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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181601
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20231218BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L27/04 L
H01L25/00 B
H01L25/04 Z
H01L27/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094814
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桝村 好博
(72)【発明者】
【氏名】細川 嵩道
(72)【発明者】
【氏名】高田 圭太
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038BE07
5F038BH16
5F038EZ07
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体装置は、一方のダイパッドDPHと、他方のダイパッドDPLと、他方のダイパッドDPL上に搭載された半導体チップCPLと、一方のダイパッドDPH上に搭載された半導体チップCPCと、一方のダイパッドDPH上に搭載された半導体チップCPHと、これらを封止する封止体とを備える。半導体チップCPCは、互いに磁気的に結合された2つのコイルL1a,L1bを含む。半導体チップCPC内の一方のコイルL1aは、半導体チップCPL内に形成された回路と電気的に接続され、半導体チップCPC内の他方のコイルL1bは、半導体チップCPH内に形成された回路と電気的に接続されている。断面視において、他方のコイルL1bは、一方のコイルL1aよりもダイパッドDPHの近くに位置する。半導体チップCPHの動作時の消費電力は、半導体チップCPLの動作時の消費電力よりも大きい。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チップ搭載部と、
第2チップ搭載部と、
前記第1チップ搭載部上に搭載された第1半導体チップと、
前記第2チップ搭載部上に搭載された第2半導体チップと、
前記第2チップ搭載部上に搭載され、かつ、第1コイルおよび第2コイルを含む第3半導体チップと、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第3半導体チップ、前記第1チップ搭載部および前記第2チップ搭載部を封止する封止体と、
を備え、
前記第1コイルと前記第2コイルとは、互いに磁気的に結合されており、
前記第1コイルは、前記第1半導体チップ内に形成された第1回路と電気的に接続され、
前記第2コイルは、前記第2半導体チップ内に形成された第2回路と電気的に接続され、
断面視において、前記第2コイルは、前記第1コイルよりも前記第2チップ搭載部の近くに位置し、
前記第2半導体チップの動作時の消費電力は、前記第1半導体チップの動作時の消費電力よりも大きく、
前記第2チップ搭載部の面積は、前記第1チップ搭載部の面積よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1回路は、送信回路および受信回路の一方であり、かつ、前記第2回路は、前記送信回路および前記受信回路の他方である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第3半導体チップ内に半導体素子は形成されていない、半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、前記第1チップ搭載部上に第1接合材を介して搭載され、
前記第2半導体チップは、前記第2チップ搭載部上に第2接合材を介して搭載され、
前記第3半導体チップは、前記第2チップ搭載部上に第3接合材を介して搭載されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記第1接合材、前記第2接合材および前記第3接合材のそれぞれは、導電性を有している、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
複数のリードと、
複数のワイヤと、
を更に備え、
前記封止体は、前記複数のリードのそれぞれの一部と、前記複数のワイヤとを封止している、半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、複数の第1パッドおよび複数の第2パッドを有し、
前記第2半導体チップは、複数の第3パッドおよび複数の第4パッドを有し、
前記第3半導体チップは、前記第1コイルと電気的に接続された複数の第5パッドと、前記第2コイルと電気的に接続された複数の第6パッドとを有し、
前記複数のワイヤは、前記第1半導体チップの前記複数の第1パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第5パッドとを電気的に接続する複数の第1ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第3パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第6パッドとを電気的に接続する複数の第2ワイヤと、前記第1半導体チップの前記複数の第2パッドと前記複数のリードのうちの複数の第1リードとを電気的に接続する複数の第3ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第4パッドと前記複数のリードのうちの複数の第2リードとを電気的に接続する複数の第4ワイヤと、を含む、半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、第7パッドを更に有し、
前記複数のワイヤは、前記第2半導体チップの前記第7パッドと前記第1チップ搭載部とを電気的に接続する第5ワイヤを更に含む、半導体装置。
【請求項9】
請求項7記載の半導体装置において、
前記複数の第1リードは、前記半導体装置の外部の第3回路と電気的に接続され、
前記複数の第2リードは、前記半導体装置の外部の第4回路と電気的に接続され、
前記第4回路に供給される電源電圧は、前記第3回路供給される電源電圧よりも高い、半導体装置。
【請求項10】
請求項6記載の半導体装置において、
断面視において、前記第1チップ搭載部および前記第2チップ搭載部のそれぞれの高さ位置は、前記複数のリードのインナリード部の高さ位置よりも低い、半導体装置。
【請求項11】
第1チップ搭載部と、
第2チップ搭載部と、
前記第1チップ搭載部上に搭載された第1半導体チップと、
前記第2チップ搭載部上に搭載された第2半導体チップと、
前記第2チップ搭載部上に搭載され、かつ、第1コイルおよび第2コイルを含む第3半導体チップと、
前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第3半導体チップ、前記第1チップ搭載部および前記第2チップ搭載部を封止する封止体と、
を備える半導体装置であって、
前記第1コイルと前記第2コイルとは、互いに磁気的に結合されており、
前記第1コイルは、前記第1半導体チップ内に形成された第1回路と電気的に接続され、
前記第2コイルは、前記第2半導体チップ内に形成された第2回路と電気的に接続され、
断面視において、前記第2コイルは、前記第1コイルよりも前記第2チップ搭載部の近くに位置し、
前記第1半導体チップは、前記半導体装置の外部の第3回路と電気的に接続され、
前記第2半導体チップは、前記半導体装置の外部の第4回路と電気的に接続され、
前記第4回路に供給される電源電圧は、前記第3回路に供給される電源電圧よりも高く、
前記第2チップ搭載部の面積は、前記第1チップ搭載部の面積よりも大きい、半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップ内には、更に、前記第2回路および前記第4回路のそれぞれと電気的に接続された駆動回路が形成されており、
前記第2半導体チップの動作時の消費電力は、前記第1半導体チップの動作時の消費電力よりも大きい、半導体装置。
【請求項13】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第3半導体チップ内に半導体素子は形成されていない、半導体装置。
【請求項14】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、前記第1チップ搭載部上に第1接合材を介して搭載され、
前記第2半導体チップは、前記第2チップ搭載部上に第2接合材を介して搭載され、
前記第3半導体チップは、前記第2チップ搭載部上に第3接合材を介して搭載されている、半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置において、
前記第1接合材、前記第2接合材および前記第3接合材のそれぞれは、導電性を有している、半導体装置。
【請求項16】
請求項11記載の半導体装置において、
複数のリードと、
複数のワイヤと、
を更に備え、
前記封止体は、前記複数のリードのそれぞれの一部と、前記複数のワイヤとを封止している、半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、複数の第1パッドおよび複数の第2パッドを有し、
前記第2半導体チップは、複数の第3パッドおよび複数の第4パッドを有し、
前記第3半導体チップは、前記第1コイルに電気的に接続された複数の第5パッドと、前記第2コイルに電気的に接続された複数の第6パッドとを有し、
前記複数のワイヤは、前記第1半導体チップの前記複数の第1パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第5パッドとを電気的に接続する複数の第1ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第3パッドと前記第3半導体チップの前記複数の第6パッドとを電気的に接続する複数の第2ワイヤと、前記第1半導体チップの前記複数の第2パッドと前記複数のリードのうちの複数の第1リードとを電気的に接続する複数の第3ワイヤと、前記第2半導体チップの前記複数の第4パッドと前記複数のリードのうちの複数の第2リードとを電気的に接続する複数の第4ワイヤと、を含む、半導体装置。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、第7パッドを更に有し、
前記複数のワイヤは、前記第2半導体チップの前記第7パッドと前記第1チップ搭載部とを電気的に接続する第5ワイヤを更に含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、複数の半導体チップを内蔵する半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
ダイパッド上に半導体チップを搭載し、半導体チップのパッド電極とリードとをワイヤを介して電気的に接続し、それらを樹脂封止することにより、半導体パッケージ形態の半導体装置を製造することができる。
【0003】
国際公開第2015-114758号(特許文献1)には、半導体チップ内の2つのコイルを誘導結合させて電気信号を伝達する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015-114758号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3つの半導体チップを内蔵し、そのうちの2つの半導体チップ間で信号を伝達するために、他の1つの半導体チップ内の磁気的に結合されたコイルを利用する半導体装置において、信頼性を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1チップ搭載部と、第2チップ搭載部と、前記第1チップ搭載部上に搭載された第1半導体チップと、前記第2チップ搭載部上に搭載された第2半導体チップおよび第3半導体チップと、これらを封止する封止体と、を備える。前記第3半導体チップは、互いに磁気的に結合された第1コイルおよび第2コイルを含む。前記第1コイルは、前記第1半導体チップ内に形成された第1回路と電気的に接続され、前記第2コイルは、前記第2半導体チップ内に形成された第2回路と電気的に接続されている。断面視において、前記第2コイルは、前記第1コイルよりも前記第2チップ搭載部の近くに位置する。前記第2半導体チップの動作時の消費電力は、前記第1半導体チップの動作時の消費電力よりも大きい。前記第2チップ搭載部の面積は、前記第1チップ搭載部の面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態の半導体装置を用いたインバータ回路を示す回路図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の上面図である。
図3】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
図4】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
図5】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
図6】一実施の形態の半導体装置の下面図である。
図7】一実施の形態の半導体装置の断面図である。
図8】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の平面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図12図11と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
図13】一実施の形態の半導体装置内の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図14】一実施の形態の半導体装置内の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図15】第1検討例の半導体装置の平面透視図である。
図16】第1検討例の半導体装置の断面図である。
図17】第2検討例の半導体装置内の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図18】変形例の半導体装置の平面透視図である。
図19】変形例の半導体装置の平面透視図である。
図20】変形例の半導体装置を製造するのに使用するリードフレームの平面図である。
図21】変形例の半導体装置の製造工程中の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
(実施の形態)
<回路構成について>
図1は、本実施の形態の半導体装置PKGを用いたインバータ回路を示す回路図である。なお、図1において、符号CPHを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPH内に形成され、符号CPLを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPL内に形成され、符号CPCを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPC内に形成され、符号PKGを付した一点鎖線で囲まれた部分が、半導体装置PKG内に形成されている。図1に示されるインバータ回路では、半導体装置PKGは2つ用いられている。
【0014】
図1に示されるインバータ回路に用いられている半導体装置PKGは、半導体チップCPC,CPL,CPHを備えている。半導体チップCPL内には、送信回路TX1と受信回路RX2とが形成され、半導体チップCPH内には、受信回路RX1と送信回路TX2と駆動回路(制御回路)DRとが形成されている。半導体チップCPC内には、互いに磁気的に結合されたコイルL1a,L1bからなるトランスTR1と、互いに磁気的に結合されたコイルL2a,L2bからなるトランスTR2とが形成されている。また、図1に示されるインバータ回路は、制御回路CCも有しており、この制御回路CCは、半導体パッケージPKGの外部に設けられた別の半導体チップ内に形成されている。
【0015】
送信回路TX1および受信回路RX1は、制御回路CCからの信号を駆動回路DRに伝達するための回路である。送信回路TX1は、制御回路CCから送信回路TX1に送られた信号を変換して、トランスTR1を介して受信回路RX1に送信する。受信回路RX1は、送信回路TX1からトランスTR1を介して受信した信号を変換して、駆動回路DRに伝達する。また、送信回路TX2および受信回路RX2は、駆動回路DRからの信号を制御回路CCに伝達するための回路である。送信回路TX2は、駆動回路DRから送信回路TX2に送られた信号を変換して、トランスTR2を介して受信回路RX2に送信する。受信回路RX2は、送信回路TX2からトランスTR2を介して受信した信号を変換して、制御回路CCに伝達する。
【0016】
図1に示されるインバータ回路は、パワートランジスタTS1,TS2を有している。パワートランジスタTS1は、ハイサイドスイッチ(高電位側スイッチ)用のトランジスタであり、パワートランジスタTS2は、ロウサイドスイッチ(低電位側スイッチ)用のトランジスタである。パワートランジスタTS1とパワートランジスタTS2とは、それぞれ、半導体パッケージPKGの外部に設けられた別々の半導体チップ内に形成されている。
【0017】
以下では、パワートランジスタTS1,TS2がパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合について説明する。パワートランジスタTS1,TS2として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を適用することもでき、その場合は、以下のパワートランジスタTS1,TS2に関する説明において、「ソース」を「エミッタ」と読み替え、「ドレイン」を「コレクタ」と読み替えればよい。
【0018】
また、本願において、MOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)だけでなく、酸化膜以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。
【0019】
パワートランジスタTS1とパワートランジスタTS2は直列に接続されており、パワートランジスタTS1のソース(S1)がパワートランジスタTS2のドレイン(D2)に接続されている。パワートランジスタTS1のドレイン(D1)には、電源(バッテリ)BT1から電源電位(電源電圧)V1が供給される。また、制御回路CCには、電源(バッテリ)BT2から電源電位(電源電圧)V2が供給される。パワートランジスタTS1のドレイン(D1)に供給される電源電位V1は、制御回路CCに供給される電源電位V2(例えば数V~数十V)よりもかなり高く、例えば100V以上(数百V)である。パワートランジスタTS2のソース(S2)には、電源電位V1よりも低い基準電位、例えばグランド電位(GND)が供給される。パワートランジスタTS1のゲート(G1)とパワートランジスタTS2のゲート(G2)は、それぞれ、駆動回路DRに接続されている。
【0020】
なお、本実施の形態では、パワートランジスタTS1,TS2の数と同じ数の半導体装置PKGを使用している。この場合、パワートランジスタTS1に対して設けた半導体装置PKGが有する駆動回路DRが、パワートランジスタTS1のゲート(G1)の電圧を制御し、パワートランジスタTS2に対して設けた半導体装置PKGが有する駆動回路DRが、パワートランジスタTS2のゲート(G2)の電圧を制御する。他の形態として、2つのパワートランジスタTS1,TS2に対して1つの半導体装置PKGを使用する場合もあり得るが、その場合は、共通の半導体装置PKGが有する駆動回路DRが、2つのパワートランジスタTS1,TS2のゲート(G1,G2)の電圧を制御する。
【0021】
制御回路CCから送信回路TX1とトランスTR1と受信回路RX1とを介して駆動回路に供給された信号(制御信号)に応じて、駆動電圧DRから各パワートランジスタTS1,TS2のゲート(G1,G2)に供給されるゲート電圧を制御することで、パワートランジスタTR1,TR2の動作を制御することができる。
【0022】
パワートランジスタTS1のソース(S1)とパワートランジスタTS2のドレイン(D2)との間に設けられた端子T1は、インバータ回路の出力用の端子である。端子T1は、負荷LODに接続される。負荷LODは、例えばモータのコイルである。インバータ回路に供給された直流電力は、インバータ回路で交流電力に変換されて、負荷LODに供給される。
【0023】
送信回路TX1と受信回路RX1との間にはトランスTR1が介在し、送信回路TX2と受信回路RX2との間にはトランスTR2が介在している。制御回路CCは、送信回路TX1、トランスTR1および受信回路RX1を経由して、駆動回路DRに信号(制御信号)を伝達することができる。また、駆動回路DRは、送信回路TX2、トランスTR2および受信回路RX2を経由して、制御回路CCに信号を伝達することができる。コイルL1a,L1b,L2a,L2bは、それぞれインダクタとみなすこともできる。
【0024】
トランスTR1は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL1a,L1bにより形成されているが、コイルL1aとコイルL1bとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合している。このため、コイルL1aに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL1bに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。コイルL1aが一次コイルで、コイルL1bが二次コイルである。これを利用して、送信回路TX1からトランスTR1のコイルL1a(一次コイル)に信号を送って電流を流し、それに応じてトランスTR1のコイルL1b(二次コイル)に生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路RX1で検知(受信)することで、送信回路TX1が送った信号に応じた信号を、受信回路RX1で受け取ることができる。
【0025】
また、トランスTR2は、半導体チップCPC内に形成されたコイルL2a,L2bにより形成されているが、コイルL2bとコイルL2aとは、導体によっては繋がっておらず、互いに磁気的に結合している。このため、コイルL2bに電流が流れると、その電流の変化に応じてコイルL2aに誘導起電力が発生して誘導電流が流れる。コイルL2bが一次コイルで、コイルL2aが二次コイルである。これを利用して、送信回路TX2からトランスTR2のコイルL2b(一次コイル)に信号を送って電流を流し、それに応じてトランスTR2のコイルL2a(二次コイル)に生じた誘導電流(または誘導起電力)を受信回路RX2で検知(受信)することで、送信回路TX2が送った信号に応じた信号を、受信回路RX2で受け取ることができる。
【0026】
送信回路TX1からトランスTR1を経由して受信回路RX1に至る経路と、送信回路TX2からトランスTR2を経由して受信回路RX2に至る経路とにより、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間で信号の伝達を行うことができる。
【0027】
半導体チップCPLと半導体チップCPHとは、電圧レベルが異なっている。例えば、半導体チップCPLは、低電圧(例えば数V~数十V)で動作または駆動される回路(例えば制御回路CC)を有する低電圧領域に、後述のワイヤBWおよびリードLD(具体的にはリードLD2)などを介して電気的に接続される。また、半導体チップCPHは、前記低電圧よりも高電圧(例えば100V以上)で動作または駆動される回路(例えばパワートランジスタTS1,TS2)を有する高電圧領域に、後述のワイヤBWおよびリードLD(具体的にはリードLD1)などを介して電気的に接続される。しかしながら、半導体チップCPL,CPH間での信号の伝達はトランスTR1,TR2を介在しているため、異電圧回路間での信号の伝達が可能である。
【0028】
なお、図1では、制御回路CCを半導体チップCPC,CPH,CPL以外の半導体チップに内蔵させる場合について示しているが、他の形態として、制御回路CCを半導体チップCPL内に内蔵させることもできる。
【0029】
<半導体装置の構造について>
図2は、本実施の形態の半導体装置PKGの上面図であり、図3図5は、半導体装置PKGの平面透視図であり、図6は、半導体装置PKGの下面図(裏面図)であり、図7は、半導体装置PKGの断面図である。図3には、封止部MRを透視したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、図4は、図3において、更にワイヤBWを透視(省略)したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、図5は、図4において、更に半導体チップCPC,CPH,CPLを透視(省略)したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。図3図5では、封止部MRの外周の位置を点線で示してある。また、図2および図3のA1-A1線の位置での半導体装置PKGの断面図が、図7にほぼ対応している。また、図2図6には、X方向およびY方向が示されている。ここで、X方向とY方向とは、互いに交差する方向であり、より特定的には、互いに直交する方向である。
【0030】
図2図7に示される本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKGは、樹脂封止型の半導体パッケージ形態の半導体装置であり、ここではSOP(Small Outline Package)形態の半導体装置である。以下、図2図7を参照しながら、半導体装置PKGの構成について説明する。
【0031】
図2図7に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、3つの半導体チップCPC,CPH,CPLと、その上に2つの半導体チップCPC,CPHを搭載するダイパッドDPHと、その上に1つの半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPLと、複数のワイヤ(ボンディングワイヤ)BWと、複数のリードLDと、これらを封止する封止部MRと、を有している。
【0032】
封止体としての封止部MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。
【0033】
封止部MRは、一方の主面である上面MRaと、上面MRaの反対側の主面である下面(裏面、底面)MRbと、上面MRaおよび下面MRbに交差する側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4と、を有している。側面MRc1,MRc3は、X方向に略平行であり、側面MRc2,MRc4は、Y方向に略平行である。封止部MRにおいて、側面MRc1と側面MRc3とは互いに反対側に位置し、側面MRc2と側面MRc4とは互いに反対側に位置し、側面MRc1は側面MRc2,MRc4と交差し、側面MRc3は側面MRc2,MRc4と交差している。また、上面MRaおよび下面MRbのそれぞれは、X方向およびY方向の両方に平行な面である。封止部MRの平面形状、すなわち、封止部MRの上面MRaおよび下面MRbの平面形状は、例えば矩形状(長方形状)である。封止部MRは、封止部MRの側面MRc1と側面MRc2とが交差する角部KD1と、封止部MRの側面MRc2と側面MRc3とが交差する角部KD2と、封止部MRの側面MRc3と側面MRc4とが交差する角部KD3と、封止部MRの側面MRc4と側面MRc1とが交差する角部KD4と、を有している。
【0034】
半導体装置PKGが有する複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。リードLDのアウタリード部には、半田メッキ層などのメッキ層(図示せず)を形成することもできる。
【0035】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではない。例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの下面MRbで各リードLDの一部が露出した構成(SON(Small Outline Nonleaded Package)型の構成)などを採用することもできる。
【0036】
半導体装置PKGが有する複数のリードLDは、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDと、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDとで構成されている。図2図7の場合は、封止部MRの側面MRc2,MRc4側には、リードLDは配置されていない。以下では、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLDを、符号LD1を付してリードLD1と称することとする。また、封止部MRの側面MRc3側に配置されたリードLDを、符号LD2を付してリードLD2と称することとする。
【0037】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc1から封止部MR外に突出している。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc3から封止部MR外に突出している。各リードLDのアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの下面MRbとほぼ同一平面上に位置するように、折り曲げ加工されている。リードLDのアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。
【0038】
ダイパッドDPLは、その上に半導体チップCPLを搭載するチップ搭載部であり、ダイパッドDPHは、その上に2つの半導体チップCPC,CPHを搭載するチップ搭載部である。ダイパッドDPHとダイパッドDPLとはX方向に離間しており、ダイパッドDPHとダイパッドDPLとの間には封止部MRの一部が介在している。ダイパッドDPH,DPLのうち、ダイパッドDPHが封止部MRの側面MRc1に近い側に配置され、ダイパッドDPLが封止部MRの側面MRc3に近い側に配置されている。すなわち、Y方向において、ダイパッドDPLと封止部MRの側面MRc1との間にダイパッドDPHが配置され、ダイパッドDPHと封止部MRの側面MRc3との間にダイパッドDPLが配置されている。各ダイパッドDPH,DPLは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。すなわち、封止部MRの上面MRaおよび下面MRbにおいて、各ダイパッドDPH,DPLは露出していない。
【0039】
ダイパッドDPH,DPLおよび複数のリードLDは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。また、ダイパッドDPH,DPLと複数のリードLDとは、同じ材料(同じ金属材料)で形成されていることが好ましく、これにより、ダイパッドDPH,DPLおよび複数のリードLDが連結された後述のリードフレームLFを作製しやすくなり、リードフレームLFを用いた半導体装置PKGの製造が容易になる。
【0040】
ダイパッドDPHは、半導体チップCPC,CPHを搭載する側の主面である上面DPHaと、それとは反対側の主面である下面(裏面)DPHbと、上面DPHaおよび下面DPHbに交差する側面DPHc1,DPHc2,DPHc3,DPHc4と、を有している。ダイパッドDPHにおいて、側面DPHc1は、封止部MRの側面MRc1側に位置する側面であり、側面DPHc2は、封止部MRの側面MRc2側に位置する側面であり、側面DPHc3は、封止部MRの側面MRc3側に位置する側面であり、側面DPHc4は、封止部MRの側面MRc4側に位置する側面である。ダイパッドDPHにおいて、側面DPHc1と側面DPHc3とは互いに反対側に位置し、側面DPHc2と側面DPHc4とは互いに反対側に位置し、側面DPHc1は側面DPHc2,DPHc4と交差し、側面DPHc3は側面DPHc2,DPHc4と交差している。
【0041】
また、ダイパッドDPLは、半導体チップCPLを搭載する側の主面である上面DPLaと、それとは反対側の主面である下面(裏面)DPLbと、上面DPLaおよび下面DPLbに交差する側面DPLc1,DPLc2,DPLc3,DPLc4と、を有している。ダイパッドDPLにおいて、側面DPLc1は、封止部MRの側面MRc1側に位置する側面であり、側面DPLc2は、封止部MRの側面MRc2側に位置する側面であり、側面DPLc3は、封止部MRの側面MRc3側に位置する側面であり、側面DPLc4は、封止部MRの側面MRc4側に位置する側面である。ダイパッドDPLにおいて、側面DPLc1と側面DPLc3とは互いに反対側に位置し、側面DPLc2と側面DPLc4とは互いに反対側に位置し、側面DPLc1は側面DPLc2,DPLc4と交差し、側面DPLc3は側面DPLc2,DPLc4と交差している。ダイパッドDPHの側面DPHc3とダイパッドDPLの側面DPLc1とが、封止部MRの一部を介して互いに対向している。
【0042】
ダイパッドDPHの側面DPHc1,DPHc3とダイパッドDPLの側面DPLc1,DPLc3はX方向に略平行であり、ダイパッドDPHの側面DPHc2,DPHc4とダイパッドDPLの側面DPLc2,DPLc4はY方向に略平行である。ダイパッドDPHの上面DPHaおよび下面DPHbとダイパッドDPLの上面DPLaおよび下面DPLbのそれぞれは、X方向およびY方向の両方に略平行な面である。ダイパッドDPH,DPLのそれぞれの平面形状は、例えば矩形状である。
【0043】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDのうち、リードLD1aのインナリード部は、ダイパッドDPHの側面DPHc1に一体的に連結され、リードLD1bのインナリード部は、ダイパッドDPHの側面DPHc2に一体的に連結され、リードLD1cのインナリード部は、ダイパッドDPHの側面DPHc4に一体的に連結されている。リードLD1a,LD1b,LD1cは、半導体装置PKGの製造時にダイパッドDPHをリードフレームのフレーム枠に支持する吊りリードとして機能する。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDのうち、リードLD2aのインナリード部は、ダイパッドDPLの側面DPLc2に一体的に連結され、リードLD2bのインナリード部は、ダイパッドDPLの側面DPLc4に一体的に連結されている。リードLD2a,LD2bは、半導体装置PKGの製造時にダイパッドDPLをリードフレームのフレーム枠に支持する吊りリードとして機能する。封止部MRの側面MRc1側では、複数のリードLD(LD1)がX方向に並んでいるが、それらの配列において、リードLD1bとリードLD1cとが両端に位置している。また、封止部MRの側面MRc3側では、複数のリードLD(LD2)がX方向に並んでいるが、それらの配列において、リードLD2aとリードLD2bとが両端に位置している。
【0044】
半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれは、一方の主面である表面と、それとは反対側の主面である裏面とを有している。半導体チップCPHは、半導体チップCPHの裏面をダイパッドDPHに向けた状態で、ダイパッドDPHの上面DPHa上に接合材BDHを介して搭載されている。また、半導体チップCPCは、半導体チップCPCの裏面をダイパッドDPHに向けた状態で、ダイパッドDPHの上面DPHa上に接合材BDCを介して搭載されている。また、半導体チップCPLは、半導体チップCPLの裏面をダイパッドDPLに向けた状態で、ダイパッドDPLの上面DPLa上に接合材BDLを介して搭載されている。すなわち、半導体チップCPC,CPH,CPLのうち、半導体チップCPC,CPHはダイパッドDPH上に搭載され、半導体チップCPLはダイパッドDPL上に搭載されている。ダイパッドDPHの平面寸法(平面積)は、ダイパッドDPLの平面寸法(平面積)よりも大きいため、ダイパッドDPH上に2つの半導体チップCPC,CPHを搭載することが可能である。
【0045】
ダイパッドDPHの上面DPHaにおいて、半導体チップCPCが搭載された領域と半導体チップCPHが搭載された領域とは、互いに離間(具体的にはY方向に離間)している。つまり、半導体チップCPCと半導体チップCPHとは、互いに積み重ねられてはおらず、ダイパッドDPHの上面DPHa上に互いに離間して並んで配置されている。平面視において、半導体チップCPLと半導体チップCPCと半導体チップCPHとは、Y方向に並んでおり、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間に半導体チップCPCが配置されている。ダイパッドDPHの平面寸法(平面積)は、半導体チップCPC,CPHの各平面寸法(平面積)よりも大きく、平面視において、半導体チップCPCおよび半導体チップCPHは、ダイパッドDPHの上面DPHaに内包されている。また、ダイパッドDPLの平面寸法(平面積)は、半導体チップCPLの平面寸法(平面積)よりも大きく、平面視において、半導体チップCPLは、ダイパッドDPLの上面DPLaに内包されている。半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれの平面形状は、例えば矩形状である。半導体チップCPC,CPH,CPLの平面形状を構成する矩形は、X方向に略平行な二辺と、Y方向に略平行な二辺を有している。
【0046】
接合材BDC,BDH,BDLとしては、銀ペーストなどの導電性接合材を好適に用いることができる。半導体チップCPHの裏面が接合材BDHを介してダイパッドDPHに接合されて固定され、半導体チップCPCの裏面が接合材BDCを介してダイパッドDPHに接合されて固定され、半導体チップCPLの裏面が接合材BDLを介してダイパッドDPLに接合されて固定されている。半導体チップCPC,CPH,CPLは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0047】
接合材BDC,BDH,BDLとして、絶縁性の接合材を用いることもできる。但し、接合材BDC,BDH,BDLとして導電性の接合材を用いた場合は、半導体チップCPC,CPH,CPLで生じた熱を接合材BDC,BDH,BDLを介してダイパッドDPH,DPLに伝導させやすくなるという利点を得られる。
【0048】
半導体チップCPHの表面には、複数のパッドPH1,PH2,PH3,PH4が形成されている。半導体チップCPLの表面には、複数のパッドPL1,PL2,PL3,PL4が形成されている。半導体チップCPCの表面には、複数のパッドPC1,PC2,PC3,PC4が形成されている。なお、「ボンディングパッド」、「ボンディングパッド電極」、「パッド電極」あるいは「電極」を、単に「パッド」と称することとする。
【0049】
半導体チップCPHの各パッドPH1,PH2,PH3,PH4は、半導体チップCPHの内部配線を通じて、半導体チップCPH内に形成された回路(上記受信回路RX1、送信回路TX2、駆動回路DRなど)に電気的に接続されている。ここで、半導体チップCPHのパッドPH1は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC3と電気的に接続されるパッドである。また、半導体チップCPHのパッドPH2は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC4と電気的に接続されるパッドである。また、半導体チップCPHのパッドPH3は、ワイヤBWを介してリードLD1と電気的に接続されるパッドである。また、半導体チップCPHのパッドPH4は、ワイヤBWを介してダイパッドDPHと電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPHのパッドPH1は、半導体チップCPHの内部配線を通じて半導体チップCPH内の受信回路RX1に電気的に接続されており、また、半導体チップCPHのパッドPH2は、半導体チップCPHの内部配線を通じて半導体チップCPH内の送信回路TX2に電気的に接続されている。
【0050】
半導体チップCPLの各パッドPL1,PL2,PL3,PL4は、半導体チップCPLの内部配線を通じて、半導体チップCPL内に形成された回路(上記送信回路TX1、受信回路RX2など)に電気的に接続されている。ここで、半導体チップCPLのパッドPL1は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC1と電気的に接続されるパッドである。また、半導体チップCPLのパッドPL2は、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPC2と電気的に接続されるパッドである。また、半導体チップCPLのパッドPL3は、ワイヤBWを介してリードLD2と電気的に接続されるパッドである。また、半導体チップCPHのパッドPL4は、ワイヤBWを介してダイパッドDPLと電気的に接続されるパッドである。半導体チップCPLのパッドPL1は、半導体チップCPLの内部配線を通じて半導体チップCPH内の送信回路TX1に電気的に接続されており、また、半導体チップCPLのパッドPL2は、半導体チップCPLの内部配線を通じて半導体チップCPL内の受信回路RX2に電気的に接続されている。
【0051】
半導体チップCPCのパッドPC1は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL1aに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC2は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL2aに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC3は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL1bに電気的に接続されたパッドである。また、半導体チップCPCのパッドPC4は、半導体チップCPC内に形成された上記コイルL2bに電気的に接続されたパッドである。
【0052】
半導体チップCPHの複数のパッドPH1と半導体チップCPCの複数のパッドPC3とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH1のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC3に接続されている。また、半導体チップCPHの複数のパッドPH2と半導体チップCPCの複数のパッドPC4とが、それぞれ、ワイヤBWを介してと電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH2のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC4に接続されている。
【0053】
半導体チップCPLの複数のパッドPL1と半導体チップCPCの複数のパッドPC1とが、それぞれ、ワイヤBWを介してと電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL1のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC1に接続されている。また、半導体チップCPLの複数のパッドPL2と半導体チップCPCの複数のパッドPC2とが、それぞれ、ワイヤBWを介してと電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL2のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPC2に接続されている。
【0054】
また、半導体チップCPHの複数のパッドPH3と複数のリードLD1とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH3のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、リードLD1のインナリード部に接続されている。
【0055】
また、半導体チップCPLの複数のパッドPL3と複数のリードLD2とが、それぞれ、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPL3のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、リードLD2のインナリード部に接続されている。
【0056】
また、半導体チップCPHの複数のパッドPH4とダイパッドDPHとが、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPH4のそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、ダイパッドDPHに接続されている。
【0057】
また、半導体チップCPLの複数のパッドPL4とダイパッドDPLとが、ワイヤBWを介して電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPHLのそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、ダイパッドDPHと一体的に形成されたリードLD2a,LD2bに接続されている。
【0058】
ワイヤ(ボンディングワイヤ)BWは、導電性のワイヤである。ワイヤBWは、具体的には金属からなるが、金(Au)ワイヤ、銅(Cu)ワイヤ、あるいはアルミニウム(Al)ワイヤなどを好適に用いることができる。ワイヤBWは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。各リードLDにおいて、ワイヤBWの接続箇所は、封止部MR内に位置するインナリード部である。
【0059】
半導体装置PKGの使用時には、半導体装置PKG内の半導体チップCPLは、ワイヤBW(具体的にはパッドPL3とリードLD2とを電気的に接続するワイヤBW)およびリードLD2などを介して、半導体装置PKGの外部の回路(具体的には上記制御回路CC)と電気的に接続される。また、半導体装置PKGの使用時には、半導体装置PKG内の半導体チップCPHは、ワイヤBW(具体的にはパッドPH3とリードLD1とを電気的に接続するワイヤBW)およびリードLD1などを介して、半導体装置PKGの外部の回路(具体的にはパワートランジスタTS1,TS2で構成されるインバータ回路)と電気的に接続される。半導体チップCPH内に形成された上記駆動回路DRは、半導体チップCPHの内部配線などを介して、半導体チップCPH内に形成された上記送信回路TX2および受信回路RX1と電気的に接続されている。また、半導体装置PKGの使用時には、半導体チップCPH内に形成された上記駆動回路DRは、ワイヤBW(具体的にはパッドPH3とリードLD1とを電気的に接続するワイヤBW)およびリードLD1などを介して、半導体装置PKGの外部の回路(具体的にはパワートランジスタTS1,TS2で構成されるインバータ回路)と電気的に接続される。パワートランジスタTS1,TS2で構成されるインバータ回路に供給される電源電位V1は、制御回路CCに供給される電源電位V2よりも高い。
【0060】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程(組立工程)について説明する。図8図12は、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程中の平面図または断面図である。このうち、図8図11は平面図であり、図12は上記図7に対応する断面図である。
【0061】
半導体装置PKGを製造するには、まず、リードフレームLFを準備(用意)し、また、半導体チップCPC,CPH,CPLを準備(用意)する。リードフレームLFと半導体チップCPC,CPH,CPLとは、どちらを先に準備してもよく、また、同時に準備してもよい。
【0062】
図8に示されるように、リードフレームLFは、フレーム枠と、ダイパッドDPH,DPLと、複数のリードLDと、支持部SG1,SG2と、を一体的に有している。リードフレームLFは、例えば、銅(Cu)を主成分とする金属材料からなり、具体的には、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる。図8には、リードフレームLFのうち、そこから1つの半導体装置PKGが製造される領域が示されている。
【0063】
リードフレームLFのフレーム枠は、平面視において半導体装置PKG形成予定領域を囲む枠部LF1,LF2,LF3,LF4からなる。枠部LF1と枠部LF3とは互いに反対側に位置し、枠部LF2と枠部LF4とは互いに反対側に位置し、枠部LF1は枠部LF2,LF4と交差し、枠部LF3は枠部LF2,LF4と交差している。平面視において、枠部LF1,LF2,LF3,LF4は、ダイパッドDPH,DPLを囲んでいる。枠部LF1,LF3はX方向に略平行であり、枠部LF2,LF4はY方向に略平行である。
【0064】
リードフレームLFを構成するリードLDのうち、リードLD1は、一方の端部が枠部LF1に連結され、リードLD2は、一方の端部が枠部LF3に連結されている。また、枠部LF2に支持部SG1が連結され、枠部LF4に支持部SG2が連結されている。ダイパッドDPHは、リードLD1a,LD1b,LD1cを介して枠部LF1に連結され、ダイパッドDPLは、リードLD2a,LD2bを介して枠部LF3に連結されている。
【0065】
次に、図9に示されるように、リードフレームLFのダイパッドDPHの上面DPHa上に接合材BDH(図7参照)を介して半導体チップCPHを搭載し、ダイパッドDPHの上面DPHa上に接合材BDC(図7参照)を介して半導体チップCPCを搭載し、ダイパッドDPLの上面DPLa上に接合材BDL(図7参照)を介して半導体チップCPLを搭載する。この際、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれは、裏面がダイパッドに対向する向きで、搭載される。その後、熱処理などにより、接合材BDC,BDH,BDLを硬化させる。
【0066】
次に、図10に示されるように、ワイヤボンディング工程を行う。ワイヤボンディング工程では、半導体チップCPHのパッドPH1と半導体チップCPCのパッドPC3との間、半導体チップCPHのパッドPH2と半導体チップCPCのパッドPC4との間、半導体チップCPLのパッドPL1と半導体チップCPCのパッドPC1との間、および半導体チップCPLのパッドPL2と半導体チップCPCのパッドPC2との間を、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続する。また、半導体チップCPHのパッドPH3とリードLD1との間、半導体チップCPLのパッドPL3とリードLD2との間、半導体チップCPHのパッドPH4とダイパッドDPHとの間、および半導体チップCPLのパッドPL4とリードLD2a,LD2bとの間を、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0067】
次に、モールド工程(樹脂成形工程)による樹脂封止を行って、図11および図12に示されるように、ダイパッドDPH,DPLと半導体チップCPC,CPH,CPLと複数のワイヤBWと複数のリードLDのインナリード部とを封止する封止部MRを形成する。形成された封止部MRの側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4のうち、側面MRc1が枠部LF1と対向し、側面MRc2が枠部LF2と対向し、側面MRc3が枠部LF3と対向し、側面MRc4が枠部LF4と対向する。封止部MRを形成すると、支持部SG1,SG2のそれぞれの一部も封止部MR内に封止される。具体的には、支持部SG1は、封止部MRの側面MRc2側で封止部MR内に封止される部分と、封止部MRの側面MRc2から封止部MR外に突出して枠部LF2に連結される部分とを一体的に有している。支持部SG2は、封止部MRの側面MRc4側で封止部MR内に封止される部分と、封止部MRの側面MRc4から封止部MR外に突出して枠部LF4に連結される部分とを一体的に有している。
【0068】
封止部MRは、側面MRc1側の複数のリードLD(LD1,LD1a,LD1b,LD1c)によって枠部LF1に支持され、側面MRc3側の複数のリードLD(LD2,LD2a,LD2b)によって枠部LF3に支持され、側面MRc2側の支持部SG1によって枠部LF2に支持され、側面MRc4側の支持部SG2によって枠部LF4に支持される。すなわち、封止部MRは、複数のリードLDおよび支持部SG1,SG2によって枠部LF1,LF2,LF3,LF4に安定的に支持される。
【0069】
次に、封止部MRから露出しているリードLDのアウタリード部に必要に応じてめっき層(図示せず)を形成する。その後、封止部MRの外部において、リードLDを所定の位置で切断して、リードフレームLFのフレーム枠(枠部LF1,LF3)から分離する。この際、封止部MRの側面MRc1側の複数のリードLD(LD1,LD1a,LD1b,LD1c)の切断工程と封止部MRの側面MRc3側の複数のリードLD(LD2,LD2a,LD2b)の切断工程とを任意の順序で行った後に、封止部MRから突出する部分の支持部SG1,SG2を切断する。これにより、封止部MRが支持部SG1,SG2によって枠部LF2,LF4に支持された状態でリードLDの切断工程を行うことができるため、リードLDを的確に切断することができる。
【0070】
次に、封止部MRから突出するリードLDのアウタリード部を折り曲げ加工(リード加工、リード成形)する。
【0071】
このようにして、上記図2図7に示される半導体装置PKGが製造される。
【0072】
<半導体チップについて>
図13および図14は、半導体装置PKG内の各半導体チップCPC,CPH,CPLを模式的に示す断面図である。図13および図14は、Y方向に略平行な断面であるが、図13は、図4におけるパッドPL1、パッドPC1、パッドPC3およびパッドPH1を通過する断面に対応し、図14は、図4におけるパッドPL2、パッドPC2、パッドPC4およびパッドPH2を通過する断面に対応している。図13および図14においては、各ダイパッドDPH,DPLと各半導体チップCPC,CPH,CPLと各ワイヤBWとが示されているが、封止部MRについては、図示を省略している。
【0073】
図13および図14に示されるように、半導体チップCPCは、半導体基板SB1と、その上に形成された多層配線構造MW1と、その上に形成された保護膜PA1とを有している。多層配線構造MW1は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA1は、半導体チップCPCの最上層に位置する保護膜である。
【0074】
半導体チップCPCは、コイルL1a,L1b,L2a,L2bも含んでおり、多層配線構造MW1を構成する配線層によりコイルL1a,L1b,L2a,L2bが形成されている。コイルL1a,L1bは図13に示され、コイルL2a,L2bは図14に示されている。磁気的に結合したコイルL1a,L1bのうち、コイルL1aは、半導体チップCPCのパッドPC1とワイヤBWとを介して、半導体チップCPLのパッドPL1に電気的に接続され、コイルL1bは、半導体チップCPCのパッドPC3とワイヤBWとを介して、半導体チップCPHのパッドPH1に電気的に接続される(図13参照)。また、トランスTR2を構成するコイルL2a,L2bのうち、コイルL2aは、半導体チップCPCのパッドPC2とワイヤBWとを介して、半導体チップCPLのパッドPL2に電気的に接続され、コイルL2bは、半導体チップCPCのパッドPC4とワイヤBWとを介して、半導体チップCPHのパッドPH2に電気的に接続される(図14参照)。
【0075】
半導体チップCPC内において、コイルL1a,L1bのうち、コイルL1bがダイパッドDPHに近い側に位置している(図13参照)。言い換えると、断面視において、コイルL1bは、コイルL1aよりもダイパッドDPHの近くに位置している。また、半導体チップCPC内において、コイルL2a,L2bのうち、コイルL2bがダイパッドDPHに近い側に位置している(図14参照)。言い換えると、断面視において、コイルL2bは、コイルL2aよりもダイパッドDPHの近くに位置している。
【0076】
すなわち、半導体チップCPCにおいて、コイルL1aとコイルL1bとは平面視で重なる位置に形成されており、かつ、コイルL1bはコイルL1aの下方に形成されている。また、半導体チップCPCにおいて、コイルL2aとコイルL2bとは平面視で重なる位置に形成されており、かつ、コイルL2bはコイルL2aの下方に形成されている。
【0077】
なお、以下では、半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルのうち、下側(半導体基板SB1に近い側)のコイルを下側コイルと称し、上側(半導体基板SB1から遠い側)のコイルを上側コイルと称することとする。つまり、半導体チップCPCにおいて、コイルL1bはコイルL1aよりも下層に形成され、また、コイルL2bはコイルL2aよりも下層に形成されている。また、半導体チップCPC内において、コイルL1aとコイルL2aとは、同層に形成されていることが好ましく、また、コイルL1bとコイルL2bとは、同層に形成されていることが好ましい。コイルL1a,L1b,L2a,L2bのそれぞれは、渦巻き状の導体パターン(配線パターン)により形成されている。
【0078】
コイルL1a,L2aは、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されていることが好ましい。この場合、多層配線構造MW1を構成する複数の層間絶縁膜のうちの最上層の層間絶縁膜上にコイルL1a,L2aが形成されることになる。コイルL1a,L2aは保護膜PA1で覆われるが、コイルL1aの両端部にはそれぞれパッドPC1が接続され、また、コイルL2aの両端部にはそれぞれパッドPC2が接続されている。
【0079】
コイルL1b,L2bは、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、コイルL1a,L2aが形成された配線層よりも下層の配線層に形成されている。コイルL1bの両端部は、それぞれ、多層配線構造MW1が有する配線(例えば図13の配線WR1)を通じてパッドPC3に接続され、また、コイルL2bの両端部は、それぞれ、多層配線構造MW1が有する配線(例えば図14の配線WR2)を通じてパッドPC4に接続されている。
【0080】
半導体チップCPCのパッドPC1,PC2,PC3,PC4は、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA1の開口部から露出されている。保護膜PA1の開口部から露出するパッドPC1,PC2,PC3,PC4に、それぞれワイヤBWが接続される。
【0081】
他の形態として、コイルL1a,L2aを、多層配線構造MW1を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層以外の配線層に形成することも可能であるが、その場合も、コイルL1b,L2bはコイルL1a,L2aよりも下層に形成する必要がある。
【0082】
半導体チップCPC内に半導体素子(すなわち、前述したMOSFETのようなトランジスタ)は形成されていない。つまり、半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1には、半導体素子(すなわち、前述したMOSFETのようなトランジスタ)は形成されていない。
【0083】
半導体チップCPHは、半導体基板SB2と、その上に形成された多層配線構造MW2と、その上に形成された保護膜PA2とを有している。多層配線構造MW2は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA2は、半導体チップCPHの最上層に位置する保護膜である。
【0084】
半導体チップCPHを構成する半導体基板SB2には、トランジスタなどの半導体素子(図示せず)が複数形成されている。半導体チップCPHのパッドPH1,PH2,PH3,PH4は、多層配線構造MW2を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA2の開口部から露出されている。保護膜PA2の開口部から露出するパッドPH1,PH2,PH3,PH4に、それぞれワイヤBWが接続される。
【0085】
半導体チップCPLは、半導体基板SB3と、その上に形成された多層配線構造MW3と、その上に形成された保護膜PA3とを有している。多層配線構造MW3は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA3は、半導体チップCPLの最上層に位置する保護膜である。
【0086】
半導体チップCPLを構成する半導体基板SB3には、トランジスタなどの半導体素子(図示せず)が複数形成されている。半導体チップCPLのパッドPL1,PL2,PL3,PL4は、多層配線構造MW3を構成する複数の配線層のうち、最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA3の開口部から露出されている。保護膜PA3の開口部から露出するパッドPL1,PL2,PL3,PL4に、それぞれワイヤBWが接続される。
【0087】
なお、半導体装置PKGにおいて半導体チップCPHから半導体チップCPLへの信号の送信が不要な場合は、半導体チップCPHは上記送信回路TX2を含んでおらず、半導体チップCPLは上記受信RX2を有しておらず、半導体チップCPCはトランスTR2(コイルL2a,L2b)を含んでいない。この場合、半導体チップCPHは上記パッドPH2を有さず、半導体チップCPLは上記パッドPL2を有さず、半導体チップCPCは上記パッドPC2,PC4を有さない。半導体チップCPC内に少なくとも1つのトランスが形成されているが、トランスの数は変更可能である。
【0088】
<検討例について>
図15は、本発明者が検討した第1検討例の半導体装置PKG101の平面透視図であり、上記図3に相当するものである。図16は、第1検討例の半導体装置PKG101の断面図であり、上記図7に相当するものである。図15のB1-B1線の位置での半導体装置PKG101の断面図が、図16にほぼ対応している。
【0089】
図15および図16に示される第1検討例の半導体装置PKG101は、上記ダイパッドDPH,DPLの代わりに、ダイパッドDPH101,DPL101を有している。そして、ダイパッドDPH101上に接合材BDHを介して半導体チップCPHが搭載され、ダイパッドDPL101上に接合材BDLを介して半導体チップCPLが搭載されている。上記半導体チップCPCに相当する半導体チップCPC101は、ダイパッドDPH101上ではなくダイパッドDPL101上に接合材BDCを介して搭載されている。ダイパッドDPL101の平面寸法(平面積)は、ダイパッドDPH101の平面寸法(平面積)よりも大きいため、ダイパッドDPL101上に2つの半導体チップCPC101,CPLを搭載することが可能である。
【0090】
3つの半導体チップCPC101,CPH,CPLを、それぞれ別々のダイパッド上に搭載した場合には、半導体装置の平面寸法(平面積)が増大してしまうが、それに比べて第1検討例の半導体装置PKG101の場合は、ダイパッドDPL101上に2つの半導体チップCPC101,CPLを搭載したことで、半導体装置の平面寸法(平面積)を低減することができる。
【0091】
しかしながら、本発明者の検討によれば、第1検討例の半導体装置PKG101では、以下のような課題が生じ得ることが分かった。
【0092】
第1検討例の半導体装置PKG101に含まれている半導体チップCPH,CPLのうち、動作時の発熱量(消費電力)が大きいのは半導体チップCPHである。その理由は、半導体チップCPHは、送信回路TX1や受信回路RX2よりも高い電源電圧で動作する駆動回路DRを有しているからである。
【0093】
第1検討例の半導体装置PKG101の場合、半導体チップCPHで生じた熱は、接合材BDHを介してダイパッドDPH101に伝導され、半導体チップCPC101,CPLで生じた熱は、接合材BDC,BDLを介してダイパッドDPL101に伝導される。ダイパッドDPH101,DPL101は、封止部MRに相当する封止部MR101内に封止されており、封止部MR101から露出されていない。なぜなら、もしも封止部MR101の下面でダイパッドDPH101,DPL101が露出されていると、ダイパッドDPH101の露出部とダイパッドDPL101の露出部との間で沿面放電(封止部MR101の表面に沿って生じる放電)が懸念されるからである。
【0094】
このため、半導体チップCPLよりも発熱量が大きい半導体チップCPHについては、発熱に伴う温度上昇を抑制するために、半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPH101の体積を大きくすることが望まれる。しかしながら、ダイパッドDPH101の体積を大きくするために、ダイパッドDPH101の厚さを厚くすることは、封止部MR101の厚さを厚くすることにつながり、半導体装置PKG101の厚さの増大を招くため、望ましくない。また、ダイパッドDPH101の体積を大きくするために、ダイパッドDPH101の平面寸法(平面積)を大きくすることは、封止部MR101の平面寸法(平面積)を大きくすることにつながり、半導体装置PKG101の平面寸法(平面積)の増大を招くため、望ましくない。かといって、半導体チップCPLよりも発熱量が大きい半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPH101が小さいと、半導体チップCPHの動作時に、発熱に伴う半導体チップCPHの温度上昇が大きくなるため、半導体装置PKG101の信頼性が低下する虞がある。発熱に伴う半導体チップCPHの温度上昇を抑制して半導体装置の信頼性を向上させることと、半導体装置の小型化を図ることとを両立することが望まれる。
【0095】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置PKGは、3つの半導体チップCPC,CPH,CPLを内蔵する半導体装置である。半導体チップCPCは、磁気的に結合されたコイルL1a,L1bを含んでおり、半導体チップCPC内のコイルL1aは、半導体チップCPL内に形成された回路(ここでは送信回路TX1)と電気的に接続され、半導体チップCPC内のコイルL1bは、半導体チップCPH内に形成された回路(ここでは受信回路RX1)と電気的に接続されている。これにより、半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間で、磁気的に結合されたコイルL1a,L1bを介して、信号を伝達することができる。
【0096】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、半導体装置PKGは2つのダイパッドDPH,DPLと3つの半導体チップCPC,CPH,CPLとを有し、ダイパッドDPH上に2つの半導体チップCPC,CPHを搭載し、ダイパッドDPL上に1つ半導体チップCPLを搭載したことである。
【0097】
本実施の形態とは異なり、3つの半導体チップCPC,CPH,CPLを3つのダイパッド上にそれぞれ搭載した場合には、半導体装置の平面寸法(平面積)が増大してしまうが、それに比べて本実施の形態の半導体装置PKGの場合は、ダイパッドDPH上に2つの半導体チップCPC,CPHを搭載したことで、半導体装置の平面寸法(平面積)を低減することができる。
【0098】
また、本実施の形態とは異なり、半導体チップCPCを用いずに、半導体チップCPH,CPLの一方、例えば半導体チップCPH内にトランスTR1,TR2を形成する場合を仮定する。この場合は、半導体チップCPHにおいて、トランスTR1,TR2を構成するコイルを形成した平面領域には、トランジスタなどの半導体素子は形成しないため、半導体チップCPHの平面寸法がかなり大きくなり、半導体チップCPHの製造コストが高くなり、その結果、半導体装置の製造コストが高くなる。それに対して、本実施の形態では、半導体チップCPH,CPLとは別の半導体チップCPC内にトランスTR1,TR2を構成するコイルを形成しているため、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれの平面寸法を抑制することができ、半導体装置PKGの製造コストを低減することができる。
【0099】
また、本実施の形態の半導体装置PKGは、発熱に伴う半導体チップCPHの温度上昇の抑制と、半導体装置PKGの小型化との両立を図ることができる。これについて、以下に説明する。
【0100】
本実施の形態の半導体装置PKGのダイパッドDPLの平面寸法(平面積)は、第1検討例の半導体装置PKG101のダイパッドDPL101の平面寸法(平面積)よりも小さくすることができる。なぜなら、第1検討例の半導体装置PKG101のダイパッドDPL101は、2つの半導体チップCPC,CPLを搭載するため、2つの半導体チップCPC,CPLを配置できるだけの平面寸法を確保する必要があり、それゆえ、ダイパッドDPL101の平面寸法は大きくなるからである。それに比べて、本実施の形態の半導体装置PKGのダイパッドDPLは、1つの半導体チップCPLを配置できるだけの平面寸法を確保すればよく、ダイパッドDPLの平面寸法をダイパッドDPL101の平面寸法よりも小さくすることができる。
【0101】
また、本実施の形態の半導体装置PKGのダイパッドDPHの平面寸法(平面積)は、第1検討例の半導体装置PKG101のダイパッドDPH101の平面寸法(平面積)よりも大きくすることができる。なぜなら、第1検討例の半導体装置PKG101のダイパッドDPH101は、1つの半導体チップCPHを配置できるだけの平面寸法を確保すればよいのに対して、本実施の形態の半導体装置PKGのダイパッドDPHは、2つの半導体チップCPC,CPHを配置できるだけの面積を確保する必要があるからである。
【0102】
ここで、第1検討例におけるダイパッドDPH101の平面寸法と本実施の形態におけるダイパッドDPHの平面寸法とを同じにした場合を仮定する。この場合、本実施の形態におけるダイパッドDPLの平面寸法は第1検討例におけるダイパッドDPL101の平面寸法よりも小さくすることができる分、本実施の形態の半導体装置PKGの平面寸法(平面積)は、第1検討例の半導体装置PKG101の平面寸法(平面積)よりも小さくすることができる。
【0103】
すなわち、本実施の形態の場合、半導体チップCPLが搭載されるダイパッドDPL上ではなく、半導体チップCPHが搭載されるダイパッドDPH上に半導体チップCPCを搭載したことで、半導体装置PKGの平面寸法を抑制しながら、半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPHの平面寸法を大きくすることができる。
【0104】
半導体チップCPHの動作時の消費電力は、半導体チップCPLの動作時の消費電力よりも大きく、それゆえ、半導体チップCPHの動作時の発熱量は、半導体チップCPLの動作時の発熱量よりも大きい。各半導体チップCPH,CPCで生じた熱は、各接合材BDH,BDCを介してダイパッドDPHに伝導され、半導体チップCPLで生じた熱は、接合材BDLを介してダイパッドDPLに伝導される。本実施の形態では、上述のようにダイパッドDPHの平面寸法をダイパッドDPLの平面寸法よりも大きくすることができるため、半導体チップCPHの動作時にこの半導体チップCPHで発生した熱を、第1検討例の半導体装置PKG101よりも、ダイパッドDPHを介して逃がすことができる。従って、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。一方、半導体チップCPHに比べて半導体チップCPLは、その動作時の発熱量が半導体チップCPHよりも小さい。そのため、たとえ半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPLの平面寸法(平面積)を小さくしても、半導体装置PKGの信頼性への影響度は低い。
【0105】
つまり、本実施の形態では、半導体装置PKGの平面寸法の増大を防ぎながら、その動作時の発熱量が大きな半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPHの平面寸法を大きくするために、半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPL上ではなく、半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPH上に、半導体チップCPCを搭載している。これにより、ダイパッドDPHとダイパッドDPLの総面積を第1検討例におけるダイパッドDPH101とダイパッドDPL101の総面積とほぼ同じにしながら、その動作時の発熱量が大きな半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPHの平面寸法を大きくすることができる。その結果、発熱に伴う半導体チップCPHの温度上昇の抑制と、半導体装置PKGの小型化との両立を図ることができる。
【0106】
本実施の形態の主要な特徴のうちの他の一つは、半導体チップCPC内において、コイルL1a,L1bのうち、コイルL1bがダイパッドDPHに近い側に位置し、コイルL2a,L2bのうち、コイルL2bがダイパッドDPHに近い側に位置していることである。言い換えると、断面視において、コイルL1bは、コイルL1aよりもダイパッドDPHの近くに位置し、また、コイルL2bは、コイルL2aよりもダイパッドDPHの近くに位置している。これにより、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。これについて、以下に説明する。
【0107】
トランスTR1,TR2においては、一次コイルと二次コイルとの間に、大きな電位差が発生する場合がある。逆に言えば、大きな電位差が発生する場合があるため、導体では繋がずに磁気結合させた一次コイルと二次コイルを信号の伝達に用いている。このため、半導体チップCPC内にトランスTR1,TR2を形成するにあたって、一次コイルと二次コイルとの間の絶縁耐圧をできるだけ高くしておくことが、半導体チップCPC,CPH,CPLを内蔵する半導体パッケージPKG、あるいはそれを用いた電子装置の信頼性を向上させる上で重要である。半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルとの間の絶縁耐圧を高くするためには、一次コイルと二次コイルとの間の層間絶縁膜の総厚さを大きくすることが有効である。
【0108】
しかしながら、半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルとの間に大きな電位差が発生する場合には、半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1とコイルとの間にも、大きな電位差が発生する懸念がある。
【0109】
図17は、本発明者が検討した第2検討例の半導体装置PKG201内の半導体チップCPC201,CPH,CPLを模式的に示す断面図であり、上記図13に相当するものである。図17に示される半導体チップCPC201は、半導体チップCPCに相当するものである。本実施の形態と同様に、図17(第2検討例)の場合も、半導体チップCPCに相当する半導体チップCPC201は、ダイパッドDPL上ではなく、ダイパッドDPH上に搭載されている。
【0110】
しかしながら、図17に示される半導体チップCPC201と本実施の形態の半導体チップCPCとでは、磁気的に結合されたコイルの上下関係が逆になっている。すなわち、図17に示される半導体チップCPC201の場合は、磁気的に結合されたコイルL1a,L1bのうち、コイルL1aがコイルL1bよりもダイパッドDPHの近くに位置し、かつ、磁気的に結合されたコイルL2a,L2bのうち、コイルL2aがコイルL2bよりもダイパッドDPHの近くに位置している。つまり、図17に示される半導体チップCPC201の場合は、コイルL1bの下方にコイルL1aが形成され、コイルL2bの下方にコイルL2aが形成されている。なお、図17では、コイルL2a,L2bは図示されていない。
【0111】
半導体チップCPC,CPC201において、一次コイルと二次コイルとの間の絶縁耐圧は、一次コイルと二次コイルとの間の層間絶縁膜を厚くすることにより確保することができる。一方、半導体チップCPC,CPC201において、一次コイルと二次コイルのうちの下側のコイルと半導体基板SB1との間の層間絶縁膜までも厚くしてしまうと、多層配線構造MW1全体の厚さが厚くなり、半導体チップCPC,CPC201の厚さの増大を招いてしまう。これは、封止部MR,MR101の厚さの増大につながり、半導体装置の厚さの増大を招くため、望ましくない。
【0112】
また、ワイヤボンディング工程で半導体チップCPCのパッドPC3,PC4と半導体チップCPHのパッドPH1,PH2との間と、半導体チップCPCのパッドPC1,PC2と半導体チップCPLのパッドPL1,PL2との間とを、ワイヤBWを介して的確に接続するためには、半導体チップCPC,CPH,CPLの各厚さが互いにほぼ同じであることが望ましい。このため、半導体チップCPCの厚さを厚くした場合には、それに応じて半導体チップCPHの厚さも厚くすることが望まれるが、半導体チップCPHの厚さを厚くすると、半導体チップCPHのパッドPH3とリードLDとをワイヤBWで接続しにくくなる。なぜなら、半導体チップCPHの厚さを厚くすることは、半導体チップCPHのパッドPH3とリードLDとを接続するワイヤBWが半導体チップCPHの上面端部に接触するリスクを高めるからである。この点でも、半導体チップCPH,CPCの厚さは、あまり厚くし過ぎないことが好ましい。
【0113】
一方、半導体チップCPCの厚さを薄くするために、半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1を薄くすることは、半導体チップCPC製造用の半導体ウエハを薄くすることにつながる。半導体ウエハの厚さを薄くすると、半導体ウエハの搬送時に半導体ウエハに欠けや割れが生じるリスクが高くなり、また、半導体ウエハの搬送自体も行いにくくなる。この点を考慮すると、半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1の厚さを薄くしすぎることも、得策ではない。
【0114】
このため、半導体チップCPCの厚さをある程度抑制しながら、半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルとの間の絶縁耐圧を十分に確保する(すなわち一次コイルと二次コイルとの間の層間絶縁膜の厚さを確保する)には、半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルのうち、下側のコイルと半導体基板SB1との間の層間絶縁膜の厚さを抑制することが有効である。
【0115】
なお、以下では、半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルのうち、下側(半導体基板SB1に近い側)のコイルを下側コイルと称し、上側(半導体基板SB1から遠い側)のコイルを上側コイルと称することとする。本実施の形態の半導体チップCPCの場合は、磁気的に結合されたコイルL1a,L1bのうち、コイルL1bが下側コイルで、コイルL1aが上側コイルであり、また、磁気的に結合されたコイルL2a,L2bのうち、コイルL2bが下側コイルで、コイルL2aが上側コイルである。一方、図17の第2検討例の半導体チップCPC201の場合は、コイルL1a,L1bのうち、コイルL1aが下側コイルで、コイルL1bが上側コイルであり、また、コイルL2a,L2bのうち、コイルL2aが下側コイルで、コイルL2bが上側コイルである。
【0116】
半導体チップCPCの下側コイルと半導体基板SB1との間の層間絶縁膜の厚さを抑制するには、半導体チップCPCの下側コイルと半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生しないようにすることが望ましい。半導体チップCPCの下側コイルと半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生しなければ、半導体チップCPCの下側コイルと半導体基板SB1との間の層間絶縁膜の厚さをある程度薄くしても、半導体チップCPCおよびそれを含む半導体装置PKGの信頼性は低下しないで済む。
【0117】
第2検討例の半導体チップCPC201(図17)の場合と、本実施の形態の半導体チップCPC(図13および図14)とを比較すると、下側コイルと半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生するリスクが高いのは、第2検討例の半導体チップCPC201(図17)の場合である。なぜなら、ワイヤBWを介して半導体チップCPHと電気的に接続されるコイルL1bと、接合材BDCを介してダイパッドDPH上に搭載された半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1には、高い電位(高電圧)が供給される懸念があるからである。なお、電源BT1から半導体装置PKGの外部の回路(例えば、図1に示すインバータ回路)に供給される電源電位(高電圧)V1がコイルL1bに供給されるまでの経路としては、例えば、リードLD(具体的には、リードLD1)、このリードLDと半導体チップCPHとを互いに、且つ、電気的に接続するワイヤBW、半導体チップCPH、および、この半導体チップCPHと半導体チップCPCとを互いに、且つ、電気的に接続するワイヤBWを経由するルートがある。他にも、リードLD(具体的には、リードLD1a,LD1b,LD1c)、このリードLDと繋がるダイパッドDPH、このダイパッドDPHと半導体チップCPHとを互いに、且つ、電気的に接続するワイヤBW、半導体チップCPH、および、この半導体チップCPHと半導体チップCPCとを互いに、且つ、電気的に接続するワイヤBWを経由するルートもある。一方、電源BT1から供給される電源電位(高電圧)V1が半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1に供給されるまでの経路としては、例えば、リードLD(具体的には、リードLD1a,LD1b,LD1c)、このリードLDと繋がるダイパッドDPH、および、半導体チップCPCとダイパッドDPHとの間に介在する接合材BDCを経由するルートがある。そして、上記懸念事項は、半導体チップCP201において、コイルL1b(上側コイル)とコイルL1a(下側コイル)との間に大きな電位差を発生させるだけでなく、コイルL1a(下側コイル)と半導体基板SB1との間に大きな電位差を発生させてしまう。このため、下側コイルと半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生することが懸念される半導体チップCP201では、下側コイルと半導体基板SB1との間の層間絶縁膜を厚くする必要がある。
【0118】
それに対して、本実施の形態の半導体チップCPCの場合は、半導体チップCPH内の回路とワイヤBWなどを介して電気的に接続されるコイルL1b,L2bは、半導体チップCPC内において上側コイルではなく下側コイルとして形成している。本実施の形態の場合も、ダイパッドDPH上に半導体チップCPCと半導体チップCPHを搭載したことで、半導体チップCPCのコイルL1b(下側コイル)と半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1のそれぞれに高い電位が供給される懸念がある。これは、半導体チップCPCにおいて、コイルL1b(下側コイル)とコイルL1a(上側コイル)との間に大きな電位差を発生させるが、コイルL1a(下側コイル)と半導体基板SB1との間には、大きな電位差は生じないで済む。従って、図17の半導体チップCPC201と図13の半導体チップCPC201とを比較すると、下側コイルと半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生するリスクが高いのは、図17の半導体チップCPC201ということになる。
【0119】
このため、下側コイルと半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生するリスクが低い本実施の形態の半導体チップCPCでは、下側コイル(ここではコイルL1b,L2b)と半導体基板SB1との間の層間絶縁膜の厚さを抑制することができる。従って、半導体チップCPCの厚さを抑制しながら、半導体チップCPC内に形成された一次コイルと二次コイルとの間の絶縁耐圧を十分に確保することができるようになる。
【0120】
このように、本実施の形態では、半導体チップCPLと半導体チップCPHとの間で信号を伝達するために利用するトランスを、半導体チップCPCに形成し、その半導体チップCPCを、半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPL上ではなく、半導体チップCPHを搭載するダイパッドDPH上に搭載している。これにより、発熱に伴う半導体チップCPHの温度上昇を抑制することができるとともに、半導体装置PKGの平面寸法(平面積)を抑制することができる。従って、半導体装置PKGの信頼性向上と小型化との両立を図ることができる。そして、半導体チップCPCを半導体チップCPHと一緒にダイパッドDPH上に搭載したことに伴い、半導体チップCPH内の回路(ここでは受信回路RX1、送信回路TX2)と電気的に接続されるコイルL1b,L2bを、半導体チップCPC内に下側コイルとして形成している。半導体チップCPL内の回路(ここでは送信回路TX1、受信回路RX2)と電気的に接続されるコイルL1a,L2aは、半導体チップCPC内に上側コイルとして形成している。これにより、半導体チップCPCの下側コイル(ここではコイルL1b,L2b)と半導体基板SB1との間に大きな電位差が発生するのを抑制または防止することができるため、半導体チップCPCおよびそれを含む半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。また、半導体チップCPCにおいて、下側コイル(ここではコイルL1b,L2b)と半導体基板SB1との間の層間絶縁膜の厚さを抑制することができるため、半導体チップCPCの厚さを抑制することができる。その結果、半導体装置PKGの厚さを抑制することができる。また、半導体チップCPCの厚さを抑制しながら、半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1の厚さを厚くすることができるため、半導体チップCPCを製造しやすくなる。
【0121】
また、図15および図16の第1検討例の半導体装置PKG101の場合は、半導体チップCP101は、その上に半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPL101上に搭載されている。このため、第1検討例の半導体装置PKG101の場合は、半導体チップCP101としては、本実施の形態の半導体チップCPC(図13図14)ではなく、第2検討例の半導体チップCP201(図17)を適用することが好ましい。なぜなら、第1検討例の半導体装置PKG101(図15図16)の場合は、ダイパッドDPL101から半導体チップCPC101を構成する半導体基板に供給される電位は、電源BT1から半導体装置PKGの外部の回路(例えば、図1に示すインバータ回路)に供給される電源電位(高電圧)V1ではなく、電源BT2から半導体装置PKGの外部の回路(例えば、図1に示す制御回路CC)に供給される電源電位(低電圧)V2となるからである。この電源電位(低電圧)V2は、リードLD(具体的には、ダイパッドDPL101と繋がるリードLD)、このリードLDと繋がるダイパッドDPL101、および、半導体チップCPCとダイパッドDPL101との間に介在する接合材BDCを介して、半導体チップCPC101を構成する半導体基板に供給され得る。このため、第1検討例の半導体装置PKG101(図15および図16)の場合は、半導体チップCP101において下側コイルと半導体基板との間で大きな電位差が生じないようにするには、半導体チップCP101内の下側コイルは、図17の半導体チップCPC201と同様に、半導体チップCPL内の回路と電気的に接続されたコイルL1a,L2aとする方が有利である。このため、第1検討例の半導体装置PKG101(図15および図16)と本実施の形態の半導体装置PKGとの違いは、半導体チップCPCを搭載するのを、ダイパッドDPLからダイパッドDPHに変更したことだけではなく、ダイパッドの変更に伴い、半導体チップCPC内の磁気的に結合されたコイルの上下を逆にしたことである。これは、ダイパッドDPH上に2つの半導体チップCPC,CPHを搭載すると、半導体チップCPCの各コイルL1b,L2bと半導体チップCPCを構成する半導体基板SB1のそれぞれに高い電位が供給される場合があるということに気づいたからこそ、成し得たものである。
【0122】
半導体チップCPHへ高い電位が供給される場合、その高い電位は、上記図1の電源電位V1に由来している。すなわち、半導体装置PKGのリードLD1は、電源電位V1が供給される回路(パワートランジスタTS1,TS2で構成される回路)に電気的に接続されるため、電源電位V1に由来した高い電位がリードLD1からワイヤBW(リードLD1と半導体チップCPHのパッドPH3とを電気的に接続するワイヤBW)を経由して半導体チップCPHに供給される可能性がある。それゆえ、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間の信号の伝達には、トランスTR1,TR2を介在させている。これにより、電源電位V1に由来した高い電位が半導体チップCPHに供給された場合でも、その高い電位が半導体チップCPLに供給されるのを防ぐことができる。電源電位V1に由来した高い電位が半導体チップCPHに供給される場合、その高い電位が半導体チップCPHに供給される経路としては、リードLD(具体的には、リードLD1a,LD1b,LD1c)、このリードLDと繋がるダイパッドDPH、および、このダイパッドDPHと半導体チップCPHのパッドPH4とを電気的に接続するワイヤBWを経由する経路もある。また、ダイパッドDPHから半導体チップCPCの半導体基板SB1に高い電位が供給される場合、その経路としては、半導体チップCPCとダイパッドDPHとの間に介在する接合材BDCがある。このため、本実施の形態は、接合材BDCとして、導電性の接合材を適用した場合に、その効果は極めて大きいものとなる。また、本実施の形態は、半導体チップCPHのパッドPH4とダイパッドDPHとの間をワイヤBWを介して電気的に接続している場合に、その効果は極めて大きいものとなる。
【0123】
また、本実施の形態では、ダイパッドDPH,DPL(の上面DPHa,DPLa)の高さ位置が、リードLDのインナリード部(の上面)の高さ位置よりも低くなるように、リードLD1a,LD1b,LD1c,LD2a,LD2bのインナリード部に折り曲げ箇所を設けている。図5および後述の図19では、リードLD1a,LD1b,LD1c,LD2a,LD2bのインナリード部の折り曲げ箇所を、ハッチングを付して示してある。リードLD1a,LD1b,LD1c,LD2a,LD2bのインナリード部の折り曲げ箇所は、半導体チップCPC,CPH,CPLのダイボンディング工程を行う前に、既に設けられている。
【0124】
断面視において、ダイパッドDPHの高さ位置を、リードLDのインナリード部の高さ位置よりも低くしたことで、半導体チップCPHのパッドPH3とリードLD1とを接続するワイヤBWが半導体チップCPHの上面端部に接触するリスクを低減することができる。また、断面視において、ダイパッドDPLの高さ位置を、リードLDのインナリード部の高さ位置よりも低くしたことで、半導体チップCPLのパッドPL3とリードLD2とを接続するワイヤBWが半導体チップCPLの上面端部に接触するリスクを低減することができる。また、リードLD1a,LD1b,LD1c,LD2a,LD2bのインナリード部に折り曲げ箇所を設けてダイパッドDPH,DPLの高さを低くした分、半導体チップCPC,CPH,CPLの厚さを厚くすることも可能である。これにより、半導体チップCPC,CPH,CPLを構成する半導体基板SB1,SB2,SB3の厚さを厚くすることが可能になるため、半導体チップCPC,CPH,CPLを製造しやすくなる。
【0125】
<変形例>
図18および図19は、本実施の形態の半導体装置PKGの変形例を示す平面透視図であり、それぞれ上記図3および図5に相当するものである。ここで、図18および図19に示される変形例の半導体装置PKGを、符号PKG1を付して半導体装置PKG1と称することとする。変形例の半導体装置PKG1が上記半導体装置PKG(図2図7)と相違する点について、以下に説明する。
【0126】
図18および図19に示される変形例の半導体装置PKG1は、上記支持部SG1,SG2を有しておらず、その代わりに支持部SG3,SG4、SG5、SG6を有している。
【0127】
支持部SG3は、リードLD1bの側面(Y方向に延在する部分の側面)に連結されており、X方向に延在して、封止部MRの側面MRc2に達している。支持部SG3は、封止部MRの側面MRc2からほとんど突出しておらず、支持部SG3の先端面(リードLD1bに連結された側とは反対側の端面)は封止部MRの側面MRc2から露出されている。
【0128】
支持部SG4は、リードLD2aの側面(Y方向に延在する部分の側面)に連結されており、X方向に延在して、封止部MRの側面MRc2に達している。支持部SG4は、封止部MRの側面MRc2からほとんど突出しておらず、支持部SG4の先端面(リードLD2aに連結された側とは反対側の端面)は封止部MRの側面MRc2から露出されている。
【0129】
支持部SG5は、リードLD2bの側面(Y方向に延在する部分の側面)に連結されており、X方向に延在して、封止部MRの側面MRc4に達している。支持部SG5は、封止部MRの側面MRc4からほとんど突出しておらず、支持部SG5の先端面(リードLD2bに連結された側とは反対側の端面)は封止部MRの側面MRc4から露出されている。
【0130】
支持部SG6は、リードLD1cの側面(Y方向に延在する部分の側面)に連結されており、X方向に延在して、封止部MRの側面MRc4に達している。支持部SG6は、封止部MRの側面MRc4からほとんど突出しておらず、支持部SG6の先端面(リードLD1cに連結された側とは反対側の端面)は封止部MRの側面MRc4から露出されている。
【0131】
ダイパッドDPHとリードLD1aとリードLD1bとリードLD1cと支持部SG3と支持部SG6とは、一体的に形成されている。また、ダイパッドDPLとリードLD2aとリードLD2bと支持部SG4と支持部SG5とは、一体的に形成されている。
【0132】
封止部MRの側面MRc2における支持部SG3の露出部は、封止部MRの角部KD1近傍に位置している。封止部MRの側面MRc2における支持部SG3の露出部から封止部MRの角部KD1までの距離(Y方向の距離)K1は、好ましくは1mm以下である。
【0133】
封止部MRの側面MRc2における支持部SG4の露出部は、封止部MRの角部KD2近傍に位置している。封止部MRの側面MRc2における支持部SG4の露出部から封止部MRの角部KD2までの距離(Y方向の距離)K2は、好ましくは1mm以下である。
【0134】
封止部MRの側面MRc4における支持部SG5の露出部は、封止部MRの角部KD3近傍に位置している。封止部MRの側面MRc4における支持部SG5の露出部から封止部MRの角部KD3までの距離(Y方向の距離)K3は、好ましくは1mm以下である。
【0135】
封止部MRの側面MRc4における支持部SG6の露出部は、封止部MRの角部KD4近傍に位置している。封止部MRの側面MRc4における支持部SG6の露出部から封止部MRの角部KD4までの距離(Y方向の距離)K4は、好ましくは1mm以下である。なお、封止部MRの角部KD1,KD2,KD3,KD4は、上記図2および後述の図21に記載されている。
【0136】
これ以外については、変形例の半導体装置PKGも上記図1図7の半導体装置PKGとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0137】
次に、変形例の半導体装置PKG1の製造工程について説明する。図20は、変形例の半導体装置PKG1を製造するのに使用するリードフレームLFの平面図であり、上記図8に相当するものである。
【0138】
まず、図20のリードフレームLFが上記図8のリードフレームLFと相違しているの点について、以下に説明する。なお、図20に示されるリードフレームLFを、変形例のリードフレームLFと称することとする。
【0139】
図20に示される変形例のリードフレームLFは、上記支持部SG1,SG2を有しておらず、その代わりに支持部SG3,SG4、SG5、SG6を有している。
【0140】
支持部SG3は、X方向に延在しており、一方の端部がリードLD1bの側面(Y方向に延在する部分の側面)に一体的に連結され、他方の端部が枠部LF2に一体的に連結されている。支持部SG4は、X方向に延在しており、一方の端部がリードLD2aの側面(Y方向に延在する部分の側面)に一体的に連結され、他方の端部が枠部LF2に一体的に連結されている。支持部SG5は、X方向に延在しており、一方の端部がリードLD2bの側面(Y方向に延在する部分の側面)に一体的に連結され、他方の端部が枠部LF4に一体的に連結されている。支持部SG6は、X方向に延在しており、一方の端部がリードLD1cの側面(Y方向に延在する部分の側面)に一体的に連結され、他方の端部が枠部LF4に一体的に連結されている。
【0141】
このため、変形例のリードフレームLFでは、ダイパッドDPHは、リードLD1a,LD1b,LD1cを介して枠部LF1に連結されるとともに、リードLD1bと支持部SG3とを介して枠部LF2に連結され、リードLD1cと支持部SG6とを介して枠部LF4に連結されている。このため、ダイパッドDPHは、リードLD1a,LD1b,LD1cおよび支持部SG3,SG6によって枠部LF1,LF2,LF4に支持される。また、変形例のリードフレームLFでは、ダイパッドDPLは、リードLD2a,LD2bを介して枠部LF3に連結されるとともに、リードLD2aと支持部SG4とを介して枠部LF2に連結され、リードLD2bと支持部SG5とを介して枠部LF4に連結されている。このため、ダイパッドDPLは、リードLD2a,LD2および支持部SG4,SG5によって枠部LF2,LF3,LF4に支持される。
【0142】
これ以外については、図20の変形例のリードフレームLFも上記8のリードフレームとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0143】
ダイボンディング工程とワイヤボンディング工程については、変形例の半導体装置PKG1を製造する場合も、上記半導体装置PKGを製造する場合とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0144】
図21は、変形例の半導体装置PKG1の製造工程中の平面図であり、モールド工程を行って封止部MRを形成した段階が示されている。
【0145】
モールド工程により、ダイパッドDPH,DPLと半導体チップCPC,CPH,CPLと複数のワイヤBWと複数のリードLDのインナリード部とを封止する封止部MRが形成される。
【0146】
封止部MRを形成すると、支持部SG3,SG4,SG5,SG6のそれぞれの一部も封止部MR内に封止される。具体的には、支持部SG3は、封止部MRの角部KD1近傍で封止部MR内に封止される部分と、封止部MRの側面MRc2から封止部MR外に突出して枠部LF2に連結される部分とを、一体的に有している。支持部SG4は、封止部MRの角部KD2近傍で封止部MR内に封止される部分と、封止部MRの側面MRc2から封止部MR外に突出して枠部LF2に連結される部分とを、一体的に有している。支持部SG5は、封止部MRの角部KD3近傍で封止部MR内に封止される部分と、封止部MRの側面MRc4から封止部MR外に突出して枠部LF4に連結される部分とを、一体的に有している。支持部SG6は、封止部MRの角部KD4近傍で封止部MR内に封止される部分と、封止部MRの側面MRc4から封止部MR外に突出して枠部LF4に連結される部分とを、一体的に有している。
【0147】
封止部MRは、側面MRc1側の複数のリードLD(LD1,LD1a,LD1b,LD1c)によって枠部LF1に支持され、側面MRc3側の複数のリードLD(LD2,LD2a,LD2b)によって枠部LF3に支持され、側面MRc2側の支持部SG3,SG4によって枠部LF2に支持され、側面MRc4側の支持部SG5,SG6によって枠部LF4に支持される。すなわち、封止部MRは、複数のリードLDおよび支持部SG3,SG4,SG5,SG6によって枠部LF1,LF2,LF3,LF4に安定的に支持される。
【0148】
モールド工程で封止部MRを形成した後、封止部MRから露出しているリードLDのアウタリード部に必要に応じてめっき層(図示せず)を形成する。その後、封止部MRの外部において、リードLDを所定の位置で切断して、リードフレームLFのフレーム枠(枠部LF1,LF3)から分離する。この際、封止部MRの側面MRc1側の複数のリードLD(LD1,LD1a,LD1b,LD1c)の切断工程と封止部MRの側面MRc3側の複数のリードLD(LD2,LD2a,LD2b)の切断工程とを任意の順序で行った後に、封止部MRから突出する部分の支持部SG3,SG4,SG5,SG6を切断する。これにより、封止部MRが支持部SG3,SG4,SG5,SG6によって枠部LF2,LF4に支持された状態でリードLDの切断工程を行うことができるため、リードLDを的確に切断することができる。
【0149】
その後、上記半導体装置PKGの製造工程と同様に、封止部MRから突出するリードLDのアウタリード部を折り曲げ加工(リード加工、リード成形)することにより、変形例の半導体装置PKG1が製造される。
【0150】
変形例の半導体装置PKG1を製造する場合は、リードフレームLFにおいて、ダイパッドDPHは、リードLD1a,LD1b,LD1cによって枠部LF1に支持されるだけでなく、リードLD1b,LD1cおよび支持部SG3,SG6によって枠部LF2,LF4に支持される。また、リードフレームLFにおいて、ダイパッドDPLは、リードLD2a,LD2bによって枠部LF3に支持されるだけでなく、リードLD2a,LD2bおよび支持部SG4,SG5によって枠部LF2,LF4に支持される。このため、ダイパッドDPH,DPLをリードフレームLFのフレーム枠に安定して支持することができるため、ダイボンディング工程、ワイヤボンディング工程およびモールド工程を行いやすくなる。また、封止部MRが支持部SG3,SG4,SG5,SG6によって枠部LF2,LF4に支持された状態でリードLDの切断工程を行うことができるため、リードLDを的確に切断することができる。
【0151】
また、変形例の半導体装置PKG1では、支持部SG3,SG4は封止部MRの側面MRc2で露出しているが、封止部MRの側面MRc2において、支持部SG3の露出部は封止部MRの角部KD1近傍に位置し、支持部SG4の露出部は封止部MRの角部KD2近傍に位置している(図18図19図21参照)。また、支持部SG5,SG6は封止部MRの側面MRc4で露出しているが、封止部MRの側面MRc4において、支持部SG5の露出部は封止部MRの角部KD3近傍に位置し、支持部SG6の露出部は封止部MRの角部KD4近傍に位置している(図18図19図21参照)。これにより、封止部MRからの支持部SG3の露出部と支持部SG4の露出部との間の沿面距離(封止部MRの表面に沿った距離)を大きくすることができ、また、封止部MRからの支持部SG5の露出部と支持部SG6の露出部との間の沿面距離を大きくすることができる。従って、半導体装置PKG1の信頼性をより向上させることができる。
【0152】
但し、封止部MRの側面MRc1では、支持部SG3,SG6は露出していないことがより好ましく、また、封止部MRの側面MRc3では、支持部SG4,SG5は露出していないことがより好ましい。すなわち、支持部SG3,SG4,SG5,SG6の側面は、封止部MRで覆われていることが好ましい。これにより、支持部SG3,SG4,SG5,SG6に起因して封止部MRにクラックが発生するのを、より的確に抑制または防止することができる。
【0153】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0154】
BDC,BDH,BDL 接合材
BT1,BT2 電源
BW ワイヤ
CC 制御回路
CPC,CPC101,CP201,CPH,CPL 半導体チップ
DPH,DPH101,DPL,DPL101 ダイパッド
DPHa,DPLa 上面
DPHb,DPLb 下面
DPHc1,DPHc2,DPHc3,DPHc4,DPLc1,DPLc2,DPLc3,DPLc4 側面
DR 駆動回路
KD1,KD2,KD3,KD4 角部
LD,LD1,LD1a,LD1b,LD1c,LD2,LD2a,LD2b リード
LOD 負荷
MR 封止部
MRa 上面
MRb 下面
MRc1,MRc2,MRc3,MRc4 側面
MW1,MW2,MW3 多層配線構造
PA,PA2,PA3 保護膜
PC1,PC2,PC3,PC4,PH1,PH2,PH3,PH4,PL1,PL2,PL3,PL4 パッド
PKG,PKG101 半導体装置
RX1,RX2 受信回路
SB1,SB2,SB3 半導体基板
SG1,SG2,SG3,SG4,SG5,SG6 支持部
TS1,TS2 パワートランジスタ
TX1,TX2 送信回路
WR1,WR2 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21