤形は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、上記に記載されているように、従来のプロセスを使用して製造することができる。
【0387】
直腸、尿道、および膣の坐薬は、身体の開口部に挿入するために固体の物体であり、常温では固体であるが、体温で融解または軟化して、開口部内部で活性成分(複数可)を放出する。直腸および膣の坐薬において利用される薬学的に許容されるキャリアは、本明細書において提供される医薬組成物と製剤化されたときに、体温に近い融点をもたらす硬化剤(stiffening agent)などのビヒクル;ならびに重亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載の抗酸化剤を含む。適切なビヒクルには、カカオバター(テオブロマ油)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨蝋、パラフィン、白および黄蝋、ならびに脂肪酸のモノ、ジ、およびトリグリセリドの適当な混合物、ヒドロゲル、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸;グリセリンゼラチンが含まれるが、それらに限定されない。様々なビヒクルの組合せを使用することができる。直腸および膣の坐薬は、圧縮方法または成型によって調製することができる。直腸および膣の坐薬の典型的重量は、約2~3gである。
【0388】
本明細書において提供される医薬組成物は、液剤、懸濁剤、軟膏剤、乳剤、ゲル形成性液剤、液剤用の散剤・粉剤、ゲル剤、眼球インサート、および移植片の形態で、眼科的に投与することができる。
【0389】
本明細書において提供される医薬組成物は、鼻腔内に、または吸入によって気道に投与することができる。医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、例えば電気流体力学を使用して微細な霧を生み出すアトマイザー、またはネブライザーを使用して、単独で、または1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤と組み合わせて、送達用のエアゾールまたは溶液の形態で提供することができる。また、医薬組成物は、単独で、またはラクトースもしくはリン脂質などの不活性キャリアと組み合わせて、吹送用の乾燥散剤・粉剤および点鼻剤として提供することもできる。鼻腔内使用の場合、この散剤・粉剤は、キトサンまたはシクロデキストリンを含む、生体付着性剤を含んでもよい。
【0390】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーで使用するための液剤または懸濁剤は、本明細書において提供される活性成分の分散、可溶化もしくは放出を延長するためのエタノール、水性エタノール、もしくは適切な代替剤、溶媒としての噴霧剤;および/またはソルビタントリオレエート、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸などの界面活性剤を含むように製剤化することができる。
【0391】
本明細書において提供される医薬組成物は、50マイクロメートルもしくはそれ未満、または10マイクロメートルもしくはそれ未満などの、吸入による送達にとって適切なサイズに微粒子化することができる。このようなサイズの粒子は、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成する超臨界流体加工、高圧均質化、または噴霧乾燥などの、当業者に公知の粉砕方法を使用して調製することができる。
【0392】
吸入器または吹送器で使用するためのカプセル剤、ブリスター、およびカートリッジは、本明細書において提供される医薬組成物の粉末混合物;ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤;およびl-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの機能調節剤を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水であってもよく、または一水和物の形態であってもよい。他の適切な添加剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。本明細書において提供される吸入/鼻腔内投与のための医薬組成物はさらに、メントールおよびレボメントールなどの適切なフレーバー、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を含んでもよい。
【0393】
本明細書において提供される局所投与のための医薬組成物は、即時放出、または遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出を含む調節放出であるように製剤化することができる。
調節放出
【0394】
本明細書において提供される医薬組成物は、放出調節剤形として製剤化することができる。本明細書で使用される場合、「調節放出」という用語は、同じ経路で投与された場合に、活性成分(複数可)が放出される速度または場所が即時剤形のものと異なる剤形を指す。放出調節剤形には、遅延放出剤形、延長放出剤形、長期放出剤形、持続放出剤形、拍動放出剤形またはパルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラム放出剤形、ならびに胃内貯留剤形が含まれる。放出調節剤形の医薬組成物は、マトリックス制御放出デバイス、浸透圧制御放出デバイス、多粒子制御放出デバイス、イオン交換樹脂、腸溶コーティング、多層コーティング、ミクロスフェア、リポソーム、およびそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、当業者に公知の様々な調節放出デバイスおよび方法を使用して調製することができる。また、活性成分(複数可)の放出速度は、活性成分(複数可)の粒径および多形性を変化させることによって調節することもできる。
【0395】
放出調節の例として、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、同第5,639,480号、同第5,733,566号、同第5,739,108号、同第5,891,474号、同第5,922,356号、同第5,972,891号、同第5,980,945号、同第5,993,855号、同第6,045,830号、同第6,087,324号、同第6,113,943号、同第6,197,350号、同第6,248,363号、同第6,264,970号、同第6,267,981号、同第6,376,461号、同第6,419,961号、同第6,589,548号、同第6,613,358号、および同第6,699,500号に記載されるものが挙げられるが、それらに限定されない。
マトリックス制御放出デバイス
【0396】
本明細書において提供される放出調節剤形の医薬組成物は、当業者に公知のマトリックス制御放出デバイスを使用して製造することができる(Takadaらの「Encyclopedia of Controlled Drug Delivery」、2巻、Mathiowitz編、Wiley、1999年を参照)。
【0397】
一実施形態では、本明細書において提供される放出調節剤形の医薬組成物は、ポリサッカリドおよびタンパク質などの合成ポリマーおよび天然ポリマー、ならびに誘導体を含む、水膨張性、浸食性または可溶性のポリマーである、浸食性マトリックスデバイスを使用して製剤化される。
【0398】
浸食性マトリックスの形成に有用な材料には、キチン、キトサン、デキストランおよびプルラン;寒天ガム、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラゲナン、ガティガム、グアーガム、キサンタンガムおよびスクレログルカン;デキストリンおよびマルトデキストリンなどのデンプン;ペクチンなどの親水コロイド;レシチンなどのホスファチド;アルギネート;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;ならびにセルロース誘導体、例えばエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート(HPMCAT)およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC);ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセテート;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、Rohm America,Inc.、Piscataway、NJ);ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート);ポリラクチド;L-グルタミン酸およびエチル-L-グルタメートのコポリマー;分解性の乳酸グリコール酸コポリマー;ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;ならびに他のアクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリドのホモポリマーおよびコポリマーが含まれるが、それらに限定されない。
【0399】
別の実施形態では、医薬組成物は、非浸食性マトリックスデバイスを用いて製剤化される。活性成分(複数可)は、不活性マトリックスに溶解または分散され、いったん投与されると、主に不活性マトリックスを通じた拡散によって放出される。非浸食性マトリックスデバイスとしての使用にとって適切な材料には、不溶性プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレンとの塩化ビニルのコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、およびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、ならびに;親水性ポリマー、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、および架橋され部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル;ならびに脂肪族化合物、例えばカルナウバワックス(camauba wax)、マイクロクリスタリンワックスおよびトリグリセリドが含まれたが、それらに限定されない。
【0400】
マトリックス制御放出系では、所望される放出動態は、例えば、用いるポリマーの種類、ポリマーの粘度、ポリマーおよび/または活性成分(複数可)の粒径、活性成分(複数可)対ポリマーの比、ならびに組成物中の他の添加剤を介して制御することができる。
【0401】
本明細書において提供される放出調節剤形の医薬組成物は、直接圧縮、乾式または湿式造粒後の圧縮、融解造粒後の圧縮を含む、当業者に公知の方法によって調製することができる。
浸透圧制御放出デバイス
【0402】
本明細書において提供される放出調節剤形の医薬組成物は、一容器系、二容器系、非対称膜技術(AMT)および押出コア系(extruding core system)(ECS)を含む、浸透圧制御放出デバイスを使用して製造することができる。一般に、このようなデバイスは、少なくとも2つの構成要素:(a)活性成分(複数可)を格納するコアと、(b)該コアを封入する、少なくとも1つの送達ポートを有する半透膜とを有する。半透膜は、送達ポート(複数可)を通じた押出によって薬物が放出されるように、水性の使用環境からコアへの水の流入を制御する。
【0403】
活性成分(複数可)に加えて、浸透圧デバイスのコアは、任意選択で、使用環境からデバイスのコアに水を輸送するための推進力を生み出す浸透圧剤を含む。浸透圧剤の1つのクラスは、「浸透ポリマー」および「ヒドロゲル」とも呼ばれる水膨潤性親水性ポリマーであり、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、ポリサッカリド、例えばアルギン酸カルシウム、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルなどの疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、巨大PEOブロックを含有する親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウムが含まれるが、それらに限定されない。
【0404】
浸透圧剤の他のクラスは、水を吸収して、周囲のコーティングのバリア全体にわたって浸透圧勾配に影響を及ぼすことができる、オスモゲン(osmogen)である。適切なオスモゲンには、無機塩、例えば硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウム;糖、例えばデキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびキシリトール;有機酸、例えばアスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸および酒石酸;尿素;ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0405】
活性成分(複数可)がどれくらい迅速に剤形から最初に送達されるかについて影響を与えるように、異なる溶解速度の浸透圧剤を用いることができる。例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma、Lewes、DE)などのアモルファス糖を使用して、最初の数時間の間により迅速な送達を提供して、所望される治療効果を速やかに生じ、かつ残存量を段階的かつ継続的に放出して、長期間にわたって所望されるレベルの治療効果または予防効果を維持することができる。この場合、活性成分(複数可)は、代謝および排出される活性成分の量を置き換えるような速度で放出される。
【0406】
コアはまた、剤形の性能を増強したり、または安定性もしくは加工を促進したりするために、本明細書に記載の多様な他の添加剤およびキャリアを含んでもよい。
【0407】
半透膜を形成するのに有用な材料には、生理的に妥当なpHで水透過性および水不溶性であるか、または架橋などの化学変化によって水不溶性にされやすい、様々なグレードのアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、およびセルロース系誘導体が含まれる。コーティングを形成するのに有用な、適切なポリマーの例として、可塑化、非可塑化、および強化された、酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、CAプロピオネナート、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、CAスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CAエチルカーボネート、CAクロロアセテート、CAエチルオキサレート、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CA p-トルエンスルホネート、寒天アセテート、アミローストリアセテート、ベータグルカンアセテート、ベータグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、水酸化エチレン-酢酸ビニル、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステル、ならびにポリ(メタクリル)酸およびエステル、ならびにそれらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックスおよび合成ワックスが挙げられる。
【0408】
半透膜はまた、米国特許第5,798,119号に開示されているような、孔が実質的にガスで充填されており、水性媒体によって湿潤されることはないが水透過性である、疎水性微細孔膜であってもよい。このような疎水性であるが水透過性である膜は、典型的には、疎水性ポリマー、例えばポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックス、ならびに合成ワックスで構成される。
【0409】
半透膜上の送達ポート(複数可)は、機械的穿孔またはレーザー穿孔によって、コーティング後に形成することができる。送達ポート(複数可)はまた、水溶性材料のプラグの浸食によって、またはコアの窪みの上の膜のより薄い部分の破断によって、インサイツで形成することもできる。加えて、送達ポートは、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号に開示されている種類の非対称膜コーティングの場合のように、コーティングプロセスの間に形成されてもよい。
【0410】
放出される活性成分(複数可)の総量および放出速度は、半透膜の厚さおよび多孔性、コアの組成、ならびに送達ポートの数、サイズおよび位置を介して実質的に調節することができる(can substantially by modulated)。
【0411】
浸透圧制御放出剤形の医薬組成物は、さらに、製剤の性能または加工を促進するために、本明細書に記載のさらなる従来の添加剤を含んでもよい。
【0412】
浸透圧制御放出剤形は、当業者に公知の従来の方法および技法に従って調製することができる(Remington: The Science and Practice of Pharmacy、上記;SantusおよびBaker、J. Controlled Release 1995年、35巻、1~21頁;Vermaら、Drug Development and Industrial Pharmacy 2000年、26巻、695~708頁;Vermaら、J. Controlled Release 2002年、79巻、7~27頁を参照)。
【0413】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、活性成分(複数可)および他の薬学的に許容される添加剤を含むコアをコーティングする非対称浸透圧膜を含む、AMT制御放出剤形として製剤化される。米国特許第5,612,059号およびWO2002/17918を参照されたい。AMT制御放出剤形は、直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒、および浸漬コーティング法を含む、当業者に公知の従来の方法および技法に従って調製することができる。
【0414】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、活性成分(複数可)、ヒドロキシエチルセルロース、および他の薬学的に許容される添加剤を含むコアをコーティングする浸透圧膜を含む、ESC制御放出剤形として製剤化される。
多粒子制御放出デバイス
【0415】
本明細書において提供される放出調節剤形の医薬組成物は、直径が約10μm~約3mm、約50μm~約2.5mm、または約100μm~約1mmの範囲の多数の粒子、顆粒またはペレットを含む、多粒子制御放出デバイスとして製造することができる。このような多粒子は、湿式または乾式造粒、押出/球形化、ローラー圧縮、融解凝固を含む、当業者に公知のプロセスによって、およびシードコアをスプレーコーティングすることによって作製することができる。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery、Marcel Dekker、1994年およびPharmaceutical Pelletization Technology、Marcel Dekker、1989年を参照されたい。
【0416】
本明細書中に記載されている他の添加剤を、多粒子の加工および形成に役立つように、医薬組成物と配合することができる。得られた粒子は、それ自体が多粒子デバイスを構成することができ、または腸溶ポリマー、水膨潤性、および水溶性高分子などの様々なフィルム形成材料によりコーティングすることができる。多粒子は、カプセルまたは錠剤としてさらに加工することができる。
標的化送達
【0417】
また、本明細書において提供される医薬組成物は、処置を受ける被験体の身体の特定の組織、受容体、または他の領域を標的とするように製剤化されてもよく、リポソームベースの送達系、再封赤血球(resealed erythrocyte)ベースの送達系、および抗体ベースの送達系が含まれる。例として、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、および、同第5,709,874号が挙げられるが、それらに限定されない。
【0418】
本明細書において提供される医薬組成物は、単回投与または複数回投与によって投与するために製剤化することができる。単回投与用製剤は、アンプル、バイアルまたはシリンジに詰められる。複数回投与用の非経口製剤は、静菌性または静真菌性の濃度で抗菌剤を含有しなければならない。当技術分野において公知でありかつ実践されているように、すべての非経口製剤は、無菌でなければならない。
【0419】
また、VMAT2阻害剤の1つまたは複数の単位用量を含むキットが提供される。このようなキットの非限定的な例として、ブリスターパックが挙げられる。
【0420】
以下の実施例は、例示目的で提供され、限定的なものではない。
【実施例0421】
(実施例1)
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール
【化1】


ステップ5A:(3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-カルボニトリル
3Lの三つ口丸底フラスコに、DMSO(1.1L)およびTOSMIC(104g、532.5mmol、1.3当量)を充填した。この混合物に、KO-t-Bu(119.5g、1.065mol)を、周囲温度(22℃)で1度に充填した。発熱を観測し、混合物の温度を39℃に増大させた。次に、テトラベナジン(130g、410mmol)のDMSO(500mL)懸濁液を、反応混合物に、25分間かけてゆっくり添加した(わずかな発熱が観測された)。この混合物にEtOH(10.5mL)を添加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。混合物のLC-MS分析によって、約4:1の比の5aと出発材料との存在が明らかになった。混合物を冷水(9L)に注ぎ入れた。次に、混合物をEtAOc(4L)で抽出した。水層をEtOAc(2L)で抽出した。合わせた有機物をブライン(2L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をアセトン(200ml)に溶解させ、シリカカラムにロードした(シリカゲル2Kg、ヘキサンでパッキング)。カラムを、最初にヘキサン(2.5L)で、その後ヘキサン中5~20%のアセトンで溶出した。5aおよび他の不純物を含有する画分を合わせ、濃縮して、オレンジ色の油(72g)を得、それをアセトン(100ml)に溶解させ、シリカカラムにロードした(シリカゲル1Kg、ヘキサンでパッキング)。カラムを、最初にヘキサン(1L)で、その後ヘキサン(2L)中5%のアセトン、ヘキサン(2L)中10%のアセトン、ヘキサン(2L)中15%のアセトン、およびヘキサン(2L)中20%のアセトンで溶出した。>90%純度を含有する画分を合わせ、濃縮して、(3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-カルボニトリル5aをオレンジ色の固体として得た(61g、m/z329.2[MH])。5aおよび出発材料の混合物を含有する画分を収集し、濃縮して、材料48gを得、先に示されているように、それをDMSO(50ml)に溶解させ、DMSO(250ml)中TOSMIC(25g)およびKO-t-Bu(28.7g)の混合物に添加した。残留物をアセトン(10ml)に溶解させ、シリカカラムにロードした(シリカゲル600g、ヘキサンでパッキング)。カラムを、最初にヘキサン(800ml)で、その後ヘキサン中5~20%のアセトンで溶出した。生成物を含有する画分を合わせ、濃縮して、オレンジ色の固体5aを得た(33g)。
【0422】
ステップ5B:(3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-カルボン酸
1ガロンの圧力反応器に、5a(94g、286mmol)のメタノール(940ml)懸濁液および水(940ml)中のNaOH(343g、8.6mol)を充填した。この混合物を120℃(内部温度)で67時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、丸底フラスコに移した。混合物を、ロータリーエバポレーター内で約1Lに濃縮した。次に、混合物を冷却しながら、6NのHCl水溶液を使用してpH7に調整した。混合物をDCM(2×3Lおよび1×2L)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥させ、濃縮して、暗色の残留物(88g)を得た。暗色の残留物をアセトニトリル(500ml)に溶かし、30分間撹拌した。混合物を濾過し、固体をアセトニトリル(50ml)で洗浄した。固体を真空下で2時間乾燥させて、薄褐色の固体を得た(42g、49%)。この固体を濾液と合わせ、濃縮して残留物を得た。残留物をDCM(150ml)に溶解させ、DCMでパッキングしたシリカカラムにロードした。カラムを、DCM中0~25%のメタノールで溶出した。生成物を含有する画分を合わせ、濃縮して、(3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-カルボン酸5bを淡褐色の固体として得た(71g、収率71%、純度92%、m/z348.2[MH])。
【0423】
ステップ5C:[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール
3Lの丸底フラスコに、5b(73.5g、211.5mmol)およびTHF(1.48L)を充填した。この混合物を撹拌し、10℃(内部温度)に冷却した。この混合物に、20℃未満の温度を維持しながら、THF(423ml、423mmol)中1MのLAHを20分間かけてゆっくり添加した。冷却浴を取り除き、混合物を室温に温めた。混合物を55℃に加熱し、30分間撹拌した。混合物を室温に、次に10℃に冷却した。EtOAc(30ml)をゆっくり添加して、未反応のLAHをクエンチした後、エタノール(30ml)を添加した。次に、水(150ml)をこの混合物に添加した。次に、混合物を濃縮して、有機溶媒の大部分を除去した。次に、混合物を、水(700ml)およびDCM(1L)で希釈した。懸濁液を、セライトパッドを介して濾過した。濾過したケーキを、DCM(2×500ml)で洗浄した。合わせた濾液を分液漏斗に取り込み、層を分離した。水層をDCM(1L)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥させ、濃縮して、暗色の残留物を得た。残留物を、シリカカラムにより、溶出液としてDCM中0~10%のメタノールを使用してクロマトグラフ処理した。生成物を含有する画分を合わせ、濃縮して、発泡性のオレンジ色の残留物を得た。この残留物に、ヘキサン(100ml)を添加し、減圧下で45℃において2時間濃縮して、[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノール(5-1)(本明細書では化合物5-1とも呼ばれる)を淡褐色の固体として得た(51g、72%、220nmによるHPLC純度95%、m/z334.2[MH])。この材料を、シリカゲルクロマトグラフィーによって、溶出液としてDCMまたは酢酸エチル中0~10%のメタノールを使用してさらに精製することができる。
【0424】
ステップ5D:[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールHCl塩
2Lの丸底フラスコに、5-1(43g、129mmol)およびジエチルエーテル(860mL)を充填した。この混合物を撹拌し、15℃(内部温度)に冷却した。この混合物に、ジエチルエーテル(97ml、193mmol)中2MのHClを15分間かけてゆっくり添加した。白色の沈殿物が形成された。冷却浴を取り除き、混合物を室温に温めた。次に、混合物を45分間撹拌した。混合物を濾過し、濾過した固体を、ジエチルエーテル(100ml)、MTBE(100ml)、次にヘキサン(100ml)で洗浄した。次に、固体を、真空オーブン中で40℃において18時間乾燥させた。[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールHCl塩(5-1HCl)を、オフホワイトの固体として単離した(44.7g、収率94%、m/z334.2[MH])。
【0425】
(実施例2)
化合物のVMAT2阻害活性を決定する方法
VMAT2を阻害する化合物の能力を決定する技法の例を、以下に提示する。
【0426】
手順は、過去に記載のものから採用する(例えば、Near(1986年)、Mol. Pharmacol. 30巻:252~57頁;Tengら、J. Neurochem. 71巻、258~65頁、1998年参照)。ヒト血小板またはSprague-Dawley系ラットの前脳のホモジネートを、過去に記載の通りホモジナイゼーションによって調製し、次に遠心分離によって洗浄した(例えば、Hoareら、(2003年) Peptides 24巻:1881~97頁参照)。低結合96ウェルプレート(Corning番号3605)において、総体積0.2mLで、12種類の濃度の化合物5-1およびR,R,R-DHTBZを、6nMのH-ジヒドロテトラベナジン(American Radiolabeled Chemicals、Kd2.6nM)と、ラット前脳ホモジネート(1ウェル当たり膜タンパク質100μg)またはヒト血小板ホモジネート(1ウェル当たり膜タンパク質50μg)上、VMAT2結合バッファー(ダルベッコリン酸緩衝食塩水、1mMのEDTA、pH7.4)中で、競合させた。25℃で2時間インキュベートした後、結合した放射性リガンドを、GF/Bガラス繊維フィルター上で、Unifilter-96 Harvester(PerkinElmer)を使用して急速に濾過することによって収集した。フィルタープレートを、0.1%ポリエチレンイミンで10分間事前処理し、回収した後、フィルタープレートを、VMAT2結合バッファー800μlで洗浄した。結合した放射性リガンドを、シンチレーション計数によって、Topcount NXT(PerkinElmer)を使用して定量化した。競合結合研究の結果を、以下の表1および表2に提示する。
表1.競合結合試験からのラット前脳のVMAT2親和性
【表1】


表2.競合結合試験からのヒト血小板のVMAT2親和性
【表2】
【0427】
VMAT2を阻害する化合物の能力を決定するために普通に実施され得る別の技法を、以下に提示する。以下の手順は、過去に記載された方法から採用する(Tengら、J.
Neurochem. 71巻、258~65頁、1998年参照)。
【0428】
ラット線条体小胞の調製:3匹のラットのラット線条体をプールし、0.32Mスクロース中でホモジナイズする。次に、ホモジネートを、2,000×gで4℃において10分間遠心分離し、得られた上清を、10,000×gで4℃において30分間遠心分離する。富化シナプトソーム画分(2mL)を含有する、得られたペレットを、蒸留HO 7mLを添加することによって浸透圧ショックに供し、その後、懸濁液をホモジナイズする。浸透圧濃度を、0.25MのHEPES 0.9mLおよび1.0Mの中性L-(+)-酒石酸二カリウム塩バッファー(pH7.5)0.9mLを添加することによって回復させ、その後20分間遠心分離する(20,000×g、4℃で)。次に、上清を60分間遠心分離し(55,000×g、4℃で)、得られた上清を、45分間遠心分離する(100,000×g、4℃で)。得られたペレットを、25mMのHEPES、100mMのL-(+)-酒石酸二カリウム塩、5mMのMgCl、10mMのNaCl、0.05mMのEGTA、pH7.5に再懸濁させて、タンパク質濃度を1~2mg/mLにし、-80℃で最長3週間保存しても、結合活性の喪失は認識されない。最終的なペレットを、使用直前に、結合バッファー(25mMのHEPES、100mMのL-(+)-酒石酸二カリウム塩、5mMのMgCl、10mMのNaCl、0.05mMのEGTA、0.1mMのEDTA、1.7mMのアスコルビン酸、pH7.4)に再懸濁させる。
【0429】
H]-ジヒドロテトラベナジン(DHTBZ)結合:一定分量の小胞懸濁液(0.16mL、タンパク質15μg/mL)を、競合化合物(10-6~10-12Mの範囲)および2nMの[H]-ジヒドロテトラベナジン(HTBZ;比活性:20Ci/mmol、American Radiolabeled Chemicals,Inc.)と共に、総体積0.5mLで室温において1時間インキュベートする。試料を、ワットマンGF/Fフィルター上で、Brandelセルハーベスターを使用して急速に濾過することによって、反応を終了させる。非特異的結合を、20μMテトラベナジン(TBZ)を使用して決定する。フィルターを、予め、氷冷したポリエチレンイミン(0.5%)に2時間浸しておく。フィルターを氷冷バッファーで3回洗浄した後、フィルターを、シンチレーションカクテル10mLを含むシンチレーションバイアルに入れる。結合放射活性を、シンチレーション分光法によって決定する。
(実施例3)
第II相ヒト臨床試験-バルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)
【0430】
試験デザイン。NBI-98854としても公知である(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルの二トシル酸塩の反復用量を、1日当たり12.5mg~100mg投与された遅発性ジスキネジア(TD)被験体からの臨床データは、この薬物の忍容性が概して良好であることを示している。前向き無作為化二重盲検並行群プラセボ対照第II相臨床試験を、統合失調症、統合失調感情障害、または双極性障害および大うつ病性障害を含む気分障害が根底にある、中度または重度の遅発性ジスキネジア患者において実施した。被験体は、治験責任医師(または被指名者)によって臨床的に決定されたように、精神医学的に安定していなければならなかった。被験体(n=102)を無作為化して(1:1)、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルの二トシル酸塩またはプラセボを、6週間、1日に1回投与した。処置群に割り当てられたすべての被験体には、第2週を通して、25mgの(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルを投与し、その後、用量を50mgに用量設定したか、または維持した。4週目で、用量は、75mgに用量設定されたか、維持されたか、または以前の用量に低減された。主要エンドポイントは、プラセボに対する、6週目の異常不随意運動評価尺度(AIMS)スコアにおけるベースラインからの変化(CFB)であった。AIMSビデオに関して、試験の来診順序および処置群について盲検の2人の中央評価者がスコア付けした。安全性評価は、ヤング躁病評価尺度(YMRS)およびモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)における6週目のベースラインからの変化(CFB)を含んだ。
【0431】
合計で102人の被験体を無作為化した。(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルを投与された被験体のうち76%が、75mgの最大用量に到達した。安全性の解析被験体集団(Safety population)は、51名(試験群)および49名(プラセボ)の被験体であった。抗精神病薬、抗うつ剤、および抗不安薬が、最も一般的な併用医薬品であり、各群において40%以上の被験体が服用していた。
【0432】
評価。気分障害が根底にある被験体において、躁病症状について、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を使用して評価した。結果を表3に示す。躁病症状は、試験群対プラセボに関して、6週目までにベースラインから改善された。
表3:YMRSを使用した第II相気分障害患者評価の結果
【表3】
【0433】
MADRSで測定したうつ病は、CFBによって示される通り、6週目までにベースラインから改善された。結果を表4に示す。
表4:MADRSを使用した第II相気分障害患者評価の結果
【表4】


(実施例4)
第III相ヒト臨床試験-バルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)
【0434】
試験デザイン。遅発性ジスキネジアに対する(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルの二トシル酸塩の有効性、安全性、および忍容性について、抗精神病薬誘発性の中度または重度の遅発性ジスキネジアを有し、かつ統合失調症、統合失調感情障害、または気分障害が根底にある被験体において、二重盲検並行群プラセボ対照第3相臨床試験で評価した。試験デザインは、6週間の二重盲検プラセボ対照処置期間と、さらなる42週間の二重盲検バルベナジン二トシル酸塩処置期間とを含み、処置は合計で48週間であった。試験薬物は、48週間の処置期間を通じて、ダブルダミーの方式で投与された。神経弛緩薬誘発性のTDを伴う統合失調症または統合失調感情障害、または神経弛緩薬誘発性のTDを伴う気分障害の臨床診断を受けた、医学的に安定した男性および女性の被験体が登録された。
【0435】
被験体を、-1日目に、プラセボ:40mgのバルベナジン二トシル酸塩:80mgのバルベナジン二トシル酸塩に1:1:1で無作為化した。被験体の総数のうちおよそ半分の、統合失調症または統合失調感情障害を有する被験体が登録され、すべての被験体は、3つの処置群の間で無作為化のバランスが確実に取れるように、基礎疾患区分で層別化した。被験体は、治験責任医師(または被指名者)によって臨床的に決定されたように、精神医学的に安定していなければならなかった。
【0436】
バルベナジン二トシル酸塩は、40mgのバルベナジン二トシル酸塩を含有するカプセル剤として供給した(用量は、遊離塩基のものである)。この試験において使用した用量は、バルベナジン二トシル酸塩の40mgカプセル1個として1日1回服用された40mgおよび1個の対応するプラセボ、およびバルベナジン二トシル酸塩の40mgカプセル2個として1日1回服用された80mgである。被験体は、少なくとも4オンスの水とともにカプセルを嚥下し、食物とともに、または食物を伴わずに治験薬を服用することを許されていた。
【0437】
試験薬物は、1日目目に始まって、午前0700~1000時の間に自宅で自己投与された(該当する場合には、被験体の介護者の存在下で)。バルベナジン二トシル酸塩の80mg用量は、盲検方式で用量設定された(第1週に40mgを投与されていた被験体は、その後80mgを投与された)。試験施設は、被験体に毎週、試験薬を毎日服用することを忘れないよう呼び掛けた。
【0438】
いかなる時点でも、被験体が現在の用量を忍容できない場合、治験責任医師は、その被験体の用量を減らすことを許されていた。治験責任医師は、試験の間、被験体の用量を低減することを1回のみ許されていた。用量を低減され、かつ「新しい」用量を忍容できなかった被験体については、試験を中断した。試験を盲検として保つため、用量を低減された、40mgまたはプラセボを投与されていた被験体は、現在の用量の投与を継続し、80mgを投与されていた被験体については、40mgに低減した。
【0439】
6週目の終わり(二重盲検プラセボ対照処置期間の終わり)に、被験体は、さらなる42週間の処置のための二重盲検バルベナジン二トシル酸塩処置期間に入った。被験体には、試験の継続の意向について確認するために再び同意を得た。この処置期間中、すべての被験体が、バルベナジン二トシル酸塩を投与されたが、被験体も治験責任医師も、実際の処置については盲検のままであった。最初にプラセボへと無作為化された被験体は、バルベナジン二トシル酸塩40mgまたは80mgのいずれかを投与されるように再び無作為化し(1:1)、最初にバルベナジン二トシル酸塩へと無作為化された被験体については、現在の用量を継続した。バルベナジン二トシル酸塩80mgを投与されるように再び無作為化された被験体については、最初の週は40mgを投与した。
【0440】
6週目で、試験の継続を望まなかった被験体については中断し、早期中止来院のためにおよそ4週間後に戻ってくるように依頼した。二重盲検バルベナジン二トシル酸塩処置期間に入った被験体に関して、処置後の最終評価を、52週目の終わり(または早期中止)に実施した。
【0441】
有効性、安全性、および薬物動態(PK)について、試験を通じて、予定された時間に評価した。二重盲検プラセボ対照処置期間の来院および二重盲検バルベナジン二トシル酸塩処置期間の終わりの来院は、±3日間の来院時間枠を設けた。二重盲検バルベナジン二トシル酸塩処置期間の来院および追跡調査来院は、±6日間の来院時間枠を設けた。被験体は、試験評価および試験薬物の調剤のために、予定された来院時に研究センターに戻ってきた。すべての試験評価は、1200~1700時に実施した。
【0442】
試験対象集団。神経弛緩薬誘発性の遅発性ジスキネジア(TD)を伴う統合失調症または統合失調感情障害、または神経弛緩薬に起因するTDを伴う気分障害の臨床診断を受けた、医学的に安定した男性および女性の被験体を登録した。被験体の総数のうちおよそ半分の、統合失調症または統合失調感情障害を有する被験体が登録され、すべての被験体は、3つの処置群の間で無作為化のバランスが確実に取れるように、基礎疾患区分で層別化した。被験体の年齢は、18~85歳(両端を含む)でなければならず、スクリーニング時に実施した被験体のAIMSビデオ録画に基づき、盲検の外部のAIMS審査者によって評価された、中度または重度のTDを有しなければならない。被験体は、治験責任医師(または被指名者)によって臨床的に決定されたように、スクリーニング時に簡易精神症状評価尺度(BPRS)のスコアが50未満であり、-1日目(ベースライン)に陽性・陰性症状尺度(PANSS)の総スコアが70未満であることを含め、精神医学的に安定していなければならなかった。
【0443】
処置および試験参加の期間。各被験体について予想される試験参加期間は、最大6週間のスクリーニング、6週間の二重盲検プラセボ対照処置、42週間の二重盲検バルベナジン二トシル酸塩処置、および4週間の追跡調査評価または早期中止を含む、およそ58週間であった。
【0444】
有効性、安全性、および薬物動態(PK)について、試験を通じて、予定された時間に評価した。二重盲検プラセボ対照処置期間の来院(2週目、4週目、および6週目の終わり)。
【0445】
評価。気分障害が根底にある被験体において、躁病症状について、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を使用して評価した。YMRSの総スコアおよび来院までのベースラインからの変化(CFB)の値、ならびに6週目での気分障害被験体に関する処置群スクリーニングについて、図1に提示する。NBI-98854 80mg(用量低減なし)には、6週目までに用量低減を受けなかった、80mgに無作為化された被験体が含まれる。ベースライン測定値は、-1日目、または-1日目を欠いている場合にはスクリーニング時に得る。データは、6週目のCFBによって示されるように、80mgのNBI-98854による処置を受けた被験体が、プラセボに対して、躁病症状の低減を呈したことを示している。
【0446】
被験体はまた、気分障害を有する被験体において、MADRS用の構造化面接ガイド(SIGMA)を使用して実施されたモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)を使用して、うつ病症状についても評価した。結果を表5に示す。
表5:MADRSを使用した第III相気分障害患者評価の結果
【表5】


(実施例5)
第IB相臨床試験-バルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)
【0447】
試験デザイン。トゥーレット症候群を有する小児被験体における第1b相非盲検複数回投与試験を、バルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)に関して実施した。この試験は、男児および女児(6~11歳)、ならびに青年期の男性および女性(12~18歳)で実施した。年齢群は、各々およそ6名の被験体を有する3つの投与コホートに、均等に分割されるように計画した。固定用量のNBI-98854を、別個の青年投与コホートおよび別個の子ども投与コホートに投与した。試験薬物を、14日間連続で、各コホートに投与した。
【0448】
試験薬物は、(1日目および2日目には)被験体が診療所にいる間に、その投与を監督する、指定された施設の試験スタッフによって投与され、試験薬物は、3日目~13日目には、自宅で、被験体、親、または法定後見人によって投与され、14日目には、(被験体の好みに基づいて)自宅または診療所で投与することができた。試験薬物は、毎朝、朝食とともにおよそ0800時頃投与された。被験体は、水または他の液体を、試験薬物の投与後に飲むことができた。
【0449】
評価。小児用エール・ブラウン強迫尺度(CY-BOCS)は、子どもの強迫性症状の重症度を評価するようにデザインされた半構造化面接である。治験責任医師または被指名者は、スクリーニング、ベースライン(-1日目)、処置の7日目および14日目、ならびに最終の試験来院(21日目または早期中止)時に、CY-BOCSを施行した。CY-BOCSの総スコア(強迫観念および強迫行為の小計スコアの合計)がスクリーニング時に16以上である場合、患者が、強迫性障害の症候群的判定基準を満たしていることが示唆される。スクリーニング時に、10名の被験体が、16以上であるCY-BOCの総スコアを保有した。Y-BOCSスコアにおける少なくとも25%の減少は、少なくとも処置に対する部分応答とみなされる。強迫性障害の症候群的判定基準を満たした10名の被験体のうち、4名の被験体が、CY-BOCSの合計で測定したところ、14日目までに、ベースライン(-1日目)から少なくとも約25%のOCD症状の改善を示した(表6)。
表6:CY-BOCSを使用した第Ib相OCD患者評価の結果
【表6】


(実施例6)
自閉症動物モデル研究
【0450】
VMAT2阻害剤、例えばバルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)の効果について、自閉症のマウスモデルで評価する。自閉症のマウスモデルについては当技術分野において公知であり、例えば、Shank3B欠失マウス、FMR1ノックアウトマウス、CNTNAP2ヌルマウス、Viaat-MECP2条件変異体マウスが挙げられる(Provenzanoら、2012年、Dis. Markers 33巻:225~39頁;Horevら、2011年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 108巻:17076~17081頁;Portmannら、2014年、Cell Rep. 7巻、1077~1092頁;Poliakら、2003年、J. Cell Biol. 162巻、1149~1160頁において概説されている)。自閉症スペクトラム障害に対する処置の効果を決定するために使用される、自閉症のマウスモデルに関する行動表現型アッセイについては、当技術分野において公知である(Silvermanら、Nature Reviews Neuroscience 11巻:490~502頁;Brunnerら、2015年、PLoS One 10巻:e0134572において概説されている)。
(実施例7)
脆弱X動物モデル研究
【0451】
VMAT2阻害剤、例えばバルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)の効果について、脆弱X症候群のマウスモデルで評価する。脆弱X症候群のマウスモデルについては当技術分野において公知であり、例えば、FMR1ノックアウトマウスが挙げられる(Gantoisら、2001年、Curr. Mol. Med. 1巻:447~455頁;Kazdobaら、2014年、Intractable Rare Dis. Res. 3巻:118~133頁によって概説されている)。脆弱Xに対する処置の効果を決定するために脆弱Xマウスモデルを試験する方法については、当技術分野において公知である(Mineurら、2006年、Behav. Brain Res. 168巻:172~5頁;Spencerら、2008年、Behav. Neurosci. 122巻:710~715頁;Kazdobaら、2014年、Intractable Rare Dis. Res. 3巻:118~133頁によって概説されている)。
(実施例8)
レッシュ・ナイハン症候群動物モデル研究
【0452】
VMAT2阻害剤、例えばバルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)の効果について、レッシュ・ナイハン症候群のマウスモデルで評価する。レッシュ・ナイハンのマウスモデルについては当技術分野において公知であり、例えば、HPRT欠損マウスが挙げられる(Jinnahら、1991年、Behav. Neurosci. 105巻:1004~12頁;Kuehnら、1987年、Nature 326巻:295~298頁)。レッシュ・ナイハン症候群に対する処置の効果を決定するためにレッシュ・ナイハン症候群マウスモデルを試験する方法については、当技術分野において公知である(Jinnahら、1991年、Behav. Neurosci. 105巻:1004~12頁)。
(実施例9)
アルツハイマー動物モデル研究
【0453】
VMAT2阻害剤、例えばバルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)の効果について、アルツハイマー病の激越のマウスモデルで評価する。アルツハイマー病の激越のマウスモデルについては当技術分野において公知であり、例えば、Tg2576トランスジェニックマウス(スウェーデン変異(KM670/671NL)を有するAPPの変異体型(アイソフォーム695)の過剰発現)およびrTg4510トランスジェニックマウス(tau P301L変異)が挙げられる(Alexanderら、2011年、Behav. Brain Res. 216巻、77~83頁;Julら、2015年、J. Alzheimers Dis. 49巻:783~795頁)。激越に対する処置の効果を決定するためにアルツハイマー病マウスモデルを試験する方法については、当技術分野において公知である(Julら、2015年、J. Alzheimers Dis. 49巻:783~795頁)。
(実施例10)
レット症候群動物モデル研究
【0454】
VMAT2阻害剤、例えばバルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)の効果について、レット症候群のマウスモデルで評価する。レット症候群のマウスモデルについては当技術分野において公知であり、例えば、様々なMecp2変異体マウスモデルが挙げられる(Katzら、2012年、Disease Models & Mechanisms 5巻:733~745頁によって概説されている)。レット症候群に対する処置の効果を決定するためにレット症候群マウスモデルを試験する方法については、当技術分野において公知である(Katzら、2012年、Disease Models & Mechanisms 5巻:733~745頁によって概説されている)。
(実施例11)
有棘赤血球舞踏病動物モデル研究
【0455】
VMAT2阻害剤、例えばバルベナジン二トシル酸塩(NBI-98854)の効果について、有棘赤血球舞踏病のマウスモデルで評価する。有棘赤血球舞踏病のマウスモデルについては当技術分野において公知であり、例えば、VPS13A欠失マウスモデルが挙げられる(Sakimotoら、2016年、Biochem. Biophys. Res. Commun. 472巻:118~24頁;Tomemoriら、2005年、J. Neurochem. 92巻:759~66頁)。有棘赤血球舞踏病に対する処置の効果を決定するために有棘赤血球舞踏病マウスモデルを試験する方法については、当技術分野において公知である(Sakimotoら、2016年、Biochem. Biophys. Res. Commun. 472巻:118~24頁;Tomemoriら、2005年、J. Neurochem. 92巻:759~66頁)。
【0456】
上に記載の様々な実施形態は、組み合わせてさらなる実施形態を提供することができる。2015年6月23日に出願された米国仮特許出願第62/183,519号、2015年6月23日に出願された米国仮特許出願第62/183,520号、2015年6月23日に出願された米国仮特許出願第62/183,525号、2015年6月23日に出願された米国仮特許出願第62/183,530号、2015年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/248,797号、2015年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/248,803号、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/251,018号、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/251,007号、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/251,009号、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/251,012号、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/251,019号、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/251,023号、2015年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/262,856号、2015年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/262,860号、2016年2月3日に出願された米国仮特許出願第62/290,864号、2016年2月3日に出願された米国仮特許出願第62/290,839号を含むが、それらに限定されない、本明細書で言及され、かつ/または出願データシートに列挙されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて様々な特許、特許出願および刊行物の概念を用いて改変して、なおさらなる実施形態を提供することができる。
【0457】
これらおよび他の変更は、先の詳細な説明に照らして実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲に開示されている具体的な実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、このような特許請求の範囲が権利を付与される等価物の完全な範囲と共に、あらゆる可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって制限されない。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
被験体における気分障害の躁病を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目2)
被験体における気分障害の躁病を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目3)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記気分障害が、双極性障害である、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記気分障害の前記躁病が、軽躁病または重度の躁病である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目8に記載の方法。
(項目10)
気分障害の躁病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目11)
気分障害の躁病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目12)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目10または11に記載の医薬組成物。
(項目13)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目12に記載の医薬組成物。
(項目14)
前記気分障害が、双極性障害である、項目11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目15)
前記気分障害の前記躁病が、軽躁病または重度の躁病である、項目14に記載の医薬組成物。
(項目16)
約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、項目11から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目17)
経口投与のために製剤化されている、項目11から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目18)
錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、項目17に記載の医薬組成物。
(項目19)
被験体における難治性の強迫性障害(OCD)を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目20)
被験体における難治性のOCDを処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目21)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目19から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目19から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目24に記載の方法。
(項目26)
洗浄、溜め込み、数唱儀式、チェック儀式、ラインクロス、祈りの儀式、手洗いの儀式、厳格なルーチンに従うこと、整頓、保証を求めること、またはその組合せの頻度もしくは重症度が低減される、項目19から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
難治性のOCDの処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目28)
難治性のOCDの処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、
またはその同位体変種、その薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目29)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目27または28に記載の医薬組成物。
(項目30)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目28または29に記載の医薬組成物。
(項目31)
約10mgから約80mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、項目27から30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目32)
経口投与のために製剤化されている、項目27から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目33)
液剤、錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、項目32に記載の医薬組成物。(項目34)
洗浄、溜め込み、数唱儀式、チェック儀式、ラインクロス、祈りの儀式、手洗いの儀式、厳格なルーチンに従うこと、整頓、保証を求めること、またはその組合せの頻度もしくは重症度が低減される、項目27から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目35)
被験体におけるレッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目36)
被験体におけるレッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害を処置するための方法であって、該被験体に、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目37)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目35から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目40に記載の方法。
(項目42)
レッシュ・ナイハン症候群に関連する前記神経機能障害が、自傷、ジストニア、痙直、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、反弓緊張、バリズム、反射亢進、常同症、および伸展性足底反射の1つまたは複数である、項目35から41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目44)
レッシュ・ナイハン症候群に関連する神経機能障害の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目45)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目43または44に記載の医薬組成物。
(項目46)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目45に記載の医薬組成物。
(項目47)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目43から46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目48)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目43から47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目49)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目48に記載の医薬組成物。
(項目50)
レッシュ・ナイハン症候群に関連する前記神経機能障害が、自傷、ジストニア、痙直、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、反弓緊張、バリズム、反射亢進、常同症、および伸展性足底反射の1つまたは複数である、項目43から49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目51)
アルツハイマー病を有する被験体における激越を処置するための方法であって、該被験体にVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目52)
前記VMAT2阻害剤が、選択的VMAT2阻害剤である、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、
またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、同位体変種
から選択される、項目51または52に記載の方法。
(項目54)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目52または53に記載の方法。
(項目55)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目51から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目51から56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目57に記載の方法。
(項目59)
アルツハイマー病に関連する前記激越が、不安症、被刺激性、ペーシング、過剰な貧乏揺すり、反復行動、異常な発声、および運動不穏の1つまたは複数である、項目51から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
アルツハイマー病の激越の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤とVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目61)
薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、アルツハイマー病に関連する激越の処置において使用するための、項目60に記載の医薬組成物。
(項目62)
前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択される、項目60または61に記載の医薬組成物。
(項目63)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目61または62に記載の医薬組成物。
(項目64)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目63に記載の医薬組成物。
(項目65)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目60から64のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目66)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目60から65のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目67)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目66に記載の医薬組成物。
(項目68)
アルツハイマー病に関連する前記激越が、不安症、被刺激性、ペーシング、過剰な貧乏揺すり、反復行動、異常な発声、および運動不穏の1つまたは複数である、項目60から67のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目69)
被験体における脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目70)
被験体における脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目71)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目69または70に記載の方法。
(項目72)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目69から72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目69から73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目74に記載の方法。
(項目76)
不安症、注意欠如、多動性行動(例えば、貧乏揺すりまたは衝動行為)、自閉症的行動(例えば、反復行動)、常同症、てんかん発作、運動失調、企図振戦(罹患個人が随意運動を行おうと試みた際の手足の震えまたは揺れ)、パーキンソニズム、安静時振戦、硬直、運動緩慢、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下の1つまたは複数が低減される、項目70から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目78)
脆弱X症候群または脆弱X関連振戦失調症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目79)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目77または78に記載の医薬組成物。
(項目80)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目79に記載の医薬組成物。
(項目81)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目77から80のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目82)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目77から81のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目83)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目82に記載の医薬組成物。
(項目84)
不安症、注意欠如、多動性行動(例えば、貧乏揺すりまたは衝動行為)、自閉症的行動(例えば、反復行動)、常同症、てんかん発作、運動失調、企図振戦(罹患個人が随意運動を行おうと試みた際の手足の震えまたは揺れ)、パーキンソニズム、安静時振戦、硬直、運動緩慢、感覚鈍麻、痺れ、疼痛、および筋力低下の1つまたは複数が低減される、項目77から83のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目85)
被験体における自閉症スペクトラム障害(ASD)を処置するための方法であって、該被験体にVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目86)
前記VMAT2阻害剤が、選択的VMAT2阻害剤である、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択される、項目85または86に記載の方法。
(項目88)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目86または87に記載の方法。
(項目89)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目85から89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目85から90のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目91に記載の方法。
(項目93)
多動、集中できないこと、うつ病、不安症、強迫性行動、てんかん発作、反復運動、常同症、不随意運動、または自傷の1つまたは複数が低減される、項目85から92のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
自閉症スペクトラム障害(ASD)の処置において使用するための医薬組成物であって、VMAT2阻害剤と薬学的に許容される添加剤とを含む、医薬組成物。
(項目95)
前記VMAT2阻害剤が、選択的VMAT2阻害剤である、項目94に記載の医薬組成物。
(項目96)
前記VMAT2阻害剤が、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、
またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択される、項目94または95に記載の医薬組成物。
(項目97)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目95または96に記載の医薬組成物。
(項目98)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目97に記載の医薬組成物。
(項目99)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目94から98のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目100)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目94から99のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目101)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目100に記載の医薬組成物。
(項目102)
多動、集中できないこと、うつ病、不安症、強迫性行動、てんかん発作、反復運動、常同症、不随意運動、または自傷の1つまたは複数が低減される、項目94から101のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目103)
被験体における気分障害のうつ病を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目104)
被験体における気分障害のうつ病を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目105)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目1または2に記載の方法。(項目106)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目105に記載の方法。
(項目107)
前記気分障害が、双極性障害である、項目103から106のいずれか一項に記載の方法。
(項目108)
前記気分障害が、大うつ病性障害である、項目103から106のいずれか一項に記載の方法。
(項目109)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目103から108のいずれか一項に記載の方法。
(項目110)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目103から109のいずれか一項に記載の方法。
(項目111)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目110に記載の方法。
(項目112)
気分障害のうつ病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目113)
気分障害のうつ病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目114)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目112または113に記載の医薬組成物。
(項目115)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目114に記載の医薬組成物。
(項目116)
前記気分障害が、双極性障害である、項目113から115のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目117)
前記気分障害が、大うつ病性障害である、項目116に記載の医薬組成物。
(項目118)
約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、項目112から117のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目119)
経口投与のために製剤化されている、項目112から118のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目120)
錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、項目119に記載の医薬組成物。
(項目121)
被験体における有棘赤血球舞踏病を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目122)
被験体における有棘赤血球舞踏病を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目123)
有棘赤血球舞踏病の舌ジスキネジアを処置するための、項目121または122に記載の方法。
(項目124)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目121から123のいずれか一項に記載の方法。
(項目125)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目124に記載の方法。
(項目126)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目121から125のいずれか一項に記載の方法。
(項目127)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目121から126のいずれか一項に記載の方法。
(項目128)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目127に記載の方法。
(項目129)
有棘赤血球舞踏病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目130)
有棘赤血球舞踏病の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目131)
有棘赤血球舞踏病の舌ジスキネジアを処置するための、項目129または130に記載の医薬組成物。
(項目132)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目129から131のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目133)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目132に記載の医薬組成物。
(項目134)
約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、項目129から133のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目135)
経口投与のために製剤化されている、項目129から134のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目136)
錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、項目135に記載の医薬組成物。
(項目137)
被験体におけるレット症候群を処置するための方法であって、該被験体に選択的VMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目138)
被験体におけるレット症候群を処置するための方法であって、該被験体に、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤を投与するステップを含む、方法。
(項目139)
レット症候群の失行症を処置するための、項目137または138に記載の方法。
(項目140)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目137から139のいずれか一項に記載の方法。
(項目141)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目140に記載の方法。
(項目142)
前記VMAT2阻害剤が、約5mgから約100mgの1日用量で投与される、項目137から141のいずれか一項に記載の方法。
(項目143)
前記VMAT2阻害剤が、経口投与される、項目137から142のいずれか一項に記載の方法。
(項目144)
前記VMAT2阻害剤が、錠剤またはカプセル剤として投与される、項目143に記載の方法。
(項目145)
レット症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と選択的VMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目146)
レット症候群の処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される添加剤と、
テトラベナジン(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン)、
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(R,R,R DHTBZ)もしくはその前駆体、
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、
[(2R,3S,11bR)-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-1H,2H,3H,4H,6H,7H,11bH-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル]メタノールもしくはその前駆体、および
3-イソブチル-9,10-d-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オン(d-TBZ)、または
その同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体
から選択されるVMAT2阻害剤とを含む、医薬組成物。
(項目147)
レット症候群の失行症を処置するための、項目145または146に記載の医薬組成物。
(項目148)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステル、またはその同位体変種、薬学的に許容される塩、もしくは多形体である、項目145から147のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目149)
前記VMAT2阻害剤が、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、またはその同位体変種、またはその多形体である、項目148に記載の医薬組成物。
(項目150)
約5mgから約100mgの前記VMAT2阻害剤を有する剤形として製剤化されている、項目145から149のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目151)
経口投与のために製剤化されている、項目145から150のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目152)
錠剤またはカプセル剤として製剤化されている、項目151に記載の医薬組成物。
図1
【外国語明細書】