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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181603
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】転写捺染用紙
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/52 20060101AFI20231218BHJP
   D21H 19/40 20060101ALI20231218BHJP
   D21H 17/67 20060101ALI20231218BHJP
   D21H 19/52 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B41M5/52 110
D21H19/40
D21H17/67
D21H19/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094817
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳
(72)【発明者】
【氏名】浦崎 淳
【テーマコード(参考)】
2H186
4L055
【Fターム(参考)】
2H186BA11
2H186BA12
2H186BA13
2H186BB42X
2H186BB43X
2H186BB52X
2H186BC24X
2H186BC43X
2H186BC76X
2H186DA12
2H186DA19
4L055AA03
4L055AA04
4L055AC06
4L055AG08
4L055AG12
4L055AG27
4L055AG40
4L055AG46
4L055AG48
4L055AG71
4L055AH01
4L055AH02
4L055AH09
4L055AH11
4L055AH33
4L055AH37
4L055AJ04
4L055BE08
4L055CD01
4L055CF36
4L055CF41
4L055CH02
4L055CH13
4L055FA11
4L055GA09
4L055GA50
(57)【要約】
【課題】耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性を有する転写捺染用紙を提供する。
【解決手段】課題は、紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する転写捺染用紙によって達成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する転写捺染用紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料等の被印刷物へ図柄を形成する昇華型捺染インク等の捺染インクを用いる転写捺染法において、図柄を転写するために使用する転写捺染用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
転写捺染法に使用する転写捺染用紙は、既に存在する。例えば、基材上に昇華型捺染インク受容層が形成されてなり、前記昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子Aと微細粒子Bとを含有したインク受容層塗料からなり、前記微細粒子Aは、平板結晶構造を有する無機微粒子であって、0.4μm以上2.3μm以下の範囲にメジアン径d50を有し及びアスペクト比が5以上であり、前記微細粒子Bは、シリカ粒子であり、前記微細粒子Aと前記微細粒子Bとの割合(微細粒子A/微細粒子B)は、質量比で、15/85~90/10であり、前記水溶性樹脂はカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、前記インク受容層塗料中、前記カルボキシメチルセルロースナトリウムが前記微細粒子A及びBの合計100質量部に対して10質量部以上80質量部以下の割合で含有されており、前記インク受容層塗料の塗工量(乾燥)は3g/m以上13g/m以下であり、JIS P8117:2009に準拠した透気度測定法による透気度が100秒以上10000秒以下であることを特徴とする、昇華型インクジェット転写捺染用紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されるが如くの昇華型インクジェット転写捺染用紙では、転写捺染時におけるインクの裏抜けを抑制でき、シート形状で使用した場合にもシワが入り難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-030342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙基材及び捺染インク受容層の様な塗工層を有する従来の転写捺染用紙では、インクジェット印刷時における捺染インクの吸収性及び表面乾燥性を重視するあまりに、捺染インクが塗工層を通過して紙基材にまで達し得る。この結果、被印刷物への転写捺染の際に、捺染インクが被印刷物側と異なる転写捺染紙の裏側に抜けて、すなわち裏抜けによって、転写用装置内部を汚染する問題があった。
上記特許文献1では、特許文献1に記載の効果が顕著に現れる基材として、転写捺染紙の裏面からの加熱によって捺染インクが昇華し易い多孔質の材料とあり、具体的には木材パルプを主成分とする紙、不織布及び布帛等を例示する。また、上記特許文献1に記載されるが如くの転写捺染用紙は、裏抜けに対して、塗工層のシリカ粒子で捺染インクの吸収性を得て、平板結晶構造を有する無機微細粒子で塗工層中に捺染インクに対するバリヤー層を形成して基材への捺染インクの浸透を抑制する技術思想である。
しかしながら、例えば、上記のシリカ粒子が細孔容積の多い多孔性合成非晶質シリカ粒子であると、転写捺染用紙における吸収性及び画像の鮮明さに有利であるものの、捺染インクがシリカ粒子の細孔内に吸着するため被印刷物への転写に不具合を生じる場合がある。不具合は、例えば、捺染インクが前記吸着等によって塗工層からの転写に差が生じるために、被印刷物における画像の色濃度ムラを挙げることができる。また、多孔質の材料を基材として及び該基材に対してバリヤー層を含む塗工層を有する上記特許文献1に記載されるが如くの転写捺染用紙は、裏面からの熱の伝わり方によって、斑点カブリを発生する場合がある。転写捺染時では、捺染インクが、転写捺染紙と被印刷物との接面に対して垂直方向に移動する。ところが、一部の捺染インクが、前記垂直方向ではなく、斜め方向に移動する場合がある。斜め方向に移動した捺染インクは、本来存在しない箇所に斑点を生じる。この現象が斑点カブリであり、転写捺染法の特有の課題である。
【0005】
上記を鑑みて本発明の目的は、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性を有する転写捺染用紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、本発明の目的は、以下により達成される。
【0007】
[1]紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する転写捺染用紙。
【0008】
また、いくつかの実施態様において、本発明の目的は以下により達成される。
[2]紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有し、1層又は2層以上の前記塗工層の総厚さが4μm以上17μm以下である転写捺染用紙。
[3]上記紙基材の厚さが、60μm以上110μm以下である上記[2]に記載の転写捺染用紙。
【0009】
また、いくつかの実施態様において、本発明の目的は以下により達成される。
[4]紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記紙基材がカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有し、紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有し、前記平板状無機微粒子がカオリンである転写捺染用紙。
[5]上記1層又は2層以上の塗工層の総厚さが4μm以上17μm以下である上記[4]に記載の転写捺染用紙。
[6]上記紙基材の厚さが60μm以上110μm以下である上記[4]又は[5]に記載の転写捺染用紙。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性を有する転写捺染用紙を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「転写捺染用紙」とは、転写する図柄が印刷される前の白紙状態にある用紙を指す。「転写捺染紙」とは、転写捺染用紙に対して転写する図柄が印刷された状態にある用紙を指す。
【0012】
転写捺染用紙は、紙基材と、前記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層とを有する。
【0013】
紙基材は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)等の化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)等の機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)等の古紙パルプから選ばれる一種又は二種以上のパルプを分散したスラリーに、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ及び各種カオリン等から選ばれる填料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤、紙力剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤並びに耐水化剤等の各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造して得られる抄造紙から成る。さらに紙基材には、前記抄造紙にカレンダー処理を施したカレンダー処理紙、澱粉、ポリビニルアルコール及びスチレンアクリル系樹脂等の表面サイズ剤で表面処理を施した普通紙、並びにカレンダー処理及び表面処理を施した普通紙が含まれる。
【0014】
抄造は、紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、従来公知の抄紙機を用いて行われる。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、及びヤンキー抄紙機等を挙げることができる。
カレンダー処理は、従来公知のカレンダー処理装置を用いて行われる。カレンダー処理装置の例としては、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、及びマルチニップカレンダー等を挙げることができる。
表面処理は、例えば、浸漬装置、噴霧装置、サイズプレス装置、カーテンコーター及びブレードコーター等の塗工装置、並びにグラビア印刷及びインクジェット印刷等の印刷装置を用いて行われる。
【0015】
紙基材は、カルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有する。
転写捺染用紙は、紙基材がカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを含有し、紙基材中のカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムと下記する最外塗工層との相乗効果によって耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性を得ることができる。カルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムによってもたらされる理由は不明である。本発明者らは、カルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムの属性によると考える。
【0016】
炭酸カルシウムには、天然由来の石灰石を粉砕した重質炭酸カルシウムと人工的に合成した軽質炭酸カルシウムとに大別できる。さらに、軽質炭酸カルシウムには、結晶構造の違いによって発現する性質が異なるカルサイト、アラゴナイト及びバテライトが存在する。例えば、室温で塩基性の水溶液から炭酸カルシウムを析出させるとカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムを、高温で析出させるとアラゴナイト型結晶の炭酸カルシウムを、及び中性付近の水溶液から析出するとバテライト型結晶の炭酸カルシウムを得ることができる。そして、軽質炭酸カルシウムは、樹脂繊維系材料のフィラーとして複合化することで耐熱性及び強度等の機能強化並びに形態制御に作用効果がある。さらに、カルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムは、カルサイト型結晶以外の軽質炭酸カルシウムに比べて、疎水性面に対する接着性に優れる属性を有し及び吸熱反応による結晶転移を有しない。また、炭酸カルシウム等の鉱物類は、熱伝導性が低い材料であるパルプの約15倍の熱伝導性を有する。本発明者らは、カルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムのこれら属性によって上記効果を発現すると推察する。
【0017】
いくつかの実施態様において、紙基材中におけるカルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウムの含有量は、紙基材中のパルプ1000質量部に対して30質量部以上180質量部以下である。この理由は、転写捺染用紙の耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び/又は耐斑点カブリ性が良化するからである。
【0018】
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、紙基材の厚さが60μm以上110μm以下である。この理由は、転写捺染用紙の耐裏抜け性又は耐色濃度ムラ性を悪化させること無く、転写捺染用紙の耐斑点カブリ性が良化するからである。紙基材の厚さは、転写捺染用紙において測定される値である。
紙基材の厚さは、抄紙工程のワイヤーパートに供給する紙料の濃度及び供給量、抄紙工程のプレスパートの条件、並びにカレンダー処理条件等によって調整することができる。
【0019】
転写捺染用紙は、上記紙基材の少なくとも片面に対して1層又は2層以上の塗工層を有し、上記紙基材を基準として最外に位置する最外塗工層が平板状無機微粒子及びカルボキシメチルセルロースを含有する。
【0020】
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は最外塗工層を含め塗工層が1層である。この理由は、転写捺染用紙の製造コストが有利になるからである。また、いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、最外塗工層を含め塗工層が紙基材の両面に有する。この理由は、表裏に関係なく使用できるために取り扱い性に優れるからである。また、いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、本発明に係る最外塗工層が紙基材の片面にのみ有する場合、例えば紙のカールを防止する目的又は捺染インクの裏抜けをより抑制する目的で、本発明に係る最外塗工層を有しない側の紙基材に対して従来公知のバックコート層を有する。
【0021】
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は最外塗工層を含め塗工層が2層以上である。紙基材と最外塗工層との間に位置する塗工層は、塗工紙分野で従来公知の樹脂を含有する層又は従来公知の顔料及びバインダーを含有する層であって、特に限定されない。少なくとも一つの実施態様において、転写捺染用紙は最外塗工層を含め塗工層が2層であり、紙基材と最外塗工層との間に位置する塗工層が紙基材の目止め効果を有する目止め層である。
【0022】
平板状無機微粒子は、カオリン及び平板状のクレー等の塗工紙分野で従来公知である平板状の無機顔料である。いくつかの実施態様において、平板状無機微粒子は、アスペクト比が5以上及びメジアン径D50が5μm以下である。少なくとも一つの実施態様において、平板状無機微粒子は、アスペクト比が5以上及びメジアン径D50が0.4μm以上3μm以下である。これらの理由は、転写捺染用紙の耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び/又は耐斑点カブリ性が良化するからである。メジアン径は、微粒子の試料をメタノール溶液に添加して超音波分散器で3分間分散させた分散液について、コールターカウンター法の粒度分布測定器によって50μmのアパチャーを用いて測定した体積基準の平均粒子径から得られる粒度分布から求められる値である。
【0023】
平板状無機微粒子は、例えば、フィロケイ酸塩化合物を挙げることができる。フィロケイ酸塩化合物の例としては、一級カオリン、デラミネーティッドカオリン及び焼成カオリン等のカオリン、平板状のクレー、平板状のタルク、雲母族、脆雲母族、パイロフィライト、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、並びにモンモリロナイト等を挙げることができる。雲母族の例としては、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト及びブリトル雲母等を挙げることができる。
また、平板状無機微粒子は、例えば、膨潤性無機層状化合物を挙げることができる。膨潤性無機層状化合物の例としては、グラファイト、リン酸ジルコニウム系化合物等、カルコゲニド、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物、合成マイカ及び合成スメクタイト等を挙げることができる。
【0024】
いくつかの実施態様において、平板状無機微粒子は一級カオリン、デラミネーティッドカオリン及び焼成カオリン等のカオリンである。この理由は、転写捺染用紙の耐裏抜け性及び/又は耐色濃度ムラ性が良化するからである。カオリンは、通常、平面部とエッジ部とで異なる電荷を帯びる。カオリンは、電荷を帯びるために他の無機微粒子に比べて、塗工層中において平板状無機微粒子のエッジ部分どうしが密着して配列しない。本発明者らは、このためにカオリンが、平板状無機微粒子から成る密な配列を形成しないために耐裏抜け性を有しつつ、耐色濃度ムラ性及び/又は耐カブリ性を良化すると考える。
カオリンは、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト等の天然に産出されたカオリン原鉱を、工業的に精製及び加工したものであって、粉砕、洗浄、除鉄、及び分級等の工程を経て製造されるものである。また、カオリンには、アスペクト比を向上させるためにせん断力をかけて薄板状としたデラミネーティッドカオリン、粒度分布がシャープになるよう調整したエンジニアードカオリン、凝集性を高めた焼成カオリンといった加工性の高いものも含まれる。
【0025】
最外塗工層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、平板状無機微粒子に加えて従来公知の無機顔料及び/又は有機顔料を含有することができる。無機顔料は、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、非平板状のタルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物(擬ベーマイト等)、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。有機顔料は、例えば、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂及びメラミン樹脂等を挙げることができる。
【0026】
カルボキシメチルセルロースは、最外塗工層において平板状無機微粒子と併用して、転写捺染用紙の耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性を発現することができる。
カルボキシメチルセルロースの分子量及びエーテル化度は、これら発現に影響を与える場合があり、所定の重合度及びエーテル化度に最適化することが好ましい。
【0027】
カルボキシメチルセルロースは、セルロースエーテルの一種であり、従来公知のものであって特に限定されない。カルボキシメチルセルロースにはカリウム及びナトリウム等のアルカリ金属塩が含まれる。カルボキシメチルセルロースは、例えば、パルプを原料としてモノクロル酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを反応させて得ることができる(直接法)。また、直接法以外にアルセル法及び溶媒法によって得ることができる。カルボキシメチルセルロースは、使用するパルプの性状及び製造方法により様々な分子量又は重合度のものが製造可能である。一般的に、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩として工業的に生産及び販売される。市販のカルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースカリウム又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである場合が多い。慣用的には、カリウム又はナトリウムの記載は省略する。少なくとも一つの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。この理由は、カルボキシメチルセルロースナトリウムが商業的に入手し易いからである。カルボキシメチルセルロースは、例えば、シグマアルドリッチ社、ダイセルミライズ社、第一工業製薬社、CPKelco社、日本製紙社、三晶社及びAshland社等から市販される。
【0028】
いくつかの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、重量平均分子量が6500以上40000以下である。この理由は、カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量が6500以上40000以下であると、最外塗工層を得るための最外塗工層塗工液の粘度が適当であって皮膜性に優れた最外塗工層を得ることができ、結果、耐斑点カブリ性が良化するからである。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により得られるポリエチレングリコール換算の値である。
また、いくつかの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、エーテル化度が0.6以上1.27以下である。この理由は、最外塗工層の被印刷物に対する密着性を良化することができ、結果、耐斑点カブリ性が良化するからである。エーテル化度は、セルロースを構成するグルコース環上にある3つの水酸基のうちカルボキシメチル基で置換された水酸基の数(平均値)を指す。
少なくとも一つの実施態様において、カルボキシメチルセルロースは、重量平均分子量が6500以上40000以下及びエーテル化度が0.6以上1.27以下である。
【0029】
いくつかの実施態様において、最外塗工層におけるカルボキシメチルセルロースの含有量は、最外塗工層中の平板状無機微粒子を含め無機顔料100質量部に対して10質量部以上80質量部以下である。この理由は、最外塗工層の皮膜性及び空隙性に影響して、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び/又は耐斑点カブリ性が良化するからである。
【0030】
最外塗工層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、カルボキシメチルセルロース以外に従来公知のバインダーを含有することができる。従来公知のバインダーは、例えば、各種ケン化度及び重合度のポリビニルアルコール及び各種変性ポリビニルアルコール、澱粉、加工澱粉及び変性澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロースを除くヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム及びアルブミン等の天然由来の樹脂又はその誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、アクリレートブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合系樹脂並びにこれらの各種共重合系樹脂のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール、並びにアルキッド系樹脂等を挙げることができる。
【0031】
最外塗工層は、必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、分散剤、定着剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤及び防バイ剤等を挙げることができる。
また、最外塗工層は、転写捺染法で従来公知の各種助剤を含有することができる。助剤は、塗工層塗工液の各種物性を最適化する、又は昇華型捺染インク等の捺染インクが含む色材の染着性を向上させるため等の目的で使用する材料である。助剤は、例えば、各種界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、pH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、脱気剤及び還元防止剤等を挙げることができる。
【0032】
最外塗工層を含む塗工層は、上記紙基材又は塗工層に対して、従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工層塗工液又は最外塗工層塗工液を塗工及び乾燥する方法によって得ることができる。従来公知の塗工装置の例としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。従来公知の乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
塗工層塗工液又は最外塗工層塗工液を塗工及び乾燥後に、各塗工層には、カレンダー処理を施すことができる。
【0033】
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、紙基材の片面において、最外塗工層を含めて1層又は2層以上である塗工層の総厚さが4μm以上17μm以下である。この理由は、転写捺染用紙の耐斑点カブリ性を悪化させること無く、転写捺染用紙の耐裏抜け性及び/又は耐色濃度ムラ性が良化するからである。捺染インクは、塗工層の厚さが減ると紙基材に到達し易くなる。捺染インクは、塗工層の厚さが増すと転写距離が長くなる。塗工層の厚さは、転写捺染用紙において測定される値である。
塗工層の総厚さは、塗工量及び/又はカレンダー処理によって調整することができる。
【0034】
いくつかの実施態様において、転写捺染用紙は、紙基材の片面において、最外塗工層を含む塗工層の総塗工量が乾燥固形分で4g/m以上18g/m以下である。この理由は、最外塗工層が被印刷物に対する密着性が良化するからである。
【0035】
紙基材及び塗工層の厚さは、転写捺染用紙の任意の10点箇所における電子顕微鏡を用いた拡大断面画像から測定した数値の平均値を求め、平均値から小数点以下を四捨五入した値である。
【0036】
転写捺染紙は、転写捺染用紙の最外塗工層を有する面側に、捺染インクを備える従来公知の各種印刷方式を用いて図柄を印刷することによって得ることができる。転写捺染用紙に図柄を印刷する各種印刷方式は特に限定されない。印刷方式は、例えば、グラビア印刷方式、インクジェット印刷方式、電子写真印刷方式及びスクリーン印刷方式等を挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、転写捺染用紙に図柄を印刷する印刷方式はインクジェット印刷方式である。少なくとも一つの実施態様において、転写捺染法の捺染インクは昇華型捺染インクである。
【0037】
転写捺染法は、転写捺染用紙に図柄を印刷して転写捺染紙を得る工程と、転写捺染紙の図柄を印刷した面と被印刷物とを対向して密着させる工程と、転写捺染紙を被印刷物から剥離する工程とを有する方法である。密着させる工程には、必要に応じて、加熱又は加熱加圧が含まれる。密着させる工程における加熱及び加圧のそれぞれの条件は、転写捺染法で従来公知の条件である。密着させる工程は、例えば、プレス機、加熱ロール又は加熱ドラム等により転写捺染紙を被印刷物に密着させ加熱又は加熱加圧する方法を挙げることができる。
【0038】
被印刷物は、繊維材料であって、特に限定されない。繊維材料は、天然繊維材料及び合成繊維材料のいずれでも構わない。天然繊維材料は、例えば、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料等を挙げることができる。合成繊維材料は、例えば、ポリアミド繊維(ナイロン)、ビニロン、ポリエスエル、ポリアクリル等を挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、昇華型捺染インクを用いる場合、好適な繊維材料はポリエステルである。また、必要に応じて、染着促進に効果のある薬剤等で被印刷物を前処理してよい。
【実施例0039】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
【0040】
(紙基材)
CSF濾水度420mlのLBKP700質量部及びCSF濾水度480mlのNBKP300質量部を水に分散したパルプスラリーに、填料として無機顔料70質量部、カチオン化澱粉10質量部、硫酸アルミニウム9質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤1質量部を添加した紙料を用いて、長網抄紙機で抄造して抄造紙を得た。得た抄造紙の両面に対してサイズプレスを用いて、酸化澱粉を片面あたりの塗工量が1g/mになるように塗工して、さらにマシンカレンダー処理を施して紙基材を作製した。
紙基材の厚さは、長網抄紙機の抄紙工程のワイヤーパートに供給する紙料の濃度及び供給量、長網抄紙機の抄紙工程のプレスパートの条件、並びにカレンダー処理条件によって調整した。最終的な転写捺染用紙における紙基材の厚さは表1に記載する。
【0041】
使用した無機微粒子は、以下である。
無機顔料A:カルサイト型結晶の軽質炭酸カルシウム
無機顔料B:アラゴナイト型結晶の軽質炭酸カルシウム
無機顔料C:不定形の重質炭酸カルシウム
無機顔料D:タルク
【0042】
(最外塗工層)
最外塗工層を形成するための最外塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
無機微粒子 種類は表1に記載/100質量部
分散剤(ポリアクリル酸塩系) 0.8質量部
バインダー 種類は表1に記載/50質量部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度30質量%に調整した。
【0043】
使用した無機微粒子は以下である。
無機微粒子A:カオリン(平板状、アスペクト比=33、D50=0.2μm)
無機微粒子B:カオリン(平板状、アスペクト比=12、D50=0.4μm)
無機微粒子C:カオリン(平板状、アスペクト比= 8、D50=1.8μm)
無機微粒子D:カオリン(平板状、アスペクト比=10、D50=3.0μm)
無機微粒子E:カオリン(平板状、アスペクト比=13、D50=4.6μm)
無機微粒子F:クレー(平板状、アスペクト比=5、D50=0.7μm)
無機微粒子G:シリカ(球状、D50=1.9μm)
無機微粒子H:軽質炭酸カルシウム(柱状、D50=1.5μm)
【0044】
使用したバインダーは以下である。CMCはカルボキシメチルセルロースを指す。
バインダーA:CMC(重量平均分子量2500、エーテル化度0.65)
バインダーB:CMC(重量平均分子量6500、エーテル化度0.6)
バインダーC:CMC(重量平均分子量13000、エーテル化度0.8)
バインダーD:CMC(重量平均分子量40000、エーテル化度1.27)
バインダーE:CMC(重量平均分子量68000、エーテル化度1.2)
バインダーF:CMC(重量平均分子量38000、エーテル化度0.55)
バインダーG:CMC(重量平均分子量5200、エーテル化度1.32)
バインダーH:α-グルコースの重合体(重量平均分子量4000)
【0045】
(転写捺染用紙)
最外塗工層塗工液を、紙基材の片面上に対して所定の塗工量になるようにエアナイフコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、条件を調整しながらスーパーカレンダー処理を施して転写捺染用紙を得た。最外塗工層を含む塗工層の総厚さは、塗工量及びカレンダー処理条件によって調整した。塗工層の総厚さは表1に記載する。
【0046】
(転写捺染紙)
転写捺染用紙に、昇華型捺染インクを使用したインクジェットプリンター(JV2-130II、ミマキエンジニアリング社製)を用いて、昇華型捺染インク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)による評価用図柄を印刷し、転写捺染紙(ロール紙)を得た。
【0047】
(捺染)
評価図柄を印刷した転写捺染紙(ロール紙)を所定の大きさに断裁し、シート状の評価図柄を有する転写捺染紙を準備した。評価画像が印刷された前記転写捺染紙と被印刷物(ポリエステル布)とを重ね合わせ、熱転写用プレス機(HARIRON社、マークプレスPREX-CL)を用い、200℃、60秒間加熱加圧し、被印刷物を捺染した。
【0048】
(耐裏抜け性)
上記熱転写用プレス機を用いた転写捺染において、転写捺染紙の裏側から捺染インクが抜けることに起因する熱転写用プレス機の汚れ程度を観察した。観察結果から耐裏抜け性を下記の基準で評価した。本発明において、転写捺染用紙は、評価がA、B又はCであれば耐裏抜け性を有するものとする。
A:汚れがほとんど認められず、良好である。
B:汚れが僅かに認められるが、概ね良好である。
C:汚れが認められるが、実用的に問題にならない。
D:汚れが認められ、実用上問題になる。
【0049】
(耐色濃度ムラ性)
裁断した50枚の図柄を印刷して転写捺染紙を使用して上記熱転写用プレス機を用いた転写捺染を行い、50枚の図柄が形成された被印刷物を作製した。得られた被印刷物について、色濃度ムラの発生程度を観察した。観察結果から耐色濃度ムラ性を下記の基準により評価した。
X:色濃度ムラがほとんど認められず、形成された図柄は良好である。
Y:色濃度ムラが僅かに認められるが、形成された図柄は実用上問題無い。
Z:色濃度ムラが認められ、形成された図柄は実用上問題になる。
評価した結果から、X乃至Zに該当する被印刷物の件数を求め、下記の基準により判定した。本発明において、転写捺染用紙は、評価がA、B又はCであれば耐色濃度ムラ性を有するものとする。
A:Zの件数が2件未満であり、且つXの件数が30件以上である。
B:Zの件数が2件未満であり、且つXの件数が30件未満である。
C:Zの件数が2件以上6件未満である。
D:Zの件数が6件以上である。
【0050】
(耐斑点カブリ性)
転写後に転写捺染紙を剥離した被印刷物において、被印刷物の図柄を形成した領域について斑点の有無を肉眼及びルーペ(3.5倍)で観察した。観察結果から、耐斑点カブリ性を下記の基準で評価した。本発明において、転写捺染用紙は、評価がA、B又はCであれば耐斑点カブリ性を有するものとする。
A:ルーペによる観察で斑点が認められず、良好なレベル。
B:ルーペによる観察で斑点が極僅かに認められるものの、
肉眼による観察で斑点汚れが認められず、概ね良好なレベル。
C:ルーペによる観察で斑点が僅かに認められるものの、
肉眼による観察で不具合になる程の斑点が認められず、許容レベル。
D:肉眼による観察で不具合になる斑点が認められ、実用不可レベル。
【0051】
各評価結果を表1に記載する。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の評価結果から、本発明に該当する実施例1~20は、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性を有する転写捺染用紙であると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1~6は、本発明に係る効果の少なくとも一つを満足できない転写捺染用紙であると分かる。
【0054】
主に、実施例1及び実施例17~20の間の対比から、転写捺染用紙は、塗工層の総厚さが4μm以上17μm以下であると、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性のいずれかが良化すると分かる。
【0055】
主に、実施例1及び実施例13~16の間の対比から、転写捺染用紙は、紙基材の厚さが60μm以上110μm以下であると、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性のいずれかが良化すると分かる。
【0056】
主に、実施例1、実施例3、4及び6の間の対比から、転写捺染用紙は、最外塗工層の平板状無機微粒子がカオリンであると、耐裏抜け性又は耐色濃度ムラ性が良化すると分かる。
【0057】
主に、実施例1~5の間の対比から、転写捺染用紙は、最外塗工層の平板状無機微粒子がカオリンであってアスペクト比が5以上及びメジアン径D50が0.4μm以上3μm以下であると、耐裏抜け性、耐色濃度ムラ性及び耐斑点カブリ性のいずれかが良化すると分かる。
【0058】
主に、実施例1及び実施例7~12の間の対比から、転写捺染用紙は、最外塗工層のカルボキシメチルセルロースが重量平均分子量6500以上40000以下及びエーテル化度0.6以上1.27以下であると、耐斑点カブリ性が良化すると分かる。