(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181616
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ブラジャー
(51)【国際特許分類】
A41C 3/00 20060101AFI20231218BHJP
A41C 3/12 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A41C3/00 Z
A41C3/00 A
A41C3/12 A
A41C3/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094847
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】500511350
【氏名又は名称】株式会社白鳩
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】田邉 隆
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA17
3B131AB03
3B131AB06
3B131AB07
3B131BA34
3B131BB01
3B131BB11
3B131BB38
(57)【要約】
【課題】より立体的なすっきりとした胸に見える視覚効果が得られるブラジャーを提供する。
【解決手段】ブラジャーは、カップ部11と、カップ部11を繋ぐアンダー部12と、カップ部11の左右に設けられたサイド部13と、カップ部11とサイド部13とを繋ぐ肩紐14と、カップ部11における着用者のバストトップに対応するカップ頂点の脇側及び下方側の領域である脇下領域の表側に配設された、カップ部11の表側の生地より明度の低いネット状の素材である中間層15と、カップ部11及び中間層15の表側にカップ部11を覆うように配設された、カップ部11の表側の生地より明度の低いネット状の素材であり、模様を有する表面層16とを備え、アンダー部12、サイド部13、肩紐14は、カップ部11が中間層15及び表面層16で覆われた領域より明度の低い素材で構成されている。
【選択図】
図9D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のカップ部と、
前記一対のカップ部の下方側に設けられ、両カップ部を繋ぐアンダー部と、
前記一対のカップ部の左右に設けられた一対のサイド部と、
前記一対のカップ部と前記一対のサイド部とを繋ぐ一対の肩紐と、
前記カップ部における着用者のバストトップに対応するカップ頂点の脇側及び下方側の領域である脇下領域の表側に配設された、前記カップ部の表側の生地より明度の低いネット状の素材である中間層と、
前記カップ部及び前記中間層の表側に前記カップ部を覆うように配設された、前記カップ部の表側の生地より明度の低いネット状の素材であり、模様を有する表面層と、を備え、
前記アンダー部、前記サイド部、及び前記肩紐は、前記カップ部が前記中間層及び前記表面層で覆われた領域より明度の低い素材によって構成されている、ブラジャー。
【請求項2】
前記表面層の模様は、刺繍及びレース柄の少なくとも一方である、請求項1記載のブラジャー。
【請求項3】
前記表面層の模様は、前記カップ部のうち、前記中間層によって覆われていない領域に少なくとも存在する、請求項2記載のブラジャー。
【請求項4】
前記中間層のカップ頂点側の辺は、カップ頂点から脇下領域に向かって凸となるように湾曲している、請求項3記載のブラジャー。
【請求項5】
前記表面層の表側における前記中間層に対応する領域に設けられたアップリケをさらに備えた、請求項1から請求項4のいずれか記載のブラジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なブラジャーが販売されている。例えば、特許文献1のように無地のブラジャーが知られている。また、特許文献2に記載されているブラジャーや、
図10、
図11で示されるブラジャー100のように、種々の模様を有するブラジャーや、複数の色分けのなされたブラジャーなども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1589910号公報
【特許文献2】意匠登録第1325849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、胸の大きい人がブラジャーを着用した場合には、胸が横方向に膨張したように見え、より胸が大きく見えるという課題があった。そのことは、無地のブラジャーや、模様を有していても単色のブラジャーについて、特に顕著になる。また、胸の小さい人がブラジャーを着用した場合には、胸をより立体的に見せたいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記状況に応じてなされたものであり、より立体的な丸みのあるすっきりとした胸に見える視覚効果を有するブラジャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によるブラジャーは、一対のカップ部と、一対のカップ部の下方側に設けられ、両カップ部を繋ぐアンダー部と、一対のカップ部の左右に設けられた一対のサイド部と、一対のカップ部と一対のサイド部とを繋ぐ一対の肩紐と、カップ部における着用者のバストトップに対応するカップ頂点の脇側及び下方側の領域である脇下領域の表側に配設された、カップ部の表側の生地より明度の低いネット状の素材である中間層と、カップ部及び中間層の表側にカップ部を覆うように配設された、カップ部の表側の生地より明度の低いネット状の素材であり、模様を有する表面層と、を備え、アンダー部、サイド部、及び肩紐は、カップ部が中間層及び表面層で覆われた領域より明度の低い素材によって構成されている、ものである。
【0007】
このような構成により、アンダー部、サイド部、及び肩紐が最も暗くなり、カップ部のうち、脇下領域以外の領域が最も明るくなり、脇下領域が両者の間の明度となる。そのため、最も明るい領域が目立って注目されやすくなり、丸みのあるすっきりとした胸を表現することができる。また、そのような明度の違いを、色の切り替えによって形成しているのではなく、中間層や表面層を重ねることによって形成しているため、カップ部のカップ頂点付近が着用者の前方向に飛び出すような視覚的な効果を生じさせることができ、立体感を出すことができる。このように、カップの下側やサイド側が目立たなくなることから、例えば、大きい胸の人が着用したとしても、胸が横方向に膨張したように見えにくくなる。また、例えば、胸の小さい人が着用したとしても、着用者の前後方向への立体感を出すことができる。
【0008】
また、本発明の一態様によるブラジャーでは、表面層の模様は、刺繍及びレース柄の少なくとも一方であってもよい。
このような構成により、刺繍及びレース柄の少なくとも一方によって表面層に凹凸が生じることになり、表面層がカップ部の表側の生地から微小ながら浮くようになる。その結果、着用者の前後方向への立体感を出すことができる。
【0009】
また、本発明の一態様によるブラジャーでは、表面層の模様は、カップ部のうち、中間層によって覆われていない領域に少なくとも存在してもよい。
このような構成により、カップ部の脇下領域以外の領域において、着用者の前後方向への立体感をより強調する視覚的な効果を生じさせることができるようになる。
【0010】
また、本発明の一態様によるブラジャーでは、中間層のカップ頂点側の辺は、カップ頂点から脇下領域に向かって凸となるように湾曲していてもよい。
このような構成により、中間層において湾曲している辺の箇所が、カップ部の外周縁部であるかのような視覚的な効果を与えることができ、丸みのあるすっきりとした胸に見せることができる。
【0011】
また、本発明の一態様によるブラジャーでは、表面層の表側における中間層に対応する領域に設けられたアップリケをさらに備えてもよい。
このような構成により、中間層に対応する領域において変化をつけることができ、例えば、胸の大きい人が着用した場合であっても、中間層に対応する領域における胸の横方向への広がりを目立ちにくくすることができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によるブラジャーによれば、より立体的な丸みのあるすっきりとした胸に見えるという視覚効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態によるブラジャーを示す正面図
【
図7】同実施の形態によるブラジャーの着用状態を示す正面図
【
図8】同実施の形態によるブラジャーの着用状態を示す斜視図
【
図9A】同実施の形態によるブラジャーの製造過程について説明するための図
【
図9B】同実施の形態によるブラジャーの製造過程について説明するための図
【
図9C】同実施の形態によるブラジャーの製造過程について説明するための図
【
図9D】同実施の形態によるブラジャーの製造過程について説明するための図
【
図10】従来例のブラジャーの着用状態を示す正面図
【
図11】従来例のブラジャーの着用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるブラジャーについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるブラジャーは、カップ部の表側に、透過性を有する複数の生地を配設することなどによって、より立体的な丸みのあるすっきりとした胸に見える視覚的な効果を生じさせることができるものである。
【0015】
図1~
図6はそれぞれ、本実施の形態によるブラジャー1を示す正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図である。また、
図7、
図8はそれぞれ、本実施の形態よるブラジャー1の着用状態を示す正面図、斜視図である。また、
図9A~
図9Dは、本実施の形態によるブラジャー1の製造過程について説明するための図である。なお、
図9A~
図9Dでは、説明の便宜上、サイド部13、及び肩紐14の後ろ側の部分の図示を省略している。
【0016】
なお、本実施の形態では、上下左右前後は、
図8で示されるように、ブラジャー1を着用した着用者Uを基準とした方向であるとする。また、着用者がブラジャー1を着用した際に、着用者の肌側と反対側のブラジャー1の面側を表側とし、着用者の肌側のブラジャー1の面側を裏側とする。また、ブラジャー1を着用した着用者の脇の側を、ブラジャー1の脇側とする。
【0017】
本実施の形態によるブラジャー1は、一対のカップ部11a,11bと、アンダー部12と、一対のサイド部13a,13bと、一対の肩紐14a,14bと、中間層15a,15bと、表面層16a,16bと、1個以上のアップリケ17とを備える。なお、カップ部11a,11bを特に区別しない場合には、カップ部11とすることもある。他の構成についても同様である。
【0018】
カップ部11a、11bは、着用者のバストを覆う椀状の左右一対の部材である。カップ部11の形状は特に限定されないが、例えば、フルカップ、3/4カップ、1/2カップなどであってもよい。カップ部11の構成は特に限定されないが、例えば、裏側の裏生地と、表側の表生地と、両者の間に存在するカップとを有してもよい。裏生地は特に限定されないが、例えば、天竺などであってもよい。また、表生地は特に限定されないが、例えば、マーキ生地などであってもよい。なお、表生地は、無地であることが好適である。また、表生地は、後述するように、アンダー部12やサイド部13、肩紐14、中間層15、表面層16より明度が高いものとする。アンダー部12等と、カップ部11の表側との明度差がより大きいことが好適であるため、例えば、明度を0から10までの数値で表す場合に、カップ部11の表生地の明度は、5以上であってもよく、6以上であってもよく、7以上であってもよく、8以上であってもよい。なお、数値が高いほど明るいものとする。カップの材料は特に限定されないが、例えば、ウレタンなどであってもよい。また、例えば、カップ部11の下側の外周縁部に沿ってワイヤが設けられてもよい。また、カップ部11は、例えば、パッドを収納可能なポケットを有していてもよい。
【0019】
アンダー部12は、一対のカップ部11a,11bの下方側に設けられ、両カップ部11を繋いでいる。アンダー部12は、カップ部11を繋ぐだけでなく、カップ部11の下方側を介してサイド部13まで延びていてもよい。アンダー部12は、例えば、カップ部11の下側の外周縁部と、サイド部13のカップ部11側の端部とにそれぞれ接続されていてもよい。アンダー部12は、着用者がブラジャー1を着用した際に、バストの下側の胴部に接する部分である。
【0020】
一対のサイド部13a,13bは、一対のカップ部11a,11bの左右に設けられている。より詳細には、右側のサイド部13aは、右側のカップ部11aの脇側に接続されており、左側のサイド部13bは、左側のカップ部11bの脇側に接続されている。サイド部13が脇から背中にかけて巻き付けられることによって、ブラジャー1を着用者の胴部に固定することができる。なお、サイド部13a,13bのカップ部11と反対側の端部は、例えば、両端部を着脱可能に連結するための連結手段を有していてもよい。連結手段は特に限定されないが、例えば、ホックや、面ファスナー、ボタンなどであってもよい。ブラジャー1の着用時には、その連結手段によってサイド部13の両端部が連結される。なお、連結手段は、例えば、2個のカップ部11の間に存在してもよい。この場合には、アンダー部12が左右の部分に分かれており、2個のカップ部11の間で着脱可能に接続されるようになっていてもよい。また、アンダー部12の左右方向の端部が、脇の方まで延びている場合には、サイド部13は、アンダー部12を介してカップ部11に接続されてもよい。
【0021】
一対の肩紐14a,14bは、一対のカップ部11a、11bと一対のサイド部13a,13bとを繋いでいる。より詳細には、右側の肩紐14aは、右側のカップ部11aと右側のサイド部13aとを繋いでおり、左側の肩紐14bは、左側のカップ部11bと左側のサイド部13bとを繋いでいる。例えば、肩紐14の一端は、カップ部11の上縁部に接続され、他端は、サイド部13の上縁部に接続される。なお、
図1等で示されるように、肩紐14は、例えば、リング状部材を介してサイド部13と接続されてもよい。また、肩紐14は、例えば、長さを調整可能になっていてもよい。
【0022】
なお、カップ部11、アンダー部12、サイド部13、及び肩紐14を有するブラジャーはすでに公知であり、各構成要素に関する詳細な説明を省略する。また、それらの構成要素を接続する方法は特に限定されないが、例えば、縫い付けや接着によって接続されてもよく、または、一体的に形成されてもよい。また、アンダー部12、サイド部13、及び肩紐14は、カップ部11が中間層15及び表面層16で覆われた領域より明度の低い素材によって構成されているものとする。アンダー部12、サイド部13、及び肩紐14は、より暗い明度の素材で構成されていることが好適であり、例えば、それぞれ黒色の素材で構成されていてもよい。また、アンダー部12、サイド部13、及び肩紐14は、例えば、模様や柄を有していてもよく、または無地であってもよい。
【0023】
中間層15a,15bは、カップ部11a,11bにおけるカップ頂点の脇側及び下方側の領域である脇下領域の表側に配設される。カップ頂点は、カップ部11において、着用者のバストトップに対応する点である。また、中間層15は、カップ部11の表側の生地より明度の低いネット状の素材によって構成されている。したがって、中間層15を介して、カップ部11の表側の生地が見えることになる。中間層15の素材は特に限定されないが、例えば、チュール生地であってもよい。なお、中間層15のカップ頂点側の辺は、カップ頂点から脇下領域に向かって凸となるように湾曲していてもよい。この場合には、中間層15のカップ頂点側の辺は、その辺のカップ頂点側に中心が位置する円弧形状であってもよい。また、中間層15のカップ頂点から遠い方の辺は、例えば、カップ部11の外周縁部に沿った形状であってもよい。中間層15は、例えば、カップ部11や、アンダー部12、サイド部13に縫い付けられたり、接着されたりしてもよく、または、その他の方法によってカップ部11の表側に取り付けられてもよい。
【0024】
表面層16a,16bは、カップ部11a,11b及び中間層15a,15bの表側に、カップ部11を覆うように配設されている。なお、カップ部11を覆うように表面層16が配設されているとは、例えば、カップ部11の全体が完全に、または略完全に表面層16によって覆われていることであってもよい。表面層16がカップ部11を略完全に覆うとは、例えば、表面層16がカップ部11の表側の領域の90%以上を覆うことであってもよく、95%以上を覆うことであってもよい。なお、表面層16は、中間層15の全ての領域を覆っていることが好適である。また、表面層16は、例えば、一部がカップ部11の外周縁部を超えていてもよい。例えば、
図2では、カップ部11a,11bの上側において、表面層16a,16bがそれぞれカップ部11の外周縁部を超える領域まで延びている。
【0025】
表面層16は、カップ部11の表側の生地より明度の低いネット状の素材によって構成されており、模様を有している。表面層16のネット状の素材は特に限定されないが、例えば、チュール生地であってもよく、レース生地であってもよく、その両方であってもよい。表面層16がレース生地である場合には、例えば、そのレース生地はストレッチレースであってもよい。表面層16がチュール生地及びレース生地によって構成されている場合には、例えば、表面層16の一部の領域がチュール生地によって構成され、残りの領域がレース生地によって構成されてもよい。また、表面層16が有する模様は、例えば、刺繍及びレース柄の少なくとも一方であってもよく、または、プリント柄であってもよい。なお、模様が刺繍及びレース柄の少なくとも一方である場合に、チュール生地の領域に存在する模様は、例えば、刺繍であってもよく、レース生地の領域に存在する模様は、例えば、刺繍であってもよく、レース柄であってもよい。例えば、
図1等では、表面層16a,16bは、カップ部11a,11bの上側の領域がレース生地によって構成されており、下側の領域がチュール生地によって構成されている。そして、レース生地の領域では、模様がレース柄によって構成されており、チュール生地の領域では、模様が刺繍によって構成されている。
【0026】
なお、表面層16の模様は、例えば、カップ部11のうち、中間層15によって覆われていない領域に少なくとも存在していてもよい。すなわち、表面層16において、中間層15と重なっている領域には、模様は存在してもよく、またはそうでなくてもよい。カップ部11の表側のうち、中間層15によって覆われている領域は、中間層15によって覆われていない領域よりも明度が低いため、表面層16に模様があっても目立ちにくいからである。表面層16は、例えば、カップ部11や、アンダー部12、サイド部13、中間層15に縫い付けられたり、接着されたりしてもよく、または、その他の方法によってカップ部11及び中間層15の表側に取り付けられてもよい。
【0027】
アップリケ17は、表面層16の表側における中間層15に対応する領域に設けられている。アップリケ17の大きさは特に限定されないが、例えば、直径が3cm以上であってもよく、4cm以上であってもよい。また、アップリケ17の大きさは、例えば、直径が10cm以下であってもよく、9cm以下であってもよい。アップリケ17の形状は特に限定されないが、例えば、花の形状であってもよく、その他の形状であってもよい。また、1個のカップ部11に取り付けられるアップリケ17の個数は特に限定されないが、例えば、1個~3個程度であってもよく、それ以上であってもよい。アップリケ17は、例えば、表面層16の表側に接着されてもよく、カップ部11等に縫い付けられてもよい。また、カップ部11a,11bにおいて、例えば、アップリケ17が対称となるように配置されてもよく、または、非対称(アシンメトリー)に配置されてもよい。
図1等では、アップリケ17が非対称に配置されている場合について示している。また、アップリケ17の明度は特に限定されず、例えば、明るくてもよく、暗くてもよい。
【0028】
次に、本実施の形態によるブラジャー1の製造方法について、
図9A~
図9Dを用いて簡単に説明する。
図9Aは、カップ部11a,11b、アンダー部12、サイド部13、及び肩紐14を有するブラジャーを示す図である。
図9Aで示されるブラジャーは、例えば、従来と同様の方法によって製造されてもよい。
【0029】
次に、
図9Bで示されるように、カップ部11のカップ頂点Tの脇側及び下方側の領域である脇下領域の表側に中間層15を配設する。中間層15の上方側の端部は、例えば、
図9Bで示されるように、カップ部11と肩紐14との接続箇所まで延びていてもよい。中間層15の反対側(すなわち、着用者のバストの中央側)の端部は、例えば、カップ頂点Tの下方側に位置するカップ部11の外周縁部付近の箇所まで延びていてもよい。中間層15は、例えば、カップ部11やアンダー部12、サイド部13などに縫い付けられてもよく、接着されてもよい。なお、カップ部11の脇下領域を中間層15で覆うことによって奥行き感を出すようにするため、例えば、中間層15の縫い付けや接着は、カップ部11の外周縁部において行われてもよい。
【0030】
その後、
図9Cで示されるように、カップ部11を覆うように表面層16を配設する。表面層16は、例えば、カップ部11やアンダー部12、サイド部13などに縫い付けられてもよく、接着されてもよい。なお、カップ部11を表面層16で覆うことによって奥行き感を出すようにするため、例えば、表面層16の縫い付けや接着は、カップ部11の外周縁部において行われてもよい。
【0031】
最後に、
図9Dで示されるように、カップ部11の脇下領域にアップリケ17を取り付ける。アップリケ17は、例えば、縫い付けや接着によって取り付けられてもよい。このようにして、本実施の形態によるブラジャー1を製造することができる。なお、
図9A~
図9Dは、ブラジャー1の製造過程について説明するための図であり、表面層16の模様や、アップリケ17の位置などは、他の図面と異なっていることがある。
【0032】
なお、カップ部11の表側の生地、中間層15の生地、及び表面層16の生地の色相は特に限定されないが、例えば、同一または類似した色相であってもよい。それらは、例えば、青色系の色相であってもよく、緑色系の色相であってもよく、赤紫系の色相であってもよく、その他の色相であってもよい。より具体的には、カップ部11の表面の生地は明るい青緑色であり、中間層15は濃い緑色であり、表面層16は黒色のチュール生地やレースに、緑色の刺繍やレース柄の模様を有するものであってもよい。また、アップリケ17も、他と同様の色相であってもよい。このように、色相を揃えることによって、全体として同系色でのグラデーションを形成することができ、統一感のあるブラジャー1を構成することができる。
【0033】
次に、本実施の形態によるブラジャー1の視覚効果について説明する。本実施の形態によるブラジャー1では、アンダー部12、サイド部13、及び肩紐14が最も暗くなり、カップ部11の脇下領域以外の領域が最も明るくなり、カップ部11の脇下領域が、両者の間の明るさとなる。このように、カップ部11の脇下領域以外の領域が最も明るいため、その領域が注目されやすくなる。また、中間層15のカップ頂点側の辺が湾曲していることによって、カップ部11のうち、中間層15で覆われていない領域の形状が丸みのある形状となり、その湾曲している辺の箇所が、カップ部の外周縁部であるかのような視覚的な効果を与えることができる。そのため、
図8で示されるように、胸の大きい着用者Uがブラジャー1を着用した場合でも、胸の横方向の広がりが強調されにくくなり、すっきりとした胸に見せることができる。一方、
図11で示される従来のブラジャー100では、カップ部と、アンダー部やサイド部との境界が明確になっているため、胸の大きい着用者がブラジャー100を着用した場合には、胸の横方向への広がりがはっきりと見えることになり、胸の横方向への膨張が強調されることになる。
【0034】
また、中間層15及び表面層16が、裏側が透けて見える生地であることによって、表面層16を介して中間層15や、脇下領域以外のカップ部11の表側が見えることになる。また、表面層16及び中間層15を介して、脇下領域のカップ部11の表面側が見えることになる。したがって、カップ部の表面において切り替えによって明度を変化させた場合と比較して、前後方向への奥行き感、立体感を生じさせることができ、カップ部11のカップ頂点が前方に飛び出すように見える視覚的な効果を生じさせることができる。そのため、胸の大きい人がブラジャー1を着用した場合に、前後方向への立体感が強調されることになり、その結果として、左右方向への膨張感が抑えられることになる。また、胸の小さい人がブラジャー1を着用した場合にも、前後方向への立体感が強調され、より胸を立体的に見せる効果が得られることになる。
【0035】
また、表面層16の刺繍やレース柄によって構成された模様が、カップ部11の中間層15によって覆われていない領域に存在することによって、その領域において、刺繍やレース柄によって表面層16がカップ部11の表側の生地から少しだけ浮くことになる。その結果として、より立体感が生じるようになる。
【0036】
また、カップ部11の脇下領域にアップリケ17を有する場合には、脇下領域において変化をつけることができ、胸の大きい人が着用したとしても、脇下領域における胸の横方向への広がりを目立ちにくくすることができる。また、カップ部11のサイド部13側の外周縁部に近い領域にアップリケ17が存在することによって、カップ部11のサイド部13側の外周縁部の位置が分かりにくくすることができ、胸の広がりが目立ちにくくなる効果も得られる。
【0037】
以上のように、本実施の形態によるブラジャー1によれば、中間層15及び表面層16などによってカップ部11のカップ頂点付近が注目されやすくなる視覚効果を生じさせることができる。また、ネット状の複数の素材を重ねていることによって、前後方向の立体感を形成する視覚的な効果も得られる。そのため、胸の大きい着用者が着用した場合でも、横方向への膨張感を抑えることができ、丸みのあるすっきりとした胸を表現することができる。また、胸の小さい着用者が着用した場合でも、より立体感のある胸を表現することができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、ブラジャー1にアップリケ17が配設される場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。ブラジャー1は、アップリケ17を備えないものであってもよい。
【0039】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 ブラジャー
11、11a、11b カップ部
12 アンダー部
13、13a、13b サイド部
14、14a、14b 肩紐
15、15a、15b 中間層
16、16a、16b 表面層
17 アップリケ