IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特開2023-181634電子機器、電子機器の制御方法、プログラム
<>
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図1
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図2
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図3
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図4A
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図4B
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図5
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図6
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図7
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図8
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図9
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法、プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181634
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20231218BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231218BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20231218BHJP
【FI】
H04N5/232 945
H04N5/225 400
G03B17/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094874
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸野 紘士
(72)【発明者】
【氏名】稲澤 佳祐
【テーマコード(参考)】
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H102AA71
2H102BB06
2H102BB08
2H102BB22
2H102CA03
5C122EA42
5C122FA04
5C122FB02
5C122FC06
5C122FC07
5C122FH19
5C122FK12
5C122FK28
5C122FK41
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】ユーザによる撮像に適した位置にマーカーを生成する技術を提供する。
【解決手段】電子機器は、1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得手段と、前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定手段と、前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定手段と、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成手段と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定手段と、
前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定手段と、
1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する光学系情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記光学系情報は、前記撮像に用いられた複数の光学系それぞれの光軸中心座標の設計値および前記設計値からのずれの情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記合成手段は、前記像の領域の数が2以上である場合には、前記複数の光学系それぞれの前記設計値および前記ずれの情報に基づき、前記像の領域ごとの基準位置を判定して、前記像の領域ごとの基準位置に基づき前記マーカーを合成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記マーカーの種別が第1のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における中心位置に前記第1のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記光学系情報に基づき前記像の領域ごとに中心位置を判定して、前記像の領域ごとの中心位置に前記第1のマーカーを合成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記マーカーの種別が第2のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における中心位置を通り左右方向に延在する前記第2のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記光学系情報に基づき前記像の領域ごとに中心位置を判定して、前記像の領域ごとに、当該領域の中心位置を通り左右方向に延在する前記第2のマーカーを合成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記マーカーの種別が第3のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における中心位置を通り上下方向に延在する前記第3のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記光学系情報に基づき前記像の領域ごとに中心位置を判定して、前記像の領域ごとに、当該領域の中心位置を通り上下方向に延在する前記第3のマーカーを合成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記マーカーの種別が第4のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像におけるユーザが設定した位置に前記第4のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記ユーザが設定した位置に第1の像の領域に対して前記第4のマーカーを合成するとともに、前記第1の像以外の像の領域それぞれに対して、前記ユーザが設定した位置を像の領域ごとに前記光学系情報に基づき補正した位置に前記第4のマーカーを合成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記判定手段は、前記1または複数の光学系を含むレンズユニットの種類の情報に基づき、前記像の領域の数を判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記マーカーは、ユーザが撮影時の構図を決める際の目安として使用されるマーカーである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定ステップと、
前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定ステップと、
1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する光学系情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成ステップと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から3のいずれか1項に記載された電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
1度の撮影により視差を有する2枚の画像を取得し、これらの2枚の画像を用いて立体視可能な画像を表示することができる。特許文献1には、互いに視差を有する左眼用の画像と右眼用の画像とを、左右の領域に並べて表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-134833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、通常の1眼カメラを使用して撮影を行う場合には、撮像センサの信号を処理して得られた1枚の撮像画像の中心位置にマーカーが表示されることがある。しかし、2眼レンズを使用して得られた1枚の撮像画像に左眼用の領域と右眼用の領域が含まれる場合には、1枚の撮像画像の中心位置にマーカーを表示されてしまうと、ユーザは各領域の中心位置を把握できない。
【0005】
本発明は、ユーザによる撮像に適した位置にマーカーを生成する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、
1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定手段と、
前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定手段と、
1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する光学系情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成手段と、
を有することを特徴とする電子機器である。
【0007】
本発明の1つの態様は、
1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定ステップと、
前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定ステップと、
1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する光学系情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成ステップと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザによる撮像に適した位置にマーカーを生成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カメラの外観図である。
図2】カメラの内部構成図である。
図3】レンズユニットの構成を示す図である。
図4A】マーカー制御処理のフローチャートである。
図4B】マーカー制御処理のフローチャートである。
図5】レンズ情報を説明する図である。
図6】レンズ個体値を説明する図である。
図7】センターマーカーを説明する図である。
図8】垂直マーカーを説明する図である。
図9】水平マーカーを説明する図である。
図10】ユーザマーカーを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、電子機器がデジタルカメラ(撮像装置)である場合を例にして説明する。
【0011】
図1Aおよび図1Bは、デジタルカメラ100(以下、カメラという)の外観構成の一例を示す図である。図1Aは、カメラ100を前面から見た斜視図である。図1Bはカメラ100を背面から見た斜視図である。
【0012】
カメラ100は、上面に、シャッターボタン101、電源スイッチ102、モード切替スイッチ103、メイン電子ダイヤル104、サブ電子ダイヤル105、動画ボタン106、ファインダ外表示部107を有する。シャッターボタン101は、撮影準備あるいは撮影指示を行うための操作部である。電源スイッチ102は、カメラ100の電源のオンとオフとを切り替える操作部である。モード切替スイッチ103は、各種モードを切り替えるための操作部である。メイン電子ダイヤル104は、シャッター速度や絞りなどの設定値を変更するための回転式の操作部である。サブ電子ダイヤル105は、選択枠(カーソル)の移動や画像送りなどを行うための回転式の操作部である。動画ボタン106は、動画撮影(記録)の開始や停止の指示を行うための操作部である。ファインダ外表示部107は、シャッター速度や絞りなどの様々な設定値を表示する。
【0013】
また、カメラ100は、背面に、表示部108、タッチパネル109、方向キー110、SETボタン111、AEロックボタン112を有する。カメラ100は、背面に、拡大ボタン113、再生ボタン114、メニューボタン115、接眼部116、接眼検知部118、タッチバー119を有する。
【0014】
表示部108は、画像や各種情報を表示する。タッチパネル109は、表示部108の表示面(タッチ操作面)に対するタッチ操作を検出する操作部である。方向キー110は、上下左右にそれぞれ押下可能なキー(4方向キー)から構成される操作部である。カメラ100は、押下された位置(方向キー110の位置)に応じた処理が可能である。
【0015】
SETボタン111は、主に選択項目を決定するときに押下される操作部である。AEロックボタン112は、撮影待機状態で露出状態を固定するときに押下される操作部である。
【0016】
拡大ボタン113は、撮影モードのライブビュー表示(LV表示)において拡大モードのオンとオフとを切り替えるための操作部である。拡大モードがオンである場合にはメイン電子ダイヤル104を操作することにより、ライブビュー画像(LV画像)が拡大または縮小する。また、拡大ボタン113は、再生モードにおいて再生画像を拡大させたり、拡大率を大きくさせたりするときに用いられる。
【0017】
再生ボタン114は、撮影モードと再生モードとを切り替えるための操作部である。撮影モードの場合に再生ボタン114を押下することで再生モードに移行し、後述する記録媒体227に記録された画像のうち最新の画像を表示部108に表示させることができる。
【0018】
メニューボタン115は、各種設定が可能なメニュー画面を表示部108に表示させるときに押下される操作部である。ユーザが表示部108に表示されたメニュー画面と、方向キー110やSETボタン111とを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0019】
接眼部116は、接眼ファインダ(覗き込み型のファインダ)117に対して接眼するための部位である。ユーザは接眼部116を介して内部の後述するEVF217(Electronic View Finder)に表示された映像を視認することができる。接眼検知部118は、接眼部116にユーザが接眼しているか否かを検知するセンサである。
【0020】
タッチバー119は、タッチ操作を受け付けることが可能なライン状のタッチ操作部(ラインタッチセンサ)である。タッチバー119は、右手の人差し指でシャッターボタン101を押下可能なようにグリップ部120を右手で握った状態(右手の小指、薬指、中指で握った状態)で、右手の親指でタッチ操作可能(タッチ可能)な位置に配置される。すなわち、タッチバー119は接眼部116に接眼して接眼ファインダ117を覗き、いつでもシャッターボタン101を押下できるように構えた状態(撮影姿勢)で操作可能である。タッチバー119は、タッチバー119に対するタップ操作(タッチして所定期間以内に移動せずに離す操作)、左右へのスライド操作(タッチした後、タッチしたままタッチ位置を移動する操作)などを受け付け可能である。タッチバー119は、タッチパネル109とは異なる操作部であり、表示機能を備えていない。本実施形態のタッチバー119は、マルチファンクションバーであって、例えばM-Fnバーとして機能する。
【0021】
また、カメラ100は、グリップ部120、サムレスト部121、端子カバー122、蓋123、通信端子124などを有する。グリップ部120は、ユーザがカメラ100を構える際に右手で握りやすい形状に形成された保持部である。グリップ部120を右手の小指、薬指、中指で握ってカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン101とメイン電子ダイヤル104が配置される。また、同様な状態で、右手の親指で操作可能な位置にサブ電子ダイヤル105とタッチバー119が配置される。
【0022】
サムレスト部121(親指待機位置)は、カメラ100の背面側の、どの操作部も操作しない状態でグリップ部120を握った右手の親指を置きやすい箇所に設けられたグリップ部である。サムレスト部121は、保持力(グリップ感)を高めるためのラバー部材などで構成される。
【0023】
端子カバー122は、カメラ100を外部機器に接続する接続ケーブルなどのコネクタを保護する。蓋123は、後述する記録媒体227を格納するためのスロットを閉塞することで記録媒体227およびスロットを保護する。通信端子124は、カメラ100が着脱可能な後述するレンズユニット200側と通信を行うための端子である。
【0024】
図2は、カメラ100の内部構成の一例を示す図である。なお、図1Aおよび図1Bと同一の構成は、同一符号を付してその説明を適宜、省略する。カメラ100にはレンズユニット200が装着される。
【0025】
まず、レンズユニット200について説明する。レンズユニット200は、カメラ100に着脱可能な交換レンズの一種である。レンズユニット200は、1眼レンズであり、通常のレンズの一例である。レンズユニット200は、絞り201、レンズ202、絞り駆動回路203、AF(オートフォーカス)駆動回路204、レンズシステム制御回路205、通信端子206などを有する。
【0026】
絞り201は、開口径が調整可能に構成される。レンズ202は、複数枚のレンズから構成される。絞り駆動回路203は、絞り201の開口径を制御することで光量を調整する。AF駆動回路204は、レンズ202を駆動させて焦点を合わせる。レンズシステム制御回路205は、後述するシステム制御部50の指示に基づいて、絞り駆動回路203、AF駆動回路204などを制御する。レンズシステム制御回路205は、絞り駆動回路203を介して絞り201の制御を行い、AF駆動回路204を介してレンズ202の位置を変位させることで焦点を合わせる。レンズシステム制御回路205は、カメラ100との間で通信可能である。具体的には、レンズユニット200の通信端子206と、カメラ100の通信端子124とを介して通信される。通信端子206は、レンズユニット200がカメラ100側と通信を行うための端子である。
【0027】
次に、カメラ100について説明する。カメラ100は、シャッター210、撮像部211、A/D変換器212、メモリ制御部213、画像処理部214、メモリ215、D/A変換器216、EVF217、表示部108、システム制御部50を有する。
【0028】
シャッター210は、システム制御部50の指示に基づいて撮像部211の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。撮像部211は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子などで構成される撮像素子(イメージセンサ)である。撮像部211は、システム制御部50にデフォーカス量情報を出力する撮像面位相差センサを有していてもよい。A/D変換器212は、撮像部211から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0029】
画像処理部214は、A/D変換器212からのデータまたはメモリ制御部213からのデータに対し所定の処理(画素補間、縮小などのリサイズ処理、色変換処理など)を行う。また、画像処理部214は、撮影した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御や測距制御を行う。この処理により、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理などが行われる。更に、画像処理部214は、撮影した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0030】
A/D変換器212からの画像データは、画像処理部214およびメモリ制御部213を介してメモリ215に書き込まれる。あるいは、A/D変換器212からの画像データは、画像処理部214を介さずにメモリ制御部213を介してメモリ215に書き込まれる。メモリ215は、撮像部211によって得られA/D変換器212によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部108やEVF217に表示するための画像データを格納する。メモリ215は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ215は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。
【0031】
D/A変換器216は、メモリ215に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部108やEVF217に供給する。したがって、メモリ215に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器216を介して表示部108やEVF217に表示される。表示部108やEVF217は、D/A変換器216からのアナログ信号に応じた表示を行う。表示部108やEVF217は、例えば、LCDや有機ELなどのディスプレイである。A/D変換器212によってA/D変換されメモリ215に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器216でアナログ信号に変換し、表示部108やEVF217に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示が行われる。
【0032】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの回路からなる制御部である。すなわち、システム制御部50は、プロセッサであってもよく、回路であってもよく、プロセッサと回路の組み合わせであってもよい。システム制御部50は、カメラ100全体を制御する。システム制御部50は、不揮発性メモリ219に記録されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの各処理を実現する。また、システム制御部50は、メモリ215、D/A変換器216、表示部108、EVF217などを制御することにより表示制御も行う。
【0033】
また、カメラ100は、システムメモリ218、不揮発性メモリ219、システムタイマ220、通信部221、姿勢検知部222、接眼検知部118を有する。
【0034】
システムメモリ218には、例えばRAMが用いられる。システムメモリ218には、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ219から読み出したプログラムなどが展開される。不揮発性メモリ219は、電気的に消去・記録可能なメモリである。不揮発性メモリ219には、例えばEEPROMが用いられる。不揮発性メモリ219には、システム制御部50の動作用の定数、プログラムなどが記録される。ここでのプログラムとは、後述するフローチャートを実行するためのプログラムである。
【0035】
システムタイマ220は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。通信部221は、無線または有線ケーブルによって接続された外部機器との間で、映像信号や音声信号の送受信を行う。
【0036】
通信部221は、無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部221は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部221は、撮像部211で撮影した画像(ライブ画像を含む)や、記録媒体227に記録された画像を送信可能であり、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信することができる。
【0037】
姿勢検知部222は、重力方向に対するカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部222で検知された姿勢に基づいて、撮像部211で撮影された画像が、カメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部222で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部211で撮影された画像の画像ファイルに付加したり、検知された姿勢に応じて画像を回転したりすることが可能である。姿勢検知部222には、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。姿勢検知部222を用いて、カメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否かなど)を検知することも可能である。
【0038】
接眼検知部118は、EVF217を内蔵する接眼ファインダ117の接眼部116に対する何らかの物体の接近を検知することができる。接眼検知部118は、例えば、赤外
線近接センサを用いることができる。物体が接近した場合、接眼検知部118の投光部から投光した赤外線が物体で反射して赤外線近接センサの受光部で受光される。受光された赤外線の量によって接眼部116から物体までの距離を判別することができる。このように、接眼検知部118は、接眼部116に対する物体の近接距離を検知する接眼検知を行う。
【0039】
接眼検知部118は、接眼ファインダ117の接眼部116に対する眼(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する接眼検知センサである。接眼検知部118は、非接眼状態(非接近状態)から、接眼部116に対して所定距離以内に近づく物体が検知された場合に、接眼されたと検知する。一方、接眼検知部118は、接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検知する。接眼を検知する閾値と、離眼を検知する閾値は、例えばヒステリシスを設けることなどにより異なっていてもよい。また、接眼を検知した後は、離眼を検知するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検知した後は、接眼を検知するまでは非接眼状態であるものとする。
【0040】
システム制御部50は、接眼検知部118で検知された状態に応じて、表示部108とEVF217の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。具体的には、少なくとも撮影待機状態であって、かつ、表示先の切替設定が自動切替である場合、非接眼中には表示先を表示部108として、EVF217では非表示とする。また、接眼中には表示先をEVF217として、表示部108では非表示とする。なお、接眼検知部118は、赤外線近接センサである場合に限られず、接眼とみなせる状態を検知できるものであれば他のセンサを用いてもよい。
【0041】
また、カメラ100は、ファインダ外表示部107、ファインダ外表示駆動回路223、電源制御部224、電源部225、記録媒体I/F226、操作部228などを有する。
【0042】
ファインダ外表示部107は、ファインダ外表示駆動回路223を介して、シャッター速度や絞りなどのカメラ100の様々な設定値を表示する。
【0043】
電源制御部224は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路などを有する。電源制御部224は、電池の装着の有無、電池の種類、および電池残量などを検出する。また、電源制御部224は、その検出結果およびシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体227を含む各部へ供給する。
【0044】
電源部225は、一次電池(アルカリ電池またはリチウム電池など)、二次電池(NiCd電池、NiMH電池またはLi電池など)、またはACアダプターなどである。
【0045】
記録媒体I/F226は、メモリカードやハードディスクなどの記録媒体227とのインターフェースである。記録媒体227は、撮影された画像を記録するためのメモリカードなどであり、半導体メモリや磁気ディスクなどから構成される。記録媒体227は、カメラ100に対して着脱可能であってもよく、カメラ100に内蔵されていてもよい。
【0046】
操作部228は、ユーザからの操作(ユーザ操作)を受け付ける入力部であり、システム制御部50に各種の指示を入力するために用いられる。操作部228は、シャッターボタン101、電源スイッチ102、モード切替スイッチ103、タッチパネル109、他の操作部229などを含む。
【0047】
他の操作部229は、メイン電子ダイヤル104、サブ電子ダイヤル105、動画ボタン106、方向キー110、SETボタン111、AEロックボタン112、拡大ボタン113、再生ボタン114、メニューボタン115、タッチバー119などを含む。
【0048】
シャッターボタン101は、第1シャッタースイッチ230と第2シャッタースイッチ231を有する。第1シャッタースイッチ230は、シャッターボタン101の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり、第1シャッタースイッチ信号SW1を発生させる。システム制御部50は、第1シャッタースイッチ信号SW1の発生により、撮影準備処理(AF処理、AE処理、AWB処理、またはEF処理など)を開始する。第2シャッタースイッチ231は、シャッターボタン101の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2の発生により、一連の撮影処理(撮像部211からの信号読み出しから、撮影された画像を含む画像ファイルを生成して記録媒体227に書き込むまでの処理)を開始する。
【0049】
モード切替スイッチ103は、静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モードなどのいずれかに、システム制御部50の動作モードを切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードには、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)がある。また、静止画撮影モードに含まれるモードには、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモードなどがある。ユーザは、モード切替スイッチ103により、上述した撮影モードのいずれかに直接、切り替えることができる。あるいは、ユーザは、モード切替スイッチ103により撮影モードの一覧画面に一旦切り替えた後に、表示された複数のモードのいずれかに操作部228を用いて選択的に切り替えることができる。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0050】
タッチパネル109は、表示部108の表示面(タッチパネル109の操作面)への各種タッチ操作を検出するタッチセンサである。タッチパネル109と表示部108とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル109は、光の透過率が表示部108の表示を妨げないように、表示部108の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル109における入力座標と、表示部108の表示面上の表示座標とを対応付けることで、あたかもユーザが表示部108上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を構成できる。
【0051】
タッチパネル109には、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式などの様々な方式のうちいずれかの方式を用いることができる。方式によって、タッチパネル109に対する接触があったことでタッチがあったと検知する方式や、タッチパネル109に対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検知する方式があるが、いずれの方式であってもよい。
【0052】
システム制御部50は、タッチパネル109に対する以下の操作あるいは状態を検出できる。
・タッチパネル109にタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル109にタッチしたこと、すなわちタッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)という)。
・タッチパネル109を指やペンでタッチしている状態(以下、タッチオン(Touch-On)という)。
・タッチパネル109を指やペンがタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)という)。
・タッチパネル109へタッチしていた指やペンがタッチパネル109から離れた(リリ
ースされた)こと、すなわちタッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)という)。
・タッチパネル109に何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)という)。
【0053】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出された場合も、同時にタッチオンが検出される。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0054】
これらの操作・状態や、タッチパネル109上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル109上にどのような操作(タッチ操作)が行われたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル109上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル109上の垂直成分・水平成分ごとに判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行われたと判定される。
【0055】
タッチパネル109上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックという。フリックは、言い換えればタッチパネル109上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行われたと判定される(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)をともにタッチして(マルチタッチして)、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトという。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)という。
【0056】
図3は、レンズユニット300の構成の一例を示す模式図である。図3では、レンズユニット300をカメラ100に装着した状態を示している。なお、図3に示すカメラ100のうち図2で説明した構成と同一の構成は、同一符号を付して適宜、説明を省略する。
【0057】
レンズユニット300は、カメラ100に着脱可能な交換レンズの一種である。レンズユニット300は、左像および右像で視差がある撮影が可能な2眼レンズである。レンズユニット300は、2つの光学系を有し、それぞれ略180度の広視野角であって、前方半球の範囲を撮影できる。具体的に、レンズユニット300の2つの光学系は、それぞれ左右方向(水平角度、方位角、ヨー角)180度、上下方向(垂直角度、仰俯角、ピッチ角)180度の視野分(画角分)の被写体を撮影できる。
【0058】
レンズユニット300は、複数のレンズと反射ミラーなどを有する右眼光学系301R、複数のレンズと反射ミラーなどを有する左眼光学系301L、レンズシステム制御回路303を有する。右眼光学系301Rは第1の光学系の一例であり、左眼光学系301Lは第2の光学系の一例である。右眼光学系301Rは被写体側に配置されるレンズ302Rを有し、左眼光学系301Lは被写体側に配置されるレンズ302Lを有する。レンズ302Rとレンズ302Lは同じ方向を向いており、それらの光軸は略平行である。
【0059】
本実施形態のレンズユニット300は、2眼立体視が可能なVR(Virtual Reality)画像のフォーマットであるいわゆるVR180の画像を得るためのVR180用レンズである。VR180用レンズでは、右眼光学系301Rおよび左眼光学系301Lのそれぞれが、略180度の範囲を捉えることが可能な魚眼レンズを有する。なお
、VR180用レンズは、右眼光学系301Rおよび左眼光学系301LがそれぞれVR180としての2眼VR表示が可能な映像が取得できればよく、180度の範囲よりも狭い160度程度の広視野角の範囲を捉えることが可能なレンズであってもよい。VR180用レンズは、右眼光学系301Rを介して形成される右像(第一像)と、右像とは視差を有する左眼光学系301Lを介して形成される左像(第二像)とを、装着したカメラの1つまたは2つの撮像素子上に結像することができる。
【0060】
また、レンズユニット300は、レンズマウント部304と、カメラ100のカメラマウント部305とを介して、カメラ100に装着される。レンズユニット300がカメラ100に装着されることで、通信端子124と通信端子306とを介して、カメラ100のシステム制御部50とレンズユニット300のレンズシステム制御回路303とが電気的に接続される。
【0061】
本実施形態では、右眼光学系301Rを介して形成される右像と、右像とは視差を有する左眼光学系301Lを介して形成される左像とは、並んでカメラ100の撮像部211に結像される。すなわち、右眼光学系301Rおよび左眼光学系301Lにより形成される2つの光学像が1つの撮像素子上に形成される。撮像部211は、結像された被写体像(光信号)をアナログ電気信号に変換する。このように、レンズユニット300を用いることで、右眼光学系301Rと左眼光学系301Lとの2つの箇所(光学系)から視差がある2つの画像を同時に(セットで)取得することができる。また、取得された画像を左眼用の画像と右眼用の画像とに分けてVR表示することで、ユーザは略180度の範囲の立体的なVR画像、いわゆるVR180を視聴することができる。
【0062】
ここで、VR画像とは、後述するVR表示することができる画像である。VR画像には、全方位カメラ(全天球カメラ)で撮影した全方位画像(全天球画像)や、表示部に一度で表示できる表示範囲より広い映像範囲(有効映像範囲)を持つパノラマ画像などが含まれる。また、VR画像には、静止画に限られず、動画、ライブ画像(カメラからほぼリアルタイムで取得した画像)も含まれる。VR画像は、最大で、左右方向360度、上下方向360度の視野分の映像範囲(有効映像範囲)を持つ。また、VR画像には、左右方向360度未満、上下方向360度未満であっても、通常のカメラで撮影可能な画角よりも広範な画角、あるいは、表示部に一度で表示できる表示範囲より広い映像範囲を持つ画像も含まれる。
【0063】
上述したレンズユニット300を用いてカメラ100で撮影される画像は、VR画像の一種である。VR画像は、例えば、表示装置(VR画像を表示できる表示装置)の表示モードを「VRビュー」に設定することでVR表示することができる。360度の画角を有するVR画像をVR表示させて、ユーザが表示装置の姿勢を左右方向(水平回転方向)に変化させることで、左右方向に継ぎ目のない全方位の映像を観賞することができる。
【0064】
ここで、VR表示(VRビュー)とは、VR画像のうち、表示装置の姿勢に応じた視野範囲の映像を表示する、表示範囲を変更可能な表示方法(表示モード)である。VR表示には、VR画像を仮想球体にマッピングする変形(歪曲補正が施される変形)を行って1つの画像を表示する「1眼VR表示(1眼VRビュー)」がある。また、VR表示には、左眼用のVR画像と右眼用のVR画像とをそれぞれ仮想球体にマッピングする変形を行って左右の領域に並べて表示する「2眼VR表示(2眼VRビュー)」がある。互いに視差を有する左眼用のVR画像と右眼用のVR画像を用いて「2眼VR表示」を行うことで、ユーザは立体視することが可能である。
【0065】
いずれのVR表示であっても、例えば、ユーザがHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などの表示装置を装着した場合、ユーザの顔の向きに応じた視野範囲の映像が表示され
る。例えば、VR画像のうち、ある時点で左右方向に0度(特定の方位、例えば北)、上下方向に90度(天頂から90度、すなわち水平)を中心とした視野範囲の映像を表示しているとする。この状態から表示装置の姿勢を表裏反転させる(例えば、表示面を南向きから北向きに変更する)と、同じVR画像のうち、左右方向に180度(逆の方位、例えば南)、上下方向に90度を中心とした視野範囲の映像に、表示範囲が変更される。すなわち、ユーザがHMDを装着した状態で、顔を北から南に向く(すなわち後ろを向く)ことで、HMDに表示される映像も北の映像から南の映像に変更される。
【0066】
なお、本実施形態のレンズユニット300を用いて撮影したVR画像は、前方略180度の範囲を撮影したVR180の画像であり、後方略180度の範囲の映像は存在しない。このようなVR180の画像をVR表示させて、映像が存在しない側に表示装置の姿勢を変更した場合にはブランク領域が表示される。
【0067】
このようにVR画像をVR表示することによって、ユーザは視覚的にあたかもVR画像内(VR空間内)にいるような感覚になる。なお、VR画像の表示方法は表示装置の姿勢を変更する方法に限られない。例えば、タッチパネルや方向ボタンなどを介したユーザ操作に応じて、表示範囲を移動(スクロール)させてもよい。また、VR表示時(表示モード「VRビュー」時)において、姿勢変化による表示範囲の変更に加え、タッチパネルでのタッチムーブ、マウスなどでのドラッグ操作、方向ボタンの押下などに応じて表示範囲が変更されてもよい。なお、VRゴーグル(ヘッドマウントアダプタ)に装着されたスマートフォンはHMDの一種である。
【0068】
レンズユニット300を介するカメラ100の撮影による撮像画像は、右眼光学系および左眼光学系を介してそれぞれ撮影されるために2つの領域に分かれる。
【0069】
(マーカー制御処理について)
図4Aおよび図4Bのフローチャートを参照して、マーカー(撮影者が撮影時の構図を決める際の目安として使用される指標)の表示を制御するマーカー制御処理を説明する。図4Aおよび図4Bのフローチャートは、システム制御部50が不揮発性メモリ219に記録されたプログラムをシステムメモリ218に展開して実行することにより実現する。また、図4Aのフローチャートの処理は、デジタルカメラ100が静止画撮影モード、あるいは動画撮影モードに設定されることにより、開始する。
【0070】
なお、ユーザは、マーカー表示の有無の設定(撮影者が撮影時の構図を決める際の目安として使用される機能の設定)や、マーカー種別(マーカーを表示する場合のマーカーの表示形態)の設定を予め行うことができる。
【0071】
ステップS401では、システム制御部50は、撮像部211の撮像処理により生成された撮像画像を取得する。
【0072】
ステップS402では、システム制御部50は、カメラ100に装着されたレンズユニット(以下、「装着レンズユニット」と呼ぶ)の種類の情報を取得する。そして、システム制御部50は、装着レンズユニットの種類の情報を参照して、装着レンズユニットが2眼レンズであるか否かを判定する。具体的には、システム制御部50は、通信端子124,206,306を介して装着レンズユニットと通信することによって、装着レンズユニットから装着レンズユニットの種類の情報を取得する。装着レンズユニットが2眼レンズであると判定された場合には、ステップS403に進む。一方、装着レンズユニットが2眼レンズでないと判定された場合には、図4BのステップS433に進む。装着レンズユニットが2眼レンズでないと判定された場合とは、例えば、レンズユニットが非装着であると判定された場合、または装着レンズユニットが1眼レンズなどの通常のレンズユニッ
トであると判定された場合である。なお、システム制御部50は、レンズ情報におけるレンズフラグ(後述)に基づき、装着レンズユニットが2眼レンズであるか否かを判定してもよい。
【0073】
なお、ステップS402では、システム制御部50は、光学系に対応する像の領域(撮像画像に含まれる像の領域)の数が2であるか否かを判定できればよい。例えば、システム制御部50は、撮像画像を分析することにより、像の領域の数が2であるか否かを判定できる。この場合には、像の領域の数が2であればステップS403に進み、像の領域の数が1であれば図4BのステップS433に進めばよい。
【0074】
ステップS403では、システム制御部50は、マーカー表示の有無の設定において、「マーカー表示あり」に設定されている(マーカーを表示する設定がされている)か否かを判定する。「マーカー表示あり」に設定されていると判定された場合には、ステップS410に進む。「マーカー表示なし」に設定されていると判定された場合にはステップS404に進む。
【0075】
ステップS404では、システム制御部50は、ステップS401において取得した撮像画像からライブビュー表示用画像(表示部108に表示するLV表示用画像)を生成する。なお、ライブビュー表示用画像には、撮影設定の内容を示すアイコンなども合成されていてもよい。
【0076】
ステップS405では、システム制御部50は、ライブビュー表示用画像を表示部108に表示する。
【0077】
ステップS406では、システム制御部50は、LV表示を終了する指示(ユーザからの指示)を受け付けたか否かを判定する。終了する指示を受け付けたと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。終了する指示を受け付けていないと判定された場合には、ステップS401に進む。
【0078】
ステップS410では、システム制御部50は、撮像素子上に形成された右眼光学系301Rを介して形成される右像(第一像)の領域と、左眼光学系301Lを介して形成される左像(第二像)の領域とのそれぞれの中心位置の座標(中心座標)を算出する。カメラ100に二眼レンズが装着されている場合には、右像の領域と左像の領域それぞれの中心位置の座標について、以下に説明されるような原因によって設計値から誤差が発生する。そこで、ステップS410では、システム制御部50は、撮像素子上に形成される画像(撮像画像)を左右に分割した領域それぞれの中心位置を、レンズ情報(下記のイメージサークル位置やイメージサークル位置ずれの情報)にしたがって補正する。これにより、システム制御部50は、マーカーを合成する位置を決定する際の基準位置の座標として、撮像画像における右像の中心位置の座標と左像の中心位置の座標を算出する。なお、ステップS410において算出される座標は、中心位置の座標以外であってもよく、例えば、各像の領域の右端、左端、上端および下端の位置の座標であってもよい。また、ステップS410において算出される座標は、例えば、各像の領域が矩形であれば、4つの頂点の座標であってもよいし、各像の領域が楕円であれば、2つの焦点の座標であってもよい。つまり、ステップS410において算出される座標は、マーカーを合成する際の基準となる座標であれば、任意の基準位置の座標であってよい。
【0079】
図5Aは、レンズ情報(カメラ100に装着された光学系に関する情報;光学系情報)の一例を示す模式図である。カメラ100のシステム制御部50は、通信端子124とレンズユニット300の通信端子306とを介して、レンズユニット300からレンズ情報を取得する。レンズ情報は、レンズ設計値、レンズ個体値、レンズフラグ、レンズ焦点距
離、およびレンズ温度などを含む。
【0080】
レンズ設計値は、収差補正を行うための設計値である。2眼レンズの製造過程では、2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)それぞれにおいて、レンズの偏芯や傾きなどの誤差が発生する。レンズ個体値は、2眼レンズの製造過程で検出した誤差(設定値からの誤差)の測定結果などである。レンズ設計値とレンズ個体値の詳細については、図5Bを用いて後述する。レンズフラグは、2眼レンズであることを示すフラグである。レンズフラグは、カメラ100に装着されているレンズユニット300の種別が2眼レンズであるか否かを識別するために使用できる。レンズ焦点距離は、レンズの中心である「主点」から撮像素子(結像位置)までの距離である。レンズ焦点距離は、2眼レンズの2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)で共通のパラメータであってもよいし、そうでなくてもよい。レンズ温度は、2眼レンズの温度であり、撮影時の環境温度などを把握するために使用される。
【0081】
図5Bは、レンズ設計値とレンズ個体値の詳細を示す模式図である。レンズ設計値は、イメージサークル位置、イメージサークル直径、画角、歪曲補正係数などを含む。
【0082】
イメージサークル位置は、撮像される画像における光学系の光軸中心座標(光軸中心座標の設計値)であり、2眼レンズの2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)のそれぞれについて用意される。つまり、イメージサークル位置は、撮像素子上に結像するイメージサークル(円周魚眼画像)の中心座標(中心位置の座標)であり、右像と左像のそれぞれについて用意される。座標の原点は、例えば、撮像素子の中心(撮像画像の中心)である。イメージサークル位置は、水平方向の座標と垂直方向の座標とを含む。なお、撮像画像における光学系の光軸中心に関する様々な情報を、イメージサークル位置として使用することができる。例えば、イメージサークル位置として、撮像画像における所定の位置(中心や左上隅など)から光軸中心までの距離などを使用することができる。
【0083】
イメージサークル直径は、撮像素子上に結像するイメージサークル(円周魚眼画像)の直径である。画角は、撮像素子上に結像するイメージサークル(円周魚眼画像)の画角である。歪曲補正係数は、レンズの理想像高に対する設計像高の比である。像高ごとに歪曲補正係数を設定し、歪曲補正係数が設定されていない像高については、複数の歪曲補正係数を用いた補間演算により歪曲補正係数を算出してもよい。像高と歪曲補正係数の関係を近似した多項式を設定してもよい。イメージサークル直径、画角、および歪曲補正係数は、2眼レンズの2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)で共通のパラメータであってもよいし、そうでなくてもよい。
【0084】
レンズ個体値は、イメージサークル位置ずれ、光軸傾き、像倍率ずれなどを含む。これらの情報は、2眼レンズの2つの光学系(左眼光学系301Lと右眼光学系301R)のそれぞれについて測定を行って用意される。
【0085】
イメージサークル位置ずれは、撮像素子上に結像するイメージサークル(円周魚眼画像)の中心座標の、設計値からのずれである。例えば、イメージサークル位置ずれは、水平方向のずれと、垂直方向のずれとを含む。設計値の座標(水平方向の座標と垂直方向の座標とを含む2次元座標)を原点として、水平方向の座標により水平方向のずれが示され、垂直方向の座標により垂直方向のずれが示される。
【0086】
図6Aにイメージサークル位置ずれの一例を示す。領域601はセンサーサイズ画面(撮像面)の右または左半分の領域を示す。イメージサークル602は実際の右または左のレンズのイメージサークルである。イメージサークル603は理想の光学系(設計値)の
イメージサークルである。実際のイメージサークル602の位置と理想のイメージサークル603との間には、ずれが発生している。
【0087】
光軸傾きは、被写体側の光軸の向きの、設計値からのずれである。例えば、光軸傾きは、水平方向のずれと垂直方向のずれとを含む。各方向のずれは角度で示される。図6Bに光学傾きによる水平方向のずれの一例を示す。線612は実際の右または左のレンズの水平方向の光軸の向き(傾き)を示す。線613は理想の光学系(設計値)の水平方向の光軸の向きを示す。実際の水平方向の光軸の向き612と理想の水平方向の光軸の向き613との間には、ずれが発生している。
【0088】
また、図6Cに光学傾きによる垂直方向のずれの一例を示す。線622は実際の右または左のレンズの水平方向の光軸の向きを示す。線623は理想の光学系(設計値)の水平方向の光軸の向きを示す。実際の水平方向の光軸の向き622と理想の水平方向の光軸の向き623との間には、ずれが発生している。
【0089】
像倍率ずれは、撮像素子上に結像するイメージサークル(円周魚眼画像)の大きさの、設計値からのずれである。このずれは、例えば、設計値に対する比率で示される。図6Dに像倍率ずれの一例を示す。イメージサークル632は実際の右または左のレンズを介して撮像素子上に結像するイメージサークルである。イメージサークル633は理想の光学系(設計値)を介して撮像素子上に結像するイメージサークルである。実際のイメージサークル632と理想の光学系のイメージサークル633との間には、ずれが発生している。
【0090】
なお、レンズ情報に含まれる情報は、上述した情報に限られない。例えば、レンズ情報は、撮影された画像における右像と左像それぞれの境界位置(円周魚眼画像の縁の位置)を含んでもよい。レンズ情報は、撮影された画像における右像と左像の間の中点座標を含んでもよい。多くの場合、中点座標は撮影された画像の中心座標と一致する。
【0091】
上述のレンズ設計値やレンズ個体値で示されるように、デジタルカメラ100に装着されているレンズユニット300のイメージサークルの位置は誤差が発生するため、単に画面を左右に分割した領域の中央は、左像および右像の中心とは一致しない。
【0092】
ステップS411では、システム制御部50は、ユーザにより設定されているマーカー種別(マーカーの種別)がセンターマーカーであるか否かを判定する。マーカー種別がセンターマーカーであると判定された場合には、ステップS412に進む。マーカー種別がセンターマーカーでないと判定された場合には、ステップS413に進む。
【0093】
ステップS412では、システム制御部50は、ステップS410で算出された右像の領域と左像の領域それぞれの中心位置にセンターマーカーを合成して、ライブビュー表示用画像(合成画像)を生成する。
【0094】
ステップS413では、システム制御部50は、ユーザにより設定されているマーカー種別が垂直マーカーであるか否かを判定する。マーカー種別が垂直マーカーであると判定された場合には、ステップS414に進む。マーカー種別が垂直マーカーでないと判定された場合には、ステップS415に進む。
【0095】
ステップS414では、システム制御部50は、2つの垂直マーカー(ステップS410で算出された右像の領域の中心位置を通る縦線と左像の領域の中心位置を通る縦線)を撮像画像に合成する。これにより、システム制御部50は、ライブビュー表示用画像(合成画像)を生成する。
【0096】
ステップS415では、システム制御部50は、ユーザにより設定されているマーカー種別が水平マーカーであるか否かを判定する。マーカー種別が水平マーカーであると判定された場合には、ステップS416に進む。マーカー種別が水平マーカーでないと判定された場合には、ステップS421に進む。
【0097】
ステップS416では、システム制御部50は、水平マーカー(ステップS410で算出された右像の領域の中心位置を通る横線と、左像の領域の中心位置を通る横線)を撮像画像に合成する。これにより、システム制御部50は、ライブビュー表示用画像を生成する。
【0098】
なお、システム制御部50は、右眼光学系301Rを介して形成される右像(第一像)の領域と、左眼光学系301Lを介して形成される左像(第二像)の領域が左右に並べて表示されるか、上下に並べて表示されるかを判定してもよい。そして、システム制御部50は、2つの像の領域が左右に並べて表示されている場合にのみ、水平マーカーを表示するようにしてもよい。また、システム制御部50は、2つの像の領域が上下に並べて表示されている場合にも、水平マーカーを表示するようにしてもよい。右像の領域と左像の領域の並べ方は、撮影時のカメラの向き、レンズユニットの構造、あるいはユーザの設定などによって決定される。
【0099】
ステップS421では、システム制御部50は、ユーザにより設定されているマーカー種別がユーザマーカーであるとみなして(判定して)、ユーザマーカーの表示位置が既に設定されている(設定済みである)か否かを判定する。ユーザマーカーの表示位置が設定済みであると判定された場合には、ステップS422に進む。ユーザマーカーの表示位置が設定済みでないと判定された場合には、ステップS423に進む。
【0100】
ステップS422では、システム制御部50は、右像の領域に設定されているユーザマーカーの位置、および左像の領域に設定されているユーザマーカーの表示位置にそれぞれ、ユーザマーカーを合成する。これにより、システム制御部50は、ライブビュー表示用画像を生成する。
【0101】
ステップS423では、システム制御部50は、ユーザの操作にしたがって、右像の領域および左像の領域のうちいずれか一方(ユーザが選択した一方の像の領域)において、ユーザマーカーの表示位置を調整する。これにより、システム制御部50は、ユーザマーカーの表示位置を設定(決定)する。
【0102】
ステップS424では、システム制御部50は、右像の領域および左像の領域のうち、ステップS423でユーザによる調整に用いられなかった方について、ユーザマーカーの表示位置を設定(決定)する。システム制御部50は、上述のレンズ設計値やレンズ個体値の情報に従い、ステップS423で決定された位置を補正した位置を、ユーザマーカーの表示位置として設定する。例えば、システム制御部50は、右像の領域の中心位置に対するユーザマーカーの表示位置の相対位置と、左像の領域の中心位置に対するユーザマーカーの表示位置の相対位置を同一にするように、右像の領域と左像の領域のユーザマーカーの表示位置を設定する。
【0103】
ステップS425では、システム制御部50は、撮像画像におけるステップS423およびS424で設定された表示位置に、ユーザマーカーを合成(重畳)する。これにより、システム制御部50は、ライブビュー表示用画像を生成する。
【0104】
図4BのステップS433では、システム制御部50は、ステップS403と同様に「
マーカー表示あり」に設定されている(マーカーを表示する設定がされている)か否かを判定する。「マーカー表示あり」に設定されていると判定された場合にはステップS440に進み、システム制御部50は、ステップS440で表示部108の画面(撮像画像全体)の中心位置の座標を取得する。なお、「マーカー表示なし」に設定されていると判定された場合には、ステップS404に進む。
【0105】
ステップS441~S446では、システム制御部50は、ステップS440で取得された中心位置の座標に基づき、ステップS411~S416と同様の処理を実行する。なお、システム制御部50は、ステップS411~S416では、像の領域ごとにマーカーを撮像画像に合成していたが、ステップS441~S446では、1つのマーカーのみを撮像画像に合成する(図7A図8A、および図9A参照)。
【0106】
ステップS451では、システム制御部50は、ユーザにより設定されているマーカー種別がユーザマーカーであるとみなして(判定して)、ユーザマーカーの表示位置が既に設定されている(設定済みである)か否かを判定する。ユーザマーカーの表示位置が設定済みであると判定された場合には、ステップS452に進む。ユーザマーカーの表示位置が設定済みでないと判定された場合には、ステップS453に進む。
【0107】
ステップS452では、システム制御部50は、設定されているユーザマーカーの表示位置に、ユーザマーカーを合成する。これにより、システム制御部50は、ライブビュー表示用画像を生成する。
【0108】
ステップS453では、システム制御部50は、表示部108の画面(撮像画像)全体において、ユーザの操作にしたがって、ユーザマーカーの表示位置の調整を行い、ユーザマーカーの表示位置を設定(決定)する。
【0109】
上述のように、システム制御部50は、ユーザが設定したマーカー種別(マーカーの種別)を判定する種別判定部、撮像画像における像の領域の数を判定する判定部として動作することができる。また、システム制御部50は、マーカーを撮像画像に合成してライブビュー表示用画像を生成する生成部として動作することができる。
【0110】
(マーカーの表示について)
以下、図7A図10Bに示すライブビュー表示の一例を用いて、マーカーの表示について説明する。なお、各図におけるマーカーの表示形態は、一例であり、各図に表されている表示形態に限らない。例えば、センターマーカーおよびユーザマーカーの形状は、星形や丸形であってもよい。水平マーカーや垂直マーカーは、破線や点線により表されていてもよい。
【0111】
図7Aは、カメラ100に装着されたレンズユニットが1眼レンズであり、かつ、マーカー種別がセンターマーカーである場合(ステップS441でYESの場合)におけるライブビュー表示701を示す。図7Aの例では、画面(撮像画像)の中心位置にセンターマーカー702が表示されている。
【0112】
図7Bは、カメラ100に装着されたレンズユニットが2眼レンズであり、かつ、マーカー種別がセンターマーカーである場合(ステップS411でYESの場合)におけるライブビュー表示703を示す。領域704は、レンズユニット300における右眼光学系301Rを介する撮像により得られた右像の領域である。領域705は、レンズユニット300における左眼光学系301Lを介する撮像により得られた左像の領域である。図7Bの例では、領域704の中心位置にセンターマーカー706が表示されており、領域705の中心位置にセンターマーカー707が表示されている。
【0113】
図8Aは、カメラ100に装着されたレンズユニットが1眼レンズであり、かつ、マーカー種別が垂直マーカーである場合(ステップS443にてYESの場合)におけるライブビュー表示801を示す。図8Aの例では、画面(撮像画像)の中心位置を通り、上下方向に延在する垂直マーカー802が表示されている。
【0114】
図8Bは、カメラ100に装着されたレンズユニットが2眼レンズであり、かつ、マーカー種別が垂直マーカーである場合(ステップS413にてYESの場合)におけるライブビュー表示803を示す。垂直マーカー806は、右像の領域804における中心位置を通り、上下方向に延在する。垂直マーカー807は、左像の領域805における中心位置を通り、上下方向に延在する。
【0115】
図9Aは、カメラ100に装着されたレンズユニットが1眼レンズであり、かつ、マーカー種別が水平マーカーである場合(ステップS445にてYESの場合)におけるライブビュー表示901を示す。図9Aの例では、画面(撮像画像)の中心位置を通り、左右方向に延在する水平マーカー902が表示されている。
【0116】
図9Bは、カメラ100に装着されたレンズユニットが2眼レンズであり、かつ、マーカー種別が水平マーカーである場合(ステップS415にてYESの場合)におけるライブビュー表示903を示す。水平マーカー906は、右像の領域904における中心位置を通り、左右方向に延在する。水平マーカー907は、左像の領域905における中心位置を通り、左右方向に延在する。
【0117】
図10Aは、カメラ100に装着されたレンズユニットが1眼レンズであり、かつ、マーカー種別がユーザマーカーである場合(ステップS445にてNOの場合)におけるライブビュー表示1001を示す。図10Aの例では、ユーザが設定した表示位置に、ユーザマーカー1002が表示されている。
【0118】
図10Bは、カメラ100に装着されたレンズユニットが2眼レンズであり、かつ、マーカー種別がユーザマーカーである場合(ステップS415にてNOの場合)におけるライブビュー表示1003の一例を示す図である。ユーザマーカー1006は、右像の領域1004に表示するユーザマーカーである。ユーザマーカー1007は、左像の領域1005に表示するユーザマーカーである。
【0119】
なお、本実施形態では、1眼レンズと2眼レンズを使用した場合のライブビュー画像にマーカーを表示する例を説明したが、2眼レンズの代わりに3眼以上の複眼レンズを使用して撮影された画像にマーカーを表示してもよい。つまり、撮像画像は、2以上の像(光学像)の領域を含んでいてもよい。なお、3眼以上の複眼レンズ(3以上の光学系を有するレンズユニット)を使用して撮影された画像にマーカーを表示する場合には、ステップS411~S425では、光学系に対応する像の領域ごとに、マーカーが合成される。例えば、マーカー種別が水平マーカーであれば、像の領域ごとに、当該像の領域の中心位置を通る水平マーカーが表示される。マーカー種別がユーザマーカーであれば、1つの像の領域ではユーザが設定した表示位置にユーザマーカーが表示され、他の複数の像(1つの像以外)の領域では、像の領域ごとに、ユーザが設定した表示位置を補正した位置にユーザマーカーが表示される。
【0120】
また、本実施形態では、マーカー種別として4種類のマーカー(センターマーカー、垂直マーカー、水平マーカー、およびユーザマーカー)について説明を行ったが、マーカー種別は、グリッドマーカーなどの他のマーカーを含んでいてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、撮像装置における撮像素子(イメージセンサ)が1つである場合について説明を行ったが、撮像素子(イメージセンサ)を2つ以上使用した撮像装置を使用して撮影された画像にマーカーを表示してもよい。
【0122】
本実施形態によれば、システム制御部50は、カメラ100に装着されたレンズユニットの種類を判定して、判定した結果に応じてマーカーの位置を制御する。また、カメラ100に装着されたレンズユニットが2眼レンズであれば、システム制御部50は、像の領域ごとに、レンズ(光学系)に関する情報(レンズ設計値またはレンズ個体値など)に応じてマーカーの位置を制御(補正)する。このため、ユーザによる撮像に適した位置にマーカーを表示することが可能になる。
【0123】
また、上記において、「AがB以上の場合にはステップS1に進み、AがBよりも小さい(低い)場合にはステップS2に進む」は、「AがBよりも大きい(高い)場合にはステップS1に進み、AがB以下の場合にはステップS2に進む」と読み替えてもよい。逆に、「AがBよりも大きい(高い)場合にはステップS1に進み、AがB以下の場合にはステップS2に進む」は、「AがB以上の場合にはステップS1に進み、AがBよりも小さい(低い)場合にはステップS2に進む」と読み替えてもよい。このため、矛盾が生じない限り、「A以上」という表現は、「AまたはAよりも大きい(高い;長い;多い)」と置き換えてもよいし、「Aよりも大きい(高い;長い;多い)」と読み替えてよく、置き換えてもよい。一方で、「A以下」という表現は、「AまたはAよりも小さい(低い;短い;少ない)」と置き換えてもよいし、「Aよりも小さい(低い;短い;少ない)」と置き換えても読み替えてもよい。そして、「Aよりも大きい(高い;長い;多い)」は、「A以上」と読み替えてもよく、「Aよりも小さい(低い;短い;少ない)」は「A以下」と読み替えてもよい。
【0124】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0125】
なお、上記の各実施形態(各変形例)の各機能部は、個別のハードウェアであってもよいし、そうでなくてもよい。2つ以上の機能部の機能が、共通のハードウェアによって実現されてもよい。1つの機能部の複数の機能のそれぞれが、個別のハードウェアによって実現されてもよい。1つの機能部の2つ以上の機能が、共通のハードウェアによって実現されてもよい。また、各機能部は、ASIC、FPGA、DSPなどのハードウェアによって実現されてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、装置が、プロセッサと、制御プログラムが格納されたメモリ(記憶媒体)とを有していてもよい。そして、装置が有する少なくとも一部の機能部の機能が、プロセッサがメモリから制御プログラムを読み出して実行することにより実現されてもよい。
【0126】
(その他の実施形態)
本発明は、上記の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0127】
上記の実施形態の開示は、以下の構成、方法、およびプログラムを含む。
[構成1]
1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定手段と、
前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定手段と、
1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する光学系情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
[構成2]
前記光学系情報は、前記撮像に用いられた複数の光学系それぞれの光軸中心座標の設計値および前記設計値からのずれの情報を含む、
ことを特徴とする構成1に記載の電子機器。
[構成3]
前記合成手段は、前記像の領域の数が2以上である場合には、前記複数の光学系それぞれの前記設計値および前記ずれの情報に基づき、前記像の領域ごとの基準位置を判定して、前記像の領域ごとの基準位置に基づき前記マーカーを合成する、
ことを特徴とする構成2に記載の電子機器。
[構成4]
前記マーカーの種別が第1のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における中心位置に前記第1のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記光学系情報に基づき前記像の領域ごとに中心位置を判定して、前記像の領域ごとの中心位置に前記第1のマーカーを合成する、
ことを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
[構成5]
前記マーカーの種別が第2のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における中心位置を通り左右方向に延在する前記第2のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記光学系情報に基づき前記像の領域ごとに中心位置を判定して、前記像の領域ごとに、当該領域の中心位置を通り左右方向に延在する前記第2のマーカーを合成する、
ことを特徴とする構成1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
[構成6]
前記マーカーの種別が第3のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における中心位置を通り上下方向に延在する前記第3のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記光学系情報に基づき前記像の領域ごとに中心位置を判定して、前記像の領域ごとに、当該領域の中心位置を通り上下方向に延在する前記第3のマーカーを合成する、
ことを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
[構成7]
前記マーカーの種別が第4のマーカーを示していれば、前記合成手段は、1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像におけるユーザが設定した位置に前記第4のマーカーを合成し、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記ユーザが設定した位置に第1の像の領域に対して前記第4のマーカーを合成するとともに、前記第1の像以外の像の領域それぞれに対して、前記ユーザが設定した位置を像の領域ごとに前記光学系情報に基づき補正した位置に前記第4のマーカーを合成する、
ことを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
[構成8]
前記判定手段は、前記1または複数の光学系を含むレンズユニットの種類の情報に基づき、前記像の領域の数を判定する、
ことを特徴とする構成1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
[構成9]
前記マーカーは、ユーザが撮影時の構図を決める際の目安として使用されるマーカーで
ある、
ことを特徴とする構成1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
[方法]
1または複数の光学系を介した撮像により取得された撮像画像であって、光学系ごとの像の領域を有する撮像画像を取得する取得ステップと、
前記撮像画像に合成するマーカーの種別を判定する種別判定ステップと、
前記撮像画像における前記像の領域の数を判定する判定ステップと、
1)前記像の領域の数が1である場合には、前記撮像画像における前記マーカーの種別に応じた位置に前記マーカーを合成して、2)前記像の領域の数が2以上である場合には、前記像の領域ごとに、前記撮像に用いられた光学系に関する光学系情報と前記マーカーの種別とに基づく位置に前記マーカーを合成する合成ステップと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
[プログラム]
コンピュータを、構成1から9のいずれか1項に記載された電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0128】
100:カメラ、211:撮像部、50:システム制御部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10