(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181565
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】垂直共振器型面発光レーザ素子及び垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20231218BHJP
H01S 5/343 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/343
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184529
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】中島 博
(72)【発明者】
【氏名】横関 弥樹博
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 知雅
(72)【発明者】
【氏名】笠原 大爾
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC13
5F173AC35
5F173AC42
5F173AC46
5F173AC52
5F173AF92
5F173AH02
5F173AP05
5F173AP32
5F173AP42
5F173AP67
5F173AR93
(57)【要約】
【課題】生産性に優れ、製造コストを抑制することが可能な高垂直共振器型面発光レーザ素子及び垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本技術に係る垂直共振器型面発光レーザ素子は、第1の反射鏡と、第2の反射鏡と、第1の半導体層と、第2の半導体層と、トンネル接合層と、発光層とを具備し、内周領域を通過して発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造が形成されている。トンネル接合層は、第1の反射鏡と第2の反射鏡の間に配置され、第1の伝導型のハイドープ層と第2の伝導型のハイドープ層が接合されたトンネル接合層であって、層面に垂直な方向から見て内周側の内周領域と、内周領域を囲む外周領域を有し、内周領域はAlを含む材料からなり、外周領域はAl酸化物を含む材料からなる。発光層は、第1の反射鏡と第2の反射鏡の間に配置され、キャリア再結合による発光を生じる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の波長の光を反射する第1の反射鏡と、
前記波長の光を反射する第2の反射鏡と、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の間に配置され、第1の伝導型を有する半導体材料からなる第1の半導体層と、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の間に配置され、第2の伝導型を有する半導体材料からなる第2の半導体層と、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の間に配置され、前記第1の伝導型のハイドープ層と前記第2の伝導型のハイドープ層が接合されたトンネル接合層であって、層面に垂直な方向から見て内周側の内周領域と、前記内周領域を囲む外周領域を有し、前記内周領域はAlを含む材料からなり、前記外周領域はAl酸化物を含む材料からなるトンネル接合層と、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の間に配置され、キャリア再結合による発光を生じる発光層と、
を具備し、前記内周領域を通過して前記発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造が形成されている
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項2】
請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記トンネル接合層は、前記外周領域の前記方向に沿った外周面である端面を有し、
前記メサ構造は、前記方向に沿った外周面である側面を有し、
前記端面は、前記側面より前記内周領域側に位置し、前記側面から離間している
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項3】
請求項2に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記端面と前記側面の間は空隙である
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項4】
請求項2に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記端面と前記側面の間には絶縁体が充填されている
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項5】
請求項3に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記内周領域は、AlInAsからなり、
前記外周領域は、AlInAsの酸化物からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項6】
請求項5に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記発光層は、AlGaInAsからなる多重量子井戸構造を有する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項7】
請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記トンネル接合層は、前記外周領域の前記方向に沿った外周面である端面を有し、
前記メサ構造は、前記方向に沿った外周面である側面を有し、
前記端面は前記側面と同一面上に位置する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項8】
請求項7に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記内周領域は、AlAsからなり、
前記外周領域は、AlAs酸化物からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項9】
請求項8に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記発光層は、AlGaAs及びGaInAsからなる多重量子井戸構造を有する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項10】
請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の少なくとも一方は誘電体からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項11】
請求項10に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の両方は誘電体からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項12】
請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の少なくとも一方は、光を前記電流注入領域に集光するレンズ形状を有する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
【請求項13】
第1の伝導型を有する半導体材料からなる第1の半導体層と、第2の伝導型を有する半導体材料からなる第2の半導体層と、前記第1の伝導型のハイドープ層と前記第2の伝導型のハイドープ層が接合されたAlを含む材料からなるトンネル接合層と、キャリア再結合による発光を生じる発光層とを備える積層体を作成し、
前記発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造を形成し、
前記メサ構造の外周側から前記トンネル接合層を選択的に酸化させ、前記トンネル接合層に、Alを含む材料からなる内周側の内周領域と、Al酸化物を含む材料からなり、前記内周領域を囲む外周領域を形成する
垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法であって、
前記メサ構造を形成する工程の後、前記トンネル接合層を酸化する工程の前に、前記トンネル接合層の外周側から前記トンネル接合層の一部を除去し、前記トンネル接合層の端面を前記メサ構造の側面から離間させる工程
を含む垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法であって、
前記トンネル接合層の一部を除去する工程は、前記トンネル接合層を選択的にエッチングするエッチング液を用いるウェットエッチング工程である
垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、層面に垂直な方向にレーザを出射する垂直共振器型面発光レーザ素子及び垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器型面発光レーザ)素子は、発光層を一対の反射鏡によって挟んだ構造を有する。発光層の近傍には電流狭窄構造が設けられており、電流は電流狭窄構造によって発光層中の一部領域に集中し、自然放出光を生じる。一対の反射鏡は自然放出光のうち所定の波長の光を発光層に向けて反射することで、レーザ発振を生じさせる。
【0003】
近年、顔認証等の三次元センシングシステムの光源として、940nm帯の赤外発光VCSELが用いられている。認証精度を上げるには、光源の光出力を高くすることが有効であるが、レーザ光は眼に対する損傷を防止するため、光出力を定められた値以下とすることが求められている。
【0004】
この値は損傷閾値と呼ばれ、レーザの波長が長くなるほど高くなる。損傷閾値は、波長1.4μm以上から大幅に上がることから、1.4μm以上の波長帯はアイセーフ帯と呼ばれる。また、1.4μmの波長帯は太陽光によるノイズが小さく、屋外での利用に適している。このため、次世代のセンシングの光源として、1.4μmの波長帯のレーザ光源が望まれている。また、センシングに用いるレーザの構造としては、従来の端面出射型レーザよりも安価でアレイ化が容易なVCSELが好ましい。
【0005】
1.4μmの波長で発振するレーザに適した基板としてはInP基板がある。しかしながら、InP基板では電流狭窄構造の形成が容易ではない。InP基板では格子整合の問題から、GaAs基板で利用可能なAlAs酸化層のような優れた酸化狭窄層が利用できないためである。このため、電流狭窄構造には一般に、埋め込みトンネル接合が用いられる。
【0006】
また、電流狭窄構造の形成には、InP基板と格子整合可能なAlInAs層を利用する方法もある。しかしながら、AlInAsの酸化レートはAl組成に比例し、Al組成が低いほど遅くなる。InP基板に格子整合可能なAlInAsのAl組成は低いため、現実的な酸化レートを得るためには高温で酸化をする必要があり、結晶の劣化が避けられない。この問題に対し、特許文献1には、InAsとAlAsの超格子で構成されたAlInAs酸化層からなる電流狭窄構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような埋め込みトンネル接合を用いた電流狭窄構造は、埋め込みトンネル接合の形成のために結晶再成長が必要であり、製造コストが問題となる。また、特許文献1に記載のような、AlInAs酸化層を用いた電流狭窄構造では、分子線エピタキシー法等を利用してInAsとAlAsの超格子を形成する必要があり、生産性に問題がある。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、生産性に優れ、製造コストを抑制することが可能な垂直共振器型面発光レーザ素子及び垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る垂直共振器型面発光レーザ素子は、第1の反射鏡と、第2の反射鏡と、第1の半導体層と、第2の半導体層と、トンネル接合層と、発光層とを具備し、下記内周領域を通過して上記発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造が形成されている。
上記第1の反射鏡は、特定の波長の光を反射する。
上記第2の反射鏡は、上記波長の光を反射する。
上記第1の半導体層は、上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、第1の伝導型を有する半導体材料からなる。
上記第2の半導体層は、上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、第2の伝導型を有する半導体材料からなる。
上記トンネル接合層は、上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、上記第1の伝導型のハイドープ層と上記第2の伝導型のハイドープ層が接合されたトンネル接合層であって、層面に垂直な方向から見て内周側の内周領域と、上記内周領域を囲む外周領域を有し、上記内周領域はAlを含む材料からなり、上記外周領域はAl酸化物を含む材料からなる。
上記発光層は、上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、キャリア再結合による発光を生じる。
【0011】
この構成によれば、トンネル接合層の外周領域は絶縁性であるため、電流は内周領域を通過し、即ちトンネル接合層によって電流狭窄構造が実現可能である。
【0012】
上記トンネル接合層は、上記外周領域の上記方向に沿った外周面である端面を有し、
上記メサ構造は、上記方向に沿った外周面である側面を有し、
上記端面は、上記側面より上記内周領域側に位置し、上記側面から離間していてもよい。
【0013】
上記端面と上記側面の間は空隙であってもよい。
【0014】
上記端面と上記側面の間には絶縁体が充填されていてもよい。
【0015】
上記内周領域は、AlInAsからなり、
上記外周領域は、AlInAsの酸化物からなるものであってもよい。
【0016】
上記発光層は、AlGaInAsからなる多重量子井戸構造を有するものであってもよい。
【0017】
上記トンネル接合層は、上記外周領域の上記方向に沿った外周面である端面を有し、
上記メサ構造は、上記方向に沿った外周面である側面を有し、
上記端面は上記側面と同一面上に位置してもよい。
【0018】
上記内周領域は、AlAsからなり、
上記外周領域は、AlAs酸化物からなるものであってもよい。
【0019】
上記発光層は、AlGaAs及びGaInAsからなる多重量子井戸構造を有するものであってもよい。
【0020】
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の少なくとも一方は誘電体からなるものであってもよい。
【0021】
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の両方は誘電体からなるものであってもよい。
【0022】
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の少なくとも一方は、光を上記電流注入領域に集光するレンズ形状を有するものであってもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法は、第1の伝導型を有する半導体材料からなる第1の半導体層と、第2の伝導型を有する半導体材料からなる第2の半導体層と、上記第1の伝導型のハイドープ層と上記第2の伝導型のハイドープ層が接合されたAlを含む材料からなるトンネル接合層と、キャリア再結合による発光を生じる発光層とを備える積層体を作成する。
上記発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造を形成する。
上記メサ構造の外周側から上記トンネル接合層を選択的に酸化させ、上記トンネル接合層に、Alを含む材料からなる内周側の内周領域と、Al酸化物を含む材料からなり、上記内周領域を囲む外周領域を形成する。
【0024】
上記垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法は、上記メサ構造を形成する工程の後、上記トンネル接合層を酸化する工程の前に、上記トンネル接合層の外周側から上記トンネル接合層の一部を除去し、上記トンネル接合層の端面を上記メサ構造の側面から離間させる工程を含んでもよい。
【0025】
上記トンネル接合層の一部を除去する工程は、上記トンネル接合層を選択的にエッチングするエッチング液を用いるウェットエッチング工程であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本技術の第1の実施形態に係るVCSEL素子の断面図である。
【
図2】上記VCSEL素子が備えるトンネル接合層の断面図である。
【
図3】上記VCSEL素子が備えるトンネル接合層の平面図である。
【
図5】上記VCSEL素子のメサ構造の平面図である。
【
図6】上記VCSEL素子の動作を示す模式図である。
【
図7】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図8】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図9】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図10】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図11】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図12】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図13】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図14】本技術の第2の実施形態に係るVCSEL素子の断面図である。
【
図15】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図16】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図17】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図18】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図19】本技術の第3の実施形態に係るVCSEL素子の断面図である。
【
図20】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図21】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図22】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図23】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図24】本技術の第4の実施形態に係るVCSEL素子の断面図である。
【
図25】上記VCSEL素子が備えるトンネル接合層の断面図である。
【
図26】上記VCSEL素子が備えるトンネル接合層の断面図である。
【
図27】上記VCSEL素子の一部の断面図である。
【
図28】上記VCSEL素子のメサ構造の平面図である。
【
図29】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図30】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図31】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【
図32】上記VCSEL素子の製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
本技術の第1の実施形態に係るVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器型面発光レーザ)素子について説明する。
【0028】
[VCSEL素子の構造]
図1は本実施形態に係るVCSEL素子100の断面図である。同図に示すように、VCSEL素子100は、基板101、バッファー層102、第1反射鏡103、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108、第2反射鏡109、第1電極110、第2電極111及び絶縁層112を備える。なお、以下の各図において、VCSEL素子100を構成する各層の層面方向をX-Y方向とし、層面方向に垂直な方向をZ方向とする。
【0029】
基板101は、VCSEL素子100の各層を支持する。基板101は半導体材料からなり、例えばn-InPからなるものとすることができる。バッファー層102は、基板101上に形成され、基板101と第1反射鏡103の格子定数を緩衝する。バッファー層102はn型半導体材料からなり、例えばn-InPからなるものとすることができる。
【0030】
第1反射鏡103は、バッファー層102上に設けられ、波長λの光を反射し、それ以外の波長の光を透過する。第1反射鏡103は、光学膜厚λ/4の低屈折率層と高屈折率層を交互に複数層積層したDBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射鏡)であり、n型半導体材料からなる半導体DBRとすることができる。低屈折率層は例えばn-InP、高屈折率層は例えばn-AlGaInAsからなり、積層数は例えば40ペアとすることができる。ドーパントは例えばSiとすることができる。
【0031】
第1中間層104は第1反射鏡103上に設けられ、キャリアを発光層105に輸送する層である。第1中間層104はn型半導体材料からなり、例えばn-InPからなるものとすることができる。
【0032】
発光層105は第1中間層104上に設けられ、キャリア再結合による自然放出光の放出及び増幅を行う。発光層105は、バンドギャップが小さい量子井戸層とバンドギャップが大きい障壁層を交互に積層した多重量子井戸(MQW:multi quantum well)構造を有する層とすることができる。量子井戸層と障壁層は例えば組成が異なるAlGaInAsからなり、発光波長1450nm、井戸数4とすることができる。
【0033】
第2中間層106は第1反射鏡103上に設けられ、キャリアを発光層105に輸送する層である。第1中間層104はp型半導体材料からなり、例えばp-InPからなるものとすることができる。
【0034】
トンネル接合層107は、第2中間層106上に設けられ、トンネル接合を形成する。
図2は、トンネル接合層107の断面図である。
図3はトンネル接合層107の平面図であり、トンネル接合層107をZ方向から見た図である。
【0035】
図2に示すように、トンネル接合層107は、第1ハイドープ層121及び第2ハイドープ層122を備える。第1ハイドープ層121は第2中間層106側の層であり、第2ハイドープ層122は第3中間層108側の層である。また、
図3に示すように、トンネル接合層107は内周領域107aと外周領域107bを有する。内周領域107aはトンネル接合層107の内周側に位置する領域であり、外周領域107bは内周領域107aを囲む環状の領域である。
【0036】
第1ハイドープ層121の内周領域107aは、Alを含み、ハイドープされたp型半導体材料からなり、例えば、p+-AlInAsからなるものとすることができる。第2ハイドープ層122の内周領域107aは、Alを含み、ハイドープされたn型半導体材料からなり、例えば、n+-AlInAsからなるものとすることができる。
【0037】
なお、第1ハイドープ層121及び第2ハイドープ層122の材料は基板101の材料と格子整合する材料とする。例えば、基板101がInPからなるからなる場合、第1ハイドープ層121及び第2ハイドープ層122はAl0.43In0.53Asにp型又はn型のドーパントをハイドープしたものとすることができる。
【0038】
第1ハイドープ層121及び第2ハイドープ層122の外周領域107bは、内周領域07bの材料を酸化した材料からなり、絶縁性を有する。即ち、第1ハイドープ層121及び第2ハイドープ層122の外周領域107bはAl酸化物を含み、例えばAlInAs酸化物からなるものとすることができる。第1ハイドープ層121と第2ハイドープ層122の厚みはそれぞれ20nmとすることができる。また、トンネル接合層107と発光層105の距離はλ/4が好適である。
【0039】
第3中間層108は、トンネル接合層107上に設けられ、第2電極111からトンネル接合層107へキャリアを輸送する。第3中間層108は、第2電極111に対するコンタクト層も兼ねる。また、コンタクト層としてハイドープ層を第3中間層108と第2電極111の間に別途設けてもよい。第3中間層108はn型半導体材料からなり、例えばn-InPからなるものとすることができる。第3中間層108及びトンネル接合層107は後述するメサ構造を形成する。
【0040】
第2反射鏡109は第3中間層108上に設けられ、波長λの光を反射し、それ以外の波長の光を透過する。第2反射鏡109は、光学膜厚λ/4の低屈折率層と高屈折率層を交互に複数層積層したDBRであり、誘電体からなる誘電体DBRとすることができる。低屈折率層は例えばSiO2、高屈折率層は例えばTa2O5からなり、積層数は8ペアとすることができる。
【0041】
第1電極110は基板101の裏面上に設けられ、VCSEL素子100の一方の電極として機能する。第1電極110は例えばTi/Pt/Auからなるものとすることができる。第2電極111は第3中間層108上に設けられ、VCSEL素子100の他方電極として機能する。第2電極111は、第2反射鏡109を囲む環状形状を有するものとすることができ、例えば内径10μm、外径100μmとすることができる。第2電極111は例えばTi/Pt/Auからなるものとすることができる。
【0042】
絶縁層112は、第2中間層106及びメサ構造の側面上に設けられ、第2中間層106及びメサ構造の側面を絶縁する。絶縁層112はSiN等の絶縁性材料からなるものとすることができる。
【0043】
VCSEL素子100は以上のような構造を有する。上記のように、バッファー層102、第1中間層104、第3中間層108及び第2ハイドープ層122は第1の伝導型としてn型の半導体材料からなり、ドーパントはSiとすることができる。第2中間層106及び第1ハイドープ層121は第2の伝導型としてp型の半導体材料からなり、第2中間層106のドーパントはMgとすることができる。また、第1ハイドープ層121のドーパントは拡散しにくいCが好適である。
【0044】
ドーピング濃度は、例えば、第1ハイドープ層121及び第2ハイドープ層122は5×1019[cm-3]、それ以外の層は5×1017~1×1018[cm-3]程度とすることができる。なお、VCSEL素子100における第1の伝導型と第2の伝導型は逆であってもよく、即ち第1の伝導型がp型、第2の伝導型がn型であってもよい。
【0045】
[メサ構造について]
VCSEL素子100はメサ構造を有する。
図4はメサ構造を含む、VCSEL素子100の一部構成を示す断面図である。
図5はメサ構造の平面図であり、メサ構造をZ方向から見た図である。
【0046】
これらの図に示すように、トンネル接合層107及び第3中間層108はメサ(台地)状形状に形成され、メサ構造Mを形成する。メサ構造Mは
図5に示すように、Z方向から見ると円形形状とすることができる。メサ構造Mは、トンネル接合層107の内周領域107aがメサ構造Mの中央に位置するように形成され、後述する電流注入領域を含むように構成されている。
【0047】
図4及び
図5に示すように、メサ構造Mの側面を側面Sとする。側面Sは、Z方向に沿ったメサ構造Mの外周面であり、円筒形状の面とすることができる。また、トンネル接合層107の端面を端面Pとする。端面PはZ方向に沿った外周領域107bの外周面であり、円筒形状の面とすることができる。
図4に示すように、外周領域107bは端面PからX-Y方向において一定の深さまで形成されており、内周領域107aは外周領域107bによって端面Pから隔てられている。
【0048】
図5に示すように、トンネル接合層107の外径D1はメサ構造Mの外径D2より小さくなるように形成されている。これにより、
図4に示すように端面Pは側面Sより内周領域107a側に位置し、側面Sから離間している。端面Pと側面Sの間には環状の空間Eが形成されている。この空間Eは空隙とすることができる。また、空間Eには絶縁体が充填されてもよい。なお、外径D1は例えば20μm、外径D2は例えば100μmとすることができる。また、内周領域107aの外径D3は例えば8μmとすることができる。
【0049】
メサ構造Mは以上のように形成されている。なお、メサ構造Mはトンネル接合層107及び第3中間層108のみからなるものに限られず、例えば、第2中間層106も含むものであってもよい。この場合、第3中間層108及び第2中間層106の端面は側面Sと同一面上に位置する。さらに、メサ構造Mは発光層105を含むものであってもよく、発光層105及び第1中間層104を含むものであってもよい。いずれの場合も端面Pは側面Sから離間し、トンネル接合層107以外の層の端面は側面Sと同一面上に位置するものとすることができる。
【0050】
[VCSEL素子の動作]
VCSEL素子100の動作について説明する。
図6は、VCSEL素子100の動作を示す模式図である。第1電極110(
図1参照)と第2電極111の間に電圧を印加すると、第1電極110と第2電極111の間で電流が流れる。ここで、トンネル接合層107には絶縁性の外周領域107bが設けられているため、
図6に示すように電流(図中、矢印)は内周領域107aのみを通過する。このため電流は内周領域107aの近傍に集中し、発光層105に流入する電流が集中する電流注入領域Rが形成される。
【0051】
これにより、電流注入領域Rにおいてキャリア再結合による自然放出光が生じる。自然放出光はVCSEL素子100の積層方向(Z方向)に進行し、第1反射鏡103及び第2反射鏡109によって反射される。第1反射鏡103及び第2反射鏡109は発振波長λを有する光を反射するように構成されているため、自然放出光のうち発振波長λの成分は第1反射鏡103及び第2反射鏡109の間で定在波を形成し、発光層105によって増幅される。注入電流が閾値を超えると定在波を形成する光がレーザ発振し、第2反射鏡109を透過してレーザ光が出射される。
【0052】
このように、VCSEL素子100では、トンネル接合層107の外周側に絶縁性の外周領域107bを設けることにより、トンネル接合層107による電流狭窄構造を実現することができる。
【0053】
[VCSEL素子の製造方法]
VCSEL素子100の製造方法について説明する。
図7乃至
図12は、VCSEL素子100の製造方法を示す模式図である。
【0054】
まず、
図7に示すように、基板101上にバッファー層102、第1反射鏡103、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108を順に積層し、積層体を形成する。これらの層はMOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法によって積層することができ、積層と同時にドーパントのドープを行うことができる。
【0055】
次に、
図8に示すように、第3中間層108上に第2電極111を形成する。第2電極111は内径10μm、外径100μmの円環状形状とすることができる。さらに、
図9に示すように、第2電極111の外径に合わせて第3中間層108の一部を除去する。第3中間層108の除去はウェットエッチングにより行うことが可能であり、エッチング液は第3中間層108を溶解させ、トンネル接合層107を溶解させないものが好適である。具体的には第3中間層108がn-InPからなり、トンネル接合層107がp
+-AlInAs及びn
+-AlInAsからなる場合、臭化水素と過酸化水素を含む混合溶液をエッチング液として用いることができる。
【0056】
次に、
図10に示すように、トンネル接合層107の一部を除去する。トンネル接合層107の除去はウェットエッチングにより行うことが可能であり、エッチング液はトンネル接合層107を溶解させ、第3中間層108及び第2中間層106を溶解させないものが好適である。具体的にはトンネル接合層107がp
+-AlInAs及びn
+-AlInAsからなり、第3中間層108がn-InP、第2中間層106がp-InPからなる場合、硫酸と過酸化水素を含む混合水溶液をエッチング液として用いることができる。
【0057】
第3中間層108とトンネル接合層107の除去により、メサ構造Mが形成される。ここで、トンネル接合層107を除去する際、メサ構造Mの外部に位置するトンネル接合層107だけではなく、メサ構造Mの内部に位置するトンネル接合層107も外周側から内周側に向かってエッチング(サイドエッチング)される。
【0058】
これにより、トンネル接合層107の端面Pはメサ構造Mの側面Sから離間する(
図4参照)。このサイドエッチングのエッチング量はエッチング時間により調整することが可能であり、例えば、側面Sから40μmとすることができる。この場合、第2電極111及びメサ構造Mの外径D2(
図5参照)が100μmとすると、トンネル接合層107の外径D1は20μmとなる。
【0059】
続いて、
図11に示すように、トンネル接合層107を外周側から選択的に酸化させる。これにより、外周領域107bにおいてトンネル接合層107の構成材料が酸化され、外周領域107bにおいてAl酸化物が生成する。内周領域107aは端面Pから離間しているために酸化されず、Alを含む材料のまま維持される。この酸化は、積層体を酸化炉へ収容し、水蒸気雰囲気下で400℃~450℃に加熱することにより行うことができる。
【0060】
酸化は、Al組成が高い層で選択的に進行するため、トンネル接合層107のAl組成を高くしておくことにより、トンネル接合層107のみを酸化させることができる。ここで、トンネル接合層107は上記のようにサイドエッチングされ、外径D1が外径D2より小さくなっている(
図5参照)。このため、酸化を短時間で完了させることができる。
【0061】
具体的には、
図11に示すように、第2電極111の開口部111aよりも1μm内側までトンネル接合層107を酸化させ、外周領域107bを形成させることができ、外周領域107bのX-Y方向における幅は6μmとすることができる。開口部111aの直径が10μmの場合、内周領域107aの外径D3(
図5参照)は8μmとなる。
【0062】
続いて、
図12に示すように、第2中間層106上及びメサ構造Mの側面S上に絶縁層112を形成する。さらに、
図13に示すように、開口部111a上に第2反射鏡109を形成する。第2反射鏡109は、低屈折率層と高屈折率層を一様に複数層積層した後、開口部111aの近傍を除いて除去することにより形成することができる。
【0063】
続いて、基板101上に第1電極110(
図1参照)を形成し、素子毎に個片化してVCSEL素子100を製造することができる。VCSEL素子100はヒートシンク等に実装し、ワイヤーボンディング等で電気的接続を行うことで動作させることができる。
【0064】
VCSEL素子100は以上のようにして製造することができる。上記のように、トンネル接合層107は酸化前にサイドエッチングされ、外径D1が外径D2より小さくなっている。一般に、AlInAsの酸化レートは、酸化狭窄層として用いられるAlAsに比べて遅いため、現実的な酸化レートでAlInAsを酸化させるには500℃程度の高温で酸化をさせる必要がある。
【0065】
しかしながら、この高温ではPやAsが離脱し、結晶が劣化するという問題がある。ここで、本実施形態に係る製造方法では、サイドエッチングにより外径D1を小さくしておくことにより、トンネル接合層107がAlInAsからなる場合であっても、短時間で酸化を完了させることができる。これにより、PやAsの離脱が顕著ではない400℃~450℃で酸化を完了させることができ、生産可能な方法で電流狭窄構造VCSEL素子100を製造することが可能である。
【0066】
(第2の実施形態)
本技術の第2の実施形態に係るVCSEL素子について説明する。
【0067】
[VCSEL素子の構造]
図14は本実施形態に係るVCSEL素子200の断面図である。なお、本実施形態に係るVCSEL素子200の構成において第1の実施形態に係るVCSEL素子100と同一の構成についてはVCSEL素子100と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図14に示すように、VCSEL素子200は、基板201、接合層202、第1反射鏡203、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108、第2反射鏡109、第1電極210、第2電極111及び絶縁層112を備える。
【0069】
基板201は、VCSEL素子100の各層を支持する。基板201は例えばSiからなるものとすることができる。接合層202は、基板201と第1中間層104とを接合する。接合層202は例えば半田からなるものとすることができる。
【0070】
第1反射鏡203は、第1中間層104の裏面上に設けられ、波長λの光を反射し、それ以外の波長の光を透過する。第1反射鏡203は、光学膜厚λ/4の低屈折率層と高屈折率層を交互に複数層積層したDBRであり、誘電体からなる誘電体DBRとすることができる。低屈折率層は例えばSiO2、高屈折率層は例えばTa2O5からなり、積層数は10ペアとすることができる。第1反射鏡203は、Z方向において、他の層を介して電流注入領域と対向する位置に設けられている。
【0071】
第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108、第2反射鏡109、第2電極111及び絶縁層112は第1の実施形態と同様の構成を有する。なお、第2反射鏡109は誘電体DBRではなく、半導体DBRであってもよい。
【0072】
第1電極210は、第2中間層106上に設けられ、VCSEL素子200の一方の電極として機能する。第1電極210はメサ構造Mを囲む環状形状を有するものとすることができ、例えばTi/Pt/Auからなるものとすることができる。
【0073】
VCSEL素子200は以上のような構成を有する。なお、第1中間層104の厚みは光学膜厚で5λが好適である。また、VCSEL素子200における第1の伝導型と第2の伝導型は逆であってもよく、即ち第1の伝導型がp型、第2の伝導型がn型であってもよい。
【0074】
VCSEL素子200のメサ構造MはVCSEL素子100と同一の構成を有し、トンネル接合層107の端面Pがメサ構造Mの側面Sから離間する(
図4参照)ように構成されている。
【0075】
VCSEL素子200の動作もVCSEL素子100と同様であり、第1電極210と第2電極111の間に電圧を印加すると、トンネル接合層107の電流狭窄構造によって電流注入領域R(
図6参照)が形成される。自然放出光は第1反射鏡203と第2反射鏡109によってレーザ発振を生じ、第2反射鏡109を透過してレーザ光が出射される。
【0076】
[VCSEL素子の製造方法]
VCSEL素子200の製造方法について説明する。
図15乃至
図18は、VCSEL素子100の製造方法を示す模式図である。
【0077】
まず、
図15に示すように、基板221上にバッファー層222、エッチングストップ層223、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107及び第3中間層108を順に積層し、積層体を形成する。これらの層はMOCVD法によって積層することができ、積層と同時にドーパントのドープを行うことができる。基板221は例えばn-InP基板であり、バッファー層222は例えばn-InP、エッチングストップ層223は例えばn-InGaAsからなる層とすることができる。
【0078】
次に、
図16に示すように、第3中間層108上に第2電極111を形成した後、第3中間層108及びトンネル接合層107の一部を除去する。この工程は第1の実施形態と同様に行うことができる。これによりメサ構造Mが形成され、トンネル接合層107はサイドエッチングされる。さらに、第2中間層106上に第1電極210を形成する。
【0079】
続いて、
図17に示すように、第1の実施形態と同様にトンネル接合層107を外周側から酸化して外周領域107bにAl酸化物を生成させ、第2中間層106上及びメサ構造Mの側面上に絶縁層112を形成する。さらに、開口部111a上に第2反射鏡109を形成する。
【0080】
続いて、
図18に示すように、基板221、バッファー層222及びエッチングストップ層層223を除去する。これらの除去は、積層体を支持基板にワックス等により貼付した後、エッチングすることによって行うことができる。さらに、第1中間層104の裏面上に第1反射鏡203(
図14参照)を形成する。第2反射鏡203は、低屈折率層と高屈折率層を一様に複数層積層した後、電流注入領域の近傍を除いて除去することにより形成することができる。
【0081】
その後、第1中間層104の裏面上に接合層202を設け、基板201を貼付した後に支持基板を除去し、素子毎に個片化してVCSEL素子200を製造することができる。VCSEL素子200はヒートシンク等に実装し、ワイヤーボンディング等で電気的接続を行うことで動作させることができる。
【0082】
VCSEL素子200においても第1の実施形態と同様に、トンネル接合層107がサイドエッチングされているため、トンネル接合層107がAlInAsからなる場合であっても短時間で酸化を完了させることができる。したがって、生産可能な方法で電流狭窄構造を有するVCSEL素子200を製造することが可能である。
【0083】
(第3の実施形態)
本技術の第3の実施形態に係るVCSEL素子について説明する。
【0084】
[VCSEL素子の構造]
図19は本実施形態に係るVCSEL素子300の断面図である。なお、本実施形態に係るVCSEL素子300の構成において第1の実施形態に係るVCSEL素子100と同一の構成についてはVCSEL素子100と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0085】
図19に示すように、VCSEL素子300は、基板301、バッファー層102、第1反射鏡303、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108、第2反射鏡109、第1電極310、第2電極111、絶縁層112及び金属層313を備える。
【0086】
基板301は、VCSEL素子300の各層を支持する。基板301は半絶縁体材料からなり、例えば半絶縁型InPからなるものとすることができる。基板301には第1反射鏡303をレンズ形状とするための凸部301aが設けられている。
【0087】
第1反射鏡303は、基板301の裏面上に設けられ、波長λの光を反射し、それ以外の波長の光を透過する。第1反射鏡303は、凸部301a上に形成され、光を電流注入領域に集光する凹面状のレンズ形状に形成されている。第1反射鏡303のレンズ形状は球面レンズ状であってもよく、シリンドリカルレンズ状やその他のレンズ形状であってもよい。
【0088】
第1反射鏡303は、光学膜厚λ/4の低屈折率層と高屈折率層を交互に複数層積層したDBRであり、誘電体からなる誘電体DBRとすることができる。低屈折率層は例えばSiO2、高屈折率層は例えばTa2O5からなり、積層数は10ペアとすることができる。第1反射鏡303は、Z方向において、他の層を介して電流注入領域と対向する位置に設けられている。
【0089】
バッファー層102、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108、第2反射鏡109、第2電極111及び絶縁層112は第1の実施形態と同様の構成を有する。なお、第2反射鏡109は、第1反射鏡303と同様に、光を電流注入領域に集光する凹面状のレンズ形状に形成されていてもよい。また、第2反射鏡109のみがレンズ形状を有し、第1反射鏡303はレンズ形状を有しないものであってもよい。
【0090】
第1電極310は、第2中間層106上に設けられ、VCSEL素子300の一方の電極として機能する。第1電極310はメサ構造Mを囲む環状形状を有するものとすることができ、例えばTi/Pt/Auからなるものとすることができる。
【0091】
金属層313は、金属からなり、基板301の裏面上に設けられ、第1反射鏡303を被覆する。金属層313は第1反射鏡303の形状に応じてレンズ形状の曲面を有する。
【0092】
VCSEL素子300は以上のような構成を有する。なお、第1中間層104の厚みは光学膜厚で5λが好適である。また、VCSEL素子300における第1の伝導型と第2の伝導型は逆であってもよく、即ち第1の伝導型がp型、第2の伝導型がn型であってもよい。
【0093】
VCSEL素子300のメサ構造MはVCSEL素子100と同一の構成を有し、トンネル接合層107の端面Pがメサ構造Mの側面Sから離間する(
図4参照)ように構成されている。
【0094】
VCSEL素子300の動作もVCSEL素子100と同様であり、第1電極310と第2電極111の間に電圧を印加すると、トンネル接合層107の電流狭窄構造によって電流注入領域R(
図6参照)が形成される。自然放出光は第1反射鏡303と第2反射鏡109によってレーザ発振を生じ、第2反射鏡109を透過してレーザ光が出射される。
【0095】
この構成では、第1基板301の厚みが厚膜化されているため、より放熱性が向上する。また、第1反射鏡303及び金属層313においてレンズ構造が形成されているため、発光層105から放出された光はこのレンズ構造によって発光層105のうち電流注入領域Rに集光され、光狭窄作用が得られる。これにより、第1基板301を厚膜化しても発光効率の低下を抑制することが可能である。
【0096】
[VCSEL素子の製造方法]
VCSEL素子300の製造方法について説明する。
図20乃至
図23は、VCSEL素子100の製造方法を示す模式図である。
【0097】
まず、
図20に示すように、基板301上にバッファー層102、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107及び第3中間層108を順に積層し、積層体を形成する。これらの層はMOCVD法によって積層することができ、積層と同時にドーパントのドープを行うことができる。
【0098】
次に、
図21に示すように、第3中間層108上に第2電極111を形成した後、第3中間層108及びトンネル接合層107の一部を除去する。この工程は第1の実施形態と同様に行うことができる。これによりメサ構造Mが形成され、トンネル接合層107はサイドエッチングされる。さらに、第2中間層106上に第1電極310を形成する。
【0099】
続いて、
図22に示すように、第1の実施形態と同様にトンネル接合層107を外周側から酸化して外周領域107bにAl酸化物を生成させ、第2中間層106上及びメサ構造Mの側面S上に絶縁層112を形成する。さらに、開口部111a上に第2反射鏡109を形成する。
【0100】
続いて、
図23に示すように、基板301の厚みを薄くし、凸部301aを形成する。基板301は、積層体の表面をワックス等により支持基板に貼付した後、エッチングすることによって厚みを薄くすることができる。基板301の厚みは例えば100μmとすることができる。
【0101】
凸部301aは、基板301の裏面に円柱状のレジストをフォトリソグラフィにより形成し、加熱してボールアップさせてからドライエッチングでエッチングすることにより、レジストの凹面形状を基板301に転写させ、形成させることができる。凸部301aの曲率半径は例えば100μm程度とすることができる。
【0102】
さらに、基板301の裏面上に第1反射鏡303(
図19参照)を形成する。第1反射鏡303は、低屈折率層と高屈折率層を一様に複数層積層した後、電流注入領域の近傍を除いて除去することにより形成することができる。続いて、基板301の裏面上に金属層313(
図19参照)を形成する。
【0103】
その後、支持基板を除去し、素子毎に個片化してVCSEL素子300を製造することができる。VCSEL素子300はヒートシンク等に実装し、ワイヤーボンディング等で電気的接続を行うことで動作させることができる。
【0104】
VCSEL素子300においても第1の実施形態と同様に、トンネル接合層107がサイドエッチングされているため、トンネル接合層107がAlInAsからなる場合であっても短時間で酸化を完了させることができる。したがって、生産可能な方法で電流狭窄構造を有するVCSEL素子300を製造することが可能である。
【0105】
(第4の実施形態)
本技術の第4の実施形態に係るVCSEL素子について説明する。
【0106】
[VCSEL素子の構造]
図24は本実施形態に係るVCSEL素子400の断面図である。なお、本実施形態に係るVCSEL素子400の構成において第1の実施形態に係るVCSEL素子100と同一の構成についてはVCSEL素子100と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0107】
図24に示すように、VCSEL素子400は、基板101、バッファー層102、第1反射鏡103、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層407、第3中間層108、第2反射鏡109、第1電極110、第2電極111及び絶縁層112を備える。
【0108】
基板101、バッファー層102、第1反射鏡103、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層107、第3中間層108、第2反射鏡109、第1電極110、第2電極111及び絶縁層112は第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0109】
ここで、各層の材料は第1の実施形態と異なるものとすることができ、基板101は例えばn型GaAsからなるものとすることができる。他の各層は基板101に格子整合可能な材料からなり、バッファー層102は例えばn-GaAs、第1中間層104は例えばn-GaAs、第2中間層106は例えばp-GaAs、第3中間層108は例えばn-GaAsからなるものとすることができる。
【0110】
さらに、第1反射鏡103は、n型半導体材料からなる半導体DBRとすることができ、低屈折率層は例えばn-AlAsからなり、高屈折率層は例えばn-GaAsからなるものとすることができる。積層数は例えば40ペアとすることができる。第2反射鏡109は、n型半導体材料からなる半導体DBRとすることができ、低屈折率層は例えばn-AlAsからなり、高屈折率層は例えばn-GaAsからなるものとすることができる。積層数は例えば30ペアとすることができる。なお、第1反射鏡103及び第2反射鏡109の一方又は両方は誘電体DBRでであってもよい。
【0111】
発光層105は量子井戸層と障壁層を交互に積層した多重量子井戸構造を有する層とすることができ、量子井戸層は例えばGaInAs、障壁層は例えばAlGaAsからなるものとすることができる。発光層105の発光波長は940nm、井戸数4とすることができる。
【0112】
トンネル接合層407は、第2中間層106上に設けられ、トンネル接合を形成する。
図25は、トンネル接合層407の断面図である。
図26はトンネル接合層407の平面図であり、トンネル接合層407をZ方向から見た図である。
【0113】
図25に示すように、トンネル接合層407は、第1ハイドープ層421及び第2ハイドープ層422を備える。第1ハイドープ層421は第2中間層106側の層であり、第2ハイドープ層422は第3中間層108側の層である。
【0114】
図26に示すように、トンネル接合層407は内周領域407aと外周領域407bを有する。内周領域407aはトンネル接合層407の内周側に位置する領域であり、外周領域407bは内周領域407aを囲む環状の領域である。
【0115】
第1ハイドープ層421の内周領域407aは、Alを含み、ハイドープされたp型半導体材料からなり、例えば、p+-AlAsからなるものとすることができる。第2ハイドープ層422の内周領域407aは、Alを含み、ハイドープされたn型半導体材料からなり、例えば、n+-AlAsからなるものとすることができる。
【0116】
第1ハイドープ層421及び第2ハイドープ層422の外周領域407bは、内周領域407aの材料を酸化した材料からなり、絶縁性を有する。即ち、第1ハイドープ層421及び第2ハイドープ層422の外周領域407bは、Al酸化物を含み、例えばAlAs酸化物からなるものとすることができる。第1ハイドープ層421と第2ハイドープ層422の厚みはそれぞれ20nmとすることができる。また、トンネル接合層407と発光層105の距離はλ/4が好適である。
【0117】
VCSEL素子400は以上のような構造を有する。上記のように、基板101、バッファー層102、第1反射鏡103、第1中間層104、第3中間層108及び第2ハイドープ層422は第1の伝導型としてn型の半導体材料からなり、ドーパントはSiとすることができる。第2中間層106及び第1ハイドープ層421は第2の伝導型としてp型の半導体材料からなり、第2中間層106のドーパントはMgとすることができる。また、第1ハイドープ層421のドーパントは拡散しにくいCが好適である。
【0118】
ドーピング濃度は、例えば、第1ハイドープ層421及び第2ハイドープ層422は5×1019[cm-3]、それ以外の層は5×1017~1×1018[cm-3]程度とすることができる。なお、VCSEL素子400における第1の伝導型と第2の伝導型は逆であってもよく、即ち第1の伝導型がp型、第2の伝導型がn型であってもよい。
【0119】
[メサ構造について]
VCSEL素子400はメサ構造を有する。
図27はメサ構造を含む、VCSEL素子400の一部構成を示す断面図である。
図28はメサ構造の平面図であり、メサ構造をZ方向から見た図である。
【0120】
これらの図に示すように、トンネル接合層407及び第3中間層108はメサ状形状に形成され、メサ構造Mを形成する。メサ構造Mは
図28に示すように、Z方向から見ると円形形状とすることができる。メサ構造Mは、トンネル接合層407の内周領域407aがメサ構造Mの中央に位置するように形成され、電流注入領域を含むように構成されている。
【0121】
図27及び
図28に示すように、メサ構造Mの側面を側面Sとする。側面Sは、Z方向に沿ったメサ構造Mの外周面であり、円筒形状の面とすることができる。また、トンネル接合層407の端面を端面Pとする。端面PはZ方向に沿った外周領域407bの外周面であり、円筒形状の面とすることができる。
図27に示すように、外周領域407bは端面PからX-Y方向において一定の深さまで形成されており、内周領域407aは外周領域407bによって端面Pから隔てられている。
【0122】
本実施形態においては、トンネル接合層407の外径は第3中間層108の外径に一致する。このため、端面Pは側面Sと同一面上に位置する。メサ構造Mの外径D4は例えば100μmとすることができる。また、内周領域407aの外径D5は例えば8μmとすることができる。
【0123】
メサ構造Mは以上のように形成されている。なお、メサ構造Mはトンネル接合層407及び第3中間層108のみからなるものに限られず、例えば、第2中間層106も含むものであってもよい。この場合、第3中間層108及び第2中間層106の端面は側面Sと同一面上に位置する。さらに、メサ構造Mは発光層105を含むものであってもよく、発光層105及び第1中間層104を含むものであってもよい。いずれの場合も端面Pは側面Sと同一面上に位置するものとすることができる。
【0124】
VCSEL素子400の動作もVCSEL素子100と同様であり、第1電極110と第2電極111の間に電圧を印加すると、トンネル接合層407の電流狭窄構造によって電流注入領域R(
図6参照)が形成される。自然放出光は第1反射鏡103と第2反射鏡109によってレーザ発振を生じ、第2反射鏡109を透過してレーザ光が出射される。
【0125】
[VCSEL素子の製造方法]
VCSEL素子400の製造方法について説明する。
図29乃至
図32は、VCSEL素子100の製造方法を示す模式図である。
【0126】
まず、
図29に示すように、基板101上にバッファー層102、第1反射鏡103、第1中間層104、発光層105、第2中間層106、トンネル接合層407及び第3中間層108を順に積層し、積層体を形成する。これらの層はMOCVD法によって積層することができ、積層と同時にドーパントのドープを行うことができる。
【0127】
次に、
図30に示すように、第3中間層108上に第2電極111を形成する。第2電極111は内径10μm、外径100μmの円環状形状とすることができる。その後、第2電極111の外径に合わせて第3中間層108及びトンネル接合層407の一部を除去する。第3中間層108及びトンネル接合層407の除去はドライエッチングにより行うことが可能である。
【0128】
第3中間層108とトンネル接合層407の除去により、メサ構造Mが形成される。本実施形態では、トンネル接合層407のサイドエッチングは生じず、トンネル接合層407の端面Pはメサ構造Mの側面Sと同一面上に位置する。
【0129】
続いて、
図31に示すように、トンネル接合層407を外周側から選択的に酸化させる。これにより、外周領域407bにおいてトンネル接合層407の構成材料が酸化され、外周領域407bにAl酸化物が生成する。内周領域407aは端面Pから離間しているために酸化されず、Alを含む材料のまま維持される。この酸化は、積層体を酸化炉へ収容し、水蒸気雰囲気下で400℃~450℃に加熱することにより行うことができる。
【0130】
酸化はAl組成が高い層で選択的に進行するため、トンネル接合層407のAl組成を高くしておくことにより、トンネル接合層407のみを酸化させることができる。また、トンネル接合層407がAlAsからなる場合、AlAsは酸化レートが速いため、酸化を短時間で完了させることができる。
【0131】
具体的には、
図31に示すように、第2電極111の開口部111aよりも1μm内側まで、トンネル接合層407を酸化させ、外周領域407bを形成させることができる。開口部111aの直径が10μmの場合、内周領域407aの外径D5(
図28参照)は8μmとなる。
【0132】
続いて、
図32に示すように、第2中間層106上及びメサ構造Mの側面S上に絶縁層112を形成し、開口部111a上に第2反射鏡109を形成する。第2反射鏡109は、低屈折率層と高屈折率層を一様に複数層積層した後、開口部111aの近傍を除いて除去することにより形成することができる。
【0133】
続いて、基板101上に第1電極110(
図24参照)を形成し、素子毎に個片化してVCSEL素子400を製造することができる。VCSEL素子400はヒートシンク等に実装し、ワイヤーボンディング等で電気的接続を行うことで動作させることができる。
【0134】
VCSEL素子400は以上のようにして製造することが可能である。本実施形態では、トンネル接合層407がサイドエッチングされていないが、トンネル接合層407を酸化レートが高いAlAsからなるものとすることによって短時間で酸化を完了させることができる。したがって、生産可能な方法で電流狭窄構造を有するVCSEL素子400を製造することが可能である。
【0135】
(本開示について)
本開示中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。上記の複数の効果の記載は、それらの効果が必ずしも同時に発揮されるということを意味しているのではない。条件等により、少なくとも上記した効果のいずれかが得られることを意味しており、本開示中に記載されていない効果が発揮される可能性もある。また、本開示中に記載された特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0136】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
【0137】
(1)
特定の波長の光を反射する第1の反射鏡と、
上記波長の光を反射する第2の反射鏡と、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、第1の伝導型を有する半導体材料からなる第1の半導体層と、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、第2の伝導型を有する半導体材料からなる第2の半導体層と、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、上記第1の伝導型のハイドープ層と上記第2の伝導型のハイドープ層が接合されたトンネル接合層であって、層面に垂直な方向から見て内周側の内周領域と、上記内周領域を囲む外周領域を有し、上記内周領域はAlを含む材料からなり、上記外周領域はAl酸化物を含む材料からなるトンネル接合層と、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の間に配置され、キャリア再結合による発光を生じる発光層と、
を具備し、上記内周領域を通過して上記発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造が形成されている
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(2)
上記(1)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記トンネル接合層は、上記外周領域の上記方向に沿った外周面である端面を有し、
上記メサ構造は、上記方向に沿った外周面である側面を有し、
上記端面は、上記側面より上記内周領域側に位置し、上記側面から離間している
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(3)
上記(2)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記端面と上記側面の間は空隙である
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(4)
上記(2)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記端面と上記側面の間には絶縁体が充填されている
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(5)
上記(3)又は(4)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記内周領域は、AlInAsからなり、
上記外周領域は、AlInAsの酸化物からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(6)
上記(5)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記発光層は、AlGaInAsからなる多重量子井戸構造を有する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(7)
上記(1)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記トンネル接合層は、上記外周領域の上記方向に沿った外周面である端面を有し、
上記メサ構造は、上記方向に沿った外周面である側面を有し、
上記端面は上記側面と同一面上に位置する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(8)
上記(7)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記内周領域は、AlAsからなり、
上記外周領域は、AlAs酸化物からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(9)
上記(8)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記発光層は、AlGaAs及びGaInAsからなる多重量子井戸構造を有する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(10)
上記(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の少なくとも一方は誘電体からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(11)
上記(10)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の両方は誘電体からなる
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(12)
上記(1)から(11)のうちいずれか1つに記載の垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡の少なくとも一方は、光を上記電流注入領域に集光するレンズ形状を有する
垂直共振器型面発光レーザ素子。
(13)
第1の伝導型を有する半導体材料からなる第1の半導体層と、第2の伝導型を有する半導体材料からなる第2の半導体層と、上記第1の伝導型のハイドープ層と上記第2の伝導型のハイドープ層が接合されたAlを含む材料からなるトンネル接合層と、キャリア再結合による発光を生じる発光層とを備える積層体を作成し、
上記発光層に流入する電流が集中する電流注入領域を含むメサ構造を形成し、
上記メサ構造の外周側から上記トンネル接合層を選択的に酸化させ、上記トンネル接合層に、Alを含む材料からなる内周側の内周領域と、Al酸化物を含む材料からなり、上記内周領域を囲む外周領域を形成する
垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法。
(14)
上記(13)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法であって、
上記メサ構造を形成する工程の後、上記トンネル接合層を酸化する工程の前に、上記トンネル接合層の外周側から上記トンネル接合層の一部を除去し、上記トンネル接合層の端面を上記メサ構造の側面から離間させる工程
を含む垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法。
(15)
上記(14)に記載の垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法であって、
上記トンネル接合層の一部を除去する工程は、上記トンネル接合層を選択的にエッチングするエッチング液を用いるウェットエッチング工程である
垂直共振器型面発光レーザ素子の製造方法。
【符号の説明】
【0138】
100、200、300、400…VCSEL素子
101、201、301…基板
102…バッファー層
103、203、303…第1反射鏡
104…第1中間層
105…発光層
106…第2中間層
107、407…トンネル接合層
107a、407a…内周領域
107b、407b…外周領域
108…第3中間層
109…第2反射鏡
110、210、310…第1電極
111…第2電極
112…絶縁層
121、412…第1ハイドープ層
122、422…第2ハイドープ層
313…金属層