(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181695
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】発送用荷受けボックス
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
B65G61/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094964
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 雄司
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏
(57)【要約】
【課題】屋外に設置される発送用荷受けボックスにおいて、前面パネル上に雨水が溜まることを抑制し、かつ、ユーザが片手で荷物へのラベルの貼り付けを容易に行えるようにする。
【解決手段】発送用荷受けボックス10は、荷物を発送する際に、荷物が発送物として投函される投函口23と、投函口23に投函された荷物を収納可能な収納部と、収納部に収納された荷物を集荷する際に開放される集荷扉26と、荷物の識別のためのラベルの印刷を行う印刷部と、を含む。投函口23の上方には、上方に向かうにしたがって後方に傾斜する前面パネル60が設けられる。前面パネル60には、投函口23への投函前の荷物の仮置き部62が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される発送用荷受けボックスであって、
荷物を発送する際に、前記荷物が発送物として投函される投函口と、
前記投函口に投函された前記荷物を収納可能な収納部と、
前記収納部に収納された前記荷物を集荷する際に開放される集荷扉と、
前記荷物の識別のためのラベルの印刷を行う印刷部と、を備え、
前記投函口の上方には、上方に向かうにしたがって後方に傾斜する前面パネルが設けられ、
前記前面パネルには、前記投函口への投函前の前記荷物の仮置き部が設けられる、
発送用荷受けボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の発送用荷受けボックスにおいて、
前記仮置き部は、横並びで配置された複数のピンにより形成される、発送用荷受けボックス。
【請求項3】
請求項2に記載の発送用荷受けボックスにおいて、
前記複数のピンのそれぞれは円柱状である、発送用荷受けボックス。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の発送用荷受けボックスにおいて、
前記複数のピンのそれぞれの、前記前面パネルから外側への突出長さは、30mm以下である、発送用荷受けボックス。
【請求項5】
請求項1に記載の発送用荷受けボックスにおいて、
前記前面パネルは、横開き式で開放可能に構成される、発送用荷受けボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発送用荷受けボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物を発送する際に、荷物を投函する投函口と、投函された荷物を収納する収納部と、発送用の荷物の識別のためのラベルの印刷を行う印刷部とを備える発送用荷受けボックスが考えられる。
【0003】
特許文献1には、書留郵便物の自動投函機であって、前面に設けられた投函口と、投函口の上側に設けられ上方に向かって後方に傾斜しタッチセンサと表示部とを含むディスプレイ部とを備える構成が記載されている。自動投函機は、画像入力部で入力された画像情報から差出人及び受け取人の氏名を表示部で表示させ、差出人がタッチセンサで表示部の画像を確認し、郵便料金を投入した後に、郵便追跡のための番号のバーコードを印字した用紙を発行する。差出人は、投入口から返却された郵便物にバーコードの用紙を貼り付けた後、郵便物を投函口に投函する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発送用荷受けボックスを屋外に設置して使用することが考えられる。この場合において、発送用荷受けボックスの前面に、雨水が溜まらないように上方に向かうにしたがって後方に傾斜させた前面パネルを設けることが考えられる。一方、荷受けボックスの前面に、荷物を仮置き可能な水平面が設けられない場合には、ユーザが印刷部で印刷されたラベルを荷物に貼り付ける場合に、荷物へのラベルの貼り付けが困難である。特に、雨天時にはユーザは傘を一方の手で持ってさしながら、他方の手、または両方の手を使って荷物にラベルを貼り付ける必要があるので、ラベル貼り付けがさらに困難である。
【0006】
本開示の目的は、屋外に設置される発送用荷受けボックスにおいて、前面パネル上に雨水が溜ることを抑制し、かつ、ユーザが片手で荷物へのラベルの貼り付けを容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の発送用荷受けボックスは、屋外に設置される発送用荷受けボックスであって、荷物を発送する際に、前記荷物が発送物として投函される投函口と、前記投函口に投函された前記荷物を収納可能な収納部と、前記収納部に収納された前記荷物を集荷する際に開放される集荷扉と、前記荷物の識別のためのラベルの印刷を行う印刷部と、を備え、前記投函口の上方には、上方に向かうにしたがって後方に傾斜する前面パネルが設けられ、前記前面パネルには、前記投函口への投函前の前記荷物の仮置き部が設けられる、発送用荷受けボックスである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る発送用荷受けボックスによれば、屋外に設置される構成において、前面パネル上の雨水が溜まることを抑制でき、かつ、ユーザが片手で荷物へのラベルの貼り付けを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の発送用荷受けボックスの斜め前側から見た図である。
【
図2】
図1の発送用荷受けボックスの側面図である。
【
図4】
図1の発送用荷受けボックスの前面パネルを開けた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の発送用荷受けボックスにおいて、夜間に、照明部で下側を照射させた状態を示している上部拡大斜視図である。
【
図6】実施形態において、降雨時に、荷物の発送を行うユーザが荷物を仮置き部に仮置きする前(a)と、仮置きした後(b)とを示す図である。
【
図7】仮置き部を形成するピンの上下方向位置と、ピンに対する傘の係止状態または傘の係止不可状態との関係を示す図である。
【
図8】
図6(b)の状態の後にユーザが、仮置きした荷物に発送用のラベルを貼り付ける状態を示す図である。
【
図9】
図8の状態の後にユーザが、荷物を投函口に投函する状態を示す図である。
【
図10】実施形態の別例の発送用荷受けボックスにおいて、
図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、位置及び個数は、説明のための例示であって、発送用荷受けボックスの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0011】
以下の説明及び図面で、Fは、発送用荷受けボックスの正面側である前側であり、Rは、発送用荷受けボックスを前面に向かって見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、Bは、発送用荷受けボックスの裏側である後側である。R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは、互いに直交する。
【0012】
図1は、実施形態の発送用荷受けボックス10の斜め前から見た図である。
図2は、発送用荷受けボックス10の側面図である。
図3は、
図1のA部を拡大して前から見た図である。
【0013】
発送用荷受けボックス10は、例えばインターネット等のオンライン上での電子商取引の出品代行業者によって設置され、売買が成立した場合に商品の販売者が購入者に商品を発送するために利用される。発送用荷受けボックス10は、例えばコンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、ドラッグストア等の敷地において、屋外に設置される。
【0014】
発送用荷受けボックス10は、宅配物の配送業者によって設置され、宅配物の発送人が受取人に宅配物を発送するために利用されてもよい。以下、発送用荷受けボックス10は、発送用ボックス10と記載する。
【0015】
発送用ボックス10では、商品等の荷物の販売者等のユーザである発送人が収納部12(
図2)に荷物80(
図3、
図6)を収納する。このとき、発送人82(
図6)は、荷物80を梱包した状態で、荷物80に、荷物80の宛先等の発送情報が表示された発送用荷物の識別のためのラベル81(
図4、
図8)を貼付する。ラベル81は、発送用ボックス10のコード読み取り部等の入力部40を用いて、発送人82が入力した識別情報に基づいて、発送用ボックス10の印刷部50(
図4)によって発送情報が印刷された後、発送用ボックス10の前面に設けられたラベル取り出し口42から印刷済みの部分が排出される。発送人82は、その印刷済みのラベル81を、ラベル81の他の部分から切り取った後、荷物80の外側に貼付する。その後、発送用ボックス10の投函扉24を大きく開いた後、投函口23を通じて収納部12に荷物80を投函する。このとき、投函扉24の下側の集荷扉26は閉鎖され施錠された状態となっている。荷物80の投函後は、発送人82は、投函扉24を閉じる。これにより、投函扉24は自動で施錠される。発送人82は、荷物80を発送用ボックス10に預入したことを携帯端末の専用のアプリケーションプログラムまたは電子メール等によって配送業者に通知する。配送業者は、荷物80の預入通知があったときに、発送用ボックス10の設置場所に移動して、発送用ボックス10から荷物80を回収し、その荷物80に貼付されたラベルの発送情報に従って、商品購入者等の荷物80の受取人の住所に届ける。
【0016】
上記のように発送人82は、荷物80の発送時に、荷物80にラベル81を貼付するが、降雨時に傘84をさしている等により、発送人82がラベルの貼付のために片手しか使えない場合がある。このような事情に鑑みて、本例の構成では、後述するように、発送用ボックス10の前面パネル60が上方に向かうにしたがって後方に傾斜しており、かつ、前面パネル60に投函口23への投函前の荷物80の仮置き部62が設けられる。これにより、発送人82は、片手でラベル81の貼り付けを容易に行える。また、降雨時に前面パネル60上に雨水が溜ることを抑制できる。
【0017】
以下、発送用ボックス10の構成をより具体的に説明する。発送用ボックス10は、外装体であるボックス本体13と、機器設置板15と、投函口23と、収納部12と、投函扉24及び集荷扉26と、印刷部50と、前面パネル60とを含んで構成される。ボックス本体13は、前面に開口13aを有し、上端に傾斜板部13bが設けられており、全体で縦長の略直方体状である。ボックス本体13の左右方向両端には2つの側壁部13cが設けられ、後端に背面壁部13dが設けられる。ボックス本体13は、金属または樹脂等により形成される。ボックス本体13は、傾斜板部13bの上面が、降雨時の水溜まりの発生や、雪が高く積もることを防止するために、後端(
図1、
図2のB側端)に向かうに従い下方に傾斜した傾斜面となっている。傾斜板部13bの上面の水平面に対する傾斜角度は、例えば3度以上、45度以下と規制する。このように傾斜板部13bの上面の水平面に対する傾斜角度を、3度以上、45度以下と規制した場合には、発送用ボックス10の上部内側の空間が狭くなることを抑制しながら、降雨時の水溜まりの発生や、雪が高く積もることを防止できる。
【0018】
機器設置板15は、ボックス本体13の上下方向中間部の内側に、ボックス本体13内の空間を上下に仕切るように固定される。ボックス本体13の前端で、機器設置板15の下側には、上下方向に沿うように平板状の前端カバー16(
図9)が固定される。投函口23は、その前端カバー16に形成された横長で略矩形の孔である。投函口23は、発送人82が荷物80を発送する際に、荷物80が発送物として投函される。投函口23は、例えば厚みが3cm以内の荷物80を投函できるように、上下方向の高さを50~80mm等としてもよい。投函扉24は、投函口23の前側を塞ぐように、横開きで開放可能に設けられる。なお、投函口23の前側に上端の横方向軸を中心として、上側に回動して開くことが可能なフラップを設けて、投函扉24が開いたまま放置されても、ボックス本体13内部への雨水の侵入を防止できる構成としてもよい。
【0019】
収納部12は、ボックス本体13の内部で投函口23の下側に設けられた、上端が開口した略箱形の収納ボックスにより形成され、投函口23に投函された発送用の荷物80を内側に収納可能である。収納部12は、例えば樹脂により形成される。
【0020】
集荷扉26は、ボックス本体13の前端で投函扉24の下側において、横開きで開放可能に設けられる。集荷扉26は、ボックス本体13の下側で、収納部12が収容された内側空間の前端開口を塞ぐ。集荷扉26は、収納部12に収納された荷物80を配送業者が集荷する際に開放される。
【0021】
ボックス本体13の機器設置板15(
図4)より下側空間において、前端カバー16の後側の空間と、収納部12が配置された空間との間は仕切られていない。これにより、集荷扉26が閉じられ、投函扉24が開いた状態で、投函口23に投函された荷物80は、下側の収納部12に収納される。
【0022】
なお、収納部は、布製等の袋部材により形成され、ボックス本体13の内部の投函口23の下側において、上端開口を広げた状態で上端周縁部がボックス本体13に支持される構成としてもよい。この場合、袋部材は、ボックス本体13から取り外し自在に形成され、配送業者が荷物80を回収するときに袋部材ごとボックス本体13から取り外し、別の空の袋部材と交換し、配送業者が荷物80の入った袋部材を回収する構成としてもよい。この場合、袋部材の開口が、開口端部の外側の通し部を通った紐によって絞られることが可能な構成としてもよい。
【0023】
また、ボックス本体13の下側の内部に略直方体状の下側ボックスが設けられ、その下側ボックスの天板部により機器設置板が形成され、下側ボックスの上側に設けられた前端カバーに投函口が形成されてもよい。
【0024】
図4は、発送用ボックス10の前面パネル60を開けた状態を示す斜視図である。印刷部50は、機器設置板15上に設置される。印刷部50は、発送用の荷物80の識別のためのラベル81の印刷を行って排出する。印刷部50の作動は制御装置55(
図4)によって制御される。制御装置55は、機器設置板15上に設置される。制御装置55には、後述の入力部40を用いて発送人82が入力した識別情報が入力される。制御装置55は、その識別情報に基づく発送情報を、印刷部50でラベル81に印刷させて、印刷部50から、印刷されたラベル81を排出させる。ラベル81は、つづら折りに折り畳まれた略直方体形状の状態でラベルストッカー70に格納される。ラベルストッカー70は、機器設置板15に下側に窪むように設けられた掘り込み部64内に納まっている。ラベル81の上端部分は、掘り込み部64の上端開口から上側に引き出され、印刷部50の後側端部に設けられたラベル入口に差し込まれ、印刷部50に印刷可能にセットされる。印刷部50で印刷され印刷部50の前側に排出されたラベルは、前面パネル60に設けた後述のラベル取り出し口42を通じて、後述の凹部43の内側に排出される。
【0025】
前面パネル60は、機器設置板15より上側の空間の前側を塞ぐように、ボックス本体13の前側に固定される。前面パネル60は、投函口23の上方に設けられ、上方に向かうにしたがって後方に傾斜する。これにより、屋外に設置される発送用ボックス10において、前面パネル60上に雨水が溜ることを抑制できる。さらに、傾斜板部13bの前側部分と、左右両端の2つの側壁部13cの上側部分とが、前面パネル60より前側に張り出しているので、前面パネル60と、前面パネル60に設けた後述の仮置き部62に配置する荷物80(
図3、
図6)とに雨水がかかることを抑制できる。また、前面パネル60は、横方向一端に設けられたヒンジによって、横開き式で開放可能に構成される。
【0026】
さらに、前面パネル60の前面下側には、投函口23への投函前の荷物80の仮置き部62が設けられる。仮置き部62は、横並びで並んだ2つのピン63によって形成される。これにより、降雨時で発送人82が傘をさしている場合でも、発送人82が片手で荷物80へのラベル81の貼り付けを容易に行える。これについては後で詳しく説明する。
【0027】
一方、投函扉24と集荷扉26と前面パネル60とは、矩形板状の扉本体と、扉本体に取り付けられた施錠装置とを含んで構成される。投函扉24の施錠装置は、電子錠であり、その解錠状態は、発送用ボックス10の内部に設けられた制御装置55によって制御される。具体的には、前面パネル60には奥側に窪んだ凹部43が形成され、凹部43を形成する上端壁部に入力部40が取り付けられる。入力部40は、例えばバーコードリーダーやカメラを有し、バーコード、QRコード(登録商標)等のコードを読み取るコード読み取り部である。発送人82等のユーザがスマートフォン等の携帯端末に記憶された専用のアプリケーションプログラムを実行することにより、その画面に表示されたバーコード、QRコード等の識別コードを入力部40に近づけて向けることで、入力部40は、識別コードを読み取って、制御装置55に送信する。制御装置55は、その識別コードに応じた処理を実行し、投函扉24の開放を許可する場合に投函扉24を解錠する。例えば発送人82の識別情報が適切である場合には、制御装置55が投函扉24を電動アクチュエータ及び施錠機構の動作によって解錠する。集荷扉26及び前面パネル60は、電子錠で施錠される構成としてもよい。この場合、配送業者や発送用ボックス10のメインテナンスを行う作業者、又はラベル81の補充を行う作業者の携帯端末に記憶されたアプリケーションプログラムを実行することにより、携帯端末の画面に表示される識別コードが入力部40で読み取られ、それに応じて集荷扉26や前面パネル60が解錠される構成としてもよい。
【0028】
なお、入力部40は、カードキーや、スマートフォン等の携帯端末からの無線信号を受信する受信部を有してもよい。受信部で受信された信号が制御装置に入力され、制御装置が、無線信号が、適切な識別情報と、扉の解錠または施錠を表す情報とを含むと判定した場合に、投函扉24を解錠する。これにより、発送用ボックス10の外側からカードキーを近づけたり、携帯端末から解錠または施錠のための無線信号を送った場合に、投函扉24を解錠することができる。また、投函扉24と集荷扉26と前面パネル60とは、閉じた場合に自動で施錠される構成であるが、ユーザが入力部40で携帯端末の識別コードを読取させることにより、制御装置が施錠させる構成としてもよい。
【0029】
前面パネル60に設けられた凹部43の奥端には横長のラベル取り出し口42が形成される。印刷部50で印刷され排出されたラベル81はラベル取り出し口42を通じて凹部43の内側に排出される。発送人82はラベル取り出し口42から排出されたラベル81の先頭の印刷済みの部分をミシン目等で切り取る。そして、切り取ったラベル81を剥離紙から剥がして、ラベル81の粘着側を発送用の荷物80に貼着する。ラベル取り出し口42の前側には、ボックス本体13の内部への雨の吹込みを防止するためのフラップが設けられてもよい。
【0030】
図5は、発送用ボックス10において、夜間に、照明部72で下側を照射させた状態を示している上部拡大斜視図である。ボックス本体13の傾斜板部13bの下面において、前面パネル60の上端より前側には照明部72が設置されている。照明部72は、例えばLEDの発光部を含んだ横長の導光棒によって形成される。照明部72は制御装置55に制御され、例えば夜間の時間帯に
図5に示すように点灯し下側を照射する。
図5では斜線部が、照明部72から出射された照明光を示している。これにより、発送人82等のユーザが夜間の作業を行いやすい。
【0031】
また、本例では、前面パネル60が横開き式で開放可能に構成されるので、
図4に示すように、印刷部50のラベル補充またはや制御装置55のメインテナンスの作業を作業者が行うときに、照明部72からの照明光でボックス本体13の下側内部も照射できるので、作業時の視認性を向上でき、作業者が作業を行いやすくなる。また、前面パネル60が上端を支点として上側に回動して開く構成と異なり、作業者が内部の装置、例えば印刷部50等にアクセスしやすくなる。
【0032】
また、前面パネル60の前面下端部には、状態表示部74が取り付けられる。状態表示部74は、例えば照明部72と同様に、LEDの発光部を含んだ横長の導光棒によって形成される。状態表示部74は制御装置55によって制御され、例えば正常に動作している場合には青色で点灯し、制御装置55や印刷部50等の内部の装置が不調の場合、またはユーザが携帯端末を用いて入力部40から入力した情報が不適切の場合等に、エラー表示として赤色等、別の色で点灯させたり、点滅させることにより、異常発生を知らせることができる。さらに、
図1に示すように、ボックス本体13の内部の背面部には、配送業者と通信可能な通信部として、制御装置55に接続されたWi-Fi(登録商標)方式等の無線ルータ76が設けられる。
【0033】
図6は、実施形態において、降雨時に、荷物80の発送を行うユーザが荷物80を仮置き部62に仮置きする前(a)と、仮置きした後(b)とを示す図である。以下、
図1、
図3、
図6等を用いて、前面パネル60に設けられた仮置き部62を説明する。仮置き部62は、前面パネル60の前面の下側において、凹部43の左右方向一方側に隣り合うように、横並びで配置された2つの円柱状のピン63によって形成される。各ピン63は、前面パネル60に対し直交する方向の前側に突出する。
図3に示すように2つのピン63のピッチPtは、例えば、30mm以上、115mm未満である。荷物80が略長方形で厚みが小さい形状であり、荷物80の短手方向長さDLが115mm以上である場合に、荷物80を、前面パネル60の傾斜方向に沿って縦長で配置する場合には、荷物80の下端縁を2つのピン63に載せて、荷物80をピン63で安定して支持できる。
図6及び後述の
図8では、荷物80を砂地部で示している。2つのピン63のピッチPtは、好ましくは、50mm以上、100mm以下であり、より好ましくは、80mm以上、90mm以下であり。なお、仮置き部62のピンは、後述の
図10に示す別例のように、3つとしてもよく、また、4つ以上としてもよい。
【0034】
各ピン63は、前面パネル60にねじ込み式で固定されてもよい。この場合、各ピン63の前面パネル60からの突出長さを任意に変更できる。各ピン63は、例えば金属または樹脂により形成される。ピン63を金属製とする場合には、表面に錆びにくいように塗装を施すか、またはステンレス合金製とすることができる。また、ピン63を樹脂製とする場合には、耐候性及び強度が高い樹脂により形成することができる。
【0035】
このように仮置き部62が複数のピン63により形成されるので、仮置き部62に発送人82(
図6)等のユーザが傘84やバッグをかけにくくなる。これにより、仮置き部62の構成部材であるピン63の破損防止と、ピン63の支持強度の低下抑制とを図れる。また、仮置き部62に傘がかけられる場合には、ユーザが投函扉24を開いた場合にその傘と投函扉24とが干渉して傘が脱落するが、本例ではそのような不都合を防止できる。また、本例では、仮置き部をアングルにより形成する場合と異なり、仮置き部に雨水が溜まりにくくなる。
【0036】
また、ピン63が円柱状であるので、ピン63を四角柱状とする場合よりも、発送人82等のユーザがピン63に傘をよりかけにくくなると共に、仮置き部62に雨水がより溜まりにくくなる。なお、ピン63は円柱状に限定するものではなく、四角柱状等、種々の形状とできる。
【0037】
また、各ピン63の前面パネル60から外側への突出長さは、例えば30mm以下とする。このようにピン63の長さを短く規制することにより、発送人82等のユーザがピン63に傘をさらにかけにくくなる。
【0038】
図7を用いて、ピン63の上下方向位置について、傘84をかけにくくする面から好ましい範囲を説明する。
図7は、仮置き部62を形成するピン63の上下方向位置と、ピン63に対する傘84の係止状態または傘84の係止不可状態との関係を示す図である。
図7(a)のように、前面パネル60の下端近傍にピン63が設けられた場合には、ピン63に、閉じた傘84のハンドル85の先端が係止された状態で、傘84のほぼ全体が略上下方向に沿った方向に延び、投函扉24の外面に隣接して配置される。この状態で傘84が発送用ボックス10によって不安定な姿勢になる方向に押されることはなく、傘84の姿勢が安定してしまうので、ユーザがピン63に傘84をかけることを抑制する面から改良の余地がある。
【0039】
また、
図7(c)のように、前面パネル60の下端から大きく上に離れた位置にピン63が設けられた場合には、ピン63に、閉じた傘84のハンドル85の先端が係止された状態で、傘84のほぼ全体が前面パネル60の前面に沿って、上下方向に対し傾斜して配置される。この状態で傘84の上端から、全長の1/2以上の長さ位置までの部分が前面パネル60の下端より上側にある。このため、傘84の重量の多くを有する部分が前面パネル60に乗った状態となるので、傘84が発送用ボックス10によって不安定な姿勢になる方向に押されることがなく、傘84の姿勢が安定してしまう。したがって、この場合も、ユーザがピン63に傘84をかけることを抑制する面から改良の余地がある。
【0040】
一方、
図7(b)のように、前面パネル60の下端より少し上に離れた位置、具体的には、前面パネル60の下端から前面パネル60の前面に沿って上側に傘84の全長Laの1/2だけ離れた位置より下側にピン63が設けられる場合には、二点鎖線で示す傘84のように傘84をピン63にかけた状態で傘84の重量の多くを有する部分が前面パネル60の下端より下側に設けられる。これにより、二点鎖線の傘84の安定姿勢を確保できず、傘が前面パネル60の下端を中心に
図7(b)の矢印α方向に回転する傾向となる。このため、黒で塗りつぶした傘84の位置に移動して、ハンドル85がピン63から離れる。したがって、傘84が脱落するので、ユーザがピン63に傘84をかけることを抑制できる。これらの
図7(a)(b)(c)の関係から、実施形態において、ユーザがピン63に傘84をかけることを抑制するためには、
図7(b)のようにピン63の上下方向位置の上限を、前面パネル60の下端から前面パネル60の前面に沿って上側に傘84の全長Lの1/2離れた位置より下側とする必要があることが分かる。また、ピン63の上下方向位置の下限は、前面パネル60の下端近傍を除く位置、具体的には、前面パネル60の下端から前面パネル60の前面に沿って50mm以上、上側の位置とする。
【0041】
また、ユーザがピンに傘をかけにくいようにするための、ピン63の上下方向位置の上限を求める際に全長を用いる傘として、一般的に多く市販されている最小サイズの傘である親骨が55cmの傘を用いる。最小サイズの傘を用いてピン63の上下方向位置の上限を決めるので、それより大きい傘を、その上限位置が決定されたピン63に係合した場合に、傘の多くの部分が前面パネル60の下端より下側に設けられ、傘が不安定になって脱落する結果となる。最小サイズの傘の全長は73cmであるので、その1/2の長さである36.5cmを用いて、ピン63の上下方向位置の上限は、前面パネル60の下端から前面パネル60の前面に沿って上側に36.5cm離れた位置より下側とする。このようにピン63の上下方向位置を決定した構成によれば、ユーザがピン63に傘をかけることを、さらに抑制できる。
【0042】
さらに、好ましくは、ピン63の上下方向位置の上限は、前面パネル60の下端から前面パネル60の前面に沿って上側に、最小サイズの傘の全長の1/3である24.3cm離れた位置より下側とする。このようにピン63の上下方向位置の上限をさらに下側に規制した構成によれば、ユーザがピン63に傘をかけることを、さらに抑制できる。
【0043】
上記の発送用ボックス10によれば、屋外に設置される構成において、前面パネル60上に雨水が溜ることを抑制でき、かつ、ユーザが片手で荷物80へのラベル81の貼り付けを容易に行える。
図8は、
図6(b)の状態の後にユーザである発送人82が、仮置きした荷物80に発送用のラベル81を貼り付ける状態を示している。
【0044】
図8に示すように、降雨時に発送人82が傘84をさして荷物80の発送を行う場合に、発送前の略長方形の荷物80を縦長にして、2つのピン63からなる仮置き部62上に荷物80を配置できる。この状態で、発送人82は印刷部で印刷されラベル取り出し口42を通じて前側に排出されたラベル81の印刷済み部分を切り取って、荷物80の表面に貼付する。このとき、荷物80は仮置き部62に載っているので、発送人82が荷物80を持ち上げて手でその状態を維持する必要がなく、片手のみを使って荷物80にラベル81を貼り付けることを容易に行える。
【0045】
図9は、
図8の状態の後に発送人82が、荷物80を投函口に投函する状態を示している。荷物80にラベルが貼り付けられた後では、発送人82は、投函扉24を大きく前に開いて、投函口に荷物80を投函した後、投函扉24を閉じる。これにより、降雨時でも発送人82による発送を容易に行える。
【0046】
図10は、実施形態の別例の発送用ボックスにおいて、
図3に対応する図である。本例の構成では、前面パネル60の下側に横並びで3つのピン63が前側に突出するように設けられる。本例では、3つのピン63により、発送用の荷物の仮置き部62aが形成される。例えば、隣り合う2つのピン63のピッチPt1は、横方向両側のピッチPt1で互いに同一である。各ピッチPt1は、
図3のピッチPtと同様に、好ましくは、50mm以上、100mm以下とし、より好ましくは、80mm以上、90mm以下とする。
【0047】
本例の構成によれば、ピン63の数が増えるので、発送前の荷物をより安定して発送用ボックスの前面パネル60に配置して維持することができる。また、この場合には、荷物を、上下方向に長い縦長配置だけでなく、横方向に長い横長配置としても荷物をより安定して前面パネル60に配置して維持しやすい。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図9の構成と同様である。
【0048】
なお、上記の各例では、荷物の仮置き部を複数のピン63によって形成する場合を説明したが、本開示はこれに限定せず、例えば、前面パネル60に固定した複数のL型アングルによって仮置き部が形成されてもよい。このとき、L型アングルの互いに直交する2つの板部のうち、一方の板部を前面パネル60の前面に沿って固定し、他方の板部を前面パネル60から前側に突出させることができる。この場合、傘がL型アングルにかけられにくいように、L型アングルの幅を、一般的な傘のハンドルの直径より短くする、例えば幅を1cm以下としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 発送用荷受けボックス(発送用ボックス)、12 収納部、13 ボックス本体、15 機器設置板、21 前端カバー、23 投函口、24 投函扉、26 集荷扉、40 入力部、42 ラベル取り出し口、43 凹部、50 印刷部、55 制御装置、60 前面パネル、62,62a 仮置き部、63 ピン、64 掘り込み部、70 ラベルストッカー、72 照明部、74 状態表示部、76 無線ルータ、80 荷物、81 ラベル、82 発送人、84 傘、85 ハンドル。