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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181650
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】レーザレーダおよび受光光学系
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094903
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】細川 哲央
(72)【発明者】
【氏名】加納 康行
(72)【発明者】
【氏名】古賀 稔浩
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA01
5J084AA05
5J084AC02
5J084AC07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA48
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB20
5J084BB25
5J084CA03
5J084DA01
5J084EA07
(57)【要約】
【課題】反射光を適正に光検出器へと導くことが可能なレーザレーダおよび受光光学系を提供する。
【解決手段】レーザレーダは、レーザ光を投射する投射光学系と、物体により反射されたレーザ光の反射光を受光する受光光学系と、を備える。受光光学系は、光検出器123と、光検出器123の前段に配置された集光レンズ121と、集光レンズ121の前段または後段に配置され、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを物体までの距離に応じて光検出器123に導く回折素子122と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を投射する投射光学系と、
物体により反射された前記レーザ光の反射光を受光する受光光学系と、を備え、
前記受光光学系は、
光検出器と、
前記光検出器の前段に配置された集光レンズと、
前記集光レンズの前段または後段に配置され、前記反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを前記物体までの距離に応じて前記光検出器に導く回折素子と、を備える、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記複数の回折光は、前記光検出器の受光面を含む平面上において、前記物体までの距離に応じて前記集光レンズの光軸に垂直な方向に変化する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項3】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記投射光学系は、光源およびコリメータレンズを備え、
前記コリメータレンズの光軸と前記集光レンズの光軸とが離間している、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項4】
請求項3に記載のレーザレーダにおいて、
前記回折素子には、前記反射光を前記コリメータレンズの光軸と前記集光レンズの光軸との離間方向に回折させる回折溝が形成されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記投射光学系は、光源およびコリメータレンズを備え、
前記コリメータレンズの光軸と前記集光レンズの光軸とが整合している、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザレーダにおいて、
前記光源および前記コリメータレンズは、前記集光レンズの中央に形成された開口内に設置されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項7】
請求項5に記載のレーザレーダにおいて、
前記回折素子には、集光作用を有する回折溝が形成されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記光検出器に導かれる前記反射光の前記回折次数は、0次と1次である、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記光検出器に導かれる前記反射光の前記回折次数は、3つ以上である、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項10】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記回折素子は、透過型である、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項11】
請求項10に記載のレーザレーダにおいて、
前記回折素子は、前記集光レンズと一体的に構成されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項12】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記回折素子は、反射型である、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項13】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記回折素子と前記集光レンズとが、一体化されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項14】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記投射光学系は、複数の光源および1つのコリメータレンズを備え、
前記光検出器は、前記複数の光源から出射された前記レーザ光の前記反射光をそれぞれ受光するよう複数配置されている、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項15】
光検出器と、
前記光検出器の前段に配置された集光レンズと、
前記集光レンズの前段または後段に配置され、物体により反射された反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを前記物体までの距離に応じて前記光検出器に導く回折素子と、を備える、
ことを特徴とする受光光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて物体を検出するレーザレーダおよび当該レーザレーダに用いる受光光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光を用いて物体を検出するレーザレーダが、侵入検知システム、車、ロボットなどに搭載されている。この種のレーザレーダは、目標領域にレーザ光を投射し、その反射光に基づいて、投射方向における物体の有無を検出する。また、この種のレーザレーダは、レーザ光の投射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間に基づいて、物体までの距離を測定する機能も備え得る。
【0003】
以下の特許文献1には、測定光を物体に向けて投光する投光系の光軸と、物体からの反射光を集光する受光レンズの光軸とが一致した光波距離測定装置が記載されている。この受光レンズには、周辺部分に近距離の物体に対応したレンズ部位が設けられ、近距離の物体に対応したレンズ部位の内側に遠距離の物体に対応したレンズ部位が設けられている。
【0004】
以下の特許文献2には、受光レンズが投射レンズの隣りに配置された距離測定装置が記載されている。この受光レンズの表面には、遠距離からの反射光を収束させる領域と、中距離からの反射光を収束させる領域と、近距離からの反射光を収束させるための領域とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-149760号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0013918号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2の装置では、近距離用のレンズ領域が受光レンズの一部に制限されるため、このレンズ領域が汚れると、レンズ領域の面積に対する汚れの影響が大きくなり、近距離からの反射光を十分に光検出器へと導くことができなくなる。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、反射光を適正に光検出器へと導くことが可能なレーザレーダおよび受光光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るレーザレーダは、レーザ光を投射する投射光学系と、物体により反射された前記レーザ光の反射光を受光する受光光学系と、を備える。前記受光光学系は、光検出器と、前記光検出器の前段に配置された集光レンズと、前記集光レンズの前段または後段に配置され、前記反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを前記物体までの距離に応じて前記光検出器に導く回折素子と、を備える。
【0009】
本態様に係るレーザレーダによれば、物体までの距離が変化しても、回折素子で回折された何れかの回折次数の反射光(回折光)が光検出器に導かれる。また、回折次数により光検出器に導かれる反射光(回折光)が切り替えられる構成であるため、回折素子のサイズを小さく制限する必要がなく、集光レンズの有効径をカバーする広さに回折素子のサイズを拡大できる。このため、回折素子の一部に汚れが生じても、各回折次数の反射光(回折光)に対する汚れの影響を抑制できる。よって、物体からの反射光を適正に光検出器に導くことができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る受光光学系は、光検出器と、前記光検出器の前段に配置された集光レンズと、前記集光レンズの前段または後段に配置され、物体により反射された反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを前記物体までの距離に応じて前記光検出器に導く回折素子と、を備える。
【0011】
本態様に係る受光光学系によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏される。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によれば、反射光を適正に光検出器へと導くことが可能なレーザレーダおよび受光光学系を提供できる。
【0013】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係る、レーザレーダの光学系の構成を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る、回折素子に形成された回折溝のパターンを模式的に示す平面図である。
図3図3(a)および図3(b)は、実施形態1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
図4図4(a)および図4(b)は、比較例1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
図5図5は、実施形態1に係る、レーザレーダの構成を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、実施形態1に係る、レーザレーダの回路部の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態2に係る、レーザレーダの光学系の構成を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、実施形態2に係る、回折素子に形成された回折溝のパターンを模式的に示す平面図である。
図9図9(a)および図9(b)は、実施形態2に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
図10図10(a)および図10(b)は、比較例2に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
図11図11(a)~図11(c)は、実施形態1の変更例1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
図12図12(a)~図12(c)は、実施形態2の変更例1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
図13図13(a)は、実施形態1の変更例2に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。図13(b)は、実施形態2の変更例2に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
図14図14(a)は、実施形態1の変更例3に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。図14(b)は、実施形態2の変更例3に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
図15図15(a)は、実施形態1の変更例4に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。図15(b)は、実施形態2の変更例4に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
図16図16は、実施形態2の変更例5に係る、レーザレーダの光学系の構成を模式的に示す斜視図である。
図17図17(a)は、実施形態1の変更例6に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。図17(b)は、実施形態1の変更例7に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0016】
<実施形態1>
図1は、レーザレーダの光学系100の構成を模式的に示す斜視図である。
【0017】
図1には、便宜上、互いに直交するx、y、z軸が付記されている。z軸正方向は、走査領域へと向かうレーザ光(投射光)の投射方向である。図1では、光学系100の光源111から出射され、走査領域へと向かうレーザ光(投射光)が一点鎖線で示され、走査領域から反射されたレーザ光(反射光)が破線で示されている。
【0018】
光学系100は、レーザ光(投射光)を投射する投射光学系110と、物体により反射されたレーザ光の反射光を受光する受光光学系120と、を備える。投射光学系110は、光源111とコリメータレンズ112を備える。受光光学系120は、集光レンズ121と、回折素子122と、光検出器123と、を備える。集光レンズ121と回折素子122は、集光モジュールを構成する。
【0019】
光源111およびコリメータレンズ112は、集光レンズ121の中央に形成された開口121a内に設置されている。開口121aは、x-y平面における集光レンズ121の中心において、集光レンズ121をz軸方向に貫通している。光源111の出射光軸、コリメータレンズ112の光軸112aおよび集光レンズ121の光軸121bは、z軸方向に平行であり、互いに整合している。
【0020】
光源111は、所定波長のレーザ光(投射光)を出射する半導体レーザ光源である。コリメータレンズ112は、光源111から出射された投射光を平行光に変換する。コリメータレンズ112によって平行光に変換された投射光は、走査領域に投射され、走査領域に存在する物体によって反射される。物体によって反射された投射光(反射光)は、集光レンズ121のz軸正側の面に入射する。
【0021】
集光レンズ121は、光検出器123に反射光を集光する。回折素子122は、集光レンズ121の後段(z軸負側)に配置されている。回折素子122は、透過型の回折素子であり、集光レンズ121からの反射光を透過して、回折作用を付与する。回折素子122の回折作用については、追って図3(a)、(b)を参照して説明する。光検出器123は、反射光を受光して、受光光量に応じた検出信号を出力する。光検出器123は、たとえば、アバランシェフォトダイオードである。
【0022】
図2は、回折素子122に形成された回折溝122aのパターンを模式的に示す平面図である。
【0023】
回折素子122には、中心C10を中心として、同心円状に複数の回折溝122aが形成されている。z軸方向に見て、中心C10は、集光レンズ121の光軸121b(図1参照)に一致している。回折溝122aにより、回折素子122は、入射した反射光に対して回折作用を付与する。
【0024】
本実施形態の回折素子122は、0次および+1次の回折効率が高くなるように回折溝122aが構成されたブレーズ型の回折素子である。すなわち、本実施形態の回折素子122を透過して生成される回折光のうち、0次回折光および+1次回折光の光量が大きく、それ以外の回折光(たとえば、-1次回折光、±2次回折光など)の光量は極めて小さい。
【0025】
また、本実施形態の回折溝122aは、ホログラムにより形成されており、集光パワーを有する。これにより、集光レンズ121で収束された反射光のうち+1次の回折光は、回折素子122の収束作用によってさらに収束され、光検出器123へと導かれる。
【0026】
ところで、光学系100が有無の検出および距離の算出の対象とする物体は、遠距離に存在する場合と近距離に存在する場合とがある。一般に、遠距離からの反射光は微弱となるため、受光光学系120は、遠距離からの反射光が適正に光検出器123の受光面上に導かれるよう構成される。しかしながら、受光光学系120が遠距離に対応して構成されると、近距離からの反射光が適正に光検出器123に導かれにくくなる。特に、物体検出の対象とされる距離範囲が広くなると、近距離からの反射光が適正に光検出器123に導かれなくなってしまう。
【0027】
これに対し、本実施形態では、上記のように、光学系100内に回折素子122を配置することで、以下の図3(a)、(b)に示すように、遠距離からの反射光だけでなく、近距離からの反射光も適正に光検出器123に導くことができる。
【0028】
図3(a)、(b)は、実施形態1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
【0029】
図3(a)、(b)において、濃いハッチングは、投射光を示しており、薄いハッチングは、集光レンズ121に入射する反射光と、回折素子122により生じた反射光の0次回折光とを示しており、中程度の濃さのハッチングは、回折素子122により生じた反射光の+1次回折光を示している。
【0030】
実施形態1では、遠距離の物体からの反射光が適正に光検出器123の受光面上に導かれるよう、集光レンズ121の焦点距離、および、集光レンズ121と光検出器123との距離が設定されている。すなわち、遠距離からの物体の反射光は、ほぼ平行光となって集光レンズ121に入射するため、集光レンズ121の焦点位置付近に光検出器123が配置される。
【0031】
図3(a)に示すように、実施形態1では、遠距離の物体からの反射光の+1次回折光が光検出器123の受光面から外れるものの、遠距離の物体からの反射光の0次回折光が適正に光検出器123の受光面に導かれる。これにより、遠距離の物体に対して適正に有無の検出および距離の算出を行うことができる。
【0032】
一方、図3(b)に示すように、実施形態1では、光検出器123の位置において、近距離の物体からの反射光の+1次回折光の照射位置が、図3(a)に比べて内側に移動する。これにより、近距離の物体からの反射光の0次回折光が光検出器123の受光面から外れるものの、近距離の物体からの反射光の+1次回折光が光検出器123の受光面に導かれる。よって、近距離の物体に対しても適正に有無の検出および距離の算出を行うことができる。
【0033】
なお、遠距離の物体として、たとえば、光学系100から5mの距離にある物体が想定され、近距離の物体として、たとえば、光学系100から1mの距離にある物体が想定され得る。この場合、集光レンズ121に入射する反射光の光量を比較した場合、物体が遠距離の場合の光量を1程度とすると、物体が近距離の場合の光量は25程度となる。回折素子122において、0次の回折効率を100%程度とし、+1次の回折効率を4%程度とすると、回折素子122から光検出器123に向かう遠距離からの反射光の0次回折光の光量は1程度となり、回折素子122から光検出器123に向かう近距離からの反射光の+1次回折光の光量も1程度となる。
【0034】
したがって、この場合、遠距離からの反射光に基づいて光検出器123に入射する0次回折光の光量を高く維持しながら、近距離からの反射光に基づいて光検出器123に入射する+1次回折光の光量を高めることができる。よって、遠距離および近距離に存在する物体に対して、有無の検出および距離の算出を適正に行うことができる。
【0035】
なお、近距離からの反射光が集光レンズ121に入射するときの拡散度合いは、近距離範囲での物体の位置に応じて変化しやすいため、+1次回折光の照射位置も変化しやすい。このため、近距離からの反射光の+1次回折光がなるべく光検出器123に導かれるようにするために、回折素子122の+1次の回折効率は、5%~10%程度に設定されるのが好ましい。こうすると、回折素子122から光検出器123に向かう+1次回折光の光量が、上記計算手順に従って1.25~2.5程度となるため、近距離からの反射光の+1次回折光のビームの中心がずれたとしても、光検出器123に導かれる光量の減少を抑制できる。
【0036】
また、上記説明では、5mを遠距離とし1mを近距離としたが、物体検出の距離範囲を2つの距離範囲に区分してもよい。この場合も、本実施形態の回折素子122は、各距離範囲において主として光検出器123に導かれる反射光の回折光を、0次回折光および+1次回折光との間で切り替える。これにより、各距離範囲において物体の有無の検出および距離の算出を適正に行うことができる。
【0037】
なお、図3(a)、(b)では、物体が遠距離から近づくにつれて、0次回折光が光検出器123の受光面から外れていき、+1次回折光が光検出器123の受光面に近づいていく。したがって、回折素子122の回折作用は、物体検出の距離範囲において、0次回折光と+1次回折光の少なくとも一方が光検出器123の受光面に入射するように調整される。この場合、光検出器123に入射する反射光の光量が全ての距離範囲においてなるべく均一になるように、回折素子122の回折作用が調整されることが好ましい。
【0038】
図4(a)、(b)は、比較例1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
【0039】
比較例1の場合も、実施形態1と同様、遠距離の物体からの反射光が適正に光検出器123の受光面上に導かれるよう、集光レンズ121の焦点距離、および、集光レンズ121と光検出器123との距離が設定されている。比較例1では、実施形態1と比較して、回折素子122が省略されている。その他の構成は、実施形態1と同様である。図4(a)、(b)において、濃いハッチングは、投射光を示しており、薄いハッチングは、反射光を示している。また、図4(a)、(b)では、便宜上、集光レンズ121の内部が透視状態で図示されている。
【0040】
図4(a)に示すように、比較例1では、遠距離の物体からの反射光が適正に光検出器123の受光面に導かれる。これにより、遠距離の物体に対して適正に有無の検出および距離の算出を行うことができる。
【0041】
一方、図4(b)に示すように、近距離の物体からの反射光は、やや拡散した状態で集光レンズ121に入射するため、反射光の照射位置が、図4(a)に比べて光検出器123の外側に移動し、近距離の物体からの反射光が光検出器123の受光面から外れてしまう。このため、比較例1の場合、近距離の物体に対して適正に有無の検出および距離の算出を行うことができない。
【0042】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)を比較して説明したとおり、実施形態1の受光光学系120の構成によれば、回折素子122の作用により、比較例1の場合よりもさらに近距離の物体を検出できる。よって、比較例1に比べて、物体検出および測距の距離範囲を広げることができる。
【0043】
図5は、レーザレーダ1の構成を模式的に示す斜視図である。
【0044】
図5には、便宜上、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向は、レーザレーダ1の高さ方向である。
【0045】
レーザレーダ1は、固定部10および回転部20を備える。図5では、回転部20に設置された光学系100の位置が、便宜上、破線で示されている。
【0046】
固定部10は、円柱形状の外形を有している。回転部20は、固定部10内のモータにより、Z軸方向に平行な回転軸R10について回転する。回転部20の上面に、上述の光学系100が設置される。光学系100は、レーザ光を回転軸R10から離れる方向に出射し、出射方向に存在する物体によって反射された反射光を受光する。光学系100の構成は、図1図3(b)に示したとおりである。
【0047】
物体検出の際には、回転部20が回転されつつ、レーザ光(投射光)が、光学系100から出射される。光学系100から出射された投射光は、一点鎖線の矢印に示すように、回転軸R10に対して放射状に出射され、レーザレーダ1の周囲に位置する走査領域に向かって投射される。走査領域に存在する物体によって反射された投射光(反射光)は、破線の矢印に示すように、光学系100の光検出器123(図1参照)によって受光される。
【0048】
レーザレーダ1から走査領域に向かう投射光の光軸は、回転軸R10を中心とした回転部20の回転に伴い、回転軸R10を中心に回転する。これに伴い、走査領域(投射光の走査位置)も移動する。
【0049】
レーザレーダ1は、反射光の受光の有無に基づいて、走査領域に物体が存在するか否かを判定する。また、レーザレーダ1は、走査領域に投射光を投射したタイミングと、走査領域から反射光を受光したタイミングとの間の時間差(タイムオブフライト)に基づいて、走査領域に存在する物体までの距離を計測する。回転部20が回転軸R10を中心に回転することにより、レーザレーダ1は、周囲360°の全範囲に存在する物体を検出できる。
【0050】
図6は、レーザレーダ1の回路部30の構成を示すブロック図である。
【0051】
回路部30は、制御回路31と、駆動回路32と、処理回路33と、を備える。
【0052】
制御回路31は、CPUやFPGA等の演算処理ユニットやメモリを備え、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御する。駆動回路32は、制御回路31からの制御に応じて、光源111をパルス発光させる。処理回路33は、光検出器123から出力されるアナログの検出信号に対して増幅やノイズ除去等の処理を施し、処理後の検出信号をデジタルに変換して制御回路31に出力する。
【0053】
制御回路31は、光源111をパルス発光させてから一定期間内に、光検出器123において反射光の検出がなされた場合に、レーザ光の投射方向に物体が存在すると判定し、さらに、パルス発光のタイミングと反射光の検出タイミングとの時間差に基づいて、当該物体までの距離を算出する。こうして、投射方向における物体の有無の検出および当該物体までの距離の算出が、回転部20の所定の回転角(たとえば1°)ごとに行われる。
【0054】
回路部30で取得された物体の検出結果(物体の有無および物体までの距離)は、随時、通信部(たとえば、非接触通信部)を介して、固定部10側の回路部に通信され、さらに、固定部10側の回路部から外部装置に送信される。外部装置は、たとえば、侵入検知システム、車、ロボットなどである。
【0055】
<実施形態1の効果>
以上、実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
【0056】
集光レンズ121は、光検出器123の前段に配置されている。回折素子122は、集光レンズ121の後段に配置され、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。具体的には、図3(a)、(b)に示したように、回折素子122は、遠距離の物体からの反射光の0次回折光の少なくとも一部を光検出器123に導き、近距離の物体からの反射光を+1次で回折させた+1次回折光の少なくとも一部を光検出器123に導く。
【0057】
この構成によれば、物体までの距離が変化しても、回折素子122で回折された何れかの回折次数の反射光(回折光)が光検出器123に導かれる。また、回折次数により光検出器123に導かれる反射光(回折光)が切り替えられる構成であるため、回折素子122のサイズを小さく制限する必要がなく、図1に示したように、集光レンズ121の有効径をカバーする広さに回折素子122のサイズを拡大できる。このため、回折素子122の一部に汚れが生じても、各回折次数の反射光(回折光)に対する汚れの影響を抑制できる。よって、物体からの反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0058】
また、集光レンズ121の全領域を遠距離から近距離までの全範囲からの反射光の集光に用いることができる。よって、集光レンズ121を大型化することなく、遠距離および近距離からの反射光を適切な光量で光検出器123に導くことができる。
【0059】
複数の回折光は、光検出器123の受光面を含む平面上において、物体までの距離に応じて集光レンズ121の光軸121bに垂直な方向(光検出器123の中心に対して近づく方向および遠ざかる方向)に変化する。具体的には、複数の回折光の照射領域が、相補的に光検出器123の受光面上に移動する。これにより、遠距離および近距離からの反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0060】
図1に示したように、コリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとが整合している。より詳細には、光源111およびコリメータレンズ112は、集光レンズ121の中央に形成された開口121a内に設置されている。この構成によれば、光源111およびコリメータレンズ112が集光レンズ121とは別に配置される場合に比べて、光学系100をコンパクトにできる。
【0061】
<実施形態2>
実施形態1では、コリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとが整合するよう、投射光学系110と受光光学系120とが構成された。これに対し、実施形態2では、コリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとが離間している。
【0062】
図7は、実施形態2に係る、レーザレーダの光学系100の構成を模式的に示す斜視図である。
【0063】
図7では、光源111およびコリメータレンズ112が、投射光の投射方向(z軸方向)に垂直な方向(y軸方向)に、集光レンズ121および回折素子122から離れた位置に配置されている。また、集光レンズ121には、実施形態1で示した開口121aは形成されていない。これにより、集光レンズ121の上面全体が、反射光の入射面となる。
【0064】
図8は、実施形態2に係る、回折素子122に形成された回折溝122aのパターンを模式的に示す平面図である。
【0065】
実施形態2の回折素子122には、x軸方向に延びた回折溝122aが、y軸方向に隙間をあけて複数形成されている。回折溝122aにより、回折素子122は、入射した反射光に対してy軸方向の回折作用を付与する。回折素子122は、回折方向が光源111と集光レンズ121との並び方向(y軸方向)となるように構成される。
【0066】
本実施形態の回折素子122も、0次および+1次の回折効率が高くなるように構成されたブレーズ型の回折素子である。すなわち、本実施形態の回折素子122を透過して生成される回折光のうち、0次回折光および+1次回折光の光量が大きく、それ以外の回折光(たとえば、-1次回折光、±2次回折光など)の光量は極めて小さい。
【0067】
図9(a)、(b)は、実施形態2に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
【0068】
図9(a)、(b)において、濃いハッチングは、投射光を示しており、薄いハッチングは、集光レンズ121に入射する反射光と、回折素子122により生じた反射光の0次回折光とを示しており、中程度の濃さのハッチングは、回折素子122により生じた反射光の+1次回折光を示している。実施形態2では、遠距離の物体からの反射光が適正に光検出器123の受光面上に導かれるよう、集光レンズ121の焦点距離、および、集光レンズ121と光検出器123との距離が設定されている。
【0069】
図9(a)に示すように、実施形態2では、遠距離の物体からの反射光の+1次回折光が光検出器123の受光面から左方向に外れるものの、遠距離の物体からの反射光の0次回折光が適正に光検出器123の受光面に導かれる。これにより、遠距離の物体に対して適正に有無の検出および距離の算出を行うことができる。
【0070】
一方、図9(b)に示すように、実施形態2では、光検出器123の位置において、近距離の物体からの反射光の+1次回折光の照射位置が、図9(a)に比べて右方向に移動する。これにより、近距離の物体からの反射光の0次回折光が光検出器123の受光面から右方向に外れるものの、近距離の物体からの反射光の+1次回折光が光検出器123の受光面に導かれる。よって、近距離の物体に対しても適正に有無の検出および距離の算出を行うことができる。
【0071】
なお、図9(a)、(b)の場合も、図3(a)、(b)の場合と同様、遠距離の物体として、たとえば、光学系100から5mの距離にある物体が想定され、近距離の物体として、たとえば、光学系100から1mの距離にある物体が想定され得る。この場合、集光レンズ121に入射する反射光の光量を比較した場合、物体が遠距離の場合の光量を1程度とすると、物体が近距離の場合の光量は25程度となる。回折素子122において、0次の回折効率を100%程度とし、+1次の回折効率を4%程度とすると、回折素子122から光検出器123に向かう遠距離からの反射光の0次回折光の光量は1程度となり、回折素子122から光検出器123に向かう近距離からの反射光の+1次回折光の光量も1程度となる。
【0072】
したがって、この場合、遠距離からの反射光に基づいて光検出器123に入射する0次回折光の光量を高く維持しながら、近距離からの反射光に基づいて光検出器123に入射する+1次回折光の光量を高めることができる。よって、遠距離および近距離に存在する物体に対して、有無の検出および距離の算出を適正に行うことができる。
【0073】
なお、近距離からの反射光が集光レンズ121に入射する角度は、近距離範囲での物体の位置に応じて変化しやすいため、+1次回折光の照射位置も変化しやすい。このため、近距離からの反射光の+1次回折光がなるべく光検出器123に導かれるようにするために、回折素子122の+1次の回折効率は、5%~10%程度に設定されるのが好ましい。こうすると、回折素子122から光検出器123に向かう+1次回折光の光量が、上記計算手順に従って1.25~2.5程度となるため、近距離からの反射光の+1次回折光のビームの中心がずれたとしても、光検出器123に導かれる光量を維持できる。
【0074】
また、上記説明では、5mを遠距離とし1mを近距離としたが、物体検出の距離範囲を2つの距離範囲に区分してもよい。この場合も、本実施形態の回折素子122は、各距離範囲において主として光検出器123に導かれる反射光の回折光を、0次回折光および+1次回折光との間で切り替える。これにより、各距離範囲において物体の有無の検出および距離の算出を適正に行うことができる。
【0075】
なお、図9(a)、(b)では、物体が遠距離から近づくにつれて、0次回折光が光検出器123の受光面から外れていき、+1次回折光が光検出器123の受光面に近づいていく。したがって、回折素子122の回折作用は、物体検出の距離範囲において、0次回折光と+1次回折光の少なくとも一方が光検出器123の受光面に入射するように調整される。この場合、光検出器123に入射する反射光の光量が全ての距離範囲においてなるべく均一になるように、回折素子122の回折作用が調整されることが好ましい。
【0076】
図10(a)、(b)は、比較例2に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
【0077】
比較例2の場合も、実施形態2と同様、遠距離の物体からの反射光が適正に光検出器123の受光面上に導かれるよう、集光レンズ121の焦点距離、および、集光レンズ121と光検出器123との距離が設定されている。比較例2では、実施形態2と比較して、回折素子122が省略されている。その他の構成は、実施形態2と同様である。図10(a)、(b)において、濃いハッチングは、投射光を示しており、薄いハッチングは、反射光を示している。
【0078】
図10(a)に示すように、比較例2では、遠距離の物体からの反射光が適正に光検出器123の受光面に導かれる。これにより、遠距離の物体に対して適正に有無の検出および距離の算出を行うことができる。
【0079】
一方、図10(b)に示すように、近距離の物体からの反射光は、集光レンズ121の光軸121b(図7参照)に対してやや傾いた状態で集光レンズ121に入射するため、光検出器123の位置において、反射光の照射位置が、図10(a)に比べて光検出器123の右側に移動し、近距離の物体からの反射光が光検出器123の受光面から外れてしまう。このため、比較例2の場合、物体検出の距離範囲を近距離側に広げることが困難である。
【0080】
図9(a)、(b)および図10(a)、(b)を比較して説明したとおり、実施形態2の受光光学系120の構成によれば、回折素子122の作用により、比較例2の場合よりもさらに近距離の物体を検出できる。よって、比較例2に比べて、物体検出および測距の距離範囲を広げることができる。
【0081】
なお、実施形態2においても、図5および図6と同様の構成により、レーザレーダ1が構成され得る。
【0082】
<実施形態2の効果>
以上、実施形態2によれば、以下の効果が奏される。
【0083】
実施形態2においても、実施形態1と同様、集光レンズ121は、光検出器123の前段に配置されている。回折素子122は、集光レンズ121の後段に配置され、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。具体的には、図9(a)、(b)に示したように、回折素子122は、遠距離の物体からの反射光の0次回折光の少なくとも一部を光検出器123に導き、近距離の物体からの反射光を+1次で回折させた+1次回折光の少なくとも一部を光検出器123に導く。
【0084】
この構成によれば、物体までの距離が変化しても、回折素子122で回折された何れかの回折次数の反射光(回折光)が光検出器123に導かれる。また、回折次数により光検出器123に導かれる反射光(回折光)が切り替えられる構成であるため、回折素子122のサイズを小さく制限する必要がなく、図7に示したように、集光レンズ121の有効径をカバーする広さに回折素子122のサイズを拡大できる。このため、回折素子122の一部に汚れが生じても、各回折次数の反射光(回折光)に対する汚れの影響を抑制できる。よって、物体からの反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0085】
また、集光レンズ121の全領域を遠距離から近距離までの全範囲からの反射光の集光に用いることができる。よって、集光レンズ121を大型化することなく、遠距離および近距離からの反射光を適切な光量で光検出器123に導くことができる。
【0086】
複数の回折光は、光検出器123の受光面を含む平面上において、物体までの距離に応じて集光レンズ121の光軸121bに垂直な方向(y軸方向)に変化する。具体的には、複数の回折光の照射領域が、相補的に光検出器123の受光面上に移動する。これにより、遠距離および近距離からの反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0087】
図7に示したように、コリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとが離間している。この構成によれば、実施形態1のようにコリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとが整合している場合と比べて、反射光の利用効率を高めることができる。
【0088】
図8に示したように、回折素子122には、反射光をコリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとの離間方向(y軸方向)に回折させる回折溝122aが形成されている。この構成によれば、回折溝122aに集光作用を持たせる場合に比べて、回折溝122aの光学設計が容易になる。
【0089】
<変更例1>
実施形態1、2では、回折素子122が、0次および+1次の2つの回折次数の回折光を物体までの距離に応じて光検出器123に導くように構成されたが、3つ以上の回折次数の回折光を物体までの距離に応じて光検出器123に導くように回折素子122が構成されてもよい。この場合、回折素子122の回折溝122aは、光検出器123に導く回折光の回折効率が高くなるように構成される。たとえば、回折溝122aはブレーズ型の回折溝とされる。
【0090】
図11(a)~(c)は、実施形態1の変更例1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。ここでは、反射光の0次、+1次および+2次の回折光が、物体までの距離に応じて光検出器123に導かれる。
【0091】
図11(a)に示すように、遠距離からの反射光の0次回折光は、適正に光検出器123に導かれる。このとき、遠距離からの反射光の+1次回折光および+2次回折光は、光検出器123から外れている。
【0092】
図11(b)に示すように、中距離からの反射光の+1次回折光は、適正に光検出器123に導かれる。このとき、中距離からの反射光の0次回折光および+2次回折光は、光検出器123から外れている。
【0093】
図11(c)に示すように、近距離からの反射光の+2次回折光は、適正に光検出器123に導かれる。このとき、近距離からの反射光の0次回折光および+1次回折光は、光検出器123から外れている。
【0094】
図12(a)~(c)は、実施形態2の変更例1に係る、反射光を模式的に示す側面図である。
【0095】
図12(a)に示すように、遠距離からの反射光の0次回折光は、適正に光検出器123に導かれる。このとき、遠距離からの反射光の+1次回折光および+2次回折光は、光検出器123から左方向に外れている。
【0096】
図12(b)に示すように、中距離からの反射光の+1次回折光は、適正に光検出器123に導かれる。このとき、中距離からの反射光の0次回折光は、光検出器123から右方向に外れており、中距離からの反射光の+2次回折光は、光検出器123から左方向に外れている。
【0097】
図12(c)に示すように、近距離からの反射光の+2次回折光は、適正に光検出器123に導かれる。このとき、近距離からの反射光の0次回折光および+1次回折光は、光検出器123から右方向に外れている。
【0098】
本変更例によれば、図11(a)~(c)および図12(a)~(c)に示したように、光検出器123に導かれる反射光の回折次数は3つである。そして、物体検出の距離範囲を、遠距離側から3つの距離範囲に区分した場合、本変更例の回折素子122は、各距離範囲において主として光検出器123に導かれる反射光の回折光を、0次回折光、+1次回折光および+2次回折光との間で順次切り替える。これにより、各距離範囲に存在する物体からの反射光を3つの回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つが、物体までの距離に応じて光検出器123に導かれる。
【0099】
したがって、物体がこれら3つの距離範囲のいずれに存在しても、各距離範囲からの反射光が適正に光検出器123の受光面へと導かれる。これにより、各距離範囲において物体の有無の検出および物体の距離の算出を適正に行うことができる。また、実施形態1、2と比較して、中距離からの反射光も光検出器123に導くことができるため、物体検出の距離範囲を広げることができる。
【0100】
<変更例2>
実施形態1、2では、回折素子122は、透過型の回折素子であったが、これに限らず、以下に示すように、回折素子122は、反射型の回折素子でもよい。この場合も、回折素子122は、0次および+1次の回折効率が高くなるように回折溝122aが構成されたブレーズ型の回折素子である。回折素子122は、集光レンズ121の後段(z軸負側)に配置されている。
【0101】
図13(a)は、実施形態1の変更例2に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0102】
回折素子122は、実施形態1の配置から、x軸方向を回転の中心として45°回転された状態で配置されている。光検出器123は、受光面がx-z平面に平行となるよう配置されている。回折素子122は、集光レンズ121によって集光された反射光を、y軸正方向に反射するとともに、0次および+1次で回折させる。遠距離からの反射光の0次回折光は、実施形態1と同様、光検出器123に導かれる。また、図13(a)に示すように、近距離からの反射光の+1次回折光は、光検出器123に導かれる。
【0103】
図13(b)は、実施形態2の変更例2に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0104】
回折素子122および光検出器123は、図13(a)と同様に配置されている。回折素子122は、集光レンズ121によって集光された反射光を、y軸正方向に反射するとともに、0次および+1次で回折させる。遠距離からの反射光の0次回折光は、実施形態2と同様、光検出器123に導かれる。また、図13(b)に示すように、近距離からの反射光の+1次回折光は、光検出器123に導かれる。
【0105】
本変更例においても、回折素子122は、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。これにより、遠距離および近距離の反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0106】
<変更例3>
実施形態1、2では、回折素子122は、集光レンズ121の後段(z軸負側)に配置されていたが、これに限らず、以下に示すように、集光レンズ121の前段(z軸正側)に配置されてもよい。
【0107】
図14(a)は、実施形態1の変更例3に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0108】
回折素子122は、反射光を透過して、0次および+1次で回折させる。集光レンズ121は、0次回折光および+1次回折光を集光させる。遠距離からの反射光の0次回折光は、実施形態1と同様、光検出器123に導かれる。また、図14(a)に示すように、近距離からの反射光の+1次回折光は、光検出器123に導かれる。
【0109】
図14(b)は、実施形態2の変更例3に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0110】
回折素子122は、反射光を透過して、0次および+1次で回折させる。集光レンズ121は、0次回折光および+1次回折光を集光させる。遠距離からの反射光の0次回折光は、実施形態2と同様、光検出器123に導かれる。また、図14(b)に示すように、近距離からの反射光の+1次回折光は、光検出器123に導かれる。
【0111】
本変更例においても、回折素子122は、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。これにより、遠距離および近距離の反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0112】
<変更例4>
実施形態1、2では、集光レンズ121および回折素子122は別体であったが、これに限らず、集光レンズ121および回折素子122は一体形成されてもよい。すなわち、回折素子122が集光レンズ121の前段または後段に配置される限りにおいて、以下に示すように、回折素子122と集光レンズ121とが一体化されていてもよい。
【0113】
図15(a)は、実施形態1の変更例4に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0114】
実施形態1の変更例4では、回折素子122に代えて、集光レンズ121のz軸負側の面に、回折溝121cが形成されている。回折溝121cは、z軸正方向に見て、図2の回折溝122aと同様である。この場合も、遠距離からの反射光の0次回折光は、実施形態1と同様、光検出器123に導かれる。また、図15(a)に示すように、近距離からの反射光の+1次回折光は、光検出器123に導かれる。
【0115】
図15(b)は、実施形態2の変更例4に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0116】
実施形態2の変更例4では、回折素子122に代えて、集光レンズ121のz軸負側の面に、回折溝121cが形成されている。回折溝121cは、z軸正方向に見て、図8の回折溝122aと同様である。この場合も、遠距離からの反射光の0次回折光は、実施形態2と同様、光検出器123に導かれる。また、図15(b)に示すように、近距離からの反射光の+1次回折光は、光検出器123に導かれる。
【0117】
本変更例においても、回折素子122は、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。これにより、遠距離および近距離の反射光を適正に光検出器123に導くことができる。また、集光レンズ121に回折溝121cが形成されているため、言い換えれば、回折素子と集光レンズとが一体的に構成されているため、回折素子が別体の場合と比較して、部品点数を削減でき、光学系100の位置調整を簡素化できる。
【0118】
なお、集光レンズ121に形成される回折溝121cは、集光レンズ121のz軸負側の面(出射面、集光レンズ121の後段)に形成されることに代えて、集光レンズ121のz軸正側の面(入射面、集光レンズ121の前段)に形成されてもよい。
【0119】
回折溝121cは、集光レンズ121の入射面または出射面に一体形成されて一体化される他、集光レンズの入射面または出射面に別途積層されて一体化されてもよい。
【0120】
<変更例5>
実施形態2では、光学系100内に1つの光源111が配置されたが、これに限らず、以下に示すように複数配置されてもよい。
【0121】
図16は、実施形態2の変更例5に係る、レーザレーダの光学系100の構成を模式的に示す斜視図である。
【0122】
実施形態2の変更例5では、基板113上に3つの光源111が設置されている。光源111は、所定波長のレーザ光(投射光)を投射する半導体レーザ素子である。3つの光源111は、所定の間隔をあけてx軸方向に一列に並んでいる。基板113および3つの光源111は、コリメータレンズ112のz軸負側に設置されている。3つの光源111から出射された投射光は、コリメータレンズ112によって平行光に変換され、走査領域に投射される。
【0123】
また、受光面がx-y平面に平行な3つの光検出器123が、所定の間隔をあけてx軸方向に一列に並んでいる。3つの光源111からそれぞれ出射された3つの投射光は、走査領域の物体によって反射される。物体によって反射された3つの投射光(反射光)は、集光レンズ121および回折素子122により、それぞれ3つの光検出器123へと導かれる。これにより、1つの投射光、1つの光検出器123および当該投射光に基づく回折光の位置関係は、図9(a)、(b)と同様になる。
【0124】
本変更例においても、回折素子122は、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。これにより、遠距離および近距離の反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0125】
また、本変更例では、投射光学系110は、複数の光源111および1つのコリメータレンズ112を備え、光検出器123は、複数の光源111から出射されたレーザ光の反射光をそれぞれ受光するよう複数配置されている。これにより、光源111が1つ配置される場合に比べて、投射光の光量を高めることができる。また、反射光の光量を高められるため、反射光に基づいて物体までの距離をさらに適正に測定できる。
【0126】
なお、図16の集光レンズ121は、z軸方向に見て真円の形状を有したが、光源111側(y軸正側)の集光レンズ121の一部が欠けていてもよい。これにより、コリメータレンズ112の光軸112aと、集光レンズ121の光軸121bとを接近させることができる。この場合、図16の構成に比べて、さらに近距離の物体に対して有無の検出および距離の算出が可能になる。
【0127】
<変更例6>
実施形態1では、コリメータレンズ112の光軸112a(図1参照)と集光レンズ121の光軸121b(図1参照)とを整合させるために、光源111およびコリメータレンズ112が、集光レンズ121の開口121a内に設置されたが、これに限らず、以下に示すように、ミラーにより2つの光軸が整合されてもよい。
【0128】
図17(a)は、実施形態1の変更例6に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0129】
本変更例では、図3(a)、(b)の構成と比較して、集光レンズ121、回折素子122および光検出器123が、x軸方向を回転の中心として90°回転された状態で配置されている。本変更例では、集光レンズ121には開口121aは形成されない。集光レンズ121の前段(y軸負側)に、反射面がy軸方向およびz軸方向に対して45°傾いたミラー114が配置されている。ミラー114の中央には、ミラー114を貫通する開口114aが形成されている。光源111およびコリメータレンズ112は、開口114aのz軸負側に配置されている。ミラー114により、コリメータレンズ112の光軸112aと、集光レンズ121の光軸121bとが、実施形態1と同様、整合する。
【0130】
光源111から出射された投射光は、ミラー114の開口114aを通過して、走査領域へと投射される。物体からの反射光は、開口114aを除くミラー114の反射面によって反射され、集光レンズ121へと導かれる。その後、図3(a)、(b)と同様、集光レンズ121によって集光され、回折素子122によって0次および+1次で回折され、光検出器123へと導かれる。
【0131】
本変更例においても、回折素子122は、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。これにより、遠距離および近距離の反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0132】
<変更例7>
実施形態1の変更例6では、集光レンズ121、回折素子122および光検出器123が90°回転した状態で配置されたが、これに代えて、光源111およびコリメータレンズ112が90°回転した状態で配置されてもよい。
【0133】
図17(b)は、実施形態1の変更例7に係る、近距離からの反射光を模式的に示す側面図である。
【0134】
本変更例では、図3(a)、(b)の構成と比較して、光源111およびコリメータレンズ112が、x軸方向を回転の中心として90°回転された状態で設置されている。本変更例では、集光レンズ121には開口121aは形成されない。光源111の出射方向は、y軸正方向である。ミラー115は、y軸正方向に進む投射光を、集光レンズ121の光軸121bに沿ってz軸正方向に反射するように設置されている。ミラー115により、コリメータレンズ112の光軸112aと、集光レンズ121の光軸121bとが、実施形態1と同様、整合する。
【0135】
本変更例においても、回折素子122は、反射光を異なる回折次数で回折させた複数の回折光の少なくとも1つを、物体までの距離に応じて光検出器123に導く。これにより、遠距離および近距離の反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0136】
<その他の変更例>
レーザレーダ1の構成は、上記実施形態および変更例に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
【0137】
上記実施形態および変更例1~7では、コリメータレンズ112の光軸112aと集光レンズ121の光軸121bとが平行であったが、これに限らず、光軸112aと光軸121bとが平行でなくてもよい。たとえば、光軸112aと光軸121bとは、平行な状態から僅かにずれていてもよい。ただし、光軸112aと光軸121bとが平行であると、投射光学系110と受光光学系120とを同じ方向に向けることができるため、遠距離の物体からの反射光を効率的に受光光学系120で受光できる。よって、光軸112aと光軸121bとが平行であるほうが好ましい。
【0138】
上記変更例6、7では、ミラー114、115により、光軸112aと光軸121bとが整合されたが、これに限らず、光軸112aと光軸121bとが整合しなくてもよい。たとえば、ミラー114、115により、光軸112aと光軸121bとが、整合する状態から僅かにずれていてもよい。
【0139】
上記実施形態および変更例において、集光レンズ121が光検出器123の前段に配置される限りにおいて、集光レンズ121と光検出器123の間にフィルタ等の他の光学素子が配置されてもよい。また、回折素子122が集光レンズ121の前段または後段に配置される限りにおいて、回折素子122と集光レンズ121の間にフィルタ等の他の光学素子が配置されてもよい。
【0140】
上記実施形態2および実施形態2の変更例では、図8を参照して説明したように、回折素子122の回折溝122aは、集光パワーを有しなかったが、近距離からの反射光の+1次回折光を光検出器123の受光面に集光するような集光パワーを有してもよい。これにより、+1次回折光をより効率的に光検出器123の受光面上に導くことができる。このため、回折素子122において、+1次の回折効率を低下させることができ、0次の回折効率を高めることができる。よって、遠距離からの微弱な反射光をより効率的に光検出器123に導くことができる。
【0141】
上記実施形態および変更例2~7では、回折素子122は、ブレーズ型の回折素子であったが、ステップ型の回折素子であってもよい。ただし、ステップ型の回折素子の場合、+1次回折光とともに-1次回折光が同程度の光量で生じるため、ブレーズ型に比べて+1次回折光の回折効率が下がってしまう。+1次の回折効率の低下が問題となる場合、光検出器123の受光面が、+1次回折光が照射される領域だけでなく、-1次回折光が照射される領域も含むように構成されてもよい。
【0142】
同様に、上記変更例1においても、回折素子122は、ステップ型の回折素子でもよい。この場合、光検出器123の受光面が、+1次および-1次回折光が照射される領域を含むように構成され、+2次および-2次回折光が照射される領域を含むように構成されてもよい。
【0143】
上記実施形態および変更例2~7では、遠距離からの反射光の0次回折光が光検出器123に導かれ、近距離からの反射光の+1次回折光が光検出器123に導かれるよう、回折素子122が構成された。しかしながら、物体検出の距離範囲において光検出器123に導かれる回折光の回折次数は、これに限られるものではない。たとえば、遠距離からの反射光の+1次回折光が光検出器123に導かれ、近距離からの反射光の0次回折光が光検出器123に導かれるよう、回折素子122が構成されてもよい。この場合、回折素子122は、+1次の回折効率が0次の回折効率よりも高くなるように構成される。
【0144】
同様に、上記変更例1においても、遠距離からの反射光の+2次回折光が光検出器123に導かれ、近距離からの反射光の0次回折光が光検出器123に導かれるよう、回折素子122が構成されてもよい。この場合、回折素子122は、+2次の回折効率が0次の回折効率よりも高くなるように構成される。
【0145】
上記変更例1では、反射光の0次、+1次および+2次の回折光が光検出器123に導かれたが、反射光を4つ以上の回折次数で回折させて光検出器123に導いてもよい。たとえば、0次、+1次、+2次および+3次の回折次数で反射光を回折させた各回折光が、距離に応じて光検出器123に導かれてもよい。これにより、物体検出の距離範囲をさらに広げることができる。
【0146】
上記実施形態および変更例2~7において、光検出器123に導かれる回折次数の組合せは、0次と1次に限らず、他の次数の組合せであってもよい。たとえば、0次と2次の回折光が、距離に応じて光検出器123に導かれてもよい。この場合、遠距離からの反射光の0次回折光が光検出器123に導かれ、近距離からの反射光の+2次回折光が光検出器123に導かれるよう、回折素子122が構成され得る。この構成においても、距離に応じて0次と+2次の少なくとも一方の回折光が光検出器123に導かれるよう、+2次の回折角が調整される。この他、0次以外の複数の次数の回折光が、距離に応じて光検出器123に導かれてもよい。
【0147】
上記変更例3では、集光レンズ121の前段に、透過型の回折素子122が配置されたが、集光レンズ121の前段に反射型の回折素子122が配置されてもよい。
【0148】
上記実施形態および変更例において、投射光学系110および受光光学系120の構成は、上記に限らない。たとえば、受光光学系120は、2以上の集光レンズを備えてもよく、2以上の回折素子を備えてもよい。
【0149】
上記実施形態および変更例では、光学系100が回転軸R10を中心として回転したが、光学系100は、必ずしも回転しなくてもよい。この場合、光学系100の向けられた方向に対してのみ、物体の有無の検出および距離の算出が行われる。このため、ユーザは、検出および測距を行いたい方向に、あらかじめ光学系100を向けてレーザレーダ1を設置する。この場合も、上記実施形態および変更例と同様、検出および測距の距離範囲を広げることができる。
【0150】
上記実施形態および変更例では、レーザレーダ1に1つの光学系100が設置されたが、複数の光学系100が、回転軸R10の周方向に沿って設置されてもよい。この場合、複数の光学系100により、走査領域に対する走査を高頻度に行うことができる。なお、この場合、複数の光学系100から出射される投射光のZ軸方向における投射角度が、互いに異なってもよい。こうすると、Z軸方向において異なる位置に存在する物体を検出可能となる。
【0151】
また、距離測定機能がなく光検出器123からの信号により投射方向に物体が存在するか否かの検出機能のみを備えた装置に本発明に係る構造を適用することも可能である。この場合も、上記実施形態および変更例の構成によれば、遠距離および近距離からの反射光を適正に光検出器123に導くことができる。
【0152】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 レーザレーダ
110 投射光学系
111 光源
112 コリメータレンズ
112a 光軸
120 受光光学系
121 集光レンズ
121a 開口
121b 光軸
121c 回折溝(回折素子)
122 回折素子
122a 回折溝
123 光検出器
図1
図2
図3
図4
図5
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