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▶ 株式会社ホクシンエレクトロニクスの特許一覧

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  • 特開-皮膚模型 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181689
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】皮膚模型
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20231218BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61B8/00
B32B27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094955
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】507294395
【氏名又は名称】株式会社ホクシンエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】田中 義克
(72)【発明者】
【氏名】藤肥 いずみ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 育美
(72)【発明者】
【氏名】宇野 宏志
(72)【発明者】
【氏名】田村 雅史
【テーマコード(参考)】
4C601
4F100
【Fターム(参考)】
4C601EE21
4C601LL19
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK01E
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100GB66
4F100JB05A
4F100JB05C
4F100JD15B
(57)【要約】
【課題】傾けて設置した場合であっても水分が偏ってしまうことがない皮膚模型を提供する。
【解決手段】 皮膚模型1は、水分保持層2と、水分保持層2の両側に位置する親水性樹脂層3と、を備える。この実施形態において、複数の水分保持層2を備え、隣接する水分保持層2の間に親水性樹脂層3を配置し、これらが交互に配置されることによって、水分保持層2の両側に位置する親水性樹脂層3とすることができる。積層された水分保持層2及び親水性樹脂層3は、ポリエチレンフィルム等の樹脂製被覆膜4によって被覆される。水分保持層2の基材として不織布やナイロンメッシュ等によって形成された吸水性シートを用いることができ、これら基材に水分を保持されることによって水分保持層2とすることができる。親水性樹脂層3としてパーフルオロカーボン材料を用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分保持層と、
前記水分保持層の両側に位置する親水性樹脂層と、を備える皮膚模型であって、
前記親水性樹脂層は、接触した前記水分保持層の水分の粘性を高くすることを特徴とする皮膚模型。
【請求項2】
前記親水性樹脂層は、高分子電解質膜を含むことを特徴とする請求項1記載の皮膚模型。
【請求項3】
前記水分保持層及び前記親水性樹脂層は、樹脂製の被覆膜によって覆われることを特徴とする請求項1記載の皮膚模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体測定に用いる測定装置の検査を行うための検査用ファントムに用いることができる皮膚模型に関し、特に電磁波を用いて皮膚の水分量、血中酸素濃度又はグルコース濃度等を測定する測定装置の検査を行うための皮膚模型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の検査用ファントムに用いる皮膚模型として、皮膚のしみ、主要組織等の生態組織を模擬する皮膚模型が知られる。
特に特許文献1によれば、皮膚模型は熱可塑性樹脂からなる板状の基材と、この基材を被覆する親水性樹脂の被膜と、被膜に定着された生体組織を模擬するインク印刷パターンを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5764219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の皮膚模型は、水分量や水分中の酸素濃度等、水分を多く含む組織を対象とするものではない。仮に基材に多くの水分を含むと、傾いて設置されたときには水分が低い方へと流れ、水分量が偏ってしまう。
【0005】
この発明は、傾けて設置した場合であっても水分が偏ってしまうことがない皮膚模型を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の皮膚模型は、水分保持層と、前記水分保持層の両側に位置する親水性樹脂層と、を備える皮膚模型であって、前記親水性樹脂層は、接触した前記水分保持層の水分の粘性を高くすることを特徴とする。
水分保持層の水分の粘性を高くすることによって水分保持層の水分の流動を抑制することができ、皮膚模型を傾けた場合であっても水分が偏るのを防止することができる。
【0007】
前記親水性樹脂層は、高分子電解質膜を含むことを特徴とする。
高分子電解質膜を用いることで、親水性樹脂層近傍における水分の粘性を高くすることができ、水分の流動を効率的に抑制することができる。
【0008】
前記水分保持層及び前記親水性樹脂層は、樹脂製の被覆膜によって覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る皮膚模型によれば、水分保持層と親水性樹脂層とを積層することによって、水分保持層の水分の粘性を高くすることができ、水分の流動を抑制することができる。したがって、皮膚模型を傾けた場合であっても水分が偏るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】皮膚模型の概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、皮膚模型1は、水分保持層2と、水分保持層2の両側に位置する親水性樹脂層3と、を備える。この実施形態において、複数の水分保持層2を備え、隣接する水分保持層2の間に親水性樹脂層3を配置し、これらが交互に配置されることによって、水分保持層2の両側に位置する親水性樹脂層3とすることができる。積層された水分保持層2及び親水性樹脂層3は、ポリエチレンフィルム等の樹脂製被覆膜4によって被覆される。
【0012】
水分保持層2の基材として不織布やナイロンメッシュ等によって形成された吸水性シートを用いることができ、これら基材に水分を保持されることによって水分保持層2とすることができる。水分量は目的に応じて変更することができる。また、水分に酸素やグルコースなどを添加することもできる。
【0013】
親水性樹脂層3として高分子電解質膜を用いることができる。特にパーフルオロカーボン材料を用いることが好ましい。パーフルオロカーボンは側鎖にスルホン酸基を有し、水を吸着することによって周囲の水分の粘性を高くすることができる。すなわち、親水性樹脂層3に接触する水分保持層2の両側の水分の粘性が高くなり、水分保持層2全体の水分の流動を抑制することができ、皮膚模型1を傾けた場合であっても水分が下方に偏るのを防止することができる。
【0014】
水分保持層2に親水性樹脂膜3を積層させることによって、水分保持層2の表面に雑菌が繁殖するのを防止することができる。
【0015】
この実施形態において水分保持層2は三層配置し、親水性樹脂層3は四層配置しているが、これに限定するものではない。検査対象の特性や、検査機器の特性に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 皮膚模型
2 水分保持層
3 親水性樹脂層
4 被覆膜
図1