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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181662
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20231218BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20231218BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20231218BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F110:10
F24F140:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094919
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】有賀 徹
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA34
3L260CA12
3L260CB06
3L260EA07
3L260EA08
3L260FB12
3L260FC13
3L260FC14
(57)【要約】
【課題】室内ファンの表面が結露するのを防止する空気調和機を提供する。
【解決手段】室内機および室外機を有する空気調和機であって、前記室外機は、冷媒を圧縮するコンプレッサを備え、前記室内機は、熱交換器と、室内ファンと、前記コンプレッサ、前記熱交換器、および前記室内ファンを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、冷房運転の停止指示を受信すると、前記コンプレッサおよび前記室内ファンを停止し、前記室内ファンの温度に関する第1の条件が満たされた場合に、前記室内ファンによる送風で前記室内機の内部を乾燥させる内部乾燥運転を開始する空気調和機。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機および室外機を有する空気調和機であって、
前記室外機は、冷媒を圧縮するコンプレッサを備え、
前記室内機は、
熱交換器と、
室内ファンと、
前記コンプレッサ、前記熱交換器、および前記室内ファンを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、冷房運転の停止指示を受信すると、
前記コンプレッサおよび前記室内ファンを停止し、
前記室内ファンの温度に関する第1の条件が満たされた場合に、前記室内ファンによる送風で前記室内機の内部を乾燥させる内部乾燥運転を開始する空気調和機。
【請求項2】
前記室内機は、
吸込口と、
吹出口と、
前記吸込口と前記吹出口の少なくとも一方を開閉する開閉部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記室内ファンの停止から前記内部乾燥運転の開始までの間、前記開閉部を閉じる請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第1の条件は、前記室内の温度と前記熱交換器の温度との差が第1の閾値以下である請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1の条件は、前記室内の温度と前記熱交換器の温度との差が第1の閾値以下であり、
前記制御部は、前記第1の条件が満たされた場合に、
前記室内ファンを前記内部乾燥運転時とは逆方向に回転させ、
前記室内ファンの温度に関する第2の条件が満たされた場合に、前記内部乾燥運転を開始する請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第2の条件は、前記室内の温度と前記熱交換器の温度との差が第2の閾値以下である請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第1の条件は、前記室内の温度と前記熱交換器の温度との差が第1の閾値以下であり、
前記制御部は、前記第1の条件が満たされた場合に、
暖房サイクルを開始し、
前記室内ファンを前記内部乾燥運転時とは逆方向に回転させ、
前記熱交換器の温度に基づいて、前記内部乾燥運転を開始する請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記第1の条件は、前記室内ファンの温度が第3の閾値以上である請求項1または2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乾燥運転の指示を受けた時に、空気調和機の運転モードおよび運転停止のいずれの状態かを判定し、前記状態に応じて送風乾燥運転と暖房乾燥運転の実行する順序を変える空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-329290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、冷房運転の停止直後に送風を開始して、筐体内の乾燥を行っている。しかしながら、冷房運転の停止直後は、筐体内の室内ファンの温度が低下しているため、ファンを回転させて送風を実行すると、室内ファンの表面が結露してしまう。室内ファンの表面が結露すると汚れ原因となり、汚れはカビの温床となる。また、室内ファンを乾燥させても汚れは残る場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、室内ファンの表面が結露するのを防止する空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空気調和機は、室内機および室外機を有する空気調和機であって、前記室外機は、冷媒を圧縮するコンプレッサを備え、前記室内機は、熱交換器と、室内ファンと、前記コンプレッサ、前記熱交換器、および前記室内ファンを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、冷房運転の停止指示を受信すると、前記コンプレッサおよび前記室内ファンを停止し、前記室内ファンの温度に関する第1の条件が満たされた場合に、前記室内ファンによる送風で前記室内機の内部を乾燥させる内部乾燥運転を開始する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る空気調和機の概略構成図である。
図2】実施の形態に係る室内機の正面図である。
図3】実施の形態に係る室内機の側面断面図である。
図4】実施の形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図5】実施の形態に係る制御方法(方式1)のフローチャートである。
図6】実施の形態に係る制御方法(方式2)のフローチャートである。
図7】実施の形態に係る制御方法(方式3)のフローチャートである。
図8】実施の形態に係る制御方法(方式4)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
図1は、実施の形態に係る空気調和機の概略構成図である。
【0010】
空気調和機100は、室外機110と、室内機120と、を備える。室外機110は、室外に設けられ、室内機120は、室内に設けられている。室外機110は、コンプレッサ111と、四方弁112と、膨張弁113と、室外熱交換器114と、室外ファン115と、外気温度センサ116と、室外熱交温度センサ117と、吐出温度センサ118と、サクション温度センサ119と、を有する。また、室内機120は、室内熱交換器121と、室内ファン122と、室温センサ128と、室内熱交温度センサ129と、を有する。
【0011】
空気調和機100は、冷凍サイクル装置を備える。冷凍サイクル装置は、コンプレッサ111、四方弁112、室外熱交換器114、膨張弁113、及び室内熱交換器121が順次、配管で接続されることで構成されている。
【0012】
コンプレッサ111は、冷凍サイクル装置において、低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機構である。コンプレッサ111は、例えば、モータによって回転駆動されるコンプレッサである。コンプレッサ111のモータは、インバータ等により回転数(周波数)制御が可能である。
【0013】
四方弁112は、冷凍サイクル装置において、冷房運転(冷房サイクル)または暖房運転(暖房サイクル)に応じて冷媒の循環する向きを切り替える弁である。四方弁112は、冷房運転時において、コンプレッサ111の吐出側と室外熱交換器114とを接続し、コンプレッサ111の吸引側と室内熱交換器121とを接続している。また、四方弁112は、暖房運転時において、コンプレッサ111の吐出側と室内熱交換器121とを接続し、コンプレッサ111の吸引側と室外熱交換器114とを接続している。
【0014】
膨張弁113は、室外熱交換器114と室内熱交換器121との間に流れる冷媒を膨張させて減圧している。膨張弁113は、例えば、開度制御が可能な電動膨張弁である。膨張弁113は、冷房運転時に、室外熱交換器114において放熱した高圧の冷媒を室内熱交換器121に送る前に減圧している。また、膨張弁113は、暖房運転時に、室内熱交換器121において放熱した高圧の冷媒を室外熱交換器114に送る前に減圧している。
【0015】
室外熱交換器114は、室外ファン115によって室外機110内に吸引される空気と冷媒との熱交換を行っている。室外熱交換器114は、冷房運転時には、蒸発器として機能し、暖房運転時には、凝縮器として機能する。
【0016】
外気温度センサ116は、室外熱交換器114の吸気温度を外気温度として検出する。室外熱交温度センサ117は、室外熱交換器114の温度を検出する。吐出温度センサ118は、コンプレッサ111の吐出温度を検出する。サクション温度センサ119は、コンプレッサ111の吸引温度を検出する。外気温センサ116、室外熱交温度センサ117、吐出温度センサ118、およびサクション温度センサ119は、例えば、サーミスタである。
【0017】
室内熱交換器121は、室内ファン122によって室内機120内に吸引される空気と冷媒との熱交換を行っている。室内熱交換器121は、冷房運転時には、凝縮器として機能し、暖房運転時には、蒸発器として機能する。
【0018】
室温センサ128は、吸気口の付近に設けられ室内熱交換器121の吸気温度を室内の温度として検出する。室内熱交温度センサ129は、室内熱交換器121の温度(熱交温度)を検出する。室温センサ128および室内熱交温度センサ129は、例えば、サーミスタである。
【0019】
また、室内機120は、室内ファン122の温度を検出する温度センサをさらに有していてもよい。
【0020】
図2および図3を用いて、室内機120について具体的に説明する。図2は、実施の形態に係る室内機の正面図である。図3は、実施の形態に係る室内機の側面断面図である。図3は、図2のA-A線断面図である。以下の説明は、室内機120において、室内機120が取り付けられる室内の壁面側を後側、その反対側を前側と規定し、室内機120の吸込口123が設けられる側を上側、その反対側を下側と規定して説明する。ただし、これらの方向は、説明のために便宜上規定した方向であって、使用時の方向を規定する趣旨ではない。
【0021】
室内機120は、各種の構造物を収容する室内機本体120aを備える。室内機本体120aは、上面に吸込口123が形成されている。室内機本体120aは、下面に吹出口124が形成されている。吹出口124には、吹出口124を開閉し、吹き出す空気の方向を変更するルーバー124aが設けられている。ルーバー124aは、吹出口124に対して傾動可能に構成されている。ルーバー124aは、開閉部の一例である。また、吸込口123には、吸込口123を開閉するルーバーが設けられていてもよい。
【0022】
室内機本体120aには、吸込口123と吹出口124とを連通する空気通路120bが形成されている。空気通路120bには、室内熱交換器121と室内ファン122とが配置されている。室内熱交換器121は、室内ファン122の上部を取り囲むように配置されている。
【0023】
以上の構成において、室内機120は、室内ファン122を回転させることによって、吸込口123から吸い込んだ空気が室内熱交換器121を流れる冷媒と熱交換される。そして、熱交換された空気が、吹出口124から吹き出されることによって、室内機120が配置された空間の空気を調和することができる。
【0024】
また、実施の形態において、吸込口123から吸い込んだ空気が吹出口124から吹き出されるときの室内ファン122の回転方向を正方向とする。室内ファン122は、上記正方向とは逆方向に回転することで、吹出口124から空気を吸い込み、吸込口123から空気を吹き出すようにすることができる。
【0025】
図4は、実施の形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
【0026】
空気調和機100は、室外機110と、室内機120と、を備える。室外機110は、コンプレッサ111と、四方弁112と、膨張弁113と、室外熱交換器114と、室外ファン115と、外気温度センサ116と、室外熱交温度センサ117と、吐出温度センサ118と、サクション温度センサ119と、を有する。また、室内機120は、室内熱交換器121と、室内ファン122と、ルーバー124aと、制御部125と、記憶部126と、通信部127と、室温センサ128と、室内熱交温度センサ129と、を有する。
【0027】
コンプレッサ111、四方弁112、膨張弁113、室外熱交換器114、室外ファン115、外気温度センサ116、室外熱交温度センサ117、吐出温度センサ118、およびサクション温度センサ119の説明については、図1~3で説明したので省略する。
【0028】
室内熱交換器121、室内ファン122、ルーバー124a、室温センサ128、室内熱交温度センサ129の説明については、図1~3で説明したので省略する。
【0029】
制御部125は、空気調和機100の制御を行う。制御部125は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、または集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)等で実現される。制御部125の動作の詳細については後述する。
【0030】
記憶部126は、空気調和機100で用いられるデータやプログラム等を記憶する。記憶部126は、例えば、RAM(Random Access Memory)、またはフラッシュメモリ等の記憶装置である。
【0031】
通信部127は、例えば、操作端末130との間で各種データの無線通信を制御する。通信部127は、例えば、操作端末130から各種データを受信し、受信した各種データを制御部125に出力する。通信部127は、操作端末130との無線通信に限らず、例えば、サーバ装置やスマートフォンなどの外部端末との無線通信を制御してもよい。
【0032】
操作端末130は、各種運転モードでの運転の開始及び停止、運転モードの切換等を行うための操作装置である。また、操作端末230は、室内の温度の設定温度、風量、及び風向を設定することができる。操作端末230に入力された指示は、通信部127を介して制御部125に送られることで、各種運転モード等が実行される。操作端末130は、例えば、リモートコントローラーである。
【0033】
以下、制御部125による各種の運転について説明する。
【0034】
暖房運転(暖房サイクル)では、制御部125は、室内熱交換器121が蒸発器として機能し、室外熱交換器114が凝縮器として機能するように、四方弁112を制御する。これにより、冷媒は、コンプレッサ111に吸引され、高圧まで圧縮された後に吐出される。コンプレッサ111から吐出された高圧の冷媒は、四方弁112を介して、室内熱交換器121に送られる。室内熱交換器121に送られた高圧の冷媒は、室内熱交換器121において、室内ファン122によって供給される空気と熱交換を行って放熱する。これにより、室内空気は加熱されて吹出口124から室内に吹き出される。室内熱交換器121において放熱された高圧の冷媒は、膨張弁113に送られて、低圧まで減圧される。膨張弁113において減圧した低圧の冷媒は、室外熱交換器114に送られる。室外熱交換器114に送られた低圧の冷媒は、室外熱交換器114において、室外ファン115によって供給される空気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器114において蒸発した低圧の冷媒は、四方弁112を通じて、再び、コンプレッサ111に吸引される。
【0035】
冷房運転(冷房サイクル)では、制御部125は、室内熱交換器121が凝縮器として機能し、室外熱交換器114が蒸発器として機能するように、四方弁112を制御する。これにより、冷媒は、コンプレッサ111に吸引され、高圧まで圧縮された後に吐出される。コンプレッサ111から吐出された高圧の冷媒は、四方弁112を介して、室外熱交換器114に送られる。室外熱交換器114に送られた高圧の冷媒は、室外熱交換器114において、室外ファン115によって供給される空気と熱交換を行って放熱する。室外熱交換器114において放熱された高圧の冷媒は、膨張弁113に送られて、低圧まで減圧される。膨張弁113において減圧した低圧の冷媒は、室内熱交換器121に送られる。室内熱交換器121に送られた低圧の冷媒は、室内熱交換器121において、室内ファン122によって供給される空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却されて吹出口124から室内に吹き出される。室内熱交換器121において蒸発した低圧の冷媒は、四方弁112を通じて、再び、コンプレッサ111に吸引される。
【0036】
除湿運転では、冷房運転と同様に、制御部125は、室内熱交換器121が凝縮器として機能し、室外熱交換器114が蒸発器として機能するように、四方弁112を制御する。室内熱交換器121に送られた低圧の冷媒は、室内熱交換器121において、室内ファン122によって供給される空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は除湿されて室内に吹き出される。
【0037】
内部乾燥運転では、制御部125は、室内ファン122を回転させることによって、吸込口123から空気を吸い込み、室内熱交換器121を通過させて、吹出口124から吹き出す。このように、制御部125は、室内ファン122による送風で、室内機120の内部を乾燥させる。また、制御部125は、内部乾燥運転時には、ルーバー124aを開くことで、吹出口124を開く。
【0038】
制御部125は、冷房運転の停止指示を受信すると、室内ファン122の温度に関する第1の条件が満たされた場合に、内部乾燥運転を開始する。室内ファン122の温度に関する第1の条件は、例えば、室内の温度と室内熱交換器121の温度(熱交温度)との差が第1の閾値以下である。室内ファン122の温度に関する第1の条件は、例えば、室内ファン122の温度が第3の閾値(例えば、露点温度)以上である。室内ファン122の温度に関する第1の条件は、例えば、現在の熱交温度が所定値以上である。室内ファン122の温度に関する第1の条件は、例えば、冷房運転の停止(例えば、冷房停止指示の受信時、コンプレッサ111の停止時、または室内ファン122の停止時)から所定時間経過である。
【0039】
制御部125は、室内ファン122の停止から内部乾燥運転の開始までの間、吸込口123と吹出口124の少なくとも一方を閉じる。具体的には、例えば、制御部125は、室内ファン122の停止から内部乾燥運転の開始までの間、ルーバー124aを閉じて、吹出口124を閉じる。また、吸込口123にルーバーが設けられている場合、制御部125は、室内ファン122の停止から内部乾燥運転の開始までの間、当該ルーバーを閉じて、吸込口123を閉じてもよい。
【0040】
制御部125は、第1の条件が満たされた場合に、室内ファン122を内部乾燥運転時とは逆方向に回転させ、室内ファン122の温度に関する第2の条件が満たされた場合に内部乾燥運転を開始してもよい。室内ファン122の温度に関する第2の条件は、例えば、室内の温度と室内熱交換器121の温度との差が第2の閾値以下である。尚、第2の閾値は、第1の閾値より小さい。室内ファン122の温度に関する第2の条件は、例えば、吸気口123付近に設けられた室温センサ128により検出された温度が所定値以上である。室内ファン122の温度に関する第2の条件は、例えば、室内ファン122の逆回転の開始から所定時間経過である。
【0041】
制御部125は、第1の条件が満たされた場合に、暖房サイクルを開始し、室内ファン122を内部乾燥運転時とは逆方向に回転させ、室内熱交換器121の温度に基づいて、内部乾燥運転を開始してもよい。
【0042】
実施の形態の制御方法について、4つの方式(方式1~4)を説明する。制御部125は、少なくとも方式1~4のいずれかの制御方法を実行可能である。
【0043】
図5は、実施の形態に係る制御方法(方式1)のフローチャートである。
【0044】
ここで、空気調和機100は、冷房運転を行っているとする。そして、ユーザは、操作端末130を操作して、冷房運転の停止の指示(冷房停止指示)を入力する。図6~8においても同様である。
【0045】
ステップS501において、制御部125は、通信部127を介して操作端末130からの冷房停止指示を受信する。
【0046】
ステップS502において、制御部125は、コンプレッサ111を停止する。また、制御部125は、ルーバー124aを閉じて、吹出口124を閉じる。ルーバー124aを閉じることにより、空気の流れを阻害し、自然対流による室内ファン122の結露を防止できる。また、吸込口123にルーバーが設けられている場合、制御部125は、当該ルーバーを閉じて、吸込口123を閉じてもよい。
【0047】
ステップS503において、制御部125は、ステップS502の処理(コンプレッサ111の停止およびルーバー124aの遮蔽)から所定時間(例えば、30秒)経過したら、室内ファン122を停止する。
【0048】
ステップS504において、制御部125は、室内ファン122の温度に関する第1の条件を満たすか否か判定する。第1の条件を満たすと判定された場合、制御は、ステップS505に進み、第1の条件を満たさないと判定された場合、ステップS504の処理を繰り返す。具体的には、例えば、制御部125は、冷房運転の停止直後(例えば、ステップS503の室内ファン122の停止直後)における室温センサ128により検出された室内の温度(冷房停止直後室温)と、室内熱交温度センサ129により検出された現在の室内熱交換器121の温度(熱交温度)と、の差分(実施の形態において、差分は絶対値とする。以下同様。)を計算し、差分が第1の閾値(例えば、2℃)以下であるか否か判定する。差分が第1の閾値以下であると判定された場合、制御は、ステップS505に進み、差分が第1の閾値以下でないと判定された場合、ステップS504の処理を繰り返す。冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が2℃以下は、室内ファン122の温度に関する第1の条件の一例である。
【0049】
尚、実施の形態において、室温センサ128は、室内機120の内部に設けられており、ルーバー124aが閉じられると、吸込口123から吸い込んだ空気の温度、すなわち室内の温度を検出できなくなるため、ステップS504では、冷房運転の停止直後の室温を用いている。制御部125は、例えば、外部から現在の室内の温度を取得し、現在の室内の温度を冷房停止直後室温の代わりに用いてもよい。
【0050】
ステップS505において、室内機120の内部を乾燥させる内部乾燥運転を開始する。具体的には、例えば、制御部125は、ルーバー124aを開いて、吹出口124を開く。また、吸込口123にルーバーが設けられている場合、制御部125は、当該ルーバーを開いて、吸込口123を開く。そして、制御部125は、室内ファン122を回転させることによって、吸込口123から空気を吸い込み、室内熱交換器121を通過させて、吹出口124から吹き出す(送風)。
【0051】
ステップS504およびS505の処理は、室内ファン122の温度に関する第1の条件が満たされた場合に、室内ファン122による送風で室内機120の内部を乾燥させる内部乾燥運転を開始する処理の一例である。
【0052】
実施の形態の制御方法(方式1)では、冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が第1の閾値以下となると、内部乾燥運転を開始している。すなわち、冷房運転が停止し、熱交温度が上昇して冷房停止直後室温との差分が小さくなると、内部乾燥運転を開始している。室内熱交換器121および室内ファン122は、室内機120の内部にあるため、時間の経過により熱交温度が上昇すると、室内ファン122の温度も上昇していると考えられる。したがって、冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が第1の閾値以下の場合、室内ファン122の温度は、冷房運転の停止直後よりある程度上昇しているため、送風(室内ファン122の回転)を行っても、室内ファン122の表面は結露し難くなる。
【0053】
また、実施の形態の制御方法(方式1)では、室内ファン122の温度を直接検出せずに、冷房停止直後室温と熱交温度との差分を利用しているため、室内ファン122の温度を検出する温度センサを新たに設ける必要が無く、空気調和機100のコストを低減できる。
【0054】
図6は、実施の形態に係る制御方法(方式2)のフローチャートである。
【0055】
ステップS601~S604のそれぞれの処理は、ステップS501~S504のそれぞれの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0056】
ステップS605において、制御部125は、室内ファン122を逆回転させる。具体的には、制御部125は、内部乾燥運転時とは逆方向、すなわち、吹出口124から空気を吸い込み、吸込口123から空気を吹き出す方向に室内ファン122を回転させる。これにより、室内機120内の熱が攪拌され、室内ファン122の温度上昇が促進される。
【0057】
ステップS606において、制御部125は、室内ファン122の温度に関する第2の条件を満たすか否か判定する。第2の条件を満たすと判定された場合、制御は、ステップS607に進み、第2の条件を満たさないと判定された場合、ステップS606の処理を繰り返す。具体的には、例えば、制御部125は、冷房運転の停止直後(例えば、ステップS603の室内ファン122の停止直後)における室温センサ128により検出された室内の温度(冷房停止直後室温)と、室内熱交温度センサ129により検出された現在の室内熱交換器121の温度(熱交温度)と、の差分(実施の形態において、差分は絶対値とする。以下同様。)を計算し、差分が第2の閾値(例えば、0℃)以下であるか否か判定する。差分が第2の閾値以下であると判定された場合、制御は、ステップS607に進み、差分が第1の閾値以下でないと判定された場合、ステップS606の処理を繰り返す。冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が0℃以下は、室内ファン122の温度に関する第2の条件の一例である。
【0058】
また、室内ファン122の温度に関する第2の条件は、吸気口123付近に設けられた室温センサ128により検出された温度が所定値以上でもよい。この場合、室温センサ128により検出される温度は、室内ファン122が逆回転しているため、室内機120内部の空気の温度である。また、室内ファン122の温度に関する第2の条件は、例えば、室内ファン122の逆回転の開始から所定時間経過でもよい。
【0059】
ステップS607の処理は、ステップS505の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0060】
実施の形態の制御方法(方式2)では、冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が第1の閾値以下となり、室内ファン122の温度が冷房運転の停止直後よりある程度上昇して、室内ファン122の表面が結露しにくくなったところで、室内ファン122を逆回転させている。これにより、室内機120内の熱が攪拌され、室内ファン122の温度上昇が促進される。そして、冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が第1の閾値より小さい第2の閾値以下となると、内部乾燥運転を開始している。すなわち、冷房停止直後室温と現在の熱交温度の差分が第2の閾値以下の場合、室内ファン122の温度は、方式1の内部乾燥運転開始時よりも上昇しているため、送風(室内ファン122の回転)を行っても、方式1より室内ファン122の表面はさらに結露し難くなる。
【0061】
また、実施の形態の制御方法(方式2)では、室内ファン122の温度を直接検出せずに、冷房停止直後室温と熱交温度との差分を利用しているため、室内ファン122の温度を検出する温度センサを新たに設ける必要が無く、空気調和機100のコストを低減できる。
【0062】
図7は、実施の形態に係る制御方法(方式3)のフローチャートである。
【0063】
ステップS701~S704のそれぞれの処理は、ステップS501~S504のそれぞれの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0064】
ステップS705において、制御部125は、暖房サイクルを開始する。ただし、制御部125は室内ファン122を回転させない。具体的には、例えば、制御部125は、室内熱交換器121を蒸発器として機能させ、室外熱交換器114が凝縮器として機能するように、四方弁112を制御する。これにより、冷媒は、コンプレッサ111に吸引され、高圧まで圧縮された後に吐出される。コンプレッサ111から吐出された高圧の冷媒は、四方弁112を介して、室内熱交換器121に送られる。室内熱交換器121に送られた高圧の冷媒は、室内熱交換器121において、室内機120内の空気と熱交換を行って放熱する。これにより、室内機120内の空気および室内ファン122の温度が上昇する。
【0065】
ステップS706において、制御部125は、室内ファン122を逆回転させる。これにより、室内機120内の熱が攪拌され、室内ファン122の温度上昇が促進される。
【0066】
ステップS707において、制御部125は、室内熱交換器121の温度(熱交温度)を監視し、熱交温度が50℃以上となって3分経過したか否か判定する。熱交温度が50℃以上となって3分経過したと判定された場合、制御はステップS708に進み、熱交温度が50℃以上となって3分経過していないと判定された場合、ステップS707の処理を繰り返す。熱交温度が50℃以上となって3分経過している場合、室内ファン122の温度も高くなり、結露しにくくなっていると考えられる。尚、ステップS707の判定に用いた熱交温度(50℃)および時間(3分)は、一例であり、これに限られるものではない。
【0067】
ステップS708の処理は、ステップS505の処理と同様であるため、説明は省略する。ステップS707およびS708の処理は、室内熱交換器121の温度に基づいて、内部乾燥運転を開始する処理の一例である。
【0068】
実施の形態の制御方法(方式3)では、暖房サイクルにより室内熱交換器121を加熱することで、室内ファン122の温度上昇を促進し、方式1および2よりも室内ファン122の温度を上昇させることができる。これにより、方式1および2より室内ファン122の表面はさらに結露し難くなる。
【0069】
また、実施の形態の制御方法(方式3)では、室内ファン122の温度を直接検出せずに、冷房停止直後室温と熱交温度との差分、および熱交温度を利用しているため、室内ファン122の温度を検出する温度センサを新たに設ける必要が無く、空気調和機100のコストを低減できる。
【0070】
図8は、実施の形態に係る制御方法(方式4)のフローチャートである。
【0071】
実施の形態に係る制御方法(方式4)において、室内機120は、室内ファン122の温度を検出する温度センサ(ファン温度センサ)をさらに有する。
【0072】
ステップS801~S803のそれぞれの処理は、ステップS501~S503のそれぞれの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0073】
ステップS804において、制御部125は、ファン温度センサが検出した室内ファン122の温度を取得し、室内ファン122の温度が閾値以上であるか否か判定する。室内ファン122の温度が閾値以上と判定された場合、制御はステップS805に進み、室内ファン122の温度が閾値以未満と判定された場合、ステップS804の処理を繰り返す。ステップS804の閾値は、第3の閾値の一例である。閾値は、例えば、露点温度であることが望ましい。室内ファン122の温度が露点温度以上であれば、室内ファン122は結露しないためである。閾値は、予め設定されていてもよいし、制御部125は、露点温度を外部から取得して、閾値として設定してもよく、また、制御部125は、現在の室内の温度および湿度から露点温度を算出し、閾値として設定してもよい。
【0074】
ステップS805の処理は、ステップS505の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0075】
実施の形態の制御方法(方式4)では、室内ファン122の温度が閾値以上となってから内部乾燥運転を開始しているため、室内ファン122の表面は結露し難くなる。特に、室内ファン122の温度が露点温度以上となってから内部乾燥運転を開始すると、室内ファン122の表面はより結露し難くなる。
【符号の説明】
【0076】
100 空気調和機
110 室外機
111 コンプレッサ
112 四方弁
113 膨張弁
114 室外熱交換器
115 室外ファン
116 外気温度センサ
117 室外熱交温度センサ
118 吐出温度センサ
119 サクション温度センサ
120 室内機
121 室内熱交換器
122 室内ファン
123 吸込口
124 吹出口
124a ルーバー
125 制御部
126 記憶部
127 通信部
128 室温センサ
129 室内熱交温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8