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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018166
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230201BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L31/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020009145
(22)【出願日】2020-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小柳 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】高木 誠司
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA07
4M118CA03
4M118CA14
4M118CB05
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4M118CB14
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5F849HA07
5F849HA20
5F849KA13
5F849KA20
(57)【要約】
【課題】ITO電極の低抵抗化と、光電変換部の電流電圧特性の制御性の向上とを両立する。
【解決手段】撮像装置は、画素電極122と、対向電極127と、画素電極122と対向電極127との間に位置する光電変換層126とを備える撮像装置である。対向電極127は、第1ITO層127aと、第1ITO層127aの、光電変換層126とは反対側の主面に積層された第2ITO層127bとを含む。第2ITO層127bの結晶子サイズは、第1ITO層127aの結晶子サイズより大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に位置する光電変換層とを備える撮像装置であって、
前記対向電極は、
第1ITO(Indium Tin Oxide)層と、
前記第1ITO層の、前記光電変換層とは反対側の主面に積層された第2ITO層とを含み、
前記第2ITO層の結晶子サイズは、前記第1ITO層の結晶子サイズより大きい、
撮像装置。
【請求項2】
さらに、前記第1ITO層に電気的に接続される電極端子を備え、
前記電極端子の主面と前記画素電極の主面とは、積層方向において同じ高さに位置する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2ITO層のシート抵抗は、前記第1ITO層のシート抵抗より低い、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2ITO層の仕事関数は、前記第1ITO層の仕事関数より大きい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2ITO層の膜厚は、前記第1ITO層の膜厚より大きい、
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
さらに、前記光電変換層と前記第1ITO層との間に位置する第1機能層を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
さらに、前記光電変換層と前記画素電極との間に位置する第2機能層を備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像装置では、光電変換部に有機光電変換層を利用した構造が提案されている。例えば特許文献1では、基板上に行列状に配列された複数の画素電極と、複数の画素電極上に、複数の画素電極に共通して設けられた光電変換層を含む有機層と、有機層上に複数の画素電極に共通して設けられた透光性の対向電極とを備える撮像装置の構成が開示されている。撮像装置は、透光性の対向電極から入射した光を、光電変換層で吸収し、電子および正孔に変換する。このとき、画素電極と対向電極との間に電圧を印加することで、光電変換層で発生したキャリアを効率良く取り出すことができる。透光性の対向電極は、高透過率かつ低抵抗であることが好ましいことから、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide:ITO)が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5946132号公報
【特許文献2】特許第4607767号公報
【特許文献3】特許第6128020号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】水野雅夫、「酸化インジウムの電子状態に及ぼす不純物の影響」、KOBE STEEL ENGINEERING REPORTS、1998年12月、Vol.48、No.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透明導電膜として広く用いられるITOは、組成または膜質によって膜の光学特性および電気特性が大きく変わることが知られている。例えば、特許文献2によれば、電気特性の1つである比抵抗は、キャリア濃度と移動度との逆数で定義される。このため、キャリア濃度を下げることで比抵抗を下げることができる。
【0006】
一方で、特許文献3では、インジウムと、ガリウムおよび/またはアルミニウムと、亜鉛と、酸素との四元系化合物から構成された非晶質酸化物において、成膜中の酸素濃度によって仕事関数を制御できることが開示されている。さらに、非特許文献1では、局在する酸素欠陥がドナー準位を形成し、ドナー準位から放出されたキャリア電子が導電性をもたらすことが示されている。
【0007】
これらのことから、光電変換素子の対向電極としてITO膜を用いた場合、キャリア濃度を調整することで低抵抗化が実現できるが、これと同時にITO電極の仕事関数も変化するため、光電変換素子の電流電圧特性が変化する。つまり、ITO電極の低抵抗化と、光電変換素子の電流電圧特性の制御性の向上とを両立することができないという課題がある。
【0008】
そこで、本開示は、ITO電極の低抵抗化と、光電変換部の電流電圧特性の制御性の向上とを両立することができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る撮像装置は、画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に位置する光電変換層とを備える撮像装置である。前記対向電極は、第1ITO層と、前記第1ITO層の、前記光電変換層とは反対側の主面に積層された第2ITO層とを含む。前記第2ITO層の結晶子サイズは、前記第1ITO層の結晶子サイズより大きい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、ITO電極の低抵抗化と、光電変換部の電流電圧特性の制御性の向上とを両立することができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係るITO層の結晶子サイズの分析に用いたサンプル素子の断面図である。
図2図2は、実施の形態に係るITO層のシート抵抗と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。
図3図3は、実施の形態に係るITO層の成膜ガス中の酸素濃度と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。
図4図4は、実施の形態に係るITO層の積層構造のシート抵抗の評価に用いたサンプル素子の断面図である。
図5図5は、実施の形態に係るITO層の積層構造毎のシート抵抗の一例を示すグラフである。
図6図6は、実施の形態に係る光電変換部の一例を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態に係る光電変換部の電流電圧特性の一例を示すグラフである。
図8図8は、実施の形態に係る光電変換部の別の一例を示す断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示す回路図である。
図10図10は、実施の形態に係る撮像装置における単位画素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の概要)
本開示の一態様に係る撮像装置は、画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に位置する光電変換層とを備える撮像装置である。前記対向電極は、第1ITO層と、前記第1ITO層の、前記光電変換層とは反対側の主面に積層された第2ITO層とを含む。前記第2ITO層の結晶子サイズは、前記第1ITO層の結晶子サイズより大きい。
【0013】
これにより、結晶子サイズの異なる2つのITO層の積層構造を対向電極(ITO電極)として用いることで、ITO電極の低抵抗化と、光電変換部の電流電圧特性の制御性の向上とを両立することができる。
【0014】
また、例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、さらに、前記第1ITO層に電気的に接続される電極端子を備える。前記電極端子の主面と前記画素電極の主面とは、積層方向において同じ高さに位置してもよい。
【0015】
これにより、対向電極への給電を簡単に行うことができる。例えば、対向電極への給電を行うための電源回路と、画素電極で捕集された信号電荷の信号処理回路とを基板側にまとめて形成することができる。
【0016】
また、例えば、前記第2ITO層のシート抵抗は、前記第1ITO層のシート抵抗より低くてもよい。
【0017】
これにより、シート抵抗が低い第2ITO層を対向電極が含むことによって、対向電極の低抵抗化を実現することができる。
【0018】
また、例えば、前記第2ITO層の仕事関数は、前記第1ITO層の仕事関数より大きくてもよい。
【0019】
これにより、光電変換層側の第1ITO層の仕事関数が小さくなるので、対向電極に電圧を印加したときに光電変換層内を電流が流れやすくなる。このため、絶対値が小さい駆動電圧で光電変換部を駆動することができるなどの、光電変換部の電流電圧特性の制御性を向上させることができる。
【0020】
また、例えば、前記第2ITO層の膜厚は、前記第1ITO層の膜厚より大きくてもよい。
【0021】
これにより、シート抵抗が小さい第2ITO層の膜厚が大きいので、対向電極を更に低抵抗化することができる。
【0022】
また、例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、さらに、前記光電変換層と前記第1ITO層との間に位置する第1機能層を備えてもよい。
【0023】
これにより、例えば正孔ブロック層などを第1機能層として備えることで、光電変換の機能を向上させることができる。
【0024】
また、例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、さらに、前記光電変換層と前記画素電極との間に位置する第2機能層を備えてもよい。
【0025】
これにより、例えば電子ブロック層などを第2機能層として備えることで、光電変換の機能を向上させることができる。
【0026】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0028】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0029】
また、本明細書において、垂直または水平などの要素間の関係性を示す用語、および、要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0030】
また、本明細書において、「上方」および「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」および「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0031】
(実施の形態)
[1.ITO層の特徴]
まず、実施の形態に係る撮像装置の光電変換部の対向電極として用いられるITO層について説明する。
【0032】
図1は、実施の形態に係るITO層の結晶子サイズの分析に用いたサンプル素子の断面図である。
【0033】
本発明者らは、ITO層のシート抵抗と結晶子サイズとの関係を明らかにするため、図1に示されるサンプル素子100を作製した。図1に示されるように、サンプル素子100は、シリコンウェハ101と、ITO層102とを備える。ITO層102は、シリコンウェハ101の上面に直接積層されている。サンプル素子100の作製方法は、以下の通りである。
【0034】
まず、スパッタ法を用いてシリコンウェハ101上に、膜厚50nmのITO層102を成膜した。その後、窒素雰囲気で200℃の加熱処理を50分間行うことで、サンプル素子100を作製した。
【0035】
このとき、スパッタ法で用いたターゲットの組成は、InO:SnO=9:1である。また、ITO層102の成膜雰囲気は、アルゴンと酸素とが混合された成膜ガスをチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力を0.3Paに調整した。成膜ガス中の酸素濃度を異ならせることで、比較例1から比較例4に係るサンプル素子100を作製した。具体的には、比較例1から比較例4に係るサンプル素子100の各々の成膜ガス中の酸素濃度は、0.2%、0.4%、0.7%、1.1%である。
【0036】
本発明者らは、比較例1から比較例4に係るサンプル素子100の各々に対して、ITO層102の結晶子サイズを分析した。具体的には、X線回析(Xray Diffraction:XRD)法を用いてX線回析スペクトルを測定し、測定したX線回析スペクトルの半値幅からシェラーの公式を用いてITO層102の結晶子サイズを算出した。ここでは、結晶子とは単結晶とみなせる結晶の集まりのことである。また、単一または複数の結晶子からなる集まりを結晶粒界とし、ある一定の領域に占める結晶粒界の量を結晶粒界密度とする。さらに、本発明者らは、4探針測定器を用いてITO層102のシート抵抗を測定した。以下の、表1、図2および図3にITO層102の分析結果を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
図2は、実施の形態に係るITO層のシート抵抗と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。図2において、横軸はITO層102のシート抵抗を表し、縦軸はITO層102の結晶子サイズを表している。
【0039】
図3は、実施の形態に係るITO層の成膜ガス中の酸素濃度と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。図3において、横軸はITO層102の成膜ガス中の酸素濃度を表し、縦軸はITO層102の結晶子サイズを表している。
【0040】
表1に示されるように、酸素濃度が低い程、シート抵抗も低くなっている。一方で、表1および図3に示されるように、酸素濃度が低い程、結晶子サイズは大きくなっている。したがって、図2に示されるように、結晶子サイズが小さい程、シート抵抗が高くなっている。このように、表1、図2および図3に示される結果から、結晶子サイズの大きさを調整することで、ITO層102のシート抵抗を調整できることが分かる。
【0041】
なお、ITO層102の結晶子サイズが大きくなることで、キャリアのトラップまたは散乱の原因となる結晶粒界密度が高まりやすくなる。また、酸素欠陥が増加しやすくなるので、キャリア濃度が高まりやすくなる。これらのことから、結晶子サイズが大きくなることにより、ITO層102のシート抵抗を低下させていると推察される。
【0042】
以上のように、ITO層102の結晶子サイズを大きくすることにより、ITO層102のシート抵抗を低くすることができる。一方で、ITO層102を単独で撮像装置の光電変換部の対向電極として利用した場合、光電変換部の電流電圧特性の制御性が悪化する。このため、本発明者らは、結晶子サイズの異なる2つのITO層の積層構造を対向電極として利用することを検討した。なお、光電変換部の電流電圧特性の制御性については、後で説明する。
【0043】
図4は、実施の形態に係るITO層の積層構造のシート抵抗の評価に用いたサンプル素子の断面図である。図4に示されるように、サンプル素子110は、シリコンウェハ101と、第1ITO層111と、第2ITO層112とを備える。第1ITO層111は、シリコンウェハ101の上面に直接積層されている。第2ITO層112は、第1ITO層111の上面に直接積層されている。
【0044】
サンプル素子110の作製方法は、図1に示されるサンプル素子100の作製方法と同様である。具体的には、まず、スパッタ法を用いてシリコンウェハ101上に、第1ITO層111と第2ITO層112とを順に成膜した。その後、窒素雰囲気で200℃の加熱処理を50分間行うことで、サンプル素子110を作製した。
【0045】
ここでは、第1ITO層111の成膜条件と第2ITO層112の成膜条件とは、成膜ガス中の酸素濃度および膜厚が異なる点を除いて互いに同じ条件である。第1ITO層111の成膜ガス中の酸素濃度は20%であり、第2ITO層112の成膜ガス中の酸素濃度は3%である。また、第1ITO層111と第2ITO層112との合計膜厚が50nmになるように、第1ITO層111の膜厚と第2ITO層112の膜厚とを調整した。本発明者らは、膜厚の異なる5つのサンプル素子110を実施例1から実施例3ならびに比較例5および比較例6として作製した。各サンプル素子110の膜厚は、以下の表2に示される通りである。
【0046】
【表2】
【0047】
なお、比較例5に係るサンプル素子110は、第2ITO層112の膜厚が0nmであるので、第1ITO層111をITO層102として備えるサンプル素子100と同じ構造を有する。同様に、比較例6に係るサンプル素子110は、第1ITO層111の膜厚が0nmであるので、第2ITO層112をITO層102として備えるサンプル素子100と同じ構造を有する。
【0048】
本発明者らは、作製した5つのサンプル素子110の各々について、4探針測定器を用いて、第1ITO層111および第2ITO層112の積層構造のシート抵抗を測定した。なお、比較例5および比較例6については、第1ITO層111または第2ITO層112のシート抵抗を測定した。
【0049】
図5は、実施の形態に係るITO層の積層構造毎のシート抵抗の一例を示すグラフである。図5において、横軸は実施例1から実施例3ならびに比較例5および比較例6を表し、縦軸はシート抵抗を表している。なお、実施例1から実施例3ならびに比較例5および比較例6は、横軸の右側程、第2ITO層112の膜厚が大きくなる順で並べられている。
【0050】
表2および図5に示される結果から、ITO層の積層構造の合計膜厚が同じである場合、第1ITO層111と第2ITO層112との膜厚比を調整することで、積層構造のシート抵抗を調整できることが分かる。具体的には、ITO層の積層構造の合計膜厚が同じであれば、酸素濃度が低い成膜ガス中で成膜された第2ITO層112の膜厚が大きくなる程、シート抵抗が低くなることが分かる。つまり、第1ITO層111よりもシート抵抗が低い第2ITO層112の膜厚が大きくなる程、ITO層の積層構造のシート抵抗は低くなる。
【0051】
なお、表1と表2とを比較した場合に、比較例6に係るサンプル素子110のシート抵抗は、酸素濃度が高いにも関わらず、比較例4に係るサンプル素子100のシート抵抗より低くなっている。これは、比較例1から比較例4に係るサンプル素子100と、比較例5および比較例6に係るサンプル素子110とでは、ITO層の成膜に利用した成膜装置が異なっており、成膜条件に差異が生じたためである。
【0052】
[2.光電変換部の特性]
次に、ITO層の積層構造を対向電極として含む光電変換部について説明する。
【0053】
[2-1.構造]
まず、光電変換部の構造について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る光電変換部の一例を示す断面図である。図6に示されるように、光電変換部120は、画素電極122と、光電変換層126と、対向電極127とを備える。光電変換部120は、絶縁層121上に設けられている。絶縁層121には、接続配線123、電極端子124および接続配線125が形成されている。
【0054】
絶縁層121は、基板(図示せず)の上方に形成された絶縁層である。なお、基板には、例えば、光電変換部120が生成した信号電荷を処理する信号処理回路に含まれるトランジスタなどが形成されている。絶縁層121は、例えばシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などの単層構造または積層構造であるが、特に限定されない。
【0055】
画素電極122は、光電変換層126で生成した信号電荷を捕集するための電極である。画素電極122の材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物または導電性ポリシリコンなどの導電性材料が用いられる。金属は、例えば、アルミニウム、銀、銅、チタンまたはタングステンなどである。金属窒化物は、例えば、窒化チタンまたは窒化タンタルなどである。導電性ポリシリコンは、不純物が添加されることによって導電性が付与されたポリシリコンである。
【0056】
接続配線123は、画素電極122と信号処理回路とを電気的に接続する配線の一部である。接続配線123の材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物または導電性ポリシリコンなどの導電性材料が用いられる。
【0057】
電極端子124は、対向電極127に給電するための給電端子である。電極端子124は、対向電極127に電気的に接続されている。電極端子124の材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物または導電性ポリシリコンなどの導電性材料が用いられる。
【0058】
電極端子124の主面と画素電極122の主面とは、積層方向において同じ高さに位置している。具体的には、電極端子124の上面124aと画素電極122の上面122aとは、積層方向において同じ高さに位置している。本実施の形態では、電極端子124の上面124a、画素電極122の上面122aおよび絶縁層121の上面121aが面一になっている。
【0059】
接続配線125は、電極端子124と、対向電極127に印加する電圧を供給する電源回路(図示せず)とを電気的に接続する配線の一部である。接続配線125の材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物または導電性ポリシリコンなどの導電性材料が用いられる。
【0060】
光電変換層126は、画素電極122と対向電極127との間に位置する。光電変換層126は、光の照射を受けて内部に電子-正孔対を生成する。電子-正孔対は、光電変換層126に加えられた電界によって電子と正孔とに分離され、それぞれが画素電極122側または対向電極127側に移動する。
【0061】
光電変換層126は、公知の光電変換材料を用いて形成される。光電変換材料は、例えば有機材料であるが、無機材料であってもよい。無機光電変換材料としては、水素化アモルファスシリコン、化合物半導体材料、金属酸化物半導体材料などを用いることができる。化合物半導体材料は、例えばCdSeである。金属酸化物半導体材料は、例えばZnOである。
【0062】
光電変換材料が有機材料である場合、所望の光電変換特性が得られるように、光電変換材料の分子設計を比較的自由に行うことができる。光電変換材料が有機材料である場合、光電変換材料を含む溶液を用いた塗布プロセスによって平坦化性に優れた光電変換層126を容易に形成することができる。有機半導体材料は、例えば、真空蒸着法または塗布法によって形成することができる。
【0063】
光電変換材料として有機半導体材料を用いる場合、光電変換層126は、ドナー材料とアクセプタ材料との積層膜で構成されていてもよく、これらの材料の混合膜で構成されていてもよい。ドナー材料とアクセプタ材料との積層膜の構造は、ヘテロ接合型と呼ばれる。ドナー材料とアクセプタ材料との混合膜の構造は、バルクヘテロ接合型と呼ばれる。
【0064】
有機化合物のp型半導体は、ドナー性有機半導体であり、主に、正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。具体的には、有機化合物のp型半導体は、2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機半導体は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、ドナー性有機半導体は、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物または含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などを用いることができる。なお、縮合芳香族炭素環化合物は、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体またはフルオランテン誘導体などである。これらに限らず、アクセプタ性有機半導体として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いることができる。
【0065】
有機化合物のn型半導体は、アクセプタ性有機半導体であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。具体的には、有機化合物のn型半導体は、2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプタ性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、アクセプタ性有機化合物は、フラーレン、フラーレン誘導体、縮合芳香族炭素環化合物、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などを用いることができる。あるいは、アクセプタ性有機化合物は、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含有する5または7員のヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体を用いることができる。なお、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含有する5または7員のヘテロ環化合物は、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピンまたはトリベンズアゼピンなどである。これらに限らず、上述したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きい有機化合物であればアクセプタ性有機半導体として用いることができる。
【0066】
対向電極127は、画素電極122が捕集する信号電荷とは逆極性の電荷を捕集する。対向電極127には、所定の電圧が印加される。これにより、対向電極127と複数の画素電極122との間に電位差が生じ、光電変換層126には電界が与えられる。対向電極127は、光電変換層126で生じた正孔および電子のうち、電界によって対向電極127側に移動する電荷を捕集する。
【0067】
対向電極127は、ITO層の積層構造を有する。具体的には、図6に示されるように、対向電極127は、第1ITO層127aと、第2ITO層127bとを含む。
【0068】
第1ITO層127aは、第2ITO層127bよりも光電変換層126側に設けられている。具体的には、第1ITO層127aは、光電変換層126の上面に直接積層されている。
【0069】
第2ITO層127bは、第1ITO層127aの、光電変換層126とは反対側の主面に積層されている。具体的には、第2ITO層127bは、第1ITO層127aの上面に直接積層されている。
【0070】
第1ITO層127aおよび第2ITO層127bは、光電変換層126の端面と、絶縁層121の、光電変換層126に覆われていない部分とを覆っている。具体的には、第1ITO層127aは、光電変換層126の端面と、絶縁層121の、光電変換層126に覆われていない部分とに接触している。第1ITO層127aは、電極端子124に接触しており、電極端子124と電気的に接続されている。
【0071】
第2ITO層127bの結晶子サイズは、第1ITO層127aの結晶子サイズより大きい。上述した結晶子サイズとシート抵抗との関係からも分かるように、第2ITO層127bのシート抵抗は、第1ITO層127aのシート抵抗より小さい。また、第2ITO層127bの仕事関数は、第1ITO層127aの仕事関数より大きい。
【0072】
本実施の形態では、第2ITO層127bの膜厚は、第1ITO層127aの膜厚より大きい。例えば、第2ITO層127bの膜厚は、第1ITO層127aの膜厚の1.5倍以上であるが、2倍以上であってもよく、4倍以上であってもよい。
【0073】
[2-2.電流電圧特性]
次に、光電変換部120の電流電圧特性について説明する。
【0074】
本発明者らは、電流電圧特性を測定するために、図6に示される光電変換部120を実施例4に係るサンプル素子として作製した。本発明者らは、さらに、比較例7および比較例8に係るサンプル素子として、対向電極127がITO層の単層構造である点以外の構成が実施例4と同じであるサンプル素子を作製した。
【0075】
実施例4に係るサンプル素子では、画素電極122および電極端子124として、膜厚が50nmの窒化チタン(TiN)膜をスパッタ法で形成した。光電変換層126として、Sn(OSiHexNcとフラーレン(C60)とを1:9の体積比で含む混合膜である有機光電変換膜を真空蒸着法で形成した。また、第1ITO層127aは、酸素濃度が1.1%の成膜ガス中で成膜された膜厚20nmのITO層である。第2ITO層127bは、酸素濃度が0.4%の成膜ガス中で成膜された膜厚30nmのITO層である。
【0076】
比較例7に係るサンプル素子は、対向電極127として、酸素濃度が0.4%の成膜ガス中で成膜された膜厚50nmのITO層の単層構造を有する。比較例8に係るサンプル素子は、対向電極127として、酸素濃度が1.1%の成膜ガス中で成膜された膜厚50nmのITO層の単層構造を有する。比較例7に係るサンプル素子の対向電極127のシート抵抗は、比較例8に係るサンプル素子の対向電極127のシート抵抗よりも低抵抗である。具体的には、比較例7に係る対向電極127のシート抵抗は、比較例2と同じであり、71Ω/sqである。比較例8に係る対向電極127のシート抵抗は、比較例4と同じであり、372Ω/sqである。
【0077】
本発明者らは、実施例4、比較例7および比較例8の各々に係るサンプル素子の電流電圧特性を測定した。具体的には、対向電極127に印加する印加電圧を-0.2Vから0Vまで掃引して、対向電極127と画素電極122との間に流れる電流の電流値を測定した。
【0078】
なお、電流電圧特性の測定には、Keysight社製の半導体パラメータアナライザB1500Aを用いた。また、測定中には、朝日分光株式会社製のキセノン光源MAX-303を用いて、サンプル素子の光電変換層126に対して光を照射した。
【0079】
図7は、実施の形態に係る光電変換部の電流電圧特性の一例を示すグラフである。図7において、横軸は対向電極127に印加される印加電圧を表し、縦軸は、画素電極122と対向電極127との間に流れる電流を表している。なお、画素電極122の電位は一定であるので、横軸は、対向電極127と画素電極122との間の電位差に相当している。
【0080】
図7に示されるように、電流値が1.0×10-11Aになるときの印加電圧は、比較例7、比較例8および実施例4に係るサンプル素子ではそれぞれ、-0.195V、-0.135V、-0.145Vであった。この結果、シート抵抗が低い比較例7に係るサンプル素子では、シート抵抗が高い比較例8に係るサンプル素子よりも、電流が流れ始めるときの印加電圧が負側に0.05V大きい。なお、ここでは、電流値が1.0×10-11Aになるときを、電流が流れ始めるときとみなしている。電流が流れ始めるときは、光電変換層126で生成した電子-正孔対を電子と正孔とに分離して移動させることができたときであり、信号電荷として検出が可能、すなわち、光電変換部120を駆動させることができるときである。したがって、電流が流れ始めるときに対向電極127に印加している印加電圧が、光電変換部120の駆動電圧である。
【0081】
図7に示される結果から、シート抵抗が低い比較例7に係るサンプル素子では、シート抵抗が高い比較例8に係るサンプル素子よりも、絶対値が大きい駆動電圧が必要であることが分かる。つまり、シート抵抗が低い単層のITO層を対向電極127として用いた場合には、絶対値が大きい駆動電圧が必要であるので、光電変換部120の電流電圧特性の制御性が悪いと言える。
【0082】
これに対して、実施例4に係るサンプル素子では、図7に示されるように、シート抵抗が高い比較例8に係るサンプル素子と同等程度の駆動電圧で光電変換部120が駆動可能であることが分かる。したがって、ITO層の積層構造を利用することにより、電流電圧特性の制御性を向上させることができる。
【0083】
なお、このような電流電圧特性のシフトに伴う駆動電圧の変化は、光電変換層126に接するITO層の仕事関数の差異が影響している。比較例7に係るサンプル素子のITO層と比較例8に係るサンプル素子のITO層との仕事関数の差は、図7に示される駆動電圧の差であり、約-0.05Vである。つまり、比較例8に係る結晶子サイズが小さいITO層の仕事関数は、比較例7に係る結晶子サイズが大きいITO層の仕事関数より小さい。
【0084】
実施例4に係るサンプル素子では、光電変換層126側の第1ITO層127aが、比較例8に係るサンプル素子のITO層と同じであり、シート抵抗が高く、仕事関数が小さいITO層である。実施例4に係るサンプル素子の電流電圧特性は、比較例8と同等であることから、電流電圧特性の制御性は、対向電極127全体ではなく、光電変換層126側の第1ITO層127aの仕事関数によって調整できることが分かる。具体的には、光電変換層126側の第1ITO層127aの仕事関数が小さい程、対向電極127と画素電極122との間で光電変換層126を通って流れる電流が流れやすくなり、電流電圧特性の制御性を向上させることができる。
【0085】
以上のように、本実施の形態に係る光電変換部120では、第2ITO層127bの結晶子サイズが第1ITO層127aの結晶子サイズより小さいことにより、第2ITO層127bのシート抵抗が第1ITO層127aのシート抵抗より低くなる。これにより、対向電極127全体のシート抵抗を低くすることができる。
【0086】
また、光電変換層126側の第1ITO層127aの結晶子サイズが第2ITO層127bの結晶子サイズより小さいことにより、第1ITO層127aの仕事関数が第2ITO層127bの仕事関数より小さくなる。これにより、光電変換部120の電流電圧特性の制御性を向上させることができる。
【0087】
なお、ITO層の成膜条件は、ITO層の結晶子サイズを調整できれば、上述した条件に限定されない。例えば、ITO層の成膜は、湿式法を用いて行われてもよい。また、成膜後の加熱温度は、ITO層の結晶化が進行する温度であればよく、例えば、150℃であってもよい。加熱時の雰囲気は、真空減圧雰囲気、アルゴンなどの希ガス雰囲気、または、酸素雰囲気であってもよい。また、成膜ガスには、水素または窒素などのガスが含まれていてもよい。スパッタ法のターゲットの組成は、InO:SnO=9.5:0.5であってもよい。各層の膜厚についても、上述した例に限定されない。
【0088】
[2-3.変形例]
ここで、光電変換部の変形例について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態に係る光電変換部の別の一例を示す断面図である。
【0089】
図8に示される光電変換部130は、図6に示される光電変換部120と比較して、新たに、電子ブロック層128と、正孔ブロック層129とを備える点が相違する。以下では、図6に示される構造との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0090】
電子ブロック層128は、光電変換層126と画素電極122との間に位置する第2機能層の一例である。電子ブロック層128は、光電変換によって光電変換層126中に電子の画素電極122内への移動を抑制する機能を有する。電子ブロック層128は、電子の通過を抑制し、正孔の通過を可能にする。
【0091】
電子ブロック層128を形成するための材料としては、p型半導体または正孔輸送性有機化合物を用いることができる。このような材料の例は、TPD(N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、α-NPD(4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル)などの芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、m-MTDATA(4,4’,4”-トリス(N-(3-メチルフェニル)N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、ぺリレン、ならびに、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニンおよびチタニウムフタロシアニンオキサイドなどのポリフィリン化合物、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アニールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体などである。あるいは、電子ブロック層128を形成するための材料として、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレンなどの重合体、または、これらの誘導体を用いることができる。電子ブロック層128を形成するための材料は、光電変換層126を構成する材料の電子親和力を考慮して上記の材料から選択され得る。電子ブロック層128は、有機材料だけでなく、無機材料を用いて形成されていてもよい。
【0092】
電子ブロック層128の膜厚は、特に限定されない。電子のトンネル確率を十分に低下させる観点から、電子ブロック層128の膜厚は、5nm以上であってもよい。電子ブロック層128の膜厚の上限値は、例えば、100nmである。
【0093】
正孔ブロック層129は、光電変換層126と第1ITO層127aとの間に位置する第1機能層の一例である。正孔ブロック層129は、対向電極127から光電変換層126への正孔の移動を抑制する機能を有する。正孔ブロック層129は、正孔の通過を抑制し、電子の通過を可能にする。
【0094】
正孔ブロック層129を形成するための材料としては、n型半導体または電子輸送性有機化合物を用いることができる。このような材料の例は、C60およびC70などのフラーレン、インデン-C60ビス付加物(ICBA)などのフラーレン誘導体、カーボンナノチューブおよびその誘導体、OXD-7(1,3-ビス(4-tert-ブチルフェニル-1,3,4-オキサジアゾリル)フェニレン)などのオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、バソクプロイン(BCP)、バソフェナントロリンおよびその誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、トリアゾール化合物、シロール化合物、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4-メチル-8-キノリナート)アルミニウム錯体、アセチルアセトネート錯体、銅フタロシアニン、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、Alqなどの有機物もしくは有機-金属化合物、または、MgAg、MgOなどの無機物などである。正孔ブロック層129を形成するための材料は、光電変換層126を構成する材料のイオン化ポテンシャルを考慮して上記の材料から選択され得る。
【0095】
以上のように、光電変換部130は、電子ブロック層128および正孔ブロック層129を含むことで、光電変換機能を高めることができる。
【0096】
なお、本変形例では、画素電極122が信号電荷として正孔を捕集する例を説明したが、画素電極122は、信号電荷として電荷を捕集してもよい。この場合、正孔ブロック層129は、画素電極122と光電変換層126との間に位置し、電子ブロック層128は、光電変換層126と対向電極127との間に位置する。
【0097】
また、光電変換部130は、電子ブロック層128および正孔ブロック層129のいずれか一方のみを備えていてもよく、他方を備えていなくてもよい。また、光電変換部130は、電荷のブロッキング機能を有する層以外に、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層などの光電変換機能を高めるための機能層を含んでもよい。
【0098】
[3.撮像装置]
次に、本実施の形態に係る撮像装置について、図9および図10を用いて説明する。
【0099】
図9は、本実施の形態に係る撮像装置200の回路構成を示す回路図である。図10は、本実施の形態に係る撮像装置200における単位画素210の断面図である。
【0100】
[3-1.回路構成]
以下では、まず、本実施の形態に係る撮像装置200の回路構成について説明する。撮像装置200は、図9に示されるように、複数の単位画素210と、周辺回路とを備える。複数の単位画素210は、電荷検出回路25、光電変換部120、および、電荷検出回路25と光電変換部120とに電気的に接続された電荷蓄積ノード24を含む。
【0101】
撮像装置200は、例えば、1チップの集積回路で実現される有機イメージセンサであり、2次元に配列された複数の単位画素210を含む画素アレイを有する。複数の単位画素210は、2次元、すなわち行方向および列方向に配列されて、画素領域である感光領域を形成している。図9は、単位画素210が2行2列のマトリクス状に配列された例を示している。撮像装置200は、ラインセンサであってもよい。その場合、複数の単位画素210は、1次元に配列されていてもよい。本明細書において、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ延びる方向をいう。つまり、垂直方向が列方向であり、水平方向が行方向である。
【0102】
各単位画素210は、光電変換部120と電荷検出回路25とに電気的に接続された電荷蓄積ノード24を含む。電荷検出回路25は、増幅トランジスタ11と、リセットトランジスタ12と、アドレストランジスタ13とを含む。
【0103】
光電変換部120は、画素電極122、光電変換層126、および、対向電極127を含む。対向電極127には、電圧制御回路30から対向電極信号線16を介して所定の電圧が印加される。
【0104】
画素電極122は、増幅トランジスタ11のゲート電極39B(図10を参照)に接続されている。画素電極122によって集められた信号電荷は、画素電極122と増幅トランジスタ11のゲート電極39Bとの間に位置する電荷蓄積ノード24に蓄積される。本実施の形態では、信号電荷は正孔であるが、信号電荷は電子であってもよい。
【0105】
電荷蓄積ノード24に蓄積された信号電荷は、信号電荷の量に応じた電圧として増幅トランジスタ11のゲート電極39Bに印加される。増幅トランジスタ11は、この電圧を増幅する。増幅された電圧は、信号電圧として、アドレストランジスタ13によって選択的に読み出される。リセットトランジスタ12は、そのソース電極およびドレイン電極の一方が画素電極122に接続されており、電荷蓄積ノード24に蓄積された信号電荷をリセットする。言い換えると、リセットトランジスタ12は、増幅トランジスタ11のゲート電極39Bおよび画素電極122の電位をリセットする。
【0106】
複数の単位画素210において上述した動作を選択的に行うために、撮像装置200は、図9に示されるように、電源配線21と、垂直信号線17と、アドレス信号線26と、リセット信号線27とを有する。これらの線が各単位画素210にそれぞれ接続されている。具体的には、電源配線21は、増幅トランジスタ11のソース電極およびドレイン電極の一方に接続されている。垂直信号線17は、アドレストランジスタ13のソース電極およびドレイン電極の一方に接続されている。アドレス信号線26は、アドレストランジスタ13のゲート電極39C(図10を参照)に接続されている。リセット信号線27は、リセットトランジスタ12のゲート電極39A(図10を参照)に接続されている。
【0107】
周辺回路は、垂直走査回路15と、水平信号読出し回路20と、複数のカラム信号処理回路19と、複数の負荷回路18と、複数の差動増幅器22と、電圧制御回路30とを含む。垂直走査回路15は、行走査回路とも称される。水平信号読出し回路20は、列走査回路とも称される。カラム信号処理回路19は、行信号蓄積回路とも称される。差動増幅器22は、フィードバックアンプとも称される。
【0108】
垂直走査回路15は、アドレス信号線26およびリセット信号線27に接続されている。垂直走査回路15は、各行に配置された複数の単位画素210を行単位で選択し、信号電圧の読出しおよび画素電極122の電位のリセットを行う。ソースフォロア電源である電源配線21は、各単位画素210に所定の電源電圧を供給する。水平信号読出し回路20は、複数のカラム信号処理回路19に電気的に接続されている。カラム信号処理回路19は、各列に対応した垂直信号線17を介して、各列に配置された単位画素210に電気的に接続されている。負荷回路18は、各垂直信号線17に電気的に接続されている。負荷回路18と増幅トランジスタ11とは、ソースフォロア回路を形成する。
【0109】
複数の差動増幅器22は、各列に対応して設けられている。差動増幅器22の負側の入力端子は、対応した垂直信号線17に接続されている。差動増幅器22の出力端子は、各列に対応したフィードバック線23を介して単位画素210に接続されている。
【0110】
垂直走査回路15は、アドレス信号線26によって、アドレストランジスタ13のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレストランジスタ13のゲート電極39Cに印加する。これにより、読出し対象の行が走査され、選択される。選択された行の単位画素210から垂直信号線17に信号電圧が読み出される。垂直走査回路15は、リセット信号線27を介して、リセットトランジスタ12のオンおよびオフを制御するリセット信号をリセットトランジスタ12のゲート電極39Aに印加する。これにより、リセット動作の対象となる単位画素210の行が選択される。垂直信号線17は、垂直走査回路15によって選択された単位画素210から読み出された信号電圧をカラム信号処理回路19へ伝達する。
【0111】
カラム信号処理回路19は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。
【0112】
水平信号読出し回路20は、複数のカラム信号処理回路19から水平共通信号線28に信号を順次読み出す。
【0113】
差動増幅器22は、フィードバック線23を介してリセットトランジスタ12のソース電極およびドレイン電極の他方であって、画素電極122に接続されていない方の電極に接続されている。したがって、差動増幅器22は、アドレストランジスタ13とリセットトランジスタ12とが導通状態にあるときに、アドレストランジスタ13の出力値を負側の入力端子に受ける。増幅トランジスタ11のゲート電位が所定のフィードバック電圧となるように、差動増幅器22はフィードバック動作を行う。このとき、差動増幅器22の出力電圧値は、0Vまたは0V近傍の正電圧である。フィードバック電圧とは、差動増幅器22の出力電圧を意味する。
【0114】
電圧制御回路30は、一定の制御電圧を発生させてもよく、あるいは、値の異なる複数の制御電圧を発生させてもよい。例えば、電圧制御回路30は、2以上の異なる値の制御電圧を発生させてもよく、あるいは、所定の範囲で連続的に変化する制御電圧を発生させてもよい。電圧制御回路30は、撮像装置200を操作する操作者の指令、または、撮像装置200が備える他の制御部などの指令に基づき、発生させる制御電圧の値を決定し、決定した値の制御電圧を生成する。電圧制御回路30は、周辺回路の一部として、感光領域外に設けられる。なお、感光領域は、画素領域と実質的に同一である。
【0115】
例えば、電圧制御回路30は、2以上の異なる制御電圧を発生し、対向電極127に制御電圧を印加することによって、光電変換層126の分光感度特性が変化する。また、この分光感度特性の変化には、検出すべき光に対して光電変換層126の感度がゼロとなる分光感度特性が含まれる。これにより、例えば、撮像装置200において、単位画素210が行ごとに検出信号の読み出しを行う間、対向電極127に光電変換層126の感度がゼロとなる制御電圧を電圧制御回路30から印加することによって、検出信号の読み出し時に入射する光の影響を実質的になくすことができる。よって、実質的に行ごとに検出信号を読み出しても、グローバルシャッター動作を実現することができる。
【0116】
本実施の形態では、図9に示されるように、電圧制御回路30は、行方向に配列された単位画素210の対向電極127に、対向電極信号線16を介して制御電圧を印加する。これにより、画素電極122と対向電極127との間の電圧を変化させ、光電変換部120における分光感度特性を切り替える。あるいは、電圧制御回路30は、撮像中に所定のタイミングで光に対する感度がゼロとなる分光感度特性が得られるように制御電圧を印加することによって電子シャッター動作を実現する。なお、電圧制御回路30は、画素電極122に制御電圧を印加してもよい。
【0117】
光を光電変換部120に照射し、画素電極122に電子を信号電荷として捕集させるためには、画素電極122は、対向電極127よりも高い電位に設定される。これにより、電子は画素電極122に向かって移動する。このとき、電子の移動方向は電流の流れる方向とは逆であるため、画素電極122から対向電極127に向かって電流が流れる。また、光を光電変換部120に照射し、画素電極122に正孔を信号電荷として捕集させるためには、画素電極122は、対向電極127よりも低い電位に設定される。このとき、対向電極127から画素電極122に向かって電流が流れる。
【0118】
[3-2.断面構成]
次に、撮像装置200の単位画素210の具体的な断面構成の一例について、図10を用いて説明する。図10に示されるように、単位画素210は、半導体基板31と、電荷検出回路25と、光電変換部120と、電荷蓄積ノード24とを含む。複数の単位画素210は、半導体基板31に形成されている。例えば、光電変換部120は、半導体基板31の上方に設けられている。電荷検出回路25は、半導体基板31の内部および上方に設けられている。
【0119】
半導体基板31は、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板などであり、例えば、p型シリコン基板である。半導体基板31は、不純物領域41A、41B、41C、41Dおよび41Eと、単位画素210間の電気的な分離のための素子分離領域42と、を有する。ここでは、素子分離領域42は、不純物領域41Bと不純物領域41Cとの間にも設けられている。これにより、電荷蓄積ノード24に蓄積された信号電荷のリークが抑制される。なお、素子分離領域42は、例えば、所定の注入条件の下でアクセプタのイオン注入を行うことによって形成される。
【0120】
不純物領域41A、41B、41C、41Dおよび41Eは、例えば、半導体基板31内に形成された拡散層である。ここでは、不純物領域41A、41B、41C、41Dおよび41Eは、n型不純物領域である。図10に示されるように、増幅トランジスタ11は、不純物領域41Cと、不純物領域41Dと、ゲート絶縁膜38Bと、ゲート電極39Bとを含む。不純物領域41Cおよび不純物領域41Dはそれぞれ、増幅トランジスタ11のソース領域およびドレイン領域として機能する。不純物領域41Cおよび不純物領域41Dの間に、増幅トランジスタ11のチャネル領域が形成される。
【0121】
同様に、アドレストランジスタ13は、不純物領域41Dと、不純物領域41Eと、ゲート絶縁膜38Cと、ゲート電極39Cとを含む。図10に示される例では、増幅トランジスタ11およびアドレストランジスタ13は、不純物領域41Dを共有することによって互いに電気的に接続されている。不純物領域41Dおよび不純物領域41Eはそれぞれ、アドレストランジスタ13のソース領域およびドレイン領域として機能する。不純物領域41Eは、図9に示される垂直信号線17に接続される。
【0122】
リセットトランジスタ12は、不純物領域41A、不純物領域41Bと、ゲート絶縁膜38Bと、ゲート電極39Aとを含む。不純物領域41Aおよび不純物領域41Bはそれぞれ、リセットトランジスタ12のソース領域およびドレイン領域として機能する。不純物領域41Aは、図9に示されるリセット信号線27に接続される。
【0123】
ゲート絶縁膜38A、ゲート絶縁膜38B、および、ゲート絶縁膜38Cはそれぞれ、絶縁性材料を用いて形成された絶縁膜である。絶縁膜は、例えば、シリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜などの単層構造または積層構造を有する。
【0124】
ゲート電極39A、ゲート電極39B、およびゲート電極39Cはそれぞれ、導電性材料を用いて形成されている。導電性材料は、例えば、導電性ポリシリコンである。
【0125】
半導体基板31上には、増幅トランジスタ11、アドレストランジスタ13およびリセットトランジスタ12を覆うように層間絶縁層43が積層されている。層間絶縁層43中には、配線層(図示せず)が配置されうる。配線層は、例えば、銅などの金属から形成され、例えば、上述の垂直信号線17などの配線をその一部に含みうる。層間絶縁層43中の絶縁層の層数、および、層間絶縁層43中に配置される配線層に含まれる層数は、任意に設定可能である。
【0126】
層間絶縁層43中には、リセットトランジスタ12の不純物領域41Bと接続されたコンタクトプラグ45A、増幅トランジスタ11のゲート電極39Bと接続されたコンタクトプラグ45B、画素電極122と接続されたコンタクトプラグ47、および、コンタクトプラグ47とコンタクトプラグ45Aとコンタクトプラグ45Bとを接続する配線46が配置されている。これにより、リセットトランジスタ12の不純物領域41Bが増幅トランジスタ11のゲート電極39Bと電気的に接続されている。
【0127】
層間絶縁層43上には、光電変換部120が配置されている。光電変換部120の具体的な構成は、図6と同じである。なお、層間絶縁層43およびコンタクトプラグ47はそれぞれ、図6に示される絶縁層121および接続配線123に相当している。図6に示される電極端子124および接続配線125は、例えば単位画素210内ではなく、感光領域の周縁部分に設けられている。
【0128】
なお、光電変換部120は、図8に示される光電変換部130のように、電子ブロック層128および正孔ブロック層129を含む複数の機能層の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、撮像装置200は、光電変換部120の代わりに、光電変換部130を備えてもよい。
【0129】
光電変換部120の上方には、カラーフィルタ60が設けられている。カラーフィルタ60の上方にマイクロレンズ61が設けられている。カラーフィルタ60は、例えば、パターニングによるオンチップカラーフィルタとして形成され、染料または顔料が分散された感光性樹脂などが用いられる。マイクロレンズ61は、例えば、オンチップマイクロレンズとして設けられ、紫外線感光材等が用いられる。
【0130】
撮像装置200は、一般的な半導体製造プロセスを用いて製造することができる。特に、半導体基板31としてシリコン基板を用いる場合には、種々のシリコン半導体プロセスを利用することによって製造することができる。
【0131】
以上のように、撮像装置200が備える光電変換部120の対向電極127は、第1ITO層127aおよび第2ITO層127bの積層構造を有する。このため、上述した通りに、撮像装置200は、対向電極127の低抵抗化と、光電変換部120の電流電圧特性の制御性の向上とを両立することができる。
【0132】
なお、また、光電変換部130とカラーフィルタ60との間には、透光性および絶縁性の保護膜が設けられていてもよい。
【0133】
(他の実施の形態)
以上、1つまたは複数の態様に係る撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0134】
例えば、上記の実施の形態では、対向電極127は、3層以上のITO層を含んでいてもよい。この場合、光電変換層126に最も近いITO層が第1ITO層127aである。第2ITO層127bは、第1ITO層127aを除く2層以上のITO層の1つである。例えば、第2ITO層127bは、光電変換層126から最も離れたITO層であってもよい。つまり、第1ITO層127aと第2ITO層127bとの間には、他のITO層が含まれてもよい。あるいは、第2ITO層127bよりも光電変換層126から離れたITO層が設けられていてもよい。
【0135】
また、例えば、電極端子124と画素電極122とは、下面が積層方向において同じ高さに位置していてもよい。例えば、最上面が平坦である絶縁層121の最上面に電極端子124および画素電極122が設けられていてもよい。
【0136】
また、例えば、第1ITO層127aの膜厚と第2ITO層127bの膜厚とは等しくてもよい。あるいは、第1ITO層127aの膜厚は、第2ITO層127bの膜厚より大きくてもよい。
【0137】
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本開示は、例えば、カメラまたは測距装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0139】
11 増幅トランジスタ
12 リセットトランジスタ
13 アドレストランジスタ
15 垂直走査回路
16 対向電極信号線
17 垂直信号線
18 負荷回路
19 カラム信号処理回路
20 水平信号読出し回路
21 電源配線
22 差動増幅器
23 フィードバック線
24 電荷蓄積ノード
25 電荷検出回路
26 アドレス信号線
27 リセット信号線
28 水平共通信号線
30 電圧制御回路
31 半導体基板
38A、38B、38C ゲート絶縁膜
39A、39B、39C ゲート電極
41A、41B、41C、41D、41E 不純物領域
42 素子分離領域
43 層間絶縁層
45A、45B、47 コンタクトプラグ
46 配線
60 カラーフィルタ
61 マイクロレンズ
100、110 サンプル素子
101 シリコンウェハ
102 ITO層
111、127a 第1ITO層
112、127b 第2ITO層
120、130 光電変換部
121 絶縁層
121a、122a、124a 上面
122 画素電極
123、125 接続配線
124 電極端子
126 光電変換層
127 対向電極
128 電子ブロック層
129 正孔ブロック層
200 撮像装置
210 単位画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10