(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181651
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20231218BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094907
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 康陽
(72)【発明者】
【氏名】坂井 啓人
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB02
5E223AB08
5E223AC21
5E223AC38
5E223BA07
5E223BB01
5E223CA27
5E223CD01
5E223DB33
5E223DB36
(57)【要約】
【課題】ハウジングの高さ寸法を変えずに検査カメラによる検査が可能となるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、相手側コネクタに嵌合可能なハウジング12を備えている。ハウジング12は、回路基板90の表面に対向する実装面12Aと、実装面12Aの反対側に位置する端面12Bと、端面12Bと実装面12Aとの間に位置してハウジング12と相手側コネクタとの嵌合方向と交差する幅方向(左右方向)の外側を向く側面12Cと、側面12Cと端面12Bとがなす角部12Eに位置し、嵌合方向に直交する断面視において直線状に面取りされる斜面12Dと、を有している。このコネクタ10は、斜面12Dを回路基板90側に延長した仮想延長面Vsがコネクタ10よりも幅方向(左右方向)の外側に位置する部分を有するように、斜面12Dの角度が設定されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに嵌合可能なハウジングを備えたコネクタであって、
前記ハウジングは、回路基板の表面に対向する実装面と、前記実装面の反対側に位置する端面と、前記端面と前記実装面との間に位置して前記ハウジングと前記相手側コネクタとの嵌合方向と交差する幅方向の外側を向く側面と、前記側面と前記端面とがなす角部に位置し、前記嵌合方向に直交する断面視において直線状に面取りされる斜面と、を有し、
前記斜面を前記回路基板側に延長した仮想延長面が該コネクタよりも前記幅方向の外側に位置する部分を有するように、前記斜面の角度が設定されている、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記側面に装着され、前記回路基板に固定される固定部材を備え、
前記固定部材は、前記側面と前記仮想延長面との間に配置されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、角筒状のフード部を有し、
前記フード部は、前記側面の開口端部に、前記固定部材を保持する保持壁を有し、
前記斜面の一端は、前記保持壁によって閉塞されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端面の上方のカメラ位置から前記回路基板にかけて延び、延び方向途中で前記斜面に接する仮想直線を想定した場合に、前記仮想直線が該コネクタと隣接する電気部品の前記回路基板への半田付け部分と重なる位置、又は前記半田付け部分と前記側面との間に位置するように前記斜面が設定されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から4には、回路基板に設置され、相手側コネクタに嵌合可能なコネクタが開示されている。このコネクタは、相手側コネクタとの嵌合方向と直交する断面視において、四つの角部を有する外形のハウジングを備えている。ハウジングの上面と側面とがなす角部には、外向きに湾曲した面(以下、R面ともいう)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-46005号公報
【特許文献2】特開2017-174577号公報
【特許文献3】特開2020-72058号公報
【特許文献4】特開2005-235498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタが他のコネクタ等の電気部品と回路基板上に並んで設けられる場合、電気部品の半田付け部分等の状態をコネクタの上方に設置された検査カメラで検査(撮影)することがあった。特許文献1から4においては、回路基板から離れたハウジングの端縁が外向きに湾曲しているので、検査カメラの視野にR面が入りこみ、電気部品の半田付け部分がR面によって邪魔されて、検査カメラで撮像できないおそれがあった。これに対し、ハウジングを低背化すれば、R面がなくなるので、電気部品の半田付け部分がR面によって邪魔されることがなくなる。しかし、R面がなくなると、R面の高さ範囲に形成されていたハウジング部分もなくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、ハウジングの高さ寸法を変えずに検査カメラによる検査が可能となるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
相手側コネクタに嵌合可能なハウジングを備えたコネクタであって、
前記ハウジングは、回路基板の表面に対向する実装面と、前記実装面の反対側に位置する端面と、前記端面と前記実装面との間に位置して前記ハウジングと前記相手側コネクタとの嵌合方向と交差する幅方向の外側を向く側面と、前記側面と前記端面とがなす角部に位置し、前記嵌合方向に直交する断面視において直線状に面取りされる斜面と、を有し、
前記斜面を前記回路基板側に延長した仮想延長面が該コネクタよりも前記幅方向の外側に位置する部分を有するように、前記斜面の角度が設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハウジングの高さ寸法を変えずに検査カメラによる検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のコネクタの背面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のコネクタの側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1のコネクタに対する他の電気部品及び検査カメラの位置を示す
図4対応図である。
【
図6】
図6は、斜面を有さないコネクタに対する他の電気部品及び検査カメラの位置を示す
図4対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)相手側コネクタに嵌合可能なハウジングを備えている。ハウジングは、実装面と、端面と、側面と、斜面と、を有している。実装面は、回路基板の表面に対向する。端面は、実装面の反対側に位置する。側面は、端面と実装面との間に位置してハウジングと相手側コネクタとの嵌合方向と交差する幅方向の外側を向く。斜面は、側面と端面とがなす角部に位置し、嵌合方向に直交する断面視において直線状に面取りされる。このコネクタは、斜面を回路基板側に延長した仮想延長面がコネクタよりも幅方向の外側に位置する部分を有するように、斜面の角度が設定されている。
【0010】
コネクタと電気部品が回路基板に並んで設けられる場合に、電気部品の状態をコネクタの上方に設置された検査カメラで検査(撮影)することがある。このとき、ハウジングの角部が検査カメラの視野に入る懸念があるものの、角部に上記斜面が形成されていれば、検査カメラの視野にコネクタが入り込み難くすることができる。その結果、検査カメラによる検査を支障なく行うことができる。特に、この構成によれば、角部に上記斜面が形成されることによって、検査カメラによって検査を行い得る領域を拡げることができ、ハウジングの高さ寸法(実装面から端面までの寸法)を小さくする必要がないので、収容する端子の数を変更することなく、既存のコネクタから最小限の仕様変更で対応することができる。
【0011】
(2)ハウジングの側面に装着され、回路基板に固定される固定部材を備え、固定部材は、側面と仮想延長面との間に配置されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、固定部材が検査カメラの視野に入ることを回避できる。固定部材の幅寸法を抑える必要があるので、結果として、コネクタの幅寸法の抑制にも貢献し得る。
【0013】
(3)ハウジングは、角筒状のフード部を有し、フード部は、側面の開口端部に、固定部材を保持する保持壁を有し、斜面の一端は、保持壁によって閉塞されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、固定部材が保持壁に沿ってハウジングに装着される場合に、斜面が固定部材の装着動作の妨げになることを防ぐことができる。また、フード部の開口端部が保持壁で補強されるので、相手側コネクタから引き出された電線が振動したり引き上げられたりしたときに、フード部の開口端部が変形することを抑えることができる。
【0015】
(4)端面の上方のカメラ位置から回路基板にかけて延び、延び方向途中で斜面に接する仮想直線を想定した場合に、仮想直線がコネクタと隣接する電気部品の回路基板への半田付け部分と重なる位置、又は半田付け部分と側面との間に位置するように斜面が設定されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、端面の上方のカメラ位置に検査カメラを設置した場合に、斜面が設定されることによって、コネクタと電気部品との間のピッチ(並列間隔)を小さくできる。その結果、回路基板におけるコネクタや電気部品の実装密度を高めつつ、電気部品の半田付け部分の状態を検査カメラで検査し易くできる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
回路基板90に設置されるコネクタ10を、
図1から
図5を参照して説明する。図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。以下の説明では、コネクタ10に図示しない相手側コネクタが嵌合される方向を嵌合方向(前後方向)と定義する。本実施形態1では、左右方向は、幅方向に相当する。
【0018】
[コネクタの構成]
コネクタ10は、
図1、2に示すように、ハウジング12と、複数の端子13と、一対の固定部材16と、を備えている。
【0019】
ハウジング12は、合成樹脂製であり、回路基板90の表面90Aに設置される(
図2参照)。ハウジング12には、相手側コネクタが嵌合可能である。ハウジング12は、板厚方向を前後方向に向けて配置される壁部20と、壁部20の外周縁から角筒状をなして前向きに突出したフード部21と、を有する。壁部20には、板厚方向に貫通して、複数の貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、左右方向に複数列で且つ上下方向に三段並んでいる(
図2参照)。フード部21は、開口端部(前端部)に、左右方向の外側に突出した保持壁21Aを有している。保持壁21Aは、後述する固定部材16を保持する。各保持壁21Aには、固定部材16が装着される装着溝26が形成されている(
図1、3参照)。コネクタ10は、装着溝26に装着された固定部材16が回路基板90の表面90Aに半田付けされることによって回路基板90に固定される。
【0020】
さらに、
図2、3に示すように、ハウジング12は、実装面12Aと、端面12Bと、一対の側面12Cと、一対の斜面12Dと、を有している。実装面12Aは、コネクタ10を回路基板90に取り付けた際に、回路基板90の表面90Aに対向する面である。端面12Bは、実装面12Aと平行をなして回路基板90から離れた面であり、実装面12Aの反対側に位置する。一対の側面12Cは、端面12Bと実装面12Aとの間に位置してハウジング12と相手側コネクタとの嵌合方向と交差する幅方向(左右方向)の外側を向いて配置されている。
【0021】
一対の斜面12Dは、一対の側面12Cと端面12Bとがなす角部12Eに位置している(
図2参照)。これら斜面12Dは、前後方向に延びて形成されている(
図3参照)。これら斜面12Dは、幅方向(左右方向)の外側上方を向いて配置されている。これら斜面12Dは、嵌合方向に直交する断面視において、側面12Cと端面12Bとがなす角部12Eを左右方向下向きに拡がるように直線状に面取りするように形成されている(
図2参照)。ここで、断面視とは、コネクタ10を前後方向に対して直交する向きに切断した切り口を前後方向から視ることを意味する。各斜面12Dの前端(一端)は、各保持壁21Aによって閉塞されている(
図1、3参照)。言い換えると、各斜面12Dの前端(一端)は、各保持壁21Aに繋がっている。固定部材16は、保持壁21Aと、保持壁21Aより後方に形成された他の保持壁21Bとの間に保持されている(
図3参照)。
【0022】
複数の端子13は、雄端子金具であり、導電性を有する金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工等して形成されている。各端子13は、各貫通孔23に後方から挿入され、各貫通孔23を貫通した状態で保持される。各端子13の先端部(前端部)には、図示しないタブが設けられている。これらタブは、フード部21に収容されている。コネクタ10が相手側コネクタと嵌合された状態において、これらタブは、相手側コネクタが備える図示しない相手側端子と接続される。各端子13の後端部は、回路基板90の表面90Aに対して半田付けによって接続される。
【0023】
一対の固定部材16は、導電性を有する金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工等して形成されている。これら固定部材16は、ハウジング12に形成された装着溝26に対して、板面を側面12C沿わせて装着される。これら固定部材16の下端は、ハウジング12の幅方向(左右方向)の外側に屈曲されて短く突出し、回路基板90の表面90Aに半田付けすることによって固定される。
【0024】
[斜面の角度について]
図4に示すように、斜面12Dを回路基板90側に延長した仮想延長面Vsは、コネクタ10よりも幅方向(左右方向)の外側に位置する部分を有するように、回路基板90の表面90Aに対して斜面12Dの角度θが所定の大きさに設定されて前後方向に拡がっている(
図3参照)。回路基板90の表面90Aに対する斜面12Dの角度θは、好ましくは30度から80度であり、より好ましくは、40度から70度であり、実施形態1では65度である。斜面12Dから回路基板90までの間における仮想延長面Vsにおいて、コネクタ10を構成する部分が干渉していない領域Rが形成されている(
図3参照)。領域Rは、仮想延長面Vsの一部分をなしている。つまり、仮想延長面Vsは、コネクタ10よりも幅方向(左右方向)の外側に位置する部分(すなわち、領域R)を有する。斜面12Dの回路基板90の表面90Aに対する角度θは、この領域R(仮想延長面Vs)がコネクタ10を構成する部分よりも幅方向の外側に位置するように設定されている。固定部材16は、側面12Cと仮想延長面Vsとの間に配置されている。言い換えると、固定部材16は、仮想延長面Vsよりも下方であって、仮想延長面Vsに干渉しないように配置されている。
【0025】
[検査カメラについて]
図5に示すように、本実施形態1の場合、回路基板90の表面90Aには、コネクタ10や、他の電気部品10A等(
図5は、他の電気部品10Aを表示する。以下、電気部品10Aとして説明する)が表面実装されている。回路基板90に対して電気部品10Aが適切に半田付けされているか否かについては、検査カメラ91を用いて画像判別される。本実施形態1の場合、検査カメラ91は、回路基板90の上方であって、コネクタ10の端面12Bの上方に配置されている。検査カメラ91の視野Fvは、回路基板90に向けて漏斗状に拡がる。検査カメラ91の向きは、電気部品10Aが視野Fvに入るように設定されている。これによって、検査カメラ91は、電気部品10Aを撮像することができる。なお、
図5において、検査カメラ91は、説明のし易さを考慮してコネクタ10の直ぐ上に配置されているが、実際には、十分に離れた位置に配置される。また、検査カメラ91の向きは、電気部品10Aが視野Fvに入るように設定されていればよく、その姿勢は、
図5に示す姿勢に限らない。
【0026】
ハウジング12の端面12Bの上方には、カメラ位置Pが設定されている。カメラ位置Pは、回路基板90の上方であって、コネクタ10の端面12Bの上方に位置している。具体的には、カメラ位置Pは、コネクタ10の左端よりも右側、且つ右端よりも左側に位置し、コネクタ10よりも上方に位置している。カメラ位置Pには、検査カメラ91が配置されている。検査カメラ91は、所定の画角に設定された視野Fvを有している。視野Fvを複数の視線Lの集まりと想定した場合に、これら視線Lは、検査カメラ91の図示しない撮像素子から放射状に拡がるように延びている。本実施形態1の場合、カメラ位置Pには、検査カメラ91の図示しないCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子の撮像面の中心が重なるように設定されている。
【0027】
ここで、カメラ位置Pから回路基板90にかけて延びる直線を仮想直線Sと定義する。仮想直線Sは、複数の視線Lのうちの1つである。仮想直線Sは、視野Fvにおける側面12Cに最も近い視線Lであり、幅方向(左右方向)の外側に下り傾斜している。仮想直線Sは、その中央部(すなわち延び方向途中)で斜面12Dの下端に接している。仮想直線Sが回路基板90に交差する交点Cp1の位置は、半田付け部分10Bと側面12Cとの間に設定されている。つまり、仮想直線Sがコネクタ10と隣接する電気部品10Aの回路基板90への半田付け部分と、側面12Cと、の間に位置するように斜面12Dは、設定されている。これによって、仮想直線Sは、コネクタ10(特に角部12E)に遮られることなく電気部品10Aの半田付け部分10Bに到達することができる。また、仮想延長面Vsが回路基板90に交差する交点Cp2の位置も、半田付け部分10Bと側面12Cとの間に設定されている。交点Cp1は、交点Cp2よりも側面12C寄りに設定されている。
【0028】
本実施形態1の場合、仮想直線Sは、視野Fvの中央部に位置する視線Lである。これによって、検査カメラ91は、半田付け部分10Bを撮像することができる。
【0029】
図6に示すように、側面112Cと、端面112Bと、が交差する構成(すなわち、斜面12Dを有していない構成)を有したコネクタ110の場合、検査カメラ91の視線Lは、多く遮られ、視線Ldよりも左方の視野Fvが撮像されることになる。このため、斜面12Dを有していないコネクタ110を用いる場合には、検査カメラ91によって電気部品10Aの半田付け部分10Bを撮像するために電気部品10A及び半田付け部分10Bを回路基板90の表面90Aに沿う方向においてコネクタ110から遠ざける必要が生じる。
【0030】
次に、実施形態1の作用を説明する。
本開示のコネクタ10は、相手側コネクタに嵌合可能なハウジング12を備えている。ハウジング12は、実装面12Aと、端面12Bと、側面12Cと、斜面12Dと、を有している。実装面12Aは、回路基板90の表面90Aに対向する。端面12Bは、実装面12Aの反対側に位置する。側面12Cは、端面12Bと実装面12Aとの間に位置してハウジング12と相手側コネクタとの嵌合方向と交差する幅方向(左右方向)の外側を向く。斜面12Dは、側面12Cと端面12Bとがなす角部12Eに位置し、嵌合方向に直交する断面視において直線状に面取りされる。このコネクタ10は、斜面12Dを回路基板90側に延長した仮想延長面Vsがコネクタ10よりも幅方向(左右方向)の外側に位置する部分(領域R)を有するように、斜面12Dの角度θが設定されている。
【0031】
コネクタ10と電気部品10Aが回路基板90に並んで設けられる場合に、電気部品10Aの状態をコネクタ10の上方に設置された検査カメラ91で検査(撮影)することがある。このとき、ハウジング12の角部12Eが検査カメラ91の視野Fvに入る懸念があるものの、角部12Eに上記斜面12Dが形成されていれば、検査カメラ91の視野Fvにコネクタ10が入り込み難くすることができる。その結果、検査カメラ91による検査を支障なく行うことができる。特に、この構成によれば、角部12Eに上記斜面12Dが形成されるだけで、検査カメラ91による検査を行うことができ、ハウジング12の高さ寸法(実装面12Aから端面12Bまでの寸法)を小さくする必要がない。このため、収容する端子13の数を変更することなく、既存のコネクタから最小限の仕様変更(すなわち、斜面12Dを形成する仕様変更)で対応することができる。
【0032】
本開示のコネクタ10は、ハウジング12の側面12Cに装着され、回路基板90に固定される固定部材16を備え、固定部材16は、側面12Cと仮想延長面Vsとの間に配置されている。この構成によれば、固定部材16が検査カメラ91の視野Fvに入ることを回避できる。固定部材16の幅寸法を抑える必要があるので、結果として、コネクタ10の幅寸法の抑制にも貢献し得る。
【0033】
ハウジング12は、角筒状のフード部21を有し、フード部21は、側面12Cの開口端部に、固定部材16を保持する保持壁21Aを有し、斜面12Dの一端は、保持壁21Aによって閉塞されている。この構成によれば、固定部材16が保持壁21Aに沿ってハウジング12に装着される場合に、斜面12Dが固定部材16の装着動作の妨げになることを防ぐことができる。また、フード部21の開口端部が保持壁21Aで補強されるので、相手側コネクタから引き出された電線が振動したり引き上げられたりしたときに、フード部21の開口端部が変形することを抑えることができる。
【0034】
端面12Bの上方のカメラ位置Pから回路基板90にかけて延び、延び方向途中で斜面12Dに接する仮想直線Sを想定した場合に、仮想直線Sがコネクタ10と隣接する電気部品10Aの回路基板90への半田付け部分10Bと側面12Cとの間に位置するように斜面12Dが設定されている。この構成によれば、カメラ位置Pに検査カメラ91を設置した場合に、斜面12Dが設定されることによって、コネクタ10と電気部品10Aとの間のピッチ(並列間隔)を小さくできる。その結果、回路基板90におけるコネクタ10や電気部品10Aの実装密度を高めつつ、電気部品10Aの半田付け部分10Bの状態を検査カメラ91で検査し易くできる。
【0035】
[本開示の他の実施形態]
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではない。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
(1)実施形態1とは異なり、斜面の後端部を保持壁で閉塞してもよい。また、斜面をハウジングの前端から後端にかけて形成してもよい。つまり、保持壁によって閉塞させなくてもよい。
(2)実施形態1とは異なり、他の電気部品としてコネクタを実装してもよい。つまり、複数のコネクタを並べて実装してもよい。
(3)回路基板の表面に対する斜面の角度は、実施形態1に開示された角度に限らない。また、回路基板の表面に対する斜面の仮想直線の角度は、回路基板の表面に対する斜面の角度と異なっていてもよい。
(4)実施形態1とは異なり、仮想直線と回路基板との交点を仮想延長面と回路基板との交点に一致させてもよい。この場合、仮想直線と仮想延長面とは、重なっている。つまり、仮想直線と回路基板との交点は、仮想延長面と回路基板との交点よりも側面に近い位置に設定されていればよい。また、仮想直線と半田付け部分とが交わっていてもよい。
(5)検査カメラの姿勢及び位置は、実施形態1に開示された位置に限らない。
【符号の説明】
【0036】
10…コネクタ
10A…電気部品
10B…半田付け部分
12…ハウジング
12A…実装面
12B…端面
12C…側面
12D…斜面
12E…角部
13…端子
16…固定部材
20…壁部
21…フード部
21A…保持壁
21B…他の保持壁
23…貫通孔
26…装着溝
90…回路基板
90A…表面
91…検査カメラ
110…コネクタ
112B…端面
112C…側面
Cp1…交点
Cp2…仮想延長面が回路基板に交差する交点
Fv…視野
L,Ld…視線
P…カメラ位置
R…領域
S…仮想直線
Vs…仮想延長面
θ…角度(斜面の角度)