(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181570
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/84 20060101AFI20231218BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B65G47/84 Z
B65G54/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089665
(22)【出願日】2022-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 広衛
(72)【発明者】
【氏名】恩田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
【テーマコード(参考)】
3F021
3F072
【Fターム(参考)】
3F021AA05
3F021BA01
3F021CA01
3F072AA29
3F072GD01
3F072JA05
3F072KA09
3F072KA15
(57)【要約】
【課題】高速運転であっても、物品が安定して搬送され、生産性を向上させる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】物品搬送装置1は、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダ11、11のうち前側のスライダ11に回動自在に支持され、物品Wを受け入れる搬送体5と、該搬送体5と後側のスライダ11とを連結するリンク機構(連結機構)と、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、リンク機構を介して、搬送体5の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置7と、を備えている。これにより、高速運転であっても、物品が安定して搬送され、生産性を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送装置であって、
互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、
進行方向に沿って間隔を置いて配置される前記前後一対のスライダのうち一方のスライダに回動自在に支持され、前記物品を受け入れる搬送体と、
該搬送体と他方のスライダとを連結する連結機構と、
前記前後一対のスライダ間の距離を制御することで、前記連結機構を介して、前記搬送体の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置と、
を備えることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記前後一対のスライダが前記基台に沿って移動しながら、該前後一対のスライダ間の距離を次第に変化させて、前記搬送体を回動させる制御ロジックを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記基台は、無端状に構成されることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記物品の前記搬送体への供給方向と、物品の搬送体からの搬出方向とが平面視にて直交することを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記制御装置は、連続して供給される多数の前記物品が、前記リニアコンベアを連続して移動する多数の前記搬送体に連続して搬入される一方、前記複数の搬送体が停止した状態で、各搬送体から同時に各物品が搬出される制御ロジックを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品、例えば、複数枚集積されたマスク・カード等の集積体である物品を搬送する物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した物品搬送装置における従来技術として、特許文献1には、供給される集積体を物品搬送経路上の供給位置に所定のタイミングで順次供給する物品供給手段と、この物品供給手段によって供給された集積体を物品搬送経路に沿って搬送する物品搬送手段と、胴部を筒状に開口した状態のカートンを挿入領域(挿入位置)に順次搬送するカートン搬送手段と、物品搬送手段によって集積体を搬送しながら、物品搬送経路上の挿入領域においてカートンの胴部に挿入する物品挿入手段と、を備えているカートナが開示されている。この特許文献1に記載のカートナでは、物品供給手段による集積体の物品搬送経路上の供給位置への供給方向と、物品挿入手段による集積体の物品搬送経路上の挿入領域からカートンの胴部内への挿入方向とが平行に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1に記載のカートナでは、物品供給手段による集積体の供給方向は、物品搬送手段による集積体の物品搬送経路に沿う搬送方向に対して直交しており、すなわち、供給位置において、集積体の進行方向(物品搬送経路に沿う搬送方向)が直角に向きを変えている。これにより、集積体の供給位置において、それまでの前進速度が一瞬でゼロになり、物品搬送経路に到達して搬送方向に向かう際に一瞬で加速しなければならず、高速運転する際に、集積体の重なりが乱れがちとなる。
【0005】
また、特許文献1に記載のカートナでは、物品供給手段による集積体の物品搬送経路上の供給位置への供給方向と、物品挿入手段による集積体の物品搬送経路上の挿入領域からカートンの胴部内への挿入方向とが平面視にて平行になるように構成されているので、物品搬送経路の周辺スペースを有効に活用することができず、スペース効率が悪く、改善する余地がある。しかも、特許文献1に記載のカートナでは、物品搬送経路に対する、物品供給手段及び物品搬出手段の相対位置が限定されてしまい、設置場所に対する汎用性が乏しくなる。また、物品搬送装置においては、従来から物品の搬送に係る時間を短縮して、生産性を向上させることが大きな課題になっている。
【0006】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、高速運転であっても、物品が安定して搬送され、生産性を向上させる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、物品を搬送する物品搬送装置であって、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前記前後一対のスライダのうち一方のスライダに回動自在に支持され、前記物品を受け入れる搬送体と、該搬送体と他方のスライダとを連結する連結機構と、前記前後一対のスライダ間の距離を制御することで、前記連結機構を介して、前記搬送体の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、制御装置において、一対のスライダ間の距離を制御することで、連結機構を介して、搬送体の回動角度を制御することができるので、物品の搬送体への供給方向と、物品の搬送体からの搬出方向とを自在に制御することができる。その結果、物品の向きを、時間を掛けて変更できるので、物品が、例えば集積体の場合、その重なりが乱れることがなく、高速運転することが可能になる。しかも、物品の搬送体への供給方向と、物品の搬送体からの搬出方向とを自在に制御することができるので、物品供給手段及び物品搬出手段等の設置スペースを有効に活用することができる。また、物品搬送経路(リニアコンベア)に対する、物品供給手段及び物品搬出手段等の相対位置が限定されることがないので、設置場所に対する汎用性が優れたものになる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記制御装置は、前記前後一対のスライダが前記基台に沿って移動しながら、該前後一対のスライダ間の距離を次第に変化させて、前記搬送体を回動させる制御ロジックを含むことを特徴とするものである。
請求項2の発明では、搬送体が、一対のスライダの移動に伴って回動しながら移動することで、物品の搬送に対して、時間を掛けて、物品の向きを変更するので、時間的なロスが無く、安定して物品を搬送することができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記基台は、無端状に構成されることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、一対のスライダに連結された搬送体を、例えば、物品搬送経路の物品搬入位置と物品搬出範囲との間を往復運動させるのではなく、多数の搬送体を基台に沿って一方向に移動させて循環させることで、物品搬入位置及び物品搬出範囲に移動させることができる。その結果、時間的ロスがなく、また構造的に複雑にすることもなく、物品搬入位置では搬送体に物品を収容して、且つ搬送体を所定の回動角度に回動させながら物品搬出範囲まで移動させ、当該物品搬出範囲にて、搬送体から物品を搬出する一連の作用をスムーズに時間的ロス無く繰り返すことができる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記物品の前記搬送体への供給方向と、物品の搬送体からの搬出方向とが平面視にて直交することを特徴とするものである。
請求項4の発明では、従来(特許文献1に記載のカートナ)よりも、物品供給手段及び物品搬出手段を含む物品搬送装置全体を平面視で非常にコンパクトにすることができ、ひいては、占有スペースを縮小でき、スペース効率を非常に良好にすることができる。
【0011】
請求項5に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記制御装置は、連続して供給される多数の前記物品が、前記リニアコンベアを連続して移動する多数の前記搬送体に連続して搬入される一方、前記複数の搬送体が停止した状態で、各搬送体から同時に各物品が搬出される制御ロジックを含むことを特徴とするものである。
請求項5の発明では、特に、複数の搬送体が停止した状態で、各搬送体から同時に各物品が搬出されるので、生産速度を上げることができ、ひいては生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る物品搬送装置では、高速運転であっても、物品が安定して搬送され、また、生産性も向上され、しかも、スペースを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る物品搬送装置の全体像を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る物品搬送装置の物品供給手段から搬送体に物品が搬入される様子を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る物品搬送装置の搬送体を含む周辺構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る物品搬送装置の搬送体を含む周辺構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る物品搬送装置の搬送体が回動する様子を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る物品搬送装置の搬送体が回動する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る物品搬送装置1を
図1~
図6に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る物品搬送装置1は、集積体である物品W、例えば、マスク・カード等を複数枚集積した集積体の物品Wを所定距離搬送するものである。
図1を参照して、本実施形態に係る物品搬送装置1は、物品供給手段18と、物品搬出手段(図示略)とを含み、物品搬入位置にて物品供給手段18により搬入された物品Wを物品搬出範囲まで搬送して、当該物品搬出範囲にて物品Wを物品搬出手段により次工程へ搬出させるものである。
【0015】
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る物品搬送装置1は、特に、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダ11、11のうち前側のスライダ11に回動自在に支持され、物品Wを受け入れる搬送体5と、該搬送体5と後側のスライダ11とを連結するリンク機構6と、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、リンク機構6を介して、搬送体5の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置7と、備えている。後で詳述するが、制御装置7は、特に、リニアコンベア4の各スライダ11、11の位置を、後述するリニアスケールを含む各種検出センサ(図示略)からの検出信号に基づき制御するものである。リンク機構6が連結機構に相当する。
【0016】
図1を参照して、リニアコンベア4は、リニアモータを駆動源として、基台10上に敷設されたレールに沿って多数のスライダ11、11をそれぞれ移動させるものである。なお、リニアモータとしては、いわゆる可動磁石型リニアモータが適用される。この可動磁石型リニアモータは、具体的には、電磁石(電機子)がリニアモータ固定子として基台10上に固定される一方、永久磁石がリニアモータ可動子として各スライダ11に固定され、電磁石を構成するコイルへの電流供給が制御されることで各スライダ11に推進力が与えられる。そして、各スライダ11に固定されるスケールと、基台10側に配置される複数のセンサと、を備えるリニアスケールが組み込まれる。このリニアスケールによる位置検出に基いて、前記コイルへの電流供給が制御されることで、特定位置への各スライダ11の移動が可能となっている。要するに、リニアコンベア4では、制御装置7により、多数のスライダ11、11を独立して、それらの位置及び速度等を制御することができる。
【0017】
図1を参照して、リニアコンベア4の基台10は、側面視において、その外形が対向する一対の半円弧状部14、14と、一対の半円弧状部14、14に接続され、対向する一対の直線状部15、15とからなる長円形状を呈する無端状に構成される。なお、本実施形態では、基台10は、側面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成されているが、基台10を、平面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成しても良い。リニアコンベア4の上側の直線状部15であって、その搬送方向上流側(
図1の左側)の直上に、物品供給手段18の搬出側の先端部が配置される。物品供給手段18による物品Wの供給方向は、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向と一致する。
【0018】
この物品供給手段18(上下一対のベルトユニット20、20)の搬出側先端部が配置されるリニアコンベア4の位置が、物品供給手段18により物品Wが搬送体5に搬入される物品搬入位置となる。
図1及び
図2を参照して、物品供給手段18は、概略、上下一対のベルトユニット20、20を備えて構成される。上下一対のベルトユニット20、20は、上下一対の無端状ベルトが所定範囲にて互いに対向するように構成される。上下一対のベルトユニット20、20は、各駆動ローラ(図示略)の回転により、上下一対の無端状ベルトが一方向に循環するように移動するように構成される。上下一対のベルトユニット20、20は、リニアコンベア4の物品搬入位置に向かって下方傾斜して配置される。
【0019】
上下一対のベルトユニット20、20のうち下側のベルトユニット20の搬出側先端部は、リニアコンベア4の物品搬入位置に到達したスライダ11、11上の搬送体5を構成する、後述する一対の姿勢保持部材24、24間で、一対のストッパ部材25、25間に位置するように配置される。そして、一対のベルトユニット20、20が駆動ローラの駆動により作動されることで、多数の物品Wが互いに間隔をあけて上下一対のベルトユニット20、20間をそれぞれ移動して、その搬出側の先端部から順次、リニアコンベア4の物品搬入位置に順次到達したスライダ11、11の、後述する搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24間で、一対の支持部材26、26上に搬入される。
【0020】
図2~
図4を参照して、搬送体5は、進行方向に沿って間隔を置いて隣接して配置される前後一対のスライダ11、11のうち前側のスライダ11に回動自在に支持される。搬送体5は、リンク機構6を介して、前後一対のスライダ11、11のうち後側のスライダ11に連結される。搬送体5は、基台10に沿って配置される、進行方向に沿って隣接する前後一対のスライダ11、11に対して1つずつ設けられる。搬送体5は、互いに間隔を開けて配置される断面L字状の一対の姿勢保持部材24、24と、一対の姿勢保持部材24、24の進行方向前端をそれぞれ塞ぐストッパ部材25、25と、一対の姿勢保持部材24、24の底部の端部からそれぞれ立設され、物品Wを下方から支持する支持部材26、26と、を備えている。
【0021】
一対の姿勢保持部材24、24は、物品Wの幅方向に沿って間隔を開けて配置される。一対の姿勢保持部材24、24は、その底部が互いに近接して対向するように配置される。一対の姿勢保持部材24、24間の距離は、物品Wの幅長に対応して適宜設定される。姿勢保持部材24の高さも物品Wの高さに対応して適宜設定される。一対の姿勢保持部材24、24の底部における進行方向後端には、一対の姿勢保持部材24、24間を跨ぐ切欠き凹部28(
図5及び
図6参照)が形成される。ストッパ部材25は、姿勢保持部材24の進行方向前端を塞ぐものである。
【0022】
支持部材26は、一対の姿勢保持部材24、24の底部で、互い対向する端部からそれぞれ立設される。
図4から解るように、各支持部材26、26の上端は、姿勢保持部材24、24の側部に向かってそれぞれ屈曲している。そして、
図3を参照して、搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24間で、且つ一対の支持部材26、26上に物品Wが収容される収容空間47が形成される。一対の姿勢保持部材24、24により、集積体である物品Wの重なりが幅方向に乱れることなく保持される。なお、上述しているように、搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24間であって、一対のストッパ部材25、25間に、物品供給手段18を構成する下側のベルトユニット20の搬出側先端部が挿入される。
【0023】
図2~
図4を参照して、前後一対のスライダ11、11のうち前側のスライダ11の上面に設けた、後述する回動筒部材39と、前後一対のスライダ11、11のうち後側のスライダ11とはリンク機構6により連結される。リンク機構6は、第1リンク31と、第1リンク31のリンク部36の先端と互いに回動自在に連結される第2リンク32と、を備えている。第1リンク31は、円環状部35(
図6も参照)と、円環状部35の外周面から径方向外方に向かって突設されるリンク部36と、を備えている。第2リンク32は、棒状に形成される。また、前後一対のスライダ11、11のうち前側のスライダ11の上面に支持筒部材38が固定される。該支持筒部材38内には、円筒状の回動筒部材39が支持筒部材38に対してベアリング40を介して回動自在に支持される。回動筒部材39の上端面に第1リンク31の円環状部35が固定される。
【0024】
図6も参照して、第1リンク31の円環状部35の上面に、互いに間隔を置いて配置される一対の中間部材41、41を介して、搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24が一体的に連結される。中間部材41は、ブロック状に形成される。一対の中間部材41、41は、一対の姿勢保持部材24、24と同じ方向に沿って間隔を開けて配置される。一対の中間部材41、41間の距離と、搬送体5の一対の支持部材26、26間の距離とは略同じである。第1リンク31の円環状部35の内径と、回動筒部材39の内径とは略一致する。そして、第1リンク31のリンク部36の先端と、第2リンク32の軸方向一端とが第1連結ピン44により互いに回動自在に連結される。第1連結ピン44は、上下方向に沿って延びる。
【0025】
一方、第2リンク32の軸方向他端部は、後側のスライダ11の上面から立設される第2連結ピン45に対して回動自在に連結される。そして、
図4~
図6を参照して、リンク機構6の第1リンク31の回動動作に伴って、回動筒部材39が支持筒部材38に対して回動すると共に搬送体5も回動する。その結果、進行方向に沿って間隔を置いて隣接する前後一対のスライダ11、11間の距離を変化させることで、リンク機構6を介して、前側のスライダ11上に配置される回動筒部材39が支持筒部材38の径方向中心を中心にして回動すると共に、搬送体5が支持筒部材38の径方向中心を中心にして回動する。
【0026】
図1を参照して、本実施形態では、リニアコンベア4の物品搬入位置にて、前後一対のスライダ11、11間の距離を所定の最大距離として、搬送体5を構成する一対の姿勢保持部材24,24間の収容空間47(
図3参照)の長手方向が、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向に一致するように、搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24の向きが制御される。一方、リニアコンベア4の物品搬出範囲(後述)では、前後一対のスライダ11、11間の距離を所定の最小距離として、搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24間の収容空間47(
図3参照)の長手方向が、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向と平面視にて直交する方向(幅方向)に一致するように、搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24の向きが制御される。なお、物品搬出範囲は、リニアコンベア4の上側の直線状部15であって、その搬送方向下流側(
図1の右側)となる。
【0027】
図1を参照して、リニアコンベア4の上側の直線状部15であって、その搬送方向下流側(
図1の右側)に、物品搬出手段(図示略)が配置される。この物品搬出手段が配置されるリニアコンベア4の範囲が、物品搬出手段により各搬送体5から搬出される物品搬出範囲となる。そして、物品搬出範囲に、前後一対のスライダ11、11に対応する搬送体5が間隔を置いて複数、
図1では5台停止されると、物品搬出手段により、各搬送体5から物品Wを若干上昇させ、各搬送体5のストッパ部材25、25を避けるようにして、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向と平面視にて直交する方向(幅方向)に向かって搬出する。要するに、物品搬出手段による物品Wの搬出方向は、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向と平面視にて直交する方向(幅方向)と一致する。また、物品搬出手段により、物品搬出範囲に停止された搬送体5の数量に対応する複数の物品Wが同時に搬出される。
【0028】
図1に示す制御装置7は、特に、リニアコンベア4の各スライダ11、すなわち各搬送体5の位置、搬送体5に対応する前後一対のスライダ11、11間の距離、及び物品搬出手段の動作等を、前記リニアスケールを含む各種検出センサ(図示略)からの検出信号に基づき制御するものである。当該制御装置7による制御方法は、後述する本実施形態に係る物品搬送装置1の作用を説明する際に詳しく説明する。
【0029】
次に、本実施形態に係る物品搬送装置1の作用を説明する。なお、上述したように、以下で説明する、リニアコンベア4の各スライダ11、11、すなわち各搬送体5の位置、搬送体5に対応する前後一対のスライダ11、11間の距離、及び物品搬出手段の動作は、制御装置7により制御されている。
図1及び
図2を参照して、搬送体5を有した前後一対のスライダ11、11間の距離が所定の最大距離であり、搬送体5は、その一対の姿勢保持部材24、24間の収容空間47の長手方向がリニアコンベア4の直線状部15の長手方向に一致した状態(搬送体5の回動角度が0°)で、物品供給手段18の下側のベルトユニット20の搬出側先端部が一対の姿勢保持部材24、24間(一対のストッパ部材25、25間)に位置しつつ物品搬入位置に連続して移動する。
【0030】
そして、
図2を参照して、物品供給手段18の一対のベルトユニット20、20の搬出側先端部から物品Wが搬出されたタイミングで、搬送体5を有した前後一対のスライダ11、11が物品搬入位置に到達して、一対のベルトユニット20、20の搬出側先端部からの物品Wが搬送体5の一対の姿勢保持部材24、24間に搬入される。そして、物品Wを受け取った搬送体5を有する前後一対のスライダ11、11は停止することなく、その間の距離を維持しながら、すなわち搬送体5がその態様を維持しながら前進して、物品供給手段18の下側のベルトユニット20から抜け出す。この動作を繰り返すことで、物品供給手段18の一対のベルトユニット20、20の搬出側先端部から連続して(互いの間隔が非常に小さい状態で)搬出される多数の物品Wを、リニアコンベア4の基台10上を連続して移動する多数の前後一対のスライダ11、11の搬送体5(一対の姿勢保持部材24、24)によって次々受け取り、各搬送体5は停止することなく、物品搬出範囲に向かって移動する。
【0031】
続いて、
図1、
図5及び
図6を参照して、物品Wを受け取った搬送体5に対応した前後一対のスライダ11、11は、基台10の上側の直線状部15を前進しながら、前後一対のスライダ11、11間の距離が次第に小さくなることで、リンク機構6を介して、前側のスライダ11上に配置される回動筒部材39が支持筒部材38の径方向中心を中心に
図1において平面視で反時計回り方向に回動すると共に搬送体5が支持筒部材38の径方向中心を中心にして同方向に回動する。そして、物品搬出範囲に近づくと、各搬送体5を有する前後一対のスライダ11、11間の距離が所定の最小距離になることで、搬送体5は、その一対の姿勢保持部材24、24間の収容空間47の長手方向が、リニアコンベア4の直線状部15と平面視にて直交する方向に一致するまで回動した状態(搬送体5の回動角度が90°)となる。
【0032】
続いて、
図1を参照して、回動した各搬送体5(前後一対のスライダ11、11)は停止することなく、この態様を維持した状態で前進して、物品搬出範囲の手前で待機される。続いて、物品搬出範囲における搬送体5が所定数に満たなければ、待機していた搬送体5が、物品搬出範囲の所定位置まで前進される。そして、
図1を参照して、物品搬出範囲において、所定数の、物品Wを収容した搬送体5、本実施形態では5台の搬送体5が、互いに間隔を置いた所定位置にそれぞれ配置されたことを検出すると、物品搬出手段が作動される。
【0033】
そして、物品搬出手段が作動されると、当該物品搬出手段により、各搬送体5(5台の搬送体5)から物品W(5個の物品W)を若干上昇させ、各搬送体5のストッパ部材25、25を避けるようにして、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向と平面視にて直交する方向(幅方向)に向かってそれぞれ搬出する。続いて、
図1を参照して、物品搬出範囲にて、各搬送体5から各物品Wがそれぞれ搬出されると、空の各搬送体5を有する前後一対のスライダ11、11は、その間の距離を所定の最小距離とした状態を維持しながら基台10の半円弧状部14(
図1の右側の半円弧状部14)を進む。なお、物品搬出手段により、各搬送体5から各物品Wがそれぞれ搬出された後、空の各搬送体5と物品搬出手段とは干渉しないので、空の各搬送体5を、物品搬出手段が初期位置に戻るまで待たずに移動させることができ、搬出のタクトタイムを速くすることができる。
【0034】
続いて、空の各搬送体5を有する前後一対のスライダ11、11が、基台10の下側の直線状部15に到達すると、各搬送体5を有する前後一対のスライダ11、11は、基台10の下側の直線状部15を前進しながら、前後一対のスライダ11、11間の距離が次第に大きくなることで、
図4も参照して、リンク機構6を介して、前側のスライダ11上に配置される回動筒部材39が回動すると共に搬送体5が同方向に回動する。
【0035】
そして、空の搬送体5を有する前後一対のスライダ11、11間の距離が所定の最大距離になることで、空の搬送体5は、その一対の姿勢保持部材24、24間の収容空間47の長手方向が、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向に一致した状態となり、基台10の下側の直線状部15及び半円弧状部14(
図1の左側の半円弧状部14)を前進して、物品搬入位置の手前で順次待機される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る物品搬送装置1では、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダ11、11のうち前側のスライダ11に回動自在に支持され、物品Wを受け入れる搬送体5と、該搬送体5と後側のスライダ11とを連結するリンク機構6と、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、リンク機構6を介して、搬送体5の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置7と、を備えている。
【0037】
このように、本実施形態に係る物品搬送装置1では、特に、リニアコンベア4を採用して、制御装置7によって、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、リンク機構6を介して、搬送体5の回動角度を制御できるので、物品供給手段18による物品Wの搬送体5への供給方向と、物品搬出手段による各物品Wの各搬送体5からの搬出方向とを自在に設定することができる。その結果、搬送体5の向き、すなわち物品Wの向きを、時間を掛けて変更することができるので、高速運転であっても、集積体である物品Wの重なりが乱れることなく安定して搬送することが可能になる。また、物品供給手段18及び物品搬出手段等を、設置場所の限られたレイアウトに適宜対応して設置することができ、スペースを有効に活用することができる。言い換えれば、リニアコンベア4に対する、物品供給手段18及び物品搬出手段等の相対位置が限定されることがないので、設置場所に対する汎用性が優れたものになる。
【0038】
さらに、本実施形態に係る物品搬送装置1は、リニアコンベア4を採用することで、制御装置7により、前後一対のスライダ11、11が基台10に沿って移動しながら、前後一対のスライダ11、11間の距離を次第に変化させて、搬送体5を回動させることが可能になる。その結果、搬送体5が、前後一対のスライダ11、11の移動に伴って回動しながら移動できるので、物品Wの搬送に対して時間的なロスを無くすことができ、ひいては、生産性を向上させることができる。しかも、物品Wの向きを、時間を掛けて変更するので、高速運転であっても、集積体である物品Wの重なりが乱れることなく安定して搬送することが可能になる。
【0039】
さらにまた、本実施形態に係る物品搬送装置1は、リニアコンベア4を採用することで、制御装置7により、搬送体5を所定の回動角度まで回動させた後、停止させることなく、前後一対のスライダ11、11間の距離を保持した状態で搬送体5を前進させることが可能になる。その結果、搬送距離が長い場合でも、物品Wを所定の物品搬出範囲まで速やかに搬送することができ、さらに生産性を向上させることができる。
【0040】
さらにまた、本実施形態に係る物品搬送装置1では、リニアコンベア4を採用することで、物品Wを搬送体5により搬送しながら、当該搬送体5の向きを変えることができ、その結果、物品供給手段18による物品Wの搬送体5への供給方向と、物品搬出手段による物品Wの搬送体5からの搬出方向とを平面視にて直交させることができる。そして、物品供給手段18をリニアコンベア4の基台10の直上に配置することができる。これにより、従来(特許文献1に記載のカートナ)よりも、物品供給手段18及び物品搬出手段を含む物品搬送装置1全体を平面視で非常にコンパクトにすることができ、ひいては、占有スペースを縮小でき、スペース効率を非常に良好にすることができる。
【0041】
さらにまた、本実施形態に係る物品搬送装置1では、制御装置7は、物品供給手段18により連続して供給される多数の物品Wが、リニアコンベア4の基台10を連続して移動する多数の搬送体5に連続して搬入される一方、複数の搬送体5、5が停止した状態で、各搬送体5、5から同時に各物品W、Wが搬出される制御ロジックを含む。これにより、生産速度を上げることができ、ひいては生産性を向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る物品搬送装置1では、搬送体5と後側のスライダ11とをリンク機構6で連結しているが、リンク機構6を、前後一対のスライダ21、21間の距離を変化させることで搬送体5を回動させるべく、直線運動を回転運動に置換するラック&ピニオン機構等の歯車機構や、他の直動回転変換機構に変えて採用してもよい。このラック&ピニオン機構等の歯車機構等は、半円弧状部14、14を含む無端状のリニアコンベア4に採用することは困難であるが、半円弧状部14、14を含まないリニアコンベアに採用することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 物品搬送装置,4 リニアコンベア,5 搬送体,6 リンク機構(連結機構),7 制御装置,10 基台,11 スライダ,18 物品供給手段,W 物品
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送装置であって、
互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、
前記多数のスライダのうち進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダにおいて、一方のスライダに回動自在に支持され、前記物品を受け入れる搬送体と、
該搬送体と他方のスライダとを連結する連結機構と、
前記前後一対のスライダ間の距離を制御することで、前記連結機構を介して、前記搬送体の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置と、
を備えることを特徴とする物品搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、物品を搬送する物品搬送装置であって、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、前記多数のスライダのうち進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダにおいて、一方のスライダに回動自在に支持され、前記物品を受け入れる搬送体と、該搬送体と他方のスライダとを連結する連結機構と、前記前後一対のスライダ間の距離を制御することで、前記連結機構を介して、前記搬送体の回動角度を制御する制御ロジックを含む制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、制御装置において、一対のスライダ間の距離を制御することで、連結機構を介して、搬送体の回動角度を制御することができるので、物品の搬送体への供給方向と、物品の搬送体からの搬出方向とを自在に制御することができる。その結果、物品の向きを、時間を掛けて変更できるので、物品が、例えば集積体の場合、その重なりが乱れることがなく、高速運転することが可能になる。しかも、物品の搬送体への供給方向と、物品の搬送体からの搬出方向とを自在に制御することができるので、物品供給手段及び物品搬出手段等の設置スペースを有効に活用することができる。また、物品搬送経路(リニアコンベア)に対する、物品供給手段及び物品搬出手段等の相対位置が限定されることがないので、設置場所に対する汎用性が優れたものになる。