IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社三井住友銀行の特許一覧

特開2023-181541コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
<>
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図1
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図2
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図3
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図4
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図5
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図6
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図7
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図8
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図9
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図10
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図11
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図12
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図13
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図14
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図15
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図16
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図17
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図18
  • 特開-コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181541
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20231214BHJP
【FI】
G06F16/90 100
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189515
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2022045778の分割
【原出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】今泉 翔一朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慶
(72)【発明者】
【氏名】普照 伶
(72)【発明者】
【氏名】松尾 翔
(57)【要約】
【課題】コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法の提供。
【解決手段】ユーザによる発信情報を取得し、取得した発信情報に基づき、特定分野における課題及び課題に対する解決策を含む複数のナレッジデータと、各ナレッジデータに対する評価とを関連付けて記憶するナレッジデータベースの記憶内容を参照することにより、ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出し、算出した優先度に基づいて、ナレッジデータベースから読み出したナレッジデータを出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの発話を含む発信情報を取得し、
特定分野における課題及び課題に対する解決策を含む複数のナレッジデータと、各ナレッジデータに対する評価とを関連付けて記憶するナレッジデータベースの記憶内容を、取得したユーザの発信情報に基づいて参照することにより、前記ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出し、
算出した優先度に基づいて、前記ナレッジデータベースから読み出したナレッジデータを出力する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記ナレッジデータに対する評価を受付け、
受付けた評価に基づき、前記ナレッジデータベースの記憶内容を更新する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
ユーザ間の対話に係る対話データを取得し、
取得した対話データから課題及び課題に対する解決策を抽出して、ナレッジデータを生成し、
生成したナレッジデータを前記ナレッジデータベースに記憶させる
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1又は請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記特定分野とは異なる異分野の課題及び課題に対する解決策を含む複数のナレッジデータと、各ナレッジデータに対する評価とを関連付けて前記ナレッジデータベースに記憶させる
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1から請求項3の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記特定分野におけるナレッジデータの検索結果に応じて、前記異分野のナレッジデータを検索する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記特定分野のナレッジデータを出力する際、前記特定分野のナレッジデータと関連性を有する前記異分野のナレッジデータを併せて出力する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4又は請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記特定分野のナレッジデータを出力する際、前記特定分野のナレッジデータと関連性を有していない前記異分野のナレッジデータを併せて出力する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4又は請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記特定分野におけるナレッジデータと、前記異分野におけるナレッジデータとの間の課題又は解決策の類似度に基づき、両者の関連性を導出する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項6又は請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記特定分野におけるナレッジデータの蓄積数をカウントし、
カウントした蓄積数が設定値未満である場合、前記異分野のナレッジデータを前記特定分野のナレッジデータとして導入する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4から請求項8の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記特定分野におけるナレッジデータの集積速度又は集積加速度を算出し、
算出した集積速度又は集積加速度が設定値未満である場合、前記異分野のナレッジデータを前記特定分野のナレッジデータとして導入する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4から請求項8の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記特定分野におけるナレッジデータの利用頻度を算出し、
算出した利用頻度が設定値未満である場合、前記異分野のナレッジデータを前記特定分野のナレッジデータとして導入する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項4から請求項8の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
複数のユーザの属性情報を取得し、
取得した属性情報に基づき、ナレッジデータの登録を促すべきユーザを特定し、
特定したユーザに対して、ナレッジデータを登録すべき旨を通知する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1から請求項11の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記ナレッジデータの登録からの経過時間を計時し、
設定時間が経過した場合、前記特定したユーザに対して、ナレッジデータを登録すべき旨を通知する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記ナレッジデータベースを利用しているユーザの情報を表示する
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1から請求項13の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記ナレッジデータベースに記憶されている複数のナレッジデータを、各ナレッジデータを示すノードと、ノード間の関連性を示すエッジとによりマッピングする
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1から請求項14の何れか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
ナレッジデータ間の関連性の強弱、各ナレッジデータに対する閲覧者数、及び一定期間における閲覧数の増加率を含む各ナレッジデータの属性に応じて、前記ノード及び前記エッジの表示態様を異ならせる
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
ユーザの発話を含む発信情報を取得する取得部と、
特定分野における課題及び課題に対する解決策を含む複数のナレッジデータと、各ナレッジデータに対する評価とを関連付けて記憶するナレッジデータベースの記憶内容を、取得したユーザの発信情報に基づいて参照することにより、前記ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出する算出部と、
算出した優先度に基づいて、前記ナレッジデータベースから読み出したナレッジデータを出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項18】
ユーザの発話を含む発信情報を取得し、
特定分野における課題及び課題に対する解決策を含む複数のナレッジデータと、各ナレッジデータに対する評価とを関連付けて記憶するナレッジデータベースの記憶内容を、取得したユーザの発信情報に基づいて参照することにより、前記ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出し、
算出した優先度に基づいて、前記ナレッジデータベースから読み出したナレッジデータを出力する
処理をコンピュータにより実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザからの問い合わせに対し、コンピュータが、マニュアルや過去の事例等からなるナレッジを検索して自動応答したり、回答者が検索されたナレッジを活用して回答したりすることが行われている。コンピュータがナレッジを検索する際には、問い合わせに含まれる文章や単語の意味解析等によりキーワードを取得し、ナレッジの全文検索が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-189837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンピュータがナレッジの全文検索を行うと、不要なナレッジが相当数含まれる可能性があるので、ユーザに提供すべきナレッジを絞り込むことは困難である。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、優先度に基づきユーザに提示すべきナレッジを特定することができるコンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコンピュータプログラムは、ユーザによる発信情報を取得し、取得した発信情報に基づき、特定分野における課題及び課題に対する解決策を含む複数のナレッジデータと、各ナレッジデータに対する評価とを関連付けて記憶するナレッジデータベースの記憶内容を参照することにより、前記ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出し、算出した優先度に基づいて、前記ナレッジデータベースから読み出したナレッジデータを出力する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、優先度に基づきユーザに提示すべきナレッジを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの概要を説明する説明図である。
図2】実施の形態1に係る管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末の内部構成を示すブロック図である。
図4】ナレッジDBの構成例を示す概念図である。
図5】ナレッジDBの作成手順を説明するフローチャートである。
図6】発話部分の抽出手法を説明する説明図である。
図7】実施の形態1におけるナレッジデータの提示手順を説明するフローチャートである。
図8】ユーザ端末における表示例を示す模式図である。
図9】評価入力画面の一例を示す模式図である。
図10】実施の形態2に係る管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
図11】第1ナレッジDB及び第2ナレッジDBの構成例を示す概念図である。
図12】実施の形態2におけるナレッジデータの提示手順を説明するフローチャートである。
図13】実施の形態3におけるナレッジデータの提示手順を説明するフローチャートである。
図14】異分野ナレッジの導入手順を説明するフローチャートである。
図15】属性テーブルの一例を示す概念図である。
図16】実施の形態5に係る管理サーバが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
図17】ユーザ情報の表示例を示す模式図である。
図18】ナレッジグラフの第1表示例を示す模式図である。
図19】ナレッジグラフの第2表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る情報処理システムの概要を説明する説明図である。実施の形態1に係る情報処理システムは、管理サーバ10及びユーザ端末20を含む。これらのサーバ及び端末は通信ネットワークNWを介して互いに通信可能に接続される。図1の構成例では、簡略化のため、ユーザ端末20を1台としているが、複数台のユーザ端末20が通信ネットワークNWに接続されてもよい。
【0010】
管理サーバ10は、後述するナレッジDB121(図2を参照)を備える。ナレッジDB121は、特定分野における課題と、当該課題に対する解決策とを含む複数のナレッジデータ、及び各ナレッジデータに対する評価等を関連付けて記憶するデータベースである。
【0011】
管理サーバ10は、ユーザ端末20より発信されるユーザの発信情報を通信ネットワークNW経由で取得した場合、ナレッジDB121の記憶内容を参照することにより、ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出し、算出した優先度に基づいて、ナレッジDB121から読み出したナレッジデータをユーザ端末20へ返信する。
【0012】
以下、情報処理システムの構成例について説明する。
図2は実施の形態1に係る管理サーバ10の内部構成を示すブロック図である。管理サーバ10は、例えば、汎用又は専用のサーバコンピュータであり、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15などを備える。
【0013】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部11のCPUは、ROM又は記憶部12に予め記憶された各種プログラムをRAMに展開して実行することにより、上述した各種ハードウェアの動作を制御し、装置全体を本願の情報処理装置(コンピュータ)として機能させる。
【0014】
制御部11は、上記の構成に限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、揮発性又は不揮発性のメモリ等を1又は複数備えた演算回路や制御回路であってもよい。また、制御部11は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0015】
記憶部12は、ハードディスク、フラッシュメモリなどを用いた記憶装置を備える。記憶部12は、制御部11によって実行されるコンピュータプログラム、外部から取得した各種データ、装置内部で生成した各種データ等を記憶する。本実施の形態では、ナレッジデータを記憶するナレッジDB121を記憶部12に備える。ナレッジDB121の構成については後に詳述する。
【0016】
通信部13は、通信ネットワークNWに接続するための通信インタフェースを備える。通信部13が備えるインタフェースは、例えば、WiFi(登録商標)、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に準じた通信インタフェースである。通信部13は、外部へ通知すべき各種情報を送信すると共に、外部から自装置宛に送信される各種情報を受信する。
【0017】
操作部14は、キーボードやマウスなどの入力デバイスを備えており、各種情報の入力を受付ける。制御部11は、操作部14から入力される情報に基づき適宜の制御を行い、必要に応じて入力された情報を記憶部12に記憶させる。
【0018】
表示部15は、液晶表示パネル、有機EL表示パネル等の表示デバイスを備えており、制御部11から出力される制御信号に基づいて、管理者に通知すべき情報を表示する。
【0019】
管理サーバ10は、単一のコンピュータである必要はなく、複数のコンピュータや周辺機器からなるコンピュータシステムであってもよい。更に、管理サーバ10は、ソフトウェアによって仮想的に構築される仮想マシンであってもよい。
【0020】
また、本実施の形態では、管理サーバ10がナレッジDB121を備える構成としたが、ナレッジDB121は、管理サーバ10の外部に設けられてもよい。たとえば、ナレッジDB121は、管理サーバ10から通信ネットワークNWを介してアクセス可能に設けられてもよい。
【0021】
図3はユーザ端末20の内部構成を示すブロック図である。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの端末装置であり、制御部21、記憶部22、通信部23、音声入力部24、操作部25、及び表示部26を備える。
【0022】
制御部21は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備える。制御部21のCPUは、ROM又は記憶部22に予め記憶された各種プログラムをRAMに展開して実行することにより、上述した各種ハードウェアの動作を制御し、装置全体を本願のユーザ端末として機能させる。
【0023】
なお、制御部21は、上記の構成に限定されるものではなく、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インタフェース等を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されてもよい。また、制御部21は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0024】
記憶部22は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどを用いた記憶装置を備える。記憶部22には、制御部21によって実行される各種コンピュータプログラム、及びコンピュータプログラムの実行に必要なデータ等が記憶される。
【0025】
通信部23は、通信ネットワークNWに接続するための通信インタフェースを備える。通信部23が備える通信インタフェースは、例えば、WiFi(登録商標)、3G、4G、5G、LTE等の無線通信規格に準じた通信インタフェースである。通信部23は、外部へ通知すべき各種情報を送信すると共に、外部から自装置宛に送信される各種情報を受信する。
【0026】
音声入力部24は、マイクなどの音声入力デバイスを備える。音声入力部24は、マイクを通じて入力されるアナログの音声信号を増幅し、デジタル形式の音声データに変換した後、記憶部22へ出力する。音声入力部24より出力される音声データは、記憶部22に記憶される。
【0027】
操作部25は、タッチパネルや操作ボタンなどの入力デバイスを備えており、各種の操作情報や設定情報を受付ける。制御部21は、操作部25から入力される操作情報に基づき適宜の制御を行い、必要に応じて設定情報を記憶部22に記憶させる。
【0028】
表示部26は、液晶表示パネル、有機EL表示パネル等の表示デバイスを備えており、制御部21から出力される制御信号に基づいて、ユーザに通知すべき情報を表示する。
【0029】
以下、ナレッジDB121の構成について説明する。
図4はナレッジDB121の構成例を示す概念図である。ナレッジDB121は、ナレッジデータ、ナレッジデータ毎の閲覧数、各ナレッジデータに対するユーザの評価を関連付けて記憶する。各ナレッジデータは、特定分野における状況、その状況で発生し得る課題、当該課題に対する解決策を含む。
【0030】
図4に一例として示すナレッジDB121は、デジタルソリューション分野のナレッジデータを蓄積したデータベースを示している。このナレッジDB121に記憶されるナレッジデータは、例えば、「デジタルを活用したソリューションをはじめて提案するとき」という状況において、「顧客担当者がデジタルが苦手である」という課題があり、その解決策として「DX勉強会の案内を差し上げる」という解決策を含む。ナレッジデータの他の例は、「具体的なソリューションの導入を検討するとき」という状況において、「セキュリティが不安という声があり、顧客内稟議が進まない」という課題があり、その解決策として「セキュリティ支援策を紹介する」、「他社事例を紹介する」という解決策を含む。ナレッジDB121には、このような状況、課題、解決策を含んだ多数のナレッジデータが記憶される。
【0031】
閲覧数は、ナレッジデータがユーザにより閲覧された回数を示す。管理サーバ10は、ユーザ端末20にナレッジデータを提供した回数をナレッジデータ毎にカウントし、カウント値をナレッジデータの閲覧数としてナレッジDB121に登録する。各ナレッジデータの評価は、ナレッジデータを利用したユーザによる評価の平均値を示す。管理サーバ10は、ナレッジデータをユーザに提供した際、ユーザによる評価(例えば5段階評価)を受付け、過去に受付けた評価を基に平均値を算出してナレッジDB121に登録する。
【0032】
なお、図4の例では、ナレッジデータは、状況、課題、及び解決策を含むデータとしたが、状況を含まずに解題及び解決策のみを含むデータであってもよい。更に、ナレッジデータは、状況及び解決策を含まずに課題のみを含むデータであってもよい。
【0033】
ナレッジDB121に登録されるナレッジデータは、ユーザ間の対話データに基づいて、管理サーバ10により自動的に抽出されるとよい。
【0034】
以下、ナレッジDB121の作成手順について説明する。
図5はナレッジDB121の作成手順を説明するフローチャートである。管理サーバ10は、通信部13を通じてユーザの対話データを取得する(ステップS101)。本実施の形態において、対話データは、例えば音声データであり、ユーザが顧客と対話しているときにユーザ端末20の音声入力部24より入力され、記憶部22に記憶されるものとする。管理サーバ10は、通信ネットワークNWを介してユーザ端末20と通信することにより、リアルタイム若しくは対話終了後の適宜のタイミングで、ユーザの対話データを取得する。管理サーバ10は、取得した対話データを記憶部12に記憶させる。
【0035】
管理サーバ10の制御部11は、取得した対話データを解析し、状況、課題、及び解決策を含んだ発話部分を対話データから抽出する(ステップS102)。制御部11は、例えば、対話データに基づいてユーザ(対話相手の顧客を含む)の感情を推定することにより、状況、課題、及び解決策を含んだ発話部分を対話データから抽出することができる。
【0036】
図6は発話部分の抽出手法を説明する説明図である。図6に示すグラフの横軸は時間、縦軸は発話のテンションを示している。管理サーバ10の制御部11は、例えば、感情推定用の学習モデルを用いることにより、発話のテンションを推定することができる。感情推定用の学習モデルは、SVM(Support Vector Machine)などの既知のモデルであり、例えば、対話データ(音声データ)を入力した場合、テンションの高低に関する情報を出力するように構成される。このような学習モデルは、ユーザの発話データと、心拍や脈拍などのバイタルデータにより特定されるテンション(正解データ)とを含むデータセットを訓練データに用いて、所定の学習アルゴリズムに従って学習することにより生成される。生成された学習モデルは、管理サーバ10の記憶部12に記憶されてもよく、外部のサーバ装置に記憶されてもよい。
【0037】
管理サーバ10の制御部11は、通信部13を通じてユーザの対話データを取得した場合、取得した対話データを学習済みの学習モデルに入力して、発話のテンションを推定する。制御部11は、学習モデルによる演算結果を参照することにより、会話のテンションが相対的に高い区間と、会話のテンションが相対的に低い区間とを区別する。図6の例において、区間Cは、学習モデルによる演算の結果、発話のテンションが相対的に高い区間として特定された区間を示している。制御部11は、この区間Cの発話データを、解決策を含んだ発話部分として抽出する。また、制御部11は、区間Cと連なり、発話のテンションが増加傾向にある区間Bの発話データを、課題を含んだ発話部分として抽出する。更に、制御部11は、区間Bと連なり、発話のテンションが相対的に低い区間Aの発話データを、状況を含んだ発話部分として抽出する。
【0038】
制御部11は、状況を含んだ対話部分の対話データ、課題を含んだ対話部分の対話データ、及び解決策を含んだ対話部分の対話データをそれぞれテキストデータに変換する(ステップS103)。対話データ(音声データ)からテキストデータ(文字列データ)への変換には、隠れマルコフモデルや統計的手法などの公知の手法を用いることができる。
【0039】
制御部11は、テキストデータへの変換後、状況を含んだ対話部分のテキストデータ、課題を含んだ対話部分のテキストデータ、及び解決策を含んだ対話部分のテキストデータを互いに関連付け、ナレッジデータとしてナレッジDB121に登録する(ステップS104)。制御部11は、ナレッジDB121にナレッジデータを登録する際、形態素解析や文脈解析などを実行し、登録すべきテキストを整形したり、不必要な部分を削除するなどの処理を行ってもよい。なお、登録直後のナレッジデータの閲覧数には「0」が登録され、評価には「なし」が登録される。
【0040】
管理サーバ10は、システムの運用開始前だけでなく、運用開始後においてもユーザ端末20からユーザの発話データを随時取得し、発話データから、状況、課題、解決策を含む発話部分を抽出することにより、ナレッジデータの収集、及びナレッジDB121への登録を行う。
【0041】
なお、本実施の形態では、音声データから発話のテンションを推定し、推定したテンションに基づき、状況、課題、解決策に相当する対話部分を抽出する構成としたが、音声データをテキストデータに変換した後、形態素解析や文脈解析などを利用してユーザの意図を把握することにより、テキストデータから状況、課題、解決策を抽出する構成としてもよい。
【0042】
また、ユーザ間の発話データは、音声データに限らず、チャットやメールに含まれるテキストデータであってもよい。この場合、制御部11は、形態素解析や文脈解析などを利用してユーザの意図を把握することにより、テキストデータから状況、課題、解決策を抽出し、抽出した状況、課題、解決策を示すテキストデータをナレッジデータとしてナレッジDB121に登録すればよい。
【0043】
管理サーバ10は、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)やGPT-3(Generative Pre-Training-3)などの自然言語処理モデルを用いて、ユーザ間の発話に相当するテキストデータから、状況、課題、解決策を抽出する構成としてもよい。この場合、テキストデータを入力した場合に、状況を示す文章を出力するようチューニングされた第1自然言語処理モデル、課題を示す文章を出力するようチューニングされた第2自然言語処理モデル、及び解決策を示す文章を出力するようチューニングされた第3自然言語処理モデルを用いて、テキストデータから状況、課題、解決策を抽出すればよい。
【0044】
更に、対話データを取得するユーザをユーザの属性に応じて限定してもよい。例えば、ナレッジDB121がデジタルソリューション分野のナレッジを記憶するものである場合、デジタルソリューション関連の業務を行っているユーザに限定して、対話データを取得し、その対話データから抽出したナレッジをナレッジDB121に登録する構成としてもよい。このため、事前にユーザ認証を行い、認証されたユーザの業務がデジタルソリューション関連であると特定できた場合にのみ対話データを取得してもよい。
【0045】
以下、ナレッジDB121が作成され、システムの運用が開始された後に管理サーバ10が実行する処理について説明する。
【0046】
図7は実施の形態1におけるナレッジデータの提示手順を説明するフローチャートである。管理サーバ10の制御部11は、通信部13を通じて、ユーザから発信される発信情報を取得する(ステップS121)。ユーザから発信される発信情報は、ナレッジデータの提供を希望するユーザ(例えば、事前に登録されたユーザ)から発信される任意の情報である。発信情報は、ユーザ端末20の音声入力部24又は操作部25より入力され、通信ネットワークNWを介して管理サーバ10に送信される。
【0047】
制御部11は、取得したユーザの発信情報から課題を抽出する(ステップS122)。課題の抽出には、前述と同様の手法が用いられる。すなわち、ユーザの発信情報が音声データであれば、感情推定により、テンションが徐々に高まりつつある音声データの区間を特定することにより、課題を含んだ発話部分を抽出すればよい。また、ユーザの発信情報がテキストデータであれば、形態素解析や文脈解析などを利用してユーザの意図を把握することにより、課題に相当する発話部分を抽出すればよい。
【0048】
制御部11は、抽出した課題を検索キーとしてナレッジDB121の記憶内容を参照することにより、ユーザに提示すべきナレッジデータの優先度を算出する(ステップS123)。制御部11は、ステップS122で抽出した課題と、ナレッジDB121に登録されている課題との類似度を求め、類似度の高低に応じて優先度を決定すればよい。
【0049】
例えば、制御部11は、課題に含まれる単語の出現頻度をカウントして、出現頻度を要素に持つ文書ベクトルを生成し、生成した文書ベクトル間の類似度を算出することにより、課題間の類似度を求める。例えば、ナレッジDB121に登録されている課題が「顧客担当者がデジタルが苦手である」であった場合、「顧客担当者」、「デジタル」、「苦手」という単語の出現回数がそれぞれ1回であるため、制御部11は、1,1,1を要素に持つ文書ベクトルを生成する。一方、ステップS122で抽出した課題が「デジタルが苦手である」というものであった場合、「顧客担当者」の出現回数は0回、「デジタル」及び「苦手」の出現回数はそれぞれ1回であるため、制御部11は、0,1,1を要素に持つ文書ベクトルを生成する。制御部11は、生成した2つの文書ベクトル間の類似度を算出することにより、課題間の類似を求めることができる。なお、文書ベクトル間の類似度の算出には、コサイン類度などの公知の手法が用いられる。
【0050】
また、ナレッジDB121には各ナレッジデータに対するユーザの評価が含まれているので、制御部11は、各ナレッジデータの評価を考慮して優先度を算出してもよい。課題間の類似度をX、ナレッジデータの評価をYとした場合、制御部11は、例えば、w1×X+w2×Yにより優先度を算出することができる。ここで、w1,w2は適宜に設定される重みである。
【0051】
制御部11は、ステップS123で算出した優先度に基づいて、ナレッジDB121よりナレッジデータを読み出す(ステップS124)。制御部11は、例えば、優先度が最も高いナレッジデータのみをナレッジDB121から読み出す。代替的に、制御部11は、優先度に対して閾値を設定しておき、閾値を超えた優先度を持つ1又は複数のナレッジデータをナレッジDB121から読み出してもよい。また、制御部11は、優先度が高いものから順に所定数のナレッジデータをナレッジDB121から読み出してもよい。
【0052】
制御部11は、ステップS124で読み出したナレッジデータを出力する(ステップS125)。具体的には、制御部11は、ナレッジDB121から読み出したナレッジデータを通信部13よりユーザ端末20へ送信する。送信するナレッジデータは、課題に対する解決策のみであってもよく、状況、課題、及び解決策を含んでもよい。また、制御部11は、ナレッジDB121にアクセスし、ユーザに提供したナレッジデータの閲覧数を+1だけ増加させる。
【0053】
ユーザ端末20は、管理サーバ10から送信されるナレッジデータを通信部23にて受信した場合、受信したナレッジデータを表示部26に表示させる。図8はユーザ端末20における表示例を示す模式図である。図8に一例として示す表示画面200は、ユーザの課題を表示する課題表示欄201、管理サーバ10より提供される解決策を表示する解決策表示欄202、課題選択欄203、送信ボタン204、終了ボタン205を備える。
【0054】
図8の例では、「デジタルが苦手である」というユーザの課題(つぶやき)に対し、「DX勉強会の案内を差し上げます」、「関連書籍を紹介します」、…、「サポートセンターを紹介します」という管理サーバ10によって提案される複数の解決策が解決策表示欄202に表示される。なお、これらの解決策は、管理サーバ10によって算出された優先度順に表示されるとよい。
【0055】
課題選択欄203では、ユーザによる解決策の選択を受付ける。送信ボタン204が押下操作された場合、ユーザにより選択された解決策の番号(図8の例では1~nのn個の番号)が管理サーバ10に通知される。終了ボタン205が押下操作された場合、解決策の番号が通知されることなく、表示画面200が閉じられる。なお、管理サーバ10は、ユーザ端末20から通知される解決策の番号に従って、ユーザの課題を解決するための処理を実行してもよい。例えば、図8の表示画面200において、解決策1が選択された場合、DX勉強会の案内をメールやSNS(Short Messaging Service)によりユーザ端末20に通知すればよい。
【0056】
管理サーバ10の制御部11は、ナレッジデータをユーザに提供した後の適宜のタイミングにて、ナレッジデータに対する評価をユーザに要求する(ステップS126)。具体的には、制御部11は、評価入力画面の画面データを通信部13よりユーザ端末20へ送信し、ユーザ端末20の表示部26に評価入力画面を表示させることにより、ユーザによる評価を要求する。図9は評価入力画面の一例を示す模式図である。図9に一例として示す評価入力画面210は、各ナレッジデータに対する評価を受付けるための評価受付欄211-1,211-2,…,211-n、受付けた評価を管理サーバ10へ送信するための送信ボタン212、評価を送信することなく評価入力画面210を閉じるための終了ボタン213を備える。評価受付欄211-1,211-2,…,211-nには、ステップS125で提示した各ナレッジデータに対するユーザの評価が例えば5段階評価で入力される。送信ボタン212が押下操作された場合、ユーザによる評価がユーザ端末20から管理サーバ10へ送信される。
【0057】
なお、本実施の形態では、管理サーバ10からユーザ端末20に提示された全てのナレッジデータについて評価を受付ける構成としたが、ユーザが選択した解決策のみについて評価を受付ける構成としてもよい。
【0058】
管理サーバ10の制御部11は、ユーザ端末20から送信される評価を受信し(ステップS127)、ナレッジDB121におけるナレッジデータの評価を更新する(ステップS128)。このとき、制御部11は、過去に受付けた評価を基に評価の平均値を算出し、算出した評価の平均値をナレッジDB121に登録すればよい。
【0059】
本実施の形態では、ユーザ端末20から発信される発信情報を受信した際、感情推定や文脈解析などによりユーザの課題を抽出する構成としたが、ユーザによる課題を直接的に受付け、受付けた課題を管理サーバ10へ送信する構成としてもよい。この場合、管理サーバ10は、ユーザ端末20から受信した課題を基にナレッジDB121を参照し、対応する解決策を検索すればよい。
【0060】
以上のように、実施の形態1では、ユーザの課題に適合するナレッジデータをナレッジDB121から抽出してユーザに提示することができ、提示したナレッジデータに対するユーザの評価を基にナレッジDB121を更新することができる。ユーザの評価によってナレッジDB121の最適化が進み、ナレッジDBの最適化が進むことによって、ユーザ数やユーザの利用頻度を増やすことができる。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態2では、複数分野のナレッジDBを備える構成について説明する。
【0062】
図10は実施の形態2に係る管理サーバ10の内部構成を示すブロック図である。管理サーバ10は、例えば、汎用又は専用のサーバコンピュータであり、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15などを備える。これらのハードウェア各部の構成は、実施の形態1と同様である。
【0063】
実施の形態2では、管理サーバ10がデジタルソリューション分野のナレッジデータを蓄積したナレッジDB121と、eコマース分野のナレッジDB122とを備える構成について説明する。以下の説明において、ナレッジDB121を第1ナレッジDB121、ナレッジDB121を第2ナレッジDB122と表記する。
【0064】
図11は第1ナレッジDB121及び第2ナレッジDB122の構成例を示す概念図である。第1ナレッジDB121は、デジタルソリューション分野におけるナレッジデータ、ナレッジデータ毎の閲覧数、各ナレッジデータに対するユーザの評価を関連付けて記憶する。第2ナレッジDB122は、eコマース分野におけるナレッジデータ、ナレッジデータ毎の閲覧数、各ナレッジデータに対するユーザの評価を関連付けて記憶する。管理サーバ10は、実施の形態1と同様の手法を用いて、第1ナレッジDB121及び第2ナレッジDB122を作成することができる。
【0065】
なお、第1ナレッジDB121を作成する場合には、デジタルソリューション関連の業務を行っているユーザに限定して、対話データを取得し、その対話データから抽出したナレッジを第1ナレッジDB121に登録すればよく、第2ナレッジDB122を作成する場合には、eコマース関連の業務を行っているユーザに限定して、対話データを取得し、その対話データから抽出したナレッジを第2ナレッジDB122に登録すればよい。
【0066】
以下、第1ナレッジDB121及び第2ナレッジDB122が作成され、システムの運用が開始された後に管理サーバ10が実行する処理について説明する。
【0067】
図12は実施の形態2におけるナレッジデータの提示手順を説明するフローチャートである。管理サーバ10の制御部11は、通信部13を通じて、ユーザから発信される発信情報を取得し(ステップS201)、発信情報から課題を抽出する(ステップS202)。
【0068】
次いで、制御部11は、検索すべきナレッジDBを決定する(ステップS203)。例えば、制御部11は、取得した発信情報又は課題から特定のキーワードを抽出し、抽出したキーワードを含む分野を特定することにより、検索すべきナレッジDBを決定すればよい。また、制御部11は、事前にユーザ認証を行い、認証時に特定されるユーザの属性に基づき、検索すべきナレッジDBを決定してもよい。本実施の形態では、第1ナレッジDB121又は第2ナレッジDB122の何れか一方に決定される。
【0069】
制御部11は、ステップS203で決定したナレッジDB(例えば、第1ナレッジDB121とする)を参照し、実施の形態1と同様の手順にて、提示すべきナレッジデータの優先度を算出する(ステップS204)。
【0070】
次いで、制御部11は、異分野のナレッジを提供するか否かを判断する(ステップS205)。制御部11は、例えば、優先度が設定値よりも高い所定数以上(例えば1以上)のナレッジを第1ナレッジDB121より抽出できなかった場合、異分野のナレッジデータが登録された第2ナレッジDB122からナレッジデータを提供すると判断する。代替的に、制御部11は、ステップS203で決定したナレッジDBに登録されているナレッジデータの数が十分に多くない場合(すなわち、設定数よりも少ない場合)、異分野のナレッジを提供すると判断してもよい。異分野のナレッジを提供しないと判断した場合(S205:NO)、制御部11は、以下のステップS207以降の処理を実行する。
【0071】
異分野のナレッジを提供すると判断した場合(S205:YES)、制御部11は、異分野のナレッジDB(例えば、第2ナレッジDB122)を参照し、実施の形態1と同様の手順にて、提示すべきナレッジデータの優先度を算出する(ステップS206)。すなわち、制御部11は、ステップS202で抽出した課題と、異分野のナレッジDBに登録されている課題との類似度を求め、類似度の高低に応じて優先度を決定すればよい。
【0072】
制御部11は、算出したナレッジデータの優先度に基づき、ナレッジデータをナレッジDBより読み出す(ステップS207)。制御部11は、第1ナレッジDB121及び第2ナレッジDB122の双方からナレッジデータを読み出してもよく、何れか一方からナレッジデータを読み出してもよい。制御部11は、読み出したナレッジデータを外部へ出力する(ステップS208)。
【0073】
制御部11は、ナレッジデータをユーザに提供した後の適宜のタイミングにて、ナレッジデータに対する評価をユーザに要求する(ステップS209)。制御部11は、ユーザ端末20から送信されるナレッジデータの評価を受信し(ステップS210)、受信した評価に基づき、ナレッジDBを更新する(ステップS211)。
【0074】
以上のように、実施の形態2では、特定分野(例えばデジタルソリューション分野)における課題に対する解決策がその分野のナレッジDBに登録されていない場合等において、異分野のナレッジDBからナレッジデータを検索し、ユーザに提供することができる。
【0075】
(実施の形態3)
実施の形態3では、複数の分野のナレッジDBを横断して検索し、ユーザにナレッジデータを提供する構成について説明する。
【0076】
実施の形態3に係る管理サーバ10は、実施の形態2と同様に、第1ナレッジDB121及び第2ナレッジDB122を備えるものとする。
【0077】
図13は実施の形態3におけるナレッジデータの提示手順を説明するフローチャートである。管理サーバ10の制御部11は、通信部13を通じて、ユーザから発信される発信情報を取得し(ステップS301)、発信情報から課題を抽出する(ステップS302)。
【0078】
制御部11は、特定分野のナレッジDB(例えば、第1ナレッジDB121とする)を参照し、実施の形態1と同様の手順にて、提示すべきナレッジデータの優先度を算出する(ステップS303)。制御部11は、算出したナレッジデータの優先度に基づき、ナレッジデータを第1ナレッジDB121より読み出す(ステップS304)。
【0079】
次いで、制御部11は、読み出した特定分野のナレッジデータと関連性を有するナレッジデータを異分野のナレッジDB(例えば、第2ナレッジDB122とする)から読み出す(ステップS305)。ナレッジデータの関連性は、課題又は解決策の類似度に基づき導出される。例えば、制御部11は、課題又は解決策に含まれる単語の出現頻度をカウントして、出現頻度を要素に持つ文書ベクトルを生成し、生成した文書ベクトル間の類似度を算出することにより、課題又は解決策間の類似度を求めることができる。制御部11は、課題又は解決課題の類似度が高いものを、関連性を有するナレッジデータとして特定することができる。
【0080】
制御部11は、ステップS304及びステップS305で読み出したナレッジデータを外部へ出力する(ステップS306)。
【0081】
制御部11は、ナレッジデータをユーザに提供した後の適宜のタイミングにて、ナレッジデータに対する評価をユーザに要求する(ステップS307)。制御部11は、ユーザ端末20から送信されるナレッジデータの評価を受信し(ステップS308)、受信した評価に基づき、ナレッジDBを更新する(ステップS309)。
【0082】
以上のように、実施の形態3では、特定分野(例えばデジタルソリューション分野)のナレッジDBから抽出したナレッジデータに加え、当該ナレッジデータと関連性を有する異分野(例えば、eコマース分野)のナレッジデータを併せてユーザに提供することができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、特定分野のナレッジデータと関連性を有する異分野のナレッジデータを併せてユーザに提供する構成としたが、特定分野のナレッジデータと関連性を有していない異分野のナレッジデータを併せて出力する構成としてもよい。この場合、上述したフローチャートのステップS305において、課題又は解決課題の類似度が低いものを、関連性を有するナレッジデータとして特定すればよい。
【0084】
(実施の形態4)
実施の形態4では、特定分野におけるナレッジDBに異分野のナレッジデータを導入する構成について説明する。
【0085】
図14は異分野ナレッジの導入手順を説明するフローチャートである。制御部11は、特定分野におけるナレッジDBを作成した後の適宜のタイミングにて、当該ナレッジDBにおけるナレッジデータの蓄積数をカウントする(ステップS401)。
【0086】
制御部11は、カウントした蓄積数を設定値と比較し、蓄積数が設定値未満であるか否かを判断する(ステップS402)。設定値は、管理者等により適宜設定される。
【0087】
蓄積数が設定値未満であると判断した場合(S402:YES)、制御部11は、特定分野のナレッジDBに対し、異分野のナレッジDBに登録されているナレッジデータを導入する(ステップS403)。このとき、制御部11は、異分野のナレッジDBに登録されているナレッジデータの一部又は全部を読み出し、読み出したナレッジデータを、特定分野のナレッジデータとして特定分野のナレッジDBに登録する。制御部11は、異分野のナレッジDBに登録されているナレッジデータの一部を読み出す際、例えば、特定分野のナレッジデータと関連性を有する異分野のナレッジデータを抽出し、それらを特定分野のナレッジデータとしてナレッジDBに登録してもよい。また、制御部11は、異分野のナレッジDBにおいて評価が設定値よりも高いナレッジデータを抽出し、それらを特定分野のナレッジデータとしてナレッジDBに登録してもよい。
【0088】
ステップS402において、蓄積数が設定値以上であり、十分な数のナレッジデータがナレッジDBに登録されていると判断した場合(S402:NO)、制御部11は、異分野のナレッジデータを導入することなく、本フローチャートによる処理を終了する。
【0089】
以上のように、実施の形態4では、ナレッジデータの登録数が少なく、十分に活用されていない可能性がある特定分野のナレッジDBに対し、異分野のナレッジデータが導入される。この結果、例えば金融分野のナレッジDBに医療分野などの全く別の分野のナレッジデータが導入される可能性があり、金融分野に属するユーザに対して、刺激のある解決策を提供することができ、ナレッジDBの利用を促すことができる。
【0090】
本実施の形態では、ナレッジデータの蓄積数を判断指標として、異分野のナレッジデータを導入するか否かを判断する構成としたが、判断指標は、蓄積数に限らず、集積速度や集積加速度であってもよい。例えば、制御部11は、所定期間あたりのナレッジデータの蓄積数を集積速度として算出し、それが設定値未満の場合、異分野のナレッジデータを導入すると判断してもよい。また、制御部11は、所定期間あたりのナレッジデータの集積速度を集積加速度として算出し、それが設定値未満の場合、異分野のナレッジデータを導入すると判断してもよい。
【0091】
更に、特定分野におけるナレッジデータの利用頻度を指標として、異分野のナレッジデータを導入するか否かを判断してもよい。制御部11は、特定分野のナレッジDBを参照してナレッジデータをユーザに提供した回数を利用頻度として計数し、それが設定値未満の場合、異分野のナレッジデータを導入すると判断してもよい。
【0092】
(実施の形態5)
実施の形態5では、ユーザに対してナレッジデータの登録を促す構成について説明する。
【0093】
実施の形態5に係る管理サーバ10は、ユーザの属性情報を記憶する属性テーブル120を記憶部12に備える。図15は属性テーブル120の一例を示す概念図である。属性テーブル120は、ユーザのID、パスワード、氏名、メールアドレス、所属部署、分野、利用頻度などのユーザの属性情報を関連付けて記憶する。ここで、ID及びパスワードは、管理サーバ10にてユーザ認証を実行する際に利用される認証情報である。管理サーバ10は、本システムの利用時にID及びパスワードによるユーザ認証を実行することが可能である。分野は、ユーザがナレッジデータの提供を希望する分野を示している。利用頻度は、ユーザが管理サーバ10からナレッジデータの提供を受けた回数を示している。属性情報は、上記に限らず、良い解決策を提供することが期待できるユーザであるか否かを示す情報を含んでもよい。
【0094】
図16は実施の形態5に係る管理サーバ10が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。管理サーバ10の制御部11は、内蔵タイマを用いて、ナレッジDB121にナレッジデータを最後に登録してからの経過時間を計時し(ステップS501)、設定時間が経過したか否かを判断する(ステップS502)。設定時間が経過していない場合(S502:NO)、制御部11は、処理をステップS501へ戻す。
【0095】
ナレッジデータを最後に登録してから設定時間が経過したと判断した場合(S502:YES)、制御部11は、属性テーブル120を参照し、ナレッジデータの登録を促すべきユーザを特定する(ステップS503)。登録対象がデジタルソリューション分野のナレッジDB121である場合、制御部11は、属性テーブル120からデジタルソリューション分野に属するユーザを検索し、検索されたユーザのうち、例えば利用頻度が最も高いユーザをナレッジデータの登録を促すべきユーザとして特定する。また、制御部11は、良い解決策を提供することが期待できるユーザをナレッジデータの登録を促すべきユーザとして特定してもよい。
【0096】
制御部11は、特定したユーザに対し、ナレッジデータの登録を要求する(ステップS504)。具体的には、制御部11は、属性テーブル120を参照して、要求先のユーザのメールアドレスを読み出し、読み出したメールアドレスを宛先としたメールを送信することにより、ナレッジデータの登録を要求する。
【0097】
制御部11は、ユーザにナレッジデータの登録を要求した後、当該ユーザのユーザ端末20から送信されるナレッジデータを受信したか否かを判断する(ステップS505)。受信していない場合(S505:NO)、制御部11は、ナレッジデータを受信するまで待機する。
【0098】
ナレッジデータを受信した場合、制御部11は、受信したナレッジデータに含まれる状況、課題、解決策を該当分野のナレッジDB(例えばナレッジDB121)に登録する(ステップS506)。
【0099】
以上のように、実施の形態5では、ユーザの属性情報を基に登録を促すべきユーザを特定し、特定したユーザにナレッジデータの登録を促すので、ナレッジDBを逐次更新することができる。また、ナレッジデータを逐次更新することにより、ユーザの利用頻度が高まる。
【0100】
本実施の形態では、登録を促したユーザからナレッジデータを受信しなかった場合、当該ユーザからナレッジデータを受信するまで待機する構成としたが、待機する構成に代えて、別のユーザを検索し、検索されたユーザにナレッジデータの登録を促してもよい。
【0101】
本実施の形態では、ユーザの属性情報に基づき、登録を促すべきユーザを特定する構成としたが、各ユーザに対してナレッジデータの登録が可能か否かの問い合わせを行い、登録可能との回答があったユーザからナレッジデータを取得してナレッジDBに登録する構成としてもよい。
【0102】
(実施の形態6)
実施の形態6では、ナレッジDBを利用しているユーザの情報を表示する構成について説明する。
【0103】
実施の形態6に係る管理サーバ10は、ユーザ端末20から要求を受付け場合、属性テーブル120からユーザの情報を読み出し、読み出した情報をユーザ端末20に提供する。このとき、管理サーバ10は、属性テーブル120から読み出した情報を集計して、ユーザ端末20に提供してもよい。
【0104】
図17はユーザ情報の表示例を示す模式図である。図17に示す表示画面220は、ユーザ端末20の表示部26に表示される画面の一例を示している。表示画面220は、分野毎にどの部署がナレッジデータの利用頻度が高いかを一覧で示している。管理サーバ10は、属性テーブル120を参照し、分野毎に部署毎のナレッジデータの利用頻度を集計することにより、図17に示すような表示画面220を生成することができる。
【0105】
図17では、分野毎に集計した部署毎の利用頻度を表示する表示画面220を例示したが、分野毎に集計したユーザ毎の利用頻度を表示画面220に表示してもよい。
【0106】
以上のように、実施の形態6では、ナレッジDBを利用しているユーザの情報を表示するので、利用頻度の高いユーザの参照行動により、他のユーザの参照行動を誘発させることができる。
【0107】
(実施の形態7)
実施の形態7では、ナレッジグラフを表示する構成について説明する。
【0108】
図18はナレッジグラフの第1表示例を示す模式図である。図18に第1表示例として示す表示画面230は、デジタルソリューション分野のナレッジグラフと、eコマース分野のナレッジグラフとを含む。各ナレッジグラフにおけるノードは、ナレッジDBにナレッジデータから抽出した単語を表している。図18の例において、白丸はデジタルソリューション分野のノード、黒丸はeコマース分野のノードを表す。ノードの大小は、閲覧数を表す。ノードが大きい程、閲覧数が多く、ノードが小さい程、閲覧数が少ないことを示している。また、互いに関連性を有するノード間はエッジ(リンクともいう)により接続されている。エッジの長さは、関連性の度合いを表す。エッジが短い程、関連性が高く、エッジが長い程、関連性が低いことを示している。更に、eコマース分野のノードからデジタルソリューション分野のノードに向かう矢印は、異分野ナレッジの導入機能により、eコマース分野からデジタルソリューション分野にナレッジデータが導入されたことを示している。
【0109】
また、一定期間における閲覧数の増加率に応じて、ノードを点滅させたり、表示色を変更したりして、強調表示が実行されてもよい。更に、ナレッジデータの評価の高低に応じて、エッジの太さが変更されてもよい。
【0110】
更に、ノードの密度が低い領域を特定し、特定した領域のノードを増加させるために、ユーザに対してナレッジデータの登録を促してもよい。図18の例では、eコーマ分野のナレッジグラフにノードの密度が低い領域が存在するため、当該領域のナレッジデータを登録するようにユーザに促している様子を示している。
【0111】
図19はナレッジグラフの第2表示例を示す模式図である。図19に第2表示例として示す表示画面240は、課題入力欄241を備える。課題入力欄241に課題が入力された場合、管理サーバ10の制御部11は、複数のナレッジDBを横断して検索し、検索結果を基にナレッジグラフを作成する。すなわち、制御部11は、分野に限らずに、横断検索により検索された課題に含まれる単語や単語間の関連性に基づき、ナレッジグラフを作成する。前述と同様に、ノードの大小は閲覧数を表し、エッジの長さは関連性の度合いを表している。また、一定期間における閲覧数の増加率に応じて、ノードを点滅させたり、表示色を変更したりして、強調表示が実行されてもよい。更に、ナレッジデータの評価の高低に応じて、エッジの太さが変更されてもよい。
【0112】
以上のように、実施の形態7では、ナレッジデータの登録状況を視覚化することができる。
【0113】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
10 管理サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 操作部
15 表示部
20 ユーザ端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 音声入力部
25 操作部
26 表示部
121,122 ナレッジDB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19