(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181640
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】室圧制御システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094890
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】上羽 勇毅
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊裕
【テーマコード(参考)】
3L056
【Fターム(参考)】
3L056BD04
3L056BF04
(57)【要約】
【課題】入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムにおいて、対象室の室圧を適切に目標室圧に維持しながら、ドアの開閉時の対象室の室圧の急激な変化を合理的且つ良好に抑制するための技術を提供する。
【解決手段】ドア21の施解錠を制御するドアロック制御部5の作動状態に基づいてドア21が解錠されているか否かを判定する解錠判定手段3を備え、給排気制御部2が、解錠判定手段3により判定されたドア21の解錠時に室圧制御による制御対象給排気状態の変更を禁止する給排気状態変更禁止処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムであって、
前記ドアの施解錠を制御するドアロック制御部の作動状態に基づいて当該ドアが解錠されているか否かを判定する解錠判定手段を備え、
前記給排気制御部が、前記解錠判定手段により判定された前記ドアの解錠時に前記室圧制御による前記制御対象給排気状態の変更を禁止する給排気状態変更禁止処理を実行する室圧制御システム。
【請求項2】
前記ドアロック制御部が、前記対象室が有する複数のドアの夫々に対して一部のドアの解錠時に残部のドアの解錠を禁止するインターロック制御を実行するものとして構成されており、
前記解錠判定手段が、前記ドアロック制御部の作動状態に基づいて前記複数のドアのうちの一部のドアが解錠されている時間帯を前記ドアの解錠時として判定する請求項1に記載の室圧制御システム。
【請求項3】
前記給排気制御部が、前記対象室への給気量を一定に保ちながら前記対象室からの排気状態を前記制御対象給排気状態として制御して前記対象室の室圧を外部の気圧よりも高い目標陽圧に維持する排気側陽圧制御を前記室圧制御として実行すると共に、前記解錠判定手段により判定されたドアの解錠時に前記排気状態の変更を禁止する排気状態変更禁止処理を前記給排気状態変更禁止処理として実行する請求項1又は2に記載の室圧制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムが知られている(特許文献1を参照。)。
特許文献1記載の室圧制御システムでは、ドアの開閉を直接的に検知するドア開閉検知器が設けられており、当該ドア開閉検知器により検知されたドアの開放時には、給気風路や排気風路に介装された室圧調整用ダンパの開度をドアが開放される時点の開度に固定する形態で、上記室圧制御による上記制御対象給排気状態の変更を禁止する給排気状態変更禁止処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の室圧制御システムでは、ドア開閉検知器によりドアの開放が直接的に検知された時点で上記給排気状態変更禁止処理の実行を開始する構成であるため、ドアの開放直後においては、上記給排気状態変更禁止処理の実行が間に合わずに上記室圧制御における制御対象給排気状態の変更が行われてしまう場合がある。すると、ドアの開放直後における室圧の変動を抑制するべく制御対象給排気状態である室圧調整用ダンパの開度が大幅に変更されてしまい、その直後の給排気状態変更禁止処理の実行により室圧調整用ダンパ開度がその大幅な変更後の開度で固定されてしまうことになる。その後、このように室圧調整用ダンパの開度が適切な開度から外れている状態でドアが閉鎖されると、対象室の室圧が急激に変化してしまい、例えば急激な気圧変化に弱い機器やシール部の損傷等を招く恐れがある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムにおいて、対象室の室圧を適切に目標室圧に維持しながら、ドアの開閉時の対象室の室圧の急激な変化を合理的且つ良好に抑制するための技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムであって、
前記ドアの施解錠を制御するドアロック制御部の作動状態に基づいて当該ドアが解錠されているか否かを判定する解錠判定手段を備え、
前記給排気制御部が、前記解錠判定手段により判定された前記ドアの解錠時に前記室圧制御による前記制御対象給排気状態の変更を禁止する給排気状態変更禁止処理を実行する点にある。
【0007】
本構成によれば、上記解錠判定手段により、ドアが開閉される可能性がある上記ドアの解錠時であると判定された場合には、その解錠時において、上記給排気制御部により上記給排気状態変更禁止処理が実行されて、上記室圧制御による制御対象給排気状態の変更が禁止される。すると、上記ドアの解錠時でのドアの開閉時において、上記室圧制御による制御対象給排気状態の変更に起因する対象室の室圧の急激な変化を抑制することができる。特に、ドアの開放時において、対象室の外部に対する気密性の低下に伴って対象室の室圧が外部の気圧へ近づく側に変化しようとすることに逆らって制御対象給排気状態が変更されることがないので、その後のドアの閉鎖時において、対象室の外部に対する急激な気密性の上昇に伴って対象室の室圧が急激に外部の気圧から離れる側に変化することを抑制できる。
一方、上記解錠判定手段により、上記解錠時ではなく、ドアの施錠時であると判定された場合には、その施錠時において、上記給排気制御部により、上記室圧制御による制御対象給排気状態の変更が許容されるので、制御対象給排気状態を制御して対象室の室圧を適切に目標室圧に維持することができる。
従って、本発明により、入退室用のドアを有する対象室における給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して当該対象室の室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部を備えた室圧制御システムにおいて、対象室の室圧を適切に目標室圧に維持しながら、ドアの開閉時の対象室の室圧の急激な変化を合理的且つ良好に抑制するための技術を提供することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記ドアロック制御部が、前記対象室が有する複数のドアの夫々に対して一部のドアの解錠時に残部のドアの解錠を禁止するインターロック制御を実行するものとして構成されており、
前記解錠判定手段が、前記ドアロック制御部の作動状態に基づいて前記複数のドアのうちの一部のドアが解錠されている時間帯を前記ドアの解錠時として判定する点にある。
【0009】
本構成によれば、対象室が有する複数のドアに対して、上記ドアロック制御部が上記インターロック制御を実行するものであることから、そのインターロック制御を実行するドアロック制御部を利用して、上記解錠判定手段により、対象室が有する複数のドアの夫々に対して一部のドアが解錠されてから施錠されるまでの時間帯を上記ドアの解錠時として判定することができる。
そして、一部のドアが開閉される可能性があるドアの解錠時において、上記給排気制御部により上記給排気状態変更禁止処理が実行されるので、当該ドアの解錠時での一部のドアの開閉時において、上記室圧制御による制御対象給排気状態の変更に起因する対象室の室圧の急激な変化を抑制することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記給排気制御部が、前記対象室への給気量を一定に保ちながら前記対象室からの排気状態を前記制御対象給排気状態として制御して前記対象室の室圧を外部の気圧よりも高い目標陽圧に維持する排気側陽圧制御を前記室圧制御として実行すると共に、前記解錠判定手段により判定されたドアの解錠時に前記排気状態の変更を禁止する排気状態変更禁止処理を前記給排気状態変更禁止処理として実行する点にある。
【0011】
本構成によれば、上記ドアの解錠時において、上記給排気制御部により上記排気状態変更禁止処理が実行されて、上記排気側陽圧制御による排気状態の変更が禁止される。すると、上記ドアの解錠時内でのドアの開閉時において、上記排気側陽圧制御による排気状態の変更に起因する対象室の室圧の急激な変化を抑制することができる。特に、ドアの開放時において、対象室の外部に対する気密性の低下に伴って対象室の室圧が低下することに逆らって対象室からの排気量が絞られる側に排気状態が変更されることがないので、その後のドアの閉鎖時において、対象室の外部に対する急激な気密性の上昇に伴って対象室の室圧が急激に上昇することを抑制でき、例えば室圧の急上昇に弱い機器やシール部の破損等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】入退室用のドアを有する対象室の配置状態を示す図
【
図2】本実施形態の室圧制御システム及びインターロック制御システムの構成を示す図
【
図3】排気側陽圧制御実行時における排気状態変更禁止処理の実行の流れを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る室圧制御システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
尚、本実施形態では、
図1に示すように、一対の通路Bの間に、クリーンルームなどの着衣室、前室、作業室などの複数の対象室Aが配置されており、これら対象室Aへの入退室用の複数のドア21が、通路Bと対象室Aとの間や隣接する2つの対象室Aの間に設けられている場合について説明する。
【0014】
図2に示すように、本実施形態の室圧制御システム(以下、「本室圧制御システム」と呼ぶ。)1は、対象室Aの室圧を目標室圧に維持するためのシステムとして構成されている。
更に、本室圧制御システム1とは別に、ドア21の施解錠を制御するドアロック制御部として、インターロック制御システム5が設けられている。
即ち、夫々のドア21には、当該ドア21の施解錠を電気的に行う電子錠22が設けられており、入退室者がドア21付近の壁に設けられた解錠スイッチ23を押圧操作することにより、当該電子錠22が一時的に解錠状態となってドア21が解錠される。即ち、対象室Aに対して入退室者が入退室を行う際には、先ず、入退室者による解錠スイッチ23の押圧操作により電子錠22が解錠状態となってドア21が解錠され、その後入退室者によりドア21が開放されて入退室が行われ、その後ドア21が閉鎖され、そのドア21の閉鎖に伴って電子錠22が施錠状態となってドア21が施錠される。
【0015】
インターロック制御システム5は、電子錠22の作動を制御する形態で、対象室Aの入退室用の複数のドア21の夫々に対し、一部のドア21の解錠時に残部のドア21の解錠を禁止するインターロック制御を実行する。
尚、インターロック制御システム5は、夫々の対象室Aに対して個別にインターロック制御を実行するものとして構成できるが、本実施形態では、
図1に示す複数の対象室Aの全てのドア21を同じインターロック制御の対象とし、全てのドア21のうちの一つのドア21の解錠時に、残りの全てのドア21の解錠を禁止するように構成されている。
【0016】
夫々の対象室Aには、
図2に示すように、当該対象室Aの室内空気を排気EAとして外部に排出するための排気ダクト11と、清浄済みの空気を給気SAとして当該対象室Aに供給するための給気ダクト15とが設けられている。また、排気ダクト11には、開度調整可能な排気ダンパ12が設けられており、一方、給気ダクト15には、開度調整可能な給気ダンパ16が設けられている。
【0017】
本室圧制御システム1には、詳細については後述するが、対象室Aにおける給気状態及び排気状態の少なくとも一方である制御対象給排気状態を制御して、当該対象室Aの室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する給排気制御部2が設けられている。
そして、本室圧制御システム1は、対象室Aの室圧を適切に目標室圧に維持しながら、ドア21の開閉時の対象室Aの室圧の急激な変化を合理的且つ良好に抑制するための構成が採用されており、以下にその詳細について説明を加える。
【0018】
本室圧制御システム1には、ドア21の施解錠を制御するインターロック制御システム5の作動状態に基づいて、当該ドア21が解錠されているか否かを判定する解錠判定手段3が設けられている。
解錠判定手段3は、自ら直接的に電子錠22やドア21の状態を監視するのではなく、インターロック制御システム5の作動状態に基づいて、対象室Aに設けられた複数のドア21のうちの一部のドア21が解錠されている時間帯をドア21の解錠時として判定するように構成されている。即ち、インターロック制御システム5は、一部のドア21の電子錠22が解錠状態である間にそれを示す解錠信号を解錠判定手段3に送信する。そして、解錠判定手段3は、インターロック制御システム5から解錠信号を受信している時間帯を、ドア21の解錠時として判定する。
【0019】
上記給排気制御部2は、給気ダンパ16及び排気ダンパ12の少なくとも一方の開度を制御対象給排気状態として制御することにより、対象室Aの室圧を目標室圧に維持する室圧制御を実行する。更に、上記給排気制御部2は、このような室圧制御を実行するにあたり、上述した解錠判定手段3により判定されたドア21の解錠時に、上記制御対象給排気状態とされた給気ダンパ16及び排気ダンパ12の少なくとも一方の開度を固定する形態で、当該室圧制御による制御対象給排気状態の変更を禁止する給排気状態変更禁止処理を実行する。
すると、ドア21の解錠に続くドア21の開放時において、上記室圧制御による制御対象給排気状態の変更に起因する対象室Aの室圧の急激な変化が抑制される。上述した室圧制御では、ドア21の開放時における対象室Aの外部に対する気密性の低下に伴って、対象室Aの室圧の変化に逆らって制御対象給排気状態が変更されようとするが、上記給排気状態変更禁止処理が実行されて制御対象給排気状態の変更が禁止される。よって、その後のドア21の閉鎖時において、上述した室圧制御では、対象室Aの外部に対する急激な気密性の上昇に伴って、給排気状態が急激に変化して対象室Aの室圧が急激に外部の気圧から離れる側に変化するが、上記給排気状態変更禁止処理が実行されて給排気状態の変更が禁止されているので、このような対象室Aの室圧の急激な変化が抑制されることになる。
【0020】
一方、上記解錠判定手段3によりドア21が施錠時であると判定された場合には、その施錠時において、上記給排気制御部2による給排気状態変更禁止処理の実行が終了されて、給気ダンパ16及び排気ダンパ12の少なくとも一方の開度の固定が解除される。すると、上記室圧制御による給気ダンパ16及び排気ダンパ12の少なくとも一方の開度調整を伴う制御対象給排気状態の変更が許容されるので、対象室Aの室圧が適切に目標室圧に維持されることになる。
【0021】
給排気制御部2は、対象室Aへの給気量を一定に保ちながら対象室Aからの排気状態を上記制御対象給排気状態として制御して、対象室Aの室圧を外部の気圧よりも高い目標陽圧に維持する排気側陽圧制御を、上記室圧制御として実行するものとして構成されている。
【0022】
即ち、給排気制御部2は、給気ダンパ16内に設置された風速センサ(図示省略)で計測される風速が一定に維持されるように、当該給気ダンパ16の開度を制御する。即ち、この給気ダンパ16は、給排気制御部2による制御を伴って、対象室Aへの給気SAの供給量(給気量)を一定に保つ定風量制御装置(CAV)として機能する。
一方、給排気制御部2は、対象室Aに設置された室圧センサ20で計測される対象室Aの室圧が上述の目標室圧に維持されるように、排気ダンパ12の開度を制御する。即ち、この排気ダンパ12は、対象室Aの室圧を一定に維持する室圧制御ダンパ(PCD)として機能する。
そして、上記対象室Aの目標室圧は、当該対象室Aに隣接する通路Pなどの外部の気圧よりも高い目標陽圧に設定されている。
【0023】
このように排気側陽圧制御を実行する給排気制御部2は、解錠判定手段3により判定されたドア21の解錠時に、排気ダンパ12の開度を固定する形態で、排気状態の変更を禁止する排気状態変更禁止処理を上述した給排気状態変更禁止処理として実行する。
以下、対象室Aへの入室者Cの入室時における排気状態変更禁止処理の実行タイミングについて、
図3を用いて説明する。
【0024】
図3(a)に示すように、対象室Aに入室しようとする入室者Cにより解錠スイッチ23が押圧操作されると、解錠スイッチ23が対応するドア21の電子錠22が解錠状態となって当該ドア21が解錠される。給排気制御部2は、その電子錠22の解錠状態への作動に伴って、排気ダンパ12の開度をそのときの開度に固定する形態で、室圧制御による排気状態の変更を禁止する排気状態変更禁止処理を実行する。
【0025】
電子錠22の解錠状態への作動によるドア21の解錠に続いて、
図3(b)に示すように、入室者Cが対象室Aへ入出するためにドア21が開放された際には、上記排気状態変更禁止処理により予め排気ダンパ12の開度が固定されて上記排気側陽圧制御による排気状態の変更が禁止されている。すると、ドア21の開放に起因する対象室Aの室圧の急激な変化が抑制される。上述した排気側陽圧制御では、ドア21の開放時における対象室Aの外部に対する気密性の低下に伴って、対象室Aの室圧の低下に逆らって排気ダンパ12の開度の縮小により対象室Aからの排気量が絞られる側に変更されようとするが、上記排気状態変更禁止処理が実行されて排気ダンパ12の開度が固定されているので、このような排気ダンパ12の開度の縮小による排気量の低下が阻止されることになる。
【0026】
対象室Aへの入室者Cの入室が完了して、
図3(c)に示すように、ドア21が閉鎖された際にも、上記排気状態変更禁止処理により予め排気ダンパ12の開度が固定されて上記排気側陽圧制御による排気状態の変更が禁止されている。上述した排気側陽圧制御では、対象室Aの外部に対する急激な気密性の上昇に伴って、排気ダンパ12の開度の急拡大により対象室Aの室圧が急激に上昇するが、上記排気状態変更禁止処理が実行されて排気ダンパ12の開度が固定されているので、このような対象室Aの室圧の急激な上昇が抑制される。よって、対象室Aの室圧の急激な上昇に起因する機器やシール部の損傷等を防止することができる。
そして、ドア21の閉鎖に伴って電子錠22が施錠状態となってドア21が施錠されると、給排気制御部2により、排気状態変更禁止処理の実行が終了されて、排気ダンパ12の開度固定が解除される。すると、排気側陽圧制御により室圧が所望の目標陽圧に維持されることになる。
【0027】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0028】
(1)上記実施形態では、給排気制御部2により実行される室圧制御において、給気ダンパ16及び排気ダンパ12の少なくとも一方の開度を制御対象給排気状態として制御したが、給気ダクト15に設けた給気ファンや排気ダクト11に設けた排気ファンの少なくとも一方の送風量を制御対象給排気状態として制御して、対象室Aの室圧を目標室圧に維持するように構成しても構わない。この場合、給排気状態変更禁止処理では、上記制御対象給排気状態とされた給気ファン及び排気ファンの少なくとも一方の送風量を固定する形態で、当該室圧制御による制御対象給排気状態の変更を禁止することができる。
【0029】
(2)上記実施形態では、対象室Aの入退室用の複数のドア21の夫々に対してインターロック制御を実行するインターロック制御システム5をドアロック制御部として設けたが、ドアロック制御部は、ドア21の施解錠を制御するものであれば良く、インターロック制御を実行せずに単に電子錠22の作動を制御するものであっても構わない。
【0030】
(3)上記実施形態では、対象室Aの室圧を目標室圧に維持する室圧制御として、対象室Aへの給気量を一定に保ちながら対象室Aからの排気状態を制御して、対象室Aの室圧を外部の気圧よりも高い目標陽圧に維持する排気側陽圧制御を実行する例を説明したが、別の形態の室圧制御を実行することもできる。
例えば、対象室Aからの排気量を一定に保ちながら対象室Aへの給気状態を制御して、対象室Aの室圧を外部の気圧よりも高い目標陽圧に維持する給気側陽圧制御を上記室圧制御として実行することができる。
また、このような室圧制御において、対象室Aの室圧を外部の気圧よりも低い目標陰圧に維持するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0031】
1 室圧制御システム
2 給排気制御部
3 解錠判定手段
5 インターロック制御システム(ドアロック制御部)
21 ドア
A 対象室
EA 排気
SA 給気