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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181665
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/872 20060101AFI20231218BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/86 301E
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/91 K
H01L29/86 301D
H01L29/48 D
H01L29/48 E
H01L29/48 F
H01L29/06 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094922
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】夏目 英克
(72)【発明者】
【氏名】甲谷 真吾
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA02
4M104AA03
4M104AA04
4M104AA05
4M104AA10
4M104CC01
4M104CC03
4M104GG02
4M104GG03
4M104GG18
(57)【要約】
【課題】リーク電流の低減と耐圧の向上とを実現できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1層を含み、平面透視において第1領域を有する半導体基板と、半導体基板の第1領域上に位置するアノード電極と、第1層に位置する第1導電型の第1半導体層と、第1層の上部に位置する第2導電型の第2半導体領域とを備える。そして、第2半導体領域は、平面透視において第1領域内の一部に位置し、アノード電極は、第2半導体領域と第1半導体層とに接合され、第2半導体領域は、平面透視において線形状を有し、第1領域の角部において湾曲した湾曲区間を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層を含み、平面透視において第1領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1領域上に位置するアノード電極と、
前記第1層に位置する第1導電型の第1半導体層と、
前記第1層の上部に位置する第2導電型の第2半導体領域と、
を備え、
前記第2半導体領域は、平面透視において前記第1領域内の一部に位置し、
前記アノード電極は、前記第2半導体領域と前記第1半導体層とに接合され、
前記第2半導体領域は、
平面透視において線形状を有し、前記第1領域の角部において湾曲した湾曲区間を含む、
半導体装置。
【請求項2】
複数の前記第2半導体領域を備え、
前記第1領域の縁部は、第1角部と前記第1角部を挟んで隣り合う第1辺と第2辺とを含み、
前記複数の第2半導体領域は、平面透視において前記第1辺に沿って前記第2辺まで延びる第1線状部と、前記第1線状部と前記第1辺との間に位置する第2線状部とを含み、
前記第2線状部は、前記第1辺に沿って延びる直線区間と、前記第1角部に沿って湾曲する湾曲区間とを有し、前記湾曲区間側の端部が前記第1線状部に接合している、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
平面透視における前記第1線状部と前記第2線状部とが接続する角度θは、85°≦θ≦95°である、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1層の上部に位置し、平面透視において前記第1領域を囲むガードリングを更に備え、
前記ガードリングは、前記第1領域の前記第1辺、前記第1角部及び前記第2辺にそれぞれ沿った第1ガードリング辺部、第1ガードリング角部及び第2ガードリング辺部を含み、
平面透視において前記第1ガードリング角部は湾曲しており、
前記第1線状部は、前記第1ガードリング辺部に沿って延び、かつ、前記第2ガードリング辺部に接合され、
前記第2線状部は、前記第1ガードリング辺部及び前記第1ガードリング角部に沿って延び、かつ、前記第1線状部に接合されている、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第2半導体領域は、前記第1線状部と、複数の前記第2線状部と、前記第1線状部に沿って延びる複数の第3線状部と、を含み、
前記第1領域は、前記第1ガードリング辺部に沿った方向から見たときに、前記第1ガードリング角部と重なる第1範囲と、前記第2ガードリング辺部と重なる第2範囲とを含み、
平面透視において、前記複数の第3線状部は、互いに間隔を開けて前記第2範囲に位置し、前記第2線状部は、互いに間隔を開けて前記第1範囲に位置し、前記第1線状部は、前記複数の第3線状部と前記複数の第2線状部との間に位置し、
前記複数の第2線状部にそれぞれ含まれる複数の前記湾曲区間は、前記第1ガードリング角部の近くに位置するほど曲率が小さい、
請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、インジウムガリウムヒ素およびゲルマニウムから成る群から選択されるいずれか1種類以上の半導体材料を含む請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の半導体装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置として、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)について記載されている。当該半導体装置は、活性領域の周囲を囲うガードリングと、活性領域内に位置するストライプ状の低抵抗層とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-66813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置においては、更なる特性の向上が望まれる。本開示は、リーク電流の低減と耐圧の向上とを実現できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る半導体装置は、
第1層を含み、平面透視において第1領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1領域上に位置するアノード電極と、
前記第1層に位置する第1導電型の第1半導体層と、
前記第1層の上部に位置する第2導電型の第2半導体領域と、
を備え、
前記第2半導体領域は、平面透視において前記第1領域内の一部に位置し、
前記アノード電極は、前記第2半導体領域と前記第1半導体層とに接合され、
前記第2半導体領域は、
平面透視において線形状を有し、前記第1領域の角部において湾曲した湾曲区間を含む。
【0006】
本開示に係る電子機器は、上記の半導体装置を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体装置においてリーク電流の低減と耐圧の向上とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1の半導体装置を示す平面図(A)と第1領域を説明する図(B)である。
図2図1(A)のA-A線における断面図である。
図3】第1領域の第1角部の周辺を示す拡大図である。
図4】実施形態1及び比較例の半導体装置の特性を示すグラフである。
図5】本開示の実施形態2の半導体装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1の半導体装置を示す平面図(A)と第1領域を説明する図(B)である。図1(A)において、ガードリング41を網掛けにより示す。図1(A)は、半導体基板101よりも上方の要素(アノード電極31、フィールド絶縁膜42及び表面保護膜43)を除いた構成を示す。図2は、図1(A)のA-A線における断面図である。
【0011】
本実施形態1の半導体装置1は、アノード電極31とカソード電極37との間にショットキー接合領域とpn接合領域とを有するジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)である。ショットキー接合領域を有することにより、順方向電圧が低下し、スイッチング速度が向上する。pn接合領域を有することにより、逆バイアス時においてpn接合領域の近傍に空乏層が広がる。よって、pn接合領域を有さないショットキーバリアダイオードと比較して、半導体装置1は、リーク電流を低減できる。さらに、pn接合領域を有することにより、順方向抵抗が低下し、サージ耐性が向上する。
【0012】
半導体装置1は、図1(B)に示すように、平面透視において第1領域21を有する半導体基板101を備える。平面透視とは、半導体基板101の上面に垂直な方向から透視することを意味する。第1領域21は、ショットキー接合領域及びpn接合領域を有し、電流が流される活性領域であってもよい。第1領域21は、後述するガードリング41の内側の領域であってもよい。
【0013】
半導体基板101は、第1層11に位置する第1導電型(例えばn型)の第1半導体層32と、第1層11の一部の領域に位置する第2導電型(例えばp型)の第2半導体領域33と、を備えてもよい。第2半導体領域33は第1層11の上部に位置し、第2半導体領域33の下方には第1半導体層32が位置してもよい。半導体基板101は、複数の第2半導体領域33を備えていてもよい。第1半導体層32はエピタキシャル層であってもよい。第2半導体領域33は、エピタキシャル層に所定のパターンで不純物が注入されかつアニール処理された領域であってもよい。
【0014】
半導体基板101は、さらに、第1層11の下方に位置するベースドリフト層34と、ベースドリフト層34の下方に位置するバッファ層35と、高抵抗ドリフト層36とを備えていてもよい。ベースドリフト層34及びバッファ層35はエピタキシャル層であってもよい。高抵抗ドリフト層36はn型SiC基板であってもよい。
【0015】
半導体基板101は、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、インジウムガリウムヒ素およびゲルマニウムから成る群から選択されるいずれか1種類以上の半導体材料を含んでもよく、また、当該半導体材料から構成されてもよい。
【0016】
半導体装置1は、更に、半導体基板101の第1領域21上に位置するアノード電極31と、半導体基板101の下方に位置するカソード電極37とを備えていてもよい。アノード電極31は、下層の第1メタル層31aと上層の第2メタル層31bとの二層構造を有してもよい。アノード電極31は、第1領域21内の全域において、第1半導体層32及び第2半導体領域33と接合されていてもよい。カソード電極37は、半導体基板101の平面透視における全域に接合されていてもよい。アノード電極31と第1半導体層32との接合領域がショットキー接合領域に相当し、第1半導体層32と第2半導体領域33との接合領域がpn接合領域に相当する。
【0017】
半導体基板101の第1層11には、更に、第1領域21を囲うガードリング41が位置してもよい。ガードリング41は、第1半導体層32よりも低い抵抗を有する領域であり、第2半導体領域33と同様に第2導電型(例えばp型)の領域であってもよい。ガードリング41の深さD2は、第2半導体領域33の深さD1と同一であってもよいし、第2半導体領域33の深さD1よりも深くてもよいし、浅くてもよい。ガードリング41は、平面透視において環状であってもよい。ガードリング41の内周端から外周端までの幅W2は、第2半導体領域33の幅W1(長手方向に垂直な方向の幅)よりも大きくてもよい。
【0018】
半導体装置1は、更に、半導体基板101上に位置するフィールド絶縁膜42と、フィールド絶縁膜42上に位置する表面保護膜43とを有してもよい。
【0019】
フィールド絶縁膜42は、絶縁性を有し、SiO(酸化シリコン)であってもよい。フィールド絶縁膜42は、環状であり、ガードリング41の外周縁に沿って延設されてもよい。平面透視において、フィールド絶縁膜42の内周端はガードリング41の内周端よりも外方に位置し、フィールド絶縁膜42の外周端はガードリング41の外周端よりも外方に位置してもよい。平面透視において、ガードリング41の外周端が周方向の全域においてフィールド絶縁膜42に重なっていてもよい。
【0020】
アノード電極31は、周方向の全域において、ガードリング41の一部、並びに、フィールド絶縁膜42の一部に、重なっていてもよい。
【0021】
表面保護膜43は、絶縁性を有し、SiN(窒化シリコン)であってもよい。表面保護膜43は、環状であり、周方向の全域において、フィールド絶縁膜42の外周部とアノード電極31の外周部の上方に位置してもよい。
【0022】
<第2半導体領域33及びガードリング41の平面形状>
図3は、第1領域21の第1角部21cの周辺を示す拡大図である。図3において、第2半導体領域33の幅、並びに、ガードリング41の幅は、デフォルメされている。以下の形状の説明においては、特に言及しない限り、平面透視における形状を示す。
【0023】
第1領域21の縁部は、丸みを有する第1角部21cと、第1角部21cを挟んで隣り合う第1辺21aと第2辺21bとを含む(図1(B)を参照)。
【0024】
ガードリング41は、第1領域21の第1辺21a、第2辺21b及び第1角部21cに対応して、帯状の第1ガードリング辺部41a、帯状の第2ガードリング辺部41b及び帯状の第1ガードリング角部41cを有してもよい(図1(A)を参照)。第1ガードリング角部41cは、第1角部21cの丸みに対応して湾曲していてもよい。
【0025】
複数の第2半導体領域33は、線形状を有する複数の線状部33a(33a-1、33a-2、33a-3)を有してもよい。複数の線状部33aは、互いに分断されていてもよいし、先端又は中程において複数の線状部33aが接続(接合)していてもよい。図3において一筋に連なっている各線状部33aは、ところどころに切れ目が含まれ、複数に分断されていてもよい。
【0026】
図3に示すように、少なくとも1つの線状部33a(33a-2)は、第1辺21aに沿って延びる第1直線区間331と、第1角部21cにおいて湾曲した湾曲区間332とを備える。図3においては、代表的な1つの線状部33a(33a-2)についてのみ一点鎖線で囲んで各区間を示す。当該構成によれば、湾曲区間332を有さない構成と比較して、線状部33aの先端部336周辺の対称度を増すことができ、耐圧を向上できる。すなわち、仮に、湾曲区間332が無く、第1直線区間331が第1ガードリング角部41cまで延設された場合、第1直線区間331と第1ガードリング角部41cとの成す角度が非対称となる。すなわち、上記角度は、第1直線区間331をまたいで一方が鋭角、他方が鈍角になってしまう。当該構成では、半導体装置1に逆バイアスが加えられた場合に、上記鋭角の部分に生じる空乏層の拡がりが低減される。よって、耐圧が低下する。一方、実施形態1では、湾曲区間332があることで、上述した非対称な構造を低減できる。したがって、上記のような耐圧の低下を低減することができる。
【0027】
具体的には、図3に示すように、複数の線状部33aは、第1辺21aに沿って第2辺21bまで延びる第1線状部33a-1と、第1線状部33a-1と第1辺21aとの間に位置する第2線状部33a-2とを含んでもよい。そして、第2線状部33a-2が、第1辺21aに沿って延びる第1直線区間331と、第1角部21cに沿って湾曲した湾曲区間332とを有してもよい。そして、湾曲区間332側における第2線状部33a-2の先端部336が、第1線状部33a-1に接合していてもよい。当該構成によれば、先端部336周辺において非対称な構造をより低減し、耐圧の低下をより低減できる。
【0028】
第1線状部33a-1と第2線状部33a-2とが接続する角度θ(図3)は、85°≦θ≦95°であってもよい。さらには、角度θは90°であってもよい。ここで、2つの線状部33aが接続する角度とは、接続点における各線状部33aの長手方向における中心線同士の角度を意味してもよい。当該構成により、第2線状部33a-2の先端部336の周辺が対称的になり、非対称な構造に起因する耐圧の低下をより低減することができる。なお、角度θがX°(Xは任意な値)とは、厳密なX°のみでなく、X°+誤差(誤差は公差の範囲内)を含むものとする。
【0029】
第1線状部33a-1の先端部337は、第2ガードリング辺部41bに接合されていてもよい。当該構成によれば、第1線状部33a-1と第2線状部33a-2との両方において先端部336、337の周辺を対称的にすることができ、非対称な構造に起因する耐圧の低下をより低減できる。
【0030】
更に具体的には、第1領域21は、図1(B)に示すように、第1ガードリング辺部41aに沿った方向から見たときに、第1ガードリング角部41cと重なる第1範囲211と、第2ガードリング辺部41bと重なる第2範囲212とを含んでもよい。加えて、複数の線状部33aは、図1(A)に示すように、第1範囲211に位置する複数の第2線状部33a-2と、第2範囲212に位置する複数の第3線状部33a-3と、複数の第2線状部33a-2と複数の第3線状部33a-3との間に位置する第1線状部33a-1と、を含んでもよい。複数の第3線状部33a-3、第1線状部33a-1、複数の第2線状部33a-2は、互いに間隔を開けて位置してもよい。そして、複数の第2線状部33a-2にそれぞれ含まれる複数の湾曲区間332(図3)は、第1ガードリング角部41cの近くに位置するほど曲率が小さくてもよい。複数の湾曲区間332の曲率中心は同一点であってもよい。当該構成によれば、第1領域21に含まれる多くの線状部33aにおいて先端部336、337、338の周辺を対称的にすることができ、非対称な構造に起因する耐圧の低下をより低減できる。すなわち、耐圧を向上できる。
【0031】
図1及び図2に示すように、第1領域21は、2つ以上(例えば4つ)の角部と3つ以上(例えば4つ)の辺とを有し、全ての角部が丸みを有してもよい。ガードリング41は、第1領域21の全ての角部と全ての辺とにそれぞれ対応する複数のガードリング角部と複数のガードリング辺部とを有してもよい。さらに、全てのガードリング角部が湾曲していてもよい。そして、上述した第1角部21c及び第1ガードリング角部41c周辺の第2半導体領域33の形状は、第1領域21の全ての角部、並びに、ガードリング41の全てのガードリング角部の周辺における第2半導体領域33にも備わっていてもよい。当該構成により、第1領域21の全体にわたって複数の線状部33a(第2半導体領域33)の先端部の対称度が向上し、半導体装置1の耐圧を向上できる。
【0032】
<特性>
図4は、実施形態1及び比較例の半導体装置の特性を示すグラフである。当該グラフにおいて横軸は逆方向電圧を示し、縦軸は逆方向電流を示す。比較例の半導体装置は、第2半導体領域33を有さないプラナー構造のショットキーバリアダイオードであり、第2半導体領域33を有さない以外は、実施形態1の半導体装置1と同様に構成される。
【0033】
比較例のグラフ線に示すように、比較例の半導体装置は、逆方向電圧を加えることで逆方向電流(リーク電流)が生じる。そして、逆方向電圧が耐圧Vmaxに達することで、大きな逆方向電流が生じている。一方、実施形態1の半導体装置1においては、耐圧Vmax以下におけるリーク電流が、比較例よりも少ない。当該特性は、逆バイアス時に第1半導体層32と第2半導体領域33との接合領域(pn接合領域)に広がる空乏層による効果である。
【0034】
図4には示されないが、さらに、実施形態1の半導体装置1は、第1半導体層32と第2半導体領域33とのpn接合領域を有することで、順方向の抵抗が小さくなり、サージ耐性の向上も実現される。
【0035】
ここで、図4に示さない別の比較例として、全域において第2半導体領域33がストライプ状であるJBSを想定する。一般にプラナー構造のショットキーバリアダイオードよりも、pn接合領域を有するJBSの構造の方が耐圧Vmaxは低くなる。したがって、上記別の比較例であるJBSの耐圧は、比較例の耐圧Vmaxよりも低下する。一方、実施形態1の半導体装置1の耐圧Vmaxは、図4に示すように、比較例のプラナー構造のショットキーバリアダイオードと同等である。つまり、実施形態1の半導体装置1は、ショットキー接合領域とpn接合領域とを含んだJBSの構造を有しながらも、耐圧Vmaxが低下していない。したがって、図4の特性グラフは、実施形態1の半導体装置1の耐圧が向上していることを示す。
【0036】
上記のことから、実施形態1の半導体装置1は、リーク電流の低減、サージ耐性の向上、並びに、耐圧の向上が実現されている。
【0037】
(実施形態2)
図5は、本開示の実施形態2の半導体装置を示す平面図である。図5において、ガードリング41を網掛けにより示す。図5は、半導体基板101よりも上方の要素(アノード電極31、フィールド絶縁膜42及び表面保護膜43)を除いた構成を示す。
【0038】
実施形態2の半導体装置1Aにおいて、第2線状部33a-2は、第1辺21aに沿って延びる第1直線区間331と、第1角部21cに沿って湾曲した湾曲区間332と、第2辺21bに沿って延びる第2直線区間333とを有してもよい。湾曲区間332は第1直線区間331と第2直線区間333との間に位置してもよい。
【0039】
第2線状部33a-2は、環状であり、複数(例えば4つ)の湾曲区間332と複数(例えば4つ)の直線区間(331、331、333、333)とを有してもよい。図5においては、代表的な1本の第2線状部33a-2についてのみ一点鎖線で囲んで各区間を示す。
【0040】
図5に示すように、複数の第2線状部33a-2の第2直線区間333と、第1線状部33a-1は交差してもよい。複数の第2線状部33a-2の第2直線区間333と複数の第3線状部33a-3とは交差してもよい。各交差部において2つの線状部33aは90度で交差していてもよい。あるいは、図示しないが、第1線状部33a-1及び第3線状部33a-3は、第2線状部33a-2とは交差せず、最も内側の第2線状部33a-2に囲まれた領域内に位置してもよい。
【0041】
実施形態2の半導体装置1Aにおいても、各線状部33a(33a-1、33a-2、33a-3)の先端部又は交差部における対称度が向上し、耐圧の向上を実現できる。
【0042】
(電子機器)
本開示の実施形態に係る電子機器は、上述した実施形態1又は実施形態2の半導体装置1、1Aを含む。具体的には、電子機器は、半導体装置1、1Aがパッケージに収容された構成であってもよい。半導体装置1、1Aのアノード電極31とカソード電極37とが、パッケージの外側に露出した複数の電極にそれぞれ電気的に接続されていてもよい。あるいは、本開示の実施形態に係る電子機器は、基板(プリント基板等)を有し、基板に半導体装置1、1Aが搭載されていてもよい。基板には、その他の電気素子、電子素子等が搭載されていてもよい。本実施形態の電子機器によれば、上記の半導体装置1、1Aの特性によって、電子機器の信頼性をより向上できる。
【0043】
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本開示の半導体装置は上記実施形態に限られるものでない。例えば、上記実施形態1、2では第2線状部33a-2の湾曲区間332が第1角部21c又は第1ガードリング角部41cの丸みに沿って湾曲している例を示した。しかし、第1角部21cの丸みの方向、又は、第1ガードリング角部41cの湾曲方向とは逆向きに湾曲区間332が湾曲し、第2線状部33a-2の先端が第1ガードリング角部41cに接合されてもよい。このような構成においても、第2線状部33a-2と第1ガードリング角部41cとを対称度の高い角度(例えば90度)で接続することができる。よって、半導体装置の耐圧を向上できる。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
以下、本開示の一実施形態を示す。一実施形態において、
(1)半導体装置は、
第1層を含み、平面透視において第1領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1領域上に位置するアノード電極と、
前記第1層に位置する第1導電型の第1半導体層と、
前記第1層の上部に位置する第2導電型の第2半導体領域と、
を備え、
前記第2半導体領域は、平面透視において前記第1領域内の一部に位置し、
前記アノード電極は、前記第2半導体領域と前記第1半導体層とに接合され、
前記第2半導体領域は、
平面透視において線形状を有し、前記第1領域の角部において湾曲した湾曲区間を含む。
【0045】
(2)上記(1)の半導体装置は、
複数の前記第2半導体領域を備え、
前記第1領域の縁部は、第1角部と前記第1角部を挟んで隣り合う第1辺と第2辺とを含み、
前記複数の第2半導体領域は、平面透視において前記第1辺に沿って前記第2辺まで延びる第1線状部と、前記第1線状部と前記第1辺との間に位置する第2線状部とを含み、
前記第2線状部は、前記第1辺に沿って延びる直線区間と、前記第1角部に沿って湾曲する湾曲区間とを有し、前記湾曲区間側の端部が前記第1線状部に接合している。
【0046】
(3)上記(2)の半導体装置は、
平面透視における前記第1線状部と前記第2線状部とが接続する角度θは、85°≦θ≦95°である。
【0047】
(4)上記(2)又は(3)の半導体装置は、
前記第1層の上部に位置し、平面透視において前記第1領域を囲むガードリングを更に備え、
前記ガードリングは、前記第1領域の前記第1辺、前記第1角部及び前記第2辺にそれぞれ沿った第1ガードリング辺部、第1ガードリング角部及び第2ガードリング辺部を含み、
平面透視において前記第1ガードリング角部は湾曲しており、
前記第1線状部は、前記第1ガードリング辺部に沿って延び、かつ、前記第2ガードリング辺部に接合され、
前記第2線状部は、前記第1ガードリング辺部及び前記第1ガードリング角部に沿って延び、かつ、前記第1線状部に接合されている。
【0048】
(5)上記(4)の半導体装置は、
前記複数の第2半導体領域は、前記第1線状部と、複数の前記第2線状部と、前記第1線状部に沿って延びる複数の第3線状部と、を含み、
前記第1領域は、前記第1ガードリング辺部に沿った方向から見たときに、前記第1ガードリング角部と重なる第1範囲と、前記第2ガードリング辺部と重なる第2範囲とを含み、
平面透視において、前記複数の第3線状部は、互いに間隔を開けて前記第2範囲に位置し、前記第2線状部は、互いに間隔を開けて前記第1範囲に位置し、前記第1線状部は、前記複数の第3線状部と前記複数の第2線状部との間に位置し、
前記複数の第2線状部にそれぞれ含まれる複数の前記湾曲区間は、前記第1ガードリング角部の近くに位置するほど曲率が小さい。
【0049】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの半導体装置は、
前記半導体基板は、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、インジウムガリウムヒ素およびゲルマニウムから成る群から選択されるいずれか1種類以上の半導体材料を含む。
【0050】
一実施形態において、
(7)電子機器は、
上記(1)から(6)の半導体装置を有する。
【符号の説明】
【0051】
1、1A 半導体装置
11 第1層
21 第1領域
31 アノード電極
32 第1半導体層
33 第2半導体領域
33a 線状部
33a-1 第1線状部
33a-2 第2線状部
33a-3 第3線状部
331 第1直線区間
332 湾曲区間
333 第2直線区間
336~338 先端部
34 ベースドリフト層
35 バッファ層
36 高抵抗ドリフト層
37 カソード電極
41 ガードリング
41a 第1ガードリング辺部
41b 第2ガードリング辺部
41c 第1ガードリング角部
42 フィールド絶縁膜
43 表面保護膜
101 半導体基板
211 第1範囲
212 第2範囲
図1
図2
図3
図4
図5