(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181685
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/055 20060101AFI20231218BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20231218BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01G9/055 103
H01G4/30 201A
H01G9/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094946
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】鴛海 健一
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 和豊
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB03
5E082AB09
(57)【要約】
【課題】ESRの上昇を抑制し、高い信頼性を実現できる固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】
固体電解コンデンサは、平膜状の陽極用電極箔の表面に誘電体層、および、固体電解質層が順次形成された複数の平膜状のコンデンサ素子と、複数の平膜状の陰極用電極箔とを交互に積層して形成されたシート積層体と、シート積層体を封止する絶縁性樹脂と、を備える。それぞれのコンデンサ素子と陰極用電極箔との間には、平面視において、環状に形成された絶縁性を有するダムと、ダムに囲まれる領域内に、導電性を有する第1接着剤および第2接着剤と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平膜状の陽極用電極箔の表面に誘電体層、および、固体電解質層が順次形成された複数の平膜状のコンデンサ素子と、複数の平膜状の陰極用電極箔とを交互に積層して形成されたシート積層体と、
前記シート積層体を封止する絶縁性樹脂と、
を備え、
それぞれの前記コンデンサ素子と前記陰極用電極箔との間には、
平面視において、環状に形成された絶縁性を有するダムと、
前記ダムに囲まれる領域内に、導電性を有する第1接着剤および第2接着剤と、
を備える、固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記第2接着剤の接着強度は、前記第1接着剤の接着強度よりも高い、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記第2接着剤のフィラーまたは凝集体の粒径は10μm未満である、請求項1または請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記ダムは、前記コンデンサ素子の前記固体電解質層と前記陰極用電極箔とが対向する面の外周に沿って形成されており、
前記ダムに囲まれる領域内に、前記第2接着剤は略直方体形状に形成され、前記第2接着剤が形成されていない領域に前記第1接着剤が形成されている、
請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
前記ダムは、前記コンデンサ素子の前記固体電解質層と前記陰極用電極箔とが対向する面の外周に沿って形成されており、
前記ダムに囲まれる領域内に、前記第2接着剤は略円柱形状に形成され、前記第2接着剤が形成されていない領域に前記第1接着剤が形成されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンデンサ素子と複数の陰極電極とを交互に積層した積層体を備える固体電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面実装薄型コンデンサが記載されている。特許文献1に記載の表面実装薄型コンデンサの陰極部は、陽極(アルミニウム箔)の表面上に誘電体層を介して導電性ポリマー、グラファイト層、銀ペースト層を積層することによって形成される。この陰極部が表面に形成されたコンデンサ素子は積層されており、積層方向に隣り合う陰極部は、絶縁性接着剤を介して接着されている。
【0003】
特許文献2には、固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサが記載されている。特許文献2に記載の固体電解コンデンサは、複数の平膜状のコンデンサ素子と複数の金属箔(陰極)とを備える。平膜状のコンデンサ素子は、箔状の弁作用金属基体、弁作用金属基体の多孔質部および表面に形成された誘電体層、誘電体層の表面に形成された固体電解質層を備える。
【0004】
より具体的には、次の構成を備える。特許文献2のコンデンサ素子における多孔質部に絶縁性樹脂(マスク剤)が含侵されている。さらに、この絶縁性樹脂には絶縁性接着剤が枠状に形成されている。そして、絶縁性接着剤の枠内には、固体電解質層が形成されている。平膜状のコンデンサ素子と金属箔とは交互に積層されており、これにより、素子積層体が形成される。そして、絶縁性接着剤を用いることで、コンデンサ素子と金属箔との接合強度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-129936号公報
【特許文献2】特開2019-79866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような表面実装型コンデンサにおいては、隣り合う陰極部が絶縁性接着剤を用いて接着されている。このことから、陰極部と陰極部とが対向する面において、導電性を有する部分が減少する。すなわち、表面実装薄型コンデンサとしてのESRは高くなる虞がある。
【0007】
また、特許文献2における固体電解コンデンサにおいては、素子積層体を圧着する際、素子積層体の内部では、内圧が上昇することがある。このように内圧が上昇すると、コンデンサ素子と金属箔との間で層間剥離が発生する虞がある。すなわち、ESRが高くなる虞がある。このため、特許文献2の構成においても、特許文献1と同様の問題を生じる虞がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ESRの上昇を抑制し、高い信頼性を実現できる固体電解コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の固体電解コンデンサは、平膜状の陽極用電極箔の表面に誘電体層、および、固体電解質層が順次形成された複数の平膜状のコンデンサ素子と、複数の平膜状の陰極用電極箔とを交互に積層して形成されたシート積層体と、シート積層体を封止する絶縁性樹脂と、を備える。それぞれのコンデンサ素子と陰極用電極箔との間には、平面視において、環状に形成された絶縁性を有するダムと、ダムに囲まれる領域内に、導電性を有する第1接着剤および第2接着剤と、を備える。
【0010】
この構成を備えることで、コンデンサ素子とシート積層体との接着強度を向上させることができる。さらに、導電性を有する第2接着剤を用いているため、固体電解コンデンサとしての、ESRの上昇を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明の目的は、ESRの上昇を抑制し、高い信頼性を実現できる固体電解コンデンサを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る固体電解コンデンサの構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2(A)は、個片化前のコンデンサ素子と陰極電極との組の構成を示す側面断面図であり、
図2(B)は、個片化前のコンデンサ素子の構成を示す側面断面図であり、
図2(C)は、個片化後のコンデンサ素子と陰極電極との組の構成を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、第1接着剤の内部に第2接着剤を配置した状態を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法の概略フローの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、コンデンサ素子シートの形成工程の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(A)は、個片化前のコンデンサ素子の陽極電極の形状を示す外観斜視図であり、
図6(B)は、個片化前のコンデンサ素子の形状を示す外観斜視図である。
【
図7】
図7は、コンデンサ素子のマルチ状態での外観図である。
【
図8】
図8は、個片化前の陰極電極の形状を示す外観斜視図である。
【
図9】
図9は、シート積層体の形成工程の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10(A)、
図10(B)は、コンデンサ素子シートにダムを形成した状態を示す外観斜視図である。
【
図11】
図11(A)、
図11(B)は、コンデンサ素子シートにダム、第1接着剤、および第2接着剤を形成した状態を示す外観斜視図である。
【
図12】
図12(A)、
図12(B)は、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとを積層する状態を示す分解斜視図である。
【
図13】
図13(A)は、マルチ状態でのコンデンサ素子シートと陰極電極シートとの状態を示す分解斜視図であり、
図13(B)は、コンデンサ素子と陰極電極シートを積層した状態を示す外観斜視図である。
【
図14】
図14(A)は、第2の実施形態に係るコンデンサ素子シートの外観斜視図であり、
図14(B)は、
図14(A)のA-Aにおけるコンデンサ素子シートの側面断面図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係るシート積層体の形成工程の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係るコンデンサ素子シートの外観斜視図である。
【
図17】
図17は、第4の実施形態に係るコンデンサ素子シートの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る固体電解コンデンサ、および、この固体電解コンデンサの製造方法について、図を参照して説明する。
【0014】
(固体電解コンデンサ1の概略的な構成の説明)
まず、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの構造について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る固体電解コンデンサの構成を示す側面断面図である。なお、
図1では、図を見やすくするため、絶縁性樹脂および外部電極のみをハッチングしている。
図2(A)は、個片化前のコンデンサ素子と陰極電極との組の構成を示す側面断面図である。
図2(B)は、個片化前のコンデンサ素子の構成を示す側面断面図である。
図2(C)は、個片化後のコンデンサ素子と陰極電極との組の構成を示す側面断面図である。
【0015】
図1、
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)に示すように、固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子積層体100、絶縁性樹脂50、外部電極61、および、外部電極62を備える。コンデンサ素子積層体100は、複数の平膜状のコンデンサ素子10、複数の平膜状の陰極電極20、第2ダム30、第1接着剤40、および、第2接着剤70を備える。第1接着剤40は、第2ダム30に囲まれる領域内に形成されている。また、第2接着剤70は、第1接着剤40に囲まれる領域内に形成されている。なお、
図1では、平膜状のコンデンサ素子10および陰極電極の個数(枚数)は、それぞれに4であるが、これに限るものではない。なお、陰極電極20が本発明における「陰極用電極箔」に対応し、第2ダム30が本発明における「ダム」に対応する。
【0016】
図2(B)に示すように、コンデンサ素子10は、平膜状の陽極電極11、誘電体層12、および、CP層(固体電解質層)13を備える。
【0017】
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)では詳細な構造の図示は割愛されているが、陽極電極11は、多数の孔を備える。言い換えれば、陽極電極11は、ポーラス状態(多孔質体)である。陽極電極11の一方側の多孔質部分と芯金部分と他方側の多孔質部分の厚みの比は、1:1:1程度となっている。誘電体層12は、陽極電極11の外面を覆う。
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)では陽極電極11の詳細な構造の図示が割愛されているため、誘電体層12は模式的に陽極電極11の巨視的な表面を覆っているように図示されている。実際には、誘電体層12は、陽極電極11の巨視的な表面のみならず、陽極電極11の多数の孔の表面も覆っている。なお、陽極電極11が本発明における「陽極用電極箔」に対応する。
【0018】
CP層13は、誘電体層12の表面を覆う。CP層13は、枠状の第1ダム14の内部に形成されている。第1ダム14は、絶縁性を有する。第1ダム14によって、CP層13の形成領域が規制される。なお、第1の実施形態では、後述する製造方法で説明されるように、第1ダム14が枠状に形成された後、第1ダム14の内部にCP層13が形成される。しかしながら、例えば最初から個片化された状態でコンデンサ素子10を作成する場合など、コンデンサ素子10の製造方法によっては、第1ダム14は、枠状に形成されていなくてもよい。すなわち、第1ダム14は、1辺に形成されていてもよいし、角を有する2辺に形成されていてもよい。さらには、平面視において対向する2辺に形成されている構造であってもよい。
【0019】
CP層13は、内層CP(内層固体電解質層)131と外層CP(外層固体電解質層)132との積層構造である。内層CP131は、誘電体層12の表面に形成され、外層CP132は、内層CP131の表面に形成される。
【0020】
複数のコンデンサ素子10と複数の陰極電極20とは、それぞれの平膜面が平行になるように、且つ、平面視して重なり合うように交互に積層されている。
【0021】
隣り合うコンデンサ素子10と陰極電極20との間には、第2ダム30、第1接着剤40、および第2接着剤70が配設される。第2ダム30は、絶縁性および、接着性を有する。第1接着剤40、第2接着剤70は、導電性を有する。
【0022】
第2ダム30は、コンデンサ素子10のCP層13と陰極電極20とが対向する面の外周に沿って枠状に形成されている。
図2(B)に示すように、第2ダム30は、第1ダム14に重なるように形成されている。なお、第2ダム30は、例えば絶縁性樹脂等の絶縁材料からなる。
【0023】
第1接着剤40は、第2ダム30で規定される枠の内側に配設される。さらに、第2接着剤70は、第1接着剤40で囲まれる領域内に形成される。この第1接着剤40、および第2接着剤70によって、隣り合うコンデンサ素子10と陰極電極20とは接着する。なお、第2接着剤70は、第1接着剤40よりも接着力が高い。詳細は、後述する。
【0024】
このような積層状態において、複数のコンデンサ素子10の第1端10E1は、側面視して略同じ位置となる。同様に、複数のコンデンサ素子10の第2端10E2は、側面視して略同じ位置となる。さらに、複数の陰極電極20の第1端20E1は、側面視して略同じ位置となる。同様に、複数の陰極電極20の第2端20E2は、側面視して略同じ位置となる。
【0025】
複数のコンデンサ素子10の第1端10E1と複数の陰極電極20の第2端20E2とは、コンデンサ素子積層体100の第1端側に配置される。複数のコンデンサ素子10の第1端10E1は、複数の陰極電極20の第2端20E2よりも外方に突出している。
【0026】
複数のコンデンサ素子10の第2端10E2と複数の陰極電極20の第1端20E1とは、コンデンサ素子積層体100の第2端側に配置される。複数の陰極電極20の第1端20E1は、複数のコンデンサ素子10の第2端10E2よりも外方に突出している。
【0027】
このような構造によって、コンデンサ素子積層体100は実現される。
【0028】
コンデンサ素子積層体100は、絶縁性樹脂50によって封止される。より具体的には、絶縁性樹脂50は、複数のコンデンサ素子10の第1端10E1(陽極電極11の第1端10E1)および複数の陰極電極20の第1端20E1を除き、コンデンサ素子積層体100を覆う。
【0029】
外部電極61は、絶縁性樹脂50の第1端(陽極電極11の第1端10E1)を覆う。外部電極61は、複数のコンデンサ素子10の陽極電極11の第1端10E1に接続する。
【0030】
外部電極62は、絶縁性樹脂50の第2端(陰極電極20の第1端20E1)を覆う。外部電極62は、複数の陰極電極20の第1端20E1に接続する。
【0031】
以上の構成によって、固体電解コンデンサ1は実現される。
【0032】
(固体電解コンデンサ1の詳細な構造の説明)
次に、
図3を用いて、第1接着剤40と第2接着剤70の詳細な構造について説明する。
図3は、第1接着剤40と第2接着剤70の構造を概略的に示した図である。上述した
図2(A)、
図2(C)における構造の一部を拡大した図である。なお、それぞれの構造は説明を分かりやすくするため、各構成を拡大し、かつ誇張して表現している。
【0033】
図3に示すように、コンデンサ素子10を平面視した際、第1接着剤40は第2ダム30に囲まれる領域に形成されている。同様に、第2接着剤70は第1接着剤40に囲まれる領域に形成されている。
【0034】
ここで、第1接着剤40と第2接着剤70とを比較する。第2接着剤70は、第1接着剤よりも接着性が高い。すなわち、第2接着剤70は、第1接着剤40のみを用いるよりも、外層CP132(コンデンサ素子10)と陰極電極20とをより強力に接着できる(
図2(A)参照)。
【0035】
このように第2接着剤70の接着力が高いことから、固体電解コンデンサ1を形成するための加熱加圧時に当該固体電解コンデンサ1の内圧が上昇したとしても、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との剥離を抑制できる。これにより、ESRの増加を抑制できる。
【0036】
さらに、第2接着剤70は導電性を有するため、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との導電性を有する接着面積が減少せず、固体電解コンデンサ1としてのESRの増加を抑制できる。
【0037】
なお、第2接着剤70の形状は任意である。本実施例においては、例えば略直方体である。第2接着剤70は、陰極電極20(
図3では省略)とコンデンサ素子10の外層CP132とが所定の強度で接着される大きさであればよい。この大きさとは、第2接着剤70が陰極電極20と外層CP132とにそれぞれ接着する面積である。
【0038】
(固体電解コンデンサ1の製造方法)
上述の構成からなる固体電解コンデンサ1は、例えば、次のように製造される。
図4は、本実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法の概略フローの一例を示すフローチャートである。
【0039】
コンデンサ素子シートを形成する(
図4:S11)。コンデンサ素子シートには、それぞれの異なる固体電解コンデンサ1を形成する複数のコンデンサ素子10が配列された状態で形成されている。
【0040】
次に、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとを、第2ダム30、第1接着剤40、および第2接着剤70を挟んで積層し、シート積層体を形成する(
図4:S12)。なお、陰極電極シートには、それぞれに異なる固体電解コンデンサ1を形成する複数の陰極電極20が配列された状態で形成されている。これにより、複数のコンデンサ素子積層体100が平面的に配列された構造体が形成される。言い換えれば、シート積層体とは、複数のコンデンサ素子積層体100が平面的に配列されたものである。
【0041】
次に、シート積層体を絶縁性樹脂50で封止する(
図4:S13)。詳細は後述するが、この際に、シート積層体の上面から下面までを貫通する貫通穴をシート積層体に備え、コンプレッションモールドによって樹脂封止を行う。
【0042】
この絶縁性樹脂50での封止までは、固体電解コンデンサ1が個片化される前のマルチ状態(複数の固体電解コンデンサ1となるものが配列された状態)で行われる。
【0043】
次に、絶縁性樹脂50で封止されたシート積層体を切断し、個片化する(
図4:S14)。具体的には、後述する
図11(B)、
図12(B)に示す切断線E11、E12、S11、S12に沿って切断を行う。これにより、外部電極が形成されていない状態の複数の固体電解コンデンサ1(固体電解コンデンサ1の素体と称する)が形成される。この後、固体電解コンデンサ1の素体に絶縁性樹脂50の2次封止を行う。より具体的には、固体電解コンデンサ1の素体の側面(切断線S11、S12で切断した面(上面、下面、陽極電極11および陰極電極20が露出する端面とは異なる側面))を、絶縁性樹脂50の2次封止によって覆う。これにより、個片化時に不要に露出する陽極電極11および陰極電極20を絶縁性樹脂50で覆う。
【0044】
次に、固体電解コンデンサ1の素体の端面に外部電極61および外部電極62を形成する(
図4:S15)。
【0045】
次に、各工程をより具体的に説明する。
【0046】
(コンデンサ素子シートの形成工程)
図5は、コンデンサ素子シートの形成工程の一例を示すフローチャートである。
図6(A)は、個片化前のコンデンサ素子の陽極電極の形状を示す外観斜視図であり、
図6(B)は、個片化前のコンデンサ素子の形状を示す外観斜視図である。
図7は、マルチ状態での外観図である。
【0047】
陽極電極11に化成処理を行って、誘電体層12を形成する(
図5:S111)。この際、陽極電極11の表面には、エッチングによって多数の孔が形成されており、陽極電極11の表面付近は多孔質体となっている。誘電体層12は、孔の内面も含めた陽極電極11の表面を覆っている。
【0048】
次に、陽極電極11に陽極用貫通穴を形成する(
図5:S112)。より具体的には、
図6(A)に示すように、陽極電極11には、複数の円筒形の陽極用貫通穴19Cと、溝状の陽極用貫通穴19Lとが形成される。複数の円筒形の陽極用貫通穴19Cと、溝状の陽極用貫通穴19Lとは、複数の陽極電極11となる部分の並ぶ方向に沿って、交互に配列されている。複数の円筒形の陽極用貫通穴19Cは、陽極電極11の第1端10E1を実現する位置に形成され、溝状の陽極用貫通穴19Lは、隣り合う陽極電極11となる部分を跨ぐ位置、および、隣り合う陽極電極11の第2端10E2を実現する位置に形成される。
【0049】
次に、誘電体層12の表面にCP層(固体電解質層)13を形成する(
図5:S113)。より具体的には、
図6(B)に示すように、枠状の開口を有する第1ダム14を形成する。そして、第1ダム14の開口内に、CP層13(内層CP131と外層CP132との積層構造)を形成する。
【0050】
この構造は、
図7に示すように、複数のコンデンサ素子10(陽極電極11、誘電体層12、CP層13、および、第1ダム14からなる構造体)が二次元で配列されたマルチ状態で行われる。
【0051】
(陰極電極シートの形成工程)
図8は、個片化前の陰極電極の形状を示す外観斜視図である。
【0052】
図8に示すように、陰極電極20には、複数の円筒形の陰極用貫通穴29Cと、溝状の陰極用貫通穴29Lとが形成される。複数の円筒形の陰極用貫通穴29Cと、溝状の陰極用貫通穴29Lとは、複数の陰極電極20となる部分の並ぶ方向に沿って、交互に配列されている。複数の円筒形の陰極用貫通穴29Cは、陰極電極20の第1端20E1を実現する位置に形成され、溝状の陰極用貫通穴29Lは、隣り合う陰極電極20となる部分を跨ぐ位置、および、隣り合う陰極電極20の第2端20E2を実現する位置に形成される。
【0053】
(シート積層体の形成工程)
図9は、シート積層体の形成工程の一例を示すフローチャートである。
図10は、コンデンサ素子シートに第2ダムを形成した状態を示す外観斜視図であり、
図10(A)はマルチ状態を示し、
図10(B)は1個のコンデンサ素子の部分を示す。
図11は、コンデンサ素子シートに第2ダムおよび第1接着剤および第2接着剤を形成した状態を示す外観斜視図であり、
図11(A)はマルチ状態を示し、
図11(B)は1個のコンデンサ素子の部分を示す。
図12(A)、
図12(B)は、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとを積層する状態を示す分解斜視図である。
図12(A)、
図12(B)は、1個の固体電解コンデンサに該当する部分を示す。
図13(A)は、マルチ状態でのコンデンサ素子シートと陰極電極シートとの積層状態を示す分解斜視図であり、
図13(B)は、マルチ状態でのコンデンサ素子シートと陰極電極シートとの積層状態を示す外観斜視図である。
【0054】
コンデンサ素子シートに第2ダム30を形成する(
図9:S121)。より具体的には、
図10(A)、
図10(B)に示すように、枠状の開口を有する第2ダム30を形成する。
【0055】
次に、
図11(A)、
図11(B)に示すように、第2ダム30の開口内に第1接着剤40を配設する(
図9:S122)。この際、
図11(A)に示すように、第1接着剤40は、第2接着剤70を配設するための略直方体形状の開口45を有するように形成する。すなわち、外層CP132上に開口45を有するように第1接着剤40をパターン印刷する。この開口45は、第1接着剤40を貫通する形状である。
【0056】
なお、この開口45は、パターン印刷に限らない。開口45を有するように第1接着剤40を塗布する方法(枠状に第1接着剤40を塗布する方法)や、第1接着剤40を配設した後、開口45を有するように第1接着剤40を削除する方法であってもよい。
【0057】
次に、
図11(B)に示すように、第1接着剤40の開口45内に第2接着剤70を配設する(
図9:S123)。第2接着剤70は、例えば、開口45内への導電性材料の印刷や塗布等により実現される。
【0058】
次に、
図12(A)、
図12(B)、
図13(A)、
図13(B)に示すように、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとを交互に積層する(
図9:S124)。より具体的には、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとは、次の条件を満たすように積層される。
【0059】
・積層方向に視て、コンデンサ素子シートにおける複数の円筒形の陽極用貫通穴19Cと、陰極電極シートにおける溝状の陰極用貫通穴29Lとは重なる。
・積層方向に視て、コンデンサ素子シートにおける溝状の陽極用貫通穴19Lと、陰極電極シートにおける複数の円筒形の陰極用貫通穴29Cとは重なる。
・積層方向に視て、コンデンサ素子シートにおける溝状の陽極用貫通穴19Lと、陰極電極シートにおける溝状の陰極用貫通穴29Lとは重なる。
そして、これらの貫通穴は、シート積層体に配列されたコンデンサ素子の個数に応じて複数形成される。したがって、シート積層体には、シート積層体の上面から下面まで貫通する貫通穴が複数形成される。
【0060】
次に、シート積層体を加熱加圧する(
図9:S125)。これにより、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとが第1接着剤40、および第2接着剤70によって接着され、シート積層体が形成される。
【0061】
なお、上述の構成では、第2接着剤70の形状を略直方体形状であると記載した。しかしながら、形状は直方体形状に限らない。
【0062】
また、外層CP132に接着する面と、陰極電極20に接着する面の面積は同じである必要はない。言い換えれば、陰極電極20と外層CP132との接着強度に問題がなければ、第2接着剤70が外層CP132に接着する面積が、第2接着剤70が陰極電極20に接着する面積よりも小さくてもよい。逆に、第2接着剤70が外層CP132に接着する面積が、第2接着剤70が陰極電極20に接着する面積よりも大きくてもよい。
【0063】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る固体電解コンデンサについて、図を参照して説明する。
図14(A)は、第2の実施形態における個片化前のコンデンサ素子の構成を示す図であり、
図14(B)は、個片化前のコンデンサ素子の構成を示す側面断面図である。
【0064】
図14(A)、
図14(B)に示すように、第2の実施形態に係る固体電解コンデンサ1Aは、第1の実施形態に係る固体電解コンデンサ1に対して、第2接着剤70Aが複数の位置に形成されている点において異なる。固体電解コンデンサ1Aの他の構成は、固体電解コンデンサ1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0065】
図14(A)に示すように、第2接着剤70Aは、第1接着剤40Aが形成されている領域内の複数の位置に形成されている。より具体的には、第2接着剤70Aは略円柱形状であり、第1接着剤40Aが形成されている領域内で等間隔に形成されている。
【0066】
このような構成であっても、陰極電極20と外層CP132との接着強度は高くなる。このことによって、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との剥離を抑制できるため、ESRの増加を抑制できる。さらに、第2接着剤70Aは導電性を有するため、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との導電性を有する接着面積が減少せず、固体電解コンデンサ1AとしてのESRの増加を抑制できる。
【0067】
さらに、第2接着剤70Aが等間隔で配設されていることにより、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20とが接着されていない箇所の偏りを減らすことができる。すなわち、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20とを略全面において接着することができる。
【0068】
次に、第2の実施形態における固体電解コンデンサ1Aの製造方法について説明する。第1の実施形態と異なる点は、第1接着剤40Aおよび第2接着剤70Aを形成する点である(第1の実施形態における
図9)。固体電解コンデンサ1Aの他の製造方法は、固体電解コンデンサ1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0069】
シート積層体に第2ダム30を形成する(
図15:S121)。
図10(B)に示すように、枠状の開口を有する第2ダム30を形成する。
【0070】
次に、第2ダム30の開口内に第1接着剤40Aを配設する(
図15:S221)。この際、第1接着剤40Aは、第2接着剤70Aを配設するための複数の円筒状の開口を形成する。すなわち、外層CP132上に複数の円筒状の開口を有するように第1接着剤40Aをパターン印刷する。
【0071】
次に、
図11(A)、
図11(B)に示すように、第1接着剤40Aの開口内に第2接着剤70Aを配設する(
図15:S222)。
【0072】
次に、
図12(A)、
図12(B)、
図13(A)、
図13(B)に示すように、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとを交互に積層する(
図15:S124)。より具体的には、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとは、第1の実施形態と同様の条件を満たすように積層される。
【0073】
次に、シート積層体を加熱加圧する(
図15:S125)。これにより、コンデンサ素子シートと陰極電極シートとが第1接着剤40A、および第2接着剤70Aによって接着され、シート積層体が形成される。
【0074】
上述の構成では、第2接着剤70Aを円柱状であると説明した。しかしながら、多角柱状であっても円環柱状であってもよい。
【0075】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る固体電解コンデンサについて、図を参照して説明する。
図16は、第3の実施形態における個片化前のコンデンサ素子の構成を示す図である。
【0076】
図16に示すように、第3の実施形態に係る固体電解コンデンサ1Bは、第1の実施形態に係る固体電解コンデンサ1に対して、複数の位置に第2接着剤70Bが形成されている点において異なる。固体電解コンデンサ1Bの他の構成は、固体電解コンデンサ1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0077】
図16に示すように、第1接着剤40Bが形成されている領域内の複数の位置に第2接着剤70Bが形成されている。より具体的には、第1接着剤40Bが形成されている領域内の複数の位置に楕円筒状の開口が等間隔で形成され、この開口に第2接着剤70Bが配設されている。より具体的には、それぞれの第2接着剤70Bは、それぞれの長辺方向が略平行となるように形成されている。
【0078】
このような構成であっても、陰極電極20と外層CP132との接着強度は高くなる。このことによって、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との剥離を抑制できるため、ESRの増加を抑制できる。さらに、第2接着剤70Bは導電性を有するため、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との導電性を有する接着面積が減少せず、固体電解コンデンサ1BとしてのESRの増加を抑制できる。
【0079】
上述の構成では、それぞれの第2接着剤70Bが略平行となる位置に形成されている例を示した。しかしながら、第2接着剤70Bは略平行に形成されている必要はなく、第2接着剤70Bが交わるように(例えば、英字のXや英字のL)形成されていてもよい。
【0080】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係る固体電解コンデンサについて、図を参照して説明する。
図17は、第4の実施形態における個片化前のコンデンサ素子の構成を示す図である。
【0081】
図17に示すように、第4の実施形態に係る固体電解コンデンサ1Cは、第1の実施形態に係る固体電解コンデンサ1に対して、第2接着剤70Cが形成されている位置が異なる点において異なる。固体電解コンデンサ1Cの他の構成は、固体電解コンデンサ1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0082】
図17に示すように、第1接着剤40Cが形成されている領域内に略円筒形状の開口が形成され、この開口に第2接着剤70Cが配設されている。この際、第2接着剤70Cは、第1接着剤40Cが形成されている領域内の陽極用貫通穴19Lに近い位置に形成されている。
【0083】
このように、第2接着剤70Cは、固体電解コンデンサ1Cを加熱加圧する際に内圧が上がりやすい位置に形成されているとよい。よって、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20とは、より確実に接着される。
【0084】
このような構成であっても、陰極電極20と外層CP132との接着強度は高くなる。このことによって、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との剥離を抑制できるため、ESRの増加を抑制できる。さらに、第2接着剤70Bは導電性を有するため、コンデンサ素子10の外層CP132と陰極電極20との導電性を有する接着面積が減少せず、固体電解コンデンサ1CとしてのESRの増加を抑制できる。
【0085】
(固体電解コンデンサ1の各構成要素の具体的な材料等の一例の説明)
(コンデンサ素子10)
コンデンサ素子10、例えば以下の材料や厚みで実現される。
【0086】
陽極電極11は、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム等の金属単体、または、これらの金属を含む合金等からなる。なお、陽極電極11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。陽極電極11は、いわゆる弁作用を示す弁作用金属であればよい。
【0087】
陽極電極11は、平板状であることが好ましく、陽極電極11の芯部(多孔質体の孔が到達しない中心部)の厚みは、5μm以上、100μm以下であることが好ましい。多孔質部(多孔質体の孔が形成されている部)の厚さ(片面の厚さ)は、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
【0088】
誘電体層12は、陽極電極11の酸化皮膜からなることが好ましい。誘電体層12は、例えば、陽極電極11にアルミニウム箔を用いる場合、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、またはそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩等を含む水溶液中で酸化させることで形成される。誘電体層12の厚みは1nm以上、100nm以下であることが好ましい。
【0089】
内層CP131は、例えば、ピロール類、チオフェン類、アニリン類等を骨格とした導電性高分子、もしくはチオフェン類を骨格とする導電性高分子のPEDOT[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)]等で実現され、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)と複合化させたPEDOT:PSSの層であってもよい。内層CP131は、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含む処理液を用いて、誘電体層12の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の重合膜を形成する方法や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等のポリマーの分散液を誘電体部の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。
【0090】
外層CP132の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。外層CP132の材料は、内層CP131の材料と同様である。
【0091】
第1接着剤40は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の絶縁性樹脂と、カーボンや銀等の導電性粒子との混合物を用いるとよい。
【0092】
第2接着剤70は、例えば、金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、カーボン粉、グラファイト粉の少なくとも1つと、バインダーとを含む。また、第2接着剤70は、印刷性やレベリング性、導電性を両立させるために フレーク状や球状などの配合コントロールがされている。
【0093】
また、第2接着剤70のバインダーとしては、導電フィラー同士を絶縁しないような絶縁破壊性が高く、かつ接着機能を持たせるものが好ましい。例えば、第2接着剤70のバインダーには、主にエポキシ樹脂を用い、さらにウレタン、シリコーン、アクリル、ポリイミドなどを用いるとよい。すなわち、バインダーは、接着剤としての機能を発現させるために導電フィラーとの配合率がコントロールさせたものが好ましい。
【0094】
なお、導電フィラーの1次粒径は、導電性ポリマーの厚みより小さく、かつ凝集しないように混錬等で分散させたものが好ましい。特に、導電フィラーや凝集体の粒径は10μm未満であることが好ましい。
【0095】
陰極電極20は、例えば、アルミ、チタン、銅、銀等で形成されている。陰極電極20の厚みは、例えば、陽極電極11の厚みよりも薄い、または同程度である。なお、陰極電極20の厚みはできるだけ薄いほうがよく、5μm~50μm程度であり、好ましくは約30μmである。
【0096】
絶縁性樹脂50は、フィラーを含んでいてもよい。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー等が好ましい。フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子などの絶縁性酸化物粒子等が好ましい。フィラーの最大径は、例えば30μm以上、40μm以下が望ましい。例えば、固形エポキシ樹脂とフェノール樹脂に、シリカ粒子を含む材料であることがより好ましい。
【0097】
この発明に係る構成と上述した構成との対応関係を以下に記載する。
[付記]
<1>平膜状の陽極用電極箔の表面に誘電体層、および、固体電解質層が順次形成された複数の平膜状のコンデンサ素子と、複数の平膜状の陰極用電極箔とを交互に積層して形成されたシート積層体と、
前記シート積層体を封止する絶縁性樹脂と、
を備え、
それぞれの前記コンデンサ素子と前記陰極用電極箔との間には、
平面視において、環状に形成された絶縁性を有するダムと、
前記ダムに囲まれる領域内に、導電性を有する第1接着剤および第2接着剤と、を備える、固体電解コンデンサ。
【0098】
<2>前記第2接着剤の接着強度は、前記第1接着剤の接着強度よりも高い、<1>に記載の固体電解コンデンサ。
【0099】
<3>前記第2接着剤のフィラーまたは凝集体の粒径は10μm未満である、<1>または<2>に記載の固体電解コンデンサ。
【0100】
<4>前記ダムは、前記コンデンサ素子の前記固体電解質層と前記陰極用電極箔とが対向する面の外周に沿って形成されており、
前記ダムに囲まれる領域内に、前記第2接着剤は略直方体形状に形成され、前記第2接着剤が形成されていない領域に前記第1接着剤が形成されている、<1>に記載の固体電解コンデンサ。
【0101】
<5>前記ダムは、前記コンデンサ素子の前記固体電解質層と前記陰極用電極箔とが対向する面の外周に沿って形成されており、
前記ダムに囲まれる領域内に、前記第2接着剤は略円柱形状に形成され、前記第2接着剤が形成されていない領域に前記第1接着剤が形成されている、<1>に記載の固体電解コンデンサ。
【符号の説明】
【0102】
内層CP…131
外層CP…132
E11…切断線
S11…切断線
1、1A、1B、1C…固体電解コンデンサ
10…コンデンサ素子
10E1、20E1…第1端
10E2、20E2…第2端
11…陽極電極
12…誘電体層
14…第1ダム
19C…陽極用貫通穴
19L…陽極用貫通穴
20…陰極電極
29C…陰極用貫通穴
29L…陰極用貫通穴
30…第2ダム
40、40A、40B、40C…第1接着剤
45…開口
50…絶縁性樹脂
70、70A、70B、70C…第2接着剤
61…外部電極
62…外部電極
100…コンデンサ素子積層体