(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181547
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】フィルタープレス装置用の洗浄装置及びフィルタープレス装置
(51)【国際特許分類】
B01D 25/12 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B01D25/12 K
B01D25/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189705
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2022060228の分割
【原出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021060525
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517375738
【氏名又は名称】株式会社笹山工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】古橋 孝將
(57)【要約】
【課題】フィルタープレス装置において固液混合体を脱水する際に、固液混合体に含まれる液体を円滑に排出する。
【解決手段】洗浄装置100は、複数の濾板10と、複数の濾板10から流れた排水を受け、排出経路162に向けて排水を誘導する排水受け部160と、を有するフィルタープレス装置に用いられる洗浄装置である。洗浄装置100は、洗浄水を放出する放出口を有する放水部150と、放水部150の放出口152の位置を固定又は調整する位置決め部と、を有する。位置決め部によって位置が固定又は調整された放出口152から放出される洗浄水が排水受け部160内に供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の濾板と、
前記複数の濾板から流れた排水を受け、排出経路に向けて前記排水を誘導する排水受け部と、
を有するフィルタープレス装置に用いられる洗浄装置であって、
洗浄水を放出する放出口を有する放水部と、
前記放出口の位置を固定又は調整する位置決め部と、
を有し、
前記位置決め部によって位置が固定又は調整された前記放出口から放出される前記洗浄水が前記排水受け部内に供給される
フィルタープレス装置用の洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置を含む
フィルタープレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタープレス装置用の洗浄装置及びフィルタープレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルタープレス装置の一例が開示されている。この種のフィルタープレス装置は、濾板が所定方向に並んで設けられ、複数の濾板が互いに接近及び離間し得る構成をなし、複数の濾板が接近状態で重なって配置されたときに内部に構成される濾室内に泥水等が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルタープレス装置では、濾板の汚れや固形物の付着等を除去するために洗浄水によって濾板を洗浄する方法が採用されている。このように、洗浄水によって濾板を洗浄する場合、濾板から流れる排水を適切に処置する必要があり、その一例としては、例えば、樋などによって排水を所定経路で流す方法が挙げられる。しかし、濾板から流れた洗浄水は、固体の含有度合いが大きい場合もあり、樋などの排水受け部を通して流動させる際に、固体物の貯留や沈殿が生じやすい。
【0005】
本開示は、上述した課題の少なくとも一つを解決するために、フィルタープレス装置の複数の濾板から流れた排水を排水受け部で導く場合に、排水受け部に固体が溜まることを抑えやすい技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つであるフィルタープレス装置用の洗浄装置は、
複数の濾板と、
前記複数の濾板から流れた排水を受け、排出経路に向けて前記排水を誘導する排水受け部と、
を有するフィルタープレス装置に用いられる洗浄装置であって、
洗浄水を放出する放出口を有する放水部と、
前記放出口の位置を固定又は調整する位置決め部と、
を有し、
前記位置決め部によって位置が固定又は調整された前記放出口から放出される前記洗浄水が前記排水受け部内に供給される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術は、フィルタープレス装置の複数の濾板から流れた排水を排水受け部で導く場合に、排水受け部に固体が溜まることを抑えやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るフィルタープレス装置を概念的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のフィルタープレス装置の一部を具体化した一例を概念的に示す説明図である。
【
図3】
図3は、
図1のフィルタープレス装置の一部を上側から見た構成を概念的に例示する説明図である。
【
図4】
図4は、
図1のフィルタープレス装置の一部を前側から見た構成を概念的に例示する説明図である。
【
図5】(A)は、第1保持状態のときの隣り合う濾板の組の一つを上側から見た様子を例示する説明図であり、(B)は、その濾板の組を離間させてケーキ(残存物)を落下させる様子を例示する説明図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るフィルタープレス装置の濾板構造において一の濾板と他の濾板とが離間した状態を例示する説明図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るフィルタープレス装置の濾板構造において一の濾板と他の濾板が密着した状態で固液混合体が流入した状態を例示する説明図である。
【
図8】第1実施形態に係るフィルタープレス装置の1つの濾板の正面図である。
【
図9】
図9は、
図8の濾板から濾布を省略した状態を例示する正面図である。
【
図10】
図10は、
図9の構成から更に被覆部を省略した状態を例示する正面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係るフィルタープレス装置を概念的に示す側面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係るフィルタープレス装置を概念的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔6〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。
【0010】
〔1〕 複数の濾板と、
前記複数の濾板から流れた排水を受け、排出経路に向けて前記排水を誘導する排水受け部と、
を有するフィルタープレス装置に用いられる洗浄装置であって、
洗浄水を放出する放出口を有する放水部と、
前記放出口の位置を固定又は調整する位置決め部と、
を有し、
前記位置決め部によって位置が固定又は調整された前記放出口から放出される前記洗浄水が前記排水受け部内に供給される
フィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0011】
上記の〔1〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、放水部から排水受け部内に洗浄水を供給することができるため、排水受け部内に入り込んだ固体が洗浄水によって流されやすく、排水受け部内に固体が沈殿し続けたり、貯留し続けたりすることを抑えやすい。よって、この洗浄装置は、フィルタープレス装置の複数の濾板から流れた排水を排水受け部で導く場合に、排水受け部に固体が溜まることを抑えやすい。しかも、位置決め部によって放水口の位置が固定又は調整されるため、作業者が放水口の位置を固定したり調整したりする労力を低減又は省略しやすい。
【0012】
〔2〕 前記放出口から前記排水受け部内に供給される前記洗浄水が、前記排水受け部内の前記排水を前記排出経路側に流動させる
〔1〕に記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0013】
上記の〔2〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、洗浄水に起因する流れによって、排水を排出経路側に導くことができるため、排水受け部内において固体が溜まることを、より一層抑えることができる。
【0014】
〔3〕 前記排水受け部は、前記複数の濾板から落下する液体を受ける下方位置と、前記下方位置から退避した退避位置とに変位する第1受け部を有し、
前記位置決め部によって位置が固定又は調整された前記放出口から、前記下方位置又は前記退避位置に位置する前記第1受け部内に前記洗浄水が供給される
〔1〕又は〔2〕に記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0015】
上記の〔3〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、排水受け部が下方位置と退避位置とに変位し得る構成であっても、位置が固定又は調整された放水部によって排水受け部内に洗浄水を供給することができ、排水受け部に固体が溜まることを抑えやすい。
【0016】
〔4〕 前記放水部は、前記排水受け部に固定される
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0017】
上記の〔4〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、放水部が排水受け部に固定されるため、放水部と排水受け部との位置関係がずれることに起因する洗浄水のずれを抑えることができ、洗浄水を排水受け部内により安定的に供給することができる。
【0018】
〔5〕 前記放水部は、前記排水受け部とは異なる位置に固定され、
前記排水受け部が前記放水部に対して変位可能とされている
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0019】
上記の〔5〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、放水部とは独立性が高い形で排水受け部を変位させることができる。
【0020】
〔6〕 前記放水部は、前記排水受け部とは異なる位置に固定され、
前記排水受け部が前記下方位置にあるときに前記放水部から前記排水受け部へと前記洗浄水が供給される位置関係となる
〔3〕に記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0021】
上記の〔6〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、放水部とは独立性が高い形で排水受け部を変位させることができ、しかも、排水受け部が下方位置にある状態で排水受け部を洗浄することができる。
【0022】
〔7〕 前記洗浄水は、前記放水部とは異なる位置に設けられる導入管を通って供給される水であり、前記排水受け部は前記導入管に対して相対的に変位する構成をなし、
更に、前記導入管側から前記放水部側へと前記洗浄水を流す経路をなす連通管を有し、
前記連通管が撓み変形可能に構成され、前記排水受け部が移動する際に前記連通管が変形する
〔4〕に記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0023】
上記の〔7〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、排水受け部と放水部とが変位した場合でも、連通管によって導入管と放水部との間の流路を確保した状態を維持することができ、外部から排水受け部に洗浄水を導入する構成と排水受け部を変位させる構成とを適切に両立することができる。
【0024】
〔8〕 洗浄水を導入する導入管と、
洗浄水を濾板洗浄装置に供給する経路である第1供給管と、
洗浄水を前記放水部に供給する経路である第2供給管と、
前記導入管から導入される洗浄水の誘導先を、少なくとも前記第1供給管と前記第2供給管とに切り替え可能な弁と、
を有する
〔1〕から〔7〕のいずれか一つに記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置。
【0025】
上記の〔8〕のフィルタープレス装置用の洗浄装置は、導入管から導入される洗浄水の供給先を排水受け部と、濾板洗浄装置とに切り替えることができ、共通の経路を介して供給される洗浄水を、異なる用途に利用することができる。
【0026】
〔9〕 〔1〕から〔8〕のいずれか一つに記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置を含む
フィルタープレス装置。
【0027】
上記の〔6〕のフィルタープレス装置は、上記の〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のフィルタープレス装置用の洗浄装置と同様の効果を奏することができる。
【0028】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に係るフィルタープレス装置用の洗浄装置及びフィルタープレス装置1に関する。なお、以下の説明で参照される各図面は、技術的特徴を説明するために用いられるものであり、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0029】
(フィルタープレス装置の概要)
次の説明は、フィルタープレス装置1の概要に関する。
フィルタープレス装置1は、固液混合体(例えば、汚泥、掘削土、セメントなどが水中にまざったスラリーなど)を脱水し、固液混合体を脱水した残余物を固めた物体(ケーキ)を排出し得る装置である。
【0030】
図2、
図3に示されるように、フィルタープレス装置1は、所定方向に移動する複数の濾板10を備えた濾板群5を有する。なお、以下の説明では、複数の濾板10が移動する方向(所定方向)が前後方向である。
図3等で示される例では、複数の濾板10が接近状態となったとき(隣り合う濾板同士が接触する状態となったとき)の各濾板10の厚さ方向が前後方向とされている。
図3等の例では、前後方向において、供給路62側(固液混合体が注入される側)が前側であり、それとは反対側が後ろ側である。更に、上記前後方向と直交する方向のうち、所定の第1方向が上下方向である。
図4等で示される例では、矩形状(具体的には、正面視四角形状)に構成される濾板10において両側部が延びる方向(縦方向)が上下方向とされている。上下方向は、鉛直上下方向であることが望ましいが、鉛直上下方向に対して若干傾いた方向であってもよい。そして、上記前後方向及び上記上下方向と直交する方向が左右方向である。
図4等で示される例では、矩形状に構成される濾板10の上端部及び下端部が延びる方向が左右方向である。
【0031】
フィルタープレス装置1では、
図3、
図7のように複数の濾板10が互いに接近しつつ所定方向(前後方向)に重なって配置された接近状態のときに濾板群5の内部に構成される濾室40(収容部)内に固液混合体が注入される。そして、フィルタープレス装置1では、複数の濾板10が互いに離間した離間状態のときに濾室40(収容部)内に収容された固液混合体の残存物が排出される。
【0032】
図1~
図3等で示されるように、フィルタープレス装置1は、濾板構造3を用いており、この濾板構造3は、濾板10を直列に配置した構成をなす。濾板10は、固液混合体を受けて、固液混合体から液体を排出する機能を有する板状の部分である。濾板10は、中心部に貫通孔16が形成された板状の基板部11を覆うように濾布18を張った構成をなしている。フィルタープレス装置1は、濾板構造3を構成する複数の濾板10を互いに接近及び離間し得る接近離間装置(
図1、
図2では、詳細な図示は省略)を有している。フィルタープレス装置1は、固液混合体の供給時には、隣り合う濾板10を互いに密着させた積層状態(
図1、
図2、
図7等参照)で、固液混合体(例えば、泥水等のスラリー)をポンプによって各濾板10の貫通孔16に流し込むように加圧圧入する。圧入された固液混合体は、内圧が高い状態で
図2、
図7等で示される濾室(濾過室)40内に溜まり、水分が濾布18の微少の隙間から排出される。そして、隣り合う濾板10の間(具体的には、隣り合う濾板10における濾布18の間)には、ポンプから供給された固液混合体から大量の水分を除去した残余物を固めた固形物(脱水ケーキ)が形成される。なお、濾布18の目を通って濾板10の内部に流入した水は、濾板10内の排水路28を通って濾板10の外部(下部)に排出されるようになっている。この点については、後に詳述される。
【0033】
(濾板構造)
次の説明は、濾板構造3の詳細に関する。
図7のように、濾板構造3は、複数の濾板10によって構成される構造である。各々の濾板10は、自身の板厚方向の一方面側及び他方面側に中央側凹部12及び周縁側凸部14がそれぞれ形成されている。
【0034】
中央側凹部12は、貫通孔16の周辺において板厚方向に凹となる部分である。
図7等では、各濾板10に形成された2つの中央側凹部12のうち、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の凹部を一方の中央側凹部12A(又は、単に中央側凹部12A)とし、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の凹部を他方の中央側凹部12B(又は、単に中央側凹部12B)とする。
図8、
図9のように一方の中央側凹部12Aは、正面側から見て外径が矩形状の凹部となっている。
図11、
図12のように他方の中央側凹部12Bは、背面側から見て外径が矩形状の凹部となっている。
【0035】
周縁側凸部14は、中央側凹部12を囲んで枠状に形成されるとともに板厚方向に凸となる形状をなし且つ少なくとも一部が中央側凹部12の周りに環状に配置される部分である。
図8、
図9のように一方面側(環状凸部24が形成された面側)の周縁側凸部14Aは、正面側から見て矩形状の枠部となっており、濾板10の周縁部に沿うように四角形状(具体的には正方形状)に配置される。
図11、
図12のように他方面側(環状凹部34が形成された面側)の周縁側凸部14Bは、正面から見て矩形状の枠部となっており、濾板10の周縁部に沿うように四角形状(具体的には正方形状)に配置される。
【0036】
図8、
図9のように、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の周縁側凸部14Aには、中央側凹部12Aの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置される第1押圧面22と、中央側凹部12Aの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置されるとともに第1押圧面22から突出した構成をなす環状凸部24と、が形成されている。
【0037】
環状凸部24は、ゴム、ゴム以外のエラストマーなどの弾性材料によって構成されており、周縁側凸部14Aの第1押圧面22に形成された溝(中央側凹部12Aを囲むように形成された溝)内に嵌り込んだ構成で周縁側凸部14Aに固定されている。
図7のように、環状凸部24は、当該環状凸部24が延びる方向と直交する平面方向に切断した断面の外形が外側に凸となるように湾曲した形状をなしている。また、環状凸部24は、内部に空隙部24Aが形成された中空状をなしている。空隙部24Aは、濾板10の厚さ方向において第1押圧面22の位置よりも外側(厚さ方向の中心よりも遠い側)に形成され、環状凸部24が延びる方向に沿って延びた構成且つ中央側凹部12の周りに環状に配置された構成となっている。
【0038】
図11、
図12のように、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の周縁側凸部14Bには、中央側凹部12Bの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置される第2押圧面32と、中央側凹部12Bの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置されるとともに第2押圧面32から窪んだ構成をなす環状凹部34と、が形成されている。
【0039】
図7~
図13に示されるように、各々の濾板10において、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の中央側凹部12Aと他方面側(環状凹部34が形成された面側)の中央側凹部12Bとの間を板厚方向に貫通するように貫通孔16が形成されている。貫通孔16は、濾板10の内部を通すように固液混合体を濾板10の厚さ方向に流動させる流路として機能する。
【0040】
図7、
図8のように、板厚方向一方面側において貫通孔16の外側の領域を覆うように濾布18が配置されており、
図7、
図11のように、板厚方向他方面側において貫通孔16の外側の領域を覆うように濾布18が配置されている。なお、
図7では、第1押圧面22と第2押圧面32との間及び環状凸部24と環状凹部34との間に介在する2つの濾布18を省略して示している。
図7、
図8、
図11では、濾布18のうち一方面側(環状凸部24が形成された面側)を覆うものを濾布18Aとし、他方面側(環状凹部34が形成された面側)のものを濾布18Bとしている。
【0041】
図7、
図8のように、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の濾布18Aは、後述する環状板部15Aに固定され、環状板部15Aの外側の領域において基板部11の周縁部に至るまで全体的に配置されている。
図7、
図11のように、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の濾布18Bは、後述する環状板部15Bに固定され、環状板部15Bの外側の領域において基板部11の周縁部に至るまで全体的に配置されている。
図7では、濾布18を二点鎖線にて概念的に示しており、
図8、
図11では、濾布18を模様の領域として概念的に示している。
図7の例では、周縁側凸部14A,14Bに挟まれた部分にも濾布18A,18Bが存在するが、この部分の濾布18A,18Bの図示(二点鎖線の図示)は省略している。
図7等の例では、各々の濾板10において、濾布18Aの周縁部と濾布18Bの周縁部とが連結されているが、各々の周縁部が連結されていなくてもよい。濾布18Aは、少なくとも、貫通孔16を外れた領域において中央側凹部12Aの内面を覆うように配置されていればよく、濾布18Aの被覆領域は
図7、
図8、
図11等の構成に限定されない。
【0042】
フィルタープレス装置1は、
図2、
図3、
図7等で示される濾板構造3を、
図5(A)、
図7のように隣り合う濾板10が互いに密着する状態と、
図5(B)のように隣り合う濾板10が離間する状態とに切り替え得る。なお、
図5は、濾板構造3の一部を上方側から見た構成を簡略的に示す図である。
図5(A)は、隣り合う濾板10が互いに接触する状態を示す図である。
図5(A)、
図7は、固液混合体が濾板群5内に注入されるときの状態である。
図5(B)は、濾板群5から残存物(脱水ケーキ)が排出されるときの状態である。
【0043】
複数の濾板10は、
図1、
図2、
図3のように厚さ方向が揃えられ(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となるように揃えられ)且つ各々の濾板10における外周縁の位置(厚さ方向と直交する平面方向における外周縁の位置)が揃えられており、このように揃えられた状態で各濾板10がレールに沿って動くことにより、複数の濾板10において隣り合う濾板10が互いに接近及び離間し得るようになっている。複数の濾板10が移動する過程では、各濾板10の左右方向への移動は規制され、各濾板10の上下方向の移動も規制され、各濾板10は、例えば厚さ方向を前後方向とする姿勢を保ちながら移動し得る。
【0044】
複数の濾板10は、
図5(A)、
図7のように、一の濾板10と他の濾板10とが密着するように重ねられたとき、
図7のように一の濾板10の環状凸部24が他の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内の内面を押圧し、一の濾板10の第1押圧面22と他の濾板10の第2押圧面32とが互いに押圧し合う構成をなす。
図7の例では、一の濾板10の第1押圧面22と他の濾板10の第2押圧面32との間に2つの濾板10をそれぞれ覆う2つの濾布18A,18Bが介在し、この状態で、一の濾板10の第1押圧面22と他の濾板10の第2押圧面32とが押圧し合う。つまり、一の濾板10の第1押圧面22と他の濾板10の第2押圧面32とが、一の濾板10の濾布18A及び他の濾板10の濾布18Bを介して互いに押圧し合う。そして、環状凸部24と環状凹部34との間にも2つの濾板10をそれぞれ覆う2つの濾布18A,18Bが介在し、この状態(即ち、環状凸部24の外面と環状凹部34の内面との間に濾布18A,18Bが介在した状態)で、環状凸部24と環状凹部34とが押圧し合う。即ち、一の濾板10の環状凸部24が、一の濾板10の濾布18A及び他の濾板10の濾布18Bを介して環状凹部34内の内面を押圧する。
【0045】
図2、
図3、
図7のように、固液混合体の投入の際には、濾板群5の各濾板10が隣り合う濾板10と密着した積層状態で、
図2で示される第1注入装置60(例えば、ポンプを含んだスラリー供給装置)により貫通孔16を介して固液混合体が流し込まれる。すると、濾板群5に対して貫通孔16を介して圧入された固液混合体は、内圧が高い状態で
図7等で示される濾室(濾過室)40内に溜まり、濾室40では、水分が濾布18の微少の隙間から基板部11側(即ち、濾布18の裏側)に排出される。そして、隣り合う濾板10の間(具体的には、隣り合う濾板10における濾布の間)には、残存物としての脱水ケーキが形成される。なお、脱水ケーキは、濾室40内に注入された固液混合体7からある程度の水分が除去された物体である。
【0046】
図7のように、各々の濾板10には、基板部11が設けられる。基板部11は、板状に構成される。基板部11は、板状体11Aと、周縁側凸部14A,14Bとを備える。基板部11は、2つの中央側凹部12のうちの一方の中央側凹部12Aと2つの周縁側凸部14のうちの一方の周縁側凸部14Aとが一方の板面側(上述の一方面側)に形成されている。更に、基板部11は、2つの中央側凹部12のうちの他方の中央側凹部12Bと2つの周縁側凸部14のうちの他方の周縁側凸部14Bとが他方の板面側(上述の他方面側)に形成されている。濾板10には、一方の中央側凹部12Aの内壁部を覆うように濾布18Aが設けられ、他方の中央側凹部12Bの内壁部を覆うように濾布18Bが設けられる。一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bにおいて濾布18の裏側には、濾板10の外部に通じる排水路28(一方の排水路28A及び他方の排水路28B)が設けられている。排水路28は、排水板13(被覆部)と防水材100との間の部材間空間と濾板10の外部空間とに連通する流路であり、上記の部材間空間から上記の外部空間へと液体を流す流路である。部材間空間は、排水板13(被覆部)と防水材100との間の隙間の空間であり、この隙間の空間から排水路28内の空間へと液体が流れ込む構成となっている。
【0047】
濾板10の一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bの各々において、各々の深さ方向最深部側の内壁部(内面部)には、液体を自身の板厚方向に通過させる通水部を備えた排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)がそれぞれ設けられている。排水板13は、被覆部の一例に相当し、板状体11Aを覆うように板状体11A(板部)と重なって配置される。排水板13A,13Bのいずれの通水部も、多数の孔部によって構成されていてもよく、溝や切欠きによって構成されていてもよい。排水板13A,13Bは、表面側で濾布18を支持している状態で表面側から裏面側に水が通過し得る構成であればよく、板状体に複数の貫通孔を多数形成したような構成であってもよく、網状の構成などであってもよい。
【0048】
基板部11において各々の排水板13よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)の内側には、各々の排水板13によって板厚方向の両側が覆われる板状体11Aが設けられている。板状体11Aは、板部の一例に相当する。板状体11Aは、例えば、金属材料によって又は金属材料を主体として構成され、例えば金属板からなる。そして、
図7のように、一方の周縁側凸部14Aは、この板状体11Aの一方面側において板状体11Aの周縁部に沿って固定される矩形状の枠体となっている。一方の周縁側凸部14Aは、枠部の一例に相当し、環状に構成され、板状体11A(板部)に重ねられて板状体11Aに固定される。また、他方の周縁側凸部14Bは、この板状体11Aの他方面側において板状体11Aの周縁部に沿って固定される矩形状の枠体となっている。一方の排水板13Aは、その周縁部が板状体11Aと周縁側凸部14Aを構成する枠体の内縁部との間に挟み込まれた形で固定される。一方の排水板13Bは、その周縁部が板状体11Aと周縁側凸部14Bを構成する枠体の内縁部との間に挟み込まれた形で固定される。
【0049】
板状体11Aにおいて各々の排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)の裏側の所定位置には、濾板10の外側に通じる排水路28A,28Bがそれぞれ構成されている。排水路28A,28Bはいずれも水を通す通水路として構成されている。
【0050】
一方の中央側凹部12Aにおいて濾布18Aの裏側に形成された排水路28Aは、例えば、
図7~
図10のようになっている。
図7~
図9の例では、基板部11の一方面側の下端側(設置時における鉛直方向下端側)において、複数の排水路28Aが溝状に形成されており、各々の排水路28Aにおいて水が流れ得る構成となっている。複数の排水路28Aは、一方の端部(上端部)側が排水板13Aの裏側に位置し、排水板13Aの裏面の一部が各々の排水路28Aの内部空間に面している。排水板13Aにおいて排水路28Aの内部空間と連通する隙間は、当該隙間を通る水が排水路28Aに流れ込むような構成となっている。そして、各々の排水路28Aの他方の端部(下端部)側は濾板10の下端部まで達しており、各々の排水路28Aの内部空間が濾板10の外側の空間に連通している。なお、排水板13Aの裏面と板状体11Aの表面との間には空間が存在し、この空間が各々の排水路28Aに連通するようになっていることが望ましく、このように構成されていれば、排水板13Aの裏面側に流れ込んだ水分が各々の排水路28Aを介して濾板10の外側に流れやすくなる。
【0051】
一方の中央側凹部12Bにおいて濾布18Bの裏側に形成された排水路28Bは、例えば、
図7、
図11~
図13のようになっている。
図7、
図11~
図13の例では、基板部11の一方面側の下端側(設置時における鉛直方向下端側)において、複数の排水路28Bが溝状に形成されており、各々の排水路28Bにおいて水が流れ得る構成となっている。複数の排水路28Bは、一方の端部(上端部)側が排水板13Bの裏側に位置し、排水板13Bの裏面の一部が各々の排水路28Bの内部空間に面している。排水板13Bにおいて排水路28Bの内部空間と連通する隙間は、当該隙間を通る水が排水路28Bに流れ込むような構成となっている。そして、各々の排水路28Bの他方の端部(下端部)側は濾板10の下端部まで達しており、各々の排水路28Bの内部空間が濾板10の外側の空間に連通している。なお、排水板13Bの裏面と板状体11Aの表面との間には空間が存在し、この空間が各々の排水路28Bに連通するようになっていることが望ましく、このように構成されていれば、排水板13Bの裏面側に流れ込んだ水分が各々の排水路28Bを介して濾板10の外側に流れやすくなる。
【0052】
なお、
図6~
図14の例では、濾板10の下端部側に複数の排水路28を設けた構成を例示したが、濾布18を通って排水板13側に流れ込んだ水を濾板10の外部に排出し得る流路であればよい。
【0053】
図7、
図10、
図13、
図14のように、防水材100は、防水性の板材又は防水性のシート材によって構成されている。防水材100は、板状体11A(板部)よりも薄く構成されている。防水材100は、非金属製材料を主体として構成される板材であってよく、非金属材料を主体として構成されるシート材であってもよい。非金属材料としては、例えば、樹脂材料などの高分子材料やセラミック材料などが挙げられる。代表例では、防水材100は、樹脂板や樹脂シートによって構成されている。
【0054】
防水材100は、板状体11A(板部)の板面と排水板13(被覆部)の他方面(板状体11A側の面)との間に挟まれている。一方の防水材100Aは、一方の排水板13Aと板状体11Aとの間に挟まれている。他方の防水材100Bは、他方の排水板13Bと板状体11Aとの間に挟まれている。このように構成された濾板10は、防水材100の表面と上記他方面(排水板13における板状体11A側の面)との間で液体が流れるようになっている。濾板10において、排水板13の上記他方面(排水板13における板状体11A側の面)は、防水材100側に凸となる凸面と防水材100とは反対側に凹む凹面とを有する凹凸面とされている。排水板13は、板状に構成され、板厚方向に貫通する孔部が形成された排水板であるが、この排水板13の上記他方面には溝や窪みなどが形成されていてもよい。
【0055】
図6~
図13のように、濾板10は、基板部11の一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内にそれぞれ固定される一対の環状板部15A,15Bを有する。そして、環状板部15A,15Bには、濾板10の板厚方向に突出する貫通孔側突起部17A,17Bが形成されている。一方面側の環状板部15Aからは、一方面側の貫通孔側突起部17Aが複数突出しており、複数の貫通孔側突起部17Aは、
図8、
図9のように、貫通孔16の周囲において貫通孔16を囲むように配置されている。同様に、他方面側の環状板部15Bからは、他方面側の貫通孔側突起部17Bが複数突出しており、複数の貫通孔側突起部17Bは、
図11、
図12のように、貫通孔16の周囲において貫通孔16を囲むように配置されている。貫通孔16は、一対の環状板部15A,15Bのうちの一方の環状板部15A側から他方の環状板部15B側に連通する構成で形成されており、具体的には、一対の環状板部15A,15Bを連結する筒状部の内部が貫通孔16となっている。この構成では、
図7のように、一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが互いに対向する構成となっている。
図2のように一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが対向したとき、これら貫通孔側突起部17A,17Bの間隔(先端部の間隔)は、環状板部15A,15Bの板面間隔よりも小さくなっており、0であってもよい(即ち、対向する貫通孔側突起部17A,17Bが接触していてもよい)。なお、
図2等の例では、対向する貫通孔側突起部17A,17Bの間には濾布18が介在しない。
【0056】
一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内には、各々の排水板13よりも板厚方向に突出する排水板側突起部19(一方の排水板側突起部19A及び他方の排水板側突起部19B)がそれぞれ形成されている。一方の排水板側突起部19Aは、排水板13A又は板状体11Aの少なくともいずれかに固定され、排水板13Aの表面よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)に突出した構成をなす。排水板側突起部19Aは、自身の突出方向の先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしている。
図8、
図9の例では、このような構成をなす複数の排水板側突起部19Aが貫通孔16を囲むように配置されている。他方の排水板側突起部19Bは、排水板13B又は板状体11Aの少なくともいずれかに固定され、排水板13Bの表面よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)に突出した構成をなす。排水板側突起部19Bは、自身の突出方向の先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしている。
図11、
図12の例では、このような構成をなす複数の排水板側突起部19Bが貫通孔16を囲むように配置されている。そして、
図7のように一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の各々の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の各々の排水板側突起部19Bとが互いに対向する構成となっている。
図7のように一の濾板10の一方面側の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の排水板側突起部19Bとが対向したとき、これら排水板側突起部19A,19Bの間隔(先端部の間隔)は、互いに対向する排水板13A、13Bの間隔よりも小さくなっている。なお、
図7等の例では、対向する排水板側突起部19A,19Bの間に濾布18A,18Bが介在しており、対向する排水板側突起部19A,19Bによって濾布18A,18Bが挟み込まれている。
【0057】
(保持装置等の構成)
図1~
図3で示されるフィルタープレス装置1は、このような濾板構造3を有している。
図2、
図3のように、フィルタープレス装置1は、濾板構造3を構成する複数の濾板10を所定の姿勢(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となる姿勢且つ各々の濾板10の外周縁の位置が揃えられた姿勢)で揃えた状態で、ガイドレール90(ガイドレール90A,90B)に沿って複数の濾板10を前後方向に移動させ得るようになっており、このような移動動作によって、複数の濾板10において隣り合う濾板が互いに接近及び離間し得るようになっている。
【0058】
図8~
図13では図示は省略されているが、
図2~
図4のように、各々の濾板10には、各々の濾板10における基板部11の左右両側部から側方に突出するように張り出す一対の突出部41,42が設けられている。これら一対の突出部41,42は、一対の被支持部として機能する。一対の突出部41,42は、それぞれがガイドレール90A,90B上に載置されつつ支持される。複数の濾板10では、一対の突出部41,42がガイドレール90A,90B上に載置されながら移動する。一対のガイドレール90A,90Bは、支持部材の一例に相当し、突出部41,42を支持するように機能する。各濾板10は、このような移動時に、
図3、
図4等で示される所定姿勢を保ちながら前後方向(各々の濾板10の板厚方向)に移動する。なお、フィルタープレス装置1は、
図3、
図4のような構成に加え、濾板10の姿勢を保つための追加機構が設けられていてもよい。
【0059】
図2、
図3のように、フィルタープレス装置1は、上述された濾板構造3に加え、保持装置50、第1注入装置60、第2注入装置70、供給路62、供給路72、第1切替部81、第2切替部82、などを備える。
図2等では、第1注入装置60は、スラリー供給装置とも称され、第2注入装置70は、エア供給装置とも称される。供給路62は、第1注入装置60から濾板群5へ固液混合体7を供給する経路である、供給路72は、第2注入装置70から濾板群5へエアを供給する経路である。第1切替部81は、供給路62を第1注入装置60から濾板群5への固液混合体の供給が可能な状態(開放状態)と固液混合体の供給が不能な状態(遮断状態)とに切り替える装置である。第2切替部82は、供給路72を第2注入装置70から濾板群5へのエアの供給が可能な状態(開放状態)とエアの供給が不能な状態(遮断状態)とに切り替える装置である。なお、
図2、
図3では図示はされていないが、フィルタープレス装置1は、保持装置50、第1注入装置60、第2注入装置70、第1切替部81、第2切替部82の動作(動作タイミングや制御量など)を制御する制御装置(例えばコンピュータなどの情報処理装置)も備える。
【0060】
保持装置50は、一対のガイドレール90(ガイドレール90A,90B)と、駆動装置54と、固定壁51,52とを備えてなり、これらが一体的に組み付けられた構成をなす。駆動装置54は、濾板群5の端部(固定壁52側の端部)の濾板10に作用する作用部54Cと、作用部54Cに連結される駆動軸54Bと、駆動軸54Bを所定方向(濾板群5の各濾板10の板厚保方向)に移動させる駆動部54Aとを備える。駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを固定壁51側に移動させることで、複数の濾板10が所定姿勢を保ちながら固定壁51側に押し付けられ、
図2、
図3のように、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに接触した状態となる。一方、駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを固定壁52側に移動させることで、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに離間した状態となる。例えば、複数の濾板10において隣り合う濾板間の最大間隔が所定間隔となるように間隔を規制する間隔規制部(図示略)が設けられていれば、作用部54Cが濾板群5の端部(固定壁52側の端部)の濾板10と係合又は保持しながらその濾板10を固定壁52側に移動させようと動作したときに、それぞれの濾板間において隣り合う濾板が離間するように各濾板が移動するようになる。なお、ここで説明される例はあくまで一例であり、複数の濾板10を所定姿勢(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となる姿勢且つ各々の濾板10の外周縁の位置が揃えられた姿勢)で揃えつつ各々の濾板間を接近及び離間し得る構成であれば、保持装置は他の構成としてもよい。
【0061】
このように、保持装置50は、作用部54Cを固定壁51側に移動させることにより、
図2、
図3のように、複数の濾板10を重ねた状態で配置しつつ、隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内を押圧し且つ片方の濾板10の第1押圧面22ともう片方の濾板10の第2押圧面32とが互いに押圧し合う保持状態(第1保持状態)で保持することができる。
【0062】
第1注入装置60は、図示しない固液混合体収容部(例えば、スラリー収容槽など)から濾板群5側へ固液混合体を移送する移送装置であり、第1切替部81が開放状態となっており且つ供給路62が濾板群5の端部の貫通孔16に連通しているときに、供給路62を介して濾板群5の内部に固液混合体を注入し得る。第1注入装置60は、
図2、
図3のように保持装置50が濾板群5を第1保持状態で保持しているときに、濾板群5の一端部の濾板10の貫通孔16から複数の濾板10の内部に固液混合体7を注入するように動作する。第1切替部81は、濾板群5における一端部側での流体の流出入を停止する第1停止状態と、第1停止状態を解除する第1解除状態とに切り替わる装置である。第1切替部81は、供給路62(管路)を開放状態と遮断状態とに切り替える公知の電磁弁によって構成されている。第1切替部81の開放動作及び遮断動作は、例えば図示しない制御装置によって制御される。
【0063】
第2注入装置70は、エア(空気)を圧送し得る公知のエア(空気)供給装置として構成されており、第2切替部82が開放状態となっており且つ供給路72が濾板群5の端部の貫通孔16に連通しているときに、供給路72を介して濾板群5の内部にエア(空気)を注入し得る。第2注入装置70は、
図2、
図3のように保持装置50が濾板群5を第1保持状態で保持しているときに、濾板群5における上記一端部とは反対側の他端部の貫通孔16から複数の濾板10の内部にエアを注入するように動作する。第2切替部82は、濾板群5における他端部側での流体の流出入を停止する第2停止状態と、第2停止状態を解除する第2解除状態とに切り替わる装置である。第2切替部82は、供給路72(管路)を開放状態と遮断状態とに切り替える公知の電磁弁によって構成されている。第2切替部82の開放動作及び遮断動作は、例えば図示しない制御装置によって制御される。
【0064】
(注入動作及び排出動作)
フィルタープレス装置1では、固液混合体7を注入する前に、保持装置50が濾板群5を動作させ、濾板群5を上述の第1保持状態で保持する。第1保持状態では、
図2、
図3、
図7のように、複数の濾板10の各々が、隣り合う濾板10と互いに密着した状態となる。フィルタープレス装置1では、
図3、
図7のように保持装置50が濾板群5を第1保持状態で保持しているときに、第2切替部82が第2停止状態(供給路72を遮断した状態)とされ且つ第1切替部81が第1解除状態(供給路62を開放した状態)とされ、このような状態で、第1注入装置60が濾板群5の内部に固液混合体7を注入するように固液混合体注入動作を行う。このような固液混合体注入動作により、濾板群5内に構成された各濾室40内には固液混合体7が充満し、固液混合体7に含有された水の一部は排水路28から排出される。なお、各装置の動作タイミングや動作時間等は図示しない制御装置によって制御される。
【0065】
フィルタープレス装置1では、第1注入装置60が濾板群5に固液混合体7を注入した後、保持装置50が、
図2、
図3、
図7のような第1保持状態を保ちつつ、第1切替部81が第1停止状態(供給路62を遮断した状態)に切り替えられ、第2切替部82が第2開放状態(供給路72を開放した状態)に切り替えられ、このような状態で、第2注入装置70が濾板群5の内部にエアを注入するようにエア注入動作を行う。このようなエア注入動作により、濾板群5内に構成された各濾室40内にはエアが供給され、エアの圧力により、濾室40内に残存する固液混合体7からの水の排出が促進される。具体的には、エア注入動作の際には、濾板群5の他端部の貫通孔16側から各々の濾板10の排水路28側へとエアが流され、濾板群5の内部に存在する固液混合体7の液体(水分)がエアと共に排水路28を介して濾板群5の外部に排出される。なお、各装置の動作タイミングや動作時間等は図示しない制御装置によって制御される。
【0066】
フィルタープレス装置1は、固液混合体注入動作の後(具体的にはエア注入動作の後)に濾室40内に残存する残存物(脱水ケーキ)を排出する排出動作を行う。フィルタープレス装置1では、エア注入動作の後、保持装置50の駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを前後方向他方側(固定壁52側)に移動させることで、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに離間した状態となる。具体的には、排出動作の際には、保持装置50は、濾板群5の端部の濾板10から各濾板10を順番に前後方向他方側(駆動部54A側)に移動させる。この排出動作時には、保持装置50が各濾板10を順番に前後方向他方側に移動させる過程において、各濾板10の付近において
図5(A)から
図5(B)のように変化し、直近に前後方向他方側への移動を開始した濾板10とその濾板10の前後方向一方側に隣接する濾板10(次に前後方向他方側への移動が予定される濾板10)との間で残留物(脱水ケーキ7A)が下方に排出される。即ち、直近に移動し始めた濾板10が、静止状態で維持されている次の濾板10から離間した際に、それら2つの濾板10の間に保持されていた残留物(脱水ケーキ7A)が下方に落下する。保持装置50は、排出動作の際に、直近に前後方向他方側に移動し始めた濾板10と、次の濾板10(直近に前後方向他方側に移動し始めた濾板10の前後方向一方側に隣接する濾板10)との間隔が最大間隔になると、複数の濾板10に取り付けられた間隔規制部材が次の濾板10を前後方向他方側に移動させるように、各濾板10を順番に前後方向他方側に移動させる。
【0067】
このような排出動作により、
図5(B)のように隣り合う濾板間の距離を大きくして残存物(脱水ケーキ7A)を下方に落とすような排出動作を行うことができる。
図5(A)(B)のように、隣り合う2つの濾板10,10が接近状態から離間状態に変化する過程では、各濾板10の左右方向への移動は規制され、各濾板10の上下方向の移動も規制され、各濾板10は、例えば板厚方向を前後方向とし且つ
図4のように両側部10Aが延びる方向を上下方向とする姿勢を保ちながら移動し得る。なお、各濾板10が移動する過程では、各濾板10の若干の姿勢変化は許容されてもよい。各濾板10の側部10Aは、濾板群5の側部5Aを構成する。具体的には、複数の濾板10の一方側の側部10Aが前後に並んで配置され、濾板群5の一方側の側部5Aを構成する。同様に、複数の濾板10の他方側の側部10Aが前後に並んで配置され、濾板群5の他方側の側部5Aを構成する。
【0068】
(洗浄動作)
フィルタープレス装置1は、排水受け部160と洗浄装置100とを備える。排水受け部160は、複数の濾板10から流れた排水を受け、排出経路に向けて排水を誘導する部分である。洗浄装置100は、排水受け部160を洗浄する装置である。
【0069】
排水受け部160は、排水を流動させる樋として機能する。排水受け部160は、複数の濾板10の下方側に位置した状態で、複数の濾板10から落下する排水を自身の内部に収容するように受ける機能を有する。排水受け部160は、例えば、上方側開放した長手状且つ箱状又は溝状の形態をなす。
【0070】
洗浄装置100は、放水部150と、位置決め部と、管路(導入管132、第2供給管134)、弁122、ポンプ120、洗浄水貯留部110などを有する。
【0071】
放水部150は、排水受け部160に向けて洗浄水を放出する部分である。放水部150は、洗浄水を放出する放出口152を有する。放出口152は、放水部150において1つでもよく、複数でもよい。
【0072】
放水部150は、例えば、ねじやボルト等の連結部材によって排水受け部160に固定される。この構成では、上記連結部材が位置決め部の一例に相当する。以下で説明される代表例では、放水部150は、排水受け部160に対して固定されている。但し、この例に限定されず、放水部150は、排水受け部160とは異なる部位に固定されていてもよい。或いは、放水部150は、ロボット等の移動装置によって移動可能に構成され、排水受け部160に洗浄水を供給し得る位置に位置調整可能とされていてもよい。この場合、移動装置が位置決め部の一例に相当する。
【0073】
このように構成された洗浄装置100では、位置決め部によって位置が固定又は調整された放出口152から放出される洗浄水が排水受け部160内に供給される。放出口152から排水受け部160内に供給される洗浄水は、排水受け部160内の排水を排出経路162側に流動させる。排出経路162は、排水受け部160内の排水を外部に誘導し得る流路であればよく、管(例えば、可撓性の管など)によって構成されていてもよく、上方が開放した流路(例えば、溝)によって構成されていてもよい。排出経路162は、排水受け部160が、下方位置にあるときのみ自身の内部が排水受け部160の内部と通じる構成であってもよく、常時排水受け部160の内部と通じる構成であってもよい。
【0074】
排水受け部160は、第1受け部の一例に相当する。
図3、
図4のように、排水受け部160は、複数の濾板10から落下する液体を受ける下方位置と、下方位置から退避した退避位置とに変位する。排水受け部160は、ガイドレール166A,166Bによってガイドされ、駆動装置168によって駆動される。
図3、
図4の例では、退避位置にある排水受け部160が符号160Zで示される。代表例では、位置決め部によって位置が固定又は調整された放出口152から、下方位置に位置する排水受け部160(第1受け部)内に洗浄水が供給される。但し、この例に限定されず、位置決め部によって位置が固定又は調整された放出口152から、退避位置に位置する排水受け部160(第1受け部)内に洗浄水が供給される構成であってもよい。
【0075】
図1のように、洗浄装置100は、複数の管部(導入管132、第1供給管136、第2供給管134)と、ポンプ120と、弁122とを備える。導入管132は、自身の外部(
図1の例では、洗浄水貯留部110)から洗浄水を導入し、下流側に移送する管である。第1供給管136は、洗浄水を濾板洗浄装置140に供給する経路である。第2供給管134は、洗浄水を放水部150に供給する経路である。弁122は、導入管132から導入される洗浄水の誘導先を、少なくとも第1供給管136と第2供給管134とに切り替え可能な弁である。弁122は、例えば三方弁として構成されている。弁122は、手動で経路を切り替える弁であってもよく、制御によって経路を切り替える弁であってもよい。
【0076】
濾板洗浄装置140は、第1供給管136から供給される洗浄水を複数の濾板10に供給する洗浄装置である。濾板洗浄装置140は、公知の様々な濾板洗浄装置の構成が採用され得る。
【0077】
(効果の例)
洗浄装置100は、放水部150から排水受け部160内に洗浄水を供給することができるため、排水受け部160内に入り込んだ固体が洗浄水によって流されやすく、排水受け部160内に固体が沈殿し続けたり、貯留し続けたりすることを抑えやすい。よって、この洗浄装置100は、フィルタープレス装置1の複数の濾板10から流れた排水を排水受け部160で導く場合に、排水受け部160に固体が溜まることを抑えやすい。しかも、位置決め部によって放水口152の位置が固定又は調整されるため、作業者が放水口152の位置を固定したり調整したりする労力を低減又は省略しやすい。
【0078】
洗浄装置100は、洗浄水に起因する流れによって、排水を排出経路162側に導くことができるため、排水受け部160内において固体が溜まることを、より一層抑えることができる。
【0079】
洗浄装置100は、排水受け部160が下方位置と退避位置とに変位し得る構成であっても、位置が固定又は調整された放水部150によって排水受け部160内に洗浄水を供給することができ、排水受け部160に固体が溜まることを抑えやすい。
【0080】
洗浄装置100は、放水部150が排水受け部160に固定されるため、放水部150と排水受け部160との位置関係がずれることに起因する洗浄水のずれを抑えることができ、洗浄水を排水受け部160内により安定的に供給することができる。
【0081】
洗浄装置100は、導入管132から導入される洗浄水の供給先を排水受け部160と、濾板洗浄装置140とに切り替えることができ、共通の経路を介して供給される洗浄水を、異なる用途に利用することができる。
【0082】
<第2実施形態>
以下の説明は、第2実施形態に係るフィルタープレス装置用の洗浄装置200及びフィルタープレス装置201に関する。
図14に示される第2実施形態のフィルタープレス装置201は、洗浄水を導入するように固定位置に配置される第2供給管134と放水部150との間に連通管230が設けられる構造のみが第1実施形態のフィルタープレス装置1と異なり、その他の構造及び内容は第1実施形態のフィルタープレス装置1と同一である。第2実施形態に係るフィルタープレス装置用の洗浄装置200は、第2供給管134と放水部150との間に連通管230が設けられる構造のみが第1実施形態のフィルタープレス装置用の洗浄装置100と異なり、その他の構造及び内容は第1実施形態のフィルタープレス装置用の洗浄装置100と同一である。
【0083】
排水受け部160は、第1受け部の一例として機能する。排水受け部160は、フィルタープレス装置201を構成する複数の濾板10から落下する液体を受ける下方位置と、下方位置から退避した退避位置とに変位する。退避位置では、排水受け部160の一部又は全部が複数の濾板10と上下に重ならない位置に配置される。放水部150は、排水受け部160に固定される。放水部150は、例えば、ねじやボルト等の連結部材によって排水受け部160に固定される。この構成では、上記連結部材が位置決め部の一例に相当する。このように位置決め部によって位置が固定された放水部150の放出口152から、下方位置又は退避位置に位置する排水受け部160内に洗浄水が供給されるようになっている。洗浄水は、下方位置にあることを条件として自動的に放出されるようになっていてもよく、下方位置か退避位置かにかかわらず、自動的に又は手動で放出されるようになっていてもよい。
【0084】
第1実施形態と同様、洗浄水は、放水部150とは異なる位置に設けられる導入管(第2供給管134)を通って供給される水であり、排水受け部160は導入管132に対して相対的に変位する構成をなす。第2供給管134は、建物などの構造物などに固定され、位置が固定されている。洗浄装置200は、連通管230を備える。連通管230は、導入管132側から放水部150側へと洗浄水を流す経路をなす。連通管230の一端部は、連結部235によって第2供給管134の端部に固定され、第2供給管134の端部から洗浄水を導入するようになっている。連通管230の他端部は、放水部150に固定され、放出口152へと洗浄水を流すように機能する。連通管230は、撓み変形可能に構成され、排水受け部160が移動する際に変形するようになっている。連通管230は、ホースなどの可撓性の管によって構成される。
【0085】
<第3実施形態>
以下の説明は、第3実施形態に係るフィルタープレス装置用の洗浄装置300及びフィルタープレス装置301に関する。
図15に示される第3実施形態のフィルタープレス装置301は、放水部150が保持部330に保持されている点のみが第1実施形態のフィルタープレス装置1と異なり、その他の構造及び内容は第1実施形態のフィルタープレス装置1と同一である。第3実施形態に係るフィルタープレス装置用の洗浄装置300は、放水部150が保持部330に保持されている点のみが第1実施形態のフィルタープレス装置用の洗浄装置100と異なり、その他の構造及び内容は第1実施形態のフィルタープレス装置用の洗浄装置100と同一である。
【0086】
排水受け部160は、第1、第2実施形態と同様の構成をなし、同様に変位可能であり、第1受け部の一例として機能する。排水受け部160は、複数の濾板10から落下する液体を受ける下方位置と、下方位置から退避した退避位置とに変位する。位置決め部によって位置が固定された放出口152から、下方位置に位置する排水受け部160内に洗浄水が供給されるようになっている。保持部330は、建物などの構造物などに固定され、位置が固定されている。保持部330は、位置が固定された構造体である保持体(例えば、フレームなど)と、放水部150を保持体に固定するためのねじ部材等の固定部材と、を有する。保持部330は、位置決め部の一例に相当する。具体的には、放水部150は、保持部330によって排水受け部160とは異なる位置に固定され、変位不能に位置決めされている。そして、排水受け部160が放水部150に対して変位可能とされている。排水受け部160が上記下方位置にあるときに放水部150から排水受け部160へと洗浄水が供給される位置関係となる。従って、排水受け部160が上記下方位置にあるときに放水部150から洗浄水が放出されれば、この洗浄水が排水受け部160内に流れ込み、排水受け部160内が洗浄される。
【0087】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組合せが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0088】
上述の実施形態では、固液混合体の一例が説明されたが、固液混合体は、上述した例以外のもので、少なくとも液体と固体(例えば、粉粒体、粉体、粒体の少なくともいずれか)とが混合したものであってもよい。例えば、固液混合体は泥水などに限定されず、液体と固体とが混合した食品又は食品用の材料などであってもよい。或いは、固液混合体は、固体と液体とが混合した工業製品用の材料などであってもよい。
【0089】
上述の実施形態では、濾板10は、正面視四角形状の構成であったが、濾板の形状は正面視四角形状のものに限定されない。濾板の外縁の形状は、四角形以外の多角形状であってもよく、一部又は全部が湾曲した外縁をなす構成であってもよく、その他の構成であってもよい。
【0090】
上述の実施形態では、濾板群5は、同様の構成をなす複数の濾板10が並ぶ構成のものであったが、濾板群5の内部に濾室が構成される構成のものであればよい。例えば、フィルタープレス装置は、2種類以上の濾板を備えたものであってもよく、濾板間に枠体が介在する構成のものであってもよい。
【0091】
上述の実施形態では、濾板構造3において環状凸部24と環状凹部34とが設けられ、複数の濾板10が密着したときに環状凹部34内に環状凸部24が入り込む構成であったが、この構成に限定されない。例えば、環状凸部24の位置が第1押圧面22と同様の平坦面であってもよい。即ち、環状凸部24が存在せずに環状凸部24の位置まで第1押圧面22が及んでいてもよい。同様に、環状凹部34の位置が第2押圧面32と同様の平坦面であってもよい。即ち、環状凹部34が存在せずに環状凹部34の位置まで第2押圧面32が及んでいてもよい。
【0092】
上述の実施形態では、排水受け部の例として、複数の濾板10から落下する排水を受ける排水受け部160が例示されたが、この例に限定されない。例えば、排出経路162を介して流れた排水を受ける第2受け部170が排水受け部であってもよい。この例では、放水部は、洗浄水を第2受け部170に供給するように位置決め部によって固定又は調整可能とされていてもよい。
図1の例では、箱状の第2受け部170が排出経路162を介して流れた排水を受けつつ収容可能とされており、第2受け部170に設けられた弁178が開閉可能とされている。弁178が開放した状態では、第2受け部170に収容された排水が弁178を介して下方に落下するように排出され、弁178が閉塞した状態では、弁178を介しての排出は遮断される。このような構成において、例えば、弁178を開放しつつ第2受け部170内にある程度の水圧で洗浄水を供給すれば、第2受け部170から排水が良好に排出されやすい。
【0093】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
1,201,301 :フィルタープレス装置
7 :固液混合体
10 :濾板
100,200,300 :洗浄装置
122 :弁
132 :導入管
134 :第2供給管
136 :第1供給管
150 :放水部
152 :放出口
160 :排水受け部(第1受け部)
162 :排出経路