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特開2023-181552木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181552
(43)【公開日】2023-12-22
(54)【発明の名称】木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20231215BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20231215BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20231215BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20231215BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
G06F30/27
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094774
(22)【出願日】2022-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】522234622
【氏名又は名称】眞木 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155985
【弁理士】
【氏名又は名称】二間瀬 覚
(72)【発明者】
【氏名】眞木 健一
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC03
5B146DE03
5B146DE06
5B146DE16
5B146DG01
5B146DJ02
5B146DJ14
5B146DL02
5B146EC04
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】住宅の外観を選択することで木造住宅に必要とされる構造の安全性が確保されるようにできる木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法を提供する。
【解決手段】木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援システム10は、木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定部100と、住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、選択後に修正可能な被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定部130とを備える。木造住宅設計支援システムは、被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な設計情報を含んでおり、住宅間取り設定部130は、被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、被設定住宅間取りが設定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援システムであって、
前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定部と、
前記被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定部と、
前記被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定採光計画が設定される採光計画設定部とを備え、
前記被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでおり、
前記住宅間取り設定部は、前記被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、前記被設定住宅間取りが設定される
ことを特徴とする木造住宅設計支援システム。
【請求項2】
予め記憶された複数の住宅間取りのなかから、予め設定されたパラメータに基づいて、前記1又は複数の住宅間取りを前記住宅間取り候補として選択する住宅間取り候補選択部と、
予め記憶された複数の採光計画のなかから、前記被設定住宅間取りに基づいて、前記1又は複数の採光計画を前記採光計画候補として選択する採光計画候補選択部とをさらに備える
請求項1に記載の木造住宅設計支援システム。
【請求項3】
前記住宅間取り候補選択部は、前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ及び前記被設定住宅間取りを含む関係に基づくコンピュータ学習の結果に基づいて前記住宅間取り候補を選択し、
前記採光計画候補選択部は、前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ、前記被設定住宅間取り及び前記被設定採光計画を含む関係に基づくコンピュータ学習の結果に基づいて前記採光計画候補を選択する
請求項2に記載の木造住宅設計支援システム。
【請求項4】
前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ及び前記被設定住宅間取りを含む関係が設定される都度、前記コンピュータ学習の結果を得る住宅間取り学習部と、
前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ、前記被設定住宅間取り及び前記被設定採光計画を含む関係が設定される都度、前記コンピュータ学習の結果を得る採光計画学習部とをさらに備える
請求項3に記載の木造住宅設計支援システム。
【請求項5】
前記予め設定されたパラメータは、家族構成、敷地情報、配置計画、建築規制情報及び希望の間取りの少なくとも1つを含んでいるものである
請求項2から4のいずれか一項に記載の木造住宅設計支援システム。
【請求項6】
前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観は選択可能に表示装置に表示され、
前記住宅間取り候補は選択可能に前記表示装置に表示され、
前記1つ選択された住宅間取りは修正可能に前記表示装置に表示され、
前記採光計画候補は選択可能に前記表示装置に表示され、
前記1つ選択された採光計画は修正可能に前記表示装置に表示される
請求項5に記載の木造住宅設計支援システム。
【請求項7】
前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観は、前記住宅外観を構成する壁面の情報に前記構造計算に必要である前記設計情報を含んでいる
請求項5に記載の木造住宅設計支援システム。
【請求項8】
木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援装置であって、
前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定部と、
前記被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定部と、
前記被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定採光計画が設定される採光計画設定部とを備え、
前記被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでおり、
前記住宅間取り設定部は、前記被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、前記被設定住宅間取りが設定される
ことを特徴とする木造住宅設計支援装置。
【請求項9】
木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援方法であって、
前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定工程と、
前記被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定工程と、
前記被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定採光計画が設定される採光計画設定工程とを備え、
前記被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでおり、
前記住宅間取り設定工程では、前記被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、前記被設定住宅間取りが設定される
ことを特徴とする木造住宅設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造住宅設計支援システムとして、特許文献1に記載のような木造住宅設計支援システムが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の木造住宅設計支援システムは、インターネット等を介して、利用者が希望する住宅の概略外観デザインと内部レイアウトとを、希望条件に基づいて又はサーバが提示した選択肢の中から検索することによって概略設計図等と、有償の場合のサービス内容、流れ、費用等を無償で提示する段階1~8を提供する。また、木造住宅設計支援システムは、インターネット等を介して、希望する利用者に希望条件に基づいてサーバが提示した選択肢の中から具体的設計図等を有償で提示し、発注し、施工を指示し、建築することを支援する段階9~14を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-016137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
木造住宅を建築する個人等の施主は、設計開始前の段階で工務店に対して希望を伝え、工務店の提示するプランを参照しつつ、住宅の見た目のデザインとしての外観や、間取り、内装についての希望を工務店に伝える。工務店は、過去の事例や経験に基づいて、施主からの要望の採否を判断しつつ、木造住宅の設計を行う。こうした設計を支援するシステムとして、例えば、特許文献1に記載の木造住宅設計支援システムなどは、利用者が希望する住宅の概略外観デザインと内部レイアウトとを、希望条件に基づいて又はサーバが提示した選択肢の中から検索する。
【0006】
しかしながら、工務店は木造住宅に対する構造の安全性を、全体を設計した後に、構造計算や、それよりも簡易である壁量計算で確認することが多い。そのため、最初に住宅の外観が決まったとしても構造の安全性を確認することができないため、その後、安全性の確認と確保に時間を要したり、外観を修正しなければならなかったりするおそれがある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、住宅の外観を選択することで木造住宅に必要とされる構造の安全性が確保されるようにすることができる木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する木造住宅設計支援システムは、木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援システムであって、前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定部と、前記被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定部と、前記被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定採光計画が設定される採光計画設定部とを備え、前記被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでおり、前記住宅間取り設定部は、前記被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、前記被設定住宅間取りが設定される。
【0009】
上記課題を解決する木造住宅設計支援装置は、木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援装置であって、前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定部と、前記被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定部と、前記被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定採光計画が設定される採光計画設定部とを備え、前記被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでおり、前記住宅間取り設定部は、前記被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、前記被設定間取りが設定される。
【0010】
上記課題を解決する木造住宅設計支援方法は、木造住宅の設計を支援する木造住宅設計支援方法であって、前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観である被選択住宅外観が設定される住宅外観設定工程と、前記被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定住宅間取りが設定される住宅間取り設定工程と、前記被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、前記選択された後に修正可能とされていた前記被設定採光計画が設定される採光計画設定工程とを備え、前記被選択住宅外観は、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでおり、前記住宅間取り設定工程では、前記被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、前記被設定住宅間取りが設定される。
【0011】
このような構成によれば、木造住宅の住宅外観として設定される被選択住宅外観に含まれる設計情報に基づいて構造の安全性の判定に用いられる構造計算ができることで木造住宅に対する構造計算の結果が得られるようになる。そして、被設定住宅間取りの設定が、構造計算の結果から木造住宅の安全性が得られることを条件に設定される。換言すると、被設定住宅間取りの設定が木造住宅の安全性に与える影響がとても小さい。これにより、住宅の外観を選択することで木造住宅に必要とされる構造の安全性が確保されるようになる。
【0012】
このように、住宅外観の設定で木造住宅の安全性が確保された状態になることから、住宅間取りや採光計画の態様が建物の安全性に及ぼす影響が抑制されるようになり、住宅間取りや採光計画の選択自由度が高められる。これにより、工務店は施主に高い満足度を与える間取りや採光計画の設計が容易になる。
【0013】
好ましい構成として、予め記憶された複数の住宅間取りのなかから、予め設定されたパラメータに基づいて、前記1又は複数の住宅間取りを前記住宅間取り候補として選択する住宅間取り候補選択部と、予め記憶された複数の採光計画のなかから、前記被設定住宅間取りに基づいて、前記1又は複数の採光計画を前記採光計画候補として選択する採光計画候補選択部とをさらに備える。
【0014】
このような構成によれば、住宅間取り候補が、予め記憶された複数の住宅間取りのなかから、予め設定されたパラメータに基づいて選択される。これにより、住宅外観や安全性に影響の小さい間取りを住宅間取り候補とすることができるようになる。採光計画候補が、予め記憶された複数の採光計画のなかから被設定住宅間取りに基づいて選択される。これにより、住宅外観や安全性に影響の小さい採光計画を採光計画候補とすることができるようになる。
【0015】
好ましい構成として、前記住宅間取り候補選択部は、前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ及び前記被設定住宅間取りを含む関係に基づくコンピュータ学習の結果に基づいて前記住宅間取り候補を選択し、前記採光計画候補選択部は、前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ、前記被設定住宅間取り及び前記被設定採光計画を含む関係に基づくコンピュータ学習の結果に基づいて前記採光計画候補を選択する。
【0016】
このような構成によれば、住宅間取り候補がコンピュータ学習の結果に基づいて選択されることから、被選択住宅外観と、予め設定されたパラメータと、被設定住宅間取りとに基づいて住宅間取り候補を施主等に対してより妥当性の高いものとして提示することができるようになる。採光計画候補がコンピュータ学習の結果に基づいて選択されることから、被選択住宅外観と、予め設定されたパラメータと、被設定住宅間取りと、被設定採光計画とを含む関係とに基づいて採光計画候補を施主等に対してより妥当性の高いものとして提示することができるようになる。
【0017】
好ましい構成として、前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ及び前記被設定住宅間取りを含む関係が設定される都度、前記コンピュータ学習の結果を得る住宅間取り学習部と、前記被選択住宅外観、前記予め設定されたパラメータ、前記被設定住宅間取り及び前記設定採光計画を含む関係が設定される都度、前記コンピュータ学習の結果を得る採光計画学習部とをさらに備える。
【0018】
このような構成によれば、住宅間取り学習部によって、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び被設定住宅間取りを含む関係が設定される毎にコンピュータ学習されて、学習結果が更新されるようになる。採光計画学習部によって、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係が設定される毎にコンピュータ学習されて、学習結果が更新されるようになる。
【0019】
好ましい構成として、前記予め設定されたパラメータは、家族構成、敷地情報、配置計画、建築規制情報及び希望の間取りの少なくとも1つを含んでいるものである。
【0020】
このような構成によれば、家族構成、敷地情報、配置計画、建築規制情報及び希望の間取りの少なくとも1つが予め設定されたパラメータに含まれるので、住宅間取り候補や採光計画候補がより適切な内容で選ばれるようになる。
【0021】
好ましい構成として、前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観は選択可能に表示装置に表示され、前記住宅間取り候補は選択可能に前記表示装置に表示され、前記1つ選択された住宅間取りは修正可能に前記表示装置に表示され、前記採光計画候補は選択可能に前記表示装置に表示され、前記1つ選択された採光計画は修正可能に前記表示装置に表示される。
【0022】
このような構成によれば、表示装置には、木造住宅として選択可能である複数の外観が選択可能に表示され、住宅間取り候補が選択可能に表示され、被設定住宅間取りが修正可能に表示され、採光計画候補が選択可能に表示され、被設定採光計画が修正可能に表示される。
【0023】
好ましい構成として、前記木造住宅として選択可能である複数の住宅外観は、前記住宅外観を構成する壁面の情報に前記構造計算に必要である前記設計情報を含んでいる。
【0024】
このような構成によれば、住宅外観を構成する壁面の情報に構造計算に必要な設計情報を含んでいることから、選択された住宅外観から安全性を算出することができるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、住宅の外観を選択することで木造住宅に必要とされる構造の安全性が確保されるようにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態における木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法における処理手順の一例を示すフローチャート。
図2】同実施形態における木造住宅設計支援システムのシステム構造を模式的に示す模式図。
図3】同実施形態における設計支援サーバの構成を模式的に示す模式図。
図4】同実施形態における木造住宅として選択可能である複数の住宅外観を模式的に示す模式図。
図5】同実施形態における構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報の一例を示す正面図。
図6】同実施形態における予め設定されたパラメータの一例を模式的に示す模式図。
図7】同実施形態における住宅間取り候補選択工程における処理手順の一例を示すフローチャート。
図8】同実施形態における住宅間取り設定工程における処理手順の一例を示すフローチャート。
図9】同実施形態における採光計画候補選択工程における処理手順の一例を示すフローチャート。
図10】同実施形態における採光計画設定工程における処理手順の一例を示すフローチャート。
図11】同実施形態における学習工程における処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図11を参照して、木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では木造住宅は3次元CADを利用した3次元情報として設計されるものであり、3次元情報としてBIMデータが利用されているものとする。例えば、BIMは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略語である。
【0028】
図1に示すように、木造住宅設計支援システムは処理手順の一例として、敷地情報設定工程(ステップS90)と、住宅外観設定工程(ステップS100)と、パラメータ設定工程(ステップS110)と、住宅間取り候補選択工程(ステップS120)と、住宅間取り設定工程(ステップS130)と、資材仕様選定工程(ステップS137)と、構造計算概算工程(ステップS138)とを有している。また、木造住宅設計支援システムは処理手順の一例として、採光計画候補選択工程(ステップS140)と、採光計画設定工程(ステップS150)と、構造計算工程(ステップS157)と、図面化工程(ステップS170)と、積算工程(ステップS190)とを含んでいる。
【0029】
敷地情報設定工程(ステップS90)は、設定した木造住宅に対する敷地情報と該敷地に対応する建築規制情報等の諸条件がパラメータに設定される工程である。住宅外観設定に必要とされる情報として、敷地情報には敷地面積や形状などが含まれてもよく、建築規制情報には断熱性能、積雪荷重、耐震性能、用途地域などが含まれてもよい。また、敷地情報には、配置計画が含まれてもよい。
【0030】
住宅外観設定工程(ステップS100)は、施主等により建築したい木造住宅の外観が設定される工程である。
【0031】
パラメータ設定工程(ステップS110)は、設定した木造住宅に対する居住者の家族構成、住宅の間取り希望等の諸条件がパラメータに設定される工程である。
【0032】
また、住宅間取り候補選択工程(ステップS120)は、外観から選択した木造住宅に対応することのできる間取りの候補を選択する工程である。
【0033】
住宅間取り設定工程(ステップS130)は、間取りの候補から選択した間取りに基づいて施主等が修正することのできた住宅間取りが設定される工程である。
【0034】
資材仕様選定工程(ステップS137)は、木造住宅の屋根や外壁等の外装、内壁や床等の内装など、建物の荷重に係るものや、そうでない内装についての仕様を選定する工程である。
【0035】
構造計算概算工程(ステップS138)は、設定された住宅外観、間取りに基づいて住宅の安全性を評価するための構造計算について概算する工程である。
【0036】
採光計画候補選択工程(ステップS140)は、設定された住宅間取りに対応することのできる採光計画の候補を選択する工程である。
【0037】
採光計画設定工程(ステップS150)は、採光計画の候補から選択した採光計画に基づいて施主等が修正することのできた採光計画が設定選択される工程である。
【0038】
構造計算工程(ステップS157)は、設定された住宅外観、間取り、採光計画に基づいて住宅の安全性を評価するための構造計算をする工程である。
【0039】
また、図面化工程(ステップS170)は、設定された住宅外観、間取り、採光計画、資材仕様に基づいて3次元の図面や画像を作成する工程である。木造住宅設計支援方法においては、設定された住宅外観、間取り、採光計画、資材仕様に基づいて木造住宅が3次元の図面データで設計される。また、3次元の図面データから、建築される木造住宅の3次元画像が得られたり、建築に要する費用の積算精度が高められたりする。よって、顧客の満足度の高い木造住宅を設計し、施工することができるようになる。
【0040】
積算工程(ステップS190)は、設定された住宅外観、間取り、採光計画、資材仕様に基づいて木造住宅の建築に要する費用を積算する工程である。
【0041】
図2に示すように、木造住宅設計支援システム10は、情報伝達可能なネットワークNWに接続されている。ネットワークNWには、複数の情報処理装置が情報通信可能に接続されている。情報処理装置の一例は、コンピュータやサーバ、タブレット端末などである。複数の情報処理装置は、設計支援サーバ11、取引先端末21、取引先端末31、施主端末41、工務店端末51、工務店端末61が挙げられる。
【0042】
例えば、木造住宅設計支援システム10に含まれる設計支援サーバ11は、入力部12と出力部13とが設けられている。
【0043】
入力部12は、入力情報や通信情報が入力されるものであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクからの情報やコンピュータ間の通信情報が入力される。
【0044】
出力部13は、画像や音声などの情報や通信情報が出力されるものであり、例えば、画像の画面出力、音声出力やコンピュータ間の通信情報が出力される。
【0045】
設計支援サーバ11の入力部12と同様に、取引先端末21の入力部22、取引先端末31の入力部32、施主端末41の入力部42、工務店端末51の入力部52、及び工務店端末61の入力部62は、操作や情報通信によって情報が入力されるものであることから詳しい説明は割愛する。
【0046】
取引先端末21の出力部23、取引先端末31の出力部33、施主端末41の出力部43、工務店端末51の出力部53、及び工務店端末61の出力部63は、設計支援サーバ11の出力部13に例示した機能のうちの少なくとも1つを有していればよく詳しい説明は割愛する。
【0047】
各入力部22、32、42、52、62は、設計支援サーバ11の出力部13からの情報通信を入力し、その入力した通信情報に基づく画像や音声などの情報が各出力部23、33、43、53、63から出力されてもよい。
【0048】
また、各入力部22、32、42、52、62は、入力された操作情報を各出力部23、33、43、53、63から通信情報として出力し、その出力した通信情報が設計支援サーバ11の入力部12から通信情報が設計支援サーバ11に入力されるようにしてもよい。
【0049】
図3に示すように、設計支援サーバ11は、入力部12、出力部13及び情報処理装置14を備えている。情報処理装置14は、設計支援サーバ11において情報処理の機能を発揮させる部分であり、例えば、中央演算装置、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及び入出力インターフェースを有している。入出力インターフェースは、入力部12、出力部13及び記憶部200等と情報通信可能に接続されている。
【0050】
設計支援サーバ11は、住宅外観設定部100、構造計算部101、パラメータ設定部110、住宅間取り候補選択部120、住宅間取り設定部130、採光計画候補選択部140、採光計画設定部150、資材仕様選定部160、住宅間取り学習部310及び採光計画学習部320を含んでいる。住宅外観設定部100、構造計算部101、パラメータ設定部110、住宅間取り候補選択部120、住宅間取り設定部130、採光計画候補選択部140、採光計画設定部150、資材仕様選定部160、住宅間取り学習部310及び採光計画学習部320は、情報処理装置14におけるプログラム処理により具現化された機能であってもよい。
【0051】
設計支援サーバ11は、内部ストレージや外部ストレージ又はそれらの組合せからなる記憶部200を有している。記憶部200は、情報処理装置14による操作によって情報の取得、追加、消去などが可能である。
【0052】
記憶部200には、設計情報を含む住宅外観データ210、パラメータ220、住宅間取りデータ230、採光計画データ240、資材仕様データ250、3次元設計データ260及び学習用データ290が記憶されている。
【0053】
入力部12は、設計支援サーバ11が各種の情報を入力する部分である。詳述すると、入力部12は、人等の操作に基づいて情報が入力されるユーザインターフェースや、通信などにより情報を入力するインターフェースから情報が入力される。また、入力部12は、キーボードやマウス、タッチパネル、マイク、各種のセンサーなどの入力機器を少なくとも1つを含んでもよい。
【0054】
本実施形態では、入力部12は、住宅外観設定部100、構造計算部101、パラメータ設定部110、住宅間取り候補選択部120、住宅間取り設定部130、採光計画候補選択部140、採光計画設定部150、資材仕様選定部160に対応して選択や修正の指示を可能な入力機器を含んでいる。
【0055】
入力機器は、住宅外観設定部100に対応して、選択可能に表示されている木造住宅として選択可能である複数の住宅外観から少なくとも1つの住宅外観を選択可能にしている。また、入力機器は、住宅間取り候補選択部120に対応して、選択可能に表示されている住宅間取り候補から少なくとも1つの住宅間取りを選択可能にしている。また、入力機器は、住宅間取り設定部130に対応して、修正可能に表示されている住宅間取りを修正可能に構成されていてもよい。また、入力機器は、採光計画候補選択部140に対応して、選択可能に表示されている採光計画候補を選択可能に構成されていてもよい。また、入力機器は、採光計画設定部150に対応して、修正可能に表示されている採光計画を修正可能に構成されていてもよい。
【0056】
出力部13は、設計支援サーバ11が各種の情報を出力する部分である。詳述すると、出力部13は、画像や音声などの人が認知できる情報を出力するユーザインターフェースや、通信などにより情報を出力するインターフェースから情報を出力する。また、出力部13は、画像を出力するモニターや、音声を出力するスピーカーなどの出力機器を少なくとも1つを含んでもよい。
【0057】
本実施形態では、出力部13は、住宅外観設定部100、構造計算部101、パラメータ設定部110、住宅間取り候補選択部120、住宅間取り設定部130、採光計画候補選択部140、採光計画設定部150、資材仕様選定部160からの情報を必要に応じて画像として表示させる表示装置を含んでいる。
【0058】
表示装置は、住宅外観設定部100に対応して、木造住宅として選択可能である複数の住宅外観を選択可能に表示させることができてもよい。このとき、木造住宅として選択可能である複数の住宅外観は、住宅外観を構成する壁面の情報に構造計算に必要である設計情報を含んでいる。また、表示装置は、住宅間取り候補選択部120に対応して、住宅間取り候補を選択可能に表示させることができてもよい。また、表示装置は、住宅間取り設定部130に対応して、選択された住宅間取りを修正可能に表示させることができてもよい。また、表示装置は、採光計画候補選択部140に対応して、採光計画候補を選択可能に表示させることができてもよい。また、表示装置は、採光計画設定部150に対応して、1つ選択された採光計画を修正可能に表示させることができてもよい。
【0059】
住宅外観設定部100は、木造住宅として選択可能である複数の住宅外観のうちから1つ選択された住宅外観が設定される。なお、選択により設定された1つの住宅外観を被選択住宅外観ともいう。例えば、住宅外観設定部100は、表示装置に選択可能に表示されている木造住宅であって、木造住宅として選択可能である複数の住宅外観から1つの住宅外観が選択により設定される(住宅外観設定工程)。
【0060】
なお、住宅外観設定部100は、選択可能である複数の住宅外観を表示装置に表示させることができてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、被選択住宅外観などの住宅外観はそれぞれ、構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な情報としての設計情報を含んでいる。
【0062】
構造計算部101は、被選択住宅外観について設計情報を含んでいる住宅外観データ210に基づいて木造住宅の安全性を評価するための構造計算をする。構造計算部101は、構造計算の概算を行うことができる。構造計算の概算では、被選択住宅外観の有する情報と、資材仕様の設定で定まる建物荷重とに基づいて構造計算の概算を行う。また、構造計算部101は、構造計算では、間仕切りの荷重と、建物の重量と、耐力壁の位置とを条件に含んで構造計算を行う。構造計算部101による設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られる。構造計算部101は、構造計算とともに、壁量計算をしてもよい。
【0063】
パラメータ設定部110は、木造住宅の建設に必要な情報をパラメータ220に設定することができる。予め設定されたパラメータ220に設定される情報としては、例えば、敷地情報と該敷地に対応する建築規制情報、配置計画等の諸条件が挙げられるとともに、家族構成、敷地情報及び希望の間取りなどが挙げられる。なお、パラメータ220は、複数のパラメータが記憶される部分である。
【0064】
住宅間取り候補選択部120は、予め記憶された複数の住宅間取りのなかから、予め設定されたパラメータに基づいて選択した1又は複数の住宅間取りを住宅間取り候補とする。詳述すると、住宅間取り候補選択部120は、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び予め記憶された複数の住宅間取りの関係に基づいて住宅間取り候補を選択する。また、住宅間取り候補選択部120は、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び被設定住宅間取りを含む関係にコンピュータ学習の結果を反映させることで得られる住宅間取り候補を選択する条件に基づいて住宅間取り候補を選択してもよい。つまり、機械学習を利用して生成されたアルゴリズムを適用して、住宅間取り候補を推測し、選択してもよい。
【0065】
住宅間取り設定部130は、被選択住宅外観に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づく被設定住宅間取りであって、選択された後に修正可能とされていた被設定住宅間取りが設定される。住宅間取り設定部130は、被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、被設定住宅間取りを設定するようにしてもよい。
【0066】
採光計画候補選択部140は、予め記憶された複数の採光計画のなかから、被設定住宅間取りに基づいて選択した1又は複数の採光計画を採光計画候補とする。採光計画候補選択部140は、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係に基づいて採光計画候補を選択する。採光計画候補選択部140は、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係にコンピュータ学習の結果を反映させることで得られる採光計画候補を選択する条件に基づいて採光計画候補を選択してもよい。つまり、機械学習を利用して生成されたアルゴリズムを適用して、採光計画候補を推測し、選択してもよい。
【0067】
採光計画設定部150は、被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づく被設定採光計画であって、選択された後に修正可能とされていた被設定採光計画が設定される。
【0068】
資材仕様選定部160は、設計情報である3次元データに資材を選択選定する。資材仕様選定部160で選定される資材は、屋根や外壁等の外装、内壁や床等の内装など、建物の荷重に係るものや、床面、壁面、設備などが含まれていてもよい。換言すると、木造住宅において構造体である部分について資材や仕様が選定されてもよいし、木造住宅において構造体ではない部分について資材や仕様が選定されてもよい。
【0069】
記憶部200に記憶されているデータについて説明する。
【0070】
住宅外観データ210は、木造住宅として選択可能である1又は複数の住宅外観のデータと、住宅外観から定まる木造住宅に対応する各種のデータとに関連付けられている。なお、上述の通り、住宅外観データ210は、3次元情報としてBIMデータを利用するが、3次元情報を3次元設計データ260などから参照してもよい。なお、住宅外観データ210は、3次元情報を直接含んでいてもよい。また、住宅外観データ210が関連付けられているデータは、事前に住宅の安全性を評価するための構造計算の結果として所定の耐震等級、例えば耐震等級3が確保されていた木造住宅に関するものである。なお、住宅外観データ210が関連付けられているデータは、構造計算ができるデータであってもよいし、耐震等級が選択可能であってもよい。
【0071】
図4には、住宅外観データ210を住宅外観選択表T40に示した一例が示されている。例えば、住宅外観データ210には、住宅外観選択表T40に示すデータ項目として、商品名C41、コンセプトC42、商品建物(デザイン)C43、UA値C44、面積C45、目安の坪数C46、趣向C47、原価C48及び売価C49が、商品毎に設定されている。そして住宅外観選択表T40は、住宅外観データ210に含まれる商品名C41毎に対応するコンセプトC42、商品建物(デザイン)C43、UA値C44、面積C45、目安の坪数C46、趣向C47、原価C48及び売価C49を一覧表としたものである。
【0072】
商品を区別するための商品名C41としては、Aタイプ211、Bタイプ212、Cタイプ213、Dタイプ214、Eタイプ215及びFタイプ216が含まれている。例えば、Aタイプ211のデータ項目と内容との対応は、コンセプトC42が「自由」であり、商品建物(デザイン)C43が図示され、UA値C44が「a1」であり、面積C45が「a2」であり、目安の坪数C46が「a3」であり、趣向C47が「a4」であり、原価C48が「a5」であり、売価C49が「a6」である。
【0073】
Bタイプ212~Fタイプ216についてもAタイプ211と同様のデータ項目を有しているので、Aタイプ211の説明と同様の順で説明する。
【0074】
すなわち、Bタイプ212ではデータ項目の順に内容は、「シンプル」、図示、「b1」、「b2」、「b3」、「b4」、「b5」、「b6」である。同様に、Cタイプ213ではデータ項目の順に内容は、「狭小」、図示、「c1」、「c2」、「c3」、「c4」、「c5」、「c6」である。
【0075】
同様に、Dタイプ214ではデータ項目の順に内容は、「耐久」、図示、「d1」、「d2」、「d3」、「d4」、「d5」、「d6」である。同様に、Eタイプ215ではデータ項目の順に内容は、「中庭」、図示、「e1」、「e2」、「e3」、「e4」、「e5」、「e6」である。同様に、Fタイプ216ではデータ項目の順に内容は、「断熱」、図示、「f1」、「f2」、「f3」、「f4」、「f5」、「f6」である。
【0076】
このうち、Aタイプ211を例にすると、データ項目中の「a1」は「0.55」、「a2」は「70.50平方メートル~」、「a3」は「39.75平方メートル~」、「a4」は「趣味趣向の強い人」、「a5」は「830万円~」、「a6」は「1110万円~」である。
【0077】
また、データ項目の趣向C47を例にすると、Bタイプ212の「b4」は「コスト志向」、Cタイプ213の「c4」は「都会派」、Dタイプ214の「d4」は「耐久性志向」、Eタイプ215の「e4」は「プライバシー重視」、Fタイプ216の「f4」は「性能志向」である。
【0078】
また、住宅外観データ210には、住宅の安全性の判定に用いることのできるデータ(設計情報)を含んでいるとともに、柱壁伏図、断面図、各種伏図に対応するデータが含まれている。
【0079】
図5には、Y方向にはY0通り~Y8通りを有し、X方向にはX0通り~X8通りを有している二階建て木造住宅の1階の柱壁伏図21Aの一例が示されている。柱壁伏図21Aは、木造住宅の柱と壁との配置を平面図で示している図面であって、住宅外観データ210が含んでいる設計情報に基づいて図面化されている。
【0080】
柱壁伏図21Aには、それぞれの柱が建材を特定する記号が付されているとともに、特定される建材は、木造住宅の構造計算が可能とされた情報を含んでいる。構造計算が可能とされた情報としては、例えば、使用実績のある建材に対する構造計算に必要な仕様データである。使用実績のある建材は、再使用する建材としてデータが記憶・蓄積されてもよい。つまり、住宅外観データ210から構造計算に利用される設計情報が得られる。
【0081】
また、住宅外観データ210は、Y方向の柱間C51~C58やX方向の柱間R51~R58に配置される建材としての壁部の設計情報を含んでおり、壁部の設計情報にも木造住宅の構造計算が可能とする設計情報が含まれている。
【0082】
なお、住宅外観データ210に含まれる設計情報に基づいて、二階建て木造住宅について、必要な図面が作図できる。必要な図面としては、例えば、2階の柱壁伏図、断面図(X方向)、断面図(Y方向)、床伏図(1階床)、床伏図(2階床)、床伏図(小屋)、基礎伏図、略軸組図(Y0通り)、略軸組図(Y8通り)、略軸組図(X0通り)、略軸組図(X2通り)及び略軸組図(X8通り)が挙げられる。
【0083】
ところで、本実施形態の住宅外観データ210により示される木造住宅は、木造住宅に必要とされる構造の安全性が確保されている。詳述すると、住宅外観データ210は、Y0通り、Y8通り、X0通り及びX8通りに設けられる柱と外壁、及び、X4通りとY4通りとの交差位置に設けられる柱とについてそれぞれ仕様データを含んでおり、これら含んでいる仕様データに基づいて木造住宅に必要とされる構造の安全性を算出できるようになっている。
【0084】
図3を参照して、パラメータ220は、建築したい木造住宅に対する諸条件をパラメータとして含んでいる。
【0085】
図6には、パラメータ220の一例が示されている。例えば、パラメータ220には、木造住宅の設計に関する諸条件として、敷地情報221、建築規制情報222、配置計画情報223、居住者の家族構成225、住宅間取り希望226、ライフプラン情報227、生活動線228等が含まれている。
【0086】
図3を参照して、住宅間取りデータ230は、木造住宅に対応する1又は複数の住宅間取りのデータを含んでいる。具体的には、住宅間取りデータ230には、住宅外観データ210(住宅外観)に対応する1又は複数の住宅間取りからなる住宅間取り候補が含まれている。つまり、住宅間取りデータ230には、住宅外観選択表T40(図4参照)に示す1つの商品名C41に対して提案可能な1又は複数の住宅間取りが含まれている。
【0087】
また、住宅間取りデータ230に含まれる住宅間取りには、好ましい住宅間取りの提案に利用される抽出用の諸条件、例えば、居住者の家族構成225、住宅間取り希望226、ライフプラン情報227及び生活動線228の少なくとも1つが含まれている。
【0088】
なお、住宅間取りデータ230は、住宅間取り候補から1つ選択された住宅間取りに基づいて修正や変更を施された被設定住宅間取りが適宜追加されることで更新されてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、住宅間取りデータ230は、住宅間取り学習部310が被設定住宅間取りに基づいて学習した結果で更新されてもよい。
【0090】
図3を参照して、採光計画データ240は、木造住宅の間取りに対応する1又は複数の採光計画のデータを含んでいる。具体的には、採光計画データ240には、被設定住宅間取りに対応する1又は複数の採光計画からなる採光計画候補が含まれている。つまり、採光計画データ240には、住宅外観選択表T40(図4参照)に示す1つの商品名C41に対して提案可能な1又は複数の採光計画が含まれている。採光計画データ240に含まれる採光計画は、居室に対して要求される窓のサイズの下限となる、法的に必要最低減の窓のサイズを含んでいる。
【0091】
また、採光計画データ240に含まれる採光計画には、好ましい採光計画の提案に利用される抽出用の諸条件、例えば、居住者の家族構成225、住宅間取り希望226、ライフプラン情報227及び生活動線228の少なくとも1つが含まれている。
【0092】
なお、採光計画データ240は、採光計画候補から1つ選択された採光計画に基づいて修正や変更を施された被設定採光計画が適宜追加されることで更新されてもよい。また、本実施形態では、採光計画データ240は、採光計画学習部320が被設定採光計画に基づいて学習した結果で更新されてもよい。
【0093】
資材仕様データ250は、木造住宅の屋根や外壁等の外装、内壁や床等の内装など、建物の荷重に係るものや、そうでない内装についての仕様に対応するデータを含んでいる。また、3次元画像の作成に対応するため、内装に対応する見た目の情報も含んでいてもよい。資材仕様データ250は、例えば、屋根材のデータ、床のデータ、壁のデータ、設備のデータなどを含んでいる。例えば、屋根材のデータには、瓦の種類や寸法、重量の仕様を含む。床のデータには、床板の寸法、重量や仕様を含む。壁のデータには、内装や外装用の壁材やそれらの寸法、重量や仕様、壁紙の寸法や仕様を含む。設備のデータには、設備の寸法、重量、仕様、付属品や設置条件を含む。なお、資材仕様データ250は、構造計算に必要な建物の荷重に係るものや、見た目に必要な外観のデータなどを含んでいてもよい。
【0094】
3次元設計データ260は、木造住宅に対応する3次元CAD用の設計データである。3次元設計データ260は、蓄積されたBIMデータを利用して3次元CADで設計された木造住宅のデータである。本実施形態では、3次元設計データ260は、住宅外観データ210の参照先であってもよい。また、3次元設計データ260は、必要に応じてパラメータ220、住宅間取りデータ230、採光計画データ240及び資材仕様データ250から参照されてもよい。
【0095】
BIMデータは、建材などの要素に対応するオブジェクトの集合体である。よって、BIMデータは、木造住宅の構造の安全性の判定に用いられる構造計算に必要な設計情報を含んでいる。具体的には、BIMデータは、建材パーツの情報として、幅、奥行き、高さ、重量等の寸法とともに、素材や性能等の仕様、組み立て工程、組み立て工数なども含んでいてもよい。つまり、BIMデータで設計された木造住宅は、図面情報以外にも多くのデータを含んでおり、また多くのデータを参照することができる。
【0096】
また、BIMデータは、構造体としての形状を有していることから3D画像として再現可能でもある。さらに、BIMデータは、建材の外観(表面)を有していてもよく、3D画像によって外装や内装等を再現可能であってもよい。また、BIMデータは、設備機器等が含まれていてもよい。設備機器には、品番、メーカー、価格なども含まれてよい。
【0097】
このように、BIMデータは、建材の素材や仕様や、設備機器の仕様などが含まれていることからメンテナンスや管理を行うことができる。
【0098】
学習用データ290は、住宅間取りデータ230に含まれる住宅間取りの学習や、採光計画データ240に含まれる採光計画の学習に用いられるデータである。学習用データ290には、住宅間取り設定部130に設定された被設定住宅間取りや、採光計画設定部150に設定された被設定採光計画が含まれる。
【0099】
学習用データ290は、被設定住宅間取りを少なくとも住宅間取りデータ230に対応する学習が終了されるまで保持しており、学習済みのデータは所定の条件に応じて削除されてもよい。同様に学習用データ290は、被設定採光計画を少なくとも採光計画データ240に対応する学習が終了されるまで保持しており、学習済みのデータは所定の条件に応じて削除されてもよい。
【0100】
詳述すると、学習用データ290の被設定住宅間取りは、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び被設定住宅間取りを含む関係が設定される都度、住宅間取り学習部310でコンピュータ学習がされ、コンピュータ学習の結果に基づく住宅間取りが住宅間取りデータ230に含まれるようになってもよい。
【0101】
また、学習用データ290のうちの被設定採光計画は、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係が設定される都度、採光計画学習部320で採光計画についてのコンピュータ学習がされ、コンピュータ学習の結果に基づく採光計画が採光計画データ240に含まれるようになってもよい。
【0102】
次に、木造住宅設計支援システム10にて実行される木造住宅設計支援方法における処理手順の一例についてフローチャートに基づいて説明する。
【0103】
図1には、木造住宅設計支援方法の概略を示すフローチャートが示されている。木造住宅設計支援システム10では、設計支援サーバ11における各種情報処理に基づいて木造住宅設計支援方法が行われる。
【0104】
まず、設計支援サーバ11は、入力部12などから敷地情報が設定される(敷地情報設定工程:ステップS90)。設計支援サーバ11では、敷地情報や建築規制情報の諸条件がパラメータ220に設定される。例えば、表示装置に、図6のパラメータ220に示すようにパラメータ項目を表示させることで、パラメータ項目を設定可能としてもよい。なお、木造住宅を建築する土地が決まっていない場合、希望地の情報を入力してもよい。
【0105】
設計支援サーバ11は、住宅外観設定工程(図1のステップS100)に先立ち、出力部13の表示装置に、木造住宅として選択可能である複数の住宅外観を選択可能に表示させることで、入力部12を通じて住宅外観の選択を可能にする。木造住宅として選択可能である複数の住宅外観は、設定された敷地情報に関連する法令に適合する住宅外観である。表示装置には、例えば図4に示す住宅外観選択表T40が表示される。
【0106】
ところで、設計支援サーバ11により選択される木造住宅として選択可能である複数の住宅外観はそれぞれ、住宅の安全性を評価するための構造計算がされている。そこで、設計支援サーバ11が選択するとき、敷地情報に対応し、かつ、その敷地に対して住宅の安全性が確保される住宅外観が選ばれ、次のステップに進むことができる。一方、敷地情報に対応していなかったり、その敷地に対して住宅の安全性が確保されない住宅外観は選ばれず、当然には次のステップに進むことはできない。なお、多少の数値不足や一部不適合あった場合、その旨の通知や、住宅外観の再選択や、建築士による許可など、安全性の確保に必要な処理を介して次のステップに進んだとしてもよい。また、住宅外観を設定するとき、構造計算の概算をして、概算結果が適切であれば次のステップに進み、不適切であれば当然に次のステップに進むことができないようにしてもよい。
【0107】
設計支援サーバ11では、施主等により建築対象として選択された木造住宅の外観が設定される(住宅外観設定工程:図1のステップS100)。例えば、表示装置に表示されている住宅外観選択表T40(図4参照)に対する入力部12を介した操作によって、商品名C41から選択された1つの住宅外観としての被選択住宅外観が選択設定される。
【0108】
また、設計支援サーバ11では、被選択住宅外観に対応する居住者の家族構成や要望等の諸条件がパラメータ220に設定される(パラメータ設定工程:図1のステップS110)。パラメータ設定工程では、入力部12などから居住者の家族構成や要望等の諸条件がパラメータ項目として入力設定される。例えば、表示装置に、図6のパラメータ220に示すようにパラメータ項目を表示させることで、パラメータ項目を設定可能としてもよい。
【0109】
図1を参照して、設計支援サーバ11は、住宅外観設定工程で設定された被選択住宅外観に対応する住宅間取りの候補を選択する(住宅間取り候補選択工程:図1のステップS120)。
【0110】
図7を参照して、住宅間取り候補選択工程(図1のステップS120)の一例を示すフローチャートは、配置計画工程(図7のステップS121)と、住宅間取りの条件算出工程(図7のステップS122)と、被選択住宅外観判定工程(図7のステップS123)と、住宅間取り候補抽出工程(図7のステップS124)とを含んでいる。
【0111】
配置計画工程(図7のステップS121)では、被選択住宅外観と、敷地情報221と建築規制情報222とに基づいて敷地のどの場所に建物を配置するかを定める配置計画として配置計画情報223を得る。配置計画では、建物の縦横サイズと向きとが定められる。なお、配置計画工程では、仮に定められていた配置計画情報223を参照して、適切な配置計画情報223に更新してもよい。
【0112】
住宅間取りの条件算出工程(図7のステップS122)では、配置計画情報223と、居住者の家族構成225、住宅間取り希望226、ライフプラン情報227及び生活動線228に基づいて「適する住宅間取りを抽出する条件」を算出する。
【0113】
被選択住宅外観判定工程(図7のステップS123)では、住宅間取りデータ230のうちから被選択住宅外観に対応する間取りを判定する。
【0114】
住宅間取り候補抽出工程(図7のステップS124)では、被選択住宅外観に対応する住宅間取りのうちから「適する住宅間取りを抽出する条件」に適合する又は近い住宅間取りを抽出する。
【0115】
図1を参照して、設計支援サーバ11は、住宅間取りの候補から選択した住宅間取りが被選択住宅間取りとして設定される(住宅間取り設定工程:図1のステップS130)。なお、被選択住宅間取りは、住宅間取りの候補から選択されたあと、施主等が修正することができることから、選択された住宅間取りと同じであることもあるし、修正されていることもある。
【0116】
図8を参照して、住宅間取り設定工程の一例を示すフローチャートは、住宅間取り候補出力工程(図8のステップS131)と、住宅間取り選択工程(図8のステップS132)と、住宅間取り調整工程(図8のステップS133)と、住宅間取り決定工程(図8のステップS134)とを含んでいる。
【0117】
住宅間取り候補出力工程(図8のステップS131)では、施主等が選択可能な住宅間取り候補を表示装置に表示させる。
【0118】
住宅間取り選択工程(図8のステップS132)では、表示装置に選択可能に表示された住宅間取り候補から1つの候補が施主等により選択設定される。
【0119】
住宅間取り修正工程(図8のステップS133)では、選択設定された住宅間取りを施主等が修正可能に表示させるとともに、操作装置を通じて住宅間取りを施主等が修正可能にしている。
【0120】
住宅間取り決定工程(図8のステップS134)では、操作装置を通じて施主等が修正可能であった住宅間取りが被選択住宅間取りとして決定される。なお、間取りが決まると、各部屋に必要な採光量も定まることになる。
【0121】
図1を参照して、設計支援サーバ11は、木造住宅の資材についての仕様を選定する(資材仕様選定工程:図1のステップS137)。例えば、設計支援サーバ11は、出力部13の表示装置に、資材仕様データ250に含まれている資材を選択可能に表示させることで、入力部12を通じて資材の選択を可能にする。表示装置には、例えば、文字情報や図表、写真などが表示されてもよい。資材としては、屋根や外壁等の外装、内壁や床等の内装など、建物の荷重に係るものであり、資材仕様選定工程で建物荷重に関わる条件が揃う。
【0122】
また、設計支援サーバ11は、設定された住宅外観、間取りに基づいて住宅の安全性を評価するために構造計算の概算をする(構造計算概算工程:図1のステップS138)。
【0123】
構造計算概算工程(図1のステップS138)では、設計支援サーバ11は、被選択住宅外観について住宅外観データ210と被選択住宅間取りとから、平面計画と立面計画の条件が揃うことに基づいて住宅の安全性を評価するための構造計算を概算する。そして、構造計算概算工程では、構造計算の結果、住宅の安全性が確保されることに基づいて次のステップに進むことができる。一方、構造計算概算工程では、住宅の安全性が確保されないとき、当然には次のステップに進むことはできず、その旨の通知や、住宅外観の再選択や、建築士による許可など、安全性の確保に必要な処理が行われるようになっている。ここで、安全性は、例えば、耐震等級3以上であれば確保されており、それ以外であれば確保できていないと判断される。なお、安全性の数値レベルは変更可能であってもよい。
【0124】
設計支援サーバ11は、住宅間取り設定工程で設定された被選択住宅間取りに対応する採光計画の候補を選択する(採光計画候補選択工程:図1のステップS140)。採光計画候補選択工程では、居室において法的に必要最低限の窓のサイズを提示することができるように採光計画候補が選択される。
【0125】
図9を参照して、採光計画候補選択工程(図1のステップS140)の一例を示すフローチャートは、採光計画の条件算出工程(図9のステップS141)と、採光計画の抽出工程(図9のステップS142)とを含んでいる。
【0126】
採光計画の条件算出工程(図9のステップS141)では、被選択住宅間取りと、居住者の家族構成225、住宅間取り希望226、ライフプラン情報227及び生活動線228に基づいて「適する採光計画を抽出する条件」を算出する。
【0127】
採光計画の抽出工程(図9のステップS142)では、被選択住宅間取りに対応する採光計画のうちから「適する採光計画を抽出する条件」に適合する又は近い採光計画を抽出する。
【0128】
図1を参照して、設計支援サーバ11は、採光計画の候補から選択した採光計画が被設定採光計画として設定される(採光計画設定工程:図1のステップS150)。なお、被設定採光計画は、採光計画候補から選択されたあと、施主等が修正することができることから、選択された採光計画と同じであることもあるし、法的に必要最小限を下回らない範囲で修正されていることもある。なお、法的に必要最小限を下回る設定をできないようにしたり、その旨を通知させたりしてもよい。
【0129】
図10を参照して、採光計画設定工程の一例を示すフローチャートは、採光計画候補出力工程(図10のステップS151)と、採光計画選択工程(図10のステップS152)と、採光計画調整工程(図10のステップS153)と、採光計画決定工程(図10のステップS154)とを含んでいる。
【0130】
採光計画候補出力工程(図10のステップS151)では、施主等が選択可能な採光計画を表示装置に表示させる。
【0131】
採光計画選択工程(図10のステップS152)では、表示装置に選択可能に表示された採光計画候補から1つの候補が施主等により選択設定される。
【0132】
採光計画修正工程(図10のステップS153)では、選択設定された採光計画を施主等が修正可能に表示させるとともに、操作装置を通じて採光計画を施主等が修正可能にしている。具体的には、法的に必要ない非居住室への窓の追加、居住室の窓の拡大が行われる。なお、最初は、部屋に必要な最低限の窓のサイズが提示されていることから、窓のサイズは、当初提示された窓のサイズを下回らない範囲で拡大縮小調整することができる。
【0133】
採光計画決定工程(図10のステップS154)では、操作装置を通じて施主等が修正可能であった採光計画が被設定採光計画として決定される。
【0134】
また、設計支援サーバ11は、採光計画の設定が済んだ段階で、被選択住宅外観について住宅の安全性を評価するための構造計算をする(構造計算工程:図1のステップS157)。ここでは、被設定間取り、資材仕様の決定及び被設定採光計画に基づいて、建設する木造住宅に対する構造計算を行うことができる。なお、被設定間取りに基づいて少なくとも間仕切りの荷重が確定し、資材仕様の決定で少なくとも建物の重量が確定し、被設定採光計画に基づいて少なくとも耐力壁の位置が確定することに基づいて、住宅に対して精度の高い構造計算を行うことができる。
【0135】
また、設計支援サーバ11は、被選択住宅外観、被設定住宅間取り、被設定採光計画及び選定した資材仕様に基づく3次元データに基づいて図面を作成する(図面化工程:図1のステップS170)。例えば、図面化工程では、設計や施工のための3次元図面が作成されてもよいし、仕上がりを確認するための3次元画像が作成されてもよい。3次元図面や3次元画像は、コンピュータの画面に表示される画像であったり、ARやVR用の映像装置を使って提供されるAR画像やVR画像であったりしてもよい。
【0136】
また、設計支援サーバ11は、被選択住宅外観、被設定住宅間取り、被設定採光計画及び資材仕様に基づいて木造住宅の建築に要する費用を積算する(積算工程:図1のステップS190)。
【0137】
そして、被選択住宅外観、被設定住宅間取り、被設定採光計画及び資材仕様に基づいて3次元CADを利用してBIMデータなどに基づいて木造住宅が設計され、その設計に基づいて施工されるようになる。
【0138】
(学習工程)
【0139】
ところで、図3に示すように、木造住宅設計支援システム10は、学習を行う学習工程を有していてもよい。このとき、設計支援サーバ11は、学習として機械学習(コンピュータ学習)を行う。学習工程では、設計支援サーバ11は、住宅間取りの学習を住宅間取り学習部310で行い、採光計画の学習を採光計画学習部320で行う。
【0140】
一般的に、機械学習は、コンピュータに学習能力のような機能を持たせた技術であって、コンピュータがデータ識別等の判断に必要な条件を、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成することなどである。本実施形態では、機械学習は、住宅間取り候補選択部120による住宅間取り候補の選択や採光計画候補選択部140による採光計画候補の選択について、施主等により修正されたデータを反映させてより適切な候補を選択できるようにするために行われる学習である。また、機械学習は、住宅間取り候補や採光計画候補となるデータについて、施主等により修正されたデータを反映させてより適切なデータに更新させるように学習してもよい。
【0141】
住宅間取り学習部310は、被設定住宅間取りが設定される都度、住宅間取りについてのコンピュータ学習を行う。また、住宅間取り学習部310は、住宅間取り候補選択部120が住宅間取り候補を選択するときの条件に利用する被選択住宅外観と、予め設定されたパラメータと、被設定住宅間取りとを含む関係をコンピュータ学習してもよいし、その学習結果を住宅間取り候補選択部120が利用可能にしてもよい。
【0142】
採光計画学習部320は、被設定採光計画が設定される都度、採光計画についてのコンピュータ学習を行う。また、採光計画学習部320は、採光計画候補選択部140が採光計画候補を選択するときの条件に利用する被選択住宅外観と、予め設定されたパラメータと、被設定住宅間取りと、被設定採光計画とを含む関係をコンピュータ学習するようにしてもよいし、その学習結果を採光計画候補選択部140が利用可能にしてもよい。
【0143】
次に、木造住宅設計支援システム10にて実行される学習工程における処理手順の一例についてフローチャートに基づいて説明する。設計支援サーバ11は、住宅間取りを選択するための条件の学習、及び、採光計画を選択するための条件の学習を行う。
【0144】
図11を参照して、設計支援サーバ11は、学習工程の一例を示すフローチャートとして、被選択住宅外観取得(ステップS301)と、設定パラメータ取得(ステップS302)と、被設定住宅間取り取得(ステップS303)と、被設定採光計画取得(ステップS304)とを含んでいる。また、設計支援サーバ11は、学習工程の一例を示すフローチャートとして、住宅間取り学習工程(ステップS310)と、採光計画学習工程(ステップS320)とを含んでいる。
【0145】
被選択住宅外観取得(ステップS301)では、住宅外観設定部100に設定された被選択住宅外観がメモリ又は住宅外観データ210から取得されるとともに、学習用データ290に記憶される。
【0146】
設定パラメータ取得(ステップS302)では、被設定住宅間取りが設定されたときの各パラメータ項目がパラメータ220から取得されるとともに、学習用データ290に記憶される。
【0147】
被設定住宅間取り取得(ステップS303)では、住宅間取り設定部130に設定された被設定住宅間取りがメモリ又は住宅間取りデータ230から取得されるとともに、学習用データ290に記憶される。
【0148】
被設定採光計画取得(ステップS304)では、採光計画設定部150に設定された被設定採光計画がメモリ又は採光計画データ240から取得されるとともに、学習用データ290として記憶される。
【0149】
住宅間取り学習工程(ステップS310)では、住宅間取り候補選択部120が住宅間取り候補を選択するときに利用する条件を、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び被設定住宅間取りを含む関係に基づいてコンピュータ学習し、学習した結果を住宅間取り候補選択部120で利用できるように記憶部200に記憶させる。また、住宅間取り候補から選択された住宅間取りに対して学習用データ290に記憶された被設定住宅間取りが修正されている点を学習して、住宅間取り候補となる1又は複数の住宅間取りを更新して住宅間取りデータ230に記憶させてもよい。
【0150】
つまり、住宅間取り学習工程(ステップS310)では、被設定住宅間取りが設定される毎に、被設定住宅間取り、被選択住宅外観及び予め設定されたパラメータの関係が住宅間取り学習部310によってコンピュータ学習される。これにより、木造住宅に採用された住宅間取りの実績に基づいて顧客意向など反映されるようになり、住宅間取り候補選択部120による住宅間取り候補の選択における顧客満足度の向上などが図られるようになる。
【0151】
採光計画学習工程(ステップS320)では、採光計画候補選択部140が採光計画候補を選択するときに利用する条件を、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係に基づいてコンピュータ学習し、学習した結果を採光計画候補選択部140で利用できるように記憶部200に記憶させる。また、採光計画候補から選択された採光計画に対して学習用データ290に記憶された被設定採光計画が修正されている点を学習して、採光計画候補となる1又は複数の採光計画を更新して採光計画データ240に記憶させてもよい。
【0152】
つまり、採光計画学習工程(ステップS320)では、被設定採光計画が設定される毎に、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係が採光計画学習部320によってコンピュータ学習される。これにより、木造住宅に採用された採光計画の実績に基づく顧客の意向など反映されるようになり、採光計画候補選択部140による採光計画候補の選択における顧客満足度の向上などが図られるようになる。
【0153】
以上説明したように、本実施形態に係る木造住宅設計支援システム、木造住宅設計支援装置及び木造住宅設計支援方法によれば、以下に記載する効果が得られる。
【0154】
(1)被選択住宅外観に含まれる設計情報に基づいて構造の安全性の判定に用いられる構造計算ができることで木造住宅に対する構造計算の結果が得られるようになる。そして、被設定住宅間取りの設定が、構造計算の結果から木造住宅の安全性が得られることを条件に設定される。換言すると、被設定住宅間取りの設定が木造住宅の安全性に与える影響がとても小さい。これにより、住宅の外観を選択することで木造住宅に必要とされる構造の安全性が確保されるようにすることができるようになる。
【0155】
このように、住宅外観の設定で木造住宅の安全性が確保された状態になることから、住宅間取りや採光計画の態様が建物の安全性に及ぼす影響が抑制されるようになり、住宅間取りや採光計画の選択自由度が高められる。これにより、工務店は施主に高い満足度を与える間取りや採光計画の設計が容易になる。
【0156】
(2)住宅間取り候補が、予め記憶された複数の住宅間取りのなかから、予め設定されたパラメータに基づいて選択される。これにより、住宅外観や安全性に影響の小さい間取りを住宅間取り候補とすることができるようになる。採光計画候補が、予め記憶された複数の採光計画のなかから被設定住宅間取りに基づいて選択される。これにより、住宅外観や安全性に影響の小さい採光計画を採光計画候補とすることができるようになる。
【0157】
(3)住宅間取り候補がコンピュータ学習の結果に基づいて選択されることから、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び被設定住宅間取りに基づいて住宅間取り候補を施主等に対してより妥当性の高いものとして提示することができるようになる。採光計画候補がコンピュータ学習の結果に基づいて選択されることから、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係に基づいて採光計画候補を施主等に対してより妥当性の高いものとして提示することができるようになる。
【0158】
(4)住宅間取り学習部310によって、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ及び被設定住宅間取りを含む関係が設定される毎にコンピュータ学習されて、学習結果が更新されるようになる。採光計画学習部320によって、被選択住宅外観、予め設定されたパラメータ、被設定住宅間取り及び被設定採光計画を含む関係が設定される毎にコンピュータ学習されて、学習結果が更新されるようになる。
【0159】
(5)家族構成、敷地情報、配置計画、建築規制情報及び希望の間取りの少なくとも1つが予め設定されたパラメータに含まれるので、住宅間取り候補や採光計画候補がより適切な内容で選ばれるようになる。
【0160】
(6)出力部13の表示装置には、木造住宅として選択可能である複数の外観が選択可能に表示され、住宅間取り候補が選択可能に表示され、被設定住宅間取りが修正可能に表示され、採光計画候補が選択可能に表示され、被設定採光計画が修正可能に表示される。
【0161】
(7)住宅外観を構成する壁面の情報に構造計算に必要な設計情報を含んでいることから、選択された住宅外観から安全性を算出することができるようになる。
【0162】
(その他の実施形態)
【0163】
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
【0164】
・1又は複数の住宅外観候補は、設計支援サーバ11との情報通信を通じて、取引先端末21の出力部23、取引先端末31の出力部33、施主端末41の出力部43、工務店端末51の出力部53及び工務店端末61の出力部63の少なくとも1つに表示されてもよい。
【0165】
・設計支援サーバ11との情報通信を通じて、取引先端末21の入力部22、取引先端末31の入力部32、施主端末41の入力部42、工務店端末51の入力部52及び工務店端末61の入力部62の少なくとも1つで、住宅外観候補から1つの住宅外観が選択されてもよい。
【0166】
・住宅間取り候補選択部120は、住宅間取り候補を選択する条件にコンピュータ学習の結果が直ちに反映されなくてもよい。このときは、既存の設定の範囲で適切な住宅間取り候補が選択できる。
【0167】
・また、住宅間取りデータ230にコンピュータ学習の結果が反映されていれば、住宅間取り候補選択部120は、コンピュータ学習の結果が反映されるかたちで住宅間取り候補を選択することができる。
【0168】
・採光計画候補選択部140は、採光計画候補を選択する条件にコンピュータ学習の結果が直ちに反映されなくてもよい。このときは、既存の設定の範囲で適切な採光計画候補が選択できる。
【0169】
・また、採光計画データ240にコンピュータ学習の結果が反映されていれば、採光計画候補選択部140は、コンピュータ学習の結果が反映されるかたちで採光計画候補を選択することができる。
【0170】
・コンピュータ学習できないコンピュータにおいても、他のコンピュータにより学習された結果を、住宅間取り候補選択部120や採光計画候補選択部140、住宅間取りデータ230、採光計画データ240に反映させることができる。これにより、コンピュータ学習された結果に基づいて住宅間取り候補が選択されたり、採光計画候補が選択されたりするようにすることができる。
【0171】
・住宅外観設定工程(図1のステップS100)に続いて構造計算工程(図1のステップS101)が実行される場合について例示したが、これに限らず、構造計算工程が省略されてもよい。すなわち、住宅外観設定工程にて選択される被選択住宅外観について、選択されたとき、構造計算に基づく住宅の安全性を示す結果が得られていれば、構造計算工程が省かれてもよい。これによっても、住宅間取り設定部130には、被選択住宅外観の設計情報に基づく構造計算の結果から構造の安全性を示す結果が得られることを条件に、被設定住宅間取りが設定されるようになる。
【0172】
・木造住宅設計支援システム10や設計支援サーバ11は、その機能の一部がネットワークNWを介して他のコンピュータで実行されてもよい。
【0173】
・木造住宅設計支援システム10は、ネットワークNWを介して接続されている端末を含んで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0174】
10 木造住宅設計支援システム
11 設計支援サーバ
12 入力部
13 出力部
14 情報処理装置
21,31 取引先端末
22,32,42,52,62 入力部
23,33,43,53,63 出力部
41 施主端末
51,61 工務店端末
100 住宅外観設定部
101 構造計算部
110 パラメータ設定部
120 間取り候補選択部
130 間取り設定部
140 採光計画候補選択部
150 採光計画設定部
160 資材仕様選定部
200 記憶部
210 住宅外観データ
211 Aタイプ
212 Bタイプ
213 Cタイプ
214 Dタイプ
215 Eタイプ
216 Fタイプ
220 パラメータ
221 敷地情報
222 建築規制情報
223 配置計画情報
225 家族構成
226 間取り希望
227 ライフプラン情報
228 生活動線
230 間取りデータ
240 採光計画データ
250 資材仕様データ
260 3次元設計データ
290 学習用データ
310 間取り学習部
320 採光計画学習部
C41 商品名
C42 コンセプト
C43 商品建物(デザイン)
C44 UA値
C45 面積
C46 坪数
C47 趣向
C48 原価
C49 売価
C51~C58 柱間
NW ネットワーク
R51~R58 柱間
T40 住宅外観選択表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11