IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 能美防災株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スプリンクラーヘッド 図1
  • 特開-スプリンクラーヘッド 図2
  • 特開-スプリンクラーヘッド 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181592
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】スプリンクラーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/08 20060101AFI20231218BHJP
   A62C 31/02 20060101ALI20231218BHJP
   A62C 37/11 20060101ALI20231218BHJP
   B05B 1/28 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A62C37/08
A62C31/02
A62C37/11
B05B1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094802
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕三
【テーマコード(参考)】
2E189
4F033
【Fターム(参考)】
2E189CC02
2E189CC04
2E189CD01
2E189KB07
4F033AA12
4F033BA04
4F033CA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033GA02
4F033JA01
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】天井面の側壁近傍に設置できる共に側壁近傍にも消火水を効果的に放射できるスプリンクラーヘッドを提供する。
【解決手段】本発明に係るスプリンクラーヘッド1は、一端側の導水口2から他端側の放水口12に向かって消火水が流れる流路5が形成されたヘッド本体6と、デフレクタ19と、を備えたものであって、ヘッド本体6は、外部から導水口2に消火水を供給する供給管3と接続するための接続部4を有し、接続部4に接続される供給管3の軸線Aに対して流路5における少なくとも放水口12に至る部分の軸線Bが所定の方向に傾斜していることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側の導水口から他端側の放水口に向かって消火水が流れる流路が形成されたヘッド本体と、デフレクタと、を備えたスプリンクラーヘッドであって、
前記ヘッド本体は、外部から前記導水口に消火水を供給する供給管と接続するための接続部を有し、該接続部に接続される前記供給管の軸線に対して前記流路における少なくとも前記放水口に至る部分の軸線が所定の方向に傾斜していることを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【請求項2】
常時は前記放水口を閉鎖する弁体と、前記弁体を閉鎖状態に支持するとともに火災の熱によって分解して前記放水口を開放する感熱分解部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項3】
前記流路は、前記一端側が前記供給管の軸線と平行で、途中から屈曲又は湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項4】
前記流路は、全体が直線状に傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリンクラーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用のスプリンクラーヘッドに関し、特に壁面の近傍への散水を効果的に行うことができるスプリンクラーヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
部屋の壁等の近傍への散水に特化したスプリンクラーヘッドとしては、例えば特許文献1の「サイドウォール型スプリンクラーヘッド」や特許文献2の「側壁型スプリンクラーヘッド」、あるいは特許文献3の「消火設備の側壁型泡ヘッド」が提案されている。
【0003】
特許文献1、2のものは、側壁に水平方向に向けて設置されるものである。
他方、特許文献3のものは、側壁近傍に垂直方向に向けて設置されるものである。
そして、特許文献3に開示のものは、消火液の放射範囲を泡ヘッド設置箇所の下方半周域(180度域)に制限して放射する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-164904号公報
【特許文献2】特開2001-340487号公報
【特許文献3】実開平6-23548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のように側壁に設置するタイプのものは、天井下に例えばシャンデリア等の障害物がある場合には好適であるが、壁面に什器等を設置したい場合には適しておらず、側壁内の配管施工は天井裏よりも困難な場合が多い。
【0006】
また、特許文献3は、例えば多段式駐車場のように、防護範囲が車の駐車スペースであり、側壁から少し離れた場所である場合には好適であるが、ヘッド直下より側壁側の床面が防護範囲になり難いという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、天井面の側壁近傍に設置できる共に側壁近傍にも消火水を効果的に放射できるスプリンクラーヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係るスプリンクラ―ヘッドは、一端側の導水口から他端側の放水口に向かって消火水が流れる流路が形成されたヘッド本体と、デフレクタと、を備えたものであって、
前記ヘッド本体は、外部から前記導水口に消火水を供給する供給管と接続するための接続部を有し、該接続部に接続される前記供給管の軸線に対して前記流路における少なくとも前記放水口に至る部分の軸線が所定の方向に傾斜していることを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、常時は前記放水口を閉鎖する弁体と、前記弁体を閉鎖状態に支持するとともに火災の熱によって分解して前記放水口を開放する感熱分解部と、をさらに備えたことを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記流路は、前記一端側が前記供給管の軸線と平行で、途中から屈曲又は湾曲していることを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記流路は、全体が直線状に傾斜していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るスプリンクラ―ヘッドは、天井面における側壁近傍に設置できるので、側壁に設置する側壁型スプリンクラーヘッドが設置できない場合にも設置が可能である。
また、一般的な天井設置型のスプリンクラーヘッドと共に設置しても、側壁に取り付けるものではないので、意匠的にも違和感なく設置することができる。
また、スプリンクラーヘッドを所定の設置間隔で設置したとき、部屋の壁面付近に設置する必要がある場合、通常のスプリンクラーヘッドを設置すると放射範囲の半分程度が壁面にかかることになり、無駄な放水となってしまう。その一方で消火水の放射範囲を制限するものである場合、ヘッドより壁側への放射が制限されるため、壁際に未警戒範囲が発生してしまう。本発明のスプリンクラーヘッドは、ヘッドより壁側の消火水の放射範囲を制限するものでないので、側壁近傍の床面も防護範囲としつつ、壁面に大量の無駄な放水をすることなく、効果的な放水ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係るスプリンクラーヘッドの断面図である。
図2図1に示したスプリンクラーヘッドのヘッド本体の断面図である。
図3】本実施の形態に係るスプリンクラーヘッドの放水範囲を示す図であり、図中の破線は放水範囲の境界を模式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態に係るスプリンクラ―ヘッドの一例として、感熱分解部を備えたものを例に挙げて、図1に基づいて説明する。
本発明の特徴部分を説明する前に、図1に基づいて、スプリンクラーヘッドが備える一般的な構成を説明し、その後、本発明の特徴部分について説明する。
【0015】
本実施の形態に係るスプリンクラーヘッド1は、一般的な構成として、外部から導水口2に消火水を供給する供給管3と接続するための接続部4を有すると共に消火水が流れる流路5が形成されたヘッド本体6と、ヘッド本体6のフランジ部7に螺着された円筒フレーム9とを備えている。円筒フレーム9には、弁体11をヘッド本体6の放水口12に押し付けて加圧された消火水を封止する感熱分解部13と、支柱15を有し、支柱15を介してストッパリング17に連結されているデフレクタ19と、が設けられている。
感熱分解部13は、セットピン21、皿ばね23、スライダー25、ボール27、バランサー29、プランジャー31、断熱材33、感熱カバー35、半田36を備えて構成されている。
【0016】
そして、本実施の形態に係るスプリンクラーヘッド1は、特徴的な構成として、図2に示すように、ヘッド本体6に形成された流路5が、接続部4に接続される供給管3の軸線Aに対して流路5における放水口12に至る部分の軸線Bが、所定の方向にα°傾斜しているように構成されている。図2においては、αは傾斜角度を示している。
【0017】
このように、ヘッド本体6の流路5が傾斜していることで、図3に示すように、スプリンクラーヘッド1を天井面37における側壁39の近傍に設置したときに、流路5の向きを、その軸線Bが下方に向かうにしたがって側壁39から離れる方向となるように設置することができる。
このように設置することで、放水口12から消火水を放水したときに、傾斜方向への放水量と放水距離を増加させることができ、側壁39に消火水が衝突するのを極力少なくしつつ、側壁近傍の床面41へも放水可能となる。
【0018】
なお、流路5の傾斜角度αは、スプリンクラーヘッド1を設置する天井面37の高さや、放水量との関係で、防護範囲が、図3に示すように、側壁近傍から床面41側に延び出すように設定すればよい。
【0019】
以上のように、本実施の形態のスプリンクラーヘッド1は、天井面37における側壁近傍に設置できるので、側壁39に設置する側壁型スプリンクラーヘッドが設置できない場合にも設置が可能である。
また、側壁39に設置するものではないので、一般的な天井設置型のスプリンクラーヘッドと共に設置しても、意匠的にも違和感なく設置することができる。
さらに、放射範囲を制限するものでないので、側壁近傍の床面41も防護範囲とすることができ、消火に効果的な放水ができる。
【0020】
なお、図1、2に示したスプリンクラーヘッド1は、ヘッド本体6の外径が従来の一般的なスプリンクラーヘッドのヘッド本体と同径で、内部の流路径を小さくすることで、ヘッド本体6内で流路5を所定の方向に傾斜させたものである。
そのため、流路径が細くなった分だけ、放水量が少なくなるので、防護範囲を側壁近傍に限定する場合に好適である。また、この場合には、揚程や水槽の大きさが小さくて済むこともある。
【0021】
もっとも、本発明に係るスプリンクラーヘッドのヘッド本体は、このようなものに限られず、外径が従来の一般的なスプリンクラ―ヘッドのものよりも大径で、軸方向長さも長いヘッド本体とすることで、流路を屈曲又は湾曲させたとしても流路径を太くでき、従来のものと同等の放水量にすることもできる。
このようにすれば、防護範囲を従来のものと同様に広くすることができる。
【0022】
また、図1図2に示したスプリンクラーヘッド1は、感熱分解部13を有し放水口12が常時は閉じた閉鎖型のものであったが、本発明はこれに限られるものではなく、放水口が常時開放している開放型のものも含む。
【0023】
さらに、図1図2に示したスプリンクラーヘッド1は、ヘッド本体6の流路5の一端側、具体的には上部側が供給管3の軸線と平行で、途中から屈曲しているものであったが、本発明に係る流路5は少なくとも放水口12に至る部分の軸線Bが所定の方向に傾斜しておればよく、例えば、流路全体が直線状に傾斜しているものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 スプリンクラーヘッド
2 導水口
3 供給管
4 接続部
5 流路
6 ヘッド本体
7 フランジ部
9 円筒フレーム
11 弁体
12 放水口
13 感熱分解部
15 支柱
17 ストッパリング
19 デフレクタ
21 セットピン
23 皿ばね
25 スライダー
27 ボール
29 バランサー
31 プランジャー
33 断熱材
35 感熱カバー
36 半田
37 天井面
39 側壁
41 床面
図1
図2
図3